施解錠装置及びこれを適用した収納家具
【課題】係わり合い部または被係わり合い部の何れかが鎌状をなし他方がこれを受容する関係にある場合に、これらをダイヤル錠と適切に関連づけて、引出や扉などの開閉部材の施解錠を簡易な構造、簡単な操作を通じて適切に行い得るようにした施解錠装置を提供する。
【解決手段】扉2が閉止位置にあってダイヤル錠3が非照合状態のときに係わり合い部21を被係わり合い部11に係わり合わせた施錠状態に保ち、ダイヤル錠3の照合とともに係わり合い部21を解錠状態に移行させて被係わり合い部11との係わり合いを解除し、扉2の開放動作に伴い作動体4を通じてダイヤル錠3を非照合状態にリセットし、扉2を再び閉止する際には自動的に係わり合い部21を施錠状態にして被係わり合い部11に係わり合わせるように構成した。
【解決手段】扉2が閉止位置にあってダイヤル錠3が非照合状態のときに係わり合い部21を被係わり合い部11に係わり合わせた施錠状態に保ち、ダイヤル錠3の照合とともに係わり合い部21を解錠状態に移行させて被係わり合い部11との係わり合いを解除し、扉2の開放動作に伴い作動体4を通じてダイヤル錠3を非照合状態にリセットし、扉2を再び閉止する際には自動的に係わり合い部21を施錠状態にして被係わり合い部11に係わり合わせるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係わり合い部または被係わり合い部の何れかが鎌状をなし他方がこれを受容する関係にある場合に、これらをダイヤル錠と適切に関連づけて、引出や扉などの開閉部材の施解錠を簡易な構造、簡単な操作を通じて適切に行い得るようにした施解錠装置及びこれを適用した収納家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のダイヤル錠装置は、ラッチを備えた扉等に付随して設けられ、ダイヤル錠を照合させることでラッチを操作し得ないように拘束し、扉等を開ける際にはラッチの拘束を解除するように構成されるのが一般的である。
【0003】
そのための具体的な操作としては、ダイヤルを照合させて扉を開けた後には再びラッチを拘束する状態に戻す必要があることを踏まえると、ダイヤルを照合させて摘みを回すことにより解錠して把手を引くようにした旧来のものを始め、特許文献1に示されるようにダイヤルを照合させてから摘みを回して、解錠とゼロリセットを行うようにしたもの等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−60544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような構造であると、扉等を開ける際にはダイヤルを照合させる操作と摘みを回す操作の少なくとも2段階の操作が必要になる。このため、煩わしく、また扉等を閉める際には再びダイヤルのリセットやラッチによる拘束のための操作をしなければならないため、更に操作の煩雑なものとなっている。また、前者のものは、扉等が開いた状態でダイヤルが揃っているため、周囲の者に視認されてセキュリティ上望ましくないという問題もある。さらに従来のものは、扉等を閉めた後にも、施錠のために摘みを回すようにしたり、扉等を閉めた後に施錠のために摘みを回し、さらに手動でダイヤルを別の番号に回すようにしているので、ここでも操作が煩雑なものとなっている。すなわち、従来のものは、扉等を解錠してから再び施錠するまでの手数が多く、使い勝手の煩雑なものである。
【0006】
本発明は、特に鎌状の係わり合い部や被係わり合い部を有するロッカー、金庫等において、これら係わり合い部や被係わり合い部とダイヤル錠等とを適切に関連づけて、扉、引出などの開閉部材の施解錠を簡易な構造、簡単な操作を通じて適切に行い得るようにした施解錠装置及びこれを適用した収納家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の施解錠装置は、筐体およびこの筐体の開口を開閉する開閉部材と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか一方に設けられるダイヤル錠、作動体および係わり合い部と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか他方に設けられる被係わり合い部とを具備し、これら係わり合い部と被係わり合い部とを係わり合わせることによって前記開閉部材を閉止位置に保持するものであって、前記係わり合い部および被係わり合い部は、何れか一方が鎌状に突出し他方がこれを受容する関係にあり、前記作動体は、前記開閉部材の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成され、前記ダイヤル錠は、前記作動体の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体に関連づけられ、前記係わり合い部は、前記開閉部材の閉止時においてダイヤル錠が非照合状態にあるときに被係わり合い部に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠が照合された際に前記被係わり合い部との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように少なくとも当該ダイヤル錠に関連づけられ、さらに前記係わり合い部は、前記開閉部材が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部に係わり合うように構成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、鎌状の係わり合い部や被係わり合い部とは、平面視概略L字板状部を有するもので、先端に鉤形の爪部が設けてあり、その爪部がスリット等の開口に挿入されて開口周辺の裏面に係わり合うようなものをいう。また、リセット待機状態とは、次に作動体が一方向に作動した際に再びダイヤル錠を非照合状態にリセットできるような待機状態をいう。
【0010】
このように構成すると、鎌状の係わり合い部や被係わり合い部を有する適用対象、例えばロッカー等に適用した場合に、ダイヤル錠の照合後に開閉部材がフリーになり、しかも筐体から離れる動作を利用して作動体が作動してダイヤルを非照合状態にリセットし、開閉部材を閉止するだけで施錠がなされるので、ダイヤル錠をリセットするための別段の操作や、閉止位置で開閉部材を施錠するための別段の操作等を不要にして、極力少ない手順に利用に供することができる。しかも、作動体は筐体又は開閉部材の何れか一方に設けておけばよいので、開閉部材の開閉動作を利用しつつも、両者間に亘ってリンク等を配置するような複雑かつ収納空間を妨げるような構造も有効に回避することが可能となる。
【0011】
開閉部材が閉止位置に移動する間に係わり合い部が自動的に施錠位置に移動して被係わり合い部に係わり合うための具体的な一態様としては、係わり合い部がダイヤル錠の照合後に非照合状態にリセットされることにより施錠位置に弾性的に移行し、開閉部材が閉止位置に至る直前で被係わり合い部に突き当たることにより弾性力に抗して一時的に干渉回避動作を行った後に被係わり合い部に係わり合うように構成しているものが挙げられる。
【0012】
このような構成は、特に係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方が、閉止位置にある開閉部材の開閉方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである場合に有効となる。
【0013】
また、開閉部材が閉止位置に移動する間に係わり合い部が自動的に施錠位置に移動して被係わり合い部に係わり合うための具体的な他の一態様としては、係わり合い部がダイヤル錠の照合時に解錠位置に保持され、開閉部材が閉止位置に向かう際に作動体が他方向に作動する動作を利用して係わり合い部を被係わり合い部との干渉を回避しつつ当該被係わり合い部に係わり合う施錠位置に移動するように構成しているものが挙げられる。
【0014】
このような構成は、係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方は、閉止位置にある開閉部材の開閉方向と直交する方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである場合に有効となる。
【0015】
ダイヤル錠の照合後に開閉部材の軽快な操作性を確保するためには、開閉部材が、ダイヤル錠の照合に伴い係わり合い部が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記開閉部材に設けられていることが望ましい。
【0016】
作動体を開閉部材に簡単、確実に連動させ、ダイヤル錠の照合操作と開閉部材を開ける操作とを一連の動作によって行うためには、ダイヤル錠および作動体が開閉部材側に設けられ、作動体が筐体の一部に突き当たって押し込まれるように構成されていることが好ましい。
【0017】
或いは、作動体を開閉部材に簡単、確実に連動させ、開閉部材側はシンプルに構成したい場合には、ダイヤル錠および作動体が筐体側に設けられ、作動体が開閉部材の一部に突き当たって押し込まれるように構成されていることが好ましい。
【0018】
開閉部材の開放動作を一層スムーズにするとともに、閉止時の開閉部材をガタつきのないものにするためには、作動体が開閉部材を開放する方向に弾性的に押し付けられていることが望ましい。
【0019】
本発明の施解錠装置は、以上のような構成であるから、この施解錠装置を開閉部材と筐体との間に適用して収納家具を構成することが極めて有用となり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明した構成であるから、何れか一方が鎌状をなす係わり合い部および被係わり合い部によって開閉部材を筐体に対して施解錠するものにおいて、ダイヤル錠を照合するだけで開閉部材を開放することができ、しかも別段の操作をすることなくダイヤル錠を再び非照合状態にリセットすることができ、さらに開閉部材を押し込むだけで閉止位置に施錠状態で保持することができる。このため、極力少ない操作手順で利用することができ、しかも鎌状をなす係わり合い部および被係わり合い部を前提とする場合の構造の簡素化やコストダウンを阻害せずに初期の目的を実現できるようにした、優れた施解錠装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る施解錠装置を適用した収納家具を閉扉状態で示す斜視図。
