説明

新規エポキシ化合物及びその製造方法

【課題】半導体封止剤などの電子材料用途として利用される新規な高耐熱性の新規エポキシ化合物を提供する。
【解決手段】一般式で示されるエポキシ化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規エポキシ化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、一般的に、種々の硬化剤を用いて硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物を形成する。そのため、エポキシ樹脂は、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。
従来、その中でも、耐熱性が必要な用途には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などの従来のエポキシ化合物に比べて耐熱性などの特性を向上できる、ビスフェニルフルオレン骨格を有するエポキシ化合物が提案されている。(特許文献1〜2)。しかしながら、例えば半導体封止剤などの電子材料用途として用いられるエポキシ樹脂などには、高屈折率、高耐熱化、低粘度化などの様々な高機能な特性の構造が求められ、新規エポキシ化合物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3659533号公報
【特許文献2】特開2009−155256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、半導体封止剤などの電子材料用途として利用される新規な高耐熱性の新規エポキシ化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定構造を有する新規エポキシ化合物が上記課題を解決し得ることを見出し本発明に到った。
【0006】
すなわち、本発明はつぎの通りである。
・ 一般式(1)で示されるエポキシ化合物。
【化1】

(1)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
2.一般式(2)で示される化合物と、エポキシ基導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させることを特徴とする1.記載のエポキシ化合物の製造方法。
【化2】

(2)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
3.一般式(1’)で示されるエポキシ化合物。
【化3】

(1’)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
4.一般式(2’)で示される化合物と、エポキシ基導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させることを特徴とする3.記載のエポキシ化合物の製造方法。
【化4】

(2’)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【発明の効果】
【0007】
本発明のエポキシ化合物は、多環芳香族構造を有するため、高耐熱性に優れ、エポキシ樹脂やアクリル系樹脂(ジ(メタ)アクリレート等)等の光または熱硬化性樹脂、ポリエステル、ポリカーボネートやポリウレタン等の熱可塑性樹脂の原料等として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の化合物は、一般式(1)で示される化合物である。
【化5】

(1)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【0010】
一般式(1)のXは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、炭素数1〜18の一価の置換基として例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、トシル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、芳香環骨格を有するフェニル基、トシル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基が好ましく、その中でも特にフェニル基、トシル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基が好ましい。
【0011】
はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フッ素原子、塩素元素、臭素元素、ヨウ素元素が挙げられる。
【0012】
はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
【0013】
はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。
【0014】
本発明の一般式(1)の化合物は、公知の方法で製造することができるが、例えば一般式(2)で示される化合物と、式(3)で示されるエポキシ基導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させて、エポキシ基の導入反応を進行させるという方法が挙げられる。本方法は、特に副生成物が少なく、効率良く製造することができる。
【0015】
【化6】

(2)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【0016】
【化7】

(3)
(式中、Rは前記と同様であり、Zはハロゲン原子を示す。)
【0017】
具体的に例示すると、式(2−1)で示される化合物1モル、エピクロルヒドリン2.6モル、炭酸カリウム5.2モルを3Lフラスコに入れてジメチルホルムアミド中オイルバスで加熱しながら90℃にて反応させ、その後反応溶液を冷却させて析出した結晶を濾過、精製することにより式(1−1)で示される化合物を製造することができる。
【0018】
【化8】

(2−1)
【0019】
【化9】

(1−1)
【0020】
また、式(2−2)で示される化合物1モル、エピクロルヒドリン2.6モル、炭酸カリウム5.2モルを3Lフラスコに入れてジメチルホルムアミド中オイルバスで加熱しながら90℃にて反応させ、その後反応溶液を冷却させて析出した結晶を濾過、リンスすることにより式(1−2)で示される化合物を製造することができる。
【0021】
【化10】

