新規な赤色エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する有機エレクトロルミネセントデバイス
【課題】従来の赤色りん光性材料に対して、一層優れた特性を与える骨格を有する新規な赤色りん光性化合物、及びこれを含有する有機ELデバイスの提供。
【解決手段】下記化学式(I)で表される有機りん光性化合物、該化合物を発光材料とする有機ELデバイス。
(式中、Lは有機リガンド、R1〜R5は、H、アルキル基等の置換基である。R11〜R14は、H、アルキル基等の置換基であり、結合して環を形成していてもよい。)
【解決手段】下記化学式(I)で表される有機りん光性化合物、該化合物を発光材料とする有機ELデバイス。
(式中、Lは有機リガンド、R1〜R5は、H、アルキル基等の置換基である。R11〜R14は、H、アルキル基等の置換基であり、結合して環を形成していてもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い発光効率を示す新規な赤色りん光性化合物及びこれを使用する有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(有機発光ダイオード)における発光効率を決定するための最も重要な要因は、エレクトロルミネセント材料の種類である。現在まで、エレクトロルミネセント材料として蛍光材料が広く使用されてきたけれども、りん光性材料の開発は、エレクトロルミネセント機構に鑑みて、理論的に4倍まで発光効率を改良するための最良の方法の一つである。
【0003】
現在まで、りん光性材料として、赤色、緑色及び青色の物として、それぞれ(acac)Ir(btp)2、Ir(ppy)3及びFirpicを含む、イリジウム(III)錯体が広く知られている。特に、多くのりん光性材料が、日本及び欧州及び米国において、最近研究されている。
【0004】
【化1】
【0005】
従来の赤色りん光性材料の中で、幾つかの材料が、良好なEL(エレクトロルミネセンス)特性を有すると報告されている。しかしながら、これらの中で、商業化のレベルに到達した材料はほとんどない。最良の材料として、1−フェニルイソキノリンのイリジウム錯体を挙げることができ、これは、優れたEL特性を有し、高い発光効率で暗赤色の色純度を示すことが知られている(A.Tsuboyamaら、J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979参照)。
【0006】
【化2】
【0007】
更に、寿命の顕著な問題点を有しない赤色材料は、それらが、良好な色純度又は発光効率を有するならば、容易な商業化の傾向を有する。従って、上記のイリジウム錯体は、その優れた色純度及び発光効率により、非常に高い商業化の可能性を有する材料である。
【0008】
しかしながら、中型乃至大型のOLEDパネルのために、既知の材料のものよりも高いEL特性のレベルが実際には必要であるが、このイリジウム錯体は、まだ、小さいディスプレイに適用可能である材料としてのみ解されている。
【0009】
上記のような従来技術の問題点を克服するための本発明者らの集中的な努力の結果、本発明者らは、新規な赤色りん光性化合物を開発の研究を行い優れた発光効率及び驚くほど改良された寿命を有する有機ELデバイスを実現した。遂に、本発明者らは、キノリン及びベンゼン誘導体からなる主リガンド化合物に、キノリンの6位でフェニル誘導体を導入することによって合成されたイリジウム錯体を、エレクトロルミネセントデバイスのドーパントとして適用し、本発明を完結するときに、発光効率及び寿命特性が改良されることを見出した。
【非特許文献1】A.Tsuboyamaら著、J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、従来の赤色りん光性材料のものに対して比較したとき、一層優れた特性を与える骨格を有する、新規な赤色りん光性化合物を提供することである。本発明の他の目的は、中型乃至大型のOLEDパネルに適用可能である、新規なりん光性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、新規な赤色りん光性化合物及びエレクトロルミネセント層中にこの化合物を使用する有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。特に、本発明に従う赤色りん光性化合物は、これらが、下記化学式(I)によって表されることで特徴付けられる:
【0012】
【化3】
【0013】
式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは、
【0014】
【化4】
【0015】
を表し、又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキルと、フェニルと、ナフチルと、アントリルと、フルオレニルと、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環とは、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面に関して、図1は、ガラス1、透明電極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、エレクトロルミネセント層5、電子輸送層6、電子注入層7及びAlカソード8を含有する、本発明のOLEDの断面図を示す。
【0017】
化学式(I)のナフチルは、1−ナフチル及び2−ナフチルであってよく、アントリルは、1−アントリル、2−アントリル及び9−アントリルであってよく、フルオレニルは、1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニル及び9−フルオレニルであってよい。
【0018】
縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、化学式(I)中のR11〜R14の2個から形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデン又はフェナントレンである。大括弧([])内の化合物はイリジウムの主リガンドとして機能し、およびLは副リガンドとして機能する。また、本発明による有機りん光性化合物には、主リガンド:副リガンド=2:1の比を有する錯体(n=2)及び主リガンド:副リガンド=1:2の比を有する錯体(n=1)並びに副リガンド(L)を含有しないトリスキレート化錯体(n=3)が含まれる。
【0019】
R11〜R14は、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、トリフルオロメチル、フルオロ、シアノ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、フェニルカルボニル、ジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又は、
【0020】
【化5】
【0021】
を表し、フルオレニルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、フェニル、ナフチル、アントリル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルによって、更に置換されていてもよい。
【0022】
本発明による有機りん光性化合物は、下記化学式(II)〜(VI)の一つによって表される化合物によって例示することができる。
【0023】
【化6】
【0024】
式中、L、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R13、R14及びnは、化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R21及びR22は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C6〜C20)アリールを表し又はR21及びR22は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、お互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R23は、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、フェニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、ナフチル、9,9−ジ(C1〜C20)アルキルフルオレニル又は9,9−ジ(C6〜C20)アリールフルオレニルを表し、並びに、
mは、1〜5の整数である。
【0025】
化学式(I)のR1〜R5は、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フルオロ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、およびR6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又はスピロビフルオレニルを表す。
【0026】
本発明による有機りん光性化合物は、下記の化合物によって特に例示することができるが、有機りん光性化合物はこの化合物に限定されるわけではない。
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
式中、Lは、有機リガンドを表し、
R6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、
R51及びR52は、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フェニル若しくはナフチルを表し又はR51及びR52は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、お互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R53は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、フェニル又はナフチルを表し、
mは、1〜3の整数であり、並びに、
nは、1〜3の整数である。
【0031】
本発明による有機りん光性化合物の副リガンド(L)には、下記の構造が含まれる。
【0032】
【化10】
【0033】
式中、R31及びR32は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表し、
R33〜R38は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;トリ(C1〜C20)アルキルシリル;又はハロゲンを表し、
R39〜R42は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニルを表し、および、
R43は、(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表す。
【0034】
本発明による有機りん光性化合物の副リガンド(L)は、下記の構造によって例示することができるが、有機りん光性化合物はこの構造に限定されるわけではない。
【0035】
【化11】
【0036】
本発明による有機りん光性化合物の調製方法は、下記に示される反応図式(1)〜(3)を参照することによって説明される。
【0037】
【化12】
【0038】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R12、R13、R14及びLは、化学式(I)におけるのと同様に定義される。
