説明

新規ニトロレダクターゼ酵素基質

本発明は、下記の式(I)


[式中、
・XはS;NX1;O;またはNX1-COであり;
・R1は無し、あるいはCl、CH、Br、F、I、またはアルキル、アリールまたはカルボキシルから選択される置換基であり;
・R2は無し、あるいはCl、O-CH-O、O-CH、F、ジエチレンジアミン-CH、NR3R4、Br、I、アルキル、アリール、カルボキシル、NOおよび


から選択される置換基であり;
・R3及びR4は独立にH又は1から4の炭素原子を含むアルキル基であり;
・X1はH、CH、CPh、OH、アルキル及びアリールから選択される]
の、ニトロレダクターゼ活性を検出するための酵素基質に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はニトロレダクターゼ活性を検出するための新規酵素基質に関する。これらの基質は、特に微生物学、生化学、免疫学、分子生物学、組織学等において、物理化学的シグナルを生じる酵素還元の工程を含む適用に使用できる。
【0002】
現在、非常に多数の培地が、微生物を検出するために存在する。特に、この検出は検出が要求される微生物の酵素に特異的な特定の基質の使用に基づいてもよい。一般に、酵素のための合成基質は、明らかにされる酵素活性に特異的な第1の部分と標識(通常は発色標識か蛍光標識)として働く第2の部分から構成される。したがって、バクテリアの場合、基質の選択のおかげで、反応があるか否かに応じて、微生物の性質を特徴づけることが可能である。ニトロレダクターゼ活性は、バクテリアのグループ、属または種を明らかにするために特に使用されうる。また、微生物の増殖又はこの増殖の抑制にリンクした還元代謝を観察するために用いられてもよい。
【0003】
ニトロ芳香族化合物を還元する特定のバクテリアの能力は長年知られていた。Asnis(1957)は、p-ニトロ安息香酸を還元することができた大腸菌抽出物から、プラビンタンパク質の単離を報告した。この報告以来、ニトロアリール・レダクターゼ活性は、生物のさまざまな種類で同定された。これは、シュードモナス属の種(Won et al. 1974)及びノカルジア属の種(Villanueva 1964)のような絶対好気性微生物、クロストリジウム属の種(Ancermaier 及び Simon 1983)及びベーヨネラ属の種(McCormick et al. 1976)のような絶対嫌気性微生物、あるいは菌類(Masuda & Ozaki 1993)及び真核性寄生生物(Douch 1975)を含む。細菌性のニトロアリール・レダクターゼによって還元されることができると記載された、さまざまな基質の範囲が存在する。特に、それらはp-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、p-ニトロアニリン及び2,4,6-トリニトロトルエン(McCormick et al. 1976)のようなニトロ芳香族化合物である。
【0004】
通常、ニトロレダクターゼ酵素活性の検出は、基質または補因子の消失を測定するような間接的な方法によって行われる。例えば、Kitamura等 (1983)は、大腸菌抽出物による、メチルp-ニトロベンゾアートとさまざまな他のニトロ芳香族化合物の還元を研究した。しかしながら、この方法は、あまり感受性がなく、不均一培地における検出に適していない。また、ニトロアリール・レダクターゼ活性の直接的な検出のためのニトロクマリンに基づく蛍光発生基質を記載する出願WO00/28073を挙げることができる。このタイプのニトロ芳香族化合物は、還元後、非常に蛍光性で、そのため容易に検出可能である化合物を生じることができる。しかしながら、この基質は、不均一培地における検出に、あまり適していない。
【0005】
従って、本発明は、微生物の検出のための改良されたニトロレダクターゼ基質を提案する。従来の基質と比較して、これらの新規基質は合成が容易であり、それらは反応培地中に拡散しない呈色を生じるので、特に微生物を検出するためのゲル培地において使用できる。
【0006】
本発明の説明を続ける前に、下記の定義を、本発明の開示を容易にするために提供する。
「酵素基質」なる用語は、酵素によって修飾され、微生物の、細胞の、またはオルガネラの、直接的または間接的な検出を可能にする生成物を提供し得る基質を意味することを目的とする。ニトロレダクターゼ基質の場合、この基質は特に、明らかにされる酵素活性によって部分的にまたは完全に還元されるニトレート機能を含み、このニトレート機能の還元が分子の特定の物理化学的特性を修飾し、この還元が追跡されることを可能にする。
還元の生成物が酵素活性を発現している細胞に主に局在したままであるので、この活性を発現している細胞を特に計数すること、またはサンプルの残りからそれらを分離することさえ可能であるので、本発明に係る基質はフローサイトメトリーでの使用に特に適している。
【0007】
還元の生成物が加水分解の場所に主に局在したままであるため、組織中でこの活性を発現している細胞またはオルガネラを特に同定することが可能であるので、本発明に係る基質は組織酵素学での使用に非常に適している。
低い毒性のおかげで、本発明に係る基質は、細胞培養ニトロレダクターゼ活性を観察することに非常に適している。
また、本発明に係る基質は、反応培地中に拡散しない呈色または蛍光を生じるので、検出および/または同定培地での使用に非常に適している。本出願において、「呈色」なる用語は、可視スペクトルにおける光の吸収である呈色、又はある波長(λex)での吸収とより高い波長(λem)での放出である蛍光をカバーするために使用される。
