説明

施設維持管理用台帳図面、被維持管理施設ならびに施設維持管理システム

きめ細かな維持管理が実現できる施設維持管理用台帳図面を提供するため、台帳図面12に描かれている施設の構成部所14a〜14cに対応した図面ICタグ13a〜13cを台帳図面12に設置して、図面ICタグ13a〜13cに施設の構成部所2a〜2cに関する維持管理用情報を記録したことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、各種施設を維持管理するための施設維持管理用台帳図面、その図面によって維持管理される被維持管理施設ならびに施設の維持管理システムに係わり、特にICタグを有効に使用した施設維持管理用台帳図面、被維持管理施設ならびに施設維持管理システムに関するものである。
【背景技術】
通常、施設を構築するためには予め企画書や設計書が作られ、次に仕様書や各種図面や数量書が準備されて、さらに施設竣工後には竣工図としての施設管理維持台帳図と施設管理維持台帳が作成される。施設管理者は、この施設維持管理台帳図と施設維持管理台帳を検証し、同時に施設の構築由来と履歴を記録した文書類を参考にしながら施設の維持管理業務を実施している。
例えば国道、地方道あるいは高速道などの主要な道路のインフラに関しては、全国土に長大な延長量を保有し、かつ膨大な数の各種施設を含有する。そのため、前述の施設管理維持台帳図や施設管理維持台帳などの書類や上記文書類による従来の紙面収納方式では、整理と検索にかなりの場所と時間を要する。そのため国道などでは情報を電子化して大型サーバーに収納するペーパーレスの電子収納方式に切り替わりつつある。
なお、この種の公知文献としては、例えば特開平9−198480号公報のような特許文献を挙げることができる。
しかし、余りにも膨大な各種データを、各施設管理所より集約して一元化収納するとなると極めて膨大なデータ量となり、大型サーバーといえども自ずと容量的に制限がある。
例えば国土交通省が採用しているMICHIシステムでは、施設の位置、規模、サイズの把握に対するデータ量は十分であっても、それぞれの施設の維持管理に要する様々な履歴、とりわけ維持管理を実施した際の管理履歴を記録しているきめ細かな文書類データについては、容量的な制約もあっていまだ収納情報量が不足しているのが実情である。
また全体的に集約化した大型サーバーを置いても、そのデータベースの中から関連する種々のデータを各施設管理所から検索するには、パーソナルコンピュータのキー操作を数多くこなさなければならず、かなりの時間と専門的な習熟操作技量を要する。
前述のIT化の進んだMICHIシステムにあっても、データの更新入力は年1回程度であり、最新情報が得られず、しかも検索操作に手数を要することから、各施設管理所からの利用回数が少ないのが現状である。
本発明の目的は、このような従来技術システムの実情に鑑みてなされたものであり、きめ細かな維持管理が実現できるとともに、アセットマネジメントに供する部材部品の交換を含む修理改修、及び施設の更新などが効率的に行われること、あるいは施設の寿命が合理的に延長できる施設維持管理用台帳図面、被維持管理施設ならびに施設維持管理システムを提供することにある。
【発明の開示】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、例えば道路の如き交通施設、あるいは建物施設などの施設を台帳図面に基づいて維持管理する施設維持管理用台帳図面であって、その台帳図面に描かれている施設の構成部所あるいは施設毎に対応した図面ICタグを当該台帳図面に設置して、その図面ICタグに前記構成部所あるいは施設に関する維持管理用の情報、特に核心(中核)の情報を記録したことを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記情報が、前記施設を竣工した際に入力する例えば施設・部所の呼称などの初期履歴情報と、その施設またはその一部を修理改修更新した際に入力する例えば修理改修年月日などの修理履歴情報と、その施設の維持管理を実施した際に管理履歴として入力する例えば注意を要する点検事項などの管理履歴情報であることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、前記ICタグが、当該図面上に描かれている前記構成部所あるいは施設の各図面領域内にそれぞれ設置されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1の手段において、前記ICタグが、当該図面上に設けられている施設別表示番号表内にそれぞれ設置されていることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1の手段において、ICタグが、当該図面上において設置するICタグの送受信可能な領域を僅かに超えた間隔(例えば5cm以上)で設置されていることを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1の手段において、前記ICタグの本体回路および通信用アンテナの少なくとも一方が図面を描く例えば用紙や合成樹脂フィルムなどのシート状体の上に直接印刷形成されることを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は、維持管理する被維持管理施設であって、その施設の構成部所あるいは施設毎に施設ICタグを設置して、その施設ICタグに前記構成部所あるいは施設に関する維持管理用の情報、特に核心情報を記録したことを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、前記情報が、前記施設を竣工した際に入力する初期履歴情報と、その施設またはその一部を修理改修した際に入力する修理履歴情報と、その施設の維持管理を実施した際に管理履歴として入力する管理履歴情報であることを特徴とするものである。