【図2】同収納家具を開扉状態で示す斜視図。
【図3】同収納家具を構成する扉の裏面を示す部分拡大斜視図。
【図4】同実施形態の施解錠装置を構成する作動体の動作説明図。
【図5】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図6】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る施解錠装置を適用した収納家具を閉扉状態で示す斜視図。
【図8】同収納家具を構成する扉の裏面を示す部分拡大斜視図。
【図9】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図10】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図11】本発明の変形例を示す図。
【図12】本発明の他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
【0023】
以下、本発明の第1実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
【0024】
図1〜図3は、本実施形態の施解錠装置Aを適用した収納装置Bを示している。この収納装置Bは、筐体1の収納空間を開閉する位置に開閉部材である扉2を配置し、これら扉2と筐体1との間に施解錠装置Aを適用している。この施解錠装置Aは、扉2に係わり合い部21およびダイヤル錠3を組み込み、筐体1側に被係わり合い部11を設けて、扉2を押し込むだけで係わり合い部21を被係わり合い部11に係わり合わせて施錠状態にすることにより扉2を筐体1に対する閉止位置にロック状態で保持し、扉2に設けたダイヤル錠3を照合させることにより係わり合い部21と被係わり合い部11との係わり合いを解除して扉2を開放可能にし、その後の扉2の開放動作を利用してダイヤル錠3の照合状態をリセットするものである。
【0025】
具体的に説明すると、扉2は、筐体1の側板12にヒンジ機構Hを介して吊元側の縁部2aを開閉可能に支持されたもので、ヒンジHと反対側に位置する側板12の前面には前方に向かって凹となる段部12aが形成されており、扉2を閉止する際に、その凹となる段部12a内に扉2の反吊元側の縁部2bの厚み部分が収まるようになっている。扉2の前面には、指を掛けるために適した形状の固定の把手22が設けてある。この把手22はレバーのような可動部を有さず、係わり合い部21とは切り離されていて、ラッチ操作等に用いるたぐいのものではない。
【0026】
係わり合い部21は、扉2の反吊元側の縁部2bの近傍における裏面より後方に向けて突出した状態で上下可動に設けられた鎌状のものであり、被係わり合い部11は、筐体1に形成された前記段部12aの内奥に位置する当たり面12xにおいて係わり合い部21の対応位置に設けたスリット状のものである。鎌状の係わり合い部21は、スチール等で作られた概略L字板状のもので、先端が下向きに屈曲する爪部21xをなしている。
【0027】
そして、扉2の裏面に設けたレール部材24のレール24aに上下動可能にスライダ23を配置し、このスライダ23に前記係わり合い部21を接続部23aを介して一体的に取り付けるとともに、このスライダ23に、ダイヤル錠3の一端側から突出したレバー31を関連部5を介して接続している。
【0028】
ダイヤル錠3は、前述したレバー31の基端側をケーシング30の内部に設定した支点nの回りに回転可能に支持させたもので、前記関連部5はレバー31の回転とスライダ23の上下動作とを連動させるものである。レバー31は、支点nから変位した部位が下方に向けてバネ32により付勢されており、ダイヤル錠3は照合時にレバー31を略水平な上方回動位置に保持し、非照合時にその保持力を解除する機能を備えている。保持力を解除されたレバー31は、バネ32により下方回動位置に移動する。
【0029】
そして、図2に示すように、ダイヤル錠3のケーシング30から作動体4を突出させ、さらに扉2の吊元側の縁部2aから作動体4を突出させている。この作動体4は、図5等に示すように、基端がケーシング30の内部においてバネ30aで一方向(図中左方向)へ突出する方向に付勢されているもので、先端を他方向に押し込まれるとケーシング30内に没入する方向に移動し、押し込み力を解除すると一方向に移動してケーシング30からの突出量(扉2の吊元側の縁部2aからの突出量)が増大するものである。
【0030】
この作動体4は、図4に示すように、先端を筐体1の内壁1xの適宜部位に臨んで配置され、図4(a)→(b)→(c)に示すように扉2が閉止動作を行った際に、作動体4は筐体1の内壁1xに突き当たってその反力でケーシング30内(扉2の吊元側の縁部2a側)へ没入する方向に押し込まれ、逆に図4(c)→(b)→(a)に示すように扉2が開成動作を行った際に筐体1の内壁1xから遠ざかって扉2の縁部2aから後方への突出量を増大させる。作動体4は、複数の部品を組み合わせて構成してもよいし、突出方向の動作を与えるバネはダイヤル錠3の外部にあっても構わない。
【0031】
ダイヤル錠3は、上記作動体4の動作において、当該作動体4がケーシング30内に没入する際にはダイヤル錠3のダイヤル状態に影響を及ぼさず、ケーシング30から突出する際にはダイヤル錠3のダイヤルをゼロリセットすべく構成されている。前記作動体4と連動して、ゼロリセットを含めてダイヤルの非照合時には反対側から突出するレバー31に対する保持力が解除されてバネ32により下方回動位置に移動し、照合時にレバー31を水平な上方回動位置に回転させて保持するのは既述したところである。ダイヤル錠3のリセット構造等については種々のものが既に知られているところであるため、内部構造の説明は省略している。
【0032】
すなわち、扉2が図5(a)に示す閉止位置にあるときは、作動体4が筐体1の内壁1aにより押し込まれて没入位置にある。このときダイヤル錠3が非照合状態にあれば、レバー31の保持力が解除され、レバー31はバネ32に付勢されて下方回動位置に移動して、係わり合い部21が被係わり合い部11に係わり合う施錠位置にある。次に、ダイヤル錠3を照合させると、レバー31がダイヤル錠3の機能により図5(b)に矢印で示すように上方回動位置に移動してその位置に保持され、係わり合い部21は被係わり合い部11との係わり合いを解除する解錠位置(上昇位置)に移動する。このため、扉2が開放可能な状態となる。扉2には図1に示したように固定の把手22が設けてあるため、把手22を引くだけで扉2が開放される。扉2が開き始めると、図4(c)→(b)→(a)のように没入位置にあった作動体4が扉2の吊元側に向かって突出し、これにより、ダイヤル錠3はゼロリセットされる。このゼロリセットのときに、レバー31の保持力が解除されて、図6(a)に矢印で示すようにバネ32により下方回動位置まで回動し、スライダ23を介して係わり合い部21が下降して施錠位置に移動する。扉2を閉止するときは、図6(b)に矢印で示すように筐体1の内壁1aにより作動板4が押し込まれてリセット待機位置に向かう。このとき係合部21は施錠位置にあるため、そのまま閉止位置に向かうと被係わり合い部11の開口縁と干渉するが、係わり合い部21は保持力を解除されてバネ32により施錠位置にあるだけであるため、係わり合い部21が一時的に被係わり合い部11との干渉を回避するためにバネ32の弾性に抗して同図中矢印で示すように被係わり合い部11の開口縁に乗り上げ、乗り越えた位置で再びバネ32により下方に移動して、図5(a)の施錠位置に復帰する。このとき係わり合い部21の爪部21aが被係わり合い部11の開口周辺の裏面に係わり合い、ダイヤル錠3はゼロリセット状態を維持する。
【0033】
以上のように、本実施形態の施解錠装置は、筐体1およびこの筐体1の開口を開閉する開閉部材たる扉2と、前記扉2に設けられるダイヤル錠3、作動体4および係わり合い部21と、前記筐体1に設けられる被係わり合い部11とを具備し、これら係わり合い部21と被係わり合い部11とを係わり合わせることによって前記扉2を閉止位置に保持するものである。そして、前記係わり合い部11を鎌状に突出させて被係わり合い部21にこれを受容させる関係に設定し、作動体4を、扉2の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成し、ダイヤル錠3を、作動体4の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体4に関連づけ、係わり合い部21を、前記扉2の閉止時においてダイヤル錠3が非照合状態にあるときに被係わり合い部11に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠3が照合された際に前記被係わり合い部11との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように当該ダイヤル錠3に関連づけたものである。そして、前記係わり合い部21を、前記扉2が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部11に係わり合うように構成したものである。
【0034】
このように構成すると、鎌状の係わり合い部21を有する適用対象、例えばロッカー等に適用した場合に、ダイヤル錠3の照合後に扉2がフリーになり、しかも筐体1から離れる動作を利用して作動体4を作動させ、これによりダイヤル錠3を非照合状態にリセットするとともに、扉2を閉止するだけで施錠がなされるので、ダイヤル錠3をリセットのための別段の操作や、閉止位置における扉2の施錠操作等を不要にして、極力少ない手順で利用に供することができる。しかも、作動体4は扉2側にのみ付帯させて設けておけばよいので、扉2の開閉動作を利用しつつも、扉2と筐体1との間に亘ってリンク等を配置するような複雑かつ収納空間を妨げるような構造も有効に回避することが可能となる。
【0035】
具体的には、係わり合い部21を、ダイヤル錠3の照合後に非照合状態にリセットされることにより施錠位置に弾性的に移行させ、扉2が閉止位置に至る直前で被係わり合い部11を構成する開口の開口縁に突き当たることにより弾性力に抗して一時的に干渉回避動作を行った後に被係わり合い部11に係わり合わせる構造にしているため、扉2を閉めるだけで自動的に施錠状態となる構成を有効に実現することができる。