本発明の基質は、塩を形成してもよく、すなわち塩化物、臭化物またはトリフルオロ酢酸塩のような塩の形態でもよい。
【0008】
「ニトロレダクターゼ」なる用語は、NO基を完全にまたは部分的に還元することができる酵素を意味することを目的とする。
「アルキル基」なる用語は、飽和炭化水素ベースの基の鎖、特にC-Cアルキル、すなわち1から6の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキルを意味することを目的とする。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル及びヘキシルを挙げることができる。
「アリール基」なる用語は、芳香環、例えばC-C10芳香環、特にフェニル、ベンジル、1-ナフチルまたは2-ナフチルに由来する官能基(または置換基)を意味することを目的とする。
「カルボキシル基」なる用語は、第1の酸素原子に二重結合により、及び第2の酸素原子(それ自体が負に荷電しているか、又は水素原子に結合している)に単結合により結合された炭素原子から成る官能基を意味することを目的とする。分子のpK及び培地のpHに応じて、カルボキシル基はイオン化型、すなわち第2の酸素原子に結合するHを有さず、それにより負に帯電していてもよい。
【0009】
「反応培地」なる用語は、代謝の発現のために及び/又は微生物、細胞、またはオルガネラの増殖のために必要な全ての要素を含む培地を意味することを目的とする。この反応培地は、フローサイトメトリ、組織酵素学、細胞培養等や、あるいは微生物検出および/または同定培地として使用できる。
反応培地は、固体、半固体、又は液体でもよい。「固形培地」なる用語は、例えば、ゲル化された培地を意味することを目的とする。寒天は微生物を培養するための微生物学における通常のゲル化剤であるが、ゼラチンまたはアガロースを使用することが可能である。一定数の調製物は、例えばコロンビア寒天、トリプケース−ソイ寒天、マッコンキー寒天、サブロー寒天、又はさらに一般的にいえば、微生物学培地ハンドブック(the Handbook of Microbiological Media:CRC出版)に記載されているものは、市販されている。
反応培地は、例えばアミノ酸、ペプトン、炭水化物、ヌクレオチド、ミネラル、ビタミン、抗生物質、界面活性剤、バッファー、リン酸塩、アンモニウム塩、ソーダ塩、金属塩のような一つ以上の成分を組合せて含んでもよい。
また、培地は着色剤を含んでもよい。例として、着色剤として、エバンスブルー、ニュートラルレッド、ヒツジ血液、ウマ血液、酸化チタンのような乳白剤、ニトロアニリン、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン等を挙げることができる。
反応培地は、検出および/または同定培地、すなわち発現用培地または培養且つ発現用培地であってもよい。第1の場合において、微生物は接種の前に培養され、第2の場合において、検出および/または同定培地は培養培地をも構成する。
【0010】
「生物試料」なる用語は、生体液標本に由来する臨床試料、又は任意の種類の食品に由来する食品試料を意味することを目的とする。従って、この試料は液体又は固体でもよく、血液、血漿、尿または糞便、鼻、のど、皮膚、傷又は脳脊髄液から採取された試料に由来する臨床試料、水又例えば牛乳または果汁等の飲料由来の;ヨーグルト、肉、卵、野菜、マヨネーズまたはチーズ由来の;魚等に由来の食品試料、あるいは、特に動物の餌のような動物飼料に由来する食品試料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、サンプルは、臨床環境からの標本、家畜標本、食品、化粧品または薬剤生産からの標本であってもよい。「環境標本」なる用語は、特に、表層から、液体から、出発原料からまたは製品から採取される標本を意味することを目的とする。
【0011】
本発明の目的において、「微生物」なる用語はバクテリア、特にグラム陰性菌とグラム陽性菌、酵母、寄生生物、菌類、さらに一般的にいえば、通常は単細胞生物であって、肉眼では見えず、且つ実験室で増殖させ及び操作できる生物を含む。
グラム陰性菌について、以下の属のバクテリアを挙げることができる:シュードモナス属、エシェリヒア属、サルモネラ属、赤痢菌属、エンテロバクター属、クレブシェラ属、霊菌属、プロテウス属、カンピロバクター属、ヘモフィルス属、モルガネラ属、ビブリオ属、エルシニア属、アシネトバクター属、ブランハメラ属、ナイセリア属、バークホルデリア属、シトロバクター属、ハフニア属、エドバルシエラ属、エーロモナス属、モラクセラ属、パスツレラ属、プロビデンシア属、アクチノバチルス属、アルカリゲネス属、ボルデテラ属、セデセア属、エルウィニア属、パントエア属、ラルストニア属、ステノトロホモナス属、キサントモナス属及びレジオネラ属。
グラム陽性菌について、以下の属のバクテリアを挙げることができる:エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、バシラス属、乳酸桿菌属、リステリア属、クロストリジウム属、ガルドネレラ属、コクリア属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ミクロコッカス属、ファルカミア属(Falkamia)、ゲメラ属、ペジオコックス属、マイコバクテリア属及びコリネバクテリウム属。
酵母について、以下の属の酵母を挙げることができる:カンジダ属、クリプトコックス属、サッカロミセス属及びトリコスポロン属。
【0012】
本発明は、下記の式(I)

