新規の検出プローブ
本発明は、核酸の検出を可能にする新規のヌクレオチドプローブであって、
− 第1の閉鎖配列を有する第1の断片と
− 標的核酸を分子認識するための認識配列を、その全体または一部として有する第2の断片と
− 第2の閉鎖配列を有する第3の断片の3つの断片及び
− 少なくとも2つのマーカー
を含む標識ヌクレオチド鎖で構成され、前記検出プローブの鎖の末端の1つがいかなるマーカーも含まず、
この2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズしたときに、検出プローブが完全な円形を有し、それにより該閉鎖配列が該プローブを該標的核酸の非存在下で検出することができない立体構造に維持するプローブに関する。
本発明はまた、前記プローブを利用した検出のための方法およびキットに関する。
本発明は、好ましくは、診断の分野における用途を見出す。
− 第1の閉鎖配列を有する第1の断片と
− 標的核酸を分子認識するための認識配列を、その全体または一部として有する第2の断片と
− 第2の閉鎖配列を有する第3の断片の3つの断片及び
− 少なくとも2つのマーカー
を含む標識ヌクレオチド鎖で構成され、前記検出プローブの鎖の末端の1つがいかなるマーカーも含まず、
この2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズしたときに、検出プローブが完全な円形を有し、それにより該閉鎖配列が該プローブを該標的核酸の非存在下で検出することができない立体構造に維持するプローブに関する。
本発明はまた、前記プローブを利用した検出のための方法およびキットに関する。
本発明は、好ましくは、診断の分野における用途を見出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のヌクレオチドプローブによる核酸の検出に関する。本発明は、診断の分野において用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
今日、標的ヌクレオチド配列を見出すことは、多くの研究室におけるおよび特に医療または食品加工分野における主な目的を表す。これらの分野では、標的配列を見出すことは、例えば、病原性生物を検出すること、食品加工過程において細菌汚染を発見すること、または遺伝的疾患もしくは癌の原因となる突然変異の診断といった目的を有する。これらの方法における主な困難は、使用される検査の特異性、感度、速さ、および再現性に関するものである。特に診断の分野では、明確な結果を示すことができることが絶対に必要不可欠である。
【0003】
様々なタイプの方法が文献に記載されている。それらは通常、「核酸のハイブリダイゼーション」または単に「ハイブリダイゼーション」と一般に呼ばれる、核酸の相補鎖を対合させる特性に基づいている。
【0004】
通常、生物のまたは解析しなければならない疾患の特定の配列を決定した後、試料から核酸を抽出し、場合により目的の配列を増幅および検出することが必要である。PCR、LCR、NASBA、TMA、SDAなどの、非常に多くの増幅の方法が開発されている。検出のための多くの技術もある。これらのうちの1つは、「分子ビーコン」と一般に呼ばれる、Tyagi and Kramer(Nature Biotech,1996,14:303−308)によって記載された、特殊なプローブを利用する。これらのプローブは、一本鎖「ループ」部分と二本鎖「ステム」部分とを含むヘアピン構造を有する。「ループ」部分は、標的ヌクレオチド配列に対する相補的配列を含有し、「ステム」部分は、互いに相補的である2つの配列によって形成されている。「ステム」部分の相補的配列のうちの1つの遊離末端がフルオロフォアで標識されているのに対し、「ステム」部分のもう1つの鎖のもう1つの遊離末端は蛍光クエンチャーと結合している。相補的な標的配列の非存在下では、検出プローブはヘアピン形であり、プローブは蛍光を生じず、フルオロフォアのエネルギーは蛍光クエンチャーに直接移される。このプローブが標的配列にハイブリダイズしたとき、それは、その形状を失い、5’および3’末端がさらに離れていき、蛍光クエンチャーとフルオロフォアが互いに引き離される。そのとき、放出される蛍光は、標的上でのプローブのハイブリダイゼーションを反映し、これは、その増幅の間に検出され、任意で定量される。その場合、これは、リアルタイム均一相検出と呼ばれる。しかしながら、これらの分子ビーコンプローブは、特定の汚染物質の存在下で「ステム」部分の望ましくない早過ぎる開裂を示すことがある。分子ビーコンプローブが、例えば、NASBAタイプの増幅で使用される酵素のような、反応混合物中に存在する酵素と未知の機構によって相互作用することが実際に観察されている。これらの相互作用は、任意の生物学的標的の非存在下でも生じ、非特異的蛍光シグナルの増加の原因となる。
【0005】
分子ビーコンプローブは、ステムの配列に対する非常に特別な設計を余儀なくさせる重大な合成制約を有する。実際、それらは、特に後者がGC塩基に富む場合、検出される標的に非特異的にハイブリダイズし、偽陽性または相当なバックグラウンドノイズを誘導して、検出の感度に影響を与えることがある。さらに、ステムを形成させるために、2つの相補的配列を導入する必要があり;その場合、ヘアピンプローブの完全な配列は、通常20個のヌクレオチドしか分子認識に必要でないのに、少なくとも30個のヌクレオチドを含む。したがって、これらのヘアピンプローブの合成における収量はかなり限られている。これらのプローブの別の欠点は、ループのそれ自体への折り返しと内部「ループ−ループ」相互作用とを促進する「ステム−ループ」構造のために、ヘアピン構造を設計するのが難しいことである。したがって、その場合、必要とされる熱力学特性を有する配列を見出す前に、いくつかの設計と合成が必要であることが多い。
【0006】
ステムの非特異的なハイブリダイゼーションの問題を克服するよう努力するために、様々な解決法が提案されてきた。一例として、Crey−Desbiollesら(Nucleic Acids Res.,May 2005;33:e77)は、ステムの天然ヌクレオチドを、ステムを形成するよう互いにハイブリダイズするが、標的の天然ヌクレオチドにはハイブリダイズすることができない修飾ヌクレオチドと置き換えることを提案した。このアプローチの主な欠点は、認識配列の各末端に、少なくとも4または5ユニットのこの修飾ヌクレオチドを導入する必要性であるが、それは市販されておらず、これにより、ヘアピンプローブの合成はより複雑なものとなっている。さらに、このアプローチは、完全な配列のヌクレオチドの数の多さの問題も、ヘアピン構造を設計する難しさの問題も解決しない。
【0007】
Browne(J.Am.Chem.Soc.,2005,127,1989?1994)によって提案された別の解決法は、逆向きのヌクレオチドをステムの2つの配列に挿入することからなる。この実施形態では、ステムの配列は、それらが標的と同様の(パラレル)配向となるので、ループにハイブリダイズした配列に隣接する標的の配列に直接ハイブリダイズすることができない。この技術の欠点は、ステムの配列が、折り畳まれて、この相互作用に接近可能となり得る他のより離れた標的の配列と相互作用することができるということである。さらに、完全な配列のヌクレオチドの数の多さの問題とヘアピン構造の不安定性の問題は、このアプローチによって解決されない。
【0008】
Tsourkasら(Nucleic Acids Res.,Oct 2002;30:4208−4215)によって提案された別の解決法は、ステムを形成する配列の1つが認識配列の部分も形成するようにヘアピンプローブを設計することからなる。この解決法によって、プローブの完全な配列を短くすることが可能になる。しかしながら、この設計と関連する特異性の喪失が観察されている。さらに、同じ認識配列のために、この種の設計はより短いループを有し、これにより、その柔軟性が制限され、ループ−ループ相互作用が強固になり、プローブの熱力学特性がより予測しがたいものになる。
【0009】
それゆえ、従来技術の欠点が克服されるのを可能にする新しいプローブ形式に対する真の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、標的核酸を検出するための新規のプローブであって、
− 第1の閉鎖配列を有する第1の断片と
− 標的核酸を分子認識するための認識配列を、その全体または一部として有する第2の断片と
− 第2の閉鎖配列を有する第3の断片の3つの断片及び
− 少なくとも2つのマーカー
を含む標識ヌクレオチド鎖から構成されており、前記検出プローブの鎖の末端の1つがいかなるマーカーも含まず、この2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズしたときに、この検出プローブが完全な円形を有し、それにより該閉鎖配列が該プローブを該標的核酸の非存在下で検出することができない立体構造に維持する、標的核酸を検出するための新規のプローブに関する。「完全な円」は、2つの閉鎖配列が互いにハイブリダイズして二重鎖を形成し、これらの閉鎖配列のうちの1つの末端の1つが認識配列を介してもう1つの閉鎖配列の反対の末端に接続され、全体が図1と2にあるような円を形成するプローブの立体構造を意味する。ヘアピン構造とは対照的に、この立体構造は、ループ配列を、ステムの2つの末端の間に延びた、線形配置に維持することを可能にし、これによって、ループの配列における内部相互作用が妨げられ、相補的な標的によるその接近可能性も促進される。
【0011】
本発明の興味深い実施形態では、検出プローブは、第1のマーカーが第1の断片のヌクレオチドによって担持され、第2のマーカーが第2のまたは第3の断片のヌクレオチドによって担持され、2つの閉鎖配列がハイブリダイズするとき、この2つのヌクレオチドが近接することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、検出プローブは、2つの閉鎖配列の全てまたは一部が平行にハイブリダイズすることを特徴とする。有利には、これらの閉鎖配列のうちの1つは、α−アノマーヌクレオチドで構成された配列である。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、検出プローブは、2つの閉鎖配列の全てまたは一部が逆平行にハイブリダイズすることを特徴とする。有利には、これらの閉鎖配列のうちの1つは、5’−5’または3’−3’逆方向結合によって認識配列に結合している。
【0014】
有利には、少なくとも1つのマーカーはフルオロフォアであり、少なくとも1つの他のマーカーは蛍光クエンチャーである。したがって、2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズするとき、マーカーを担持するヌクレオチドは近接し、その結果、励起後のフルオロフォアのエネルギーの全てまたは大部分が蛍光クエンチャーに移される。好ましくは、2つのマーカーは互いに反対の位置にあるヌクレオチドによって運ばれ、これら2つのヌクレオチドは、水素結合によって結合されて塩基対合を形成するか、または1〜5ヌクレオチド離れている。
【0015】
有利には、第1のまたは第2の閉鎖配列の全てまたは一部は、標的配列にハイブリダイズすることができる。これらの閉鎖配列のうちの1つは標的上に固定されており、2つの閉鎖配列は、それらが両方とも柔軟性のある一本鎖立体構造をしている場合と同じ程度には互いに接近することができないので、この立体構造は、フルオロフォアと蛍光クエンチャーの間のギャップのより良好な制御を提供する。この立体構造は、非特異的に相互作用することができる遊離ヌクレオチドの数を減らすおよび完全な配列のヌクレオチドの数を減らす利点も有する。有利には、プローブの長さは、25から40ヌクレオチドの間である。
【0016】
前述の実施形態によれば、標的配列にハイブリダイズした時点で、プローブは、ハイブリダイゼーションに関与する閉鎖配列を有するが、もう1つの閉鎖配列は、その逆向きの配向またはαヌクレオチドの存在のために、ハイブリダイズすることができない。この立体構造により、非特異的なハイブリダイゼーションを制限することが可能になる。さらに、プローブの設計中、修飾された(αまたは逆向き)閉鎖配列のプローブの残りの部分への付加は、認識配列の設計に影響を及ぼさない。したがって、設計は、検出条件との関連において標的の適切な相補的配列を規定することと、その後、標的とのあり得る相互作用を検証する必要なしに、またはヘアピンプローブの場合のように、各末端に配列を付加する必要なしに、その末端の1つに、標的にハイブリダイズすることができるもう1つの閉鎖配列に相補的な修飾された(αまたは逆向き)閉鎖配列を付加することとに限定される。それゆえ、これにより、プローブの設計が容易になる。
【0017】
また有利には、閉鎖配列の長さは、6から30ヌクレオチドの間、好ましくは6から15ヌクレオチドの間である。
【0018】
特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、検出プローブに付加される。好ましくは、それは、天然の閉鎖配列の末端に、すなわち、逆向きでもなく、αヌクレオチドで構成されてもいない配列に付加される。したがって、本発明による検出プローブを、特許出願WO−A−07/114986に従って「触角プローブ」と呼ばれるプローブ設計に適合させることができる。
【0019】
本発明による検出プローブを、ヌクレオチドプローブが標的核酸を検出するために使用される任意の検査で利用することができる。したがって、本発明の別の目的は、試料中に存在し得る標的配列を検出するための方法であって、以下の段階:
− 該試料を本発明による検出プローブと接触させること、
− 該試料中の該標的配列の存在を示す、検出プローブと標的配列の間のハイブリッドの形成を検出すること
を含む、方法に関する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、検出は、標的配列の増幅の反応とともに実施され;その場合、これは、リアルタイム検出と呼ばれる。別の実施形態では、検出は、標的配列の増幅の反応の後に実施され、その場合、これは、「終点」検出と呼ばれる。増幅反応は、PCR、LCR、NASBA、TMA、SDA、RCAなどの、線形のまたは指数関数的な、任意の増幅の方法に基づくことができる。好ましくは、増幅の方法は、NASBA、TMAまたは非対称性PCRなどの、一本鎖DNAまたはRNA核酸を生じさせる増幅の方法である。
【0021】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの本発明による検出プローブを含む標的配列を検出するためのキットに関する。このキットは、増幅反応を実施するために必要な試薬とプライマー配列を任意で含有することができる。例えば、NASBA増幅に好適な、本発明によるキットは、ヌクレオチドと、逆転写酵素、RNアーゼHおよびT7 RNAポリメラーゼなどの増幅酵素とを含有することができる。
【0022】
以下の定義は、本発明のより良い理解を提供するであろう。
【0023】
「核酸」または「ヌクレオチド配列」という用語は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、例えば、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン、ブロモ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイゼーションを可能にする任意の他の修飾塩基などの、修飾核酸塩基を有する少なくとも1つのヌクレオチドを任意で含む少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの鎖を意味する。このポリヌクレオチドは、例えば、ホスホロチオエート、H−ホスホネート、アルキルホスホネートなどのヌクレオチド間結合のレベルで、例えば、α−オリゴヌクレオチド(FR 2 607 507)またはPNA(M.Egholm et al.,J. Am.Chem.Soc.,114,1895−1897,1992)または2’−O−アルキルリボースおよびLNA(BW,Sun et al.,Biochemistry,4160−4169,43,2004)などの骨格のレベルで修飾することもできる。核酸は、天然または合成のもの、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸断片、リボソームRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、
・特許US−A−4,683、195、US−A−4,683、202およびUS−A−4,800,159に記載されているPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、ならびに特許EP−B−0,569,272に記載されているような、特に1段階方式の、その派生的RT−PCR(逆転写PCR)、
・例えば、特許出願EP−A−0,201,184に開示されている、LCR(リガーゼ連鎖反応)、
・特許出願WO−A−90/01069に記載されている、RCR(修復連鎖反応)、
・特許出願WO−A−90/06995に関する3SR(自己持続性配列複製)、
・特許出願WO−A−91/02818に関するNASBA(核酸配列に基づく増幅)、
・特許US−A−5,399,491に関するTMA(転写媒介増幅)、ならびに
・特許US−6,576,448に記載されているRCA(ローリングサイクル増幅)
などの酵素的増幅技術によって得られる核酸であることができる。
【0024】
本発明の意味において、「標的」または「標的核酸」は、ヌクレオチド単位の鎖の少なくとも1つの部分が、使用される検出プローブのヌクレオチド配列に特異的でかつ相補的であるヌクレオチド配列を意味する。標的は、天然であるかまたはNASBA(核酸配列に基づく増幅)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)もしくは当業者により知られている任意の他の技術などの、インビトロでの酵素的増幅の反応から得ることができる。標的配列がインビトロでの酵素的増幅の反応から生じるとき、この増幅によって生じる配列は、「アンプリコン」と呼ばれる。
【0025】
「検出プローブ」は、10〜100ヌクレオチド単位、特に10〜50ヌクレオチド単位および好ましくは25〜40ヌクレオチドの核酸配列を意味する。このプローブは、ヌクレオチド単位の鎖の少なくとも1つの部分が標的のヌクレオチド配列に特異的でかつ相補的である、第2の断片と呼ばれるヌクレオチド断片を含む。このプローブは、その長さが6から30ヌクレオチドの間および好ましくは6から15ヌクレオチドの間である閉鎖配列を各々有する、第1の断片および第3の断片と呼ばれる2つの他の断片も含む。
【0026】
「第1の断片」は、相補的であり、かつ後者が存在するときに該第3の部分に好適な極性であることができるヌクレオチド配列を意味する。
【0027】
「第2の断片」は、標的の配列に好適な極性の相補的ヌクレオチド配列を意味する。
【0028】
「第3の断片」は、該第1の部分に好適な極性の相補的ヌクレオチド配列を意味する。
【0029】
「マーカー」は、ヌクレオチドによって運ばれる分子を意味する。マーカーとヌクレオチドの間の結合を、当業者により知られている様々な方法で達成することができる。手動カップリングは、対応する反応基(例えば、アミンもしくはチオール)を担持する修飾された内部ヌクレオチドに、またはこれらの同じ反応基で修飾されたヌクレオチド鎖の1つの末端にカップリングされた、活性化基、典型的にはカルボキシルまたはチオールを担持するマーカーを用いて行なわれる。自動カップリングは、マーカーを担持するホスホロアミダイトを用いて達成され、次に、ヌクレオチド鎖の自動合成の間に、使用されるホスホロアミダイトの種類によって、鎖の1つの末端にか、または内部位置かのいずれかにカップリングが起こる。
【0030】
「フルオロフォア」は、それが好適な波長の光によって励起されたときに蛍光シグナルを放出する分子を意味する。フルオロフォアは、使用される測定機器に応じて、特にローダミンもしくはTexas Redなどの誘導体、フルオレセインもしくは誘導体、Alexa 532およびAlexa 647、Alexa 405、Alexa 700、Alexa 680などのAlexaファミリーのフルオロフォア、または好適である任意の他のフルオロフォアであることができる。検出プローブに利用可能なフルオロフォアは、非常に多様であり、かつ当業者により知られている。
【0031】
本発明の意味において、「フルオレセイン」は、それが約495nmの波長を有する光によって励起されたときに、約530nmでの最大放出を有する蛍光シグナルを放出する芳香族化学分子を意味する。
【0032】
「蛍光クエンチャー」または「クエンチャー」は、フルオロフォアによって放出された蛍光と干渉する分子を意味する。寄生放出を避けるために、このクエンチャーを非蛍光芳香族分子から選択することができる。好ましくは、該クエンチャーは、それらがフルオロフォアに物理的に近い所にあるときに蛍光の放出を妨げる非蛍光芳香族分子である、ダブシル(Dabsyl)またはダブシル(Dabcyl)または「ブラックホールクエンチャー(商標)」である。例えば、Fluorescent Energy Transfer Nucleic Acid Probes,p.4,Ed.V.V.Didenko,Humana Press 2006,ISSN 1064−3745に記載されているような、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の技術を使用することもできる。クエンチャーを、蛍光分子、例えば、TAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)から選択することもできる。
【0033】
「極性」は、その相補的配列に対する、5’から3’へのまたは3’から5’への、ヌクレオチド配列の配向を意味する。したがって、部分を以下のように配向させることができる:
逆平行:この場合、オリゴヌクレオチドは、相補的配列に対して反対の方向でハイブリダイズしている。本発明において、実施形態の1つは、該閉鎖配列がもう1つの閉鎖配列にハイズリダイズしたときに検出プローブが円い形となるように、そのとき逆向きのヌクレオチドから構成されている閉鎖配列のうちの1つを有する。
平行:この場合、オリゴヌクレオチドは、相補的配列と同じ方向でハイブリダイズしている。本発明において、実施形態の1つは、該閉鎖配列がもう1つの閉鎖配列にハイズリダイズしたときに検出プローブが円い形となるように、そのときαヌクレオチドで構成されている閉鎖配列のうちの1つを有する。
【0034】
「ハイブリダイゼーション」は、好適な条件において、十分に相補的である配列を完全にまたは部分的に有する2つの一本鎖ヌクレオチド断片が、核酸塩基間の水素結合によって安定化される二本鎖または「二重鎖」を形成することができる過程を意味する。ハイブリダイゼーション条件は、操作条件のストリンジェンシーと低塩分によって決定される。ハイブリダイゼーションは、それがより大きいストリンジェンシーの下で実施されるとき、より特異的である。ストリンジェンシーは、特に、プローブ/標的二重鎖の塩基組成との関連において、および2つの核酸間の誤対合の程度によって規定される。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液中に存在するイオン種の濃度と種類、変性剤の性質と濃度、および/またはハイブリダイゼーション温度などの、反応変数の関数であることもできる。ハイブリダイゼーション反応が実施されなければならない条件のストリンジェンシーは、主に、使用されるハイブリダイゼーションプローブによって決まる。これらのデータは全て周知であり、適当な条件は当業者によって決定されることができる。
【0035】
「αヌクレオチド」または「α−アノマーヌクレオチド」は、デオキシリボースのアノマー炭素によって運ばれる窒素含有塩基が、βヌクレオチドの場合のように平面より上にある代わりに、平面より下に位置する非天然のα−アノマー形状を有するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを意味する。αヌクレオチドの窒素含有塩基は、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン、ブロモ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイゼーションを可能にする任意の他の修飾塩基などの、修飾核酸塩基であることができる。αヌクレオチドは、例えば、ホスホロチオエート、H−ホスホネート、アルキルホスホネートなどのヌクレオチド間結合のレベルで、または例えば、2’−O−アルキルリボース、PNAおよびLNAなどの、骨格のレベルで修飾することもできる。好ましくは、αヌクレオチドは、出願WO−A−88/04301に記載されているものである。
【0036】
「逆向きのヌクレオチド」は、それらを含有する配列のそれと反対の配向を有するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを意味する。慣行に従って、合成は3’から5’の方向に行なわれるが、逆向きのヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖の残りの部分の後ろまたは前に、5’から3’の方向に導入される。その後、逆向きのヌクレオチドと鎖の残りの部分は、5’−5’または3’−3’結合によって結合される。参照が、Koga M.et al.,J.Org.Chem.,1991,56,3757に対してなされてもよい。逆向きのヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、例えば、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン、ブロモ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイゼーションを可能にする任意の他の修飾塩基などの、修飾核酸塩基を有する少なくとも1つのヌクレオチドを任意で含むことができる。逆向きのヌクレオチドを、例えば、PNA、2’−O−アルキルリボースおよびLNAなどの骨格のレベルで修飾することもできる。
【0037】
「末端」は、最初または最後のヌクレオシドにより運ばれる遊離ヒドロキシルによって運ばれる数字、すなわち、3’または5’によって一般に規定されるオリゴヌクレオチドの合成の始点と終点を意味する。伸長単位(αまたはβヌクレオシドのホスホロアミダイト、逆向きであるかないかを問わない)を適切に選択すれば、オリゴヌクレオチドを3’から5’の方向にもしくは反対の方向に合成することができるし、または伸長の方向は、合成中に、交互に入れ替わることすらできることが理解される。これにより、3’−5’、5’−3’、3’−3’または5’−5’末端を担持するオリゴヌクレオチドが生じる。
【0038】
本発明の意味において、「生物学的試料」は、核酸を含有し得る任意の試料を意味する。後者は、組織、血液、血清、唾液、患者の循環細胞から抽出することができるし、または食品、食品加工物に由来するものであることができるし、または環境起源のものであることができる。抽出は、当業者により知られている任意のプロトコルによって、例えば、特許EP−B−0,369,063に記載されている単離の方法に従って行なうことができる。
【0039】
添付の図面は、説明的な例として示されており、決して限定的なものではない。それらは、本発明を理解するのをより容易にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるプローブの完全な円形の立体構造の例。T:dT−FAM、フルオロフォア小文字のヌクレオチド:αヌクレオチドQ:蛍光クエンチャー
【図2】本発明によるプローブの完全な円形の立体構造の例。T:dT−FAM、フルオロフォアQ:蛍光クエンチャー小文字のヌクレオチド:逆向きのヌクレオチド
【図3】実施例1に記載されるような、インフルエンザBモデルのα型の本発明によるプローブの熱変性の実験(セ氏温度(℃)で測定された温度の関数としての任意単位(相対蛍光単位を表すRFU)での蛍光放出)。図3a:その合成標的の存在下でのプローブ。図3b:その標的を含まないプローブのみ。
【図4】実施例1に記載されるような、HIVモデルのα型の本発明によるプローブの熱変性の実験(温度(℃)の関数としての任意単位(RFU)での蛍光放出)。図4a:その合成標的の存在下でのプローブ。図4b:その標的を含まないプローブのみ。
【図5】実施例2に記載されるような、インフルエンザBモデルの逆向き型の本発明によるプローブの熱変性の実験(温度(℃)の関数としての任意単位(RFU)での蛍光放出)。図5a:その合成標的の存在下でのプローブ。図5b:その標的を含まないプローブのみ。
【図6】実施例2に記載されるような、HIVモデルの逆向き型の本発明によるプローブの熱変性の実験(温度(℃)の関数としての任意単位(RFU)での蛍光放出)。図6a:その合成標的の存在下でのプローブ。図6b:その標的を含まないプローブのみ。
