説明

新規なシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル

【構成】一般式I、II等のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。一般式Iの化合物の具体例には式73のものがある。


【効果】本化合物は低塩素分と低粘度に特徴があり、エポキシ樹脂配合物における反応性希釈剤、柔軟剤または粘着向上剤として使用でき、またそれ自体重合できかつ被覆樹脂または注型樹脂として使用できる。製品はごく僅かな水分吸収性と良好な耐候性を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル、その製造方法そして、例えば、エポキシ樹脂配合物における反応性希釈剤、柔軟剤または粘着向上剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】数多くのシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルは、一般にエポキシ樹脂と呼ばれているが、知られたものでありそしてこれらは公知の手順に従って製造することができる。これらの手順は原則として、ルイス酸の存在下での適当なシクロヘキシル基含有ヒドロキシ化合物とエピクロロヒドリンまたはその誘導体との触媒縮合より成る。それらの手順はとりわけ、その方法により製造されたエポキシ樹脂中には、その後の加工(例えば、DE-A-2528022 参照)の製品において悪影響(例えば腐食、黄色化)を有するところの、高割合の(約1.0重量%より多くの)有機的に結合された塩素が存在するという不利と関連している。他方において、DE-A-3629632によれば、芳香族構成単位、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノール−およびクレゾール−ノボラックを基礎とするグリシジルエーテル中の芳香環を選択的に水素化することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、一方において、低い塩素含量を有するシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルを経済的に製造することが可能であり、そして他方において、水素化段階においてオキシラン環の同時の開環とともに芳香環が水素化されるところの方法を見出すことにある。
【0004】解決法は、ルイス酸を使用しないところの方法にあった。本発明者は、エーテルまたはアミノ基をβ位に含むところのアルコールは、相間移動プロセスを使用してエピクロロヒドリンと満足に反応させることができそして結果として低い塩素含量を有する樹脂が得られることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明は、これらエポキシ樹脂にとって新規である方法および新規なエポキシ樹脂に関する。新規なエポキシ樹脂は、シクロヘキシル基含有グリシジルエーテルであるが、式I、式II、式III または式IV
【化44】


【化45】


【化46】


【化47】


[これら式中、個々の符号は以下に定義されたものを表わす。R1 、R2 およびR3 は各々他と独立して、水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、R4 およびR5 は各々他と独立して、水素原子または炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、R6 は水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、Xは式
【化48】


で表わされる橋員を表わし、Y=O(n=1のとき)または=N(n=2のとき)、mは1、2または3の数を表わし、n=1(Y=Oのとき)または=2(Y=Nのとき)、oは1ないし30の数を表わし、Zは直接結合または式
【化49】


で表わされる橋員を表わす。]で表わされる化合物に相当するものである。
【0006】好ましい化合物は、相称なものであり、かつ、XおよびY(式Iにおいて)がお互いに対してp−位にあり、そして3個のY(式IIにおいて)が各々、場合場合により、C(R6 をもつ)またはZに対してp−位にあるものである。
【0007】また、好ましいものは、式中、互いに独立して、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/またはアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、R6 は水素原子を表わし、Xは式
【化50】


で表わされる橋員を表わし、YはOを表わし、nは1の数を表わし、Zは直接結合または橋員 -CH2-を表わし、mは2または3の数を表わし、oは1ないし20そしてとりわけ1ないし15の数を表わすところの式Iないし式IVで表わされる化合物である。
【0008】式Iおよび式IVで表わされる化合物が特に重要なものである。
【0009】上記の式Iないし式IVにおけるR1 、R2 、R3 およびR6 が未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基を表わすとき、それらは直鎖または枝分れアルキル基であってよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基およびオクチル基でありうる。これら全てのアルキル基は、例えば、シクロヘキシル基および/またはハロゲン原子、例えばF、ClまたはBrによりモノ−−またはポリ−置換されていてよい。
【0010】R1 、R2 、R3 およびR6 が水素化アリール基を表わすとき、それはとりわけ水素化ベンゼンまたはナフタレン基である。
【0011】炭素原子数1ないし20のアルキル基としてのR4 およびR5 は直鎖または枝分れアルキル基でありうる。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、n−デシル基、ドデシル基、テトラデシル基およびオクタデシル基である。
【0012】式Iで表わされる好ましい化合物は、式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてXは式
【化51】