本発明の第9の手段は前記第7の手段において、施設ICタグが、その施設周囲の環境の変化を検知する例えば微動センサ、歪センサ、撓みセンサ、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ,騒音センサ、接近センサなどの各種センサを備えていることを特徴とするものである。
本発明の第10の手段は、現地施設を施設維持管理用台帳図面に基づいて維持管理する施設維持管理システムであって、前記施設維持管理用台帳図面に描かれている施設の構成部所あるいは施設毎に対応した図面ICタグを当該台帳図面に設置するとともに、その図面ICタグが設置されている図面上の構成部所あるいは施設と対応する現地施設の構成部所あるいは現地施設に施設ICタグを設置して、前記図面ICタグと施設ICタグに施設維持管理用情報、特に核心情報をそれぞれ記録し、前記図面ICタグと施設ICタグがリーダライタで呼び出し可能になっており、前記図面ICタグに記録されている施設維持管理用情報に基づいて機能劣化前に現地施設の部材部品の計画的交換を行い、現地施設の修理改修後に修理履歴情報を該当する前記図面ICタグと施設ICタグにそれぞれ記録することを特徴とするものである。
本発明の第11の手段は、現地施設を施設維持管理用台帳図面に基づいて維持管理する施設維持管理システムであって、前記施設維持管理用台帳図面に描かれている施設の構成部所あるいは施設毎に対応した図面ICタグを当該台帳図面に設置して、その図面ICタグが設置されている図面上の構成部所あるいは施設と対応する現地施設の構成部所あるいは現地施設に施設ICタグを設置して、その現地施設の構築由来と履歴及び維持管理に関連のある文書類に文書ICタグを設置して、前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグに施設維持管理用情報を記録し、前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグがリーダライタで呼び出し可能になっており、前記図面ICタグならびに文書ICタグの少なくとも一方のICタグに記録されている施設維持管理用情報に基づいて現地施設の部材部品の交換を行い、現地施設の修理改修後に修理履歴情報を該当する前記図面ICタグと施設ICタグと文書ICタグにそれぞれ記録することを特徴とするものである。
本発明の第12の手段は前記第11の手段において、前記施設維持管理用情報が、前記施設を竣工した際に入力する初期履歴情報と、その施設を修理改修更新した際に入力する修理履歴情報と、その施設の維持管理を実施した際に管理履歴として入力する管理履歴情報であることを特徴とするものである。
本発明の第13の手段は前記第11または12の手段において、前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグは、例えばパーソナルコンピュータや携帯情報画像装置などの情報処理装置を介してネット回線により相互に接続されているとともに、そのネット回線はサーバーを制御するホストコンピュータに接続され、前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグには前記施設維持管理用情報のうちの一部の情報を格納し、前記施設維持管理用情報の全ての情報が前記サーバーに格納されていることを特徴とするものである。
本発明の第1の手段は前述のような構成になっており、施設維持管理用台帳図面に設置された図面ICタグに施設維持管理のための各種情報、特に核心(中核)の情報が収納できるから、きめ細かな維持管理が実現できる。また図面ICタグは施設毎あるいはその施設を構成する主要な部材部品毎に設置されているから、個々の施設あるいは構成部所毎の維持管理が可能で、部材部品の交換を含む修理改修が効率的に行われる。
本発明の第7の手段は前述のような構成になっており、施設で事故やテロなどにより破損破壊が発生した場合、構成部材あるいは施設に設置されている施設ICタグから必要な情報、あるいは情報の内容が不足するならサーバーから対応する情報を読み出して、修復に対応するための必要な情報を検索、照査できるから迅速な対処が可能である。
本発明の第10の手段は前述のような構成になっており、施設の巡回前に図面ICタグの施設維持管理用情報、特に核心(中核)の情報を読み取って、点検巡回時に現地施設の部材部品の計画的交換ができるから効率的である。また、対応する図面ICタグと施設ICタグと文書ICタグに同じ最新内容の修理履歴情報がそれぞれ記録しておくことで、施設の点検巡回時でも事故やテロなどが発生時でも適切な判断と迅速な処理がなされる。
本発明の第11の手段は前述のような構成になっており、図面ICタグまたは施設ICタグに記録されている共通情報、特に核心(中核)の情報をもとに、固有ID番号を鍵としてリーダライタで文書ICタグが呼び出せるから、その施設に関係するデータベース化されていない構築由来履歴を記録した文書頬が必要なとき、特に緊急対応時に、その文書類を短時間に容易に検索することができる。
本発明の第13の手段は前述のような構成になっており、被維持管理施設に関わる情報を全てデータベース化して、例えば施設管理所内のサーバーに各施設毎の固有のID番号ごとに識別して格納しかつ前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグにも同一で固有のID番号を記録し、リーダライタでこれらのICタグの情報を読み出したときに情報内容に不足のある場合には、固有のID番号を鍵として、有線または無線の通信手段を介して前記サーバー内の必要な情報を過不足なく極めて短時間で画像処理装置に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態に係る現地の管理施設における施設ICタグの利用状態を示す図である。
図2は、本発明の実施形態に用いられるICタグの拡大平面図である。
