説明

既設管路の状態測定方法及び状態測定装置

【課題】 既設管路の部分的な起伏や沈下等の管路の状態を正確に測定でき、供用中でも短時間で精度良く、しかも効率良く測定できる状態測定方法を提供する。
【解決手段】 本体部1と、この本体部から上方に延出し管路Pの上部内壁面に接触するべく上方に付勢された接触体30とを備える測定装置を管路に沿って移動させ、管路内部で水平方向あるいは勾配に沿って基準ビームを発射し、管路の上部内壁面に弾接する接触体30のスケール31上に投射された基準ビームBmの投射位置(測定位置)に基づいて、管路の上部内壁面と基準ビームとの間の距離を測定し、該測定を管路に沿って複数個所で実施することで、管路の状態を測定する。スケール31と、スケールを撮影するカメラ装置45によりスケール上に投射された基準ビームBmの投射位置とスケールの数値を読み取って、管路の上部内壁面と基準ビームとの間の距離d1〜d3を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された下水管等の既設管路の状態測定方法及び状態測定装置に係り、特に、供用中で下水が流下している既設管路の勾配の状態を容易に、しかも精度良く管路の勾配や沈下状況、蛇行状態等の状態を測定できる状態測定方法及び状態測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水管等の管路は、地中に埋設される時には所定の勾配が付けられ蛇行の無い状態に設定されているが、埋設後の時間の経過に伴う地盤沈下や大型車両の走行による加圧等で部分的な沈下や蛇行が発生すると共に、場所によっては隆起が発生する。下水管では、管路に起伏が生じると流れ込んだ土砂等が管路中で堆積しやすくなり、堆積物をそのままにしておくと、下水が溢れやすくなったり、悪臭が発生したりするようになる。そのため、定期的に浚渫して管路内を清掃するといったことが行われる。また、管路が一定のレベル以上に変形してしまって、例えば高さ方向の変化量が一定値以上となり、管路としての機能が損なわれてきたような場合には、既設管路内に新たな樋状のインバート部材を正規の勾配で設置したり、管路を掘り返して新たに設置しなおすといったことが行われている。
【0003】
従来、この種の状態測定方法として、埋設管の一方側から他方側に向け埋設管の規格勾配に投射方向を一致させてレーザビームを投射し、埋設管の他方側から一方側に向けて、前記レーザビームを受光するターゲットが前部に設けられ該ターゲットの後方に前記ターゲットに照射された前記レーザビームのスポットを視認するカメラを備えたカメラ装置を移動させ、前記カメラ装置の埋設管内での各移動位置において、前記ターゲット上での前記スポット位置を検知することにより、前記埋設管の長手方向の各位置における規格勾配からの起伏の変位量を測定する管渠の検査方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−304862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記の管渠の検査方法は、ターゲットとカメラを備えたカメラ装置を埋設管内で移動させるが、カメラ装置は4つの駆動輪で埋設管の内壁に接触した状態で移動するものであり、埋設管内に異物が存在するとカメラ装置の移動が円滑にできず、また測定地点で駆動輪が異物に乗り上げた状態で測定すると、正確な測定ができないという問題点があった。また、下水供用中で、沈下が大きい場合にはカメラ装置が下水中に埋没する虞があり、測定自体が不能となる虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、部分的な起伏や沈下等の管路の状態を正確に測定できる既設管路の状態測定方法を提供することにある。また、雨水や汚水等の、いわゆる下水が流下している供用中でも、既設管路の状態を短時間で精度良く、しかも効率良く測定できる既設管路の状態測定方法及び状態測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明に係る既設管路の状態測定方法は、地中に埋設された下水管等の状態を測定する方法であって、所定の測定位置と前記管路の上部内壁面との間の距離を測定して、この測定を前記管路に沿って複数個所で実施することで、前記管路の状態を測定することを特徴とする。測定位置としては、水平方向あるいは管路の勾配に沿って発射される基準ビーム等が好ましい。
【0008】
下水管等の既設管路は、前記のとおり埋設時には所定の勾配が付けられ蛇行の無い状態に設定されているが、埋設後の時間の経過によって部分的な隆起、沈下や蛇行が発生する。本発明において、既設管路の状態測定とは、埋設時の状態から変化した状態、すなわち、部分的な沈下や隆起による測定時の管路高さの変化量、それに伴う角度変化(勾配変化)、あるいは蛇行等の具合を測定する。高さの変化やそれに伴う勾配変化は垂直方向の管路の変動であり、蛇行は管路の水平方向の変動であり、変動が垂直及び水平の両方向の場合もある。
【0009】