【0039】
反応図式(1)は、n=1を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl3)及び副リガンド化合物(L−H)が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、ジイリジウム二量体を単離する。この反応段階において、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で主リガンド化合物と共に加熱されて、最終生成物として、1:2の主リガンド:副リガンドの比を有する有機りん光性イリジウム化合物をもたらす。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−メトキシエチルエーテルと共に混合されているAgCF3SO3、Na2CO3又はNaOHと共に実施される。
【0040】
反応図式(2)は、n=2を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl3)及び主リガンド化合物が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、ジイリジウム二量体を単離する。この反応段階において、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で副リガンド化合物(L−H)と共に加熱されて、最終生成物として、2:1の主リガンド:副リガンドの比を有する有機りん光性イリジウム化合物をもたらす。
【0041】
最終生成物中の、化学式(I)の主リガンドと副リガンド(L)とのモル比は、組成に依存する反応剤の適切なモル比によって決定される。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール、2−メトキシエチルエーテル及び1,2−ジクロロメタンと共に混合されているAgCF3SO3、Na2CO3又はNaOHと共に実施することができる。
【0042】
反応図式(3)は、n=3を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、反応図式(2)に従って調製されたイリジウム錯体及び主リガンドとしての化学式(I)の化合物が、1:2〜3のモル比でグリセロール中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、3個の主リガンドで配位された有機りん光性イリジウム錯体を得る。
【0043】
本発明において主リガンドとして使用される化合物は、通常のプロセスに基づいて、反応図式(4)に従って調製することができる。
【0044】
【化13】
【0045】
式中、R1〜R6及びR11〜R14は、化学式(I)におけるのと同様に定義される。
【0046】
本発明は、また、第一電極;第二電極;及び第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1つの有機層;を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記有機層が、下記化学式(I)によって表される1種以上の化合物を含むデバイスを提供する。
【0047】
【化14】
【0048】
式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは、
【0049】
【化15】
【0050】
を表し又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル;並びに、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。
【0051】
本発明による有機エレクトロルミネセントデバイスは、有機層が、エレクトロルミネセントドーパントとしての化学式(I)によって表される1種以上の化合物及び1種以上のホスト(host)を含有するエレクトロルミネセント領域を含有することによって特徴付けられる。本発明による有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるホストは、特に制限されないが、下記化学式(VII)〜(IX)の1種によって表される化合物によって例示することができる。
【0052】
【化16】
【0053】
式中、リガンド、L1及びL2は、独立に、下記の構造の1種を表し:
【0054】
【化17】
【0055】
Mは、2価又は3価金属であり、
yは、Mが2価金属であるとき0であるが、Mが3価金属であるときは1であり、
Qは、(C6〜C20)アリールオキシ又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、(C1〜C5)アルキル又は(C6〜C20)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、(C1〜C5)アルキル又は置換された若しくは置換されていないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
R101〜R104は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル若しくは(C6〜C20)アリールを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、およびピリジン又はキノリンがR101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成してよく、並びに、
環A又はR101〜R104のアリール基は、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル又はアミノ基によって更に置換されていてよい。
【0056】
リガンド、L1及びL2は、独立に、下記の構造から選択される。
【0057】
【化18】
【0058】
式中、Xは、O、S又はSeを表し、
R101〜R104は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C5)アルキル;ハロゲン;(C6〜C20)アリール;(C4〜C20)ヘテロアリール;トリ(C1〜C5)アルキルシリル;トリ(C6〜C20)アリールシリル;ジ(C1〜C5)アルキルアミノ;ジ(C6〜C20)アリールアミノ;チオフェニル若しくはフラニルを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、
R111〜R116、R121及びR122は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、
R123は、(C1〜C20)アルキル、フェニル又はナフチルを表し、
R124〜R139は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、並びに、
R111〜R116及びR121〜R139のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、チオフェニル又はフラニルは、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ナフチル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ及びジ(C6〜C20)アリールアミノから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0059】
化学式(IX)において、Mは、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属であり、Qは、下記の構造から選択される。
【0060】
【化19】
【0061】
化学式(IX)の化合物は、下記の構造によって表される化合物から選択される。
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】
従来の赤色りん光性材料よりも良好な特性及び熱安定性の点において、一層有利な骨格の化合物である、本発明による赤色エレクトロルミネセント化合物は、優れた発光効率及び色純度を示し、従って、それにより、より低い動作電圧を有するOLEDを製造することができる。
【0067】
本発明は、更に、本発明に従った新規な有機りん光性化合物の製造方法に関して、実証のみのために示され、決して本発明の範囲を限定するように意図されない実施例を参照することによって説明される。
【実施例】
【0068】
調製実施例
調製実施例1:化合物(11)の調製
【0069】
【化24】
【0070】
化合物(A)の調製
臭化水素水溶液(48%水溶液、HBr)(60mL)中に、6−アミノキノリン(20.0g、138.7ミリモル)を溶解し、この溶液を−10℃にまで冷却した。これに、硝酸ナトリウム水溶液(100mLのH2O中10.9g)(158.1ミリモル)を添加した後、この反応混合物を0℃で10分間撹拌した。この混合物に、240mLの水及び65mLのHBr水溶液中の臭化銅(23.1g、160.9ミリモル)の溶液を添加した。得られた混合物を、撹拌しながら60℃で30分間加熱した。反応が完結したとき、この混合物を室温に冷却し、これに氷水を添加した。NaOH水溶液(4M)を使用することによって、pHを約10に調節した後、この混合物を酢酸エチルによって抽出し、抽出物を減圧下で濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(A)(18.2g、87.4ミリモル)を得た。
【0071】
化合物(B)の調製
トルエン(150mL)及びエタノール(45mL)中に、化合物(A)(18.0g、86.5ミリモル)、フェニルボロン酸(12.7g、103.8ミリモル)、テトラキスパラジウム(0)トリフェニルホスフィン(Pd(PPh3)4)(3.6g、5.2ミリモル)を溶解させた。この溶液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(70mL)を添加し、この混合物を、120℃で還流下で4時間攪拌した。この混合物を25℃にまで冷却した後、蒸留水(200mL)を添加して、反応をクエンチした。この混合物を酢酸エチル(300mL)によって抽出し、抽出物を減圧下で乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(B)(14.6g、70.9ミリモル)を得た。
【0072】
化合物(C)の調製
化合物(B)(14.0g、68.2ミリモル)を、クロロホルム(200mL)中に溶解させ、これにペルオキシ酢酸(150mL)を添加した。この反応混合物を、還流下で4時間攪拌した。この反応が完結したとき、反応混合物を室温にまで冷却し、これに氷水を添加した。水酸化ナトリウム水溶液(10M)を使用することによって、pHを約10に調節した後、減圧下で形成された固体を得た。この固体を5℃にまで冷却し、これにPOCl3150mLを添加し、得られた混合物を、100℃で還流下で1時間攪拌した。この溶液を室温にまで冷却した後、これに氷水を添加した。水酸化ナトリウム水溶液(10M)を使用することによって、この溶液のpHを約8に調節し、次いでこの溶液をジクロロメタンによって抽出した。抽出物を減圧下で濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(C)(6.2g、25.9ミリモル)を得た。
【0073】
化合物(D)の調製