で表わされる橋員を表わすものである。
【0013】式IIで表わされる好ましい化合物は、式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、R6 は水素原子を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてZは直接結合または橋員 -CH2-を表わすものである。
【0014】式III で表わされる好ましい化合物は、式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてmは2または3の数を表わすものである。
【0015】式IVで表わされる好ましい化合物は、式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてoは1ないし20そしてとりわけ1ないし15の数を表わすものである。
【0016】脂環式およびオキシラン員を含むところの式Iないし式IVで表わされる全ての化合物は、20℃にて一般に、10ないし4000 mPa.s、特に100ないし500 mPa.sの粘度を有する無色ないし黄色の液体であり、そして特に0.4重量%より少ないという大変低い塩素含量によって区別されるものである。これらはそのエポキシ分、塩素分、分子量分布(Mn、Mw)およびその粘度によって特徴付けることができる。
【0017】式Iないし式IVで表わされる化合物は、例えば、2つの異なるプロセスa)およびb)に従って製造することができる。
【0018】プロセスa)このプロセスに従い、式I、式II、式III または式IVで表わされる化合物は、以下のとおり製造することができる。:
【0019】出発物質の式Ia 、式IIa 、式IIIaまたは式IVa で表わされる芳香族化合物は知られた化合物でありかつ公知の方法により製造できるものであるが、
【化52】


【化53】


【化54】


【化55】


これらを、最初の反応段階において、公知の方法に従っておよそ等モル量(±5%)のエチレンオキシドまたは次式
【化56】


(式中、R4 およびR5 は式Iないし式IVについて定義されたものを表わす。)で表わされるその誘導体と、塩基の存在下、有機溶媒中にて、50ないし200℃の温度でかつ1ないし10バールの圧力にて有利に反応させる。
【0020】こうして得られた式Ib 、式IIb 、式IIIbまたは式IVb で表わされる化合物はそのうちのいくつかは同様に知られているが、
【化57】


【化58】


【化59】


【化60】


これらを単離し、そして第2の反応段階において触媒水素化する。水素化は公知の方法に従い、水素および触媒を用いて、有利には有機溶媒中にておよそ50ないし200℃の温度でかつ50ないし200バールの圧力にて、約2ないし24時間の間行なう。
【0021】こうして得られた式Ic 、式IIc 、式IIIcまたは式IVc で表わされる水素化化合物は、新規な化合物でありそして同様に本発明が関係するものであるが、
【化61】


【化62】


【化63】


【化64】


これらを単離し、そして第3の反応段階において、公知の方法に従って過剰のエピハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリンと、相間移動触媒の存在下40ないし90℃の温度でかつ50ないし200torrの圧力にてアルカリ溶液の添加とともに反応させて、式I、式II、式III または式IVで表わされる新規化合物をそれぞれ生成する。
【0022】上記の出発物質および中間体において、符号は、アリール基が各場合において非水素化アリール基を表わすところのR'1、R'2、R'3、R'6、X1 およびZ1におけるアリール基、および、OまたはNHを表わすところのY1 を除き、本発明による式Iないし式IVで表わされる化合物における対応する符号と同じ意味を有する。
【0023】プロセスb)このプロセスは、式I、式II、式III または式IV(式中、R4 はCH3 を表わしそしてR5 はHを表わす。)で表わされる化合物を製造する方法を提供するものである。
【0024】式Ia1、式IIa1、式IIIa1 または式IVa1で表わされる出発化合物は、知られたものでありかつ公知の方法により製造できるものであるが、
【化65】


【化66】


【化67】


【化68】


これらを最初の反応段階において触媒水素化する。水素化は公知の方法に従い、水素および触媒を用いて、有利には有機溶媒中にて、およそ50ないし200℃の温度でかつ50ないし200バールの圧力にて、約2ないし24時間の間行なう。
【0025】こうして得られた式Ib1、式IIb1、式IIIb1 または式IVb1で表わされる水素化化合物は、新規な化合物でありそして同様に本発明が関係するものであるが、
【化69】


