説明

新規のアルツハイマー病検出方法

【課題】新規のアルツハイマー病検出法及び治療薬スクリーニング法を提供する。
【解決手段】ヒトの生物学的試料を用いてSTAT3蛋白質の不活性化を指標にしてアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、をインビトロで検出する方法、並びにSTAT3蛋白質の活性化を指標にして前記疾患の治療薬をスクリーニングする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のアルツハイマー病検出方法に関する。具体的には、STAT3蛋白質の不活性化を指標にしてアルツハイマー病を検出する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、STAT3蛋白質の活性化を指標にしてアルツハイマー病の治療薬をスクリーニングする方法に関する。
【0003】
本発明はさらに、STAT3蛋白質の活性化する薬剤を含むアルツハイマー病の治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
アルツハイマー病(Alzheimer's disease)は、最も頻度の高い神経変性疾患であり、進行性の記憶喪失及び認知機能障害を臨床的主徴とし、老人斑、神経原線維変化、神経細胞死の3つを病理学的主徴とする(非特許文献1)。
【0005】
本発明者らは、先に、ADNFとヒューマニン(HN)誘導体からコリベリンを作製した(非特許文献2)。HNは、アルツハイマー病患者後頭葉から同定された神経保護因子であり、さまざまなアルツハイマー病関連神経毒性に拮抗する作用を有する(非特許文献3)。また、本発明者らは、HNによる神経保護作用はin vitroにおいてSTAT3分子の活性化を介することが示した(非特許文献4;非特許文献2)。
【0006】
STAT(signal transducer and activator of transcription)は、多細胞生物に広く存在し、発生、増殖、細胞死を含むさまざまな細胞機能を担う蛋白質分子である(非特許文献5)。現在までに7種のSTAT、すなわちSTAT-1, STAT-2, STAT-3, STAT-4, STAT-5α, STAT-5β及びSTAT-6が同定されている。これらの分子はサイトカイン受容体によるシグナルを伝達する重要な分子であると考えられている。STAT-3ノックアウトマウスが初期発生段階にて胎生致死の表現型を示すため、STAT-3は個体において特に重要な機能を担っていることが推定されている(非特許文献6)。また、STAT-3はさまざまな種類の細胞において細胞死抑制機能を担っていることが報告されている (非特許文献7;非特許文献8)。
【0007】
【非特許文献1】Mattson MP (2004) Nature 430: 631-639
【非特許文献2】Chiba T, Yamada M, Hashimoto Y, Sato M, Sasabe J, Kita Y, Terashita K, Aiso S, Nishimoto I, Matsuoka M (2005) J Neurosci 25:10252-10261
【非特許文献3】Hashimoto Y, Niikura T, Tajima H, Yasukawa T, Sudo H, Ito Y, Kita Y, Kawasumi M, Kouyama K, Doyu M, Sobue G, Koide T, Tsuji S, Lang J, Kurokawa K, Nishimoto I (2001) Proc Natl Acad Sci USA 98:6336-6341
【非特許文献4】Hashimoto Y, Suzuki H, Aiso S, Niikura T, Nishimoto I, Matsuoka M (2005) Life Sci 77: 3092-3104
【非特許文献5】Stephanou A, Latchman DS (2005) Growth Factors 23(3):177-82
【非特許文献6】Takeda K, Noguchi K, Shi W, Tanaka T, Matsumoto M, Yoshida N, Kishimoto T, Akira S (1997) Proc Natl Acad Sci USA 15;94(8):3801-4
【非特許文献7】Chen RH, Chang MC, Su YH, Tsai YT, Kuo ML (1999) J Biol Chem. 274(33):23013-9
【非特許文献8】Grandis JR, Drenning SD, Zeng Q, Watkins SC, Melhem MF, Endo S, Johnson DE, Huang L, He Y, Kim JD (2000) Proc Natl Acad Sci U S A. 97(8):4227-32
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、今回、アルツハイマー病モデル動物及びアルツハイマー病患者脳組織を使用して、アルツハイマー病とSTAT3蛋白質との病態的関連性、すなわちSTAT3の病態寄与を検討した。STAT3は、さまざまな種類の細胞において細胞死抑制機能、すなわち細胞生存などの重要な細胞機能を担う分子であるが、病態との関連については知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の特徴を含む。