前記のごとく構成された本発明の既設管路の状態測定方法は、測定の基準となる所定の測定位置と、管路の上部内壁面との距離を複数個所で測定し、管路の長手方向の高さ変化量を測定して状態を測定するため、管路底部に堆積物があっても測定装置が影響を受けず、管路の状態を正確に測定することができる。また、管路の上部内壁面には異物が付着することが少なく、正確な測定が可能となる。
【0010】
また、本発明に係る既設管路の状態測定方法の好ましい具体的な態様としては、前記所定の測定位置と前記管路の上部内壁面との間の距離の測定は、本体部と、該本体部から上方に延出し前記管路の上部内壁面に接触するべく上方に付勢された接触体とを備えた測定装置を移動させ、前記管路内部で水平方向あるいは所定の勾配に沿って基準ビームを発射し、前記管路の上部内壁面に弾接する接触体上に投射された基準ビームの投射位置に基づいて測定することを特徴とする。
【0011】
このように構成された既設管路の状態測定方法では、測定装置の本体部から上方に延出する接触体を管路の上部内壁面に弾接させ、水平方向あるいは所定の勾配に沿って発射させた基準ビームを接触体上に投射し、管路の上部内壁面と基準ビームの投射位置との距離を複数個所で測定して管路の高さ変化量を測定して状態を測定するため、管路底部に堆積物があっても測定装置が影響を受けず、管路の状態を正確に測定することができる。
【0012】
前記の距離の測定は、前記接触体に固定されたスケール(目盛)と、該スケールを撮影するビデオカメラ等の撮像装置とを測定装置に設置し、前記スケール上に投射された基準ビームの投射位置と前記スケールの数値に基づいて、前記管路の上部内壁面と前記投射位置との間の距離を測定することが好ましい。撮像装置を用いると、スケール上に投射された基準ビームの投射位置を撮像装置で撮影し、例えば地上に設置されたモニターで管路の上部内壁面と基準ビームの投射位置との距離を測定することで、管路の複数の測定個所での沈下状態や隆起状態、蛇行状態等を測定することができ、任意の間隔で複数地点の測定を行うことで、既設管路の起伏状態や勾配、蛇行の状態を正確に測定することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る既設管路の状態測定方法の好ましい具体的な他の態様としては、前記測定装置は、供用中の下水等の液体が流下している状態で、前記本体部を前記液体に浮かべて移動されるものであること特徴としている。測定装置は上流側から下流側に移動することが好ましく、ロープ等を用いて移動することができる。この構成によれば、供用中の雨水や下水等の液体に、あるいは液体を堰き止めた状態で測定装置を浮かべて移動させることができ、管路の底面に堆積物がある場合でも測定装置の移動が円滑に行え、正確な状態を測定できると共に作業時間を短縮できる。
【0014】
本発明に係る既設管路の状態測定装置は、地中に埋設された下水管等の既設管路の状態を測定する装置であって、本体部と、該本体部から鉛直方向に延出し前記管路の上方の内壁面に弾接する接触体と、該接触体に固定したスケールとを備えることを特徴としている。接触体に固定したスケールを用いて、管路の上部内壁面の高さを測定して既設管路の状態を測定する。本体部は汚水等の液体に対して浮上するものが好適である。
【0015】
このように構成された本発明の既設管路の状態測定装置は、本体部を例えば液体に浮かべて管路内を移動させ、複数の測定点で接触体を管路の上壁面に弾接させ、管路の上部内壁面と基準となる位置との間の距離を測定するので、管路の正確な位置測定ができる。また、管路内での測定装置の移動が速やかに行え、測定時間を短縮できる。基準となる位置としては、管路内に発射された水平あるいは所定の勾配に沿った基準ビームが好ましく、この基準ビームをスケールに投射し、スケールと基準ビームの投射位置とを撮像装置で読み取って、基準ビームから上の上部内壁面までの距離を測定する。
【0016】
前記の状態測定装置において、接触体を昇降させる昇降装置を備えることが好ましい。この構成によれば、測定時に管路上壁面と弾接する接触体を、移動時に降下させるため、測定装置の移動が円滑に行えると共に、接触体の摩耗を防止して正確な測定を長期間実施することができる。
【0017】
また、本発明に係る既設管路の状態測定装置の好ましい具体的な態様としては、前記本体部は、この本体部を前記管路の中心軸に沿わせるべく中央維持機構を備えることを特徴としている。中央維持機構は本体部から管路の両側方壁面に弾接する接触子を備えることが好ましい。この構成によれば、測定装置は管路の中心部に位置するため、管路の中央の最上点の位置を測定でき、管路の測定点における正確な位置測定が行える。
【0018】
