説明

施設園芸用温風暖房機

【課題】炉体の工夫により伝熱性能を高め、熱効率を高めた施設園芸用温風暖房機を提供する。
【解決手段】ケーシング101と、ケーシング内に横向きに配置され、一端にバーナ120のノズル部121を臨ませると共に、他端に燃焼ガスGを炉内壁面に沿って反転させる反転部112が形成された筒状の火炉120と、反転された燃焼ガスを火炉の一端寄りからケーシング内で火炉外へ上向きに導出させる第1煙室130と、第1煙室から火炉の他端側へ向け燃焼ガスを案内する第1煙管群140と、ケーシングの上面に取付けられ、送風により燃焼ガスとの間で熱交換を行わせる送風機150と、ケーシング内で第1煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第2煙室160と、ケーシング内で第2煙室から火炉の他端近くで下向きに燃焼ガスを案内する第2煙管群170と、ケーシング内で第2煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第3煙室180と、第3煙室から燃焼ガスをケーシング外へ排気させる煙突190を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設園芸ハウス内を温風で暖房する温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、この種の温風暖房機の炉体(熱交換部)は、製造コストの面より、一般的にワンパスタイプ(図7)が主流となっている(例えば、特許文献1、2参照)。温風暖房機によるハウス内加温は、ハウス内空気を送風機2によりケーシング1内に取り入れ、ハウス内空気とバーナ3による燃焼熱(燃焼ガス)を炉体(火炉4および煙管群5)により熱交換し、温風を吐出口6からダクトにより配風して暖房が行なわれる。燃焼ガスは煙突7より排気される。従来から、少ない燃料により効率の高い暖房機が求められてきたが、重油の価格高騰や環境政策などにより更なる効率化が求められてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−133610号公報
【特許文献2】特開2006−317043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暖房機の熱効率は、単位熱量当りの低位発熱量と排ガス損失熱量の相殺比率により算出されることから、排ガス損失熱量(煙突内の排ガス温度)が低い程、熱効率が向上する。しかしながら、施設園芸用の温風暖房機の耐久年数は通常10年以上を目標に設計されるため、金属疲労などを考慮すると、熱効率は90%が限界であり、それ以上の引き上げは困難であった。
【0005】
また、施設園芸の暖房用に使用される燃料は、価格、発熱量などによりA重油(JIS1種1号)が主流とされるが、A重油には1%弱の硫黄が含まれ、排ガス温度を下げすぎると、燃料に含まれる硫黄反応により硫酸が生成され(低温腐食)、金属を腐食させ、暖房機の耐久性を低下させるという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、炉体の工夫により伝熱性能を高め、もって熱効率を高めた施設園芸用温風暖房機を提供すること、また、排熱回収性能を高めて、熱効率をより高めた施設園芸用温風暖房機を提供すること、また、低温腐食性能に優れた施設園芸用温風暖房機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、
ケーシングと、ケーシング内に横向きに配置され、一端にバーナのノズル部を臨ませると共に、他端に燃焼ガスを炉内壁面に沿って反転させる反転部が形成された筒状の火炉と、反転された燃焼ガスを火炉の一端寄りからケーシング内で火炉外へ導出させる第1煙室と、第1煙室から火炉の他端側へ向けて燃焼ガスを案内する煙管群と、ケーシングに取付けられ、送風により燃焼ガスとの間で熱交換を行わせる送風機と、煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第2煙室と、第2煙室内の燃焼ガスを排気させる煙突を備えることを最も主要な特徴とする。
【0008】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機によると、火炉の燃焼室内でバーナにより燃焼される燃料は、燃焼する際輝炎を発し炉壁へ輻射により燃焼熱を伝達する。引き続き、燃焼ガスはバーナのノズル部の反対側に位置する反転部で炉内壁面に沿って反転し、炉内壁面をなめるように流れ、火炉内から第1煙室内へ誘導される。その際、炉壁に対しさらに燃焼ガス熱を伝達しながら流動する。従来のワンパスタイプ、ツーパスタイプの火炉に比べ、戻り燃焼ガスにより炉内壁面との接触時間を長く取ることができ、炉壁への伝熱量が増加する。すなわち、火炉内で燃焼ガスが戻る戻り燃焼方式(リバースリターン)を採用することにより、従来対比で伝熱性能を高めることができる。