図3は、そのICタグの拡大断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係わる維持管理用台帳図面における図面ICタグの利用状態を示す図である。
図5は、本発明の他の実施形態に係わる維持管理用台帳図面における図面ICタグの設置状態を示す図である。
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係わる維持管理用台帳図面の平面図である。
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係わる管理施設と維持管理用台帳図と文書類との関係を示す概略構成図である。
図8は、その実施形態におけるICタグネットワークシステムを示す概略構成図である。
図9は、ICタグの他の使用例を説明するための図である。
図10は、ICタグの他の使用例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態を図とともに説明する。施設の効率的かつ効果的な維持管理には、その施設に関するデータを施設管理所ならびに施設現場から余り離れない場所あるいは施設管理所に収納し、容易にかつ簡単に施設データの入力更新や検索ができることが重要である。
そして現在のIT社会を根幹的に支える装置としてのコンピュータを駆使して施設としての物を管理したり或いは開連データを自動的に処理するためには、その当初に該当する「物」を識別できなければならない。この識別のための固有のID番号や情報を超小型チップに書き欠き込んで「物」に付けられるものがICタグである。
図1は、本発明の実施形態に係る現地の管理施設における施設ICタグの利用状態を示す図である。この例の場合、現場の維持管理すべき施設(管理施設)1は、主要構成部所2aと主要構成部所2bと主要構成部所2cとから構成され、各主要構成部所2a〜2cには施設ICタグ3a〜3cが例えば接着や埋め込みなどの適宜な手段によりそれぞれ設置されている。
一例であるが図2はICタグ3の拡大平面図、図3はICタグ3の拡大断面図である。非接触式のICタグ3は、図3に示すようにICチップ4と、その上に設けられた合成樹脂の絶縁膜5と、その上に渦巻き状に形成されたアンテナ機能を有する送受信コイル6とから構成されている。図示していないが送受信コイル6の両端に設けられた端子7a,7bは、前記絶縁膜5を貫通してICチップ4に接続されている。
このICタグ3の一辺の長さLは、例えば0.3〜0.4mm程度の微小のものもある。ICタグ3のメモリー容量は128〜2048bit程度で、バーコード情報の数倍から百倍程度の情報量が格納できる。
前記施設ICタグ3aには主要構成部所2aに関する情報が、施設ICタグ3bには主要構成部所2bに関する情報が、施設ICタグ3cには主要構成部所2cに関する情報が、それぞれ記録されている。
各主要構成部所2に関する情報として、例えばタグ生産番号(メーカ記号)とタグID番号と施設履歴情報がある。この履歴情報には、施設1を竣工した際に入力できる初期履歴情報と、施設1またはその構成部所の修理改修した際に入力できる修理履歴情報と、維持管理データを入力する管理履歴情報とがある。前記初期履歴情報としては、例えば施設・部所の呼称,施設・部所の竣工年月日,施工業者名,施設・部所の用途,施設・部所の能力,耐用期限年月日,施設・部所の価格と工費,設置位置,施工業者連絡先などが相当する。設置位置には、施設が閉鎖された限定域内にある場合は、域内に自ら設けた二次元座標表示で、施設が開放された域内にある場合は、公的座標表示などがある。
修理履歴情報としては、例えば修理改修年月日,修理改修事由,修理改修内容,修理改修費用,施設・部材の耐用期限年月日,修理改修業者名,施工業者連絡先などがある。
管理履歴情報としては、特異な現象データ、異常な測定データ、注意を要する点検事項などが相当する。日頃の管理データは量が膨大過ぎてICタグの収容能力には納まらないから、施設管理所内のサーバーに時系列的に蓄積して行くことが至当である。
施設を維持管理する上において前記初期履歴情報、修理履歴情報ならびに管理履歴情報の三者は何れも重要であるが、とりわけ施設寿命の延長のためには、施設の維持管理を実施した際の管理情報を整理した管理履歴情報は最重要である。
また施設に関する構築技術の進化の度毎に、該当施設に対しての技術的知見を前記管理履歴情報に付け加えたり、また、該当施設の保守点検についてもその節目節目に保守点検の検討結果を管理履歴情報に付け加えることが重要である。
従来より管理施設に標識板や銘板を付設して、その標識板や銘板に当該管理施設に関する情報などを記載表示する方法が採用されている。しかし、標識板や銘板では記載表示できる字数が限られており、情報量が極めて少なく、施設の効率的かつ効果的な維持管理にはデータ不足である。これに対して本発明のような施設ICタグ3を使用すれば、施設の維持管理に必要な前述のような各種データを格納することができる。
なお、前述の各種データを1個の例えば施設ICタグ3に収納して容量オーバーを招く虞がある場合、施設ICタグ3には必要最小限のデータ、つまりタグ生産番号(メーカ記号),固有ID番号,施設・部所呼称,竣工(または生産)年月日ぐらいをキーワードとして収納しておき、他の関連データ、例えば施設写真や施設周辺の地形図や地質・土質などを含む関連データは他の記録容量が十分にある外部記録媒体としての前記サーバーにデータベースとして収納しておく。そして後述するパーソナルコンピュータ9などを介して、前述のデータベースから必要な情報をリアルタイムに検索して、パーソナルコンピュータ9や携帯情報画像装置などの画面に表示したり、必要なデータ処理を行うことにより、必要情報の検索と取得を確実にすることができる。
例えば施設ICタグ3に記録されているデータを読み出したり、あるいはデータを書き込むために、図1に示すように非接触式のリーダライター8が用いられる。図示していないがリーダライター8の先端部にもアンテナ機能を有する送受信コイルが設けられており、リーダライター8の先端部(送受信コイル)を施設ICタグ3側の送受信コイル6に近接して、施設ICタグ3とリーダライター8の間でデータの授受を行う。
