説明

新規処方物

IL13Rα1に対する抗体の医薬処方物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL13Rα1に対する抗体の医薬処方物、前記処方物の調製のための方法および使用に関する。
【0002】
第1の局面において、本発明は、
1〜200mg/mLの抗体;
1〜100mMのバッファー;
0.001〜1%の界面活性剤;
(a)10〜500mMの安定化剤;または
(b)10〜500mMの安定化剤および5〜500mMの浸透圧剤;または
(c)5〜500mMの浸透圧剤;
(pH4.0〜7.0の範囲)
を含み、
抗体はIL13Rα1に対する抗体である、医薬処方物に関する。
【0003】
1つの実施態様において、本発明は、液体形態の処方物を提供する。別の実施態様において、本発明は、凍結乾燥形態の処方物を提供する。別の実施態様において、本発明は、凍結乾燥形態から再構成された液体形態の処方物を提供する。
【0004】
IL13Rα1に対する抗体は、例えばWO96/29417、WO97/15663、WO 03/080675、Graber et al., Eur. J. Immunol. 28:4286-4298 (1998);Poudrier et al., J. Immunol. 163:1153-1161 (1999);Poudrier et al., Eur. J. Immunol. 30:3157-3164 (2000);Aikawa et al., Cytokine 13:75-84 (2001)から公知であり、そして例えばR&D Systems Inc. USAから市販されている。
【0005】
IL13Rα1に対する例示的な抗体は、WO2006/072564に記載されており、そして重鎖CDRとして配列番号1のCDRおよび軽鎖CDRとして配列番号2のCDR;重鎖CDRとして配列番号3のCDRおよび軽鎖CDRとして配列番号4のCDR;重鎖CDRとして配列番号5のCDRおよび軽鎖CDRとして配列番号6のCDR;重鎖CDRとして配列番号7のCDRおよび軽鎖CDRとして配列番号8のCDR;または重鎖CDRとして配列番号9のCDRおよび軽鎖CDRとして配列番号10のCDRを含むことを特徴とする抗体を含む。
【0006】
CDR配列を、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準定義に従って決定することができる。これに基づいて、相補性決定領域(CDR)は以下の配列を有する:
重鎖CDR:
配列番号1、3、5、7、9のCDR1(aa31〜35)、
配列番号1、3、5、7、9のCDR2(aa50〜66)、
配列番号1、3、9のCDR3(aa99〜108)、
配列番号5のCDR3(aa99〜107)、
配列番号7のCDR3(aa99〜112);
軽鎖CDR:
配列番号2、4、6、10のCDR1(aa24〜34)、
配列番号8のCDR1(aa24〜35)、
配列番号2、4、6、10のCDR2(aa50〜56)、
配列番号8のCDR2(aa51〜57)および
配列番号2、4、6、10のCDR3(aa89〜97)、
配列番号8のCDR3(aa90〜97)。
【0007】
好ましい抗体は以下を含むことを特徴とする:
a)重鎖可変領域として配列番号1、軽鎖可変領域として配列番号2、κ軽鎖定常領域として配列番号11およびγ1重鎖定常領域として配列番号12(場合により変異L234AおよびL235AまたはD265AおよびN297Aを有する)、
b)重鎖可変領域として配列番号3および軽鎖可変領域として配列番号4、κ軽鎖定常領域として配列番号11およびγ1重鎖定常領域として配列番号12(場合により変異L234AおよびL235AまたはD265AおよびN297Aを有する)、
c)重鎖可変領域として配列番号5および軽鎖可変領域として配列番号6、κ軽鎖定常領域として配列番号11およびγ1重鎖定常領域として配列番号12(場合により変異L234AおよびL235AまたはD265AおよびN297Aを有する)、
d)重鎖可変領域として配列番号7および軽鎖可変領域として配列番号8、κ軽鎖定常領域として配列番号11およびγ1重鎖定常領域として配列番号12(場合により変異L234AおよびL235AまたはD265AおよびN297Aを有する)、または
e)重鎖可変領域として配列番号9および軽鎖可変領域として配列番号10、κ軽鎖定常領域として配列番号11およびγ1重鎖定常領域として配列番号12(場合により変異L234AおよびL235AまたはD265AおよびN297Aを有する)。
【0008】
1つの実施態様において、抗体は、抗体LC5002−002、LC5002−003、LC5002−005、LC5002−007および/またはLC5002−018に対して競合してIL−13Rα1に結合することを特徴とする。好ましくは、抗体は、可変領域としてLC5002−002、LC5002−003、LC5002−005、LC5002−007またはLC5002−018の可変領域を含むことを特徴とする。これらの抗体の可変領域を配列番号1〜10に示す。有用な定常領域は当技術分野の水準で周知である。例を配列番号11〜12に示す。
【0009】

配列番号1 HuMab LC5002−002の重鎖可変ドメイン
配列番号2 HuMab LC5002−002の軽鎖可変ドメイン