【0009】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、前記反転部が、火炉の他端の端面から側周面にかけて滑らかに湾曲する内壁面形状を有することを第2の特徴とする。
【0010】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、前記煙管群の煙管内に、燃焼ガスをらせん状に案内するスクリュー板が配置されていることを第3の特徴とする。スクリュー板の配置により、煙管内を流れる燃焼ガスの拡散作用を助長させ、煙管の管壁との接触時間を長くとり、管壁への伝熱量が増加する。
【0011】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、ケーシング内で第2煙室と煙突との間に燃焼ガスの排熱を回収する排熱回収手段を備えることを第4の特徴とする。
【0012】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、排熱回収手段が、第2煙室から火炉の他端とケーシングの間の隙間を縦向きに延びる第2の煙管群と、第2の煙管群を縦向きに流れる燃焼ガスを集合させる第3煙室を備え、第3煙室に煙突の入口が接続されていることを第5の特徴とする。
【0013】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、前記第2の煙管群の煙管内に、燃焼ガスをらせん状に案内するスクリュー板が配置されていることを第6の特徴とする。スクリュー板の配置により、煙管内を流れる燃焼ガスの拡散作用を助長させ、煙管の管壁との接触時間を長くとり、管壁への伝熱量が増加する。これによって、排熱回収率が高まる。
【0014】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、前記第2の煙管群の各煙管が耐硫酸性材料から構成されていることを第7の特徴とする。排熱回収後の燃焼ガス温度の低下に伴う低温腐食に対する耐久性が向上する。
【0015】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、第3煙室内に煙突入口に向かう燃焼ガスを分散させる分散手段を備えることを第8の特徴とする。
【0016】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、第3煙室と煙突の間または煙突の途中に燃焼ガスの排気を誘引する排気誘引手段を備えることを第9の特徴とする。
【0017】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、排気誘引手段が、空気ファンと、煙突の入口付近に設けて空気ファンにより発生した空気流を煙突内に向くジェット流に変換する環状のノズル部を有することを第10の特徴とする。
【0018】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、
ケーシングと、ケーシング内に横向きに配置され、一端にバーナのノズル部を臨ませると共に、他端に燃焼ガスを炉内壁面に沿って反転させる反転部が形成された筒状の火炉と、反転された燃焼ガスを火炉の一端寄りからケーシング内で火炉外へ上向きに導出させる第1煙室と、第1煙室から火炉の他端側へ向けて燃焼ガスを案内する第1煙管群と、ケーシングの上面に取付けられ、送風により燃焼ガスとの間で熱交換を行わせる送風機と、ケーシング内で第1煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第2煙室と、ケーシング内で第2煙室から火炉の他端近くで下向きに燃焼ガスを案内する第2煙管群と、ケーシング内で第2煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第3煙室と、第3煙室から燃焼ガスをケーシング外へ排気させる煙突を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機によると、伝熱性能の向上により、ケーシング内に横向きに配置する火炉の大きさを小さくし、かつ、ケーシング内に、第1煙室から第3煙室に至る熱交換および排熱回収の機器をコンパクトに納めた、熱交換率の高い温風暖房機を実現できる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る施設園芸用温風暖房機によると、火炉の内壁面に沿って燃焼ガスを反転させることにより、火炉の伝熱性能を高め、もって熱交換効率を大幅に向上させることができるようになった。また、排熱回収手段を設けることにより、より一層の熱交換効率の向上図ることができる。
