説明

昇降機構およびそれを備えた水周り家具

【課題】 本発明は昇降機構であって、本発明の課題は、使用者に極度な負担を掛けずに手動で昇降できる昇降機構を提供することである。
【解決手段】 キャビネット上に配置されるカウンタに設けられた開口部から進退可能に略垂直方向に昇降する可動体と、前記可動体を昇降させる動力源である電動モータを備え、前記可動体が、一方に重りを吊り下げたワイヤと固定滑車を通して吊り下げられたことを特徴とする昇降機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンや洗面化粧台のカウンタ開口部から昇降する昇降機構に係り、特に水や油の飛散を防止するためのスクリーンの昇降機構に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
対面型キッチンのコンロ前には通常スクリーンが立てられている。このスクリーンは調理中に跳ねる油が対面側に飛散するのを防止する役割を果たす。ただし調理以外の時は調理し終えた料理の運搬、美観などの観点からスクリーンが出ていると邪魔であり、対面式キッチンの利点を失ってしまう。そこでスクリーンをカウンタ開口部から昇降させる方法が特開2008−246169や特許第3461867号で開示されている。
【0003】
特開2008−246169ではスクリーンがカウンター下に格納され、電動モータとワイヤによって昇降する構造が開示されているが、例えば強化ガラス製のスクリーンの場合、所望の機能を成すサイズ、厚みで想定されるその重量は約4kgとなり、これを上昇させるにはかなり大きな出力のモータを必要とする。
【0004】
また特許第3461867号にはスクリーンの昇降を軽減するバネによる負荷軽減装置が開示されているが、一定荷重を期待できるコンストンバネであったとしても、バネによる付勢力のばらつきがあり安定した使用感を達成するためには、ある程度出力が大きな電動モータを必要とする。ここでばらつきとは、バネ自身の個体差、経年変化によるばらつきが考えられる。またコンストンバネは起動時に重いことも電動モータの出力を大きくする要因となる。さらにバネは独特のキシミ音があり使用感を悪くしている。
【0005】
電動モータによる昇降においては、上昇軌道上に障害物が存在することに気付かずあるいは誤ってスクリーンを上昇させると、例えば熱湯の入った鍋が置かれていた場合に、鍋がひっくり返り熱湯が使用者にかかるといった危険性が高くなる。
上記従来例では、上記のような危険に対し対策がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−246169号公報(第7頁、第3図)
【特許文献2】特許第3461867号公報(第2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、電動モータの出力を極力押さえて小型化し、さらに鍋などの戴置物の転倒を極力防止する水周り用の昇降機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、キャビネット上に配置されるカウンタに設けられた開口部から進退可能に略垂直方向に昇降する可動体と、前記可動体を昇降させる動力源である電動モータを備え、前記可動体が、一方に重りを吊り下げたワイヤと固定滑車を通して吊り下げられたことを特徴とする昇降機構である。
このような構成とすることで、可動体の重量を重りで相殺させることができ、電動モータの出力を小さくすることができる。また重りの重量は経年変化が無く、起動時の負荷も小さいため、付勢手段としてのばらつきは小さくなり、このばらつきをカバーするために電動モータの出力を大きくする必要がない。このように電動モータの出力を極力抑えることで、その出力は可動体を昇降させるために大部分を費やす。よって可動体上に戴置物がある場合は、可動体と戴置物を同時に押し上げる出力が無いために、可動体を上昇させることがなく、戴置物の転倒を防ぐことができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明によれば、前記重りは重量を調整するために取付けまたは取外しできる調整用重りを具備したことを特徴とする請求項1に記載の昇降機構とすることにより、重りの初期荷重のばらつきや、電動モータ初期出力のばらつきをこの調整重りで調整することができるので、これらのばらつきを吸収するために電動モータの出力を大きくする必要がない。
【0010】
また、請求項3記載の発明によれば、前記ワイヤを複数本備えたことを特徴とする請求項1または2の何れか一項に記載の昇降機構とすることにより、可動体と重りをバランスよく連結することができ、昇降時に可動体や重りが傾いたりすることを防ぎスムーズに昇降することができ安定的に可動する。
【0011】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の昇降機構を備えたことを特長とする水周り家具とすることにより、例えばシステムキッチンのスクリーン、洗面化粧台の水跳ね防止パネルなどをカウンター下に収納することができ、美観を損なうことがない。
【0012】
ここで可動体とはシステムキッチンのスクリーンや洗面化粧台の水跳ね防止パネルや鏡など重量が一定のものとする。ここでいう重量が一定とは、歯ブラシ収納などの軽量物を収納する昇降棚など、収納物によってごくわずかな重量の変化があるものを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電動モータの出力を極力押さえて小型化でき、さらには鍋などの戴置物の転倒を極力防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るシステムキッチン10の前方斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシステムキッチン10の後方斜視図である。
【図3】スクリーン50が上昇した時の昇降機構70の内部をリビング側から見た斜視図である。
【図4】スクリーン50が上昇した時の開口部32周りの詳細断面図である。
