説明

新規フォーム改質剤、新規フォーム改質剤から製造されたフォームおよびフォームの製造法

本発明は、軟質フォームの製造に使用できる新規フォーム改質剤に関する。この新規フォーム改質剤は、得られる軟質フォームに向上した加工性および向上した特性を付与する。本発明は、該軟質フォームの製造法および得られるフォームにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質フォームの製造に使用できる新規フォーム改質剤に関する。この新規フォーム改質剤は、得られる軟質フォームに向上した加工性および向上した特性を付与する。本発明は、該軟質フォームの製造法および得られるフォームにも関する。
【背景技術】
【0002】
今日のスラブ材フォーム装置は、種々のタイプ、等級および性能特性の高品質フォームを効率的に製造する必要がある。単一装置がこのような製造の多様性を有するためには、一般に、数種類のポリオール、界面活性剤、触媒、加工助剤、特定の添加剤およびポリイソシアネートを使用することが必要である。明らかに、異なる各成分は別々の貯蔵および輸送システムを必要とし、それによって装置コストおよび複雑さが増加する。それは、成分間の相互汚染および配合間違いの可能性も増加させる。
【0003】
イソシアネート反応性混合物が、低レベルの1つまたはそれ以上の低分子量エキステンダー(extenders)、架橋剤または相溶化剤、および低レベルの1つまたはそれ以上の高分子量ポリオールを含んで成る場合に、種々のタイプおよび等級の軟質ポリウレタンフォームの製造が、改善され容易になる場合が多い。これらの成分は、発泡加工において有利な作用を有しうるが、しばしば、特定のフォーム特性における不利な作用、例えば、減少した気孔率および増加した圧縮永久歪みを有することがある。フォーム気孔率の減少は、ほぼ100およびそれ以上のイソシアネート指数において製造される軟質スラブ材フォームにとって、特に不都合である。種々のタイプおよび等級のスラブ材フォームの製造および特性を改善する単一改質剤ブレンドは、この分野にとって高く評価されるものである。
【0004】
相分離に抵抗性の高および低分子量ポリオールを含有する組成物は既知であり、米国特許第3993576号に開示されている。この組成物は、下記を含んで成る:(A)(1)約50〜約95wt%の高分子量ポリオール、および(2)約5〜約50wt%の低分子量ポリオール、を含んで成る相分離しやすい不溶性混合物;および(B)2つの式の1つに相当する(A)のための可溶化剤であって、全組成物が相安定性になるように少量かつ有効量で存在する可溶化剤。適当な高分子量ポリオールは、大部分のオキシアルキレン基がオキシエチレン基でない高分子量ポリオールである。可溶化剤は、プロピレングリコール誘導体および/またはブチレングリコール誘導体を含んで成る。
【0005】
米国特許第4385133号は、ポリオールとエキステンダーとの均一単相ブレンドを生じるポリオールとエキステンダーとの特定の組合せを開示している。特に、ポリオール成分は下記を含んで成る混合物である:(a)平均官能価2〜4、分子量約3,000〜約10,000を有し、少なくとも23wt%のエチレンオキシド基を含有するポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール、および(b)平均官能価2〜4、分子量約750〜約2,000を有し、少なくとも45%のエチレンオキシドを含有するポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール。(a)と(b)の重量比は、脂肪族グリコールエキステンダーが完全に混和性になるように調節される。この組合せは、特にRIM(反応射出成形)法を使用する場合に、ポリウレタンの製造に有効であるとして開示されている。
【0006】
フリーライズ法を使用して低イソシアネート指数において一般的なポリウレタンスラブ材フォームを製造するための発泡加工助剤が、米国特許第4950694号に開示されている。該発泡加工助剤は、一般的な軟質ポリウレタンフォーム、特に、軟質低密度フォームに特徴的な、連続気泡構造および高多孔性を破壊せずに、フォームの割れ・裂けを回避/防止するのを補助する。これらの発泡加工助剤は、少なくとも1つの架橋/連鎖延長剤、およびおそらくは、ポリエチレンオキシドモノオールおよび/またはポリオールであるのが好ましい気泡開放剤(cell opening agent)、を含んで成る。好適な架橋/連鎖延長剤は約200未満の当量を有し、加工助剤に好適なモノオールおよびポリオールは50wt%より多いエチレンオキシド含有量を有する。
【0007】
米国特許第4863976号および第4929646号は、軟質ポリウレタンフォーム、この軟質ポリウレタンフォームの製造法、および好適な活性水素含有組成物を開示している。これらの軟質フォームは、下記を含んで成る:
(a) 少なくとも50wt%のオキシプロピレン単位を含有する少なくとも1つの比較的高い分子量のポリエステルポリールまたはポリエーテルポリオール、そのようなポリエステルまたはポリエーテルポリオールのアミン末端誘導体、またはそれらの混合物;
(b) 有効量の発泡剤;
(c) 開始剤または開始剤混合物に基づく高官能価ポリエーテルポリオールであって、1分子当たり少なくとも約4.0個の活性水素、および少なくとも約5000の分子量を有し、少なくとも約50wt%のオキシエチレン単位、および反応混合物に存在するその相対比率においてそれを成分(a)と相溶性にするのに充分なオキシプロピレン単位を含有し、高官能価ポリエーテルポリオールの不存在下に製造された同様のフォームと比較して、フォームにおける連続気泡の比率の測定可能な増加を付与するのに充分な量で存在する高官能価ポリエーテルポリオール;および
(d) 少なくとも1つのポリイソシアネート。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
種々のタイプの軟質スラブ材フォームの加工および等級寛容度を向上させることができ、気孔率減少および圧縮永久歪み増加のようなフォーム特性の低下を回避する単一添加剤ポリオールが必要とされている。単一添加剤ポリオールは、スラブ材フォーム製法の間に、多成分を貯蔵し輸送する必要性をなくすことによって、製造効率を向上させることができる。本発明は、軟質スラブ材フォームの効率的製造のためのフォーム改質剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、新規フォーム改質剤、このフォーム改質剤を使用した軟質ポリウレタンフォームの製造法、および得られた軟質ポリウレタンフォームに関する。
【0010】
8pcfまたはそれ未満の密度を有する軟質ポリウレタンフォームの製造法において、該方法は下記の工程を含んで成る:
(I) (1) 少なくとも約2.0の官能価を有する芳香族ポリイソシアネート成分;
(2) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて、約90〜約99.8重量部、好ましくは約95〜約99.7重量部のイソシアネート反応性成分であって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、共重合オキシエチレン30wt%未満(オキシアルキレン100wt%に基づく)を含有する1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性成分;並びに
(3) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて、約0.2〜約10重量部、好ましくは約0.3〜約5重量部のフォーム改質剤であって、下記を含んで成るフォーム改質剤:
(a) 成分(3)100wt%に基づいて、約35〜約80wt%、好ましくは約40〜約65wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの低分子量成分;および
(b) 成分(3)100wt%に基づいて、約20〜約65wt%、好ましくは約35〜約60wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、共重合オキシエチレン約50wt%より大(オキシアルキレン分100wt%に基づく)を含有するポリエーテルポリオール
を、
(4) 1つまたはそれ以上の発泡剤;
(5) 1つまたはそれ以上の触媒;および
(6) 1つまたはそれ以上の界面活性剤
の存在下に、反応させる。
存在する全イソシアネート成分および全イソシアネート反応性成分の量に基づくこの系のイソシアネート指数は、少なくとも98、好ましくは約100〜約120である。
【0011】
軟質フォーム製造法の変形例において、フォーム改質剤(3)は下記を含んでいてよい:
(a) 組成物100wt%に基づいて、約35〜約75wt%、好ましくは約40〜約60wt%、より好ましくは約50超〜約60wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたはそれ以上の化合物;
(b) 組成物100wt%に基づいて、約20〜約60wt%、好ましくは約30〜約50wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を含有し、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(c) 組成物100wt%に基づいて、5〜25wt%、好ましくは10〜20wt%の、ジプロピレングリコール。
【0012】
本発明の他の態様は、該方法によって得られた8pcfまたはそれ未満の密度を有するポリウレタン軟質フォームに関する。これらの軟質フォームは下記の反応生成物を含んで成る:
(1) 少なくとも約2.0の官能価を有する芳香族ポリイソシアネート成分;
(2) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて、約90〜約99.8重量部、好ましくは約95〜約99.7重量部のイソシアネート反応性成分であって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、共重合オキシエチレン30wt%未満(オキシアルキレン100wt%に基づく)を含有する1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性成分;並びに
(3) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて、約0.2〜約10重量部、好ましくは約0.3〜約5重量部のフォーム改質剤であって、下記を含んで成るフォーム改質剤:
(a) 成分(3)100wt%に基づいて、約35〜約80wt%、好ましくは約40〜約65wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの低分子量成分;および
(b) 成分(3)100wt%に基づいて、約20〜約65wt%、好ましくは約35〜約60wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、共重合オキシエチレン約50wt%より大(オキシアルキレン分100wt%に基づく)を含有するポリエーテルポリオール
を、
(4) 1つまたはそれ以上の発泡剤;
(5) 1つまたはそれ以上の触媒;および
(6) 1つまたはそれ以上の界面活性剤
の存在下に、反応させることによって得られる反応生成物。
存在する全イソシアネート含有成分および全イソシアネート反応性成分の量に基づくこれらのフォームのイソシアネート指数は、少なくとも98、好ましくは約100〜約120である。
【0013】
本発明の軟質フォームの変形例において、フォーム改質剤(3)は下記を含んでいてよい:
(a) 組成物100wt%に基づいて、約35〜約75wt%、好ましくは約40〜約60wt%、より好ましくは約50超〜約60wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたはそれ以上の化合物;
(b) 組成物100wt%に基づいて、約20〜約60wt%、好ましくは約30〜約50wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を含有し、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(c) 組成物100wt%に基づいて、5〜25wt%、好ましくは10〜20wt%の、ジプロピレングリコール。
【0014】
本発明によれば、新規フォーム改質剤は下記を含んで成る:
(a) 組成物100wt%に基づいて、約35〜約75wt%、好ましくは約40〜約60wt%、より好ましくは約50超〜約60wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,4-ブタンジオールから成る群から選択される1つまたはそれ以上の化合物;
(b) 組成物100wt%に基づいて、約20〜約60wt%、好ましくは約30〜約50wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を含有し、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(c) 組成物100wt%に基づいて、5〜25wt%、好ましくは10〜20wt%の、ジプロピレングリコール。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の軟質ポリウレタンフォームおよび該軟質フォームの製造法において、得られる軟質フォームは、一般に8pcfまたはそれ未満、好ましくは6pcfまたはそれ未満の密度を有する。
【0016】
ポリウレタンフォームは、 (1)芳香族ポリイソシアネート成分;(2) 1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性成分;および(3)フォーム改質剤を、(4)1つまたはそれ以上の発泡剤;(5)1つまたはそれ以上の触媒;および(6)1つまたはそれ以上の界面活性剤の存在下に、反応させることによって得られる反応生成物反応生成物を含んで成る。NCO基の相対量は、イソシアネート指数が全フォーム配合物中のイソシアネート反応性基と反応するのに必要な化学量論量の少なくとも98、好ましくは少なくとも約100であるような相対量である。イソシアネート指数が、約120またはそれ未満であるのも好ましい。
【0017】
フォーム改質剤(3)として使用するのに好適な組成物は、本発明において、(a) 1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの低分子量成分;および、(b)ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、共重合オキシエチレン約50wt%より大(オキシアルキレン分100wt%に基づく)を含有する1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールを含んで成る。
【0018】
本発明の選択的態様において、フォーム改質剤(3)は、(c)ジプロピレングリコールをさらに含んで成る。
【0019】
本発明の軟質フォームの成分(1)として使用するのに好適なポリイソシアネート成分は、例えば、約2.0またはそれ以上の官能価に特徴がある芳香族ポリイソシアネートを包含する。特に、本発明において成分(1)として使用するのに好適なポリイソシアネートおよび/またはそのプレポリマーは、一般に約20%より大のNCO基分を有する。本発明に好適な芳香族ポリイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネートおよびそれらの混合物を包含するトルエンジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物を包含するジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート等を包含する。本発明に好ましいポリイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネートおよびそれらの混合物を包含する。本発明に特に好ましい芳香族ポリイソシアネート成分は、80wt%の2,4-トルエンジイソシアネートおよび20wt%の2,6-トルエンジイソシアネートの混合物を含有する。
【0020】
本発明の軟質フォームに好適なイソシアネート反応性成分(2)は、1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成る。
【0021】
本発明のこの態様に好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、少なくとも約2のヒドロキシル官能価を有する。好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールのヒドロキシル官能価は、約8またはそれ未満、好ましくは約6またはそれ未満、より好ましくは4またはそれ未満である。好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の官能価、例えば、少なくとも約2〜約8以下、好ましくは少なくとも約2〜約6以下、より好ましくは少なくとも約2〜約4以下も有しうる。ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールが、約3のヒドロキシル官能価を有するのが最も好ましい。好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールの平均OH(ヒドロキシル)価は、一般に少なくとも約20、好ましくは少なくとも約25、より好ましくは少なくとも約30である。ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、一般に約250またはそれ未満、好ましくは約150またはそれ未満、より好ましくは約75またはそれ未満の平均OH価も有する。好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲のOH(ヒドロキシル)価、例えば、少なくとも約20〜約250、好ましくは少なくとも約25〜約150、より好ましくは少なくとも約30〜約75も有しうる。
【0022】
軟質フォームのイソシアネート反応性成分(2)に好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、一般に、適当な開始剤またはスタータと、1つまたはそれ以上のアルキレンオキシドとの反応生成物である。本発明のこの態様のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、一般に、存在するオキシアルキレン100wt%に基づいて、約30wt%またはそれ未満の共重合オキシエチレンを有する。これらのポリエーテルポリオールは、オキシアルキレン100wt%に基づいて、約25wt%またはそれ未満の共重合オキシエチレンを有するのが好ましい。
【0023】
