説明

新規抗体処方物

本発明は、P−セレクチンに対する抗体の医薬処方物、前記処方物の調製のためのプロセスおよび使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P−セレクチンに対する抗体の医薬処方物、前記処方物の調製のための方法および使用に関する。
【0002】
第1の局面において、本発明は、
1〜200mg/mLの抗体;
1〜100mMのバッファー;
0.001〜1%の界面活性剤;
(a)10〜500mMの安定化剤;または
(b)10〜500mMの安定化剤および5〜500mMの浸透圧剤;または
(c)5〜500mMの浸透圧剤
をpH4.0〜7.0の範囲で含み、前記抗体はP−セレクチンに対する抗体である、医薬処方物に関する。
【0003】
本発明による処方物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成した液体でありうる。
【0004】
P−セレクチンに対する抗体は、例えば米国特許4,783,399、WO93/06863、Geng et al (J. Biol. Chem., 266 (1991) 22313-22318)、WO93/21956およびWO2005/100402から公知である。
【0005】
P−セレクチンに対する例示的な抗体は、WO2005/100402に記載されており、そして前記抗体の可変重鎖アミノ酸配列CDR3が、重鎖CDR3配列である配列番号38、39、40、41または42からなる群より選択されることを特徴とする抗体を含む。
【0006】
好ましい抗体は、
i)可変重鎖が、CDR配列であるCDR1、CDR2およびCDR3を含むことを特徴とする、可変重鎖および可変軽鎖を含むこと(CDR1は配列番号29、30、31、32からなる群より選択され、CDR2は配列番号33、34、35、36、37からなる群より選択され、CDR3は配列番号38、39、40、41、42からなる群より選択され、前記CDRは、互いに独立して選択される)、
ii)可変軽鎖が、CDR配列であるCDR1、CDR2およびCDR3を含み、CDR1は配列番号43、44から選択され、CDR2は配列番号45、46から選択され、そしてCDR3は配列番号47、48、49、50、51、52から選択され、前記CDRは互いに独立して選択されること、
iii)重鎖CDRとして配列番号2のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号1のCDR、重鎖CDRとして配列番号4のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号3のCDR、重鎖CDRとして配列番号6のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号5のCDR、重鎖CDRとして配列番号8のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号7のCDR、重鎖CDRとして配列番号10のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号9のCDR、重鎖CDRとして配列番号12のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号11のCDR、重鎖CDRとして配列番号14のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号13のCDR、重鎖CDRとして配列番号16のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号15のCDR、重鎖CDRとして配列番号18のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号17のCDR、重鎖CDRとして配列番号20のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号19のCDR、または重鎖CDRとして配列番号22のCDRそして軽鎖CDRとして配列番号21のCDRを含むこと、
iv)前記抗体がP−セレクチンに結合し、そして、アミノ酸配列の配列番号2によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号1によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号4によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号3によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号6によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号5によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号8によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号7によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号10によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号9によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号12によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号11によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号14によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