【0021】
さらに、本発明に係る施設園芸用温風暖房機によると、火炉をコンパクトにして、ケーシング内の空いた空間に排熱回収手段を縦に収めることができ、コンパクトで熱交換効率に優れた温風暖房機を実現できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る施設園芸用温風暖房機を示す断面図、
【図2】図1の温風暖房機のA−A線矢視断面、
【図3】バーナのノズル部を示す拡大断面図、
【図4】(A)は第2煙管群の配列を示す平面図、(B)は第2煙管群から第3煙室付近を示す断面図、(C)は(B)に示す第3煙室を正面から見た断面図、
【図5】排気誘引手段を示す側面図、
【図6】(A)は吐出部付近を示す側面図、(B)は吐出部における横断面図、
【図7】従来のワンパスタイプの施設園芸用温風暖房機を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための一実施形態を図1ないし図6を参照して説明する。図1において、100は施設園芸用温風暖房機である。
【0024】
施設園芸用温風暖房機100は、図1に示すように、ケーシング101内に横向きに円筒状の火炉110が配置され、火炉110の一端にはバーナ120のノズル部121が燃焼室111に臨む形で配置されている。火炉110の他端にはノズル部121と対向して燃焼ガスGを燃焼室111の炉内壁面に沿って反転させる反転部112が形成されている。
【0025】
この反転部112は、より具体的には、火炉110の他端側の端面110aにおける内壁面がノズル部121の中心線を中心とする凹状の湾曲面とされ、さらに同端面110aから火炉110の胴部110bの内周面にかけて滑らかに湾曲して接続する内壁面形状を有している。
【0026】
火炉110の一端寄りの上部には、ケーシング101内で、反転された燃焼ガスGを火炉110外へ上向きに導出させる開口部110cと、同開口部110cを覆い燃焼ガスGを一旦集合させる第1煙室130が設けられている。この第1煙室130には火炉110の上方で火炉110の他端へ向けて燃焼ガスGを案内する第1煙管群140が接続されている。図2に示すように、各煙管141は左右に多数本(図示例では計11本)、上下に2列または千鳥状に配列されている。各煙管141には、内部を通過する燃焼ガスGを管内壁面に沿ってらせん状に案内するスクリュー板142が挿入配置されている。
【0027】
バーナ120のノズル部121は、図3に示すように、ノズル本体121aの前方にディフューザ122が設けられ、ノズル本体121aを囲む外筒121bの先端にラッパ状のファンネル部123が形成されている。ファンネル部123は、外筒121bから続く拡径部123aと、拡径部123aから続く環状部123bと、環状部123bの終端から内側に屈曲する屈曲部123cが形成されている。
【0028】
ケーシング101の上面には、2箇所に吸気口101aが設けられるとともに、各吸気口101aに対応して、送風により燃焼ガスGとの間で熱交換を行わせる2台の送風機150,150が取付けられている。これらの送風機150は、送風ファン151の回転によりハウス内空気をケーシング101内に取り入れると共に、火炉110の燃焼室111内の燃焼熱および燃焼に伴って発生する燃焼ガスGが火炉110から第1煙管群140、後述する第2煙管群170から煙突190に排気される間、熱交換により温風を生成する。
【0029】
第1煙管群140の終端には、各煙管141内を流れる燃焼ガスGを集合させる第2煙室160が接続されている。同第2煙室160の下面には、ケーシング101内で、燃焼ガスGを下向きに案内し、燃焼ガスGの残留熱を回収する縦方向に延びる第2煙管群170が接続されている。この第2煙管群170は、燃焼ガスGの残留熱を回収するためのもので、火炉120の一端側の端面120aおよびケーシング101端面間の隙間空間Sに縦(垂直)方向に配置されている。
【0030】
図4(A)に示すように、各煙管171は左右に多数本(図示例では計11本)、前後に2列または千鳥状に配列されている。各煙管171には、前記煙管141同様に、内部を下向きに流れる燃焼ガスGをらせん状に案内するスクリュー板172が挿入配置されている。各煙管171は燃焼ガスGの凝縮による低温腐食を防止するため耐硫酸鋼(商品名:新日鐵株式会社製「S−TEN鋼」)が使用されている。なお、各煙管171の下部には凝縮水を排水する排水管を取付け、排水管からケーシング101外へ排水できるようになっている。