【化70】


【化71】


【化72】


これらを単離し、そして第2の反応段階において、公知の方法に従って過剰のエピハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリンと、相間移動触媒の存在下40ないし90℃の温度でかつ50ないし200torrの圧力にてアルカリ溶液の添加とともに反応させて、式I、式II、式III または式IV(式中、R4 はCH3 を表わしそしてR5 はHを表わす。)で表わされる新規化合物をそれぞれ生成する。
【0026】適するエピハロヒドリンは、例えば、エピブロモヒドリンおよび特にエピクロロヒドリンである。
【0027】プロセスa)における最初の反応段階において使用される塩基は、例えば、第二アミンおよび第三アミン、例えばN−エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびトリイソブチルアミンである。
【0028】適する有機溶媒は、例えば、芳香族炭化水素、例えばキシレンまたはメシチレン、および特に脂肪族または脂環式ケトン、例えばメチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、2,4−ジメチル−6−ヘプタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン、メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンである。好ましい溶媒は、メチルイソブチルケトンである。しかしながら、種々の溶媒の混合物を使用することも可能である。溶媒は有利には、全反応混合物に基づいて、10ないし90重量%の量で使用することができる。
【0029】反応温度は有利には、およそ50ないし200℃、好ましくはおよそ140ないし160℃、そして特におよそ150℃である。
【0030】反応圧力は1ないし10バールそして特に4ないし6バールの範囲にある。
【0031】プロセスa)およびb)における水素化は、水素および触媒を用いて行なわれる。適する触媒は、例えば、Raney nickel、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金である。これら触媒は不活性担体物質、例えば特に活性炭素上に、Mg、Ba、Zn、Al、Fe、CrおよびZrの硫酸塩、炭酸塩または酸化物、例えばMgO、ZiO2 、TiO2 およびα−Al23 上に、またはシリカゲル上にある。
【0032】水素化反応段階において適する触媒は、例えば、アルコール、例えばメタノールおよび特にエタノールまたはメチルセロソルブ、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、およびエステル、例えば酢酸エチルである。
【0033】水素化は有利には50ないし200℃、特に80ないし180℃の温度にて、50ないし200バール、特に100ないし160バールの圧力にて、そして約2ないし24時間、特に10ないし15時間の間行なわれる。
【0034】プロセスa)およびb)において続いてのエピハロヒドリンを用いた反応は、好ましくは、式Ic 、式IIc 、式IIIcもしくは式IVc 、または式Ib1、式IIb1、式IIIb1 もしくは式IVb1で表わされる化合物それぞれのOH基当りの2ないし6モル過剰にて行なわれる。
【0035】適する相間移動触媒は、すべて当業者にとって知られた化合物であり、例えば第四級アンモニウム塩およびホスホニウム塩、例えば、米国特許第 4465722号において述べられているテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドおよびハリドのようなもの、およびまた米国特許第 4885354号、同第 4973678号および同第 5006626号に記載されるピペリジニウム塩、モルホリニウム塩およびピロリジニウム塩、例えばテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−エチル−N−ヒドロキシエチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテートまたはN−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージドである。
【0036】好ましくはテトラメチルアンモニウムクロリドが使用される。
【0037】相間移動触媒は、例えば、出発物質に基づいて、およそ0.01ないし10モル%、好ましくは1ないし5モル%そして特に2ないし3モル%の量で使用される。
【0038】エピハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリンを用いた反応は有利には40ないし90℃、特に50ないし70℃の温度にて、かつ50ないし200 torr 、特に90ないし110 torr の圧力にて行なわれる。
【0039】式Ic 、式IIc 、式IIIcもしくは式IVc 、または式Ib1、式IIb1、式IIIb1 もしくは式IVb1で表わされる化合物、エピハロヒドリンおよび相間移動触媒の混合物であって還流下に保たれているものに、好ましくはアルカリ水酸化物の水溶液(アルカリ溶液)、例えばKOHまたはNaOH溶液、特に50%NaOH水溶液が、1ないし5時間かけて、特に2時間かけて滴下される。
【0040】プロセスa)およびb)の双方に従って得られる式Iないし式IVで表わされるシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルは、その後仕上げられる。仕上げは、例えば、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、濾過残渣を(例えばMgSO4 上で)乾燥しそして過剰のエピハロヒドリンを乾燥された生成物より除去することにより、行なわれる。
【0041】本発明による式Iないし式IVで表わされるシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルは、残留物として、70%よりも多い収率で、およそ10ないし4000mPa.s、特に100ないし500 mPa.sの粘度を有するところの無色ないし黄色液体または樹脂(20℃にて)の形態で得られる。本製法の結果としてこれらの低粘度液体は大変低い塩素分によって特に区別されるものである。それは95%以上の場合において0.4重量%未満、特に0.3重量%未満である。