[式中、
・XはS;NX1;O;またはNX1-COであり;
・R1は無し、あるいはCl、CH、Br、F、I、またはアルキル、アリールまたはカルボキシルから選択される置換基であり;
・R2は無し、あるいはCl、O-CH-O、O-CH、F、ジエチレンジアミン-CH、NR3R4、Br、I、アルキル、アリール、カルボキシル、NOおよび

から選択される置換基であり;
・R3及びR4は独立にH又は1から4の炭素原子を含むアルキル基であり;
・X1はH、CH、CPh、OH、アルキル及びアリールから選択される]
の、ニトロレダクターゼ活性を検出するための酵素基質に関する。
ヘテロ環の1位の窒素と2位の炭素との間の結合は一重(1,2-ジヒドロ)あるいはニ重でもよく、好ましくはニ重である。
もちろん、本発明に係る基質は、複数の置換基、すなわち環のさまざまな位置に複数のR1及びR2基を含んでもよい。R2がO-CH-Oであるとき、R2は環員の2つが共有されているニトロフェニルに結合する環である。R1および/またはR2がアルキル基またはアリール基であるとき、OH、カルボキシル、Br、Cl、FまたはIのような一以上の置換基によって置換されてもよい。
XがNX1-COであるとき、Xを含む環は6員環であって、当該6員環の3位のNX1と4位のOに二重結合を介して結合するCを含む。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態によれば、XはSである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、XはNX1である。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、XはOである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、XはNX1-COである。
本発明のある好ましい実施形態によれば、R1は5位にある。
本発明のある好ましい実施形態によれば、R2は4’位にある。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、R2は5’位にある。
本発明の他の好ましい実施例によれば、R2は4’位及び5’位にある。
【0014】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり:
・R1とR2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1はClであり、好ましくは5位であり;
・R2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1はCHであり、好ましくは5位であり;
・R2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はClであり、好ましくは5’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はO-CH-Oであり、好ましくは4’位と5’位においてニトロフェノールに結合する。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はO-CHであり、好ましくは4’位と5’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はFであり、好ましくは5’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はジエチレンジアミン-CHであり、好ましくは5’位である。
【0015】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はCHであり、好ましくは3位である;
・R1は無し;
・R2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はCHであり;
・R1は無し;
・R2はClであり、好ましくは5’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はCHであり;
・R1は無し;
・R2はO-CH-Oであり、好ましくは4’位と5’位においてニトロフェノールに結合する。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はCPhであり;
・R1は無し;
・R2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はCPhであり;
・R1は無し;
・R2はClであり、好ましくは5’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はCPhであり;
・R1は無し;
・R2はO-CH-Oであり、好ましくは4’位と5’位においてニトロフェノールに結合する。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはSであり;
・R1は無し;
・R2はFであり、好ましくは5’位である。
【0016】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1-COであり;
・X1はHであり;
・R1及びR2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1-COであり;
・X1はCHであり;
・R1及びR2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1-COであり;
・X1はCHであり;
・R1は無し;
・R2はClであり、好ましくは5’位である。
【0017】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1であり;
・X1はHであり;
・R1及びR2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはNX1-COであり;
・X1はHであり;
・R1は無し;
・R2はClであり、好ましくは5’位である。
【0018】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはSであり;
・R1は無し;
・R2はジエチレンジアミン-CHであり、好ましくは5’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはSであり;
・R1は無し;
・R2は

であり、好ましくは5’位である。
【0019】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はNOであり、好ましくは4’位である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはSであり;
・R1は無し;
・R2は無し。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記酵素基質は、上記の式(I)に対応し、且つ式中:
・XはSであり;
・R1は無し;
・R2はFであり、好ましくは5’位であり;
・ヘテロ環の1位の窒素と2位の炭素との間の結合は一重である(1,2-ジヒドロ)。
【0020】
好ましくは、本発明による基質は、表1に記載されている基質から選択される。
表1

表1のつづき

【0021】
また、本発明は、上記の少なくとも一つの酵素基質を含む反応培地にも関する。
また、本発明は、上記の少なくとも一つの酵素基質を含む微生物検出および/または同定培地にも関する。好ましくは、上記基質は1と1000mg/lとの間の濃度、好ましくは10と500mg/lとの間の濃度である。
本発明のある特定の実施形態によれば、上記培地は、本発明に係る基質によって検出されるものとは異なる酵素活性に特異的である少なくとも一つの他の酵素基質を含む。
他の基質の酵素加水分解は検出可能なシグナルであって、本発明の基質により検出されるシグナルとは異なるシグナル、例えば異なる着色性あるいは蛍光性生成物を生じ、それにより一つ以上の微生物の検出および/または同定および/または定量のような実証を可能にする。他の特異的な基質について、微生物の検出において従来使用されている他の任意の基質を使用してもよい。他の特異的な酵素基質の濃度は、通常0.01と1g/lとの間にある。当業者は、使用する基質について、容易にこのような濃度を決定することが可能である。例として、本発明に係る基質を、ペプチダーゼ、オシダーゼ、エステラーゼまたはレダクターゼ酵素基質と結合することは可能である。特に、本発明に係る基質を5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-グルコシドまたはアリザリン-β-ガラクトシドのようなオシダーゼ基質と、又は5-ブロモ-6-クロロ-3-インドキシル・オクタノエートまたは5-ブロモ-3-インドキシル・ホスフェートのようなエステラーゼ基質と組合わせることが可能である。
【0022】
本発明のある特定の実施形態によれば、上記培地も、本発明に係る基質によって検出される酵素活性に特異的である、少なくとも一つの他を酵素基質を含む。
従って、基質の特定の選択に係わらず、同じ酵素活性を発現する微生物の群を同定することは可能である。他の特異的な酵素基質の濃度は、通常0.01と1g/lとの間にある。当業者は、使用する基質について、容易にこのような濃度を決定することが可能である。特に、本発明に係るて基質を、出願WO00/28073に記載されているようなニトロクマリンに基づく蛍光発生基質と結合することが可能である。
【0023】
また、本発明は、微生物の少なくとも一つのニトロレダクターゼ活性を検出するための、上記の酵素基質の使用または上記の検出および/または同定培地の使用にも関する。
また、本発明は少なくとも一つのニトロレダクターゼ活性を検出する方法であって、
a)上記の検出及び/又は同定培地を用意すること、
b)培地に試験される生物試料を接種すること、
c)これをインキュベートすること、及び
d)少なくとも1つのニトロレダクターゼ活性の存在を明らかにする工程
を含むか、又はそれにより構成されることを特徴とする方法に関する。
【0024】
微生物の接種は、当業者に知られている任意の接種技術によって実施できる。インキュベーション工程は、検出が要求される酵素活性にとって最適な温度で実行されてもよく、検出される酵素活性及び検出される微生物に応じて、当業者は容易に選択することができる。工程d)は、目視検査によって、あるいは比色法または蛍光測定法によって実行できる。工程d)の間、ニトロレダクターゼ活性の存在を、単独で、または少なくとも一つの他の酵素活性との組合わせにより、明らかにすることが可能である。
下記の実施例は、説明として示すものであり、事実上決して制限するものではない。それらは、より明らかに本発明を理解することを可能にする。
【0025】
実施例
1−基質の合成
・「XはSである」
基質22:2-(2'-ニトロフェニル)ベンゾチアゾール

1eqの2-アミノフェノールとエタノールと1eqの2-ニトロベンズアルデヒドの混合物を、油浴を用いて、温度110℃で1時間、還流した。 混合物は周囲温度に冷却し、濾過によって沈殿物を回収した。生成物を最大で回収するために、丸底フラスコをろ液でリンスし、それによりかなりの部分を蒸発させた。固体は、減圧下のデシケータ中で乾燥し、それにより中間生成物を得た。 上で得られた固体を100mlのジクロロメタンに溶解し、次に1eqの2,3-ジシアノ-5,6-ジクロロ-パラ-ベンゾキノンを周囲温度で小分けに加えた。反応はオーバーナイトで実行され、次に濾過後、生成物を最大で回収するために、それがDCMに可溶性であるので、ガラス製品をDCMでリンスした。生成物を得るために、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0026】
基質15:2-(2'-ニトロ-5'-フルオロフェニル)ベンゾチアゾール