配列番号3 HuMab LC5002−003の重鎖可変ドメイン
配列番号4 HuMab LC5002−003の軽鎖可変ドメイン
配列番号5 HuMab LC5002−005の重鎖可変ドメイン
配列番号6 HuMab LC5002−005の軽鎖可変ドメイン
配列番号7 HuMab LC5002−007の重鎖可変ドメイン
配列番号8 HuMab LC5002−007の軽鎖可変ドメイン
配列番号9 HuMab LC5002−018の重鎖可変ドメイン
配列番号10 HuMab LC5002−018の軽鎖可変ドメイン
配列番号11 κ軽鎖定常領域
配列番号12 γ1重鎖定常領域
【0010】
本発明の好ましい実施態様において、抗体は、
a)Gly236の欠失を有するアミノ酸配列Pro233Val234Ala235および/またはアミノ酸配列Gly327Leu328Pro329Ser330Ser331
b)アミノ酸配列Ala234Ala235または
c)アミノ酸Ala265およびAla297
を含むヒトγ1重鎖を含む。
【0011】
1つの実施態様において、本発明は、抗体が10〜150mg/mL、好ましくは10〜50mg/mLの範囲の量で存在する処方物を提供する。
【0012】
IL−13Rα1に対するアンタゴニストモノクローナル抗体をハイブリドーマ細胞株によって産生しうる。好ましいハイブリドーマ細胞株は(hu−MAB<h−IL−13Rα>LC.5002−002(DSM ACC2709)、hu−MAB<h−IL−13Rα>LC.5002−003(DSM ACC2710)、hu−MAB<h−IL−13Rα>LC.5002−005(DSM ACC2711)、hu−MAB<h−IL−13Rα>LC.5002−007(DSM ACC2712))であり、これらは13.01.2005にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Germanyに寄託された。
【0013】
本発明による処方物において有用な抗体は、好ましくは組換え手段によって、例えばWO2006/072564に記載されるものによって産生される。そのような方法は、当技術分野の水準で広く知られており、そして、その後の抗体ポリペプチドの単離および通常薬学的に許容されうる純度への精製を伴う、原核細胞および真核細胞におけるタンパク質発現を含む。タンパク質発現のために、軽鎖および重鎖またはそのフラグメントをコードする核酸を標準的な方法によって発現ベクター中に挿入する。発現を、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母、またはE.coli細胞のような適切な原核または真核宿主細胞中で行い、そして抗体を、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および例えばWO2006/072564に記載されるような当技術分野において周知のその他の技術を含む標準的な技術によって細胞(上清または溶解後の細胞)から回収する。
【0014】
本明細書において使用する「バッファー」という用語は、医薬調製物のpHを安定化する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。適切なバッファーは、当技術分野において周知であり、そして文献において見出されうる。好ましい薬学的に許容されうるバッファーは、ヒスチジンバッファー、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酢酸バッファーおよびリン酸バッファーを含むがそれらに限定されない。さらに好ましいバッファーは、当技術分野において公知の酸または塩基を用いてpH調整したL−ヒスチジンまたはL−ヒスチジンとL−ヒスチジン塩酸塩との混合物を含む。上記のバッファーは、一般に、約1mM〜約100mM、好ましくは約5mM〜約50mM、より好ましくは約10〜20mMの量で使用される。使用するバッファーとは独立して、pHを、約4.0〜約7.0、好ましくは約5.0〜約6.5、さらに好ましくは約5.5〜約6.0の値に、当技術分野において公知の酸または塩基、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸およびクエン酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いて調整することができる。
【0015】
本明細書において使用する「界面活性剤」という用語は、攪拌および剪断のような機械的ストレスに対してタンパク質処方物を保護するために使用される薬学的に許容されうる賦形剤を示す。薬学的に許容されうる界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton−X)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。好ましいポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベート20(商標Tween 20(商標)の下に販売されている)およびポリソルベート80(商標Tween 80(商標)の下に販売されている)である。好ましいポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーは、名称Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(商標)の下に販売されているものである。