本発明に係る既設管路の状態測定装置の好ましい具体的な他の態様としては、管路の上壁面と弾接する接触体は、前記本体部に鉛直維持機構を介して固定されていることを特徴としている。前記鉛直維持機構は、例えば、管路の長手方向に沿う第1の軸に対して揺動可能に固定された第1の支持板と、この支持板に第1の軸と直交する方向に固定された第2の軸と、この第2の軸に揺動可能に固定された第2の支持板とを備え、第1の支持板および第2の支持板は釣合い重りにより水平状態が保たれ、接触体は第2の支持板に固定されることが好ましい。この構成によれば、測定装置の本体部が傾斜しているときでも、管路の上壁面に鉛直に接触体を接触させることができ、管路の位置測定の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、地中に埋設してから長期間が経ち、部分的な起伏や沈下により既設管路の上下方向の高さが変動して勾配が変化している場合や、部分的な水平方向の移動により蛇行している状態変化を正確に、しかも迅速に測定でき、既設管路の修復や校正の必要性を明確に表現することができ、効率の良い修復や校正の資料として利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る既設管路の状態測定方法の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る既設管路の状態測定方法を実施する測定装置の正面図、図2は図1の平面図、図3は管路に設置した状態の左側面図、図4は測定装置の管路方向に沿う要部断面図、図5は図4の平面図、図6は図4のA−A線に沿う要部断面図、図7は図4のB−B線に沿う要部断面図、図8は図6のC部を詳細に示す断面図、図9は図8のD−D線に沿う断面図である。
【0021】
先ず、図1〜3を参照して、既設管路の状態測定方法で使用する測定装置Dについて説明する。この測定装置Dは、液体、例えば供用中の汚水等の液体に浮く本体部1を備えている。本体部1はパイプ状の管体の両端部を舳先部2,2で塞いだ形状をしている。舳先部は本体部1が液体中を少ない抵抗で移動できるように先端が尖っている。本体部1および舳先部2,2は金属板材、あるいはプラスチック材等で形成されており、接続部分は漏水しないように密着されている。測定装置Dは通常の下水管等の管路に設置されたマンホールから容易に挿入できる程度の大きさに設定されており、本実施形態では長手方向の全長が60cm程度に設定されている。
【0022】
本体部1の下方には、2本の翼状のスライダー3,3が管路の中心軸方向であるX軸に沿って固定されている。以下、X軸に直角な水平方向をY軸、垂直方向をZ軸という。スライダー3,3は金属板材、あるいは樹脂で形成され、本体部1の下方の45度方向に突出して固定されている。スライダー3,3は本体部1にネジ止め等により固定されている。スライダーは測定装置Dの本体部1を管路Pの底面から浮かせるものであり、測定装置の移動中、液面が高い場合は管路底面から浮いており、液面が低い場合は管路底面に接触してソリのように機能して移動を容易にする。スライダーは管路の直径に合わせて交換できるようにすることが好ましい。すなわち、管路Pの直径が大きいときは高さの大きいスライダーを使用することで測定装置Dの位置を上昇させて管路の位置を測定することができる。
【0023】
本体部1は流下している下水等の液体により円滑に流下できる形状が好ましく、また測定中に安定した状態で停止できる形状が好ましい。すなわち、複数の測定地点までの移動が円滑にでき、測定地点では液体の流れに逆らわずに停止できる船型の形状が好ましい。特に、本体部の舳先が片側で、供用中の下水等の流速が大きい場合には、舳先を上流側に向けることが好ましい。船型の本体部とすることで、流下している液体は中央の流速が速く周辺ほど遅いため、本体部1は管路Pの中心線に沿って流され、測定時には管路の中心線に沿って安定する。
【0024】
つぎに、図4〜9を参照して、本体部の内部について詳細に説明する。本体部1は、中央の管体の上部が開口しており、開口部4の内部に管路の状態を測定するための機構部が設置されている。本体部1の内部において、開口部4のX軸方向の前方および後方に、水平方向に2枚の支持板5,5が間隔を空けて架け渡されて固定されており、支持板のY軸方向の中央部には軸受6,6が固定されている。一方、対向する支持板5,5の間には外形が長方形状の基板10が位置している。この基板10には中央に取付孔11が形成されている。基板10は支持板の軸受6,6と対向して軸受12,12が固定されている。そして、両軸受6,12を貫通するように支持軸13,13が中心軸方向Xに沿って固定されている。このように、基板10は支持軸13,13によりX軸回りに揺動可能に支持されている。
【0025】
軸受6,6と軸受12,12との間の支持軸13,13には下方に向けて錘支持板14,14が連結され、これらの錘支持板の間に円柱状のバランス錘15が固定されている。このバランス錘15により、支持軸13,13間に揺動可能に支持されている基板10はX軸回りに水平状態が保たれる構成となっている。したがって、管路を輪切りにした断面方向から見て、本体部が僅かに傾斜していても、基板10は水平状態が保たれるように構成されている。
【0026】
基板10の取付孔11には、間隙を有してスケール取付板20が位置している。基板10とスケール取付板20とは、それらの上面が一致するように配置されており、基板10にY軸方向に固定した軸受16,16と、これらの軸受と対向するようにスケール取付板20に固定した軸受21,21との間に、支持軸22が固定されている。この構成により、スケール取付板20は基板10の取付孔11内でY軸回りに揺動可能に支持された構成となる。
【0027】