トルエン(100mL)及びエタノール(30mL)中に、化合物(C)(6.0g、25.0ミリモル)、1−ナフタレンボロン酸(6.0g、30.0ミリモル)、テトラキスパラジウム(0)トリフェニルホスフィン(Pd(PPh3)4)(1.1g、1.5ミリモル)を溶解させた。この溶液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(30mL)を添加し、この混合物を、120℃で還流下で4時間攪拌した。この混合物を25℃にまで冷却した後、これに蒸留水(200mL)を添加して、反応をクエンチした。この混合物を酢酸エチル(300mL)によって抽出し、抽出物を減圧下で乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(D)(7.2g、20.0ミリモル)を得た。
【0074】
化合物(E)の調製
2−エトキシエタノール(80mL)及び蒸留水(35mL)中に、化合物(D)(7.0g、19.6ミリモル)及び塩化イリジウム(IrCl3)(2.63g、8.82ミリモル)を溶解させ、この溶液を、還流下で24時間攪拌した。この反応が完結したとき、反応混合物を室温にまで冷却した。このようにして形成された固体を、濾過し、乾燥して、化合物(E)(9.1g、7.79ミリモル)を得た。
【0075】
化合物(11)の調製
2−エトキシエタノール(240mL)中に、化合物(E)(9.1g、7.8ミリモル)、2,4−ペンタンジオン(0.9g、9.3ミリモル)及びNa2CO3(3.0g、28.0ミリモル)を溶解させ、この溶液を4時間加熱した。反応が完結したとき、この反応混合物を室温にまで冷却し、形成された固体沈殿を濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶による精製によって、化合物(11)(0.8g、1.3ミリモル、全体収率:16%)を、赤色結晶として得た。
【0076】
調製実施例1と同じ手順に従って、表1中の有機りん光性化合物(化合物1〜化合物1023)を調製した。それらの1H NMR及びMS/FABデータを、表2中に記載する。
【0077】
【化25】
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
【表9】
【0087】
【表10】
【0088】
【表11】
【0089】
【表12】
【0090】
【表13】
【0091】
【表14】
【0092】
【表15】
【0093】
【表16】
【0094】
【表17】
【0095】
【表18】
【0096】
【表19】
【0097】
【表20】
【0098】
【表21】
【0099】
【表22】
【0100】
【表23】
【0101】
【表24】
【0102】
【表25】
【0103】
【表26】
【0104】
【表27】
【0105】
【表28】
【0106】
【表29】
【0107】
【表30】
【0108】
【表31】
【0109】
【表32】
【0110】
【表33】
【0111】
【表34】
【0112】
【表35】
【0113】
【表36】
【0114】
【表37】
【0115】
【表38】
【0116】
【表39】
【0117】
【表40】
【0118】
【表41】
【0119】
【表42】
【0120】
【表43】
【0121】
【表44】
【0122】
【表45】
【0123】
【表46】
【0124】
【表47】
【0125】
【表48】
【0126】
【表49】
【0127】
【表50】
【0128】
【表51】
【0129】
【表52】
【0130】
【表53】
【0131】
【表54】
【0132】
【表55】
【0133】
【表56】
【0134】
【表57】
【0135】
【表58】
【0136】
【表59】
【0137】
【表60】
【0138】
【表61】
【0139】
【表62】
【0140】
【表63】
【0141】
【表64】
【0142】
【表65】
【0143】
【表66】
【0144】
【表67】
【0145】
【表68】
【0146】
【表69】
【0147】
【表70】
【0148】
【表71】
【0149】
【表72】
【0150】
【表73】
【0151】
【表74】
【0152】
【表75】
【0153】
【表76】
【0154】
【表77】
【0155】
【表78】
【0156】
【表79】
【0157】
【表80】
【0158】
【表81】
【0159】
【表82】
【0160】
【表83】
【0161】
【表84】
【0162】
【表85】
【0163】
【表86】
【0164】
【表87】
【0165】
【表88】
【0166】
【表89】
【0167】
【表90】
【0168】
【表91】
【0169】
【表92】
【0170】
【表93】
【0171】
【表94】
【0172】
【表95】
【0173】
【表96】
【0174】
【表97】
【0175】
【表98】
【0176】
【表99】
【0177】
【表100】
【0178】
【表101】
【0179】
【表102】
【0180】
【表103】
【0181】
【表104】
【0182】
【表105】
【0183】
【表106】
【0184】
【表107】
【0185】
【表108】
【0186】
実施例1
OLED(1)の製造
本発明に従った赤色りん光性化合物を使用することによって、OLEDデバイスを製造した。
【0187】
最初に、OLED用のガラス(Samsung Corningによって製造された)(1)から調製された透明電極ITO薄膜(15Ω/□)(2)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水による超音波洗浄に逐次的に付し、そして使用前にイソプロパノール中に貯蔵した。
【0188】
次いで、ITO基体を、真空蒸着装置の基体ホルダー内に装着し、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を、真空蒸着装置のセル内に置き、次いで、この装置を、10−6トールのチャンバー内の真空まで排気した。電流をセルに適用して、2−TNATAを蒸発させ、それによって、ITO基体の上に、60nmの厚さを有する正孔注入層(3)の蒸着物を設けた。
【0189】
【化26】
【0190】
次いで、真空蒸着装置の他のセルに、N,N’−ビス(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)を装填し、電流をこのセルに適用して、NPBを蒸発させ、それによって、正孔注入層の上に、20nmの厚さの正孔輸送層(4)の蒸着物を設けた。
【0191】
【化27】
【0192】
前記真空蒸着装置の他のセル内に、エレクトロルミネセントホスト材料として4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)を装填し、本発明による赤色りん光性化合物(化合物1)を、更に他のセル内に装填した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させてドーピングを実施して、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有するエレクトロルミネセント層(5)を蒸着した。好適なドーピング濃度は、CBP基準で4〜10モル%である。
【0193】
【化28】
【0194】
次いで、エレクトロルミネセント層の上に、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)を、NPBについてと同じ方法で、10nmの厚さで正孔ブロッキング層として蒸着し、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(III)(Alq)を、20nmの厚さで電子輸送層(6)として蒸着し、次いで、リチウムキノラート(Liq)を、1〜2nmの厚さで電子注入層(7)として蒸着した。その後、Alカソード(8)を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0195】
【化29】
【0196】
実施例2
OLED(2)の製造
正孔注入層及び正孔輸送層を、実施例1の手順に従って形成し、エレクトロルミネセント層を下記のようにして蒸着した。前記真空蒸着装置の他のセル内に、エレクトロルミネセントホスト材料としてH−4を装填し、本発明による赤色りん光性化合物(化合物12)を、更に他のセル内に装填した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させてドーピングを実施して、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有するエレクトロルミネセント層(5)を蒸着した。好適なドーピング濃度は、ホスト基準で4〜10モル%である。次いで、正孔ブロッキング層、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1におけると同じ手順に従って蒸着し、次いで、Alカソード(8)を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0197】
実施例3
OLED(3)の製造
正孔注入層、正孔輸送層及びエレクトロルミネセント層を、実施例2におけると同じ手順に従って形成し、次いで、電子輸送層及び電子注入層を蒸着した。その後、Alカソードを、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0198】
実施例1〜実施例3に従って調製したOLEDの性能を確認するために、これらのOLEDの発光効率を、10mA/cm2で測定した。種々の特性を表3に示す。
【0199】
【表109】
【0200】
それぞれppy及びスチリルキノリンを副リガンドとして導入した化合物(176)及び化合物(188)は、10cd/A以上の高い発光効率を示した。Fを電子求引剤としてリガンドに適用した化合物(335)は、増加した効率の効果を示した。副リガンドとしてフェニル(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノンを使用する化合物(787)は、本発明によって開発された化合物の中で最高の効率を示した。
【0201】
同一のデバイス構造で、CBPの代わりに本発明によるホストを使用することは、効率において顕著な変化をもたらさなかったが、動作電圧は約0.5ボルトほど向上され、従って電力消費の向上が期待できた。正孔ブロッキング層を使用することなく、本発明によるホストを使用するとき、このデバイスは、従来のホストを使用するものと比較したとき、匹敵する又はより高い発光効率を示し、約1.3V〜1.7Vほど低下した動作電圧に起因する、OLEDの減少した電力消費をもたらす。本発明をOLEDの大量生産に応用する場合、大量生産のための時間も短縮させ、その商業化において大きい利益をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】図1はOLEDの断面図である。
【符号の説明】
【0203】
1 ガラス
2 透明電極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 エレクトロルミネセント層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 Alカソード
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い発光効率を示す新規な赤色りん光性化合物及びこれを使用する有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(有機発光ダイオード)における発光効率を決定するための最も重要な要因は、エレクトロルミネセント材料の種類である。現在まで、エレクトロルミネセント材料として蛍光材料が広く使用されてきたけれども、りん光性材料の開発は、エレクトロルミネセント機構に鑑みて、理論的に4倍まで発光効率を改良するための最良の方法の一つである。
