説明

新規香料成分及び香料組成物

【課題】化学的に安定でかつ商業的に安価な供給が可能な、シネンサール様柑橘香気を示す新規な2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール、並びに該シネンサール様柑橘香気を有する化合物を含む香料組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールは、下記式で示され、本発明の香料組成物は、該式で示される化合物を含有することを特徴とする。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品及び香粧品等の賦香に用いられる新規な2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール及びそれを含有する香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
α−及びβ−シネンサールは柑橘様の香気成分として重要な天然成分として知られており、柑橘系香料の中で重要な香料素材の一つである。しかし、オレンジ精油から得られるシネンサールは大変微量であり、天然精油成分特有の含有量の変動を考慮に入れると、安定供給は困難であって、α−及びβ−シネンサール高含有精油を使用した製品は価格の点からも使用困難である。α−及びβ−シネンサールの合成の試みは、例えば、非特許文献1及び特許文献1において、1−エトキシ−2−メチルブタンジエンと2−メチル−6−メチレンオクタ−2,7−ジエタノールによるクライゼン転移反応を使用した製造法が提案されている。しかし、この製造法は、触媒として酢酸水銀が使用されており、環境及び人体への影響を考えると使用困難である。
一方、特許文献2において提案されているβ−シネンサールの合成法は水素化ジイソプロピルアルミニウムやブチルリチウムを使用するので、安価に合成する方法としては不向きである。
炭素数15の鎖状セスキテルペンアルデヒド類である類縁化合物による香料素材としての試みは、特許文献1に開示された、2,6,10−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエナールや2,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエナールの調製、特許文献3に開示されたファルネサールの水素化により得られた2(3)−ジヒドロファルネサールの調製が報告されている。しかし、これらの香料素材は、シネンサールの代替を目的とされた香料ではない。
【0003】
天然らしい柑橘香気を再現するためには、シネンサールは重要である。しかし、α−及びβ−シネンサールは、化学構造上共役二重結合を有するため、化学的に非常に酸化・重合を受け易い性質を有している。
【特許文献1】米国特許第3654309号明細書
【特許文献2】特開平11−279103号公報
【特許文献3】特開平8−3092号公報
【非特許文献1】J. Amer. Chem. Soc. 91(13) 3281-3289(1969)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、化学的に安定でかつ商業的に安価な供給が可能な、シネンサール様柑橘香気を示す新規な2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールを提供することにある。
本発明の別の課題は、シネンサール様柑橘香気特性を持ちつつ、シネンサールと比較して化学的に安定な新規な香料素材を含む香料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、炭素数15の鎖状セスキテルペンアルデヒド類の中で、シネンサール様柑橘香気を有し、かつ製造が比較的容易な化合物について鋭意検討した。その結果、2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールが、シャープなシネンサール様柑橘香気を有し、香料素材として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明によれば、下記式で示される2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール(以下、化合物(1)という)が提供される。
【化2】

また本発明によれば、上記化合物(1)を含有することを特徴とする香料組成物が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化合物(1)は、化学的に安定でかつ商業的に安価な供給が可能であり、それ自体シネンサール様柑橘の重厚な香気を有するので、香料素材として有用である。また、他の香料に任意の割合で添加混合することで、ナチュラル感、ボリューム感の増した調合香料を得ることができる。