3.00g(0.024モル)の2-アミノチオフェノールと4.05g(0.024モル)の5-ニトロ-3-フルオロベンズアルデヒドの混合物のエタノール(150ml)溶液を2時間、環流した。周囲温度に冷却後、溶液は減圧下で濃縮された。残った固体は水と酢酸エチルの混合物(500ml)に希釈され、酢酸エチル(2×50ml)を使用して更に2回抽出された。合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、濾過し、エタノールから再結晶化して、粗生成物を得るために濃縮した。質量1.28gのOF54A2の微細な赤色の結晶が収率47%で得られ、測定された融点は156−158℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H NMR (270 MHz, CDCl3): δ = 6.87 (1H, t, J = 4 Hz, Ar-H), 6.89 (1H, s, Ar-H), 7.05 (1H, t, J = 4 Hz, Ar-H), 7.11 (1H, d, J = 3 Hz, Ar-H), 7.13 (1H, d, J = 3 Hz, Ar-H), 7.69 (1H, dd, J = 9 Hz, Ar-H), 8.17 (1H, dd, J = 9 Hz, Ar-H).
【0027】
基質23:2-(2'-ニトロ-5'-(N-メチルピペラジニル)フェニル)ベンゾチアゾール(OF80A)

0.31g(0.0030モル)のN-メチルピペラジンを、0.41g(0.015モル)の2-(2'-ニトロ-5'-フルオロフェニル)ベンゾチアゾールと0.32g(0.0023モル)のKCOの5mlのジメチルスルホキシド溶液の混合物に加えられた。反応は磁気的に撹拌され、90℃で加熱されて、その進行がTLCによって確認された。
反応が完了した後(少なくとも8時間)、反応混合物は酢酸エチル(77ml)に希釈され、このようにして得られた有機相は2×65mlの水で、次に65mlのブラインで洗われ、硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、それにより0.36gの高度に静電気の橙黄色の固体(OF80A)を収率68%で得た。カラムクロマトグラフィーによる精製は、必要に応じて実行され得る;これは今回は事実ではなかった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): δ = 2.35 (3H, s, CH3), 2.45 (2H, t, J = 7 Hz, CH2-CH2), 3.49 (2H, t, J = 7 Hz, CH2-CH2), 6.85 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 6.90 (1H, t, J = 7 Hz, Ar-H), 7.41 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 7.43 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 7.85 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 8.05 (1H, t, J = 7 Hz, Ar-H).
LC-MS-DI m/z Found: 355.57 (C18H18N4O2S) (M+H): requires M. 354.43.
【0028】
基質21:2-(2'-ニトロ-5'-クロロフェニル)ベンゾチアゾール

基質No.21は、2-(2'-ニトロ-5'-フルオロフェニル)ベンゾチアゾール(基質No.15)の合成と類似した方法で合成した。
【0029】
・「XはOである」
基質1−2-(2'-ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール

8.73g(0.0800モル)の2-アミノフェノールと20mlのエタノールと12.09g(0.0800モル)の2-ニトロベンズアルデヒドの混合物を、温度110℃で1時間、油浴を用いて還流した。混合物は周囲温度に冷却し、濾過によって沈殿物を回収した。生成物を最大で回収するために、丸底フラスコをろ液でリンスし、それによりかなりの部分を蒸発させた。
固体は、減圧下のデシケータ中で乾燥し、それにより13.25gの2-(2'-ニトロベンジリジンアミノ)フェノールを収率69%で得た。
上で得られた固体を100mlのジクロロメタンに溶解し、次に12.43g(0.0547モル)の2,3-ジシアノ-5,6-ジクロロ-パラ-ベンゾキノンを周囲温度で小分けに加えた。反応をオーバーナイトで実施した。濾過後、生成物を最大で回収するために、それがDCMに可溶性であるので、ガラス製品をDCMでリンスした。 溶媒を減圧下で蒸発させ、それにより収率64%でベージュ-茶色の固体の、8.39gの2-(2-ニトロフェニル)ベンゾオキサゾールを得た。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H NMR (270 MHz, CDCl3): δ = 7.40 (1H, t, J = 5 Hz, Ar-H), 7.42 (1H, t, J = 5 Hz, Ar-H), 7.50 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 7.72 (1H, t, J = 5 Hz, Ar-H), 7.73 (1H, t, J = 5 Hz, Ar-H), 7.80 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 7.89 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 8.15 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H).
【0030】
基質2−2-(2'-ニトロフェニル)-5-クロロ・ベンゾオキサゾール ― VLS259
基質No.2は、2-(2' -ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(基質No.1)の合成に類似した方法で合成された。
【0031】
基質6−2-(2'-ニトロ-4',5'-ジメトキシフェニル)ベンゾオキサゾール−VLS261
1. 2-((3'-クロロ-6'-ニトロベンジリデン)アミノ)フェノール(VLS 263)の合成