【0003】
現在まで、りん光性材料として、赤色、緑色及び青色の物として、それぞれ(acac)Ir(btp)2、Ir(ppy)3及びFirpicを含む、イリジウム(III)錯体が広く知られている。特に、多くのりん光性材料が、日本及び欧州及び米国において、最近研究されている。
【0004】
【化1】
【0005】
従来の赤色りん光性材料の中で、幾つかの材料が、良好なEL(エレクトロルミネセンス)特性を有すると報告されている。しかしながら、これらの中で、商業化のレベルに到達した材料はほとんどない。最良の材料として、1−フェニルイソキノリンのイリジウム錯体を挙げることができ、これは、優れたEL特性を有し、高い発光効率で暗赤色の色純度を示すことが知られている(A.Tsuboyamaら、J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979参照)。
【0006】
【化2】
【0007】
更に、寿命の顕著な問題点を有しない赤色材料は、それらが、良好な色純度又は発光効率を有するならば、容易な商業化の傾向を有する。従って、上記のイリジウム錯体は、その優れた色純度及び発光効率により、非常に高い商業化の可能性を有する材料である。
【0008】
しかしながら、中型乃至大型のOLEDパネルのために、既知の材料のものよりも高いEL特性のレベルが実際には必要であるが、このイリジウム錯体は、まだ、小さいディスプレイに適用可能である材料としてのみ解されている。
【0009】
上記のような従来技術の問題点を克服するための本発明者らの集中的な努力の結果、本発明者らは、新規な赤色りん光性化合物を開発の研究を行い優れた発光効率及び驚くほど改良された寿命を有する有機ELデバイスを実現した。遂に、本発明者らは、キノリン及びベンゼン誘導体からなる主リガンド化合物に、キノリンの6位でフェニル誘導体を導入することによって合成されたイリジウム錯体を、エレクトロルミネセントデバイスのドーパントとして適用し、本発明を完結するときに、発光効率及び寿命特性が改良されることを見出した。
【非特許文献1】A.Tsuboyamaら著、J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、従来の赤色りん光性材料のものに対して比較したとき、一層優れた特性を与える骨格を有する、新規な赤色りん光性化合物を提供することである。本発明の他の目的は、中型乃至大型のOLEDパネルに適用可能である、新規なりん光性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、新規な赤色りん光性化合物及びエレクトロルミネセント層中にこの化合物を使用する有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。特に、本発明に従う赤色りん光性化合物は、これらが、下記化学式(I)によって表されることで特徴付けられる:
【0012】
【化3】
【0013】
式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは、
【0014】
【化4】
【0015】
を表し、又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキルと、フェニルと、ナフチルと、アントリルと、フルオレニルと、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環とは、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面に関して、図1は、ガラス1、透明電極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、エレクトロルミネセント層5、電子輸送層6、電子注入層7及びAlカソード8を含有する、本発明のOLEDの断面図を示す。
【0017】
化学式(I)のナフチルは、1−ナフチル及び2−ナフチルであってよく、アントリルは、1−アントリル、2−アントリル及び9−アントリルであってよく、フルオレニルは、1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニル及び9−フルオレニルであってよい。
【0018】
縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、化学式(I)中のR11〜R14の2個から形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデン又はフェナントレンである。大括弧([])内の化合物はイリジウムの主リガンドとして機能し、およびLは副リガンドとして機能する。また、本発明による有機りん光性化合物には、主リガンド:副リガンド=2:1の比を有する錯体(n=2)及び主リガンド:副リガンド=1:2の比を有する錯体(n=1)並びに副リガンド(L)を含有しないトリスキレート化錯体(n=3)が含まれる。
【0019】
R11〜R14は、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、トリフルオロメチル、フルオロ、シアノ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、フェニルカルボニル、ジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又は、
【0020】
【化5】
【0021】
を表し、フルオレニルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、フェニル、ナフチル、アントリル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルによって、更に置換されていてもよい。
【0022】
本発明による有機りん光性化合物は、下記化学式(II)〜(VI)の一つによって表される化合物によって例示することができる。
【0023】
【化6】
【0024】
式中、L、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R13、R14及びnは、化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R21及びR22は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C6〜C20)アリールを表し又はR21及びR22は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、お互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R23は、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、フェニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、ナフチル、9,9−ジ(C1〜C20)アルキルフルオレニル又は9,9−ジ(C6〜C20)アリールフルオレニルを表し、並びに、
mは、1〜5の整数である。
【0025】
化学式(I)のR1〜R5は、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フルオロ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、およびR6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又はスピロビフルオレニルを表す。
【0026】
本発明による有機りん光性化合物は、下記の化合物によって特に例示することができるが、有機りん光性化合物はこの化合物に限定されるわけではない。
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
式中、Lは、有機リガンドを表し、
R6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、
R51及びR52は、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フェニル若しくはナフチルを表し又はR51及びR52は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、お互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R53は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、フェニル又はナフチルを表し、
mは、1〜3の整数であり、並びに、
nは、1〜3の整数である。
【0031】
本発明による有機りん光性化合物の副リガンド(L)には、下記の構造が含まれる。
【0032】
【化10】
【0033】
式中、R31及びR32は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表し、
R33〜R38は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;トリ(C1〜C20)アルキルシリル;又はハロゲンを表し、
R39〜R42は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニルを表し、および、
R43は、(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表す。
【0034】
本発明による有機りん光性化合物の副リガンド(L)は、下記の構造によって例示することができるが、有機りん光性化合物はこの構造に限定されるわけではない。
【0035】
【化11】
【0036】
本発明による有機りん光性化合物の調製方法は、下記に示される反応図式(1)〜(3)を参照することによって説明される。
【0037】
【化12】
【0038】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R12、R13、R14及びLは、化学式(I)におけるのと同様に定義される。
【0039】
反応図式(1)は、n=1を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl3)及び副リガンド化合物(L−H)が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、ジイリジウム二量体を単離する。この反応段階において、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で主リガンド化合物と共に加熱されて、最終生成物として、1:2の主リガンド:副リガンドの比を有する有機りん光性イリジウム化合物をもたらす。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−メトキシエチルエーテルと共に混合されているAgCF3SO3、Na2CO3又はNaOHと共に実施される。
【0040】