本発明は、第1の態様において、ヒトの生物学的試料を用いてSTAT3蛋白質の不活性化を指標にしてアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、をインビトロで検出することを含む、前記疾患の検出方法を提供する。
【0010】
本発明は、第2の態様において、アルツハイマー病の非ヒトモデル動物、又はアルツハイマー病を患った動物由来の脳由来初代培養神経細胞若しくは神経系類似培養細胞株、を用いてSTAT3蛋白質の活性化を指標にしてヒトのアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、の治療薬をスクリーニングすることを含む、前記疾患の治療薬のスクリーニング方法を提供する。
【0011】
本発明は、第3の態様において、STAT3蛋白質を活性化する薬剤を有効成分として含むアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、を治療又は予防するための医薬組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、アルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、を検出する新規の方法が提供される。また、これらの疾患がSTAT3の不活性化と病態的関係があること、ならびに、STAT3を活性化することによって認知機能及び記憶が改善されることを見出したことにより、STAT3の活性化を指標にして治療薬をスクリーニングすることを可能にした。それゆえ、本発明は、アルツハイマー病或いは記憶及び/又は認知障害の治療及び診断のために格別の効果を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明をさらに詳細に説明する。
1.アルツハイマー病或いは記憶及び/又は認知障害の検出方法
本発明は、上記のとおり、ヒトの生物学的試料を用いてSTAT3蛋白質の不活性化を指標にしてアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、をインビトロで検出することを含む、前記疾患の検出方法を提供する。
【0014】
これまで、老人斑の主成分であるβアミロイド(Aβ)はアルツハイマー病治療薬開発の重要な標的分子と考えられてきたが、最近、認知機能に異常が認められなかった健常老人においても、その30%にはアルツハイマー病と診断される量の老人斑、神経原線維変化が存在することが報告された(Bennett DA, Schneider JA, Arvanitakis Z, Kelly JF, Aggarwal NT, Shah RC, Wilson RS. (2006) Neurology 66(12):1837-44)。この報告は、老人斑、神経原線維変化以外に、もっとアルツハイマー病に特異的な病理学的変化が存在する可能性があることを強く示唆していた。
【0015】
本発明者らは、STAT3蛋白質が認知機能を制御するという本発明者らの知見に基づいて、さらにアルツハイマー病モデルマウス及びアルツハイマー病患者の海馬において、STAT3分子が加齢に伴って不活性化されていることを見出した。本発明者らはまた、ヒューマニン誘導体であるコリベリンを用いてアルツハイマー病モデルマウスのSTAT3蛋白質を活性化させたところ、認知機能が完全に回復することを見出した。これらの結果から、本発明者らは、脳、特に海馬におけるSTAT3蛋白質の不活性化がアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、と病態学的に有意な関連をもつことを結論づけた。さらに、STAT3蛋白質を活性化することがアルツハイマー病の改善、特に記憶の改善と認知機能の改善にとって治療上有効であることが判明した。
【0016】
本発明において「STAT3蛋白質の不活性化」は、STAT3蛋白質の生物学的機能がほとんど又は全くなくなるか、或いは正常対照と比較して有意に低下又は減少していることを表わす。本発明の実施形態によれば、該不活性化はSTAT3蛋白質のリン酸化の低下又は減少を指す。実際、後述の実施例で実証されるように、アルツハイマー病患者の脳の海馬領域では、リン酸化STAT3の量が有意に減少する。したがって、ヒトの生物学的試料を用いて、リン酸化STAT3の量を測定することによって、アルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、を検出することが可能になる。
【0017】
本発明の実施形態において、生物学的試料は脳組織である。特に海馬が好ましい脳組織である。しかし、大脳皮質ではSTAT3のリン酸化について有意の差が認められなかった。生物学的試料は、例えば、アルツハイマー病であるか否かの病因が不明な患者又は死者の脳から得ることができる。死者の場合には、死亡原因を確定するために、生物学的試料を得る。
【0018】
STAT3蛋白質の不活性化の測定は、一般的な免疫学的方法を使用して行うことができる。免疫学的方法としては、例えば組織免疫染色法、免疫ブロット法、酵素免疫測定法(ELISA法)、フローサイトメトリー法などが挙げられる。
【0019】
免疫学的方法のためには、一般に、リン酸化STAT3蛋白質に対する特異抗体が使用される。特異抗体は、モノクローナル抗体が好ましく、リン酸化STAT3蛋白質を特異的に認識する抗体である。
