方法、および流体接続の完全性をモニターするための装置
監視装置(25)は、第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする。第1の流体を含む系(S1)は、第1のパルス発生器(3)を含み、第2の流体を含む系(S2)は、第2のパルス発生器(3´)を含む。圧力センサー(4a−4c)は第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置される。流体接続(C)の完全性は、第2の測定信号中の第2のパルスの存在に基づいて決定される。第2のパルスは、前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報の使用により、および/または時間定義域の中の測定信号を分析することにより、検知されるだろう。その分析は、測定信号の時間ウィンドウ内の信号価値の分布を表わすパラメータ値に基づくだろう。例えば、パラメータ値は、信号値の統計的ばらつきの尺度として計算されるだろうし、或いは時間ウィンドウ内の信号値と第2のパルスの予測された一時的な信号プロフィールとのマッチングから結果として生ずるだろう。流体接続(C)は、人間の血液系と、例えば、体外の血液治療のための、体外の血流回路と、の間で確立されるだろう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に流体接続のモニタリングに関連し、特に圧力測定に基づいた流体接続の完全性のモニタリングに関する。本発明は、例えば、体外の血液処理のための準備に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
体外の血液処理では、患者から取り出された血液は、体外の血流回路によって処理されそして患者へ再導入される。一般に、血液は1つ以上のポンプ装置によって回路内を循環する。回路は、典型的には血管進入路に挿入される針またはカテーテルのような1つ以上のアクセス装置を介して、患者の血管の進入路に接続される。そのような体外の血液処理には、血液透析、血液濾過透析、血液濾過、血漿搬出などが含まれる。
【0003】
体外の血液処理では、これらが潜在的に患者の生命に危険のある状態に結びつくかもしれないので、体外の血流回路が不調となる危険を最小化することは極めて重要である。体外の血流回路が破裂する場合、例えば、血液抽出用のアクセス装置、例えば動脈の針/カテーテルが血管の進入路から緩くなることによって、回路内へ空気が吸い込まれたりする場合や、あるいは血液再導入用のアクセス装置、例えば静脈の針/カテーテルが血管の進入路から緩くなることで、患者に数分間の血液の流出を生じさせる場合に、深刻な状態が発生するかもしれない。他の不調は、血管進入路が閉塞或いは遮断されることによって、或いはアクセス装置が血管進入路の壁に接近して位置しすぎていたことによって、引き起こされるかもしれない。
【0004】
この目的のために、体外の血液治療用の装置は、血流回路の完全性をモニターし、潜在的に危険な状況が検知される場合は常に、アラームを出しおよび/または適切な処置を講じる1つ以上の監視装置を含んでいるかもしれない。そのような監視装置は、回路中の1つ以上の圧力センサーからの測定信号に基づいて作動するだろう。慣例通りに、モニタリングは、1つ以上の閾値とともに測定された1以上の平均圧力レベルとの比較により、および/または回路の中で空気検波器を使用して、気泡の存在をモニターすることにより実行される。例えば、血液抽出の失敗は、回路中に空気が導入されることを含み、それによって測定された平均圧力は気圧に近づくかもしれず、あるいは血液の流れが閉塞或いは遮断されることを含み、それによって測定された平均圧力は、低レベルに落ちるかもしれない。血液の再導入中の失敗は、測定された平均圧力の減少として検知できるだろう。しかしながら、回路中の平均圧力は処理同士の間で変化するかもしれないし、また、一つの処理の間でも、例えば患者の動いたことによっても変化するかもしれないので、適切な閾値をセットするのは難しいであろう。さらに、アクセス装置が緩み、ベッドのシーツあるいは患者の衣服の中に押し付けられた場合、測定された平均圧力は潜在的に危険な状況を示すまでに十分に変わらないかもしれない。
【0005】
モニタリングの精度を増加させるために、WO 97/10013は、いくつかのオプションのうちの1つである、測定された圧力中の心臓信号を測定すること、そして、体外の血流回路および血管進入路間の流体接続の完全性の指標として心臓信号を使用することを提案する。心臓信号は、患者の心臓によって生産され、血管進入路を介して患者の循環系から体外の血流回路に伝達される圧縮波で表わされる。流体接続中の不調は、心臓信号の変化或いは消滅を引き起こし、心臓で生成された圧縮波の回路への伝達を妨害するだろう。測定された圧力は、体外の血流回路中の血液ポンプによって生産された強い圧縮波をさらに含んでいるかもしれない。WO 97/10013において、モニタリングは、血液ポンプから発する周波数成分を削除するための、測定された圧力信号のフィルタリングと、フィルタリングされた圧力信号の分析によって心臓信号を検知することと、を含んでいる。フィルタリングされた圧力信号の振幅は、流体接続の完全性の表示として得られる。
【0006】
US2005/0010118は、測定された圧力信号からある周波数域を生成する周波数解析の適用と、血液ポンプから発する周波数成分の削除と、患者の心臓から生じた周波数成分の特定と、を含む解法を提案する。血管の進入路の異常は、患者の心臓から生じた周波数成分の強度のレベルに基づいてモニターされる。
【0007】
第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするために、対応するニーズが他の技術分野の中で発生するかもしれない。
【発明の概要】
【0008】
発明は、先行技術の上記の特定された制限の1つ以上を少なくとも部分的に克服することを目的とする。具体的には、それは、圧力測定を使用して、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするための選択的或いは補足的な技術を提供することが目的で、好ましくは、改善された強健さおよび/または流体接続の不調を発見する確実性の増大を伴うものである。
【0009】
この目的および下記に現われるだろう他の目的は、少なくとも独立クレームおよび従属クレームによって定義されている実施形態による、方法、装置およびコンピュータ・プログラムの手段によって部分的に達成される。
【0010】
発明の第1の発明概念の第1の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする方法で、そのうち第1の流体を含む系は、第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は、第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するように配置され、前記方法は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて、第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成し、モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算し、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定する。
【0011】
1つの実施形態では、前記計算は、時間ウィンドウ内で信号値の統計的なばらつきの尺度としてのパラメータ値を計算することを含む。統計的なばらつきの尺度は、標準偏差、分散、変動係数、違い、エネルギー、力の合計、平均値からの偏差の絶対値の合計、および平均値からの差の絶対値の平均、の少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
1つの実施形態では、前記計算は、第2のパルスの予想される一時的な信号のプロフィール(profile)に時間ウィンドウ中の信号値をマッチさせることを含む。そのパラメータ値は、前記マッチングに由来する相関値であってもよい。
【0013】
1つの実施形態では、前記計算は、時間ウィンドウ内の信号値と前記予想された一時的な信号のプロフィール(profile)の間の相互相関(cross-correlation)を計算し、そして相互相関中の最大の相関値を識別することを含み、前記決定は、最大の相関値を閾値と比較することを含む。
【0014】
1つの実施形態では、前記計算は、最大の相関値の時間ポイントを得て、その時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、最大の相関値を検証することを含む。
【0015】
1つの実施形態では、方法は、第1の流体を含む系中での照会センサーから照会圧力信号を得るステップと、前記照会圧力信号に基づいた、予想された一時的な信号のプロフィール(profile)を計算するステップとをさらに含み、この照会センサーは、たとえ流体接続が欠陥を生じていても前記第2のパルスを検出するように配置される。さらに、方法は、前記照会圧力信号中の第2のパルスの大きさを示す大きさ値(magnitude value)を計算し、その大きさ値を限界と比較するステップを含み、そこでは前記照会圧力信号に基づいた、前記予測された一時的な信号のプロフィール(profile)を計算するステップは、前記比較するステップで条件付け(conditioned)られる。選択的或いは補足的に、予測された一時的な信号のプロフィール(profile)を計算するステップは、照会センサーと前記少なくとも一つの圧力センサーとの間の通過時間(transit time)の差に合わせて調節することを含んでいてもよいし、そこでは前記通過時間の差は、あらかじめ定められた値から与えられてもよいし、あるいは、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて計算されてもよい。
【0016】
1つの実施形態では、前記時間ウィンドウは少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される。前記時間ウィンドウの長さは第2のパルス発生器の最大のパルス反復間隔を越えるように選択されてもよい。
【0017】
1つの実施形態では、前記時間ウィンドウは、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて選ばれる。
1つの実施形態では、前記モニタリング信号は、前記第1のパルスを除去するために前記少なくとも1つの測定信号をフィルタリングし、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて、そのようにフィルタされた測定信号中の1セットの信号セグメントを引き出し、前記タイミング情報に基づいて前記モニタリング信号を生成するために、信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることで生成される。
【0018】
1つの実施形態では、前記計算は、前記モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントを識別すること、および前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報と比較して候補時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを検証すること、を含む。
【0019】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーから得られる。
【0020】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数(function)として得られる。
【0021】
1つの実施形態では、前記第1の流体を含む系は、動脈側アクセス装置、血液処理装置、および静脈側アクセス装置を含んだ体外の血流回路であり、そこでは前記第2の流体を含む系は血管の進入路(access)を含む人間の血管系であり、そこでは前記動脈側アクセス装置は、前記人間の血管系に接続され、そこでは静脈側アクセス装置は、流体接続を形成するように前記血管の進入路(access)に接続され、そこで前記第1のパルス発生器は、前記動脈側アクセス装置から前記血液処理装置を通り前記静脈側アクセス装置にまで至るように血液を送るために前記体外の血流回路内に配置されたポンプ装置であり、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置に下流に位置した少なくとも1つの静脈側圧力センサーに由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置の上流に位置した少なくとも1つの動脈側圧力センサーに由来した少なくとも1つの動脈測定信号と、を含み、前記モニタリング信号は、前記少なくとも1つの静脈測定信号に基づいて生成され、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、およびこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む。
【0022】
1つの実施形態では、方法は、断続的に前記第1のパルス発生器を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスの識別すること、またこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む。
【0023】
1つの実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた候補の第2のパルスの1つのセットを識別すること、前記候補の第2のパルスの1つのセットに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対する前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、このように検証された前記候補時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む。
【0024】
1つの実施形態では、前記第1の流体を含む系は、アクセス装置を含む体外の血液処理系であり、そこでは前記第2の流体を含む系は、血管の進入路(access)を含む人間の血液系であり、そこではアクセス装置と血管の進入路(access)との間の接続は、流体接続を形成する。
【0025】
発明の第1の発明概念の第2の側面は、コンピューターに第1の側面に従った方法を実行させるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品である。
【0026】
発明の第1の発明概念の第3の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする装置であって、そのうち前記第1の流体を含む系は、第1のパルス発生器を含み、前記第2の流体を含む系は、第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサーは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号のための入力と、前記入力に接続される信号処理装置と、を含み、前記信号処理装置は、処理モジュールを備え、前記処理モジュールは、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成し、前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算するように構成され、前記信号処理装置は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定する。
【0027】
発明の第1の発明概念の第4の側面は、第1の流体を含む系の少なくとも1つ圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする装置であって、そこでは第1の流体を含む系は第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサーは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取る手段と、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成する手段と、前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算する手段と、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続の完全性を決定する手段と、を含む。
【0028】
第1の発明概念の第3と第4の側面の実施形態は、第1の発明概念の第1の側面の上記特定された実施形態に対応してもよい。
【0029】
発明の第2の発明概念の第1の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする方法であって、そのうち第1の流体を含む系は、第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は、第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサーは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記方法は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得て、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を計算するために、前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理し、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続の完全性を決定する。
【0030】
1つの実施形態では、前記処理は、タイミング情報に基づいて、測定信号あるいはそこから得たモニタリング信号中の時間ウィンドウを配置させること、および前記時間ウィンドウ内の前記信号値に基づいたパラメータ値を計算すること、を含む。
【0031】
1つの実施形態では、前記処理は、前記タイミング情報に基づいた前記時間ウィンドウの長さを選択することを含む。
【0032】
1つの実施形態では、前記処理は、前記少なくとも1つの測定信号から前記第1のパルスを除去するフィルタリングにより、時間依存のモニタリング信号を生成することを含み、そこでは、前記パラメータ値は前記モニタリング信号に基づいて計算される。
【0033】
1つの実施形態では、前記生成は、さらに、このようにフィルタリングされた測定信号中の1セットの信号セグメントを選択すること、およびタイミング情報に基づいて、モニタリング信号を生成するために信号セグメントを整列させるとともに足し合わせること、を含む。
【0034】
1つの実施形態では、前記計算は、モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントの識別をすること、および候補の時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを前記タイミング情報と比較して検証すること、を含む。
【0035】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーから得られる。
【0036】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数(function)として得られる。
【0037】
1つの実施形態では、方法は、前記第1の流体を含む系の照会センサーから照会圧力信号を得るステップをさらに含み、前記照会センサーは、前記流体接続に障害を生じても、前記第2のパルスを検知するように配置され、そして、前記タイミング情報を得る前記ステップは、照会圧力信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、および照会センサーと少なくとも1つの圧力センサーとの間の到着時の評価された差を得ること、を含む。到着時の評価された差は、あらかじめ定められた値から与えられてもよいし、あるいは、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて、計算されてもよい。さらに、方法は、前記照会圧力信号中の前記少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するステップを含み、そこでは到着時の評価された差を得るステップは、比較する前記ステップで条件付け(conditioned)られる。
【0038】
1つの実施形態では、第1の流体を含む系は、動脈側アクセス装置、血液処理装置、および静脈側アクセス装置を含む体外の血流回路であり、そこでは第2の流体を含む系は血管進入路を含む人間の血液系であり、そこでは前記動脈側アクセス装置は前記人間の血液系に接続され、前記静脈側アクセス装置は前記流体接続を形成するために血管進入路に接続され、前記第1のパルス発生器は、前記動脈側アクセス装置から前記血液処理装置を通り、前記静脈側アクセス装置にまで血液を送るように、前記体外の血流回路の中に配置されたポンプ装置であり、そこで、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置の下流に位置した、少なくとも1つの静脈圧力センサーに由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置の上流に位置した、少なくとも1つの動脈圧力センサーに由来した少なくとも1つの動脈測定信号とを含み、前記モニタリング信号は、少なくとも1つの静脈測定信号に基づいており、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、またこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む。
【0039】
1つの実施形態では、方法は、断続的に前記第1のパルス発生器を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、またこのように識別された第2のパルスからのタイミング情報を計算すること、をさらに含む。
【0040】
1つの実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、前記1セットの候補の第2のパルスに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、またこのように検証された候補時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む。
【0041】
1つの実施形態では、前記得ることは、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、および前記候補の第2のパルスのセットに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して候補時間ポイントの系列を検証することにより、1セットの検証された候補の第2のパルスを生成すること、をさらに含み、そこでは前記処理は、1セットの平均表現(average representation)を計算すること、およびそれぞれの前記平均表現のための前記パラメータ値を計算すること、を含み、それぞれの平均表現は、検証された候補の第2のパルスの固有の組合せに対応する前記少なくとも1つの測定信号の信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより形成され、前記決定は、最大のパラメータ値を閾値と比較することを含む。
【0042】
1つの実施形態では、前記パラメータ値は、信号値の分布を表わす。
【0043】
発明の第2の発明概念の第2の側面は、第2の発明概念の第1の側面に従った方法をコンピューターに行なわせるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品である。
【0044】
発明の第2の発明概念の第3の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするための装置であって、そこでは第1の流体を含む系は第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は第2のパルス発生器を含み、そこで、前記少なくとも1つの圧力センサーは、第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検知するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号のための入力と、前記入力に接続される信号処理装置と、を含み、前記信号処理装置は、処理モジュールを備え、前記処理モジュールは、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るとともに、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するように前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理するように構成され、前記信号処理装置は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定するように構成される。
【0045】
発明の第2の発明概念の第4の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするための装置であり、そこでは第1の流体を含む系は第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は第2のパルス発生器を含み、そこで、前記少なくとも1つの圧力センサーは、第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検知するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取るための手段と、前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るための手段と、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するために、前記タイミング情報に基づいて前記少なくとも1つの測定信号を処理するための手段と、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定するための手段と、を含む。
【0046】
第2の発明概念の第3と第4の側面の実施形態は、第2の発明概念の第1の側面の上記特定された実施形態と対応してもよい。
【0047】
まだ、本発明の他の目的、特徴、側面および利点が、以下の詳細な記述から、および図面と同様に付属の請求項から、現われるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
発明概念の実施形態は、添付の概略図と関連させて、より詳細に記述されるであろう。
【図1】流体接続の完全性をモニターするために発明概念が用いられた一般的な流体の配置の概要図である。
【図2】第1の発明概念によるモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図3】(a)は時間の関数としての測定信号のプロットで、(b)は、(a)の中の測定信号のフィルタリング後のプロットであり、(c)は、(b)中の信号中の時間ウィンドウの系列のために計算された統計的なばらつきの尺度を示す。
【図4】(a)は、測定信号と予測された信号プロフィールとの間のマッチングの手順を示し、(b)は、最良のマッチング位置を示し、また、(c)は、(a)の中のマッチング手順の結果として生じた相関カーブである。
【図5】(a)は第2のパルスを含んでいる信号セグメントのプロットであり、また、(b)は、平均10の信号セグメントにより生成される評価セグメントのプロットである。
【図6】第2の発明概念に従ったモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図7】(a)−(d)は、測定信号の中で特定された候補のパルスの処理を示す。
【図8】は、第2の発明概念によるモニタリング・プロセスの一部のフローチャートである。
【図9】は、第1と第2の発明概念を組み合わせたモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図10】体外の血流回路を含む血液透析処理用の系についての概略図である。
【図11】(a)は、ポンプの周波数成分および心臓信号の両方を含んでいる静脈圧信号の時間定義域中のプロットであり、(b)は周波数定義域中の対応する信号のプロットである。
【図12】例示されたモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図13】図12のプロセスを実行するためのデータ分析器のブロック図である。
【図14】(a)および(b)は、心臓信号と共に、および心臓信号なしで、図13のデータ分析器中の鼓動検出モジュールの中で処理した後の圧力信号の時間定義域中のプロットである。
【図15】(a)および(b)は図14(a)および(b)のプロットの拡大図である。
【図16】(a)および(b)は、図15(a)および図15(b)中のデータから抽出された包絡線のプロットである。
【図17】心臓信号を含む、および心臓信号のない包絡線から計算された時間の関数として導関数の合計のプロットである。
【図18】心臓信号を含む、および心臓信号のない包絡線から計算された時間の関数としての分散のプロットである。
【図19】血液パルスと心臓パルスとの間の相対的な大きさの違いのための、拍動検出モジュールの作業を示したブロック図である。
【図20】圧力信号中の拍動成分の検出用のアナログ装置の配置についての概略図である。
【発明概念と実施形態の詳細な説明】
【0049】
下記では、発明概念および関連する実施形態は、一般に流体を含む系に関して記述されるであろう。その後、発明概念は、体外の血液治療用の系の文脈の中でさらに例証されるであろう。
【0050】
次の記述の全体にわたって、類似のエレメントは同じ引用符号で示される。
【0051】
総論
図1は、第1の流体を含む系S1と第2の流体を含む系S2の間で流体接続Cが確立された一般的な流体の配置を示す。流体接続Cは、1つの系から別の系まで流体を転送してもよいし、転送しなくてもよい。第1のパルス発生器3は、第1の系S1の内の流体中で一連の圧力波を生成するために配置され、また、第2のパルス発生器3´は第2の系S2の内の流体中で一連の圧力波を生成するために配置される。圧力センサー4cは、最初の系S1の中で液圧を測定するために配置される。流体接続Cが完全な限り、第2のパルス発生器3´によって生成された圧力波は第2の系S2から第1の系S1まで移動するであろうし、したがって、第2のパルス発生器3´から発せられた第2のパルスは、第1のパルス発生器3から発せられた第1のパルスに加えて圧力センサー4cによって検知されるだろう。第1と第2のパルス発生器3、3´のいずれか1つは、1つを超えるパルス生成装置を含んでいてもよいことに注意すべきである。さらに、そのようなパルス生成装置は、それぞれの流体を含む系S1、S2の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0052】
図1の流体の配置は、図1に示されるように圧力センサー4cと、恐らく1以上のさらなる圧力センサー4a、4bとに接続される監視装置25をさらに含む。それによって、監視装置25は、第1の系S1の中の液圧のリアル・タイム表現を提供するために時間依存の1つ以上の測定信号を得る。監視装置25は、第2のパルスが存在することは流体接続Cが完全であることを示し、第2のパルスの欠如が流体接続Cに障害があることを示す、という原則に基づき、流体接続Cの完全性をモニターする。第2のパルスの欠如は、監視装置25にアラームまたは警告および/または警報の信号を出させてもよいし、第1または第2の流体含む系S1、S2のコントロールシステムに警報を発して適切な処置を講ずるようにしてもよい。
【0053】
監視装置25は、第2のパルスが存在するかどうか判断するために、時間依存の測定信号を絶え間なく処理するように構成される。典型的には、決定は、測定信号中における第2のパルスの存在か欠如を示す評価パラメータの値を計算するために、時間定義域中での測定信号、あるいはそれのあらかじめ処理されたバージョンを分析することを含んでいる。履行によって、監視装置25は、ディジタル部品かアナログ部品、あるいはそれの組合せを測定信号の受け取りと処理に使用してもよい。
【0054】
本開示の文脈では、パルスの「欠如」は、パルスが消えたことを示唆してもよいし、あるいは少なくともそれが、存在すると思われるパルスと比較して、大きさにおいて十分に減少したことを示してもよい。存在または欠如の評価は、測定信号に基づきパラメータ値の評価を計算すること、およびパラメータ値を閾値と比較すること、を含んでいてもよい。
【0055】
第1の発明概念
図2は、第1の発明概念によるモニタリング・プロセスのステップを例証するフローチャートである。測定信号は、受け取られ(ステップ201)、フィルタリング・プロセス(ステップ202)にさらされ、そこでは少なくとも一部の第2のパルスを完全な状態に残すのに対して、第1のパルスは測定信号から必要的に取り除かれる。その後、フィルタされた測定信号は、時間定義域解析にさらされ(ステップ203)、評価パラメータの値は、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて時間定義域解析内で計算され、フィルタされた測定信号は下記中の表示された「評価セグメント」である。
