説明

新規包接錯体、エポキシ樹脂組成物及び半導体封止用エポキシ樹脂組成物

【課題】低温での硬化反応を抑制して、貯蔵安定性(1液安定性)の向上を図るとともに、加熱処理を施すことにより、効果的に樹脂を硬化させることができる包接錯体を提供すること。また、封止材の保存安定性を向上させると共に、封止時の封止材の流動性を保ち、且つ熱による効率的な封止材の硬化速度を実現するエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種を構成要素とする包接錯体。
【化1】


(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、カルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な包接錯体、それを用いたエポキシ樹脂組成物及び半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、優れた機械特性、熱特性を有するため様々な分野で広く用いられている。かかるエポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤として、イミダゾールが用いられているが、エポキシ樹脂−イミダゾールの混合液は、硬化の開始が早く、長期貯蔵において増粘、ゲル化したりするので1液型としては使用することができないといった問題点がある。
【0003】
そこで硬化剤として、イミダゾールにヒドロキシ安息香酸を付加したイミダゾール酸付加塩を用いること(特許文献1参照)や、テトラキスフェノール系化合物(例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、TEPという))とイミダゾールとの包接化合物を用いること(特許文献2、3参照)が提案されている。また、本発明者らはイソフタル酸系化合物とイミダゾールとの包接化合物を用いる硬化樹脂組成物を提案している(特許文献4参照)。しかし、これらは一定の効果を奏するものであるが、いまだ満足のいくものではない。
【0004】
トランジスタ、IC、LSI等の半導体素子や電気部品の封止材として、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及びその他の添加剤を含有するエポキシ樹脂組成物が用いられており、この保存安定性を改善する目的で、イミダゾール系化合物やアミン系化合物をゲスト化合物とし、TEPをホストとする包接化合物を硬化促進剤として用いることが提案されている(特許文献5参照)。イミダゾール系化合物やアミン系化合物を包接することで、それらの化合物を単独又は併用した場合に比べ、封止材の常温での保存安定性の向上を図ることが可能となるものの、近年進歩の著しい半導体の微細な仕様に対する封止材組成を十分に満足させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平4−2638号公報
【特許文献2】特開平11−71449号公報
【特許文献3】特開平10−324826号公報
【特許文献4】国際特許公開WO2008/075427号パンフレット
【特許文献5】特開2004−307545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、低温での硬化反応を抑制して、貯蔵安定性(1液安定性)の向上を図るとともに、加熱処理を施すことにより、効果的に樹脂を硬化させることができる包接錯体を提供することにある。また緻密な半導体の封止材に対応するため、封止材の保存安定性を向上させると共に、封止時の封止材の流動性を保ち、且つ熱による効率的な封止材の硬化速度を実現するエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。また、特に貯蔵安定性が要求される有機溶剤を含有する組成物や基体樹脂として液状のエポキシ樹脂を含有する組成物において、その貯蔵安定性及び硬化特性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のピリジン誘導体が該ピリジン誘導体をホストとする包接錯体を形成することを見出し、イミダゾール系化合物等をゲスト化合物とした包接錯体を形成した場合、それをエポキシ樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤として用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、[1]一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種をホスト化合物とする包接錯体であり、
【0009】
【化1】

【0010】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[2]一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である[1]記載の包接錯体である。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
また、[3]一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体であり、
【0014】
【化3】

【0015】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[4]一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である[3]記載の包接錯体である。
【0016】
【化4】

【0017】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0018】
また、本発明は、[5]下記(A)成分と(B)成分とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物であり、
(A)エポキシ樹脂
(B)一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体
【0019】
【化5】

【0020】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[6](B)成分の一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である[5]記載のエポキシ樹脂組成物である。
【0021】
【化6】

【0022】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0023】
さらに本発明は、[7]一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体を含有するエポキシ樹脂組成物用硬化剤又は硬化促進剤であり、
【0024】
【化7】