本発明の香料組成物は、上記化合物(1)を含有するので、香水、石鹸、シャンプー、リンス、洗剤、化粧品、スプレー、芳香剤等の調合香料として使用することができる。また、飲料、冷菓、焼き菓子、キャンディー、チューインガム等の食品の香料にも広範に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の化合物(1)は、上記式で示される2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールである。該化合物(1)は、例えば、4,8−ジメチル−4,9−デカジエナール(以下、化合物(2)という)等のアルデヒド類を、塩基又は酸性触媒存在下、プロピオンアルデヒドと縮合させる方法により容易に製造することができる。
前記塩基としては、例えば、「新実験化学講座 有機化合物の合成と反応(II)」丸善株式会社発行、第736〜739頁に記載の、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアミド、シアン化カリウム、酢酸ナトリウム、ピペリジン、ジエチルアミンが挙げられる。塩基の使用量は、塩基の種類に応じて適宜選択することができるが、一般には、原料化合物に対して0.001〜10質量%とすることが好ましい。
【0009】
前記酸性触媒としては、例えば、塩化水素、塩化亜鉛、亜硫酸水素カリウムを使用することができる。
触媒を用いて縮合反応を行う場合、水、アルコール、エーテル、ヘキサン、トルエン、ベンゼン等の溶媒を用いて行うことができる。溶媒の使用量は、原料化合物に対して10〜500質量%が好ましい。反応温度は、室温から300℃の範囲で適宜選択することができる。
尚、本発明の化合物(1)の製造においては、主成分の2,6,10−トリメチル−(E,E)−2,6,11−ドデカトリエナール以外に構造異性体である、2,6,10−トリメチル−(E,Z)−2,6,11−ドデカトリエナール、2,6,10−トリメチル−(Z,E)−2,6,11−ドデカトリエナール、2,6,10−トリメチル−(Z,Z)−2,6,11−ドデカトリエナールが、主成分に対して5〜60質量%程度含まれる場合がある。
これらの混合物は、例えば、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常用いられる分離法によって各成分を精製することができ、また、賦香材料として使用する場合には、分離せず混合物のまま用いることもできる。
【0010】
前記反応において本発明の化合物(1)の原料として用いられる化合物(2)は、例えば、以下の反応式に従って製造することができる。即ち、炭素炭素二重結合に隣接するハイドロキシ基を有する市販品のイソミルセノールに、エチルビニルエーテルを作用させることにより、ジアリルアセタールとし、酸触媒存在下、アリルビニルエーテル体に導き、クライゼン転移反応にて所望の原料アルデヒドを得ることができる。
前記酸触媒としては、例えば、リン酸、塩化水素、塩化亜鉛、亜硫酸水素カリウムを用いることができる。酸触媒の使用量は、イソミルセノールに対して、0.01〜2.0質量%とすることが好ましい。
上記反応は、無溶媒で行うこともできるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤を使用して行うことができる。
反応温度は、通常30〜230℃、好ましくは100〜180℃の範囲である。
【0011】
前記原料アルデヒドの製造においては、構造異性体である、4,8−ジメチル−(Z)−4,9−デカジエナールが主成分の4,8−ジメチル−(E)−4,9−デカジエナールに対して5〜30質量%程度含まれることがあるが、これらの混合物から蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常用いられる分離法によって各成分を精製することができる。また、分離せず混合物のまま本発明の化合物(1)の製造に使用することもできる。
【0012】
本発明の化合物(1)は、それ自体、シネンサール様柑橘の重厚な香気を有し、また化合物(1)を他の香料に種々の割合で添加することにより、ナチュラル感、ボリューム感の増した調合香料を得ることができる。
本発明の化合物(1)を香料組成物とする場合、その配合量は、対象とする調合香料、目的とする香気等によって異なるが、目的とする香気を賦香できる量であれば特に限定されない。通常は、香料組成物中に、0.01〜90質量%の範囲で配合することが好ましい。
【0013】
本発明の香料組成物は、本発明の化合物(1)を含み、例えば、香水、オードトワレ、コロン、アフターシェイブローション、石鹸、浴用ゲル、シャワーゲル、シャンプー、リンス、洗剤、化粧品、ボディーデオドラント、エアフレッシュナースプレー、芳香剤等の調合香料として使用することができる。また、飲料、冷菓、焼き菓子、キャンディー、チューインガム等の食品にも広範に使用することができる。