【0056】
計算は概して、評価パラメータが評価セグメント内の信号値の分布を表わすように設計される。評価パラメータの最終的な値に基づいて、流体接続が完全かどうかは、概してその最終的な値を閾値と比較することで決定される(ステップ204)。
【0057】
連続的な監視のため、評価パラメータ値の時系列は、測定信号から得られた評価セグメントの時系列に基づいて計算される。これらの評価セグメントは時間においてオーバーラップしていてもよいし、オーバーラップしてなくてもよい。1つの実施形態では、測定信号の個々セクションは、かわるがわるに得られ、フィルタされ、分析される。それぞれの評価セグメントは、測定信号のそのようなセクションの1つに対応してもよく、測定信号が得られる場合に時間ウィンドウがこのように既に適用される。別の実施形態では、測定信号は連続的に得られるとともにフィルタされ、すると評価セグメントはフィルタされた信号から抽出され分析される。
【0058】
図3(a)は、10:1の相対的な大きさを備えた第1と第2パルスを含んでいる時間依存の測定信号の例を示す。第1と第2のパルスは、それぞれ1Hz及び1.33Hz、の周波数を持っている。図3(b)は、第2のパルスおよびノイズだけを残して、第1のパルスを除去後の時間依存の測定信号を示す。約4秒の後に第2のパルスの欠如があることに注目すべきである。図3(c)は、図3(b)の中のフィルタされた測定信号中の非オーバーラップの時間ウィンドウの系列のために計算されたばらつきの尺度を例証し、それぞれの時間ウィンドウは約0.75秒である。明らかに、評価パラメータとしてばらつきの尺度を使用することによって、約4秒の時間ポイントで第2のパルスの欠如を検知することは可能である。例証する閾値は、点線によって示される。
【0059】
最初の発明概念には流体接続Cの完全の比較的強健な手段を提供する可能性がある。評価セグメント内の信号値の一時的な分布の分析によって、ノイズおよび邪魔な信号に対する改善された耐性を得てもよい。
【0060】
更に、第2のパルスの存在の検知のための測定信号の周波数定義域分析に依存する技術と比較して、第1の発明概念が時間定義域解析に依存するので、第1の発明概念は第2のパルス発生器3´のパルス反復間隔における変化に対する改善された耐性を提供するだろう。例えば、第2のパルス発生器3´が人間の心臓で、第2の系S2がこのようにヒトの血管系である場合、そのような変化を生じうる。心臓のリズム(心拍数の変わりやすさ、HRV)における変化は、周波数定義域における心臓からのピークを不鮮明にし、心臓のリズムを検知することをより難しくするであろう。静かな条件の下の健康な患者では、HRVは15%と同じ程度の大きさかもしれない。心房細動および上室性の異所的の鼓動のように、深刻な心臓の状態に苦しむ不健康な患者は、20%を越えたHRVに至り、および心室の異所的な鼓動ではHRVが60%を越えるかもしれない。これらの心臓病は例えば透析患者の中では珍しくはない。
【0061】
時間ウィンドウが選択され、その結果それぞれの評価セグメントが少なくとも1つの第2のパルスを含んでいる限り、もし適切に選ばれれば、第2パルスの存在/欠如は評価パラメータに影響するだろう。固定長時間ウィンドウは、第2のパルス発生器3´の最大のパルス繰り返し数に関して選ばれた時間ウィンドウの長さで使用されてもよい。時間ウィンドウの長さは、第2のパルス発生器3´の中の制約、あるいは監視方法の選択された性能限界によってセットされてもよい。二者択一的に、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウの長さおよび/または時間ウィンドウの位置は、第2のパルスが検知されると予測されたタイミングに基づいて選択されてもよい。そのような予測されたタイミング(「タイミング情報」)の獲得および使用は、第2の発明概念に関連してさらに下に例証されるだろう。
【0062】
さらに、第1の発明概念による時間定義域解析は周波数定義域分析よりも速い検出を可能にし、なぜなら、周波数スペクトルの生成は評価セグメント中で多数の第2のパルスを必要とするのに対し、前者は評価セグメント中の単一の第2のパルスを検出する能力を有するであろうからである。したがって、周波数定義域分析は時間定義域解析よりも大きなタイム・ラグに関係しているかもしれない。
【0063】
評価パラメータは、評価セグメント内の信号値の統計的なばらつきの尺度として計算されてもよい。潜在的に有用な統計的なばらつきの尺度の制限しない例は標準偏差(σ)、分散(σ2)、変動係数(σ/μ)および分散平均(variance-to-mean)(σ2/μ)。他の例は、例えば、次のように与えられた、違いの合計や
【数1】
【0064】
あるいは次のようなエネルギーの尺度の合計
【数2】
【0065】
を含み、nは評価セグメント中の信号値xの数である。まだ他の例は、平均値mからの絶対差の合計に基づいた尺度を含み、平均値mは、評価セグメント中の信号値のために算術平均、幾何平均、中央値(median)などのあらゆる適切な関数を使用して計算される。上記の示唆されたすべてのばらつきの尺度は、それの正規化および/または荷重値を加えた変形をさらに含むことに注意すべきである。
【0066】
統計的ばらつき尺度の計算の代わりか補足として、評価パラメータは、マッチング処理から生じ、評価セグメントは、第2のパルスの1つ以上の予測された信号プロフィールに一致する。その中で好ましくは、しかし必須ではなく、予測された信号プロフィールはそれぞれ単一の第2のパルスを表わす。一般的に、マッチング手順は評価セグメントおよび予測された信号プロフィールをからみつかせるか或いは互いに関連させることを必要とし、評価パラメータ値は相関性の値、典型的には、最大の相関性の値から生じる。
【0067】
相互相関に基づいたマッチング手順は、図4(a)−4(c)にさらに例証される。マッチング手順は仮説を識別するために使用され、
【数3】
【0068】
x(n)は評価セグメントであり、w(n)はノイズ/信号干渉/測定誤差などで取り入れられた妨害を表わす誤り信号であり、s(n)は第2のパルスの予測された信号プロフィールである。H1がH0よりもありそうであると考えられる場合、第2のパルスは識別され、また、流体接続Cは完全であると考えられる。H0がH1よりありそうであると考えられる場合、第2のパルスは識別することができず、流体接続Cに障害を生じているかもしれない。
【0069】
図4(a)は、予測された信号プロフィールs(n)、及び評価セグメントx(n)の例を示すグラフである。特にこの例において、評価セグメントには4.8dBのSN比(SNR:signal-to-noise ratio)があり、つまり、信号プロフィールs(n)のエネルギーは、誤り信号w(n)のエネルギーの3倍である。相互相関中に、図4(a)の中の矢印によって示されるように、信号プロフィールs(n)は時間軸に沿って多くの時間ステップでスライドし、積s(n)・x(n)の積分は各時間ステップで計算される。相互相関は、x(n)とs(n)の間で最良にマッチした時間ポイントを示す最大相関値と共に、このように相関値の時系列に帰着する。図4(b)は、最良にマッチした時間ポイントでのx(n)とs(n)の間の相対的な位置を例証し、また、図4(c)は前記時間ステップの関数として生じる相関値を例証する。最大相関値(cmax)のまわりの範囲内で加重平均として任意に計算された最大の相関値の大きさは、上記の仮説を識別するために使用されてもよい。
【0070】
図4(c)に示されるように、マッチング手順が第2のパルスの存在を識別するだけではなく、さらに、それは、最大の相関値(cmax)のための時間ポイント(tp)から与えられた、評価セグメント中の第2のパルスの位置の表示を提供する。この時間ポイントは、この時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、決定された最大の相関価値の信頼性を評価するために使用されてもよい。第2の発明概念に関してさらに下に説明されるとともに、そのような予測された時間ポイントは、前述のタイミング情報から得るようにしてもよい。
【0071】
予側された信号プロフィールは、第2のパルスの多数の記録の平均として生成されてもよい。例えば、それは、モニタリング・プロセスの前および/またはモニタリング・プロセスの間に、多数の評価セグメントを平均することにより生成されてもよい。
【0072】
平均とともに或いは平均なしで、予測されたプロフィールの信号の質を改善するために、第1のパルス発生器が止められている間に測定信号は得てもよく、それによって測定信号は第1のパルスから解放された状態である。したがって、第1のパルス発生器は、第2のパルスの最新の信号プロフィールの計算のためにモニタリング・プロセスの間に断続的に止められてもよい。
他の変形では、予測された信号プロフィールは、第1の系の照会圧力センサー(例えば図1の中の圧力センサー4a−4cのうちの任意の1つ)から発した1つ以上の照会信号から得られる。そのような照会圧力センサーは、たとえ流体接続に障害を生じたとしても、例えば、第1と第2の流体を含む系の間の第2の流体接続によって、第2のパルスを検知するために適切に配置される。照会圧力センサーは、第1のパルスから分離するために取り付けられ、その結果、照会信号が第1のパルスが必要的に除去される。あるいは、照会信号が第1と第2の両方のパルスを含んでいる場合、照会信号において第2のパルスを完全な状態で残すのと同時に第1のパルスを削除するために、照会信号は、フィルタリングプロセス(例えば図2のステップ202による)にさらされるようにしてもよい。そのような照会圧力センサーの一例は、体外の血流回路中の動脈圧力センサーあり、体外の血流回路についてはさらに下記に述べられる。例えば、もし、モニタリング・プロセスが体外の血流回路と患者の間の静脈側の流体接続の完全性をモニターすることを目指す場合、そのような体外の血流回路では、測定信号は1つ以上の静脈圧力センサーから発せられる。
【0073】
1つの特定の履行では、照会信号は、モニタリング・プロセスの間に連続的にあるいは断続的に得られ、また、予測された信号プロフィールは、照会信号に基づいて、連続的にあるいは断続的に計算される。したがって、前述の体外の血流回路の文脈では、静脈側の流体接続の完全性は、静脈圧力センサーからの評価セグメントを動脈圧力センサーから得られた予測された信号プロフィールと連続的にマッチングさせることによりモニターされてもよい。各評価セグメント(下記中の表示された「同時のモニタリング」)のために予測された信号プロフィールが更新されることは考えられる。第2の発明概念と関連してさらに下に説明されるように、マッチング手順は、タイミング情報を使用することから利益を得るだろう。あるいは、例えば、モニターされているもの(図1参照)に似た多数の流体の配置からの第2のパルスの記録を平均することによって、予測された信号プロフィールをあらかじめ生成してもよい。任意に、流体接続のタイプ、流量、流体の特質などの配置特異的なパラメータの計算に数学モデルを適用することによって、そのようなあらかじめ生成された信号プロフィールは、モニターされる特定の流体の配置に適用されてもよい。あるいは、予測された信号プロフィールは、配置特異的なパラメータに基づく、完全に数学モデルに基づいて得られるようにしてもよい。まだ別の代案によれば、標準プロフィールは、予測された信号プロフィール、例えばガウス分布関数のような鐘形の関数として使用される。
【0074】
第2のパルスの検出を改善するために、評価パラメータ値の計算の前に、フィルタされた測定信号/評価セグメントを、高周波成分(誤り信号w(n)を参照)を削除する信号の増強プロセスにさらすことが考えられる。そのような信号の増強プロセスは、フィルタされた測定信号/評価セグメントをローパス・フィルタリングにさらすことを必要とするだろう。しかしながら、評価セグメントのSNRにおけるより著しい改良は、前述の予測された第2のパルスのタイミング(つまりタイミング情報)に再び基づいて、フィルタされた測定信号中のいくつかの連続する第2のパルスを平均することにより達成されるだろう。そのような信号の増強プロセスは、フィルタされた測定信号中の1セットの第2のパルス・セグメントを識別するために予測されたタイミングを使用し、予測されたタイミングに基づいて時間定義域中の第2のパルス・セグメントを整列させて、時間定義域中の各時間値のための整列された信号値の合計により平均表現(average representation)を生成すること、を必要とするだろう。任意に、平均表現は、真実の平均を生成するために第2のパルス・セグメントの数によって正常化される。平均表現は、その後前述の評価セグメントとして使用されてもよく、あるいは、評価セグメントは平均表現内の時間ウィンドウから抽出されてもよい。
【0075】
信号の増強プロセスは、図5(a)−5(b)にさらに例証されます。図5(a)は、−9dBのSNRでフィルタされた測定信号x(n)=s(n)+w(n)の時間定義域表現であり、つまり、誤り信号w(n)のエネルギーは、不可能でないにしても第2のパルスの検出のための時間定義域解析を困難にする信号プロフィールs(n)のエネルギーの8倍である。図5(b)は、図5(a)のものに似ている10の異なる第2のパルス・セグメントを平均した後の時間定義域表現である。著しく改善されたSNRは、明らかに第2のパルスが時間定義域解析を使用して検知されることを可能にする。
【0076】
モニターされる流体の配置が1つを超える圧力センサー(図1の中の4a、4b参照)を含んでいる場合、図2のモニタリング・プロセスが1つを超える測定信号上で作動してもよいことが理解される。そのような構成では、上記の信号増強プロセスは、異なる圧力センサーから発した、少なくとも2つのフィルタされた測定信号から第2のパルス・セグメントを識別し平均するために前述のタイミング情報を使用することが必要だろう。したがって、第2のパルス・セグメントは、各測定信号中の複数の時間ウィンドウから、および/または、異なる測定信号中の1以上の時間ウィンドウから、抽出されてもよい。
【0077】
図2のステップ202によるフィルタリングプロセスは、続いて起こる時間定義域解析(ステップ203)によって第2のパルスを検知することができる程度に、測定信号から第1のパルスを除去することをめざしている。例えば、櫛フィルタおよび/または、概して縦つなぎにつながれた帯域停止あるいはノッチ・フィルタの組合せは、第1のパルス発生器3から発した周波数成分をすべて遮るために、測定信号上で作動されてもよい。あるいは、そのようなブロッキングは、例えば、前述のWO 97/10013に示されるのと同じく、1以上の適応性のあるフィルタおよび刻み目等量フィルタ(notch-equivalent filters)の使用によって達成されてもよい。まだ別の代替実施形態では、測定信号は第1のパルスを取り消すために時間定義域の中で処理されてもよい。そのような実施形態では、その後適切な振幅および位相で測定信号から差し引かれることで、第1のパルスの標準的な信号プロフィールが得られるだろう。位相は、第1のパルス発生器3につながれた位相センサーによって生成された信号から、または第1のパルス発生器3のための制御信号から、得られるであろう位相情報によって示される。標準的な信号プロフィールは、前述の信号増強プロセスと同様の、測定信号中の1セットの第1のパルス・セグメントの識別および平均をとることにより、第1の流体を含む回路S1中の圧力センサー4a−4cの1つ以上から適切に得られるだろう。標準的な信号のプロフィールは、モニタリング・プロセスの間に断続的に更新されてもよいし、更新されなくてもよい。あるいは、前もって決められた標準的な信号プロフィールが使用され、それは自由に、第1のパルス発生器に使用されるもの、流体の流量、管の面積、流体中の音の速度などを説明する数学モデルによって修正されてもよい。第1と第2のパルスが周波数定義域でオーバーラップしても、周波数定義域の代わりに、時間定義域中で測定信号をフィルタリングすることによって、第1のパルスを除去し、それでも第2のパルスを保持することが可能であることが注目されるべきである。
【0078】
第2の発明概念
図6は、第2の発明概念によるモニタリング・プロセスのステップを例証するフローチャートです。このプロセスでは、測定信号は受け取られ(ステップ601)、また、タイミング情報は測定信号から、あるいは別な方法で(ステップ602)得られる。タイミング情報は測定信号中の第2のパルスのタイミングを示す。続いて、測定信号は、タイミング情報に基づいて、測定信号中の第2のパルスの存在か欠如を示す評価パラメータの値を計算するために処理される(ステップ603)。評価パラメータの最終的な値に基づいて、概して最終的な値を閾値と比較することにより、流体接続が完全かどうかが決定される(ステップ604)。
【0079】
したがって、第2の発明概念では、タイミング情報は、測定信号中の第2のパルスの予測された位置を示す。この追加情報は、第2のパルスが他のタイプの信号の特徴、例えば、異なる/より単純な評価パラメータ、から識別されることを可能にするだろうし、および/または、それは第2のパルスの存在/欠如を検知する際に、信頼性の増加を可能にするだろう。
【0080】
更に、上に説明されるように、タイミング情報の提供は、1つ以上の測定信号中の第2のパルス・セグメントの識別および平均をとることにより、信号増強を可能にする。信号の増強は、信号の振幅、ローカルの最大、ローカルの平均などのような、評価パラメータとして基本的な手段の使用を可能にし、測定信号のSNRを増加させるだろう。これは、処理速度の改善および/またはより精巧でない検出設備を可能にする役目をするだろう。
【0081】
第1の発明概念の特徴のうちのいずれとも、第2の発明概念が結合できることが理解される。例えば、測定信号は第1のパルスを削除するためにフィルタされてもよいし、また、評価パラメータは、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウ内の信号値から与えられた評価セグメントのために計算されてもよい。さらに、第1の発明概念に関連して示唆された評価パラメータのうちのどんな1つも、第2の発明概念に等しく適用可能である。しかしながら、第1のパルスの存在下においてさえ、タイミング情報の使用が測定信号中での第2のパルスの検知を可能にするだろうから、測定信号のフィルタリングは第2の発明概念の必須の特徴ではないことに注目すべきである。
【0082】
タイミング情報が、測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント中の第2のパルスのための予測された時間ポイントを供給であろうから、第2の発明概念はさらに検出速度を改善するだろう。それによって、評価パラメータ値の計算のために処理される必要のある信号値の数は低減されるだろう。例えば、予測された信号プロフィールと評価セグメントの間の相関は、予測された時間ポイント、あるいはこの予測された時間ポイントまわりの閉じられた時間範囲のための計算だけが単に必要であるから、前述のマッチング手順は単純化されるだろう。相応して、それぞれの評価セグメントが少なくとも1つの第2のパルスを含むことが保証されるにもかかわらず、タイミング情報の提供が評価セグメントの抽出のための時間ウィンドウのサイズを低減することを可能にするので、統計的ばらつき尺度あるいは前述の基本的な尺度の計算は単純化されるだろう。例えば、タイミング情報が第2のパルス間の短くされたパルス間隔を示す場合、時間ウィンドウのサイズは低減されるだろうし、および/または各第2のパルスの予測された時間ポイントの中心に時間ウィンドウが置かれるだろう。
まださらに、第2の発明概念は、タイミング情報から与えられた、予測された時間ポイントを備えた評価パラメータ値に関連した時間ポイントの比較により、計算された評価パラメータ値の信頼性を評価することを可能にする。例えば、前述のマッチング手順で得られた最大の相関値のための時間ポイントは、第2のパルスのための予測された時間ポイントと比較されるだろう。これらの時間ポイントがあまりにはずれる場合、たとえ相関値の大きさが第2のパルスの存在を示すかもしれなくても、モニタリング・プロセスは第2のパルスが不在であることを決めるだろう。
【0083】
タイミング情報は多くの異なる方法のうちの任意の1つで得られるだろう。例えば、タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーの出力信号から抽出されるだろう。出力信号は個々の第2のパルスあるいは第2のパルス間の平均時間を示すだろう。いずれの場合も、測定信号中の第2のパルスのための予測された時間ポイントは、パルス・センサーの出力信号、およびパルス・センサーと測定信号を生成する圧力センサーとの間の既知の到着時間の差、に基づいて計算することができる。パルス・センサーは、第2のパルス発生器によって流体の中で生成される圧力波を感じるだろうし、あるいは、パルス・センサーは、例えば、第2のパルス発生器のための制御信号あるいは第2のパルス発生器に機械的につながれたパルス・レート・メーターによって、第2のパルス発生器中のパルス生成プロセスを直接反映するだろう。下にさらに例証される1つの適用では、第2の流体を含む系はヒトの血液系で、また、パルス発生器は人間の心臓である。そのような適用では、タイミング情報は、パルス時計、脈波型酸素濃度計(a pulse oximeter)、心電計などのような任意の従来のパルス・センサーによって提供されるだろう。
【0084】
あるいは、タイミング情報は、測定信号、例えば、以前に計算された評価パラメータ値に関連した時間ポイントから与えられた測定信号中の以前に検知された第2のパルスの相対的なタイミングに基づいて得られるだろう。例えば、最も最近検知した2つの第2のパルスの間の時差は、つづく第2のパルスのための時間ポイントを予測するために使用されるだろう。
【0085】
あるいは、タイミング情報は、第1の系での照会圧力センサーから発した1つ以上の照会信号から得られるだろう。そのような照会圧力センサーは、流体接続に障害があっても、第2のパルスを検知するために、例えば第1と第2の流体を含む系の間の第2の流体接続を介して、適切に配置される。
【0086】
そのような照会圧力センサーの一例はさらに下記に述べられる体外の血流回路中の動脈圧力センサーである。そのような体外の血流回路では、例えば、モニタリング・プロセスが体外の血流回路と患者の間の静脈側の流体接続の完全性をモニターすることを目指す場合、測定信号は1つ以上の静脈圧力センサーから発せられるだろう。照会信号は、ここに示された時間定義域技術を含むあらゆる適切な技術を使用して、少なくとも1つの第2のパルスの検波のために処理されるだろう。照会信号中の検知された第2のパルスの時間ポイントは、測定信号中の予測された時間ポイント/フィルタされた測定信号/モニタリングに使用された照会センサーと圧力センサーの間のパルス到着/通過時間の既知の/測定された差を使用する評価セグメント、にその後変換することができる。したがって、1つの実施形態では、通過時間の差は、固定された値およびあらかじめ定められた値から与えられる。
【0087】
別の実施形態では、体外の血流回路中の動脈側の血液ラインと静脈側の血液ラインと、の間の通過時間の差は、体外の血流回路(静脈圧力センサーおよび動脈圧力センサーを含む)中の任意の適切なセンサーに由来するであろう、実際の動脈の圧力および静脈の圧力(絶対的、相対的、または平均)に基づいて決定される。圧力が上昇した場合、通過時間は減少する、すなわち高圧は、短い通過時間と同じである。体外の血流回路の手術中に、静脈圧は動脈圧より高いに違いなく、したがって、動脈血ラインの通過時間と比較して、静脈血ラインにおいて通過時間はより短いに違いない。通過時間の差は、例えば物理的なモデル或いは参照テーブルに基づいて、決定されるだろう。モデル/テーブルは、圧力(絶対的、関係詞、または平均)に関する情報を含むだけではなく、また、材料(弾力、可塑性など)、幾何的なもの(長さ、直径、肉厚など)、温度(流体および周囲の温度の両方)、機械的な要因(クランプ、緊張、ねじれ/閉塞など)、流体の特性(粘性、水/血液、化学合成品など)などに関する情報を含むであろう。このように決定された通過時間の差は、動脈圧力センサーからの照会信号中の検知された第2のパルスの時間ポイントを、静脈圧力センサーから発した測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント中の予測された時間ポイントを関連づけるために使用されてもよい。
【0088】
変形では、タイミング情報の改善された評価は、改善されたSNRとともに平均の時間依存の信号をそれによって計算するために、動脈圧力信号に由来し、対応してフィルタされた照会信号とともに、静脈圧信号に由来し、フィルタされた測定信号/評価セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより得られるだろう。
整列は、実際の動脈圧および静脈圧(絶対的、相対的、或いは平均)から与えられた、前述の通過時間の差に基づくだろう。平均の時間依存の信号中の1つ以上の第2のパルスの識別によって、タイミング情報の改善された評価が得られる。
【0089】
二者択一的にあるいは付加的に、タイミング情報の正確さを潜在的に改善するために、照会信号あるいは測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別している間、タイミング情報は第1のパルス発生器を断続的に止めることにより得られるだろう。
【0090】
任意に、照会信号あるいは測定信号の中の、識別された第2のパルスに基づいたタイミング情報を得る過程は、一時的な基準に対して識別された第2のパルス(候補パルス)を検証することを含んでいてもよい。そのような一時的な基準は、例えば、候補パルスのための時間ポイントと1つ以上の前もって識別され(適切に検証された)第2のパルスのための時間ポイントとの間の時間差のための上限および/または下限を示してもよい。これらの限界は固定されるか、あるいは、それらは先行する時間差に関連して動的にセットされてもよい。一時的な基準を破るどんな候補パルスも、タイミング情報を得る際に使用されるものから取り除かれ/廃棄されるだろう。
【0091】
まだ別の代案では、タイミング情報は反復するアプローチを使用して、測定信号から得られる。この反復するアプローチでは、測定信号は、評価パラメータ値、例えば、最初の発明概念に基づいた評価パラメータ値の時系列を計算するために処理される。これらの評価パラメータ値は、一時的な基準に対して検証された、候補パルスおよび関連する候補時間ポイント、の系列を識別する。そのような一時的な基準は、例えば、候補時間ポイント間の時間差のための上限および/または下限値を示してもよい。一時的な基準は、第2のパルス発生器3´中の制約から与えられてもよい。一時的な基準を破るあらゆる候補時間ポイントは、削除/廃棄されるだろうし、また、タイミング情報は残る時間ポイントから得られるだろう。
【0092】
異なる検証方法は、前のタイミング情報(つまり先行する第2のパルスの時間ポイントに関する情報)の有効性に依存して使用されてもよい。そのような前のタイミング情報は、これよりも前に記述された方法のうちの任意の1つによって与えられるか、或いは反復するアプローチの前の反復からの結果から与えられてもよい。
【0093】
図7(a)は、時間軸に置かれて、先行する第2のパルス(Yによって表示された)の系列と同様に、候補パルス(Xによって表示された)の系列を例証する。第1の検証ステップの中で、予測された時間ポイント(図7(b)の矢印↓)は、前のタイミング情報(例えば第2のパルスY)に基づいて計算される。第2の検証ステップでは、第1の一時的な基準は、図7(b)に示されるように、予測された時間ポイントから遠くに位置しすぎるあらゆる候補パルスを削除/廃棄するために適用される。第3の検証ステップでは、第2の一時的な基準は、図7(c)に示されるように、互いにあまりにも近いあらゆる候補パルス中の最大の評価パラメータ値を備えた候補パルスだけを保持するために適用される。
【0094】
前のタイミング情報が利用可能でない場合、異なる検証方法が使用されてもよい。図8はそのような確認方法のためのフローチャートである。候補パルスを識別する最初のステップ801は、第1の確認ステップ802によって後に続かれ、第1の確認ステップ802では、互いにあまりにも近いあらゆる候補パルス中の最大の評価パラメータ値を備えた候補パルスだけを保持するために、第1の一時的な基準が適用される。図7(d)は、図7(a)中の候補パルスの系列に第1の検証ステップ802を適用した結果を例証する。その後、ステップ803で、残る候補パルスの異なる組合せが形成される。ステップ804で、平均表現(average representation)は、測定信号/フィルタされた測定信号の対応する信号セグメントを整列させ、および合計することにより、個々のそのような組合せのために計算される。組合せは、候補パルス間の時間差のための上限値および/または下限値を定義する第2の一時的な基準に基づいて形成されてもよい。第2の検証ステップ805で、評価パラメータ価値は個々のそのような平均表現のために計算され、そして、最大の評価パラメータ値が抽出される。最後に、ステップ806で、最大の評価パラメータ値を閾値と比較することにより、流体接続が完全かどうかが決定される。最大の評価パラメータ値が閾値を超過する場合、第2のパルスが存在し流体接続が完全であることが結論付けられるだろう。タイミング情報の使用が流体接続の完全性を決定する最終ステップ806で埋め込まれるので、図8の検証方法中のタイミング情報の明白な抽出が必要ないことが注目されるだろう。
【0095】
異なる評価パラメータおよび/または閾値がステップ801および806で使用されてもよいことはさらに注目されるべきである。さらに、タイミング情報を得るために上記の二者択一の方法の2つ以上の組合せを使用することは考えられる。
【0096】
図9は、第1と第2の発明概念の特徴を組み合わせる実施形態のフローチャートである。具体的には、測定信号は、第1の発明概念のステップ201および202によって得られるとともにフィルタされる。その後、ステップ202´では、フィルタされた測定信号は、タイミング情報に基づいて、信号増強のために処理される。図5に関連して上に議論されたように、ステップ202´は、平均信号表現(average signal representation)を作成するために、フィルタされた測定信号中の1セットの第2のパルス・セグメントを識別し、整列させて、合計することを、概して必要とする。その後、評価パラメータ値は、第1/第2の発明概念のステップ203/603による増強された信号表現に基づいて計算され、また、流体接続が完全かどうか(ステップ204/604)が決定される。方法はさらに第2の発明概念のステップ601による測定信号の受け取りが必要であり、測定信号は、ステップ201での測定信号と同じか、あるいは前述の照会信号と同じであってもよい。その後、もし必要であれば、第1の発明概念のステップ202にしたがって、測定/照会信号は第1のパルスを除去するためにフィルタされる。最後に、タイミング情報は第2の発明概念のステップ602に従って得られる。
【0097】
モニタリング技術の組合せ
先に説明されるように、流体接続の完全性をモニターするための技術は、第1と第2の発明概念のどちらか、あるいはそれらの組合せに基づくことができる。さらに、例えば、序論で記述されるような空気検出器の使用、あるいは平均圧力レベルの閾値との比較を含む、1つ以上の従来のモニタリング技術と、そのような発明のモニタリング技術を組み合わせることは可能である。他の従来のモニタリング技術は前述のWO 97/10013およびUS2005/0010118に示される。
【0098】
不利な作動状況を扱うように特に設計された他の技術と発明のモニタリング技術を組み合わせることも望ましいだろう。周波数定義域中で第1と第2のパルスがオーバーラップする場合、そのような1つの作動状況が発生するだろう。図2のステップ202に関連して上に議論されるように、時間定義域中の測定信号のフィルタリングによりそのような作動状況を扱うことができるだろう。しかしながら、モニタリングの正確さは、下記に記述される位相をロックする技術あるいは打つ検波方法(beating detection method)と発明のモニタリング技術を組み合わせることによりさらに増加されるだろう。
【0099】
位相をロックする技術は、第1と第2のパルス間の位相差を適用する間の第1と第2のパルス発生器3、3´のパルス・レートを同期させるために、第1と第2のパルス発生器3、3´を制御することを必要とする。それによって、第1と第2のパルスは、そのうちに分離され、第1および/または第2の発明概念に従った時間定義域解析を使用して検知することができる。位相差は、およそ180°であってもよく、これが時間定義域の第1と第2のパルスの分離を最大限にするかもしれないからである。第2のパルス発生器の周波数が第1のパルス発生器の周波数に接近することが検出されるか、あるいはその逆の場合、位相をロックする技術が活性化されるだろう。
【0100】
打つ(うなり)検波方法(beating detection method)は、流体接続の完全性を決定するために、測定信号中の打つ信号の存在か欠如を評価することが必要な、二者択一的かあるいは補足的なモニタリング技術である。打つ(うなり)信号は、測定信号の振幅変調として現われて、第1のパルス発生器によって生成された圧力波と、第2のパルス発生器によって生成された圧力波との間の干渉によって形成される。測定信号中の第2のパルスを識別しようとする代わりに、第2のパルスの存在は打つこと(うなり)(beating)の副次的効果によって識別される。一般に、打つこと(うなり)は、緊密に間隔の周波数を備えた2つの信号が一緒に加えられる場合に、特に顕著な現象である。したがって、打つ信号検出は、第1と第2のパルスが周波数定義域で緊密に間隔を置かれる場合に使用されることが本質的に良く適する。打つ信号は、時間定義域の測定信号の分析により検知されてもよいし、検知されなくてもよい。打つ検波は、適切に、第1のパルス発生器と関連した1以上の特定の周波数を得ること、および、前記特定の周波数の1つ以外のすべてが削除された少なくとも1つのフィルタされた測定信号を作成すること、が必要である。打つ検波方法は、両方とも2008年4月17日に提出されて、出願人が共に出願中のスウェーデンの特許出願No. 0800890−6および米国の仮特許出願No. 61/045642の主題です。
