説明

新規遺伝子を同定するための方法

目的の遺伝子の標的グループから公知の遺伝子と相同領域を共有する新規遺伝子を同定するための方法および組成物を提供する。方法は、公知の遺伝子の標的グループのヌクレオチド配列内の相同領域に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーを系統的に設計することと、目的の生物由来の核酸物質のPCR増幅を連続して行うこととを含む。PCRステップは、公知遺伝子および新規遺伝子を含む核酸を同定して増幅することを意図する。標的グループ内の公知の遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いるドットブロット分析によるさらなる評価により公知遺伝子を含む核酸分子が検出され、除去される。潜在的な新規遺伝子は、新規性を確認するためにさらに配列分析に掛けて、生物活性を評価する。本発明の組成物は、新規ポリヌクレオチドおよびそれらの変異体とフラグメントを含み、それらは新規遺伝子およびそれによってコードされるポリペプチドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公知の遺伝子(具体的には、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)Cry遺伝子)と相同である新規遺伝子を同定するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫は、世界の農作物の損失における主要な要因である。例えば、コーンルートワーム(根切り虫)の食害およびワタミゾウムシの損害は、農業生産者にとって経済的に破壊的となり得る。根切り虫よる害虫関連作物の損害だけでも、年間10億ドルに達している。
【0003】
従来から、害虫集団(例えば、コーンルートワーム集団等)に影響を与える一次的方法は、輪作および広域スペクトルの合成化学農薬の使用である。しかし、消費者および政府の規制当局は、合成化学農薬の生産および使用と関連した環境ハザードにますます関心を高めている。そのような懸念のため、規制当局は、より危険な農薬の一部の使用を禁止または制限してきた。従って、従来の化学農薬に代わり、汚染および環境ハザードに対してより低い危険性を呈し、かつ従来の広域スペクトル化学殺虫剤の特性よりもより大きい標的特異性を提供する代替物の開発に多大の関心が払われている。
【0004】
バチルス(Bacillus)属微生物のいくつかの種は、広範囲の害虫(燐翅目、双翅目、鞘翅目、半翅目他を含む)に対して殺虫活性を有することが知られている。バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)およびバチルス・ポピリエ(Bacillus popilliae)は、中でも今までに発見された最も成功した生物的防除剤である。昆虫病原性は、複数の菌株に起因している。すなわち、バチルス・ラルバエ(B.larvae)、パチルス・レンチモルブス(B.lentimorbus)、パチルス・ポピリエ(B.popilliae)、バチルス・スファエリカス(B.sphaericus)、Bt(非特許文献1)、およびバチルス・セレウス(B.cereus)(特許文献1)。殺虫性タンパク質は、また、バチルス(Bacillus)の栄養成長期から単離されているが、殺虫活性は、結晶性タンパク質副芽胞封入体に濃縮されているように見える。これらの殺虫性タンパク質をコードするいくつかの遺伝子は、単離され、特徴付けられている(例えば、特許文献2および特許文献3を参照されたい)。
【0005】
微生物農薬(具体的にはバチルス(Bacillus)菌株から得られるもの)は、化学防除に代わるものとして農業において重要な役割を果してきた。δ内毒素またはCry毒素として知られているBtの菌株から単離される殺虫性タンパク質は、最初、不活性なプロトキシン毒素の形で生成される。これらのプロトキシン毒素は、昆虫の腸内でタンパク質分解酵素の作用を介して活性な毒素にタンパク分解的に変換される。非特許文献2;非特許文献3;および非特許文献4を参照されたい。毒素のタンパク質分解活性は、タンパク質からのN末端およびC末端のペプチドの除去、ならびにタンパク質の内部切断を含み得る。一旦活性化すると、Cry毒素は、昆虫腸内の上皮細胞上の受容体に対して高い親和性で結合し、それによって細胞膜に漏出チャネルを生成し、昆虫の腸の溶解、続いて飢餓性衰弱および敗血症を介して昆虫の死をもたらす。例えば、非特許文献5を参照されたい。
【0006】
最近、農学者は、バチルス(Bacillus)から殺虫性タンパク質を生成するために、殺虫性遺伝子を有する作物を遺伝子操作することによって虫害抵抗性が増強された作物を開発した。例えば、Cry毒素を生成するよう遺伝子操作されたコーンおよび綿(例えば、非特許文献6;非特許文献7を参照されたい)は、現在では米国農業で広く用いられており、かつ従来の昆虫防除方法に代わる環境に優しい代替法を農家に提供している。さらに、殺虫性Cry毒素を含む遺伝子操作されたジャガイモが開発されている。これらの遺伝子操作の成功例は、研究者に新規殺虫性遺伝子、具体的にはCry遺伝子を研究するように導いてきた。従って、公知のCry遺伝子と相同であるものならびにCry遺伝子の新規ファミリーを表すものを含む新規殺虫性遺伝子を効率的に同定する新規方法が当該技術分野で必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第96/10083号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,366,892号明細書
【特許文献3】米国特許第5,840,868号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Harwook, ed. (1989) Bacillus (Plenum Press), p.306
【非特許文献2】Rukmini et al. (2000) Biochimie 82:109−116
【非特許文献3】Oppert (1999) Arch.Insect Biochem. Phys. 42:1−12
【非特許文献4】Carroll et al. (1997) J. Invertebrate Pathology 70:41−49
【非特許文献5】Li et al. (1991) Nature 353:815−821
【非特許文献6】Aronson (2002) Cell Mol.Life Sci. 59(3):417−425
【非特許文献7】Schnepf et al. (1998) Microbiol.Mol.Biol. Rev. 62(3):775−806
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、新規遺伝子を同定する方法および組成物に向けられる。本明細書で開示する方法は、種々の生物由来の潜在的な新規遺伝子を同定するために、大量のヌクレオチド配列の迅速かつ効率的なスクリーニングを可能にする。新規遺伝子を同定する本方法は、公知の遺伝子と相同である遺伝子の同定、ならびに目的の遺伝子(殺虫性遺伝子を含む)で現在、未同定のファミリーのメンバーである可能性がある完全に新規遺伝子の同定を可能にする。本発明のある態様において、本方法は、公知の殺虫性遺伝子(例えば、Bt Cry毒素遺伝子を含む)と相同である新規殺虫性遺伝子の同定を可能にする。
【0010】
本発明の方法は、目的の公知の遺伝子(例えば、殺虫性遺伝子)の標的グループ内の相同領域(すなわち、特徴的配列)に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーを系統的に設計すること、ならびに、目的である生物由来の核酸物質のPCR増幅の第1ラウンドを行うこととを含む。PCRの第1ラウンドは、特徴的配列を含む公知と新規両遺伝子を増幅することを意図する。PCR産物がPCRの第1ラウンドで検出される場合、その生物由来の核酸物質の第2試料を取得して、遺伝子の標的グループ内の特徴的配列に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの第2のセットを用いて、PCRの第2ラウンドに掛ける。PCRの第2ラウンドからのPCR産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離されて、結果として生じる単離された核酸はクローニングベクター(具体的には、細菌性クローニングベクター)にクローン化される。クローニングベクターは、次いで、細菌細胞等のコンピテントな宿主細胞に形質転換される。個々の宿主細胞コロニーから単離された核酸物質は、標的グループ内のすべての公知の遺伝子に特異的である標識オリゴヌクレオチドプローブを用いて、ドットブロットハイブリダイゼーション分析法で分析される。本発明の方法に関するドットブロット分析ステップは、公知の遺伝子を標的グループから同定し、さらなる考察から除外することを意図する。PCRの第2ラウンドで増幅され、ドットプロット分析によって検出されないPCR産物は、推定上の新規遺伝子(例えば、新規殺虫性遺伝子)またはそのフラグメントを含む。これらの核酸は、新規性を確認してヌクレオチド配列を決定するために、さらに配列分析に掛けられる。本発明の方法を用いて新規殺虫性遺伝子を同定する場合、推定上の新規遺伝子が発現され、組換えタンパク質は生物活性(例えば、殺虫活性)を評価するためにアッセイされる。本発明の方法は、自動化された高スループットスクリーニングをさらに受け入れ可能である。
【0011】
本発明の組成物としては、単離される新規ポリヌクレオチド、およびそれらの変異体およびフラグメントが挙げられ、新規遺伝子(例えば、新規殺虫性遺伝子を含む)が含まれる。本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドも提供される。本明細書で開示される方法によって同定される新規殺虫性遺伝子(例えば、Bt Cry毒素遺伝子)は、害虫(具体的には、害虫および害虫関連損害)から植物を保護することに有用性を見出す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書で以下に詳細に記述するように、PCRの第1および第2ラウンドならびにドットブロット分析用のオリゴヌクレオチドプローブで用いるオリゴヌクレオチドプライマーを設計の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、新規遺伝子、具体的には新規殺虫性遺伝子、より具体的には新規Bt Cry毒素遺伝子を同定する方法および組成物に向けられる。本発明の方法は、公知の遺伝子と相同である推定上の新規遺伝子を同定するために大量のヌクレオチド配列の迅速かつ効率的なスクリーニングを可能にする。本明細書において、用語「遺伝子の標的グループ」とは、相同領域を含む目的の任意の生物由来の公知の遺伝子の任意のコレクションをいう。一部実施形態において「標的グループ」は、公知の殺虫性遺伝子のコレクション、より具体的には、公知のBt Cry毒素遺伝子のグループを含み得る。通常は、本発明の方法は、標的グループから新規遺伝子を同定するために3つの明確なステップを含む。すなわち、PCR(より具体的にはリアルタイムPCR)の第1ラウンド、PCRの第2ラウンド、およびドットブロット分析のステップである。特定の実施形態において、目的の生物由来の核酸物質のPCR増幅の第1ラウンドを行い、標的化特徴的配列を含む公知および新規両遺伝子を増幅することを意図する。「特徴的配列」とは、目的の遺伝子の標的グループのすべてのメンバー内に存在する相同領域を意味することを意図する。PCR産物がPCRの第1ラウンドで検出される場合、その生物由来の核酸物質のPCRの第2ラウンド用の第2試料を取得して、PCR増幅の追加ラウンドに掛ける。PCRの第2ラウンドは、特定の標的化特徴的配列を含む公知および新規両遺伝子を増幅することを意図する。第2ラウンドからのPCR産物は、通常、さらなる分析のために単離される。第3のステップは、PCRの第2ラウンドで単離される個々のPCR産物についてドットブロット分析を行うことを含む。ドットブロット分析のステップは、標的グループ内の公知の遺伝子に特異的であるオリゴヌクレオチドプローブを用いて行い、従って、公知の遺伝子を検出してさらなる考察から除外することを意図する。ドットブロット分析によって検出されないPCRの第2ラウンドからのPCR産物は、推定上の新規遺伝子(例えば、新規殺虫性遺伝子)またはそれらのフラグメントを含み、従って、新規性を確認するためにさらに配列分析に掛けられる。推定上の新規遺伝子の配列が決定され、それによってコードされるこれらの核酸分子およびタンパク質は、生物活性(例えば、殺虫活性等)を評価するためのバイオアッセイで用いられる。
【0014】
より具体的には、新規遺伝子を同定する方法は、公知の遺伝子の標的グループ(例えば、Bt殺虫性遺伝子の標的グループ)の相同領域(すなわち、特徴的配列)に対するオリゴヌクレオチドプライマーを系統的に設計することと、目的の生物由来の核酸物質をPCR増幅する第1ラウンドでこれらのプライマーを用いることとを含む。本発明の一部態様において、目的の生物は、微生物、より具体的にはBt菌株である。PCR増幅の第1ラウンド用に設計されるプライマーは、以下により詳細に記述するように、標的化特徴的配列を含む公知および新規両遺伝子を増幅することを意図する。PCR産物がPCRの第1ラウンドで検出される場合、その生物由来の核酸物質の第2試料を取得して、PCR増幅の第2ラウンドに掛ける。
【0015】
PCRの第2ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーは、また、標的化特徴的配列を含む公知および新規両遺伝子(例えば、殺虫性遺伝子)を増幅するために設計される。PCRの第2ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーは、通常、特定の長さ(例えば、約500塩基対(bp)〜約800bp、具体的には約600bp〜約750bp、より具体的には約650bp〜約700bpの長さ)のPCR産物を生成するように設計される。PCRの第2ラウンドの間に生成される予想される長さのPCR産物は、例えば、アガロースゲル電気泳動によって単離される。従って、PCRの第2ラウンドは、特定の特徴的配列を含む公知の遺伝子および新規遺伝子、またはそれらのフラグメントの増幅を可能にし、かつさらに分析のためにこれらの核酸分子の単離を可能にする。
【0016】
第2ラウンド増幅からの予想される長さのPCR産物は、通常、公知の遺伝子または新規遺伝子のフラグメントを含む。これらの核酸フラグメントは、クローニングベクター(例えば、細菌性クローニングベクター)にクローン化される。クローニングベクター挿入断片(すなわち、PCRの第2ラウンドからのPCR産物)は、標的グループからの公知の遺伝子および潜在的新規遺伝子、またはそれらのあり得るフラグメントを含み、コンピテントな宿主細胞(例えば、大腸菌(E. coli)細胞等の細菌性細胞)の形質転換に用いられる。本発明の特定の態様において、核酸物質(例えば、プラスミドDNA)は、個々の宿主細胞(例えば、細菌性細胞)コロニーから単離され、標的グループ内のすべての公知の遺伝子に特異的な標的オリゴヌクレオチドプローブを用いるドットブロット分析によって分析される。特定の実施形態において、本明細書で以下に詳細に記述するように、オリゴヌクレオチドプローブは、増幅の第2ラウンドの間に生成されるPCR産物のフラグメントと相補的になるように設計される。標的グループ内のすべての公知の遺伝子に特異的であるオリゴヌクレオチドプローブによるドットブロット分析は、公知の遺伝子(例えば、特定の標的グループの公知のBt Cry毒素遺伝子)を含む核酸分子の同定を可能にする。公知の遺伝子を含む核酸は、さらなる考察から除外される。ドットブロット分析によって検出されない核酸は、推定上の新規遺伝子またはそれらのフラグメントを含み、さらに配列分析および生物活性アッセイに掛けられる。本発明の特定の実施形態において、本方法を用いて、新規殺虫性遺伝子(具体的には、新規Bt Cry毒素遺伝子)を同定し、従って推定上新規殺虫性遺伝子は、殺虫活性に関してさらに分析される。
【0017】
本発明のある態様において、上述のように、PCRの第2ラウンドで生成され、ドットブロット分析によって検出されないPCR産物を配列決定して、その新規性を評価するために公開データベースからの公知の配列と比較する。配列比較によってPCR産物が潜在的に新規遺伝子(例えば、新規殺虫性遺伝子(例えば、新規BT Cry毒素遺伝子))を含むことが示される場合、全長配列を、例えばGenomeWalker Universal Kit(Becton Dickinson Bioscience, Inc.)を用いて取得する。また、結果として生じる配列は、その新規性をさらに確認するために、公開データベースの配列に対して比較される。特定の実施形態において、新規遺伝子は、発現ベクターおよびそれによってコードされるタンパク質にクローン化され、推定上の新規殺虫性遺伝子の場合、生物活性(例えば、殺虫活性)がアッセイされる。
【0018】
本発明の方法は、新規遺伝子、具体的には殺虫性遺伝子、より具体的にはBt Cry毒素の殺虫性遺伝子を同定することに向けられる。本発明の方法は、殺虫性遺伝子の同定に関して本明細書で以下に記述するが、そのような方法は、目的の任意の生物由来の公知の遺伝子(すなわち、目的の標的グループ)の任意のグループとも相同である新規遺伝子を同定するため用いてよい。新規殺虫性遺伝子の同定に関する説明は、単に好例であることを目的とし、限定するものではない。
【0019】
本発明の方法を用いて、公知のCry遺伝子と相同である新規遺伝子を同定し、さらにすでに同定されているCry遺伝子とわずかな相同性を共有し、かつBt殺虫性遺伝子の新規ファミリーを実際に示す可能性のある遺伝子も同定してもよい。本発明の一実施形態において、目的のBt菌株から単離される核酸物質は、殺虫性遺伝子の標的グループのすべてのメンバーに存在する相同領域(すなわち特徴的配列)に特異的である少なくとも1組の縮重オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR(通常、リアルタイムPCR)の第1ラウンドに掛けられる。本明細書において、「殺虫性遺伝子の標的グループ」とは、相同領域を含む公知の殺虫性遺伝子の任意のコレクションをいう。殺虫性遺伝子の標的グループのメンバーは、オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために一列に並べられる。上記に示すように、殺虫性遺伝子の標的グループのすべてのメンバー内に存在する相同領域は、「特徴的配列」と呼ばれる。以下にさらに詳細に記述するように、殺虫性遺伝子の標的グループのヌクレオチド配列内の特徴的配列は、PCRの第1および第2ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーを設計するための基礎として役立つ。本発明のある態様において、標的グループは、鞘翅目からの昆虫に対して活性であるすべての公知の殺虫性Cry遺伝子(すなわち鞘翅目活性Cry遺伝子)を含む。他の実施形態において、標的グループは、例えば、鱗翅目および鞘翅目からの昆虫に対して殺虫活性を有するすべての公知のBt遺伝子(双翅目からの昆虫に対して活性であるCry遺伝子を除外する)を含む。殺虫性遺伝子の標的グループは、新規殺虫性遺伝子の研究の着手時に研究者によって選択され定義される。
【0020】
殺虫性遺伝子の標的グループに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーは、PCRによる増幅に適する条件下で、目的の微生物由来の核酸物質の第1試料およびDNAポリメラーゼと混合される。本発明の方法は、PCRの第1ラウンドを行うことと、PCR増幅産物の存在または非存在を検出することとをさらに含む。特定の実施形態において、PCRの第1ラウンドは、PCR産物の存在を検出するためにSYBR(登録商標)Green色素を用いて定量リアルタイムPCRを行うことを含む。
【0021】