【0020】
モノクローナル抗体は、例えばKohler及びMilstein(Nature 256:495, 1975)、岩崎辰夫ら、単クローン抗体、ハイブリッドとELISA、講談社サイエンティフィク(1987年)などに記載される手法にしたがって作製することができる。簡単に説明すると、この手法は、リン酸化STAT3でマウスを免疫(例えば腹腔内注射)し、抗体の産生を確認したのち脾臓を摘出し、脾細胞を調製するステップ、脾細胞とミエローマ細胞(例えばX63株、NS-1株など)とを例えば1:1〜10:1の比率で、例えばポリエチエレングリコール(例えばPEG1000〜6000など)を含むRPMI1640などの培地中で、細胞融合してハイブリドーマを作製するステップ、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)培地にてハイブリドーマから抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングするステップ、抗体産生ハイブリドーマを例えばマウス腹腔内でクローン化し、腹水からモノクローナル抗体を回収するステップ、リン酸化STAT3蛋白質と特異的に反応し、STAT3蛋白質と反応しないモノクローナル抗体をスクリーニングするステップなどからなる。
【0021】
組織免疫測定法では、組織試料からパラフィン包埋又は凍結切片を作り、上記のように作製した標識化リン酸化STAT3特異抗体を用いて抗原抗体反応を行い、その結果得られた染色像を顕微鏡又は電子顕微鏡で観察することができる。抗体は、蛍光色素(例えばFITC、TRITCなど)、酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼ)などで標識することができる。或は、同様に蛍光色素や酵素で標識した二次抗体で検出することが出来る。或いは、ビオチン/アビジン若しくはストレプトアビジン系を利用してもよい。
【0022】
本発明方法において、STAT3蛋白質は、ヒト由来のものであり、これは配列番号1のアミノ酸配列を含む蛋白質である。しかし、STAT3蛋白質について多型性や選択的スプライシングなどに起因する突然変異体も本発明の対象となる。突然変異体は、例えば配列番号1のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を含む配列を有するものである。
【0023】
2.治療薬及びそのスクリーニング方法
本発明はまた、アルツハイマー病の非ヒトモデル動物、又はアルツハイマー病を患った動物由来の脳由来初代培養神経細胞若しくは神経系類似培養細胞株、を用いてSTAT3蛋白質の活性化を指標にしてヒトのアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、の治療薬をスクリーニングすることを含む、前記疾患の治療薬のスクリーニング方法を提供する。
【0024】
本発明者らは、アルツハイマー病モデル動物において、不活性化されたSTAT3(すなわち、リン酸化STAT3蛋白質の顕著な量的低下を示す。)が、例えばSTAT3のリン酸化を亢進可能な薬剤、例えば下記のアミノ酸配列:
Ser-Ala-Leu-Leu-Arg-Ser-Ile-Pro-Ala-Pro-Ala-Gly-Ala-Ser-Arg-Leu-Leu-Leu-Leu-Thr-Gly-Glu-Ile-Asp-Leu-Pro(配列番号3)
を有するコリベリンの投与によってSTAT3がリン酸化され再び活性化されることによって、記憶及び認知機能が正常レベルに改善されることを今回見出した。本発明は、このような知見に基づいており、STAT3蛋白質の活性化を指標にすることによって、アルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、の治療薬をスクリーニングすることが可能である。
【0025】
本発明の方法では、STAT3蛋白質の活性化の程度を決定するとき、定量的判定であってもよいし、或いは目視による判定であってもよい。いずれにしても、正常対照と比較したときのSTAT3蛋白質の活性化の程度、具体的にはリン酸化の増加、を決定することが望ましい。
【0026】
本発明のスクリーニング方法においては、アルツハイマー病の非ヒトモデル動物を使用するか、或いはアルツハイマー病を患った動物(ヒトを含む)の脳由来初代培養神経細胞、或は神経系類似培養細胞株を使用することができる。
【0027】
神経系類似培養細胞株の例は、PC12細胞(Greene LA, Tischler AS.(1976) Proc Natl Acad Sci USA 73(7):2424-2428)、F11細胞(Mugnai G, Lewandowska K, Culp LA.(1988) Eur J Cell Biol. 46(2):352-361)、NSC34細胞(Cashman NR, Durham HD, Blusztajn JK, Oda K, Tabira T, Shaw IT, Dahrouge S, Antel JP.(1992) Dev Dyn. 194(3):209-221)、SHSY-5Y細胞(Odelstad L, Pahlman S, Nilsson K, Larsson E, Lackgren G, Johansson KE, Hjerten S, Grotte G.(1981) Brain Res. 224(1):69-82)などである。
【0028】