【0042】驚くべきことに、新規なシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルは、出発物質のβ−ヒドロキシエーテルまたはβ−ヒドロキシアミンが容易にグリシジル化可能なOH基を容易に含有するという事実の結果として、相間移動プロセスにより容易に製造することができる。さらに、有利なことに、ルイス酸(Lewis acid)を使用する必要がない。
【0043】式Ia ないし式IVa で表わされる公知の出発化合物は、例えば、ジヒドロキシまたはジアミノ化合物(Ia )、3個のヒドロキシまたはアミノ基を有する化合物(IIa )、1個のヒドロキシまたはアミノ基を有する化合物(IIIa)、および数個のヒドロキシまたはアミノ基を有する化合物(IVa )である。
【0044】上記式Ia の範囲内に入るところのジヒドロキシ化合物の例は、ジヒドロキシフェノール、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジ−フルオロメチルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニル−ケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロピルフェニルプロパンまたは4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび4,4’−ジアミノジフェニルジメチルメタンである。
【0045】これらジヒドロキシ化合物と反応することができるところの適するエチレンオキシド誘導体は、例えば、エチレンオキシドに加えて、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド、C1 −C20の鎖長を有するオレフィンオキシドである。しかしながら、好ましくはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドが使用される。
【0046】式IIa で表わされる出発化合物の例は、例えば、4,4’,4”−メチリジントリスフェノール、4,4’,4”−エチリジントリスフェノール、4,4’−[1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)−フェニル)−エチリデン]−ビスフェノールおよび4,4’−[4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル)−フェニル)−メチレン]−ビスフェノールである。
【0047】式IIIaで表わされる出発化合物の例は、例えば、フェノール、アニリン、ピロカテコール、レソルシノール、クロログルシノールおよびピロガロールである。
【0048】式IVa で表わされる出発化合物の例は、ノボラックおよびクレゾールノボラックである。
【0049】
【発明の効果】本発明による式Iないし式IVで表わされるシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルは70%よりも多い収率で、およそ10ないし4000 mPa.s、特に100ないし500 mPa.sの低い粘度を有しかつ塩素分も多くの場合0.4重量%未満と大変低いことに特徴がある。また、この新規なシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルは、相間移動プロセスにより容易に、しかも有利なことにルイス酸を使用せずに製造することができる。本発明による式Iないし式IVで表わされる化合物は、しばしばエポキシ樹脂配合物においてある特性の変更のために、例えば反応性希釈剤、柔軟剤または粘着向上剤として使用される。かかる配合物は所望により追加の他のエポキシ樹脂、例えばビスフェノールAエポキシ樹脂またはエポキシノボラック、および慣用の硬化剤、例えばアミン、カルボン酸無水物、フェノールまたは触媒硬化剤を含むものである。本配合物は極めて広い範囲の用途において、例えば表面コーティング樹脂、浸漬樹脂、含浸樹脂、接着剤、シーラント、外装コンパウンドおよび絶縁材料として使用される。
【0050】その脂肪族構造の結果として本発明によるグリシジルエーテルは優れた外部耐候性を有する。
【0051】また本発明による化合物はそれ自体重合することができそしてコーティングとしてまたは注型樹脂として使用される。
【0052】本発明による化合物は、例えば、良好な一般特性に加えて低い吸水性と良好な外部耐候性を有する製品の生産を可能にするものである。
【0053】
【実施例】以下の実施例は本発明を説明するが制限するものではない。Rh/C、Pd/CおよびRu/Cは、それぞれ、炭素上のロジウム、炭素上のパラジウムおよび炭素上のルテニウムを示す。略語TMACはテトラメチルアンモニウムクロリドを表わし、そしてMIBKはメチルイソブチルケトンを表わす。
【0054】実施例1:オートクレーブ中において2,2’−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−プロパン(例えば、特開昭 50-105638号に従い製造される。)320g(1.01モル)をエタノール2200 ml 中にてRh/C5% 40gの存在下80℃でかつ160バールにて11時間の間水素化した。反応混合物を濾過しそして70℃にて蒸発により濃縮すると、僅かに黄色の樹脂316g(理論値の95%)が得られた。NMRによると、それはもはやいかなる芳香族化合物をも含んでいなかった。
【0055】その中間体304g(0.92モル)をエピクロロヒドリン593 ml (7.56モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液5.5gを添加した。その後50%NaOH水溶液163.5g(2.04モル)を還流下50−60℃の内部温度でかつ90 torr にて2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後混合物をさらに2時間反応することを可能とし、冷却しそして濾過し、そして生じた生成物をMgSO4 上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる僅かに黄色の樹脂398g(理論値の98%)が得られた。
【化73】