反応図式(2)は、n=2を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl3)及び主リガンド化合物が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、ジイリジウム二量体を単離する。この反応段階において、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で副リガンド化合物(L−H)と共に加熱されて、最終生成物として、2:1の主リガンド:副リガンドの比を有する有機りん光性イリジウム化合物をもたらす。
【0041】
最終生成物中の、化学式(I)の主リガンドと副リガンド(L)とのモル比は、組成に依存する反応剤の適切なモル比によって決定される。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール、2−メトキシエチルエーテル及び1,2−ジクロロメタンと共に混合されているAgCF3SO3、Na2CO3又はNaOHと共に実施することができる。
【0042】
反応図式(3)は、n=3を有する化学式(I)の化合物をもたらし、ここでは、反応図式(2)に従って調製されたイリジウム錯体及び主リガンドとしての化学式(I)の化合物が、1:2〜3のモル比でグリセロール中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、3個の主リガンドで配位された有機りん光性イリジウム錯体を得る。
【0043】
本発明において主リガンドとして使用される化合物は、通常のプロセスに基づいて、反応図式(4)に従って調製することができる。
【0044】
【化13】
【0045】
式中、R1〜R6及びR11〜R14は、化学式(I)におけるのと同様に定義される。
【0046】
本発明は、また、第一電極;第二電極;及び第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1つの有機層;を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記有機層が、下記化学式(I)によって表される1種以上の化合物を含むデバイスを提供する。
【0047】
【化14】
【0048】
式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは、
【0049】
【化15】
【0050】
を表し又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル;並びに、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。
【0051】
本発明による有機エレクトロルミネセントデバイスは、有機層が、エレクトロルミネセントドーパントとしての化学式(I)によって表される1種以上の化合物及び1種以上のホスト(host)を含有するエレクトロルミネセント領域を含有することによって特徴付けられる。本発明による有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるホストは、特に制限されないが、下記化学式(VII)〜(IX)の1種によって表される化合物によって例示することができる。
【0052】
【化16】
【0053】
式中、リガンド、L1及びL2は、独立に、下記の構造の1種を表し:
【0054】
【化17】
【0055】
Mは、2価又は3価金属であり、
yは、Mが2価金属であるとき0であるが、Mが3価金属であるときは1であり、
Qは、(C6〜C20)アリールオキシ又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、(C1〜C5)アルキル又は(C6〜C20)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、(C1〜C5)アルキル又は置換された若しくは置換されていないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
R101〜R104は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル若しくは(C6〜C20)アリールを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、およびピリジン又はキノリンがR101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成してよく、並びに、
環A又はR101〜R104のアリール基は、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル又はアミノ基によって更に置換されていてよい。
【0056】
リガンド、L1及びL2は、独立に、下記の構造から選択される。
【0057】
【化18】
【0058】
式中、Xは、O、S又はSeを表し、
R101〜R104は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C5)アルキル;ハロゲン;(C6〜C20)アリール;(C4〜C20)ヘテロアリール;トリ(C1〜C5)アルキルシリル;トリ(C6〜C20)アリールシリル;ジ(C1〜C5)アルキルアミノ;ジ(C6〜C20)アリールアミノ;チオフェニル若しくはフラニルを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、
R111〜R116、R121及びR122は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、
R123は、(C1〜C20)アルキル、フェニル又はナフチルを表し、
R124〜R139は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、並びに、
R111〜R116及びR121〜R139のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、チオフェニル又はフラニルは、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ナフチル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ及びジ(C6〜C20)アリールアミノから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0059】
化学式(IX)において、Mは、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属であり、Qは、下記の構造から選択される。
【0060】
【化19】
【0061】
化学式(IX)の化合物は、下記の構造によって表される化合物から選択される。
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】
従来の赤色りん光性材料よりも良好な特性及び熱安定性の点において、一層有利な骨格の化合物である、本発明による赤色エレクトロルミネセント化合物は、優れた発光効率及び色純度を示し、従って、それにより、より低い動作電圧を有するOLEDを製造することができる。
【0067】
本発明は、更に、本発明に従った新規な有機りん光性化合物の製造方法に関して、実証のみのために示され、決して本発明の範囲を限定するように意図されない実施例を参照することによって説明される。
【実施例】
【0068】
調製実施例
調製実施例1:化合物(11)の調製
【0069】
【化24】
【0070】
化合物(A)の調製
臭化水素水溶液(48%水溶液、HBr)(60mL)中に、6−アミノキノリン(20.0g、138.7ミリモル)を溶解し、この溶液を−10℃にまで冷却した。これに、硝酸ナトリウム水溶液(100mLのH2O中10.9g)(158.1ミリモル)を添加した後、この反応混合物を0℃で10分間撹拌した。この混合物に、240mLの水及び65mLのHBr水溶液中の臭化銅(23.1g、160.9ミリモル)の溶液を添加した。得られた混合物を、撹拌しながら60℃で30分間加熱した。反応が完結したとき、この混合物を室温に冷却し、これに氷水を添加した。NaOH水溶液(4M)を使用することによって、pHを約10に調節した後、この混合物を酢酸エチルによって抽出し、抽出物を減圧下で濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(A)(18.2g、87.4ミリモル)を得た。
【0071】
化合物(B)の調製
トルエン(150mL)及びエタノール(45mL)中に、化合物(A)(18.0g、86.5ミリモル)、フェニルボロン酸(12.7g、103.8ミリモル)、テトラキスパラジウム(0)トリフェニルホスフィン(Pd(PPh3)4)(3.6g、5.2ミリモル)を溶解させた。この溶液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(70mL)を添加し、この混合物を、120℃で還流下で4時間攪拌した。この混合物を25℃にまで冷却した後、蒸留水(200mL)を添加して、反応をクエンチした。この混合物を酢酸エチル(300mL)によって抽出し、抽出物を減圧下で乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(B)(14.6g、70.9ミリモル)を得た。
【0072】
化合物(C)の調製
化合物(B)(14.0g、68.2ミリモル)を、クロロホルム(200mL)中に溶解させ、これにペルオキシ酢酸(150mL)を添加した。この反応混合物を、還流下で4時間攪拌した。この反応が完結したとき、反応混合物を室温にまで冷却し、これに氷水を添加した。水酸化ナトリウム水溶液(10M)を使用することによって、pHを約10に調節した後、減圧下で形成された固体を得た。この固体を5℃にまで冷却し、これにPOCl3150mLを添加し、得られた混合物を、100℃で還流下で1時間攪拌した。この溶液を室温にまで冷却した後、これに氷水を添加した。水酸化ナトリウム水溶液(10M)を使用することによって、この溶液のpHを約8に調節し、次いでこの溶液をジクロロメタンによって抽出した。抽出物を減圧下で濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(C)(6.2g、25.9ミリモル)を得た。
【0073】
化合物(D)の調製
トルエン(100mL)及びエタノール(30mL)中に、化合物(C)(6.0g、25.0ミリモル)、1−ナフタレンボロン酸(6.0g、30.0ミリモル)、テトラキスパラジウム(0)トリフェニルホスフィン(Pd(PPh3)4)(1.1g、1.5ミリモル)を溶解させた。この溶液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(30mL)を添加し、この混合物を、120℃で還流下で4時間攪拌した。この混合物を25℃にまで冷却した後、これに蒸留水(200mL)を添加して、反応をクエンチした。この混合物を酢酸エチル(300mL)によって抽出し、抽出物を減圧下で乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(D)(7.2g、20.0ミリモル)を得た。
【0074】
化合物(E)の調製
2−エトキシエタノール(80mL)及び蒸留水(35mL)中に、化合物(D)(7.0g、19.6ミリモル)及び塩化イリジウム(IrCl3)(2.63g、8.82ミリモル)を溶解させ、この溶液を、還流下で24時間攪拌した。この反応が完結したとき、反応混合物を室温にまで冷却した。このようにして形成された固体を、濾過し、乾燥して、化合物(E)(9.1g、7.79ミリモル)を得た。
【0075】
化合物(11)の調製