2.18g(0.02モル)の2-ヒドロキシアニリンと3.73g(0.02モル)の2-ニトロ-5-クロロベンズアルデヒドのエタノール溶液の混合物を3−4時間、還流した。結果として生じた結晶性沈殿を集め、減圧下のデシケータにおいて乾燥した。質量1.98gの微細なオレンジ色の結晶が収率80%で得られ、測定された融点は144−146℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H-NMR:(CDCl3) δ 6.95 (1H, t, J=8 Hz, Ph-H), 7.05 (1H, dd, J=8 Hz, J=1.2 Hz, Ph-H), 7.10 (1H, s (broad), OH), 7.28 (1H, t, J=8 Hz, Ph-H), 7.33 (1H, dd, J=8 Hz, J= 1.4 Hz, Ph-H), 7.60 (1H, dd, J=8.66 Hz, J=2.2 Hz, 4’H), 8.05 (1H, d, J=8.66 Hz, 5’H), 8.23 (1H, d, J=2.4 Hz, 2’H), 9.27 (1H, s, =CH-)
υmax cm-1 3442 (OH), 1558 (NO2), 1376 (NO2), 1521 (C=N), 1341 (OH), 1301 (OH), 1143 (C-N), 1176 (C-O), 1461 (Ar-H), 756 (C-Cl).
【0032】
2. 2-(2'-ニトロ-5'-クロロフェニル)ベンゾオキサゾール(VLS269)の合成
1.14 g(0.005モル)の2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)を、周囲温度でジクロロメタン中で撹拌された2- ((3' -クロロ-6'-ニトロベンジリデン)アミノ)フェノールに、5分間にわたって加えた。混合物は、2日間撹拌したままにし、濾過して、蒸発させ、それにより、生成物を得た。質量0.97gの緑がかった褐色の粉末が収率70%で得られ、測定された融点は130−132℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
High-resolution M.S.E.I for C13H7ClN2O3 Calculated mass of molecular ion 274.0140 (M+H)+ Measured mass: 274.0141. 1H-NMR:(CDCl3) δ 7.40-7.45 (2H, m, Ph-H), 7.56-7.61 (1H, m, Ph-H), 7.65 (1H, dd, J=8.66 Hz, J=2.23 Hz, 4’H), 7.80-7.85 (1H, m, Ph-H), 7.87 (1H, d, J=8.66 Hz, 5’H), 8.16 (1H, d, J=2.23 Hz, 2’H). υmax cm-1 1534 (NO2), 1371 (NO2), 1572 (C=N), 1616 (C=N), 1182 (C-O), 1236 (C-O), 1153 (C-N), 1461 (Ar-H), 743 (C-Cl).
【0033】
3. 2-(3',4'-ジメトキシ-6'-ベンジリデン)アミノ)フェノール(VLS 260)の合成

3.27g(0.03モル)の2-ヒドロキシアニリンと6.33g(0.03モル)の6-ニトロベラトルアルデヒドの混合物のエタノール溶液を3−4時間、還流した。結果として生じた結晶性沈殿を集めて、減圧下でデシケータにおいて乾燥した。質量8.20gの微細なオレンジ色の結晶が収率90%で得られ、測定された融点は196−198℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H-NMR:(CDCl3) δ . 1H-NMR:(CDCl3) δ 4.00 (3H, s, CH3O), 6.92 (1H, t, J=7 Hz, Ph-H), 7.01 (1H, dd, J=7 Hz, J=1.4 Hz, Ph-H), 7.12 (1H, s (broad), OH), 7.22 (1H, t, J=7 Hz, Ph-H), 7.32 (1H, dd, J=7 Hz, J=1.4 Hz, Ph-H), 7.62 (1H, s, 5’H), 7.69 (1H, s, 3’H), 9.25 (1H, s, =CH-). υmax cm-1 3416 (OH), 1566 (NO2), 1384 (NO2), 1589 (C=N), 1344 (OH), 1317 (OH), 1181 (C-N), 1149 (C-O), 1461 (Ar-H), 2838 (OMe).
【0034】
4. 2-(2' -ニトロ-4',5'-ジメトキシフェニル)ベンゾオキサゾール(VLS 261)の合成
2.27g(0.01モル)の2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)を、周囲温度でジクロロメタン中で撹拌された3.04g(0.01モル)の2- (3',4' -ジメトキシ-6'-ベンジリデン)アミノ)フェノールに、5分間にわたって加えた。
混合物は、2日間撹拌したままにし、濾過して、蒸発させ、それにより、生成物を得た。
質量2.76gの橙褐色の粉末が収率90%で得られ、測定された融点は148−146℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
High-resolution M.S.E.I for C15H12N2O5 Calculated mass of molecular ion 301.0819 (M+H)+Measured mass: 301.0819. 1H-NMR:(CDCl3) δ 4.00 (6H, d, J=2.7 Hz, (OCH3)2), 7.37-7.41 (2H, m, Ph-H), 7.43 (1H, s, 5’H), 7.52 (1H, s, 2’H), 7.53-7.57 (1H, m, Ph-H), 7.78-7.82 (1H, m, Ph-H). υmax cm-1 1519 (NO2), 1378 (NO2), 1582 (C=N), 1189 (C-N), 1177 (C-O), 1448 (Ar-H), 2850 (OMe).
【0035】
基質7−2-(2' -ニトロ-5'-フルオロフェニル)ベンゾオキサゾール−OF20B

1時間の温度110℃で、10.91g(0.100モル)の2-アミノフェノールと16.91g(0.100モル)の2-ニトロ-5-フルオロベンズアルデヒド混合物の200mlのエタノール溶液を油浴を用いて還流した。混合物を周囲温度に冷却し、濾過によって沈殿物を回収した。生成物を最大で回収するために、丸底フラスコをろ液でリンスし、それによりかなりの部分を蒸発させた。固体を減圧下のデシケータにおいて乾燥し、それにより93%の収率で24.09%のOF20Aを得た。
上で得られた固体を100mlのジクロロメタンに溶解し、次に21.04g(0.0927モル)の2,3-ジシアノ-5,6 ジクロロ-パラ-ベンゾキノンを周囲温度で小分けで加えた。反応をオーバーナイトで実施し、ろ過後、生成物の最大量を回収するために、それがDCMにおいて可溶性であるので、ガラス製品をDCMでリンスした。
溶媒は減圧下で蒸発させ、それにより61%の収率で、14.49gのOF20Bのベージュ−茶色の固体を得た。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H NMR (270 MHz, CDCl3): δ= 7.37 (1H, d, J = 3 Hz, Ar-H), 7.43 (1H, t, J = 5 Hz, Ar-H), 7.45 (1H, s, Ar-H), 7.59 (1H, t, J = 5 Hz, Ar-H), 7.82 (1H, d, J = 3 Hz, Ar-H), 7.85 (1H, d, J = 3 Hz, Ar-H), 7.96 (1H, dd, J = 9 Hz, Ar-H), 8.15 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H).
【0036】
基質3:2-(2'-ニトロフェニル)-5-メチルベンゾオキサゾール
基質No.3は、2-(2' -ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(基質No.1)の合成に類似した方法で合成した。