【図7】インフルエンザB標的モデルでの本発明によるα型のプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンCpinfB(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブOpa6d(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてのセ氏温度で測定された融解点(「融解温度」を表すTm)の値を示す。
【図8】HIV−1A標的モデルでの本発明によるα型のプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンHIV−1A(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブHoa8(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてのセ氏温度で測定された融解点(Tm)の値を示す。
【図9】インフルエンザB標的モデルでの逆向き型の本発明によるプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンCpinfB(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブOpi6d(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてセ氏温度で測定された融解点(Tm)の値を示す。
【図10】HIV−1A標的モデルでの逆向き型の本発明によるプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンHIV−1A(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブHoi8(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてセ氏温度で測定された融解点(Tm)の値を示す。
【図11】反応混合物中の汚染物質の存在下での分子ビーコンプローブのおよび本発明によるプローブの望ましくない早過ぎる開裂の研究。図11a:T7 RNAポリメラーゼ酵素の存在下でのプローブの蛍光シグナル(任意単位、各値を最小初期値で割ることにより(分で表される)時間の関数として標準化された蛍光)の測定。図11b:T7 RNAポリメラーゼ酵素の非存在下でのプローブの蛍光シグナル(任意単位、各値を最小初期値で割ることにより(分で表される)時間の関数として標準化された蛍光)の測定。
【図12】本発明によるプローブで使用される様々な構造の表示。図12a:使用される様々なヌクレオチドの構造:ヌクレオチド1=β−アノマーヌクレオチド、ヌクレオチド2=α−アノマーヌクレオチド、ヌクレオチド3=逆向きのヌクレオチド。図12b:鎖の1つがαヌクレオチドで構成されているときの本発明によるプローブの閉鎖配列のハイブリダイゼーションの例(ここで、TはdT−FAM、すなわち、この分子のフルオロフォアであり;Qは蛍光クエンチャーに対応し;小文字のヌクレオチドはこの図表の右側部分にあるαヌクレオチドであり、一方、点線で引かれた円はこの図表の左側部分にあるこれらの同じα−アノマーヌクレオチドを示し;最後に、この図表の右側部分にある、大文字のヌクレオチドは、左側に、円になっていない塩基Bを含有する、βヌクレオチドである)。図12c:鎖の1つが逆向きのヌクレオチドで構成されているときの本発明によるプローブの閉鎖配列のハイブリダイゼーションの例(ここで、T:dT−FAM、フルオロフォア;Q:蛍光クエンチャー;小文字のヌクレオチド;逆向きのヌクレオチド;点線で引かれた円は5’−5’結合を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に示される全ての実施例で使用される、本発明によるプローブ、分子ビーコンプローブおよび標的核酸を、当業者により知られている、ホスホロアミダイトを用いる合成手順に従って合成する。ホスホロアミダイトを用いる合成の方法は、Beaucage and Lyer(Tetrahedron,48,223−2311,1992)により記載された。試薬およびホスホロアミダイトを、市販で、特に、Eurogentec S.A.(Seraing,Belgium)およびGlen Research(Sterling,Virginia,USA)から購入する。修飾αヌクレオチドを導入するために使用される、αホスホロアミダイトを、Chemgenes(Wilmington,MA,USA,カタログ番号.ANP−1651、ANP−1652、ANP−1653、ANP−1654)から購入する。逆向きのヌクレオチドを導入するために使用される、逆向きのホスホロアミダイトを、Glen Research(Sterling,Virginia,USA,カタログ番号.10−0001、10−0101、10−0201、10−0301)から購入する。オリゴヌクレオチドをHPLCにより精製した。それらの純度もHPLC分析によりモニタリングし、それらの同一性をMaldi−TOFマススペクトロメトリーによりモニタリングした。
【0042】
本発明によるプローブおよび分子ビーコンで使用されるマーカーは:
− Daと表記される、ダブシル(Dabsyl)蛍光クエンチャー(Glen Research,カタログ番号20−5912)
− FAM(フルオレセイン−アミン)フルオロフォア、Molecular Probes,カタログ番号C−2210
− dT−FAMと表記される、デオキシチミンヌクレオチドに付加されたFAM(フルオレセイン−アミン)フルオロフォア(Glen Research,カタログ番号10−1056)
である。
【0043】
実施例1:インフルエンザBおよびHIVモデルのα型の本発明のプローブの、それらの標的配列に対するハイブリダイゼーションの研究
目的:この実験の目的は、本発明のプローブが、相補的な標的配列の存在下でのハイブリダイゼーションによって蛍光シグナルを生じさせることができることを示すことである。
【0044】
実験設計:使用したプローブは以下の通りである:
インフルエンザBモデル − Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
HIVモデル − HOa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
【0045】
下線が付されたヌクレオチド配列は、本発明のプローブの閉鎖配列に対応する。
【0046】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0047】
使用した合成標的配列は以下の通りである:
インフルエンザBモデル、標的cC(配列番号3):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT−3’
HIVモデル、標的cH4(配列番号4):
5’−TTTACTCTATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATTTT−3’
【0048】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0049】
最終容量は、20μlである。
【0050】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0051】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。
【0052】
結果:得られた結果を図3および4に示す。
【0053】
それらのそれぞれの合成標的配列(図3aおよび4a)の存在下でのプローブOpa6およびHoa8は、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブはその標的にハイブリダイズしており、フルオロフォアはクエンチャーから最大限離れている。蛍光は最大である。高温で、プローブ/標的二重らせんは不安定化し、プローブは一本鎖になり始め、フルオロフォアとクエンチャーの間の距離は減少し、蛍光の減少を引き起こす。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、「Tm−標的」の値によって示される。Tmは、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する。Tm−標的は、曲線の一次導関数の最小値として計算される。プローブOpa6およびHoa8は、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、それらの標的にハイブリダイズしたままにし、したがって、その標的配列の存在下で最大の蛍光シグナルを生じさせることを可能にするTm−標的(表1参照)を有する。
【0054】
Opa6dおよびHoa8プローブ単独(図3bおよび4b)は、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブは円い形で構造化され、フルオロフォアはクエンチャーの非常に近くにある。放出される蛍光は非常にわずかである。高温で、二次構造は解離し、フルオロフォアはクエンチャーから離れ、蛍光放出は徐々に増加し、二次構造が完全に変性したときにプラトーに達する。プローブの二次構造の熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する、「Tm−プローブ」の値によって示される。Tm−プローブは、曲線の一次導関数の最大値として計算される。Opa6dおよびHoa8プローブは、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、閉じたままにし、したがって、その標的配列の非存在下で最小の残存蛍光を生じさせることを可能にするTm−プローブ(表1参照)を有する。
【0055】
「O/C比」とも呼ばれる、「開/閉比」により、41℃でその標的の存在下でプローブにより生じるシグナルのレベルを測定することが可能になる。それは、プローブ単独により生じる残存シグナルに対するその標的配列の存在下でプローブにより生じるシグナルの比として計算される。
【0056】
表1は、この実施例に記載されたプローブで得られたTm−プローブ、Tm−標的およびO/C比の値を示す。
【0057】
結論:単独で溶液中にある、インフルエンザBおよびHIVモデルのα型の本発明によるプローブは、41℃で安定な二次構造を形成し、フルオロフォアとクエンチャーの近接性のために、蛍光シグナルの消光をもたらす。
【0058】
それらが、それらの合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それらは、それらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。
【0059】
実施例2:インフルエンザBおよびHIVモデルの逆向き型の本発明によるプローブのそれらの標的配列に対するハイブリダイゼーションの研究
目的:この実験の目的は、本発明による修飾されたプローブが、相補的な標的配列の存在下でのハイブリダイゼーションによって蛍光シグナルを生じさせることができることを示すことである。
【0060】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
インフルエンザBモデル − プローブOpi6d(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−3’−(dT−FAM)−3’−cctcttctg−5’
HIVモデル − プローブHOi8d(配列番号6):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttactc−5’
【0061】
下線が付された配列は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0062】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0063】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
インフルエンザBモデル、標的cC(配列番号3):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT−3’
HIVモデル、標的cH4(配列番号4):
5’−TTTACTCTATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATTTT−3’
【0064】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ,ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0065】
最終容量は、20μlである。
【0066】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0067】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。結果を温度対蛍光のグラフの形で表す。
【0068】
結果:得られた結果を図5および6に示す。
【0069】
それらのそれぞれの合成標的配列(図5aおよび6a)の存在下でのOpi6およびHoi8dプローブは、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブはその標的にハイブリダイズし、フルオロフォアをクエンチャーから離すのに十分固い二重鎖を形成する。この二重鎖において、2つの分子は最大限離れている。放出される蛍光は最大である。
【0070】
高温で、プローブ/標的二重らせんは解離し、その後、プローブは一本鎖になり始める。この場合、このプローブ内の二次構造が解離したとしても、変性したプローブの柔軟性のために、フルオロフォアとクエンチャーの間の距離は、プローブ/標的二重らせんにおけるそれよりも小さい。これが、消光による蛍光の減少を引き起こす。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する、「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、曲線の一次導関数の最小値として計算される。Opi6およびHoi8dプローブは、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、それらの標的にハイブリダイズしたままにし、したがって、それらの標的配列の存在下で最大の蛍光シグナルを生じさせることを可能にするTm−標的(表2参照)を有する。
【0071】
Opi6dおよびHoi8dプローブ単独(図5bおよび5b)は、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブは円い形で構造化され、フルオロフォアはクエンチャーの非常に近くにある。放出される蛍光は非常にわずかである。高温で、二次構造は解離し、フルオロフォアはクエンチャーから離れ、蛍光放出は徐々に増加し、二次構造が完全に変性したときにプラトーに達する。プローブの二次構造の熱安定性は、曲線の転換点に対応する、「Tm−プローブ」の値によって示される。Tm−プローブは、曲線蛍光=f(温度)の一次導関数の最大値として計算される。Opi6dおよびHoi8dプローブは、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、閉じたままにし、したがって、その標的配列の非存在下で最小の残存蛍光を生じさせることを可能にするTm−プローブ(表2参照)を有する。
【0072】
「O/C比」とも呼ばれる、「開/閉比」により、41℃でその標的の存在下でプローブにより生じるシグナルのレベルを測定することが可能になる。それは、プローブ単独により生じる残存シグナルに対するその標的配列の存在下でプローブにより生じるシグナルの比として計算される。
【0073】
表2は、この実施例に記載されたプローブで得られたTm−プローブ、Tm−標的およびO/C比の全ての値を示す。
【0074】
結論:単独で溶液中にある、インフルエンザBおよびHIVモデルの逆向き型の本発明によるプローブは、41℃で安定な二次構造を形成し、フルオロフォアとクエンチャーの近接性のために、蛍光シグナルの消光をもたらす。
【0075】
それらが、それらの合成標的配列の存在下で溶液中にある場合、それらは、それらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。
【0076】
実施例3:α型の本発明によるプローブによる標的インフルエンザBのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0077】
実験設計:増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、インフルエンザBウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0078】
使用したプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P1(配列番号7):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGGAGCTCTGCTTTAGCACTTCCA−3’
P2(配列番号8):
5’−GAGAAATGCAGATGGTCTCAGCTA−3’
Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
【0079】
プライマーP1のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0080】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0081】
Opa6dプローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0082】
プライマーP1の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP2の配列は、プライマーP1の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP1のハイブリダイゼーション配列とプライマーP2の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、「アンプリコン」と呼ばれる、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0083】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136 & 60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP1、
・0.4μlの10μMのプライマーP2、
・0.16μlの10μMのOpa6dプローブ、
・反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0084】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。全ての実験を二重に行なう。
【0085】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤60085192に対して1「酵素」アキュスフェア60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、FAMフルオロフォアにより放出される蛍光を520nmで90分間読み取りながら、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアによってモニタリングした。
【0086】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。「α3」という値は、Weustenら(Nucleic Acids Research 2002,vol.30,No.6,e26)の論文に記載されたような「プライマー消耗時間」である。この値は、蛍光シグナルの増加が検出可能になり始める時間に対応する。増幅が速く、それゆえ、効率的になればなるほど、α3値はますます小さくなる。
【0087】
「MSR」という値は、「最大シグナル比」である。この値は、シグナルが増加し始める前の、初期値に対して外挿される理論的な最終蛍光値に対する増幅反応の最後に読み取られる蛍光値の比に対応する。この値は、プローブによって取得されるシグナルレベルであり、陽性とみなされるシグナルについては1よりも大きくならなければならない。これら2つの値は、各試料について、EasyQリーダーというソフトウェアによって自動的に計算され、表示される。
【0088】
結果:NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーの標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、4.47の最適「MSR」と23分から31分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0089】
結論:
本発明によるOpa6dプローブは、4.47(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、23分から31分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0090】
実施例4:逆向き型の本発明によるプローブによる標的インフルエンザBのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0091】
実験設計:
増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、インフルエンザBウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0092】
使用されたプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P1(配列番号7):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGGAGCTCTGCTTTAGCACTTCCA−3’
P2(配列番号8):
5’−GAGAAATGCAGATGGTCTCAGCTA−3’
Opi6dプローブ(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−(dT−FAM)−3’−3’−cctcttctg−5’
【0093】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0094】
プライマーP1のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0095】
Opa6dプローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向き型のヌクレオチドに対応する。
【0096】
プライマーP1の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP2の配列は、プライマーP1の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP1のハイブリダイゼーション配列とプライマーP2の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0097】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136及び60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP1、
・0.4μlの10μMのプライマーP2、
・0.16μlの10μMのOpi6dプローブ、
・反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0098】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。
【0099】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤ref.60085192に対して1「酵素」アキュスフェアref.60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアでモニタリングし、FAMフルオロフォアの蛍光を520nmで90分間読み取る。
【0100】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。
【0101】
結果:NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーの標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、3.88の最適「MSR」と18分から26分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0102】
結論:本発明によるプローブOpi6dは、3.88(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、18分から26分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0103】
実施例5:α型の本発明によるプローブによる標的HIVのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0104】
実験設計:増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、「HIV」ヒト免疫不全ウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0105】
使用されたプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P3(配列番号9):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGTGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCA−3’
P4(配列番号10):
5’−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAA−3’
Hoa6プローブ(配列番号11):
5’−accctatcc−(dT−FAM)−ATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−Da
【0106】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0107】
プライマーP3のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0108】
プローブHoa6中の小文字で書かれたヌクレオチドは、αヌクレオチドに対応する。
【0109】
プライマーP3の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP4の配列は、プライマーP3の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP3のハイブリダイゼーション配列とプライマーP4の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、「アンプリコン」と呼ばれる、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0110】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136および60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP3、
・0.4μlの10μMのプライマーP4、
・0.16μlの10μMのプローブHoa6、
反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0111】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。
【0112】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤ref.60085192に対して1「酵素」アキュスフェアref.60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアでモニタリングし、FAMフルオロフォアの蛍光を520nmで90分間読み取る。