PCRの第1ラウンドにおいてPCR産物が検出される場合、目的の微生物由来の核酸の第2試料を取得して、PCRの第2ラウンドに掛ける。PCRの第2ラウンドにおいて用いるオリゴヌクレオチドプライマーも、上述のように殺虫性遺伝子の標的グループのヌクレオチド配列内の特徴的配列に特異的である。通常は、PCRの第1ラウンドで用いる逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCRの第2ラウンドの順方向プライマーを生成し、それによってPCRの第1ラウンドと第2ラウンドの間の架橋として役立たせる。PCRの第2ラウンドで用いる逆方向プライマーは、異なる特徴的配列(PCRの第1ラウンド用の逆方向プライマーを設計するために用いられる特徴的配列に対して通常3’に位置している)を標的にするように設計される。PCRの第2ラウンド用のオリゴヌクレオチドプライマーは、特定の長さ(具体的には、約500bp〜約800bp、具体的には約600bp〜約750bp、より具体的には約650bp〜約700bp)のPCR産物を生成するようにさらに設計される。PCR増幅の第2ラウンドからのPCR反応物は、アガロースゲル電気泳動によって分離可能で、結果として生じる、予想される長さの核酸フラグメントを含むPCR産物は、クローニングベクター(具体的には、細菌性クローニングベクター)内に連結される。次いで、そのベクターは、コンピテントな宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)細胞等の細菌性細胞)に形質転換される。
【0022】
適切な宿主細胞の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、細菌性細胞、真菌細胞、植物細胞(双子葉類植物および単子葉植物)、ならびに動物細胞。特定の実施形態において、宿主細胞は細菌性細胞である。ポリヌクレオチドを種々の宿主細胞に送達するためのクローニングベクターは、当該技術分野で周知である。核酸分子をベクターにクローニングする方法、および宿主細胞を形質転換する方法は、当該技術分野で周知である。クローニング、パッケージング、および発現系の概要ならびに方法に関しては、以下を参照されたい。すなわち、Giliman and Smith (1979) Gene 8:81−97;Roberts et al. (1987) Nature 328:731−734;Berger and Kimmel (1989) Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol. 152 (Academic Press, Inc., San Diego, California);Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Vols.1−3(2d ed;Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York);およびAusubel et al., eds.(1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols (Greene Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York);1994 Supplement。
【0023】
PCRの第2ラウンドからのPCR産物を含む個々の細菌コロニー由来の核酸物質(例えば、プラスミド調製物)は、推定上の新規殺虫性遺伝子を同定するためにさらに分析に掛けられる。特定の実施形態において、個々のコロニーからのプラスミドDNAを、標的グループ内のすべての公知の殺虫性遺伝子を検出するよう設計されている標識オリゴヌクレオチドプローブを用いてドットブロット分析によって分析される。オリゴヌクレオチドプローブは、一般的に、PCR増幅の第2ラウンドの間に生成されるPCR産物のフラグメントと相補的であるように設計される。オリゴヌクレオチドプローブは、標的グループ内の公知の殺虫性遺伝子を含む任意の核酸でも同定する(すなわち、「ドットプロット陽性」)ように設計される。ドットブロット分析を用いるこれらのオリゴヌクレオチドプローブによって検出されない任意の核酸(すなわち「ドットブロット陰性」)でも、推定上の新規殺虫性遺伝子、またはそのあり得るフラグメントを含み、その新規性を評価するためにさらに分析される。本方法に従って同定される推定上の新規殺虫性遺伝子のフラグメントは、配列決定されて、その新規性を評価するために公知の殺虫性遺伝子との配列比較に掛けられる。そのような配列分析は、当該技術分野で周知である。新規ヌクレオチド配列は、推定上の殺虫性遺伝子を取得するためにさらに分析される。一部実施形態において、推定上の新規殺虫性遺伝子を含む核酸分子は、発現ベクターにクローン化され、これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドは、標準アッセイ法(例えば、本明細書で以下に記述するもの)を用いて殺虫活性をアッセイする。
【0024】
新規殺虫性遺伝子の同定の目的で記述する上記方法は、また、目的の他の標的グループからの新規遺伝子を同定するために用いてもよい。本発明の方法を用いて非殺虫性遺伝子(具体的には非Bt Cry毒素遺伝子)を同定する場合、核酸出発物質を目的の異なる生物から取得してもよい。しかし、他の方法ステップ、すなわち系統的なプライマー設計(本明細書で以下に記述する)、PCRの第1ラウンド、PCRの第2ラウンド、およびドットブロット分析は、目的の遺伝子の標的グループにかかわらず、基本的に同じ方法で行われる。
【0025】
任意の1つの機序に限定する目的ではないが、本明細書で上記に明示するように、PCR増幅の第1ラウンドおよび第2ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーは、特徴的配列を含む公知および新規1の両遺伝子の増幅を可能にするおよび可能性があるように設計される。これとは対照的に、本発明の第3のステップ(一般的にドットブロット分析)で用いるオリゴヌクレオチドプローブは、公知の遺伝子だけを特異的に検出するように選択される。従って、PCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドの間増幅される核酸物質を含むが、ドットブロット分析ステップの間検出されない生物(例えば微生物、具体的にはBt菌株)は、新規遺伝子を含む可能性がある。
【0026】
本発明の特定の態様において、本明細書で上述するPCR増幅の第1ラウンドで用いる少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを設計することは、多段階プロセスを介して縮重オリゴヌクレオチドプライマーを設計することを含む。ある実施形態において、遺伝子の標的グループのためのヌクレオチド配列アライメントが調製される。例えば、殺虫性遺伝子の標的グループは、鞘翅目(すなわち、鞘翅目活性遺伝子)からの昆虫に対して殺虫活性を有するすべての公知のCry遺伝子を含み得る。標的グループ内の遺伝子は、相同ブロック(本発明では特徴的配列と呼ぶ)を共有する。特徴的配列は、以下に詳細に記述するように、オリゴヌクレオチドプライマーの設計の開始点として役立つ。特徴的配列は、遺伝子の標的グループのすべてのメンバー内に保存されるヌクレオチドのブロックであるが、標的グループ内の遺伝子ごとの特徴的配列においていくらかの相違が存在することもある。その結果、標的グループ内のすべての遺伝子に特異的である単一組のオリゴヌクレオチドプライマーを設計できないこともある。従って、オリゴヌクレオチドプライマーの混合物を用いることで、標的グループに現れる特徴的配列のすべての可能な変異を網羅できる。遺伝子の標的グループ内の特徴的配列の配列変異のために、全標的グループ内の特徴的配列に特異的である1組のプライマーを開発することが困難であるまたは不可能な場合、オリゴヌクレオチドプライマーの混合物を利用することによって、特定の用途を見出す。可能な場合、標的グループ内のできるだけ多くの遺伝子に特異的である単一組のプライマーを設計して用いる。新規Bt Cry毒素遺伝子を同定するための本発明のある態様において、PCRの第1ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーは、公知のBt Cry遺伝子の標的グループの「ドメイン1」の特徴的配列を標的化するように設計され、PCRの第2ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーは、「ドメイン2」の特徴的配列に特異的である。
【0027】
PCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドで用いる縮重オリゴヌクレオチドプライマーを設計することは、以下に記述するプライマー設計の適切な開始点であるいくつかの相同領域を同定するために、遺伝子の標的グループのヌクレオチド配列アライメントをスキャンすることを含む。これらの相同領域は、「特徴的配列」と呼ばれる。プライマー長が約15塩基対(bp)〜約30bpの間(例えば、15bp、16bp、17bp、18bp、19bp、20bp、21bp、22bp、23bp、24bp、25bp、26bp、27bp、28bp、29bp、および30bp)である最初のプライマーが選択される。次いで、オリゴヌクレオチドプライマーのスクリーニングの第1ラウンドが、特徴的配列のうちの1つで近接するヌクレオチドの最初の領域を観察することで行われる。最初の領域は、選択される特徴的配列の5’末端で始まり、かつ最初のプライマー長に等しい長さである。最初の領域内のヌクレオチド配列を見直して、その配列が以下の所要の配列特徴を有しているかどうかを決定する。PCRの第1ラウンドまたは第2ラウンドで用いるプライマーの適切なヌクレオチド配列は、
1)4つ以上の近接する同一のヌクレオチド残基を持たない、
2)ヌクレオチド配列の3’末端の最後の5残基内に2つ以上のグアニン残基またはシトシン残基を持たない、
3)約50℃〜65℃の間、より具体的には約54℃±2℃の融解温度を有する;
4)ヘアピン構造または二量体構造を形成しない、
5)遺伝子の標的グループからの少なくとも1つのヌクレオチド配列に存在する(すなわち、上述のアライメント)、および
6)非標的グループ遺伝子からのヌクレオチド配列の間では保存されてない。
【0028】
オリゴヌクレオチドプライマーの多様性を増加させるために、1つのヌクレオチド残基は、nであることが許され、ここでnはA、T、C、またはGである。上述の配列特徴がすべて存在する場合、最初の領域内のヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチドプライマーとして用いるために選択される。最初の領域内のヌクレオチド配列がこれらの配列特徴をすべて有しない場合、近接するヌクレオチドの隣接する領域が、特徴的配列の3’末端に向かって1塩基対ずつ最初の領域を移動させることによって選択される。隣接する領域内のヌクレオチド配列は、上述のように見直され、配列特徴のすべてが存在する場合、オリゴヌクレオチドプライマーとして用いるために選択される。上記の要件を満たすヌクレオチド配列を同定するために、必要に応じてさらにスクリーニングのラウンドが行われる。所要の特徴を有する特徴的配列内のオリゴヌクレオチドは選択されて、PCRの第1ラウンドまたは第2ラウンドでオリゴヌクレオチドプライマーとして用いられる。順方向および逆方向の両プライマーは、上述のように設計される。さらに、PCRの第1ラウンドで用いる順方向および逆方向のプライマーは、標的グループの遺伝子内で、約50bp〜約150bp離れているヌクレオチド配列に相補的であるように設計される。PCR増幅の第2ラウンドの順方向および逆方向のプライマーは、標的グループの遺伝子内で、約500bp〜約800bp離れているヌクレオチド配列に相補的であるように設計される。
【0029】
本明細書において上述のヌレオチド残基が任意のヌクレオチド(すなわち、n=A、T、C、またはG)であることを許される注意付きで、同一のヌクレオチド配列が標的ブループの少なくとも1つのメンバーのヌクレオチド配列に見出される場合、ヌクレオチド配列は、遺伝子の標的グループからの少なくとも1つのヌクレオチド配列に「存在」する。用語「殺虫性遺伝子の非標的グループ」とは、標的グループとして選択された殺虫性遺伝子を除き、殺虫性遺伝子の特定のファミリー内のすべての殺虫性遺伝子をいう。例えば、標的グループが鞘翅目活性であるすべてのBt Cry遺伝子を含む場合、殺虫性遺伝子の対応する非標的グループは、鞘翅目からの昆虫に対して活性であるものを除くすべてのBt 遺伝子を含む。同様に、「非標的遺伝子」または「遺伝子の非標的グループ」とは、標的グループとして選択されたそれらの遺伝子を除く、殺虫性遺伝子の特定のファミリー内のすべての遺伝子をいう。ヌクレオチド配列が非標的グループ内のすべてのヌクレオチド配列と少なくとも2つのヌクレオチド残基で異なる場合、それは、「非標的グループ遺伝子からのヌクレオチド配列の間で保存されていない」。本発明のある態様において、近接するヌクレオチドの特定の領域内のヌクレオチド配列が、非標的グループ遺伝子の間で保存されていないかどうかを決定することは、遺伝子の非標的グループからの各遺伝子の全長配列を検索することを含む。一部実施形態において、遺伝子の非標的グループからの各遺伝子の全長配列は、文字検索用語として領域内のヌクレオチド配列を用いて徹底的に検索される。すなわち、領域内のヌクレオチド配列が、非標的グループ遺伝子のどこかに現れる場合、または2つ以内の異なるヌクレオチド残基を有するヌクレオチド配列が、非標的グループ遺伝子のどこかに現れる場合、領域内の特定のヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチドプライマーとして選択されない。
【0030】
上述のように、PCRの第1ラウンドで用いる逆方向プライマーは、PCRの第2ラウンド用の順方向プライマーを生成するために、一般的に用いる。PCRの第2ラウンド用の逆方向プライマーは、プライマー設計のための開始点として異なる特徴的配列(具体的には、PCRの第1ラウンド用のオリゴヌクレオチドプライマーを設計するために用いられた特徴的配列に対して3’にあるもの)を用いて、上述の方法に従って設計される。PCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドのための典型的なプライマー設計の概略図を、図1に示す。
【0031】
遺伝子の標的グループ内の特徴的配列は、一般的にすべてのメンバー間で同一でないので、これらの配列の差異を明らかにするために、オリゴヌクレオチドプライマーの混合物がPCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドの両方で、通常用いられる。オリゴヌクレオチドプライマーの混合物が本発明のPCR反応で用いられる場合、プライマーは、すべてのプライマーが同一のまたはほぼ同一の融解温度を有するようにさらに設計される。一部実施形態において、PCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドで用いるオリゴヌクレオチドプライマーの融解温度は、約54℃±2℃である。
【0032】
「殺虫性遺伝子」とは、殺虫活性を示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をいう。本明細書において、用語「殺虫活性」とは、害虫の成長、摂食、または繁殖を阻害するため、ならびに/あるいは害虫を死滅させるための物質(例えば、ポリペプチド)の能力をいう。「殺虫性ポリペプチド」または「昆虫毒素」は、殺虫活性を有するタンパク質を意味することを意図する。殺虫活性は、当該技術分野で公知の日常的なアッセイによって測定できる。そのようなアッセイとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、適切な期間の間その物質を摂食させ、物質に曝露させた後の、害虫死亡率、害虫体重減少、害虫撥水性、害虫誘引、および害虫の行動変化および物理的変化。一般的な方法は、囲った容器中の飼料源に実験的化合物または生物を添加することを含む。殺虫活性を評価するアッセイは、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第6,570,005号および第6,339,144号(それら全体を参照することによって本明細書に援用する)を参照されたい。
【0033】
殺虫活性を試験するための好ましい発育段階は、目的の昆虫の幼虫または未成熟の形態である。昆虫は、約20℃〜約30℃の温度、約30%〜約70%の相対湿度で、真っ暗闇で飼育されることもある。Czapla and Lang (1990) J. Econ.Entomol.83(6):2480−2485に記述されるように、バイオアッセイを実施してもよい。昆虫の幼虫を飼育する方法およびバイオアッセイを実施する方法は、当業者にとって周知である。
【0034】
本発明の一部実施形態において、目的の標的グループは、Bt Cry毒素遺伝子またはBt遺伝子の特定サブセット(例えば、鞘翅目活性Bt Cry遺伝子等)を含む殺虫性遺伝子である。「Bt」または「バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)」遺伝子は、Bt毒素をコードするBtの種々の菌株に見出される広範なクラスの遺伝子を意味することを意図し、例えば、Cry(結晶)毒素(すなわち、δ−内毒素)およびCyt(細胞傷害性)毒素等の毒素を含む。「Cry毒素」および「Cyt毒素」としては、公知のCryタンパク質またはCytタンパク質とそれぞれ相同である殺虫性ポリペプチドが挙げられる。Cry遺伝子としては、Cry毒素として分類される任意のポリペプチド(例えば、Cry1、Cry2、Cry3、Cry7、Cry8およびCry9)をコードするヌクレオチド配列が挙げられる。Crickmore et al. (1998) Microbiol.Molec.Biol. Rev. 62:807−813およびCrickmore et al. (2004) Bacillus Thuringiensis Toxin Nomenclature at lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/B. thuringiensis(それら全体を参照することにより本明細書でこれら両参考文献を援用する)を参照されたい。Bt毒素は、プロトキシン毒素として合成され、かつ副芽胞封入体として結晶化する殺虫性タンパク質のファミリーである。害虫によって経口摂取されると、微結晶構造は昆虫の中腸のアルカリ性pHによって溶解され、プロトキシン毒素は昆虫の腸のプロテア−ゼによって切断されて活性毒素を生成する。活性化Bt毒素は、昆虫の腸上皮内の受容体に結合して、膜病変および付随する昆虫の腸の膨張および溶解を引き起こす。昆虫の死は、飢餓性衰弱および敗血症に起因する。例えば、Li et al. (1991) Nature 353:815−821を参照されたい。
【0035】
Cry毒素のプロトキシン毒素の形態は、結晶形成セグメントを含む。様々な特異性の活性Cry毒素のアミノ酸配列を比較することにより、高度に保存された5つの配列ブロックがさらに明らかになる。構造的に、Cry毒素は、N末端からC末端に存在する3つの明確なドメインを含む。すなわち、ポア形成にかかわる7つのαヘリックスのクラスター(「ドメイン1」と呼ばれる)、細胞結合にかかわる3つの逆平行βシート(「ドメイン2」と呼ばれる)、およびβサンドイッチ(「ドメイン3」と呼ばれる)。これらのドメインの位置および特徴は、当業者にとって公知である。例えば、Li et al. (1991)supraおよびMorse et al. (2001) Structure 9:409−417を参照されたい。
【0036】
最初のBt毒素の命名法系は、殺虫活性プロファイルに基づいて毒素を分類した。この系は、アミノ酸配列相同性だけに基づく新規命名法に入れ替えられてきた。この系の下で、Cry毒素およびCyt毒素は、アミノ酸配列相同性に基づいてクラスまたはファミリーにグループ化され、その毒素の名称は、他の配列とその相同性に関しての情報を提供する。従って、例えば、Cry2ファミリーのメンバーであるCry2Aa、Cry2Ab、およびCry2Acの毒素は、およそ80%のアミノ酸配列相同性を共有する。同様に、Cry8ファミリー毒素であるCry8AaおよびCry8Baは、およそ65%のアミノ酸配列相同性を共有する。Crickmore et al. (1998), supraを参照されたい。
【0037】
PCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドの両方で用いられ、かつ本発明の方法に従って設計された目的の標的グループ(例えば、殺虫性遺伝子の標的グループ)内の特徴的配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーは、通常、約50℃〜65℃の熱融解点(T)または融解温度を有するように設計される。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、約52℃〜56℃、より具体的には約54℃のTを有する。Tを決定するためにいくつかの式が利用されている。Tを算出するための任意の式も、本方法を実行するために用いることができる。例えば、最隣接熱力学に基づくT決定のための古典的なアルゴリズムは、以下の通りである。
【0038】
【化1】