【0025】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[8]一般式(I)の化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である[7]記載のエポキシ樹脂組成物用硬化剤又は硬化促進剤である。
【0026】
【化8】

【0027】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0028】
また、さらに本発明は、[9]上記[5]、[6]記載の組成物を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。
【0029】
また、本発明は、[10]一般式(I)で表されるピリジン誘導体からなる包接錯体用ホスト化合物であり、
【0030】
【化9】

【0031】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[11]一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体であることを特徴とする[10]記載の包接錯体用ホスト化合物であり、
【0032】
【化10】

【0033】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[12]一般式(I)で表されるピリジン誘導体をホスト化合物とする包接化方法であり、
【0034】
【化11】

【0035】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
[13]一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体であることを特徴とする[12]記載の包接化方法である。
【0036】
【化12】

【0037】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0038】
本発明により、樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ、効果的に樹脂を硬化させることができる硬化剤、硬化促進剤(包接錯体)を得ることができる。また保存安定性、流動性が保持され、効率的な硬化性を有する、緻密な半導体回路に対応可能な半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(ホスト化合物)
本発明の包接錯体は一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種を構成要素とするものであれば特に制限されるものではない。ここで「包接錯体」とは、2種又は3種以上の分子が共有結合以外の結合により結合した化合物をいい、より好ましくは、2種又は3種以上の分子が共有結合以外の結合により結合した結晶性化合物をいう。包接する化合物をホスト化合物といい、包接される化合物をゲスト化合物という。また、塩もここでいう包接錯体に含まれる。
【0040】
【化13】

【0041】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0042】
ここでアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アセトアミド基は置換基を有していてもよく、その置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アラルキル基をあげることができる。またその置換基のアルキル基はヒドロキシ基、カルボキシル基を有していてもよい。
【0043】
式(I)において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のC1−6アルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜6アルコキシ基が挙げられる。
アリール基は、単環又は多環のアリール基を意味する。ここで、多環アリール基の場合は、完全不飽和に加え、部分飽和の基も包含する。例えばフェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等のC6−10アリール基が挙げられる。
アラルキル基は、上記アリール基とアルキル基が結合した基であり、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル−n−プロピル基、1−フェニル−n−へキシル基、ナフタレン−1−イルメチル基、ナフタレン−2−イルエチル基、1−ナフタレン−2−イル−n−プロピル基、インデン−1−イルメチル基等のC6−10アリールC1−6アルキル基が挙げられる。
【0044】
ここで上記ピリジン誘導体はホスト化合物であり、代表的には以下の化合物を具体的にあげることが出来る。
2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,3−ジヒドロキシピリジン、2,4−ジヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシ−3−ニトロピリジン、2−ヒドロキシ−5−ニトロピリジン、3−ヒドロキシ−2−ニトロピリジン、4−ヒドロキシ−3−ニトロピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−5−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−ヒドロキシニコチン酸、3−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボン酸、6−ヒドロキシニコチン酸、2,6−ジヒドロキシイソニコチン酸、2,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピリジンメタノール、2−ヒドロキシ−6−メチルニコチン酸、2−メトキシニコチン酸、3−ピリジンスルホン酸、4−ヒドロキシ−3−ピリジンスルホン酸、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ヒドラジノピリジン、2−アセトアミドピリジン、2−(2−ピリジルアミノ)エタノール、N−(2−ピリジル)−β−アラニン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、6−メチルニコチン酸、2−ピリジンメタノール、3−ピリジンメタノール、4−ピリジンメタノール、2−ピリジンカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、ニコチンアミド、2−ピリジンエタノールなど。
【0045】
特に好ましくは、一般式(II)で表されるピリジン誘導体であり、具体的には、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボン酸、2,6−ジヒドロキシイソニコチン酸をあげることができる。
【0046】
【化14】