基質4:2-(2'-ニトロ-5'-クロロフェニル)ベンゾオキサゾール
基質No.4は、2-(2' -ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(基質No.1)の合成に類似した方法で合成した。

基質5:2-(2'-ニトロ-4',5'-ジメチレンジオキシフェニル)ベンゾオキサゾール
基質No.5は、2-(2'-ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(基質No.1)の合成に類似した方法で合成した。
【0037】
基質8:2-(2'-ニトロ-5'-(N-メチルピペラジニル)フェニル)ベンゾオキサゾール(OF29A)
1.01g(0.010モル)のN-メチルピペラジンを、1.29g(0.005モル)の2-(2'-ニトロ-5'-フルオロフェニル)ベンゾオキサゾールと1.04g(0.0075モル)のKCOの混合物の9mlのジメチルスルホキシド溶液に加えた。反応は磁気的に撹拌され、90℃で加熱され、その進行がTLCによって確認された。
反応が完了した後(少なくとも8時間)、反応混合物は酢酸エチル(77ml)に希釈し、このようにして得られた有機相は2×65mlの水で、次に65mlのブラインで、慎重に洗浄され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、73%の収率で、1.23gの黄/金色の花弁のOF29Aを得た。 カラムクロマトグラフィーによる精製は、必要に応じて実行され得る;これは今回は事実ではなかった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): d = 2.35 (3H, s, CH3), 2.57 (2H, t, J = 7 Hz, CH2-CH), 3.48 (2H, t, J = 7 Hz, CH2-CH), 6.95 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 6.98 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 7.21 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H), 7.28 (1H, s, Ar-H), 7.39 (1H, t, J = 9 Hz, Ar-H), 7.41 (1H, t, J = 7 Hz, Ar-H), 7.55 (1H, t, J = 7 Hz, Ar-H), 7.61 (1H, t, J = 7 Hz, Ar-H), 8.1 (1H, d, J = 7 Hz, Ar-H).
m.p.: 122-126
LC-MS-DI m/z Found: 339.54 (C18H18N4O3) (M+H): requires M. 338.37.
【0038】
・「XはNX1-COである」
基質20−2-(2' -ニトロ-5' -クロロフェニル)キノキサゾル-4-ワン1. 1,2-ジヒドロ-2(2' -ニトロ-5' -クロロフェニル)キノキサゾリン-4-ワン(VLS 276)の合成

2.31g(0.017モル)の2-アミノベンザミドと3.14g(0.017モル)の3-クロロ-6-ニトロベンズアルデヒドを、エタノール中で1時間、還流した。次に、混合物を冷却し、得られたオレンジ色の結晶はクリスタルは収集されて、減圧下のデシケータにおいて乾燥した。質量3.97gの淡いオレンジ色の結晶が収率76%で得られ、測定された融点は234−236℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H-NMR:(DMSO) δ 6.35 (1H, t, J=2 Hz, CH), 6.70 (1H, d, J=1 Hz, Ph-H(8H)), 6.80 (1H, t, J=7 Hz, Ph-H (6H)), 7.05 (1H, s (broad), NH), 7.25 (1H, t, J=7 Hz, Ph-H (7H)), 7.65 (1H, d,d, J=6 Hz, J=1.5 Hz, Ph-H (5H)), 7.75 (1H, d,d, J=9 Hz, J=3 Hz, Ph-H (4’H)), 7.85 (1H, d, J=3 Hz, Ph-H (6’H)), 8.15 (1H, d, J=9 Hz, Ph-H (3’H)), 8.30 (1H, d (broad), NH-CO), High-resolution M.S.E.I for C14H10ClN3O3 Calculated mass of molecular ion 304.0483 (M+H)+. Measured mass: 304.0482
υmax cm-1 1661 (C=ONH), 1564 (NO2), 1358 (NO2), 1602 (C=N), 774 (C-Cl).
【0039】
2. 2-(2' -ニトロ-5' -クロロフェニル)キノキサゾリン-4-ワン(VLS 278)の酸化

質量9.10g(0.03モル)の2-(2' -ニトロ-5' -クロロフェニル)キノキサゾリン-4-ワンを40mlの無水アセトンに溶解し、4.74g(0.03モル)の過マンガン酸カリウムの無水アセトン溶液によって処理した。この溶液は、周囲温度で2−3時間にわたって、混合物に滴下された。次に、反応はオーバーナイトで撹拌された。過剰なKMnOは、過剰の固体の亜硫酸水素ナトリウムを加えることによって除去された。次に、溶液をろ過し、蒸発させた。質量2.26gのペールホワイト色の粉体が収率25%で得られ、測定された融点は276−278℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
High-resolution M.S.E.I for C14H8ClN3O3 Calculated mass of molecular ion 302.0327 (M+H)+. Measured mass: 304.0327 .1H-NMR:(DMSO) δ 7.55 (1H, t, J=7 Hz, Ph-H (7H)), 7.65 (1H, d, J=8 Hz, Ph-H (4’H)), 7.85 (1H, t, J=7 Hz, Ph-H (6H)), 7.90 (1H, d,d, J=8 Hz, J=2 Hz, Ph-H (5H)), 8.05 (1H, d, J=2 Hz, Ph-H (6’H), 8.25 (1H, d, J=8 Hz, Ph-H (3’H). υmax cm-1 3132 (NH2), 3070 (NH2), 1578 (NO2), 1368 (NO2), 1603 (NH), 1660 (CONH), 1531 (C=N), 772 (C-Cl).
【0040】
基質17−2-(2'-ニトロフェニル)-3-メチルキノキサゾル-4-ワン
1. 2-アミノ-N-メチルベンズアミド(VLS 291)の合成
16.20g(0.099モル)の等張無水物に、COの放出を制御しながら、撹拌で、小分けにして、25mlの40%メチルアミンを加えた。混合物は、周囲温度で1時間、保たれた。次に、混合物は、HClの2M溶液によって中和し、ビュッヒ製の装置により減圧下で濾過し、水により数回を洗い、減圧下のデシケータを使用して乾燥した。質量11.61gの灰色の粉末を収率78%で得た。