この場合、脳由来初代培養神経細胞、或は神経系類似培養細胞株を、候補薬剤を加えた培地にて培養したのち、STAT3蛋白質のリン酸化の程度を抗リン酸化STAT3抗体を用いて免疫学的に測定することができる。細胞からSTAT3蛋白質を遊離し、例えば125I標識抗体と反応したのち、SDS-PAGEなどでサイズ分離し、オートラジオグラフィーに掛けて、リン酸化の程度を測定することができる。バンドの濃さは、デンシトメータを使用することによって定量化できる。
【0029】
非ヒトモデル動物の例は、げっ歯動物、例えばマウス及びラットであり、具体的には、最もヒトのV642I変異型FAD患者に近い特徴を備えたアミロイド前駆体タンパク(APP)のロンドン型FAD変異(V642I)をもつAPPのノックイン(KI)マウス(これを「V642I-APPノックインマウス」という。)、他のFAD原因遺伝子の1つであるスウェーデン型変異を導入し過剰発現させたトランスジェニック(Tg)マウス(Tg2576)などを使用できる(Hsiao K, Chapman P, Nilsen S, Eckman C, Harigaya Y, Younkin S, Yang F, Cole G.(1996) Science. 274(5284):99-102)。
【0030】
非ヒトモデル動物を使用してスクリーニングを実施するときには、動物に候補薬剤を投与したのち、動物から脳組織、好ましくは海馬、の一部をサンプリングし、組織免疫染色法などによってSTAT3蛋白質の活性化(又は、リン酸化)の程度を、例えば特異抗体を使用する組織免疫染色法、免疫ブロット法、酵素免疫測定法(ELISA法)、フローサイトメトリー法などを用いて測定することができる。投与は、限定されないが、例えば経口投与又は非経口投与(例えば、静脈内、鼻腔内、皮下、皮内、腹腔内、など)によって行うことができる。組織免疫染色に際しては、上記のとおり、リン酸化STAT3蛋白質に対する特異抗体を使用する。このとき抗体は、酵素又は蛍光色素などで標識したり、標識された二次抗体で検出することができる。
【0031】
候補薬剤は、小有機分子、或いは、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質又はそれらの化学修飾誘導体である。
【0032】
ここで、化学修飾誘導体は、糖結合誘導体、リン酸化誘導体、硫酸化誘導体、ペグ化誘導体、アシル化誘導体、アルキル化誘導体などを含む。
【0033】
好ましい候補薬剤は、STAT3蛋白質のリン酸化を亢進させる物質である。このような物質の例は、コリベリン、CNTF(毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor))、インターロイキン-6(IL-6)、又はそれらの誘導体である(Stephanou Aら, Growth Factors (2005) 23(3):177-82)。誘導体には、製薬上許容可能な塩、アミノ酸の置換、欠失又は付加を含む生物活性保持の変異体(好ましくは、90%以上、95%以上、又は98%の配列同一性を有する)、化学修飾誘導体(例えば、糖結合誘導体、アシル化誘導体、リン酸化誘導体、アルキル化誘導体など、好ましくは血液脳関門を通過可能な修飾誘導体である。)などを含む。
【0034】
特に好ましい候補薬剤は、コリベリン及びその誘導体である。誘導体の例は、配列番号3からなるコリベリンのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつSTAT3蛋白質のリン酸化を亢進させるペプチド又はポリペプチドである。或いは、以下のアミノ酸配列(配列番号4):
Ser-Ala-Leu-Leu-Arg-Ser-Ile-Pro-Ala-Pro-Xn1-(Cys又はArg又はLys又はHis)-(Leu又はArg)-Xn2-Leu-Thr-(Gly又はL-Ser又はD-Ser)-Xn3-Pro
〔式中、Xn1は、(Arg又はAla)-(Gly又はAla)-(Phe又はAla)-(Ser又はAla)からなるアミノ酸配列を含み、Xn2は、(Leu又はAla)-(Leu又はAla)からなるアミノ酸配列を含み、Xn3は、(Glu又はAla)-(Ile又はAla)-(Asp又はAla)-(Leu又はAla)からなるアミノ酸配列を含む〕によって表される、かつSTAT3蛋白質のリン酸化を亢進させるペプチド又はポリペプチドである。
【0035】
モデル動物への候補薬剤の投与量は、限定されないが、0.1 mg/kg体重〜 1 mg/kg体重である。種々の用量で試験し、有効投与量を決定することができる。
【0036】
本発明の実施形態において、STAT3蛋白質は、使用するモデル非ヒト動物や細胞株の由来によって異なるが、例えばヒト又はマウス由来のものであり、これはそれぞれ配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列を含む蛋白質である。しかし、STAT3蛋白質について多型性や選択的スプライシングなどに起因する突然変異体も本発明の対象となる。突然変異体は、例えば配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を含む配列を有しかつSTAT3の生物活性を保持するものである。
【0037】
本発明のスクリーニング法で見出された薬剤、すなわちSTAT3蛋白質を活性化(又はリン酸化)する薬剤は、アルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、を治療又は予防するために使用することができる。