(2−2)
【0022】
【化11】

(1−2)
【0023】
本発明に用いるmが0の一般式(2)で示される化合物は、例えば一般式(4)で示される化合物と、炭素数1〜19のアルデヒドとを、比較的高温で酸触媒存在下にて反応させて製造することができる。一般式(4)で示される化合物と、炭素数1〜19のアルデヒドとを、60〜120℃という比較的高温で酸触媒存在下にて反応させて製造する方法は、特に副生成物が少なく、効率よく製造することができる。アルデヒドとして何を用いるかによって、製造された一般式(1)中の置換基Xの構造が決定される。具体的に例示すると、2,6−ナフタレンジオールと4−ビフェニルカルボキシアルデヒドとを硫酸触媒存在下に100℃にて反応させて、式(2−1)で示される化合物を製造することができる。
【0024】
【化12】

(4)
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、nは0〜5の整数である。)
【0025】
一般式(4)で示される化合物としては、2,6−ジヒドロキシナフタレン骨格を有する化合物であれば特に制限なく用いられる。ナフタレン骨格を有することで、ベンゼン環骨格を有するジヒドロキシ化合物を用いて製造されたポリフェノール化合物よりも耐熱性の点で性能が向上することが期待できる。例えば、2,6−ナフタレンジオール、メチル−2,6−ナフタレンジオール、エチル−2,6−ナフタレンジオール、プロピル−2,6−ナフタレンジオール、ブチル−2,6−ナフタレンジオール、フルオロ−2,6−ナフタレンジオール、クロロ−2,6−ナフタレンジオール、ブロモ−2,6−ナフタレンジオール、ヨード−2,6−ナフタレンジオールが用いられる。
これらは試薬にて容易に入手可能である。
また、一般式(4)で示される化合物として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0026】
前記炭素数1〜19のアルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、シクロプロピルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、アダマンチルカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、ビフェニルカルボキシアルデヒド、ターフェニルカルボキシアルデヒド、ナフタレンカルボキシアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒドが挙げられる。これらの内、耐熱性の観点から芳香環を有するベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、ビフェニルカルボキシアルデヒド、ターフェニルカルボキシアルデヒド、ナフタレンカルボキシアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒドが好ましく、その中でも特にビフェニルカルボキシアルデヒド、ターフェニルカルボキシアルデヒド、ナフタレンカルボキシアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒドが好ましい。
炭素数1〜19のアルデヒドは工業製品又は試薬として、容易に入手可能である。
また、炭素数1〜19のアルデヒドとして1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0027】
また本発明に用いる少なくともひとつのmが1以上の一般式(2)で示される化合物は、例えば一般式(2−3)で示される化合物と、アルキレンオキシド導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させて、晶析等により粗結晶を得た後、該粗結晶を有機溶媒に溶解させ、強塩基を加え、常圧で20分〜100時間程度攪拌するという方法により得られる。本方法は、特に副生成物が少なく、効率良く製造することができる。
【0028】
【化13】

(2−3)
(式中、R、X、nは前記と同様である。)
【0029】
具体的に例示すると、式(2−1)で示される化合物1モル、酢酸2−クロロエチル2.6モル、炭酸カリウム5.2モルを3Lフラスコに入れてジメチルホルムアミド中オイルバスで加熱しながら90℃にて反応させ、その後反応溶液を冷却させて粗結晶を晶析することにより取り出し、得られた粗結晶に水酸化ナトリウム水溶液及びメタノールを加えて4時間還流し、空冷により冷却した後析出した結晶を濾過、リンスすることにより式(2−2)で示される化合物を製造することができる。
【0030】
本発明に用いるアルキレンオキシド導入試剤としては、一般式(2−3)で示される化合物の水酸基に一般式(5)で示されるヒドロキシポリアルキレンオキシド基が導入できれば特に制限なく用いられるが、例えば、酢酸−2−ハロエチル、アルキレンオキシド、アルキレンカーボネート等が挙げられる。
また、アルキレンオキシド導入試剤として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0031】
【化14】