号13によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号16によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号15によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号18によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号17によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号20によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号19によって規定される軽鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号22によって規定される重鎖可変ドメインおよび配列番号21によって規定される軽鎖可変ドメインからなる群より独立して選択される可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含むこと、
v)重鎖可変領域が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20および22からなる群より独立して選択されるアミノ酸配列を含むこと、
vi)軽鎖可変領域が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19および21からなる群より独立して選択されるアミノ酸配列を含むこと
を特徴とする。
【0007】
CDR配列を、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準的な定義に従って決定することができる。各鎖上のCDRは、フレームワークアミノ酸によって分離されている。配列番号1〜22のCDRは、配列番号29〜52において示される。
【0008】
1つの態様において、抗体はP−セレクチンに結合し、そして補因子C1qおよび/またはFcレセプターには結合しないことを特徴とする。これらの抗体は補体依存性細胞障害作用(CDC)および/または抗体依存性細胞介在性細胞障害作用(ADCC)を誘起しない。好ましくは、この抗体はP−セレクチンに結合し、ヒト起源に由来するFc部分を含み、そして補因子C1qに結合しないことを特徴とする。より好ましくは、この抗体はヒトまたはヒト化抗体である。
【0009】
別の態様において、抗体は、定常鎖がヒト起源であることを特徴とする。このような定常鎖は当技術分野の水準で周知であり、そして例えばKabat (例えばJohnson and Wu, Nucleic Acids Res. 28 (2000) 214-218を参照)によって記載されている。例えば、有用なヒト重鎖定常領域は、配列番号24、25、26、27および28からなる群より独立して選択されるアミノ酸配列を含む。例えば、有用なヒト軽鎖定常領域は、配列番号23のκ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0010】
本明細書において使用する「P−セレクチンへの結合」という用語は、BIAcoreアッセイ(Pharmacia Biosensor AB, Uppsala, Sweden)または精製P−セレクチンまたはP−セレクチンCHOトランスフェクタントのいずれかがマイクロタイタープレート上にコーティングされているELISAのいずれかにおけるP−セレクチンへの抗体の結合を意味する。
【0011】
BIAcoreアッセイにおいて、前記抗体は表面に結合されており、そしてP−セレクチンの結合を表面プラズモン共鳴法(SPR)によって測定する。結合の親和性は、ka(抗体/抗原複合体からの抗体の会合に関する速度定数)、kd(解離定数)およびK(kd/ka)という項によって定義される。さらに別の態様において、抗体は10−8以下、好ましくは約10−11〜10−9MのKを示す(実施例を参照されたい)。従って、好ましい抗体は前記したようなものであり、前記抗体はP−セレクチンにBIAcoreアッセイにおいて10−8M未満のK値で結合し、好ましくはK範囲は10−11〜10−9Mである。
【0012】
好ましくは、前記抗体はIgG1またはIgG4ヒトサブタイプである。
【0013】
より好ましくは、前記抗体は、L234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331および/またはP329における少なくとも1つの突然変異を含むヒトサブクラスIgG1の抗体、あるいはL235およびS228(EUインデックスによる番号付け)における少なくとも1つの突然変異を含むヒトサブクラスIgG4の抗体であることを特徴とする。
【0014】
P−セレクチン特異的ELISAにおいて、精製P−セレクチンをマイクロタイタープレート上にコーティングし、そしてP−セレクチンへの抗体の結合をビオチニル化抗ヒトIgGおよび通常のELISA工程を用いて検出する。このアッセイにおけるEC50値は、好ましくはP−セレクチンCHO細胞上で0.002〜0.03μg/mlの範囲であり、すなわち、好ましい抗体は、P−セレクチン結合に対するEC50値が、ELISAアッセイにおいてP−セレクチン提示CHO細胞上で0.002〜0.03μg/mlの範囲であるものである。P−セレクチン発現CHOトランスフェクタントがマイクロタイタープレート上にコーティングされているアッセイにおいて、EC50値は、0.01〜0.08μg/ml、好ましくは0.01〜0.04μg/mlの範囲である。
【0015】