例えば施設ICタグ3とリーダライター8間の通信には、長波(〜135KHz:電磁誘導による通信),短波(13.56MHz:電磁誘導による通信),UHF帯(800〜900MHz:電波による通信),マイクロ波(2.4GHz:電波による通信)などが、通信距離などに応じて選択される。
リーダライター8は、パーソナルコンピュータ9や通信機器10を介して施設管理所11と通信ができるようになっている。図中の11aは無線回線、11bは有線回線、11cはモバイルコンピューティング回線、11dはネット回線を示している。
前述のように施設1を構成する主要構成部材2a〜2cあるいは施設1毎に施設ICタグ3が個々に設置されておれば、それらの何れかに破損事故や機能停止事故などが発生した場合、現地に駆けつけた施設管理者がその破損事故や機能停止事故が発生した主要構成部材2あるいは施設1に設置されている施設ICタグ3からタグ情報をリーダライター8で瞬時に読み、不足のあるときはパーソナルコンピュータ9などを介して管理所内のサーバーのデータベースから破損事故や機能停止事故に対応するための必要な情報を検索、照査できる。
従って従来のように施設管理者が施設管理所11に戻って各種各様の施設維持管理台帳などを牽引する必要はなく、事故の起きた現地において短時間のうちに必要な情報の検索ができ、また現地情報をパーソナルコンピュータ9ならびに通信機器10を介して施設管理所11に即時送信でき、互いに情報の共有により現地からも施設管理所からも事故の対策を速やかに進めることができる。
前述のように施設1に施設ICタグ3が設置されているとともに、図4に示すようにその施設1の施設維持管理台帳図12にも図面ICタグ13a〜13cが埋め込み、あるいは接着などの適宜な手段で設置されている。
施設維持管理台帳図12は図面用紙や合成樹脂シートなどのシート状体からなり、図1に示す施設1の主要構成部所2aを表す主要構成部所図14aと、主要構成部所2bを表す主要構成部所図14bと、主要構成部所2cを表す主要構成部所図14cとからなる施設1の図面が描かれている。そして主要構成部所図14aが描かれている領域内に図面ICタグ13aが、主要構成部材図14bが描かれている領域内に図面ICタグ13bが、主要構成部所図14cが描かれている領域内に図面ICタグ13c(具体的にはICチップ、通信本体回路、アンテナコイルなど)が、それぞれ埋め込み、あるいは接着などの適宜な手段で設置されている。なお、通信本体回路および(あるいは)アンテナコイルは、前記シート状体上に直接印最により形成し、そのところにICチップを接着などの適宜な手段で付設することもできる。
この図面ICタグ13a〜13cの設置は、例えばCADで自動製図した後に、そのCADのアタッチメントを変更して各図面領域内に図面ICタグ13a〜13cをそれぞれ接着などの手段で設置する。この図面ICタグ13a〜13cには、前記施設ICタグ3a〜3cと同じ履歴情報が収納されている。
なお実際には図4ならびに図5において、施設維持管理台帳図12上には各部材,部品の寸法や各種記号などが記載されているが、図面が煩雑になるため、それらの表示は省略している。
施設管理点検者は、施設1を点検、巡回する前に施設維持管理台帳図12上の図面ICタグ13a〜13cが記録している情報をリーダライター15で読み取ることにより、各主要部所2a〜2cの履歴を知り、施設1のメンテナンス時期および部材部品の交換時期を予め把握することができる。なお、施設のメンテナンス時期とは、アセットマネージメントでいう客観的、長期的観点から施設(インフラ)を費用効率的に維持管理、修理改修あるいは更新する手法の中でのタイミングをいう。
このように施設1のメンテナンスは、アセットマネージメントという管理手法の中で客観的、長期的観点から施設(インフラ)を費用効率的に維持管理、修理改修あるいは更新する目的のために不可欠で、そのため施設1の点検、巡回時には予め図面ICタグ13のもつ履歴情報を読み取ることは有用で、同時に小部材部品の計画的交換を合わせて行うことができ、作業効率の向上が図れる。
従来の施設維持管理台帳図ならびに施設維持管理台帳に記載されているデータは、主に施設の構築に係わった製造・製作者が提供したもので、個々に付されている銘板や一般的なカタログに記載されているような総括的な内容であって、施設のきめ細かな維持管理を効率的、効果的に行うためには情報量が不足している。
また従来の施設維持管理台帳は、機能別あるいは部材部品別にファイルされているため、幾冊もの台帳を牽引しないと個々の施設について包括する全データが揃わないのが一般的であり、必要情報の収集に多大な時間と検索技量を要していた。そのため施設維持管理台帳や施設維持管理台帳図が利用されるケースは、施設の破損事故や機能停止事故などが発生した際に、施設を復旧するための手段として、つまり事後対応利用に供されるケースが大半であった。
さらに、従来は施設維持管理台帳図に図化表示以外の履歴情報を多く持たすことができないため、施設維持管理台帳と施設維持管理台帳図は別々に編集・編纂する必要があり、施設維持管理台帳をはじめ施設の構築由来と履歴を記録した文書類の整理と系統的保存に対し労力と時間と場所を要するばかりでなく、それらからの情報選別、情報引出しは非常に煩雑な手作業を要するものであった。
本発明では施設管理所11などに保管されている施設維持管理台帳図12上において主要部構成部所図14a〜14cに図面ICタグ13a〜13cを設置して、各図面ICタグ13a〜13cに各種情報を格納するようにしたから、施設維持管理台帳図と施設維持管理台帳及びその他の文書類の持つ三者機能、あるいはそれらを牽引するための固有ID番号を維持管理台帳図12上に集約することができ、施設維持管理台帳や文書類からの時間の要する手作業牽引を省略することが可能となる。