【0036】
特に、本実施形態の係わり合い部21は、閉止位置にある扉2の開閉方向(厚み方向)に沿って延び、先端に下方へ屈曲した爪部21xを有するものであり、閉止方向の内奥に位置する被係わり合い部11に係わり合うものであるため、上記の係わり合構造を適用することで係わり合い部21と被係わり合い部11とを扉2の開閉方向に確実に係わり合わせて閉止状態を実現することができる。
【0037】
また、扉2はダイヤル錠3の照合に伴い係わり合い部21が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記扉2に設けられている。すなわち、ダイヤル錠3の照合時に扉2がフリーになると、あとは固定の把手を引くだけであるので、開放操作が極めて簡単なものになる。
【0038】
特に、ダイヤル錠3および作動体4が扉2側に設けられ、作動体4が筐体1の一部に突き当たって押し込まれるように構成されているので、ダイヤル錠3の照合操作と開閉部材を開く操作とを一連の動作によって行うことができる。しかも、作動体4の押し込み操作を筐体1の一部を利用して行うため、扉2と作動体4との連動状態を簡単かつ確実に実現することができる。
【0039】
さらに、作動体4が扉2を開放する方向に弾性的に押し付けられているので、ダイヤル照合後の扉2の開放動作を弾性力によって補助することができ、また、閉止位置で扉2に弾性力が働くため、係わり合い部21と被係わり合い部11との係合状態をガタつきのない確実なものにすることが可能となる。
【0040】
そして、本実施形態の施解錠装置Aを扉2と筐体1との間に適用すれば、安価にロッカー等の収納家具Aを構成することができて、私物等の出し入れを迅速、安全、平易に行うことを可能にして使い勝手を有効に向上させることができる。
<第2実施形態>
【0041】
次に、本発明の第2実施形態を、図7〜図10を参照して説明する。
【0042】
図7及び図8は、本実施形態の施解錠装置Cを適用した収納装置Dを示している。この収納装置Dは、基本的に前記実施形態と同様に、筐体101の収納空間を開閉する位置に開閉部材である扉102を配置し、これらの扉102と筐体101との間に施解錠装置Cを適用している。施解錠装置Cは、扉102に係わり合い部121およびダイヤル錠103を組み込み、筐体101側に被係わり合い部111を設けて、扉102を押し込むだけで係わり合い部121を被係わり合い部111に係わり合わせて施錠状態にすることにより扉102を筐体101に対する閉止位置にロック状態で保持し、扉102に設けたダイヤル錠103を照合させることにより係わり合い部121と被係わり合い部111との係わり合いを解除して扉102を開放可能にし、その後の扉102の開放動作を利用してダイヤル錠103の照合状態をリセットする点で上記実施形態と基本的に同じ機能を有するものである。
【0043】
具体的に説明すると、扉102は、筐体101の側板112にヒンジ機構Hを介して吊元側の縁部102aを開閉可能に支持され、反吊元側の縁部102bを筐体102の段部112aに形成した当たり面112xに突き当てて閉止する点で上記実施形態と同様である。この扉102にも、指を掛けるために適した形状の固定の把手(図示省略)が前面側に設けてある。この把手もレバーのような可動部を有さず、係わり合い部121とは切り離されていて、ラッチ操作等に用いるたぐいのものではない。
【0044】
係わり合い部121は、扉102の反吊元側の縁部102bから外側方すなわち扉102の面板に沿った方向に向けて突出した状態で上下可動に設けられた鎌状のものであり、被係わり合い部111は、扉102が前記段部112aの内奥に位置する当たり面112xに突き当たった際に係わり合い部121が突出する方向の側板112の内面に形成されたスリット状のものである。鎌状の係わり合い部121は、スチール等で作られた概略L字板状のもので、先端が上向きに屈曲する爪部121xをなしている。
【0045】
そして、扉102の裏面に設けたレール部材124に上下動可能にスライダ123を配置するとともに、前記係わり合い部121の中間部を支点mを介して扉102に回転可能に支持させて、当該係わり合い部121の基端部を前記スライダ123にピンと長孔の関係等からなる第1の連動部105aを介して接続し、係わり合い部121の回転動作とスライダ123の上下動作とを関連づけている。
【0046】
ダイヤル錠103は、前述したレバー131の基端側をケーシング130の内部に設定した支点nの回りに回転可能に支持させたもので、先端側において第2の連動部105bを介してスライダ123に接続し、レバー131の回転動作とスライダ123の上下動作とを関連づけている。すなわち、レバー131の上下の回転動作は、スライダ123の上下のスライド動作に連動し、さらに前記レバー131と逆方向の係わり合い部121の上下の回転動作に連動するものとなっている。レバー131は、支点nから変位した部位が下方に向けてバネ132により付勢されており、ダイヤル錠103は照合時にレバー131を略水平位置に保持し、非照合時にその保持力を解除する機能を有している。保持力を解除されたレバー131は、バネ132により下方回動位置に移動する。
【0047】
そして本実施形態も、扉102の吊元側の縁部102aに向かってケーシング130から作動体104を突出させている。この作動体104も、図9等に示すように、基端がケーシング130の内部においてバネ130aで突出方向に付勢されているもので、先端を他方向に押し込まれるとケーシング130内に没入する方向に移動し、押し込み力を解除すると一方向に移動してケーシング130からの突出量(扉102の吊元側の縁部102aからの突出量)を増大させるものである。
【0048】
この作動体104は、ダイヤル錠103の内部に一部が挿入されている第1の作動杆104aと、この第1の作動杆104aの端部に接続されて扉102の吊元側の縁部102aから突没する第2の作動杆104bとから構成されている。筐体102の内壁との関係は図4に基づいて説明したと同様である。この作動体104に突出方向の動作を与えるバネはダイヤル錠3の外部にあっても構わない。さらに、前記レバー131及び前記スライダ123の下方には、当該レバー131の下方回動位置およびスライダ123の下方へのスライド位置を規制する規制部160aが設けてある。この規制部160aは、一端を前記作動体104とともに移動する可動軸pに接続され、他端側に設けた長孔160bに扉102の裏面より突出する固定軸sを挿し通された規制リンク160のその端部に設定されたもので、両軸p、sはほぼ同じ高さに設定され、前記長孔160bは両軸p、sを結ぶ線に対して傾斜している。そして、作動体104が図10(a)に示す突出位置から図10(b)に示す没入方向に移動するときに、規制部160aが次第にその位置を降下させるように構成している。
【0049】
ダイヤル錠103は、上記作動体104の動作において、当該作動体104がケーシング130内に没入する際にはダイヤル錠103のダイヤル状態に影響を及ぼさず、ケーシング130から突出する際にはダイヤル錠103のダイヤルをゼロリセットすべく構成されている。前記作動体104と連動して、ゼロリセットを含めてダイヤルの非照合時には反対側から突出するレバー131に対する保持力が解除されてバネ132により下方回動位置に移動し、照合時にこれを水平姿勢に向けて回転させて回転先に保持するのは既述したところである。
【0050】
すなわち、扉102が図9(a)に示す閉止位置にあるときは、作動体104が筐体101の内壁により押し込まれて没入位置にある。このときダイヤル錠103が非照合状態にあれば、レバー131の保持力が解除され、レバー131はバネ132に付勢されて下方回動位置にあり、このときスライダ123を介して係わり合い部121を逆に上方回動位置である施錠位置(上昇位置)に保持する。次に、ダイヤル錠103を照合させると、ダイヤル錠103の機能によりレバー131が図9(b)に矢印で示すように上方回動位置に移動してその位置に保持され、スライダ123が上昇して、係わり合い部121が逆に被係わり合い部111との係わり合いを解除する解錠位置(下降位置)に移動する。このため、扉102が開放可能な状態となる。扉102には固定の把手が設けてあるため、把手を引くだけで扉102が開放される。扉102が開き始めると、図4(c)→(b)→(a)と同様にして没入位置にあった作動体104が図10(a)に矢印で示すように扉102の吊元側に向かって突出し、これにより、ダイヤル錠103はゼロリセットされる。このゼロリセットのときに、レバー131の保持力が解除されて、レバー131はバネ132により図9(a)の下方回動位置に回動しようとする。しかしながら、規制リンク160の規制部160aがスライダ123を下支えするため、レバー131は直ぐには下方に回動せず、スライダ123を介して係わり合い部121が下方回動位置である解錠位置に保持された状態を維持する。そして、扉102を閉止方向に移動させるに伴い図10(b)に矢印で示すように作動体104が押し込まれると、規制リンク160の規制部160aが次第にレバー131を下支えする位置を降下させる。そして、扉102が閉止位置に至る直前、すなわち係わり合い部121が被係わり合い部111の側方隣接位置に到来した時点で、レバー131が図10(b)に示すように扉102の反吊元側の縁部102bから突出して上方へ回動し、最終的に図9(a)に示す略水平な上方回動位置近傍に達したときにスライダ123を介して係わり合い部121が扉102の反吊元側の縁部102bより突出して被係わり合い部111に係わり合い、施錠状態となる。このときダイヤル錠103のダイヤルはゼロリセット状態を維持する。
【0051】