【0056】
エポキシ分 :4.06当量/kg(理論値の89%)
粘度(25℃) :240 mPa.s全塩素分 :0.21%加水分解可能な塩素分:283 ppm
【0057】実施例2:適当なオートクレーブ中において、7.88当量/kgのヒドロキシル(OH)分を有するビスフェノールF400g、N−エチルイソプロピルアミン2.6g(0.02モル)およびMIBK200 ml に、エチレンオキシド139.2g(3.16モル)を添加した。その後反応混合物を150℃に5時間の間保ち、これとともに圧力を5.4バールに上昇せしめた。その後反応混合物を冷却し、そして溶媒を回転蒸発器の中で蒸発除去すると、次の元素分析を有する褐色の、大変粘稠な油540g(理論値の100%)が得られた。C=71.33%、H=6.96%。
【0058】その中間体536gをエタノール2800 ml 中においてRh/C5% 50gの存在下95℃でかつ160バールの圧力にて水素化した。反応混合物を濾過しそして70℃にて蒸発により濃縮すると、NMRによるともはやいかなる芳香族化合物をも含有していないところの黄色の、粘稠油547gが得られた。
【0059】その中間体150gをエピクロロヒドリン321 ml (4.1モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液3.0gを添加した。その後50%NaOH水溶液88.0g(1.10モル)を還流下50−60℃の内部温度でかつ90torr にて1時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後混合物をさらに1.5時間反応することを可能とし、冷却しそして濾過し、そして生じた生成物をMgSO4 上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる黄色の樹脂200gが得られた。
【化74】


【0060】
エポキシ分 :4.05当量/kg(理論値の84%)
粘度(25℃) :360 mPa.s全塩素分 :0.36%加水分解可能な塩素分:820 ppm
【0061】実施例3:適当なオートクレーブ中において、6.77当量/kgのヒドロキシル分を有する硬化剤 HT9490 (Ciba-Geigy AG 、フェノールノボラック)200g、N−エチルイソプロピルアミン1.7g(0.013モル)およびMIBK200 mlに、エチレンオキシド58.7g(1.33モル)を添加した。その後反応混合物を150℃に5時間の間保ち、これとともに圧力を4.0バールに上昇せしめた。その後反応混合物を冷却し、そして溶媒を回転蒸発器の中において蒸発除去すると、橙色の固体230g(理論値の81%)が得られた。
【0062】その中間体229gをエタノール2300 ml 中においてRh/C5% 22gの存在下160℃でかつ115バールの圧力にて水素化した。反応混合物を濾過しそして70℃にて蒸発により濃縮すると、NMRによるともはやいかなる芳香族化合物をも含有していないところの黄色の固体224gが得られた。
【0063】その中間体220gをエピクロロヒドリン532g(5.74モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液8.4gを添加した。その後50%NaOH水溶液88.0g(1.10モル)を還流下50−60℃の内部温度でかつ90torr にて1時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。次いで混合物をさらに1.0時間反応することを可能とし、その後冷却し、濾過しそしてMgSO4 上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる黄色の樹脂271gが得られた。
【化75】