【0038】
したがって、本発明は、このような薬剤を有効成分とする医薬組成物も提供する。特に有効な薬剤は、上記のコリベリン又はその誘導体である。
【0039】
本発明の医薬組成物を経口投与する場合は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、内用水剤、懸濁剤、溶液剤、乳剤、シロップ剤等に製剤化するか、使用する際に再構成させることができる乾燥形態にしてもよい。また、本発明の医薬組成物を非経口投与する場合は、静脈内注射剤(点滴を含む)、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、皮下注射剤などの注射剤、坐剤などに製剤化し、注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供される。さらに、血液脳関門を通過しうるように製剤化されてもよいし、脊髄や脳室内に投与できるように製剤化されてもよい。
【0040】
これらの各種製剤は、薬学的に許容される賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤等などを適宜選択し、常法により製造することができる。また、医薬組成物中、有効成分である本発明のポリペプチドの含有量は、例えば約0.001〜約10重量%であるが、これに限定されない。あるいは、該組成物中の有効成分濃度は、例えば約100fM以上、約1pM以上、約1nM以上、約10nM以上、約100nM以上、約1μM以上であるが、これに限定されない。
【0041】
本発明の医薬組成物は、アルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害の予防又は治療剤として用いる場合、ヒトに対して非経口的にまたは経口的に投与することができる。本発明の医薬の投与量や投与回数は、投与対象の年齢、性別、症状、投与経路により適宜変更しうる。例えば、本発明のポリペプチドの有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組み合わせとして投与される量は、例えば、1日につき体重1kgあたり約1μg〜約500μgの範囲内であるが、これに限定されない。
【0042】
以下に、本発明を実施例を挙げてさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって制限されないものとする。
【実施例】
【0043】
実験方法
ペプチド及び材料
コリベリンColivelin(配列番号3)は文献記載の通り合成された(Chiba Tら, J Neurosci (2005) 25:10252-10261)。ウサギモノクローナル抗リン酸化STAT3抗体(Tyr705; 58E12)、ウサギモノクローナルSTAT3抗体(79D7)はCell Signaling Technology (Beverly, MA)より購入した。
【0044】
動物及び処置
Tg2576マウスはJackson laboratory (Bar Harbor, Maine)より購入した。V642I-APPノックインマウスは、文献記載の通り作製した(Kawasumi Mら, Eur J Neurosci (2004) 19: 2826-2838)。
【0045】
行動試験
Y字型迷路(YM)は文献記載の通り行った(Yamada Mら, Behav Brain Res (2005) 164: 139-146)。YM装置は3本の灰色プラスチック製アームより構成される(長さ40cm,高さ12cm, 底面幅3cm,上面幅10cm)。それぞれのマウスは8分間の自由探索を観察される。自発的交替行動率(SA%)は空間的作業記憶(spatial working memory)の指標であり、前2回に選択したアームと異なるアームを選択した割合から計算する。水探索試験(WFT)は文献記載の通りに行った(Kawasumi Mら, Eur J Neurosci (2004) 19: 2826-2838)。装置は灰色プラスチック製の長方形(50×30cm,間隔10cmのグリッドライン,高さ15cmの壁付き)で、長辺の片側に小部屋(10×10×10 cm)が付けられている。マウスはまず3分間装置内を自由探索させられる(Training session)。この際に小部屋に吸水口を高さ5cmの位置にする。探索の後、24時間の絶水期間をおき、吸水口の高さを7cmに変えて再度試験を行う(Trial session)。小部屋に入るまでの時間(Entering latency)、水を飲み始めるまでの時間(Drinking latency)、それまでに横切ったグリッド線の数(Crossing)を測定した。高架式十字迷路 (EPM)は文献記載の通りに行った(Kawasumi Mら, Eur J Neurosci (2004) 19: 2826-2838)。装置(100cmの高さに設置)は4本の直交したアームから成る。2本のアームは壁がなく、2本のアームには壁がある(50cm×10cm灰色プラスチック製の床、高さ10cmの灰色の壁)。マウスは壁のないアームの端から90秒間の自由探索をする。(i) transfer latency (はじめに壁付きのアームに入るまでの時間);(ii) 1st stay(最初に壁付きアームに入ってから出るまでの時間);(iii) 壁なしアームに滞在した総時間の3項目を計測した。
【0046】
免疫組織化学
