昇降便器
【課題】使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器を提供する。
【解決手段】便器昇降装置と、便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体10と、人体の有無を検知する検知部100と、を備えた昇降便器1において、便器本体10が昇降動作中に検知部100が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると便器本体10の昇降動作を停止させることで、使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器とする。
【解決手段】便器昇降装置と、便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体10と、人体の有無を検知する検知部100と、を備えた昇降便器1において、便器本体10が昇降動作中に検知部100が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると便器本体10の昇降動作を停止させることで、使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレに設置でき便器自体が昇降可能な昇降便器に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ使用時に使用者がトイレを使い易くするように便座や便器を自動的に昇降させる昇降便器が従来から知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載された昇降便器は、使用者が便器の前に立ったことを検知して便座を上昇させるようになっている。これによって、例えば足腰の弱い高齢者が便座に腰掛ける際に腰掛け易くしている。また、特許文献1の昇降便器には、使用者が便座から立ち上がり脱座すると所定時間後に便座が下降する機能が備わっている。これによって、設定を適宜変えることで通常の使用者が慣れた姿勢でトイレの便座に座ることができるようにしている。
【0004】
一方、特許文献2に記載された昇降便器は、使用者が便座から離座したことを検知して便器を標準高さの位置まで昇降させるようになっている。これによって、大人や子供がそれぞれトイレを使用する際、若しくは大便用や小便用として便器を共用する際の便器の昇降量が最小限になるようにしている。
【特許文献1】特開平10−328076号公報(段落(0007)、段落(0008)、図3)
【特許文献2】特開平3−72126号公報(8頁、図10)
【特許文献3】特開2008−19578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの従来技術は、使用者によるトイレの使い勝手を向上させることを目的とし、この目的をそれぞれの構成で達成している。しかしながら、これらの従来技術には別の観点から見たときの解決すべき根本的な問題点がある。
【0006】
以下、これらの従来技術の問題点を図面に基づいて詳細に説明する。図13は、トイレの使用者(以下、単に「使用者」とする)が用足し直後に立ち上がった状態、若しくは前の使用者がトイレを出た直後に次の使用者が昇降便器3の便器30に近づいた状態を示す側面図である。また、図14は、使用者が用足し中に体調不良により急にトイレ床面に倒れた状態を示す側面図である。また、図15は、用足し直後に使用者又は別の者がトイレの天井を清掃したり、天井に備わった電球を新しい電球に交換したりするために昇降便器3の便器30の上に乗った状態を示す側面図である。また、図16は、用足し直後に使用者又は別の者が便器の底部を清掃しようとする状態を示す側面図である。
【0007】
特許文献1に記載の昇降便器では、使用者が用足しの途中で立ち上がって便器から離れた後再び便座に座り込もうとすると、下降中の便座に座るようになり、使用者を驚かせてしまう(図13の従来の昇降便器3の便器30参照)。特に使用者が聴力の衰えた高齢者や聴力障害者の場合、便座の昇降音が聞こえ辛くかつトイレの入り口側に向いて立ち上がっているので便座が下降中であることに気づき難い。これによって、使用者がびっくりしてしまうだけでなく、この拍子に便座からトイレの床に転倒する虞もある。
【0008】
また、特許文献2に記載の昇降便器では、便器のホームポジション(便器不使用時に便器が戻る所定の高さ)が高い場合、使用者が便器の高さを低くして用足しを終えて立ち上がり、便器から離れた後、例えば後退して便器に再び近づくと、上昇中の便器の前方上部が使用者の腿の後側や臀部にぶつかり、使用者を驚かせてしまう。特に使用者が足腰の弱い高齢者の場合、便器が使用者の身体部位にぶつかった後も上昇を続けることでこの身体部位が思わぬ力で押され、バランスを崩して転倒してしまう虞がある(図13の従来の昇降便器3の便器30参照)。便器は陶器でできており重量があるので、便器の一部が使用者にぶつかっただけでも使用者はかなり大きな力で思わぬ方向に押されてしまう。
【0009】
また、便器のホームポジションが高い場合、使用者が便器を低めの位置にして用足しして便器から離れた後にその使用者か別の者がトイレの天井の清掃やトイレの天井に備わった電球を新しい電球に交換するために便器の上に乗ろうとすると、便器がホームポジションに向かって上昇中であるので、この上昇を手動で停止させなければ便器に乗る際にその者が便器からトイレ床面に転落する虞がある(図15の従来の昇降便器3の便器30参照)。
【0010】
一方、便器のホームポジションが低い場合、例えば男子小用で便器を上昇させた状態で用足しを終えて一旦便器から離れた後に何らかの身体的不調でトイレの床に倒れたりすると、ホームポジションに戻ろうとする便器とトイレの床との間に足や手が挟まれてしまう虞がある(図14の従来の昇降便器3の便器30参照)。便器は一般に陶器でできており、このような重量物とトイレの床との間に足や手を挟むと、骨折等の大怪我につながることもある。
【0011】
また、便器のホームポジションが低い場合、例えば男子小用で便器を上昇させた状態で用足しした直後に一旦便器から離れ、その後便器の底部の汚れを拭き取ろうとする際、便器がホームポジションに向かって下降中となっており、この便器の下降動作を止めないと拭き取り難いだけでなく、便器の底部とトイレの床面との間に手が挟まれてしまう虞もある(図16の従来の昇降便器3の便器30参照)。
【0012】
本発明の目的は、使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる昇降便器は、
便器昇降装置と、
前記便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体と、
人体の有無を検知する検知部と、を備えた昇降便器において、
前記便器本体が昇降動作中に前記検知部が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると前記便器本体の昇降動作を停止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を説明するのに先立って、本発明の作用及び効果について説明する。
【0016】
本発明に係る昇降便器は、便器昇降装置と、便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体と、人体の有無を検知する検知部と、を備えた昇降便器において、便器本体が昇降動作中に検知部が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると便器本体の昇降動作を停止するようになっている。