(5)
(式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mは1以上の整数である。)
【0032】
酢酸−2−ハロエチルとしては、例えば、酢酸−2−クロロエチル、酢酸−2−ブロモエチル、酢酸−2−ヨードエチル等が挙げられる。尚、酢酸−2−ハロエチルを使用する場合、アセトキシエチル基が導入されたのち、脱アシル反応が生じることにより、ヒドロキシエチル基が導入される。
【0033】
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0034】
アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。尚、アルキレンカーボネートを使用する場合、アルキレンカーボネートが付加したのち、脱炭酸反応が生じることにより、アルキレンオキシドが導入される。
【0035】
本発明の一般式(2−3)で示される化合物とアルキレンオキシド導入試剤との反応に用いられる塩基触媒は、周知の塩基触媒より適宜選択することができ、例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物等)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩等)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩等の無機塩基、アミン類(例えば、第3級アミン類(トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾール等の複素環式第3級アミン)等、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩等)等の有機塩基が挙げられる。入手の容易さや取り扱い易さ等の製造上の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
また、塩基触媒として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0036】
次に、一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示されるエポキシ導入試剤との反応条件について詳細に説明する。反応は、一般式(2)で示される化合物1モルに対し、エポキシ導入試剤であるエピクロルヒドリンを2モル〜過剰量、及び塩基触媒を0.001〜1モル使用し、有機溶媒中、常圧で、20〜150℃で20分〜100時間程度反応させることにより進行する。反応後、公知の方法により目的物を精製する。例えば氷水等で冷却させ結晶を析出、単離して粗結晶を得る方法が挙げられる。
【0037】
本発明に用いるエポキシ基導入試剤としては、一般式(2)で示される化合物の水酸基に一般式(6)で示されるグリシジル基が導入できれば特に制限なく用いられるが、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンが好ましい。
また、エポキシ基導入試剤として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0038】
【化15】

(6)
(式中、Rは前記と同様である。)
【0039】
本発明の一般式(2)で示される化合物とエポキシ基導入試剤との反応に用いられる塩基触媒は、周知の塩基触媒より適宜選択することができ、例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物等)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩等)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩等の無機塩基、アミン類(例えば、第3級アミン類(トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾール等の複素環式第3級アミン)等、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩等)等の有機塩基が挙げられる。入手の容易さや取り扱い易さ等の製造上の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
また、塩基触媒として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0040】
次に、一般式(1’)で示される本発明の化合物について詳細に説明する。
【化16】

(1’)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【0041】
一般式(1’)のXは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、炭素数1〜18の一価の置換基として例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、トシル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、芳香環骨格を有するフェニル基、トシル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基が好ましく、その中でも特にフェニル基、トシル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基が好ましい。
【0042】
はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フッ素原子、塩素元素、臭素元素、ヨウ素元素が挙げられる。
【0043】
はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
【0044】
はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。
【0045】
本発明の一般式(1’)の化合物は、公知の方法で製造することができるが、例えば一般式(2’)で示される化合物と、式(3’)で示されるエポキシ基導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させて、晶析等により粗結晶を得た後、該粗結晶を有機溶媒に溶解させ、強塩基を加え、常圧で20分〜100時間程度攪拌し、エポキシ基の導入反応を進行させるという方法が挙げられる。本方法は、特に副生成物が少なく、効率良く製造することができる。
【0046】
【化17】

(2’)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【0047】
【化18】

(3’)
(式中、Rは前記と同様であり、Zはハロゲン原子を示す。)
【0048】
具体的に例示すると、式(2−1’)で示される化合物1モル、エピクロルヒドリン5.2モル、炭酸カリウム10.4モルを3Lフラスコに入れてジメチルホルムアミド中オイルバスで加熱しながら90℃にて反応させ、その後反応溶液を冷却させて粗結晶を晶析することにより取り出し、得られた粗結晶及び水酸化ナトリウムをメタノール溶媒にて4時間還流し、空冷により冷却した後析出した結晶を濾過、リンスすることにより式(1−1’)で示される化合物を製造することができる。
【0049】
【化19】

(2−1’)
【0050】
【化20】

(1−1’)
【0051】
また、式(2−2’)で示される化合物1モル、エピクロルヒドリン5.2モル、炭酸カリウム10.4モルを3Lフラスコに入れてジメチルホルムアミド中オイルバスで加熱しながら90℃にて反応させ、その後反応溶液を冷却させて粗結晶を晶析することにより取り出し、得られた粗結晶及び水酸化ナトリウムをメタノール溶媒にて4時間還流し、空冷により冷却した後析出した結晶を濾過、リンスすることにより式(1−2’)で示される化合物を製造することができる。
【0052】
【化21】