従って、軟質フォームのイソシアネート反応性成分(2)は、1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成り、それらのヒドロキシル官能価、OH(ヒドロキシル)価、および共重合オキシエチレンの量を用いて、一般に記述される。一般的に言えば、好適なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、1分子当たり約2〜約8個のヒドロキシル基を含有し、OH(ヒドロキシル)価約20〜約250を有し、ポリエーテルポリオールに存在するオキシアルキレン100wt%に基づいて約30wt%またはそれ未満の共重合オキシエチレンを含有するポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを包含する。
【0024】
本明細書において使用されるヒドロキシル価は、ポリオール1gから生成された完全フタリル化誘導体の完全加水分解に必要とされる水酸化カリウムのmg数として定義される。ヒドロキシル価は、下記の式によっても定義できる:
【数1】

[式中、
OHは、ポリオールのヒドロキシル価を表し;
eq.wt.は、含有OH基のモル当量あたり重量(weight per molar equivalents of contained OH groups)を表し;
fは、ポリオールの呼称官能価、即ち、ポリオールの生成に使用した開始剤または開始剤ブレンド上の活性水素基の平均数を表し;
mol.wt.は、ポリオールの測定ヒドロキシル価および呼称官能価に基づく、呼称数平均分子量を表す]。
【0025】
使用できるポリオキシアルキレンポリオールとして、種々の好適な開始剤分子のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。非限定的な例を以下に示す:二価開始剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサン-ジメタノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、種々のビスフェノール、特にビスフェノールAおよびビスフェノールFおよびそれらのビス(ヒドロキシアルキル)エーテル誘導体、アニリン、種々のN-N-ビス(ヒドロキシアルキル)アニリン、第一級アルキルアミンおよび種々のN-N-ビス(ヒドロキシアルキル)アミン;三価開始剤、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、種々のアルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミンおよびトリプロパノールアミン;四価開始剤、例えば、ペンタエリトリトール、エチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラキス[2-ヒドロキシアルキル]エチレンジアミン、トルエンジアミンおよびN,N,N',N'-テトラキス[ヒドロキシアルキル]トルエンジアミン;五価開始剤、例えば種々のアルキルグルコシド、特にα-メチルグルコシド;六価開始剤、例えば、ソルビトール、マンニトール、ヒドロキシエチルグルコシドおよびヒドロキシプロピルグルコシド;八価開始剤、例えばスクロース;および、高官能価開始剤、例えば、種々のデンプン、および部分加水分解デンプンに基づく生成物;および、メチロール基含有樹脂、およびノボラック樹脂、例えば、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと、フェノール、クレゾールまたは他の芳香族ヒドロキシル含有化合物との反応から生成されるノボラック樹脂。
【0026】
そのようなスタータまたは開始剤を、一般に、1つまたはそれ以上のアルキレンオキシドと共重合させて本発明のポリエーテルポリオールを生成する。そのようなアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドおよびそれらの混合物である。これらのアルキレンオキシドの混合物を、同時にまたは順に付加して、ポリエーテルポリオールにおけるアルキレンオキシド基の内部ブロック、末端ブロックまたはランダム分布を得ることができる。好ましい混合物は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含んで成り、但し、得られるポリエーテルポリオールにおける共重合オキシエチレンの合計量は30wt%未満であるものとする。
【0027】
そのようなポリオールを重合する最も一般的な方法は、多価開始剤の活性水素基、次にオリゴマーポリオール成分への、オキシドモノマーの塩基触媒付加である。水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムは、最も一般的に使用される塩基触媒である。この方法によって生成されたポリオールは、反応条件下のオキシプロピレンモノマーのアリルアルコールへの異性化によって生じた有意量の不飽和モノオールを含有しうる。次に、この一官能価アルコールが、さらなるオキシド付加用の活性水素部位として機能しうる。
【0028】
好ましい種類のポリオキシアルキレンポリオールは、複金属シアン化物触媒を使用して製造された低不飽和(低モノオール)ポリ(オキシプロピレン/オキシエチレン)ポリオールである。本明細書において定義されるポリ(オキシプロピレン/オキシエチレン)低不飽和ポリオールは、複金属シアン化物触媒の存在下に、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを使用して、好適に水素を含む開始剤化合物をオキシアルキル化することによって生成される。好ましくは、米国特許第5158922号および第5470813号(それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているような複金属シアン化物錯体触媒を使用する。特に好ましいポリオールは、例えば米国特許第5605939号(その開示は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている、低不飽和のランダムポリ(オキシプロピレン/オキシエチレン)ポリオールを包含する。エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物におけるエチレンオキシドの量を、重合の後半段階で増加させて、ポリオールの第一級ヒドロキシル分を増加しうる。または、非DMC触媒を使用して、低不飽和ポリオールをエチレンオキシドでキャップしてもよい。当然、この場合、得られるポリエーテルポリオールにおけるエチレンオキシド含有量の前記範囲を満足する必要がある。
【0029】
オキシアルキル化を複金属シアン化物触媒の存在下に行う場合、強塩基性の基、例えば、第一級および第二級アミンを含有する開始剤分子を避けるのが好ましい。さらに、複金属シアン化物錯体触媒を使用する場合、一般に、前もってオキシアルキル化した「モノマー」開始剤分子を含んで成るオリゴマーをオキシアルキル化するのが望ましい。特にビシナルヒドロキシル基の場合、DMCオキシアルキル化は、初めはゆっくりであり、オキシアルキル化が実質的に生じない顕著な「誘導期」が先行する場合もあることが見出された。約600より大のヒドロキシル価を有するポリオキシアルキレンオリゴマーの使用は、これらの作用を軽減することが見出された。ポリオキシアルキレンオリゴマー開始剤は、水酸化ナトリウムまたはカリウムのような一般的な塩基触媒、または他の非DMC触媒の存在下に、「モノマー」開始剤をオキシアルキル化することによって生成しうる。一般に、DMC触媒の添加および誘導(initiation)の前に、これらの塩基触媒を中和および/または除去することが必要である。
【0030】
ポリオールポリマー分散系は、他の好ましい種類のポリオキシアルキレンポリオール組成物の例である。ポリオールポリマー分散系は、ポリオールにおけるポリマー固形物の分散系である。本発明に有用なポリオールポリマー分散系は、「PHD」および「PIPA」ポリマー改質ポリオール、ならびに「SAN」ポリマーポリオールを包含する。当分野において既知の任意「ベースポリオール」がポリマーポリオール分散系の製造に適しうるが、先に記載したポリ(オキシアルキレン)ポリオールが好ましい。
【0031】
SANポリマーポリオールは、ポリオール、好ましくは、少しの自然または誘導不飽和を有するポリ(オキシアルキレン)ポリオール中における、1つまたはそれ以上のビニルモノマー、好ましくはアクリロニトリルおよびスチレンの現場重合によって一般に生成される。SANポリマーポリオールの製造法は、例えば、米国特許第3304273号、第3383351号、第3523093号、第3652639号、第3823201号、第4104236号、第4111865号、第4119586号、第4125505号、第4148840号、第4172825号、第4524157号、第4690956号、Re-28715、およびRe-29118に開示され、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
SANポリマーポリオールは、SANポリマーポリオールの全重量に基づいて、一般に約3〜約60wt%、好ましくは約5〜約50wt%のポリマー固形分を有する。前記のように、SANポリマーポリオールは、一般に、ポリオール中におけるアクリロニトリルおよびスチレンの混合物の現場重合によって生成される。使用される際に、ポリオール中で現場重合されるスチレン/アクリロニトリルの比率は、スチレン/アクリロニトリル混合物の全重量に基づいて、一般に約100:0〜約0:10重量部、好ましくは80:20〜0:100重量部である。
【0033】