【0017】
本発明に係る昇降便器がこのような構成を有することで、便器の予め設定された高さ(ホームポジション)を高めの位置に設定した場合、便器を低めの位置にして用足しした後に立ち上がって便器から離れて身繕いしている間に便器がホームポジションに向かって自動的に上昇するが、何らかの事情で使用者が再び便器に座ろうとすると、従来の昇降便器と異なり便器の上昇が即座に停止し、使用者の腿の後側や臀部に上昇中の便器の前側上部がぶつかってから更に上昇を続けて使用者を思わぬ方向に押して転倒させるような虞がない。
【0018】
また、便器のホームポジションを低めの位置に設定した場合、高めの位置が好みの使用者が便器を上昇させた状態で用足し中に一旦立ち上がって便器から離れてしばらくしてから便座に再びに腰掛けようとする際に、ホームポジションに向かって下降中の便器が従来の昇降便器と異なり即座に停止し、使用者を驚かせる虞がない。
【0019】
また、便器のホームポジションが低めの位置にある場合、便器を高めの位置にして用足ししている使用者の体の具合が急に悪くなって便器からトイレの床に倒れ込んだりしても、ホームポジションに向かって下降中の便器が従来の昇降便器と異なり即座に停止し、便器とトイレ床面との間に手や足等身体の一部が挟まれる虞がない。
【0020】
また、ホームポジションが低めの位置にある場合、男子が便器を高めにして小用を済ませた直後に別の男子が小用のために便器に近づくと、ホームポジションに向かって下降している便器が従来の昇降便器と異なり即座に停止し、次の男子が便器をホームポジションからわざわざ上昇させることなく用足しをすることができ、昇降便器の使い勝手が良くなる。
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る昇降便器について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る昇降便器1を一点鎖線で囲まれた便器昇降影響領域と共に示す斜視図である。また、図2は、図1に示した便器昇降影響領域の外側境界部を点線で示す側面図である。また、図3は、図1に示した便器昇降影響領域の外側境界部を一点鎖線で示す平面図である。また、図4は、図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を二点鎖線で示す正面図である。
【0022】
本発明の一実施形態に係る昇降便器1は、ここでは図示しない便器昇降装置と、この便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体(以下、単に「便器10」とする)と、人体の有無を検知する人体検知センサ100(図8乃至図11参照)と、を備え、便器10が昇降する領域であって便器使用者が便器着座中又は便器の周囲にいるときに便器が昇降するとその使用者に何らかの危険を与える可能性のある領域(以下、「便器昇降影響領域」とする)に人体が存在することを人体検知センサ100が検知すると、予め設定された高さ(ホームポジション)に向かって昇降している便器10を即座に緊急停止するようになっている。
【0023】
なお、ここで言う便器昇降影響領域とは、便器昇降領域と便器昇降周辺領域を合わせた空間をいう。便器昇降領域は、便器10が昇降可能な空間領域であり、その外側周囲境界部を図5において点線で示す領域である。また、便器昇降周辺領域は、便器10の温水洗浄便座周囲に人が立てる程度の幅を有し、かつトイレ床面から便器10の下限位置までの高さ及びトイレの天井から便器10の上限位置までの高さで形成される空間領域を言い、その外側周囲境界部を図1及び図6において一点鎖線で示し、かつその内側周囲境界部を図5及び図6の点線で示す領域、即ち図6において一点鎖線と点線で挟まれた領域を言う。
【0024】
昇降便器1は、図1に示すキャビネット50内に便器10を昇降させる便器昇降装置(図示せず)を備えている。便器昇降装置は、ここでは図示しない平面視角型U字状からなりトイレ床面に面一にはめ込まれるベース板と、ベース板に垂設された固定部と、固定部に昇降可能に支持された可動部とからなる。
【0025】
固定部には、可動部を昇降させるガイド部及び駆動モータ、便器10の昇降を制御する制御ボックス、貯水タンク等が備わっている。また、可動部には、固定部のガイド部に摺動可能に係合するスライダが備わると共に、便器10の背部と結合するボルトの突出した便器結合部が備わっている。
【0026】
便器10は陶器でできており、便器上面に温水洗浄便座11が設けられている。温水洗浄便座11には、制御コントローラを内蔵した操作スイッチ部12が備わり、使用者が用足し後に局所温水洗浄を行なうことができるようになっている。
【0027】
トイレの側壁部又はカウンタ等には、ここでは図示しないが使用者のトイレ内での使用態様や好みに合わせて昇降便器1の便器自体を昇降させたり、便器不使用時の便器の高さ(ホームポジション)を設定したりする便器昇降操作スイッチが備わっている。この便器昇降操作スイッチは、便器昇降部の制御ボックスに電気的に接触式又は非接触式で繋がっており、両者間で双方向通信又は片方向通信を可能としている。
【0028】
便器10の周囲には、図1において点線で示す境界領域で囲まれる便器昇降影響領域内に人がいることを検出する人体検知センサ100(図8乃至図11参照)が備わっている。なお、人体検知センサ100の設置場所の具体例については後述する。
【0029】
人体検知センサ100は、図2において点線で囲まれる便器昇降影響領域の下限即ちトイレ床面より上側、かつ便器昇降影響領域の上限即ちトイレ天井より下側、かつ便器10の垂直上方から見てトイレ床面に対して最も広がった投影面積を有する温水洗浄便座11の周囲に人が立てる程度の幅を有する帯域の外郭の上下投影領域を周囲の境界領域とする便器昇降影響領域内の人体の有無を検知するようになっている。なお、ここで検出される人体とは、少なくとも使用者の手や足、頭等身体の一部を含み、身体全体に限定されるものではない。
【0030】
便器10は、使用者が便器昇降操作スイッチを操作することで、制御ボックス内の制御回路及び駆動モータを介して昇降すると共に、使用者が用足しを終えて便器10から離れ、便器10が予め設定された高さ(以下「ホームポジション」とする)まで昇降している最中に、便器昇降影響領域内に人体が存在することを人体検知センサ100が検出した場合、便器10の昇降を即座に停止するようになっている。
【0031】
ホームポジションは、使用者の好みに応じて任意に設定可能で、例えば子供や小柄な女性、若しくは便器の高さが低いほうが落ち着く使用者等が昇降便器1を主に使う場合はホームポジションを低めに設定し、大柄な男性や膝を曲げたり腰を屈めるのが辛い高齢者等が昇降便器1を主に使う場合はホームポジションを高めに設定する等、昇降便器1の使用態様に応じて使用者がホームポジションを適宜自由に設定できるようになっている。尚、この制御ルーチンは周知のルーチンであるので、そのフローチャートによる説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る昇降便器1は、制御ボックス(図示せず)及び人体検知センサ100を介して図7に示す人体検知ルーチンにより便器10がホームポジションに向かって昇降している最中に便器昇降影響領域内に人体が存在するかどうかを常に監視している。即ち、昇降便器1の便器10がホームポジションに向かって昇降している最中、この人体検知ルーチンを常時繰り返すようになっている。そして、例えば人の手や足、腰等身体の一部のみがこの便器昇降影響領域内にあっても人体を検知したと判断する。