【0031】
第2煙管群170の終端には、ケーシング101内で、各煙管171内を流れる排熱回収後の燃焼ガスGを集合させる第3煙室180が接続されている。第3煙室180内には、図4(B)(C)に示すように、煙突190の入口に向かう燃焼ガスGを分散させる、すなわち、煙突190の入口に近い側の燃焼ガスGを煙突190の入口に遠い側に迂回させる分散板181が設けられている。
【0032】
第2煙管群170を下向きに流れる燃焼ガスGは、上向きと異なり、ガス抵抗が増す傾向にあり、抵抗の低い部分(煙突190の入口に近い部分)へ集中する流れが生じる。分散板181の存在により煙突190の入口に遠い燃焼ガスGも平均した流れとなり、バランスの良い熱交換、すなわちより効率的な排熱回収が可能である。
【0033】
第3煙室180の側面にはケーシング101外に延びる煙突190が接続されている。第3煙室180の出口と煙突190の入口の間には、燃焼ガスGを煙突190側に誘引する排ガス誘引器(排ガスブースター)200が設けられている。排ガス誘引器200は、第3煙室180の出口に接続された第1筒体201と、煙突190の入口に接続された第2筒体202との間に環状の噴出ノズル部203が形成されている。
【0034】
図5に示すように、噴出ノズル部203は、第1筒体201の先端部が次第に小径となる縮径部201aとされ、第2筒体202の後端部が次第に小径となる縮径部202aとされ、第1筒体201側の縮径部201aの先端が水平に延在する環状の水平部201bに形成され、第2筒体202の縮径部202aの先端が第1筒体201側の水平部201bの外側にあって、第1筒体201の縮径部201aの外面に沿って上向きに曲がる拡径部202bに形成されている。第2筒体202の後端部と第1筒体201の先端部との間には環状の隙間dが形成されている。
【0035】
環状の噴出ノズル部203を囲むように第1筒体201と第2筒体202の周囲には環状の通風室204が設けられている。環状の通風室204には側面に吸気口205aを開口するケーシング205A、205Bが取り付けられ、各ケーシング205A、205B内にはモータ206で回転駆動される2段式の吸込みファン(インペラ)が収容されている。
【0036】
かかる排ガス誘引器200は、モータ206により吸込みファンを回転駆動させると、ハウス内空気をケーシング205A、205Bから環状の通風室204内に誘引して、環状の噴出ノズル部203から煙突190の内部に向けて高速で噴出させ、これにより、第1筒体201および第2筒体202内部に負圧を発生させ、第3煙室180内の燃焼ガスGを煙突190へ向けて誘引するようになっている。
【0037】
煙突190の配列によっては、煙突190の局部抵抗により燃焼ガスGの引きの悪い(排気抵抗)場合が生じる。排ガス誘引器200により、煙突190の局部抵抗による損失をなくし、安定したバーナ燃焼を実現できる。また、噴出ノズル部203からの外気の吹き込みで燃焼ガスGが希釈化され、燃焼ガス温度が低下し、高所への排気筒設置工事も不要になるなどの煙突レス化も可能となる。
【0038】
ケーシング101の他端寄りの下面にはケーシング101内で生成された温風を吐出させる吐出室211を備える吐出部210が設けられ、この吐出部210の各側面には温風を吐出させる吐出口210aが形成されている。各吐出口210aには図示しないダクトが接続され、各ダクトを通じて施設園芸用ハウス内の全域に温風を行き渡らせるようになっている。
【0039】
吐出室211には、図6(A)(B)に示すように、ケーシング101内から下面の開口部を通して下向きに流出される温風を吐出室211内で拡散させる温風拡散板212が配置されている。この温風拡散板212はちょうど開口部の真下に水平姿勢に保持され、温風拡散板212の中央には開口部212aが設けられ、温風拡散板212の周囲と吐出室211の内周面との間に隙間dが設けられている。
【0040】
従来の温風暖房機により吐出される温風は混合部がほとんどない状態で配風されるため、通常5〜10℃程度の温度ばらつきがある。そこで、吐出室210内に温風拡散板212を配置することで、下向きに吐出室211内に流出する温風は、温風拡散板212中央の開口部212aと周囲の隙間dを流れることにより拡散が促進され、吐出室211内の混合が促進される。その結果、均一な温度(温度ばらつき3℃以内)の温風として各吐出口210aからそれぞれ吐出されるようになる。
【0041】