PHDポリマー改質ポリオールは、一般に、ポリオール、好ましくはポリエーテルポリオール中における、イソシアネート混合物とジアミンおよび/またはヒドラジンとの現場重合によって生成される。PHDポリマーポリオールの製造法は、例えば米国特許第4089835号および第4260530号に開示され、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。PIPAポリマー改質ポリオールは、一般に、ポリオール中における、イソシアネート混合物とグリコールおよび/またはグリコールアミンとの現場重合によって生成される。
【0034】
PHDおよびPIPAポリマー改質ポリオールは、PHDまたはPIPAポリマー改質ポリオールの全重量に基づいて、一般に約3〜約30wt%、好ましくは約5〜約25wt%のポリマー固形分を有する。前記のように、PHDおよびPIPAポリマー改質ポリオールは、イソシアネート混合物(一般に、イソシアネート混合物の全重量に基づいて約80重量部の2,4-トルエンジイソシアネート、およびイソシアネート混合物の全重量に基づいて約20重量部の2,6-トルエンジイソシアネートから成る混合物)を、ポリオール、好ましくはポリ(オキシアルキレン)ポリオール中において、現場重合させることによって一般に生成される。
【0035】
「ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリオキシアルキレンポリオールブレンド」という用語は、ポリマー分散系を含有しないポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールであろうと、1つまたはそれ以上のポリマー分散系のベースポリオールであろうと、あらゆるポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールの全体を意味する。
【0036】
種々の有用なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールのブレンドまたは混合物を所望であれば使用してよいことも理解すべきである。ポリエーテルポリオールの1つが、前記の範囲外の官能価、OH価等を有することができる。当然、ポリエーテルポリオールのブレンドまたは混合物の全体が、ヒドロキシル官能価、OH価、および共重合オキシエチレンのwt%に関する前記の基準を満たすことがやはり重要である。
【0037】
本発明の軟質フォームの成分(4)として使用するのに好適な発泡剤は、例えば、ハロゲン化炭化水素、水、液体二酸化炭素、低沸点溶剤、例えばペンタン、および他の既知の発泡剤を包含する。水は、単独で、または他の発泡剤、例えば、ペンタン、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、部分または完全弗素化炭化水素、塩化メチレンおよび液体二酸化炭素と共に、使用しうる。水を単独発泡剤として使用するか、または液体二酸化炭素と共に使用するのが好ましい。一般的に言えば、存在する発泡剤の量は、配合物に存在する成分(2)100重量部に基づいて、約0.3〜約30重量部、好ましくは約0.5〜約20重量部である。
【0038】
本発明の軟質フォームの成分(5)に好適な触媒は、例えば、芳香族ポリイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分(水を包含する)との反応を促進しうることが知られており種々のポリウレタン触媒である。そのような触媒の例は、第三級アミン、および当分野において既知であり記載されている金属化合物であるが、それらに限定されない。好適な第三級アミン触媒のいくつかの例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、および高級同族体、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-メチル-N'-(ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、一価および二価アミジン、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルエーテル、およびアミド基(好ましくはホルムアミド基)を含有する第三級アミンである。使用される触媒は、第二級アミン(例えばジメチルアミン)およびアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)またはケトン(例えばアセトン)およびフェノールの既知のマンニッヒ塩基であってもよい。特に好ましい触媒は、トリエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノ-エチル)エーテル、オクタン酸第一錫およびジブチル錫ジラウレートである。
【0039】
好適な触媒は、イソシアネート反応性水素原子を含有する特定の第三級アミンも包含する。そのような触媒の例は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、それらとアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド)との反応生成物、および第二級-第三級アミンである。
【0040】
他の好適な触媒は、酸ブロックトアミン(即ち、遅効性触媒)を包含する。ブロッキング剤は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜2個の炭素原子を有する有機カルボン酸であってよい。ブロッキング剤の例は、2-エチル-ヘキサン酸および蟻酸である。任意の化学量論比を使用することができ、1酸当量が1アミン基当量をブロックするのが好ましい。有機カルボン酸の第三級アミン塩は、現場で形成することができ、またはポリオール組成物成分に塩として添加することもできる。この目的のために、第四アンモニウム塩が特に有効である。そのような酸ブロックトアミン触媒は、既知であり、例えば米国特許第6013690号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。使用しうる好適な有機酸ブロックトアミンゲル触媒の他の例は、トリエチレンジアミン、N-エチルまたはメチルモルホリン、N,N-ジメチルアミン、N-エチルまたはメチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N-ブチルモルホリン、N,N'-ジメチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノ-アルキル)ピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、ジメチルシクロヘキシルアミンの、酸ブロックトアミンである。他の例は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンに基づくDABCO(登録商標)8154触媒、およびビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテルに基づくDABCO(登録商標)BL-17触媒(Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, Pa.から入手可能)、およびPOLYCAT(登録商標)DBUアミン触媒に基づくPOLYCAT(登録商標)SA-1、POLYCAT(登録商標)SA-102およびPOLYCAT(登録商標)SA-610/50触媒(Air Products and Chemicals, Inc.から入手可能)であり、それらは既知であり、例えば、米国特許第5973099号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。本発明に好適な他の酸ブロックトアミン触媒は、例えば、米国特許第4219624号、第5112878号、第5183583号、第5789533号、第6395796号、第6432864号および第6525107号に開示されている触媒を包含し、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0041】
他の好適な触媒は、有機金属化合物、特に、有機錫、ビスマスおよび亜鉛化合物を包含する。好適な有機錫化合物は、硫黄を含有する有機錫化合物、例えばジオクチル錫メルカプチド、および、好ましくは、カルボン酸の錫(II)塩、例えば、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、エチルヘキサン酸錫(II)およびラウリン酸錫(II)、ならびに錫(IV)化合物、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マレエートおよびジオクチル錫ジアセテートを包含する。好適なビスマス化合物は、ビスマスネオデカノエート、ビスマスベルサレート、および当分野において既知の種々のビスマスカルボキシレートを包含する。好適な亜鉛化合物は、亜鉛ネオデカノエートおよび亜鉛ベルサレートを包含する。2つ以上の金属を含有する混合金属塩(例えば、亜鉛およびビスマスの両方を含有するカルボン酸塩)も好適な触媒である。
【0042】
触媒の量は、使用される特定の触媒に依存して、広範囲に変化する。一般的に言えば、触媒の好適なレベルは、ポリウレタン化学分野の当業者によれば容易に決定できる。本発明によれば、触媒は、少なくとも1つのアミン触媒と少なくとも1つの錫触媒との混合物を含んで成るのが好ましい。
【0043】
