説明

旋回運動補助具

【課題】 身体の中心軸に対して腰部を旋回運動させることにより、胸部、背中、腹部、腰部、臀部又は膝部の運動不足解消や筋力強化のための運動を効果的に行うことのできる旋回運動補助具を提供する。
【解決手段】 使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持する保持部材6と、手動駆動又は自動駆動によって回転運動を行う回転部材4とを、前記回転部材の回転運動を前記保持部材に旋回運動として伝達する運動伝達機構5を介して接続し、前記保持部材6が前記回転部材4の回転運動により身体の中心軸に対して旋回運動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持し、身体の中心軸に対して旋回運動させることを補助する旋回運動補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、腰痛を抱えた患者は、腰痛の発症による患部の痛みから身体を動かさなくなるため、腰部まわりの筋肉の硬化や弱体化を引き起こすことによって、腰痛の解消を阻害したり、余計に腰痛を悪化させたりする場合がある。また、脚部の筋力が弱体化して歩行が困難になった老人や脚部に障害を負った身体障害者などは、脚部を使って運動する機会が減るため、筋力の低下はもとより膝関節が堅くなってしまい、結果的にさらに症状が悪化してしまう場合がある。そのため、このような症状を予防又は解消するためには、患部に適度な運動を与えることによって、マッサージ効果や患部まわりの筋力強化を図ることが肝要であることから、従来、下記のような腰部の運動補助装置が提供されている。
【0003】
例えば、基台上に立設した支柱を中心として回転自在な回転柱を当該支柱に垂直方向に連結し、当該回転柱の上部に水平方向に備え付けた一対の旋回腕を設けることにより、使用者が旋回腕につかまって下半身を動かすことなく腰部を回転させ、腰に対し無理のない左右の往復回転運動を与え、腰痛防止、或いは腰を痛めた人のリハビリテーションを効果的に行うことのできるストレッチング用器具が提供されている(特許文献1)。
【0004】
また、座位の状態で腰部の運動ができる器具としては、腰掛け機能に腰の捻転運動の補助機能を付加すべく、上端に座部を回転自在に取付けた脚部に、アームレスト部を連設した椅子が提供されている。当該椅子によれば、通常の椅子として使用しながら、いつでも容易に座りながら腰の捻転運動や筋力トレーニングを行なえる(特許文献2)。
【0005】
また、腰部の回転運動を促進する運動遊戯具としては、使用者に装着するバンドの腹部方向にリング状の固定部材を介して回転ディスクを回転自在に取り付けることにより、当該運動遊戯具を装着した使用者が自ら腰を振ると、回転ディスクが腰の動きに併せて回転し、当該回転ディスクの回転に応じて腰部の回転運動を促進する健康腰振り運動遊戯具が提供されている(特許文献3)。
【0006】
さらに、膝を前方へ向けかつ足の裏を床に着けて座席部に着座し、この状態で回転揺動手段により、座席部に半径rの小さな回転を行う円運動を行い、足腰などの筋力アップを図ることのできるバランス訓練椅子が提供されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−192258号公報
【特許文献2】特開平11−113664号公報
【特許文献3】特開2002−11113号公報
【特許文献4】実用新案登録第3144405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般的に、効果的に腰痛の予防・解消や腰部の筋力強化をするには、ベリーダンスのように腰部を身体の中心軸に対して旋回運動させながら屈曲(臀部を突き出す)、左右の側屈及び伸展(へそを上に向ける)を反復して行うことが有効であるところ、そのような腰部の旋回運動を補助する腰痛患者に見合った器具などはこれまで提供されてこなかった。また、ベリーダンスのような腰部の水平方向の旋回運動を矯正する器具なども提供されてこなかった。
【0009】
上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、下半身を固定した状態で上半身だけを左右に捻転し、脊髄をほぼ軸とした回転運動を腰部にさせることは可能であるが、腰部を上記のベリーダンスのように旋回運動させるのではなく、上半身だけを捻転して腰部を回転させるだけでは腰痛の予防や解消を目的とした腰部の筋力強化の運動としては効果が薄かった。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術では、使用者は、重みのある回転ディスクを腰部で支えながら、自らが腰を振る運動をすることにより、効果的に腰の運動を促進することを目的としているため、腰部まわりの筋肉が硬化や弱体化して患部の痛みから身体を動かすことが困難な腰痛患者が、当該特許文献3に記載の運動遊戯具を使用すると、余計に腰痛を悪化させる可能性があり、また、回転ディスクの重みを支えるのは腰痛患者にとっては酷であり、したがって、健常者が腰部の筋力を強化する器具としては適しているものの、腰痛の解消を目的とした腰部の強化トレーニングを行うことはできなかった。