なお、図1中、符号220はハウス内に設置された温度センサ等に基づき、バーナ120、2台の送風機150、排ガス誘引器200の各運転を制御する制御部を示している。
【0042】
次に、上記構成の施設園芸用温風暖房機100の作用について説明する。まず、2台台の送風機150を運転し、バーナ120のノズル部121から燃焼室111内に噴霧した燃料を点火装置により着火して燃焼させると、燃焼熱が輻射により炉内壁に伝達されると共に、高温(約1700℃〜1900℃程度)の燃焼ガスGが前方の端面110aの炉内壁面に達し、そこから湾曲する炉内壁面および胴部110bの炉内周面をなめるように反転して反対側の開口部101bに向かい、その間、高温の燃焼ガスGが炉壁に熱を伝達し、開口部101bから第1煙室130内に上向きに入る。
【0043】
また、図3に示すように、ノズル部121のノズル本体121aから前方のディフューザ122を通して噴霧された燃料は、着火により火炎を前方に吹き出すが、このとき、ファンネル部123内でその中心および周囲に渦流Uを発生させ、発生した渦流Uが火炎を整流化する作用を発揮する。これにより、高温の燃焼ガスGが真っ直ぐ前方の炉内壁面に直進し、反転して炉壁に熱を効率よく伝達する。
【0044】
第1煙室130内に上向きに入った高温の燃焼ガスGは、横向きの第1煙管群140に入り、各煙管141内を通り、その間、高温の燃焼ガスGが管壁に熱を伝達しながら、第2煙室160に向かう。ここで、上方の2台の送風機150,150からケーシング101内に取り入れられたハウス内空気と、煙管141の管壁および火炉110の炉壁に伝達された熱との間で熱交換が行われ、熱交換により生成された温風がケーシング101内を通り、下部の吐出室211内へ向かう。
【0045】
火炉110内の反転部112により反転される燃焼ガスGの熱伝達効果と、第1煙管部140内に配置されたスクリュー板142による燃焼ガスGの拡散および熱伝達効果により、第1煙管部140の出口における燃焼ガスG温度を約60℃程度低下させる効果(熱効率3〜4%向上)が生じる。
【0046】
第2煙室160に入った燃焼ガスGは、下向きに第2煙管群170に入り、各煙管171内を下向きに流れ、その間、燃焼ガスGの残留熱を管壁に伝達しながら、第3煙室180に向かう。ここで、下方の吐出室211へ向かう前述の温風、すなわち熱交換により生成された温風が、第2煙管群170で回収された熱との間で再び熱交換されて、さらに加温され、加温された温風が下方の吐出室211へ向かう。
【0047】
第2煙管群170自身の排熱回収効果と、各煙管171内に配置されたスクリュー板172による燃焼ガスGの拡散および熱伝達効果により、第2煙管部170の出口における燃焼ガスG温度をさらに約100℃程度低下させる効果(熱効率5%向上)が生じる。
【0048】
吐出室211に入った温風は、吐出口210aからダクトを通じてハウス内に配風されるが、従来では吐出温度差が通常5〜10℃程度あったが、吐出室211内の温風拡散板212の存在により吐出室211内の混合性能を上げ、吐出温度差を3℃以内に小さくすることができた。
【0049】
第2煙管群170を下向きに流れる燃焼ガスGは、排熱回収により凡そ150℃程度の排気温度となって第3煙室180に入り、分散板181による分散効果によって、略均等な流れとなり、煙突190の入口に向かう。煙突190の入口に設けられた排ガス誘引器200による排ガス誘引効果により、排熱回収された燃焼ガスGは、煙突190内に滞留することなく、速やかに排気される。これによって安定したバーナ燃焼となり、燃焼ガスの伝熱、熱交換、排熱回収、排気という一連の流れがスムーズに行われる。
【0050】
かくして、従来の温風暖房機の熱効率はせいぜい90%が限界であったのに対し、本実施形態の施設園芸用温風暖房機100によると、熱効率を95%まで高めることに成功した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る施設園芸用温風暖房機は、施設園芸ハウス内を温風で暖房する温風暖房機として幅広く利用できる。
【符号の説明】
【0052】
100 施設園芸用温風暖房機
101,205A,205B ケーシング
101a,205a 吸気口
101b,110c,212a 開口部
110 火炉
110a 端面
110b 胴部
111 燃焼室
112 反転部
120 バーナ
121 ノズル部
121a ノズル本体
121b 外筒
122 ディフューザ
123 ファンネル部
123a 拡径部
123b 環状部
123c 屈曲部
130 第1煙室
140 第1煙管群
141,171 煙管
142,172 スクリュー板