【0033】
なお、以下の説明において「使用者が便器10から離れる」とは、使用者の身体全体が便器昇降影響領域内から完全に脱することを言い、「使用者が便器10に近づく」とは、便器昇降影響領域内に使用者の手や足など身体の少なくとも一部が入ることを言う。
【0034】
続いて、上述した人体検知ルーチンを図7に基づいてより具体的に説明する。まず、便器10がホームポジションに向かう昇降動作を開始する信号を受けて、これと同時に便器昇降影響領域内の人体検知を行う(ステップS1)。そして、便器昇降影響領域内における人体の存在を検出しない場合は、このステップS1を繰り返す。そして、便器10がホームポジションに向かう昇降動作中、便器昇降影響領域内に使用者の手や足、腰などの人体の少なくとも一部が存在すると、複数個から構成される人体検知センサ100の少なくとも何れか1つがこれを検出し、便器10のホームポジションに向かう昇降動作を即座に停止する(ステップS2)。
【0035】
従って、この人体検知ルーチンによって使用者は用足しを済ませて便器10から一旦離れることで、便器10をホームポジションに戻す昇降動作を行なわせるが、使用者が便器10に再び近づくことで人体検知センサが便器昇降影響領域内において使用者の手足等を検出し、便器10の昇降を即座に停止する。
【0036】
なお、この便器昇降領域内の人体検知ルーチンは、昇降便器1の便器10をホームポジションに戻す制御ルーチンよりも優先的なルーチンとされ、使用者がトイレを安全に使用できるようにしている。
【0037】
続いて、この人体検知センサ100のトイレにおける設置場所及び便器昇降影響領域内における人体有無の検知の仕方の具体的一例について説明する。本実施形態では、人体検知センサ100がキャビネット50の前面に複数備わる。これは、センサ配置の一例であり、影響領域内における人体有無を検知できれば、センサの配置はこの限りではない。
【0038】
なお、使用する人体検知センサとしては、本発明の目的である便器昇降影響領域における人体の有無を検出できるセンサであれば如何なるセンサを使用しても良く、例えば光電センサ、赤外線センサ、超音波センサ、熱感応型センサ等の様々なセンサを利用可能である。
【0039】
本実施形態における人体検知の仕方について説明する。図8は、本実施形態に係る便器10が下限位置にある状態を人体検知センサ100の検出範囲100Aと共に示す平面図である。また、図11は、本実施形態において、便器10が下限位置にある際に人体有無を検出する人体検知センサ110,120(100)の設置位置を昇降便器1と共に示す正面図である。
【0040】
便器10のホームポジションが高い位置にある場合、使用者が一旦立ち上がって便器10から離れると、便器10がホームポジションに向かって上昇していくが、使用者が再び用足ししようと便器昇降影響領域内に入ると、人体検知センサ110,120の少なくとも何れか1つの検出範囲110A,120A(図10参照)において使用者の身体の一部の存在を検出し、便器10の上昇動作を即座に停止する。
【0041】
図10は、この人体検知状態を示した側面図である。図10と図13を比較すると明らかなように、本実施形態に係る昇降便器1は、図13に示す従来例のように便器10がホームポジションに向かって上昇し続けて便器10の前側上部が使用者の身体の一部にぶつかって使用者を驚かせることがない。また、本実施形態に係る昇降便器1は、図13に示す従来例のように便器30がホームポジションに向かって強制的に上昇していくことで便器30の前側上部が使用者の腿の後側や臀部を思わぬ方向に押し、これをきっかけとして使用者がトイレ床面に転倒するようなこともない。
【0042】
なお、従来の昇降便器では、便器から離れた後に前を向いたまま後退して再び便器に近づく場合、特に聴覚の衰えた高齢者や聴覚障害者は、昇降便器のホームポジションへの便器上昇音に気付き難く、便器が腿の後側や臀部にいきなりぶつかって腿の後側や臀部を押し上げて、使用者を驚かせると共にバランスを崩してトイレ床面への転倒を招く虞があるが、本実施形態に係る昇降便器1によると、このような従来の昇降便器において欠如していた安全性を確実に担保することができる。
【0043】
一方、図9は、本実施形態に係る昇降便器1が上限位置にある状態を人体検知センサ110,120(100)の検出範囲110A,120A(100A)と共に示す平面図である。
【0044】
便器10が上昇した際にこのような人体検知センサ100で使用者を検知することで、便器10のホームポジションを低めに設定した場合、使用者が便器10から立ち上がって便器10から離れて身繕いする間に、便器10がホームポジションに向かって下降するが、この便器10の下降中に使用者が足を便器底部の下方に動かしても足が人体検知センサ120の検出範囲120A内に入ることで人体検知センサ120が人体の存在を検出し、便器10のホームポジションに向かう下降を即座に停止させる。その結果、図13に示す従来例のように便器底部とトイレ床面との間に使用者の足を挟む虞がない。
【0045】
また、ホームポジションが低い位置にある場合に、比較的高めに位置した便器10に向かって男子が小用を済ませて便器10から離れると、便器10はホームポジションに向かって下降するが、その直後に別の男子がトイレに入って小用を行おうとすると、この人体の一部を人体検知センサ100の何れかが検出し、便器10の下降を即座に停止する。これによって、低い位置にあるホームポジションまで達した便器10を再び高い位置に上昇させる無駄な手間を後の使用者にかけないようにすることができる。
【0046】
また、使用者が便器10から離れると、便器10はホームポジションに向かって下降するが、その際立ちくらみ等の急な体調悪化によって使用者がトイレ床面に倒れ込んでも、手や足、頭部などの人体の一部が人体検知センサ120の検出範囲120A内に入った瞬間、便器10の下降を即座に停止し、図14に示す従来例のように使用者の身体の一部が便器底部とトイレ床面との間に挟まれて思わぬ怪我をする虞がない。
【0047】
なお、便器10は一般に陶器でできており、重量物であるので、本発明によるこのような安全性の担保は、従来の昇降便器には見られない優れた特徴点であると言える。
【0048】
図9は、便器が上限位置にある際の人体検知センサ100の検出範囲を便器の底部を清掃中の点線で描く清掃者と共に示す側面図である。同図に示すように、便器10のホームポジションを比較的低い位置に設定した場合、上述のように例えば男子の使用者が便器10の位置を高くして小用を足した直後に小用による便器10の底部の汚れを取ろうと身をかがめて便器底部を清掃する際に、人体検知センサ110又は120の少なくとも何れか一方によって便器昇降影響領域内における人体の有無を検出することで、便器10の下降を即座に停止し、便器10の清掃を行ない易くすると共に、便器10がホームポジションに向かって下降し続けることで図16に示す従来例のように使用者の手を便器底部とトイレ床面との間に挟んだりする虞もない。
【0049】
また、使用者が用足しした後に便器10を離れ、便器10がホームポジションに向かって下降し始めた後に、使用者の体調が悪くなって急にトイレの床に倒れ込んでも、便器昇降影響領域の一部である便器底部とトイレ床面との間のにおいて使用者の手や足など身体の一部を人体検知センサ120によって検出することで、便器10の下降を即座に停止する。これによって、図14に示す従来例のように便器10の底部とトイレ床面との間に手や足など人体の一部を挟み込むことがない。