【0047】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、nは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0048】
(ゲスト化合物)
本発明において用いるゲスト化合物としては、前記ピリジン誘導体をホスト化合物とする包接錯体を形成しえるものであれば特に制限されない。具体的な例としては、ピリジン、ピロール、イミダゾール、ピラジン、ピラゾール、1,2,4−トリアゾール、チアゾール、ピロリジン、イミダゾリン、ピロリン、オキサゾール、ピペリン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、CMIという)等の単環式含窒素複素環化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(以下、DBUという)があげられる。
この中でもイミダゾール化合物、CMIやDBUなどの含窒素複素環化合物が好ましい。
【0049】
特に一般式(III)で表されるイミダゾール化合物が好ましい。
【0050】
【化15】

【0051】
[式中、Rは、水素原子、C1〜C10のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はシアノエチル基を表し、R〜Rは、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、C1〜C20のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されたC1〜C20のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はC1〜C20のアシル基を表す。]
【0052】
〜Rのアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子をあげることができる。アリール基としてはフェニル基を、アラルキル基としてはベンジル基をあげることができる。
のC1〜C10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
〜RのC1〜C20のアルキル基としては、Rのアルキル基として挙げたもののほか、ウンデシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。
〜Rのヒドロキシ基で置換されたC1〜C20のアルキル基としては、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基等が挙げられる。
〜RのC1〜C20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等が挙げられる。
〜Rのアリール基は、単環又は多環のアリール基を意味する。ここで、多環アリール基の場合は、完全不飽和に加え、部分飽和の基も包含する。例えばフェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等のC6−10アリール基が挙げられる。
〜Rのアラルキル基は、上記アリール基とアルキル基が結合した基であり、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル−n−プロピル基、1−フェニル−n−へキシル基、ナフタレン−1−イルメチル基、ナフタレン−2−イルエチル基、1−ナフタレン−2−イル−n−プロピル基、インデン−1−イルメチル基等のC6−10アリールC1−6アルキル基が挙げられる。
【0053】
イミダゾール化合物として具体的に例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、3−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、3−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、5−エチルイミダゾール、1−n−プロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、1−イソプロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、2−n−ブチルイミダゾール、1−イソブチルイミダゾール、2−イソブチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,3−ジメチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、等が挙げられる。
【0054】
これらのうちでも、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、及び、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種であるイミダゾール化合物がより好ましい。
【0055】
(新規包接錯体)
本発明の包接錯体は、前記ピリジン誘導体と、ゲスト化合物とを直接混合するか、あるいは溶媒中で混合することにより得ることができる。
溶媒を使用する場合は、前記ピリジン誘導体及びゲスト化合物を溶媒に添加後、必要に応じて攪拌しながら、加熱処理又は加熱還流処理を行った後、析出させることにより得ることができる。特に結晶化させて得られうる結晶化合物であることがより好ましい。析出した化合物であれば特に制限されるものではなく、溶媒等の第3成分を含んでもよく、該第3成分は40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以下であることが特に好ましいが、第3成分を含まないことが最も好ましい。
【0056】
前記ピリジン誘導体及びゲスト化合物は溶媒に溶解又は懸濁するが、両方とも溶媒に溶解することが好ましい。溶媒に溶解する場合、その全量が溶媒に溶解する必要はなく、少なくともごく一部が溶媒に溶解すればいい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル等を用いることができる。特に、ピリジン誘導体とゲスト化合物をそれぞれ溶媒に溶解後、溶解液同士を混合することが好ましい。
加熱処理は特に制限されないが、例えば40〜120℃の範囲内に加熱することができ、好ましくは加熱還流することである。
【0057】
前記ピリジン誘導体と、ゲスト化合物との添加割合は、包接錯体を形成しうる限り特に制限はないが、前記ピリジン誘導体1モルに対して、ゲスト化合物が、0.1〜5.0モルであることが好ましく、0.5〜3.0モルであることがより好ましい。
【0058】
前記ピリジン誘導体とゲスト化合物とを溶媒に溶解又は懸濁して加熱した後の工程は、ピリジン誘導体とゲスト化合物とを構成要素として含む固体化合物が得られうる限り特に限定されず、例えば加熱後、単に加熱を止めることにより固体化合物を析出させてもよいが、加熱した後、室温で一晩放置することが好ましい。また、適宜、5℃以下で静置して析出させてもよい。固体化合物を析出させた後、例えばろ過して乾燥することにより、目的とする化合物が得られる。また種類によっては結晶化合物が得られる。
【0059】
得られる包接錯体の構造は、熱分析(TG及びDTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン、固体NMRスペクトル等により確認できる。また、包接錯体の組成は、熱分析、H−NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確認することができる。
【0060】
(エポキシ樹脂組成物)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂と
(B)一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体
【0061】
【化16】