本発明の軟質フォームの成分(6)として使用するのに好適な界面活性剤は、シリコーン界面活性剤、例えば、種々の構造および分子量の、ポリシロキサンおよびシロキサン/ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーを包含する。これらの化合物の構造は、一般に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーがポリジメチルシロキサン基に結合している構造である。そのような界面活性剤は既知であり、例えば、米国特許第2764565号、第3887500号および第3957842号に開示され、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。本発明において、界面活性剤を、約0.05〜約5wt%、より好ましくは約0.2〜約3wt%(配合物に存在する成分(2)の重量に基づく)の量で使用するのが好ましい。
【0044】
好ましい市販の界面活性剤の例は、Degussa/Goldschmidtから入手可能なシリコーン界面活性剤B-4690、B-4113およびB-8250、B-2370、B-8707、B-8228、B-8002およびそれらの低曇り(low fogging)(LF)バージョン、およびGeneral Electric/Osiから市販されているシリコーン界面活性剤Niax U-2000、L-620、L-636、L-5614、L-626およびL-627、およびAir Productsから入手可能なシリコーン界面活性剤Dabco DC5164、DC5169およびDC5043である。
【0045】
さらに、本発明の軟質フォームに使用しうる他の添加剤は、例えば、離型剤、顔料、気泡調整剤、難燃剤、可塑剤、染料、帯電防止剤、抗微生物剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、鉱油、充填剤および強化剤、例えば、繊維またはフレークまたは炭素繊維の形態のガラスである。
【0046】
軟質フォームの成分(3)は、フォーム改質剤である。好適なフォーム改質剤は、成分(3)(a)および(3)(b)のブレンド、または成分(3)(a)、(3)(b)および(3)(c)のブレンドであってよい。
【0047】
第一の実施態様において、フォーム改質剤(3)の成分(a)は、成分(3)100wt%に基づいて、少なくとも約35wt%またはそれ以上、好ましくは少なくとも約40wt%またはそれ以上の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの低分子量成分を含んで成る。さらに、成分(a)は、成分(3)100wt%に基づいて、約80wt%以下、好ましくは約65wt%以下の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの低分子量成分を含んで成る。成分(a)は、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の量、例えば、フォーム改質剤100wt%に基づいて、約35〜約80wt%、好ましくは約40〜約65wt%の量で存在してもよい。フォーム改質剤の成分(a)は、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールまたはそれらの混合物であってよい。これに関して使用される成分(a)の混合物は、1,3-プロパンジオールと1,3-ブタンジオールとの混合物、1,3-プロパンジオールと1,4-ブタンジオールとの混合物、1,3-ブタンジオールと1,4-ブタンジオールとの混合物、または1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,4-ブタンジオールの混合物である。さらに、第一の実施態様において、フォーム改質剤(3)の成分(b)は、成分(3)100wt%に基づいて、少なくとも約20wt%またはそれ以上、好ましくは少なくとも約35wt%またはそれ以上の量で一般に存在する。さらに、フォーム改質剤の成分(b)は、成分(3)100wt%に基づいて、約65wt%以下、好ましくは約60wt%以下の量で一般に存在する。成分(b)は、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の量、例えば、フォーム改質剤100wt%に基づいて、約20〜約65wt%、好ましくは約35〜約60wt%の量で存在してもよい。
【0048】
フォーム改質剤の成分(b)は、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、共重合オキシエチレン約50wt%より大(オキシアルキレン分100wt%に基づく)を含有する1つまたはそれ以上のポリエーテルポリオールである。本発明の1つの実施態様において、ポリエーテルポリオールの官能価(即ち、ヒドロキシル基の数)が4またはそれ以上である場合、ポリエーテルポリオールの分子量は5,000未満である。これらのポリエーテルポリオールは、約45より大〜約280以下の対応するOH価を有する。
【0049】
フォーム改質剤組成物の成分(b)として使用するのに好適なポリエーテルポリオールは、例えば、少なくとも約2のヒドロキシル官能価を有するポリエーテルポリオールである。好適なポリエーテルポリオールのヒドロキシル官能価は、約8またはそれ未満、好ましくは約6またはそれ未満、より好ましくは4未満である。ポリエーテルポリオールのヒドロキシル官能価が、約3.8またはそれ未満、より好ましくは約3.5またはそれ未満、最も特に好ましくは約3.3またはそれ未満であるのが特に好ましい。好適なポリエーテルポリオールは、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の官能価、例えば、少なくとも約2〜約8以下、好ましくは少なくとも約2〜約6以下、より好ましくは少なくとも約2〜約4未満、特に好ましくは少なくとも約2〜約3.8またはそれ未満、最も好ましくは少なくとも約2〜約3.5またはそれ未満、最も特に好ましくは少なくとも約2〜約3.3またはそれ未満を有してもよい。1つの実施態様において、ポリエーテルポリオールは、少なくとも約2、かつ約3以下のヒドロキシル官能価を有する。
【0050】
一般に、好適なポリエーテルポリオールのOH(ヒドロキシル)価は、少なくとも約11、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25である。ポリエーテルポリオールは、OH価約280またはそれ未満、好ましくは約200またはそれ未満、より好ましくは約60またはそれ未満を一般に有する。好適なポリエーテルポリオールは、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲のOH(ヒドロキシル)価、例えば、少なくとも約11〜約280、好ましくは少なくとも約20〜約200、より好ましくは少なくとも約25〜約60も有しうる。
【0051】
本明細書において使用されるヒドロキシル価は、ポリオール1gから生成された完全フタリル化誘導体の完全加水分解に必要とされる水酸化カリウムのmg数として定義される。ヒドロキシル価は、下記の式によっても定義できる:
【数2】

[式中、
OHは、ポリオールのヒドロキシル価を表し;
eq.wt.は、含有OH基のモル当量あたり重量を表し;
fは、ポリオールの呼称官能価、即ち、ポリオールの生成に使用した開始剤または開始剤ブレンド上の活性水素基の平均数を表し;
mol.wt.は、ポリオールの測定ヒドロキシル価および呼称官能価に基づく、呼称数平均分子量を表す]。
【0052】
使用できるポリオキシアルキレンポリオールとして、種々の好適な開始剤分子の、アルキレンオキシド付加物が挙げられる。非限定的な例を以下に示す:二価開始剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、種々のビスフェノール、特にビスフェノールAおよびビスフェノールFおよびそれらのビス(ヒドロキシアルキル)エーテル誘導体、アニリン、種々のN-N-ビス(ヒドロキシアルキル)アニリン、第一級アルキルアミンおよび種々のN-N-ビス(ヒドロキシアルキル)アミン;三価開始剤、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、種々のアルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミンおよびトリプロパノールアミン;四価開始剤、例えば、ペンタエリトリトール、エチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラキス[2-ヒドロキシアルキル]エチレンジアミン、トルエンジアミンおよびN,N,N',N'-テトラキス[ヒドロキシアルキル]トルエンジアミン;五価開始剤、例えば種々のアルキルグルコシド、特にα-メチルグルコシド;六価開始剤、例えば、ソルビトール、マンニトール、ヒドロキシエチルグルコシドおよびヒドロキシプロピルグルコシド;八価開始剤、例えばスクロース;および、高官能価開始剤、例えば、種々のデンプン、および部分加水分解デンプンに基づく生成物;および、メチロール基含有樹脂、およびノボラック樹脂、例えば、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと、フェノール、クレゾールまたは他の芳香族ヒドロキシル含有化合物との反応から生成されるノボラック樹脂。
【0053】
そのようなスタータまたは開始剤を、一般に、エチレンオキシドおよび任意に1つまたはそれ以上のアルキレンオキシドと共重合させて本発明のポリエーテルポリオールを生成する。そのようなアルキレンオキシドの例は、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドおよびそれらの混合物である。これらのアルキレンオキシドの混合物を、エチレンオキシドと同時にまたは順次に付加して、ポリエーテルポリオールにおけるアルキレンオキシド基の内部ブロック、末端ブロックまたはランダム分布を得ることができる。好ましい混合物は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含んで成り、但し、得られるポリエーテルポリオールにおける共重合オキシエチレンの合計量は50wt%より大であるものとする。