【0011】
また、上記特許文献3に記載の技術では、腰部自体は固定されておらず、自由に動かすことができるので、腰部を身体の中心軸に対して旋回する運動を固定して行うことはできず、ベリーダンスのように腰部を水平方向に美しく旋回できるように矯正するためのトレーニングをすることはできなかった。
【0012】
さらに、上記特許文献4に記載の技術では、着座しての使用により臀部と腰部が一緒に円運動するとともに、屈曲した膝が当該円運動に連動して前後に動くために、身体の中心軸が動いてしまい、前述したベリーダンスのような十分な腰部の旋回運動を行うことができなかった。
【0013】
そこで、本発明は、身体の中心軸に対して腰部を旋回運動させることにより、腰部の運動不足解消や、腰痛の症状の効果的な予防や解消のための筋力強化、又は身体の中心軸に対して旋回するように動くベリーダンスのトレーニングを効果的に行うことができ、さらには、胸部、背中、腹部、臀部、膝部の旋回運動をも補助し、各部位の筋力強化や堅くなった膝関節の柔軟性の回復などを効果的に行うことのできる旋回運動補助具を提供することを課題とした。
【0014】
なお、当該各部位を効果的に筋力強化できるのは、当該身体の各部位を特定して身体の中心軸に対して旋回運動すれば、上述したベリーダンスの腰部の動作のように屈曲(臀部を突き出す)、左右の側屈及び伸展(へそを上に向ける)という、各特定部位で可能なほぼ全ての動作を行うことができるためであり、各動作を反復して行うのでバランスよく筋力を鍛えることができるためである。
【0015】
また、ここでは、「身体の中心軸」とは、直立時において頭頂から背骨を通って足元を結ぶラインを言い、「身体の中心軸に対して旋回運動する」とは、当該中心軸を軸芯として上記身体の特定の部位を旋回させることを言い、例えば、身体の中心軸に対する腰部の旋回運動であれば、頭頂から足元を結ぶ中心軸を動かさずに、腰部に特定して旋回させる運動を言う。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載の旋回運動補助具は、所定の駆動手段によって旋回運動を行い、使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持して身体の中心軸に対して旋回運動させる保持部材を有してなることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2に記載の旋回運動補助具は、使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持する保持部材と、手動駆動又は自動駆動によって回転運動を行う回転部材とを、前記回転部材の回転運動を前記保持部材に旋回運動として伝達する運動伝達機構を介して接続し、前記保持部材が前記回転部材の回転運動により身体の中心軸に対して旋回運動することを特徴としている。
【0018】
さらに、請求項3に記載の腰部の旋回運動補助具は、基台と、当該基台上で回転軸によって軸支され、手動駆動又は自動駆動により回転運動を行う回転部材と、当該回転部材の偏心位置に偏心軸を介して回転可能に一端を接続し、中央近傍に長手方向の細長孔が穿設されたアーム部材と、前記基台上から突設して当該アーム部材の細長孔の内側に遊挿し、当該細長孔の内周面に沿わせて当該アーム部材の動作を制御する軸棒部材と、前記アーム部材の他端に固定し、使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持する保持部材とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る請求項1乃至請求項3に記載の旋回運動補助具によれば、腰部などの患部をベリーダンスのように身体の中心軸に対して旋回運動するのを補助することにより、胸部、腰部或いは膝部などの運動不足の解消、または腰痛などの予防や解消を目的とした腰部の運動補助及び筋力強化を行うことができる。また、本発明に係る腰部の旋回運動補助具によれば、当該旋回運動補助具を腰程度の高さの台や机などに固定して使用することができるので、保持部材の旋回運動を水平方向に維持することができ、腰部を水平方向に旋回運動するためのベリーダンス等のトレーニングを行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る旋回運動補助具を示す斜視図である。