(2−2’)
【0053】
【化22】

(1−2’)
【0054】
本発明に用いるmが0の一般式(2’)で示される化合物は、例えば一般式(4’)で示される化合物と、炭素数1〜19のアルデヒドとを、比較的低温で酸触媒存在下にて反応させて製造することができる。一般式(4’)で示される化合物と、炭素数1〜19のアルデヒドとを、20〜60℃という比較的低温で酸触媒存在下にて反応させて製造する方法は、特に副生成物が少なく、効率よく製造することができる。アルデヒドとして何を用いるかによって、製造された一般式(1’)中の置換基Xの構造が決定される。具体的に例示すると、2,6−ナフタレンジオールと4−ビフェニルカルボキシアルデヒドとを硫酸触媒存在下に30℃にて反応させて、式(2−1’)で示される化合物を製造することができる。
【0055】
【化23】

(4’)
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、nは0〜5の整数である。)
【0056】
一般式(4’)で示される化合物としては、2,6−ジヒドロキシナフタレン骨格を有する化合物であれば特に制限なく用いられる。ナフタレン骨格を有することで、ベンゼン環骨格を有するジヒドロキシ化合物を用いて製造されたポリフェノール化合物よりも耐熱性の点で性能が向上することが期待できる。例えば、2,6−ナフタレンジオール、メチル−2,6−ナフタレンジオール、エチル−2,6−ナフタレンジオール、プロピル−2,6−ナフタレンジオール、ブチル−2,6−ナフタレンジオール、フルオロ−2,6−ナフタレンジオール、クロロ−2,6−ナフタレンジオール、ブロモ−2,6−ナフタレンジオール、ヨード−2,6−ナフタレンジオールが用いられる。
これらは試薬にて容易に入手可能である。
また、一般式(4’)で示される化合物として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0057】
前記炭素数1〜19のアルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、シクロプロピルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、アダマンチルカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、ビフェニルカルボキシアルデヒド、ターフェニルカルボキシアルデヒド、ナフタレンカルボキシアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒドが挙げられる。これらの内、耐熱性の観点から芳香環を有するベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、ビフェニルカルボキシアルデヒド、ターフェニルカルボキシアルデヒド、ナフタレンカルボキシアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒドが好ましく、その中でも特にビフェニルカルボキシアルデヒド、ターフェニルカルボキシアルデヒド、ナフタレンカルボキシアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒドが好ましい。
炭素数1〜19のアルデヒドは工業製品又は試薬として、容易に入手可能である。
また、炭素数1〜19のアルデヒドとして1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0058】
また本発明に用いる少なくともひとつのmが1以上の一般式(2’)で示される化合物は、例えば一般式(2−3’)で示される化合物と、アルキレンオキシド導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させて、晶析等により粗結晶を得た後、該粗結晶を有機溶媒に溶解させ、強塩基を加え、常圧で20分〜100時間程度攪拌するという方法が挙げられる。本方法は、特に副生成物が少なく、効率良く製造することができる。
【0059】
【化24】

(2−3’)
(式中、R、X、nは前記と同様である。)
【0060】
具体的に例示すると、式(2−1’)で示される化合物1モル、酢酸2−クロロエチル5.2モル、炭酸カリウム10.4モルを3Lフラスコに入れてジメチルホルムアミド中オイルバスで加熱しながら90℃にて反応させ、その後反応溶液を冷却させて粗結晶を晶析することにより取り出し、得られた粗結晶に水酸化ナトリウム水溶液及びメタノールを加えて4時間還流し、空冷により冷却した後析出した結晶を濾過、リンスすることにより式(2−2’)で示される化合物を製造することができる。
【0061】
本発明に用いるアルキレンオキシド導入試剤としては、一般式(2−3’)で示される化合物の水酸基に一般式(5’)で示されるヒドロキシポリアルキレンオキシド基が導入できれば特に制限なく用いられるが、例えば、酢酸−2−ハロエチル、アルキレンオキシド、アルキレンカーボネート等が挙げられる。
また、アルキレンオキシド導入試剤として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0062】
【化25】