これら香料組成物の用途において、本発明の化合物(1)を単独で使用しても良く、また、香料工業において常用されている他の賦香製品、溶剤又は添加剤と混合して使用することもできる。更に、賦香すべき製品の性質及び望ましい嗅覚的な効果によって配合成分を種々選択することができる。
【実施例】
【0014】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
(4,8−ジメチル−4,9−デカジエナールの合成)
1リットル耐圧オートクレーブ容器に市販品のイソミルセノール250g(1.6モル)エチルビニルエーテル250g(3.5モル)を入れ、良く混合した。続いて、リン酸0.5gを添加した。耐圧オートクレーブ容器の蓋を閉め、175℃まで攪拌加温した。この際、圧力は4.0kg/cm2に達した。この状態で2.5時間反応させた後、室温まで放置冷却後、反応液は還流器を付けた1リットルフラスコに入れ、45質量%ギ酸300gを加えて、68〜70℃で2時間攪拌を行った。冷却した反応液にベンゼンを添加し、水、5質量%炭酸ナトリウムにて洗浄した。得られた有機層は、61〜66℃/0.4mmHgの条件で減圧蒸留により、所望の4,8−ジメチル−4,9−デカジエナール174gを得た。得られた化合物の1H-NMR及びMSスペクトルの結果及び反応式を以下に示す。
【0015】
【化3】

【0016】
(E)4,8-ジメチル-4,9-デカジエナール(81質量%)
1H-NMR(500MHz,CDCl3,ppm):0.98(3H,d,J=7.0Hz),1.31(2H,m),1.61(3H,brs),1.97 (2H,dqur,J=4.0,7.2Hz),2.10(1H,quint,J=7.0Hz),2.32(2H,brt,J=7.5Hz),2.52(2H,dt,J=2.0,7.5Hz),4.92(1H,m),4.95(1H,m),5.15(1H,m),5.68(1H,ddd,J=7.2,10.0, 17.5Hz),9.75 (1H,t,J=1.7Hz).
MS(m/z,int):55(100),41(85),81(75),67(60),68(50),82(45),95(45),165(2)[M-CH3]
【0017】
(Z)4.8-ジメチル-4,9-デカジエナール(19質量%)
1H-NMR(500MHz,CDCl3,ppm):0.98(3H,d,J=7.0Hz),1.31(2H,m),1.68(3H,brs),1.97 (2H,dqur,J=4.0,7.2Hz),2.10(1H,quint,J=7.0Hz),2.34(2H,brt,J=7.5Hz),2.49(2H,dt,J=2.0,6.5Hz),4.93(1H,m),4.96(1H,m),5.15(1H,m),5.68(1H,ddd,J=7.2,10.0, 17.5Hz),9.78 (1H,t,J=1.7Hz).
MS(m/z,int):55(100),41(90),81(85),67(65),82(50),93(45),95(45)147(5)
【0018】
(2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールの合成)
2リットルの丸底フラスコにメタノール350g、水348g及び水酸化カリウム8gを入れ、良く混合溶解した。続いて、上記で合成した4,8−ジメチル−4,9−デカジエナール180g(1.0モル)とプロピオンアルデヒド116g(2モル)を混和した液を、65℃で滴下した。更に、60℃にて2.5時間加熱攪拌した。室温まで放置冷却後、反応液に酢酸8gを添加し、液性が弱酸性になったことを確認した。反応液中のメタノールを減圧除去した後、トルエンを添加し水にて洗浄した。得られた有機層は、92〜97℃/0.4mmHgの条件で減圧蒸留により、所望の2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール76gを得た。得られた化合物の香気、1H-NMR及びMSスペクトルの結果及び反応式を以下に示す。
【0019】
【化4】

【0020】
香気:シトラス、柑橘様
主成分(EE)2,6,10-トリメチル-2,6,11-ドデカトリエナール(50質量%)
1H-NMR(500MHz,CDCl3,ppm):0.99(3H,d,J=6.5Hz),1.31(2H,m),1.62(3H,brs),1.75 (2H,d,J=1.0Hz),1.98(2H,m),2.11(1H,brt,J=6.8Hz),2.17(2H,brt,J=7.5Hz),2.46(2H, quart,J=7.5Hz),4.92(1H,m),4.95(1H,m),5.16(1H,m),5.69(1H,ddd,J=7.5,10.0,18.0Hz), 6.47(1H,m),9.38(1H,s).