以上のように、本実施形態の施解錠装置Cは、筐体101およびこの筐体101の開口を開閉する開閉部材たる扉102と、前記扉102に設けられるダイヤル錠103、作動体104および係わり合い部121と、前記筐体101に設けられる被係わり合い部111とを具備し、これら係わり合い部121と被係わり合い部111とを係わり合わせることによって前記扉102を閉止位置に保持するものである。そして、前記係わり合い部111を鎌状に突出させて被係わり合い部121にこれを受容させる関係に設定し、作動体104を、扉102の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成し、ダイヤル錠103を、作動体104の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体104に関連づけ、係わり合い部121を、前記扉102の閉止時においてダイヤル錠103が非照合状態にあるときに被係わり合い部111に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠103が照合された際に前記被係わり合い部111との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように当該ダイヤル錠103に関連づけたものである。そして、前記係わり合い部121を、前記扉102が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部111に係わり合うように構成したものである。
【0052】
このように構成すると、鎌状の係わり合い部121を有する適用対象、例えばロッカー等に適用した場合に、ダイヤル錠103の照合後に扉102がフリーになり、しかも筐体101から離れる動作を利用して作動体104を作動させ、これによりダイヤル錠103を非照合状態にリセットするとともに、扉102を閉止するだけで施錠がなされるので、ダイヤル錠103をリセットのための別段の操作や、閉止位置における扉102の施錠操作等を不要にして、極力少ない手順で利用に供することができる。しかも、作動体104は扉102側にのみ付帯させて設けておけばよいので、扉102の開閉動作を利用しつつも、扉102と筐体1との間に亘ってリンク等を配置するような複雑かつ収納空間を妨げるような構造も有効に回避することが可能となる。
【0053】
具体的には、係わり合い部121をダイヤル錠103の照合時に解錠位置に保持させ、扉102が閉止位置に向かう際に作動体104が他方向に作動する動作を利用して係わり合い部121を被係わり合い部111との干渉を回避しつつ当該被係わり合い部111に係わり合う施錠位置に移動させる構造にしているため、扉102を閉めるだけで自動的に施錠状態となる構成を有効に実現することができる。
【0054】
特に、本実施形態の係わり合い部121は、閉止位置にある扉102の開閉方向と直交する方向に沿って延び、先端に上方へ屈曲した爪部121xを有するものであり、閉止位置の側方に位置する被係わり合い部111に係わり合うものであるため、上記の係わり合い構造を適用することで係わり合い部121と被係わり合い部111とを扉102の開閉方向と直交する方向に確実に係わり合わせて閉止状態を実現することができる。
【0055】
また、この実施形態においても、扉102はダイヤル錠103の照合に伴い係わり合い部121が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記扉102に設けられている。すなわち、ダイヤル錠103の照合時に扉102がフリーになると、あとは固定の把手を引くだけであるので、開放操作が極めて簡単なものになる。
【0056】
特に、ダイヤル錠103および作動体104が筐体101側に設けられ、作動体104が扉102の一部に突き当たって押し込まれるように構成されているので、扉102側を極力シンプルに構成することができる。しかも、作動体104の押し込み操作を扉102の一部を利用して行うため、扉102と作動体104との連動状態を簡単かつ確実に実現することができる。
【0057】
さらに、作動体104が扉102を開放する方向に弾性的に押し付けられていることにより開放動作の円滑性や係わり合い部121と被係わり合い部111との適切な係合状態につながる点や、このような施錠装置Cを扉102と筐体101との間に適用して収納家具Aとすることで、安価に構成できて使い勝手を有効に向上させることができる点なども、上記実施形態と同様である。
【0058】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記実施形態では作動体およびダイヤル錠を開閉部材である扉側に設けたが、ダイヤル錠および作動体を筐体側に設けられ、作動体が開閉部材である扉の一部に突き当たって押し込まれるように構成してもよい。
【0060】
また、図11に示すように、扉202の反吊元側の縁部若しくは縁部近傍の裏面に作動体204を設け、その対面位置にある筐体201の前面201xで作動体204を押し込むように構成することもできる。勿論、この場合にも作動体204を筐体201側に設けて扉202で押し込むように構成してもよい。
【0061】
さらに、本発明の適用対象である開閉部材は扉に限らず、例えば図12に示すような引出とすることもできる。この場合、筐体301およびこの筐体301の開口を開閉する開閉部材たる引出302と、前記引出302に設けられるダイヤル錠303、作動体304および係わり合い部321と、前記筐体301に設けられる被係わり合い部311とを具備し、これら係わり合い部321と被係わり合い部311とを上記第1実施形態の図5及び図6と同様に係わり合わせることによって前記引出302を閉止位置に保持するものである。そして、前記係わり合い部311を鎌状に突出させて被係わり合い部321にこれを受容させる関係に設定し、作動体304を、引出302の開放動作に伴って同図(d)→(c)→(b)→(a)に示すように一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って(a)→(b)→(c)→(d)に示すように他方向に移動するように構成し、ダイヤル錠303を、作動体304の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体304に関連づけ、係わり合い部321を、前記引出302の閉止時においてダイヤル錠303が非照合状態にあるときに被係わり合い部311に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠303が照合された際に前記被係わり合い部311との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように当該ダイヤル錠303に関連づけたものである。そして、前記係わり合い部321を、前記引出302が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部311に係わり合うように構成したものである。このように構成しても、上記実施形態と全く同様の作用効果が奏される。
【0062】
勿論、係わり合い部は開閉部材である開閉方向と直交する方向に延びて被係わり合い部に係わり合う上記第2実施形態のタイプとして構成することも可能である。
【0063】
さらに、開閉方向と直交する方向に突出する鎌状の係わり合い部の態様には、先端が爪状をなしていない閂状のものも含まれる。
【0064】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
A…施解錠装置
B…収納家具
C…施解錠装置
D…収納家具
1、101…筐体
2、102…開閉部材(扉)
3、103…ダイヤル錠
4、104…作動体
11、111…被係わり合い部
21、121…係わり合い部
21x、121x…爪部
22…把手
【技術分野】
【0001】
本発明は、係わり合い部または被係わり合い部の何れかが鎌状をなし他方がこれを受容する関係にある場合に、これらをダイヤル錠と適切に関連づけて、引出や扉などの開閉部材の施解錠を簡易な構造、簡単な操作を通じて適切に行い得るようにした施解錠装置及びこれを適用した収納家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のダイヤル錠装置は、ラッチを備えた扉等に付随して設けられ、ダイヤル錠を照合させることでラッチを操作し得ないように拘束し、扉等を開ける際にはラッチの拘束を解除するように構成されるのが一般的である。
【0003】
そのための具体的な操作としては、ダイヤルを照合させて扉を開けた後には再びラッチを拘束する状態に戻す必要があることを踏まえると、ダイヤルを照合させて摘みを回すことにより解錠して把手を引くようにした旧来のものを始め、特許文献1に示されるようにダイヤルを照合させてから摘みを回して、解錠とゼロリセットを行うようにしたもの等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−60544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような構造であると、扉等を開ける際にはダイヤルを照合させる操作と摘みを回す操作の少なくとも2段階の操作が必要になる。このため、煩わしく、また扉等を閉める際には再びダイヤルのリセットやラッチによる拘束のための操作をしなければならないため、更に操作の煩雑なものとなっている。また、前者のものは、扉等が開いた状態でダイヤルが揃っているため、周囲の者に視認されてセキュリティ上望ましくないという問題もある。さらに従来のものは、扉等を閉めた後にも、施錠のために摘みを回すようにしたり、扉等を閉めた後に施錠のために摘みを回し、さらに手動でダイヤルを別の番号に回すようにしているので、ここでも操作が煩雑なものとなっている。すなわち、従来のものは、扉等を解錠してから再び施錠するまでの手数が多く、使い勝手の煩雑なものである。
【0006】