好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルは、商標Brij(商標)の下に販売されているものである。好ましいアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルは、商標Triton−Xの下に販売されている。ポリソルベート20(Tween 20(商標))およびポリソルベート80(Tween 80(商標))を使用する場合、それらは、一般に、約0.001〜約1%、好ましくは約0.005〜約0.1%、より好ましくは約0.01%〜約0.04%(w/v)(重量/容量)の濃度範囲で使用される。
【0016】
「安定化剤」という用語は、製造、貯蔵および適用の間の化学的および/または物理的分解から活性医薬成分および/または処方物を保護する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。タンパク質医薬の化学的および物理的分解経路は、Cleland et al. (1993), Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 10(4):307-77、Wang (1999) Int J Pharm 185(2):129-88、Wang (2000) Int J Pharm 203(1-2):1-60およびChi et al. (2003) Pharm Res 20(9):1325-36によって概説されている。安定化剤は、本明細書中以下で定義するような、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエチル−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えばPEG 3000、PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、キレート剤、例えばEDTAを含むがそれらに限定されない。本明細書中上記のように、安定化剤は、約10〜約500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100mM〜約300mMの量で処方物中に存在することができる。
【0017】
本明細書において使用する「糖」という用語は、単糖またはオリゴ糖を示す。単糖は、酸によって加水分解可能でない単量体炭水化物であり、単純糖およびその誘導体、例えばアミノ糖を含む。単糖の例は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、リボース、デオキシリボース、ノイラミン酸を含む。オリゴ糖は、分岐または鎖状のいずれかの、グリコシド結合を介して連結された1個より多くの単量体糖単位からなる炭水化物である。オリゴ糖内の単量体糖単位は、同一であることができ、または異なることができる。単量体糖単位の数に応じて、オリゴ糖は、ジ、トリ、テトラ、ペンタなどの糖である。多糖とは対照的に、単糖およびオリゴ糖は水溶性である。オリゴ糖の例は、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースおよびラフィノースを含む。好ましい糖はスクロースおよびトレハロースであり、トレハロースが最も好ましい。
【0018】
本明細書において使用する「アミノ酸」という用語は、カルボキシル基に対してα位に位置するアミノ部分を有する薬学的に許容されうる有機分子を示す。アミノ酸の例は、アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリンを含む。アミノ酸は、一般に、約10〜500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100〜約300mMの量で使用される。
【0019】
本明細書において使用する「ポリオール」という用語は、1個より多いヒドロキシ基を有する薬学的に許容されうるアルコールを示す。適切なポリオールは、マンニトール、ソルビトール、グリセリン、デキストラン、グリセロール、アラビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその組み合わせを含むがそれらに限定されない。ポリオールを、約10mM〜約500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100〜約300mMの量で使用することができる。
【0020】