図4に示すように各図面ICタグ13a〜13cに収納されている履歴情報は、リーダライター15を介してパーソナルコンピュータ16の画面に表示可能であり、また同図に示すようにパーソナルコンピュータ16はネット回線18を介してホストコンピュータ19aが制御を行うサーバー19に接続されているため、サーバー内のデータベース情報の全てが表示可能であり、表示された情報のうちの必要な部分をプリンター17で出力できる。
同時に図のホストコンピュータ19aの操作により、この画面に施設に関する一般平面図やその全体立面図などを映し出し、そこに表示される施設名称や施設の該当ポイントを画像上で選択的にクリックすることで、サーバー19内の関連データベース、詳細図や文章などの各種情報をホストコンピュータ19aの自らの画面上、あるいはネットで接続されている他のパーソナルコンピュータ16や画像情報装置の画面上に引き出して、必要な情報をプリンター17で出力できる。
なお、前記リーダライター15とパーソナルコンピュータ16は、図1に示すリーダライター8ならびにパーソナルコンピュータ9と兼用することもできる。
施設管理者はプリンター17によって出力された履歴情報を携帯し、施設の点検・巡回のために現地に赴き、施設1およびその各部所および各部材部品などを点検すると共に、履歴情報から交換する必要がある部材部品は予め持参した新品のものと交換する。
この点検時の部材部品の計画的交換を含む施設1のメンテナンスについての修理改修に関するデータ(例えば修理改修年月日,修理改修事由,修理改修内容,修理改修費用,耐用期限年月日,施工業者名,施工業者連絡先など)は、修理履歴情報としてパーソナルコンピュータ9からリーダライター8を通して、該当する施設ICタグ3に書き込まれる。またこの修理履歴情報と同一内容のものが、維持管理台帳図12上の該当する図面ICタグ13や文書ICタグにも書き込まれる。このように施設ICタグ3と図面ICタグ13と文書ICタグは、常に同一内容の履歴情報を収納しているようになっている。
図5は、施設維持管理台帳図12の他の例を示す図である。図4に示す例では維持管理台帳図12の図が描かれている領域内に図面ICタグ13を設置しているが、図5の例では維持管理台帳図12の端部に設けられている施設別表示番号表(あるいは部所番号表)20内に一定間隔を確保し設置している。
この番号表20には、部所番号表示欄20a,ICタグ設置欄20b,部所名称表示欄20cなどが設けられている。前記部所番号表示欄20aには、図中の部所番号と同じ番号が順次表示されている。またICタグ設置欄20bには、各部所番号に対応して図面ICタグ13a,13b・・・が設置されている。さらに部所名称表示欄20cには、各部所番号に対応した部所の名称が表示されている。
このように予め定められた位置に図面ICタグ13を設置する場合には、図面ICタグ13の設置が容易であり、しかも図面ICタグ13の近傍に部所の名称が表示されているから、図面ICタグ13へのコンタクトが容易かつ確実である。
前述のように施設維持管理台帳図12の必要個所に図面ICタグ13をそれぞれ設置して、非接触(無線)式のリーダライター15でICタグ13の情報を読み出したところ、図面上でICタグ13どうしが例えば1〜3cmと接近していると、リーダライター15は隣のICタグ13の情報をも読み出すことがあり、読み出した情報が無関係で適正でなくなる。また、リーダライター15でICタグ13に情報を書き込む場合も同様で、図面上でICタグ13が接近していると隣のICタグ13に不必要な情報が書き込まれることがある。
本発明者の諸種の実験結果から、ICタグ13の図面上の安心で安全な設置間隔は5cm以上必要であることが分かった。このように設置するICタグ13の複数同時送受信可能な領域を超えた間隔でICタグ13を維持管理台帳図12上に設置すれば、前述のような弊害が解消されるとともに、一方でICタグ13の複数個を兼用すれば設置個数が少なくでき、維持管理台帳図12の製作費と維持費の低減が図れる。
図6は、前述の点に鑑みてなされた維持管理台帳図12のさらに他の例を示す図である。この例の場合、1枚の維持管理台帳図12上に原則として1個の統括図面ICタグ32が設置されている。このICタグ32の設置位置は、各維持管理台帳図12において共通の位置となっており、それによりICタグ32付き維持管理台帳図12の製作が簡便かつ安価になる。図中の30は、当該維持管理台帳図12に印字された一連図面番号である。
維持管理台帳図12上に示されている各部所(あるいは施設)14a〜14eのうち、定常的に維持管理を要する主要部(あるいは施設)14a〜14eには、見出し用記号(例えば通しの枝番号など)31a〜31eが付けられている。
維持管理台帳図12上の例えば主要部所(あるいは施設)14dの情報を牽引する場合、最初にリーダライター15で維持管理台帳図12上の統括図面ICタグ32を読み取り、次にリーダライター15を接続しているパーソナルコンピュータ16(図4参照)のテンキー(図示せず)を使用して、当該部所(あるいは施設)14dに付けられている見出し用記号(本例では枝番号のdに相当する整数値「4」)を入力する。
そうすることにより、サーバー19に格納されているデータベース上の部所(あるいは施設)14dに関する情報を牽引し、それをパーソナルコンピュータ16の画面上に表示したり、あるいはプリンター17で牽引情報をプリントアウトすることもできる。
またサーバー19におけるデータベースの内容を変更する場合は、主要構成部所(あるいは施設)14a〜14eの見出し用記号31a〜31eに対応する整数値を前述のテンキー操作で入力して、サーバー19に格納されているデータをパーソナルコンピュータ16上に呼び出す。そしてパーソナルコンピュータ16上でデータを更新し、それをサーバー19のデータベースに格納する。
この例では、リーダライター15がパーソナルコンピュータ16に接続されており、そのパーソナルコンピュータ16のテンキーを使用して、当該部所(あるいは施設)14a〜14eの見出し用記号31a〜31eに対応する整数値を入力する例を示したが、リーダライター15にテンキーを設け、前記見出し用記号31a〜31eに対応する整数値を入力することもできる。