【0101】
上記の組合せのうちの任意の1つでは、異なるモニタリング技術がシリーズ、任意の順、あるいは並列に実行されてもよいことが理解される。
【0102】
パフォーマンス向上
ここに記述されるような流体接続の完全性をモニターする異なる方法のパフォーマンスは、次の変形のうちのどれでも適用することにより改善されるだろう。
【0103】
仮説テスト
仮説テストによって第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性の決定を表わすことができるかもしれない。この仮説テストでは、前述の評価パラメータ値βは閾値と比較される。仮説のアウトプットは決定である。もしβ>γ1の場合「流体接続は完全」(H1)であり、もしβ<γ0の場合「流体接続に障害あり」(H0)であり、あるいはもしγ0≦β≦γ1の場合「不確かな決定」であり、そこではγ0およびγ1は異なるしきい値である。
【0104】
大きさ依存モニタリング技術
モニタリング技術は、測定信号および/または照会信号の中の第1/第2のパルスの大きさを基づき、動的に調節されるだろう。動的調整は、タイミング情報を得る過程および/または測定信号に基づいたパラメータ値を得る過程に影響するだろう。
【0105】
例えば、照会信号中の第2のパルスの大きさ(例えば振幅)が、測定信号中の第2のパルスの大きさ(例えば振幅)よりも小さいか、或いは前もって定義した絶対的な限界よりも小さいと分かる場合、タイミング情報は測定信号に基づいて得られるだろうが、タイミング情報はさもなければ照会信号に基づいて得られるだろう(或いは逆も同様)。したがって、図9に関連して、ステップ601は第2のパルスの大きさに基づいて調節される。
【0106】
別の例において、照会信号中の第2のパルスの大きさ(振幅)が、再度小さすぎると分かる場合、モニタリング方法は、測定信号の第2のパルスの存在あるいは欠如を発見する別の方法、例えばタイミング情報なしで作動する方法(例えば図9のステップ601、602、202及び202´の省略による)に変わるだろう。
【0107】
上記の例において、第1と第2パルスの大きさが共変の存在である場合、動的調整は、二者択一で第1のパルスの大きさ、あるいは第1と第2パルスの組合せの大きさに基づくだろう。
【0108】
患者データ記録に基づいたモニタリング技術
第2の流体を含む系(図1の中のS2)が患者の血液系である場合、モニタリング方法は患者特有の情報、つまり患者の既存のデータ・レコード、例えば、同じ患者の初期の治療で得られたもの、にアクセスし使用するように構成されてもよい。患者特有の情報は、監視装置(図1のうちの25)の内部記憶の、監視装置にアクセス可能に作られた外部メモリ上あるいは、例えばRFID(Radio Frequency Identification)によって例えば監視装置に無線で送信される患者のカード上、に格納されるだろう。例えば、監視装置はフィルタされた測定信号あるいはそこから由来したパラメータを、患者特有の情報と比較してもよい。もし大規模な違いが識別される場合、警告は出されおよび/またはモニタリング技術は修正されるだろう(あるいは前もって定義したテーブルによって選ばれるだろう)。更に、患者特有の情報は、例えば先のアルゴリズム/プロセスで使用するための個人の閾値を決定することによって、モニタリング技術を最適化するために監視装置によって使用されてもよい。患者特有の情報は、選択的なモニタリング技術あるいはモニタリング技術の組合せが使用されるべきかどうかを判断するために、監視装置によって使用されてもよい。
【0109】
第1のパルス発生器の正常停止からの情報の使用
1つの実施形態では、第1のパルス発生器は規則的に(断続的に或いは周期的に)止められ、また、測定信号および/または照会信号は、第2のパルスの振幅、周波数および位相の決定のために分析される。その後、この生じる情報は前述の位相をロックする技術によって検波を達成するために使用されてもよい。
二者択一的にあるいは付加的に、そのような停止の間に検知された第2のパルスの大きさ(例えば振幅)がある限界(安全な検波のためにマージンとともに選ばれた)よりも小さい場合、「不確かな検波」の警報が出されてもよい。あるいは、大きさが別の限界より小さい場合、第1のパルス発生器は特定の時間間隔で止められるように活動的にコントロールされてもよく、そこで各停止の間に得られた情報をモニタリング技術を修正するために使用されてもよい。例えば、このように得られた情報は、先のアルゴリズム/プロセス中の閾値を変更するか(或いは加える)、あるいは選択肢モニタリング技術あるいはモニタリング技術の組合せが使用されるべきかどうか判断するために使用されてもよい。別の例において、このように得られた情報が第2のパルスのパルス周波数(pulse rate)を示す場合、タイミング情報(図6のステップ602参照)に得させる過程、および/または測定信号(図2および9中のステップ203/603参照)に基づいたパラメータ値を得る過程、へのインプットをさらに改善するために、専用バンドパスフィルタ(例えば、このように得られたパルス周波数の中心に置かれた)は、測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント上で作動されてもよい。1つの実施形態では、第1と第2パルスのレートがある限界(例えば約10%)を越えて異なると分かる場合、そのようなバンドパスフィルタは適用される。
【0110】
別の実施形態では、第1のパルス発生器は流体の配置を通じて流量を低減するように選択的に制御される。流量の低減によって、故障条件に対するモニタリング・プロセスのより長い応答時間を受け入れることは可能であり、一方、そのような、より長い応答時間は、故障条件を検知する際のモニタリング・プロセスの正確さを改善する役目をするだろう。
【0111】
体外血流回路のモニタリング
下記では、例証のみの目的で、流体接続の完全性をモニターするための第1と第2の発明概念の履行は、体外の血液治療の文脈に記述される。次の例は上述打つ検波方法(beating detection method)との組合せが必要である。これは例だけで、打つ検波方法および/または上に議論された他のモニタリング技術のうちの任意の1つとの結合なしで、そのモニタリング・プロセスを等しく実行できるかもしれない。
【0112】
打つ検波方法と同様に第1と第2の発明概念の次の履行も、体外の血液処理に制限されないが、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性のモニターに一般に適用可能であることがさらに理解されるに違いない。
【0113】
図10は、透析に使用されるタイプの体外の血流回路20の例を示す。体外の血流回路20は、下記に記述される構成要素1−14を含む。したがって、体外の血流回路20は、動脈針1の形をなした血液抽出用のアクセス装置、および図10に示されるように、動脈針1を蠕動性タイプの血液ポンプ3に接続する動脈チューブ節2、を含む。ポンプの入り口では、動脈チューブ節2でポンプの前で圧力を測定する圧力センサー4a(これ以後、動脈センサーと呼ぶ)がある。血液ポンプ3は、チューブ節5によって、透析器6の血液側に血液を押し込む。多くの透析器が、血液ポンプ3と透析器6の間の圧力を測定する圧力センサー4bに付加的に設けられている。血液は、チューブ節10を介しての透析器6の血液側から静脈の滴下部屋あるいは脱気部屋11へ送られ、そしてそこから静脈のチューブ節12、および静脈の針14の形をなした血液再導入用のアクセス装置によって患者に戻される。圧力センサー4c(これ以後静脈センサーと呼ぶ)は透析器6の静脈側の圧力を測定するために設けられる。図示された例において、圧力センサー4cは静脈の滴下部屋で圧力を測定する。動脈針1および静脈針14の両方は血管進入路によって患者に接続される。血管進入路は、任意の適切なタイプ(例えばフィステル(fistula)、スクリブナーズ流路(Scribner-shunt)、移植片(graft)など)であってよい。血管進入路のタイプによって、他のタイプのアクセス装置(例えばカテーテル)が針の代わりに使用されてもよい。
【0114】
序論経由で議論されるように、血管進入路を通る血液の注入および/または抽出中の不調に関連して血管進入路への流体接続の完全性をモニターすることは生命を保つのに必要である。多くの透析器では、前記圧力検出器4a−4cは1つ以上は存在しない。しかしながら、少なくとも1つの静脈圧力センサーがあるであろう。次の記述は、静脈圧力センサーからの測定信号に基づいた、血管進入路と静脈の針の間の流体接続の完全性のモニターに焦点をあてる。モニタリング・プロセスはいわゆる直接の検出方法(それは第1と第2の発明概念のうちの1つを履行してもよい)および、上に議論されるように、その異なる実施形態を必要とする。したがって、図1の中の一般配置図に関連して、体外の血流回路20は第1の流体を含む系S1に対応し、血液ポンプ3(体外の血流回路20の中にあるか、体外の血流回路20に関係づけられたさらなるパルス出所、例えば、透析溶液ポンプ、バルブ、などと同様に)は、第1のパルス発生器3に対応し、患者の血液系は第2の流体を含む系S2に対応し、また、患者の心は第2のパルス発生器3´に対応する。
【0115】
図10では、制御装置23は血液ポンプ3の回転数の制御により、回路20中の血流を制御するために、不在中に設けられる。体外の血流回路20および制御装置23は、透析器のような体外の血液処理用の装置の一部を形成するだろう。さらに示されず議論されなかったが、そのような装置が他の多くの機能、例えば、透析流体の流れを制御すること、透析流体の温度および組成を制御すること、などを行なうことが理解される。
【0116】
さらに、図10では、監視/モニタ装置25は、特に血圧信号中の患者の心臓から発した信号成分の存在をモニターすることにより、患者と体外の血流回路20の静脈側の流体接続の完全性をモニターするように構成される。そのような信号の成分の欠如は、流体接続の完全性の中で失敗の表示として得られ、装置25にアラームを生じさせ、および/または例えば、血液ポンプ3を止めることおよびチューブ節12上のクランプ装置13を活性化することによって、血流を止めさせる。監視装置25は、圧力センサー4cの測定信号を受け取るために少なくとも接続される。装置25は、さらに圧力センサー4a、4および、体外の血流回路20に含まれた任意の追加の圧力センサーに接続されてもよい。図10に示されるように、装置25も制御装置23に接続されてもよい。二者択一的にあるいは付加的に、装置25は、血液ポンプ3の周波数および位相を示すための測定装置26に接続されてもよい。装置25は、聞こえる/視覚的な/触覚のアラームあるいは警告信号を生成するためのローカル或いは遠隔の装置27につながれるか、或いは無線で接続される。監視装置25及び/又は警報装置27は、二者択一的に透析装置の一部として組み込まれる。
【0117】
図10中で、監視装置25は、入って来る信号を前処理するためのデータ収集部28(例えば、最小のサンプリングレートおよび解像度が必要なA/Dコンバータを含むもの)と、1台以上の信号の増幅器と、相殺するもの(offset)、高周波雑音および供給電圧妨害のような入って来る信号中の望まれない成分を削除する1枚以上のフィルタと、を含む。
【0118】
ここに挙げられた例において、データ収集部分28は、1kHzのサンプリングレート、および16ビットの解像度のあるナショナル・インスツルメンツからのDAQカードUSB−6210と、アナログ・デバイシーズからの作動増幅回路AD620と、402Hz(不在中に高周波雑音の除去するため)のカットオフ周波数を備えたローパスフィルタと一緒になった、0.03Hz(不在中に信号オフセットの除去するため)のカットオフ周波数を備えたハイパスフィルタと、を含む。短い収束時間を得るために、ローオーダ(low‐order filter)のフィルタがハイパスフィルタに使用される。更に、データ収集部分28は、それぞれ0.5Hz及び2.7Hzの上部と下部カットオフ周波数を備えた付加的な固定バンドパスフィルタを含んでいてもよく、それは毎分30〜160拍の間の心臓脈拍数に対応する。このフィルタは興味のある周波数間隔の外側にある妨害を抑えるために使用されてもよい。
【0119】
データ収集部28中の前処理の後、圧力センサー4cからの信号はデータ分析部29にインプットとして提供され、それは実際のモニタリング・プロセスを実行する。図11(a)は、時間定義域の中でそのようにあらかじめ処理された圧力信号の例を示し、また、図11(b)は対応するパワー・スペクトル、つまり周波数定義域中の圧力信号を示す。パワー・スペクトルは、検知された圧力信号が血液ポンプ3から出る多くの異なる周波数成分を含むことを明らかにする。図中の例において、その調波(harmonics)2f0、3f0及び4f0と同様に血液ポンプ(この例における1.5Hzの)の基礎周波数(f0)の周波数成分がある。下記中ではポンプ周波数と表示される基礎周波数は、体外の血流回路中の圧力波を生成するポンプ・ストロークの周波数である。例えば、図10に示されるタイプの蠕動ポンプでは、2つのポンプ・ストロークは、ロータの個々の最大回転によって生成される。図11(b)は、ポンプ周波数の半分の周波数成分(0.5f0)およびそれの調波(harmonics)、少なくともこの例において、f0、1.5f0、2f0及び2.5f0、の存在を示す。図11(b)は、さらにこの例において基礎周波数f0の血液ポンプ信号よりおよそ40倍弱い心臓信号(1.1Hz)を示す。
図12は、本発明の実施形態によるデータ分析またはモニタリング・プロセスのためのフローチャートである。図中のプロセスは、体外の血流回路20とヒトの血液系の間の流体接続の完全性をモニターする検波方法の組合せを履行する。1つの検波方法(「直接の検波」)は、圧力信号の心臓パルスの発見のために時間定義域解析を使用することが必要である。別の検波方法(「打つ検波(beating detection)」)は、患者の心臓および血液ポンプから発した圧縮波の同士の間の干渉によって引き起こされた振幅変調(打つ信号)を圧力信号中で発見することを必要とする。これらの検波方法は、さらに詳細に下に記述されるであろう、しかし第1に、プロセスの全体的な作動は簡潔に概説されるだろう。
【0120】
モニタリング・プロセスは、血液ポンプ(ステップ402)の基礎周波数(f0)についての情報と同様に、圧力信号の信号セグメントを入力(ステップ401)によりスタートする。この頻度情報は、圧力信号自体の処理から得てもよい。あるいは、それは、専用測定装置(図10のうちの26参照)によって生成された信号、あるいは制御装置(図10のうちの23参照)によって使用される設定値或いは実際の値を示す信号から得てもよい。モニタリング・プロセスの反復で毎回ステップ402を実行する必要があるとは限らないことが理解される。
【0121】
直接の検波方法はステップ403−405を含み、例えば、血液ポンプと関係する周波数成分(図11で0.5f0、f0、1.5f0、2f0、2.5f0、3f0及び4f0を参照)の1つ以上をブロッキングすることによって、血液ポンプから発した第1のパルスを削除するようにそこでは信号セグメントが処理される。概して、ステップ403(図2のステップ202に対応する)は、血液ポンプから出るすべての周波数成分からの信号セグメントを有効に「クリーン」にするために設計される。ステップ404(図2のステップ203に対応する)で、患者の心臓から出る、あらゆる残存する信号パルスも識別するために、信号セグメントは時間定義域中で分析される。そのような心臓パルスがステップ405(図2のステップ204に対応する)で検知される場合、モニタリングは、ステップ401に返され、そこで新規の圧力信号セグメントは処理のために入力される。上に言及されるように、この新規の信号のセグメントは部分的に前の信号のセグメントとオーバーラップしてもよいし、オーバーラップしなくてもよい。心臓成分がステップ405で検知されない場合、モニタリングは打つ検波(beating detection)に移る。心臓パルスの欠如は、例えば、血管進入路から静脈針を分離することによって、或いは、心臓パルスが弱すぎて検知できないことによって、静脈の側の流体接続の不調に起因するだろう。あるいは、フィルタするステップ403で偶然に心臓パルスを除去されると、心拍周波数は、本質的に血液ポンプの周波数成分のうちのどれとも一致するだろう。
【0122】
選択的な履行では、直接の検波方法ステップ403−405は、図6に関連して上に議論された第2の発明概念によるステップ602−604に対応する。
【0123】
一方の履行では、直接の検波方法は、第2の発明概念に関連して上記と同じように得られるタイミング情報を利用してもよい。
【0124】
打つ検波方法はステップ406−408を含み、その中で、信号のセグメントは、心臓および血液ポンプのそれぞれから発した圧力波間の干渉によって引き起こされた打つ信号(beating signal)を識別するように処理される。打つ信号は、これらの2つの圧力波間の周波数の差と等しい周波数を備えた信号振幅における周期的な変化ととらえられる。したがって、圧力信号の中で心臓パルス自体を探索する代わりに、打つ検波は、時間定義域の圧力信号への心臓パルスの間接的な影響を見る。
【0125】
ステップ406で、信号セグメントは1つ以上の選択された周波数帯を除いたすべての周波数を削除するために処理される。そのような選択された周波数帯はそれぞれ、血液ポンプと関係する周波数成分(図11で0.5f0、f0、1.5f0、2f0、2.5f0、3f0および4f0を参照)のうちのほんの1つを囲む帯域である。 この選択的なバンドパス・フィルタリングは打つ信号の検波を促進するために達成されるだろう。心臓からの圧力波は、血液ポンプからの圧縮波より一般に、はるかに小さく(典型的には20−200倍)、したがって、打つ波の電位は弱く、検知するのがおそらく難しい。概して、1つのそのような選択された周波数帯を除くすべての周波数は、信号のセグメントから取り除かれ、そこで、打つ信号(ステップ407)の検波のために、その結果生じたフィルタされた信号セグメントを時間定義域の中で分析する。血液ポンプが多くの周波数成分を生産すると知られている場合(図11に示されたように)、ステップ406は、1セットのフィルタされた信号セグメントに帰着し、それらのそれぞれは、これらの周波数成分のうちの1つのまわりの周波数だけを含む。これらフィルタされた信号セグメントは、並列に生成され、次にステップ407で分析されてもよい。あるいは、フィルタされた信号セグメントは血液ポンプ周波数成分の与えられた順序に基づいて、順に生成されてもよい。別のフィルタされた信号セグメントが生成される前に、フィルタされた信号セグメントはそれぞれ、分析用のステップ407に渡されてもよく、その結果、打つ信号が検知されるとすぐに、フィルタされた信号セグメントの生成が中断される。
【0126】
まだ別の実施形態では、心臓脈拍数(heart pulse rate)は知られています。そのような状況で、ステップ406はたった1つのフィルタされた信号セグメントの生成に制限されてもよく、それは、既知の心臓周波数に最も近い周波数成分のまわりの周波数だけを含んでいる。心臓脈拍数は、タイミング情報として同様の方法で適切に得られる。
【0127】
ステップ406の選択的なバンドパスフィルタリングは、周波数帯(それらは打つ検波方法の希望の実行を考慮してセットされる)の固定幅を使用してもよく、典型的には、心臓パルスとポンプ周波数成分との間の最大の周波数間隔が打つ信号に帰着するに違いない。例えば、打つ検波方法が、これらの周波数成分の間の特定の周波数領域中の心臓信号の存在/欠如を発見することができる別の検波方法(例えば直接の検波方法)と結合して使用される場合、ポンプ周波数成分の間隔と比較して、打つ検波方法によって使用される周波数帯は小さいだろう。他の状況で、周波数帯は、ポンプ周波数成分の間隔と約同じ合計の幅か、あるいは隣接したポンプ周波数成分の周波数帯が、さらにオーバーラップするのと約同じ合計の幅を持っているだろう。別の実施形態では、周波数帯の幅は、以前に決定された心臓周波数の関数として適応してセットされるだろう。例えば、心臓周波数がポンプ周波数成分のうちの1つに接近するように、幅は低減されるだろう。上に言及されたように、心臓周波数は、例えば、個別の心拍計から、別の圧力センサーから、あるいはモニタリング・プロセスの前の反復の中で得られるだろう。
【0128】
しかしながら、打つ検波を促進するために、血液ポンプの異なる周波数成分のまわりの選択的なバンドパスフィルタリングが含まれるが、それなしで済むかもしれないことが理解される。
【0129】
打つ信号がステップ408で検知される場合、モニタリングは、ステップ401に返され、そこでは新規の圧力信号セグメントが処理のために入力される。打つ信号がステップ408で検知されない場合、モニタリングは不調を示すアラーム、あるいはそのような不調が生じたかもしれないという少なくとも1つの警告(ステップ409)を作動させ始める。警報器/警告を作動させることと同時に、プロセスは、ポンプ周波数が変更されるステップ410に移るだろうし、するとすぐモニタリング・プロセスは、血管進入路と静脈針の間の流体接続の完全性をモニターし続けるステップ401に返るだろう。心臓成分/打つ信号がモニタリング・プロセスの後の反復中に発見される場合、アラーム/警告が止められるだろう。あるいは、誤った警報の数を最小化するために、ポンプ周波数のそのような変化の前と後にモニタリング・プロセスが心臓信号を検知しない場合のみ、アラーム/警告は活性化されてもよい。
【0130】
ステップ410の1つの実施形態では、ポンプは作用するようにしておかれるが、しかし、そのポンプ周波数が変更される。1つの変形では、ポンプ周波数は血流を低減し、かつそれによって検知された潜在的な不調によって引き起こされたどんな血液のロスも最小化するために低下する。別の変形の中で、ポンプ周波数は活動的に変えられ、その結果その周波数成分がその前の周波数成分と一致しなくなる。例えば、ポンプから発した周波数成分間のほんの少しの間隔によって基礎周波数を変えることができるかもしれない。図11の例では、これは、0.5f0の断片を意味するだろう。概して、その変更は、ポンプ周波数の縮小を表わす。
【0131】
ステップ410の別の実施形態では、検知された潜在的な不調によって引き起こされたあらゆる血液のロスを同様に最小化する間に、ポンプは血液ポンプから干渉を取り除くためにシャット・ダウンされる(つまりf0=0)。そのような実施形態の変形では、ステップ410は、血液ポンプがシャット・ダウンされている間に心臓の周波数を識別することもまた必要とし、そして、このように識別された心臓周波数からシフトされたポンプ周波数で再度血液ポンプを始動させる。心臓周波数は、例えば、ステップ404のスペクトル信号分析を使用して、圧力信号から識別されてもよい。
【0132】
図13は、図12に示されるモニタリング・プロセスを行なうように構成されるデータ分析部(図10中の29参照)のブロック図です。図示の実施形態では、データ分析部は記憶ブロック50、ポンプ周波数決定ブロック51、直接検波ブロック52、打つ検波ブロック53および、直接検波ブロック52と打つ検波ブロック53とからのアウトプットを警報装置に接続するためのスイッチングブロック54、55と、を含む。示さなかたが、コントロール・ブロックは、ブロック50−55の動作を同期させるために設けてもよい。
【0133】
データ分析部29は、一般的あるいは特殊目的のコンピューター装置あるいはプログラムされたマイクロプロセッサーのような処理装置上で走るソフトウェアによって実行されてもよい。記憶ブロック50は、そのようなコンピューター装置の揮発性か不揮発性メモリでもよいし、他のブロック51−55はソフトウェアの命令によって実行されてもよい。しかしながら、ブロックのいくつかあるいはすべてが完全或いは部分的に、FPGA、ASICあるいは個別の電子部品(抵抗器、コンデンサー、演算増幅器、トランジスターなど)のアセンブリーのような公知の技術の、専用のハードウェアで実行されることが考えられる。
【0134】
記憶ブロック50はデータ・サンプルの系列として入って来る圧力信号を格納するために作動される。その後、他のブロック51−53は記憶ブロック50から格納された圧力信号のセグメントを受け取るか取り戻すために作動される。記憶ブロック50は、このように入って来る圧力信号を記憶(buffers)して、個々に処理され分析される信号セグメントをオーバーラップさせるか、オーバーラップさせないことを可能にする。記憶ブロック50は、例えば、多くの線形バッファー、あるいは円形バッファーとして実行されてもよい。
【0135】
ブロック51は信号のセグメントに基づいた血液ポンプの周波数を決定するように構成される。そのようなブロックによって使用されるアルゴリズムの一例はさらに下記に述べられるだろう。
【0136】
ブロック52は、ポンプ周波数決定ブロック51によって提供される、見積もられたポンプ周波数に基づいて、直接の検波ステップ403−405(図12)を実行する。決定ステップ405の結果が陰性の場合、つまり、心臓成分は見つからない場合、交換ブロック54はブロック53を活性化するために作動される。心臓成分が見つかる場合、交換ブロック54は警報装置に陽性状態表示を供給するために作動されてもよく、また、新規の信号のセグメントはブロック51及び52によって受け取られてもよいし、取り戻されるされてもよい。
【0137】
ブロック53は、見積もられたポンプ周波数に再び基づいて、打つ検波ステップ406−408(図12)を実行する。決定ステップ408の結果が陰性の場合、つまり、打つ信号が検出されない場合、スイッチングブロック55は、警報装置に陰性状態表示を供給するために作動され、警報装置はアラームを出す。打つ信号が見つかる場合、スイッチングブロック55は、警報装置に陽性状態表示を供給するために作動されてもよく、また、新規の信号のセグメントはブロック51及び52によって受け取られてもよいし、取り戻されてもよい。
【0138】
図13では、データ分析部は、さらにポンプ周波数(例えば図10の中の測定装置26あるいは制御装置23からの)を示す信号を受け取るため入力56を含んでいる。ステップ410(図12)に関連して議論されるように、この信号から得られた周波数情報は、ブロック51によって決定された周波数を補足或いは代替してもよい。
図13は、例えば、ブロック52にタイミング情報を提供するため或いはステップ406を実行する場合にブロック53によって使用されるために、患者の心臓周波数を示す測定信号のためのインプット57の設備をも示す。
【0139】
ブロック51−53のそれぞれのために例証する作動が今から説明され、ポンプ周波数決定ブロック51から始められる。
【0140】
ポンプ周波数決定ブロック51は、圧力信号セグメントからのパワー・スペクトルを計算し、かつパワー・スペクトル中の基礎ポンプ周波数を識別するように構成される。パワー・スペクトルは、例えば、圧力信号セグメント上でDFT(個別のフーリエ変換)あるいはFFT(高速フーリエ変換)を作動させることによって、任意の既知の方法で計算することができる。基礎ポンプ周波数は、パワー・スペクトル中で最大のピークの周波数、あるいは複数の最大のピークのうちの少なくとも1つとして識別されるてもよい。
【0141】
パワー・スペクトルの解像度が低い場合、推定された周波数の正確さを増加させるために特別の手段が使用されてもよい。解像度は、信号セグメントfs/N中のサンプリング周波数fs、およびサンプルNの数に依存する。1例において、20秒の信号セグメントは10Hzでサンプリングすると、解像度は0.05Hzとなる。この正確さは、直接の検波ブロック52および/または打つ検波ブロック53の中の処理に不適切だろう。正確さを増加させるために、信号のセグメントは、比較的ノイズがなくシヌソイド状(sinusoid-like)の信号セグメントに帰着するパワー・スペクトルから得られた、見積もられた周波数のまわりの小幅中でバンドパス・フィルタされてもよい。その後、基礎周波数の正確な見積もりは、例えば、フィルタされた信号にシヌソイドを適用させてゼロ交差間の時差を識別することによって、時間定義域のフィルタされた信号セグメントの周期の決定により得ることができる。
【0142】
直接検波ブロック52は、血液ポンプおよびあらゆるさらなる妨害のパルス出所(つまり、第1と第2発明概念に関連して上に議論された「第1のパルス」)から出る信号パルスを相殺するための成分を含んでもよい。更に、直接の検波ブロック52は、圧力信号中の心臓パルスの同定するための第1および/または第2の側面に従った時間定義域解析を行なう成分と同様に前述のタイミング情報を得る成分を含む。
【0143】
打つ検波ブロック53は、1セットの通過帯域(それぞれ血液ポンプの周波数成分の1つを含む)に関する信号セグメントをフィルタするように構成される。生じるフィルタされた信号セグメントはそれぞれ本質的にシヌソイド(sinusoid)である。心臓の周波数がこれらの通過帯域のうちの1つの内に位置すれば、対応するフィルタされた信号セグメントは、他のフィルタされた信号セグメントのうちのどれでも見つからない波形を持つだろう。
【0144】
図14(a)は、1.5029Hzで血液ポンプの基礎周波数を囲んだ狭いバンドパスでフィルタされた20秒の信号のセグメントを示す。フィルタされた信号はさらに心臓パルスを含み、心臓パルスは、基礎周波数について0.037Hzの振動数のシフトを持っている。血液ポンプおよび心臓パルスの間の相対的な大きさは40:1である。図14(b)は、心臓信号のない対応するフィルタされた信号セグメントを示す。非常に小さいが、信号セグメント間の違いを識別することは可能であり、そこでは、心臓の存在は、図14(b)にはない、図14(a)の中の信号振幅における重なった変形を引き起こす。図15(a)および15(b)は、図14(a)および14(b)のそれぞれの信号ピークの拡大図であり、心臓パルスを備えたものと、そのパルスのないフィルタされた信号セグメントとの間の明瞭な違いを示す。
【0145】
1つの実施形態では、打つ検波ブロック53は、フィルタされた信号セグメントから得られた包絡線に基づいた、打つ信号を検知するように構成される。
【0146】
1つのそのような変形中で、打つ検波ブロック53は、信号のセグメントからピーク値の配列を抽出することにより包絡線を得る。抽出されたピーク値は、信号セグメント中で識別された個々のピークの信号値の抽出から与えられるだろう。雑音の強さを改善するために、それぞれの抽出されたピーク値は、その代りに、信号のセグメント(例えば、ピーク値の10−25%、あるいはピーク値のまわりの所定時間範囲内の信号値を含む)中の各ピークを形成する信号値の平均か合計として計算されてもよい。その後、得られた包絡線(ピーク値アレイ)は、評価パラメータの計算のために処理される。図16(a)および16(b)は、図15(a)及び15(b)のそれぞれから抽出されたピーク値の配列を示している。
【0147】
他の変形の中で、ブロック53は、信号のセグメントxへのヒルバート変換として知られている線形の、時間不変式フィルタ(time-invariant filter)の適用により、包絡線
【数4】
【0148】
nは信号セグメント中の異なる位置である
【数5】
【0149】
近似のあるいはそうではない、得られた包絡線は、その後、評価パラメータの計算のために処理される。
【0150】
一方の変形中で、得られた包絡線は、評価パラメータの計算のために処理される前に、さらに包絡線雑音を除去するためにローパスフィルタをされてもよい。
【0151】
一方の変形では、評価パラメータの最終的な値は、打つ信号の存在あるいは欠如の決定のために閾値と比較されてもよい。
【0152】
一例において、評価パラメータは、包絡線の値の導関数の絶対値の合計であり、次によって得られる、
【数6】
【0153】
b(n)は、位置nの包絡線値であり、Nは、包絡線中の数値である。
【0154】
図17は、20秒のウィンドウを5分の圧力信号に移動させる結果を例証し、および個々の20秒の信号セグメントのために得られた包絡線上の導関数の絶対値の合計を計算する。上側のカーブは、心臓信号を含むフィルタされた信号セグメントのために計算され、また、より低いカーブは心臓信号を含まないフィルタされた信号セグメントのために計算される。明らかに、心臓信号の存在および欠如を識別するために、閾値を定義することができる。上部のカーブは、信号セグメントが打つ信号の全周期の一部を含んでいるという事実により、波形を示す。したがって、時間とともに、信号セグメントは、打つ信号の異なる部分を含むだろう。勾配は、包絡線のピークおよび谷の近くで小さく、それらの間で大きいので、導関数の計算された合計は相応して時間とともに変わるだろう。打つ周波数が減少し、また包絡線を平らになるため、信号セグメントの所定の長さ(時間ウィンドウ)の間、心臓および血液ポンプの間の減少する周波数差とともに勾配の探知可能性が減少するであろうことは理解されるべきである。より広い時間ウィンドウは、打ちの振幅が雑音より小さくなるところまで探知可能性を改善するだろう。
【0155】
別の例において、評価パラメータは包絡線の値の分散である。図18は、図17に対応するプロットで、心臓信号と共にあるもの(上側)、および心臓信号のないもの(下側)を、時間の関数としての分散を例証する。明らかに、心臓信号の存在および欠如を識別するために、閾値を定義することができる。
【0156】
まだ別の例(それは包絡線雑音の影響を低減するだろう)において、評価パラメータは導関数の平均された合計で、例えば、次のように与えられる。
【数7】
【0157】
別の実施形態では、打つ検波ブロック53は、パターン認識処理に基づいて、打つ信号の存在か欠如を決定する。例えば、信号セグメントあるいは包絡線のすべてあるいは一部は、打つ信号の代表である、1つ以上の予め決められたシグナル・パターンとマッチさせられるだろう。一例において、得られた包絡線(自由にローパスフィルタされた)は相互相関させられるか、あるいは異なる周波数のシヌソイド波(sinus waves)の1セットののそれぞれとたたみ込み(convolved)させられる。相互相関/畳込み演算はそれぞれ、相関カーブ(最大の相関価値はそれから得ることができる)に帰着する。その後、得られた最大の相関値のセットは打つ信号の存在/欠如の決定のために閾値と比較され、そこで高い十分に最大の相関値がそのような存在の表示として得られる。
