説明

日付印ユニット及び回転印ユニット

【課題】日付印の印字ベルトの刻印位置を簡単な構成で正確に把握することができ、日付印の日付を自動的にかつ正確に合わせることができる日付印ユニット及び回転印ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の日付印ユニットは、スライド枠が日付印本体に対して相対移動することにより、複数の印字ベルトの回動制限又は回動許容がなされる回転印体を有する日付印と、時計機能を有する制御部の制御により、ベルト回動機構が日付印収納部に収納された日付印の回転印体を回動させて日付合わせを行う日付制御装置とを備える日付印ユニットにおいて、日付印の各印字ベルトが、それぞれの位置を認識させる1又は複数の被検出部を有し、日付制御装置が、ベルト回動機構により回動する各印字ベルトの各被検出部を検出する検出部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日付印ユニット及び回転印ユニットに関し、例えば、日付印や回転印の印字ベルトを自動的に調整して、日付合わせを行う日付印ユニット及び回転印ユニットに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来から日付印や回転印はよく知られており、特にオフィスにおいて幅広く使用されている。
【0003】
従来の一般的な日付印は、日付印本体と、印字面を固定するスライド式の外枠(以下、スライド枠ともいう)とを有しており、利用者が手動でスライド枠を相対移動させ、例えば年、月、日、時等が刻印された複数の印字ベルトを手動で回転させることにより日付合わせを行い、日付合わせ後に、再度手動でスライド枠を移動させることで印字面の日付を固定させるようにしている。
【0004】
このように、一般的な日付印は、利用者が手動で日付合わせを行っているが、利用者の手動による日付合わせの手間を解消するために、例えば特許文献1に記載されているように、自動的に日付印の日付合わせを行う技術がある。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、常時時刻を計時する計時回路と、計時回路の出力信号により日付印の印字面の日付活字を設定する日付設定装置を備え、日付印を装置に押し込む押印力を日付活字変更駆動源に変換して、これにより日付活字を変更するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭59−48864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、日付印を利用する利用者は、毎日の日付合わせの手間や日付の合わせ間違いなどを回避することが必要であるから、自動的にかつ正確に日付印の日付合わせを行うことを強く望んでいる。
【0008】
例えば、オフィス等の利用者は、前日の退社時にコントローラに日付印を装着しておき、次の日に出社したときには、日付印の日付が自動的に正しい日付になっていることが望まれる。
【0009】
上述した特許文献1の記載技術は、日付印の押印力を利用して機械的に日付合わせを行っているが、日付印の利用時に、日付合わせのために、利用者が日付印を装置に押し込む作業が必要となり、自動的な日付合わせを行うものではない。そのため、特許文献1の記載技術を用いても、利用者の手間を省いて、日付印の日付合わせを自動的に行うことはできないという課題がある。
【0010】
また、正確な日付合わせを行うためには、コントローラが、印字ベルトに刻印されている月や日等の刻印位置を正しく把握して、各印字ベルトを回動させることが必要である。
【0011】
例えば、印字ベルトの回動制御において、刻字のピッチに合わせて歯車の回転量を調整する際、歯車の回転量を調整しても、印字ベルトが回動可能な状態においては、少しの負荷が加わっただけで印字ベルトが動いてしまうこともあり、必ずしも印字面に正しく日付を導くことができない場合がある。また、刻印位置が一度ずれてしまうと、その後の印字ベルトの回動もずれてしまい正確な日付合わせができない場合もある。
【0012】
また、印字ベルトの位置を正確に判断する方法として、例えば、日付印の印字ベルトの刻印位置を正確に把握する機構を新たに設けることが考えられる。しかし、このような機構を設けると、日付印ユニットの構成規模が大型化、複雑化する課題がある。
【0013】
さらに、スライド枠により印字面の日付を固定する必要があるが、スライド枠が締まっている状態であっても、印字ベルトはわずかに回動するので、日付印をコントローラから取り外したときに、印字面の月・日等の印字部がきれいに一列に整列しておらず、僅かに月・日等の印字がずれてしまうことが生じ得る。そのため、日付印を利用する際に、印字面の印字が整列するように微調整して、印字面の印字の位置ずれを補正することが望まれている。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みたものであり、日付印の印字ベルトの刻印位置を簡単な構成で正確に把握することができ、日付印の日付を自動的にかつ正確に合わせることができる日付印ユニット及び回転印ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の日付印ユニットは、スライド枠が日付印本体に対して相対移動することにより、複数の印字ベルトの回動制限又は回動許容がなされる回転印体を有する日付印と、時計機能を有する制御部の制御により、ベルト回動機構が日付印収納部に収納された日付印の回転印体を回動させて日付合わせを行う日付制御装置とを備える日付印ユニットにおいて、(1)日付印の各印字ベルトが、それぞれの位置を認識させる1又は複数の被検出部を有し、(2)日付制御装置が、ベルト回動機構により回動する各印字ベルトの各被検出部を検出する検出部を有することを特徴とする。
【0016】