ここで、EHおよびESは、それぞれヘリックス形成のためのエンタルピーおよびエントロピーであり、Rはモル気体定数(1.987(カロリー)(K−1)(モル−1)であり、Ctは全鎖(プライマー)濃度であり、Xは塩濃度である。Rychlik et al. (1990) Nucleic Acid Res. 18(21):6409−6412。さらに、一部実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーのTは、以下の式を用いて算出される。
【0039】

=(EH/[ES+(R×In(Ct))]−273.15+16.6 log([X]))×1.1144−14.964
ここで、EH(エンタルピー)=Σ ΔH;ES(エントロピー)=Σ ΔS+0.368×19×1.585;R(モル気体定数)=1.987;Ct(全プライマー濃度)=log(0.00000005/4)×1000;およびX(塩濃度[K])=0.05である。
【0040】

本発明の方法を実施するために用いるオリゴヌクレオチドプライマーは、対ごとに2つの個々のプライマー(すなわち、順方向プライマーと逆方向プライマー)が存在するように対をなすオリゴヌクレオチドプライマーであることを、当業者は認識するであろう。各対内の1つのプライマーは、遺伝子の標的グループからの特徴的配列の5’鎖の部分(順方向プライマー)と相補的(すなわち、ハイブリダイズ可能)であり、一方もう1つのプライマーは、特徴的配列の3’鎖の部分(逆方向プライマー)と相補的である。オリゴヌクレオチドプライマーは、増幅コピー(すなわち、「PCR増幅産物」または「PCR産物」)を生成するために適切なポリメラーゼが各3’鎖の配列を各プライマーにコピーするように、設計される。本発明の方法は、PCR増殖のために少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを利用する。本発明のある態様において、2、3、4、5、10、20、30、40、50、またはそれ以上のプライラー対を含むオリゴヌクレオチドプライマー対の混合物が用いられる。目的の特定のヌクレオチド配列(例えば、特徴的配列)に特異的な縮重オリゴヌクレオチドプライマーを含むオリゴヌクレオチドプライマーを設計する方法は、当該技術分野で周知である。
【0041】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、新規遺伝子(例えば、新規殺虫性遺伝子)の増幅を可能にする適切な長さである。各対の個々のプライマーは、一般的に、約15bp〜約30bp、より具体的には約20bp〜約25bpを含む。さらに、1対のオリゴヌクレオチドプライマーにおける個々のプライマー間の距離は、検出可能な長さのPCR産物を生成するのにも十分な距離である。従ってPCRの第1ラウンドにおいて、順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、遺伝子の標的グループのメンバーのヌクレオチド配列内で、一般的に約50bp〜約150bp離れている、より具体的には約100bp離れているヌクレオチド配列に相補的になるように選択される。PCRの第2ラウンドにおいて、順方向ブラマーおよび逆方向プライマーは、標的グループ内のヌクレオチド配列と通常相補的であり、これらのヌクレオチド配列は、約500bp〜約800bp離れている、具体的には約600bp〜約750bp離れている、より具体的には約600bp〜約650bp離れている。
【0042】
本方法で用いる核酸物質は、目的の任意の生物から任意の方法で取得してもよい。目的の生物としては、例えば、微生物(より具体的には、Bt菌株)、植物、動物、真菌、細菌、および昆虫が挙げられる。核酸物質は、例えば、目的の生物から調製したプラスミドDNA(例えば、Bt菌株)を含む。一部実施形態において、核酸物質を取得することは、目的の生物、具体的には目的の微生物からDNAを単離することを含む。核酸物質は、例えば、ゲノムDNAを含んでもよい。本発明の特定の態様において、核酸物質は、Bt菌株から生成されたプラスミドライブラリーを含む。PCR増幅の複数のラウンドを行う場合、生物由来の核酸物質の試料を新たに取得して、PCRの各ラウンドで用いてもよい。従って、例えば、新規DNAプラスミドの調製を、PCRの各ラウンドで用いるBt菌株から調製してもよい。
【0043】
PCRによる核酸増幅は、分子生物の基本的な技法である。PCRを行う方法は、当該技術分野で周知であり、かつ市販されている器具使用で実行可能である。例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York);Innis et al., eds. (1990) PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications (Academic Press, New York);Innis and Gelfand, eds. (1995) PCR Strategies (Academic Press, New York);およびInnis and Gelfand, eds. (1999) PCR Methods Manual (Academic Press, New York)(これらすべてを参照することによって本明細書に援用する)を参照されたい。簡単に言えば、PCRは、目的の標的配列を含む核酸物質(例えば、目的の遺伝子由来のDNA)の迅速かつ効率的な増幅を可能にする。増幅すべき核酸物質、オリゴヌクレオチドプライマー、および熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)は、PCR増幅に適した条件下で混合される。PCR反応混合物は、十分な量の4つのデオキシヌクレオシド三リン酸および塩化マグネシウムをさらに含む。PCR用の個々の反応成分は市販されており、いくつかの会社(例えば、Roche Diagnostics、Qiagen、Promega、Stratagene等)によって販売されている。核酸物質およびオリゴヌクレオチドプライマーをただ加えればよい、すでに調製されている反応混合物または「マスターミックス」も入手可能である。オリゴヌクレオチドプライマー間の核酸配列のコピーを検出可能な量まで生成するには、PCRを少なくとも1回実行すれば十分である。
【0044】
特定の実施形態において、本発明の方法は、PCR(具体的には、リアルタイムPCR、より具体的には定量リアルタイムPCR)の第1ラウンドを行うことを含む。リアルタイムPCRは、増幅反応の初期段階でPCR産物の検出を可能にする。具体的に言うと、リアルタイムPCRにおいて、PCR産物の定量化が、プラトーに達するまで核酸物質の量が対数的に増幅されるわずか数サイクルに依存する。対数期の間、標的核酸物質の量は、サイクルごとに倍加されるはずであり、限定試薬によるバイアスがない。リアルタイムPCRを行う方法および器具使用は、当該技術分野で周知である。例えば、Bustin (2000) J. Molec.Endocrinol.25:169−193;Freeman et al. (1999) Biotechniques 112:124−125;Halford (1999) Nat.Biotechnol. 17:835;およびHeid et al. (1996) Genome Res. 6(10):986−994を参照されたい。これら全体を参照することによってこれらすべてを本明細書に援用する。本発明のある態様において、PCR増幅の第1ラウンドは、リアルタイムPCRを行うことを含む。
【0045】
本明細書において、PCR増幅産物を「検出すること」とは、本発明のPCRステップによって増幅される核酸の存在、非存在、または量を検出するための任意の方法を含む。検出の方法によって、増幅のレベルに関する定性的または定量的な情報を提供可能である。PCR増幅産物を検出するためのそのような方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、臭化エチジウム染色アガロースゲル電気泳動アッセイ、サザンブロッティング/プローブハイブリダイゼーションアッセイ、および蛍光アッセイが挙げられる。
【0046】
PCRモニタリングおよびPCR産物の検出のために数多くの様々な染料およびプローブが利用可能である。例えば、リアルタイムPCR増幅によって生成されるPCR産物は、種々の蛍光染料と蛍光分子を用いて共有結合標識されたオリゴヌクレオチドプローブとを用いて検出可能である。そのような蛍光実体は、PCR産物の存在を示し、PCR産物の量に関するシグナルを表示可能である。さらに、PCR産物の連続蛍光モニタリングを用いて、シグナルがバックグラウンドの上で検出される点(Ct、サイクル閾値)および対数期にある点を決定可能である。鋳型核酸配列が豊富であればあるほど、Ctはより早く達成される。
【0047】
二本鎖DNAに特異的な染料を用いることによって、配列特異的プローブを合成する必要なく、任意のPCR増幅においてもPCR産物の形成を検出できる。そのような染料は、二本鎖DNA(dsDNA)に特異的に結合し、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、SYBR(登録商標)Green,SYBR God(登録商標),および臭化エチジウム。「SYBR(登録商標)Green」とは、SYBR(登録商標)GreenIおよびSYBR(登録商標)GreenIIを含む、市販されている任意のSYBR(登録商標)Green蛍光染料をいう。dsDNA染料を用いて、産物特異性を、融解曲線の分析することによってまたは非特異的産物が融解する高温で蛍光を得ることによって増加可能である。Ririe et al. (1997) Anal.Biochem. 245:154−160;Morrison et al. (1998) BioTechniques 24:954−962を参照されたい。
【0048】
オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光分子を用いて共有結合標識され、PCR産物を検出するために用いられることもできる。ヘアピンプライマー(Sunrise(登録商標)プライマー)、ヘアピンプローブ(Molecular Beacons(登録商標))、およびエキソヌクレアーゼプローブ(TaqMan(登録商標)プローブ)は、PCRの間にモニタリング可能な二重標識蛍光オリゴヌクレオチドである。これらのプローブは、同じオリゴヌクレオチド上で消光剤によるフルオロフォアの蛍光消光に依存する。ハイブリダイゼーションまたはエキソヌクレアーゼ加水分解が起こると、蛍光が増加する。
【0049】
PCR産物はまた、それぞれ蛍光プローブで標識化された2つのオリゴヌクレオチドを用いて検出可能である。これらのオリゴヌクレオチドと標識核酸とのハイブリダイゼーションによって、2つの蛍光プローブを近づけ、共鳴エネルギー移動が可能になる。
例えば、Wittwer et al. (1997) BioTechniques 22:130−138を参照されたい。蛍光共鳴エネルギー移動対として使用可能なフルオロフォア対は、当業者にとって周知であり、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、フルオレセイン/ローダミン、フィコエリトリン/Cy7、フルオレセイン/Cy5、フルオレセイン/Cy5.5、フルオレセイン/LC Red640、およびフルオレセイン/LC Red705。
【0050】
本発明のある態様において、SYBR(登録商標)Green蛍光染料を用いてPCRの第1ラウンドの間に生成されるPCR産物、より具体的にはリアルタイムPCR産物を検出する。上述のように、SYBR(登録商標)GreenはdsDNAの副溝に結合する蛍光染料である。SYBR(登録商標)Green染料がdsDNAに結合すると、蛍光発光の強度が増加する。従って、二本鎖PCR産物がさらに産生されるにつれて、SYBR(登録商標)Greenの蛍光シグナルも増加する。本発明の他の態様において、5’ヌクレアーゼアッセイを用いて、PCR(具体的にはリアルタイムPCR)をモニターして、PCR増幅産物を検出する。5’ヌクレアーゼアッセイにおいて、TaqMan(登録商標)プローブと呼ばれるオリゴヌクレオチドプローブをPCR試薬混合物に付加する。TaqMan(登録商標)プローブは、5’末端(例えば、FAM)に高エネルギー蛍光リポーターと、3’末端(例えば、TAMRA)に低エネルギー消光剤染料とを含む。プローブがインタクトな場合、リポーター染料の蛍光発光は、消光剤の近接近によって抑制される。TaqMan(登録商標)プローブは、順方向プライマーと逆方向プライマーとの間の特定の雛型配列にアニールするようにさらに設計される。従って、TaqMan(登録商標)プローブは、ポリメラーゼの経路で雛型核酸物質に結合する。PCR増幅は、ポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって、消光剤を含むプローブからリポーター染料の切断および放出をもたらす。従って、放出されるリポーター染料から生成される蛍光シグナルは、PCR産物の量と比例する。SYBR(登録商標)GreenプローブまたはTaqMan(登録商標)プローブを用いてリアルタイムPCRを行うための方法および器具使用(例えば、ABI Prism 7700 Detector;Perkin Elmer/Applied Biosytems Division)は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態において、PCR増幅の第1ラウンドからのPCR産物は、SYBR(登録商標)Greenを用いて検出される。
【0051】
上記のように、PCRの第2ラウンドの間に生成されるPCR産物は、通常アガロースゲル電気泳動によって分離さる。標的グループ内の公知の遺伝子をさらなる考察から除外すために、予想される長さの核酸分子は単離されて、ドットブロット分析に掛けられる。
【0052】
「ドットブロット分析」または「ドットブロットハイブリダイゼーション」は、分子生物の分野では標準方法である。通常は、ドットブロットハイブリダイゼーションは、例えば、ニトロセルロース膜またはナイロン膜上で核酸物質を固定化することを含む。ハイブリダイゼーションに適した条件下で、固定化した核酸物質は、標識オリゴヌクレオチドプローブに曝露され、結合したプローブの存在または非存在が検出される。本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、プローブ結合の検出を容易にするために、放射性標識または非放射性標識で標識化できる。種々の放射性標識および非放射性標識が当該技術分野で利用可能である。そのような標識として、例えば、ジゴキシゲニン(DIG)、ビオチン、蛍光分子、トリチウム(H)が挙げられる。ドットブロット分析で用いる標識オリゴヌクレオチドプローブを生成する方法は、当該技術分野で周知である。
【0053】
本発明の方法においてドットブロット分析で用いるオリゴヌクレオチドプローブは、標的グループ内のすべての公知の遺伝子(例えば、殺虫性遺伝子)に特異的である。オリゴヌクレオチドプローブは、PCRの第2ラウンドの間に生成されるPCR産物のフラグメントに相補的であるように設計される。本発明のドットブロット分析のステップのためのオリゴヌクレオチドプローブ設計の概略図を図1に示す。特定の実施形態において、標的グループのすべての公知の遺伝子に特異的であるオリゴヌクレオチドプローブの混合物を用いる。配列相違のために、全標的グループに対して特異的である単一のプローブを開発することが困難な場合、各プローブが標的グループ内の1つの遺伝子に対して特異的であるオリゴヌクレオチドプローブの混合物を設計することは、特に有用性を見出す。可能な場合、標的グループ内のできるだけ多くの遺伝子(例えば、殺虫性遺伝子)に対して特異的である単一組のプローブを設計して用いる。さらに、複数のオリゴヌクレオチドプローブを用いる場合、オリゴヌクレオチドプローブを、複数のフローブの混合物として単一のドットブロット膜と共にインキュベートしてもよい。あるいは、多重膜を調製して、個々のプローブと共に別々にインキュベートしてもよい。ドットブロットオリゴヌクレオチドプローブは、一般的に、長さが約20bp〜約40bp、具体的には約25bp〜約35bp、より具体的には約30bp〜役35bpである。さらに、ドットブロット分析で用いるオリゴヌクレオチドプローブは、一般的に少なくとも約70℃、具体的には少なくとも約75℃、より具体的には少なくとも約80℃のTを有するように設計される。オリゴヌクレオチドプローブの混合物を用いる場合、それぞれのプローブは、大体同一のTを有するように設計される。
【0054】
当業者は、新規殺虫性遺伝子、より具体的には新規Bt Cry毒素遺伝子を含む新規遺伝子を同定するための方法または任意のステップも、自動化方法、半自動化方法、または手動方法で実行可能であることを認識する。本明細書に開示する方法は、高スループットスクリーニングアッセイで用いることもできる。
【0055】
本発明の組成物は、新規遺伝子を有する単離したポリヌクレオチド、ならびにその変異体およびフラグメントを含む。そのような新規遺伝子は、本発明の方法を用いて同定される。本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチドを含むアミノ酸配列をさらに提供する。本発明で提供する方法によって同定される新規核酸分子および殺虫性ポリペプチドは、例えば、害虫関連損害から植物を保護することに有用性を見出す。
【0056】
本発明は、単離したもしくは実質的に精製したポリヌクレオチドまたはタンパク質組成物を包含する。「単離した」もしくは「精製した」ポリヌクレオチドまたはタンパク質、あるいはそれの生物活性の部分には、その自然発生の環境で見出されるように、ポリヌクレオチドまたはタンパク質に通常付随して起こるまたは相互作用する成分が、実質的にもしくは本質的に存在しない。従って、単離されたもしくは精製されたポリヌクレオチドまたはタンパク質は、組換え方法によって生成される場合、他の細胞物質または培養培地を実質的に含まず、あるいは化学的に合成される場合、実質的に化学プロトキシンまたは他の化学物質を含まない。最適には、「単離された」ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが由来する生物のゲノムDNAにおいてポリヌクレオチドの両側に(すなわち、ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端に位置する配列)自然に位置する配列(配列を最適にコードするタンパク質)がない。例えば、種々の実施形態において、単離されるポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが由来する細胞のゲノムDNAにおいてポリヌクレオチドの両側に自然に位置する、およそ5kb未満、4kb未満、3kb未満、2kb未満、1kb未満、0.5kb未満、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含むことができる。細胞物質を実質的に含まないタンパク質は、混入タンパク質の(乾燥重量で)約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満を有するタンパク質の調製物を含む。本発明のタンパク質またはその生物活性部分を組換えで生成する場合、最適な培養培地は、化学プロトキシンまたは非タンパク質の目的の化学物質の(乾燥重量で)約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満を表す。
【0057】
本明細書において、「核酸」は、一本鎖または二本鎖いずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを参照することを含み、限定しない限り、自然発生のヌクレオチドと同様の方法でそれらが一本鎖核酸にハイブリダイズするという点において、天然のヌクレオチドの本質的な性質を有する公知の類似体(例えば、ペプチド核酸)を包含する。
【0058】
用語「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」の使用は、本発明をDNAを含むポリヌクレオチドに限定することを意図しない。オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドとデオキシリボヌレオチドとの組み合わせを含むことができることを当業者は認識するだろう。そのようなデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドは、自然発生の分子および合成の類似体の両方を含む。本発明のオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、一本鎖形態、二本鎖形態等に限定されず、配列のすべての形態も包含する。
【0059】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」とは、本明細書ではアミノ酸残基のポリマーをいうために互換的に用いられる。これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が自然発生のアミノ酸に対応する人工的な化学類似体であるアミノ酸、ならびに自然発生のアミノ酸ポリマーに適用される。
【0060】
本明細書において、特定のポリヌクレオチドまたはそのコードされるタンパク質に関して「全長配列」とは、天然配列の核酸配列全体またはアミノ酸配列全体を有することを意味する。「天然配列」とは、内在性配列(すなわち、生物のゲノムで見出される非操作された配列)を意味することを意図する。全長ポリヌクレオチドは、特定のタンパク質の全長形態をコードする。
【0061】
本明細書において、特定の核酸と関連して用いる場合、用語「コードする」または「コードされる」とは、その核酸が、特定のタンパク質へのヌクレオチド配列の翻訳を方向づける必要情報を含むことを意味する。タンパク質がコードされる情報は、コドンの使用によって特定される。タンパク質をコードする核酸分子は、核酸分子の翻訳領域内に非翻訳配列(例えば、イントロン)を含むこともあり、またはそのような介在する非翻訳配列(例えば、cDNAにおけるように)がないこともある。
【0062】
開示するポリヌクレオチドのフラグメントおよび変異体ならびにそれらによってコードされるたんぱく質も、本発明によって包含される。「フラグメント」とは、ポリヌクレオチドの部分またはアミノ酸配列および従ってそれによってコードされるタンパク質の部分を意味する。ポリヌクレオチドのフラグメントは、天然のタンパク質の生物活性を保持し、従って例えば殺虫活性を保有するタンパク質フラグメントをコードし得る。あるいは、ハイブリダイゼーションプローブとして有用であるポリヌクレオチドのフラグメントは、通常、生物活性を保持するフラグメントタンパク質をコードしない。従って、ポリヌクレオチドのフラグメントは、少なくとも約20ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドから本発明のタンパク質をコードする全長ポリヌクレオチドまでにわたることもある。
【0063】
タンパク質の生物活性部分をコードする本発明のポリヌクレオチドのフラグメントは、少なくとも15、25、30、50、100、150、200、または250の近接するアミノ酸をコードする、または本発明の全長タンパク質(例えば、殺虫性タンパク質)に存在するアミノ酸の総数までをコードする。ハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして有用であるポリヌクレオチドのフラグメントは、通常、タンパク質の生物活性部分をコードする必要がない。
【0064】
従って、ポリヌクレオチドのフラグメントは、タンパク質の生物活性部分をコードすることもあり、または以下に開示する方法を用いてハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして用いることができるフラグメントでもあり得る。タンパク質の生物活性部分は、本発明のポリヌクレオチドの1つの部分を単離し、タンパク質のコードされた部分を発現させて(例えば、in vitroで組換え発現によって)、タンパク質のコードされた部分の生物活性を評価することによって調製可能である。本発明の方法によって同定されるヌクレオチド配列のフラグメントであるポリヌクレオチドは、少なくとも16、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、もしくは1,400の近接するヌクレオチド、または本明細書で開示する全長ポリヌクレオチドに存在するヌクレオチドの数から成る。
【0065】
「変異体」とは、実質的に同様の配列を意味することを意図する。ポリヌクレオチドの場合、変異体は、天然ポリヌクレオチド内の1つ以上の内部部位で1つ以上のヌクレオチドの欠失および/または付加、ならびに/あるいは天然ポリヌクレオチド内の1つ以上の部位で1つ以上のヌクレオチドの置換を含む。本明細書において、「天然」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは、それぞれ自然発生のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含む。ポリヌクレオチドの場合、保存的変異体は、遺伝暗号の縮重のために本発明のポリペプチドの1つのアミノ酸配列をコードするそれらの配列を含む。これらのような自然発生の対立遺伝子変異体は、周知の分子生物法(例えば、以下に概要を述べるようにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法およびハイブリダイゼーション法等)を用いることで同定可能である。変異体ポリヌクレオチドは、例えば、依然として本発明の生物活性タンパク質(例えば、殺虫性タンパク質)をコードする部位特異的変異誘発を用いることで生成されるポリヌクレオチド等の合成的に誘導されるポリヌクレオチドも含む。通常、本発明の特定のポリヌクレオチドの変異体は、配列アライメントプログラムおよび本明細書の他の箇所で記述するパラメータによって決定されるように、その特定のポリヌクレオチドに少なくとも約、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいはそれ以上の配列相同性を有する。