【0158】
代替の実行では、打つ検波ブロック53は、打つ信号の周期に対して長い信号セグメント上で作動され、周波数定義域中で打つ信号を発見するためにこれらの信号セグメントを処理(例えば、包絡線にフーリエ変換の操作をする)する。
【0159】
打つ信号の存在を決定する上記の例はすべて、決定された打つ信号の信頼性を評価するさらなるステップを含んでいてもよい。この評価は、打つ信号の打つ周波数の決定と、この打つ周波数が合理的かどうかチェックすることと、を含んでいてもよい。打つ信号がどのように識別されるかによって、打つ周波数は、時間/周波数定義域で得られた包絡線の処理、あるいは最大の相関値を産むシヌソイド波(sinus waves)の周波数の識別により決定されるだろう。打つ周波数は、絶対の期間および/またはモニタリング・プロセス(図12)の先行する反復中で決定された1つ以上の打つ周波数に関連して、チェックされるだろうし、そこでは先行する打つ周波数からの十分に大きな偏差が、決定された打つ信号の信頼性が低いということの表示として得られる。評価は、決定された打つ信号の信頼性を示す信頼性スコアに帰着するかもしれない。二者択一的あるいは付加的に、信頼性評価は、そのポンプ周波数を変更するようにポンプを制御し、打つ信号に対応する変更が生じるかどうかチェックするステップを含んでいてもよい。例えば、ポンプ頻度はわずかに変えられてもよいし、あるいは、ポンプは断続的にシャット・ダウンされてもよい。信頼性評価の結果は、例えば、アラーム/警告は活性化されるかどうか、アラーム/警告を作動させる前にモニタリング・プロセスのさらなる反復が要求されるか、ポンプ頻度が変更されるか、など、ステップ409−410の実行に影響してもよい。
【0160】
テストは、異なる状況では異なる評価パラメータが望ましいかもしれないことを示した。例えば、調波(harmonics)のうちの1つのまわりの打つ信号を捜す場合、分散の使用は探知可能性を増加させるかもしれないが、しかし、基礎周波数のまわりの打つ信号を捜す場合、導関数の合計の絶対値あるいは導関数の合計の平均の使用の方がよいかもしれない。他の検波方法が失敗する場合、パターン認識が頼られてもよい。したがって、打つ検波ブロック53は、これらの評価パラメータの1つあるいは任意の組合せを使用するように構成されてもよい。
【0161】
図19は、心臓パルスが打つ検波ブロック53を使用して検知できる周波数および振幅レンジの例である。点線は、正常な心臓の周波数レンジを示し、また、暗い水平の帯域は、1.13Hzのポンプ周波数を使用したシステムで心臓パルスを検知することができるかもしれない周波数を示す。水平の帯域の5つの列は、血液ポンプおよび心臓パルスの間の異なる相対的な大きさを表わし、20:1から、40:1、60:1、80:1及び100:1まで連なり、底列からトップの列まで連なる。
【0162】
発明は、少数の実施形態に関して主として上述された。しかしながら、当業者に容易に評価されるように、添付された特許クレームによってのみ定義され・限定された発明の視野(scope)および精神の範囲内で、上に示された実施形態以外の実施形態も等しく実施できる。
【0163】
例えば、圧力信号は、任意の考えられるタイプの圧力センサー(例えば、抵抗か、容量性(capacitive)か、誘導か、磁気或いは光学的に感じることにより作動し、1つ以上のダイヤフラム、ベローズ、ブルドン管(Bourdon tubes)、ピエゾ−電子部品、半導体部品、歪みゲージ、共振するワイヤー(resonant wires)などを使用して)から発せられても良い。
【0164】
さらに、図示の実施形態は、患者の回路に返される前に血液に処理を適用するために、患者の回路から血液を得るすべてのタイプの体外の血流回路の監視に適用可能である。そのような血流回路は、血液透析、血液濾過、血液濾過透析、血漿搬出、成分除去(apheresis)、体外膜型酸素供給、支援された血液循環(assisted blood circulation)および体外の肝臓サポート/透析(extracorporeal liver support/dialysis)を含んでいる。
【0165】
さらに、発明のモニタリング技術は、第1の流体を含む系での圧力パルスを生成する、任意のタイプのポンプ装置に適用可能であり、上に示されるような回転式の蠕動ポンプだけでなく、線形の蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、さらに渦巻きポンプ、のような他のタイプの正排水型ポンプ(positive displacement pumps)でもよい。
【0166】
まださらに、発明のモニタリング技術は、さらに1つ以上の動脈圧力センサーからの測定信号に基づいた、血管進入路と動脈針との間の流体接続の完全性のモニターに適用可能である。そのようなモニタリング技術は、従来の空気検出器よりも迅速な故障の検出と、平均圧力レベルと閾値との従来型の比較よりももっと信頼できるような故障の検出と、を提供するだろう。そのような適用では、前述の照会信号は、体外の血流回路中の1つ以上の静脈圧力センサーに由来してもよい。
【0167】
さらに、モニタリング技術がシングルの針の透析に等しく適用可能であることは理解される。
【0168】
さらに、測定信号が人間の血液系での圧力を感知するように配置された圧力センサーから発したものである場合に、発明のモニタリング技術は適用可能である。そのような実施形態では、第1の流体を含む系(S1)は人間の血液系であり、第2の流体を含む系(S2)は体外の血流回路であり、また、流体接続(C)は、アクセス装置と血管進入路との間の接続によって形成されるだろう。第1のパルスは、このように人間の心臓から発し、また、第2のパルスは、体外の血流回路中のポンプ装置(および/または、体外の血流回路中の他のパルス発生器、あるいは体外の血流回路に接続された他のパルス発生器)から発し、および流体接続の完全性は、測定信号中の第2のパルスの存在/欠如を検出するために第1および/または第2の発明概念の適用により決定される。
【0169】
更に、モニタリング・プロセスはディジタル信号処理に制限されていない。図20は、圧力信号中の打つ成分の検出用のアナログ装置の典型的な組合せを例証する。個々の装置はそれ自身知られており、また、代替の実行は当業者に容易に利用可能である。アナログ装置の典型的な組合せは、ポンプ装置の基礎周波数(f0)で信号成分を分離するために、入って来る圧力信号をフィルタするのに適したバンドパスフィルタ151を含んでいる。周波数逓倍器152は、フィルタされた圧力信号を受け取るために配置され、基礎周波数の選択された倍数(0.5、1、2.5、3など)で対応する出力信号を生成するために制御可能である。周波数逓倍器152からの出力信号は、制御可能なバンドパスフィルタ153へ制御信号として入力され、バンドパスフィルタ153は入って来る圧力信号を受け取りフィルタするのに適している。フィルタ153は、周波数逓倍器152(図12のステップ406参照)から制御信号の周波数のまわりの周波数帯を除いたすべての周波数を取り除くことにより、圧力信号を処理するようにコントロールされる。処理された圧力信号は、包絡線信号(それは包絡線信号からどんなDC成分も取り除くハイパスフィルタ155に次に供給される)をそれによって生成するピーク検出器154へインプットされる。任意に、ローパスフィルタ(図示されない)は包絡線信号から高周波数の雑音を取り除くために含まれていてもよい。最後に、包絡線信号は、打つ信号の存在/欠如を決定するのに適合された振幅検出器156によって受け取られる。振幅検出器は、順に、全波長整流器156a、ローパスフィルタ156b、および照会信号が与えられる比較器156cを、含んでいてもよい。比較器156cへ入力された信号の振幅が、照会信号を超過する場合、比較器156cは打つ信号の存在を示す信号を出力してもよいし、そうでなければしなくてもよいし、あるいは逆も同様である。
【0170】
上記発明概念は、さらに血液以外に液体を輸送するための流体接続の完全性のモニターに適用可能だろう。同様に、ヒトに関して流体接続を設ける必要がないが、他のタイプの流体を含む系に関して設けることができるだろう。
【0171】
1例において、流体接続は血液処理回路とコンテナ/機械との間で設けられ、そこでは1つのコンテナ/機械から送られた血液は、血液処理回路中の血液処理装置を通り、コンテナ/機械へと戻され、或いは、血液処理装置の下流にある別のコンテナ/機械へ戻される。血液処理装置は、血液を修正し、および/または分析するように構成された任意の既知の装置であってよい。
さらに次の例において、流体接続は、透析器と再処理する系の間に設けられ、再処理する系は、汲み上げる水(任意に適切な化学薬品と一緒に)を透析器に通すことにより透析器を再処理する。透析器を再処理する系の一例はUS2005/0051472から分かる。
【0172】
別の例において、流体接続は透析物供給と透析物再生系との間に設けられ、透析物再生系は、透析物供給からの透析物を透析物再生装置を通るように循環させ、そして供給へ戻す。透析物再生装置の一例はWO05/062973から分かる。
【0173】
まだ別の例において、流体接続は、供給から血流回路を経由して透析器までプライミング流体をポンピングすることにより、体外の血流回路を準備するための配置で設けられる。 プライミング流体は、例えば、透析溶液、食塩水、浄化された水などであってよい。
【0174】
まださらに次の例において、流体接続は、透析器の透析溶液フロー・パスを清潔にし消毒するための配置で設けられ、フロー・パスを経由して洗浄液を透析器/透析器配管へ送る。洗浄液は、例えば、湯、化学溶剤などであってよい。
【0175】
さらに次の例において、流体接続は水を浄化するための配置で設けられ、供給から浄化する装置を通るように水を送る。浄化する装置は、あらゆる既知の浄水技術、例えば逆浸透、イオンを取り除くこと、或いは炭素吸収、を使用してもよい。
【0176】
別の例において、流体接続は、例えば透析溶液の調製に使用されるために、透析器に浄化された水を供給するための配置で設けられる。
【0177】
これらの例のすべて、およびヒトまたは動物の患者の医療と関係する他の適用では、流体接続の完全性をモニターすることは致命的かもしれない。そのようなモニタリングはここに示された発明概念によって遂行することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に流体接続のモニタリングに関連し、特に圧力測定に基づいた流体接続の完全性のモニタリングに関する。本発明は、例えば、体外の血液処理のための準備に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
体外の血液処理では、患者から取り出された血液は、体外の血流回路によって処理されそして患者へ再導入される。一般に、血液は1つ以上のポンプ装置によって回路内を循環する。回路は、典型的には血管進入路に挿入される針またはカテーテルのような1つ以上のアクセス装置を介して、患者の血管の進入路に接続される。そのような体外の血液処理には、血液透析、血液濾過透析、血液濾過、血漿搬出などが含まれる。
【0003】
体外の血液処理では、これらが潜在的に患者の生命に危険のある状態に結びつくかもしれないので、体外の血流回路が不調となる危険を最小化することは極めて重要である。体外の血流回路が破裂する場合、例えば、血液抽出用のアクセス装置、例えば動脈の針/カテーテルが血管の進入路から緩くなることによって、回路内へ空気が吸い込まれたりする場合や、あるいは血液再導入用のアクセス装置、例えば静脈の針/カテーテルが血管の進入路から緩くなることで、患者に数分間の血液の流出を生じさせる場合に、深刻な状態が発生するかもしれない。他の不調は、血管進入路が閉塞或いは遮断されることによって、或いはアクセス装置が血管進入路の壁に接近して位置しすぎていたことによって、引き起こされるかもしれない。
【0004】
この目的のために、体外の血液治療用の装置は、血流回路の完全性をモニターし、潜在的に危険な状況が検知される場合は常に、アラームを出しおよび/または適切な処置を講じる1つ以上の監視装置を含んでいるかもしれない。そのような監視装置は、回路中の1つ以上の圧力センサーからの測定信号に基づいて作動するだろう。慣例通りに、モニタリングは、1つ以上の閾値とともに測定された1以上の平均圧力レベルとの比較により、および/または回路の中で空気検波器を使用して、気泡の存在をモニターすることにより実行される。例えば、血液抽出の失敗は、回路中に空気が導入されることを含み、それによって測定された平均圧力は気圧に近づくかもしれず、あるいは血液の流れが閉塞或いは遮断されることを含み、それによって測定された平均圧力は、低レベルに落ちるかもしれない。血液の再導入中の失敗は、測定された平均圧力の減少として検知できるだろう。しかしながら、回路中の平均圧力は処理同士の間で変化するかもしれないし、また、一つの処理の間でも、例えば患者の動いたことによっても変化するかもしれないので、適切な閾値をセットするのは難しいであろう。さらに、アクセス装置が緩み、ベッドのシーツあるいは患者の衣服の中に押し付けられた場合、測定された平均圧力は潜在的に危険な状況を示すまでに十分に変わらないかもしれない。
【0005】
モニタリングの精度を増加させるために、WO 97/10013は、いくつかのオプションのうちの1つである、測定された圧力中の心臓信号を測定すること、そして、体外の血流回路および血管進入路間の流体接続の完全性の指標として心臓信号を使用することを提案する。心臓信号は、患者の心臓によって生産され、血管進入路を介して患者の循環系から体外の血流回路に伝達される圧縮波で表わされる。流体接続中の不調は、心臓信号の変化或いは消滅を引き起こし、心臓で生成された圧縮波の回路への伝達を妨害するだろう。測定された圧力は、体外の血流回路中の血液ポンプによって生産された強い圧縮波をさらに含んでいるかもしれない。WO 97/10013において、モニタリングは、血液ポンプから発する周波数成分を削除するための、測定された圧力信号のフィルタリングと、フィルタリングされた圧力信号の分析によって心臓信号を検知することと、を含んでいる。フィルタリングされた圧力信号の振幅は、流体接続の完全性の表示として得られる。
【0006】
US2005/0010118は、測定された圧力信号からある周波数域を生成する周波数解析の適用と、血液ポンプから発する周波数成分の削除と、患者の心臓から生じた周波数成分の特定と、を含む解法を提案する。血管の進入路の異常は、患者の心臓から生じた周波数成分の強度のレベルに基づいてモニターされる。
【0007】
第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするために、対応するニーズが他の技術分野の中で発生するかもしれない。
【発明の概要】
【0008】
発明は、先行技術の上記の特定された制限の1つ以上を少なくとも部分的に克服することを目的とする。具体的には、それは、圧力測定を使用して、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするための選択的或いは補足的な技術を提供することが目的で、好ましくは、改善された強健さおよび/または流体接続の不調を発見する確実性の増大を伴うものである。
【0009】
この目的および下記に現われるだろう他の目的は、少なくとも独立クレームおよび従属クレームによって定義されている実施形態による、方法、装置およびコンピュータ・プログラムの手段によって部分的に達成される。
【0010】
発明の第1の発明概念の第1の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする方法で、そのうち第1の流体を含む系は、第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は、第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するように配置され、前記方法は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて、第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成し、モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算し、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定する。
【0011】
1つの実施形態では、前記計算は、時間ウィンドウ内で信号値の統計的なばらつきの尺度としてのパラメータ値を計算することを含む。統計的なばらつきの尺度は、標準偏差、分散、変動係数、違い、エネルギー、力の合計、平均値からの偏差の絶対値の合計、および平均値からの差の絶対値の平均、の少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
1つの実施形態では、前記計算は、第2のパルスの予想される一時的な信号のプロフィール(profile)に時間ウィンドウ中の信号値をマッチさせることを含む。そのパラメータ値は、前記マッチングに由来する相関値であってもよい。
【0013】
1つの実施形態では、前記計算は、時間ウィンドウ内の信号値と前記予想された一時的な信号のプロフィール(profile)の間の相互相関(cross-correlation)を計算し、そして相互相関中の最大の相関値を識別することを含み、前記決定は、最大の相関値を閾値と比較することを含む。
【0014】
1つの実施形態では、前記計算は、最大の相関値の時間ポイントを得て、その時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、最大の相関値を検証することを含む。
【0015】
1つの実施形態では、方法は、第1の流体を含む系中での照会センサーから照会圧力信号を得るステップと、前記照会圧力信号に基づいた、予想された一時的な信号のプロフィール(profile)を計算するステップとをさらに含み、この照会センサーは、たとえ流体接続が欠陥を生じていても前記第2のパルスを検出するように配置される。さらに、方法は、前記照会圧力信号中の第2のパルスの大きさを示す大きさ値(magnitude value)を計算し、その大きさ値を限界と比較するステップを含み、そこでは前記照会圧力信号に基づいた、前記予測された一時的な信号のプロフィール(profile)を計算するステップは、前記比較するステップで条件付け(conditioned)られる。選択的或いは補足的に、予測された一時的な信号のプロフィール(profile)を計算するステップは、照会センサーと前記少なくとも一つの圧力センサーとの間の通過時間(transit time)の差に合わせて調節することを含んでいてもよいし、そこでは前記通過時間の差は、あらかじめ定められた値から与えられてもよいし、あるいは、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて計算されてもよい。
【0016】
1つの実施形態では、前記時間ウィンドウは少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される。前記時間ウィンドウの長さは第2のパルス発生器の最大のパルス反復間隔を越えるように選択されてもよい。
【0017】
1つの実施形態では、前記時間ウィンドウは、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて選ばれる。
1つの実施形態では、前記モニタリング信号は、前記第1のパルスを除去するために前記少なくとも1つの測定信号をフィルタリングし、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて、そのようにフィルタされた測定信号中の1セットの信号セグメントを引き出し、前記タイミング情報に基づいて前記モニタリング信号を生成するために、信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることで生成される。
【0018】
1つの実施形態では、前記計算は、前記モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントを識別すること、および前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報と比較して候補時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを検証すること、を含む。
【0019】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーから得られる。
【0020】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数(function)として得られる。
【0021】
1つの実施形態では、前記第1の流体を含む系は、動脈側アクセス装置、血液処理装置、および静脈側アクセス装置を含んだ体外の血流回路であり、そこでは前記第2の流体を含む系は血管の進入路(access)を含む人間の血管系であり、そこでは前記動脈側アクセス装置は、前記人間の血管系に接続され、そこでは静脈側アクセス装置は、流体接続を形成するように前記血管の進入路(access)に接続され、そこで前記第1のパルス発生器は、前記動脈側アクセス装置から前記血液処理装置を通り前記静脈側アクセス装置にまで至るように血液を送るために前記体外の血流回路内に配置されたポンプ装置であり、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置に下流に位置した少なくとも1つの静脈側圧力センサーに由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置の上流に位置した少なくとも1つの動脈側圧力センサーに由来した少なくとも1つの動脈測定信号と、を含み、前記モニタリング信号は、前記少なくとも1つの静脈測定信号に基づいて生成され、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、およびこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む。
【0022】
1つの実施形態では、方法は、断続的に前記第1のパルス発生器を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスの識別すること、またこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む。
【0023】
1つの実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた候補の第2のパルスの1つのセットを識別すること、前記候補の第2のパルスの1つのセットに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対する前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、このように検証された前記候補時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む。
【0024】
1つの実施形態では、前記第1の流体を含む系は、アクセス装置を含む体外の血液処理系であり、そこでは前記第2の流体を含む系は、血管の進入路(access)を含む人間の血液系であり、そこではアクセス装置と血管の進入路(access)との間の接続は、流体接続を形成する。
【0025】
発明の第1の発明概念の第2の側面は、コンピューターに第1の側面に従った方法を実行させるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品である。
【0026】
発明の第1の発明概念の第3の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする装置であって、そのうち前記第1の流体を含む系は、第1のパルス発生器を含み、前記第2の流体を含む系は、第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサーは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号のための入力と、前記入力に接続される信号処理装置と、を含み、前記信号処理装置は、処理モジュールを備え、前記処理モジュールは、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成し、前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算するように構成され、前記信号処理装置は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定する。
【0027】
発明の第1の発明概念の第4の側面は、第1の流体を含む系の少なくとも1つ圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする装置であって、そこでは第1の流体を含む系は第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサーは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取る手段と、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成する手段と、前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算する手段と、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続の完全性を決定する手段と、を含む。
【0028】
第1の発明概念の第3と第4の側面の実施形態は、第1の発明概念の第1の側面の上記特定された実施形態に対応してもよい。
【0029】
発明の第2の発明概念の第1の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターする方法であって、そのうち第1の流体を含む系は、第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は、第2のパルス発生器を含み、前記少なくとも1つの圧力センサーは第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記方法は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得て、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を計算するために、前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理し、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続の完全性を決定する。
【0030】
1つの実施形態では、前記処理は、タイミング情報に基づいて、測定信号あるいはそこから得たモニタリング信号中の時間ウィンドウを配置させること、および前記時間ウィンドウ内の前記信号値に基づいたパラメータ値を計算すること、を含む。
【0031】
1つの実施形態では、前記処理は、前記タイミング情報に基づいた前記時間ウィンドウの長さを選択することを含む。
【0032】
1つの実施形態では、前記処理は、前記少なくとも1つの測定信号から前記第1のパルスを除去するフィルタリングにより、時間依存のモニタリング信号を生成することを含み、そこでは、前記パラメータ値は前記モニタリング信号に基づいて計算される。
【0033】
1つの実施形態では、前記生成は、さらに、このようにフィルタリングされた測定信号中の1セットの信号セグメントを選択すること、およびタイミング情報に基づいて、モニタリング信号を生成するために信号セグメントを整列させるとともに足し合わせること、を含む。
【0034】
1つの実施形態では、前記計算は、モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントの識別をすること、および候補の時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを前記タイミング情報と比較して検証すること、を含む。
【0035】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーから得られる。
【0036】
1つの実施形態では、前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数(function)として得られる。
【0037】
1つの実施形態では、方法は、前記第1の流体を含む系の照会センサーから照会圧力信号を得るステップをさらに含み、前記照会センサーは、前記流体接続に障害を生じても、前記第2のパルスを検知するように配置され、そして、前記タイミング情報を得る前記ステップは、照会圧力信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、および照会センサーと少なくとも1つの圧力センサーとの間の到着時の評価された差を得ること、を含む。到着時の評価された差は、あらかじめ定められた値から与えられてもよいし、あるいは、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて、計算されてもよい。さらに、方法は、前記照会圧力信号中の前記少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するステップを含み、そこでは到着時の評価された差を得るステップは、比較する前記ステップで条件付け(conditioned)られる。
【0038】
1つの実施形態では、第1の流体を含む系は、動脈側アクセス装置、血液処理装置、および静脈側アクセス装置を含む体外の血流回路であり、そこでは第2の流体を含む系は血管進入路を含む人間の血液系であり、そこでは前記動脈側アクセス装置は前記人間の血液系に接続され、前記静脈側アクセス装置は前記流体接続を形成するために血管進入路に接続され、前記第1のパルス発生器は、前記動脈側アクセス装置から前記血液処理装置を通り、前記静脈側アクセス装置にまで血液を送るように、前記体外の血流回路の中に配置されたポンプ装置であり、そこで、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置の下流に位置した、少なくとも1つの静脈圧力センサーに由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置の上流に位置した、少なくとも1つの動脈圧力センサーに由来した少なくとも1つの動脈測定信号とを含み、前記モニタリング信号は、少なくとも1つの静脈測定信号に基づいており、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、またこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む。
【0039】
1つの実施形態では、方法は、断続的に前記第1のパルス発生器を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、またこのように識別された第2のパルスからのタイミング情報を計算すること、をさらに含む。
【0040】
1つの実施形態では、方法は、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、前記1セットの候補の第2のパルスに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、またこのように検証された候補時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む。
【0041】
1つの実施形態では、前記得ることは、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、および前記候補の第2のパルスのセットに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して候補時間ポイントの系列を検証することにより、1セットの検証された候補の第2のパルスを生成すること、をさらに含み、そこでは前記処理は、1セットの平均表現(average representation)を計算すること、およびそれぞれの前記平均表現のための前記パラメータ値を計算すること、を含み、それぞれの平均表現は、検証された候補の第2のパルスの固有の組合せに対応する前記少なくとも1つの測定信号の信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより形成され、前記決定は、最大のパラメータ値を閾値と比較することを含む。
【0042】
1つの実施形態では、前記パラメータ値は、信号値の分布を表わす。
【0043】
発明の第2の発明概念の第2の側面は、第2の発明概念の第1の側面に従った方法をコンピューターに行なわせるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品である。
【0044】