安定化剤内の1つのサブグループは凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)である。「凍結乾燥保護剤」という用語は、凍結乾燥プロセス、その後の貯蔵および再構成の間に不安定化条件に対して不安定な活性成分(例えばタンパク質)を保護する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。凍結乾燥保護剤は、糖、ポリオール(例えば糖アルコールのような)およびアミノ酸からなる群を含むがそれらに限定されない。好ましい凍結乾燥保護剤を、糖、例えばスクロース、トレハロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、ノイラミン酸、アミノ糖、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、N−メチルグルコサミン(「Meglumine」)、ポリオール、例えばマンニトールおよびソルビトール、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびグリシンからなる群より選択することができる。凍結乾燥保護剤は、一般に、約10〜500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100〜約300mMの量で使用される。
【0021】
安定化剤内の1つのサブグループは抗酸化剤である。「抗酸化剤」という用語は、活性医薬成分の酸化を防止する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。抗酸化剤は、アスコルビン酸、グルタチオン(gluthadion)、システイン、メチオニン、クエン酸、EDTAを含むがそれらに限定されない。抗酸化剤を、約1〜約100mMの量、好ましくは約5〜約50mMの量、より好ましくは約5〜約20mMの量で使用することができる。
【0022】
本明細書において使用する「浸透圧剤」という用語は、薬学的に許容されうる浸透圧剤を示す。浸透圧剤は処方物の浸透圧を調節するために使用される。処方物は、低張性、等張性または高張性であることができる。等張性は、一般に、通常ヒト血清のものに対する、溶液の相対的浸透圧に関する。本発明による処方物は、低張性、等張性または高張性であることができるが、好ましくは等張性である。等張性処方物は、液体、または固体形態から、例えば凍結乾燥形態から再構成された液体であり、そしてそれが比較される何らかの他の溶液、例えば生理塩溶液および血清と同じ浸透圧を有する溶液を示す。適切な浸透圧剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびアミノ酸、糖、特にグルコースの群からの任意の成分を含むがそれらに限定されない。浸透圧剤は、一般に、約5mM〜約500mMの量で使用される。好ましい処方物において、浸透圧剤の量は、50mM〜300mMの範囲にある。
【0023】
安定化剤および浸透圧剤内に、両方の方法で機能することができる化合物の群が存在する。すなわち、それらは同時に安定化剤および浸透圧剤であることができる。その例を、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、ポリエチレングリコールおよび塩の群において見出すことができる。同時に安定化剤および浸透圧剤であることができる糖の一例はトレハロースである。
【0024】
組成物はまた、佐剤、例えば保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含んでもよい。微生物の存在の防止は、滅菌プロセスによって、および種々の抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによっての両方で確実にされうる。保存料は、一般に、約0.001〜約2%(w/v)の量で使用される。保存料は、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、p−クロロ−m−クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウムを含むがそれらに限定されない。
【0025】
本発明による処方物に関連して本明細書において使用する「液体」という用語は、大気圧下で少なくとも約2〜約8℃の温度で液体である処方物を示す。
【0026】
本発明による処方物に関連して本明細書において使用する「凍結乾燥物」という用語は、それ自体当技術分野において公知の凍結乾燥方法によって製造される処方物を示す。溶媒(例えば水)は、凍結およびそれに続く真空下での昇華および上昇した温度での残存する水の脱着によって除去される。凍結乾燥物は、通常、約0.1〜5%(w/w)の残存水分を有し、そして粉末または物理的安定ケークとして存在する。凍結乾燥物は、再構成媒質の添加後の迅速な溶解によって特徴付けられる。
【0027】
本発明による処方物に関連して本明細書において使用する「再構成処方物」という用語は、凍結乾燥され、そして再構成媒質の添加によって再溶解される処方物を示す。再構成媒質は、注射用水(WFI)、注射用静菌水(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば0.9%(w/v)NaCl)、グルコース溶液(例えば5%グルコース)、界面活性剤含有溶液(例えば0.01%ポリソルベート20)、pH緩衝溶液(例えばリン酸緩衝溶液)を含むがそれらに限定されない。
【0028】
好ましい実施態様において、本発明は、
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
240mMトレハロース、
0.02%ポリソルベート20、
(pH6.0)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
240mMトレハロース、
0.04%ポリソルベート20、