【0113】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。
【0114】
結果:
NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーと等しいかまたはそれ未満の標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、2.53の最適「MSR」と14分から22分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0115】
結論:
本発明によるプローブHoa6は、2.53(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、14分から22分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0116】
実施例6:逆向き型の本発明によるプローブによる標的HIVのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0117】
実験設計:
増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、「HIV」ヒト免疫不全ウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0118】
使用されたプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P3(配列番号9):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGTGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCA−3’
P4(配列番号10):
5’−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAA−3’
Hoi6dプローブ(配列番号12):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−(dT−FAM)3’−ggtagttact−5’
【0119】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0120】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0121】
プライマーP3のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0122】
Hoi6dプローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0123】
プライマーP3の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP4の配列は、プライマーP3の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP3のハイブリダイゼーション配列とプライマーP4の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、「アンプリコン」と呼ばれる、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0124】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136および60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP3、
・0.4μlの10μMのプライマーP4、
・0.16μlの10μMのプローブHoi6d、
・反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0125】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。
【0126】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤ref.60085192に対して1「酵素」アキュスフェアref.60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアでモニタリングし、FAMフルオロフォアの蛍光を520nmで90分間読み取る。
【0127】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。
【0128】
結果:NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーと等しいかまたはそれ未満の標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、2.03の最適「MSR」と15分から21分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0129】
結論:本発明によるプローブHoi6dは、2.03(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、15分から21分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0130】
実施例7:インフルエンザBモデルでの本発明によるプローブの特異性の研究
目的:プローブの特異性は、その標的のみを認識し、したがって、それを、例えば、誤対合または欠失を含む標的から区別するその能力である。分子ビーコンは、それらが、たった1つのヌクレオチドだけ異なる2つの標的の区別を可能にするので、現在、最も特異的な分子プローブである。この実験の目的は、同じ認識配列を含有する分子ビーコンプローブと比較して、本発明によるプローブの特異性のレベルを示すことである。
【0131】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
分子ビーコンCP InfB(配列番号13):
5’−(FAM)−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
Opa6プローブ(配列番号14):
5’−gagcgtagc(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGCATCG−3’Da
Opa5プローブ(配列番号15):
5’−gagctagc(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
Opi4プローブ(配列番号16):
3’−gagctagc−5’−5’−(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
Opi3 プローブ(配列番号17):
3’−gctagcc−5’−5’−(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCGG−3’Da
【0132】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列におよび分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列に対応する。
【0133】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0134】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0135】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的cC(配列番号3):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT−3’
標的cG(配列番号18):
5’−TTTAGTTTTTGGAGGTCTTCTCCTTT−3’
標的cA(配列番号19):
5’−TTTAGTTTTTGGAAGTCTTCTCCTTT−3’
標的cT(配列番号20):
5’−TTTAGTTTTTGGATGTCTTCTCCTTT−3’
【0136】
合成標的配列「cC」は、プローブの配列の一部に完全に相補的である。合成標的配列「cG」、「cA」および「cT」は、対応する文字の下線によって示される、プローブ中の相補的配列に対する誤対合を含有する。
【0137】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0138】
最終容量は、20μlである。
【0139】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0140】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。結果を温度(℃)対蛍光(RFU)のグラフの形で表す。
【0141】
結果:インフルエンザBモデルについて検査されたプローブの中で、OPa6は、完全な標的(cC)と誤対合を有する標的(cG、cAまたはcT)の間の最も大きいTm−標的の差を示すものである。
【0142】
この表は、得られたグラフから測定されたTm値を1つにまとめている。図9は、これらのグラフの2つの例を示す。その完全な標的を含むプローブのTm−標的と誤対合を有する標的を有するプローブのTm−標的の間の差は、グラフ上ではっきりと見られ、プローブOPi4とOPa6では10℃に達することができる。誤対合を有する標的を含むプローブのTm−標的は、プローブのTm−ステムに非常に近いので、後者は、その標的とハイズリダイズする前に、それ自身に近づく。
【0143】
結論:本発明によるプローブは、所与の標的の特異的プローブであり、この分野でのそれらの性能は、参照分子ビーコンのそれとよく似ている。これは、所与の遺伝子における単一ヌクレオチドの変化に相当するSNPすなわち単一ヌクレオチド多型の検出にとって大きな関心事となる。
【0144】
実施例8:HIVモデルでの本発明によるプローブの特異性の研究
目的:プローブの特異性は、その標的のみを認識し、したがって、それを、例えば、誤対合または欠失を含む標的から区別するその能力である。分子ビーコンは、それらが、たった1つのヌクレオチドだけ異なる2つの標的の区別を可能にするので、現在、最も特異的な分子プローブである。この実験の目的は、同じ認識配列を含有する分子ビーコンプローブと比較して、本発明によるプローブの特異性のレベルを示すことである。
【0145】
実験設計:使用されるプローブは以下の通りである:
分子ビーコンHIV−1A(配列番号21):
5’(FAM)−CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
Hoa6プローブ(配列番号11):
5’−accctatcc(dT−FAM)ATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’Da
Hoa7(配列番号22):
5’−ttaccctatc(dT−FAM)ATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
Hoa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
Hoi6dプローブ(配列番号12):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttact−5’
Hoi7dプローブ(配列番号23):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttactc−5’
Hoi8dプローブ(配列番号6):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttactc−5’
【0146】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列におよび分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列に対応する。本発明によるプローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0147】
本発明によるプローブ中の小文字でおよび太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0148】
使用された合成標的配列以下の通りである:
標的cH5(配列番号24):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTT−3’
標的cGH5(配列番号25):
5’−TTTCATTCTGCAGGTTCCTCATTT−3’
標的cAH5(配列番号26):
5’−TTTCATTCTGCAGATTCCTCATTT−3’
標的cTH5(配列番号27):
5’−TTTCATTCTGCAGTTTCCTCATTT−3’
【0149】
合成標的配列「cH5」は、プローブの配列の一部に完全に相補的である。合成標的配列「cGH5」、「cAH5」および「cTH5」は、対応する文字の下線によって示される、プローブ中の相補的配列に対する誤対合を含有する。
【0150】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0151】
最終容量は、20μlである。
【0152】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0153】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。結果を温度対蛍光のグラフの形で表す。
【0154】
結果:
結果を以下の表および図10に示す。
【0155】
この表は、得られたグラフから測定されたTm値を1つにまとめている。図10は、これらのグラフの2つの例を示す。完全に相補的な標的でのTmと誤対合を含有する標的でのTmの間の差がはっきりと見られ、プローブHOi6dとHOi7dでは9℃に達することができる。
【0156】
結論:本発明によるプローブは、所与の標的の特異的プローブであり、この分野でのそれらの性能は、参照分子ビーコンHIV−1Aのそれを上回りさえする。これは、所与の遺伝子における単一ヌクレオチドの変化に相当するSNPすなわち単一ヌクレオチド多型の検出にとって大きな関心事となる。
【0157】
実施例9:インフルエンザBモデルのα型の本発明によるプローブのそれらの標的配列への特異的ハイブリダイゼーションの研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが分子ビーコンプローブよりも特異的に標的核酸にハイブリダイズすることを示すことである。
【0158】
一般に、分子ビーコンプローブを設計するとき、考慮されるTmは、標的配列に相補的な配列である、認識配列から計算されたTm(計算Tm)である。実際、分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列は、標的核酸にハイブリダイズしないと考えられる。さて、分子ビーコンプローブの実際のTmは、分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列の標的配列との相互作用のために、計算されたTmよりもわずかに高いことがある。さらに、「ステム」部分を形成する鎖は、標的の配列に非特異的にハイブリダイズすることができ、このことは、分子ビーコンの標的へのハイブリダイゼーションの全体的な安定性を増大させ(実際のTm−標的は計算されたTm−標的よりも高い)、かつそれにより、このハイブリダイゼーションの特異性を低下させる効果を有する。
【0159】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
分子ビーコンCpinfB(配列番号13):
5’−(FAM)−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
【0160】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0161】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0162】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的Bioa2I(配列番号28):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTTTCCAATT−3’
標的6Ba2I(配列番号29):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCCGATCGAATT−3’
標的10Pa2I(配列番号30):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCACAGACGGTC−3’
標的6Pa2I(配列番号31):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCACAGACAATT−3’
標的1Ba2I(配列番号32):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCCTTTCCAATT−3’
標的1Pa2I(配列番号33):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCATTTCCAATT−3’
標的2Ba2I(配列番号34):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCCGTTCCAATT−3’
標的2Pa2I(配列番号35):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCACTTCCAATT−3’
【0163】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)、または本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0164】
配列Bioa2I(配列番号28)は、インフルエンザBウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。
【0165】
標的配列6Ba2I(配列番号29)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0166】
標的配列10Pa2I(配列番号30)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で強調された配列の3’に10個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら10個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0167】
標的配列6Pa2I(配列番号31)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0168】
標的配列1Ba2I(配列番号32)は、配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列のヌクレオチドに相補的である。
【0169】
標的配列1Pa2I(配列番号33)は、配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0170】
標的配列2Ba2I(配列番号34)は、配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線で強調された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0171】
標的配列2Pa2I(配列番号35)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0172】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0173】
最終容量は、20μlである。
【0174】
陰性対照は、標的配列の代わりに水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0175】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0176】
結果:
結果を表5および図7に示す。表5は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)と標的Bioa2I(配列番号28)の間で測定されたTm−標的値および本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)と標的Bio2aI(配列番号28)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、57.3℃および56.4℃に等しい。
【0177】
分子ビーコンプローブCpinfB(配列番号13)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それらにハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンCPinfBの「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、分子ビーコンプローブのTm−標的の増加が観察される。この増加は、分子ビーコンのステム部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に比例しており、CPinfBプローブの「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列のヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列に隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0178】
本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)(α型のプローブ)が様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それはそれらにハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が本発明によるプローブOpa6dの閉鎖配列の1つに相補的なヌクレオチドを含有するとき、該相補的なヌクレオチドの数にかかわらず、本発明によるプローブのTm−標的の値が安定なままであることが観察される。これは、本発明によるプローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列に隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0179】
結論:これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブOpa6dは、分子ビーコンプローブCPinfBよりも特異的である。Opa6dプローブの分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0180】
実施例10:HIVモデルの5’のα型の本発明による特異的プローブのそれらの標的配列へのハイブリダイゼーションの研究
目的:この実施例における目的は、異なる標的モデルについて実施例9で既に記載されたものと同じである。
【0181】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
HOa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
分子ビーコンHIV−1A(配列番号21):
5’−(FAM)CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
【0182】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0183】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0184】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的BioH(配列番号36):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCTTTTAAC
標的5BH(配列番号37):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATAGTTTAAC
標的11PH(配列番号38):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATAGGGT
標的5PH(配列番号39):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATTTAAC
標的1BH(配列番号40):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGCTCTTTTAAC
標的1PH(配列番号41):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGACTCTTTTAAC
標的2BH(配列番号42):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATCTTTTAAC
標的2PH(配列番号43):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGTCTTTTAAC
【0185】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)、または本発明によるプローブHOa8(配列番号2)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0186】
標的配列BioH(配列番号36)は、HIVウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。それは、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖の配列の1つに相補的なヌクレオチドを含有することができる。
【0187】
標的配列5BH(配列番号37)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0188】
標的配列11PH(配列番号38)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で強調された配列の3’に11個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら11個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0189】
標的配列5PH(配列番号39)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0190】
標的配列1BH(配列番号40)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0191】
標的配列1PH(配列番号41)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0192】
標的配列2BH(配列番号42)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これらのヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0193】
標的配列2PH(配列番号43)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0194】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0195】
最終容量は、20μlである。
【0196】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0197】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0198】
結果:
結果を表6および図8に示す。以下に示す、表6は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)と標的BioH(配列番号36)の間で測定されたTm−標的値および本発明によるプローブHoa8(配列番号2)と標的BioH(配列番号36)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、60.6℃および60.2℃に等しい。
【0199】
*:分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)と相補的標的5BH(配列番号37)の間のTmの値は、測定可能な最大値の68℃よりも大きかった。本実験の目的のために、本発明者らは、測定することができる最大可能値を示している。
【0200】
NA:適用できない。本発明によるプローブHOa8(配列番号2)と相補的標的1BH(配列番号40)の間のTmの値は、プロファイルが、本発明者らの方法を用いて測定可能な標準に対応しないので、測定することができなかった。この値は、グラフの経験的読取りから決定されたものであり、60℃である。
【0201】
分子ビーコンプローブHIV−1A(配列番号21)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それらにハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンHIV−1Aの「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、分子ビーコンプローブのTm−標的の増加が観察される。この増加は、「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に比例しており、これらのヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0202】
(α型の)本発明によるプローブHOa8(配列番号2)が様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それはこれらの配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的がHOa8プローブの閉鎖配列の1つに相補的なヌクレオチドを含有するとき、α型の本発明によるプローブのTm−標的は安定なままであり、本発明によるプローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0203】
結論:
これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブHOa8は、分子ビーコンプローブHIV−1Aよりも特異的である。HOa8プローブの分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0204】
実施例11:インフルエンザBモデルの3’の逆向き型の本発明による特異的プローブのそれらの標的配列へのハイブリダイゼーションの研究
目的:
この実施例における目的は、実施例9で記載されたものと同じであるが、本発明によるプローブの異なる設計を用いている。
【0205】
実験設計:
使用されたプローブは以下の通りである:
Opi6dプローブ(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−3’(dT−FAM)3’−cctcttctg−5’
分子ビーコンCP2infB(配列番号13):
5’−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGACGATCG−3’Da
【0206】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0207】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向き型のヌクレオチドに対応する。
【0208】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的BioiI(配列番号44):
TTGCAGCTCTTCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的6BiI(配列番号45):
TTGCCGATCGTCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的10PiI(配列番号46):
CAGAAGAGGATCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的6PiI(配列番号47):
TTGCAGAGGATCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的1BiI(配列番号48):
TTGCAGCTCGTCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的1PiI(配列番号49):
TTGCAGCTCATCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
【0209】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)、または本発明によるプローブHOa8(配列番号5)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0210】
標的配列BioiI(配列番号44)は、インフルエンザBウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。それは、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖の配列に相補的なヌクレオチドを含有することができる。
【0211】
標的配列6BiI(配列番号45)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0212】
標的配列10PiI(配列番号46)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に10個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら10個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0213】
標的配列6PiI(配列番号47)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)の閉鎖配列のうちの1つの配列に相補的である。
【0214】
標的配列1BiI(配列番号48)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0215】
標的配列1PiI(配列番号49)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0216】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0217】
最終容量は、20μlである。
【0218】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQタイプの超純水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0219】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0220】
結果:
結果を表7および図9に示す。表7は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)と標的BioiI(配列番号44)の間で測定されたTm−標的値および本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)と標的BioiI(配列番号44)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、62℃および62.9℃に等しい。
【0221】
*:分子ビーコンCP2infB(配列番号13)と相補的標的6BiI(配列番号45)の間のTmの値は、測定可能な最大値の68℃よりも大きかった。本実験の目的のために、本発明者らは、測定することができる最大可能値を示している。
【0222】
分子ビーコンプローブCP2infB(配列番号13)、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンプローブCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、本発明者らは、「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に対する分子ビーコンプローブのTm−標的の値の比例的増加を観察する。これは、プローブCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0223】
(逆向き型の)本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が本発明によるプローブOpi6dの閉鎖配列(配列番号5)の1つの相補的ヌクレオチドを含有するとき、逆向き型の本発明によるプローブのTm−標的は安定なままであり、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0224】
結論:
これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブOpi6dは、分子ビーコンプローブCPinfBよりも特異的である。プローブOpi6dの分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0225】
実施例12:HIVモデルの5’の逆向き型の本発明によるプローブのそれらの標的配列へのハイブリダイゼーションの研究。
目的:
この実施例における目的は、実施例9で記載されたものと同じであるが、本発明によるプローブの異なる設計と標的の異なるモデルとを用いている。
【0226】
実験設計:
使用されたプローブは以下の通りである:
HOi8プローブ(配列番号50):
3’−accctatctc−5’−5’−(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
HIV−1A参照分子ビーコン(配列番号21):
5’−(FAM)−CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
【0227】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0228】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向き型のヌクレオチドに対応する。
【0229】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的BioH(配列番号36):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCTTTTAAC−3’
標的5BH(配列番号37):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATAGTTTAAC−3’
標的11PH(配列番号38):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATAGGGT−3’
標的5PH(配列番号39):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATTTAAC−3’
標的1BH(配列番号40):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGCTCTTTTAAC−3’
標的1PH(配列番号41):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGACTCTTTTAAC−3’
標的2BH(配列番号42):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATCTTTTAAC−3’
標的2PH(配列番号43):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGTCTTTTAAC−3’
【0230】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)または本発明によるプローブHOi8(配列番号50)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0231】
標的配列BioH(配列番号36)は、HIVウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。それは、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖の配列に相補的なヌクレオチドを含有することができる。
【0232】
標的配列5BH(配列番号37)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0233】
標的配列11PH(配列番号38)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に11個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら11個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0234】
標的配列5PH(配列番号39)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0235】
標的配列1BH(配列番号40)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0236】
標的配列1PH(配列番号41)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0237】
標的配列2BH(配列番号42)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0238】
標的配列2PH(配列番号43)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0239】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0240】
最終容量は、20μlである。
【0241】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQタイプの超純水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0242】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0243】
結果:
結果を表8および図10に示す。表8は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)と標的BioH(配列番号36)の間で測定されたTm−標的値におよびHOi8(配列番号50)によるプローブと標的BioH(配列番号36)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、60.6℃および61.1℃に等しい。
【0244】
*:分子ビーコンHIV−1Aと相補的標的5BHの間のTmの値は、測定可能な最大値の68℃よりも大きかった。本実験の目的のために、本発明者らは、測定することができる最大可能値を示している。
【0245】
分子ビーコンプローブHIV−1A(配列番号21)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、分子ビーコンプローブのTm−標的が、「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に対して比例的に増加することが観察される。これは、プローブHIV−1A(配列番号21)の鎖のうちの1つの配列のヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0246】
(逆向き型の)本発明によるプローブHOi8(配列番号50)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が本発明によるプローブHOi8の閉鎖配列(配列番号50)のうちの1つに相補的なヌクレオチドを含有するとき、逆向き型の本発明によるプローブのTm−標的は安定なままであり、本発明によるプローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0247】
結論:
これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブHoi8dは、分子ビーコンプローブHIV−1Aよりも特異的である。プローブHoi8の分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0248】
一般的結論:
これらの実施例は、本発明によるプローブの設計とは無関係に、後者が分子ビーコンプローブのそれよりも大きいハイブリダイゼーションの特異性を示すことを示している。ヌクレオチドの性質(αヌクレオチドまたは逆向きのヌクレオチド)および本発明によるプローブの第2の断片に対するそれらの位置(3’での位置または5’での位置)は、本発明によるプローブの設計の質または本発明によるプローブのハイブリダイゼーションのその標的核酸に対する特異性に影響を与えない。
【0249】
実施例13:本発明によるプローブを用いることによる酵素に起因する非特異的シグナルの低下の研究。
目的:
この実施例の目的は、該プローブの早過ぎる開裂という望ましくない現象に関連した本発明によるプローブの感度を研究することである。
【0250】
実験設計:
プローブを、その組成が以下に記載されている、反応混合物中での、NASBAで使用されるT7 RNAポリメラーゼ酵素とともに、41℃で4時間、蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中でインキュベートする。反応混合物の組成は以下の通りである:
・供給元の取扱説明書に従って、64μlの基本キット試薬スフェア希釈液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号70352)に希釈したNucliSens EQ基本キット試薬スフェア(ビオメリューB.V.,ボクステルNL,商品番号60085110)から調製した、10μLの「試薬ミックス」、
・3.76マイクロリットルのソルビトール(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085192)、
・0.2マイクロリットルの80ユニット/マイクロリットルの濃度の酵素T7 RNAポリメラーゼ(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号72236)、
・2マイクロリットルの2マイクロモルの初期濃度のプローブ。
・最終容量20マイクロリットルにするための十分な量の「酵素ミックス溶液」。
【0251】
酵素以外の全ての構成要素を含有する、参照反応混合物を調製し、これを等量の「酵素ミックス溶液」と置き換える。
【0252】
以下のような、いくつかの他の溶液を混合することによって、「酵素ミックス溶液」を調製した:
80μlのRT保存緩衝液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085341)、
114μlのT7保存緩衝液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085337)、
20μlのRH保存緩衝液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085339)、
411μlのプレミックス溶液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085335)、
625μlのミリQタイプの超純水。
【0253】
蛍光シグナルは、フルオレセインの放出波長で、41℃で4時間記録される。
【0254】
使用されたプローブは以下の通りである:
Opi6dプローブ(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−3’(dT−FAM)3’−cctcttctg−5’
Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
HOi8プローブ(配列番号50):
3’−accctatctc−5’−5’−(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
HOa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
分子ビーコンHIV−1A(配列番号21):
5’−(FAM)−CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
分子ビーコンCpinfB(配列番号13):
5’−(FAM)−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
【0255】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列に対応する。
【0256】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0257】
結果:
蛍光放出は、T7 RNAポリメラーゼ酵素の存在下(図11a)または非存在下(図11b)で、様々なプローブのインキュベーション中に測定される。
【0258】
標的核酸の非存在下かつT7 RNAポリメラーゼの非存在下(図11b)では、本発明によるプローブの場合であれ、分子ビーコンプローブの場合であれ、蛍光シグナルは検出されない。これは、これらの実験条件において、フルオロフォアとクエンチャーが互いに近くにあり、蛍光の「クエンチング」が可能になることを意味する。それゆえ、分子ビーコンプローブは閉じた立体構造をしている、すなわち、ヘアピン形の二次構造を有する。
【0259】
本発明によるプローブは、環状立体構造と呼ばれる、閉じた立体構造をしている。
【0260】
T7 RNAポリメラーゼの存在下かつ任意の標的核酸の非存在下では、本発明によるプローブにより放出される蛍光は、T7 RNAポリメラーゼの非存在下かつ任意の標的核酸の非存在下で測定されるものと同じである。蛍光の「クエンチング」はここでも観察される。本発明によるプローブは、酵素の存在下でさえも、依然としてそれらの最初の立体構造、すなわち、環状立体構造をしている。
【0261】
逆に、T7 RNAポリメラーゼ酵素を、分子ビーコンプローブを含有する反応混合物に添加したとき、蛍光シグナルの増加が観察される。これは、フルオロフォアとクエンチャーの間の距離が増加したことを意味する。分子ビーコンの立体構造の変化は、T7 RNAポリメラーゼの添加中に起こった。分子ビーコンプローブは開裂した。それらは、まるでそれらがそれらの標的核酸にハイブリダイズしてしまったかのように、線状の立体構造を有する。
【0262】
結論:
これらの結果は、解析された2つの分子ビーコン、CPinfBおよびHIV−1Aが、酵素T7 RNAポリメラーゼの存在下でのそれらのインキュベーション中にシグナルの増加をもたらすのに対し、同じ条件で解析された本発明によるプローブはこの同じシグナルの増加をもたらさないということを示している。それらが3’で修飾された閉鎖配列を有するにせよ、5’で修飾された閉鎖配列を有するにせよ、およびそれらがαヌクレオチドを含有するにせよ、逆向きのヌクレオチドを含有するにせよ、この結果は、検査された全ての本発明によるプローブについて確認される。それゆえ、本発明によるプローブは、例えば、T7 RNAポリメラーゼなどの混入物質の作用に感受性がない。本発明によるプローブの望ましくない自発的開裂はなく、それゆえ、非特異的シグナルの放出がない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のヌクレオチドプローブによる核酸の検出に関する。本発明は、診断の分野において用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
今日、標的ヌクレオチド配列を見出すことは、多くの研究室におけるおよび特に医療または食品加工分野における主な目的を表す。これらの分野では、標的配列を見出すことは、例えば、病原性生物を検出すること、食品加工過程において細菌汚染を発見すること、または遺伝的疾患もしくは癌の原因となる突然変異の診断といった目的を有する。これらの方法における主な困難は、使用される検査の特異性、感度、速さ、および再現性に関するものである。特に診断の分野では、明確な結果を示すことができることが絶対に必要不可欠である。
【0003】
様々なタイプの方法が文献に記載されている。それらは通常、「核酸のハイブリダイゼーション」または単に「ハイブリダイゼーション」と一般に呼ばれる、核酸の相補鎖を対合させる特性に基づいている。
【0004】
通常、生物のまたは解析しなければならない疾患の特定の配列を決定した後、試料から核酸を抽出し、場合により目的の配列を増幅および検出することが必要である。PCR、LCR、NASBA、TMA、SDAなどの、非常に多くの増幅の方法が開発されている。検出のための多くの技術もある。これらのうちの1つは、「分子ビーコン」と一般に呼ばれる、Tyagi and Kramer(Nature Biotech,1996,14:303−308)によって記載された、特殊なプローブを利用する。これらのプローブは、一本鎖「ループ」部分と二本鎖「ステム」部分とを含むヘアピン構造を有する。「ループ」部分は、標的ヌクレオチド配列に対する相補的配列を含有し、「ステム」部分は、互いに相補的である2つの配列によって形成されている。「ステム」部分の相補的配列のうちの1つの遊離末端がフルオロフォアで標識されているのに対し、「ステム」部分のもう1つの鎖のもう1つの遊離末端は蛍光クエンチャーと結合している。相補的な標的配列の非存在下では、検出プローブはヘアピン形であり、プローブは蛍光を生じず、フルオロフォアのエネルギーは蛍光クエンチャーに直接移される。このプローブが標的配列にハイブリダイズしたとき、それは、その形状を失い、5’および3’末端がさらに離れていき、蛍光クエンチャーとフルオロフォアが互いに引き離される。そのとき、放出される蛍光は、標的上でのプローブのハイブリダイゼーションを反映し、これは、その増幅の間に検出され、任意で定量される。その場合、これは、リアルタイム均一相検出と呼ばれる。しかしながら、これらの分子ビーコンプローブは、特定の汚染物質の存在下で「ステム」部分の望ましくない早過ぎる開裂を示すことがある。分子ビーコンプローブが、例えば、NASBAタイプの増幅で使用される酵素のような、反応混合物中に存在する酵素と未知の機構によって相互作用することが実際に観察されている。これらの相互作用は、任意の生物学的標的の非存在下でも生じ、非特異的蛍光シグナルの増加の原因となる。
【0005】
分子ビーコンプローブは、ステムの配列に対する非常に特別な設計を余儀なくさせる重大な合成制約を有する。実際、それらは、特に後者がGC塩基に富む場合、検出される標的に非特異的にハイブリダイズし、偽陽性または相当なバックグラウンドノイズを誘導して、検出の感度に影響を与えることがある。さらに、ステムを形成させるために、2つの相補的配列を導入する必要があり;その場合、ヘアピンプローブの完全な配列は、通常20個のヌクレオチドしか分子認識に必要でないのに、少なくとも30個のヌクレオチドを含む。したがって、これらのヘアピンプローブの合成における収量はかなり限られている。これらのプローブの別の欠点は、ループのそれ自体への折り返しと内部「ループ−ループ」相互作用とを促進する「ステム−ループ」構造のために、ヘアピン構造を設計するのが難しいことである。したがって、その場合、必要とされる熱力学特性を有する配列を見出す前に、いくつかの設計と合成が必要であることが多い。
【0006】
ステムの非特異的なハイブリダイゼーションの問題を克服するよう努力するために、様々な解決法が提案されてきた。一例として、Crey−Desbiollesら(Nucleic Acids Res.,May 2005;33:e77)は、ステムの天然ヌクレオチドを、ステムを形成するよう互いにハイブリダイズするが、標的の天然ヌクレオチドにはハイブリダイズすることができない修飾ヌクレオチドと置き換えることを提案した。このアプローチの主な欠点は、認識配列の各末端に、少なくとも4または5ユニットのこの修飾ヌクレオチドを導入する必要性であるが、それは市販されておらず、これにより、ヘアピンプローブの合成はより複雑なものとなっている。さらに、このアプローチは、完全な配列のヌクレオチドの数の多さの問題も、ヘアピン構造を設計する難しさの問題も解決しない。