第2の本発明の回転印ユニットは、スライド枠が回転印本体に対して相対移動することにより、複数の印字ベルトの回動制限又は回動許容がなされる回転印体を有する回転印と、時計機能を有する制御部の制御により、ベルト回動機構が回転印収納部に収納された回転印の回転印体を回動させて所望印字部に合せる回転制御装置とを備える回転印ユニットにおいて、(1)回転印の各印字ベルトが、それぞれの位置を認識させる1又は複数の被検出部を有し、(2)回転制御装置が、ベルト回動機構により回動する各印字ベルトの各被検出部を検出する検出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、日付印の印字ベルトの刻印位置を簡単な構成で正確に把握することができ、日付印の日付を自動的にかつ正確に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の日付印ユニットの構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態の日付印の構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態の日付印の回転駆動機構の構成を示す構成図である。
【図4】第1の実施形態の位置確認機構の構成を示す構成図である。
【図5】第1の実施形態の位置確認機構が印字ベルトを送り出す様子を説明する説明図である。
【図6】第1の実施形態のスライド枠及び印字面補正機構の構成を示す構成図である。
【図7】第1の実施形態の印字面補正機2が印字ベルトの印字面の位置を補正する動作を説明する説明図である。
【図8】第1の実施形態のコントローラの構成を示す構成図である。
【図9】第1の実施形態の回転伝動機構の構成を示す構成図である。
【図10】第1の実施形態のベルト回動機構の構成を示す構成図である(その1)。
【図11】第1の実施形態のベルト回動機構の構成を示す構成図である(その2)。
【図12】第1の実施形態の検出部による被検出部の検出方法を説明する説明図である。
【図13】第1の実施形態のコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図14】第1の実施形態のベルト回動制御部のベルト回動処理を示すフローチャートである。
【図15】変形実施形態の検出部による被検出部の検出方法を説明する説明図である。
【図16】変形実施形態のベルト回動制御部のベルト回動処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る日付印ユニット及び回転印ユニットの第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
第1の実施形態では、本発明を利用して、日付印の印字ベルトを自動的に調整して、日付印の日付を正確に合わせる日付印ユニットに適用した場合の実施形態を例示する。
【0021】
(A−1)外観構成
図1は、第1の実施形態の日付印ユニットの外観構成のイメージを示す外観図である。図1に示すように、第1の実施形態の日付印ユニット3は、日付印1、コントローラ2を有して構成されるものである。
【0022】
日付印1は、年、月、日等の印字が刻印された複数の印字ベルトを有する回転日付印である。日付印1は、コントローラ2に装着すると、コントローラ2の回転駆動を受け、印字ベルトが回転して日付合わせを行うものである。日付印1は、既存の回転日付印を用いるようにしてもよいが、第1の実施形態では、コントローラ2からの回転駆動力により印字ベルトが回転する専用の回転日付印を用いることとする。この専用の日付印1の構成については後述する。
【0023】
コントローラ2は、内部に有する時計部の日付に合わせて、装着された日付印1の印字ベルトを回転させ、日付印1の印字面13に現れる日付を自動的に変更するものである。コントローラ2は、日付印1を収納する日付印収納部20を有し、この日付印収納部20に日付印1が収納されると、その日付印1を日付合わせの対象とする。
【0024】
図1(A)は、コントローラ2から日付印1を取り出した状態の構成図である。日付印1を使用する場合、図1(A)に示すように、コントローラ2から日付印1を取り外して用いる。
【0025】
図1(B)は、日付印1をコントローラ2に装着した状態の構成図である。例えば、業務終了後に、日付印1をコントローラ2に収納する際の状態である。この状態にして時計部の日付が変更すると、コントローラ2が日付印1の印字ベルトを回転させて日付を自動的に合わせるようにする。
【0026】
なお、図1(A)及び(B)に示すコントローラ2の外観構成は一例であり、この外観構成に限定されるものではない。従って、図1(A)及び(B)では、コントローラ2の日付印収納部20の位置は、中央部のやや左側にある場合を例示するが、例えば右端又は左端などとしても良い。また、図1(A)及び(B)では、日付印1の横置き型を例示するが、縦置きや斜めから日付印1を差し入れる構成としてもよい。
【0027】
(A−2)日付印1の構成について
図2は、日付印1の構成を説明する説明図である。図2(A)及び(B)は、日付印1の外観図であり、図2(C)は、日付印1の内部を上から見た透視図である。
【0028】
図2(A)及び(B)において、日付印1の外観構成は、日付印本体11、スライド枠12、印字面13、対向側面に1対の第1凸部14、対向側面に1対の第2凸部15、長孔16、軸体18を少なくとも有するものである。
【0029】
また、図2(C)において、日付印1は、その内部に、例えば年、月、日等の印字を刻印した3本の印字ベルト17a〜17cが3列に並べてなる回転印体が組み込まれている。各印字ベルト17a〜17cを回転させる回転印体の回転駆動機構については後述する。
【0030】
日付印本体11の先端部には、スライド枠12が結合されている。スライド枠12は、印字ベルト17a〜17cの印字部分を突出するための窓部(例えば貫通孔部等)を有している。スライド枠12の先端部には、印字面13が固着されており、スライド枠12の窓部から露呈する印字ベルト17a〜17cとマスタ印体とが結合することで、日付が付された印体を提供できる。