E−およびL−セレクチントランスフェクタントのEC50値は、好ましくは100μg/ml超である。好ましい抗体は、P−およびE−および/またはL−セレクチンがマイクロタイタープレート上にコーティングされているELISAアッセイにおいてEC50値によって測定したところ、E−および/またはL−セレクチンよりも少なくとも1000倍より特異的にP−セレクチンに結合することを特徴とする。
【0016】
前記抗体は、好ましくは、P−セレクチンフラグメントaa60〜75(スイスプロット配列P16109)の存在下においてP−セレクチンに結合でき、そして/またはATCCアクセッションナンバーHB11041と称される細胞株によって分泌される抗体のP−セレクチンへの結合を競合的に阻害しない。
【0017】
前記抗体は、好ましくは、ELISAアッセイフォーマットにおいて血小板膜糖タンパク質GPIbαとP−セレクチンとの相互作用を阻害しない。ELISAにおいてGPIbαの可溶性細胞外部分であるグリコカリシンを、記載のように(Romo et al., J Exp Med 190:803 (1999))、マイクロタイタープレートのウェル上に固定し、そしてP−セレクチンHuMabsとのプレインキュベーション後の精製P−セレクチンの結合を、ポリクローナル抗P−セレクチン抗体を用いて検出した。
【0018】
好ましい抗体は、それがC3タンパク質に結合しないことを特徴とし、より好ましくは補体依存性細胞障害作用(CDC)を誘起しないことを特徴とする。さらに、前記抗体は、NKエフェクター細胞上のFcγレセプターに結合しないことを特徴としうる。好ましくは、前記抗体は、それが、L234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331および/またはP329における少なくとも1つの突然変異を含むヒトサブクラスIgG1の抗体、あるいはL235およびS228(EUインデックスによる番号付け)における少なくとも1つの突然変異を含むヒトサブクラスIgG4の抗体であることを特徴とする。好ましい抗体は、それが抗体依存性細胞介在性細胞障害作用(ADCC)を誘起しないことを特徴とする。
【0019】
より好ましい抗体は、それらがP−セレクチンに結合し、そしてそれらが、アミノ酸配列の配列番号1によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号2によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号3によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号4によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号5によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号6によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号7によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号8によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号9によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号10によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号11によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号12によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号13によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号14によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号15によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号16によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号17によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号18によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号19によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号20によって規定される重鎖可変ドメイン;アミノ酸配列の配列番号21によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号22によって規定される重鎖可変ドメインからなる群より独立して選択される可変領域を含むことを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記抗体は、アミノ酸配列の配列番号3によって規定される軽鎖可変ドメインおよび配列番号4によって規定される重鎖可変ドメインを含む。
【0021】
好ましい抗体は、前記抗体が、ヒトIgG4サブクラスの抗体であるか、または補因子C1qへの非結合を引き起こす少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含むことを特徴とする。これらの変異抗体は、例えば、配列番号25または配列番号26および配列番号28からなる群より独立して選択されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