2. 2-(2' -ニトロ-5' -クロロフェニル)-3-メチルキノキサゾリン-4-ワンの合成(VLS 292)
質量7.5g(0.05モル)の2-アミノ-N-メチルベンズアミドと9.30g(0.05モル)の3-クロロ-6-ニトロベンズアルデヒドを、磁気的に撹拌して、2−3時間還流させた。このようにして得られたオレンジ色の結晶は、ビュッヒ製により減圧下で濾過して、減圧下でデシケータを使用して乾燥した。質量10.38gの針状微細なオレンジ色の結晶を、収率66%で得た。

3. VLS 292の酸化(VLS 295b)
質量3.17g(0.01モル)のVLS 292bを無水アセトンに溶解した。KMnOの6.32g(0.04モル)を無水アセトンに溶解し、前記の混合物に1〜2時間にわたって、滴下した。次に、反応をオーバーナイトで撹拌した。次に、混合物をメタ重亜硫酸ナトリウムにより中和し、濾過し、蒸発させ、それにより過剰なアセトンを除去した。質量の2.60gの白色粉体は、収率80%で得た。
【0041】
・「XはNX1である」
基質14−2-(2'-ニトロ-4',5'-シクロメチレンジオキシフェニル)-3-フェネチルベンズイミダゾール(または2-(2'-ニトロ-4',5'-メチレンジオキシフェニル)-3-フェネチルベンズイミダゾール)

1. N-フェニルエチル-2-ニトロアニリン(VLS 209)

質量4.8g(0.04モル)の2-フェニルエチルアミンを、周囲温度で、5.6g(0.04モル)の2-フルオロニトロベンゼンと11.06g(0.08モル)の無水炭酸カリウムの30mlのDMSO溶液の混合物に滴下された。混合物を、100℃で3時間、加熱した。次に、混合物を周囲温度に冷却し、100mlの水を加え、ライトオレンジ色の化合物の沈殿物を生じた。固体を濾過により回収し、減圧下でデシケータを使用して乾燥した。9.4gのオレンジ色の結晶を収率98%で得た。求められた融点は、理論上の値、すなわち64−66℃と合致した。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H-NMR: (CDCl3) δ 3.00 (2H, t, J=7 Hz, -CH2-), δ 3.55 (2H, t, J=7 Hz, -CH2-), δ 6.65 (1H, m, Ph-H), δ 6.85 (1H, dd, J=8 Hz, J=2 Hz, Ph-H), δ 7.20-7.50 (6H, m, Ph-H), δ 8.10 (1H, s(broad), NH), δ 8.20 (1H, dd, J=8 Hz, J=2 Hz, Ph-H).
【0042】
2. N-フェニルエチル-1,2-ジアミノベンゼン(VLS 210)
周囲温度の窒素下、磁気的に撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウムの0.38g(0.01モル)の溶液は、エタノールの銅のアセチルアセトネートの0.52g(0.002モル)の懸濁液に加えられた。この溶液に、VLS 209の2.42g(0.01モル)のニトロ化合物のエタノール溶液を、続いて0.76g(0.02モル)の水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液を加えた。混合物は、周囲温度で窒素下、オーバーナイトで撹拌した。次に、混合物は過剰なエタノールを取り除くために濃縮し、水は加えた。つぎに、抽出を2×20mlのDCMによって実行し、有機相を水で数回洗い、炭酸カリウムを使用して乾燥させて、回転蒸発装置で濃縮した。質量1.69gの黒っぽい油性液体で、続いて凝固したものを収率80%で得た。求められた融点は、理論上の値、すなわち42−44℃と合致した。
NMRによって得られたデータを下に示す:
1H-NMR: (CDCl3) δ 2.95 (2H, t, J=7 Hz, -CH2-), δ 3.27 (2H, s (broad), NH2), δ 3.38 (2H, t, J=7 Hz, -CH2), δ 6.69 (3H, m, Ph-H), δ 6.82 (1H, m, Ph-H), δ 7.10-7.40 (5H, m, Ph-H).
【0043】
3. 2-(2' -ニトロ-4',5'-シクロメチレンジオキシフェニル)-3 -フェネチルベンズイミダゾール(VLS 213)(または2-(2' -ニトロ-4',5'-メチレンジオキシフェニル)-3- フェネチルベンズイミダゾール)
8.60g(0.014モル)のオキソン(モノ過硫酸カリウム)を、5.08g(0.024モル)のN-フェニルエチル-1,2-ジアミノベンゼンと4.8g(0.024モル)の6-ニトロピペロナールの25mlDMF溶液と1mlの水溶液に、周囲温度で15分間にわたって磁気的に撹拌しながら加えた。反応が発熱性だったので、混合物を水槽で冷却し、オーバーナイトで撹拌しておいた。次に水を混合物に加え、DCMで2回連続した抽出を実行した。混合した有機相を複数回水によって洗い、乾燥し(MgSO)、濃縮して、それにより黄/茶色の粗生成物を得た。エタノールによる再結晶化を、化合物を精製するために実行した。質量6.19gの茶色の結晶を収率67%で得て、測定された融点は162−164℃であった。
NMRによって得られたデータを下に示す:
High-resolution M.S.E.I for C22H17N3O4 Calculated mass of molecular ion 388.1292 (M+H)+. Measured mass: 388.1297 .1H-NMR: (CDCl3) δ 3.10 (2H, t, J=7 Hz,-CH2-), δ 4.20 (2H, t, J=7 Hz,-CH2-), δ 6.02 (1H, s, Ph-H), δ 6.18 (2H, s, O-CH2-O), δ 6.80 (2H, dd, J=8 Hz, J=2 Hz, Ph-H), δ 7.10-7.40 (5H, m, Ph-H), δ 7.48 (1H, m, Ph-H), δ 7.65 (1H, s, Ph-H), δ 7.80 (1H, m, Ph-H).
υmax cm-1 1364 (NO2), 1523 (NO2), 1610 (C=N), 1152 (C-N), 1207 (C-N), 1089 (C-O), 1473 (C-H), 728 (-CH2).