【0031】
なお、第1の実施形態では、マスタ印体がスライド枠12に固着されている日付印1を例示するが、マスタ印体が固着されていない回転印にも広く適用することができる。
【0032】
また、スライド枠12は、対向する両側面に1対の第1凸部14を有している。また、日付印本体11は、対向する両側面に1対の第2凸部15を有している。なお、図2において、第2凸部15は、日付印本体11の下部に位置している場合を例示するが、日付印本体11の上部や日付印本体11の中央部に備えるようにしてもよい。
【0033】
第1凸部14及び第2凸部15は、日付印1をコントローラ2に収納する際に、スライド枠12と日付印本体11とを相対移動させて、印字ベルト17a〜17cを回転可能な状態にする際に寄与するものである。
【0034】
また、第1凸部14及び第2凸部15は、コントローラ2から日付印本体11を取り外す際に、スライド枠12を元の位置まで相対移動させて、印字ベルト17a〜17cの回転を制限する状態にする際に寄与するものである。
【0035】
さらに、スライド枠12は、軸体18(例えばボルト)と対向側面に長孔16とを有している。ここで、日付印本体11とスライド枠12との結合は、例えば、日付印本体11に孔があり、スライド枠12の一方の長孔16に軸体18を挿入し、日付印本体11の孔に軸体18を貫通させ、スライド枠12の他方の長孔16から軸体18を貫通させて軸体18にネジを螺合することにより結合させる。
【0036】
日付印本体11にスライド枠12を結合させることにより、スライド枠12は、日付印本体11に対して相対移動ができるものとなる。
【0037】
図2(A)に示すように、スライド枠12が相対的に日付印本体11の方向へ移動した場合、スライド枠12の窓部が印字ベルト17a〜17cに嵌り、印字面が固定される。このとき、それぞれの印字ベルト17a〜17cは、日付合わせのための回転が規制される状態(以下、ベルト回動規制状態という)となる。
【0038】
一方、図2(B)に示すように、スライド枠12が相対的に日付印本体11から離れる方向に移動した場合、スライド枠12による印字ベルト17a〜17cの固定が開放される。このとき、印字ベルト17a〜17cは、日付合わせのための回転が可能な状態(以下、ベルト回動可能状態という)となる。
【0039】
日付印本体11の内部には、年、月、日等が刻印されている複数の印字ベルト17a〜17cと、印字ベルト17a〜17cを回転駆動させる回転駆動機構とがある。
【0040】
印字ベルト17a〜17cのそれぞれは、例えば32個の凸部を有する構成であり、それぞれの凸部には、年、月、日が刻印されている。以下では、印字ベルト17a〜17cの1個の凸部を1コマと表現して説明する。なお、印字ベルト17a〜17cの凸部の数は、特に限定されるものではない。
【0041】
また、印字ベルト17a〜17cはそれぞれ、図2(D)に示すように、被検出部171を有する。被検出部171は、後述するコントローラ2に各印字ベルト17a〜17bの位置を把握させるためのものである。被検出部171は、例えば、32個の凸部のうち1個が、他の凸部よりも高い突状の突起部で構成される。コントローラ2は、この被検出部171を検出することで、当該印字ベルト17a〜17cの位置を把握することができ、この被検出部171の検出位置を元として、日付合わせに応じた印字部を露出させるように印字ベルト17a〜17cを回転駆動させることができる。
【0042】
なお、図2(D)では、各印字ベルト17a〜17cが被検出部171を1個有する場合を例示するが、2個以上備えるようにしてもよい。
【0043】
第1の実施形態では、日付印1が3本の印字ベルト17a〜17cを備える場合を例示するが、本発明を回転印に適用するような場合には、少なくとも1本以上とする印字ベルトを備える回転印に広く適用することができる。
【0044】
ここで、従来の日付印は、各印字ベルト17a〜17cを回転させる操作回転子が突出しており、利用者は、この操作回転子を手動で回転させることにより、印字ベルト17a〜17cを回転させ、日付合わせを行っている。
【0045】
これに対して、第1の実施形態では、従来の日付印のような各印字ベルト17a〜17cの操作回転子を突出させていない。これは、印字ベルト17a〜17cの操作回転子を突出させないようにすることで、利用者による安易な日付合わせができなくすることができ、日付改竄を防止することができる。また、日付印1をコントローラ2にセットした場合にのみ操作回転子が回転可能なように構成すれば、コントローラ2を用いない日付合わせが不可能になるため、日付改竄防止の観点で有用である。
【0046】
なお、日付改竄防止の観点から、安易に印字ベルト42が露出しないように、所定の鍵を設けるようにしてもよい。この鍵は、日付印1をコントローラ2にセットした際にのみ開くようにすれば、鍵を開ける操作が不要になり、かつ、良好な日付改竄防止性能を発揮できる。
【0047】
(A−3)位置確認機構について
図3は、日付印1の印字ベルト17a〜17cを回転させる回転駆動機構の構成を示す構成図である。図3は、ベルト回動可能状態にある日付印1の内部構成を側面から見た透視図である。
【0048】
図3において、日付印1は、第1回転輪31、第2回転輪32、位置確認機構33、印面押出部34を少なくとも有する。
【0049】
位置確認機構33は、コントローラ2のベルト回動機構26から回転駆動を受けて、印字ベルト17a〜17cを回転駆動させるものである。また、位置確認機構33は、印字部を1コマずつ送り出しを行うことで、印字ベルト17a〜17cの刻印位置(印字部の位置)を確認しながら、印字ベルト17a〜17cを回動させるものである。
【0050】