免疫組織化学的解析は文献記載の通りに行った (Yamada Mら, Behav Brain Res (2005) 164: 139-146; Chiba Tら, J Neurosci (2005) 25: 10252-10261)。経心臓的にリン酸緩衝生理食塩水を潅流し、引き続き4% パラフォルムアルデヒド(PFA)を潅流した。パラフィン包埋切片もしくは新鮮凍結切片は10μmの厚さで作製した。抗リン酸化STAT3抗体 (1:100希釈)を用いて染色像はABC法(Vectastain Elite Kit, Vector, CA, USA)もしくはTyramide signal enhancer kit (Perkin-Elmer)にて可視化した。
【0047】
細胞培養とリン酸化分析
PC12細胞は10%血清含有DMEM (Wako)にて培養した(10%-DMEM)。リン酸化分析では、PC12 (6ウエルプレート中、1.6x105 cells/well, 24時間無血清DMEMにて培養)をciliary neurotrophic factor (CNTF, 50ng/ml), interleukin-6 (IL-6, 50ng/ml), HN (10μM), D-Ser14-HN (D-14, 10μM), Colivelin (100pM)にて15分間刺激した。細胞は1回PBSにてリンスし、脱リン酸化酵素阻害剤含有破砕液(50mM Tris HCl [pH7.4], 150mM NaCl, 1% Triton-X 100, protease inhibitors, 1mM EDTA, phosphatase inhibitor cocktail 1 and 2 [Sigma])にて破砕した。採取サンプルは通常のSDS-PAGE法により分離し、PVDF膜に電気的にブロットした。抗リン酸化STAT3(1:500希釈)抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識した抗ラビットIgG抗体 (BioRad Laboratories, Hercules, CA, USA)にて検出し、バンドはECL Western Blotting Detection Reagents (Amersham Bioscience, Uppsala, Sweden)にて可視化した。total-STAT3抗体(1:3000希釈)にて、ストリップした同一膜を検出し、対照とした。
【0048】
結果
アルツハイマー病モデルマウスにおける年齢依存的STAT3不活性化
STAT3活性化レベルとアルツハイマー病発症の関連を検討する為、抗リン酸化STAT3抗体を用いてアルツハイマー病モデルマウス脳を免疫組織学的に染色した(図1)。本発明者らは第一にスウェーデン型変異を持つアミロイド前駆体タンパク(APP)トランスジェニックマウス(Tgマウス)Tg2576を用いて同腹の野生型対照動物と比較した(Hsiao Kら, Science (1996) 274(5284):99-102) (図1H-J)。リン酸化STAT3免疫染色の結果、3、12、18ヶ月のいずれの段階においても野生型対照と比較してTg2576マウスにおいて染色性が低下していることが判明した(図1E-J)。Tg2576では、3ヶ月齢において老人斑形成は認められないものの、行動異常が認められており(King DL及びArendash GW, Physiol Behav (2002);75(5):627-42)、STAT3不活性化は行動異常と相関していることが示唆された。これを確認する為、もう一つのモデルマウスV642I-APPノックインマウスを用いた。このマウスでは病理学的な異常は観察されないが、27ヶ月齢において行動異常が観察される(Kawasumi Mら, Eur J Neurosci (2004) 19: 2826-2838)。本発明者らは6ヶ月齢のノックインマウスでは野生型との間に変化を認めなかったが(図1A,C)、28ヶ月齢において、野生型に比較してノックインマウスにおいてリン酸化STAT3免疫染色性の低下を確認した(図1B,D)。この際、野生型動物のみを観察した場合においても、6ヶ月齢に比較し、28ヶ月齢の動物でSTAT3が不活性化されており、年齢依存的なSTAT3不活性化が示唆された(図1A,B)。
【0049】
アルツハイマー病患者脳におけるSTAT3不活性化
次に本発明者らは臨床的および病理組織学的に診断されたアルツハイマー病患者脳および対照健常脳を用いてリン酸化STAT3免疫染色を行った(図2A-H)。本発明者らはアルツハイマー病患者海馬において健常脳と比較して著明なリン酸化STAT3免疫染色性の低下を観察した。
【0050】
コリベリンによるSTAT3活性化によって認知機能が回復する