【0064】
エポキシ分 :4.28当量/kg(理論値の90%)
粘度(25℃) :3200 mPa.s全塩素分 :0.20%加水分解可能な塩素分:380 ppm
【0065】実施例4:Araldite MY 790 (Ciba-Geigy AG、ビスフェノールAのグリシジルエーテル)450g(1.32モル)をメチルセロソルブ4300 ml 中にてRu/C10% 22gの存在下100バールでかつ180℃にて水素化した。その後反応混合物を冷却しそして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器の中で蒸発除去した。残渣を酢酸エチル1リットル中に溶解し、水100 ml で3回洗浄し、MgSO4 上で乾燥させ、濾過しそして溶媒を回転蒸発器の中で蒸発により濃縮すると、NMRによるともはやいかなる芳香族化合物をも含有しておらずかつエポキシ基がもはや滴定により検出され得ないところの無色の油470g(理論値の100%)が得られた。
【0066】その中間体285.2g(0.8モル)をエピクロロヒドリン376 ml (4.75モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液 4.64gを添加した。その後50%NaOH水溶液140.8g(1.75モル)を還流下60−70℃の内部温度でかつ110 torr にて2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後混合物をさらに3.5時間反応することを可能とし、冷却し、濾過しそしてMgSO4 上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる黄色の樹脂325g(理論値の87%)が得られた。
【化76】


【0067】
エポキシ分 :3.29当量/kg(理論値の77%)
粘度(25℃) :440 mPa.s全塩素分 :0.24%加水分解可能な塩素分:198 ppm
【0068】実施例5:Araldite PY 307 (Ciba-Geigy AG、ビスフェノールFのグリシジルエーテル)213gをメチルセロソルブ2130 ml 中にてRu/C10% 20gの存在下110バールでかつ180℃にて水素化した。その後反応混合物を冷却しそして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器の中で蒸発除去すると、NMRによるともはやいかなる芳香族化合物をも含有しておらずかつエポキシ基がもはや滴定により検出され得ないところの、僅かに黄色の油225gが得られた。
【0069】その中間体224gをエピクロロヒドリン520g(5.60モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液 4.10gを添加した。その後50%NaOH水溶液120.0g(1.50モル)を還流下50−60℃の内部温度でかつ90 torr にて1時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後混合物をさらに2時間反応することを可能とし、冷却し、濾過しそしてMgSO4 上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる黄色の樹脂297gが得られた。
【化77】


【0070】
エポキシ分 :3.35当量/kg(理論値の74%)
粘度(25℃) :320 mPa.s全塩素分 :0.34%加水分解可能な塩素分:830 ppm
【0071】実施例6:Araldite EPN 1139 (Ciba-Geigy AG、エポキシクレゾール−ノボラック) 267gをメチルセロソルブ2700 ml 中にてPd/C5% 26gの存在下115バールでかつ160℃にて、もう水素が吸収されなくなるまで(30時間)水素化した。その後反応混合物を冷却しそして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器の中で蒸発除去すると、NMRによるともはやいかなる芳香族化合物をも含有しておらずかつエポキシ基がもはや滴定により検出され得ないところの、僅かに黄色の油297gが得られた。
【0072】その中間体250gをエピクロロヒドリン560g(6モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液4.4gを添加した。その後50%NaOH水溶液120.0g(1.50モル)を還流下 50−60℃の内部温度であって90torr にて1時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後混合物をさらに2時間反応することを可能とし、冷却し、濾過しそしてMgSO4上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる黄色の樹脂236gが得られた。
【化78】


【0073】
エポキシ分 :3.41当量/kg(理論値の76%)
粘度(25℃) :254 mPa.s全塩素分 :0.66%加水分解可能な塩素分:240 ppmMn :503Mw :796Mw/Mn :1.58
【0074】実施例7:Araldite MY 0510 (Ciba-Geigy AG 、4−アミノフェニルトリグリシド) 15gをメチルセロソルブ150 ml 中にてRu/C1.5gの存在下110℃でかつ100バールにてもう水素が吸収されなくなるまで(20時間)水素化した。その後反応混合物を冷却しそして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器の中で蒸発除去すると、NMRによるともはやいかなる芳香族化合物をも含有しておらずかつ理論値のエポキシ分の30%のみが残存するところの、褐色の油15gが得られた。
【0075】その中間体15gをエピクロロヒドリン58g(0.62モル)中に溶解し、そしてTMACの50%水溶液0.46gを添加した。その後、50%NaOH水溶液12.8g(0.16モル)を還流下50−60℃の内部温度でかつ90torr にて1時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後混合物をさらに1時間反応することを可能とし、冷却し、濾過しそしてMgSO4上で乾燥し、そして溶媒を蒸発除去すると、以下の特性を有する次の式で表わされる黄色の樹脂15.32gが得られた。
【化79】