本発明は、特に鎌状の係わり合い部や被係わり合い部を有するロッカー、金庫等において、これら係わり合い部や被係わり合い部とダイヤル錠等とを適切に関連づけて、扉、引出などの開閉部材の施解錠を簡易な構造、簡単な操作を通じて適切に行い得るようにした施解錠装置及びこれを適用した収納家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の施解錠装置は、筐体およびこの筐体の開口を開閉する開閉部材と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか一方に設けられるダイヤル錠、作動体および係わり合い部と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか他方に設けられる被係わり合い部とを具備し、これら係わり合い部と被係わり合い部とを係わり合わせることによって前記開閉部材を閉止位置に保持するものであって、前記係わり合い部および被係わり合い部は、何れか一方が鎌状に突出し他方がこれを受容する関係にあり、前記作動体は、前記開閉部材の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成され、前記ダイヤル錠は、前記作動体の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体に関連づけられ、前記係わり合い部は、前記開閉部材の閉止時においてダイヤル錠が非照合状態にあるときに被係わり合い部に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠が照合された際に前記被係わり合い部との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように少なくとも当該ダイヤル錠に関連づけられ、さらに前記係わり合い部は、前記開閉部材が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部に係わり合うように構成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、鎌状の係わり合い部や被係わり合い部とは、平面視概略L字板状部を有するもので、先端に鉤形の爪部が設けてあり、その爪部がスリット等の開口に挿入されて開口周辺の裏面に係わり合うようなものをいう。また、リセット待機状態とは、次に作動体が一方向に作動した際に再びダイヤル錠を非照合状態にリセットできるような待機状態をいう。
【0010】
このように構成すると、鎌状の係わり合い部や被係わり合い部を有する適用対象、例えばロッカー等に適用した場合に、ダイヤル錠の照合後に開閉部材がフリーになり、しかも筐体から離れる動作を利用して作動体が作動してダイヤルを非照合状態にリセットし、開閉部材を閉止するだけで施錠がなされるので、ダイヤル錠をリセットするための別段の操作や、閉止位置で開閉部材を施錠するための別段の操作等を不要にして、極力少ない手順に利用に供することができる。しかも、作動体は筐体又は開閉部材の何れか一方に設けておけばよいので、開閉部材の開閉動作を利用しつつも、両者間に亘ってリンク等を配置するような複雑かつ収納空間を妨げるような構造も有効に回避することが可能となる。
【0011】
開閉部材が閉止位置に移動する間に係わり合い部が自動的に施錠位置に移動して被係わり合い部に係わり合うための具体的な一態様としては、係わり合い部がダイヤル錠の照合後に非照合状態にリセットされることにより施錠位置に弾性的に移行し、開閉部材が閉止位置に至る直前で被係わり合い部に突き当たることにより弾性力に抗して一時的に干渉回避動作を行った後に被係わり合い部に係わり合うように構成しているものが挙げられる。
【0012】
このような構成は、特に係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方が、閉止位置にある開閉部材の開閉方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである場合に有効となる。
【0013】
また、開閉部材が閉止位置に移動する間に係わり合い部が自動的に施錠位置に移動して被係わり合い部に係わり合うための具体的な他の一態様としては、係わり合い部がダイヤル錠の照合時に解錠位置に保持され、開閉部材が閉止位置に向かう際に作動体が他方向に作動する動作を利用して係わり合い部を被係わり合い部との干渉を回避しつつ当該被係わり合い部に係わり合う施錠位置に移動するように構成しているものが挙げられる。
【0014】
このような構成は、係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方は、閉止位置にある開閉部材の開閉方向と直交する方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである場合に有効となる。
【0015】
ダイヤル錠の照合後に開閉部材の軽快な操作性を確保するためには、開閉部材が、ダイヤル錠の照合に伴い係わり合い部が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記開閉部材に設けられていることが望ましい。
【0016】
作動体を開閉部材に簡単、確実に連動させ、ダイヤル錠の照合操作と開閉部材を開ける操作とを一連の動作によって行うためには、ダイヤル錠および作動体が開閉部材側に設けられ、作動体が筐体の一部に突き当たって押し込まれるように構成されていることが好ましい。
【0017】
或いは、作動体を開閉部材に簡単、確実に連動させ、開閉部材側はシンプルに構成したい場合には、ダイヤル錠および作動体が筐体側に設けられ、作動体が開閉部材の一部に突き当たって押し込まれるように構成されていることが好ましい。
【0018】
開閉部材の開放動作を一層スムーズにするとともに、閉止時の開閉部材をガタつきのないものにするためには、作動体が開閉部材を開放する方向に弾性的に押し付けられていることが望ましい。
【0019】
本発明の施解錠装置は、以上のような構成であるから、この施解錠装置を開閉部材と筐体との間に適用して収納家具を構成することが極めて有用となり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明した構成であるから、何れか一方が鎌状をなす係わり合い部および被係わり合い部によって開閉部材を筐体に対して施解錠するものにおいて、ダイヤル錠を照合するだけで開閉部材を開放することができ、しかも別段の操作をすることなくダイヤル錠を再び非照合状態にリセットすることができ、さらに開閉部材を押し込むだけで閉止位置に施錠状態で保持することができる。このため、極力少ない操作手順で利用することができ、しかも鎌状をなす係わり合い部および被係わり合い部を前提とする場合の構造の簡素化やコストダウンを阻害せずに初期の目的を実現できるようにした、優れた施解錠装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る施解錠装置を適用した収納家具を閉扉状態で示す斜視図。
【図2】同収納家具を開扉状態で示す斜視図。
【図3】同収納家具を構成する扉の裏面を示す部分拡大斜視図。
【図4】同実施形態の施解錠装置を構成する作動体の動作説明図。
【図5】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図6】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る施解錠装置を適用した収納家具を閉扉状態で示す斜視図。
【図8】同収納家具を構成する扉の裏面を示す部分拡大斜視図。
【図9】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図10】同実施形態に係る施解錠装置の作用説明図。
【図11】本発明の変形例を示す図。
【図12】本発明の他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
【0023】
以下、本発明の第1実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
【0024】
図1〜図3は、本実施形態の施解錠装置Aを適用した収納装置Bを示している。この収納装置Bは、筐体1の収納空間を開閉する位置に開閉部材である扉2を配置し、これら扉2と筐体1との間に施解錠装置Aを適用している。この施解錠装置Aは、扉2に係わり合い部21およびダイヤル錠3を組み込み、筐体1側に被係わり合い部11を設けて、扉2を押し込むだけで係わり合い部21を被係わり合い部11に係わり合わせて施錠状態にすることにより扉2を筐体1に対する閉止位置にロック状態で保持し、扉2に設けたダイヤル錠3を照合させることにより係わり合い部21と被係わり合い部11との係わり合いを解除して扉2を開放可能にし、その後の扉2の開放動作を利用してダイヤル錠3の照合状態をリセットするものである。
【0025】
具体的に説明すると、扉2は、筐体1の側板12にヒンジ機構Hを介して吊元側の縁部2aを開閉可能に支持されたもので、ヒンジHと反対側に位置する側板12の前面には前方に向かって凹となる段部12aが形成されており、扉2を閉止する際に、その凹となる段部12a内に扉2の反吊元側の縁部2bの厚み部分が収まるようになっている。扉2の前面には、指を掛けるために適した形状の固定の把手22が設けてある。この把手22はレバーのような可動部を有さず、係わり合い部21とは切り離されていて、ラッチ操作等に用いるたぐいのものではない。
【0026】
係わり合い部21は、扉2の反吊元側の縁部2bの近傍における裏面より後方に向けて突出した状態で上下可動に設けられた鎌状のものであり、被係わり合い部11は、筐体1に形成された前記段部12aの内奥に位置する当たり面12xにおいて係わり合い部21の対応位置に設けたスリット状のものである。鎌状の係わり合い部21は、スチール等で作られた概略L字板状のもので、先端が下向きに屈曲する爪部21xをなしている。
【0027】
そして、扉2の裏面に設けたレール部材24のレール24aに上下動可能にスライダ23を配置し、このスライダ23に前記係わり合い部21を接続部23aを介して一体的に取り付けるとともに、このスライダ23に、ダイヤル錠3の一端側から突出したレバー31を関連部5を介して接続している。
【0028】
ダイヤル錠3は、前述したレバー31の基端側をケーシング30の内部に設定した支点nの回りに回転可能に支持させたもので、前記関連部5はレバー31の回転とスライダ23の上下動作とを連動させるものである。レバー31は、支点nから変位した部位が下方に向けてバネ32により付勢されており、ダイヤル錠3は照合時にレバー31を略水平な上方回動位置に保持し、非照合時にその保持力を解除する機能を備えている。保持力を解除されたレバー31は、バネ32により下方回動位置に移動する。
【0029】
そして、図2に示すように、ダイヤル錠3のケーシング30から作動体4を突出させ、さらに扉2の吊元側の縁部2aから作動体4を突出させている。この作動体4は、図5等に示すように、基端がケーシング30の内部においてバネ30aで一方向(図中左方向)へ突出する方向に付勢されているもので、先端を他方向に押し込まれるとケーシング30内に没入する方向に移動し、押し込み力を解除すると一方向に移動してケーシング30からの突出量(扉2の吊元側の縁部2aからの突出量)が増大するものである。
【0030】