【0066】
本発明の特定のポリヌクレオチドの変異体(すなわち、参照ポリヌクレオチド)は、変異体ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとの間の配列相同性の割合を比較することによって評価可能である。従って、例えば、本発明のポリペプチドに対して所定の割合の配列相同性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを開示する。任意の2つのポリペプチド間の配列相同性の割合を、配列アライメントプログラムおよび本明細書の他の箇所に記述するパラメータを用いて算出可能である。本発明のポリヌクレオチドの任意の所定の対を、それらがコードするそれら2つのポリペプチドによって共有される配列相同性の割合を比較することによって評価する場合、それら2つのコードされたポリペプチド間の配列相同性の割合は、少なくとも約、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列相同性である。
【0067】
「変異体」タンパク質は、天然のタンパク質の1つ以上の内部部位で1つ以上のアミノ酸の欠失または付加によって、ならびに/あるいは天然のタンパク質の1つ以上の部位で1つ以上のアミノ酸の置換によって天然のタンパク質から得られるタンパク質を意味することを意図する。本発明によって包含される変異体タンパク質は、生物活性である。すなわち、本明細書に記述するように、それらのタンパク質は天然のタンパク質の所望の生物活性(例えば、殺虫活性)を所有し続ける。そのような変異体は、例えば、遺伝子多型または人間の操作から生じ得る。本発明の天然のタンパク質の生物活性変異体は、配列アライメントプログラムおよび本明細書の他の箇所で記述するパラメータによって決定されるように、その天然のタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも約、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいはそれ以上の配列相同性を有する。本発明のタンパク質の生物活性変異体は、そのタンパク質とわずか1〜15のアミノ酸残基、わずか1〜10(例えば6〜10)、わずか5、わずか4、3、2、またはただ1つのアミノ酸残基が異なることもある。
【0068】
本発明のタンパク質を、アミノ酸の置換、欠失、切り詰め、および挿入を含む種々の方法で変化させることができる。そのような操作方法は、通常、当該技術分野で公知である。例えば、殺虫性タンパク質もしくは他のタンパク質のアミノ酸配列変異体およびフラグメントは、DNAにおける変異によって調製可能である。変異誘発およびポリヌクレオチド改変の方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Kunkel (1985) Proc. Natl. Acad. Sci USA 82:488−492;Kunkel et al. (1987) Methods in Enzymol 154:367−382;米国特許第4,873,192号;Walker and Gaastra, eds. (1983) Techniques in Molecular Biology (MacMillan Publishing Company, New York)、およびそれらに引用される参考文献を参照されたい。目的のタンパク質の生物活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、以下のモデルに見出すことができる。すなわち、Dayhoff et al. (1978) Atlas of Protein Sequence and Structure (Natl. Biomed. Res. Found., Washington, D.C.)(参照することによって本明細書に援用する)。保存的置換(例えば、1つのアミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸と交換する)は、最適であることもある。
【0069】
このように、本発明のポリヌクレオチドは、自然発生配列ならびに突然変異型の両方を含む。同様に、本発明のタンパク質は、自然発生のタンパク質ならびにそれらの変異体および修飾形態の両方を包含する。そのような変異体は、所望の生物活性(例えば、殺虫活性)を所有し続ける。明らかに、変異体をコードするDNAにおいてなされる突然変異は、リーディングフレーム外に配列を配置すべきでなく、二次mRNA構造を生成可能な相補領域を最適に作製しない。欧州特許出願公開第75,444号を参照されたい。
【0070】
本発明に包含されるタンパク質配列の欠失、挿入、および置換は、タンパク質の特徴において極端な変化をもたらすことは期待されない。しかし、実行に先駆けて置換、欠失、または挿入の正確な効果を予測することが困難な場合、当業者は、日常的なスクリーニングアッセイによってその効果が評価されることを認識する。例えば、新規殺虫性タンパク質の変異体の活性を、殺虫活性をアッセイすることによって評価できる。例えば、米国特許第6,570,005号および第6,339,144(これらを、参照することによって本明細書に援用する)を参照されたい。
【0071】
変異体ポリヌクレオチドおよびタンパク質も、変異誘発および組換え誘導方法(例えば、DNA混合)から生じる配列およびタンパク質を包含する。そのような方法を用いて、タンパク質をコードする1つ以上の配列を操作して、所望の特性(例えば、殺虫活性)を有する新規ポリペプチドを作製可能である。この方法で、組換えポリヌクレオチドのライブラリーは、実質的な配列相同性を有し、かつin vitroまたはin vivoで相同的に組み換え可能な配列領域を含む関連する配列ポリヌクレオチドの集団から作製される。例えば、このアプローチを用いて、目的のドメインをコードする配列モチーフは、目的の改善された特性を有するタンパク質をコードする新規遺伝子を取得するために、本発明の遺伝子(例えば、新規Bt Cry毒素遺伝子)と、他の公知の関連遺伝子との間で組み替えられ得る。そのようなDNA混合のための戦略は、当該技術分野で公知である。例えば、Stemmer (1994) Proc. Natl Acad. Sci. USA 91:10747−10751;Stemmer (1994) Nature 370:389−391;Crameri et al. (1997) Nature Biotech.15:436−438;Moore et al. (1997) J. Mol.Biol. 272:336−347;Zhang et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4504−4509;Crameri et al. (1998) Nature 391:288−291;ならびに米国特許5,605,793号および第5,837,458号を参照されたい。
【0072】
本発明のポリヌクレオチドを用いて、他の生物(具体的には、他の微生物)由来の対応する配列を単離可能である。このように、PCR、ハイブリダイゼーション等の方法を用いて、そのような配列を、本明細書に記載する配列とのそれらの配列相同性に基づいて同定可能である。本明細書に記載する全配列またはそれらの変異体およびフラグメントとのそれらの配列相同性に基づいて単離される配列は、本発明によって包含される。そのような配列は、開示する配列の相同分子種である配列を含む。「相同分子種」は、共通祖先遺伝子に由来し、かつ種分化の結果として異なる種に見出される遺伝子を意味することを意図する。異なる種に見出される遺伝子は、それらのヌクレオチド配列および/またはそれらのコードされるタンパク質配列が少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上配列相同性を共有する場合、相同分子種と考えられる。相同分子種の機能は、種の間で高度に保存されることが多い。従って、目的の生物活性を有するポリペプチドをコードし、ストリンジェント条件下で本明細書に開示する配列またはその変異体もしくはフラグメントにハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドは、本発明によって包含される。
【0073】
PCRアプローチにおいて、オリゴヌクレオチドプライマーは、目的の任意の生物から抽出したcDNAまたはゲノムDNAから対応するDNA配列を増幅させるために、PCR反応で用いるように設計できる。PCRプライマーの設計方法およびPCRクローニング方法は、通常、当該技術分野で公知でありSambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York)に開示されている。また、Innis et al., eds. (1990) PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications (Academic Press, New York);Innis and Gelfand, eds. (1995) PCR Strategies (Academic Press, New York);およびInnis and Gelfand, eds. (1999) PCR Methods Manual (Academic Press, New York)を参照されたい。PCRの公知の方法としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、対プライマー、入れ子プライマー、単一特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的ミスマッチングプライマ等を用いる様々な方法。
【0074】
ハイブリダイゼーション法において、公知のポリヌクレオチドのすべてまたは一部を、選択した生物由来のクローン化ゲノムDNAフラグメントまたはcDNAフラグメント(すなわち、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー)の集団に存在する他の対応するポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするプローブとして用いる。ハイブリダイゼーションプローブは、DNAフラグメント、cDNAフラグメント、RNAフラグメント、または他のオリゴヌクレオチドであってもよく、かつ検出可能なグループ(例えば、32P、または他の任意の検出可能なマーカー)で標識化してもよい。従って、例えば、ハイブリダイゼーション用のプローブを、本発明の殺虫性ポリヌクレオチドに基づいて合成オリゴヌクレオチドを標識化することによって作製してもよい。ハイブリダイゼーション用のプローブの調製方法、ならびにcDNAライブラリーおよびゲノムライブラリーの構築方法は、通常、当該技術分野で公知であり、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York)に開示されている。
【0075】
本発明が目的の公知の遺伝子の任意の標的グループと相同領域(すなわち特徴的配列)を共有する新規遺伝子(具体的には新規殺虫性遺伝子、より特定すると新規Bt Cry毒遺伝子)を同定するためのさらに効率的な方法を提供し、一方当業者は、当該技術分野で公知の標準方法を用いて本明細書で開示するポリヌクレオチドと相同である配列を同定できること認識するだろう。例えば、本明細書で開示される全ポリヌクレオチドまたはその1つ以上の部分は、対応するポリヌクレオチドおよびメッセンジャーRNAと特異的にハイブリダイズ可能なプローブとして用いられることもある。種々の条件下で特異的なハイブリダイゼーションを達成するために、そのようなプローブは、ポリヌクレオチド配列の間でも独特であって、かつ好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長、最も好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長である配列を含む。そのようなプローブを用いて、選択した生物由来の対応するポリヌクレオチド(例えば、殺虫性ポリヌクレオチド)をPCRによって増幅してもよい。この手法を用いて、所望の生物から付加的なコード配列を単離可能であり、または診断アッセイとして生物中のコード配列の存在を決定可能である。ハイブリダイゼーション法は、プレートに播種したDNAライブラリー(プラークまたはコロニーのいずれか)のハイブリダイゼーションスクリーニングを含む。例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York)を参照されたい。
【0076】
そのような配列のハイブリダイゼーションは、ストリンジェント条件下で行われ得る。「ストリンジェント条件」または「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」とは、他の配列に対するよりも、ブロープがその標的配列と検出可能なより高い程度まで(例えば、バックグラウンドよりも少なくとも2倍大きい)ハイブリダイズする条件を意味することを意図する。ストリンジェント条件は配列依存性であり、かつ様々な状況で異なる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄の条件を調節することによって、プローブと100%相補的である標的配列が同定できる(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェンシー条件を調整することよって、低度の類似性が検出されるよう、配列中のいくつかのミスマッチングを許容できる(異種プロービング)。通常、プローブは、約1000未満のヌクレオチド長、好ましくは500未満のヌクレオチド長である。
【0077】
一般的に、ストリンジェント条件は、塩濃度が約1.5M Naイオン未満、通常、pH7.0〜8.3で約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩類)でありかつ短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)に対して温度は少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50を超えるヌクレオチド)に対しては少なくとも約60℃の条件である。ストリンジェント条件は、また、脱安定化剤(例えばホルムアミド)を添加することによって達成可能である。例示的な低ストリンジェンシー条件としては、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、37℃で1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の緩衝溶液を用いるハイブリダゼーション、および50〜55℃で1×〜2×SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3M クエン酸三ナトリウム)中の洗浄が挙げられる。例示的な中ストリンジェンシー条件としては、40〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中、37℃でのハイブリダイゼーション、および55〜60℃で0.5×〜1×SSC中の洗浄が挙げられる。例示的な高ストリンジェンシー条件としては、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中、37℃でのハイブリダイゼーション、および60〜65℃で0.1×SSC中の洗浄が挙げられる。任意に、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1%SDSを含んでもよい。ハイブリダイゼーションの持続時間は、通常、約24時間未満、普通は約4〜12時間である。洗浄時間の持続時間は、少なくとも平衡に達するのに十分な時間である。
【0078】
特異性は、一般的に、ハイブリダイゼーション後の洗浄の機能であり、決定的因子はイオン強度および最終洗浄溶液の温度である。DNA−DNAハイブリッドの場合、Tは、以下のMeinkothおよびWahl(1984) Anal. Biochem. 138:267−284の式から概算できる。すなわち、T=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L。ここで、Mは一価陽イオンのモル数であり、%GCはDNA中のグアノシンヌクレオチドおよびシトシンヌクレオチドの割合であり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの割合であり、Lは塩基対中のハイブリッドの長さである。Tは、相補的な標的配列の50%が完全にマッチングしたプローブにハイブリダイズする(明示したイオン強度およびpHで)時の温度である。Tは、1%のミスマッチングごとに約1℃ずつ低下する。従って、T、ハイブリダイゼーション、および/または洗浄の条件を調整して、所望の相同性を有する配列にハイブリダイズさせることができる。例えば、≧90%の相同性を有する配列を求める場合、Tを10℃低下させることができる。通常、ストリンジェント条件は、特定の配列および明示したイオン強度およびpHでのその相補体ついてのTよりも約5℃低くなるように選択される。しかし、高度のストリンジェント条件は、そのTよりも1、2、3、または4℃低いTでハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を活用することができ、中度のストリンジェント条件は、そのTよりも6、7、8、9、または10℃低いTでハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を活用することができ、低ストリンジェンシー条件は、そのTよりも11、12、13、14、15、または20℃低いTでハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を活用することができる。該式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件、ならびに所望のTを用いることは、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄の溶液のストリンジェンシーにおける変化が本質的に説明されていることを当業者は理解する。ミスマッチング結果の所望の程度が45℃未満(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)のTの結果になる場合、より高い温度を用いることができるようにSSC濃度を上げることが最適である。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範囲な手引書は、以下に見出される。すなわち、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 (Elsevier, New York);および Ausubel et al., eds. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2 (Greene Publishing and Wiley−Interscience, New York)。Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York)を参照されたい。
【0079】
以下の用語を用いて、2つ以上のポリヌクレオチド間またはポリペプチド間の配列関係を説明する。すなわち、(a)「参照配列」、(b)「比較領域」、(c)「配列相同性」、および「配列相同性の割合」である。
【0080】
(a)本明細書において、「参照配列」は、配列比較の基礎として用いる定義された配列である。参照配列は、特定の配列(例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメントとして、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列)のサブセットまたは全体であり得る。
【0081】
(b)本明細書において、「比較領域」はポリヌクレオチド配列の近接する特定のセグメントについて言及する。ここで、ポリヌクレオチド配列は、2つのポリヌクレオチドの最適なアライメントのための参照配列(付加もしくは欠失を含まない)と比較して、比較領域内のポリヌクレオチド配列が付加もしくは欠失(すなわちギャップ)を含み得る。通常、比較領域は、長さが少なくとも20の近接するヌクレオチドであり、場合により、30、40、50、100、またはそれ以上の長さであり得る。ポリヌクレオチド配列におけるギャップの封入体のために参照配列に対する高度な類似性を回避するために、一般的にギャップペナルティが導入され、マッチング数から差し引かれることを、当業者は理解する。
【0082】
比較のための配列アライメントの方法は、当該技術分野で周知である。従って、任意の2つの配列間の配列相同性の割合の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成されることができる。そのような数学的アルゴリズムの非限定的な例としては、MyersとMillerのアルゴリズム((1988) CABIOS 4:11−17)、Smithらの局所アライメントアルゴリズム((1981) Adv.Appl. Math.2:482)、NeedlemanとWunschのグローバルアライメントアルゴリズム((1970) J. Mol.Biol. 48:443−453)、PearsonとLipmanのサーチフォローカルアライメント法((1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:2444−2448)、KarlinとAltschulのアルゴリズム((1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 872264, modified as in Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−5877)が挙げられる。
【0083】
これらの数学的アルゴリズムのコンピュータによる実現は、配列の比較を利用して配列相同性を決定することができる。そのような実現としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、PC/GeneプログラムのCLUSTAL(Intelligenetics, 米国カリフォルニア州マウンテンビューから入手可能)、ALIGNプログラム(バージョン2.0)ならびにGCG Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA(バージョン10)(Accelrys Inc., 9685 Scranton Road, San Diego, California, USAから入手可能)。これらのプログラムを使用するアライメントは、デフォルトパラメータを使用して実行されることができる。CLUSTALプログラムは、以下に十分に記述されている。すなわち、Higgins et al. (1988) Gene 73:237−244(1988);Higgins et al. (1989) CABIOS 5:151−153;Corpet et al. (1988) Nucleic Acids Res. 16:10881−90;Huang et al. (1992) CABIOS 8:155−65;およびPearson et al. (1994) Meth.Mol.Biol. 24:307−331。ALIGNプログラムは、MyersとMiller(1988)supra.のアルゴリズムに基づいている。アミノ酸配列を比較する場合、PAM120重量残基の表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティは、ALIGNプログラムを利用することができる。Altschul et al (1990) J. Mol.Biol. 215:403のBLASTプログラムは、KarlinとAltschul (1990)supra.のアルゴリズムに基づいている。本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列と相同であるヌクレオチド配列を取得するために、BLATNプログラム(スコア=100、ワード長=12)を使用してBLASTヌクレオチド検索を行うことができる。本発明のタンパク質またはポリペプチドと相同であるアミノ酸配列を取得するために、BLASTXプログラム(スコア=50、ワード長=3)を使用してBLASTタンパク質検索を行うことができる。比較目的でギャップアライメントを取得するために、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389に記述されるようにギャップBLAST(BLASTバーション2.0に含まれる)を利用することができる。あるいは、PSI−BLAST(BLASTバージョン2.0に含まれる)を使用して、分子間の距離関係を検索する反復検索を行うことができる。Altschul et al. (1997)supra.を参照されたい。BLASTを使用する場合、ギャップGLAST、PSI−BLAST、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、ヌクレオチド配列に関してはBLASTN、タンパク質に関してはBLASTX)を使用できる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。アライメントは、検査によって手動でも行われ得る。