この例では、1枚の維持管理台帳図12上に少数(原則として1個)の統括図面ICタグ32が設置されているだけであるから、図面ICタグの近接配置によるデータの読み出し、書き込みの混乱を有効に阻止すると共に、ICタグ付き維持管理台帳図12の制作費と維持費の低減を図ることができる。
図7は本発明のさらに他の実施形態を示す概略構成図、図8はICタグネットワークシステムを示す概略構成図である。
ICタグ13(32)を付した維持管理台帳図12は、現場施設管理のために欠くことのできない最もベイシックなものである。しかし、現場施設に関する詳細な情報のほとんど全てを1個のICタグ13(32)に記憶することは、実際上不可能である。
現場施設に関する詳細な情報は通常、文書類に記載されている場合が多く、例えば当該施設に関する基本計画書、設計計算書、数量計算書、用地図、付近見取図、地質図、土質図、全体図、平面図、断面図、各部詳細図、部材・部品図、各種仕様書、取扱説明書、保証書、契約書、工事写真帳、完成写真帳、打ち合わせ記録、工事記録書などがそれに相当する。そしてこれら大量の文書類のほとんどは、保管棚や保管箱に他の複数の文書類とともに一括して収納保存されている。
通常の管理時には、時間的に余裕をもって必要な文書類を保管棚や保管箱から探すことができるが、破損事故や機能停止事故やテロ発生時などの緊急対応時には大量の文書類の中から必要な書類を即時に探し出すことは非常に困難である。
本実施形態は、この点に鑑みてなされたものである。図7に示すように、各管理施設1に施設ICタグ3が、またその管理施設1に対応している施設維持管理台帳図12には図面ICタグ13(32)がそれぞれ設置されているとともに、施設管理に関連性の高い主要な文書類33(例えば設計計算書、数量計算書、各部詳細図、部材・部品図、各種仕様書、取扱説明書、工事写真帳、完成写真帳、工事記録書など)に文書ICタグ34が装着されている。
前記施設ICタグ3に対する通信方式としてはUHF帯極超短波(電波)が好適で、周波数は800〜900MHzで、読み取り可能な距離は8m程度である。図面ICタグ13(32)対する通信方式としては長波(電磁誘導)が好適で、周波数は135KHz以下で、読み取り可能な距離は数cm程度である。文書ICタグ34対する通信方式としては短波(電磁誘導)が好適で、周波数は13.56MHzで、読み取り可能な距離は1m程度である。また文書ICタグ34対する通信方式としてはマイクロ波(電波)も好適で、周波数は2.4GHzで、読み取り可能な距離は2m程度である。
そして図8に示すように、前記施設ICタグ3、図面ICタグ13(32)ならびに文書ICタグ34は、各個所にあるパーソナルコンピュータ16または携帯情報画像装置などの情報処理装置を介してネット回線18によって相互に接続されている。なお、図中の点線は、リーダライタ15による各タグ3,13(32),34と各パーソナルコンピュータ16との無線交信路を示している。
さらにパーソナルコンピュータ16または携帯情報画像装置などの情報処理装置は、ネット回線18を介してホストコンピュータ19aによって制御されるサーバー19に接続されており、サーバー19内のデータベース(前記初期履歴情報、修理履歴情報、管理履歴情報など)の全ては各パーソナルコンピュータ16または携帯情報画像装置などの情報処理装置において表示可能であり、表示された情報のうちの必要なものをプリントアウトできるようになっている。
そのため例えば、ホストコンピュータ19aの操作により、この画面に施設に関する各種図面などを映し出し、そこに表示される施設名称や施設の該当ポイントを画像上でクリックすることにより、サーバー19内の関連データベース、詳細図や文章などの各種情報をホストコンピュータ19aの自らの画面上、あるいはネット回線18で接続されている他のパーソナルコンピュータ16や画像情報装置の画面上に引き出して、必要な情報をプリントアウトできる。
前記施設ICタグ3、図面ICタグ13(32)ならびに文書ICタグ34には、例えば管理施設1の名称(記号)あるいはタグの固有ID番号などの初期履歴情報が共通に記録されている。従って図7で矢印で示すように、管理施設1と維持管理台帳図12と主要な文書類33の三者は、共通の見出し情報と核心情報によって互いにリンクされている。
そのため破損事故や機能停止事故やテロ発生時などの緊急対応時には、前記施設ICタグ3、図面ICタグ13(32)に記録されている共通の核心情報に基づいてリーダライターを作動させて(電波を通して)、リーダライターに内蔵した矢印方向の動向応答を見ることにより、文書類の保管場所(施設管理所)にあって文書類33を短時間に容易に検索することができる。
本発明で対象となる施設の一つに、最大の交通施設としての道路がある。この道路の交通機能保全管理の面からは、道路側面の崖や急斜面から発生する崩落に伴う岩石や土砂の落下、鉄砲水や土石流の流入、冬季に発生する雪崩に伴う雪氷の落下は、通行車両を押し潰したり、人命を奪うなどの事故に繋がる。
そのため施設の一部となる道路側面の崖や急斜面に、移動エネルギーポテンシャルの変化、即ち微動や歪を検知する素子(センサ)を備えたICタグを所定の間隔をおいて相当数装着しておけば、地表や雪表の移動を数値として捉え、その微細移動量や歪量をタグのアンテナから受信電流に対し応答的に発する電波を介して送信し、それをリーダーライターで受信することにより、最大の交通施設としての道路上への岩石、土砂、雪氷などの落下を予知(予見)することができる。
前記崖や急斜面の地表や雪面の微動を検知する素子(センサ)を備えたICタグの一例として、例えばICタグ内に小玉と圧電セラミックとを備え、微動を生じると小玉が圧電セラミックに衝突し、そのときに発生する静電気量を検出する構成のものがある。