この作動体4は、図4に示すように、先端を筐体1の内壁1xの適宜部位に臨んで配置され、図4(a)→(b)→(c)に示すように扉2が閉止動作を行った際に、作動体4は筐体1の内壁1xに突き当たってその反力でケーシング30内(扉2の吊元側の縁部2a側)へ没入する方向に押し込まれ、逆に図4(c)→(b)→(a)に示すように扉2が開成動作を行った際に筐体1の内壁1xから遠ざかって扉2の縁部2aから後方への突出量を増大させる。作動体4は、複数の部品を組み合わせて構成してもよいし、突出方向の動作を与えるバネはダイヤル錠3の外部にあっても構わない。
【0031】
ダイヤル錠3は、上記作動体4の動作において、当該作動体4がケーシング30内に没入する際にはダイヤル錠3のダイヤル状態に影響を及ぼさず、ケーシング30から突出する際にはダイヤル錠3のダイヤルをゼロリセットすべく構成されている。前記作動体4と連動して、ゼロリセットを含めてダイヤルの非照合時には反対側から突出するレバー31に対する保持力が解除されてバネ32により下方回動位置に移動し、照合時にレバー31を水平な上方回動位置に回転させて保持するのは既述したところである。ダイヤル錠3のリセット構造等については種々のものが既に知られているところであるため、内部構造の説明は省略している。
【0032】
すなわち、扉2が図5(a)に示す閉止位置にあるときは、作動体4が筐体1の内壁1aにより押し込まれて没入位置にある。このときダイヤル錠3が非照合状態にあれば、レバー31の保持力が解除され、レバー31はバネ32に付勢されて下方回動位置に移動して、係わり合い部21が被係わり合い部11に係わり合う施錠位置にある。次に、ダイヤル錠3を照合させると、レバー31がダイヤル錠3の機能により図5(b)に矢印で示すように上方回動位置に移動してその位置に保持され、係わり合い部21は被係わり合い部11との係わり合いを解除する解錠位置(上昇位置)に移動する。このため、扉2が開放可能な状態となる。扉2には図1に示したように固定の把手22が設けてあるため、把手22を引くだけで扉2が開放される。扉2が開き始めると、図4(c)→(b)→(a)のように没入位置にあった作動体4が扉2の吊元側に向かって突出し、これにより、ダイヤル錠3はゼロリセットされる。このゼロリセットのときに、レバー31の保持力が解除されて、図6(a)に矢印で示すようにバネ32により下方回動位置まで回動し、スライダ23を介して係わり合い部21が下降して施錠位置に移動する。扉2を閉止するときは、図6(b)に矢印で示すように筐体1の内壁1aにより作動板4が押し込まれてリセット待機位置に向かう。このとき係合部21は施錠位置にあるため、そのまま閉止位置に向かうと被係わり合い部11の開口縁と干渉するが、係わり合い部21は保持力を解除されてバネ32により施錠位置にあるだけであるため、係わり合い部21が一時的に被係わり合い部11との干渉を回避するためにバネ32の弾性に抗して同図中矢印で示すように被係わり合い部11の開口縁に乗り上げ、乗り越えた位置で再びバネ32により下方に移動して、図5(a)の施錠位置に復帰する。このとき係わり合い部21の爪部21aが被係わり合い部11の開口周辺の裏面に係わり合い、ダイヤル錠3はゼロリセット状態を維持する。
【0033】
以上のように、本実施形態の施解錠装置は、筐体1およびこの筐体1の開口を開閉する開閉部材たる扉2と、前記扉2に設けられるダイヤル錠3、作動体4および係わり合い部21と、前記筐体1に設けられる被係わり合い部11とを具備し、これら係わり合い部21と被係わり合い部11とを係わり合わせることによって前記扉2を閉止位置に保持するものである。そして、前記係わり合い部11を鎌状に突出させて被係わり合い部21にこれを受容させる関係に設定し、作動体4を、扉2の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成し、ダイヤル錠3を、作動体4の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体4に関連づけ、係わり合い部21を、前記扉2の閉止時においてダイヤル錠3が非照合状態にあるときに被係わり合い部11に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠3が照合された際に前記被係わり合い部11との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように当該ダイヤル錠3に関連づけたものである。そして、前記係わり合い部21を、前記扉2が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部11に係わり合うように構成したものである。
【0034】
このように構成すると、鎌状の係わり合い部21を有する適用対象、例えばロッカー等に適用した場合に、ダイヤル錠3の照合後に扉2がフリーになり、しかも筐体1から離れる動作を利用して作動体4を作動させ、これによりダイヤル錠3を非照合状態にリセットするとともに、扉2を閉止するだけで施錠がなされるので、ダイヤル錠3をリセットのための別段の操作や、閉止位置における扉2の施錠操作等を不要にして、極力少ない手順で利用に供することができる。しかも、作動体4は扉2側にのみ付帯させて設けておけばよいので、扉2の開閉動作を利用しつつも、扉2と筐体1との間に亘ってリンク等を配置するような複雑かつ収納空間を妨げるような構造も有効に回避することが可能となる。
【0035】
具体的には、係わり合い部21を、ダイヤル錠3の照合後に非照合状態にリセットされることにより施錠位置に弾性的に移行させ、扉2が閉止位置に至る直前で被係わり合い部11を構成する開口の開口縁に突き当たることにより弾性力に抗して一時的に干渉回避動作を行った後に被係わり合い部11に係わり合わせる構造にしているため、扉2を閉めるだけで自動的に施錠状態となる構成を有効に実現することができる。
【0036】
特に、本実施形態の係わり合い部21は、閉止位置にある扉2の開閉方向(厚み方向)に沿って延び、先端に下方へ屈曲した爪部21xを有するものであり、閉止方向の内奥に位置する被係わり合い部11に係わり合うものであるため、上記の係わり合構造を適用することで係わり合い部21と被係わり合い部11とを扉2の開閉方向に確実に係わり合わせて閉止状態を実現することができる。
【0037】
また、扉2はダイヤル錠3の照合に伴い係わり合い部21が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記扉2に設けられている。すなわち、ダイヤル錠3の照合時に扉2がフリーになると、あとは固定の把手を引くだけであるので、開放操作が極めて簡単なものになる。
【0038】
特に、ダイヤル錠3および作動体4が扉2側に設けられ、作動体4が筐体1の一部に突き当たって押し込まれるように構成されているので、ダイヤル錠3の照合操作と開閉部材を開く操作とを一連の動作によって行うことができる。しかも、作動体4の押し込み操作を筐体1の一部を利用して行うため、扉2と作動体4との連動状態を簡単かつ確実に実現することができる。
【0039】
さらに、作動体4が扉2を開放する方向に弾性的に押し付けられているので、ダイヤル照合後の扉2の開放動作を弾性力によって補助することができ、また、閉止位置で扉2に弾性力が働くため、係わり合い部21と被係わり合い部11との係合状態をガタつきのない確実なものにすることが可能となる。
【0040】
そして、本実施形態の施解錠装置Aを扉2と筐体1との間に適用すれば、安価にロッカー等の収納家具Aを構成することができて、私物等の出し入れを迅速、安全、平易に行うことを可能にして使い勝手を有効に向上させることができる。
<第2実施形態>
【0041】
次に、本発明の第2実施形態を、図7〜図10を参照して説明する。
【0042】
図7及び図8は、本実施形態の施解錠装置Cを適用した収納装置Dを示している。この収納装置Dは、基本的に前記実施形態と同様に、筐体101の収納空間を開閉する位置に開閉部材である扉102を配置し、これらの扉102と筐体101との間に施解錠装置Cを適用している。施解錠装置Cは、扉102に係わり合い部121およびダイヤル錠103を組み込み、筐体101側に被係わり合い部111を設けて、扉102を押し込むだけで係わり合い部121を被係わり合い部111に係わり合わせて施錠状態にすることにより扉102を筐体101に対する閉止位置にロック状態で保持し、扉102に設けたダイヤル錠103を照合させることにより係わり合い部121と被係わり合い部111との係わり合いを解除して扉102を開放可能にし、その後の扉102の開放動作を利用してダイヤル錠103の照合状態をリセットする点で上記実施形態と基本的に同じ機能を有するものである。
【0043】
具体的に説明すると、扉102は、筐体101の側板112にヒンジ機構Hを介して吊元側の縁部102aを開閉可能に支持され、反吊元側の縁部102bを筐体102の段部112aに形成した当たり面112xに突き当てて閉止する点で上記実施形態と同様である。この扉102にも、指を掛けるために適した形状の固定の把手(図示省略)が前面側に設けてある。この把手もレバーのような可動部を有さず、係わり合い部121とは切り離されていて、ラッチ操作等に用いるたぐいのものではない。
【0044】
係わり合い部121は、扉102の反吊元側の縁部102bから外側方すなわち扉102の面板に沿った方向に向けて突出した状態で上下可動に設けられた鎌状のものであり、被係わり合い部111は、扉102が前記段部112aの内奥に位置する当たり面112xに突き当たった際に係わり合い部121が突出する方向の側板112の内面に形成されたスリット状のものである。鎌状の係わり合い部121は、スチール等で作られた概略L字板状のもので、先端が上向きに屈曲する爪部121xをなしている。
【0045】
そして、扉102の裏面に設けたレール部材124に上下動可能にスライダ123を配置するとともに、前記係わり合い部121の中間部を支点mを介して扉102に回転可能に支持させて、当該係わり合い部121の基端部を前記スライダ123にピンと長孔の関係等からなる第1の連動部105aを介して接続し、係わり合い部121の回転動作とスライダ123の上下動作とを関連づけている。
【0046】