発明の第2の発明概念の第3の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするための装置であって、そこでは第1の流体を含む系は第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は第2のパルス発生器を含み、そこで、前記少なくとも1つの圧力センサーは、第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検知するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号のための入力と、前記入力に接続される信号処理装置と、を含み、前記信号処理装置は、処理モジュールを備え、前記処理モジュールは、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るとともに、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するように前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理するように構成され、前記信号処理装置は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定するように構成される。
【0045】
発明の第2の発明概念の第4の側面は、第1の流体を含む系中の少なくとも1つの圧力センサーからの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性をモニターするための装置であり、そこでは第1の流体を含む系は第1のパルス発生器を含み、第2の流体を含む系は第2のパルス発生器を含み、そこで、前記少なくとも1つの圧力センサーは、第1のパルス発生器から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器から発した第2のパルスを検知するために配置され、前記装置は、前記少なくとも1つの測定信号を受け取るための手段と、前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るための手段と、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するために、前記タイミング情報に基づいて前記少なくとも1つの測定信号を処理するための手段と、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定するための手段と、を含む。
【0046】
第2の発明概念の第3と第4の側面の実施形態は、第2の発明概念の第1の側面の上記特定された実施形態と対応してもよい。
【0047】
まだ、本発明の他の目的、特徴、側面および利点が、以下の詳細な記述から、および図面と同様に付属の請求項から、現われるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
発明概念の実施形態は、添付の概略図と関連させて、より詳細に記述されるであろう。
【図1】流体接続の完全性をモニターするために発明概念が用いられた一般的な流体の配置の概要図である。
【図2】第1の発明概念によるモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図3】(a)は時間の関数としての測定信号のプロットで、(b)は、(a)の中の測定信号のフィルタリング後のプロットであり、(c)は、(b)中の信号中の時間ウィンドウの系列のために計算された統計的なばらつきの尺度を示す。
【図4】(a)は、測定信号と予測された信号プロフィールとの間のマッチングの手順を示し、(b)は、最良のマッチング位置を示し、また、(c)は、(a)の中のマッチング手順の結果として生じた相関カーブである。
【図5】(a)は第2のパルスを含んでいる信号セグメントのプロットであり、また、(b)は、平均10の信号セグメントにより生成される評価セグメントのプロットである。
【図6】第2の発明概念に従ったモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図7】(a)−(d)は、測定信号の中で特定された候補のパルスの処理を示す。
【図8】は、第2の発明概念によるモニタリング・プロセスの一部のフローチャートである。
【図9】は、第1と第2の発明概念を組み合わせたモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図10】体外の血流回路を含む血液透析処理用の系についての概略図である。
【図11】(a)は、ポンプの周波数成分および心臓信号の両方を含んでいる静脈圧信号の時間定義域中のプロットであり、(b)は周波数定義域中の対応する信号のプロットである。
【図12】例示されたモニタリング・プロセスのフローチャートである。
【図13】図12のプロセスを実行するためのデータ分析器のブロック図である。
【図14】(a)および(b)は、心臓信号と共に、および心臓信号なしで、図13のデータ分析器中の鼓動検出モジュールの中で処理した後の圧力信号の時間定義域中のプロットである。
【図15】(a)および(b)は図14(a)および(b)のプロットの拡大図である。
【図16】(a)および(b)は、図15(a)および図15(b)中のデータから抽出された包絡線のプロットである。
【図17】心臓信号を含む、および心臓信号のない包絡線から計算された時間の関数として導関数の合計のプロットである。
【図18】心臓信号を含む、および心臓信号のない包絡線から計算された時間の関数としての分散のプロットである。
【図19】血液パルスと心臓パルスとの間の相対的な大きさの違いのための、拍動検出モジュールの作業を示したブロック図である。
【図20】圧力信号中の拍動成分の検出用のアナログ装置の配置についての概略図である。
【発明概念と実施形態の詳細な説明】
【0049】
下記では、発明概念および関連する実施形態は、一般に流体を含む系に関して記述されるであろう。その後、発明概念は、体外の血液治療用の系の文脈の中でさらに例証されるであろう。
【0050】
次の記述の全体にわたって、類似のエレメントは同じ引用符号で示される。
【0051】
総論
図1は、第1の流体を含む系S1と第2の流体を含む系S2の間で流体接続Cが確立された一般的な流体の配置を示す。流体接続Cは、1つの系から別の系まで流体を転送してもよいし、転送しなくてもよい。第1のパルス発生器3は、第1の系S1の内の流体中で一連の圧力波を生成するために配置され、また、第2のパルス発生器3´は第2の系S2の内の流体中で一連の圧力波を生成するために配置される。圧力センサー4cは、最初の系S1の中で液圧を測定するために配置される。流体接続Cが完全な限り、第2のパルス発生器3´によって生成された圧力波は第2の系S2から第1の系S1まで移動するであろうし、したがって、第2のパルス発生器3´から発せられた第2のパルスは、第1のパルス発生器3から発せられた第1のパルスに加えて圧力センサー4cによって検知されるだろう。第1と第2のパルス発生器3、3´のいずれか1つは、1つを超えるパルス生成装置を含んでいてもよいことに注意すべきである。さらに、そのようなパルス生成装置は、それぞれの流体を含む系S1、S2の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0052】
図1の流体の配置は、図1に示されるように圧力センサー4cと、恐らく1以上のさらなる圧力センサー4a、4bとに接続される監視装置25をさらに含む。それによって、監視装置25は、第1の系S1の中の液圧のリアル・タイム表現を提供するために時間依存の1つ以上の測定信号を得る。監視装置25は、第2のパルスが存在することは流体接続Cが完全であることを示し、第2のパルスの欠如が流体接続Cに障害があることを示す、という原則に基づき、流体接続Cの完全性をモニターする。第2のパルスの欠如は、監視装置25にアラームまたは警告および/または警報の信号を出させてもよいし、第1または第2の流体含む系S1、S2のコントロールシステムに警報を発して適切な処置を講ずるようにしてもよい。
【0053】
監視装置25は、第2のパルスが存在するかどうか判断するために、時間依存の測定信号を絶え間なく処理するように構成される。典型的には、決定は、測定信号中における第2のパルスの存在か欠如を示す評価パラメータの値を計算するために、時間定義域中での測定信号、あるいはそれのあらかじめ処理されたバージョンを分析することを含んでいる。履行によって、監視装置25は、ディジタル部品かアナログ部品、あるいはそれの組合せを測定信号の受け取りと処理に使用してもよい。
【0054】
本開示の文脈では、パルスの「欠如」は、パルスが消えたことを示唆してもよいし、あるいは少なくともそれが、存在すると思われるパルスと比較して、大きさにおいて十分に減少したことを示してもよい。存在または欠如の評価は、測定信号に基づきパラメータ値の評価を計算すること、およびパラメータ値を閾値と比較すること、を含んでいてもよい。
【0055】
第1の発明概念
図2は、第1の発明概念によるモニタリング・プロセスのステップを例証するフローチャートである。測定信号は、受け取られ(ステップ201)、フィルタリング・プロセス(ステップ202)にさらされ、そこでは少なくとも一部の第2のパルスを完全な状態に残すのに対して、第1のパルスは測定信号から必要的に取り除かれる。その後、フィルタされた測定信号は、時間定義域解析にさらされ(ステップ203)、評価パラメータの値は、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて時間定義域解析内で計算され、フィルタされた測定信号は下記中の表示された「評価セグメント」である。
【0056】
計算は概して、評価パラメータが評価セグメント内の信号値の分布を表わすように設計される。評価パラメータの最終的な値に基づいて、流体接続が完全かどうかは、概してその最終的な値を閾値と比較することで決定される(ステップ204)。
【0057】
連続的な監視のため、評価パラメータ値の時系列は、測定信号から得られた評価セグメントの時系列に基づいて計算される。これらの評価セグメントは時間においてオーバーラップしていてもよいし、オーバーラップしてなくてもよい。1つの実施形態では、測定信号の個々セクションは、かわるがわるに得られ、フィルタされ、分析される。それぞれの評価セグメントは、測定信号のそのようなセクションの1つに対応してもよく、測定信号が得られる場合に時間ウィンドウがこのように既に適用される。別の実施形態では、測定信号は連続的に得られるとともにフィルタされ、すると評価セグメントはフィルタされた信号から抽出され分析される。
【0058】
図3(a)は、10:1の相対的な大きさを備えた第1と第2パルスを含んでいる時間依存の測定信号の例を示す。第1と第2のパルスは、それぞれ1Hz及び1.33Hz、の周波数を持っている。図3(b)は、第2のパルスおよびノイズだけを残して、第1のパルスを除去後の時間依存の測定信号を示す。約4秒の後に第2のパルスの欠如があることに注目すべきである。図3(c)は、図3(b)の中のフィルタされた測定信号中の非オーバーラップの時間ウィンドウの系列のために計算されたばらつきの尺度を例証し、それぞれの時間ウィンドウは約0.75秒である。明らかに、評価パラメータとしてばらつきの尺度を使用することによって、約4秒の時間ポイントで第2のパルスの欠如を検知することは可能である。例証する閾値は、点線によって示される。
【0059】
最初の発明概念には流体接続Cの完全の比較的強健な手段を提供する可能性がある。評価セグメント内の信号値の一時的な分布の分析によって、ノイズおよび邪魔な信号に対する改善された耐性を得てもよい。
【0060】
更に、第2のパルスの存在の検知のための測定信号の周波数定義域分析に依存する技術と比較して、第1の発明概念が時間定義域解析に依存するので、第1の発明概念は第2のパルス発生器3´のパルス反復間隔における変化に対する改善された耐性を提供するだろう。例えば、第2のパルス発生器3´が人間の心臓で、第2の系S2がこのようにヒトの血管系である場合、そのような変化を生じうる。心臓のリズム(心拍数の変わりやすさ、HRV)における変化は、周波数定義域における心臓からのピークを不鮮明にし、心臓のリズムを検知することをより難しくするであろう。静かな条件の下の健康な患者では、HRVは15%と同じ程度の大きさかもしれない。心房細動および上室性の異所的の鼓動のように、深刻な心臓の状態に苦しむ不健康な患者は、20%を越えたHRVに至り、および心室の異所的な鼓動ではHRVが60%を越えるかもしれない。これらの心臓病は例えば透析患者の中では珍しくはない。
【0061】
時間ウィンドウが選択され、その結果それぞれの評価セグメントが少なくとも1つの第2のパルスを含んでいる限り、もし適切に選ばれれば、第2パルスの存在/欠如は評価パラメータに影響するだろう。固定長時間ウィンドウは、第2のパルス発生器3´の最大のパルス繰り返し数に関して選ばれた時間ウィンドウの長さで使用されてもよい。時間ウィンドウの長さは、第2のパルス発生器3´の中の制約、あるいは監視方法の選択された性能限界によってセットされてもよい。二者択一的に、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウの長さおよび/または時間ウィンドウの位置は、第2のパルスが検知されると予測されたタイミングに基づいて選択されてもよい。そのような予測されたタイミング(「タイミング情報」)の獲得および使用は、第2の発明概念に関連してさらに下に例証されるだろう。
【0062】
さらに、第1の発明概念による時間定義域解析は周波数定義域分析よりも速い検出を可能にし、なぜなら、周波数スペクトルの生成は評価セグメント中で多数の第2のパルスを必要とするのに対し、前者は評価セグメント中の単一の第2のパルスを検出する能力を有するであろうからである。したがって、周波数定義域分析は時間定義域解析よりも大きなタイム・ラグに関係しているかもしれない。
【0063】
評価パラメータは、評価セグメント内の信号値の統計的なばらつきの尺度として計算されてもよい。潜在的に有用な統計的なばらつきの尺度の制限しない例は標準偏差(σ)、分散(σ2)、変動係数(σ/μ)および分散平均(variance-to-mean)(σ2/μ)。他の例は、例えば、次のように与えられた、違いの合計や
【数1】
【0064】
あるいは次のようなエネルギーの尺度の合計
【数2】
【0065】
を含み、nは評価セグメント中の信号値xの数である。まだ他の例は、平均値mからの絶対差の合計に基づいた尺度を含み、平均値mは、評価セグメント中の信号値のために算術平均、幾何平均、中央値(median)などのあらゆる適切な関数を使用して計算される。上記の示唆されたすべてのばらつきの尺度は、それの正規化および/または荷重値を加えた変形をさらに含むことに注意すべきである。
【0066】
統計的ばらつき尺度の計算の代わりか補足として、評価パラメータは、マッチング処理から生じ、評価セグメントは、第2のパルスの1つ以上の予測された信号プロフィールに一致する。その中で好ましくは、しかし必須ではなく、予測された信号プロフィールはそれぞれ単一の第2のパルスを表わす。一般的に、マッチング手順は評価セグメントおよび予測された信号プロフィールをからみつかせるか或いは互いに関連させることを必要とし、評価パラメータ値は相関性の値、典型的には、最大の相関性の値から生じる。
【0067】
相互相関に基づいたマッチング手順は、図4(a)−4(c)にさらに例証される。マッチング手順は仮説を識別するために使用され、
【数3】
【0068】
x(n)は評価セグメントであり、w(n)はノイズ/信号干渉/測定誤差などで取り入れられた妨害を表わす誤り信号であり、s(n)は第2のパルスの予測された信号プロフィールである。H1がH0よりもありそうであると考えられる場合、第2のパルスは識別され、また、流体接続Cは完全であると考えられる。H0がH1よりありそうであると考えられる場合、第2のパルスは識別することができず、流体接続Cに障害を生じているかもしれない。
【0069】
図4(a)は、予測された信号プロフィールs(n)、及び評価セグメントx(n)の例を示すグラフである。特にこの例において、評価セグメントには4.8dBのSN比(SNR:signal-to-noise ratio)があり、つまり、信号プロフィールs(n)のエネルギーは、誤り信号w(n)のエネルギーの3倍である。相互相関中に、図4(a)の中の矢印によって示されるように、信号プロフィールs(n)は時間軸に沿って多くの時間ステップでスライドし、積s(n)・x(n)の積分は各時間ステップで計算される。相互相関は、x(n)とs(n)の間で最良にマッチした時間ポイントを示す最大相関値と共に、このように相関値の時系列に帰着する。図4(b)は、最良にマッチした時間ポイントでのx(n)とs(n)の間の相対的な位置を例証し、また、図4(c)は前記時間ステップの関数として生じる相関値を例証する。最大相関値(cmax)のまわりの範囲内で加重平均として任意に計算された最大の相関値の大きさは、上記の仮説を識別するために使用されてもよい。
【0070】
図4(c)に示されるように、マッチング手順が第2のパルスの存在を識別するだけではなく、さらに、それは、最大の相関値(cmax)のための時間ポイント(tp)から与えられた、評価セグメント中の第2のパルスの位置の表示を提供する。この時間ポイントは、この時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、決定された最大の相関価値の信頼性を評価するために使用されてもよい。第2の発明概念に関してさらに下に説明されるとともに、そのような予測された時間ポイントは、前述のタイミング情報から得るようにしてもよい。
【0071】
予側された信号プロフィールは、第2のパルスの多数の記録の平均として生成されてもよい。例えば、それは、モニタリング・プロセスの前および/またはモニタリング・プロセスの間に、多数の評価セグメントを平均することにより生成されてもよい。
【0072】
平均とともに或いは平均なしで、予測されたプロフィールの信号の質を改善するために、第1のパルス発生器が止められている間に測定信号は得てもよく、それによって測定信号は第1のパルスから解放された状態である。したがって、第1のパルス発生器は、第2のパルスの最新の信号プロフィールの計算のためにモニタリング・プロセスの間に断続的に止められてもよい。
他の変形では、予測された信号プロフィールは、第1の系の照会圧力センサー(例えば図1の中の圧力センサー4a−4cのうちの任意の1つ)から発した1つ以上の照会信号から得られる。そのような照会圧力センサーは、たとえ流体接続に障害を生じたとしても、例えば、第1と第2の流体を含む系の間の第2の流体接続によって、第2のパルスを検知するために適切に配置される。照会圧力センサーは、第1のパルスから分離するために取り付けられ、その結果、照会信号が第1のパルスが必要的に除去される。あるいは、照会信号が第1と第2の両方のパルスを含んでいる場合、照会信号において第2のパルスを完全な状態で残すのと同時に第1のパルスを削除するために、照会信号は、フィルタリングプロセス(例えば図2のステップ202による)にさらされるようにしてもよい。そのような照会圧力センサーの一例は、体外の血流回路中の動脈圧力センサーあり、体外の血流回路についてはさらに下記に述べられる。例えば、もし、モニタリング・プロセスが体外の血流回路と患者の間の静脈側の流体接続の完全性をモニターすることを目指す場合、そのような体外の血流回路では、測定信号は1つ以上の静脈圧力センサーから発せられる。
【0073】
1つの特定の履行では、照会信号は、モニタリング・プロセスの間に連続的にあるいは断続的に得られ、また、予測された信号プロフィールは、照会信号に基づいて、連続的にあるいは断続的に計算される。したがって、前述の体外の血流回路の文脈では、静脈側の流体接続の完全性は、静脈圧力センサーからの評価セグメントを動脈圧力センサーから得られた予測された信号プロフィールと連続的にマッチングさせることによりモニターされてもよい。各評価セグメント(下記中の表示された「同時のモニタリング」)のために予測された信号プロフィールが更新されることは考えられる。第2の発明概念と関連してさらに下に説明されるように、マッチング手順は、タイミング情報を使用することから利益を得るだろう。あるいは、例えば、モニターされているもの(図1参照)に似た多数の流体の配置からの第2のパルスの記録を平均することによって、予測された信号プロフィールをあらかじめ生成してもよい。任意に、流体接続のタイプ、流量、流体の特質などの配置特異的なパラメータの計算に数学モデルを適用することによって、そのようなあらかじめ生成された信号プロフィールは、モニターされる特定の流体の配置に適用されてもよい。あるいは、予測された信号プロフィールは、配置特異的なパラメータに基づく、完全に数学モデルに基づいて得られるようにしてもよい。まだ別の代案によれば、標準プロフィールは、予測された信号プロフィール、例えばガウス分布関数のような鐘形の関数として使用される。
【0074】
第2のパルスの検出を改善するために、評価パラメータ値の計算の前に、フィルタされた測定信号/評価セグメントを、高周波成分(誤り信号w(n)を参照)を削除する信号の増強プロセスにさらすことが考えられる。そのような信号の増強プロセスは、フィルタされた測定信号/評価セグメントをローパス・フィルタリングにさらすことを必要とするだろう。しかしながら、評価セグメントのSNRにおけるより著しい改良は、前述の予測された第2のパルスのタイミング(つまりタイミング情報)に再び基づいて、フィルタされた測定信号中のいくつかの連続する第2のパルスを平均することにより達成されるだろう。そのような信号の増強プロセスは、フィルタされた測定信号中の1セットの第2のパルス・セグメントを識別するために予測されたタイミングを使用し、予測されたタイミングに基づいて時間定義域中の第2のパルス・セグメントを整列させて、時間定義域中の各時間値のための整列された信号値の合計により平均表現(average representation)を生成すること、を必要とするだろう。任意に、平均表現は、真実の平均を生成するために第2のパルス・セグメントの数によって正常化される。平均表現は、その後前述の評価セグメントとして使用されてもよく、あるいは、評価セグメントは平均表現内の時間ウィンドウから抽出されてもよい。
【0075】
信号の増強プロセスは、図5(a)−5(b)にさらに例証されます。図5(a)は、−9dBのSNRでフィルタされた測定信号x(n)=s(n)+w(n)の時間定義域表現であり、つまり、誤り信号w(n)のエネルギーは、不可能でないにしても第2のパルスの検出のための時間定義域解析を困難にする信号プロフィールs(n)のエネルギーの8倍である。図5(b)は、図5(a)のものに似ている10の異なる第2のパルス・セグメントを平均した後の時間定義域表現である。著しく改善されたSNRは、明らかに第2のパルスが時間定義域解析を使用して検知されることを可能にする。
【0076】
モニターされる流体の配置が1つを超える圧力センサー(図1の中の4a、4b参照)を含んでいる場合、図2のモニタリング・プロセスが1つを超える測定信号上で作動してもよいことが理解される。そのような構成では、上記の信号増強プロセスは、異なる圧力センサーから発した、少なくとも2つのフィルタされた測定信号から第2のパルス・セグメントを識別し平均するために前述のタイミング情報を使用することが必要だろう。したがって、第2のパルス・セグメントは、各測定信号中の複数の時間ウィンドウから、および/または、異なる測定信号中の1以上の時間ウィンドウから、抽出されてもよい。
【0077】
図2のステップ202によるフィルタリングプロセスは、続いて起こる時間定義域解析(ステップ203)によって第2のパルスを検知することができる程度に、測定信号から第1のパルスを除去することをめざしている。例えば、櫛フィルタおよび/または、概して縦つなぎにつながれた帯域停止あるいはノッチ・フィルタの組合せは、第1のパルス発生器3から発した周波数成分をすべて遮るために、測定信号上で作動されてもよい。あるいは、そのようなブロッキングは、例えば、前述のWO 97/10013に示されるのと同じく、1以上の適応性のあるフィルタおよび刻み目等量フィルタ(notch-equivalent filters)の使用によって達成されてもよい。まだ別の代替実施形態では、測定信号は第1のパルスを取り消すために時間定義域の中で処理されてもよい。そのような実施形態では、その後適切な振幅および位相で測定信号から差し引かれることで、第1のパルスの標準的な信号プロフィールが得られるだろう。位相は、第1のパルス発生器3につながれた位相センサーによって生成された信号から、または第1のパルス発生器3のための制御信号から、得られるであろう位相情報によって示される。標準的な信号プロフィールは、前述の信号増強プロセスと同様の、測定信号中の1セットの第1のパルス・セグメントの識別および平均をとることにより、第1の流体を含む回路S1中の圧力センサー4a−4cの1つ以上から適切に得られるだろう。標準的な信号のプロフィールは、モニタリング・プロセスの間に断続的に更新されてもよいし、更新されなくてもよい。あるいは、前もって決められた標準的な信号プロフィールが使用され、それは自由に、第1のパルス発生器に使用されるもの、流体の流量、管の面積、流体中の音の速度などを説明する数学モデルによって修正されてもよい。第1と第2のパルスが周波数定義域でオーバーラップしても、周波数定義域の代わりに、時間定義域中で測定信号をフィルタリングすることによって、第1のパルスを除去し、それでも第2のパルスを保持することが可能であることが注目されるべきである。
【0078】
第2の発明概念
図6は、第2の発明概念によるモニタリング・プロセスのステップを例証するフローチャートです。このプロセスでは、測定信号は受け取られ(ステップ601)、また、タイミング情報は測定信号から、あるいは別な方法で(ステップ602)得られる。タイミング情報は測定信号中の第2のパルスのタイミングを示す。続いて、測定信号は、タイミング情報に基づいて、測定信号中の第2のパルスの存在か欠如を示す評価パラメータの値を計算するために処理される(ステップ603)。評価パラメータの最終的な値に基づいて、概して最終的な値を閾値と比較することにより、流体接続が完全かどうかが決定される(ステップ604)。
【0079】
したがって、第2の発明概念では、タイミング情報は、測定信号中の第2のパルスの予測された位置を示す。この追加情報は、第2のパルスが他のタイプの信号の特徴、例えば、異なる/より単純な評価パラメータ、から識別されることを可能にするだろうし、および/または、それは第2のパルスの存在/欠如を検知する際に、信頼性の増加を可能にするだろう。
【0080】
更に、上に説明されるように、タイミング情報の提供は、1つ以上の測定信号中の第2のパルス・セグメントの識別および平均をとることにより、信号増強を可能にする。信号の増強は、信号の振幅、ローカルの最大、ローカルの平均などのような、評価パラメータとして基本的な手段の使用を可能にし、測定信号のSNRを増加させるだろう。これは、処理速度の改善および/またはより精巧でない検出設備を可能にする役目をするだろう。
【0081】
第1の発明概念の特徴のうちのいずれとも、第2の発明概念が結合できることが理解される。例えば、測定信号は第1のパルスを削除するためにフィルタされてもよいし、また、評価パラメータは、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウ内の信号値から与えられた評価セグメントのために計算されてもよい。さらに、第1の発明概念に関連して示唆された評価パラメータのうちのどんな1つも、第2の発明概念に等しく適用可能である。しかしながら、第1のパルスの存在下においてさえ、タイミング情報の使用が測定信号中での第2のパルスの検知を可能にするだろうから、測定信号のフィルタリングは第2の発明概念の必須の特徴ではないことに注目すべきである。
【0082】
タイミング情報が、測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント中の第2のパルスのための予測された時間ポイントを供給であろうから、第2の発明概念はさらに検出速度を改善するだろう。それによって、評価パラメータ値の計算のために処理される必要のある信号値の数は低減されるだろう。例えば、予測された信号プロフィールと評価セグメントの間の相関は、予測された時間ポイント、あるいはこの予測された時間ポイントまわりの閉じられた時間範囲のための計算だけが単に必要であるから、前述のマッチング手順は単純化されるだろう。相応して、それぞれの評価セグメントが少なくとも1つの第2のパルスを含むことが保証されるにもかかわらず、タイミング情報の提供が評価セグメントの抽出のための時間ウィンドウのサイズを低減することを可能にするので、統計的ばらつき尺度あるいは前述の基本的な尺度の計算は単純化されるだろう。例えば、タイミング情報が第2のパルス間の短くされたパルス間隔を示す場合、時間ウィンドウのサイズは低減されるだろうし、および/または各第2のパルスの予測された時間ポイントの中心に時間ウィンドウが置かれるだろう。
まださらに、第2の発明概念は、タイミング情報から与えられた、予測された時間ポイントを備えた評価パラメータ値に関連した時間ポイントの比較により、計算された評価パラメータ値の信頼性を評価することを可能にする。例えば、前述のマッチング手順で得られた最大の相関値のための時間ポイントは、第2のパルスのための予測された時間ポイントと比較されるだろう。これらの時間ポイントがあまりにはずれる場合、たとえ相関値の大きさが第2のパルスの存在を示すかもしれなくても、モニタリング・プロセスは第2のパルスが不在であることを決めるだろう。
【0083】
タイミング情報は多くの異なる方法のうちの任意の1つで得られるだろう。例えば、タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーの出力信号から抽出されるだろう。出力信号は個々の第2のパルスあるいは第2のパルス間の平均時間を示すだろう。いずれの場合も、測定信号中の第2のパルスのための予測された時間ポイントは、パルス・センサーの出力信号、およびパルス・センサーと測定信号を生成する圧力センサーとの間の既知の到着時間の差、に基づいて計算することができる。パルス・センサーは、第2のパルス発生器によって流体の中で生成される圧力波を感じるだろうし、あるいは、パルス・センサーは、例えば、第2のパルス発生器のための制御信号あるいは第2のパルス発生器に機械的につながれたパルス・レート・メーターによって、第2のパルス発生器中のパルス生成プロセスを直接反映するだろう。下にさらに例証される1つの適用では、第2の流体を含む系はヒトの血液系で、また、パルス発生器は人間の心臓である。そのような適用では、タイミング情報は、パルス時計、脈波型酸素濃度計(a pulse oximeter)、心電計などのような任意の従来のパルス・センサーによって提供されるだろう。
【0084】
あるいは、タイミング情報は、測定信号、例えば、以前に計算された評価パラメータ値に関連した時間ポイントから与えられた測定信号中の以前に検知された第2のパルスの相対的なタイミングに基づいて得られるだろう。例えば、最も最近検知した2つの第2のパルスの間の時差は、つづく第2のパルスのための時間ポイントを予測するために使用されるだろう。
【0085】
あるいは、タイミング情報は、第1の系での照会圧力センサーから発した1つ以上の照会信号から得られるだろう。そのような照会圧力センサーは、流体接続に障害があっても、第2のパルスを検知するために、例えば第1と第2の流体を含む系の間の第2の流体接続を介して、適切に配置される。
【0086】
そのような照会圧力センサーの一例はさらに下記に述べられる体外の血流回路中の動脈圧力センサーである。そのような体外の血流回路では、例えば、モニタリング・プロセスが体外の血流回路と患者の間の静脈側の流体接続の完全性をモニターすることを目指す場合、測定信号は1つ以上の静脈圧力センサーから発せられるだろう。照会信号は、ここに示された時間定義域技術を含むあらゆる適切な技術を使用して、少なくとも1つの第2のパルスの検波のために処理されるだろう。照会信号中の検知された第2のパルスの時間ポイントは、測定信号中の予測された時間ポイント/フィルタされた測定信号/モニタリングに使用された照会センサーと圧力センサーの間のパルス到着/通過時間の既知の/測定された差を使用する評価セグメント、にその後変換することができる。したがって、1つの実施形態では、通過時間の差は、固定された値およびあらかじめ定められた値から与えられる。
【0087】
別の実施形態では、体外の血流回路中の動脈側の血液ラインと静脈側の血液ラインと、の間の通過時間の差は、体外の血流回路(静脈圧力センサーおよび動脈圧力センサーを含む)中の任意の適切なセンサーに由来するであろう、実際の動脈の圧力および静脈の圧力(絶対的、相対的、または平均)に基づいて決定される。圧力が上昇した場合、通過時間は減少する、すなわち高圧は、短い通過時間と同じである。体外の血流回路の手術中に、静脈圧は動脈圧より高いに違いなく、したがって、動脈血ラインの通過時間と比較して、静脈血ラインにおいて通過時間はより短いに違いない。通過時間の差は、例えば物理的なモデル或いは参照テーブルに基づいて、決定されるだろう。モデル/テーブルは、圧力(絶対的、関係詞、または平均)に関する情報を含むだけではなく、また、材料(弾力、可塑性など)、幾何的なもの(長さ、直径、肉厚など)、温度(流体および周囲の温度の両方)、機械的な要因(クランプ、緊張、ねじれ/閉塞など)、流体の特性(粘性、水/血液、化学合成品など)などに関する情報を含むであろう。このように決定された通過時間の差は、動脈圧力センサーからの照会信号中の検知された第2のパルスの時間ポイントを、静脈圧力センサーから発した測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント中の予測された時間ポイントを関連づけるために使用されてもよい。
【0088】
変形では、タイミング情報の改善された評価は、改善されたSNRとともに平均の時間依存の信号をそれによって計算するために、動脈圧力信号に由来し、対応してフィルタされた照会信号とともに、静脈圧信号に由来し、フィルタされた測定信号/評価セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより得られるだろう。
整列は、実際の動脈圧および静脈圧(絶対的、相対的、或いは平均)から与えられた、前述の通過時間の差に基づくだろう。平均の時間依存の信号中の1つ以上の第2のパルスの識別によって、タイミング情報の改善された評価が得られる。
【0089】