(pH6.0)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
160mMトレハロース、
100mMグリシン、
0.02%ポリソルベート20、
(pH6.0)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM酢酸ナトリウム、
240mMトレハロース、
0.02%ポリソルベート20、
(pH5.5)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM酢酸ナトリウム、
240mMトレハロース、
0.04%ポリソルベート20、
(pH5.5)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mMコハク酸ナトリウム、
240mMトレハロース、
0.02%ポリソルベート20、
(pH5.5)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
240mMトレハロース、
0.04%ポリソルベート20、
(pH6.0)
を含む液体処方物を提供する。
【0029】
本発明による処方物は、喘息またはアレルギー性疾患に罹患した患者のために利益をもたらす新たなそして発明性の特性を有する。
【0030】
本発明はさらに、喘息の処置のための医薬の製造のための本発明による処方物の使用を含む。
【0031】
本発明の組成物を、当技術分野において公知の種々の方法によって投与することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望される結果に応じて変動する。
【0032】
特定の投与経路によって本発明の組成物を投与するために、組成物を希釈剤中で希釈することが必要でありうる。薬学的に許容されうる希釈剤は、生理食塩水、グルコース、リンゲルおよび水性緩衝溶液を含む。
【0033】
本明細書において使用する「非経口投与」および「非経口で投与される」という用語は、通常注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、そして静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入を含むがそれらに限定されない。
【0034】
組成物は無菌でなければならず、そして組成物がシリンジによって送達可能である程度に流動性でなければならない。水に加えて、担体は、等張性緩衝生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物であることができる。
【0035】
本発明による処方物を、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)または医薬の技術分野において公知のもののような任意の他の非経口投与手段によって投与することができる。
【0036】
本発明による処方物を、当技術分野において公知の方法、例えば限外ろ過−ダイアフィルトレーション、透析、添加および混合、凍結乾燥、再構成、およびその組み合わせによって調製することができる。本発明による処方物の調製の例を、本明細書中以下に見出すことができる。
【0037】
実施例
実施例1:液体処方物の調製
WO2006/072564に記載のように調製しそして得たhuMAb−IL13−Rα1は、約6.0のpHの20mMヒスチジンバッファー中約10〜15mg/mLの濃度で提供された。
【0038】
液体処方物の調製のために、huMAb−IL13−Rα1を、予期されるバッファー組成を含むダイアフィルトレーションバッファーに対してバッファー交換し、そして約15mg/mLの抗体濃度に限外ろ過によって濃縮した。限外ろ過操作の完了後、賦形剤(例えばトレハロース)を抗体溶液に2〜10倍ストック溶液として添加した。次いで、界面活性剤を100〜200倍ストック溶液として添加した。最後に、タンパク質濃度を、バッファーを用いて約10mg/mLの最終huMAb−IL13−Rα1濃度に調整した。
【0039】
全ての処方物を、0.22μm低タンパク質結合フィルターを通して無菌ろ過し、そしてETFE(エチレンおよびテトラフルオロエチレンのコポリマー)コートゴム栓およびalucrimpキャップで閉じた無菌6mLガラスバイアル中に窒素雰囲気下で無菌的に充填した。充填容量は約2.4mLであった。これらの処方物を様々な気候条件で(5℃、25℃および40℃)様々な時間間隔で貯蔵し、そして振とう(5℃で200分−1の振とう頻度で1週間)および凍結融解ストレス方法によってストレスをかけた。試料をストレス試験を適用する前および後に、分析方法1)UV分光光度法、および2)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。
【0040】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、処方物中の可溶性高分子量種(凝集物)および低分子量加水分解産物(LMW)検出した。方法を、Tosohaas TSK G3000 SWXLカラムを備えたWater Alliance 2795 HPLC機器で行った。インタクトな単量体、凝集物および加水分解産物を、アイソクラチック溶出プロファイルによって、0.2M KHPO/0.25M KCL、pH7.0を移動相として使用して分離し、そして220nmの波長で検出した。タンパク質含量の決定のために使用したUV分光光度法を、Varian Cary Bio UV分光光度計で、240nm〜400nmの波長範囲で行った。原液(neat)のタンパク質試料を、対応する処方バッファーを用いて約0.5mg/mLに希釈した。タンパク質濃度を式1に従って算出した。