ダイヤル錠103は、前述したレバー131の基端側をケーシング130の内部に設定した支点nの回りに回転可能に支持させたもので、先端側において第2の連動部105bを介してスライダ123に接続し、レバー131の回転動作とスライダ123の上下動作とを関連づけている。すなわち、レバー131の上下の回転動作は、スライダ123の上下のスライド動作に連動し、さらに前記レバー131と逆方向の係わり合い部121の上下の回転動作に連動するものとなっている。レバー131は、支点nから変位した部位が下方に向けてバネ132により付勢されており、ダイヤル錠103は照合時にレバー131を略水平位置に保持し、非照合時にその保持力を解除する機能を有している。保持力を解除されたレバー131は、バネ132により下方回動位置に移動する。
【0047】
そして本実施形態も、扉102の吊元側の縁部102aに向かってケーシング130から作動体104を突出させている。この作動体104も、図9等に示すように、基端がケーシング130の内部においてバネ130aで突出方向に付勢されているもので、先端を他方向に押し込まれるとケーシング130内に没入する方向に移動し、押し込み力を解除すると一方向に移動してケーシング130からの突出量(扉102の吊元側の縁部102aからの突出量)を増大させるものである。
【0048】
この作動体104は、ダイヤル錠103の内部に一部が挿入されている第1の作動杆104aと、この第1の作動杆104aの端部に接続されて扉102の吊元側の縁部102aから突没する第2の作動杆104bとから構成されている。筐体102の内壁との関係は図4に基づいて説明したと同様である。この作動体104に突出方向の動作を与えるバネはダイヤル錠3の外部にあっても構わない。さらに、前記レバー131及び前記スライダ123の下方には、当該レバー131の下方回動位置およびスライダ123の下方へのスライド位置を規制する規制部160aが設けてある。この規制部160aは、一端を前記作動体104とともに移動する可動軸pに接続され、他端側に設けた長孔160bに扉102の裏面より突出する固定軸sを挿し通された規制リンク160のその端部に設定されたもので、両軸p、sはほぼ同じ高さに設定され、前記長孔160bは両軸p、sを結ぶ線に対して傾斜している。そして、作動体104が図10(a)に示す突出位置から図10(b)に示す没入方向に移動するときに、規制部160aが次第にその位置を降下させるように構成している。
【0049】
ダイヤル錠103は、上記作動体104の動作において、当該作動体104がケーシング130内に没入する際にはダイヤル錠103のダイヤル状態に影響を及ぼさず、ケーシング130から突出する際にはダイヤル錠103のダイヤルをゼロリセットすべく構成されている。前記作動体104と連動して、ゼロリセットを含めてダイヤルの非照合時には反対側から突出するレバー131に対する保持力が解除されてバネ132により下方回動位置に移動し、照合時にこれを水平姿勢に向けて回転させて回転先に保持するのは既述したところである。
【0050】
すなわち、扉102が図9(a)に示す閉止位置にあるときは、作動体104が筐体101の内壁により押し込まれて没入位置にある。このときダイヤル錠103が非照合状態にあれば、レバー131の保持力が解除され、レバー131はバネ132に付勢されて下方回動位置にあり、このときスライダ123を介して係わり合い部121を逆に上方回動位置である施錠位置(上昇位置)に保持する。次に、ダイヤル錠103を照合させると、ダイヤル錠103の機能によりレバー131が図9(b)に矢印で示すように上方回動位置に移動してその位置に保持され、スライダ123が上昇して、係わり合い部121が逆に被係わり合い部111との係わり合いを解除する解錠位置(下降位置)に移動する。このため、扉102が開放可能な状態となる。扉102には固定の把手が設けてあるため、把手を引くだけで扉102が開放される。扉102が開き始めると、図4(c)→(b)→(a)と同様にして没入位置にあった作動体104が図10(a)に矢印で示すように扉102の吊元側に向かって突出し、これにより、ダイヤル錠103はゼロリセットされる。このゼロリセットのときに、レバー131の保持力が解除されて、レバー131はバネ132により図9(a)の下方回動位置に回動しようとする。しかしながら、規制リンク160の規制部160aがスライダ123を下支えするため、レバー131は直ぐには下方に回動せず、スライダ123を介して係わり合い部121が下方回動位置である解錠位置に保持された状態を維持する。そして、扉102を閉止方向に移動させるに伴い図10(b)に矢印で示すように作動体104が押し込まれると、規制リンク160の規制部160aが次第にレバー131を下支えする位置を降下させる。そして、扉102が閉止位置に至る直前、すなわち係わり合い部121が被係わり合い部111の側方隣接位置に到来した時点で、レバー131が図10(b)に示すように扉102の反吊元側の縁部102bから突出して上方へ回動し、最終的に図9(a)に示す略水平な上方回動位置近傍に達したときにスライダ123を介して係わり合い部121が扉102の反吊元側の縁部102bより突出して被係わり合い部111に係わり合い、施錠状態となる。このときダイヤル錠103のダイヤルはゼロリセット状態を維持する。
【0051】
以上のように、本実施形態の施解錠装置Cは、筐体101およびこの筐体101の開口を開閉する開閉部材たる扉102と、前記扉102に設けられるダイヤル錠103、作動体104および係わり合い部121と、前記筐体101に設けられる被係わり合い部111とを具備し、これら係わり合い部121と被係わり合い部111とを係わり合わせることによって前記扉102を閉止位置に保持するものである。そして、前記係わり合い部111を鎌状に突出させて被係わり合い部121にこれを受容させる関係に設定し、作動体104を、扉102の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成し、ダイヤル錠103を、作動体104の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体104に関連づけ、係わり合い部121を、前記扉102の閉止時においてダイヤル錠103が非照合状態にあるときに被係わり合い部111に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠103が照合された際に前記被係わり合い部111との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように当該ダイヤル錠103に関連づけたものである。そして、前記係わり合い部121を、前記扉102が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部111に係わり合うように構成したものである。
【0052】
このように構成すると、鎌状の係わり合い部121を有する適用対象、例えばロッカー等に適用した場合に、ダイヤル錠103の照合後に扉102がフリーになり、しかも筐体101から離れる動作を利用して作動体104を作動させ、これによりダイヤル錠103を非照合状態にリセットするとともに、扉102を閉止するだけで施錠がなされるので、ダイヤル錠103をリセットのための別段の操作や、閉止位置における扉102の施錠操作等を不要にして、極力少ない手順で利用に供することができる。しかも、作動体104は扉102側にのみ付帯させて設けておけばよいので、扉102の開閉動作を利用しつつも、扉102と筐体1との間に亘ってリンク等を配置するような複雑かつ収納空間を妨げるような構造も有効に回避することが可能となる。
【0053】
具体的には、係わり合い部121をダイヤル錠103の照合時に解錠位置に保持させ、扉102が閉止位置に向かう際に作動体104が他方向に作動する動作を利用して係わり合い部121を被係わり合い部111との干渉を回避しつつ当該被係わり合い部111に係わり合う施錠位置に移動させる構造にしているため、扉102を閉めるだけで自動的に施錠状態となる構成を有効に実現することができる。
【0054】
特に、本実施形態の係わり合い部121は、閉止位置にある扉102の開閉方向と直交する方向に沿って延び、先端に上方へ屈曲した爪部121xを有するものであり、閉止位置の側方に位置する被係わり合い部111に係わり合うものであるため、上記の係わり合い構造を適用することで係わり合い部121と被係わり合い部111とを扉102の開閉方向と直交する方向に確実に係わり合わせて閉止状態を実現することができる。
【0055】
また、この実施形態においても、扉102はダイヤル錠103の照合に伴い係わり合い部121が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記扉102に設けられている。すなわち、ダイヤル錠103の照合時に扉102がフリーになると、あとは固定の把手を引くだけであるので、開放操作が極めて簡単なものになる。
【0056】
特に、ダイヤル錠103および作動体104が筐体101側に設けられ、作動体104が扉102の一部に突き当たって押し込まれるように構成されているので、扉102側を極力シンプルに構成することができる。しかも、作動体104の押し込み操作を扉102の一部を利用して行うため、扉102と作動体104との連動状態を簡単かつ確実に実現することができる。
【0057】
さらに、作動体104が扉102を開放する方向に弾性的に押し付けられていることにより開放動作の円滑性や係わり合い部121と被係わり合い部111との適切な係合状態につながる点や、このような施錠装置Cを扉102と筐体101との間に適用して収納家具Aとすることで、安価に構成できて使い勝手を有効に向上させることができる点なども、上記実施形態と同様である。
【0058】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記実施形態では作動体およびダイヤル錠を開閉部材である扉側に設けたが、ダイヤル錠および作動体を筐体側に設けられ、作動体が開閉部材である扉の一部に突き当たって押し込まれるように構成してもよい。
【0060】
また、図11に示すように、扉202の反吊元側の縁部若しくは縁部近傍の裏面に作動体204を設け、その対面位置にある筐体201の前面201xで作動体204を押し込むように構成することもできる。勿論、この場合にも作動体204を筐体201側に設けて扉202で押し込むように構成してもよい。
【0061】