第1回転輪31、第2回転輪32及び印面押出部34は、位置確認機構33により回動する各印字ベルト17a〜17cの張力を張りながら、印字ベルト17a〜17cの回動を案内するものである。
【0051】
第1回転輪31及び第2回転輪32は、例えば、ローラなどを適用することができ、第1回転輪31は、スライド枠12に近い側に設けられ、第2回転輪32は、スライド枠12から遠い側に設けられている。
【0052】
また、印面押出部34は、例えば、押板などを適用することができ、ベルト回動可能状態の場合には、日付印1の先端で各印字ベルト17a〜17cの回動を案内するものであり、ベルト回動規制状態の場合には、印字ベルト17a〜17cの印字部を印字面13の窓部41から露出させるものである。
【0053】
図4は、位置確認機構33の構成例を説明する斜視図である。また、図5は、位置確認機構33が印字ベルト17a〜17cを送り出す様子を説明する説明図である。
【0054】
図4に示すように、位置確認機構33は、印字ベルト17a〜17cの凸部を1コマずつ嵌合する嵌合部331と、コントローラ2から回転を受ける歯車部332とが一体的に結合されたものである。
【0055】
日付印1が、コントローラ2に収納され、ベルト回動可能状態となると、位置確認機構33の歯車部332は、コントローラ2のベルト回転起動機構26を構成する歯車と嵌合する。また、歯車部332がコントローラ2のベルト回転駆動機構26から回転駆動を受けると、歯車部332が回転し、歯車部332と一体とする嵌合部331も回転する。
【0056】
このとき、嵌合部331は、図5に示すように、印字ベルト17a〜17cの凸部を1コマずつ嵌合し、回転に伴い1コマずつ送り出しを行う。
【0057】
このように嵌合部331が1コマずつ印字ベルト17a〜17cを送り出すことにより、印字ベルト17a〜17cの刻印位置(凸部)を正確に把握することができる。そのため、コントローラ2による回転制御に係る歯車の回転量と、印字ベルト17a〜17cに印字されている年、月、日等の刻印位置との関係を正しく調整することができ、刻印位置のずれを防止することができる。
【0058】
ここで、図4及び図5に示す嵌合部331は、位置確認機構33の1回転につき、7コマの凸部を送り出す場合を例示するが、1回転につき嵌合部331の送り出すコマ数は、コントローラ2の回転制御に係る歯車の回転数との調整が可能であれば、特に限定されるものではない。
【0059】
また、嵌合部331は、軸を中心として放射状に設けた複数の羽から構成され、隣り合う羽同士で形成される形状が台形形状となっている。これは、印字ベルト17a〜17cの凸部が矩形又は台形形状である場合に、第1回転輪31又は第2回転輪32から嵌合部331に送り込まれる際、嵌合部331との嵌り具合が良く、刻印位置を正確に確認することができる。
【0060】
なお、図4に示す位置確認機構33の構成例は、1本の印字ベルト17a〜17cを送り出すものを例示している。上述したように、第1の実施形態の日付印1は、3本の印字ベルト17a〜17cを備えるので、この場合には、それぞれの印字ベルト17a〜17cの送り出しを行う3個の位置確認機構33を並べた構成とすることができる。
【0061】
また、図3では、位置確認機構33が日付印本体11の下部に位置する場合を例示するが、印字ベルト17a〜17cの凸部を嵌合することができれば、位置確認機構33の位置はどこであってもよく、例えば日付印本体の11の上部に配置するようにしてもよい。また、部品数は増える事になるが、嵌合部により印字ベルト17a〜17cを送り出す機構を2個以上備えるようにしてもよい。
【0062】
(A−4)印字面補正機構について
次に、日付印1の印字面13に露出する印字部の位置ずれを補正する印字面補正機構について、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0063】
印字面補正機構は、スライド枠の窓部に回転印体の印字部を露出させる際に、回転印体の回動を抑止して、窓部に露出する印字部の位置を決定するものである。印字面補正機構は、印面押出部34、印字ベルト17a〜17c、及び、スライド枠12の内側機構を構成要素とするものである。
【0064】
以下では、図6を用いてスライド枠12の構成を説明した上で、図7を参照しながら印字面補正機構の構成及び印字面13の位置補正の動作について説明する。
【0065】
図6は、日付印1のスライド枠12の構成を示す構成図である。図6(A)はスライド枠12の正面斜視図であり、図6(B)はスライド枠12の後方斜視図であり、図6(C)はスライド枠12の後方正面図であり、図6(D)はスライド枠12の側面断面図である。
【0066】
スライド枠12は、図6(A)及び(B)に示すように、対向側面に1対の第1凸部14、軸体18を貫通させる長孔16、印字ベルト17a〜17cの印字部(凸部)を露出させる窓部41を少なくとも有する。また、スライド枠12は、図6(C)に示すように、スライド枠12の内側に位置ずれ防止部42を有する。
【0067】
窓部41は、ベルト回動規制状態において、印面押出部34により押し出された印字ベルト17a〜17cの印字部を露出する窓(開口)である。窓部41の開口は、矩形形状であり、例えば、図6(A)〜図6(C)において、スライド枠12の縦方向をy方向、横方向をx方向とすると、x方向の開口長がy方向の開口長より長い形状である。
【0068】
位置ずれ防止部42は、ベルト回動規制状態において、印字面13の窓部41から露出する印字部の位置ずれを防止するものである。位置ずれ防止部42は、例えば、図6(D)に示すように、スライド枠12の内側において、印字面13の窓部41のx方向の開口の縁に段差となる構造である。
【0069】
位置ずれ防止部42がこのような構成をとることにより、印字ベルト17a〜17cを、窓部41と段差になっている位置ずれ防止部42と、印面押出部34との間に挟むことができるので、印字ベルト17a〜17cの動きを抑止することができ、窓部41から露出する印字部の位置ずれを防止することができる。