【図2】当該旋回運動補助具の旋回運動を示す斜視図である。
【図3】当該旋回運動補助具の使用状態を示す斜視図である。
【図4】他の実施例に係る旋回運動補助具を示す斜視図である。
【図5】他の実施例に係る旋回運動補助具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る旋回運動補助具1を、図面に基づいて具体的に説明する。まず、図1は、本発明に係る旋回運動補助具1を示す斜視図である。なお、ここでは、腰部の旋回運動を補助する場合について説明する。
【0022】
旋回運動補助具1は、板状の基台2と、当該基台2の上面の端部に回転軸3によって回転可能に軸支された円板状の回転部材4と、当該回転部材4の偏心位置に偏心軸5aによって回転可能にその一端が接続され、中央近傍に長手方向の細長孔5bが穿設されたアーム部材5c及び前記基台2の上面から前記細長孔5bの内側に遊挿するように突設した軸棒部材5dからなる運動伝達機構5と、前記アーム部材5cの他端に固定し、使用者の腰部を保持する弧状の保持部材6と、によって基本的に構成され、さらには、アーム部材5cの保持部材6側の端部が基台2と回転部材4との高低差によって下方へと垂れ下がることを防止するための支持台7と、回転部材4を回転させるために手で把持する円柱状の回転把持部8が前記偏心軸5aの軸芯上で且つアーム部材5cの上面に回転可能に設けられている。
【0023】
これらの旋回運動補助具1の各部材は、木製、金属製、合成樹脂製又はこれらの組み合わせで構成される。なお、保持部材6は、使用者の腰部に当接するため、木製やクッション性に優れた合成樹脂製とするのが好ましく、また、保持部材6の使用者の腰部との当接面にクッション性の優れた発泡合成樹脂などのパッド素材(図示せず。)を設け、使用者の腰部への負担を軽減してもよい。
【0024】
次に、当該回転部材4を回転させることによって、弧状の保持部材6を旋回させる様子について説明する。図2は、当該旋回運動補助具1の保持部材6を旋回させる様子を示す斜視図である。回転把持部8を把持して回転部材4を回転させると、当該回転部材4の偏心位置に軸支されたアーム部材5cが回転部材4の回転運動に連動して、偏心軸5aで軸支されたアーム部材5cの一端が回転する。このとき、当該アーム部材5cの中央近傍には細長孔5bが形成され、当該細長孔5bには基台2の上面に突設した軸棒部材5dが遊挿してあるため、アーム部材5cに形成された細長孔5bの内周面が軸棒部材5dに沿うように矢印A方向に前後に摺動し、それにより、アーム部材5cの動作が制御されて、アーム部材5cの他端に固定された保持部材6が、回転部材4の回転運動に連動して旋回運動する。このように、回転部材4の回転運動が、アーム部材5c等の運動伝達機構5を介することにより旋回運動に変換され、アーム部材5cの他端に固定された弧状の保持部材6に伝達される。なお、図示では、回転部材4の回転方向を時計回りに表現したが、時計回り又は反時計回りのどちらであってもよい。
【0025】
当該アーム部材5cの動作を制御する軸棒部材5dは、基台2上から突設されているが、基台2に対する位置を回転軸3に対して距離的に移動させることで、旋回運動半径を変更することができることにより、使用者の体型や体調に合せて保持部材6の旋回運動範囲を変更・調整することができる。すなわち、軸棒部材5dを基台2上に回転軸3に距離的に近づけて突設すれば、保持部材6の旋回運動半径は大きくなり、逆に、距離的に遠ざけて突設すれば、保持部材6の旋回運動半径は小さくなる。このように、軸棒部材5dの突設位置を変更するために、例えば、軸棒部材5dを基台2上でスライド可能な構成としたり、貴台2上に複数の孔を設けて、突設位置を選択して軸棒部材5dを当該孔の1つに嵌設できる構成としたりなど、基台2上での突設位置を変更可能となるように軸棒部材5dを設けてもよい。
【0026】
このように構成した旋回運動補助具1の腰部への使用方法について、図3を用いて説明する。まず、基台2の下面を机などの腰部の高さ程度の台座9に固定する。なお、この基台2の台座9への固定方法は、例えば、粘着ゲルシートなどの着脱可能な粘着シート剤を基台2の底面と台座9の上面の間に挟み込んで固定したり、基台2に螺設用の貫通孔を設け、当該貫通孔9にネジを挿通して台座9の上面にネジ止めしたりするなど、基台2を台座9の上面に固定できればよく、何らこれら例示した固定方法に限定されるものではない。
【0027】
そして、固定した旋回運動補助具1に対して、使用者は、直立した状態で足裏を地面に着面して不動とし、保持部材6の弧状の内側に背中側から押し当て、腰部が位置ずれしないように保持部材6に固定する。その後、使用者とは別の操作者が、回転把持部8を手で把持して手動で回転部材4を回すと、上記運動伝達機構5を介して保持部材6が旋回運動する。そうすると、保持部材6によって固定された使用者の腰部は、保持部材6の旋回運動に伴って、身体の中心軸に対して、且つ水平方向の旋回運動をすることができるようになる。このとき、使用者は、直立して足裏を地面にしっかりと着面した状態で、身体の中心軸を意識しながら、旋回運動補助具1の旋回運動に従って腰部を旋回させる。