【0007】
Browne(J.Am.Chem.Soc.,2005,127,1989?1994)によって提案された別の解決法は、逆向きのヌクレオチドをステムの2つの配列に挿入することからなる。この実施形態では、ステムの配列は、それらが標的と同様の(パラレル)配向となるので、ループにハイブリダイズした配列に隣接する標的の配列に直接ハイブリダイズすることができない。この技術の欠点は、ステムの配列が、折り畳まれて、この相互作用に接近可能となり得る他のより離れた標的の配列と相互作用することができるということである。さらに、完全な配列のヌクレオチドの数の多さの問題とヘアピン構造の不安定性の問題は、このアプローチによって解決されない。
【0008】
Tsourkasら(Nucleic Acids Res.,Oct 2002;30:4208−4215)によって提案された別の解決法は、ステムを形成する配列の1つが認識配列の部分も形成するようにヘアピンプローブを設計することからなる。この解決法によって、プローブの完全な配列を短くすることが可能になる。しかしながら、この設計と関連する特異性の喪失が観察されている。さらに、同じ認識配列のために、この種の設計はより短いループを有し、これにより、その柔軟性が制限され、ループ−ループ相互作用が強固になり、プローブの熱力学特性がより予測しがたいものになる。
【0009】
それゆえ、従来技術の欠点が克服されるのを可能にする新しいプローブ形式に対する真の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、標的核酸を検出するための新規のプローブであって、
− 第1の閉鎖配列を有する第1の断片と
− 標的核酸を分子認識するための認識配列を、その全体または一部として有する第2の断片と
− 第2の閉鎖配列を有する第3の断片の3つの断片及び
− 少なくとも2つのマーカー
を含む標識ヌクレオチド鎖から構成されており、前記検出プローブの鎖の末端の1つがいかなるマーカーも含まず、この2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズしたときに、この検出プローブが完全な円形を有し、それにより該閉鎖配列が該プローブを該標的核酸の非存在下で検出することができない立体構造に維持する、標的核酸を検出するための新規のプローブに関する。「完全な円」は、2つの閉鎖配列が互いにハイブリダイズして二重鎖を形成し、これらの閉鎖配列のうちの1つの末端の1つが認識配列を介してもう1つの閉鎖配列の反対の末端に接続され、全体が図1と2にあるような円を形成するプローブの立体構造を意味する。ヘアピン構造とは対照的に、この立体構造は、ループ配列を、ステムの2つの末端の間に延びた、線形配置に維持することを可能にし、これによって、ループの配列における内部相互作用が妨げられ、相補的な標的によるその接近可能性も促進される。
【0011】
本発明の興味深い実施形態では、検出プローブは、第1のマーカーが第1の断片のヌクレオチドによって担持され、第2のマーカーが第2のまたは第3の断片のヌクレオチドによって担持され、2つの閉鎖配列がハイブリダイズするとき、この2つのヌクレオチドが近接することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、検出プローブは、2つの閉鎖配列の全てまたは一部が平行にハイブリダイズすることを特徴とする。有利には、これらの閉鎖配列のうちの1つは、α−アノマーヌクレオチドで構成された配列である。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、検出プローブは、2つの閉鎖配列の全てまたは一部が逆平行にハイブリダイズすることを特徴とする。有利には、これらの閉鎖配列のうちの1つは、5’−5’または3’−3’逆方向結合によって認識配列に結合している。
【0014】
有利には、少なくとも1つのマーカーはフルオロフォアであり、少なくとも1つの他のマーカーは蛍光クエンチャーである。したがって、2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズするとき、マーカーを担持するヌクレオチドは近接し、その結果、励起後のフルオロフォアのエネルギーの全てまたは大部分が蛍光クエンチャーに移される。好ましくは、2つのマーカーは互いに反対の位置にあるヌクレオチドによって運ばれ、これら2つのヌクレオチドは、水素結合によって結合されて塩基対合を形成するか、または1〜5ヌクレオチド離れている。
【0015】
有利には、第1のまたは第2の閉鎖配列の全てまたは一部は、標的配列にハイブリダイズすることができる。これらの閉鎖配列のうちの1つは標的上に固定されており、2つの閉鎖配列は、それらが両方とも柔軟性のある一本鎖立体構造をしている場合と同じ程度には互いに接近することができないので、この立体構造は、フルオロフォアと蛍光クエンチャーの間のギャップのより良好な制御を提供する。この立体構造は、非特異的に相互作用することができる遊離ヌクレオチドの数を減らすおよび完全な配列のヌクレオチドの数を減らす利点も有する。有利には、プローブの長さは、25から40ヌクレオチドの間である。
【0016】
前述の実施形態によれば、標的配列にハイブリダイズした時点で、プローブは、ハイブリダイゼーションに関与する閉鎖配列を有するが、もう1つの閉鎖配列は、その逆向きの配向またはαヌクレオチドの存在のために、ハイブリダイズすることができない。この立体構造により、非特異的なハイブリダイゼーションを制限することが可能になる。さらに、プローブの設計中、修飾された(αまたは逆向き)閉鎖配列のプローブの残りの部分への付加は、認識配列の設計に影響を及ぼさない。したがって、設計は、検出条件との関連において標的の適切な相補的配列を規定することと、その後、標的とのあり得る相互作用を検証する必要なしに、またはヘアピンプローブの場合のように、各末端に配列を付加する必要なしに、その末端の1つに、標的にハイブリダイズすることができるもう1つの閉鎖配列に相補的な修飾された(αまたは逆向き)閉鎖配列を付加することとに限定される。それゆえ、これにより、プローブの設計が容易になる。
【0017】
また有利には、閉鎖配列の長さは、6から30ヌクレオチドの間、好ましくは6から15ヌクレオチドの間である。
【0018】
特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、検出プローブに付加される。好ましくは、それは、天然の閉鎖配列の末端に、すなわち、逆向きでもなく、αヌクレオチドで構成されてもいない配列に付加される。したがって、本発明による検出プローブを、特許出願WO−A−07/114986に従って「触角プローブ」と呼ばれるプローブ設計に適合させることができる。
【0019】
本発明による検出プローブを、ヌクレオチドプローブが標的核酸を検出するために使用される任意の検査で利用することができる。したがって、本発明の別の目的は、試料中に存在し得る標的配列を検出するための方法であって、以下の段階:
− 該試料を本発明による検出プローブと接触させること、
− 該試料中の該標的配列の存在を示す、検出プローブと標的配列の間のハイブリッドの形成を検出すること
を含む、方法に関する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、検出は、標的配列の増幅の反応とともに実施され;その場合、これは、リアルタイム検出と呼ばれる。別の実施形態では、検出は、標的配列の増幅の反応の後に実施され、その場合、これは、「終点」検出と呼ばれる。増幅反応は、PCR、LCR、NASBA、TMA、SDA、RCAなどの、線形のまたは指数関数的な、任意の増幅の方法に基づくことができる。好ましくは、増幅の方法は、NASBA、TMAまたは非対称性PCRなどの、一本鎖DNAまたはRNA核酸を生じさせる増幅の方法である。
【0021】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの本発明による検出プローブを含む標的配列を検出するためのキットに関する。このキットは、増幅反応を実施するために必要な試薬とプライマー配列を任意で含有することができる。例えば、NASBA増幅に好適な、本発明によるキットは、ヌクレオチドと、逆転写酵素、RNアーゼHおよびT7 RNAポリメラーゼなどの増幅酵素とを含有することができる。
【0022】
以下の定義は、本発明のより良い理解を提供するであろう。
【0023】
「核酸」または「ヌクレオチド配列」という用語は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、例えば、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン、ブロモ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイゼーションを可能にする任意の他の修飾塩基などの、修飾核酸塩基を有する少なくとも1つのヌクレオチドを任意で含む少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの鎖を意味する。このポリヌクレオチドは、例えば、ホスホロチオエート、H−ホスホネート、アルキルホスホネートなどのヌクレオチド間結合のレベルで、例えば、α−オリゴヌクレオチド(FR 2 607 507)またはPNA(M.Egholm et al.,J. Am.Chem.Soc.,114,1895−1897,1992)または2’−O−アルキルリボースおよびLNA(BW,Sun et al.,Biochemistry,4160−4169,43,2004)などの骨格のレベルで修飾することもできる。核酸は、天然または合成のもの、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸断片、リボソームRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、
・特許US−A−4,683、195、US−A−4,683、202およびUS−A−4,800,159に記載されているPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、ならびに特許EP−B−0,569,272に記載されているような、特に1段階方式の、その派生的RT−PCR(逆転写PCR)、
・例えば、特許出願EP−A−0,201,184に開示されている、LCR(リガーゼ連鎖反応)、
・特許出願WO−A−90/01069に記載されている、RCR(修復連鎖反応)、
・特許出願WO−A−90/06995に関する3SR(自己持続性配列複製)、
・特許出願WO−A−91/02818に関するNASBA(核酸配列に基づく増幅)、
・特許US−A−5,399,491に関するTMA(転写媒介増幅)、ならびに
・特許US−6,576,448に記載されているRCA(ローリングサイクル増幅)
などの酵素的増幅技術によって得られる核酸であることができる。
【0024】
本発明の意味において、「標的」または「標的核酸」は、ヌクレオチド単位の鎖の少なくとも1つの部分が、使用される検出プローブのヌクレオチド配列に特異的でかつ相補的であるヌクレオチド配列を意味する。標的は、天然であるかまたはNASBA(核酸配列に基づく増幅)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)もしくは当業者により知られている任意の他の技術などの、インビトロでの酵素的増幅の反応から得ることができる。標的配列がインビトロでの酵素的増幅の反応から生じるとき、この増幅によって生じる配列は、「アンプリコン」と呼ばれる。
【0025】
「検出プローブ」は、10〜100ヌクレオチド単位、特に10〜50ヌクレオチド単位および好ましくは25〜40ヌクレオチドの核酸配列を意味する。このプローブは、ヌクレオチド単位の鎖の少なくとも1つの部分が標的のヌクレオチド配列に特異的でかつ相補的である、第2の断片と呼ばれるヌクレオチド断片を含む。このプローブは、その長さが6から30ヌクレオチドの間および好ましくは6から15ヌクレオチドの間である閉鎖配列を各々有する、第1の断片および第3の断片と呼ばれる2つの他の断片も含む。
【0026】
「第1の断片」は、相補的であり、かつ後者が存在するときに該第3の部分に好適な極性であることができるヌクレオチド配列を意味する。
【0027】
「第2の断片」は、標的の配列に好適な極性の相補的ヌクレオチド配列を意味する。
【0028】
「第3の断片」は、該第1の部分に好適な極性の相補的ヌクレオチド配列を意味する。
【0029】
「マーカー」は、ヌクレオチドによって運ばれる分子を意味する。マーカーとヌクレオチドの間の結合を、当業者により知られている様々な方法で達成することができる。手動カップリングは、対応する反応基(例えば、アミンもしくはチオール)を担持する修飾された内部ヌクレオチドに、またはこれらの同じ反応基で修飾されたヌクレオチド鎖の1つの末端にカップリングされた、活性化基、典型的にはカルボキシルまたはチオールを担持するマーカーを用いて行なわれる。自動カップリングは、マーカーを担持するホスホロアミダイトを用いて達成され、次に、ヌクレオチド鎖の自動合成の間に、使用されるホスホロアミダイトの種類によって、鎖の1つの末端にか、または内部位置かのいずれかにカップリングが起こる。
【0030】
「フルオロフォア」は、それが好適な波長の光によって励起されたときに蛍光シグナルを放出する分子を意味する。フルオロフォアは、使用される測定機器に応じて、特にローダミンもしくはTexas Redなどの誘導体、フルオレセインもしくは誘導体、Alexa 532およびAlexa 647、Alexa 405、Alexa 700、Alexa 680などのAlexaファミリーのフルオロフォア、または好適である任意の他のフルオロフォアであることができる。検出プローブに利用可能なフルオロフォアは、非常に多様であり、かつ当業者により知られている。
【0031】
本発明の意味において、「フルオレセイン」は、それが約495nmの波長を有する光によって励起されたときに、約530nmでの最大放出を有する蛍光シグナルを放出する芳香族化学分子を意味する。
【0032】
「蛍光クエンチャー」または「クエンチャー」は、フルオロフォアによって放出された蛍光と干渉する分子を意味する。寄生放出を避けるために、このクエンチャーを非蛍光芳香族分子から選択することができる。好ましくは、該クエンチャーは、それらがフルオロフォアに物理的に近い所にあるときに蛍光の放出を妨げる非蛍光芳香族分子である、ダブシル(Dabsyl)またはダブシル(Dabcyl)または「ブラックホールクエンチャー(商標)」である。例えば、Fluorescent Energy Transfer Nucleic Acid Probes,p.4,Ed.V.V.Didenko,Humana Press 2006,ISSN 1064−3745に記載されているような、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の技術を使用することもできる。クエンチャーを、蛍光分子、例えば、TAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)から選択することもできる。
【0033】
「極性」は、その相補的配列に対する、5’から3’へのまたは3’から5’への、ヌクレオチド配列の配向を意味する。したがって、部分を以下のように配向させることができる:
逆平行:この場合、オリゴヌクレオチドは、相補的配列に対して反対の方向でハイブリダイズしている。本発明において、実施形態の1つは、該閉鎖配列がもう1つの閉鎖配列にハイズリダイズしたときに検出プローブが円い形となるように、そのとき逆向きのヌクレオチドから構成されている閉鎖配列のうちの1つを有する。
平行:この場合、オリゴヌクレオチドは、相補的配列と同じ方向でハイブリダイズしている。本発明において、実施形態の1つは、該閉鎖配列がもう1つの閉鎖配列にハイズリダイズしたときに検出プローブが円い形となるように、そのときαヌクレオチドで構成されている閉鎖配列のうちの1つを有する。
【0034】
「ハイブリダイゼーション」は、好適な条件において、十分に相補的である配列を完全にまたは部分的に有する2つの一本鎖ヌクレオチド断片が、核酸塩基間の水素結合によって安定化される二本鎖または「二重鎖」を形成することができる過程を意味する。ハイブリダイゼーション条件は、操作条件のストリンジェンシーと低塩分によって決定される。ハイブリダイゼーションは、それがより大きいストリンジェンシーの下で実施されるとき、より特異的である。ストリンジェンシーは、特に、プローブ/標的二重鎖の塩基組成との関連において、および2つの核酸間の誤対合の程度によって規定される。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液中に存在するイオン種の濃度と種類、変性剤の性質と濃度、および/またはハイブリダイゼーション温度などの、反応変数の関数であることもできる。ハイブリダイゼーション反応が実施されなければならない条件のストリンジェンシーは、主に、使用されるハイブリダイゼーションプローブによって決まる。これらのデータは全て周知であり、適当な条件は当業者によって決定されることができる。
【0035】
「αヌクレオチド」または「α−アノマーヌクレオチド」は、デオキシリボースのアノマー炭素によって運ばれる窒素含有塩基が、βヌクレオチドの場合のように平面より上にある代わりに、平面より下に位置する非天然のα−アノマー形状を有するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを意味する。αヌクレオチドの窒素含有塩基は、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン、ブロモ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイゼーションを可能にする任意の他の修飾塩基などの、修飾核酸塩基であることができる。αヌクレオチドは、例えば、ホスホロチオエート、H−ホスホネート、アルキルホスホネートなどのヌクレオチド間結合のレベルで、または例えば、2’−O−アルキルリボース、PNAおよびLNAなどの、骨格のレベルで修飾することもできる。好ましくは、αヌクレオチドは、出願WO−A−88/04301に記載されているものである。
【0036】
「逆向きのヌクレオチド」は、それらを含有する配列のそれと反対の配向を有するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを意味する。慣行に従って、合成は3’から5’の方向に行なわれるが、逆向きのヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖の残りの部分の後ろまたは前に、5’から3’の方向に導入される。その後、逆向きのヌクレオチドと鎖の残りの部分は、5’−5’または3’−3’結合によって結合される。参照が、Koga M.et al.,J.Org.Chem.,1991,56,3757に対してなされてもよい。逆向きのヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、例えば、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン、ブロモ−5−デオキシウリジンまたはハイブリダイゼーションを可能にする任意の他の修飾塩基などの、修飾核酸塩基を有する少なくとも1つのヌクレオチドを任意で含むことができる。逆向きのヌクレオチドを、例えば、PNA、2’−O−アルキルリボースおよびLNAなどの骨格のレベルで修飾することもできる。
【0037】
「末端」は、最初または最後のヌクレオシドにより運ばれる遊離ヒドロキシルによって運ばれる数字、すなわち、3’または5’によって一般に規定されるオリゴヌクレオチドの合成の始点と終点を意味する。伸長単位(αまたはβヌクレオシドのホスホロアミダイト、逆向きであるかないかを問わない)を適切に選択すれば、オリゴヌクレオチドを3’から5’の方向にもしくは反対の方向に合成することができるし、または伸長の方向は、合成中に、交互に入れ替わることすらできることが理解される。これにより、3’−5’、5’−3’、3’−3’または5’−5’末端を担持するオリゴヌクレオチドが生じる。
【0038】
本発明の意味において、「生物学的試料」は、核酸を含有し得る任意の試料を意味する。後者は、組織、血液、血清、唾液、患者の循環細胞から抽出することができるし、または食品、食品加工物に由来するものであることができるし、または環境起源のものであることができる。抽出は、当業者により知られている任意のプロトコルによって、例えば、特許EP−B−0,369,063に記載されている単離の方法に従って行なうことができる。
【0039】
添付の図面は、説明的な例として示されており、決して限定的なものではない。それらは、本発明を理解するのをより容易にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるプローブの完全な円形の立体構造の例。T:dT−FAM、フルオロフォア小文字のヌクレオチド:αヌクレオチドQ:蛍光クエンチャー
【図2】本発明によるプローブの完全な円形の立体構造の例。T:dT−FAM、フルオロフォアQ:蛍光クエンチャー小文字のヌクレオチド:逆向きのヌクレオチド
【図3】実施例1に記載されるような、インフルエンザBモデルのα型の本発明によるプローブの熱変性の実験(セ氏温度(℃)で測定された温度の関数としての任意単位(相対蛍光単位を表すRFU)での蛍光放出)。図3a:その合成標的の存在下でのプローブ。図3b:その標的を含まないプローブのみ。
【図4】実施例1に記載されるような、HIVモデルのα型の本発明によるプローブの熱変性の実験(温度(℃)の関数としての任意単位(RFU)での蛍光放出)。図4a:その合成標的の存在下でのプローブ。図4b:その標的を含まないプローブのみ。
【図5】実施例2に記載されるような、インフルエンザBモデルの逆向き型の本発明によるプローブの熱変性の実験(温度(℃)の関数としての任意単位(RFU)での蛍光放出)。図5a:その合成標的の存在下でのプローブ。図5b:その標的を含まないプローブのみ。
【図6】実施例2に記載されるような、HIVモデルの逆向き型の本発明によるプローブの熱変性の実験(温度(℃)の関数としての任意単位(RFU)での蛍光放出)。図6a:その合成標的の存在下でのプローブ。図6b:その標的を含まないプローブのみ。
【図7】インフルエンザB標的モデルでの本発明によるα型のプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンCpinfB(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブOpa6d(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてのセ氏温度で測定された融解点(「融解温度」を表すTm)の値を示す。
【図8】HIV−1A標的モデルでの本発明によるα型のプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンHIV−1A(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブHoa8(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてのセ氏温度で測定された融解点(Tm)の値を示す。
【図9】インフルエンザB標的モデルでの逆向き型の本発明によるプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンCpinfB(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブOpi6d(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてセ氏温度で測定された融解点(Tm)の値を示す。
【図10】HIV−1A標的モデルでの逆向き型の本発明によるプローブのハイブリダイゼーションの特異性を研究するための実験。座標は、分子ビーコンHIV−1A(四角い記号)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのまたは本発明によるプローブHoi8(円い記号)の閉鎖配列のうちの1つのいずれかの相補的ヌクレオチドの数(横座標)の関数としてセ氏温度で測定された融解点(Tm)の値を示す。
【図11】反応混合物中の汚染物質の存在下での分子ビーコンプローブのおよび本発明によるプローブの望ましくない早過ぎる開裂の研究。図11a:T7 RNAポリメラーゼ酵素の存在下でのプローブの蛍光シグナル(任意単位、各値を最小初期値で割ることにより(分で表される)時間の関数として標準化された蛍光)の測定。図11b:T7 RNAポリメラーゼ酵素の非存在下でのプローブの蛍光シグナル(任意単位、各値を最小初期値で割ることにより(分で表される)時間の関数として標準化された蛍光)の測定。
【図12】本発明によるプローブで使用される様々な構造の表示。図12a:使用される様々なヌクレオチドの構造:ヌクレオチド1=β−アノマーヌクレオチド、ヌクレオチド2=α−アノマーヌクレオチド、ヌクレオチド3=逆向きのヌクレオチド。図12b:鎖の1つがαヌクレオチドで構成されているときの本発明によるプローブの閉鎖配列のハイブリダイゼーションの例(ここで、TはdT−FAM、すなわち、この分子のフルオロフォアであり;Qは蛍光クエンチャーに対応し;小文字のヌクレオチドはこの図表の右側部分にあるαヌクレオチドであり、一方、点線で引かれた円はこの図表の左側部分にあるこれらの同じα−アノマーヌクレオチドを示し;最後に、この図表の右側部分にある、大文字のヌクレオチドは、左側に、円になっていない塩基Bを含有する、βヌクレオチドである)。図12c:鎖の1つが逆向きのヌクレオチドで構成されているときの本発明によるプローブの閉鎖配列のハイブリダイゼーションの例(ここで、T:dT−FAM、フルオロフォア;Q:蛍光クエンチャー;小文字のヌクレオチド;逆向きのヌクレオチド;点線で引かれた円は5’−5’結合を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に示される全ての実施例で使用される、本発明によるプローブ、分子ビーコンプローブおよび標的核酸を、当業者により知られている、ホスホロアミダイトを用いる合成手順に従って合成する。ホスホロアミダイトを用いる合成の方法は、Beaucage and Lyer(Tetrahedron,48,223−2311,1992)により記載された。試薬およびホスホロアミダイトを、市販で、特に、Eurogentec S.A.(Seraing,Belgium)およびGlen Research(Sterling,Virginia,USA)から購入する。修飾αヌクレオチドを導入するために使用される、αホスホロアミダイトを、Chemgenes(Wilmington,MA,USA,カタログ番号.ANP−1651、ANP−1652、ANP−1653、ANP−1654)から購入する。逆向きのヌクレオチドを導入するために使用される、逆向きのホスホロアミダイトを、Glen Research(Sterling,Virginia,USA,カタログ番号.10−0001、10−0101、10−0201、10−0301)から購入する。オリゴヌクレオチドをHPLCにより精製した。それらの純度もHPLC分析によりモニタリングし、それらの同一性をMaldi−TOFマススペクトロメトリーによりモニタリングした。
【0042】
本発明によるプローブおよび分子ビーコンで使用されるマーカーは:
− Daと表記される、ダブシル(Dabsyl)蛍光クエンチャー(Glen Research,カタログ番号20−5912)
− FAM(フルオレセイン−アミン)フルオロフォア、Molecular Probes,カタログ番号C−2210
− dT−FAMと表記される、デオキシチミンヌクレオチドに付加されたFAM(フルオレセイン−アミン)フルオロフォア(Glen Research,カタログ番号10−1056)
である。
【0043】
実施例1:インフルエンザBおよびHIVモデルのα型の本発明のプローブの、それらの標的配列に対するハイブリダイゼーションの研究
目的:この実験の目的は、本発明のプローブが、相補的な標的配列の存在下でのハイブリダイゼーションによって蛍光シグナルを生じさせることができることを示すことである。
【0044】
実験設計:使用したプローブは以下の通りである:
インフルエンザBモデル − Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