2−エトキシエタノール(240mL)中に、化合物(E)(9.1g、7.8ミリモル)、2,4−ペンタンジオン(0.9g、9.3ミリモル)及びNa2CO3(3.0g、28.0ミリモル)を溶解させ、この溶液を4時間加熱した。反応が完結したとき、この反応混合物を室温にまで冷却し、形成された固体沈殿を濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶による精製によって、化合物(11)(0.8g、1.3ミリモル、全体収率:16%)を、赤色結晶として得た。
【0076】
調製実施例1と同じ手順に従って、表1中の有機りん光性化合物(化合物1〜化合物1023)を調製した。それらの1H NMR及びMS/FABデータを、表2中に記載する。
【0077】
【化25】
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
【表9】
【0087】
【表10】
【0088】
【表11】
【0089】
【表12】
【0090】
【表13】
【0091】
【表14】
【0092】
【表15】
【0093】
【表16】
【0094】
【表17】
【0095】
【表18】
【0096】
【表19】
【0097】
【表20】
【0098】
【表21】
【0099】
【表22】
【0100】
【表23】
【0101】
【表24】
【0102】
【表25】
【0103】
【表26】
【0104】
【表27】
【0105】
【表28】
【0106】
【表29】
【0107】
【表30】
【0108】
【表31】
【0109】
【表32】
【0110】
【表33】
【0111】
【表34】
【0112】
【表35】
【0113】
【表36】
【0114】
【表37】
【0115】
【表38】
【0116】
【表39】
【0117】
【表40】
【0118】
【表41】
【0119】
【表42】
【0120】
【表43】
【0121】
【表44】
【0122】
【表45】
【0123】
【表46】
【0124】
【表47】
【0125】
【表48】
【0126】
【表49】
【0127】
【表50】
【0128】
【表51】
【0129】
【表52】
【0130】
【表53】
【0131】
【表54】
【0132】
【表55】
【0133】
【表56】
【0134】
【表57】
【0135】
【表58】
【0136】
【表59】
【0137】
【表60】
【0138】
【表61】
【0139】
【表62】
【0140】
【表63】
【0141】
【表64】
【0142】
【表65】
【0143】
【表66】
【0144】
【表67】
【0145】
【表68】
【0146】
【表69】
【0147】
【表70】
【0148】
【表71】
【0149】
【表72】
【0150】
【表73】
【0151】
【表74】
【0152】
【表75】
【0153】
【表76】
【0154】
【表77】
【0155】
【表78】
【0156】
【表79】
【0157】
【表80】
【0158】
【表81】
【0159】
【表82】
【0160】
【表83】
【0161】
【表84】
【0162】
【表85】
【0163】
【表86】
【0164】
【表87】
【0165】
【表88】
【0166】
【表89】
【0167】
【表90】
【0168】
【表91】
【0169】
【表92】
【0170】
【表93】
【0171】
【表94】
【0172】
【表95】
【0173】
【表96】
【0174】
【表97】
【0175】
【表98】
【0176】
【表99】
【0177】
【表100】
【0178】
【表101】
【0179】
【表102】
【0180】
【表103】
【0181】
【表104】
【0182】
【表105】
【0183】
【表106】
【0184】
【表107】
【0185】
【表108】
【0186】
実施例1
OLED(1)の製造
本発明に従った赤色りん光性化合物を使用することによって、OLEDデバイスを製造した。
【0187】
最初に、OLED用のガラス(Samsung Corningによって製造された)(1)から調製された透明電極ITO薄膜(15Ω/□)(2)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水による超音波洗浄に逐次的に付し、そして使用前にイソプロパノール中に貯蔵した。
【0188】
次いで、ITO基体を、真空蒸着装置の基体ホルダー内に装着し、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を、真空蒸着装置のセル内に置き、次いで、この装置を、10−6トールのチャンバー内の真空まで排気した。電流をセルに適用して、2−TNATAを蒸発させ、それによって、ITO基体の上に、60nmの厚さを有する正孔注入層(3)の蒸着物を設けた。
【0189】
【化26】
【0190】
次いで、真空蒸着装置の他のセルに、N,N’−ビス(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)を装填し、電流をこのセルに適用して、NPBを蒸発させ、それによって、正孔注入層の上に、20nmの厚さの正孔輸送層(4)の蒸着物を設けた。
【0191】
【化27】
【0192】
前記真空蒸着装置の他のセル内に、エレクトロルミネセントホスト材料として4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)を装填し、本発明による赤色りん光性化合物(化合物1)を、更に他のセル内に装填した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させてドーピングを実施して、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有するエレクトロルミネセント層(5)を蒸着した。好適なドーピング濃度は、CBP基準で4〜10モル%である。
【0193】
【化28】
【0194】
次いで、エレクトロルミネセント層の上に、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)を、NPBについてと同じ方法で、10nmの厚さで正孔ブロッキング層として蒸着し、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(III)(Alq)を、20nmの厚さで電子輸送層(6)として蒸着し、次いで、リチウムキノラート(Liq)を、1〜2nmの厚さで電子注入層(7)として蒸着した。その後、Alカソード(8)を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0195】
【化29】
【0196】
実施例2
OLED(2)の製造
正孔注入層及び正孔輸送層を、実施例1の手順に従って形成し、エレクトロルミネセント層を下記のようにして蒸着した。前記真空蒸着装置の他のセル内に、エレクトロルミネセントホスト材料としてH−4を装填し、本発明による赤色りん光性化合物(化合物12)を、更に他のセル内に装填した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させてドーピングを実施して、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有するエレクトロルミネセント層(5)を蒸着した。好適なドーピング濃度は、ホスト基準で4〜10モル%である。次いで、正孔ブロッキング層、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1におけると同じ手順に従って蒸着し、次いで、Alカソード(8)を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0197】
実施例3
OLED(3)の製造
正孔注入層、正孔輸送層及びエレクトロルミネセント層を、実施例2におけると同じ手順に従って形成し、次いで、電子輸送層及び電子注入層を蒸着した。その後、Alカソードを、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0198】
実施例1〜実施例3に従って調製したOLEDの性能を確認するために、これらのOLEDの発光効率を、10mA/cm2で測定した。種々の特性を表3に示す。
【0199】
【表109】
【0200】
それぞれppy及びスチリルキノリンを副リガンドとして導入した化合物(176)及び化合物(188)は、10cd/A以上の高い発光効率を示した。Fを電子求引剤としてリガンドに適用した化合物(335)は、増加した効率の効果を示した。副リガンドとしてフェニル(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノンを使用する化合物(787)は、本発明によって開発された化合物の中で最高の効率を示した。
【0201】
同一のデバイス構造で、CBPの代わりに本発明によるホストを使用することは、効率において顕著な変化をもたらさなかったが、動作電圧は約0.5ボルトほど向上され、従って電力消費の向上が期待できた。正孔ブロッキング層を使用することなく、本発明によるホストを使用するとき、このデバイスは、従来のホストを使用するものと比較したとき、匹敵する又はより高い発光効率を示し、約1.3V〜1.7Vほど低下した動作電圧に起因する、OLEDの減少した電力消費をもたらす。本発明をOLEDの大量生産に応用する場合、大量生産のための時間も短縮させ、その商業化において大きい利益をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】図1はOLEDの断面図である。
【符号の説明】
【0203】
1 ガラス
2 透明電極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 エレクトロルミネセント層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 Alカソード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)によって表される有機りん光性化合物:
【化1】
[式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは
【化2】
を表し又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル;並びに、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。]。
【請求項2】
R11〜R14が、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、トリフルオロメチル、フルオロ、シアノ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、フェニルカルボニル、ジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又は
【化3】
を表し、及び、フルオレニルが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、フェニル、ナフチル、アントリル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルによって、更に置換されていてよい、請求項1記載の有機りん光性化合物。
【請求項3】
下記化学式(II)〜(VI)の一つによって表される化合物から選択される、請求項1記載の有機りん光性化合物:
【化4】