【0062】
(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)、とを含有するものであれば特に制限されるものではない。
【0063】
(A)成分のエポキシ樹脂としては、従来公知の各種ポリエポキシ化合物が使用でき、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロプロパンジグリシジルエーテル、1,3−ビス〔1−(2,3−エポキシプロパキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(2,3−エポキシプロパキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル〕ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、フェノールノボラック型ビスエポキシ化合物等の芳香族系グリシジルエーテル化合物、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド等の脂環式ポリエポキシ化合物、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジルフタレート、ジメチルグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジル−p−オキシベンゾエート、ジグリシジルシクロペンタン−1,3−ジカルボキシレート、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルトリブロモアニリン等のグリシジルアミン化合物、ジグリシジルヒダントイン、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0064】
(B)成分としては、前記ピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体であり、前記した通りである。
ホスト化合物であるピリジン誘導体としては、特に一般式(II)で表されるピリジン誘導体が好ましく、具体的には2,3−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボン酸、2,6−ジヒドロキシイソニコチン酸があげられる。
【0065】
【化17】

【0066】
(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、nは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【0067】
ゲスト化合物としてはイミダゾール化合物やDBUなどの含窒素複素環化合物が好ましい。その中でも半導体用封止用途には2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、DBUからなる群より選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。
【0068】
使用する包接錯体の量は、通常の硬化剤、硬化促進剤と同様な使用量でよく、硬化方法による。エポキシ基と反応する事によって、硬化した樹脂中に必ず硬化剤分子が組み込まれる付加型硬化剤の場合には、求められる樹脂の性質にもよるが、通常エポキシ基1モルに対して包接している硬化剤及び/又は硬化促進剤(ゲスト化合物)が0.1〜1.0モル程度になるよう包接錯体を使用する。また、硬化剤分子が樹脂中に組み込まれることなく触媒的にエポキシ基の開環を誘発し、オリゴマー間の重合付加反応を起こす重合型硬化剤や光開始型硬化剤の場合、また硬化促進剤として使用する場合などでは、エポキシ基1モルに対して包接錯体は1.0モル以下で十分である。すなわち、(A)成分、(B)成分の割合は(A)成分であるエポキシ樹脂のエポキシ環1モルに対して、(B)成分中の含窒素複素環化合物を0.01〜3.0モル含有することが好ましく、0.1〜1.0モル含有することがより好ましく、0.3〜1.0モル含有することがさらに好ましい。(B)成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0069】
(B)成分の包接錯体の平均粒径D50は、特に限定されないが、通常約0.01〜80μm、好ましくは約0.01〜30μmの範囲である。
【0070】
本発明のエポキシ樹脂組成物は(A)成分及び(B)成分を混合することにより製造することができるが、十分な混合状態が形成されるよう、通常、60〜100℃程度に加熱して混合する。エポキシ樹脂の製造においては、このときの温度での1液安定性が重要となる。エポキシ硬化樹脂の製造方法としては、上記エポキシ樹脂組成物を加熱処理して硬化させる方法であれば特に制限されるものではなく、通常、加熱処理の加熱温度としては、60〜250℃であり、好ましくは100〜200℃であり、かかる温度において短時間で硬化することが好ましい。
【0071】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、前記のように(B)成分は、硬化剤としても硬化促進剤としても使用される。
【0072】
(B)成分が硬化剤である場合には硬化促進剤をさらに含んでいても良く、(B)成分が硬化促進剤である場合には、硬化剤をさらに含んでいてもよい。
(B)成分以外に含有してもよい硬化剤としては、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物であれば、特に制限はない。同様に(B)成分以外に含有してもよい硬化促進剤としては、上記硬化反応を促進する化合物であれば、特に制限はない。このような、硬化剤又は硬化促進剤としては、従来のエポキシ樹脂の硬化剤又は硬化促進剤として慣用されているものの中から任意のものを選択して使用できる。例えば、脂肪族アミン類、脂環式及び複素環式アミン類、芳香族アミン類、変性アミン類等のアミン系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、アミド系化合物、エステル系化合物、フェノール系化合物、アルコール系化合物、チオール系化合物、エーテル系化合物、チオエーテル系化合物、尿素系化合物、チオ尿素系化合物、ルイス酸系化合物、リン系化合物、酸無水物系化合物、オニウム塩系化合物、活性珪素化合物−アルミニウム錯体等が挙げられる。