HIVモデル − HOa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
【0045】
下線が付されたヌクレオチド配列は、本発明のプローブの閉鎖配列に対応する。
【0046】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0047】
使用した合成標的配列は以下の通りである:
インフルエンザBモデル、標的cC(配列番号3):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT−3’
HIVモデル、標的cH4(配列番号4):
5’−TTTACTCTATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATTTT−3’
【0048】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0049】
最終容量は、20μlである。
【0050】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0051】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。
【0052】
結果:得られた結果を図3および4に示す。
【0053】
それらのそれぞれの合成標的配列(図3aおよび4a)の存在下でのプローブOpa6およびHoa8は、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブはその標的にハイブリダイズしており、フルオロフォアはクエンチャーから最大限離れている。蛍光は最大である。高温で、プローブ/標的二重らせんは不安定化し、プローブは一本鎖になり始め、フルオロフォアとクエンチャーの間の距離は減少し、蛍光の減少を引き起こす。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、「Tm−標的」の値によって示される。Tmは、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する。Tm−標的は、曲線の一次導関数の最小値として計算される。プローブOpa6およびHoa8は、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、それらの標的にハイブリダイズしたままにし、したがって、その標的配列の存在下で最大の蛍光シグナルを生じさせることを可能にするTm−標的(表1参照)を有する。
【0054】
Opa6dおよびHoa8プローブ単独(図3bおよび4b)は、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブは円い形で構造化され、フルオロフォアはクエンチャーの非常に近くにある。放出される蛍光は非常にわずかである。高温で、二次構造は解離し、フルオロフォアはクエンチャーから離れ、蛍光放出は徐々に増加し、二次構造が完全に変性したときにプラトーに達する。プローブの二次構造の熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する、「Tm−プローブ」の値によって示される。Tm−プローブは、曲線の一次導関数の最大値として計算される。Opa6dおよびHoa8プローブは、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、閉じたままにし、したがって、その標的配列の非存在下で最小の残存蛍光を生じさせることを可能にするTm−プローブ(表1参照)を有する。
【0055】
「O/C比」とも呼ばれる、「開/閉比」により、41℃でその標的の存在下でプローブにより生じるシグナルのレベルを測定することが可能になる。それは、プローブ単独により生じる残存シグナルに対するその標的配列の存在下でプローブにより生じるシグナルの比として計算される。
【0056】
表1は、この実施例に記載されたプローブで得られたTm−プローブ、Tm−標的およびO/C比の値を示す。
【0057】
結論:単独で溶液中にある、インフルエンザBおよびHIVモデルのα型の本発明によるプローブは、41℃で安定な二次構造を形成し、フルオロフォアとクエンチャーの近接性のために、蛍光シグナルの消光をもたらす。
【0058】
それらが、それらの合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それらは、それらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。
【0059】
実施例2:インフルエンザBおよびHIVモデルの逆向き型の本発明によるプローブのそれらの標的配列に対するハイブリダイゼーションの研究
目的:この実験の目的は、本発明による修飾されたプローブが、相補的な標的配列の存在下でのハイブリダイゼーションによって蛍光シグナルを生じさせることができることを示すことである。
【0060】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
インフルエンザBモデル − プローブOpi6d(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−3’−(dT−FAM)−3’−cctcttctg−5’
HIVモデル − プローブHOi8d(配列番号6):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttactc−5’
【0061】
下線が付された配列は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0062】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0063】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
インフルエンザBモデル、標的cC(配列番号3):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT−3’
HIVモデル、標的cH4(配列番号4):
5’−TTTACTCTATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATTTT−3’
【0064】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ,ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0065】
最終容量は、20μlである。
【0066】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0067】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。結果を温度対蛍光のグラフの形で表す。
【0068】
結果:得られた結果を図5および6に示す。
【0069】
それらのそれぞれの合成標的配列(図5aおよび6a)の存在下でのOpi6およびHoi8dプローブは、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブはその標的にハイブリダイズし、フルオロフォアをクエンチャーから離すのに十分固い二重鎖を形成する。この二重鎖において、2つの分子は最大限離れている。放出される蛍光は最大である。
【0070】
高温で、プローブ/標的二重らせんは解離し、その後、プローブは一本鎖になり始める。この場合、このプローブ内の二次構造が解離したとしても、変性したプローブの柔軟性のために、フルオロフォアとクエンチャーの間の距離は、プローブ/標的二重らせんにおけるそれよりも小さい。これが、消光による蛍光の減少を引き起こす。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する、「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、曲線の一次導関数の最小値として計算される。Opi6およびHoi8dプローブは、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、それらの標的にハイブリダイズしたままにし、したがって、それらの標的配列の存在下で最大の蛍光シグナルを生じさせることを可能にするTm−標的(表2参照)を有する。
【0071】
Opi6dおよびHoi8dプローブ単独(図5bおよび5b)は、予想された蛍光プロファイルを示す:低温で、プローブは円い形で構造化され、フルオロフォアはクエンチャーの非常に近くにある。放出される蛍光は非常にわずかである。高温で、二次構造は解離し、フルオロフォアはクエンチャーから離れ、蛍光放出は徐々に増加し、二次構造が完全に変性したときにプラトーに達する。プローブの二次構造の熱安定性は、曲線の転換点に対応する、「Tm−プローブ」の値によって示される。Tm−プローブは、曲線蛍光=f(温度)の一次導関数の最大値として計算される。Opi6dおよびHoi8dプローブは、それらをNASBA増幅反応の温度、41℃で、閉じたままにし、したがって、その標的配列の非存在下で最小の残存蛍光を生じさせることを可能にするTm−プローブ(表2参照)を有する。
【0072】
「O/C比」とも呼ばれる、「開/閉比」により、41℃でその標的の存在下でプローブにより生じるシグナルのレベルを測定することが可能になる。それは、プローブ単独により生じる残存シグナルに対するその標的配列の存在下でプローブにより生じるシグナルの比として計算される。
【0073】
表2は、この実施例に記載されたプローブで得られたTm−プローブ、Tm−標的およびO/C比の全ての値を示す。
【0074】
結論:単独で溶液中にある、インフルエンザBおよびHIVモデルの逆向き型の本発明によるプローブは、41℃で安定な二次構造を形成し、フルオロフォアとクエンチャーの近接性のために、蛍光シグナルの消光をもたらす。
【0075】
それらが、それらの合成標的配列の存在下で溶液中にある場合、それらは、それらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。
【0076】
実施例3:α型の本発明によるプローブによる標的インフルエンザBのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0077】
実験設計:増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、インフルエンザBウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0078】
使用したプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P1(配列番号7):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGGAGCTCTGCTTTAGCACTTCCA−3’
P2(配列番号8):
5’−GAGAAATGCAGATGGTCTCAGCTA−3’
Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
【0079】
プライマーP1のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0080】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0081】
Opa6dプローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0082】
プライマーP1の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP2の配列は、プライマーP1の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP1のハイブリダイゼーション配列とプライマーP2の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、「アンプリコン」と呼ばれる、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0083】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136 & 60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP1、
・0.4μlの10μMのプライマーP2、
・0.16μlの10μMのOpa6dプローブ、
・反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0084】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。全ての実験を二重に行なう。
【0085】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤60085192に対して1「酵素」アキュスフェア60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、FAMフルオロフォアにより放出される蛍光を520nmで90分間読み取りながら、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアによってモニタリングした。
【0086】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。「α3」という値は、Weustenら(Nucleic Acids Research 2002,vol.30,No.6,e26)の論文に記載されたような「プライマー消耗時間」である。この値は、蛍光シグナルの増加が検出可能になり始める時間に対応する。増幅が速く、それゆえ、効率的になればなるほど、α3値はますます小さくなる。
【0087】
「MSR」という値は、「最大シグナル比」である。この値は、シグナルが増加し始める前の、初期値に対して外挿される理論的な最終蛍光値に対する増幅反応の最後に読み取られる蛍光値の比に対応する。この値は、プローブによって取得されるシグナルレベルであり、陽性とみなされるシグナルについては1よりも大きくならなければならない。これら2つの値は、各試料について、EasyQリーダーというソフトウェアによって自動的に計算され、表示される。
【0088】
結果:NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーの標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、4.47の最適「MSR」と23分から31分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0089】
結論:
本発明によるOpa6dプローブは、4.47(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、23分から31分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0090】
実施例4:逆向き型の本発明によるプローブによる標的インフルエンザBのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0091】
実験設計:
増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、インフルエンザBウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0092】
使用されたプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P1(配列番号7):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGGAGCTCTGCTTTAGCACTTCCA−3’
P2(配列番号8):
5’−GAGAAATGCAGATGGTCTCAGCTA−3’
Opi6dプローブ(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−(dT−FAM)−3’−3’−cctcttctg−5’
【0093】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0094】
プライマーP1のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0095】
Opa6dプローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向き型のヌクレオチドに対応する。
【0096】
プライマーP1の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP2の配列は、プライマーP1の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP1のハイブリダイゼーション配列とプライマーP2の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0097】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136及び60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP1、
・0.4μlの10μMのプライマーP2、
・0.16μlの10μMのOpi6dプローブ、
・反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0098】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。
【0099】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤ref.60085192に対して1「酵素」アキュスフェアref.60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアでモニタリングし、FAMフルオロフォアの蛍光を520nmで90分間読み取る。
【0100】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。
【0101】
結果:NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーの標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、3.88の最適「MSR」と18分から26分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0102】
結論:本発明によるプローブOpi6dは、3.88(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、18分から26分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0103】
実施例5:α型の本発明によるプローブによる標的HIVのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0104】
実験設計:増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、「HIV」ヒト免疫不全ウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0105】
使用されたプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P3(配列番号9):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGTGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCA−3’
P4(配列番号10):
5’−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAA−3’
Hoa6プローブ(配列番号11):
5’−accctatcc−(dT−FAM)−ATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−Da
【0106】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0107】
プライマーP3のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0108】
プローブHoa6中の小文字で書かれたヌクレオチドは、αヌクレオチドに対応する。
【0109】
プライマーP3の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP4の配列は、プライマーP3の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP3のハイブリダイゼーション配列とプライマーP4の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、「アンプリコン」と呼ばれる、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0110】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136および60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP3、
・0.4μlの10μMのプライマーP4、
・0.16μlの10μMのプローブHoa6、
反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0111】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。
【0112】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤ref.60085192に対して1「酵素」アキュスフェアref.60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアでモニタリングし、FAMフルオロフォアの蛍光を520nmで90分間読み取る。
【0113】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。
【0114】
結果:
NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーと等しいかまたはそれ未満の標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、2.53の最適「MSR」と14分から22分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0115】
結論:
本発明によるプローブHoa6は、2.53(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、14分から22分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0116】
実施例6:逆向き型の本発明によるプローブによる標的HIVのNASBA増幅中のリアルタイム検出の研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが、NASBA増幅中にリアルタイムでその標的配列を検出することができることを示すことである。
【0117】
実験設計:
増幅の標的配列は、当業者により知られているインビトロ転写技術に従ってプラスミドから転写によって合成された、212ヌクレオチドの長さを有するRNAである。このRNAの配列は、「HIV」ヒト免疫不全ウイルスのゲノムの配列に対応する。
【0118】
使用されたプライマーとプローブは以下の通りである:
プライマー:
P3(配列番号9):
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGGTGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCA−3’
P4(配列番号10):
5’−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAA−3’
Hoi6dプローブ(配列番号12):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−(dT−FAM)3’−ggtagttact−5’
【0119】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列に対応する。
【0120】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0121】
プライマーP3のイタリック体の部分は、NASBAインビトロ酵素増幅に必要な、T7 RNAポリメラーゼ酵素によって認識されるプロモーターの配列に対応する。
【0122】
Hoi6dプローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0123】
プライマーP3の3’の部分は、標的RNAの配列に相補的である。プライマーP4の配列は、プライマーP3の相補的配列の5’末端上にある標的RNAの配列と同じである。NASBA増幅反応は、プライマーP3のハイブリダイゼーション配列とプライマーP4の配列に相当する配列の間の部分において、その配列が標的RNAの相補的配列に対応する、「アンプリコン」と呼ばれる、RNA配列の多数のコピーを生成させる。本発明によるプローブは、NASBA増幅反応によって生成されるアンプリコンにハイブリダイズする認識配列を含む。したがって、プローブにより生じるシグナルは、標的RNA配列が反応混合物中に存在し、かつ選ばれたプライマーを用いるNASBAによって増幅されるときにのみ検出される。
【0124】
NASBA増幅反応は、「NASBA基本キット」試薬(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.60079136および60085192)を用いておよび製造元によって指定された条件で実施される。各増幅チューブは、以下のように構成された、20μlの最終容量を含有する:
・製造元によって指定された割合の8.64μlの「NASBA基本キット」試薬、
・0.4μlの10μMのプライマーP3、
・0.4μlの10μMのプライマーP4、
・0.16μlの10μMのプローブHoi6d、
・反応チューブ当たり5、50、500または5000コピーの最終濃度を得るのに十分な濃度の5μlのRNA標的。
【0125】
全ての場合において、「DNase/RNase無しの水」(カタログ番号.32739,ACROS)を含有する陰性対照を調製する。
【0126】
65℃で5分の変性、次に、41℃で2分間のインキュベーションの段階の後、5μlの「酵素ミックス」試薬(45μlの「酵素」希釈剤ref.60085192に対して1「酵素」アキュスフェアref.60085111、「NASBA基本キット」のパーツ)を反応混合物に添加する。次に、反応混合物を、その温度が41℃にセットされた、蛍光リーダーに導入し、反応を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V,ボクステル、オランダ)のDirector 2.0ソフトウェアでモニタリングし、FAMフルオロフォアの蛍光を520nmで90分間読み取る。
【0127】
反応の最後に、各チューブについて、「α3」および「MSR」の数値とともに、グラフの検出プロファイルが得られる。
【0128】
結果:NASBAにおけるリアルタイムでの検出の結果は示されていないが、必要ならば入手可能である。検出の限界が5コピーと等しいかまたはそれ未満の標的転写物であることを理解することができる。陽性試料は、2.03の最適「MSR」と15分から21分の間の「α3」の値とを有する検出可能シグナルを生じさせる。
【0129】
結論:本発明によるプローブHoi6dは、2.03(「MSR」)の最適シグナルレベルを特徴とする、溶液中のその標的の存在下での検出可能な蛍光シグナルを放出することができる。シグナルが検出可能になり始める時間を示す、「α3」の値は、15分から21分の間である。「α3」は、この値に基づいて標的を定量する可能性を提供する、存在する標的の量に比例する。
【0130】
実施例7:インフルエンザBモデルでの本発明によるプローブの特異性の研究