供用中の下水等の液体に浮く本体部1は、開口部4から上方に向けて突出し、管路の上方の上部内壁面と弾接する接触体30を備えている。接触体30はスケール取付板20に垂直に固定され、スケール取付板20は水平維持機構を介して本体部1に固定されている。これにより、接触体30は鉛直状態に維持される。前記の水平維持機構は、本体部1の支持板5,5間に支持軸13,13を介して支持された基板10と、基板10に支持軸22を介して支持されたスケール取付板20で構成される。
【0028】
スケール取付板20の上面には開口部4から上方に向けて突出し、管路の上壁面と接触する接触体30が固定されている。また、スケール取付板20の下面には円柱状のバランス錘23が錘支持板24,24を介して固定されている。バランス錘23は中心軸方向Xに平行な中心軸に対して左右均等な長さとなっている。前記のバランス錘23は、支持軸22に対して接触体30と釣合いが保たれており、スケール取付板20は本体部1が僅かに傾いた状態でも水平状態が保たれるように構成されている。そして、スケール取付板20に垂直に固定された接触体30は鉛直方向に直立するように構成されている。このように、接触体30はスケール取付板20に固定され、スケール取付板20は基板10に支持軸22で支持されると共にバランス錘23でY軸回りに水平状態に保たれ、基板10は支持板5,5に支持軸13,13で支持されバランス錘15でX軸回りに水平状態が保たれる構成であり、これらにより接触体30の鉛直維持機構が構成される。
【0029】
ここで、スケール取付板20に直角に固定された接触体30について詳細に説明する。接触体30は前記のように管路の上部内壁面と弾接するものであり、寸法を刻んだスケール31を備えている。接触体30は基本的には、外周パイプ部32と内周軸33とが移動可能に嵌合する構造であり、外周パイプ部32がスケール取付板20に固定座金34を介して固定されている。固定座金34はリング状で、固定座金の内部のスケール取付板20は貫通した開口となっている。外周パイプ部32は固定座金34に固定ネジ35で固定されており、水平方向に貫通する固定ネジ35を緩めて外周パイプ部32を上下させることができる構成となっている。
【0030】
外周パイプ部32の下端にはキャップ部36が固定され、このキャップ部の中心を貫通して調整ネジ37が支持されている。調整ネジ37には外周パイプ部32内で調整体38が螺合しており、この調整体と内周軸33の下端との間に圧縮バネ39が装着されている。この圧縮バネ39により内周軸33は外周パイプ部32内で上方に付勢される構成となっており、調整ネジ37の下端のボルト37aを回して調整体38を上下させることで圧縮バネ39の押圧力を調整できる。そして、内周軸33の下端は大径の拡径部33aが形成され、外周パイプ部32の上端に固定された上キャップ部36aにより外部への脱出が防止されている。
【0031】
また、内周軸33の外周には圧縮バネ40が巻回され、内周軸33を下方に押圧している。これにより、内周軸33は圧縮バネ39と圧縮バネ40との差圧で上方に向けて付勢される構成となっており、所定の押圧力で本体部1から鉛直方向Zに向けて延出するように構成されている。内周軸33の上端には接触片41が螺着されている。この接触片が既設管路Pの上方の内壁に弾接するものである。接触片41は上面が球面の一部、あるいは円筒面の一部で前後端部にアールが付いている面で形成されている。
【0032】
内周軸33に刻まれたスケール31には、例えば10mm間隔で刻みが刻設され、上端の接触片41からの距離が表示されている。「50」と表示されている位置は、上端から50mmの位置であり、「100」と表示されている位置は、上端から100mmの位置である。なお、表示は上端からの距離に限らず、例えば中間点を「0」とし、上方に向けて「+10」、「+20」…と表示し、下方に向けて「−10」、「−20」…というように表示してもよい。なお、スケールは直接刻設されたものでなく、定規等の板材を固定したものでもよい。
【0033】
基板(第1の支持板)10は2本の支持軸(第1の軸)13,13によりX軸方向に対して揺動可能に支持され、スケール取付板(第2の支持板)20は基板10に対して軸(第2の軸)22によりY軸方向に対して揺動可能に支持されているため、測定装置Dの本体部1が管路の状態変化や、堆積物の状態によって傾いた状態でも水平状態が保たれるように構成されている。したがって、スケール取付板20から直角に上方に突出する接触体30は鉛直状態が保たれるように構成されている。
【0034】
本体部1は前記のように中央部がパイプ状をしており、両端の開口を塞ぐように舳先部2,2が固着されている。そして舳先部の上部に、図1〜3に示すように撮像装置としてビデオカメラ等のカメラ装置45が固定されている。舳先部から鉛直方向に立設された固定軸46に上下動可能に受け台47が固定され、カメラ装置45は、この受け台にボールジョイント48を介して固定されている。したがって、カメラ装置45を固定軸46に沿わせて上下動させることで撮影範囲を上下させることができ、ボールジョイント48でカメラ装置45を上下左右に旋回させることで撮影範囲を自由に変更することができる。カメラ装置45は接触体30に形成されたスケール31を撮影するように撮影範囲が設定されている。なお、撮像装置はデジタルカメラや光学カメラでもよい。