さらに、本発明の適用対象である開閉部材は扉に限らず、例えば図12に示すような引出とすることもできる。この場合、筐体301およびこの筐体301の開口を開閉する開閉部材たる引出302と、前記引出302に設けられるダイヤル錠303、作動体304および係わり合い部321と、前記筐体301に設けられる被係わり合い部311とを具備し、これら係わり合い部321と被係わり合い部311とを上記第1実施形態の図5及び図6と同様に係わり合わせることによって前記引出302を閉止位置に保持するものである。そして、前記係わり合い部311を鎌状に突出させて被係わり合い部321にこれを受容させる関係に設定し、作動体304を、引出302の開放動作に伴って同図(d)→(c)→(b)→(a)に示すように一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って(a)→(b)→(c)→(d)に示すように他方向に移動するように構成し、ダイヤル錠303を、作動体304の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体304に関連づけ、係わり合い部321を、前記引出302の閉止時においてダイヤル錠303が非照合状態にあるときに被係わり合い部311に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠303が照合された際に前記被係わり合い部311との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように当該ダイヤル錠303に関連づけたものである。そして、前記係わり合い部321を、前記引出302が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部311に係わり合うように構成したものである。このように構成しても、上記実施形態と全く同様の作用効果が奏される。
【0062】
勿論、係わり合い部は開閉部材である開閉方向と直交する方向に延びて被係わり合い部に係わり合う上記第2実施形態のタイプとして構成することも可能である。
【0063】
さらに、開閉方向と直交する方向に突出する鎌状の係わり合い部の態様には、先端が爪状をなしていない閂状のものも含まれる。
【0064】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
A…施解錠装置
B…収納家具
C…施解錠装置
D…収納家具
1、101…筐体
2、102…開閉部材(扉)
3、103…ダイヤル錠
4、104…作動体
11、111…被係わり合い部
21、121…係わり合い部
21x、121x…爪部
22…把手
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体およびこの筐体の開口を開閉する開閉部材と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか一方に設けられるダイヤル錠、作動体および係わり合い部と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか他方に設けられる被係わり合い部とを具備し、これら係わり合い部と被係わり合い部とを係わり合わせることによって前記開閉部材を閉止位置に保持するものであって、
前記係わり合い部および被係わり合い部は、何れか一方が鎌状に突出し他方がこれを受容する関係にあり、
前記作動体は、前記開閉部材の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成され、
前記ダイヤル錠は、前記作動体の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体に関連づけられ、
前記係わり合い部は、前記開閉部材の閉止時においてダイヤル錠が非照合状態にあるときに被係わり合い部に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠が照合された際に前記被係わり合い部との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように少なくとも当該ダイヤル錠に関連づけられ、
さらに前記係わり合い部は、前記開閉部材が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部に係わり合うように構成されていることを特徴とする施解錠装置。
【請求項2】
係わり合い部はダイヤル錠の照合後に非照合状態にリセットされることにより施錠位置に弾性的に移行し、開閉部材が閉止位置に至る直前で被係わり合い部に突き当たることにより弾性力に抗して一時的に干渉回避動作を行った後に被係わり合い部に係わり合うものである請求項1記載の施解錠装置。
【請求項3】
係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方は、閉止位置にある開閉部材の開閉方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである請求項2記載の施解錠装置。
【請求項4】
係わり合い部はダイヤル錠の照合時に解錠位置に保持され、開閉部材が閉止位置に向かう際に作動体が他方向に作動する動作を利用して係わり合い部を被係わり合い部との干渉を回避しつつ当該被係わり合い部に係わり合う施錠位置に移動するものである請求項1記載の施解錠装置。
【請求項5】
係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方は、閉止位置にある開閉部材の開閉方向と直交する方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである請求項4記載の施解錠装置。
【請求項6】
開閉部材はダイヤル錠の照合に伴い係わり合い部が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記開閉部材に設けられている請求項1〜5何れかに記載の施解錠装置。
【請求項7】
ダイヤル錠および作動体が開閉部材側に設けられ、作動体が筐体の一部に突き当たって押し込まれるように構成されている請求項1〜6何れかに記載の施解錠装置。
【請求項8】
ダイヤル錠および作動体が筐体側に設けられ、作動体が開閉部材の一部に突き当たって押し込まれるように構成されている請求項1〜6何れかに記載の施解錠装置。
【請求項9】
作動体が開閉部材を開放する方向に弾性的に押し付けられている請求項7又は8何れかに記載の施解錠装置。
【請求項10】
請求項1〜9何れかに記載の施解錠装置を開閉部材と筐体との間に適用してなることを特徴とする収納家具。
【請求項1】
筐体およびこの筐体の開口を開閉する開閉部材と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか一方に設けられるダイヤル錠、作動体および係わり合い部と、前記筐体又は前記開閉部材の何れか他方に設けられる被係わり合い部とを具備し、これら係わり合い部と被係わり合い部とを係わり合わせることによって前記開閉部材を閉止位置に保持するものであって、
前記係わり合い部および被係わり合い部は、何れか一方が鎌状に突出し他方がこれを受容する関係にあり、
前記作動体は、前記開閉部材の開放動作に伴って一方向に移動するとともに、閉止動作に伴って他方向に移動するように構成され、
前記ダイヤル錠は、前記作動体の一方向の作動によって非照合状態にリセットされるとともに、他方向の作動によってリセット待機状態となるように当該作動体に関連づけられ、
前記係わり合い部は、前記開閉部材の閉止時においてダイヤル錠が非照合状態にあるときに被係わり合い部に係わり合う施錠位置に保持されるとともにダイヤル錠が照合された際に前記被係わり合い部との係わり合いを解除する解錠位置に移動するように少なくとも当該ダイヤル錠に関連づけられ、
さらに前記係わり合い部は、前記開閉部材が再び閉止位置に移動するまでの間に自動的に施錠位置に移動して前記被係わり合い部に係わり合うように構成されていることを特徴とする施解錠装置。
【請求項2】
係わり合い部はダイヤル錠の照合後に非照合状態にリセットされることにより施錠位置に弾性的に移行し、開閉部材が閉止位置に至る直前で被係わり合い部に突き当たることにより弾性力に抗して一時的に干渉回避動作を行った後に被係わり合い部に係わり合うものである請求項1記載の施解錠装置。
【請求項3】
係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方は、閉止位置にある開閉部材の開閉方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである請求項2記載の施解錠装置。
【請求項4】
係わり合い部はダイヤル錠の照合時に解錠位置に保持され、開閉部材が閉止位置に向かう際に作動体が他方向に作動する動作を利用して係わり合い部を被係わり合い部との干渉を回避しつつ当該被係わり合い部に係わり合う施錠位置に移動するものである請求項1記載の施解錠装置。
【請求項5】
係わり合い部又は被係わり合い部の何れか一方は、閉止位置にある開閉部材の開閉方向と直交する方向に沿って延び、先端に屈曲した爪部を有するものである請求項4記載の施解錠装置。
【請求項6】
開閉部材はダイヤル錠の照合に伴い係わり合い部が解錠位置に移動した段階でラッチ操作等を行うことなく開放可能な状態となるものであり、開放操作を行うための固定の把手が前記開閉部材に設けられている請求項1〜5何れかに記載の施解錠装置。
【請求項7】
ダイヤル錠および作動体が開閉部材側に設けられ、作動体が筐体の一部に突き当たって押し込まれるように構成されている請求項1〜6何れかに記載の施解錠装置。
【請求項8】
ダイヤル錠および作動体が筐体側に設けられ、作動体が開閉部材の一部に突き当たって押し込まれるように構成されている請求項1〜6何れかに記載の施解錠装置。
【請求項9】
作動体が開閉部材を開放する方向に弾性的に押し付けられている請求項7又は8何れかに記載の施解錠装置。
【請求項10】
請求項1〜9何れかに記載の施解錠装置を開閉部材と筐体との間に適用してなることを特徴とする収納家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−248839(P2010−248839A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101448(P2009−101448)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
[ Back to top ]