【0070】
図7は、印字面補正機構の構成及び印字面13の位置ずれの補正動作を説明する説明図である。図7(A)はベルト回動可能状態の場合を示し、図7(B)はベルト回動規制状態を示す。
【0071】
図7において、印面押出部34の形状は、先端に近づくほど、その厚みが小さくなるような傾斜構造となっている。そのため、図7(A)に示すように、ベルト回動可能状態のとき、印面押出部34は、印字ベルト17a〜17cの回動を滑らかに案内することができる。
【0072】
また、印面押出部34の先端は、印字ベルト17a〜17cの印字部(凸部)の幅と略等しい長さとなっている。そのため、図7(B)に示すように、ベルト回動規制状態になると、印面押出部34は、印字ベルト17a〜17cの裏側から印字部を正確に押し出し、印字面13の窓部41から印字部を露出させることができる。
【0073】
また、図7(B)に示すように、印字面13から露出する印字部に隣接する2個の印字部(凸部)の側面で、スライド枠12の内側を押さえることで、印字部の位置を正しく決定することができる。つまり、露出する印字部の隣接する印字部(凸部)が、印字ベルト17a〜17cの動きを止めるストッパーとしての役割となるので、露出する印字部の位置を決めることができる。
【0074】
さらに、上述したように、窓部41に対して段差とした位置ずれ防止部42と印面押出部34との間に印字ベルト17a〜17cを挟むことで、印字ベルト17a〜17cの動きを止めることができるので、印字面13に露出させる印字部の位置を固定することができる。
【0075】
なお、図6(D)では、位置ずれ防止部42の形状が、窓部41のx方向の開口の縁で段差となるような構造を例示したが、印字ベルト17a〜17cを、位置ずれ防止部42及び窓部41と、印面押出部34との間に挟み、露出する印字部の位置を固定することができる構成であれば、位置ずれ防止部42の形状については種々の構成を適用することができる。
【0076】
例えば、図7に示すように、先端に近づくほど厚みが小さくなるような傾斜部を有する印面押出部34の形状に合わせて、位置ずれ防止部42の形状が傾斜部として、印字ベルト17a〜17cを挟むような構造としても良い。
【0077】
(A−5)コントローラ2の構成について
次に、コントローラ2の構成について図面を参照しながら説明する。
【0078】
図1において、コントローラ2は、外観構成として、日付印1を収納する日付印収納部20、利用者が日付印1の日付や、コントローラ2内部の時計機能の日時を調整するための操作部21を備える。操作部21は、種々の操作手段を広く適用することができ、例えば、操作ボタンやタッチパネルボタン等を適用することができる。
【0079】
図8は、コントローラ2の内部構成例を示す内部構成図である。図8(A)は、コントローラ2の内部構成を上から見た透視図であり、図8(B)は、日付印1の装着時におけるコントローラ2の側面透視図である。
【0080】
図8(A)及び(B)に示すように、コントローラ2は、電動機51、回転伝動機構52、ベルト回動機構53、検出部54−1及び54−2、制御部24を少なくとも有する。
【0081】
電動機51は、制御部24の制御の下、日付合わせを行う印字ベルト17a〜17cを回転させるために、回転伝動機構52に対して回転力を与えるものである。電動機51は、例えばモータ等を適用することができる。例えば、電動機51は、「日」と「月」で回転方向を正転・逆転させるようにする。
【0082】
回転伝動機構52は、複数の歯車から構成されており、電動機51の回転をベルト回動機構53に伝動するものである。回転伝動機構52の構成は、ベルト回動機構53に対して回転を伝動することができれば種々の構成をとることができる。
【0083】
図9は、図8に例示した電動機51及び回転伝動機構52の構成を示す構成図である。図9(A)は回転伝動機構52の上面図であり、図9(B)は回転伝動機構52の側面図である。図9の例の場合、回転伝動機構52は、少なくとも3個の歯車521〜523を有する歯車列で構成されており、電動機51からの回転を歯車523に伝動し、歯車523が回転することで、ベルト回動機構53に回転を伝動する。
【0084】
ベルト回動機構53は、回転伝動機構52の回転を受けて、印字ベルト17a〜17bを回転駆動させるものである。
【0085】
図10及び図11は、図8に例示したベルト回動機構53の構成を示す構成図である。
【0086】
なお、図10及び図11では、3本の印字ベルト17a〜17cのうち、例えば月および日を示す2本の印字ベルト17bおよび17cを回転させる場合を示す。勿論、以下で説明するベルト回転機構53の動作により、年を示す印字ベルトを含む3本の印字ベルト17a〜17cをそれぞれ回転させることができる。
【0087】
図10は、例えば月を示す印字ベルト17bを回転させる機構であり、図11は、例えば日を示す印字ベルト17cを回転させる機構である。
【0088】
図10及び図11に示すように、ベルト回転機構53は、歯車531、クラッチ532、歯車533、歯車534、歯車535、クラッチ536、カウンタ部537、カウンタ部538を少なくとも有して構成される。
【0089】
歯車531は、回転伝動機構52からの回転を受けて、歯車533に回転を伝動するものである。歯車531は、複数(図10では例えば4個)の突起部539を有しており、歯車531が回転することにより、カウンタ部537が突起部539を撥ねて、歯車531の回転量をカウントする。
【0090】
また、歯車535は、回転伝送機構52からの回転を受けて、歯車534及び歯車533に回転を伝動するものである。歯車535も、歯車531と同様に、複数の突起部539を有しており、歯車535が回転することにより、カウンタ部538が突起部539を撥ねて、歯車535の回転数をカウントする。
【0091】