【0035】
本体部1の外周の両側部には、この測定装置を管路の中心軸に沿わせるための中央維持機構50,50が備えてある。中央維持機構50は本体部1の円周方向に沿って円周受け部51,51が固定され、この円周受け部に中心設定治具52,52が固定されている。中心設定治具52,52は本体部1を既設管路の中心に位置させるように機能するものであり、本体部1の長手方向の中程の位置に左右対称位置に固定される。
【0036】
中心設定治具52は、図8,9に示すように、ベース部53からパイプ部54が突出し、パイプ部内のバネ55,56の差圧で外側に付勢されたガイド軸57が既設管路内面に弾接するものである。バネ55は調整ボルトで移動する調整体58によって押圧力が調整され、ガイド軸57の管路壁面への弾接力を調整できる構成となっている。したがって、中心設定治具52,52の左右のガイド軸57,57が管路内壁の側面に弾接して本体部1が管路の中心に位置するように維持している。中心設定治具52は円周受け部51に移動可能に固定され、管路の直径に合わせて、例えば直径が小さいときには水平となるように固定される。ベース部53を円周受け部51に沿わせて移動することにより、直径の異なる管路でも中心設定治具52を好ましい角度で内壁面に弾接させることができる。
【0037】
前記の如く構成された本実施形態の測定装置Dを用いた既設管路の状態測定方法の動作について、図10,11を参照して以下に説明する。
【0038】
管路Pは、本実施の形態では内径が600mm程度の鉄筋コンクリート製のヒューム管が使用され、管路Pは汚水と雨水が流れる合流管である。管路Pは地中に埋設されてから長期間が経過して老朽化しており、図10に二点鎖線で示す埋設時の勾配Kに対して、不等沈下等により所定の勾配が得られていない状態の部分があり、雨水が流れて流量が多い場合は汚水も同時に流れるが、汚水のみのときは流れにくく滞留しやすい状態であり、補修等により新規の水路が必要となっている。測定装置Dは、管路のこのような状態を迅速に、正確に測定する装置である。なお、管路Pは断面が円環の管路に限られず、断面が馬蹄形や矩形の管路でもよい。
【0039】
管路の状態測定は、例えば隣接している2つのマンホール60,60間ごとに測定することが好ましい。隣接するマンホールが極端に接近し直線的に連続している場合には、中間に位置する1つあるいは2つのマンホールを通過させて測定してもよい。基本的には、測定時に使用するレーザ発射装置の基準ビームが透視できるような直線区間で測定が行われる。状態測定をしようとする管路の区間の一方のマンホール60から、測定装置Dを管路内に搬入する。
【0040】
つぎに、管路Pの下流側にレーザ光を投射するレーザ発射装置61を設置して管路Pの上流側に向けて基準ビームBmを投射し、管路Pの上流側から下流に向けて測定装置Dを移動させて測定する。なお、レーザ発射装置61と測定装置Dの配置を上流側と下流側で逆にし、管路Pの上流側にレーザ発射装置を設置して下流側に向けて基準ビームを投射し、管路Pの下流側から上流側に向けて測定装置Dを移動させて管路Pの隆起や沈下の状態、あるいは蛇行の状態を測定することも可能である。
【0041】
管路Pのマンホール60から作業者が管路内に入り、堰62を形成して流下している供用中の汚水を堰き止めると、汚水は徐々に水位が上昇する。水位は、例えば管路の高さの中心程度まで上昇するように堰の高さを設定する。さらに汚水が流下すると、堰の上端から溢れ出して下流側に流れ出るため、水位は一定に保たれる。なお、図示のように2つの堰62,63を形成し、上流側の堰63の上にポンプ64を設置して、所定の高さの液体を得るようにしてもよい。このようにして、堰を築くことで一定の汚水65が貯留された後、汚水に上流側より測定装置Dを浮かべて管路Pの状態測定を行う。この測定は、2つのマンホール間の距離を所定の距離間隔で分割して測定地点を設定し、測定地点ごとに水平な基準ビームBmに基づいて管路内壁の上部の位置を測定する。
【0042】
レーザ発射装置61を作動させ、水平方向の基準ビームBmを発射する。なお、基準ビームは水平に限らず、例えば僅かな勾配を付けて発射してもよい。本実施形態では、管路の勾配Kに合わせて、下流側から僅かに上昇するような基準ビームBmを発射している。上流側で測定装置Dを浮かべて、接触体30を上昇させ、管路の上部内壁面に弾接させる。測定装置Dは、中央維持機構50,50により管路の中心を通る上下方向の中心線上に位置し、接触体30は管路の最上点に弾接する。この状態で、接触体30のスケール31上に基準ビームBmが当たり、基準ビームに対して、測定地点における管路の上壁面と基準ビームの投射位置(測定位置)との距離がスケール上で明らかとなる。この状態を測定装置に付属しているカメラ装置45で読み取り、例えば地上のモニターで表示することで操作者は測定地点における管路の高さを確認することができる。
【0043】