(5’)
(式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mは1以上の整数である。)
【0063】
酢酸−2−ハロエチルとしては、例えば、酢酸−2−クロロエチル、酢酸−2−ブロモエチル、酢酸−2−ヨードエチル等が挙げられる。尚、酢酸−2−ハロエチルを使用する場合、アセトキシエチル基が導入されたのち、脱アシル反応が生じることにより、ヒドロキシエチル基が導入される。
【0064】
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0065】
アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。尚、アルキレンカーボネートを使用する場合、アルキレンカーボネートが付加したのち、脱炭酸反応が生じることにより、アルキレンオキシドが導入される。
【0066】
本発明の一般式(2−3’)で示される化合物とアルキレンオキシド導入試剤との反応に用いられる塩基触媒は、周知の塩基触媒より適宜選択することができ、例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物等)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩等)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩等の無機塩基、アミン類(例えば、第3級アミン類(トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾール等の複素環式第3級アミン)等、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩等)等の有機塩基が挙げられる。入手の容易さや取り扱い易さ等の製造上の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
また、塩基触媒として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0067】
次に、一般式(2’)で示される化合物と、一般式(3’)で示されるエポキシ導入試剤との反応条件について詳細に説明する。反応は、一般式(2’)で示される化合物1モルに対し、エポキシ導入試剤であるエピクロルヒドリンを4モル〜過剰量、及び塩基触媒を0.001〜1モル使用し、有機溶媒中、常圧で、20〜150℃で20分〜100時間程度反応させることにより進行する。反応後、公知の方法により目的物を精製する。例えば氷水等で冷却させ結晶を析出、単離して粗結晶を得る方法が挙げられる。
【0068】
本発明に用いるエポキシ基導入試剤としては、一般式(2’)で示される化合物の水酸基に一般式(7’)で示されるグリシジル基が導入できれば特に制限なく用いられるが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンが好ましい。
また、エポキシ基導入試剤として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0069】
【化26】

(6’)
(式中、Rは前記と同様である。)
【0070】
本発明の一般式(2’)で示される化合物とエポキシ基導入試剤との反応に用いられる塩基触媒は、周知の塩基触媒より適宜選択することができ、例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物等)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩等)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩等の無機塩基、アミン類(例えば、第3級アミン類(トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾール等の複素環式第3級アミン)等、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩等)等の有機塩基が挙げられる。入手の容易さや取り扱い易さ等の製造上の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
また、塩基触媒として1種類又は2種類以上を用いることができる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に特に限定はされない。
【0072】
化合物の評価方法は次の通りである。
<熱分解温度の測定>
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製EXSTAR6000DSC装置を使用し、試料約5mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度10℃/minで室温から500℃まで昇温した。その際、ベースラインに減少部分が現れる温度を熱分解温度とした。
【0073】
<ガラス転移温度および融点の測定>
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製EXSTAR6000DSC装置を使用し、試料約5mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度10℃/minで室温から300℃まで昇温した。アルミニウム製非密封容器を急冷後、再び窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度10℃/minで室温から300℃まで昇温することにより、DSC測定を行った。その際、ベースラインに不連続的部分が現れる領域の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移点とした。またその後に出現する吸熱ピークを融点とした。
【0074】
<合成例1>
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に2,6−ナフタレンジオール(シグマ−アルドリッチ社製試薬)3.20g(20mmol)と4−ビフェニルカルボキシアルデヒド(三菱瓦斯化学社製)1.82g(10mmol)とを30mlメチルイソブチルケトンに仕込み、95%の硫酸5mlを加えて、反応液を100℃で6時間撹拌して反応を行った。次に反応液を濃縮し、純水50gを加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って分離した。得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(2−1)で示される目的化合物が3.05g得られた。400MHz−H−NMRにより下記式(3)の化学構造を有することを確認した。
H−NMR:(d−DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)6.6(1H,C−H)、7.2〜8.5(19H,Ph−H)、9.7(2H,O−H)
尚、2,6−ナフタレンジオールの置換位置が1位であることは、3位と4位のプロトンのシグナルがダブレットであることから確認した。
【0075】
【化27】