150 送風機
151,207 送風ファン
160 第2煙室
170 第2煙管群
180 第3煙室
181 分散板
190 煙突
200 排ガス誘引器(排ガス誘引手段)
201 第1筒体
201a,202a 縮径部
201b 水平部
202 第2筒体
202b 拡径部
203 噴出ノズル部
204 通風室
206 モータ
210 吐出部
211 吐出室
210a 吐出口
212 温風拡散板
220 制御部
,d 隙間
G 燃焼ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、ケーシング内に横向きに配置され、一端にバーナのノズル部を臨ませると共に、他端に燃焼ガスを炉内壁面に沿って反転させる反転部が形成された筒状の火炉と、反転された燃焼ガスを火炉の一端寄りからケーシング内で火炉外へ導出させる第1煙室と、第1煙室から火炉の他端側へ向けて燃焼ガスを案内する煙管群と、ケーシングに取付けられ、送風により燃焼ガスとの間で熱交換を行わせる送風機と、煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第2煙室と、第2煙室内の燃焼ガスを排気させる煙突を備えることを特徴とする、
施設園芸用温風暖房機。
【請求項2】
前記反転部が、火炉の他端の端面から側周面にかけて滑らかに湾曲する内壁面形状を有することを特徴とする請求項1記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項3】
前記煙管群の煙管内に、燃焼ガスをらせん状に案内するスクリュー板が配置されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項4】
ケーシング内で第2煙室と煙突との間に燃焼ガスの排熱を回収する排熱回収手段を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項5】
排熱回収手段が、第2煙室から火炉の他端とケーシングの間の隙間を縦向きに延びる第2の煙管群と、第2の煙管群を縦向きに流れる燃焼ガスを集合させる第3煙室を備え、第3煙室に煙突の入口が接続されていることを特徴とする、請求項4記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項6】
前記第2の煙管群の煙管内に、燃焼ガスをらせん状に案内するスクリュー板が配置されていることを特徴とする、請求項5記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項7】
前記第2の煙管群の各煙管が耐硫酸性材料から構成されていることを特徴とする、請求項5記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項8】
第3煙室内に煙突入口に向かう燃焼ガスを分散させる分散手段を備えることを特徴とする、請求項5記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項9】
第3煙室と煙突の間または煙突の途中に燃焼ガスの排気を誘引する排気誘引手段を備えることを特徴とする、請求項5記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項10】
排気誘引手段が、空気ファンと、煙突の入口付近に設けて空気ファンにより発生した空気流を煙突内に向くジェット流に変換する環状のノズル部を有することを特徴とする、請求項9記載の施設園芸用温風暖房機。
【請求項11】
ケーシングと、ケーシング内に横向きに配置され、一端にバーナのノズル部を臨ませると共に、他端に燃焼ガスを炉内壁面に沿って反転させる反転部が形成された筒状の火炉と、反転された燃焼ガスを火炉の一端寄りからケーシング内で火炉外へ上向きに導出させる第1煙室と、第1煙室から火炉の他端側へ向けて燃焼ガスを案内する第1煙管群と、ケーシングの上面に取付けられ、送風により燃焼ガスとの間で熱交換を行わせる送風機と、ケーシング内で第1煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第2煙室と、ケーシング内で第2煙室から火炉の他端近くで下向きに燃焼ガスを案内する第2煙管群と、ケーシング内で第2煙管群を流れる燃焼ガスを集合させる第3煙室と、第3煙室から燃焼ガスをケーシング外へ排気させる煙突を備えることを特徴とする、
施設園芸用温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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