コリベリンはin vitroにおいてSTAT3を活性化して細胞死を抑制することが報告されている(Hashimoto Yら, Life Sci (2005) 77: 3092-3104; Chiba Tら, J Neurosci (2005) 25: 10252-10261)。本発明者らは24時間おきに2回コリベリンを鼻腔内投与したマウスの脳においてSTAT3の活性化を確認した(図3A-D)。対照の溶媒投与群に比較してコリベリン投与群では海馬において著明なリン酸化STAT3染色像が確認された(図3A,B)。しかしながらこの際に、大脳皮質においては両群に差異を認めなかった(図3C,D)。本発明者らはPC12細胞を用いたin vitro実験においてもSTAT3リン酸化を確認した。その結果、ciliary neurotrophic factor (CNTF)、IL-6、コリベリンによってSTAT3がリン酸化されることを確認した(Stephanou A及びLatchman DS Growth Factors (2005) 23(3):177-82)(図3E)。STAT3活性化の治療効果を確認する為、15ヶ月齢ですでにY字型迷路試験(YM)において記憶障害が確認されている(図4A, 左パネル)Tg2576マウスに対してコリベリン鼻腔内投与実験を施行した。3週間の投与(隔日投与)の後、YM,水探索試験(WFT),高架式十字迷路(EPM)によって認知機能を解析した。その結果、YM (図4A,右パネル)、WFT(図4B)の両者において認知機能の改善を確認した。EPMでは有意な変化は観察されなかったが、コリベリン投与群では野生型に近い行動パターンを示した(図4C)。本発明者らはこれらの動物の脳を用いてリン酸化STAT3免疫染色を行った(図5)。本発明者らは溶媒投与対照Tg2576マウスにおいて野生型マウスに比較して著しいリン酸化STAT3免疫染色性の低下を認めたが、コリベリン投与Tg2576マウスにおいて染色性が回復していることを確認した。これは、コリベリン投与によって不活性化されたSTAT3が再び活性化されたため記憶が改善されたことを示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、アルツハイマー病或いは記憶及び/又は認知障害の治療及び診断のために有用であり、特に医療上の利用性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】アルツハイマー病モデルマウスにおける年齢依存的STAT3不活性化。V642I-APPノックインマウスを用いた発症前(6ヶ月)、発症後(28ヶ月)におけるリン酸化STAT3染色。A,Bは同腹野生型動物(対照)、C,Dはノックインマウスの海馬像。6ヶ月齢(A,C)においては両群に差異を認めないが、28ヶ月齢(B,D)では野生型対照に比較してノックインマウスにおいて有意にリン酸化STAT3染色(茶色)が減少している。野生型のみを観察した際(A,B)に6ヶ月齢に比較して28ヶ月齢において染色性が減少していることから年齢依存的にSTAT3が不活性化されることが示唆された。Tg2576マウスを用いた早期(3ヶ月)、中期(12ヶ月)、後期(18ヶ月)におけるリン酸化STAT3染色を示す。E-Gは同腹野生型対照、H-JはTg2576マウスを示す。Tg2576マウスではどの段階においてもリン酸化STAT3染色性の低下が認められた。
【図2】アルツハイマー病患者海馬におけるSTAT3不活性化。臨床的、病理組織学的に診断されたアルツハイマー病患者の海馬(E-H, AD #A5815 and #A5678, 川崎病院)および年齢を対応させた健常者の海馬(A-D, #15969 and #16004, 慶應病院)を抗リン酸化STAT3抗体にて染色した。健常脳海馬においては強いリン酸化STAT3染色像を観察したが、アルツハイマー病脳ではリン酸化STAT3抗体の染色性がほとんど認められなかった。
【図3】コリベリンによるSTAT3リン酸化。invivoにおけるコリベリンのSTAT3リン酸化能を検討するため、溶媒(A,C)もしくはコリベリン(B,D)を24時間間隔でマウスに2回鼻腔内投与した。最終投与後30分で脳を採取し、新鮮凍結切片を準備して抗リン酸化STAT3抗体にて染色した。コリベリン投与を行った動物の海馬では著明なSTAT3のリン酸化を観察した(A,B)が、この際に大脳皮質(C,D)においては有意な差を認めなかった。in vitroにおけるコリベリンのSTAT3リン酸化作用を検討するため、PC12を溶媒, CNTF, IL-6, ヒューマニン(HN), D-Ser14-HN, Colivelinにて24時間刺激した。免疫ブロット法にてリン酸化STAT3およびトータルSTAT3を検出した(E)。この結果、この条件においてCNTF, IL-6, ColivelinにてSTAT3がリン酸化されていることが確認された。
【図4】コリベリン投与を行ったTg2576マウスの行動解析。15ヶ月齢Tg2576マウスおよび同腹野生型対照マウスのYM(A、左)。空間的作業記憶の指標であるSA%の有意な低下を観察した。これらのマウスに対してコリベリンもしくは溶媒の鼻腔内投与を3週間にわたって行った。その後、再度YMを施行するとコリベリン投与のTg2576においてSA%が有意に改善していることが判明した(A、右)。WFT(B)においても記憶の指標であるDrinking latency, Entering latency, Crossingの有意な改善を観察した。EPM(C)では、有意な差はなかったが、溶媒投与のTg2576で観察されるTransfer latencyの遅延、1st stayの短縮、Open arm滞在時間の延長(恐怖を感じ難い)という傾向はコリベリン投与によって改善されているようであった。