【0028】
なお、使用者が腰部を旋回させると身体が左右や前後にブレてしまうこともあるため、使用者が腰部を旋回させている最中においても直立姿勢を維持できるように、旋回運動補助具1の側部などに手摺り(図示せず。)などの手で掴んで姿勢を維持するための部材を設けてもよい。使用者は、当該手摺りを手で掴むことにより、手及び、肩より上の上半身の動きを固定することができ、身体の中心軸をずらすことなく、身体の中心軸に対して腰部を旋回運動するための状態を常に最適に維持することができる。
【0029】
ここでは、回転部材4を手動で回転させたが、回転部材4を回転させる手段は、このような手動駆動に限られるものでなく、次に示す自動駆動により回転部材4を回転させてもよい。図示はしないが、上記の旋回運動補助具1(図1)の構成において、円板状の回転部材4を平歯車形状として基台2上に軸支し、また、基台2にモーターを備え付け、当該モーターに取り付けた歯車と歯車形状の回転部材4とを噛み合わせることにより、モーターを起動すれば回転部材4が回転するように構成する。このように自動駆動により回転部材4を回転可能に構成すれば、手動駆動で回転部材4を回転させた上記の旋回運動補助具1とは異なり、回転部材4を回転させるための操作者を必要とせず、さらに上記モーターの起動スイッチを基台2上に或いはリモコンとして設ければ、使用者が上記モーターの起動スイッチをON操作することにより、1人で旋回運動補助具1を使用することができる。
【0030】
なお、当該回転部材4の回転速度は、手動駆動であれば操作者が使用者の腰痛の具合などを考慮して調整すればよく、また、自動駆動であればモーターの回転速度や歯車の組み合わせを調整すればよい。
【0031】
また、本実施例では、背中側から保持部材6を押し当て腰部を固定したが、腹部側から保持部材6を押し当ててもよい。使用者は、旋回運動補助具1と正対する位置関係にあるので、手動駆動の旋回運動補助具1であれば、駆動状況を目視しながら操作者に旋回運動の速度や開始・停止の指示を出しやすく、自動駆動の旋回運動補助具1であれば、駆動状況を目視しながら使用者自らが安心してリモコンの操作をすることができる。なお、手動駆動の旋回運動補助具1であれば、使用者自らが回転把持部8を把持し、回転部材4を回転させて旋回運動補助具1を使用することもできる。
【0032】
以上により、本発明に係る旋回運動補助具1によれば、使用者は、手動駆動又は自動駆動により回転部材4を回転運動させ、腰部を身体の中心軸に対して旋回させることができ、腰部の運動不足解消や、腰痛の症状の効果的な予防や解消のための筋力強化の運動を行うことができる。また、基台2を腰部と同じ程度の高さの水平の机などの台座9の上に固定して設置すれば、安定して水平方向の旋回運動を使用者にさせることができるので、身体の中心軸に対して旋回するように動くベリーダンスのトレーニングを効果的に行うことができる。このとき、本発明の旋回運動補助具1が腰部の旋回運動を誘導してくれるため、使用者は、身体の中心軸を維持することに意識を集中させることができ、それにより、に腰部の運動不足解消や、腰痛の症状の効果的な予防や解消のための筋力強化の運動、またはベリーダンスのトレーニング等を効果的に行うことができる。
【0033】
上記実施例では、保持部材6を弧状に形成したが、胴体を挿入できる輪状でもよく、腰部が保持部材6から離脱しないように固定できるものであれば何でもよい。また、図4に示すように、弧状の保持部材6の両端にベルト10を設け、保持部材6に背中側から腰部を押し付けた使用者を、当該ベルト10を締めることにより固定すれば、より効果的に腰部を旋回運動させることができる。さらには、アーム部材5cを刺又形状に形成し、当該刺又形状の又部分を保持部材6として腰部を保持するようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施例の運動伝達機構5(図1)は、偏心軸5a、細長孔5b、アーム部材5c及び軸棒部材5dで構成されているが、当該構成に限られるものではなく、カム機構などの動力伝達機構5であって、回転部材4の回転運動を腰部保持部材6の旋回運動に変換できればどのような動力伝達機構5であってもよい。また、上記実施例では、回転運動から旋回運動へと変換したが、所定の駆動手段による直線運動を、種々の動力伝達機構5により旋回運動へと変換し、保持部材6を旋回させてもよい。
【0035】