目的:プローブの特異性は、その標的のみを認識し、したがって、それを、例えば、誤対合または欠失を含む標的から区別するその能力である。分子ビーコンは、それらが、たった1つのヌクレオチドだけ異なる2つの標的の区別を可能にするので、現在、最も特異的な分子プローブである。この実験の目的は、同じ認識配列を含有する分子ビーコンプローブと比較して、本発明によるプローブの特異性のレベルを示すことである。
【0131】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
分子ビーコンCP InfB(配列番号13):
5’−(FAM)−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
Opa6プローブ(配列番号14):
5’−gagcgtagc(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGCATCG−3’Da
Opa5プローブ(配列番号15):
5’−gagctagc(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
Opi4プローブ(配列番号16):
3’−gagctagc−5’−5’−(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
Opi3 プローブ(配列番号17):
3’−gctagcc−5’−5’−(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCGG−3’Da
【0132】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列におよび分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列に対応する。
【0133】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0134】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0135】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的cC(配列番号3):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT−3’
標的cG(配列番号18):
5’−TTTAGTTTTTGGAGGTCTTCTCCTTT−3’
標的cA(配列番号19):
5’−TTTAGTTTTTGGAAGTCTTCTCCTTT−3’
標的cT(配列番号20):
5’−TTTAGTTTTTGGATGTCTTCTCCTTT−3’
【0136】
合成標的配列「cC」は、プローブの配列の一部に完全に相補的である。合成標的配列「cG」、「cA」および「cT」は、対応する文字の下線によって示される、プローブ中の相補的配列に対する誤対合を含有する。
【0137】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0138】
最終容量は、20μlである。
【0139】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0140】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。結果を温度(℃)対蛍光(RFU)のグラフの形で表す。
【0141】
結果:インフルエンザBモデルについて検査されたプローブの中で、OPa6は、完全な標的(cC)と誤対合を有する標的(cG、cAまたはcT)の間の最も大きいTm−標的の差を示すものである。
【0142】
この表は、得られたグラフから測定されたTm値を1つにまとめている。図9は、これらのグラフの2つの例を示す。その完全な標的を含むプローブのTm−標的と誤対合を有する標的を有するプローブのTm−標的の間の差は、グラフ上ではっきりと見られ、プローブOPi4とOPa6では10℃に達することができる。誤対合を有する標的を含むプローブのTm−標的は、プローブのTm−ステムに非常に近いので、後者は、その標的とハイズリダイズする前に、それ自身に近づく。
【0143】
結論:本発明によるプローブは、所与の標的の特異的プローブであり、この分野でのそれらの性能は、参照分子ビーコンのそれとよく似ている。これは、所与の遺伝子における単一ヌクレオチドの変化に相当するSNPすなわち単一ヌクレオチド多型の検出にとって大きな関心事となる。
【0144】
実施例8:HIVモデルでの本発明によるプローブの特異性の研究
目的:プローブの特異性は、その標的のみを認識し、したがって、それを、例えば、誤対合または欠失を含む標的から区別するその能力である。分子ビーコンは、それらが、たった1つのヌクレオチドだけ異なる2つの標的の区別を可能にするので、現在、最も特異的な分子プローブである。この実験の目的は、同じ認識配列を含有する分子ビーコンプローブと比較して、本発明によるプローブの特異性のレベルを示すことである。
【0145】
実験設計:使用されるプローブは以下の通りである:
分子ビーコンHIV−1A(配列番号21):
5’(FAM)−CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
Hoa6プローブ(配列番号11):
5’−accctatcc(dT−FAM)ATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’Da
Hoa7(配列番号22):
5’−ttaccctatc(dT−FAM)ATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
Hoa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
Hoi6dプローブ(配列番号12):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttact−5’
Hoi7dプローブ(配列番号23):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttactc−5’
Hoi8dプローブ(配列番号6):
5’−Da−CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’−(dT−FAM)−3’−ggtagttactc−5’
【0146】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列におよび分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列に対応する。本発明によるプローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0147】
本発明によるプローブ中の小文字でおよび太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0148】
使用された合成標的配列以下の通りである:
標的cH5(配列番号24):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTT−3’
標的cGH5(配列番号25):
5’−TTTCATTCTGCAGGTTCCTCATTT−3’
標的cAH5(配列番号26):
5’−TTTCATTCTGCAGATTCCTCATTT−3’
標的cTH5(配列番号27):
5’−TTTCATTCTGCAGTTTCCTCATTT−3’
【0149】
合成標的配列「cH5」は、プローブの配列の一部に完全に相補的である。合成標的配列「cGH5」、「cAH5」および「cTH5」は、対応する文字の下線によって示される、プローブ中の相補的配列に対する誤対合を含有する。
【0150】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0151】
最終容量は、20μlである。
【0152】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて調製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0153】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で65℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。結果を温度対蛍光のグラフの形で表す。
【0154】
結果:
結果を以下の表および図10に示す。
【0155】
この表は、得られたグラフから測定されたTm値を1つにまとめている。図10は、これらのグラフの2つの例を示す。完全に相補的な標的でのTmと誤対合を含有する標的でのTmの間の差がはっきりと見られ、プローブHOi6dとHOi7dでは9℃に達することができる。
【0156】
結論:本発明によるプローブは、所与の標的の特異的プローブであり、この分野でのそれらの性能は、参照分子ビーコンHIV−1Aのそれを上回りさえする。これは、所与の遺伝子における単一ヌクレオチドの変化に相当するSNPすなわち単一ヌクレオチド多型の検出にとって大きな関心事となる。
【0157】
実施例9:インフルエンザBモデルのα型の本発明によるプローブのそれらの標的配列への特異的ハイブリダイゼーションの研究
目的:この実験の目的は、本発明によるプローブが分子ビーコンプローブよりも特異的に標的核酸にハイブリダイズすることを示すことである。
【0158】
一般に、分子ビーコンプローブを設計するとき、考慮されるTmは、標的配列に相補的な配列である、認識配列から計算されたTm(計算Tm)である。実際、分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列は、標的核酸にハイブリダイズしないと考えられる。さて、分子ビーコンプローブの実際のTmは、分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列の標的配列との相互作用のために、計算されたTmよりもわずかに高いことがある。さらに、「ステム」部分を形成する鎖は、標的の配列に非特異的にハイブリダイズすることができ、このことは、分子ビーコンの標的へのハイブリダイゼーションの全体的な安定性を増大させ(実際のTm−標的は計算されたTm−標的よりも高い)、かつそれにより、このハイブリダイゼーションの特異性を低下させる効果を有する。
【0159】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
分子ビーコンCpinfB(配列番号13):
5’−(FAM)−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
【0160】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0161】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0162】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的Bioa2I(配列番号28):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTTTCCAATT−3’
標的6Ba2I(配列番号29):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCCGATCGAATT−3’
標的10Pa2I(配列番号30):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCACAGACGGTC−3’
標的6Pa2I(配列番号31):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCACAGACAATT−3’
標的1Ba2I(配列番号32):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCCTTTCCAATT−3’
標的1Pa2I(配列番号33):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCATTTCCAATT−3’
標的2Ba2I(配列番号34):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCCGTTCCAATT−3’
標的2Pa2I(配列番号35):
5’−TTTAGTTTTTGGACGTCTTCTCCACTTCCAATT−3’
【0163】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)、または本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0164】
配列Bioa2I(配列番号28)は、インフルエンザBウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。
【0165】
標的配列6Ba2I(配列番号29)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0166】
標的配列10Pa2I(配列番号30)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で強調された配列の3’に10個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら10個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0167】
標的配列6Pa2I(配列番号31)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0168】
標的配列1Ba2I(配列番号32)は、配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列のヌクレオチドに相補的である。
【0169】
標的配列1Pa2I(配列番号33)は、配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0170】
標的配列2Ba2I(配列番号34)は、配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線で強調された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0171】
標的配列2Pa2I(配列番号35)は、標的配列Bioa2I(配列番号28)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0172】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0173】
最終容量は、20μlである。
【0174】
陰性対照は、標的配列の代わりに水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0175】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0176】
結果:
結果を表5および図7に示す。表5は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンCpinfB(配列番号13)と標的Bioa2I(配列番号28)の間で測定されたTm−標的値および本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)と標的Bio2aI(配列番号28)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、57.3℃および56.4℃に等しい。
【0177】
分子ビーコンプローブCpinfB(配列番号13)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それらにハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンCPinfBの「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、分子ビーコンプローブのTm−標的の増加が観察される。この増加は、分子ビーコンのステム部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に比例しており、CPinfBプローブの「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列のヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列に隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0178】
本発明によるプローブOpa6d(配列番号1)(α型のプローブ)が様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それはそれらにハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が本発明によるプローブOpa6dの閉鎖配列の1つに相補的なヌクレオチドを含有するとき、該相補的なヌクレオチドの数にかかわらず、本発明によるプローブのTm−標的の値が安定なままであることが観察される。これは、本発明によるプローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列に隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0179】
結論:これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブOpa6dは、分子ビーコンプローブCPinfBよりも特異的である。Opa6dプローブの分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0180】
実施例10:HIVモデルの5’のα型の本発明による特異的プローブのそれらの標的配列へのハイブリダイゼーションの研究
目的:この実施例における目的は、異なる標的モデルについて実施例9で既に記載されたものと同じである。
【0181】
実験設計:使用されたプローブは以下の通りである:
HOa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
分子ビーコンHIV−1A(配列番号21):
5’−(FAM)CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
【0182】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0183】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。
【0184】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的BioH(配列番号36):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCTTTTAAC
標的5BH(配列番号37):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATAGTTTAAC
標的11PH(配列番号38):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATAGGGT
標的5PH(配列番号39):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATTTAAC
標的1BH(配列番号40):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGCTCTTTTAAC
標的1PH(配列番号41):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGACTCTTTTAAC
標的2BH(配列番号42):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATCTTTTAAC
標的2PH(配列番号43):
TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGTCTTTTAAC
【0185】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)、または本発明によるプローブHOa8(配列番号2)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0186】
標的配列BioH(配列番号36)は、HIVウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。それは、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖の配列の1つに相補的なヌクレオチドを含有することができる。
【0187】
標的配列5BH(配列番号37)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0188】
標的配列11PH(配列番号38)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で強調された配列の3’に11個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら11個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0189】
標的配列5PH(配列番号39)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0190】
標的配列1BH(配列番号40)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0191】
標的配列1PH(配列番号41)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0192】
標的配列2BH(配列番号42)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これらのヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0193】
標的配列2PH(配列番号43)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOa8(配列番号2)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0194】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0195】
最終容量は、20μlである。
【0196】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQ超純水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0197】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線蛍光=f(温度)の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0198】
結果:
結果を表6および図8に示す。以下に示す、表6は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)と標的BioH(配列番号36)の間で測定されたTm−標的値および本発明によるプローブHoa8(配列番号2)と標的BioH(配列番号36)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、60.6℃および60.2℃に等しい。
【0199】
*:分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)と相補的標的5BH(配列番号37)の間のTmの値は、測定可能な最大値の68℃よりも大きかった。本実験の目的のために、本発明者らは、測定することができる最大可能値を示している。
【0200】
NA:適用できない。本発明によるプローブHOa8(配列番号2)と相補的標的1BH(配列番号40)の間のTmの値は、プロファイルが、本発明者らの方法を用いて測定可能な標準に対応しないので、測定することができなかった。この値は、グラフの経験的読取りから決定されたものであり、60℃である。
【0201】
分子ビーコンプローブHIV−1A(配列番号21)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それらにハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンHIV−1Aの「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、分子ビーコンプローブのTm−標的の増加が観察される。この増加は、「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に比例しており、これらのヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0202】
(α型の)本発明によるプローブHOa8(配列番号2)が様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、それはこれらの配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的がHOa8プローブの閉鎖配列の1つに相補的なヌクレオチドを含有するとき、α型の本発明によるプローブのTm−標的は安定なままであり、本発明によるプローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的にハイブリダイズした配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0203】
結論:
これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブHOa8は、分子ビーコンプローブHIV−1Aよりも特異的である。HOa8プローブの分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0204】
実施例11:インフルエンザBモデルの3’の逆向き型の本発明による特異的プローブのそれらの標的配列へのハイブリダイゼーションの研究
目的:
この実施例における目的は、実施例9で記載されたものと同じであるが、本発明によるプローブの異なる設計を用いている。
【0205】
実験設計:
使用されたプローブは以下の通りである:
Opi6dプローブ(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−3’(dT−FAM)3’−cctcttctg−5’
分子ビーコンCP2infB(配列番号13):
5’−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGACGATCG−3’Da
【0206】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0207】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向き型のヌクレオチドに対応する。
【0208】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的BioiI(配列番号44):
TTGCAGCTCTTCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的6BiI(配列番号45):
TTGCCGATCGTCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的10PiI(配列番号46):
CAGAAGAGGATCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的6PiI(配列番号47):
TTGCAGAGGATCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的1BiI(配列番号48):
TTGCAGCTCGTCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
標的1PiI(配列番号49):
TTGCAGCTCATCTGCCAGTTTTTGGACGTCTTCTCCTTT