【図5】コリベリン投与を行ったTg2576マウスの組織学的解析。コリベリン投与を行ったTg2576マウスの脳を採取し、パラフィン包埋サンプルを準備し、抗リン酸化STAT3染色を行った。A,Bは溶媒投与野生型動物、C,Dはコリベリン投与野生型動物、E,Fは溶媒投与Tg2576、G,Hはコリベリン投与Tg2576の海馬を示す。野生型動物のみで見るとコリベリン投与によって海馬のSTAT3リン酸化(茶色)がやや増加している。溶媒投与の野生型動物に比べ、溶媒投与のTg2576ではリン酸化STAT3の著しい低下が認められるが、コリベリン投与によってTg2576の海馬でも溶媒投与の野生型動物に近いSTAT3リン酸化が認められるようになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの生物学的試料を用いてSTAT3蛋白質の不活性化を指標にしてアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、をインビトロで検出することを含む、前記疾患の検出方法。
【請求項2】
STAT3蛋白質の不活性化が、該蛋白質のリン酸化の低下を表わす請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生物学的試料が脳組織である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
脳組織が海馬である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
検出が、リン酸化STAT3蛋白質に対する特異抗体を使用して行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
抗体が標識されている請求項5に記載の方法。
【請求項7】
STAT3蛋白質が、配列番号1のアミノ酸配列を含む蛋白質又はその突然変異体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
アルツハイマー病の非ヒトモデル動物、又はアルツハイマー病を患った動物由来の脳由来初代培養神経細胞若しくは神経系類似培養細胞株、を用いてSTAT3蛋白質の活性化を指標にしてヒトのアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、の治療薬をスクリーニングすることを含む、前記疾患の治療薬のスクリーニング方法。
【請求項9】
STAT3蛋白質の活性化が、正常対照と比較したときのSTAT3蛋白質のリン酸化の増加を表す請求項8に記載の方法。
【請求項10】
非ヒトモデル動物がV642I-APPノックインマウスである請求項8に記載の方法。
【請求項11】
非ヒトモデル動物に候補薬剤を投与することを含む請求項8又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記非ヒトモデル動物からの脳組織、又は前記脳由来初代培養神経細胞若しくは神経系類似培養細胞株、について、STAT3蛋白質の活性化の程度を測定することを含む請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
脳組織が海馬である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
測定が、リン酸化STAT3蛋白質に対する特異抗体を使用して行われる請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
抗体が標識されている請求項14に記載の方法。
【請求項16】
STAT3蛋白質が、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列を含む蛋白質又はその突然変異体である請求項8〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
候補薬剤が小有機分子、或いは、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質又はそれらの化学修飾誘導体である請求項8〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
STAT3蛋白質を活性化する薬剤を有効成分として含むアルツハイマー病、或いは記憶及び/又は認知障害、を治療又は予防するための医薬組成物。
【請求項19】
薬剤が、STAT3蛋白質のリン酸化を促進する作用を有する物質である請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
薬剤がコリベリン(配列番号3)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、インターロイキン-6(IL-6)、又はそれらの誘導体である請求項18又は19に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−96311(P2008−96311A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279113(P2006−279113)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 電気通信回線での学会プログラム・講演抄録発表 学会名:The Society for Neurosciene Annual Meeting 2006 電気通信回線掲載日:平成18年9月1日 掲載アドレス:http://apu.sfn.org/index.cfm?pagename=annualMeeting
【出願人】(506334274)
【出願人】(506343900)
【出願人】(506334285)
【出願人】(504132331)
【出願人】(506291173)
【出願人】(506290512)
【Fターム(参考)】