EI-MS(m/z,int):81(100),55(73),95(47),41(49),67(33),39(21),69(26),84(23),220(0.2) [M+]
【0021】
香気:シトラス、柑橘様
成分(ZE)2,6,10-トリメチル-2,6,11-ドデカトリエナール(21質量%)
1H-NMR(500MHz,CDCl3,ppm):0.97(3H,d,J=7.0Hz),1.31(2H,m),1.62(3H,brs),1.71 (2H,d,J=1.0Hz),1.98(2H,m),2.11(1H,brt,J=6.8Hz),2.17(2H,brt,J=7.5Hz),2.44(2H, quart,J=7.5Hz),4.90(1H,m),4.93(1H,m),5.16(1H,m),5.69(1H,ddd,J=7.5,10.0,18.0Hz), 6.55(1H,t,J=7.5Hz),9.40(1H,s).
EI-MS(m/z,int):41(100),55(94),81(69),67(56),95(48),123(48),39(34),53(31),205(22) [M+-CH3].
【0022】
香気:シトラス、柑橘様
成分(EZ)2,6,10-トリメチル-2,6,11-ドデカトリエナール(13質量%)
1H-NMR(500MHz,CDCl3,ppm):0.98(3H,d,J=7.0Hz),1.31(2H,m),1.55(3H,brs),1.75 (2H,d,J=1.0Hz),1.98(2H,m),2.11(1H,brt,J=6.8Hz),2.17(2H,brt,J=7.5Hz),2.46(2H, quart,J=7.5Hz),4.92(1H,m),4.95(1H,m),5.02(1H,m),5.69(1H,ddd,J=7.5,10.0,18.0Hz), 6.47(1H,m),9.39(1H,s).
EI-MS(m/z,int):81(100),55(85),41(58),95(50),84(36),67(34),69(28),53(23),205(20) [M+-CH3].
【0023】
香気:シトラス、柑橘様
成分(ZZ)2,6,10-トリメチル-2,6,11-ドデカトリエナール(2質量%)
1H-NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.01(3H,d,J=6.5Hz),1.31(2H,m),1.55(3H,brs),1.71 (2H,d,J=1.0Hz),1.98(2H,m),2.11(1H,brt,J=6.8Hz),2.17(2H,brt,J=7.5Hz),2.44(2H, quart,J=7.5Hz),4.90(1H,m),4.93(1H,m),5.02(1H,m),5.69(1H,ddd,J=7.5,10.0,18.0Hz), 6.55(1H,t,J=7.5Hz),9.40(1H,s).
EI-MS(m/z,int):81(100).