【0054】
そのようなポリオールを重合する最も一般的な方法は、多価開始剤の活性水素基、次にオリゴマーポリオール成分への、オキシドモノマーの塩基触媒付加である。水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムは、最も一般的に使用される塩基触媒である。これらの触媒からの残渣は、一般に、重合の終了後に除去される。
【0055】
この種類のポリアルキレンポリオールの他の製造法は、複金属シアン価物触媒の使用によって行われる。本明細書において定義されるポリ(オキシプロピレン/オキシエチレン)ポリオールは、複金属シアン化物触媒の存在下に、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを使用して、好適に水素を含む開始剤化合物をオキシアルキル化することによって生成される。好ましくは、米国特許第5158922号および第5470813号(それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているような複金属シアン化物錯体触媒を使用する。特に好ましいポリオールは、例えば米国特許第5605939号(その開示は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている、ランダムポリ(オキシプロピレン/オキシエチレン)ポリオールを包含する。エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物におけるエチレンオキシドの量を、重合の後半段階で増加させて、ポリオールの第一級ヒドロキシル分を増加しうる。しかし、ポリオールにおける固体成分の形成により、約80%より高いエチレンオキシドレベルを有する混合物の長時間供給を避けるのが好ましい。または、非DMC触媒を使用して、低不飽和ポリオールをエチレンオキシドでキャップしてもよい。当然、この場合、得られるポリエーテルポリオールにおけるエチレンオキシド含有量の前記範囲を満足する必要がある。
【0056】
オキシアルキル化を複金属シアン化物触媒の存在下に行う場合、強塩基性の基、例えば、第一級および第二級アミンを含有する開始剤分子を避けるのが好ましい。さらに、複金属シアン化物錯体触媒を使用する場合、前もってオキシアルキル化した「モノマー」開始剤分子を含んで成るオリゴマーをオキシアルキル化するのが一般に望ましい。特にビシナルヒドロキシル基の場合、DMCオキシアルキル化は、初めはゆっくりであり、オキシアルキル化が実質的に生じない顕著な「誘導期」が先行する場合もあることが見出された。約600より大のヒドロキシル価を有するポリオキシアルキレンオリゴマーの使用は、これらの作用を軽減することが見出された。ポリオキシアルキレンオリゴマー開始剤は、水酸化ナトリウムまたはカリウムのような一般的な塩基触媒、または他の非DMC触媒の存在下に、「モノマー」開始剤をオキシアルキル化することによって生成しうる。DMC触媒の添加および誘導の前に、これらの塩基触媒を中和および/または除去することが一般に必要である。
【0057】
種々の有用なポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールのブレンドまたは混合物を所望であれば使用してよいことも理解すべきである。ポリエーテルポリオールの1つが、前記の範囲外の官能価、OH価等を有することができる。当然、ポリエーテルポリオールの全ブレンドまたは混合物が、ヒドロキシル官能価、OH価、および共重合オキシエチレンのwt%に関して、前記の基準を満たすことがやはり重要である。
【0058】
第二の実施態様において、フォーム改質剤(3)の成分(a)は、成分(3)100wt%に基づいて、少なくとも約35wt%またはそれ以上、好ましくは少なくとも約40wt%またはそれ以上、最も好ましくは少なくとも約50wt%またはそれ以上の量で存在する。フォーム改質剤の成分(a)は、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの低分子量成分を含んで成る。さらに、成分(a)は、成分(3)100wt%に基づいて、約75wt%以下、好ましくは約60wt%以下の量で一般に存在する。成分(a)は、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の量、例えば、フォーム改質剤100wt%に基づいて、約35〜約75wt%、好ましくは約40〜約60wt%、最も好ましくは約50〜約60wt%の量で存在してもよい。
【0059】
さらに、第二の実施態様において、成分(b)、フォーム改質剤の1つまたはそれ以上のポリエーテルポリオールは、成分(3)100wt%に基づいて、少なくとも約20wt%またはそれ以上、好ましくは少なくとも約30wt%またはそれ以上の量で存在する。さらに、成分(b)、フォーム改質剤の1つまたはそれ以上のポリエーテルポリオールは、成分(3)100wt%に基づいて、約60wt%以下、好ましくは約50wt%以下の量で一般に存在する。フォーム改質剤の成分(b)は、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の量、例えば、フォーム改質剤100wt%に基づいて、約20〜約60wt%、好ましくは約30〜約50wt%の量で存在してもよい。フォーム改質剤に好適なポリエーテルポリオールは、先に記載した通りである。
【0060】
フォーム改質剤の第二の実施態様は、成分(c)ジプロピレングリコールをさらに含んで成る。成分(c)、フォーム改質剤のジプロピレングリコールは、フォーム改質剤(3)100wt%に基づいて、少なくとも約5wt%、好ましくは少なくとも約10wt%の量で一般に存在する。さらに、ジプロピレングリコールは、フォーム改質剤(3)100wt%に基づいて、約25wt%以下、好ましくは約20wt%以下の量で一般に存在する。フォーム改質剤の成分(c)は、これらの上限値および下限値を含むそれらの任意組合せの範囲の量、例えば、フォーム改質剤100wt%に基づいて、約5〜約25wt%、好ましくは約10〜約20wt%の量で存在してもよい。
【0061】
本発明の軟質フォームは、少なくとも約98、好ましくは少なくとも約100のイソシアネート指数において、一般的な処理法を使用して、成形してもよく、またはフリーライズしてもよい(即ち、スラブ材)。イソシアネート指数は、好ましくは約120またはそれ未満である。イソシアネート指数は、これらの上限値および下限値を含む任意の範囲で変化してよい。「イソシアネート指数」(一般に「NCO指数」とも称される)という用語は、本明細書において、イソシアネート反応性水素含有材料の全当量で割って100を掛けた、イソシアネート当量として定義される。イソシアネート指数を算出する場合、全NCO反応性成分(水を包含する)を考慮に入れる。実際に、本発明の軟質フォームは、当業者に既知の方法によって、標準的な発泡加工装置において前記成分を混合することによって製造される。軟質フォームの製造において、いわゆる「ワンショット」法によって、成分を互いに均質に混合して、一段階法によってフォームを得る。「ワンショット」法において、イソシアネート反応性およびポリイソシアネート反応物、触媒、発泡剤、界面活性剤および他の任意成分、ならびに本明細書に開示する新規フォーム改質剤を混合し、次に、反応のために分散させる。
【0062】
本発明を使用してフォームを製造する好ましい方法は、いわゆるフリーライズまたはスラブ材法である。広く使用される1つの実施態様において、発泡混合物を、ミキシングヘッドから、一般にオープントップおよびオープンエンドの連続移動コンベアに吐出する。コンベアが前進すると共に、発泡反応がフォームを自由に上向きに膨張させ、従ってフリーライズフォームと称される。他の既知の方法、即ち「バーチフォーム」(Vertifoam)法においては、垂直方向に移動する軟質ライナー(flexible liners)に、発泡混合物を供給し、それをその中で自由に外向きに膨張させることによって、フォームスラブが上移動方向に製造される。他の実施態様は、反応混合物を大きい箱に入れて上昇させるボックス発泡法(box foam process)である。これらの方法は当業者に周知である。
【0063】
本発明によって使用されるフォーム改質剤により、種々のタイプおよび等級の軟質フォームを、より少ないスクラップで製造することができ、多くの場合、向上した特性を生じうる。
【0064】
例えば、本発明によって、多くの等級の一般的スラブ材フォーム(ASTM D 3453-01において指定されている標準支持等級(Normal Support grades))を、裂け目および他の安定性欠陥なしに製造することができ、しかもフォームにおける高気孔率を達成することができる。配合物における水発泡剤のレベルがポリオールの全重量に基づいて約3.5%未満である場合にしばしばそうであるように、イソシアネート反応からの発熱が発泡硬化反応を促進するのに充分に高い発熱を生じない場合、これらの一般的なフォームは極めて裂けやすいことが当業者に周知である。非反応性/補助発泡剤、例えば、液体二酸化炭素、アセトンまたはハロカーボンを使用した場合も、より高い水レベルにおいてさえ、同様の問題が生じる。裂けを防止するために、触媒、特に有機金属(例えば、オクタン酸第一錫)ゲル化触媒のレベルを上げることが慣例である。しかし、ゲル化触媒を増加させることによって、減少した空気流れを有するフォームを生じ、この減少した空気流れは、特に圧縮永久歪に関して特にフォームの性能を低下させ、フォームを販売に適さないものにしうる。本発明の改質剤は、これらのフォームにおける裂けを有意に減少させ、かつ意外にも、得られるフォームにおける高レベルの空気流れを維持しながらこれを達成することが見出された。