また崖や急斜面の地表歪を検知するものの例として、ICタグ内に径が1mm程度の水晶小玉を備え、岩盤などの亀裂初期に発生する超音波が前記水晶小玉の表面に流れ込み、水晶玉の固有振動数あるいは内部電位の変化を検出する構成のものがある。
これらのセンサ付きICタグを道路側面上方部などに装着しておけば、地表の微動を電気的に検出し、その信号をICタグに付設されているアンテナを介してリーダーライタに送信し、道路上への岩石、土砂、雪氷などの落下を予知(予見)することができる。
同様に、これらのセンサ付きICタグを土木構造物、建築構造物、製造生産装置あるいは移動体などの構造上で、特に外力、応力、振動などが集中する部位に装着することで、該当部位の歪量が検知でき、破損や破壊に至る前にリクス管理、リスク予知することができる。
前述の例では微動や歪を検知する素子(センサ)を備えた場合について説明したが、その他に例えば温度センサを備えて施設周囲の温度変化(低温あるいは過温)を検知したり、湿度センサを備えて施設周囲の湿度変化(乾燥あるいは過湿)を検知したりすることも可能である。さらに圧力センサ,騒音センサ、接近センサ、撓みセンサなど他のセンサを備えることも可能である。
温度センサを備えたICタグを寒冷積雪地帯の道路面上より僅か下方の位置に設置しておけば、道路管理者が走行車スリップ対策として路面上に機械的に散布する融雪剤の散布タイミング、つまり−5℃以下では融雪剤の散布が路面凍結を強くし逆効果になるという危険を避けるための指標を容易に知るための手段とすることができる。
管理すべき施設の場所に、その施設周囲の各種物理的環境データ(例えば温度、湿度、歪量、振動など)を集約するための各種センサ(例えば温度センサ、湿度センサ、歪量センサ、振動センサなど)、それらを統括するセンサネットシステムを、施設ICタグシステムの代わり、または施設ICタグシステムと併設することも可能である。
本発明において前記図面ICタグが読み取りだけの場合は、図面ICタグに代えて例えば2次元シンボルやバーコードなどを用いることも可能である。
図9と図10は、ICタグの他の使用例を説明するための図である。官公庁をはじめ各業界、各企業、各団体などでは各種の規定書、仕様書、規則書、指示書、仕方書、図面、法令集などの各種書類が発行されている。
ところで、今まで現行の発刊物として取り扱われていた書類が、例えば設計変更、仕様変更、法令の改正などの状況の変化によりある日突然に旧書類となり、その書類に記載されている内容が適用できなくなることが多々ある。また、変更や改正があってもそれに気づかず、旧書類の内容で運用して、見過ごせないトラブルを生じることがある。
図9と図10は、このようなトラブルを解消するためのものである。官公庁をはじめ各業界、各企業、各団体などから発行される各種の規定書、仕様書、規則書、指示書、仕方書、図面、法令書などの各種書類21の可能な限り中央部に、ICタグ22が、例えば埋め込みまたは接着などの適宜な手段で装着されている。書類21が冊子類の場合は、それのおもて表紙あるいはうら表紙にICタグ22が装着される。書類21の端部は折れたり折損したりする可能性が高いため、ICタグ22は書類21の中央部に装着する方が適切である。
装着されたICタグ22には、その書類に関する履歴情報、例えばタグ生産番号(メーカ記号)、タグ固有ID番号、書類名、発行所(発行者)、初回発行年月日、最新更新年月日、有効期限日などの情報が格納されている。
図9と図10は、書類21が冊子類の場合を示している。図9の例では冊子様の書類21がリーダライター23上に置かれるか、あるいはリーダライター23上を通過して行くことで、ICタグ22に記録されている情報が読み取られ、パーソナルコンピュータ24に送られる。ICタグ22とリーダライター23の間の通信は、前述の例と同じように互いに送受信コイルを使用して非接触で行われる。
パーソナルコンピュータ24には、サーバー25からネット回線26を介して、当該書類21に記載されている内容に関する最新の有効期限年月日情報が入力され、前述のICタグ22から読み出された履歴情報と照合される。その照合結果、当該書類21が期限内の有効書類かあるいは期限が切れた無効書類か判断される。
当該書類21が有効期限を過ぎている場合、その旨をパーソナルコンピュータ24の画面に表示したり、リーダライター23に内蔵しているブザーやランプで警報を発する。
図9では近接型のリーダライター23を使用した場合を示したが、ICタグ22とリーダライター23間の使用周波数帯域によっては、ICタグ22とリーダライター23の間が1〜8m程度離れていても通信可能である。図10はその例を示しており、リーダライター23側にアンテナ27が接続されており、そのアンテナ27を介してICタグ22とリーダライター23の間で情報の通信が行われる。
書類21に表示部28を付設することで、前述のように当該書類21が期限切れと判断された場合、リーダライター23を介してICタグ22に無効信号を書き込み、同時にその旨を液晶パネルなどの表示部28で表示して、視覚的に当該書類21が期限切れであることを報知する。
なおこのリーダライター23およびアンテナ27を使用する形態は、図1ならびに図4に示す実施形態においても同様に適用することができる。
本発明において、用紙あるいは合成樹脂フィルム上にアンテナ付きのICタグを接着あるいは埋め込むこともできるが、液状化した炭素などの有機系素材をインクの代わりに使用し、用紙あるいは合成樹脂フィルムなどのシート状体の上に前記有機系素材を印刷技法で、ICタグの本体回路およびアンテナなど必要な回路を細密に形成することも可能である。