二者択一的にあるいは付加的に、タイミング情報の正確さを潜在的に改善するために、照会信号あるいは測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別している間、タイミング情報は第1のパルス発生器を断続的に止めることにより得られるだろう。
【0090】
任意に、照会信号あるいは測定信号の中の、識別された第2のパルスに基づいたタイミング情報を得る過程は、一時的な基準に対して識別された第2のパルス(候補パルス)を検証することを含んでいてもよい。そのような一時的な基準は、例えば、候補パルスのための時間ポイントと1つ以上の前もって識別され(適切に検証された)第2のパルスのための時間ポイントとの間の時間差のための上限および/または下限を示してもよい。これらの限界は固定されるか、あるいは、それらは先行する時間差に関連して動的にセットされてもよい。一時的な基準を破るどんな候補パルスも、タイミング情報を得る際に使用されるものから取り除かれ/廃棄されるだろう。
【0091】
まだ別の代案では、タイミング情報は反復するアプローチを使用して、測定信号から得られる。この反復するアプローチでは、測定信号は、評価パラメータ値、例えば、最初の発明概念に基づいた評価パラメータ値の時系列を計算するために処理される。これらの評価パラメータ値は、一時的な基準に対して検証された、候補パルスおよび関連する候補時間ポイント、の系列を識別する。そのような一時的な基準は、例えば、候補時間ポイント間の時間差のための上限および/または下限値を示してもよい。一時的な基準は、第2のパルス発生器3´中の制約から与えられてもよい。一時的な基準を破るあらゆる候補時間ポイントは、削除/廃棄されるだろうし、また、タイミング情報は残る時間ポイントから得られるだろう。
【0092】
異なる検証方法は、前のタイミング情報(つまり先行する第2のパルスの時間ポイントに関する情報)の有効性に依存して使用されてもよい。そのような前のタイミング情報は、これよりも前に記述された方法のうちの任意の1つによって与えられるか、或いは反復するアプローチの前の反復からの結果から与えられてもよい。
【0093】
図7(a)は、時間軸に置かれて、先行する第2のパルス(Yによって表示された)の系列と同様に、候補パルス(Xによって表示された)の系列を例証する。第1の検証ステップの中で、予測された時間ポイント(図7(b)の矢印↓)は、前のタイミング情報(例えば第2のパルスY)に基づいて計算される。第2の検証ステップでは、第1の一時的な基準は、図7(b)に示されるように、予測された時間ポイントから遠くに位置しすぎるあらゆる候補パルスを削除/廃棄するために適用される。第3の検証ステップでは、第2の一時的な基準は、図7(c)に示されるように、互いにあまりにも近いあらゆる候補パルス中の最大の評価パラメータ値を備えた候補パルスだけを保持するために適用される。
【0094】
前のタイミング情報が利用可能でない場合、異なる検証方法が使用されてもよい。図8はそのような確認方法のためのフローチャートである。候補パルスを識別する最初のステップ801は、第1の確認ステップ802によって後に続かれ、第1の確認ステップ802では、互いにあまりにも近いあらゆる候補パルス中の最大の評価パラメータ値を備えた候補パルスだけを保持するために、第1の一時的な基準が適用される。図7(d)は、図7(a)中の候補パルスの系列に第1の検証ステップ802を適用した結果を例証する。その後、ステップ803で、残る候補パルスの異なる組合せが形成される。ステップ804で、平均表現(average representation)は、測定信号/フィルタされた測定信号の対応する信号セグメントを整列させ、および合計することにより、個々のそのような組合せのために計算される。組合せは、候補パルス間の時間差のための上限値および/または下限値を定義する第2の一時的な基準に基づいて形成されてもよい。第2の検証ステップ805で、評価パラメータ価値は個々のそのような平均表現のために計算され、そして、最大の評価パラメータ値が抽出される。最後に、ステップ806で、最大の評価パラメータ値を閾値と比較することにより、流体接続が完全かどうかが決定される。最大の評価パラメータ値が閾値を超過する場合、第2のパルスが存在し流体接続が完全であることが結論付けられるだろう。タイミング情報の使用が流体接続の完全性を決定する最終ステップ806で埋め込まれるので、図8の検証方法中のタイミング情報の明白な抽出が必要ないことが注目されるだろう。
【0095】
異なる評価パラメータおよび/または閾値がステップ801および806で使用されてもよいことはさらに注目されるべきである。さらに、タイミング情報を得るために上記の二者択一の方法の2つ以上の組合せを使用することは考えられる。
【0096】
図9は、第1と第2の発明概念の特徴を組み合わせる実施形態のフローチャートである。具体的には、測定信号は、第1の発明概念のステップ201および202によって得られるとともにフィルタされる。その後、ステップ202´では、フィルタされた測定信号は、タイミング情報に基づいて、信号増強のために処理される。図5に関連して上に議論されたように、ステップ202´は、平均信号表現(average signal representation)を作成するために、フィルタされた測定信号中の1セットの第2のパルス・セグメントを識別し、整列させて、合計することを、概して必要とする。その後、評価パラメータ値は、第1/第2の発明概念のステップ203/603による増強された信号表現に基づいて計算され、また、流体接続が完全かどうか(ステップ204/604)が決定される。方法はさらに第2の発明概念のステップ601による測定信号の受け取りが必要であり、測定信号は、ステップ201での測定信号と同じか、あるいは前述の照会信号と同じであってもよい。その後、もし必要であれば、第1の発明概念のステップ202にしたがって、測定/照会信号は第1のパルスを除去するためにフィルタされる。最後に、タイミング情報は第2の発明概念のステップ602に従って得られる。
【0097】
モニタリング技術の組合せ
先に説明されるように、流体接続の完全性をモニターするための技術は、第1と第2の発明概念のどちらか、あるいはそれらの組合せに基づくことができる。さらに、例えば、序論で記述されるような空気検出器の使用、あるいは平均圧力レベルの閾値との比較を含む、1つ以上の従来のモニタリング技術と、そのような発明のモニタリング技術を組み合わせることは可能である。他の従来のモニタリング技術は前述のWO 97/10013およびUS2005/0010118に示される。
【0098】
不利な作動状況を扱うように特に設計された他の技術と発明のモニタリング技術を組み合わせることも望ましいだろう。周波数定義域中で第1と第2のパルスがオーバーラップする場合、そのような1つの作動状況が発生するだろう。図2のステップ202に関連して上に議論されるように、時間定義域中の測定信号のフィルタリングによりそのような作動状況を扱うことができるだろう。しかしながら、モニタリングの正確さは、下記に記述される位相をロックする技術あるいは打つ検波方法(beating detection method)と発明のモニタリング技術を組み合わせることによりさらに増加されるだろう。
【0099】
位相をロックする技術は、第1と第2のパルス間の位相差を適用する間の第1と第2のパルス発生器3、3´のパルス・レートを同期させるために、第1と第2のパルス発生器3、3´を制御することを必要とする。それによって、第1と第2のパルスは、そのうちに分離され、第1および/または第2の発明概念に従った時間定義域解析を使用して検知することができる。位相差は、およそ180°であってもよく、これが時間定義域の第1と第2のパルスの分離を最大限にするかもしれないからである。第2のパルス発生器の周波数が第1のパルス発生器の周波数に接近することが検出されるか、あるいはその逆の場合、位相をロックする技術が活性化されるだろう。
【0100】
打つ(うなり)検波方法(beating detection method)は、流体接続の完全性を決定するために、測定信号中の打つ信号の存在か欠如を評価することが必要な、二者択一的かあるいは補足的なモニタリング技術である。打つ(うなり)信号は、測定信号の振幅変調として現われて、第1のパルス発生器によって生成された圧力波と、第2のパルス発生器によって生成された圧力波との間の干渉によって形成される。測定信号中の第2のパルスを識別しようとする代わりに、第2のパルスの存在は打つこと(うなり)(beating)の副次的効果によって識別される。一般に、打つこと(うなり)は、緊密に間隔の周波数を備えた2つの信号が一緒に加えられる場合に、特に顕著な現象である。したがって、打つ信号検出は、第1と第2のパルスが周波数定義域で緊密に間隔を置かれる場合に使用されることが本質的に良く適する。打つ信号は、時間定義域の測定信号の分析により検知されてもよいし、検知されなくてもよい。打つ検波は、適切に、第1のパルス発生器と関連した1以上の特定の周波数を得ること、および、前記特定の周波数の1つ以外のすべてが削除された少なくとも1つのフィルタされた測定信号を作成すること、が必要である。打つ検波方法は、両方とも2008年4月17日に提出されて、出願人が共に出願中のスウェーデンの特許出願No. 0800890−6および米国の仮特許出願No. 61/045642の主題です。
【0101】
上記の組合せのうちの任意の1つでは、異なるモニタリング技術がシリーズ、任意の順、あるいは並列に実行されてもよいことが理解される。
【0102】
パフォーマンス向上
ここに記述されるような流体接続の完全性をモニターする異なる方法のパフォーマンスは、次の変形のうちのどれでも適用することにより改善されるだろう。
【0103】
仮説テスト
仮説テストによって第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性の決定を表わすことができるかもしれない。この仮説テストでは、前述の評価パラメータ値βは閾値と比較される。仮説のアウトプットは決定である。もしβ>γ1の場合「流体接続は完全」(H1)であり、もしβ<γ0の場合「流体接続に障害あり」(H0)であり、あるいはもしγ0≦β≦γ1の場合「不確かな決定」であり、そこではγ0およびγ1は異なるしきい値である。
【0104】
大きさ依存モニタリング技術
モニタリング技術は、測定信号および/または照会信号の中の第1/第2のパルスの大きさを基づき、動的に調節されるだろう。動的調整は、タイミング情報を得る過程および/または測定信号に基づいたパラメータ値を得る過程に影響するだろう。
【0105】
例えば、照会信号中の第2のパルスの大きさ(例えば振幅)が、測定信号中の第2のパルスの大きさ(例えば振幅)よりも小さいか、或いは前もって定義した絶対的な限界よりも小さいと分かる場合、タイミング情報は測定信号に基づいて得られるだろうが、タイミング情報はさもなければ照会信号に基づいて得られるだろう(或いは逆も同様)。したがって、図9に関連して、ステップ601は第2のパルスの大きさに基づいて調節される。
【0106】
別の例において、照会信号中の第2のパルスの大きさ(振幅)が、再度小さすぎると分かる場合、モニタリング方法は、測定信号の第2のパルスの存在あるいは欠如を発見する別の方法、例えばタイミング情報なしで作動する方法(例えば図9のステップ601、602、202及び202´の省略による)に変わるだろう。
【0107】
上記の例において、第1と第2パルスの大きさが共変の存在である場合、動的調整は、二者択一で第1のパルスの大きさ、あるいは第1と第2パルスの組合せの大きさに基づくだろう。
【0108】
患者データ記録に基づいたモニタリング技術
第2の流体を含む系(図1の中のS2)が患者の血液系である場合、モニタリング方法は患者特有の情報、つまり患者の既存のデータ・レコード、例えば、同じ患者の初期の治療で得られたもの、にアクセスし使用するように構成されてもよい。患者特有の情報は、監視装置(図1のうちの25)の内部記憶の、監視装置にアクセス可能に作られた外部メモリ上あるいは、例えばRFID(Radio Frequency Identification)によって例えば監視装置に無線で送信される患者のカード上、に格納されるだろう。例えば、監視装置はフィルタされた測定信号あるいはそこから由来したパラメータを、患者特有の情報と比較してもよい。もし大規模な違いが識別される場合、警告は出されおよび/またはモニタリング技術は修正されるだろう(あるいは前もって定義したテーブルによって選ばれるだろう)。更に、患者特有の情報は、例えば先のアルゴリズム/プロセスで使用するための個人の閾値を決定することによって、モニタリング技術を最適化するために監視装置によって使用されてもよい。患者特有の情報は、選択的なモニタリング技術あるいはモニタリング技術の組合せが使用されるべきかどうかを判断するために、監視装置によって使用されてもよい。
【0109】
第1のパルス発生器の正常停止からの情報の使用
1つの実施形態では、第1のパルス発生器は規則的に(断続的に或いは周期的に)止められ、また、測定信号および/または照会信号は、第2のパルスの振幅、周波数および位相の決定のために分析される。その後、この生じる情報は前述の位相をロックする技術によって検波を達成するために使用されてもよい。
二者択一的にあるいは付加的に、そのような停止の間に検知された第2のパルスの大きさ(例えば振幅)がある限界(安全な検波のためにマージンとともに選ばれた)よりも小さい場合、「不確かな検波」の警報が出されてもよい。あるいは、大きさが別の限界より小さい場合、第1のパルス発生器は特定の時間間隔で止められるように活動的にコントロールされてもよく、そこで各停止の間に得られた情報をモニタリング技術を修正するために使用されてもよい。例えば、このように得られた情報は、先のアルゴリズム/プロセス中の閾値を変更するか(或いは加える)、あるいは選択肢モニタリング技術あるいはモニタリング技術の組合せが使用されるべきかどうか判断するために使用されてもよい。別の例において、このように得られた情報が第2のパルスのパルス周波数(pulse rate)を示す場合、タイミング情報(図6のステップ602参照)に得させる過程、および/または測定信号(図2および9中のステップ203/603参照)に基づいたパラメータ値を得る過程、へのインプットをさらに改善するために、専用バンドパスフィルタ(例えば、このように得られたパルス周波数の中心に置かれた)は、測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント上で作動されてもよい。1つの実施形態では、第1と第2パルスのレートがある限界(例えば約10%)を越えて異なると分かる場合、そのようなバンドパスフィルタは適用される。
【0110】
別の実施形態では、第1のパルス発生器は流体の配置を通じて流量を低減するように選択的に制御される。流量の低減によって、故障条件に対するモニタリング・プロセスのより長い応答時間を受け入れることは可能であり、一方、そのような、より長い応答時間は、故障条件を検知する際のモニタリング・プロセスの正確さを改善する役目をするだろう。
【0111】
体外血流回路のモニタリング
下記では、例証のみの目的で、流体接続の完全性をモニターするための第1と第2の発明概念の履行は、体外の血液治療の文脈に記述される。次の例は上述打つ検波方法(beating detection method)との組合せが必要である。これは例だけで、打つ検波方法および/または上に議論された他のモニタリング技術のうちの任意の1つとの結合なしで、そのモニタリング・プロセスを等しく実行できるかもしれない。
【0112】
打つ検波方法と同様に第1と第2の発明概念の次の履行も、体外の血液処理に制限されないが、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性のモニターに一般に適用可能であることがさらに理解されるに違いない。
【0113】
図10は、透析に使用されるタイプの体外の血流回路20の例を示す。体外の血流回路20は、下記に記述される構成要素1−14を含む。したがって、体外の血流回路20は、動脈針1の形をなした血液抽出用のアクセス装置、および図10に示されるように、動脈針1を蠕動性タイプの血液ポンプ3に接続する動脈チューブ節2、を含む。ポンプの入り口では、動脈チューブ節2でポンプの前で圧力を測定する圧力センサー4a(これ以後、動脈センサーと呼ぶ)がある。血液ポンプ3は、チューブ節5によって、透析器6の血液側に血液を押し込む。多くの透析器が、血液ポンプ3と透析器6の間の圧力を測定する圧力センサー4bに付加的に設けられている。血液は、チューブ節10を介しての透析器6の血液側から静脈の滴下部屋あるいは脱気部屋11へ送られ、そしてそこから静脈のチューブ節12、および静脈の針14の形をなした血液再導入用のアクセス装置によって患者に戻される。圧力センサー4c(これ以後静脈センサーと呼ぶ)は透析器6の静脈側の圧力を測定するために設けられる。図示された例において、圧力センサー4cは静脈の滴下部屋で圧力を測定する。動脈針1および静脈針14の両方は血管進入路によって患者に接続される。血管進入路は、任意の適切なタイプ(例えばフィステル(fistula)、スクリブナーズ流路(Scribner-shunt)、移植片(graft)など)であってよい。血管進入路のタイプによって、他のタイプのアクセス装置(例えばカテーテル)が針の代わりに使用されてもよい。
【0114】
序論経由で議論されるように、血管進入路を通る血液の注入および/または抽出中の不調に関連して血管進入路への流体接続の完全性をモニターすることは生命を保つのに必要である。多くの透析器では、前記圧力検出器4a−4cは1つ以上は存在しない。しかしながら、少なくとも1つの静脈圧力センサーがあるであろう。次の記述は、静脈圧力センサーからの測定信号に基づいた、血管進入路と静脈の針の間の流体接続の完全性のモニターに焦点をあてる。モニタリング・プロセスはいわゆる直接の検出方法(それは第1と第2の発明概念のうちの1つを履行してもよい)および、上に議論されるように、その異なる実施形態を必要とする。したがって、図1の中の一般配置図に関連して、体外の血流回路20は第1の流体を含む系S1に対応し、血液ポンプ3(体外の血流回路20の中にあるか、体外の血流回路20に関係づけられたさらなるパルス出所、例えば、透析溶液ポンプ、バルブ、などと同様に)は、第1のパルス発生器3に対応し、患者の血液系は第2の流体を含む系S2に対応し、また、患者の心は第2のパルス発生器3´に対応する。
【0115】
図10では、制御装置23は血液ポンプ3の回転数の制御により、回路20中の血流を制御するために、不在中に設けられる。体外の血流回路20および制御装置23は、透析器のような体外の血液処理用の装置の一部を形成するだろう。さらに示されず議論されなかったが、そのような装置が他の多くの機能、例えば、透析流体の流れを制御すること、透析流体の温度および組成を制御すること、などを行なうことが理解される。
【0116】
さらに、図10では、監視/モニタ装置25は、特に血圧信号中の患者の心臓から発した信号成分の存在をモニターすることにより、患者と体外の血流回路20の静脈側の流体接続の完全性をモニターするように構成される。そのような信号の成分の欠如は、流体接続の完全性の中で失敗の表示として得られ、装置25にアラームを生じさせ、および/または例えば、血液ポンプ3を止めることおよびチューブ節12上のクランプ装置13を活性化することによって、血流を止めさせる。監視装置25は、圧力センサー4cの測定信号を受け取るために少なくとも接続される。装置25は、さらに圧力センサー4a、4および、体外の血流回路20に含まれた任意の追加の圧力センサーに接続されてもよい。図10に示されるように、装置25も制御装置23に接続されてもよい。二者択一的にあるいは付加的に、装置25は、血液ポンプ3の周波数および位相を示すための測定装置26に接続されてもよい。装置25は、聞こえる/視覚的な/触覚のアラームあるいは警告信号を生成するためのローカル或いは遠隔の装置27につながれるか、或いは無線で接続される。監視装置25及び/又は警報装置27は、二者択一的に透析装置の一部として組み込まれる。
【0117】
図10中で、監視装置25は、入って来る信号を前処理するためのデータ収集部28(例えば、最小のサンプリングレートおよび解像度が必要なA/Dコンバータを含むもの)と、1台以上の信号の増幅器と、相殺するもの(offset)、高周波雑音および供給電圧妨害のような入って来る信号中の望まれない成分を削除する1枚以上のフィルタと、を含む。
【0118】
ここに挙げられた例において、データ収集部分28は、1kHzのサンプリングレート、および16ビットの解像度のあるナショナル・インスツルメンツからのDAQカードUSB−6210と、アナログ・デバイシーズからの作動増幅回路AD620と、402Hz(不在中に高周波雑音の除去するため)のカットオフ周波数を備えたローパスフィルタと一緒になった、0.03Hz(不在中に信号オフセットの除去するため)のカットオフ周波数を備えたハイパスフィルタと、を含む。短い収束時間を得るために、ローオーダ(low‐order filter)のフィルタがハイパスフィルタに使用される。更に、データ収集部分28は、それぞれ0.5Hz及び2.7Hzの上部と下部カットオフ周波数を備えた付加的な固定バンドパスフィルタを含んでいてもよく、それは毎分30〜160拍の間の心臓脈拍数に対応する。このフィルタは興味のある周波数間隔の外側にある妨害を抑えるために使用されてもよい。
【0119】
データ収集部28中の前処理の後、圧力センサー4cからの信号はデータ分析部29にインプットとして提供され、それは実際のモニタリング・プロセスを実行する。図11(a)は、時間定義域の中でそのようにあらかじめ処理された圧力信号の例を示し、また、図11(b)は対応するパワー・スペクトル、つまり周波数定義域中の圧力信号を示す。パワー・スペクトルは、検知された圧力信号が血液ポンプ3から出る多くの異なる周波数成分を含むことを明らかにする。図中の例において、その調波(harmonics)2f0、3f0及び4f0と同様に血液ポンプ(この例における1.5Hzの)の基礎周波数(f0)の周波数成分がある。下記中ではポンプ周波数と表示される基礎周波数は、体外の血流回路中の圧力波を生成するポンプ・ストロークの周波数である。例えば、図10に示されるタイプの蠕動ポンプでは、2つのポンプ・ストロークは、ロータの個々の最大回転によって生成される。図11(b)は、ポンプ周波数の半分の周波数成分(0.5f0)およびそれの調波(harmonics)、少なくともこの例において、f0、1.5f0、2f0及び2.5f0、の存在を示す。図11(b)は、さらにこの例において基礎周波数f0の血液ポンプ信号よりおよそ40倍弱い心臓信号(1.1Hz)を示す。
図12は、本発明の実施形態によるデータ分析またはモニタリング・プロセスのためのフローチャートである。図中のプロセスは、体外の血流回路20とヒトの血液系の間の流体接続の完全性をモニターする検波方法の組合せを履行する。1つの検波方法(「直接の検波」)は、圧力信号の心臓パルスの発見のために時間定義域解析を使用することが必要である。別の検波方法(「打つ検波(beating detection)」)は、患者の心臓および血液ポンプから発した圧縮波の同士の間の干渉によって引き起こされた振幅変調(打つ信号)を圧力信号中で発見することを必要とする。これらの検波方法は、さらに詳細に下に記述されるであろう、しかし第1に、プロセスの全体的な作動は簡潔に概説されるだろう。
【0120】
モニタリング・プロセスは、血液ポンプ(ステップ402)の基礎周波数(f0)についての情報と同様に、圧力信号の信号セグメントを入力(ステップ401)によりスタートする。この頻度情報は、圧力信号自体の処理から得てもよい。あるいは、それは、専用測定装置(図10のうちの26参照)によって生成された信号、あるいは制御装置(図10のうちの23参照)によって使用される設定値或いは実際の値を示す信号から得てもよい。モニタリング・プロセスの反復で毎回ステップ402を実行する必要があるとは限らないことが理解される。
【0121】
直接の検波方法はステップ403−405を含み、例えば、血液ポンプと関係する周波数成分(図11で0.5f0、f0、1.5f0、2f0、2.5f0、3f0及び4f0を参照)の1つ以上をブロッキングすることによって、血液ポンプから発した第1のパルスを削除するようにそこでは信号セグメントが処理される。概して、ステップ403(図2のステップ202に対応する)は、血液ポンプから出るすべての周波数成分からの信号セグメントを有効に「クリーン」にするために設計される。ステップ404(図2のステップ203に対応する)で、患者の心臓から出る、あらゆる残存する信号パルスも識別するために、信号セグメントは時間定義域中で分析される。そのような心臓パルスがステップ405(図2のステップ204に対応する)で検知される場合、モニタリングは、ステップ401に返され、そこで新規の圧力信号セグメントは処理のために入力される。上に言及されるように、この新規の信号のセグメントは部分的に前の信号のセグメントとオーバーラップしてもよいし、オーバーラップしなくてもよい。心臓成分がステップ405で検知されない場合、モニタリングは打つ検波(beating detection)に移る。心臓パルスの欠如は、例えば、血管進入路から静脈針を分離することによって、或いは、心臓パルスが弱すぎて検知できないことによって、静脈の側の流体接続の不調に起因するだろう。あるいは、フィルタするステップ403で偶然に心臓パルスを除去されると、心拍周波数は、本質的に血液ポンプの周波数成分のうちのどれとも一致するだろう。
【0122】
選択的な履行では、直接の検波方法ステップ403−405は、図6に関連して上に議論された第2の発明概念によるステップ602−604に対応する。
【0123】
一方の履行では、直接の検波方法は、第2の発明概念に関連して上記と同じように得られるタイミング情報を利用してもよい。
【0124】
打つ検波方法はステップ406−408を含み、その中で、信号のセグメントは、心臓および血液ポンプのそれぞれから発した圧力波間の干渉によって引き起こされた打つ信号(beating signal)を識別するように処理される。打つ信号は、これらの2つの圧力波間の周波数の差と等しい周波数を備えた信号振幅における周期的な変化ととらえられる。したがって、圧力信号の中で心臓パルス自体を探索する代わりに、打つ検波は、時間定義域の圧力信号への心臓パルスの間接的な影響を見る。
【0125】
ステップ406で、信号セグメントは1つ以上の選択された周波数帯を除いたすべての周波数を削除するために処理される。そのような選択された周波数帯はそれぞれ、血液ポンプと関係する周波数成分(図11で0.5f0、f0、1.5f0、2f0、2.5f0、3f0および4f0を参照)のうちのほんの1つを囲む帯域である。 この選択的なバンドパス・フィルタリングは打つ信号の検波を促進するために達成されるだろう。心臓からの圧力波は、血液ポンプからの圧縮波より一般に、はるかに小さく(典型的には20−200倍)、したがって、打つ波の電位は弱く、検知するのがおそらく難しい。概して、1つのそのような選択された周波数帯を除くすべての周波数は、信号のセグメントから取り除かれ、そこで、打つ信号(ステップ407)の検波のために、その結果生じたフィルタされた信号セグメントを時間定義域の中で分析する。血液ポンプが多くの周波数成分を生産すると知られている場合(図11に示されたように)、ステップ406は、1セットのフィルタされた信号セグメントに帰着し、それらのそれぞれは、これらの周波数成分のうちの1つのまわりの周波数だけを含む。これらフィルタされた信号セグメントは、並列に生成され、次にステップ407で分析されてもよい。あるいは、フィルタされた信号セグメントは血液ポンプ周波数成分の与えられた順序に基づいて、順に生成されてもよい。別のフィルタされた信号セグメントが生成される前に、フィルタされた信号セグメントはそれぞれ、分析用のステップ407に渡されてもよく、その結果、打つ信号が検知されるとすぐに、フィルタされた信号セグメントの生成が中断される。
【0126】
まだ別の実施形態では、心臓脈拍数(heart pulse rate)は知られています。そのような状況で、ステップ406はたった1つのフィルタされた信号セグメントの生成に制限されてもよく、それは、既知の心臓周波数に最も近い周波数成分のまわりの周波数だけを含んでいる。心臓脈拍数は、タイミング情報として同様の方法で適切に得られる。
【0127】
ステップ406の選択的なバンドパスフィルタリングは、周波数帯(それらは打つ検波方法の希望の実行を考慮してセットされる)の固定幅を使用してもよく、典型的には、心臓パルスとポンプ周波数成分との間の最大の周波数間隔が打つ信号に帰着するに違いない。例えば、打つ検波方法が、これらの周波数成分の間の特定の周波数領域中の心臓信号の存在/欠如を発見することができる別の検波方法(例えば直接の検波方法)と結合して使用される場合、ポンプ周波数成分の間隔と比較して、打つ検波方法によって使用される周波数帯は小さいだろう。他の状況で、周波数帯は、ポンプ周波数成分の間隔と約同じ合計の幅か、あるいは隣接したポンプ周波数成分の周波数帯が、さらにオーバーラップするのと約同じ合計の幅を持っているだろう。別の実施形態では、周波数帯の幅は、以前に決定された心臓周波数の関数として適応してセットされるだろう。例えば、心臓周波数がポンプ周波数成分のうちの1つに接近するように、幅は低減されるだろう。上に言及されたように、心臓周波数は、例えば、個別の心拍計から、別の圧力センサーから、あるいはモニタリング・プロセスの前の反復の中で得られるだろう。
【0128】
しかしながら、打つ検波を促進するために、血液ポンプの異なる周波数成分のまわりの選択的なバンドパスフィルタリングが含まれるが、それなしで済むかもしれないことが理解される。
【0129】
打つ信号がステップ408で検知される場合、モニタリングは、ステップ401に返され、そこでは新規の圧力信号セグメントが処理のために入力される。打つ信号がステップ408で検知されない場合、モニタリングは不調を示すアラーム、あるいはそのような不調が生じたかもしれないという少なくとも1つの警告(ステップ409)を作動させ始める。警報器/警告を作動させることと同時に、プロセスは、ポンプ周波数が変更されるステップ410に移るだろうし、するとすぐモニタリング・プロセスは、血管進入路と静脈針の間の流体接続の完全性をモニターし続けるステップ401に返るだろう。心臓成分/打つ信号がモニタリング・プロセスの後の反復中に発見される場合、アラーム/警告が止められるだろう。あるいは、誤った警報の数を最小化するために、ポンプ周波数のそのような変化の前と後にモニタリング・プロセスが心臓信号を検知しない場合のみ、アラーム/警告は活性化されてもよい。
【0130】
ステップ410の1つの実施形態では、ポンプは作用するようにしておかれるが、しかし、そのポンプ周波数が変更される。1つの変形では、ポンプ周波数は血流を低減し、かつそれによって検知された潜在的な不調によって引き起こされたどんな血液のロスも最小化するために低下する。別の変形の中で、ポンプ周波数は活動的に変えられ、その結果その周波数成分がその前の周波数成分と一致しなくなる。例えば、ポンプから発した周波数成分間のほんの少しの間隔によって基礎周波数を変えることができるかもしれない。図11の例では、これは、0.5f0の断片を意味するだろう。概して、その変更は、ポンプ周波数の縮小を表わす。
【0131】
ステップ410の別の実施形態では、検知された潜在的な不調によって引き起こされたあらゆる血液のロスを同様に最小化する間に、ポンプは血液ポンプから干渉を取り除くためにシャット・ダウンされる(つまりf0=0)。そのような実施形態の変形では、ステップ410は、血液ポンプがシャット・ダウンされている間に心臓の周波数を識別することもまた必要とし、そして、このように識別された心臓周波数からシフトされたポンプ周波数で再度血液ポンプを始動させる。心臓周波数は、例えば、ステップ404のスペクトル信号分析を使用して、圧力信号から識別されてもよい。
【0132】
図13は、図12に示されるモニタリング・プロセスを行なうように構成されるデータ分析部(図10中の29参照)のブロック図です。図示の実施形態では、データ分析部は記憶ブロック50、ポンプ周波数決定ブロック51、直接検波ブロック52、打つ検波ブロック53および、直接検波ブロック52と打つ検波ブロック53とからのアウトプットを警報装置に接続するためのスイッチングブロック54、55と、を含む。示さなかたが、コントロール・ブロックは、ブロック50−55の動作を同期させるために設けてもよい。
【0133】
データ分析部29は、一般的あるいは特殊目的のコンピューター装置あるいはプログラムされたマイクロプロセッサーのような処理装置上で走るソフトウェアによって実行されてもよい。記憶ブロック50は、そのようなコンピューター装置の揮発性か不揮発性メモリでもよいし、他のブロック51−55はソフトウェアの命令によって実行されてもよい。しかしながら、ブロックのいくつかあるいはすべてが完全或いは部分的に、FPGA、ASICあるいは個別の電子部品(抵抗器、コンデンサー、演算増幅器、トランジスターなど)のアセンブリーのような公知の技術の、専用のハードウェアで実行されることが考えられる。
【0134】
記憶ブロック50はデータ・サンプルの系列として入って来る圧力信号を格納するために作動される。その後、他のブロック51−53は記憶ブロック50から格納された圧力信号のセグメントを受け取るか取り戻すために作動される。記憶ブロック50は、このように入って来る圧力信号を記憶(buffers)して、個々に処理され分析される信号セグメントをオーバーラップさせるか、オーバーラップさせないことを可能にする。記憶ブロック50は、例えば、多くの線形バッファー、あるいは円形バッファーとして実行されてもよい。
【0135】
ブロック51は信号のセグメントに基づいた血液ポンプの周波数を決定するように構成される。そのようなブロックによって使用されるアルゴリズムの一例はさらに下記に述べられるだろう。
【0136】