【0041】
【数1】

【0042】
280nmでのUV光吸収を、320nmでの光散乱について補正し、そしてそれに原液の試料および希釈バッファーの秤量した質量および密度から決定した希釈因子を掛けた。分子を、キュベットの経路長dおよび吸光係数εの積で割った。
【0043】
表1:
【表1】





【0044】
実施例2:凍結乾燥処方物および凍結乾燥処方物から再構成された液体処方物の調製
約10mg/ml huMAb−IL13−Rα1の溶液を、実施例2に記載のように調製し、そして表2に報告する凍結−乾燥サイクルを使用して凍結乾燥した。
【0045】
表2 凍結乾燥サイクルタイプI
【表2】

【0046】
産物をまず室温から約5℃に冷却し(前冷却)、続いて約1℃/分のプレート冷却速度での−40℃での凍結工程、続いて−40℃で約2時間の保持工程を行った。第1の乾燥工程を約−25℃のプレート温度および約80μbarのチャンバー圧で約62時間行った。その後、第2の乾燥工程を−25℃から25℃まで0.2℃/分の温度勾配で開始し、続いて25℃で少なくとも5時間、約80μbarのチャンバー圧での保持工程を行った。
【0047】
凍結乾燥をUsifroid SMH−90 LN2凍結乾燥機(Usifroid, Maurepas, France)中で行った。全ての凍結乾燥ケークは、Karl−Fischer法によって決定したところ、約0.1〜2.0%の残存含水量を有していた。凍結乾燥試料を様々な温度で様々な時間間隔でインキュベートした。
【0048】
凍結乾燥処方物を、注射用水(WFI)を用いて2.4mLの最終容量に再構成し、約10mg/mLの抗体を有する等張性処方物を得た。凍結乾燥ケークの再構成時間は1分未満であった。再構成試料の分析を、再構成の直後、または25℃での再構成液体試料の24時間のインキュベーション期間の後のいずれかで行った。
【0049】
試料を1)UV分光光度法および2)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。
【0050】
表3
【表3】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜200mg/mLの抗体;
1〜100mMのバッファー;
0.001〜1%の界面活性剤;
(a)10〜500mMの安定化剤;または
(b)10〜500mMの安定化剤および5〜500mMの浸透圧剤;または
(c)5〜500mMの浸透圧剤;
(pH4.0〜7.0の範囲)
を含み、
抗体はIL13Rα1に対する抗体である、医薬処方物。
【請求項2】
液体処方物または凍結乾燥処方物または凍結乾燥処方物から再構成された液体処方物である、請求項1記載の処方物。
【請求項3】
抗体濃度が10mg/mL〜150mg/mLの範囲である、請求項1または2記載の処方物。
【請求項4】
安定化剤がトレハロースである、請求項1〜3のいずれか1項記載の処方物。
【請求項5】
界面活性剤がポリソルベートである、請求項1〜3のいずれか1項記載の処方物。
【請求項6】
バッファーがヒスチジンバッファーである、請求項1〜3のいずれか1項記載の処方物。
【請求項7】
浸透圧剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の処方物。
【請求項8】
浸透圧剤がトレハロースである、請求項1〜7のいずれか1項記載の処方物。
【請求項9】
1〜約50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
240mMトレハロース、
0.02%ポリソルベート20、
(pH6.0)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
240mMトレハロース、
0.04%ポリソルベート20、
(pH6.0)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mMコハク酸ナトリウム、
240mMトレハロース、
0.02%ポリソルベート20、
(pH5.5)
または
1〜50mg/mL huMAb−IL−13Rα1、
20mM L−ヒスチジンHCl、
240mMトレハロース、
0.04%ポリソルベート20、
(pH6.0)
を含む、請求項1記載の凍結乾燥処方物。
【請求項10】
喘息またはアレルギーを処置するために有用な医薬の調製のための請求項1〜9のいずれか1項記載の処方物の使用。

【公表番号】特表2010−531340(P2010−531340A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513969(P2010−513969)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058446
【国際公開番号】WO2009/007272
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】