本発明で対象となる施設としては、例えば道路、橋梁、トンネル、地下道などの道路交通施設、住宅やマンションや高層ビルなどの建築施設、河川・ダム施設、その他の鉄道・空港・港湾などの交通システム施設、通信システム施設、気象システム施設、電力・ガス・上下水道などのインフラシステム施設、コンピュータ・ネットシステム施設、教育・研究施設、公共・商業用・産業用施設、鉄道車両・船舶・飛行機・自動車のごとき移動施設、樹木などを含む公園施設、スポーツ・球技場施設など各分野での施設が対象となる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設を台帳図面に基づいて維持管理する施設維持管理用台帳図面であって、その台帳図面に描かれている施設の構成部所あるいは施設毎に対応した図面ICタグを当該台帳図面に設置して、その図面ICタグに前記構成部所あるいは施設に関する維持管理用の情報を記録したことを特徴とする施設維持管理用台帳図面。
【請求項2】
請求の範囲1記載の施設維持管理用台帳図面において、前記情報が、前記施設を竣工した際に入力する初期履歴情報と、その施設を修理改修更新した際に入力する修理履歴情報と、その施設の維持管理を実施した際に管理履歴として入力する管理履歴情報であることを特徴とする施設維持管理用台帳図面。
【請求項3】
請求の範囲1記載の施設維持管理用台帳図面において、前記ICタグが、当該図面上に描かれている前記構成部所あるいは施設の各図面領域内にそれぞれ設置されていることを特徴とする施設維持管理用台帳図面。
【請求項4】
請求の範囲1記載の施設維持管理用台帳図面において、前記ICタグが、当該図面上に設けられている施設別表示番号表内にそれぞれ設置されていることを特徴とする施設維持管理用台帳図面。
【請求項5】
請求の範囲1記載の施設維持管理用台帳図面において、前記ICタグが、当該図面上において設置するICタグの送受信可能な領域を超えた間隔で設置されていることを特徴とする施設維持管理用台帳図面。
【請求項6】
請求の範囲1記載の施設維持管理用台帳図面において、前記ICタグの通信用本体回路およびアンテナの少なくとも一方が図面を描くシート状体の上に印刷形成されることを特徴とする施設維持管理用台帳図面。
【請求項7】
維持管理する被維持管理施設であって、その施設の構成部所あるいは施設毎に施設ICタグを設置して、その施設ICタグに前記構成部所あるいは施設に関する維持管理用の情報を記録したことを特徴とする被維持管理施設。
【請求項8】
請求の範囲7記載の被維持管理施設において、前記情報が、前記施設を竣工した際に入力する初期履歴情報と、その施設を修理改修した際に入力する修理履歴情報と、その施設の維持管理を実施した際に管理履歴として入力する管理履歴情報であることを特徴とする被維持管理施設。
【請求項9】
請求の範囲7記載の被維持管理施設において、前記施設ICタグが、その施設周囲の環境の変化を物理量として検知するセンサを備えていることを特徴とする被維持管理施設。
【請求項10】
現地施設を施設維持管理用台帳図面に基づいて維持管理する施設維持管理システムであって、
前記施設維持管理用台帳図面に描かれている施設の構成部所あるいは施設毎に対応した図面ICタグを当該台帳図面に設置するともに、
その図面ICタグが設置されている図面上の構成部所あるいは施設と対応する現地施設の構成部所あるいは現地施設に施設ICタグを設置して、
前記図面ICタグと施設ICタグに施設維持管理用情報をそれぞれ記録し、
前記図面ICタグと施設ICタグがリーダライタで呼び出し可能になっており、
前記図面ICタグに記録されている施設維持管理用情報に基づいて現地施設の部材部品の交換を行い、現地施設の修理改修後に修理履歴情報を該当する前記図面ICタグと施設ICタグにそれぞれ記録することを特徴とする施設維持管理システム。
【請求項11】
現地施設を施設維持管理用台帳図面に基づいて維持管理する施設維持管理システムであって、
前記施設維持管理用台帳図面に描かれている施設の構成部所あるいは施設毎に対応した図面ICタグを当該台帳図面に設置して、
その図面ICタグが設置されている図面上の構成部所あるいは施設と対応する現地施設の構成部材あるいは現地施設に施設ICタグを設置して、
その現地施設の維持管理に関連のある文書類に文書ICタグを設置して、
前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグに施設維持管理用情報を記録し、
前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグがリーダライタで呼び出し可能になっており、
前記図面ICタグならびに文書ICタグの少なくとも一方のICタグに記録されている施設維持管理用情報に基づいて現地施設の部材部品の交換を行い、現地施設の修理改修後に修理履歴情報を該当する前記図面ICタグと施設ICタグと文書ICタグにそれぞれ記録することを特徴とする施設維持管理システム。
【請求項12】
請求の範囲11記載の施設維持管理システムにおいて、前記施設維持管理用情報が、前記施設を竣工した際に入力する初期履歴情報と、その施設を修理改修更新した際に入力する修理履歴情報と、その施設の維持管理を実施した際に管理履歴として入力する管理履歴情報であることを特徴とする施設維持管理システム。
【請求項13】
請求の範囲11または12記載の施設維持管理システムにおいて、前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグは情報処理装置を介してネット回線により相互に接続されているとともに、そのネット回線はサーバーを制御するホストコンピュータに接続され、
前記図面ICタグ、施設ICタグならびに文書ICタグには前記施設維持管理用情報のうちの一部の情報を格納し、前記施設維持管理用情報の全ての情報が前記サーバーに格納されていることを特徴とする施設維持管理システム。

【国際公開番号】WO2005/070694
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517289(P2005−517289)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000819
【国際出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(501046578)
【Fターム(参考)】