【0050】
また、便器10の高さを下限高さとして使用者が用足しした直後に便器10を離れ、その後にその者又は他の者が便器10の上に乗って天井を清掃したり、天井に備えた電球を新しい電球に交換したりする際、使用者が便器10から離れることで高い位置にあるホームポジションに向かって便器10が上昇し始めるが、その後に清掃作業等を行なおうとする者が便器昇降影響領域内に入ると人体検知センサ110,120の少なくとも何れか1つがこれを検出し、便器10のホームポジションに向かう上昇を即座に停止する。従って、図15に示す従来例のように便器30の上昇動作を便器昇降スイッチの操作で一旦停止させる無駄な手間を要さず、便器30がホームポジションに向かって上昇し続ける状態で清掃者が便器30の上に乗り上がってバランスを崩し、トイレ床面に転倒したりするようなこともない。
【0051】
図10に示すように使用者が便器10に座ろうとする状態では、人体検知センサ110が便器昇降影響領域における使用者の足又は腰の存在を検出し、図7に示すルーチンによって便器10をホームポジションに戻さないようにしている。
【0052】
そして、使用者が便器10に着座している間は、ずっと使用者の腕や脇腹が人体検知センサ110の検出範囲110Aに入っており、人体検知センサ110を介して便器のホームポジションへの昇降を行わないようにする。
【0053】
また、使用者が用足しを終えて便器10から離れ、便器10のホームポジションに向かう上昇動作が開始されても、使用者が再び座る際、図10に示すように僅かに腰を曲げた状態なった時点で人体検知センサ110が使用者の臀部の存在を検出し、便器10のホームポジションに向かって上昇を即座に停止させる。これによって、使用者が便器10に着座する際に便器10が完全に停止しているので、使用者を驚かせたり、便器10の上昇力が使用者の腿の後側や臀部に加わり、これをきっかけに使用者が前のめりになってトイレ床面に転倒したりする虞がない。
【0054】
また、図には示さないが、使用者が完全に立ち上がって人体検知センサ100の検出範囲100Aから使用者が脱して便器10が下側のホームポジションに向かって下降しても、例えば片方の足が再び便器昇降影響領域内に再び入ることで、人体検知センサ120の検出範囲120A内にこの足が存在すると判断して、図7に示すルーチンによって便器10のホームポジションへの下降を即座に停止する。
【0055】
これによって、便器10のホームポジションを低めに設定した際に、使用者が便器10から離れて身繕いする際、便器10のホームポジションへの下降中に使用者の足が便器10とトイレ床面との間に誤って入り込んでも、図13に示す従来例と異なり便器10の底部とトイレ床面との間に足を挟む虞がない。
【0056】
なお、本実施形態の場合、便器昇降影響領域が便器昇降領域とトイレ床面との間の空間を含むことで特有のメリットを有している。具体的には、仮に便器昇降影響領域がこの空間を含まないとすると、トイレ床面に倒れ込んだ使用者の手や足が便器下限位置より下側、即ち便器昇降影響領域外にあると、人体検知センサが便器昇降影響領域内に人体がいないことを検知し、便器をホームポジションに戻そうとする。実際には、便器10がホームポジションに向かって下降し、その後、便器10は下限位置で下降を停止するので、使用者の手や足は便器底部とトイレ床面との間に挟まれることはないが、トイレ床面に倒れて心理的にパニック状態に陥った使用者の手や足に向かって便器10が下降してくると、更なる恐怖感を使用者に与えてしまう。
【0057】
しかしながら、本実施形態に係る昇降便器1の場合、便器昇降影響領域が、便器昇降領域とトイレ床面との間を含んでいるので、この手や足は便器昇降影響領域内に存在することになり、図8乃至図11に示す人体検知センサ120によってこれを検知し、便器10のホームポジションへの下降を緊急停止してこのような恐怖感を使用者に与えないようにするメリットがある。
【0058】
なお、人体検知センサの設置場所は、上述の実施形態のようなキャビネット前面に限定されることなく、便器本体、リモコン、紙巻器、カウンタなどのトイレ空間に設置されるその他の設備や、トイレ空間内壁等であっても良い。
【0059】
また、便器昇降影響領域は、図12に二点鎖線で示す直方体で囲まれた領域でも良く、この図の昇降領域の上面が天井まで達した縦長の直方体で囲まれた領域であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る昇降便器を一点鎖線で囲まれた便器昇降影響領域と共に示す斜視図である。
【図2】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を点線で示す側面図である。
【図3】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を一点鎖線で示す平面図である。
【図4】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を二点鎖線で示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る昇降便器を点線で囲まれた便器昇降領域と共に示す斜視図である。
【図6】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部と図5に示す便器昇降領域の外側境界部との間に形成される便器昇降周辺領域を示す斜視図である。
【図7】図1に示した昇降便器の人体検知ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る人体検知センサの検出範囲を示す平面図である。
【図9】便器が上限位置にある際の人体検知センサの検出範囲を同図における昇降便器の底部を清掃中の点線で描く清掃者と共に示す側面図である。
【図10】便器が下限位置にある際の人体検知センサの検出範囲を点線で示す使用者が同図における昇降便器の便座に着座しようとする状態を示す側面図である。
【図11】点線で示す使用者が図14における昇降便器の便座に着座した状態を人体検知センサの設置位置と共に示す正面図である。
【図12】本実施形態の変形例を示す図1に対応する図である。
【図13】従来においてトイレ使用者が用足し直後に立ち上がった状態、若しくは前の使用者がトイレを出た直後に次の使用者が便器に近づいた状態を示す側面図である。
【図14】従来において便器使用者が用足し中に体調不良により急にトイレ床面に倒れた状態を示す側面図である。
【図15】従来において用足し直後にその者又は別の者がトイレの天井を清掃したり、天井に備わった電球を新しい電球に交換したりするために便器の上に乗った状態を示す側面図である。
【図16】従来において用足し直後にその者又は別の者が便器底部を清掃しようとする状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 昇降便器
10 便器
11 温水洗浄便座
12 操作スイッチ部
13 蓋
110,120,130,140(100) 人体検知センサ
110A,120A,130A(100A) 検出範囲
3 昇降便器
30 便器
50 キャビネット