「変異」抗P−セレクチン抗体は、本明細書において、親抗体配列における1つ以上のアミノ酸残基の付加、欠失および/または置換によって、「親」抗P−セレクチン抗体アミノ酸配列とはアミノ酸配列が異なっている分子をいう。好ましくは、前記変異体は、親抗体の1つ以上の定常領域または可変領域において、より好ましくは定常領域において1つ以上のアミノ酸置換を含む。例えば、前記変異体は、親抗体の1つ以上の可変領域において、少なくとも1つ、例えば約1〜約10、好ましくは約2〜約5個の置換を含みうる。通常、前記変異体は、親抗体定常および/または可変ドメイン配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するだろう。
【0023】
この配列に対しての同一性または相同性は、本明細書において、配列をアラインさせて、そして必要であればギャップを導入して最大の配列同一率を達成した後の、親抗体残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の比率として定義される。抗体配列中へのN末端、C末端、または内部における伸長、欠失または挿入のいずれも、配列同一性または相同性に影響を及ぼすとは解釈されないものとする。前記変異体は、ヒトP−セレクチンに結合する能力を保持し、そして好ましくは、親抗体の特性よりも優れた特性を有する。例えば、前記変異体は、より強い結合親和性、重症虚血肢または末梢動脈閉塞性疾患(CLI/PAOD)に関連した疾患を処置する増強された能力を有しうる。
【0024】
本明細書において特に関心のある変異抗体は、Fcγレセプターへの結合の消失のために、親抗体と比較した場合に接着アッセイにおいて少なくとも約4倍の阻害活性の増強を示すものである。
【0025】
本明細書における「親」抗体は、前記変異体の調製のために使用されるアミノ酸配列によってコードされるものである。好ましくは、親抗体は、ヒトフレームワーク領域を有し、そして存在する場合には、ヒト抗体定常領域を有する。例えば、親抗体は、ヒト化またはヒト抗体でありうる。
【0026】
本発明による抗体は、さらに、本発明による抗体の前記の特徴に影響を及ぼさないかまたは変化させない、「保存的な配列改変」であるヌクレオチドおよびアミノ酸配列の改変を有するこのような抗体を含む。改変は、当技術分野において公知の標準的な技術、例えば部位特異的突然変異誘発およびPCRにより媒介される突然変異誘発によって導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものを含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、ヒト抗P−セレクチン抗体において予測される非必須アミノ酸残基を、好ましくは、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換することができる。
【0027】
アミノ酸置換を、Riechmann et al., Nature 332 (1988) 323-327およびQueen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033によって記載されたような分子モデリングに基づいた突然変異誘発によって行なうことができる。
【0028】
さらに好ましい抗体は、配列番号23によって規定されるようなκ軽鎖定常領域を含む。
【0029】
さらに好ましい抗体は、IgG1v1(PVA−236;GLPSS331(E233P;L234V;L235A;ΔG236;A327G;A330S;P331Sによって特定される))、IgG1v2(L234A;L235A)およびIgG4v1(S228P;L235E)として定義されるものである。
【0030】
配列表の記載
配列番号1 HuMab1004−001のLC1004−001軽鎖可変ドメイン
配列番号2 HuMab1004−001のLC1004−001重鎖可変ドメイン
配列番号3 HuMab002のLC1004−002軽鎖可変ドメイン
配列番号4 HuMab002のLC1004−002重鎖可変ドメイン
配列番号5 HuMab003のLC1004−003軽鎖可変ドメイン
配列番号6 HuMab003のLC1004−003重鎖可変ドメイン
配列番号7 HuMab004(I)のLC1004−004軽鎖(I)可変ドメイン
配列番号8 HuMab004(I)のLC1004−004重鎖(I)可変ドメイン
配列番号9 HuMab004(II)のLC1004−004軽鎖(II)可変ドメイン
配列番号10 HuMab004(II)のLC1004−004重鎖(II)可変ドメイン
配列番号11 HuMab005の軽鎖可変ドメイン
配列番号12 HuMab005の重鎖可変ドメイン
配列番号13 HuMab010(I)の軽鎖可変ドメイン
配列番号14 HuMab010(I)の重鎖可変ドメイン
配列番号15 HuMab010(II)の軽鎖可変ドメイン
配列番号16 HuMab010(II)の重鎖可変ドメイン
配列番号17 HuMab010(III)の軽鎖可変ドメイン
配列番号18 HuMab010(III)の重鎖可変ドメイン
配列番号19 HuMab011の軽鎖可変ドメイン
配列番号20 HuMab011の重鎖可変ドメイン
配列番号21 HuMab017の軽鎖可変ドメイン
配列番号22 HuMab017の重鎖可変ドメイン
配列番号23 κ軽鎖定常領域
配列番号24 γ1重鎖定常領域
配列番号25 γ1重鎖定常領域PVA236/GLPSS331(IgGv1)
配列番号26 γ1重鎖定常領域L234A/L235A(IgG1v2)
配列番号27 γ4重鎖定常領域
配列番号28 γ4重鎖定常領域S228/L235E(IgG4v1)
配列番号29〜32 重鎖CDR1
配列番号33〜37 重鎖CDR2
配列番号38〜42 重鎖CDR3
配列番号43〜44 軽鎖CDR1
配列番号45〜46 軽鎖CDR2
配列番号47〜52 軽鎖CDR3
【0031】