【0084】
特に明記しない限り、本明細書で示す配列相同性/類似性の値は、以下のパラメータを用いてGAPバージョン10を使用して取得した値をいう。すなわち、50のギャップ重量および3の長重量、ならびにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックを用いてヌクレオチド配列の%同一性および%類似性;8のギャップ重量および2の長重量、ならびにBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いてアミノ酸配列の%同一性および%類似性;またはそれらと同等の任意のプログラム。「同等のプログラム」とは、任意の配列比較プログラムを意味することを意図する。すなわち、GAPバージョン10で生成した対応するアライメントと比較するとき、問題になっている任意の2つの配列に対して、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のマッチングおよび同一の配列相同性の割合を有するアライメントを生成する。
【0085】
マッチング数を最大化しかつギャップ数を最小化する2つの完全な配列のアライメントを見出すために、GAPは、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443−453のアルゴリズムを使用している。GAPは、すべての可能なアライメントおよびギャップの位置を考慮して、マッチングする最大数の塩基および最も少ないギャップでアライメントを作製する。GAPは、マッチングする塩基の単位でギャップ作製ペナルティおよびギャップ伸長ペナルティの提供を可能にする。GAPは、それが挿入する各ギャップに対してマッチングのギャップ作製ペナルティ数の利得を上げるはずである。ゼロより大きいギャップ伸長ペナルティを選択すると、さらにGAPは、ギャップ×ギャップ伸長ペナルティ長の挿入された各ギャップに対して利得を上げるはずである。タンパク質配列のためのGCG Wisconsin Genetics Software Packageのバージョン10でのデフォルトギャップ作製ペナルティ値およびギャップ伸長ペナルティ値は、それぞれ8と2である。ヌクレオチド配列に対するデフォルトギャップ作製ペナルティは50であり、一方でそのデフォルトギャップ伸長ペナルティは3である。ギャップ作製ペナルティおよびギャップ伸長ペナルティは、0〜200からなる整数の群から選択される整数として表されることができる。従って、例えば、ギャップ作製ペナルティおよびギャップ伸長ペナルティは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、またはそれ以上であり得る。
【0086】
GAPは、最高アライメントのファミリーからの1つのメンバーを提示する。このファミリーには多数のメンバーが存在することもあるが、より良い質を有する他のメンバーはない。GAPは、アライメントに対して4つの性能指数を示す。すなわち、質、比率、同一性、および類似性である。質は、配列を整列させるための最大限の測定基準である。比率は、塩基数によって短いセグメントに分割された質である。パーセント同一性は、実際にマッチングするシンボルのパーセントである。パーセント類似性は、類似するシンボルのパーセントである。ギャップ間にわたるシンボルは、無視される。一対のシンボルに対するスコアリングマトリックス値が0.50(類似性閾値)より大きいまたは等しい場合、類似性がスコア化される。GCG Wisconsin Genetics Software Packageのバージョン10で使用されるスコアリングマトリックスは、BLOSUM62(Henikoff and Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915を参照されたい)である。
【0087】
(c)本明細書において、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と関連して「配列相同性」または「同一性」は、特定の比較領域の上に最大一致のために整列されたとき、同一である2つの配列中の残基を参照する。配列相同性の割合がタンパク質に関連して用いられる場合、認識されていることは、同一でない残基の位置が保存的アミノ酸置換によって異なることが多いことである。この場合、アミノ酸残基は、同様の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基の代りに用いられ、従って分子の機能特性は変わらない。保守的置換に差がある配列の場合、配列相同性の割合を上方調整して、置換の保守的性質を修正してもよい。そのような保守的置換だけが異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。この調整を行う方法は、当業者にとって周知である。一般的に、これは、完全ミスマッチングよりもむしろ部分ミスマッチングとして保守的置換をスコアリングすることを含み、それによって配列相同性の割合を増加させる。従って、例えば、同一のアミノ酸に1のスコアを与え、かつ非保守的置換にはゼロのスコアを与える場合、保守的置換にはゼロと1との間のスコアを与える。保守的置換のスコアリングは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics,米国カリフォルニア州マウンテンビュー)で実行されるように、算出される。
【0088】
(d)本明細書で使用するように、「配列相同性の割合」とは、比較領域の上に最適に配列された2つの配列を比較することによって決定される値を意味し、ここで2つの配列の最適なアライメントのための参照配列(付加もしくは欠失を含まない)と比較すると、比較領域内のポリヌクレオチド配列の部分が付加もしくは欠失(すなわちギャップ)を含み得る。この割合は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がマッチングする位置の数をもたらす両配列に生じる位置の数を決定し、マッチングした位置の数を比較領域内の位置の総数で割ってから、配列相同性の割合をもたらすためにその結果に100を掛けることによって算出される。
【0089】
本発明の方法を用いて、公知の遺伝子の任意の標的グループの相同領域を共有する新規遺伝子を同定してもよい。一実施形態において、即時方法を用いて、種々の害虫に対して効果的である新規殺虫性遺伝子を同定する。本発明の目的で、以下の害虫が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、昆虫、真菌、細菌、線虫、コナダニ、病原体原虫、動物寄生肝吸虫等である。特に興味深い害虫は、農作植物に深刻は被害をもたらす害虫である。害虫として、鞘翅目、双翅目、膜翅目、鱗翅目、食毛目、ヨコバイ亜目、半翅目、直翅目、総翅目、革翅目、等翅目、シラミ目、ノミ目、毛翅目等から選択される昆虫、具体的には鞘翅目および鱗翅目が挙げられる。農作植物のための本発明の害虫としては、以下が挙げられる。すなわち、トウモロコシ:ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)、ヨトウガの一種(Spodoptera frugiperda)、南西部アワノメイガ(Diatraea grandiosella)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)、サトウキビメイガ(Diatraea saccharalis)、ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera)、ノーザンコーンルートワーム(Diabrotica longicornis barberi)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)、ハリガネムシ(Melanotus spp.)、ノーザンマスクドコガネムシ(地虫)(Cyclocephala borealis)、サザンマスクドコガネムシ(地虫)(Cyclocephala immaculata)、マメコガネ(Popillia japonica)、コーンノミハムシ(Chaetocnema pulicaria)、トウモロコシゾウムシ(Sphenophorus maidis)、コーンアブラムシ(Rhopalosiphum maidis)、コーンルートアブラムシ(Anuraphis maidiradicis)、ヒメコガネナガカメムシ(Blissus leucopterus leucopterus)、アカアシバッタ(Melanoplus femurrubrum)、移動性バッタ(Melanoplus sanguinipes)、ダイズサヤタマバエ(Hylemya platura)、コーンブロットハモグリエバエ(Agromyza parvicornis)、クサキイロアザミウマ(Anaphothrips obscrurus)、盗賊アリ(Solenopsis milesta)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、モロコシ:アワノメイガの一種(Chilo partellus)、ヨトウガの一種(Spodoptera frugiperda)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)、ネキリムシの一種(Feltia subterranea)、地虫(Phyllophaga crinita)、ハリガネムシ(Eleodes、Conoderus、およびAeolus spp.)、クビボソハムシ(Oulema melanopus)、コーンノミハムシ(Chaetocnema pulicaria)、トウモロコシゾウムシ(Sphenophorus maidis)、コーンアブラムシ(Rhopalosiphum maidis)、黄色サトウキビアブラムシ(Sipha flava)、ヒメコガネナガカメムシ(Blissus leucopterus leucopterus)、ソルガムタマバエ(Contarinia sorghicola)、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、コムギ:ヨトウムシ(Pseudaletia unipunctata)、ヨトウガの一種(Spodoptera frugiperda)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)、ウェスタンネキリムシ(Agrotis orthogonia)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)クビボソハムシ(Oulema melanopus)、オオツメクサタコウゾウムシ(Hypera punctata)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)、ロシアコムギブラムシ(Russian wheat aphid)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)、ムギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum avenae)、アカアシバッタ(Melanoplus femurrubrum)、バッタの一種(Melanoplus differentialis)、移動性バッタ(Melanoplus sanguinipes)、コムギタマバエ(Mayetiola destructor)、ムギアカタマバエ(Sitodiplosis mosellana)、ムギキカラバエ(Meromyza americana)、コムギバルブフライ(Hylemya coarctata)、タバコアザミウマ(Frankliniella fusca)、ハバチの一種(Cephus cinctus)、チューリップサビダニ(Aceria tulipae)、ヒマワリ:サンフラワーバドモス(Suleima helianthana)、メイガ科のガ(Homoeosoma electellum)、サンフラワービートル(zygogramma exclamationis)、キャロットビートル(Bothyrus gibbosus)、サンフワラーシードミッジ(Neolasioptera murtfeldtiana)、綿花:ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella)、ワタミハナゾウムシ(Anthonomus grandis)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ワミノハムシ(Pseudatomoscelis seriatus)、オンシツコナジラミの仲間(Trialeurodes abutilonea)、サビイロカスミカメ(Lygus lineolaris)、アカアシバッタ(Melanoplus femurrubrum)、バッタの一種(Melanoplus differentialis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、タバコアザミウマ(Franklinkiella fusca)、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、:サトウキビメイガ(Diatraea saccharalis)、ヨトウガの一種(Spodoptera frugiperda)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)、グレープコラスピス(Colaspis brunnea)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、コクゾウムシ(Sitophilus oryzae)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix nigropictus)、ヒメコガネナガカメムシ(Blissus leucopterus leucopterus)、ホソヘリカメムシ(Acrosternum hilare)、ダイズ:キンウワバ(Pseudoplusia includens)、ベルベットビーンキャタピラ(Anticarsia gemmatalis)、グリーンクローバーワーム(Plathypena scabra)、ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)、インゲンテントウ(Epilachna varivestis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae)、ホソヘリカメムシ(Acrosternum hilare)、アカアシバッタ(Melanoplus femurrubrum)、バッタの一種(Melanoplus differentialis)、ダイズサヤタマバエ(Hylemya platura)、ダイズアザミウマ(Sericothrips variabilis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、イチゴハダニ(Tetranychus turkestani)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、オオムギ:ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、ムギモドリアブラムシ(Schizaphis graminum)、ヒメコガネナガカメムシ(Blissus leucopterus leucopterus)、アオカメムシ(Acrosternum hilare)、茶カメムシ(Euschistus servus)、タネバエ(Delia platura)、ヘシアンバエ(Mayetiola destructor)、ホモノハダニ(Petrobia latens)、菜種:ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、ノミハムシ(Phyllotreta cruciferae)、バーサアワヨトウ(Mamestra configurata)、コナガ(Plutella xylostella)、ハナバエ類(Delia ssp.)。
【0090】
線虫としては、例えば、根瘤線虫、シスト線虫、ならびに破壊線虫(ヘテロデラ種(Heterodera spp.)、ネコブ線虫メロイドジーン種(Meloidogyne spp.)、およびグロボデラ種(Globodera spp.)を含む)を含む寄生線虫が挙げられる。具体的には、シスト線虫のメンバーとして、以下が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、ダイズシスト線虫(Heterodera glycine)、ビートシスト線虫(Heterodera schachtii)、ムギシスト線虫(Heterodera avenae)、ならびにジャガイモシスト線虫(Globodera rostochiensisおよびGlobodera pailida)。破壊線虫としては、根腐れ線虫(Pratylenchus spp.)が挙げられる。
【0091】
本明細書において、用語「植物」は、植物細胞、植物プロトプラスト、植物が再生されることができる植物細胞組織培養物、植物カルス、植物凝集塊、および植物中でインタクトな細胞または植物の部分(例えば、胚、花粉、胚珠、種、葉、花、枝、果実、穀粒、穂、穂軸、殻、茎、根、根端、葯等)である植物細胞を含む。穀物は、その種を栽培または繁殖させる以外の目的で栽培業者によって生成された成熟種子を意味することを意図する。再生される植物の子孫、変異体、および突然変異体がこれらの部分が導入されるポリヌクレオチドを含むならば、これらも本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
即時方法を用いて、公知の遺伝子の任意の標的グループと相同である新規遺伝子を同定できるが、例えば、本発明を用いて任意の植物種でも(単子葉植物および双子植物を含むがこれらに限定されない)害虫関連の損害から保護するポリペプチドをコードする新規殺虫性遺伝子を同定できる。コーン(Zea mays)、アブラナ類(Brassica sp.)(例えば、セイヨウアブラナ(B. napus)、カブ(B. rapa)、カラシナ(B.juncea))(具体的にはこれらのアブラナ類は、種油の原料として有用である)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、米(Oryza sativa)、ライムギ(Secale cereale)、モロコシ(Sorghum bicolor、Sorghum vulgare)、雑穀(例えば、トウジンビエ(Pennisetum glaucum)、キビ(Panicum miliaceum)、アワ(Setaria italica)、シコクビエ(Eleusine coracana))、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、コムギ(Triticum aestivum)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ピーナツ(Arachis hypogaea)、綿花(Gossypium barbadense、Gossypium hirsutum)、サツマイモ(Ipomoea batatus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、コーヒー(Coffea spp.)、ココナツ(Cocos nucifera)、パイナップル(Ananas comosus)、柑橘類の木(Citrus spp.)、ココア(Theobroma cacao)、茶(Camellia sinensis)、バナナ(Musa spp.)、アボカド(Persea americana)、イチジク(Ficus casica)、グアバ(Psidium guajava)、マンゴー(Mangifera indica)、オリーブ(Olea europaea)、パパイヤ(Carica papaya)、カシュー(Anacardium occidentale)、マカダミア(Macadamia integrifolia)、アーモンド(Prunus amygdalus)、サトウダイコン(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum spp.)、オートムギ、オオムギ、野菜、観賞植物、および針葉樹。
【0093】
野菜としては、以下が挙げられる。すなわち、トマト(Lycopersicon esculentum)、レタス(例えばLactuca sativa)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ライマメ(Phaseolus limensis)、エンドウマメ(Lathyrus spp.)、ならびにキュウリ属のメンバー(例えば、キュウリ(C. sativus)、カンタロープ(C. cantalupensis)、およびマスクメロン(C. melo))。観賞植物としては、以下が挙げられる。すなわち、ツツジ(Rhododendron spp.)、アジサイ(Macrophylla hydrangea)、ハイビスカス(Hibiscus rosasanensis)、バラ(Rosa spp.)、チューリップ(Tulipa spp.)、ラッパズイセン(Narcissus spp.)、ペチュニア(Petunia hybrida)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)、およびキク。
【0094】
本発明を実行する際に利用してもよい針葉樹としては、以下が挙げられる。すなわち、マツ(例えば、テーダマツ(Pinus taeda)、スラッシュパイン(Pinus elliotii)、ポンデローサマツ(Pinus ponderosa)、ロッジポールマイン(Pinus contorta)、およびモントレーパイン(Pinus radiata))、アメリカトガサワラ((Pseudotsuga menziesii)、アメリカツガ(Tsuga canadensis)、ベイトウヒ(Picea glauca)、アメリカスギ(Sequoia sempervirens)、モミ(例えばヨーロッパモミ(Abies amabilis)およびバルサムモミ(Abies balsamea))、およびシダー(例えば、ウェスタンレッドシダー(Thuja plicata)およびアラスカイエローシダー(Chamaecyparis nootkatensis)。特定の実施形態において、本発明の植物は、作物(例えば、コーン、ムラサキウマゴヤシ、ヒマワリ、アブラナ属、ダイズ、綿花、ベニバナ、ピーナツ、モロコシ、コムギ、雑穀、タバコ等)である。他の実施形態において、コーンおよびダイズ植物が最適であり、さらに他の実施形態において、コーン植物が最適である。
【0095】
目的の他の植物としては、目的の種子を提供する穀物植物、脂肪種子植物、および豆科植物が挙げられる。目的の種子としては、コーン、コムギ、オオムギ、米、モロコシ、ライムギ等の穀物の種子が挙げられる。脂肪種子植物としては、綿花、ダイズ、ベニバナ、ヒマワリ、アブラナ属、トウモロコシ、ムラサキウマゴヤシ、ヤシ、ココナツ等が挙げられる。豆科植物としては、豆およびエンドウ豆が挙げられる。豆としては、グアー、イナゴマメ、コロハ、ダイズ、つるありインゲン、ササゲ、リョクトウ、ライマメ、ソラマメ、レンティル豆、ヒヨコ豆が挙げられる。
【0096】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語の1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)をいうために用いられる。例として、「要素(単数形)」は、1つ以上の要素を意味する。
【0097】
以下の例を、制限するためでなく、実例として提供する。
【実施例】
【0098】
実験
実施例1: 新規殺虫性遺伝子の同定
BtプラスミドDNAの単離
種々のBt菌株のグリセロール貯蔵物をLB寒天板上に画線した。翌日、各菌株からの単一コロニーを、48ウェルプレートのウェルごとに2mLのTB培地に播種した。このウェルプレートを28℃で、250rpmで一晩インキュベートした。細胞を、室温で10分間6,000xgで遠心させることで収集した。細胞ペレットを、P1懸濁緩衝液(Qiagen)中でボルテックスすることで再懸濁させた。細胞を溶解させて、P2およびP3緩衝液でそれぞれ中和させ、この可溶化液を、減圧を掛けてTurboFilters(Qiagen)に移した。濾液をQIAprepプレートに結合させて、PB緩衝液およびPE緩衝液(Qiagen)で洗浄した。プラスミド調製物をEB緩衝液で溶出させて、96ウェルプレートに収集した。
【0099】