ブロック52は、ポンプ周波数決定ブロック51によって提供される、見積もられたポンプ周波数に基づいて、直接の検波ステップ403−405(図12)を実行する。決定ステップ405の結果が陰性の場合、つまり、心臓成分は見つからない場合、交換ブロック54はブロック53を活性化するために作動される。心臓成分が見つかる場合、交換ブロック54は警報装置に陽性状態表示を供給するために作動されてもよく、また、新規の信号のセグメントはブロック51及び52によって受け取られてもよいし、取り戻されるされてもよい。
【0137】
ブロック53は、見積もられたポンプ周波数に再び基づいて、打つ検波ステップ406−408(図12)を実行する。決定ステップ408の結果が陰性の場合、つまり、打つ信号が検出されない場合、スイッチングブロック55は、警報装置に陰性状態表示を供給するために作動され、警報装置はアラームを出す。打つ信号が見つかる場合、スイッチングブロック55は、警報装置に陽性状態表示を供給するために作動されてもよく、また、新規の信号のセグメントはブロック51及び52によって受け取られてもよいし、取り戻されてもよい。
【0138】
図13では、データ分析部は、さらにポンプ周波数(例えば図10の中の測定装置26あるいは制御装置23からの)を示す信号を受け取るため入力56を含んでいる。ステップ410(図12)に関連して議論されるように、この信号から得られた周波数情報は、ブロック51によって決定された周波数を補足或いは代替してもよい。
図13は、例えば、ブロック52にタイミング情報を提供するため或いはステップ406を実行する場合にブロック53によって使用されるために、患者の心臓周波数を示す測定信号のためのインプット57の設備をも示す。
【0139】
ブロック51−53のそれぞれのために例証する作動が今から説明され、ポンプ周波数決定ブロック51から始められる。
【0140】
ポンプ周波数決定ブロック51は、圧力信号セグメントからのパワー・スペクトルを計算し、かつパワー・スペクトル中の基礎ポンプ周波数を識別するように構成される。パワー・スペクトルは、例えば、圧力信号セグメント上でDFT(個別のフーリエ変換)あるいはFFT(高速フーリエ変換)を作動させることによって、任意の既知の方法で計算することができる。基礎ポンプ周波数は、パワー・スペクトル中で最大のピークの周波数、あるいは複数の最大のピークのうちの少なくとも1つとして識別されるてもよい。
【0141】
パワー・スペクトルの解像度が低い場合、推定された周波数の正確さを増加させるために特別の手段が使用されてもよい。解像度は、信号セグメントfs/N中のサンプリング周波数fs、およびサンプルNの数に依存する。1例において、20秒の信号セグメントは10Hzでサンプリングすると、解像度は0.05Hzとなる。この正確さは、直接の検波ブロック52および/または打つ検波ブロック53の中の処理に不適切だろう。正確さを増加させるために、信号のセグメントは、比較的ノイズがなくシヌソイド状(sinusoid-like)の信号セグメントに帰着するパワー・スペクトルから得られた、見積もられた周波数のまわりの小幅中でバンドパス・フィルタされてもよい。その後、基礎周波数の正確な見積もりは、例えば、フィルタされた信号にシヌソイドを適用させてゼロ交差間の時差を識別することによって、時間定義域のフィルタされた信号セグメントの周期の決定により得ることができる。
【0142】
直接検波ブロック52は、血液ポンプおよびあらゆるさらなる妨害のパルス出所(つまり、第1と第2発明概念に関連して上に議論された「第1のパルス」)から出る信号パルスを相殺するための成分を含んでもよい。更に、直接の検波ブロック52は、圧力信号中の心臓パルスの同定するための第1および/または第2の側面に従った時間定義域解析を行なう成分と同様に前述のタイミング情報を得る成分を含む。
【0143】
打つ検波ブロック53は、1セットの通過帯域(それぞれ血液ポンプの周波数成分の1つを含む)に関する信号セグメントをフィルタするように構成される。生じるフィルタされた信号セグメントはそれぞれ本質的にシヌソイド(sinusoid)である。心臓の周波数がこれらの通過帯域のうちの1つの内に位置すれば、対応するフィルタされた信号セグメントは、他のフィルタされた信号セグメントのうちのどれでも見つからない波形を持つだろう。
【0144】
図14(a)は、1.5029Hzで血液ポンプの基礎周波数を囲んだ狭いバンドパスでフィルタされた20秒の信号のセグメントを示す。フィルタされた信号はさらに心臓パルスを含み、心臓パルスは、基礎周波数について0.037Hzの振動数のシフトを持っている。血液ポンプおよび心臓パルスの間の相対的な大きさは40:1である。図14(b)は、心臓信号のない対応するフィルタされた信号セグメントを示す。非常に小さいが、信号セグメント間の違いを識別することは可能であり、そこでは、心臓の存在は、図14(b)にはない、図14(a)の中の信号振幅における重なった変形を引き起こす。図15(a)および15(b)は、図14(a)および14(b)のそれぞれの信号ピークの拡大図であり、心臓パルスを備えたものと、そのパルスのないフィルタされた信号セグメントとの間の明瞭な違いを示す。
【0145】
1つの実施形態では、打つ検波ブロック53は、フィルタされた信号セグメントから得られた包絡線に基づいた、打つ信号を検知するように構成される。
【0146】
1つのそのような変形中で、打つ検波ブロック53は、信号のセグメントからピーク値の配列を抽出することにより包絡線を得る。抽出されたピーク値は、信号セグメント中で識別された個々のピークの信号値の抽出から与えられるだろう。雑音の強さを改善するために、それぞれの抽出されたピーク値は、その代りに、信号のセグメント(例えば、ピーク値の10−25%、あるいはピーク値のまわりの所定時間範囲内の信号値を含む)中の各ピークを形成する信号値の平均か合計として計算されてもよい。その後、得られた包絡線(ピーク値アレイ)は、評価パラメータの計算のために処理される。図16(a)および16(b)は、図15(a)及び15(b)のそれぞれから抽出されたピーク値の配列を示している。
【0147】
他の変形の中で、ブロック53は、信号のセグメントxへのヒルバート変換として知られている線形の、時間不変式フィルタ(time-invariant filter)の適用により、包絡線
【数4】
【0148】
nは信号セグメント中の異なる位置である
【数5】
【0149】
近似のあるいはそうではない、得られた包絡線は、その後、評価パラメータの計算のために処理される。
【0150】
一方の変形中で、得られた包絡線は、評価パラメータの計算のために処理される前に、さらに包絡線雑音を除去するためにローパスフィルタをされてもよい。
【0151】
一方の変形では、評価パラメータの最終的な値は、打つ信号の存在あるいは欠如の決定のために閾値と比較されてもよい。
【0152】
一例において、評価パラメータは、包絡線の値の導関数の絶対値の合計であり、次によって得られる、
【数6】
【0153】
b(n)は、位置nの包絡線値であり、Nは、包絡線中の数値である。
【0154】
図17は、20秒のウィンドウを5分の圧力信号に移動させる結果を例証し、および個々の20秒の信号セグメントのために得られた包絡線上の導関数の絶対値の合計を計算する。上側のカーブは、心臓信号を含むフィルタされた信号セグメントのために計算され、また、より低いカーブは心臓信号を含まないフィルタされた信号セグメントのために計算される。明らかに、心臓信号の存在および欠如を識別するために、閾値を定義することができる。上部のカーブは、信号セグメントが打つ信号の全周期の一部を含んでいるという事実により、波形を示す。したがって、時間とともに、信号セグメントは、打つ信号の異なる部分を含むだろう。勾配は、包絡線のピークおよび谷の近くで小さく、それらの間で大きいので、導関数の計算された合計は相応して時間とともに変わるだろう。打つ周波数が減少し、また包絡線を平らになるため、信号セグメントの所定の長さ(時間ウィンドウ)の間、心臓および血液ポンプの間の減少する周波数差とともに勾配の探知可能性が減少するであろうことは理解されるべきである。より広い時間ウィンドウは、打ちの振幅が雑音より小さくなるところまで探知可能性を改善するだろう。
【0155】
別の例において、評価パラメータは包絡線の値の分散である。図18は、図17に対応するプロットで、心臓信号と共にあるもの(上側)、および心臓信号のないもの(下側)を、時間の関数としての分散を例証する。明らかに、心臓信号の存在および欠如を識別するために、閾値を定義することができる。
【0156】
まだ別の例(それは包絡線雑音の影響を低減するだろう)において、評価パラメータは導関数の平均された合計で、例えば、次のように与えられる。
【数7】
【0157】
別の実施形態では、打つ検波ブロック53は、パターン認識処理に基づいて、打つ信号の存在か欠如を決定する。例えば、信号セグメントあるいは包絡線のすべてあるいは一部は、打つ信号の代表である、1つ以上の予め決められたシグナル・パターンとマッチさせられるだろう。一例において、得られた包絡線(自由にローパスフィルタされた)は相互相関させられるか、あるいは異なる周波数のシヌソイド波(sinus waves)の1セットののそれぞれとたたみ込み(convolved)させられる。相互相関/畳込み演算はそれぞれ、相関カーブ(最大の相関価値はそれから得ることができる)に帰着する。その後、得られた最大の相関値のセットは打つ信号の存在/欠如の決定のために閾値と比較され、そこで高い十分に最大の相関値がそのような存在の表示として得られる。
【0158】
代替の実行では、打つ検波ブロック53は、打つ信号の周期に対して長い信号セグメント上で作動され、周波数定義域中で打つ信号を発見するためにこれらの信号セグメントを処理(例えば、包絡線にフーリエ変換の操作をする)する。
【0159】
打つ信号の存在を決定する上記の例はすべて、決定された打つ信号の信頼性を評価するさらなるステップを含んでいてもよい。この評価は、打つ信号の打つ周波数の決定と、この打つ周波数が合理的かどうかチェックすることと、を含んでいてもよい。打つ信号がどのように識別されるかによって、打つ周波数は、時間/周波数定義域で得られた包絡線の処理、あるいは最大の相関値を産むシヌソイド波(sinus waves)の周波数の識別により決定されるだろう。打つ周波数は、絶対の期間および/またはモニタリング・プロセス(図12)の先行する反復中で決定された1つ以上の打つ周波数に関連して、チェックされるだろうし、そこでは先行する打つ周波数からの十分に大きな偏差が、決定された打つ信号の信頼性が低いということの表示として得られる。評価は、決定された打つ信号の信頼性を示す信頼性スコアに帰着するかもしれない。二者択一的あるいは付加的に、信頼性評価は、そのポンプ周波数を変更するようにポンプを制御し、打つ信号に対応する変更が生じるかどうかチェックするステップを含んでいてもよい。例えば、ポンプ頻度はわずかに変えられてもよいし、あるいは、ポンプは断続的にシャット・ダウンされてもよい。信頼性評価の結果は、例えば、アラーム/警告は活性化されるかどうか、アラーム/警告を作動させる前にモニタリング・プロセスのさらなる反復が要求されるか、ポンプ頻度が変更されるか、など、ステップ409−410の実行に影響してもよい。
【0160】
テストは、異なる状況では異なる評価パラメータが望ましいかもしれないことを示した。例えば、調波(harmonics)のうちの1つのまわりの打つ信号を捜す場合、分散の使用は探知可能性を増加させるかもしれないが、しかし、基礎周波数のまわりの打つ信号を捜す場合、導関数の合計の絶対値あるいは導関数の合計の平均の使用の方がよいかもしれない。他の検波方法が失敗する場合、パターン認識が頼られてもよい。したがって、打つ検波ブロック53は、これらの評価パラメータの1つあるいは任意の組合せを使用するように構成されてもよい。
【0161】
図19は、心臓パルスが打つ検波ブロック53を使用して検知できる周波数および振幅レンジの例である。点線は、正常な心臓の周波数レンジを示し、また、暗い水平の帯域は、1.13Hzのポンプ周波数を使用したシステムで心臓パルスを検知することができるかもしれない周波数を示す。水平の帯域の5つの列は、血液ポンプおよび心臓パルスの間の異なる相対的な大きさを表わし、20:1から、40:1、60:1、80:1及び100:1まで連なり、底列からトップの列まで連なる。
【0162】
発明は、少数の実施形態に関して主として上述された。しかしながら、当業者に容易に評価されるように、添付された特許クレームによってのみ定義され・限定された発明の視野(scope)および精神の範囲内で、上に示された実施形態以外の実施形態も等しく実施できる。
【0163】
例えば、圧力信号は、任意の考えられるタイプの圧力センサー(例えば、抵抗か、容量性(capacitive)か、誘導か、磁気或いは光学的に感じることにより作動し、1つ以上のダイヤフラム、ベローズ、ブルドン管(Bourdon tubes)、ピエゾ−電子部品、半導体部品、歪みゲージ、共振するワイヤー(resonant wires)などを使用して)から発せられても良い。
【0164】
さらに、図示の実施形態は、患者の回路に返される前に血液に処理を適用するために、患者の回路から血液を得るすべてのタイプの体外の血流回路の監視に適用可能である。そのような血流回路は、血液透析、血液濾過、血液濾過透析、血漿搬出、成分除去(apheresis)、体外膜型酸素供給、支援された血液循環(assisted blood circulation)および体外の肝臓サポート/透析(extracorporeal liver support/dialysis)を含んでいる。
【0165】
さらに、発明のモニタリング技術は、第1の流体を含む系での圧力パルスを生成する、任意のタイプのポンプ装置に適用可能であり、上に示されるような回転式の蠕動ポンプだけでなく、線形の蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、さらに渦巻きポンプ、のような他のタイプの正排水型ポンプ(positive displacement pumps)でもよい。
【0166】
まださらに、発明のモニタリング技術は、さらに1つ以上の動脈圧力センサーからの測定信号に基づいた、血管進入路と動脈針との間の流体接続の完全性のモニターに適用可能である。そのようなモニタリング技術は、従来の空気検出器よりも迅速な故障の検出と、平均圧力レベルと閾値との従来型の比較よりももっと信頼できるような故障の検出と、を提供するだろう。そのような適用では、前述の照会信号は、体外の血流回路中の1つ以上の静脈圧力センサーに由来してもよい。
【0167】
さらに、モニタリング技術がシングルの針の透析に等しく適用可能であることは理解される。
【0168】
さらに、測定信号が人間の血液系での圧力を感知するように配置された圧力センサーから発したものである場合に、発明のモニタリング技術は適用可能である。そのような実施形態では、第1の流体を含む系(S1)は人間の血液系であり、第2の流体を含む系(S2)は体外の血流回路であり、また、流体接続(C)は、アクセス装置と血管進入路との間の接続によって形成されるだろう。第1のパルスは、このように人間の心臓から発し、また、第2のパルスは、体外の血流回路中のポンプ装置(および/または、体外の血流回路中の他のパルス発生器、あるいは体外の血流回路に接続された他のパルス発生器)から発し、および流体接続の完全性は、測定信号中の第2のパルスの存在/欠如を検出するために第1および/または第2の発明概念の適用により決定される。
【0169】
更に、モニタリング・プロセスはディジタル信号処理に制限されていない。図20は、圧力信号中の打つ成分の検出用のアナログ装置の典型的な組合せを例証する。個々の装置はそれ自身知られており、また、代替の実行は当業者に容易に利用可能である。アナログ装置の典型的な組合せは、ポンプ装置の基礎周波数(f0)で信号成分を分離するために、入って来る圧力信号をフィルタするのに適したバンドパスフィルタ151を含んでいる。周波数逓倍器152は、フィルタされた圧力信号を受け取るために配置され、基礎周波数の選択された倍数(0.5、1、2.5、3など)で対応する出力信号を生成するために制御可能である。周波数逓倍器152からの出力信号は、制御可能なバンドパスフィルタ153へ制御信号として入力され、バンドパスフィルタ153は入って来る圧力信号を受け取りフィルタするのに適している。フィルタ153は、周波数逓倍器152(図12のステップ406参照)から制御信号の周波数のまわりの周波数帯を除いたすべての周波数を取り除くことにより、圧力信号を処理するようにコントロールされる。処理された圧力信号は、包絡線信号(それは包絡線信号からどんなDC成分も取り除くハイパスフィルタ155に次に供給される)をそれによって生成するピーク検出器154へインプットされる。任意に、ローパスフィルタ(図示されない)は包絡線信号から高周波数の雑音を取り除くために含まれていてもよい。最後に、包絡線信号は、打つ信号の存在/欠如を決定するのに適合された振幅検出器156によって受け取られる。振幅検出器は、順に、全波長整流器156a、ローパスフィルタ156b、および照会信号が与えられる比較器156cを、含んでいてもよい。比較器156cへ入力された信号の振幅が、照会信号を超過する場合、比較器156cは打つ信号の存在を示す信号を出力してもよいし、そうでなければしなくてもよいし、あるいは逆も同様である。
【0170】
上記発明概念は、さらに血液以外に液体を輸送するための流体接続の完全性のモニターに適用可能だろう。同様に、ヒトに関して流体接続を設ける必要がないが、他のタイプの流体を含む系に関して設けることができるだろう。
【0171】
1例において、流体接続は血液処理回路とコンテナ/機械との間で設けられ、そこでは1つのコンテナ/機械から送られた血液は、血液処理回路中の血液処理装置を通り、コンテナ/機械へと戻され、或いは、血液処理装置の下流にある別のコンテナ/機械へ戻される。血液処理装置は、血液を修正し、および/または分析するように構成された任意の既知の装置であってよい。
さらに次の例において、流体接続は、透析器と再処理する系の間に設けられ、再処理する系は、汲み上げる水(任意に適切な化学薬品と一緒に)を透析器に通すことにより透析器を再処理する。透析器を再処理する系の一例はUS2005/0051472から分かる。
【0172】
別の例において、流体接続は透析物供給と透析物再生系との間に設けられ、透析物再生系は、透析物供給からの透析物を透析物再生装置を通るように循環させ、そして供給へ戻す。透析物再生装置の一例はWO05/062973から分かる。
【0173】
まだ別の例において、流体接続は、供給から血流回路を経由して透析器までプライミング流体をポンピングすることにより、体外の血流回路を準備するための配置で設けられる。 プライミング流体は、例えば、透析溶液、食塩水、浄化された水などであってよい。
【0174】
まださらに次の例において、流体接続は、透析器の透析溶液フロー・パスを清潔にし消毒するための配置で設けられ、フロー・パスを経由して洗浄液を透析器/透析器配管へ送る。洗浄液は、例えば、湯、化学溶剤などであってよい。
【0175】
さらに次の例において、流体接続は水を浄化するための配置で設けられ、供給から浄化する装置を通るように水を送る。浄化する装置は、あらゆる既知の浄水技術、例えば逆浸透、イオンを取り除くこと、或いは炭素吸収、を使用してもよい。
【0176】
別の例において、流体接続は、例えば透析溶液の調製に使用されるために、透析器に浄化された水を供給するための配置で設けられる。
【0177】
これらの例のすべて、およびヒトまたは動物の患者の医療と関係する他の適用では、流体接続の完全性をモニターすることは致命的かもしれない。そのようなモニタリングはここに示された発明概念によって遂行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた第1と第2の流体を含む系(S1、S2)との間の流体接続(C)の完全性をモニターする方法であって、前記第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は、第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検知するために配置されており、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、
前記少なくとも1つの測定信号に基づいて、前記第1のパルスが本質的に除去される時間依存のモニタリング信号を生成し、
前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、前記信号値の分布を表わすパラメータ値を計算し、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定する方法。
【請求項2】
前記計算は、前記時間ウィンドウ内で前記信号値の統計的なばらつきの尺度としての前記パラメータ値を計算することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記統計的なばらつきの尺度は、標準偏差、分散、変動係数、違い、エネルギー、力の合計、平均値からの偏差の絶対値の合計、および平均値からの差の絶対値の平均、の少なくとも1つを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計算は、第2のパルスの予想される一時的な信号のプロフィール(profile)に時間ウィンドウ中の信号値をマッチさせることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ値は、前記マッチングに由来する相関値である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記計算は、前記時間ウィンドウ内の信号値と前記予想された一時的な信号のプロフィールの間の相互相関を計算し、そして前記相互相関中の最大の相関値を識別することを含み、前記決定は、最大の相関値を閾値と比較することを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算は、最大の相関値の時間ポイントを得て、その時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、最大の相関値を検証することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の流体を含む系(S1)中での照会センサー(4a−4c)から照会圧力信号を得るステップと、前記照会圧力信号に基づいた、前記予想された一時的な信号のプロフィールを計算するステップとをさらに含み、この照会センサー(4a−4c)は、たとえ流体接続(C)が欠陥を生じていても前記第2のパルスを検出するように配置される請求項4から7のいずれかの1つに記載の方法。
【請求項9】
前記照会圧力信号中の第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算し、その大きさ値を限界と比較するステップを含み、そこでは前記照会圧力信号に基づいた、前記予測された一時的な信号のプロフィールを計算するステップは、前記比較するステップで条件付けられる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記予測された一時的な信号のプロフィールを計算するステップは、前記照会センサーと前記少なくとも一つの圧力センサーとの間の通過時間の差に合わせて調節することを含む請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記通過時間の差は、あらかじめ定められた値から与えられる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記通過時間の差は、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて計算される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記時間ウィンドウは、少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記時間ウィンドウの長さは、第2のパルス発生器(3´)の最大のパルス反復間隔を越えるように選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記時間ウィンドウは、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて選ばれる請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記モニタリング信号は、前記第1のパルスを除去するために前記少なくとも1つの測定信号をフィルタリングし、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて、そのようにフィルタされた測定信号中の1セットの信号セグメントを引き出し、前記タイミング情報に基づいて前記モニタリング信号を生成するために、信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることで生成される請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記計算は、前記モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントを識別すること、および前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報と比較して、候補時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを検証すること、を含む請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記タイミング情報は、第2の流体を含む系(3´)につながれたパルス・センサーから得られる請求項15から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数として得られる請求項15から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記第1の流体を含む系(S1)は、動脈側アクセス装置(1)、血液処理装置(6)、および静脈側アクセス装置(14)を含んだ体外の血流回路(20)であり、前記第2の流体を含む系(S2)は血管の進入路(access)を含む人間の血管系であり、前記動脈側アクセス装置(1)は、前記人間の血管系に接続され、前記静脈側アクセス装置(14)は、流体接続(C)を形成するために前記血管の進入路に接続され、前記第1のパルス発生器(3)は、前記動脈側アクセス装置(1)から前記血液処理装置(6)を通り静脈側アクセス装置(14)にまで至るように血液を送るために前記体外の血流回路(20)内に配置されたポンプ装置であり、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置(3)に下流に位置した少なくとも1つの静脈側圧力センサー(4c)に由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置(3)の上流に位置した少なくとも1つの動脈側圧力センサー(4a)に由来した少なくとも1つの動脈測定信号と、を含み、前記モニタリング信号は、前記少なくとも1つの静脈測定信号に基づいて生成され、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、およびこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む請求項15から17のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
断続的に前記第1のパルス発生器(3)を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスの識別すること、またこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む請求項15から17のいずれかの1つに記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの測定信号に基づいた候補の第2のパルスの1つのセットを識別すること、前記候補の第2のパルスの1つのセットに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対する前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、このように検証された前記候補時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む請求項15から17のいずれかの1つに記載の方法。
【請求項23】
前記第1の流体を含む系(S1)は、アクセス装置(1、14)を含む体外の血液処理系(20)であり、前記第2の流体を含む系(S2)は、血管の進入路(access)を含む人間の血液系であり、そこではアクセス装置(1、14)と血管の進入路との間の接続は、流体接続(C)を形成する請求項1から22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1つに記載の方法をコンピューターに実行させるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項25】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた、第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする装置であって、前記第1の流体を含む系(S1)は、第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は、第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は前記第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記装置は、
前記少なくとも1つの測定信号のための入力(28)と、
前記入力(28)に接続される信号処理装置(29)と、
を含み、
前記信号処理装置は、処理モジュール(52)を備え、前記処理モジュール(52)は、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成し、前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算するように構成され、前記信号処理装置(29)は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続(C)の完全性を決定する装置。
【請求項26】
第1の流体を含む系(S1)の少なくとも1つ圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする装置であって、前記第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は前記第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置され、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取る手段(28)と、
前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成する手段(52)と、
前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算する手段(52)と、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続(C)の完全性を決定する手段(52)と、
を含む装置。
【請求項27】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする方法であって、前記第1の流体を含む系(S1)は、第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は、第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は前記第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置され、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、
前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得て、
前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を計算するために、前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理し、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続(C)の完全性を決定する方法。
【請求項28】
前記処理は、前記タイミング情報に基づいて、測定信号あるいはそこから得たモニタリング信号中の時間ウィンドウを配置させること、および前記時間ウィンドウ内の前記信号値に基づいたパラメータ値を計算すること、を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記処理は、前記タイミング情報に基づいた前記時間ウィンドウの長さを選択することを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記処理は、前記少なくとも1つの測定信号から前記第1のパルスを除去するフィルタリングにより、時間依存のモニタリング信号を生成することを含み、前記パラメータ値は前記モニタリング信号に基づいて計算される請求項27から29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