【0073】
硬化剤、及び硬化促進剤としては、具体的に例えば以下の化合物が挙げられる。
脂肪族アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、アルキル−t−モノアミン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(トリエチレンジアミン)、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノヘキサノール等が挙げられる。
【0074】
脂環式及び複素環式アミン類としては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,8−ジアザビシクロ[4.5.0]ウンデセン−7等が挙げられる。
【0075】
芳香族アミン類としては、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、m−キシレンジアミン、ピリジン、ピコリン、α−メチルベンジルメチルアミン等が挙げられる。
【0076】
変性アミン類としては、例えば、エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミン、ジシアンジアミド、グアニジン、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、アミンイミド、三フッ化ホウ素−ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素−モノエチルアミン錯体等が挙げられる。
【0077】
イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、3−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、3−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、5−エチルイミダゾール、1−n−プロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、1−イソプロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、2−n−ブチルイミダゾール、1−イソブチルイミダゾール、2−イソブチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,3−ジメチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール塩酸塩等が挙げられる。
【0078】
イミダゾリン系化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等が挙げられる。
【0079】
アミド系化合物としては、例えば、ダイマー酸とポリアミンとの縮合により得られるポリアミド等が挙げられる。
【0080】
エステル系化合物としては、例えば、カルボン酸のアリール及びチオアリールエステルのような活性カルボニル化合物等が挙げられる。
【0081】
フェノール系化合物、アルコール系化合物、チオール系化合物、エーテル系化合物、及びチオエーテル系化合物としては、例えば、フェノール樹脂硬化剤として、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノ−ル樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、これらの変性樹脂、例えばエポキシ化もしくはブチル化したノボラック型フェノール樹脂等、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂等が挙げられる。また、ポリオール、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2−(ジメチルアミノメチルフェノール)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキシル塩酸塩等が挙げられる。
【0082】
尿素系化合物、チオ尿素系化合物、ルイス酸系化合物としては、例えば、ブチル化尿素、ブチル化メラミン、ブチル化チオ尿素、三フッ化ホウ素等が挙げられる。
【0083】
リン系化合物としては、有機ホスフィン化合物、例えば、エチルホスフィン、ブチルホスフィン等のアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジプロピルホスフィン等のジアルキルホスフィン、ジフェニルホスフィン、メチルエチルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィン等が挙げられる。
【0084】
酸無水物系化合物としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラメチレン無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水クロレンド酸、無水ピロメリット酸、ドデセニル無水コハク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等が挙げられる。
【0085】
また、オニウム塩系化合物、及び活性珪素化合物−アルミニウム錯体としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリフェニルシラノール−アルミニウム錯体、トリフェニルメトキシシラン−アルミニウム錯体、シリルペルオキシド−アルミニウム錯体、トリフェニルシラノール−トリス(サリシルアルデヒダート)アルミニウム錯体等が挙げられる。
【0086】
前記硬化剤としては、特にアミン系化合物、イミダゾール系化合物、フェノール系化合物を用いるのが好ましい。フェノール系化合物の中でもフェノール樹脂硬化剤を用いるのがより好ましい。
【0087】