測定装置Dを液体に浮かべ、測定点まで移動して接触体30を上壁面に弾接させ、カメラ装置45でスケール31部分を撮像する動作を複数個所で実施する。例えば、上流側の測定点T1では、管路Pは最初の勾配Kに対して僅かに隆起しているため、図11aに示すように、モニター66上で基準ビームBmの投射位置はスケール31の下方位置となる。操作者は、基準ビームBmの投射位置から、基準ビームと管路の上壁面との距離(高さ)がd1であることを測定できる。すなわち、管路の埋設時の位置と、測定時の位置とを比較して、測定時の管路の高さを測定している。なお、測定点T1では、管路の下壁面が隆起により上昇しているため、測定装置Dの本体部1は図10に示すように水平状態となっていないが、本体部1から延出する接触体30は鉛直維持機構により鉛直状態となっており、鉛直方向に沿って高さを測定できるため測定精度を向上させることができる。
【0044】
このように、基準ビームBmの投射位置(測定位置)と管路Pの上部内壁面との距離を測定することにより、管路の下方に堆積された異物等の影響を受けることなく、測定点における管路Pの高さを正確に測定することができる。なお、測定装置Dの本体部1は、液体に浮いた状態でも、スライダー3,3が底面と接触した状態でも、基準ビームBmと管路Pの上壁面との距離を正確に測定することができる。また、測定装置Dの本体部1は中央維持機構50,50により管路の中心に位置するため、正確な測定が可能となる。
【0045】
この後、測定装置を中間の測定点T2まで移動して同様に測定する。測定点T2では、管路は最初の勾配に対して変化が無いため、図11bに示すように、基準ビームBmはスケール31の中間位置に投射される。これにより、測定点T2では基準ビームの投射位置と管路の上壁面との距離がd1より小さいd2であることを測定できる。さらに、下流側の測定点T3では、最初の勾配に対して僅かに沈下しているため、図11cに示すように基準ビームBmはスケール31の上方位置に投射される。これにより、測定点T3では基準ビームの投射位置と管路の上壁面との距離がd2より小さいd3であることを測定できる。なお、基準ビームはスポット状に投射されるものや、ライン状に投射されるもの等、適宜の形態のものを使用できる。
【0046】
このように、複数の測定点で測定装置Dの接触体30を管路の上壁面に接触させて管路の高さを測定し、測定装置Dを下流側に例えば1m移動して同様な測定を行う。このようにして、例えば1mごとに基準ビームBmと管路の上部内壁面との間の距離を測定し、1mごとの管路上部の内壁面の高さを連続して測定する。この測定により、状態測定しようとする管路の勾配や、起伏の状態を正確に把握することができる。また、スケール31上に投射された基準ビームBmの投射位置の水平方向の移動を見ることで、管路の蛇行の状態も測定することができる。この場合、広い面積のターゲットを接触体に付設すると水平方向の変動が分かり好ましい。
【0047】
測定装置Dの移動は、例えば2つのマンホールからロープ(図示せず)をそれぞれ挿入し、1本のロープを本体部の一端に接続し、もう1本のロープを本体部の他端に接続し、上流側に接続したロープを緩めて、下流側に接続したロープを引くことにより、測定装置を上流側から下流側に移動させることができる。この他に、測定装置を液体に浮かせた状態で上流側のマンホールから挿入したロープを接続し、ロープを緩めることで流下する汚水等の流れに乗せて移動させることもできる。このように測定装置の管路内での移動は、どのような方法を用いてもよい。
【0048】
本発明の他の実施形態を図12に基づき詳細に説明する。図12は本発明に係る既設管路の状態測定装置の他の実施形態を示す要部断面図である。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、測定装置は、管路の上部内壁面に接触する接触体の昇降装置を備えていることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図12において、接触体70は、管路Pの上部内壁面と接触して、レーザ発射装置から発射される基準ビームに対する管路の位置を測定する機能を有する。接触体70は外周パイプ部71の内部に内周軸72が位置しており、内周軸は圧縮バネ73により上方に付勢されており、昇降装置75はこの圧縮バネの付勢力に対抗して内周軸72を下降させる。すなわち、昇降装置のモータ76には巻取りプーリ77が固定され、巻取りプーリに巻回されたワイヤ78の端部が内周軸72の下端に接続されている。モータ76を作動させることでワイヤ78が巻き取られ、内周軸72を下降させるように構成されている。なお、図12の接触体70では、管路の上壁面に弾接する接触片74は舟底形をしており、管路の上壁面と広い面積で接触することができるため、測定時の磨耗を減らすことができる。
【0050】
この実施形態では、測定装置Dを測定点まで移動するとき接触体70を昇降装置75により下降させている。これにより、測定装置の管路内での移動時に接触体70と壁面との接触抵抗を減らすことができて移動が容易となる。また、図示していないが中央維持機構50の左右のガイド軸57,57も内側に移動させて管路壁面から後退させ、ガイド軸を離した状態として移動すると好ましい。そして、測定装置を移動するたびに接触体を下降させて同様な測定を行う。このようにして、例えば1mごとに基準ビームと管路の上部内壁面との間の距離を測定し、1mごとの管路上部の内壁面の高さを連続して測定する。この測定により、状態測定しようとする管路の勾配や、起伏の状態を正確に把握することができる。