【0209】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)、または本発明によるプローブHOa8(配列番号5)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0210】
標的配列BioiI(配列番号44)は、インフルエンザBウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。それは、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖の配列に相補的なヌクレオチドを含有することができる。
【0211】
標的配列6BiI(配列番号45)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0212】
標的配列10PiI(配列番号46)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に10個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら10個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0213】
標的配列6PiI(配列番号47)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に6個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら6個のヌクレオチドは、本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)の閉鎖配列のうちの1つの配列に相補的である。
【0214】
標的配列1BiI(配列番号48)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0215】
標的配列1PiI(配列番号49)は、標的配列BioI(配列番号44)と比べて、点線で下線が付された配列の5’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0216】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0217】
最終容量は、20μlである。
【0218】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQタイプの超純水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0219】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0220】
結果:
結果を表7および図9に示す。表7は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンCP2infB(配列番号13)と標的BioiI(配列番号44)の間で測定されたTm−標的値および本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)と標的BioiI(配列番号44)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、62℃および62.9℃に等しい。
【0221】
*:分子ビーコンCP2infB(配列番号13)と相補的標的6BiI(配列番号45)の間のTmの値は、測定可能な最大値の68℃よりも大きかった。本実験の目的のために、本発明者らは、測定することができる最大可能値を示している。
【0222】
分子ビーコンプローブCP2infB(配列番号13)、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンプローブCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、本発明者らは、「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に対する分子ビーコンプローブのTm−標的の値の比例的増加を観察する。これは、プローブCP2infB(配列番号13)の「ステム」部分の鎖のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0223】
(逆向き型の)本発明によるプローブOpi6d(配列番号5)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が本発明によるプローブOpi6dの閉鎖配列(配列番号5)の1つの相補的ヌクレオチドを含有するとき、逆向き型の本発明によるプローブのTm−標的は安定なままであり、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0224】
結論:
これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブOpi6dは、分子ビーコンプローブCPinfBよりも特異的である。プローブOpi6dの分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0225】
実施例12:HIVモデルの5’の逆向き型の本発明によるプローブのそれらの標的配列へのハイブリダイゼーションの研究。
目的:
この実施例における目的は、実施例9で記載されたものと同じであるが、本発明によるプローブの異なる設計と標的の異なるモデルとを用いている。
【0226】
実験設計:
使用されたプローブは以下の通りである:
HOi8プローブ(配列番号50):
3’−accctatctc−5’−5’−(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
HIV−1A参照分子ビーコン(配列番号21):
5’−(FAM)−CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
【0227】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖に対応する。
【0228】
プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向き型のヌクレオチドに対応する。
【0229】
使用された合成標的配列は以下の通りである:
標的BioH(配列番号36):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCTTTTAAC−3’
標的5BH(配列番号37):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATAGTTTAAC−3’
標的11PH(配列番号38):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATAGGGT−3’
標的5PH(配列番号39):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGAGATTTAAC−3’
標的1BH(配列番号40):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGCTCTTTTAAC−3’
標的1PH(配列番号41):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGACTCTTTTAAC−3’
標的2BH(配列番号42):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGGATCTTTTAAC−3’
標的2PH(配列番号43):
5’−TTTCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGAGTCTTTTAAC−3’
【0230】
点線で下線が付された配列は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)または本発明によるプローブHOi8(配列番号50)のいずれかの認識配列にハイブリダイズすることができる部分に対応する。
【0231】
標的配列BioH(配列番号36)は、HIVウイルスの生物学的標的配列の断片に対応する。それは、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分の鎖の配列に相補的なヌクレオチドを含有することができる。
【0232】
標的配列5BH(配列番号37)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0233】
標的配列11PH(配列番号38)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に11個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら11個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0234】
標的配列5PH(配列番号39)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に5個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら5個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0235】
標的配列1BH(配列番号40)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0236】
標的配列1PH(配列番号41)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に1個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、このヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0237】
標的配列2BH(配列番号42)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的である。
【0238】
標的配列2PH(配列番号43)は、標的配列BioH(配列番号36)と比べて、点線で下線が付された配列の3’に2個のヌクレオチドを含有する。二重下線が付された、これら2個のヌクレオチドは、本発明によるプローブHOi8(配列番号50)の閉鎖配列の1つに相補的である。
【0239】
プローブは、
− 基本キット希釈剤(ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ、ref.70352)、
− 0.1マイクロモル濃度のプローブ、
− 1.25マイクロモル濃度の合成標的配列
を含有する溶液中に導入される。
【0240】
最終容量は、20μlである。
【0241】
陰性対照は、標的配列の代わりにミリQタイプの超純水を用いて作製される。これにより、プローブのみの挙動を観察することが可能になる。
【0242】
溶液を蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中で68℃に加熱し、冷めるまで5時間放置する。各溶液の蛍光を、冷却中ずっと、520nmで測定する。プローブ/標的二重らせんの熱安定性は、曲線の転換点に対応する「Tm−標的」の値によって示される。Tm−標的は、この曲線の一次導関数の最小値として計算される。
【0243】
結果:
結果を表8および図10に示す。表8は、この実施例に記載されたプローブと標的とで得られたTm−標的(℃)の値を1つにまとめている。参照Tm−標的と比べたTm−標的の増加は、標的とそのプローブの間でのさらなる相互作用の発生を示す。この実施例において、参照Tm−標的値は、分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)と標的BioH(配列番号36)の間で測定されたTm−標的値におよびHOi8(配列番号50)によるプローブと標的BioH(配列番号36)の間で測定されたそれに対応する。それらは、それぞれ、60.6℃および61.1℃に等しい。
【0244】
*:分子ビーコンHIV−1Aと相補的標的5BHの間のTmの値は、測定可能な最大値の68℃よりも大きかった。本実験の目的のために、本発明者らは、測定することができる最大可能値を示している。
【0245】
分子ビーコンプローブHIV−1A(配列番号21)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が分子ビーコンHIV−1A(配列番号21)の「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドを含有するとき、分子ビーコンプローブのTm−標的が、「ステム」部分の鎖のうちの1つの配列に相補的なヌクレオチドの数に対して比例的に増加することが観察される。これは、プローブHIV−1A(配列番号21)の鎖のうちの1つの配列のヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合があることを示す。
【0246】
(逆向き型の)本発明によるプローブHOi8(配列番号50)は、それが様々な合成標的配列の存在下で溶液中にあるとき、これらの合成標的配列にハイブリダイズし、測定可能な蛍光シグナルを生じさせる。合成標的が本発明によるプローブHOi8の閉鎖配列(配列番号50)のうちの1つに相補的なヌクレオチドを含有するとき、逆向き型の本発明によるプローブのTm−標的は安定なままであり、本発明によるプローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列中で隣接する相補的ヌクレオチドの間に塩基対合がないことを示す。
【0247】
結論:
これらのヌクレオチドが互いに相補的であるとしても、プローブの閉鎖配列のうちの1つのヌクレオチドと標的の配列の間にさらなる相互作用がないので、本発明によるプローブHoi8dは、分子ビーコンプローブHIV−1Aよりも特異的である。プローブHoi8の分子認識配列に対応する標的核酸にハイブリダイズする本発明によるプローブの唯一の部分。このプローブの設計は、本発明によるプローブの標的の配列に近い配列への非特異的なハイブリダイゼーションの可能性を大いに減らす。
【0248】
一般的結論:
これらの実施例は、本発明によるプローブの設計とは無関係に、後者が分子ビーコンプローブのそれよりも大きいハイブリダイゼーションの特異性を示すことを示している。ヌクレオチドの性質(αヌクレオチドまたは逆向きのヌクレオチド)および本発明によるプローブの第2の断片に対するそれらの位置(3’での位置または5’での位置)は、本発明によるプローブの設計の質または本発明によるプローブのハイブリダイゼーションのその標的核酸に対する特異性に影響を与えない。
【0249】
実施例13:本発明によるプローブを用いることによる酵素に起因する非特異的シグナルの低下の研究。
目的:
この実施例の目的は、該プローブの早過ぎる開裂という望ましくない現象に関連した本発明によるプローブの感度を研究することである。
【0250】
実験設計:
プローブを、その組成が以下に記載されている、反応混合物中での、NASBAで使用されるT7 RNAポリメラーゼ酵素とともに、41℃で4時間、蛍光リーダー(EasyQ reader,ビオメリューB.V.,ボクステル、オランダ)の中でインキュベートする。反応混合物の組成は以下の通りである:
・供給元の取扱説明書に従って、64μlの基本キット試薬スフェア希釈液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号70352)に希釈したNucliSens EQ基本キット試薬スフェア(ビオメリューB.V.,ボクステルNL,商品番号60085110)から調製した、10μLの「試薬ミックス」、
・3.76マイクロリットルのソルビトール(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085192)、
・0.2マイクロリットルの80ユニット/マイクロリットルの濃度の酵素T7 RNAポリメラーゼ(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号72236)、
・2マイクロリットルの2マイクロモルの初期濃度のプローブ。
・最終容量20マイクロリットルにするための十分な量の「酵素ミックス溶液」。
【0251】
酵素以外の全ての構成要素を含有する、参照反応混合物を調製し、これを等量の「酵素ミックス溶液」と置き換える。
【0252】
以下のような、いくつかの他の溶液を混合することによって、「酵素ミックス溶液」を調製した:
80μlのRT保存緩衝液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085341)、
114μlのT7保存緩衝液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085337)、
20μlのRH保存緩衝液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085339)、
411μlのプレミックス溶液(ビオメリューB.V.,ボクステル、NL,商品番号60085335)、
625μlのミリQタイプの超純水。
【0253】
蛍光シグナルは、フルオレセインの放出波長で、41℃で4時間記録される。
【0254】
使用されたプローブは以下の通りである:
Opi6dプローブ(配列番号5):
5’−Da−GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGA−3’(dT−FAM)3’−cctcttctg−5’
Opa6dプローブ(配列番号1):
5’−gaccgtctg(dT−FAM)GGAGAAGACGTCCAAAAACTGGCAGAC−3’Da
HOi8プローブ(配列番号50):
3’−accctatctc−5’−5’−(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
HOa8プローブ(配列番号2):
5’−accctatctc(dT−FAM)CCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGAG−3’Da
分子ビーコンHIV−1A(配列番号21):
5’−(FAM)−CTATCCCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAG−3’Da
分子ビーコンCpinfB(配列番号13):
5’−(FAM)−CGATCGGGAGAAGACGTCCAAAAACTCGATCG−3’Da
【0255】
下線が付された部分は、本発明によるプローブの閉鎖配列にまたは分子ビーコンの「ステム」部分を形成する鎖の配列に対応する。
【0256】
プローブ中の小文字で書かれたヌクレオチドは、α型のヌクレオチドに対応する。プローブ中の小文字でかつ太字で書かれたヌクレオチドは、逆向きのヌクレオチドに対応する。
【0257】
結果:
蛍光放出は、T7 RNAポリメラーゼ酵素の存在下(図11a)または非存在下(図11b)で、様々なプローブのインキュベーション中に測定される。
【0258】
標的核酸の非存在下かつT7 RNAポリメラーゼの非存在下(図11b)では、本発明によるプローブの場合であれ、分子ビーコンプローブの場合であれ、蛍光シグナルは検出されない。これは、これらの実験条件において、フルオロフォアとクエンチャーが互いに近くにあり、蛍光の「クエンチング」が可能になることを意味する。それゆえ、分子ビーコンプローブは閉じた立体構造をしている、すなわち、ヘアピン形の二次構造を有する。
【0259】
本発明によるプローブは、環状立体構造と呼ばれる、閉じた立体構造をしている。
【0260】
T7 RNAポリメラーゼの存在下かつ任意の標的核酸の非存在下では、本発明によるプローブにより放出される蛍光は、T7 RNAポリメラーゼの非存在下かつ任意の標的核酸の非存在下で測定されるものと同じである。蛍光の「クエンチング」はここでも観察される。本発明によるプローブは、酵素の存在下でさえも、依然としてそれらの最初の立体構造、すなわち、環状立体構造をしている。
【0261】
逆に、T7 RNAポリメラーゼ酵素を、分子ビーコンプローブを含有する反応混合物に添加したとき、蛍光シグナルの増加が観察される。これは、フルオロフォアとクエンチャーの間の距離が増加したことを意味する。分子ビーコンの立体構造の変化は、T7 RNAポリメラーゼの添加中に起こった。分子ビーコンプローブは開裂した。それらは、まるでそれらがそれらの標的核酸にハイブリダイズしてしまったかのように、線状の立体構造を有する。
【0262】
結論:
これらの結果は、解析された2つの分子ビーコン、CPinfBおよびHIV−1Aが、酵素T7 RNAポリメラーゼの存在下でのそれらのインキュベーション中にシグナルの増加をもたらすのに対し、同じ条件で解析された本発明によるプローブはこの同じシグナルの増加をもたらさないということを示している。それらが3’で修飾された閉鎖配列を有するにせよ、5’で修飾された閉鎖配列を有するにせよ、およびそれらがαヌクレオチドを含有するにせよ、逆向きのヌクレオチドを含有するにせよ、この結果は、検査された全ての本発明によるプローブについて確認される。それゆえ、本発明によるプローブは、例えば、T7 RNAポリメラーゼなどの混入物質の作用に感受性がない。本発明によるプローブの望ましくない自発的開裂はなく、それゆえ、非特異的シグナルの放出がない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸を検出するためのプローブであって、
− 第1の閉鎖配列を有する第1の断片と
− 標的核酸を分子認識するための認識配列を、その全体または一部として有する第2の断片と
− 第2の閉鎖配列を有する第3の断片の3つの断片及び
− 少なくとも2つのマーカー
を含む標識ヌクレオチド鎖から構成されており、検出プローブの鎖の末端の1つがいかなるマーカーも含んでおらず、2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズしたときに検出プローブが完全な円形を有し、それにより閉鎖配列がプローブを前記核酸の非存在下で検出することができない立体構造に維持する、プローブ。
【請求項2】
第1のマーカーが第1の断片のヌクレオチドによって担持され、第2のマーカーが第2のまたは第3の断片のヌクレオチドによって担持され、2つの閉鎖配列がハイブリダイズするとき、2つのヌクレオチドが近接することを特徴とする、請求項1に記載の検出プローブ。
【請求項3】
2つの閉鎖配列の全体または一部が平行にハイブリダイズすることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項4】
一方の閉鎖配列の全体または一部がαヌクレオチドで構成された配列であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項5】
2つの閉鎖配列の全体または一部が逆平行ハイブリダイゼーションを経ることを特徴とする、請求項1または2に記載の検出プローブ。
【請求項6】
2つの閉鎖配列の一方が、5’−5’または3’−3’逆方向結合によって認識配列に結合していることを特徴とする、請求項1、2または5のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項7】
少なくとも1つのマーカーがフルオロフォアであり、少なくとも1つの他のマーカーが蛍光クエンチャーであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項8】
第1のまたは第2の閉鎖配列の全体または一部が、標的配列にハイブリダイズすることができることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項9】
ヌクレオチド配列が、一方の閉鎖配列の末端に付加されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項10】
試料中に存在し得る標的配列を検出する方法であって、
− 試料を請求項1から9のいずれか1項に記載の検出プローブと接触させる工程、
− 試料中の標的配列の存在を示す、検出プローブと標的配列との間のハイブリダイゼーション形成を検出する工程
を含む、方法。
【請求項11】
検出が、標的配列の増幅反応と一緒に実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
検出が、標的配列の増幅反応後に実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの検出プローブを含む標的配列を検出するためのキット。
【請求項1】
標的核酸を検出するためのプローブであって、
− 第1の閉鎖配列を有する第1の断片と
− 標的核酸を分子認識するための認識配列を、その全体または一部として有する第2の断片と
− 第2の閉鎖配列を有する第3の断片の3つの断片及び
− 少なくとも2つのマーカー
を含む標識ヌクレオチド鎖から構成されており、検出プローブの鎖の末端の1つがいかなるマーカーも含んでおらず、2つの閉鎖配列同士がハイブリダイズしたときに検出プローブが完全な円形を有し、それにより閉鎖配列がプローブを前記核酸の非存在下で検出することができない立体構造に維持する、プローブ。
【請求項2】
第1のマーカーが第1の断片のヌクレオチドによって担持され、第2のマーカーが第2のまたは第3の断片のヌクレオチドによって担持され、2つの閉鎖配列がハイブリダイズするとき、2つのヌクレオチドが近接することを特徴とする、請求項1に記載の検出プローブ。
【請求項3】
2つの閉鎖配列の全体または一部が平行にハイブリダイズすることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項4】
一方の閉鎖配列の全体または一部がαヌクレオチドで構成された配列であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項5】
2つの閉鎖配列の全体または一部が逆平行ハイブリダイゼーションを経ることを特徴とする、請求項1または2に記載の検出プローブ。
【請求項6】
2つの閉鎖配列の一方が、5’−5’または3’−3’逆方向結合によって認識配列に結合していることを特徴とする、請求項1、2または5のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項7】
少なくとも1つのマーカーがフルオロフォアであり、少なくとも1つの他のマーカーが蛍光クエンチャーであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の検出プローブ。
【請求項8】
第1のまたは第2の閉鎖配列の全体または一部が、標的配列にハイブリダイズすることができることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項9】
ヌクレオチド配列が、一方の閉鎖配列の末端に付加されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項10】
試料中に存在し得る標的配列を検出する方法であって、
− 試料を請求項1から9のいずれか1項に記載の検出プローブと接触させる工程、
− 試料中の標的配列の存在を示す、検出プローブと標的配列との間のハイブリダイゼーション形成を検出する工程
を含む、方法。
【請求項11】
検出が、標的配列の増幅反応と一緒に実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
検出が、標的配列の増幅反応後に実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの検出プローブを含む標的配列を検出するためのキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12c】
【公表番号】特表2011−526488(P2011−526488A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515583(P2011−515583)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051315
【国際公開番号】WO2010/001074
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051315
【国際公開番号】WO2010/001074
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】
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