クラッチ532は、歯車531の回転方向を一方向に固定するワンウェイクラッチである。軸に歯車531とクラッチ532とが固定されており、歯車531のギア機構内にクラッチ532が配置されている。例えば、歯車531は、反時計周り方向への回転力を受けると、反時計回り方向への回転は可能であるが、時計回り方向への回転力を受けると、回転クラッチ532が歯車531のギア機構にある溝に係合し、歯車531の時計回りの回転を停止させる。
【0092】
歯車533は、歯車531から回転の伝動を受けて、印字ベルト17bを回転させるものである。また、歯車534は、歯車535からの回転の伝動を受け、さらに歯車533に回転を伝動するものである。
【0093】
クラッチ536は、歯車535の回転方向を一方向に固定するワンウェイクラッチである。軸に歯車535とクラッチ536とが固定されており、歯車535のギア機構内にクラッチ536が配置されている。例えば、歯車535は、時計周り方向への回転力を受けると、時計回り方向への回転は可能であるが、反時計回り方向への回転力を受けると、回転クラッチ536が歯車535のギア機構にある溝に係合し、歯車535の反時計回りの回転を停止させる。
【0094】
カウンタ部537及び538は、歯車531及び535の突起部539を撥ねるスイッチを有しており、スイッチが突起部539を撥ねることで、歯車531及び535の回転量をカウントし、そのカウント値を制御部24に与えるものである。
【0095】
検出部54−1は、印字ベルト17cが有する被検出部171を検出すると、制御部24に対して検出信号を与えるものである。また、検出部54−2は、印字ベルト17bが有する被検出部171を検出すると、制御部24に対して検出信号を与えるものである。
【0096】
図12は、検出部54−1及び54−2による被検出部171の検出方法を説明する説明図である。
【0097】
図12に示すように、検出部54−1及び54−2は、例えば、印字ベルト17b及び17cの下に、被検出部171を検出するスイッチを有しており、このスイッチが回転する印字ベルト17b及び17cの被検出部171を検出すると、その検出信号を制御部24に与えるものである。このように、検出部54−1及び54−2が、スイッチの物理的な接触により印字ベルトの位置を把握することができるので、検出精度を高めることができる。
【0098】
(A−6)コントローラ2の機能構成について
次に、コントローラ2の機能構成について図面を参照しながら説明する。
【0099】
図13は、コントローラ2の機能構成を示すブロック図である。図13において、コントローラ2は、調整部22、時計部23、制御部24、ベルト回動制御部25を少なくとも有する。
【0100】
時計部23は、時刻計時するものである。少なくとも現在の年月日が分かるものであれば、広く適用することができる。例えば、一般的な電動式時計や電波時計などを適用できる。
【0101】
調整部22は、利用者による操作部21の操作を受けて、日付印1の日付や時計部23の日時の変更調整を行うものである。調整部22による調整の仕方としては、コントローラ2が有する年、月、日のそれぞれについて操作部21を押下することにより、年、月、日をそれぞれ調整する方法を適用できる。
【0102】
制御部24は、コントローラ2の機能を司るものである。制御部24は、時計部23が計時する時刻を監視しており、時計部23の日付変更に応じて、その日付印1の日付合わせを行うものである。
【0103】
また、制御部24は、検出部54−1及び54−2から各印字ベルト17b及び17cの被検出部171の検出信号を受け取ることで、各印字ベルト17b及び17cの位置を把握することができる。
【0104】
さらに、制御部24は、カウンタ部537及び538から歯車531及び535のカウンタ値を受け取り、歯車531及び535の回転量を認識するものである。
【0105】
ベルト回動制御部25は、制御部24の制御の下、時計部23による日付変更時に電動機51を駆動させて印字ベルト17a〜17cが所望日付となるように回転制御を行うものである。ベルト回動制御部25は、各印字ベルト17b及び17cの凸部間の1ピッチに相当する回転量を記憶している。
【0106】
また、ベルト回動制御部25は、検出部54−1及び54−2による各印字ベルト17b及び17cの被検出部171の位置検出を始点として、その後、日付合わせに応じて回動させた分の各印字ベルト17b及び17cの位置を記憶する。これにより、現在の各印字ベルト17b及び17cの位置を認識することができる。
【0107】
また、ベルト回動制御部25は、次に検出部54−1及び54−2が各印字ベルト17b及び17cの被検出部171の位置を検出すると、記憶している各印字ベルト17b及び17cの位置をリセットし、再度その後の各印字ベルト17b及び17cの位置を記憶する。
【0108】
なお、各印字ベルト17b及び17cの凸部間の1ピッチに相当する回転量は、予め設定するようにしても良いし、又は、各印字ベルト17b及び17cの被検出部171の位置検出により、予め認識している各印字ベルト17b及び17cの1周期の長さから、凸部の個数を割ることで、印字ベルト17a〜17cの凸部の1ピッチに相当する分の回転量を知るようにしてもよい。
【0109】
ベルト回動制御部25は、日付が変更すると、1ピッチに相当する分の回転量に所望日数(又は月数)を乗じた回転量だけ電動機51を駆動させるようにする。
【0110】
このとき、ベルト回動制御部25は、カウンタ部537及び538から回転する歯車531及び535のカウント値(回転量)を知ることができる。これにより、ベルト回動制御部25は、日付合わせのために必要な回転量だけ回転させたことを確認し、この必要な回転量になると、電動機51の駆動を停止させるものである。
【0111】
図14は、ベルト回動制御部25によるベルト回動処理を示すフローチャートである。図14では、特に、各印字ベルト17b及び17cの被検出部171を検出した後に、時計部23の日付に合わせて各17b及び17cを回動させる場合の処理を例示する。