また、上記実施例では、軸棒部材5dを基台2の上面から突設したが、図5に示すように、支持台7を基台2の中央近傍に設け、その支持台7の上面から軸棒部材5dを突設してもよい。当該軸棒部材5dもアーム部材5cの中央近傍に穿設された細長孔5bに遊挿され、細長孔5bの内周面で軸棒部材5dが沿うようにしてアーム部材5cの動作を制御するように構成する。
【0036】
また、本発明に係る旋回運動補助具1は、上記の腰部や腹部以外にも、胸部、背中、臀部又は膝部に押し当てて使用することができる。当該旋回運動補助具1の保持部材6を胸部やその背中側から押し当てて使用すれば、使用者の胸部が身体の中心軸に対して旋回運動するため、胸部の運動不足の解消や、大胸筋の筋力強化を目的とした胸部の運動を効果的に行うことができる。また、膝部の脹脛側から押し当てて使用すれば、脚部の筋力が弱体化して歩行が困難になった老人や脚部に障害を負った身体障害者などに対し、身体の中心軸に対して膝部を旋回運動させ、適度な脚部の運動を補助することができるため、膝部の運動不足の解消、筋力強化や、堅くなってしまった膝関節の柔軟性を回復させるような運動を効果的に行うことができる。
【0037】
なお、臀部に当該旋回運動補助具1を押し当てて使用した場合には、身体の中心軸を動かさずに、臀部と一緒に腰部が旋回運動するため、腰部に旋回運動補助具1を使用する上記実施例の場合と同様の効果を得ることができる。この場合、保持部材6が弧状であってもよいが、保持部材6を自転車のサドルのような腰掛け可能な形状の部材とすれば、足腰が弱体化した老人などの使用者は、わずかに保持部材6に腰掛けた状態で旋回運動補助具1を使用することができ、楽に、負担を軽減して、より長時間の運動をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
使用者が直立状態ではなく、身体を仰向け又はうつ伏せにした状態でも、旋回運動補助具1を使用することができる。例えば、使用者が仰向け又はうつ伏せになる寝台の腰部当接位置に、旋回運動補助具1を上記実施例(図3)の状態から90°立てた状態で垂直に嵌め込み可能な縦長の設置孔を設け、当該設置孔に保持部材6側を上にした旋回運動補助具1を回転部材4側から挿入して嵌設し、弧状等の保持部材6だけを寝台の表面から露出させることにより、当該保持部材6に腰部等を載置するようにして本発明の旋回運動補助具1を使用し、身体の中心軸に対して旋回運動をすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 旋回運動補助具
2 基台
3 回転軸
4 回転部材
5 運動伝達機構
5a 偏心軸
5b 細長孔
5c アーム部材
5d 軸棒部材
6 保持部材
7 支持台
8 回転把持部
9 台座
10 ベルト
A 矢印


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の駆動手段によって旋回運動を行い、使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持して身体の中心軸に対して旋回運動させる保持部材を有してなることを特徴とする旋回運動補助具。
【請求項2】
使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持する保持部材と、手動駆動又は自動駆動によって回転運動を行う回転部材とを、前記回転部材の回転運動を前記保持部材に旋回運動として伝達する運動伝達機構を介して接続し、前記保持部材が前記回転部材の回転運動により身体の中心軸に対して旋回運動することを特徴とする旋回運動補助具。
【請求項3】
基台と、当該基台上で回転軸によって軸支され、手動駆動又は自動駆動により回転運動を行う回転部材と、当該回転部材の偏心位置に偏心軸を介して回転可能に一端を接続し、中央近傍に長手方向の細長孔が穿設されたアーム部材と、前記基台上から突設して当該アーム部材の細長孔の内側に遊挿し、当該細長孔の内周面に沿わせて当該アーム部材の動作を制御する軸棒部材と、前記アーム部材の他端に固定し、使用者の胸部、背中、腹部、腰部、臀部、膝部のうち少なくとも1つの部位を保持する保持部材とからなることを特徴とする旋回運動補助具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−139344(P2012−139344A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293701(P2010−293701)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【特許番号】特許第4980462号(P4980462)
【特許公報発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(502059984)株式会社 一歩 (15)