PCRの第1ラウンドのための縮重オリゴヌクレオチドプライマーの設計
新規Bt遺伝子を同定するために、公知のCry遺伝子ならびに新規Cry遺伝子ファミリーを表す殺虫性遺伝子に相同である両オリゴヌクレオチドプライマーを、目標の公知のBt遺伝子の標的グループ内の高相同性領域に対して設計した。本実施例において、標的グループは、鱗翅目および鞘翅目からの昆虫に対して殺虫活性を有する公知のCry遺伝子を含むが、双翅目活性である公知のCry遺伝子を含まない。具体的には、標的グループからのすべての公知のBt Cry遺伝子のヌクレオチド配列を、公開データベースから収集して、これらの配列のアライメントを生成した。プライマー設計の厳しい条件に適したヌクレオチド配列に添っていくつかのDNA領域を、選択したすべてのBt遺伝子で位置付けた。わずかなDNA配列(17〜24の連続するヌクレオチド)がすべての公知の殺虫性Bt遺伝子に存在していたので、これらの領域を殺虫性Bt遺伝子の「特徴的配列」と命名した。
【0100】
最初のプライマー長を選択して、54℃のTを施し、選択した特徴的配列の5’末端から始まる近接するヌクレオチドの領域を観察した。具体的には、領域内のヌクレオチド配列を再度観察して、以下の配列特徴が存在するかを決定した。すなわち、
1)4つ以上の近接する同一のヌクレオチド残基を持たない、
2)ヌクレオチド配列の3’末端の最後の5残基内に2つ以上のグアニン残基またはシトシン残基を持たない、
3)54℃±2℃で一定した融解温度Tmを有する、
4)ヘアピン構造または二量体構造が形成されてない、
5)殺虫性遺伝子の標的グループからの少なくとも1つのヌクレオチド配列に存在する(すなわちアライメント)、および
6)非標的グループ殺虫性遺伝子からのヌクレオチド配列の間では保存されてない。
【0101】
プライマー内の多様性を増加させるために、1塩基対を、アデニン、チミン、シトシン、およびグアニンからなる群から選択したnとさせておいた。
【0102】
配列特徴のすべてが存在する場合、ヌクレオチドの領域内のそのヌクレオチド配列を、PCRの第1ラウンド用のオリゴヌクレオチドプライマーとして用いるために選択した。領域内にヌクレオチド配列が所要の配列特徴を有しない場合は、次いで近接するヌクレオチドの隣接する領域を特徴配列の3’末端に向かって1塩基対ずつ移動させることによって選択し、プロセスを繰り返した。順方向および逆方向の両オリゴヌクレオチドプライマーを、本発明の方法に従って設計した。さらに、順方向プライマーおよび逆方向プライマーを、目的の殺虫性遺伝子中で、約50bp〜約150bp離れたヌクレオチド配列に相補的になるように設計した。PCRの第1ラウンドの一般プライマーの設計方法論の概略図を図1に示す。
【0103】