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレに設置でき便器自体が昇降可能な昇降便器に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ使用時に使用者がトイレを使い易くするように便座や便器を自動的に昇降させる昇降便器が従来から知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載された昇降便器は、使用者が便器の前に立ったことを検知して便座を上昇させるようになっている。これによって、例えば足腰の弱い高齢者が便座に腰掛ける際に腰掛け易くしている。また、特許文献1の昇降便器には、使用者が便座から立ち上がり脱座すると所定時間後に便座が下降する機能が備わっている。これによって、設定を適宜変えることで通常の使用者が慣れた姿勢でトイレの便座に座ることができるようにしている。
【0004】
一方、特許文献2に記載された昇降便器は、使用者が便座から離座したことを検知して便器を標準高さの位置まで昇降させるようになっている。これによって、大人や子供がそれぞれトイレを使用する際、若しくは大便用や小便用として便器を共用する際の便器の昇降量が最小限になるようにしている。
【特許文献1】特開平10−328076号公報(段落(0007)、段落(0008)、図3)
【特許文献2】特開平3−72126号公報(8頁、図10)
【特許文献3】特開2008−19578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの従来技術は、使用者によるトイレの使い勝手を向上させることを目的とし、この目的をそれぞれの構成で達成している。しかしながら、これらの従来技術には別の観点から見たときの解決すべき根本的な問題点がある。
【0006】
以下、これらの従来技術の問題点を図面に基づいて詳細に説明する。図13は、トイレの使用者(以下、単に「使用者」とする)が用足し直後に立ち上がった状態、若しくは前の使用者がトイレを出た直後に次の使用者が昇降便器3の便器30に近づいた状態を示す側面図である。また、図14は、使用者が用足し中に体調不良により急にトイレ床面に倒れた状態を示す側面図である。また、図15は、用足し直後に使用者又は別の者がトイレの天井を清掃したり、天井に備わった電球を新しい電球に交換したりするために昇降便器3の便器30の上に乗った状態を示す側面図である。また、図16は、用足し直後に使用者又は別の者が便器の底部を清掃しようとする状態を示す側面図である。
【0007】
特許文献1に記載の昇降便器では、使用者が用足しの途中で立ち上がって便器から離れた後再び便座に座り込もうとすると、下降中の便座に座るようになり、使用者を驚かせてしまう(図13の従来の昇降便器3の便器30参照)。特に使用者が聴力の衰えた高齢者や聴力障害者の場合、便座の昇降音が聞こえ辛くかつトイレの入り口側に向いて立ち上がっているので便座が下降中であることに気づき難い。これによって、使用者がびっくりしてしまうだけでなく、この拍子に便座からトイレの床に転倒する虞もある。
【0008】
また、特許文献2に記載の昇降便器では、便器のホームポジション(便器不使用時に便器が戻る所定の高さ)が高い場合、使用者が便器の高さを低くして用足しを終えて立ち上がり、便器から離れた後、例えば後退して便器に再び近づくと、上昇中の便器の前方上部が使用者の腿の後側や臀部にぶつかり、使用者を驚かせてしまう。特に使用者が足腰の弱い高齢者の場合、便器が使用者の身体部位にぶつかった後も上昇を続けることでこの身体部位が思わぬ力で押され、バランスを崩して転倒してしまう虞がある(図13の従来の昇降便器3の便器30参照)。便器は陶器でできており重量があるので、便器の一部が使用者にぶつかっただけでも使用者はかなり大きな力で思わぬ方向に押されてしまう。
【0009】
また、便器のホームポジションが高い場合、使用者が便器を低めの位置にして用足しして便器から離れた後にその使用者か別の者がトイレの天井の清掃やトイレの天井に備わった電球を新しい電球に交換するために便器の上に乗ろうとすると、便器がホームポジションに向かって上昇中であるので、この上昇を手動で停止させなければ便器に乗る際にその者が便器からトイレ床面に転落する虞がある(図15の従来の昇降便器3の便器30参照)。
【0010】
一方、便器のホームポジションが低い場合、例えば男子小用で便器を上昇させた状態で用足しを終えて一旦便器から離れた後に何らかの身体的不調でトイレの床に倒れたりすると、ホームポジションに戻ろうとする便器とトイレの床との間に足や手が挟まれてしまう虞がある(図14の従来の昇降便器3の便器30参照)。便器は一般に陶器でできており、このような重量物とトイレの床との間に足や手を挟むと、骨折等の大怪我につながることもある。
【0011】
また、便器のホームポジションが低い場合、例えば男子小用で便器を上昇させた状態で用足しした直後に一旦便器から離れ、その後便器の底部の汚れを拭き取ろうとする際、便器がホームポジションに向かって下降中となっており、この便器の下降動作を止めないと拭き取り難いだけでなく、便器の底部とトイレの床面との間に手が挟まれてしまう虞もある(図16の従来の昇降便器3の便器30参照)。
【0012】
本発明の目的は、使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる昇降便器は、
便器昇降装置と、
前記便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体と、
人体の有無を検知する検知部と、を備えた昇降便器において、
前記便器本体が昇降動作中に前記検知部が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると前記便器本体の昇降動作を停止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、使い勝手に優れているだけでなく安全性をも担保した昇降便器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を説明するのに先立って、本発明の作用及び効果について説明する。
【0016】
本発明に係る昇降便器は、便器昇降装置と、便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体と、人体の有無を検知する検知部と、を備えた昇降便器において、便器本体が昇降動作中に検知部が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると便器本体の昇降動作を停止するようになっている。
【0017】
本発明に係る昇降便器がこのような構成を有することで、便器の予め設定された高さ(ホームポジション)を高めの位置に設定した場合、便器を低めの位置にして用足しした後に立ち上がって便器から離れて身繕いしている間に便器がホームポジションに向かって自動的に上昇するが、何らかの事情で使用者が再び便器に座ろうとすると、従来の昇降便器と異なり便器の上昇が即座に停止し、使用者の腿の後側や臀部に上昇中の便器の前側上部がぶつかってから更に上昇を続けて使用者を思わぬ方向に押して転倒させるような虞がない。
【0018】
また、便器のホームポジションを低めの位置に設定した場合、高めの位置が好みの使用者が便器を上昇させた状態で用足し中に一旦立ち上がって便器から離れてしばらくしてから便座に再びに腰掛けようとする際に、ホームポジションに向かって下降中の便器が従来の昇降便器と異なり即座に停止し、使用者を驚かせる虞がない。
【0019】