1つの態様において、本発明は、前記抗体が10〜150mg/mL、好ましくは10〜50mg/mLの範囲の量で存在する処方物を提供する。P−セレクチンに対するアンタゴニストモノクローナル抗体をハイブリドーマ細胞株によって産生しうる。好ましいハイブリドーマ細胞株はhu−Mab<P−セレクチン>LC1004−001(抗体HuMab001)、hu−Mab<P−セレクチン>LC1004−002(抗体HuMab002)およびhu−Mab<P−セレクチン>LC1004−017(抗体HuMab017)であり、これらは特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の下で、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Germanyに寄託された:
【0032】
【表1】

【0033】
本発明による処方物において有用な抗体は、好ましくは組換え手段によって、例えばWO2006/072564に記載されるものによって産生される。そのような方法は、当技術分野の水準で広く公知であり、そして、その後の抗体ポリペプチドの単離および通常は薬学的に許容されうる純度への精製を伴う、原核細胞および真核細胞におけるタンパク質発現を含む。タンパク質発現のために、軽鎖および重鎖またはそのフラグメントをコードする核酸を標準的な方法によって発現ベクター中に挿入する。発現を、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母、またはE.coli細胞のような適切な原核または真核宿主細胞中で行い、そして抗体を、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および例えばWO2006/072564に記載されるような当技術分野において周知のその他の技術を含む標準的な技術によって細胞(上清または溶解後の細胞)から回収する。
【0034】
本明細書において使用する「バッファー」という用語は、医薬調製物のpHを安定化する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。適切なバッファーは、当技術分野において周知であり、そして文献において見出されうる。好ましい薬学的に許容されうるバッファーは、ヒスチジンバッファー、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酢酸バッファー、およびリン酸バッファーを含むがそれらに限定されない。さらに好ましいバッファーは、当技術分野において公知の酸または塩基を用いてpH調整したL−ヒスチジンまたはL−ヒスチジンとL−ヒスチジン塩酸塩との混合物を含む。上記のバッファーは、一般に、約1mM〜約100mM、好ましくは約5mM〜約50mM、より好ましくは約10〜20mMの量で使用される。使用するバッファーとは独立して、pHを、約4.0〜約7.0、好ましくは約5.0〜約6.5、さらにより好ましくは約5.5〜約6.0を含む値に、当技術分野において公知の酸または塩基、例えば塩酸、酢酸、リン酸、硫酸およびクエン酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いて調整することができる。
【0035】
本明細書において使用する「界面活性剤」という用語は、撹拌および剪断のような機械的ストレスに対してタンパク質処方物を保護するために使用される薬学的に許容されうる賦形剤を示す。薬学的に許容されうる界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton−X)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。好ましいポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベート20(商標Tween20(商標)の下に販売されている)およびポリソルベート80(商標Tween80(商標)の下に販売されている)である。好ましいポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーは、名称Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer188(商標)の下に販売されているものである。好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルは、商標Brij(商標)の下に販売されているものである。好ましいアルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルは、商標Triton−Xの下に販売されている。ポリソルベート20(Tween20(商標))およびポリソルベート80(Tween80(商標))を使用する場合、それらは、一般に、約0.001〜約1%、好ましくは約0.005〜約0.1%、より好ましくは約0.01%〜約0.04%w/v(重量/容量)の濃度範囲で使用される。
【0036】
「安定化剤」という用語は、製造、貯蔵および適用の間の化学的および/または物理的分解から活性医薬成分および/または処方物を保護する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。タンパク質医薬の化学的および物理的分解経路は、Cleland et al. (1993), Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 10(4):307-77、Wang (1999) Int J Pharm 185(2):129-88、Wang (2000) Int J Pharm 203(1-2):1-60およびChi et al. (2003) Pharm Res 20(9):1325-36によって概説されている。安定化剤は、本明細書中以下で定義するような、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエチル−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えばPEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、キレート剤、例えばEDTAを含むがそれらに限定されない。本明細書中上記のように、安定化剤は、約10〜約500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100mM〜約300mMの量で処方物中に存在することができる。