PCR増幅の第1ラウンド:SYBR(登録商標)Greenステップ
Bt菌株から単離した核酸物質の第1の試料についてのPCR増幅の第1ラウンドを、上述のように設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて行なった。具体的には、96ウェルプレート中のBtプラスミド調製物を、以下の反応条件下でPCRによって増幅させた。
鋳型DNA量:100ng
プライマー量:7.5ナノモル(5μM×1.5μL)
反応混合物の容量:25μL
AmpliTag(登録商標)Gold DNAポリメラーゼ活性化:95℃で10分間
PCRサイクル(40サイクル):95℃で15秒間、60℃で1分間。
【0104】

増幅の第1ラウンドからのPCR産物を、SYBR(登録商標)Green蛍光染料および7700ABI Prism Sequence Detection Systemを用いて当該技術分野で公知の方法に従って、検出した。Cry8Bb1遺伝子を含むDP菌株1218−1からのプラスミド調製物を、陽性対照として用いた。2001年10月23日に出願された係属中米国特許出願第10/032,717号(発明の名称「Genes Encoding Novel Proteins with Pesticidal Activity Against Coleopterans」(その全体を参照することによって本明細書に援用する)を参照されたい。上述のPCR条件を用いて、1218−1プラスミド調製物は、7700 ABI Prism Sequence Detection SystemでのPCR増幅に対して標準曲線を生成した。陽性対照に関しておよそ13のCt値を得た。鋳型DNAなしでPCR反応混合物だけを含む陰性対照を試験し、約35のCt値を生成した。16未満のCt値を生成したBtプラスミド調製物を、さらに分析用として選択し、SYBR(登録商標)Green陽性と命名した。
【0105】

PCRの第2ラウンド
SYBR(登録商標)Greenプライマーセットからのすべての逆方向プライマー(すなわち、PCRの第1ラウンドで用いた逆方向オリゴヌクレオチドプライマー)を用いて、PCRの第2ラウンド用の順方向プライマー(すなわち、第1ラウンドプライマーの逆方向鋳型)を生成した。これらのプライマーは、SYBR(登録商標)Greenステップ(すなわち、PCRの第1ラウンド)およびPCRの第2ラウンド間の架橋として機能した。PCRの第2ラウンドで用いる逆方向プライマーを、基本的に第1ラウンドのオリゴヌクレオチドプライマーに関して上述したように設計した。PCRプライマーTを54℃±2℃に維持し、約650bp〜約700bpのフラグメントを生成するように設計した。PCRの第2ラウンド用の一般プライマーの設計方法論の概略図を、図1に示す。
【0106】
プラスミドDNAを、PCRの第1ラウンドでSYBR(登録商標)Green陽性対照として同定したBt菌各から単離し、次いでPCRの第2ラウンドに掛けた。第2ラウンドのPCR条件は、Qiagen Multiplex PCRキットおよび上述のBtプラスミド調製物を用いて、以下の通りであった。すなわち、
DNA 0.5μg
プログラム:
95℃で15分間
94℃で30秒間
54℃で1.5分間
72℃で1.5分間
ステップ2からステップ4までを35回繰り返す
72℃で10分間
4℃で無制限に。
【0107】

第2ラウンドからのPCR反応を、1.0%アガロースゲル電気泳動を用いて分析し、650bp〜700bpの予想されるフラグメントを、次いで、平滑末端化Vectorキット(Invitrogen)を用いて、細菌性クローニングベクターにクローン化した。ライゲーションの後、産物をTop10大腸菌(E.coli)コンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換させた。個々の細菌コロニーからプラスミドDNAを調製して、以下に記述するようにドットプロット分析によって分析した。
【0108】

ドットブロット分析
分析から公知のBt遺伝子を除外して、PCRの第1ラウンドおよび第2ラウンドで用いた特徴的配列を含む新規殺虫性遺伝子を同定するために、ドットブロット分析を行なった。具体的には、個々の細菌コロニーから単離したプラスミドDNAを正帯電したナイロン膜(Roche)上にブロットした。標的グループ内のすべての殺虫性遺伝子に特異的なプローブが、PCRの第2ラウンドの間に生成されたDNAの予想される配列フラグメント内に存在するように設計した。ドットプロットステップの一般プローブの設計方法論の概略図を、図1に示す。すべてのプローブを、約74℃±2℃のTを有するように設計した。全3ステップ(すなわち、PCRの第1ラウンド、PCRの第2ラウンド、およびドットブロット分析)において、プライマー/プローブの混合物を各ステップで用いることができるようにオリゴヌクレオチドプライマー/プローブのTを決定した。オリゴヌクレオチドプローブを、DIGオリゴヌクレオチド3’末端標識キット(Roche)を用いて標識化して、公知のBt遺伝子を求めてドットブロットをスクリーニングするために用いた。それぞれのプローブを、各プローブの特異性および有効性を確保するために、個別およびプローブの混合物として試験した。
【0109】
ドットブロット分析によって公知のBt遺伝子に対して陽性と特徴付けたプラスミド調製物のすべてを、さらなる分析から除外した。ドットブロットによる分析で陰性と特徴付けたプラスミド調製物を、以下に記述するようにその新規性を評価するために、さらに配列分析に掛けた。
【0110】

配列分析
PCRの第2ラウンドの間生成され、ドットブロット分析によって「陰性」と特徴付けた核酸(すなわち、650bp〜700bpのフラグメント)を、配列決定した。これらの核酸の配列結果を、公開データベースで利用可能なヌクレオチド配列に対してBLASTを用いて比較した。配列分析が潜在的に新規Bt遺伝子を示す場合、その全長遺伝子のヌクレオチド配列を、GenomeWalker Universal Kit (Becton Dickinson Bioscience)を用いて取得した。推定上新規全長殺虫性遺伝子のヌクレオチド配列を、その新規性を確認するために、上述のようにさらに分析した。新規殺虫性遺伝子(例えば、配列番号1、3、および5に記載するもの(および、それによってコードされ、配列番号2、4、および6にそれぞれ記載するポリペプチド))を、本発明の方法によって同定した。新規殺虫性遺伝子を、以下に記述するように殺虫活性について試験した。
【0111】

バイオアッセイ
新規殺虫性遺伝子を発現ベクターにクローン化して、トウモロコシ害虫に対する殺虫活性をアッセイした。そのような方法は、通常、当該技術分野で公知である。鞘翅目に対する殺虫活性をアッセイする方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、米国特許出願公開第2002/0151709号に記述されている。鱗翅目に対する殺虫活性についてのアッセイは、例えば、米国特許出願公開第2005/0138684号に開示されている。
【0112】