【0112】
ベルト回動制御部25は、前提として、日付印1の各印字ベルトの凸部間の1ピッチに相当する分の回転量を認識しているとする。
【0113】
まず、時計部23により日付が変更した旨が与えられると(ステップS101)、ベルト回動制御部25は、電動機51の駆動を開始させる(ステップS102)。
【0114】
電動機51の駆動により、回転伝動機構52が回転し、回転電動機構52からの回転がベルト回動機構53に伝動され、印字ベルト17b及び17cが回転する。
【0115】
印字ベルト17b及び17cが回転し、検出部54−1及び54−2が回転する印字ベルト17b及び17cの被検出部171を検出すると、ベルト回動制御部25は当該印字ベルトの位置をリセットする(ステップS103)。
【0116】
またベルト回動制御部25は、この被検出部171の検出位置を始点として、日付合わせに必要な回転量だけ回転させる(ステップS104)。
【0117】
そして、ベルト回動制御部25は、カウンタ部537及び538からのカウンタ値を受け取り、カウント値に基づいて歯車531及び535の回転量を確認し(ステップS105)、必要な回転量となると、電動機51の駆動を終了させる(ステップS106)。なお、必要な回転量でない場合には、電動機51を継続して駆動させる。
【0118】
(A−7)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、自動的にかつ正確に日付印1の日付合わせを行うことができる。
【0119】
また、第1の実施形態によれば、印字ベルト17a〜17cに被検出部171を備え、コントローラ2側が備える検出部54−1及び54−2が、印字ベルト17a〜17cの被検出部171の検出を行うことで、簡単な構成で、印字ベルト17a〜17cの位置を正確に把握することができ、日付印ユニットの大型化・複雑化を回避することができる。
【0120】
さらに、第1の実施形態では、日付印1が位置確認機構33を備えることにより、各印字ベルト17a〜17cの刻印位置を正確に認識することができるので、正しい印字部を印字面13に導くことができる。
【0121】
また、第1の実施形態では、スライド枠12が、位置ずれ防止部42を備えることにより、印字面13での印字部のずれを補正することができるので、きれいに整列した印字面13を提供することができる。
【0122】
(B)他の実施形態
上述した第1の実施形態においても種々の変形実施形態を挙げたが、それ以外の変形実施形態を以下で説明する。
【0123】
(B−1)ベルト回動制御部25による日付合わせ処理の変形実施形態
上述した第1の実施形態では、ベルト回動機構53において、歯車531及び535の回転方向を一方向とするために、クラッチ532及び536を備えることとした。
【0124】
一般に、例えば、ワンウェイクラッチなどのクラッチ532及び536は、すべり率が高く、誤差が多くなる場合がある。また、電池式の電動機51を使用する場合、電池電圧によって、バラツキが発生し得る。さらに、ギアの正逆反転駆動では、バックラッシが発生し得る。
【0125】
そこで、印字ベルト搬送精度を高めるために、図16に示すような処理を行う。これにより、最小部品で、ベルト搬送精度を高くすることができる。
【0126】
上述した第1の実施形態では、印字ベルト17a〜17cが1個の被検出部171を備える場合を例示したが、図15に示すように、印字ベルト17a〜17cが、例えば33個の凸部を備え、そのうち2個の被検出部171及び172を備えるようにしてもよい。
【0127】
この場合、ベルト回動制御部25は、図16に示すようなベルト回動処理を行うことができる。なお、図16は、「日」を変更する場合を例示する。
【0128】
図16において、まず、時計部23から日付が変更した旨を受けると(ステップS201)、ベルト回動制御部25は、電動機51の駆動を開始する(ステップS202)。
【0129】
電動機51の駆動を受けて、印字ベルト17cが回転すると、検出部54−2が、被検出部172を検出し(ステップS203)、その後被検出部171を検出する(ステップS204)。
【0130】
ベルト回動制御部25は、被検出部171と被検出部172との間の時間差が、印字ベルト17cの凸部の1コマ分を回転させる回転量であることを認識する(ステップS205)。そのため、ベルト回動制御部25は、日付合わせに必要なコマ数に相当する回転量だけ電動機51を回転させ(ステップS206)、相当する必要な回転量になると(ステップS207)、電動機51の駆動を終了する(ステップS208)。
【0131】
なお、「月」を変更する場合には、電動機51を逆回転させ、図16と同様の処理を行うことで実現できる。
【0132】
このようにすることで、必ず一定スピードでベルト送りをしながら、被検出部171及び172を検出することができるので、ワンウェイクラッチなどのクラッチ532及び536は、噛み合った状態でスタートするため、誤差の発生が少なく、バックラッシも発生しない。
【0133】
(B−2)第1の実施形態では、印字ベルトに設けた被検出部が、他の凸部よりも高い場合を例示した。しかし、被検出部の種類や検出部の種類は、これに限定されない。
【0134】
例えば、他の凸部よりも高い第1被検出部と、他の凸部よりも高いが第1被検出部よりも低い第2被検出部を備えるようにしてもよい。
【0135】
これにより、検出部は、高さの高い第1被検出部と、高さの低い第2被検出部との検出により、印字ベルトの1ピッチ区間を検出することができる。
【0136】
(B−3)また、印字ベルトの被検出部は、印字ベルトの位置を特定させることができれば、例えば、印字ベルトに磁石を埋め込み、検出部が磁石を検出するような構成としてもよい。これにより、第1の実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0137】