前記生成は、さらに、このようにフィルタリングされた測定信号中の1セットの信号セグメントを選択すること、およびタイミング情報に基づいて、モニタリング信号を生成するために信号セグメントを整列させるとともに足し合わせること、を含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記計算は、前記モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントの識別をすること、および候補の時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを前記タイミング情報と比較して検証すること、を含む請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記タイミング情報は、第2の流体を含む系(S2)につながれたパルス・センサーから得られる請求項27から32のいずれ1つに記載の方法。
【請求項34】
前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数(function)として得られる請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
前記第1の流体を含む系(S1)の照会センサー(4a−4c)から照会圧力信号を得るステップをさらに含み、前記照会センサー(4a−4c)は、前記流体接続(C)に障害を生じても、前記第2のパルスを検知するように配置され、前記タイミング情報を得る前記ステップは、前記照会圧力信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、および前記照会センサーと前記少なくとも1つの圧力センサーとの間の到着時の評価された差を得ること、を含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
前記到着時の評価された差は、あらかじめ定められた値から与えられる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記到着時の評価された差は、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて計算される請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記照会圧力信号中の前記少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するステップを含み、前記到着時の評価された差を得るステップは、比較する前記ステップで条件付けられる請求項35から37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
前記第1の流体を含む系(S1)は、動脈側アクセス装置(1)、血液処理装置(6)、および静脈側アクセス装置(14)を含む体外の血流回路であり、前記第2の流体を含む系(S2)は血管進入路を含む人間の血液系であり、前記動脈側アクセス装置(1)は前記人間の血液系に接続され、前記静脈側アクセス装置(14)は前記流体接続(C)を形成するために血管進入路に接続され、前記第1のパルス発生器(C)は、前記動脈側アクセス装置(1)から前記血液処理装置(6)を通り、前記静脈側アクセス装置(14)にまで血液を送るように、前記体外の血流回路の中に配置されたポンプ装置であり、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置(3)の下流に位置した、少なくとも1つの静脈圧力センサー(4c)に由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置(3)の上流に位置した、少なくとも1つの動脈圧センサー(4a)に由来した少なくとも1つの動脈測定信号とを含み、前記モニタリング信号は、少なくとも1つの静脈測定信号に基づいており、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、このように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
断続的に前記第1のパルス発生器(3)を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、このように識別された第2のパルスからの前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、前記1セットの候補の第2のパルスに基づいた候補の時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、このように検証された候補の時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
前記得ることは、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、前記1セットの候補の第2のパルスに基づいた候補の時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して前記候補の時間ポイントの系列を検証することにより、1セットの検証された候補の第2のパルスを生成すること、をさらに含み、前記処理は、1セットの平均表現(average representation)を計算すること、およびそれぞれの前記平均表現のための前記パラメータ値を計算すること、を含み、それぞれの平均表現は、検証された候補の第2のパルスの固有の組合せに対応する前記少なくとも1つの測定信号の信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより形成され、前記決定は、最大のパラメータ値を閾値と比較することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記パラメータ値は、信号値の分布を表わす請求項27から42のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
請求項27から43のいずれか1つに記載の方法をコンピューターに行なわせるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項45】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターするための装置であって、前記第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は、第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検知するために配置され、前記装置は、
前記少なくとも1つの測定信号のための入力(28)と、
前記入力(28)に接続される信号処理装置(29)と、
を含み、
前記信号処理装置(29)は、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るとともに、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するように前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理するように構成された処理モジュールを備え、前記信号処理装置(29)は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続(C)の完全性を決定するように構成される装置。
【請求項46】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターするための装置であって、第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は、第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検知するために配置され、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取るための手段(28)と、
前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るための手段(52)と、
前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するために、前記タイミング情報に基づいて前記少なくとも1つの測定信号を処理するための手段(52)と、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続(C)の完全性を決定するための手段(52)と、
を含む装置。
【請求項1】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた第1と第2の流体を含む系(S1、S2)との間の流体接続(C)の完全性をモニターする方法であって、前記第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は、第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検知するために配置されており、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、
前記少なくとも1つの測定信号に基づいて、前記第1のパルスが本質的に除去される時間依存のモニタリング信号を生成し、
前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、前記信号値の分布を表わすパラメータ値を計算し、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続の完全性を決定する方法。
【請求項2】
前記計算は、前記時間ウィンドウ内で前記信号値の統計的なばらつきの尺度としての前記パラメータ値を計算することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記統計的なばらつきの尺度は、標準偏差、分散、変動係数、違い、エネルギー、力の合計、平均値からの偏差の絶対値の合計、および平均値からの差の絶対値の平均、の少なくとも1つを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計算は、第2のパルスの予想される一時的な信号のプロフィール(profile)に時間ウィンドウ中の信号値をマッチさせることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ値は、前記マッチングに由来する相関値である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記計算は、前記時間ウィンドウ内の信号値と前記予想された一時的な信号のプロフィールの間の相互相関を計算し、そして前記相互相関中の最大の相関値を識別することを含み、前記決定は、最大の相関値を閾値と比較することを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算は、最大の相関値の時間ポイントを得て、その時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、最大の相関値を検証することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の流体を含む系(S1)中での照会センサー(4a−4c)から照会圧力信号を得るステップと、前記照会圧力信号に基づいた、前記予想された一時的な信号のプロフィールを計算するステップとをさらに含み、この照会センサー(4a−4c)は、たとえ流体接続(C)が欠陥を生じていても前記第2のパルスを検出するように配置される請求項4から7のいずれかの1つに記載の方法。
【請求項9】
前記照会圧力信号中の第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算し、その大きさ値を限界と比較するステップを含み、そこでは前記照会圧力信号に基づいた、前記予測された一時的な信号のプロフィールを計算するステップは、前記比較するステップで条件付けられる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記予測された一時的な信号のプロフィールを計算するステップは、前記照会センサーと前記少なくとも一つの圧力センサーとの間の通過時間の差に合わせて調節することを含む請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記通過時間の差は、あらかじめ定められた値から与えられる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記通過時間の差は、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて計算される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記時間ウィンドウは、少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記時間ウィンドウの長さは、第2のパルス発生器(3´)の最大のパルス反復間隔を越えるように選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記時間ウィンドウは、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて選ばれる請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記モニタリング信号は、前記第1のパルスを除去するために前記少なくとも1つの測定信号をフィルタリングし、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて、そのようにフィルタされた測定信号中の1セットの信号セグメントを引き出し、前記タイミング情報に基づいて前記モニタリング信号を生成するために、信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることで生成される請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記計算は、前記モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントを識別すること、および前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報と比較して、候補時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを検証すること、を含む請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記タイミング情報は、第2の流体を含む系(3´)につながれたパルス・センサーから得られる請求項15から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数として得られる請求項15から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記第1の流体を含む系(S1)は、動脈側アクセス装置(1)、血液処理装置(6)、および静脈側アクセス装置(14)を含んだ体外の血流回路(20)であり、前記第2の流体を含む系(S2)は血管の進入路(access)を含む人間の血管系であり、前記動脈側アクセス装置(1)は、前記人間の血管系に接続され、前記静脈側アクセス装置(14)は、流体接続(C)を形成するために前記血管の進入路に接続され、前記第1のパルス発生器(3)は、前記動脈側アクセス装置(1)から前記血液処理装置(6)を通り静脈側アクセス装置(14)にまで至るように血液を送るために前記体外の血流回路(20)内に配置されたポンプ装置であり、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置(3)に下流に位置した少なくとも1つの静脈側圧力センサー(4c)に由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置(3)の上流に位置した少なくとも1つの動脈側圧力センサー(4a)に由来した少なくとも1つの動脈測定信号と、を含み、前記モニタリング信号は、前記少なくとも1つの静脈測定信号に基づいて生成され、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、およびこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む請求項15から17のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
断続的に前記第1のパルス発生器(3)を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスの識別すること、またこのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む請求項15から17のいずれかの1つに記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの測定信号に基づいた候補の第2のパルスの1つのセットを識別すること、前記候補の第2のパルスの1つのセットに基づいた候補時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対する前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、このように検証された前記候補時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む請求項15から17のいずれかの1つに記載の方法。
【請求項23】
前記第1の流体を含む系(S1)は、アクセス装置(1、14)を含む体外の血液処理系(20)であり、前記第2の流体を含む系(S2)は、血管の進入路(access)を含む人間の血液系であり、そこではアクセス装置(1、14)と血管の進入路との間の接続は、流体接続(C)を形成する請求項1から22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1つに記載の方法をコンピューターに実行させるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項25】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた、第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする装置であって、前記第1の流体を含む系(S1)は、第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は、第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は前記第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置され、前記装置は、
前記少なくとも1つの測定信号のための入力(28)と、
前記入力(28)に接続される信号処理装置(29)と、
を含み、
前記信号処理装置は、処理モジュール(52)を備え、前記処理モジュール(52)は、前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成し、前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算するように構成され、前記信号処理装置(29)は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続(C)の完全性を決定する装置。
【請求項26】
第1の流体を含む系(S1)の少なくとも1つ圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする装置であって、前記第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は前記第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置され、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取る手段(28)と、
前記少なくとも1つの測定信号に基づいて前記第1のパルスが本質的に除去された時間依存のモニタリング信号を生成する手段(52)と、
前記モニタリング信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいたパラメータ値であって、前記信号値の分布を表わしたパラメータ値を計算する手段(52)と、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続(C)の完全性を決定する手段(52)と、
を含む装置。
【請求項27】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいた第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターする方法であって、前記第1の流体を含む系(S1)は、第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は、第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は前記第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検出するために配置され、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取り、
前記少なくとも1つの測定信号中の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得て、
前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を計算するために、前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理し、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいた流体接続(C)の完全性を決定する方法。
【請求項28】
前記処理は、前記タイミング情報に基づいて、測定信号あるいはそこから得たモニタリング信号中の時間ウィンドウを配置させること、および前記時間ウィンドウ内の前記信号値に基づいたパラメータ値を計算すること、を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記処理は、前記タイミング情報に基づいた前記時間ウィンドウの長さを選択することを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記処理は、前記少なくとも1つの測定信号から前記第1のパルスを除去するフィルタリングにより、時間依存のモニタリング信号を生成することを含み、前記パラメータ値は前記モニタリング信号に基づいて計算される請求項27から29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
前記生成は、さらに、このようにフィルタリングされた測定信号中の1セットの信号セグメントを選択すること、およびタイミング情報に基づいて、モニタリング信号を生成するために信号セグメントを整列させるとともに足し合わせること、を含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記計算は、前記モニタリング信号中の候補の第2のパルスおよび対応する候補の時間ポイントの識別をすること、および候補の時間ポイントに基づいた候補の第2のパルスを前記タイミング情報と比較して検証すること、を含む請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記タイミング情報は、第2の流体を含む系(S2)につながれたパルス・センサーから得られる請求項27から32のいずれ1つに記載の方法。
【請求項34】
前記タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて特定された第2のパルスの相対的なタイミングの関数(function)として得られる請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
前記第1の流体を含む系(S1)の照会センサー(4a−4c)から照会圧力信号を得るステップをさらに含み、前記照会センサー(4a−4c)は、前記流体接続(C)に障害を生じても、前記第2のパルスを検知するように配置され、前記タイミング情報を得る前記ステップは、前記照会圧力信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、および前記照会センサーと前記少なくとも1つの圧力センサーとの間の到着時の評価された差を得ること、を含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
前記到着時の評価された差は、あらかじめ定められた値から与えられる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記到着時の評価された差は、前記照会センサーの位置と前記少なくとも1つの圧力センサーの位置との間の液圧の差に基づいて計算される請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記照会圧力信号中の前記少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するステップを含み、前記到着時の評価された差を得るステップは、比較する前記ステップで条件付けられる請求項35から37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
前記第1の流体を含む系(S1)は、動脈側アクセス装置(1)、血液処理装置(6)、および静脈側アクセス装置(14)を含む体外の血流回路であり、前記第2の流体を含む系(S2)は血管進入路を含む人間の血液系であり、前記動脈側アクセス装置(1)は前記人間の血液系に接続され、前記静脈側アクセス装置(14)は前記流体接続(C)を形成するために血管進入路に接続され、前記第1のパルス発生器(C)は、前記動脈側アクセス装置(1)から前記血液処理装置(6)を通り、前記静脈側アクセス装置(14)にまで血液を送るように、前記体外の血流回路の中に配置されたポンプ装置であり、前記少なくとも1つの測定信号は、前記ポンプ装置(3)の下流に位置した、少なくとも1つの静脈圧力センサー(4c)に由来した少なくとも1つの静脈測定信号と、前記ポンプ装置(3)の上流に位置した、少なくとも1つの動脈圧センサー(4a)に由来した少なくとも1つの動脈測定信号とを含み、前記モニタリング信号は、少なくとも1つの静脈測定信号に基づいており、前記方法は、前記少なくとも1つの動脈測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、このように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算すること、を含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
断続的に前記第1のパルス発生器(3)を切ること、前記少なくとも1つの測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別すること、このように識別された第2のパルスからの前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、前記1セットの候補の第2のパルスに基づいた候補の時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して前記候補の時間ポイントの系列を検証すること、このように検証された候補の時間ポイントの系列の関数(function)として前記タイミング情報を計算すること、をさらに含む請求項27から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
前記得ることは、前記少なくとも1つの測定信号に基づいた1セットの候補の第2のパルスを識別すること、前記1セットの候補の第2のパルスに基づいた候補の時間ポイントの系列を引き出すこと、一時的な基準に対して前記候補の時間ポイントの系列を検証することにより、1セットの検証された候補の第2のパルスを生成すること、をさらに含み、前記処理は、1セットの平均表現(average representation)を計算すること、およびそれぞれの前記平均表現のための前記パラメータ値を計算すること、を含み、それぞれの平均表現は、検証された候補の第2のパルスの固有の組合せに対応する前記少なくとも1つの測定信号の信号セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより形成され、前記決定は、最大のパラメータ値を閾値と比較することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記パラメータ値は、信号値の分布を表わす請求項27から42のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
請求項27から43のいずれか1つに記載の方法をコンピューターに行なわせるための指示を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項45】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて、第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターするための装置であって、前記第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、前記第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は、第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび前記第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検知するために配置され、前記装置は、
前記少なくとも1つの測定信号のための入力(28)と、
前記入力(28)に接続される信号処理装置(29)と、
を含み、
前記信号処理装置(29)は、前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るとともに、前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するように前記タイミング情報に基づいた少なくとも1つの測定信号を処理するように構成された処理モジュールを備え、前記信号処理装置(29)は、前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続(C)の完全性を決定するように構成される装置。
【請求項46】
第1の流体を含む系(S1)中の少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)からの少なくとも1つの時間依存の測定信号に基づいて第1と第2の流体を含む系(S1、S2)の間の流体接続(C)の完全性をモニターするための装置であって、第1の流体を含む系(S1)は第1のパルス発生器(3)を含み、第2の流体を含む系(S2)は第2のパルス発生器(3´)を含み、前記少なくとも1つの圧力センサー(4a−4c)は、第1のパルス発生器(3)から発した第1のパルスおよび第2のパルス発生器(3´)から発した第2のパルスを検知するために配置され、
前記少なくとも1つの測定信号を受け取るための手段(28)と、
前記少なくとも1つの測定信号中の前記第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報を得るための手段(52)と、
前記第2のパルスの存在あるいは欠如を示すパラメータ値を生成するために、前記タイミング情報に基づいて前記少なくとも1つの測定信号を処理するための手段(52)と、
前記パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて流体接続(C)の完全性を決定するための手段(52)と、
を含む装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2011−525397(P2011−525397A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515214(P2011−515214)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004640
【国際公開番号】WO2009/156174
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(501473877)ガンブロ・ルンディア・エービー (49)
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004640
【国際公開番号】WO2009/156174
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(501473877)ガンブロ・ルンディア・エービー (49)
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
【Fターム(参考)】
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