【0051】
つぎに、本発明に係る既設管路の状態測定方法の他の実施形態について、図13を参照して説明する。この実施形態では、管路Pの上流側のマンホール80と下流側のマンホール81との間の管路の状態測定を実施する。先ず、下流側の管路底面に堰82を形成して、供用中の下水を堰き止める。そして、マンホール80,81に作業者M1,M2が入り、堰き止められた汚水83に測定装置Dを浮かべる。作業者M1は測定装置Dの一端部にロープR1を接続して上流側より測定装置Dを流下させる。測定装置Dが下流側のマンホール81に到達すると、作業者M2は測定装置Dの他端にロープR2を接続すると共に、メジャー84の測定尺部85の先端を接続する。メジャー84は、例えば50m程度のスチール巻尺が好ましい。
【0052】
この後、上流側の作業者M1がロープR1を手繰り、測定装置Dを引き寄せると、メジャー84は徐々に延び出して管路内の測定装置の位置を確認することができる。例えば、管路に状態を1m間隔で測定するときは、メジャー84の延び出し量が1mの個所で測定を行う。この測定も、前記の実施形態と同様に、図示していない基準ビームの投射位置を接触体30のスケール31で読み取って、管路上壁面との距離を測定して行う。この実施形態では、両側のマンホールから作業者M1,M2がロープR1,R2を用いて測定装置Dを容易に移動させることができ、測定個所の確認がメジャー84を用いて容易に確認できるので、管路の状態測定作業が短時間で効率良く行える。管路内の測定装置Dの位置を確認する手段としてメジャーを用いたが、レーザ距離計等の他の測定機器を使用することができ、この種の測定機器を使用することで、管路内の状態測定を効率良く行える。
【0053】
本発明に係る既設管路の状態測定方法のさらに他の実施形態について、図14を参照して説明する。この実施形態は、基準ビームが投射されるスケールが水平方向に幅広で、管路の蛇行の状態が容易に測定できることを特徴としている。スケール90は概略楕円形状をしており、鉛直方向に「20」〜「70」の数字が付されると共に、水平方向に「10」〜「50」の数字が付されている。鉛直方向の数字は管路の上部内壁面と弾接する接触体30の伸縮軸の先端に固定される接触片41の上端からの距離を示している。また、水平方向の数字は接触体30の中心から左右方向への距離を示している。なお、水平方向の数字は削除してもよい。また、数字の代わりに、マスメを1mmピッチで形成するようにしてもよく、マスメを色分けする等、適宜の変更をすることもできる。
【0054】
このように構成されたスケール90を使用すると、前記の実施形態と同様に管路の上部内壁面と基準ビームBmとの間の距離が測定できると共に、その測定点での管路の水平方向のずれ、すなわち蛇行量を測定することができる。図示の例では、ビームBmの投射位置であるスポットS(測定位置)に基づいて、この測定点においては、上部内壁面と基準ビームとの距離は「51」mm程度であり、管路の中心軸は左方向に「5」mm程度ずれている。このように測定された管路の状態は、測定装置に備えられたカメラ装置45で撮像され、例えば地上に設置されたモニター66で表示される。このスケール90は接触体30に容易に付け替えることができ、蛇行幅に合わせて左右の幅の大きさを変えることができることが好ましい。
【0055】
前記の実施形態では、測定装置Dの本体部1に固定された中央維持機構50は、本体部1の前後の略中央の左右に1対固定された例を示したが、図15aに示す測定装置D1のように、本体部1の左右の対称位置に中央維持機構50を2対固定するよう構成してもよく、図15bに示す測定装置D2のように、本体部1の片側に中央維持機構50を2個固定し、反対側に中央維持機構50を1個固定するように構成してもよい。このように構成すると、本体部1は管路内での水平面方向の旋回が防止されて安定した状態を維持できるため、管路の状態をより正確に測定することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、測定装置の本体部は、下水等の液体に浮く船形状のものを示したが、発泡材から形成された軽量の浮き体や、タンク形状等の浮く形状でもよいことは勿論である。
【0057】
スケールを読み取るカメラ装置は、本体部の中心線上に設置しスケールを正面から読み取る構成としたが、発射された基準となるレーザビームを避けるように中心線からずらして設置してもよい。この場合は、カメラ装置はスケールを斜めから読み取って基準となるレーザビームの位置を確認する。
【0058】
測定装置は供用中の下水等の液体に浮かせて状態を測定する例を示したが、供用中の下水でなく、下水を堰き止めた状態で上水を注入し、この上水に測定装置を浮かべて沈下や隆起等の管路の状態を測定することもできる。この場合、堰き止めた下水等の液体は、バイパス管等を用いて下流側に放流することが好ましい。前記した実施形態では、測定装置の本体部にスライダーを固定しており、このスライダーは周方向の接触幅が狭く構成されているため、水位が低く、本体部が完全に浮いた状態でなく、管路底面に異物がある状態でも、測定装置をスムーズに移動することができる。また、スライダーに代えて、複数の車輪を固定し、管路内の移動を円滑に行うようにしてもよい。