また、便器のホームポジションが低めの位置にある場合、便器を高めの位置にして用足ししている使用者の体の具合が急に悪くなって便器からトイレの床に倒れ込んだりしても、ホームポジションに向かって下降中の便器が従来の昇降便器と異なり即座に停止し、便器とトイレ床面との間に手や足等身体の一部が挟まれる虞がない。
【0020】
また、ホームポジションが低めの位置にある場合、男子が便器を高めにして小用を済ませた直後に別の男子が小用のために便器に近づくと、ホームポジションに向かって下降している便器が従来の昇降便器と異なり即座に停止し、次の男子が便器をホームポジションからわざわざ上昇させることなく用足しをすることができ、昇降便器の使い勝手が良くなる。
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る昇降便器について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る昇降便器1を一点鎖線で囲まれた便器昇降影響領域と共に示す斜視図である。また、図2は、図1に示した便器昇降影響領域の外側境界部を点線で示す側面図である。また、図3は、図1に示した便器昇降影響領域の外側境界部を一点鎖線で示す平面図である。また、図4は、図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を二点鎖線で示す正面図である。
【0022】
本発明の一実施形態に係る昇降便器1は、ここでは図示しない便器昇降装置と、この便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体(以下、単に「便器10」とする)と、人体の有無を検知する人体検知センサ100(図8乃至図11参照)と、を備え、便器10が昇降する領域であって便器使用者が便器着座中又は便器の周囲にいるときに便器が昇降するとその使用者に何らかの危険を与える可能性のある領域(以下、「便器昇降影響領域」とする)に人体が存在することを人体検知センサ100が検知すると、予め設定された高さ(ホームポジション)に向かって昇降している便器10を即座に緊急停止するようになっている。
【0023】
なお、ここで言う便器昇降影響領域とは、便器昇降領域と便器昇降周辺領域を合わせた空間をいう。便器昇降領域は、便器10が昇降可能な空間領域であり、その外側周囲境界部を図5において点線で示す領域である。また、便器昇降周辺領域は、便器10の温水洗浄便座周囲に人が立てる程度の幅を有し、かつトイレ床面から便器10の下限位置までの高さ及びトイレの天井から便器10の上限位置までの高さで形成される空間領域を言い、その外側周囲境界部を図1及び図6において一点鎖線で示し、かつその内側周囲境界部を図5及び図6の点線で示す領域、即ち図6において一点鎖線と点線で挟まれた領域を言う。
【0024】
昇降便器1は、図1に示すキャビネット50内に便器10を昇降させる便器昇降装置(図示せず)を備えている。便器昇降装置は、ここでは図示しない平面視角型U字状からなりトイレ床面に面一にはめ込まれるベース板と、ベース板に垂設された固定部と、固定部に昇降可能に支持された可動部とからなる。
【0025】
固定部には、可動部を昇降させるガイド部及び駆動モータ、便器10の昇降を制御する制御ボックス、貯水タンク等が備わっている。また、可動部には、固定部のガイド部に摺動可能に係合するスライダが備わると共に、便器10の背部と結合するボルトの突出した便器結合部が備わっている。
【0026】
便器10は陶器でできており、便器上面に温水洗浄便座11が設けられている。温水洗浄便座11には、制御コントローラを内蔵した操作スイッチ部12が備わり、使用者が用足し後に局所温水洗浄を行なうことができるようになっている。
【0027】
トイレの側壁部又はカウンタ等には、ここでは図示しないが使用者のトイレ内での使用態様や好みに合わせて昇降便器1の便器自体を昇降させたり、便器不使用時の便器の高さ(ホームポジション)を設定したりする便器昇降操作スイッチが備わっている。この便器昇降操作スイッチは、便器昇降部の制御ボックスに電気的に接触式又は非接触式で繋がっており、両者間で双方向通信又は片方向通信を可能としている。
【0028】
便器10の周囲には、図1において点線で示す境界領域で囲まれる便器昇降影響領域内に人がいることを検出する人体検知センサ100(図8乃至図11参照)が備わっている。なお、人体検知センサ100の設置場所の具体例については後述する。
【0029】
人体検知センサ100は、図2において点線で囲まれる便器昇降影響領域の下限即ちトイレ床面より上側、かつ便器昇降影響領域の上限即ちトイレ天井より下側、かつ便器10の垂直上方から見てトイレ床面に対して最も広がった投影面積を有する温水洗浄便座11の周囲に人が立てる程度の幅を有する帯域の外郭の上下投影領域を周囲の境界領域とする便器昇降影響領域内の人体の有無を検知するようになっている。なお、ここで検出される人体とは、少なくとも使用者の手や足、頭等身体の一部を含み、身体全体に限定されるものではない。
【0030】
便器10は、使用者が便器昇降操作スイッチを操作することで、制御ボックス内の制御回路及び駆動モータを介して昇降すると共に、使用者が用足しを終えて便器10から離れ、便器10が予め設定された高さ(以下「ホームポジション」とする)まで昇降している最中に、便器昇降影響領域内に人体が存在することを人体検知センサ100が検出した場合、便器10の昇降を即座に停止するようになっている。
【0031】
ホームポジションは、使用者の好みに応じて任意に設定可能で、例えば子供や小柄な女性、若しくは便器の高さが低いほうが落ち着く使用者等が昇降便器1を主に使う場合はホームポジションを低めに設定し、大柄な男性や膝を曲げたり腰を屈めるのが辛い高齢者等が昇降便器1を主に使う場合はホームポジションを高めに設定する等、昇降便器1の使用態様に応じて使用者がホームポジションを適宜自由に設定できるようになっている。尚、この制御ルーチンは周知のルーチンであるので、そのフローチャートによる説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る昇降便器1は、制御ボックス(図示せず)及び人体検知センサ100を介して図7に示す人体検知ルーチンにより便器10がホームポジションに向かって昇降している最中に便器昇降影響領域内に人体が存在するかどうかを常に監視している。即ち、昇降便器1の便器10がホームポジションに向かって昇降している最中、この人体検知ルーチンを常時繰り返すようになっている。そして、例えば人の手や足、腰等身体の一部のみがこの便器昇降影響領域内にあっても人体を検知したと判断する。
【0033】
なお、以下の説明において「使用者が便器10から離れる」とは、使用者の身体全体が便器昇降影響領域内から完全に脱することを言い、「使用者が便器10に近づく」とは、便器昇降影響領域内に使用者の手や足など身体の少なくとも一部が入ることを言う。
【0034】
続いて、上述した人体検知ルーチンを図7に基づいてより具体的に説明する。まず、便器10がホームポジションに向かう昇降動作を開始する信号を受けて、これと同時に便器昇降影響領域内の人体検知を行う(ステップS1)。そして、便器昇降影響領域内における人体の存在を検出しない場合は、このステップS1を繰り返す。そして、便器10がホームポジションに向かう昇降動作中、便器昇降影響領域内に使用者の手や足、腰などの人体の少なくとも一部が存在すると、複数個から構成される人体検知センサ100の少なくとも何れか1つがこれを検出し、便器10のホームポジションに向かう昇降動作を即座に停止する(ステップS2)。