【0076】
エポキシ分 :6.39当量/kg(理論値の97%)
粘度(25℃) :150 mPa.s全塩素分 :0.31%加水分解可能な塩素分:780 ppm
【0077】実施例8:硬化剤 HT 907 (Ciba-Geigy AG、無水ヘキサヒドロフタル酸) 121.8gおよび促進剤 DY 062 (Ciba-Geigy AG、ベンジルジメチルアミン)0.7gを60℃にて溶融しそして攪拌しながら一緒に混合した。次いで LMB5132 (Ciba-GeigyAG 、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル) 112.0gおよび実施例5に従い製造された黄色樹脂28.0gを添加しそして混合物を60℃にて均質化した。微粉砕された、石英粉末(Quarzwerke Frechen)393.4gをその中に、少しずつ分けて、振りかけ、そして攪拌しながら80℃にて10分間混合した。その後混合物全体を、真空(1ミリバール)中にそして攪拌しながら、混合物が空気を含まなくなるまで維持した。その後その混合物を100℃に予備加熱されたプレートの中に注ぎ入れそして100℃にて2時間の間そして140℃にて16時間の間硬化した。
【0078】以下の特性を有するプレートが得られた。
曲げ強度 : 149 N/mm2 曲げ伸び :1.79 N/mm2 引張り強度(23℃) : 91 N/mm2 二重捩れ(double torsion)G-IC : 486 J/m2 二重捩れ(double torsion)K-IC : 2.3 M Pa.m1/2 Tg(DSC) : 99℃
【0079】実施例9:MY 721 (Ciba-Geigy AG、4,4’−ジアミノジフェニルメタン−テトラグリシド) 60gおよび実施例5に従い製造された黄色樹脂40gよりなる樹脂混合物100gを140℃に加熱した。その後硬化剤 HT 976 (Ciba-Geigy AG、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)37gを、攪拌しながら、添加した。硬化剤が完全に溶解したとき、混合物を10 mm Hgにて5分間脱気した。その後混合物を180℃の温度のアルミニウム型(4mm)の中に注ぎ入れそして180℃にて4時間の間硬化した。
【0080】以下の特性を有するプレートが得られた。
Tgo (TMA) : 224℃ Tg(TMA) : 215℃ 弾性率 :4060±65 M Pa 強度 : 109±22 M Pa 伸び : 2.7±0.6%
【0081】配合物は繊維(炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等)と一緒に母材樹脂として使用して、高い程度の柔軟性と熱安定性とを有する高品質の繊維質複合材を形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式I、式II、式III または式IV
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


[これら式中、個々の符号は以下に定義されたものを表わす。R1 、R2 およびR3 は各々他と独立して、水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、R4 およびR5 は各々他と独立して、水素原子または炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、R6 は水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、Xは式
【化5】


で表わされる橋員を表わし、Y=O(n=1のとき)または=N(n=2のとき)、mは1、2または3の数を表わし、n=1(Y=Oのとき)または=2(Y=Nのとき)、oは1ないし30の数を表わし、Zは直接結合または式
【化6】


で表わされる橋員を表わす。]で表わされるシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項2】 化合物は相称なものであり、かつ、式IにおけるXおよびYはお互いに対してp−位にあり、そして式IIにおける3個のYは各々、場合場合により、CまたはZに対してp−位にあるところの式Iないし式IVで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項3】 式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/またはアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、R6 は水素原子を表わし、Xは式
【化7】


で表わされる橋員を表わし、YはOを表わし、nは1の数を表わし、Zは直接結合または橋員 -CH2-を表わし、mは2または3の数を表わし、oは1ないし20そしてとりわけ1ないし15の数を表わすところの式Iないし式IVで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項4】 式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてXは式
【化8】


で表わされる橋員を表わすところの式Iで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項5】 式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、R6 は水素原子を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてZは直接結合または橋員 -CH2-を表わすところの式IIで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項6】 式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてmは2または3の数を表わすところの式III で表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項7】 式中、R1 、R2 およびR3 は水素原子および/または炭素原子数1ないし10のアルキル基、とりわけCH3 基を表わし、R4 およびR5 は水素原子および/またはCH3 基を表わし、YはOを表わし、nは1を表わし、そしてoは1ないし20そしてとりわけ1ないし15の数を表わすところの式IVで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテル。
【請求項8】 式Iないし式IVで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルを製造する方法において、a)式Ia 、式IIa 、式IIIaまたは式IVa
【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