結果
バイオアッセイの結果を表1および表2に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】


明細書に記載する刊行物および特許出願のすべては、本発明が関連する当業者のレベルを示す。刊行物および特許出願のすべては、それぞれの刊行物および特許出願が参照することによって援用されることを具体的かつ個別に示されているかのように、同じ程度まで参照することによって本明細書に援用される。
【0115】
前述の発明は、明瞭な理解の目的で説明および実施例として多少詳しく述べているが、
いくつかの変更および修飾が添付する特許請求の範囲内で行なわれ得ることは言うまでもない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規殺虫性遺伝子を同定する方法であって、
a)殺虫性遺伝子の標的グループに特異的であるPCRの第1ラウンドで用いる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー、すなわち、それぞれのプライマーが前記標的グループのヌクレオチド配列に存在する特徴的配列を標的にする順方向プライマーと逆方向プライマーとを含むプライマーの対を設計するステップと、
b)目的の微生物由来の核酸物質の第1の試料を取得するステップと、
c)核酸物質の前記第1の試料を、PCRによる増幅に適した条件下で、PCRの前記第1ラウンドで用いる少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび熱安定性DNAポリメラーゼと混合するステップと、
d)PCRの第1ラウンドを行い、PCR増幅産物を検出し、それによってPCR産物がPCRの前記第1ラウンドで生成されたかどうかを決定するステップと、
e)PCRの前記第1ラウンドでPCR産物が検出される場合、前記微生物由来の核酸物質の第2の試料を取得するステップと、
f)殺虫性遺伝子の前記標的グループに特異的であるPCRの第2ラウンドで用いる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー、すなわち、それぞれのプライマーが前記標的グループの前記ヌクレオチド配列に存在する特徴的配列を標的にする順方向プライマーと逆方向プライマーとを含むプライマーの対を設計するステップと、
g)核酸物質の前記第2の試料を、PCRによる増幅に適した条件下で、PCRの前記第2ラウンドで用いる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーおよび熱安定性DNAポリメラーゼと混合し、PCRの第2ラウンドを行うステップと、
h)PCRの前記第2ラウンドで生成される任意のPCR増幅産物を、アガロースゲル電気泳動を用いて分離し、推定上の新規殺虫性遺伝子のフラグメントを含み得る核酸フラグメントをさらなる分析のために単離するステップと、
i)それぞれの核酸フラグメントをクローニングベクターにクローン化するステップと、
j)ステップ(h)で単離される前記核酸フラグメントを含むクローニングベクターを用いて宿主細胞を形質転換させるステップと、
k)クローニングベクターを含む個々の宿主コロニーから核酸試料を調製するステップと、
l)前記個々の宿主コロニーからの前記核酸試料を、前記標的グループからのすべての公知の殺虫性遺伝子に特異的である標識プローブを用いるドットブロット分析に掛け、ステップ(h)で単離し前記ドットブロット分析ステップの間に検出されない核酸フラグメントが推定上の新規殺虫性遺伝子フラグメントを含むステップと、
m)前記推定上の新規殺虫性遺伝子フラグメントを分析するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
目的の前記微生物がバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)菌株を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
目的の前記微生物由来の核酸物質から第1の試料および第2の試料を取得するステップが前記バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)菌株からプラスミドDNAを調製することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
目的の前記微生物から核酸物質を取得するステップがDNAを単離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
殺虫性遺伝子の前記標的グループがバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)Cry遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的グループが鞘翅目からの昆虫に対して殺虫活性を有するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)Cry遺伝子を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
PCRの前記第1ラウンドが定量リアルタイムPCRを行うステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
PCRの前記第1ラウンドが蛍光実体の存在下で行われ、前記蛍光実体がPCR産物の存在を示し、かつPCR産物の量に関するシグナルを提供可能な、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記蛍光実体が染料である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記染料がSYBR(登録商標)Greenである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ドットブロット分析で用いられる前記標的グループからのすべての公知の殺虫性遺伝子に特異的である標識プローブが、PCRの前記第2ラウンドの間に生成される前記核酸フラグメントに存在する領域に特異的であるように設計される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ドットブロット分析で用いられる前記標識プローブが約70℃乃至約85℃の熱融解温度(T)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記Tが約80℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
PCRの前記第1ラウンドで用いられる少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーが、前記バチルス・チューリンゲンシス(Bacillusthuringiensis)Cry遺伝子のドメイン1に存在するヌクレオチド配列に特異的であるように設計される、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
PCRの前記第2ラウンドで用いられる少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーが、前記バチルス・チューリンゲンシス(Bacillusthuringiensis) Cry遺伝子のドメイン2に存在するヌクレオチド配列に特異的であるように設計される、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
PCRの前記第1ラウンドおよび前記第2ラウンドで用いられる少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーのTが約50℃乃至約65℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記Tが約52℃乃至約56℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記推定上の新規殺虫性遺伝子フラグメントを分析するステップがヌクレオチド配列の分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ヌクレオチド配列の分析が推定上の新規殺虫性遺伝子フラグメントを含む核酸を配列決定するステップと、前記推定上の新規殺虫性遺伝子フラグメントの前記ヌクレオチド配列をすべての公知の殺虫性遺伝子と比較するステップと、それによって前記フラグメントが新規であるかどうかを決定するステップとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記フラグメントが新規であると決定された場合、前記推定上の新規殺虫性遺伝子の全長を配列決定するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記新規殺虫性遺伝子をクローニングベクターにクローン化するステップと、前記新規殺虫性遺伝子によってコードされるポリペプチドの殺虫活性を評価するステップとを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記殺虫活性を評価するステップがバイオアッセイを行うステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
PCRの前記第1ラウンドで用いられる殺虫性遺伝子の標的グループに特異的な少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーが、前記標的グループのすべてのメンバーと共有される相同領域に特異的であるプライマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
PCRの前記第1ラウンドからの逆方向オリゴヌクレオチドプライマーが、PCRの前記第2ラウンド用の順方向オリゴヌクレオチドプライマーを生成するために用いられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
PCRの前記第1ランウンドで用いられる前記順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記逆方向オリゴヌクレオチドプライマーが、殺虫性遺伝子の前記標的グループ内の約50塩基対(bp)乃至約150bp離れているヌクレオチド配列に相補的である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
PCRの前記第2ラウンドで用いられる前記オリゴヌクレオチドプライマーが約600bp乃至約750bpの長さのフラグメントを生成するように設計される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
PCRの前記第2ラウンドで用いられる前記オリゴヌクレオチドプライマーが約650bp乃至約700bpの長さのフラグメントを生成するように設計される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
殺虫性遺伝子の前記標的グループに特異的であるPCRの前記第1ラウンドで用いられる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを設計するステップが、
a)前記標的グループからのすべてのヌクレオチド配列のアライメントを調製するステップと、
b)前記標的グループのすべてのメンバー間で相同領域を含む特徴的配列を、殺虫性遺伝子の前記標的グループの前記ヌクレオチド配列内で同定するステップと、
c)約15bp乃至30bpである最初のプライマー長を選択するステップと、
d)オリゴヌクレオチドプライマー配列のスクリーニングの第1ラウンドを行い、前記スクリーニングが前記標的グループの前記ヌクレオチド配列内の特徴的配列の近接するヌクレオチドの最初の領域を観察することを含み、前記最初の領域が前記特徴的配列の前記ヌクレチド配列の5’末端で開始されるステップと、
e)前記最初の領域内の前記ヌクレオチド配列が、(i)乃至(vi)の配列の特徴、すなわち、
i)4つ以上の近接する同一のヌクレオチド残基を持たない、
ii)前記ヌクレオチド配列の3’末端の最後の5残基内に2つ以上のグアニン残基またはシトシン残基を持たない、
iii)約50℃乃至65℃のTを有する、
iv)ヘアピン構造または二量体構造が形成されない、
v)殺虫性遺伝子の前記標的グループからの少なくとも1つの前記ヌクレオチド配列に存在する(すなわち上述のアライメント)、および
vi)殺虫性遺伝子の非標的グループからのヌクレオチド配列の間で保存されてない、
を有しているかどうかを決定し、
再観察される前記ヌクレオチド配列内の1つのヌクレオチド残基がnであることが許され、ここでnがアデニン、チミン、グアニン、およびシトシンからなる群から選択される任意のヌクレオチドであるステップと、
f)ステップ(e)の配列の特徴のすべてが存在する場合、オリゴヌクレオチドプライマーとして用いる前記最初の領域内の前記ヌクレオチド配列を選択するステップと、
g)前記最初の領域内の前記ヌクレオチド配列がステップ(e)の配列の特徴のすべてを有しない場合、前記標的グループの前記ヌクレオチド配列内の前記特徴的配列の3’末端に向かって前記最初の領域を1塩基対ずつ移動させることによって接近するヌクレオチドの隣接する領域を選択し、前記隣接する領域が前記最初のプライマーの長さと等しい長さであるステップと、
h)前記配列の特徴のすべてを有するヌクレオチド配列が同定されるまで、または前記標的グループの全特徴的配列がスクリーニングされるまで、前記隣接する領域でステップ(e)乃至(g)を繰り返すステップと、
i)第1の特徴的配列をスクリーニングすることによって前記特徴のすべてを有するヌクレオチド配列が同定されない場合、殺虫性遺伝子の前記標的グループの前記ヌクレオチド配列内で第2の特徴的配列を選択し、前記第2の特徴的配列を用いて、ステップ(c)乃至(h)を繰り返すことを含むスクリーニングの付加的ラウンドを行うステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記Tが約52℃乃至約56℃である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
殺虫性遺伝子の前記標的グループに特異的であるPCRの前記第1ラウンドで用いられる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを設計するステップが、請求項28に記載の方法に従って縮重オリゴヌクレオチドプライマー対の混合物を、それぞれの対のオリゴヌクレオチドプライマーが前記標的グループ内でできるだけ多くの殺虫性遺伝子に特異的になるように設計することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項30に従って設計される前記複数対のオリゴヌクレオチドプライマーの前記混合物がPCRの前記第1ラウンドで用いられる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
殺虫性遺伝子の前記標的グループに特異的なPCRの前記第2ラウンドで用いられる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを設計するステップが、
a)PCRの前記第2ラウンドで順方向オリゴヌクレオチドプライマーを生成するために、PCRの前記第1ラウンドからの逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを用いるステップと、
b)PCRの前記第2ラウンドで用いる逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために、殺虫性遺伝子の前記標的グループからのすべてのヌクレオチド配列のアライメントを調製するステップと、
c)前記標的グループの前記ヌクレオチド配列内で、前記標的グループのすべてのメンバー間で相同領域を含む特徴的配列を同定し、PCRの前記第2ラウンド用の前記逆方向プライマーを設計するために用いられる前記特徴的配列が、PCRの前記第1ラウンドで用いられる前記逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために用いられる前記特徴的配列に対して3’に位置付けられる、ステップと、
d)前記配列の特徴のすべてを有するヌクレオチド配列が同定されるまで、請求項28に記載のステップ(c)乃至(i)を行い、PCRの前記第2ラウンドで逆方向プライマーとして用いる前記ヌクレオチド配列を選択するステップと、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記Tが約52℃乃至約56℃である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
殺虫性遺伝子の前記標的グループに特異的であるPCRの前記第2ラウンドで用いられる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを設計するステップが、請求項32に記載の方法に従って縮重オリゴヌクレオチドプライマー対の混合物を、それぞれの対のオリゴヌクレオチドプライマーが前記標的グループ内でできるだけ多くの殺虫性遺伝子に特異的になるように設計することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
請求項34に従って設計される前記複数対のオリゴヌクレオチドプライマーの混合物が、PCRの前記第2ラウンドで用いられる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項30に従って設計される縮重オリゴヌクレオチドプライマー対の混合物がPCRの前記第1ラウンドで用いられ、かつ請求項34に従って設計される縮重オリゴヌクレオチドプライマー対の混合物がPCRの前記第2ラウンドで用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
公知の遺伝子の標的グループとの相同性を共有する新規遺伝子を同定する方法であって、
a)遺伝子の標的グループに特異的であるPCRの第1ラウンドで用いる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー、すなわち、それぞれのプライマーが前記標的グループのヌクレオチド配列に存在する特徴的配列を標的にする順方向プライマーと逆方向プライマーとを含むプライマーの対を設計するステップと、
b)目的の生物由来の核酸物質の第1の試料を取得するステップと、
c)核酸物質の前記第1の試料を、PCRによる増幅に適した条件下で、PCRの前記第1ラウンドで用いる少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび熱安定性DNAポリメラーゼと混合するステップと、
d)PCRの第1ラウンドを行い、PCR増幅産物を検出し、それによってPCR産物がPCRの前記第1ラウンドで生成されたかどうかを決定するステップと、
e)PCRの前記第1ラウンドでPCR産物が検出される場合、前記生物由来の核酸物質の第2の試料を取得するステップと、
f)遺伝子の前記標的グループに特異的であるPCRの第2ラウンドで用いる少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー、すなわち、それぞれのプライマーが前記標的グループの前記ヌクレオチド配列に存在する特徴的配列を標的にする順方向プライマーと逆方向プライマーとを含むプライマーの対を設計するステップと、
g)核酸物質の前記第2の試料を、PCRによる増幅に適した条件下で、PCRの前記第2ラウンドで用いる少なくとも一対の前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび熱安定性DNAポリメラーゼと混合し、PCRの第2ラウンドを行うステップと、
h)PCRの前記第2ラウンドで生成される任意のPCR増幅産物を、アガロースゲル電気泳動を用いて分離し、前記標的グループの前記遺伝子との相同性を共有する推定上の新規遺伝子フラグメントを含み得る核酸フラグメントをさらなる分析のために単離するステップと、
i)それぞれの核酸フラグメントをクローニングベクターにクローン化するステップと、
j)ステップ(h)で単離される前記核酸フラグメントを含むクローニングベクターを用いて宿主細胞を形質転換させるステップと、
k)クローニングベクターを含む個々の宿主コロニーから核酸試料を調製するステップと、
l)前記個々の宿主コロニーからの前記核酸試料を、前記標的グループからのすべての公知の遺伝子に特異的である標識プローブを用いるドットブロット分析に掛け、ステップ(h)で単離され、前記ドットブロット分析ステップの間に検出されない核酸フラグメントが、前記標的グループの前記遺伝子との相同性を共有する推定上の新規遺伝子フラグメントを含むステップと、
m)前記推定上の新規遺伝子フラグメントを分析するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−544288(P2009−544288A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521018(P2009−521018)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/073983
【国際公開番号】WO2008/011565
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(507101314)パイオニア ハイ−ブレッド インターナショナル, インコーポレイテッド (4)
【出願人】(505400118)イー.アイ. デュ ポン デ ヌムール アンド カンパニー (8)
【Fターム(参考)】