【0035】
従って、この人体検知ルーチンによって使用者は用足しを済ませて便器10から一旦離れることで、便器10をホームポジションに戻す昇降動作を行なわせるが、使用者が便器10に再び近づくことで人体検知センサが便器昇降影響領域内において使用者の手足等を検出し、便器10の昇降を即座に停止する。
【0036】
なお、この便器昇降領域内の人体検知ルーチンは、昇降便器1の便器10をホームポジションに戻す制御ルーチンよりも優先的なルーチンとされ、使用者がトイレを安全に使用できるようにしている。
【0037】
続いて、この人体検知センサ100のトイレにおける設置場所及び便器昇降影響領域内における人体有無の検知の仕方の具体的一例について説明する。本実施形態では、人体検知センサ100がキャビネット50の前面に複数備わる。これは、センサ配置の一例であり、影響領域内における人体有無を検知できれば、センサの配置はこの限りではない。
【0038】
なお、使用する人体検知センサとしては、本発明の目的である便器昇降影響領域における人体の有無を検出できるセンサであれば如何なるセンサを使用しても良く、例えば光電センサ、赤外線センサ、超音波センサ、熱感応型センサ等の様々なセンサを利用可能である。
【0039】
本実施形態における人体検知の仕方について説明する。図8は、本実施形態に係る便器10が下限位置にある状態を人体検知センサ100の検出範囲100Aと共に示す平面図である。また、図11は、本実施形態において、便器10が下限位置にある際に人体有無を検出する人体検知センサ110,120(100)の設置位置を昇降便器1と共に示す正面図である。
【0040】
便器10のホームポジションが高い位置にある場合、使用者が一旦立ち上がって便器10から離れると、便器10がホームポジションに向かって上昇していくが、使用者が再び用足ししようと便器昇降影響領域内に入ると、人体検知センサ110,120の少なくとも何れか1つの検出範囲110A,120A(図10参照)において使用者の身体の一部の存在を検出し、便器10の上昇動作を即座に停止する。
【0041】
図10は、この人体検知状態を示した側面図である。図10と図13を比較すると明らかなように、本実施形態に係る昇降便器1は、図13に示す従来例のように便器10がホームポジションに向かって上昇し続けて便器10の前側上部が使用者の身体の一部にぶつかって使用者を驚かせることがない。また、本実施形態に係る昇降便器1は、図13に示す従来例のように便器30がホームポジションに向かって強制的に上昇していくことで便器30の前側上部が使用者の腿の後側や臀部を思わぬ方向に押し、これをきっかけとして使用者がトイレ床面に転倒するようなこともない。
【0042】
なお、従来の昇降便器では、便器から離れた後に前を向いたまま後退して再び便器に近づく場合、特に聴覚の衰えた高齢者や聴覚障害者は、昇降便器のホームポジションへの便器上昇音に気付き難く、便器が腿の後側や臀部にいきなりぶつかって腿の後側や臀部を押し上げて、使用者を驚かせると共にバランスを崩してトイレ床面への転倒を招く虞があるが、本実施形態に係る昇降便器1によると、このような従来の昇降便器において欠如していた安全性を確実に担保することができる。
【0043】
一方、図9は、本実施形態に係る昇降便器1が上限位置にある状態を人体検知センサ110,120(100)の検出範囲110A,120A(100A)と共に示す平面図である。
【0044】
便器10が上昇した際にこのような人体検知センサ100で使用者を検知することで、便器10のホームポジションを低めに設定した場合、使用者が便器10から立ち上がって便器10から離れて身繕いする間に、便器10がホームポジションに向かって下降するが、この便器10の下降中に使用者が足を便器底部の下方に動かしても足が人体検知センサ120の検出範囲120A内に入ることで人体検知センサ120が人体の存在を検出し、便器10のホームポジションに向かう下降を即座に停止させる。その結果、図13に示す従来例のように便器底部とトイレ床面との間に使用者の足を挟む虞がない。
【0045】
また、ホームポジションが低い位置にある場合に、比較的高めに位置した便器10に向かって男子が小用を済ませて便器10から離れると、便器10はホームポジションに向かって下降するが、その直後に別の男子がトイレに入って小用を行おうとすると、この人体の一部を人体検知センサ100の何れかが検出し、便器10の下降を即座に停止する。これによって、低い位置にあるホームポジションまで達した便器10を再び高い位置に上昇させる無駄な手間を後の使用者にかけないようにすることができる。
【0046】
また、使用者が便器10から離れると、便器10はホームポジションに向かって下降するが、その際立ちくらみ等の急な体調悪化によって使用者がトイレ床面に倒れ込んでも、手や足、頭部などの人体の一部が人体検知センサ120の検出範囲120A内に入った瞬間、便器10の下降を即座に停止し、図14に示す従来例のように使用者の身体の一部が便器底部とトイレ床面との間に挟まれて思わぬ怪我をする虞がない。
【0047】
なお、便器10は一般に陶器でできており、重量物であるので、本発明によるこのような安全性の担保は、従来の昇降便器には見られない優れた特徴点であると言える。
【0048】
図9は、便器が上限位置にある際の人体検知センサ100の検出範囲を便器の底部を清掃中の点線で描く清掃者と共に示す側面図である。同図に示すように、便器10のホームポジションを比較的低い位置に設定した場合、上述のように例えば男子の使用者が便器10の位置を高くして小用を足した直後に小用による便器10の底部の汚れを取ろうと身をかがめて便器底部を清掃する際に、人体検知センサ110又は120の少なくとも何れか一方によって便器昇降影響領域内における人体の有無を検出することで、便器10の下降を即座に停止し、便器10の清掃を行ない易くすると共に、便器10がホームポジションに向かって下降し続けることで図16に示す従来例のように使用者の手を便器底部とトイレ床面との間に挟んだりする虞もない。
【0049】
また、使用者が用足しした後に便器10を離れ、便器10がホームポジションに向かって下降し始めた後に、使用者の体調が悪くなって急にトイレの床に倒れ込んでも、便器昇降影響領域の一部である便器底部とトイレ床面との間のにおいて使用者の手や足など身体の一部を人体検知センサ120によって検出することで、便器10の下降を即座に停止する。これによって、図14に示す従来例のように便器10の底部とトイレ床面との間に手や足など人体の一部を挟み込むことがない。
【0050】
また、便器10の高さを下限高さとして使用者が用足しした直後に便器10を離れ、その後にその者又は他の者が便器10の上に乗って天井を清掃したり、天井に備えた電球を新しい電球に交換したりする際、使用者が便器10から離れることで高い位置にあるホームポジションに向かって便器10が上昇し始めるが、その後に清掃作業等を行なおうとする者が便器昇降影響領域内に入ると人体検知センサ110,120の少なくとも何れか1つがこれを検出し、便器10のホームポジションに向かう上昇を即座に停止する。従って、図15に示す従来例のように便器30の上昇動作を便器昇降スイッチの操作で一旦停止させる無駄な手間を要さず、便器30がホームポジションに向かって上昇し続ける状態で清掃者が便器30の上に乗り上がってバランスを崩し、トイレ床面に転倒したりするようなこともない。
【0051】
図10に示すように使用者が便器10に座ろうとする状態では、人体検知センサ110が便器昇降影響領域における使用者の足又は腰の存在を検出し、図7に示すルーチンによって便器10をホームポジションに戻さないようにしている。