【0024】
実施例2(シャンプー用香料の調製)
ガラクソリド250質量部、フェキソライド30質量部、ヘリオナール7.5質量部、ヘディオン340質量部、アンブロックス0.5質量部、マグノラン45質量部、イソイースーパー200質量部、リリアール37質量部、ベータイオノン4.5質量部、ペンタライド17質量部、シトロネロール30質量部、ベルドックス6質量部、リグストラール3質量部及びメチルパンプルムース19.5質量部を混合し、シャンプーのためのベース香料を調製した。次いで、ベース香料990質量部に、実施例1で調製した2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール10質量部を混合し、シャンプー用香料を調製した。得られた香料は、ベース香料に比べて、非常に自然でかつ、ボリューム感の増した香料であった。
【0025】
実施例3(織物柔軟剤用香料の調製)
ガラクソリド200質量部、ローズ P 150質量部、フェキソライド30質量部、ヘリオナール7.5質量部、ヘディオン200質量部、カシメラン1.5質量部、T.H-リナロール45質量部、イソイースーパー150質量部、リリアール35質量部、ベータイオノン45質量部、ペンタライド17質量部、シトロネロール30質量部、メチルイオノン50質量部、ヘリオトロピン10質量部及びTH-ゲラニオール19質量部を混合し、フローラル、ローズ様、パウダリー、バイオレット系の織物柔軟剤用のベース香料を調製した。次いで、ベース香料990質量部に、実施例1で調製した2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール1質量部を混合し、織物柔軟剤用香料を調製した。得られた香料は、ベース香料に比べてフローラル、バイオレットノートが更に強調された香料であった。このような匂いの作用は、この香料を約0.1質量%配合した織物柔軟剤で処理された、湿ったリンネル上で顕著に感じられた。
【0026】
実施例4(洗剤用香料の調製)
ガラクソリド180質量部、ローズ P 95質量部、フェキソライド30質量部、γ-デカラクトン7.5質量部、ヘディオン200質量部、カシメラン2.5質量部、T.H-リナロール105質量部、イソイースーパー120質量部、リリアール30質量部、ベータイオノン75質量部、ガンマメチルイオノン85質量部、ペンタライド17質量部、シトロネロール30質量部、バニリン3質量部及びヘリオトロピン10質量部を混合し、フローラルの洗剤用のベース香料を調製した。次いで、ベース香料990質量部に、実施例1で調製した2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール10質量部を混合し、洗剤用香料を調製した。得られた香料は、ベース香料に比べて新鮮なナチュラル感、ボリューム感の増した香料であった。
【0027】
実施例5(飲料用香料の調製)
ガンマウンデカラクトン13質量部、リナロール8質量部、エチルブチレート13質量部、ジメチルベンジルカービニルアセテート11質量部、アミルイソバレレート4質量部、C-3-ヘキセノール19質量部、エチルイソブチレート6質量部、イソアミルアセテート5質量部、エチルアセテート9質量部、オクチルアセテート1質量部、ベンズアルデヒド10質量部、95容量%エタノール600質量部及び水300質量部を混合し、ピーチの飲料用のベース香料を調製した。次いで、ベース香料999部に、実施例1で調製した2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール1質量部を混合し、飲料用香料を調製した。得られた香料は、ベース香料に比べて、ピーチの香りの強度、拡散性が増し、新鮮なナチュラル感、ボリューム感の増した香料であった。
【0028】
実施例6(キャンディー用香料の製造)
オレンジオイル700質量部、マンダリンオイル200質量部、シネンサール7質量部、リナロール79質量部及びバレンセン7質量部を混合し、伊予柑のキャンディー用のベース香料を調製した。次いで、ベース香料993質量部に、実施例1で調製した2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール7質量部を混合し、キャンディー用香料を調製した。得られた香料は、ベース香料に比べて、伊予柑の香りの拡散性が増し、新鮮なナチュラル感、ボリューム感の増した香料であった。
【0029】
実施例7(チューインガム用香料の調製)
オレンジオイル500質量部、マンダリンオイル179質量部、オクタナール100質量部、ノナナール20質量部、デカナール50質量部、シネンサール7質量部、リナロール130質量部及びバレンセン7質量部を混合し、夏柑のチューインガム用のベース香料を調製した。次いで、ベース香料993質量部に、実施例1で調製した2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール7質量部を混合し、チューインガム用香料を調製した。得られた香料は、ベース香料に比べて、夏柑の香りの強度、拡散性が増し、新鮮なナチュラル感、ボリューム感の増した香料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で示される2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナール。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載の2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールを含有することを特徴とする香料組成物。
【請求項3】
請求項1記載の2,6,10−トリメチル−2,6,11−ドデカトリエナールを0.01〜90質量%含有する請求項2記載の組成物。