[式中、L、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R13、R14及びnは、請求項1の化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R21及びR22は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C6〜C20)アリールを表し又はR21及びR22は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R23は、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、フェニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、ナフチル、9,9−ジ(C1〜C20)アルキルフルオレニル又は9,9−ジ(C6〜C20)アリールフルオレニルを表し、並びに、
mは、1〜5の整数である。]。
【請求項4】
R1〜R5が、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フルオロ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、およびR6が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又はスピロビフルオレニルを表す、請求項1記載の有機りん光性化合物。
【請求項5】
下記の化学式の一つによって表される化合物から選択される、請求項2記載の有機りん光性化合物:
【化5】
[式中、L及びnは、請求項1の化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、
R51及びR52は、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フェニル若しくはナフチルを表し又はR51及びR52は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、お互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R53は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、並びに、
mは、1〜3の整数である。]。
【請求項6】
下記の化合物から選択される、請求項3記載の有機りん光性化合物:
【化6】
[式中、L及びnは、請求項1の化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、並びに、
mは、1〜3の整数である。]。
【請求項7】
リガンド(L)が、下記の化学式の一つによって表される構造を有する、請求項1記載の有機りん光性化合物:
【化7】
[式中、R31及びR32は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表し、
R33〜R38は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;トリ(C1〜C20)アルキルシリル;又はハロゲンを表し、
R39〜R42は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;又は(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;を表し、並びに、
R43は、(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキルを有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表す。]。
【請求項8】
リガンド(L)が、下記の化学式の一つによって表される構造を有する、請求項7記載の有機りん光性化合物。
【化8】
【請求項9】
第一電極;
第二電極;及び、
第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1つの有機層;
を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記有機層が、下記化学式(I)によって表される1種以上の化合物を含むデバイス:
【化9】
[式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは
【化10】
を表し又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル;並びに、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。]。
【請求項10】
有機層が、化学式(I)によって表される1種以上の化合物及び1種以上のホストを含むエレクトロルミネセント領域を含む、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項11】
ホストが、下記化学式(VII)〜(IX)の1種によって表される化合物から選択される、請求項10記載の有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化11】
[式中、リガンド、L1及びL2は、独立に、下記の構造の1つを表し、
【化12】
Mは、2価又は3価金属であり、
yは、Mが2価金属であるとき0であるが、Mが3価金属であるときは1であり、
Qは、(C6〜C20)アリールオキシ又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、(C1〜C5)アルキル又は(C6〜C20)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、(C1〜C5)アルキル又は置換された若しくは置換されていないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
R101〜R104は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル若しくは(C6〜C20)アリールを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、そしてピリジン又はキノリンがR101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成してよく、並びに、
環A又はR101〜R104のアリール基は、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル又はアミノ基によって更に置換されていてよい。]。
【請求項12】
リガンド、L1及びL2が、独立に、下記の構造から選択される、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化13】
[式中、Xは、O、S又はSeを表し、
R101〜R104は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C5)アルキル;ハロゲン;(C6〜C20)アリール;(C4〜C20)ヘテロアリール;トリ(C1〜C5)アルキルシリル;トリ(C6〜C20)アリールシリル;ジ(C1〜C5)アルキルアミノ;ジ(C6〜C20)アリールアミノ;チオフェニル若しくはフラニルを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、
R111〜R116、R121及びR122は、独立に、水素;(C1〜C5)アルキル;ハロゲン;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C5)アルキル;フェニル;ナフチル;ビフェニル;フルオレニル;トリ(C1〜C5)アルキルシリル;トリ(C6〜C20)アリールシリル;ジ(C1〜C5)アルキルアミノ;ジ(C6〜C20)アリールアミノ;チオフェニル又はフラニルを表し、
R123は、(C1〜C20)アルキル、フェニル又はナフチルを表し、
R124〜R139は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、並びに、
R111〜R116及びR121〜R139のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、チオフェニル又はフラニルは、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ナフチル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ及びジ(C6〜C20)アリールアミノから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。]。
【請求項13】
Mが、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属である、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項14】
Qが、下記の構造から選択される、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【化14】
【請求項15】
ホストが、下記の構造によって表される化合物から選択される、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【請求項1】
化学式(I)によって表される有機りん光性化合物:
【化1】
[式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは
【化2】
を表し又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル;並びに、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。]。
【請求項2】
R11〜R14が、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、トリフルオロメチル、フルオロ、シアノ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、フェニルカルボニル、ジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又は
【化3】
を表し、及び、フルオレニルが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、フェニル、ナフチル、アントリル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルによって、更に置換されていてよい、請求項1記載の有機りん光性化合物。
【請求項3】
下記化学式(II)〜(VI)の一つによって表される化合物から選択される、請求項1記載の有機りん光性化合物:
【化4】
[式中、L、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R13、R14及びnは、請求項1の化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R21及びR22は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C6〜C20)アリールを表し又はR21及びR22は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R23は、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、フェニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、ナフチル、9,9−ジ(C1〜C20)アルキルフルオレニル又は9,9−ジ(C6〜C20)アリールフルオレニルを表し、並びに、