【0059】
基準ビームがスケール上に投射された位置を読み取る例として、カメラ装置を使用してモニター上で読み取る例を示したが、管路の上壁面と接触する接触体に受光素子を使用して、基準ビーム位置を確認するように構成してもよい。また、受光素子としてリニア型のCCDを使用して基準ビームの投射位置を直接読み取るように構成してもよい。
【0060】
管路の上壁面に弾接する接触体を付勢する押圧力は、2つのバネの差圧による例を示したが、1つのバネ力により接触体を壁面に接触させるように構成してもよい。また、本体部を管路の中央に位置させる中央維持機構のガイド軸を付勢する押圧力も2つのバネの差圧による例を示したが、この押圧力も1つのバネ力によるものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の活用例として、前記の測定装置を用いて暗渠等の勾配測定の用途にも適用できる。また、前記の測定装置は液体に浮かべて測定できると共に、液体の無い状態でもスライダーを管路の底面に摺接させて移動して測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る既設管路の状態測定方法で使用する測定装置の一実施形態を示す正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の測定装置を管路に設置した状態の左側面図。
【図4】図1の測定装置の管路方向に沿う要部断面図。
【図5】図4の要部を示す平面図。
【図6】図4のA−A線に沿う要部断面図。
【図7】図4のB−B線に沿う要部断面図。
【図8】図6のC部を詳細に示す断面図。
【図9】図8のD−D線に沿う断面図。
【図10】状態測定を実施する既設管路の長手方向の断面図。
【図11】状態測定の動作を示す管路断面図。
【図12】本発明に係る測定装置の接触体の他の実施形態を示す要部断面図。
【図13】既設管路の状態測定方法の他の実施形態を示す既設管路の長手方向の断面図。
【図14】スケールの他の例を示す要部斜視図。
【図15】(a),(b)はそれぞれ測定装置の他の例を示す要部平面図。
【符号の説明】
【0063】
1:本体部、5:支持板、10:基板(第1の支持板)、13:支持軸(第1の軸)、15:バランス錘、20:スケール取付板(第2の支持板)、22:支持軸(第2の軸)、23:バランス錘、30:接触体、31,90:スケール、45:カメラ装置(撮像装置)、61:レーザ発射装置、50:中央維持機構、60:マンホール、65:汚水(液体)、66:モニター、75:昇降装置、76:モータ、77:巻取りプーリ、78:ワイヤ、D,D1,D2:測定装置、P:管路、Bm:基準ビーム、d1〜d3:距離(高さ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された下水管等の既設管路の状態を測定する方法であって、
所定の測定位置と前記管路の上部内壁面との間の距離を測定して、該測定を前記管路に沿って複数個所で実施することで、前記管路の状態を測定することを特徴とする既設管路の状態測定方法。
【請求項2】
前記所定の測定位置と前記管路の上部内壁面との間の距離の測定は、
本体部と、該本体部から上方に延出し前記管路の上部内壁面に接触するべく上方に付勢された接触体とを備えた測定装置を移動させ、
前記管路内部で水平方向あるいは所定の勾配に沿って基準ビームを発射し、
前記管路の上部内壁面に弾接する接触体上に投射された基準ビームの投射位置に基づいて測定することを特徴とする請求項1に記載の既設管路の状態測定方法。
【請求項3】
前記測定装置は、供用中の下水等の液体が流下している状態で、前記本体部を前記液体に浮かべて移動されるものであることを特徴とする請求項2に記載の既設管路の状態測定方法。
【請求項4】
地中に埋設された下水管等の既設管路の状態を測定する装置であって、
本体部と、該本体部から鉛直方向に延出し前記管路の上部内壁面に弾接する接触体と、該接触体に固定したスケールとを備える既設管路の状態測定装置。
【請求項5】
前記本体部は、該本体部を前記管路の中心軸に沿わせるべく中央維持機構を備えることを特徴とする請求項4に記載の既設管路の状態測定装置。
【請求項6】
前記接触体は、前記本体部に鉛直維持機構を介して固定されていることを特徴とする請求項4または5に記載の既設管路の状態測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−78396(P2006−78396A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264053(P2004−264053)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【出願人】(503315702)クボタシーアイプラテック株式会社 (16)
【Fターム(参考)】