(樹脂組成物/添加剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には前述のものの外、必要に応じて可塑剤、有機溶剤、反応性希釈剤、増量剤、充填剤、補強剤、顔料、難燃化剤、増粘剤及び離型剤など種々の添加剤を配合できる。その他の添加剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;重炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、天然シリカ、合成シリカ、溶融シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ウォラスナイト、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、セピオライト、ゾノトライト等の充填剤;NBR、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、シリコーン、架橋NBR、架橋BR、アクリル系、コアシェルアクリル、ウレタンゴム、ポリエステルエラストマー、官能基含有液状NBR、液状ポリブタジエン、液状ポリエステル、液状ポリサルファイド、変性シリコーン、ウレタンプレポリマー等のエラストマー変性剤;
【0088】
ヘキサブロモシクロデカン、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、デカブロモジフェニルオキサイド、ビス(ペンタブロモ)フェニルエタン、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ポリブロモフェニルインダン、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネート、臭素化フェニレンエチレンオキシド、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、トリフェニルホスフェート、トリグレジルホスフェート、トリキシニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、クレジルビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレシジル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモプロピル)ホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロオキシエチル)アミノメチルホスホネート、陰イオン蓚酸処理水酸化アルミニウム、硝酸塩処理水酸化アルミニウム、高温熱水処理水酸化アルミニウム、錫酸表面処理水和金属化合物、ニッケル化合物表面処理水酸化マグネシウム、シリコーンポリマー表面処理水酸化マグネシウム、プロコバイト、多層表面処理水和金属化合物、カチオンポリマー処理水酸化マグネシウム等の難燃剤;高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ナイロン6,6、ポリアセタール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリスルホン等のエンジニアリングプラスチック;可塑剤;n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジエポキシド、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール等の希釈剤;増量剤;補強剤;着色剤;増粘剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム等、例えば、カルナバワックスやポリエチレン系ワックス等の離型剤;等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、特に限定されず、本発明の効果が得られる限度において、配合量を適宜決定することができる。
【0089】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂の他に、他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0090】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を硬化させる用途、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、半導体封止材、プリント配線板用積層板、ワニス、粉体塗料、注型材料、インク等の用途に好適に使用することができる。
【0091】
本発明の包接錯体からなるエポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ樹脂用硬化促進剤を、未硬化エポキシ樹脂に配合した場合、硬化反応の制御において極めて重要な熱安定性が、該硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤中のゲスト化合物(アミン系、イミダゾール系などの包接するまえの硬化剤、硬化促進剤)のみを配合した場合と比べて著しく改善される。また、これら包接錯体を硬化剤または硬化促進剤として含有する樹脂組成物は熱特性に優れている。樹脂組成物の熱特性は、常温での安定性(1液安定性)、常温〜所望する硬化温度までの加熱時の熱安定性、硬化温度の3つの特性が要求される。本発明の包接錯体を硬化剤及び硬化促進剤として配合した未硬化エポキシ樹脂は、常温下では極めて安定(1液安定性が良好)であるが、ある温度以上の一定温度に加熱するのみで硬化し、迅速に所望の硬化物を与える。
【0092】
(半導体封止用エポキシ樹脂組成物)
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記のエポキシ樹脂組成物である上記(A)成分及び(B)成分を含んでいればよく、また、(A)成分及び(B)成分に加えて(D)無機充填剤を含む、固形半導体封止用エポキシ樹脂組成物であってもよい。
【0093】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の(D)無機充填剤としては特に制限されないが、例えば、石英ガラス、火炎溶融することで得られる球状シリカ、ゾルゲル法などで製造される球状シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルク、窒化アンモニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を用いてもよい。