mは、1〜5の整数である。]。
【請求項4】
R1〜R5が、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フルオロ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、およびR6が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又はスピロビフルオレニルを表す、請求項1記載の有機りん光性化合物。
【請求項5】
下記の化学式の一つによって表される化合物から選択される、請求項2記載の有機りん光性化合物:
【化5】
[式中、L及びnは、請求項1の化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、
R51及びR52は、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フェニル若しくはナフチルを表し又はR51及びR52は、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、お互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R53は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、並びに、
mは、1〜3の整数である。]。
【請求項6】
下記の化合物から選択される、請求項3記載の有機りん光性化合物:
【化6】
[式中、L及びnは、請求項1の化学式(I)におけるのと同様に定義され、
R6は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、並びに、
mは、1〜3の整数である。]。
【請求項7】
リガンド(L)が、下記の化学式の一つによって表される構造を有する、請求項1記載の有機りん光性化合物:
【化7】
[式中、R31及びR32は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表し、
R33〜R38は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;トリ(C1〜C20)アルキルシリル;又はハロゲンを表し、
R39〜R42は、独立に、水素;(C1〜C20)アルキル;又は(C1〜C20)アルキル置換基を有する若しくは有しないフェニル;を表し、並びに、
R43は、(C1〜C20)アルキル;(C1〜C20)アルキルを有する若しくは有しないフェニル;又はハロゲンを表す。]。
【請求項8】
リガンド(L)が、下記の化学式の一つによって表される構造を有する、請求項7記載の有機りん光性化合物。
【化8】
【請求項9】
第一電極;
第二電極;及び、
第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1つの有機層;
を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記有機層が、下記化学式(I)によって表される1種以上の化合物を含むデバイス:
【化9】
[式中、Lは有機リガンドであり、
R1〜R5は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、
R6は、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C20)アリールを表し、
R11〜R14は、独立に、水素、(C1〜C20)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルコキシ、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル若しくは
【化10】
を表し又はR11〜R14のそれぞれは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、R11〜R14から他の隣接する基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成してもよく、
R11〜R14のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル;並びに、縮合環を有する又は有しない(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンを介する結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン置換基を有する又は有しない(C1〜C20)アルキル、(C1〜C20)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C20)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、(C1〜C20)アルキルカルボニル、(C6〜C20)アリールカルボニル、ジ(C1〜C20)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ及び(C6〜C20)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、並びに、
nは、1〜3の整数である。]。
【請求項10】
有機層が、化学式(I)によって表される1種以上の化合物及び1種以上のホストを含むエレクトロルミネセント領域を含む、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項11】
ホストが、下記化学式(VII)〜(IX)の1種によって表される化合物から選択される、請求項10記載の有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化11】
[式中、リガンド、L1及びL2は、独立に、下記の構造の1つを表し、
【化12】
Mは、2価又は3価金属であり、
yは、Mが2価金属であるとき0であるが、Mが3価金属であるときは1であり、
Qは、(C6〜C20)アリールオキシ又はトリ(C6〜C20)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、(C1〜C5)アルキル又は(C6〜C20)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、(C1〜C5)アルキル又は置換された若しくは置換されていないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
R101〜R104は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル若しくは(C6〜C20)アリールを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、そしてピリジン又はキノリンがR101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成してよく、並びに、
環A又はR101〜R104のアリール基は、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル又はアミノ基によって更に置換されていてよい。]。
【請求項12】
リガンド、L1及びL2が、独立に、下記の構造から選択される、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化13】
[式中、Xは、O、S又はSeを表し、
R101〜R104は、独立に、水素;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C5)アルキル;ハロゲン;(C6〜C20)アリール;(C4〜C20)ヘテロアリール;トリ(C1〜C5)アルキルシリル;トリ(C6〜C20)アリールシリル;ジ(C1〜C5)アルキルアミノ;ジ(C6〜C20)アリールアミノ;チオフェニル若しくはフラニルを表し又はこれらのそれぞれは、アルキレン若しくはアルケニレンにより隣接する置換基に結合されて、縮合環を形成してよく、
R111〜R116、R121及びR122は、独立に、水素;(C1〜C5)アルキル;ハロゲン;ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C5)アルキル;フェニル;ナフチル;ビフェニル;フルオレニル;トリ(C1〜C5)アルキルシリル;トリ(C6〜C20)アリールシリル;ジ(C1〜C5)アルキルアミノ;ジ(C6〜C20)アリールアミノ;チオフェニル又はフラニルを表し、
R123は、(C1〜C20)アルキル、フェニル又はナフチルを表し、
R124〜R139は、独立に、水素、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ハロゲン置換基を有する(C1〜C5)アルキル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ、ジ(C6〜C20)アリールアミノ、チオフェニル又はフラニルを表し、並びに、
R111〜R116及びR121〜R139のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、チオフェニル又はフラニルは、(C1〜C5)アルキル、ハロゲン、ナフチル、フルオレニル、トリ(C1〜C5)アルキルシリル、トリ(C6〜C20)アリールシリル、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ及びジ(C6〜C20)アリールアミノから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。]。
【請求項13】
Mが、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属である、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項14】
Qが、下記の構造から選択される、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【化14】
【請求項15】
ホストが、下記の構造によって表される化合物から選択される、請求項11記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【図1】
【公開番号】特開2009−132688(P2009−132688A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−274215(P2008−274215)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(508223435)グラセル・ディスプレイ・インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274215(P2008−274215)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(508223435)グラセル・ディスプレイ・インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]