【0037】
本明細書において使用する「糖」という用語は単糖またはオリゴ糖を示す。単糖は、酸によって加水分解可能でない単量体炭水化物であり、単純糖およびその誘導体、例えばアミノ糖を含む。単糖の例は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、リボース、デオキシリボース、ノイラミン酸を含む。オリゴ糖は、分岐または鎖状のいずれかの、グリコシド結合を介して連結された1個より多くの単量体糖単位からなる炭水化物である。オリゴ糖内の単量体糖単位は、同一であることができ、または異なることができる。単量体糖単位の数に応じて、オリゴ糖は、ジ、トリ、テトラ、ペンタなどの糖である。多糖とは対照的に、単糖およびオリゴ糖は水溶性である。オリゴ糖の例は、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースおよびラフィノースを含む。好ましい糖はスクロースおよびトレハロースであり、トレハロースが最も好ましい。
【0038】
本明細書において使用する「アミノ酸」という用語は、カルボキシル基に対してα位に位置するアミノ部分を有する薬学的に許容されうる有機分子を示す。アミノ酸の例は、アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリンを含む。アミノ酸は、一般に、約10〜500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100〜約300mMの量で使用される。
【0039】
本明細書において使用する「ポリオール」という用語は、1個より多いヒドロキシ基を有する薬学的に許容されうるアルコールを示す。適切なポリオールは、マンニトール、ソルビトール、グリセリン、デキストラン、グリセロール、アラビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその組合せを含むがそれらに限定されない。ポリオールを、約10mM〜約500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100〜約300mMの量で使用することができる。
【0040】
安定化剤内の1つのサブグループは凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)である。「凍結乾燥保護剤」という用語は、凍結乾燥プロセス、その後の貯蔵および再構成の間の不安定化条件に対して不安定な活性成分(例えばタンパク質)を保護する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。凍結乾燥保護剤は、糖、ポリオール(例えば糖アルコールのような)およびアミノ酸からなる群を含むがそれらに限定されない。好ましい凍結乾燥保護剤を、糖、例えばスクロース、トレハロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、ノイラミン酸、アミノ糖、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、N−メチルグルコサミン(「メグルミン」)、ポリオール、例えばマンニトールおよびソルビトール、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびグリシンまたはその混合物からなる群より選択することができる。凍結乾燥保護剤は、一般に、約10〜500mMの量、好ましくは約10〜約300mMの量、より好ましくは約100〜約300mMの量で使用される。
【0041】
安定化剤内の1つのサブグループは抗酸化剤である。「抗酸化剤」という用語は、活性医薬成分の酸化を防止する薬学的に許容されうる賦形剤を示す。抗酸化剤は、アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、クエン酸、EDTAを含むがそれらに限定されない。抗酸化剤を、約0.01〜約100mMの量、好ましくは約5〜約50mMの量、より好ましくは約5〜約20mMの量で使用することができる。
【0042】
本明細書において使用する「浸透圧剤」という用語は、薬学的に許容されうる浸透圧剤を示す。浸透圧剤は、処方物の浸透圧を調節するために使用される。処方物は、低張性、等張性、または高張性であることができる。等張性は、一般に、通常ヒト血清のものに対する、溶液の相対的浸透圧に関する。本発明による処方物は、低張性、等張性、または高張性であることができるが、好ましくは等張性である。等張性処方物は、液体、または固体形態から、例えば凍結乾燥形態から再構成された液体であり、そしてそれが比較される何らかの他の溶液、例えば生理塩溶液および血清と同じ浸透圧を有する溶液を示す。適切な浸透圧剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびアミノ酸、糖、特にグルコースの群からの任意の成分を含むがそれらに限定されない。浸透圧剤は、一般に、約5mM〜約500mMの量で使用される。
【0043】
安定化剤および浸透圧剤内に、両方の方法で機能することができる化合物の群が存在する。すなわち、それらは同時に安定化剤および浸透圧剤であることができる。その例を、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、ポリエチレングリコールおよび塩の群において見出すことができる。同時に安定化剤および浸透圧剤であることができる糖の一例はトレハロースである。