【0065】
他の実施態様は、該改質剤組成物を使用して、ASTM D 3453 01に指定されている高支持(HS)および高支持-高弾性(HS-HR)軟質スラブ材フォームの加工および品質を向上しうることである。多くの高支持-高弾性軟質フォームは、添加架橋剤、例えばジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンを使用して製造され、それらは加工安定性を付与するが、フォームにおける収縮および減少した空気流れを生じうる。これらの架橋剤は、フォームの強度特性も減少しうる。従来のフォームの加工を向上させる該改質剤組成物が、HSおよびHS-HR軟質フォームに、より優れた強度およびより優れた全般的特性をも付与することが見出された。また、改質剤は向上した手触り(hand feel)の微細気泡構造を付与することが出来る。
【0066】
本発明によれば、HS、HS-HRおよび一般的なスラブ材フォーム用の単一フォーム改質剤の添加が、スラブ材フォーム製造会社に有意な経済的利益をもたらす。それは、多くの貯蔵タンク、ならびにミキシングヘッドへの多くのポンピングおよび輸送システムを必要としない。さらに、相互汚染および配合ミスの機会も減少させる。
【0067】
下記の実施例は、本発明の組成物の製造および使用についてさらに詳しく示す。前記の本発明は、その意図および範囲において、これらの実施例によって限定されるものではない。当業者は、下記調製手順の条件および工程の既知の変形を使用して、これらの組成物を調製しうることを容易に理解する。特に記載しなければ、全ての温度は摂氏温度であり、全ての部およびパーセントは、それぞれ、配合物中のポリオールの重量に対する重量部およびwt%である。
【実施例】
【0068】
下記の成分を使用して、本発明のフォーム改質剤を製造した:
MPD: 2-メチル-1,3-プロパンジオール
1,3-PDO: 1,3-プロパンジオール
1,4-BDO: 1,4-ブタンジオール
ポリオールA: 官能価約3、OH価約37を有し、エチレンオキシド約71wt%(アルキレンオキシド100wt%に基づく)を含有するグリセリン開始ポリエーテルポリオール
DPG: ジプロピレングリコール
【0069】
本発明により、表1に示す相対重量部の3成分をブレンドすることによって、フォーム改質剤を調製した。
【表1】

フォーム改質剤として有効であることが知られている市販化合物
【0070】
表1のフォーム改質剤5(FM5)は、約746mg KOH/gのヒドロキシル価、25℃において約266cStの粘度、25℃において約1.05の比重、および約11℃の凝固点を有する清澄白色液体であった。
【0071】
下記の成分を使用して軟質フォームを調製した:
ポリオールB: 反応性ベースポリオールブレンド中のSAN(スチレン-アクリロニトリル)の8%分散系。ベースポリオールは、開始剤(グリセリン/ソルビトール)へのPOおよびEOのKOH触媒付加によって調製した。ポリオールブレンドの平均OH価は約34であり、呼称官能価は約4.4であり、%EOは約17%であり、第一級ヒドロキシル分は約71%であった。
ポリオールC: 官能価約2.8、OH価約56、EO分約7wt%を有するグリセリンおよびプロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。該ポリオールは、開始剤へのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのDMC触媒付加によって調製した。
ポリオールD: 官能価約5.24、OH価約60を有し、EO分約75wt%より大を含有するプロピレングリコール/スクロース同時開始ポリエーテルポリオール。
DEOA: ジエタノールアミン
Fyrol FR2: トリス[1,3-ジクロロ-2-プロピル]ホスフェート
界面活性剤A: Niax U-2000として市販されているシリコーン界面活性剤
界面活性剤B: Niax L-620として市販されているシリコーン界面活性剤
触媒A: Niax C 183として市販されているアミン触媒
触媒B: Dabco T-12として市販されているジブチル錫ジラウレート
触媒C: Dabco T-9として市販されているオクタン酸第一錫触媒
触媒D: アミン触媒、即ち、Niax A-1として市販されているビス(2-ジメチルアミノ-エチル)エーテル
TD-80: 80wt%の2,4-トルエンジイソシアネートと20wt%の2,6-トルエンジイソシアネートとの異性体混合物
【0072】
全てのフォーム結果を、ベンチ混合法(bench mixing procedures)から得(フォーム5および6は除く)、該方法は、錫およびTDIを除く全成分を、ワンクォートアイスクリームコンテナ(one quart, ice cream container)に計量装填することから成っていた。コンテナの内容物を、6ブレード攪拌機の付いたドリルプレス上において、2000rpmで90秒間混合した。90秒間の混合後、ドリルプレスを停止し、錫触媒を混合物に添加した。15秒後、ミキサーを再起動し、5〜8秒間の追加混合後にTDIを添加した。最初の混合段階の開始から合計120秒が経過するまで、混合を継続した。一旦、混合反応物がアイスクリームコンテナ中で上昇(rise)し始めたら、コンテナの含有物を14'' x 14'' x 6'のケーキボックス(cake box)に注ぎ、合計5分間にわたって上昇させた。次に、ケーキボックスを5分間にわたって120℃のオーブンに入れて、取り扱いやすくするためにトップスキン(top skin)を「硬化」させた。特性試験のために、ケーキボックスの含有物をカットして12'' x 12'' x 4'' 試料を得る前に、周囲温度で1〜3日間にわたって硬化を継続した。試験は、一般にASTM法によって行った。
【0073】
表2-2は、一般的軟質フォーム配合物(本明細書において一般的軟質フォーム配合物Aと称す)を使用して実験室で行った錫寛容度試験(tin latitude study)の結果を示す。フォーム改質剤FM5およびフォーム改質剤FM6を、等モル当量レベルにおいて相互に比較し、かつ、フォーム改質剤を含有しない対照例と比較した。FM6は、フォーム改質剤として有効であることが知られている市販化合物である。
【0074】
FM5を使用した場合の加工寛容度の向上が、この試験から明らかである。表2参照。対照配合物は、錫触媒0.20pphp未満における裂けから、錫触媒0.22pphpにおける減少した空気流れ、および錫触媒0.3pphpにおける収縮まで、直接的に推移した。FM6は、裂け点を、より低い錫レベル(即ち、錫触媒0.14pphp)にシフトしたが、錫含有量がこのレベルより僅かに増加すると共に、フォームはやはり減少した空気流れを示した。FM5も、裂け点を、より低い錫レベル(即ち、錫触媒0.12pphp)にシフトしたが、開放フォームを製造しうる有意に広い範囲(即ち、錫触媒0.14〜0.22pphp)を与えた。
【0075】
【表2−1】

【0076】
【表2−2】

空気流れは、cfmで示される。
** 所見は、冷却時のケーキボックスフォームにおける何らかの顕著な変化を示す。
1: 「萎び」という用語は、原寸法の約50%またはそれ以下にしぼんだフォームを意味する。
2: 「収縮」という用語は、硬化および冷却時に10〜20%収縮したフォームを意味する。
【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
フォーム5および6において、ボックスフォーム機を使用して、物理的特性試験用のフォームの大きいバン(即ち、およその寸法1m x 1m x 1.5m)を作製した。多くの試料を中心からカットする前に、バンを1〜3日間硬化させた。次に、標準フォーム物理的/機械的特性を測定する前に、定温-定湿度条件下に試料を少なくとも24時間熟成させた。示されている物理的特性は、多くの試料の結果の平均である。
【表5】

【表6】

【0080】
次の組のフォーム実施例は、本発明の2成分改質剤を示す。
【表7】

【表8】

【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

【0084】
例示目的で本発明を詳しく記載したが、そのような記載は、例示目的にすぎず、請求の範囲によって限定される以外は、本発明の意図および範囲を逸脱せずに当業者によってそれに変更を加えうるものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I) (1) 少なくとも約2.0の官能価を有する芳香族ポリイソシアネート成分;
(2) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて約90〜約99.8重量部のイソシアネート反応性成分であって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて30wt%未満の共重合オキシエチレンを含有する1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性成分;並びに
(3) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて約0.2〜約10重量部のフォーム改質剤であって、下記を含んで成るフォーム改質剤:
(a) 成分(3)の総重量に基づいて約35〜約80wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,4-ブタンジオールから成る群から選択される少なくとも1つの低分子量化合物;および