【0094】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法は、前記の各成分及びその他の添加剤の所定量からなる混合物を、例えば、ニーダーやロール、押し出し成型機等を使用して、ゲル化の起こらない温度、時間で溶融、混練し、冷却後、粉砕し、再び成型することで製造することができる。また半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法は、加熱による溶融混練を省略してもよい。製造されたエポキシ樹脂組成物は、その組成及び製造方法により固形であっても液状であってもよく、固形であることがより好ましい。固形として用いる場合には、エポキシ樹脂組成物全体に対して無機充填剤の含有量を70〜95%とすることが好ましい。
【実施例】
【0095】
以下に実施例を示すが、本発明はこの実施例になんら束縛されるものではない。
[包接錯体の合成]
(合成方法1)
酢酸エチル溶液30mlに2,3−ピリジンジカルボン酸(4g、23.9mmol)と2−メチルイミダゾール(2MZ 1.96g、23.9mmol)を混合、攪拌し、加熱還流した。その後、加熱を止め冷却した。室温で一晩放冷後、析出した結晶をろ過して真空乾燥した。得られた2,3−ピリジンジカルボン酸−2MZ包接錯体はH−NMR、TG−DTAおよびXRDにて包接比1:1の包接錯体であることを確認した(実施例1)。
同様の方法で実施例2、3、4、5、9、12、13、14、15、16、17、18、19、20、比較例1−1、比較例3−1を合成した。
【0096】
(合成方法2)
溶媒に酢酸エチルのかわりにメタノールを使用する以外は合成方法1と同様の方法で実施例10、11、比較例2−1を合成した。
【0097】
(合成方法3)
2,6−ピリジンジカルボン酸(12.06g、72.2mmol)と2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ 3.96g、35.9mmol)にアセトンを適量加えて乳鉢で混合した。アセトンの揮発により得られた粉末を真空乾燥した。得られた2,6−ピリジンジカルボン酸−2E4MZ包接錯体はH−NMR、TG−DTAおよびXRDにて包接比2:1の包接錯体であることを確認した(実施例6)。
同様の方法で実施例7を合成した。
【0098】
(合成方法4)
酢酸エチル1600mlに1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP:66.67g、167mmol)を分散させ、加熱還流した。還流下DBU(25.42g、167mmol)酢酸エチル溶液を滴下した。滴下終了後、3時間還流状態で攪拌した。この後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ過して80℃で真空乾燥した。得られたTEP−DBU包接錯体はH−NMR、TG−DTAおよびXRDにて包接比1:1の包接錯体であることを確認した(比較例5−1)。酢酸エチルをメタノールにかえた以外は同様にして実施例8を合成した。
【0099】
[エポキシ樹脂の製造]
実施例1〜20、比較例1−1〜5−1の包接錯体を硬化触媒として、第1表に示した組成で配合した後、100℃で5分間加熱混練し、冷却後、粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。なお表中の各組成物の配合量は質量部で表されている。
【0100】
(スパイラルフロー試験)
各実施例のエポキシ樹脂組成物を打錠し、錠剤を成型した。これらの錠剤を、アルキメデススパイラル金型とトランスファー成形機を用いて、175℃、圧力70Kgf/cmの条件で3分間射出成形したものの長さを測定した。スパイラルフロー値は初期値及び25℃で168時間経過後の値を測定し、それらの値から保持率(%)を算出した。
実施例9〜12及び比較例3−1、3−2の場合のみ30℃96時間経過後のスパイラルフロー値を測定して保持率を求めた。結果を第1表に示した。
【0101】
(ゲルタイム)
各実施例のエポキシ樹脂組成物の適量を金属製ヘラで175℃の熱板に置き、金属製ヘラを使ってかき混ぜ、試料に粘着性がなくなり、熱板から剥がれるようになった時または粘着性がなくなった時間を測定した。
【0102】
なお、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂は、EOCN−1020−55 エポキシ当量191〜201(日本化薬株式会社製)、ノボラックフェノールは、PSM−4261 OH当量103(群栄化学工業株式会社製)、離型剤は、TOWAX131(東亜化成株式会社製)、カップリング剤は、LS2940(信越化学工業株式会社製)、シリカは、デンカFB−940球状シリカ(電気化学工業株式会社製)を用いた。
ただし、実施例9〜12及び比較例3−1、3−2の場合は、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂は、ESCN195LL エポキシ当量195(住友化学株式会社製)、ノボラックフェノールは、PSM−4261 OH当量103(群栄化学工業株式会社製)、離型剤は、リファインドグラニュラーカルナバ(東亜化成株式会社製)、カップリング剤は、KBM−403(信越化学工業株式会社製)、シリカは、デンカFB−940球状シリカ(電気化学工業株式会社製)を用いた。
【0103】
スパイラルフロー試験ではその値が大きいほど流動性がいいことを示しているが使用される場面により適宜選択できる。保持率はその値が大きいほど組成物の保存安定性がいいことを示している。ゲルタイムは封止材を一定温度で加熱したとき、流動性を失うまでの時間であり硬化特性に関し、適宜選択できる。
【0104】
本発明の組成物は第1表より流動性や保存性において、包接錯体を含まない組成物に比べて著しく、またTEPをホストにする包接錯体を含む組成物に比べて同等またはそれ以上に優れていると同時に適度で効率的な硬化性がある。
【0105】
【表1】