【0044】
組成物はまた、補助剤、例えば保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤も含んでもよい。微生物の存在の防止は、滅菌手順によって、および様々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによっての両方で保証されうる。保存料は、一般に、約0.001〜約2%(w/v)の量で使用される。保存料は、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、p−クロロ−m−クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウムを含むがそれらに限定されない。
【0045】
本発明による処方物に関連して本明細書において使用する「液体」という用語は、大気圧下で少なくとも約2〜約8℃の温度で液体である処方物を示す。
【0046】
本発明による処方物に関連して本明細書において使用する「凍結乾燥物」という用語は、それ自体当技術分野において公知の凍結乾燥方法によって製造される処方物を示す。溶媒(例えば水)は、凍結およびそれに続く真空下での昇華および上昇した温度での残存する水の脱着によって除去される。凍結乾燥物は、通常、約0.1〜5%(w/w)の残存水分を有し、そして粉末または物理的安定ケーク(cake)として存在する。凍結乾燥物は、再構成媒質の添加後の急速な溶解によって特徴付けられる。
【0047】
本発明による処方物に関連して本明細書において使用する「再構成処方物」という用語は、凍結乾燥され、そして再構成媒質の添加によって再溶解される処方物を示す。再構成媒質は、注射用水(WFI)、注射用静菌水(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば0.9%(w/v)NaCl)、グルコース溶液(例えば5%グルコース)、界面活性剤含有溶液(例えば0.01%ポリソルベート20)、pH緩衝溶液(例えばリン酸緩衝溶液)を含むがそれらに限定されない。
【0048】
本発明による処方物は、喘息またはアレルギー性疾患に罹患した患者のために利点をもたらす新たなそして発明性の特性を有する。
【0049】
本発明はさらに、喘息の処置のための医薬の製造のための本発明による処方物の使用を含む。
【0050】
本発明の組成物を、当技術分野において公知の種々の方法によって投与することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望される結果に応じて変動する。
【0051】
特定の投与経路によって本発明の組成物を投与するために、組成物を希釈剤中で希釈することが必要でありうる。薬学的に許容されうる希釈剤は、生理食塩水、グルコース、リンゲルおよび水性緩衝溶液を含む。
【0052】
本明細書において使用する「非経口的投与」および「非経口で投与される」という用語は、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、そして静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入を含むがそれらに限定されない。
【0053】
前記組成物は無菌でなければならず、そして組成物がシリンジによって送達可能である程度に流動性でなければならない。水に加えて、担体は、等張性緩衝生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物であることができる。
【0054】
本発明による処方物を、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)または医薬の技術分野において公知のもののような任意の他の非経口投与手段によって投与することができる。
【0055】
本発明による処方物を、当技術分野において公知の方法、例えば限外濾過−透析濾過、透析、添加および混合、凍結乾燥、再構成、およびその組合せによって調製することができる。本発明による処方物の調製の例を、本明細書中以下に見出すことができる。
【0056】
実施例
実施例1:液体処方物の調製
WO2005/100402に記載のように調製しそして発酵しそして精製したhuMAb−P−セレクチンは、約6.0のpHの20mMヒスチジンバッファー中または約5.2のpHの20mM酢酸バッファー中約22〜27mg/mLの濃度で提供された。
【0057】
液体処方物huMAb−P−セレクチンの調製のために、賦形剤(例えばトレハロース)を抗体溶液に2〜10倍ストック溶液として添加した。次いで、界面活性剤を、2〜200倍ストック溶液としてまたは純粋な界面活性剤として添加した。最後に、タンパク質濃度を、バッファーを用いて約15mg/mLの最終huMAb−P−セレクチン濃度に調整した。
【0058】
全処方物を、0.22μm低タンパク質結合フィルターを通して無菌濾過し、そしてETFE(エチレンおよびテトラフルオロエチレンのコポリマー)コートゴム栓およびalucrimpキャップで閉じた無菌6mLガラスバイアル中に窒素雰囲気下で無菌的に充填した。充填容量は約2.4mLであった。これらの処方物を様々なICH気候条件下で(5℃、25℃および40℃)様々な時間間隔で貯蔵し、そして振とう(5℃で200分−1の振とう頻度で1週間)および凍結融解ストレス方法によってストレスをかけた。試料をストレス試験を適用する前および後に、分析方法1)UV分光光度法、および2)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。