【0052】
そして、使用者が便器10に着座している間は、ずっと使用者の腕や脇腹が人体検知センサ110の検出範囲110Aに入っており、人体検知センサ110を介して便器のホームポジションへの昇降を行わないようにする。
【0053】
また、使用者が用足しを終えて便器10から離れ、便器10のホームポジションに向かう上昇動作が開始されても、使用者が再び座る際、図10に示すように僅かに腰を曲げた状態なった時点で人体検知センサ110が使用者の臀部の存在を検出し、便器10のホームポジションに向かって上昇を即座に停止させる。これによって、使用者が便器10に着座する際に便器10が完全に停止しているので、使用者を驚かせたり、便器10の上昇力が使用者の腿の後側や臀部に加わり、これをきっかけに使用者が前のめりになってトイレ床面に転倒したりする虞がない。
【0054】
また、図には示さないが、使用者が完全に立ち上がって人体検知センサ100の検出範囲100Aから使用者が脱して便器10が下側のホームポジションに向かって下降しても、例えば片方の足が再び便器昇降影響領域内に再び入ることで、人体検知センサ120の検出範囲120A内にこの足が存在すると判断して、図7に示すルーチンによって便器10のホームポジションへの下降を即座に停止する。
【0055】
これによって、便器10のホームポジションを低めに設定した際に、使用者が便器10から離れて身繕いする際、便器10のホームポジションへの下降中に使用者の足が便器10とトイレ床面との間に誤って入り込んでも、図13に示す従来例と異なり便器10の底部とトイレ床面との間に足を挟む虞がない。
【0056】
なお、本実施形態の場合、便器昇降影響領域が便器昇降領域とトイレ床面との間の空間を含むことで特有のメリットを有している。具体的には、仮に便器昇降影響領域がこの空間を含まないとすると、トイレ床面に倒れ込んだ使用者の手や足が便器下限位置より下側、即ち便器昇降影響領域外にあると、人体検知センサが便器昇降影響領域内に人体がいないことを検知し、便器をホームポジションに戻そうとする。実際には、便器10がホームポジションに向かって下降し、その後、便器10は下限位置で下降を停止するので、使用者の手や足は便器底部とトイレ床面との間に挟まれることはないが、トイレ床面に倒れて心理的にパニック状態に陥った使用者の手や足に向かって便器10が下降してくると、更なる恐怖感を使用者に与えてしまう。
【0057】
しかしながら、本実施形態に係る昇降便器1の場合、便器昇降影響領域が、便器昇降領域とトイレ床面との間を含んでいるので、この手や足は便器昇降影響領域内に存在することになり、図8乃至図11に示す人体検知センサ120によってこれを検知し、便器10のホームポジションへの下降を緊急停止してこのような恐怖感を使用者に与えないようにするメリットがある。
【0058】
なお、人体検知センサの設置場所は、上述の実施形態のようなキャビネット前面に限定されることなく、便器本体、リモコン、紙巻器、カウンタなどのトイレ空間に設置されるその他の設備や、トイレ空間内壁等であっても良い。
【0059】
また、便器昇降影響領域は、図12に二点鎖線で示す直方体で囲まれた領域でも良く、この図の昇降領域の上面が天井まで達した縦長の直方体で囲まれた領域であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る昇降便器を一点鎖線で囲まれた便器昇降影響領域と共に示す斜視図である。
【図2】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を点線で示す側面図である。
【図3】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を一点鎖線で示す平面図である。
【図4】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部を二点鎖線で示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る昇降便器を点線で囲まれた便器昇降領域と共に示す斜視図である。
【図6】図1に示す便器昇降影響領域の外側境界部と図5に示す便器昇降領域の外側境界部との間に形成される便器昇降周辺領域を示す斜視図である。
【図7】図1に示した昇降便器の人体検知ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る人体検知センサの検出範囲を示す平面図である。
【図9】便器が上限位置にある際の人体検知センサの検出範囲を同図における昇降便器の底部を清掃中の点線で描く清掃者と共に示す側面図である。
【図10】便器が下限位置にある際の人体検知センサの検出範囲を点線で示す使用者が同図における昇降便器の便座に着座しようとする状態を示す側面図である。
【図11】点線で示す使用者が図14における昇降便器の便座に着座した状態を人体検知センサの設置位置と共に示す正面図である。
【図12】本実施形態の変形例を示す図1に対応する図である。
【図13】従来においてトイレ使用者が用足し直後に立ち上がった状態、若しくは前の使用者がトイレを出た直後に次の使用者が便器に近づいた状態を示す側面図である。
【図14】従来において便器使用者が用足し中に体調不良により急にトイレ床面に倒れた状態を示す側面図である。
【図15】従来において用足し直後にその者又は別の者がトイレの天井を清掃したり、天井に備わった電球を新しい電球に交換したりするために便器の上に乗った状態を示す側面図である。
【図16】従来において用足し直後にその者又は別の者が便器底部を清掃しようとする状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 昇降便器
10 便器
11 温水洗浄便座
12 操作スイッチ部
13 蓋
110,120,130,140(100) 人体検知センサ
110A,120A,130A(100A) 検出範囲
3 昇降便器
30 便器
50 キャビネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器昇降装置と、
前記便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体と、
人体の有無を検知する検知部と、を備えた昇降便器において、
前記便器本体が昇降動作中に前記検知部が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると前記便器本体の昇降動作を停止することを特徴とする昇降便器。
【請求項1】
便器昇降装置と、
前記便器昇降装置に昇降可能に設置された便器本体と、
人体の有無を検知する検知部と、を備えた昇降便器において、
前記便器本体が昇降動作中に前記検知部が便器昇降影響領域内に人体が存在することを検知すると前記便器本体の昇降動作を停止することを特徴とする昇降便器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−156118(P2010−156118A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333909(P2008−333909)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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