【0106】
【表2】


【0107】
【表3】


【0108】
【表4】


【0109】
【表5】



【0110】
[溶剤系エポキシ樹脂]
実施例2及び実施例4の包接錯体のメチルエチルケトン(MEK)中のイミダゾール溶解濃度を第2表に示した。これによればTEPや包接化していない場合に比べて本発明の包接錯体は極めて濃度が低く、貯蔵安定性を求められる1液型のエポキシ樹脂組成物として好適であることがわかる。
溶解濃度は以下により測定した。
4mlのMEKに試料を適量加え、25℃で振盪し、試料が溶けなくなるまで試料を添加した。試料液を0.2μmのフィルターでろ過して、HPLCで溶液中のイミダゾール濃度(mg/L)を求めた。(分析カラム:Finepak SIL C18S 日本分光株式会社製、移動相:リン酸ナトリウム水溶液/メタノール=60/40)
【0111】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種をホスト化合物とする包接錯体。
【化1】

(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である請求項1記載の包接錯体。
【化2】

(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項3】
一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体。
【化3】

(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項4】
一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である請求項3記載の包接錯体。
【化4】

(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項5】
下記(A)成分と(B)成分とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(A)エポキシ樹脂
(B)一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体
【化5】

(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項6】
(B)成分の一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
【化6】

(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項7】
一般式(I)で表されるピリジン誘導体の少なくとも1種と含窒素複素環化合物の少なくとも1種を含有する包接錯体を含有するエポキシ樹脂組成物用硬化剤又は硬化促進剤。
【化7】

(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項8】
一般式(I)の化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体である請求項7記載のエポキシ樹脂組成物用硬化剤又は硬化促進剤。
【化8】

(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項9】
請求項5又は6記載の組成物を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
一般式(I)で表されるピリジン誘導体からなる包接錯体用ホスト化合物。
【化9】

(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項11】
一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体であることを特徴とする請求項10記載の包接錯体用ホスト化合物。
【化10】

(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項12】
一般式(I)で表されるピリジン誘導体をホスト化合物とする包接化方法。
【化11】

(式中Rは、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、アセトアミド基、ヒドラジン基、又はカルボキシル基を表し、nは1〜5の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項13】
一般式(I)で表される化合物が一般式(II)で表されるピリジン誘導体であることを特徴とする請求項12記載の包接化方法。
【化12】

(式中Rはカルボキシル基又はヒドロキシ基を表し、mは0〜4の整数を表す。Rが複数の時は同一でも異なっていてもよい。)

【公開番号】特開2010−241804(P2010−241804A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60749(P2010−60749)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】