【0059】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、処方物中の可溶性高分子量種(凝集物)および低分子量加水分解産物(LMW)を検出した。前記方法を、TOSOH BIOSCIENCE TSK G3000 SWXLカラムを備えたWater Alliance 2795 HPLC機器で行った。インタクトな単量体、凝集物および加水分解産物を、アイソクラチック溶出プロファイルによって、0.2M KHPO/KOH、0.25M KCL、pH7.0を移動相として使用して分離し、そして280nmの波長で検出した。タンパク質含量の決定のために使用したUV分光光度法を、Varian Cary BioUV分光光度計で、240nm〜400nmの波長範囲で行った。原液(neat)のタンパク質試料を、対応する処方バッファーを用いて約0.5mg/mLに希釈した。タンパク質濃度を式1に従って算出した。
【0060】
【数1】

【0061】
280nmでのUV光吸収を、320nmでの光散乱について補正し、そしてそれに原液の試料および希釈バッファーの評量した質量および密度から決定した希釈因子を掛けた。分子を、キュベットの経路長dおよび吸光係数εの積で割った。
【0062】
【表2】

【0063】
実施例2:凍結乾燥処方物および凍結乾燥処方物から再構成された液体処方物の調製
WO2005/100402に記載のように調製しそして発酵しそして精製したhuMAb−P−セレクチンを、約6.0のpHの20mMヒスチジンバッファー中または約5.2のpHの20mMコハク酸バッファー中約22〜27mg/mLの濃度で提供し、そして表2において報告した凍結−乾燥サイクルを使用して凍結乾燥した。
【0064】
【表3】

【0065】
産物をまず室温から約5℃に冷却し(前冷却)、続いて約1℃/分のプレート冷却速度での−40℃での凍結工程、続いて−40℃で約2時間の保持工程を行った。第1の乾燥工程を約−25℃のプレート温度および約80μbarのチャンバー圧で約65時間行った。その後、第2の乾燥工程を−25℃から25℃まで0.2℃/分の温度勾配で開始し、続いて25℃で少なくとも5時間、約80μbarのチャンバー圧での保持工程を行った。
【0066】
凍結乾燥をUsifroid SMH-90 LN2凍結乾燥機(Usifroid, Maurepas, France)中で行った。全ての凍結乾燥ケークは、Karl-Fischer法によって決定したところ、約0.1〜2.0%の残存含水量を有していた。凍結乾燥試料を様々な温度で様々な時間間隔でインキュベートした。
【0067】
凍結乾燥処方物を、注射用水(WFI)を用いて5.3mLの最終容量に再構成し、約15mg/mLの抗体濃度を有する等張性処方物を得た。凍結乾燥ケークの再構成時間は1分未満であった。再構成試料の分析を再構成の直後、または25℃での再構成液体試料の24時間のインキュベーション期間の後のいずれかで行った。
【0068】
試料を1)UV分光光度法および2)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。
【0069】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜200mg/mLの抗体;
1〜100mMのバッファー;
0.001〜1%の界面活性剤;
(a)10〜500mMの安定化剤;または
(b)10〜500mMの安定化剤および5〜500mMの浸透圧剤;または
(c)5〜500mMの浸透圧剤
をpH4.0〜7.0の範囲で含み、
前記抗体はP−セレクチンに対する抗体である、医薬処方物。
【請求項2】
液体処方物または凍結乾燥処方物または凍結乾燥処方物から再構成された液体処方物である、請求項1記載の処方物。
【請求項3】
前記抗体濃度が10mg/mL〜150mg/mlの範囲である、請求項1または2記載の処方物。
【請求項4】
前記安定化剤がトレハロースである、請求項1〜3のいずれか1項記載の処方物。
【請求項5】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項1〜4のいずれか1項記載の処方物。
【請求項6】
前記バッファーがヒスチジンバッファーである、請求項1〜5のいずれか1項記載の処方物。
【請求項7】
浸透圧剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の処方物。
【請求項8】
前記浸透圧剤がトレハロースである、請求項1〜7のいずれか1項記載の処方物。
【請求項9】
1〜50mg/mL huMAb−P−セレクチン、20mM L−ヒスチジンHCl、240mMトレハロース、0.02%ポリソルベート20(pH6.0);
または
1〜50mg/mL huMAb−P−セレクチン、20mM酢酸ナトリウム、140mMトレハロース、75mMグリシン、0.04%ポリソルベート20(pH5.2);
または
1〜50mg/mL huMAb−P−セレクチン、20mM L−ヒスチジンHCl、240mMトレハロース、0.02%ポリソルベート20(pH6.0);
または
1〜50mg/mL huMAb−P−セレクチン、20mMスクシネート、240mMトレハロース、20mMアルギニン、0.02%ポリソルベート20(pH6.0)
を含む、請求項1の処方物。
【請求項10】
喘息またはアレルギーを処置するために有用な医薬の調製のための請求項1〜20のいずれか1項記載の処方物の使用。
【請求項11】
本明細書中に前記した本発明。

【公表番号】特表2012−502942(P2012−502942A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527294(P2011−527294)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061692
【国際公開番号】WO2010/031720
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】