基質12−2-(2'-ニトロフェニル)-3-フェネチルベンズイミダゾール ― 54
基質No.12を、2-(2'-ニトロ-4',5'-シクロメチレンジオキシフェニル)-3-フェネチルベンズイミダゾールの合成に類似した方法で合成した(基質No.14)。
【0044】
2−ニトロレダクターゼ活性を検出するための本発明に係る基質の使用(基質No.1;2; 3; 4; 5; 6; 7; 8; 15; 12; 21; 23)

a)培地の調製
質量40mgの各基質を、4mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。この溶液は、前もってオートクレーブされた400mlのコロンビア寒天に完全に混ぜて、50℃に溶解して保った。各基質の最終濃度は、100mg/lであった。各々の培地を、90mmシャーレに、シャーレつき20mlの割合で分配した。
b)接種とインキュベーション
コレクションに由来する、バクテリアと酵母のさまざまな種類に属する18の微生物菌株は、10μlの1/20に希釈された0.5マクファーランドの懸濁液の半定量的隔離によって、これらの培地に接種された。培地は37℃で24時間インキュベートされ、次に形成されたコロニーは360−365nmのUV照射下で視覚的に調べられた。
c)結果の記録
得られた結果を表2から5に示す。
【0045】
表2

表2のつづき

【0046】
表3

【0047】
表4

【0048】
表5

【0049】
7-ニトロクマリン(AMC)(例えば7-ニトロクマリン-3-カルボン酸)に基づく基質で観察されることとは反対に、試験された本発明に係る全ての基質では、蛍光はコロニーのみに、又はすぐ近辺に局在化していた。 これらの結果は、基質No.2、3、4、6、7、8、15及び21が、特にMRSA菌株(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を、大部分の他のグラム陽性菌から、区別するかまたは同定することを可能にすることを示す。
この種の医学的な重要性により、これは、臨床検査標本だけでなくの食品標本の黄色ブドウ球菌(S.アウレウス)の迅速且つ特異的な検出に、非常に役立ち得る。
【0050】
さらに、芳香環における置換基に応じて、グラム陰性菌に関する本発明に係る基質の特異性は、可変的である。例えば、基質2、7及び15は、アシネトバクター・バウマニーからシュードモナス・アエルギノーサ(緑濃菌)を区別できる;サルモネラ・チフィムリウム(ネズミチフス菌)は基質7及び15では強く陽性であり、基質2、6及び12では陰性である。基質12は、モルガネラ・モルガニーに特異的である。
【0051】
d)結論
本発明に係る基質は、微生物学のための反応培地に使用することができる。これらの培地は、医学的、工業的、環境的に興味のある微生物の検出、計数および/または同定に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

[式中、
・XはS;NX1;OまたはNX1-COであり;
・R1は無し、あるいはCl、CH、Br、F、I、またはアルキル、アリールまたはカルボキシルから選択される置換基であり;
・R2は無し、あるいはCl、O-CH-O、O-CH、F、ジエチレンジアミン-CH、NR3R4、Br、I、アルキル、アリール、カルボキシル、NOおよび

から選択される置換基であり;
・R3及びR4は独立にH又は1から4の炭素原子を有するアルキル基であり;
・X1はH、CH、CPh、OH、アルキル及びアリールから選択される]
の、ニトロレダクターゼ活性を検出するための酵素基質。
【請求項2】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはOであり;
・R1はClであり、;
・R2は無しである
酵素基質。
【請求項3】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはOであり;
・R1はCHであり、;
・R2は無しである
酵素基質。
【請求項4】
請求項1に記載の酵素基質あって、
式中
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はClである
酵素基質。
【請求項5】
請求項1に記載の酵素基質あって、
式中
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はO-CHである
酵素基質。
【請求項6】
請求項1に記載の酵素基質あって、
式中
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はFである
酵素基質。
【請求項7】
請求項1に記載の酵素基質あって、
式中
・XはOであり;
・R1は無し;
・R2はジエチレンジアミン-CHである
酵素基質。
【請求項8】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはNX1であり;
・X1はCHであり;
・R1は無し;
・R2は無しである
酵素基質。
【請求項9】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはNX1であり;
・X1はCHであり;
・R1は無し;
・R2はClである
酵素基質。
【請求項10】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはNX1であり;
・X1はCHであり;
・R1は無し;
・R2はO-CH-Oである
酵素基質。
【請求項11】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはNX1であり;
・X1はCPhであり;
・R1は無し;
・R2は無しである
酵素基質。
【請求項12】
請求項1に記載の酵素基質であって、
式中
・XはSであり;
・R1は無し;
・R2はFである
酵素基質。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の少なくとも一つの酵素基質を含む、反応培地。
【請求項14】
請求項1から12の何れか一項に記載の少なくとも一つの酵素基質を含む、微生物検出および/または同定培地。
【請求項15】
請求項14に記載の検出培地であって、更に請求項1から12の何れか一項に記載の基質によって検出されるものとは異なる酵素活性に特異的な少なくとも一つの酵素基質を含む、検出培地。
【請求項16】
請求項14に記載の検出培地であって、更に請求項1から12の何れか一項に記載の基質によって検出される酵素活性に特異的な少なくとも一つの酵素基質を含む、検出培地。
【請求項17】
微生物の少なくとも一つのニトロレダクターゼ活性を検出するための、請求項1から12の何れか一項に記載の酵素基質又は請求項14から16の何れか一項に記載の検出および/または同定培地の使用。
【請求項18】
微生物の少なくとも一つのニトロレダクターゼ活性を検出する方法であって、
a)請求項14から16の何れか一項に記載の検出及び/又は同定培地を用意すること、
b)培地に試験される生物試料を接種すること、
c)これをインキュベートすること、
d)少なくとも1つのニトロレダクターゼ活性の存在を明らかにする工程
を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−527626(P2010−527626A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509874(P2010−509874)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050935
【国際公開番号】WO2008/152305
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】