(B−4)印字ベルトの位置検出に関する機構は、「年」、「月」、「日」の全ての印字ベルトについても、第1の実施形態と同様に適用することができる。
【0138】
なお、「年」の印字ベルトについては、1年に1回のみの回転であるから、印字ベルトの位置検出及びベルト送り機構を備えないようにしてもよい。
【0139】
(B−5)第1の実施形態では、日付印1とコントローラ2とを1対1で対応付けた場合を前提として説明するが、コントローラ2が複数の日付印1にも対応できるようにしても良い。
【0140】
この場合、複数の日付印1のそれぞれに自己を特定する識別情報(例えばID等)をICチップなどに記憶させておき、コントローラ2が、装着された識別情報を読み取り、この識別情報に基づいて各日付印1の日付合わせ管理を行うようにしてもよい。例えば、日付印1ごとに前回の日付合わせを行った日を記憶したり、日付合わせを行う時間(例えば、ある日付印はAM0時とし、別の日付印1はAM1時としてもよい)や、制限(例えば、土日は行なわない)などの情報も設定できようにしても良い。
【0141】
また、コントローラ2は、装着された日付印1の識別情報に基づいて、当該日付印1が管理していないものであると判断した場合、当該装着された日付印1の日付合わせを行なわないようにすることができる。
【0142】
(B−6)印面と対向する位置に印字面13を撮像する画像センサを設け、制御部24は例えば日付調整作業後に当該画像センサを用いて印字面13に現されている日付を確認し、設定(現在の日付)と印字面13に現されている日付とが同一であるか否か判断してもよい。そして、同一でない場合には両者の差分を計算し、当該差分に応じただけベルト回動制御部25に日付印1の回転子を回転させるよう指示するとよい。これにより、印字面13をより正確な状態にし得る。
【0143】
(B−7)上記日付印1を回転印に適用することも当然に可能である。この場合、時計部23は特に必要はなく、制御部24が所定のルールに従って印字面13を調整すればよい。また、調整部22から入力された利用者の指示に基づいて印字面13を調整してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…日付印、2…コントローラ、3…日付印ユニット、
11…日付印本体、12…スライド枠、13…印字面、14…第1凸部、
15…第2凸部、16…長孔、17a〜17c…印字ベルト、18…軸体、
171及び172…被検出部、
20…日付印収納部、21…操作部、22…調整部、23…時計部、24…制御部、
25…ベルト回動制御部、31…第1回転輪、32…第2回転輪33…位置確認機構、
331…嵌合部、332…歯車部、41…窓部、42…印字面補正機構、
421…位置調整部、422…ガイド部、423…位置固定部、
51…電動機、52…回転伝動機構、53…ベルト回動機構、
54−1及び54−2…検出部、531及び535…歯車、
532及び536…クラッチ、533及び534…歯車、
537及び538…カウンタ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド枠が日付印本体に対して相対移動することにより、複数の印字ベルトの回動制限又は回動許容がなされる回転印体を有する日付印と、時計機能を有する制御部の制御により、ベルト回動機構が日付印収納部に収納された上記日付印の上記回転印体を回動させて日付合わせを行う日付制御装置とを備える日付印ユニットにおいて、
上記日付印の上記各印字ベルトが、それぞれの位置を認識させる1又は複数の被検出部を有し、
上記日付制御装置が、上記ベルト回動機構により回動する上記各印字ベルトの上記各被検出部を検出する検出部を有する
ことを特徴とする日付印ユニット。
【請求項2】
上記各印字ベルトの上記各被検出部が突起部であり、
上記日付制御装置の上記検出部が、突起部である上記各被検出部を検出することを特徴とする請求項1に記載の日付印ユニット。
【請求項3】
上記日付制御装置の上記制御部は、上記検出部からの検出により、上記各印字ベルトの上記被検出部の始点位置を認識し、この始点位置に基づいて上記各印字ベルトを回動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の日付印ユニット。
【請求項4】
上記日付印の上記回転印体は、
所定間隔毎に複数の凸部を有する上記複数の印字ベルトと
上記各印字ベルトを回動駆動させる回動駆動機構と、
上記回動駆動機構により回動する上記各印字ベルトの上記凸部を嵌合しながら上記各印字ベルトを送り出し、上記各印字ベルトの位置を確認する位置確認機構と
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の日付印ユニット。
【請求項5】
上記日付印は、上記スライド枠の窓部に上記回転印体の印字部を露出させる際に、上記回転印体の回動を抑止して、上記窓部に露出する上記印字部の位置を決定する印字面位置補正機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の日付印ユニット。
【請求項6】
スライド枠が回転印本体に対して相対移動することにより、複数の印字ベルトの回動制限又は回動許容がなされる回転印体を有する回転印と、時計機能を有する制御部の制御により、ベルト回動機構が回転印収納部に収納された上記回転印の上記回転印体を回動させて所望印字部に合せる回転制御装置とを備える回転印ユニットにおいて、
上記回転印の上記各印字ベルトが、それぞれの位置を認識させる1又は複数の被検出部を有し、
上記回転制御装置が、上記ベルト回動機構により回動する上記各印字ベルトの上記各被検出部を検出する検出部を有する
ことを特徴とする回転印ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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