(2−1)

【0076】
<実施例1>
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に一般式(2−1)で示される化合物10g(21mmol)と炭酸カリウム14.8g(107mmol)とを50mlジメチルホルムアミドに仕込み、エピクロルヒドリン4.95g(54mmol)を加えて、反応液を90℃で6.5時間撹拌して反応を行った。次に反応液を氷浴で冷却し結晶を析出させ、濾過を行って分離、乾燥させた。その後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(1−1)で示される目的化合物が3.0g得られた。400MHz−H−NMRにより下記式(1−1)の化学構造を有することを確認した。
H−NMR:(d−DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)2.6〜2.8(4H,CH−C−O)、3.3(2H,O−C(CH)−CH−、4.4〜4.5(4H,Ph−O−C−CH(CH))7.2〜8.5(19H,Ph−H)、6.7(1H,C(−Ph)):Phは芳香環を示す。
熱分解温度は385℃、ガラス転移点は110℃、融点は251℃であり、高耐熱性が確認できた。
【0077】
【化28】

(1−1)
【0078】
<合成例2>
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に一般式(2−1)で示される化合物10g(21mmol)と炭酸カリウム14.8g(107mmol)とを50mlジメチルホルムアミドに仕込み、酢酸−2−クロロエチル6.56g(54mmol)を加えて、反応液を90℃で12時間撹拌して反応を行った。次に反応液を氷浴で冷却し結晶を析出させ、濾過を行って分離した。続いて攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に前記結晶40g、メタノール40g、THF100gおよび24%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、反応液を還流下で4時間撹拌して反応を行った。その後、氷浴で冷却し、反応液を濃縮し析出した固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(2−2)で示される目的化合物が5.9g得られた。400MHz−H−NMRにより下記式(2−2)の化学構造を有することを確認した。
H−NMR:(d−DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)3.8(4H,−C−OH)、4.0(4H,−O−C−)、6.7(1H,C−H)、7.2〜7.8(19H,Ph−H)、8.6(2H,O−
熱分解温度は375℃、ガラス転移点は132℃、融点は256℃であり、高耐熱性が確認できた。
【0079】
【化29】

(2−2)
【0080】
<実施例2>
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に一般式(2−2)で示される化合物10g(21mmol)と炭酸カリウム14.8g(107mmol)とを50mlジメチルホルムアミドに仕込み、エピクロルヒドリン4.95g(54mmol)を加えて、反応液を90℃で6.5時間撹拌して反応を行った。次に反応液を氷浴で冷却し結晶を析出させ、濾過を行って分離、乾燥させた。その後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(1−2)で示される目的化合物が3.0g得られた。400MHz−H−NMRにより下記式(1−2)の化学構造を有することを確認した。
H−NMR:(d−DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)δ(ppm)2.6〜2.8(4H,CH−C−O)、3.3(2H,O−C(CH)−CH−、3.8(4H,Ph−O−CH−C−O)、4.0(4H,Ph−O−CH−CH−O−C−)、4.4〜4.5(4H,Ph−O−C−CH−O)、7.2〜8.5(19H,Ph−H)、6.7(1H,C(−Ph)):Phは芳香環を示す。
熱分解温度は370℃、ガラス転移点は100℃、融点は228℃であり、高耐熱性が確認できた。
【0081】
【化30】

(1−2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるエポキシ化合物。
【化1】

(1)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【請求項2】
一般式(2)で示される化合物と、エポキシ基導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させることを特徴とする請求項1記載のエポキシ化合物の製造方法。
【化2】

(2)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【請求項3】
一般式(1’)で示されるエポキシ化合物。
【化3】

(1’)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)
【請求項4】
一般式(2’)で示される化合物と、エポキシ基導入試剤とを、塩基触媒存在下にて反応させることを特徴とする請求項3記載のエポキシ化合物の製造方法。
【化4】

(2’)
(式中、Xは、水素原子又は炭素数1〜18の一価の置換基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数であり、nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である。)

【公開番号】特開2013−87173(P2013−87173A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227775(P2011−227775)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】