(b) 成分(3)の総重量%に基づいて約20〜約65wt%の1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール
を、
(4) 1つまたはそれ以上の発泡剤;
(5) 1つまたはそれ以上の触媒;および
(6) 1つまたはそれ以上の界面活性剤
の存在下に、反応させる工程(該反応において、イソシアネート指数は少なくとも約98である)
工程を含んで成る、8pcf未満の密度を有する軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【請求項2】
成分(3)(b)が、約3.8未満の官能価を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(3)(b)が、約3.8未満の官能価、および5000未満の分子量を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
約95〜約99.7wt%の成分(2)が存在し、約0.3〜約5wt%の成分(3)が存在する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
イソシアネート指数が、約100〜約120である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
成分(1)芳香族ポリイソシアネートが、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメチレンポリイソシアネートおよびそれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
成分(3)フォーム改質剤が、(a)40〜65wt%の低分子量成分、および(b)約35〜60wt%のポリエーテルポリオール成分を含んで成る請求項1に記載の方法。
【請求項8】
成分(3)フォーム改質剤が、(c)ジプロピレングリコールをさらに含んで成る請求項1に記載の方法。
【請求項9】
成分(3)フォーム改質剤が、
(a) 成分(3)の総重量に基づいて35〜75wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,4-ブタンジオールから成る群から選択される少なくとも1つの低分子量化合物;
(b) 成分(3)の総重量に基づいて20〜60wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を含有し、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(c) 成分(3)の総重量に基づいて5〜25wt%のジプロピレングリコール
を含んで成る請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(1) 少なくとも約2.0の官能価を有する芳香族ポリイソシアネート成分;
(2) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて約90〜約99.8重量部のイソシアネート反応性成分であって、ヒドロキシル基2〜8個、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて30wt%未満の共重合オキシエチレンを含有する1つまたはそれ以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性成分;並びに
(3) 成分 (2)および(3) 100重量部に基づいて約0.2〜約10重量部のフォーム改質剤であって、下記を含んで成るフォーム改質剤:
(a) 成分(3)の総重量に基づいて約35〜約80wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,4-ブタンジオールから成る群から選択される少なくとも1つの低分子量化合物;および
(b) 成分(3)の総重量%に基づいて約20〜約65wt%の1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、ヒドロキシル基2〜8個、当量200〜5,000を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール
を、
(4) 1つまたはそれ以上の発泡剤;
(5) 1つまたはそれ以上の触媒;および
(6) 1つまたはそれ以上の界面活性剤
の存在下に、反応させることによって得られる反応生成物(該反応において、イソシアネート指数は少なくとも約98である)
を含んで成る、8pcf未満の密度を有する軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
成分(3)(b)が、約3.8未満の官能価を有する請求項10に記載のフォーム。
【請求項12】
成分(3)(b)が、約3.8未満の官能価、および5000未満の分子量を有する請求項10に記載のフォーム。
【請求項13】
約95〜約99.7wt%の成分(2)が存在し、約0.3〜約5wt%の成分(3)が存在する請求項10に記載のフォーム。
【請求項14】
イソシアネート指数が、約100〜約120である請求項10に記載のフォーム。
【請求項15】
成分(1)芳香族ポリイソシアネートが、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメチレンポリイソシアネート、およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項10に記載のフォーム。
【請求項16】
成分(3)フォーム改質剤が、(a)約40〜65wt%の低分子量成分、および(b)約35〜60wt%のポリエーテルポリオール成分を含んで成る請求項10に記載のフォーム。
【請求項17】
成分(3)フォーム改質剤が、(c)ジプロピレングリコールをさらに含んで成る請求項10に記載のフォーム。
【請求項18】
成分(3)フォーム改質剤が、
(a) 成分(3)の総重量に基づいて35〜75wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,4-ブタンジオールから成る群から選択される少なくとも1つの低分子量化合物;
(b) 成分(3)の総重量に基づいて20〜60wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を含有し、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(c) 成分(3)の総重量に基づいて5〜25wt%のジプロピレングリコール
を含んで成る請求項17に記載のフォーム。
【請求項19】
(a) 組成物の総重量に基づいて35〜75wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたはそれ以上の化合物;
(b) 組成物の総重量に基づいて20〜60wt%の、1つまたそれ以上のポリエーテルポリオールであって、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を含有し、OH価約11〜約280を有し、オキシアルキレン100wt%に基づいて50wt%より大の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(c) 組成物の総重量に基づいて5〜25wt%のジプロピレングリコール
を含んで成るフォーム改質剤。
【請求項20】
(a) 組成物の総重量に基づいて40〜60wt%の、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびそれらの混合物から成る群から選択される化合物;
(b) 組成物の総重量に基づいて35〜60wt%のポリエーテルポリオール;および
(c) 組成物の総重量に基づいて10〜20wt%のジプロピレングリコール
を含んで成る請求項19に記載のフォーム改質剤。
【請求項21】
成分(b)ポリエーテルポリオールが、1分子当たり2〜6個のヒドロキシル基を含有し、OH価20〜200を有する請求項19に記載のフォーム改質剤。
【請求項22】
成分(b)ポリエーテルポリオールが、1分子当たり2個〜4個未満のヒドロキシル基を含有し、OH価約25〜約60を有し、少なくとも約60wt%の共重合オキシエチレンを含有する請求項19に記載のフォーム改質剤。
【請求項23】
成分(a)が1,4-ブタンジオールを含んで成り、成分(b)が、1分子当たり2個〜4個未満のヒドロキシル基を含有し、OH価約25〜約60を有し、少なくとも約60wt%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んで成る請求項19に記載のフォーム改質剤。
【請求項24】
成分(b)が、5000未満の分子量を有する請求項19に記載のフォーム改質剤。
【請求項25】
約20℃未満の凝固点、25℃において約1,200cSt未満の粘度、25℃において約1.09未満の比重を有する清澄白色液体である請求項19に記載のフォーム改質剤。

【公表番号】特表2008−516076(P2008−516076A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536869(P2007−536869)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/036772
【国際公開番号】WO2006/044511
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】