で表わされる化合物を、エチレンオキシドまたは次式
【化13】


で表わされるその誘導体と、塩基の存在下有機溶媒中にて50ないし200℃の温度でかつ1ないし10バールの圧力にて反応させ、b)こうして得られた式Ib 、式IIb 、式IIIbまたは式IVb
【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


で表わされる化合物を、水素および触媒を用いて、有利には有機溶媒中にて50ないし200℃の温度でかつ50ないし200バールの圧力にて水素化し、そしてc)こうして得られた式Ic 、式IIc 、式IIIcまたは式IVc
【化18】


【化19】


【化20】


【化21】


で表わされる化合物を、エピクロロヒドリンと、相間移動触媒の存在下40ないし90℃の温度でかつ50ないし200torrの圧力にてアルカリ溶液の添加とともに反応させて、式I、式II、式III または式IVで表わされる請求項1記載の化合物をそれぞれ生成するところの方法[式Ia ないし式IVa 、式Ib ないし式IVb および式Ic ないし式IVc 中、R1 、R2 およびR3 は各々他と独立して、水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、R4 およびR5 は各々他と独立して、水素原子または炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、R6 は水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、Xは式
【化22】


で表わされる橋員を表わし、Y=O(n=1のとき)または=N(n=2のとき)、mは1、2または3の数を表わし、n=1(Y=Oのとき)または=2(Y=Nのとき)、oは1ないし30の数を表わし、Zは直接結合または式
【化23】


で表わされる橋員を表わし、R'1、R'2およびR'3は各々他と独立して、水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、またはアリール基を表わし、R'6は水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、またはアリール基を表わし、X1 は式
【化24】


で表わされる橋員を表わし、Y1 はOまたはNHを表わし、そしてZ1 は直接結合または式
【化25】


で表わされる橋員を表わす。]。
【請求項9】 式Iないし式IV(式中、R4 はCH3 を表わしそしてR5 はHを表わす。)で表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルを製造する方法において、a)式Ia1、式IIa1、式IIIa1 または式IVa1
【化26】


【化27】


【化28】


【化29】


で表わされる化合物を、水素および触媒を用いて、有利には有機溶媒中にて50ないし200℃の温度でかつ50ないし200バールの圧力にて水素化し、そしてb)生じた式Ib1、式IIb1、式IIIb1 または式IVb1
【化30】


【化31】


【化32】


【化33】


で表わされる化合物を、エピクロロヒドリンと、相間移動触媒の存在下40ないし90℃の温度でかつ50ないし200torrの圧力にてアルカリ溶液の添加とともに反応させて、式I、式II、式III または式IVで表わされる請求項1記載の化合物をそれぞれ生成するところの方法[これら式中、R1 、R2 およびR3 は各々他と独立して、水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、R4 はCH3 を表わし、R5 はHを表わし、R6 は水素原子、未置換もしくは置換された炭素原子数1ないし10のアルキル基、または水素化アリール基を表わし、Xは式
【化34】


で表わされる橋員を表わし、Y=O(n=1のとき)または=N(n=2のとき)、mは1、2または3の数を表わし、n=1(Y=Oのとき)または=2(Y=Nのとき)、oは1ないし30の数を表わし、そしてZは直接結合または式
【化35】


で表わされる橋員を表わす。]。
【請求項10】 式Iないし式IVで表わされる請求項1記載のシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルまたは請求項8もしくは9に従い製造されたシクロヘキシル基含有グリシジルエーテルを、エポキシ樹脂配合物において反応性希釈剤、柔軟剤または粘着向上剤として使用する方法。
【請求項11】 式Ic 、式IIc 、式IIIcまたは式IVc
【化36】


【化37】


【化38】


【化39】


(式中、符号は請求項8において定義されたものを表わす。)で表わされる化合物。
【請求項12】 式Ib1、式IIb1、式IIIb1 または式IVb1
【化40】


【化41】


【化42】


【化43】


(式中、符号は請求項9において定義されたものを表わす。)で表わされる化合物。

【公開番号】特開平6−263676
【公開日】平成6年(1994)9月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−303399
【出願日】平成5年(1993)11月9日
【出願人】(390023146)チバ−ガイギー アクチエンゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】CIBA−GEIGY AKTIENGESELLSCHAFT