【図5】スクリーン50が格納された時の開口部32周りの詳細断面図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態に係る洗面化粧台110の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の第一の実施形態について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態のシステムキッチン10は、キャビネット11と、キャビネット11の上に配置されるカウンタ30と、カウンタ30の上に配置される調理器具であるコンロ12と、同じくカウンタ30の上に配置されるシンク13とを備えている。カウンタ30は、キャビネット11の背面化粧板14よりも後方に延出するカウンタ延出部31を備えている。さらにコンロ12およびシンク13の後方のカウンタ延出部31にはスクリーン50が立設している。またカウンタ延出部31には、スクリーン50をカウンタ30の下へ格納するためにスクリーン50が進退する開口部32が設けられ、カウンタ延出部31の下方側、且つキャビネット11の背面化粧板14の外側には、スクリーン50の格納スペースを有し、且つスクリーン50の昇降手段を搭載した昇降機構70が配置されている。またカウンタ30の前面でコンロ12またはシンク13の近くには、昇降機構70の昇降動作を操作する操作部99が備えられている。なおスクリーン50および操作部99は昇降機構70の一部である。
本実施形態では昇降機構70をキャビネット11の背面化粧板14外側に設けた例を示したが、カウンタ延出部31を設けずに昇降機構70をキャビネット11に内蔵してもかまわない。
【0016】
続いて図3に示すように、昇降機構70は、構成部材を取付けるベースケース80と、これを覆う図示しないベースケース蓋と、スクリーン50と、スクリーン50の昇降をガイドする左右のメインレール71と、スクリーン50とメインレール71を連結する連結材72と、連結材72に取り付けられ、ワイヤを固定できるワイヤ用フック79と、そのワイヤ用フック79に一端を固定したワイヤ73と、ワイヤ73の他端に固定された重り74と、重り74の昇降をガイドする重りレール75と、ワイヤ73を巻き掛けた滑車76と、スクリーン50の下端に固定されスクリーン50を昇降させる電動モータ91と、ベースケース80に固定され電動モータ91の回転軸先端に取付けられた歯車とかみ合うラック92と、ベースケース80に固定されスクリーン50の上昇時の上限を感知する上限スイッチ93と、同じくベースケース80に固定されスクリーン50の下降時の下限を検知する下限スイッチ94と、スクリーン50の下端に固定され上限スイッチ93および下限スイッチ94を押すためのスイッチバー96と、使用者がスクリーン50の昇降を操作するための操作部99と、操作部99と電動モータ91と上限スイッチ93と下限スイッチ94とに結線された制御部90と、が備えられている。
【0017】
スクリーン50は、強化ガラス51と、略コの字形状で強化ガラス51の端面を保護する部材として、強化ガラス51の外周上端を保護するスクリーン上枠52と、左右両端を保護するスクリーン横枠53で構成され、スクリーン50は、強化ガラス51の左右下方にて連結材72と固定されている。
【0018】
ここで可動体Aとしては、スクリーン50、ワイヤ用フック79、連結材72、電動モータ91、スイッチバー96であり、可動体Aの重量は、約4kgである。一方重り74の重量は可動体Aと略同一の4kgに設定する。また電動モータ91の出力は、メインレール71や重りレール75や滑車76の摩擦抵抗に打ち勝ち程度、かつスクリーン50の昇降速度が使用者に不快感を与えない程度に設定されている。
【0019】
図4は、スクリーン50が上昇した時の開口部32周りの詳細断面図である。図4に示すように、開口部32には、スクリーン50の昇降軌道の案内とスクリーン50上昇時のガタつきの防止、および開口部32からの昇降機構70内部への水の浸入を防止するため、開口部32の開口縁を覆うように支持部材33が備えつけられる。支持部材33は、カウンタ30の開口部32との当接面に接着剤によって接着され、カウンタ30上面より上方に3mm程度の段差ができるような構造とし、さらに支持部材33とカウンタ30とのつなぎ部分にはコーキング35の処理をすることによりカウンタ30上にこぼれた液体が昇降機構70内部に浸入しづらい構成となっている。
【0020】
また、図5は、スクリーン50が格納された時の開口部32近傍の詳細断面図である。図5に示すようにスクリーン50の格納状態では、スクリーン上枠52の上端が支持部材33の上面と略面一の高さに設定される。
また図4や図5に示すようにカウンタ30の裏側にはカウンタ補強材34が開口部32を確保して取付けられている。またベースケース80のカウンタ補強材34との当接面は上方に折り曲げられた立ち上がり部82を形成し、開口部32の開口木口面に当接させている。これにより開口部32に対するスクリーン50の設置位置を決めることができる。
【0021】
次に、システムキッチン10の使用シーンとスクリーン50の昇降動作の説明を通じて、本発明の作用と効果について説明する。
システムキッチン10のコンロ12やシンク13を使って調理作業を行う際、使用者は図5に示す格納状態のスクリーン50を上昇させるために、図1に示すカウンタ30の前面に配置した操作部99の上昇スイッチを押す。その信号が図3に示す制御部90に伝わり、制御部90から電動モータ91に信号が送られ、電動モータ91は時計回りに回転し、さらに電動モータ91の先端の歯車がラック92に噛み合うことで可動体Aは上方向の力を受ける。この時、可動体Aの重力は重り74によってほぼ相殺されているので、電動モータ91のわずかな力によって上昇を始める。よって可動体Aはメインレール71に沿って上昇し、開口部32および支持部材33よりカウンタ延出部31の上方に突出する。一方、滑車76に巻き掛けたワイヤ73を介して可動体Aと接続されている重り74は、重りレール75に沿って下降する。その後スクリーン50は、電動モータ91の一定回転によって定速で上昇し、図3に示すように上昇上限付近に来るとスイッチバー96が上限スイッチ93をたたき、その信号が制御部90に送られ、制御部90は電動モータ91を停止させ、スクリーン50も停止する。こうして必要に応じてスクリーン50を上昇させることができる。
【0022】
調理が終了し図3または図4の状態のスクリーン50を格納する場合は、使用者は図1に示すカウンタ30の前面に配置した操作部99の下降スイッチを押す。その信号が図3に示す制御部90に伝わり、制御部90から電動モータ91に信号が送られ、電動モータ91は反時計回りに回転し、さらに電動モータ91の先端の歯車がラック92に噛み合うことで可動体Aは下方向の力を受ける。この時、可動体Aの重力は重り74によってほぼ相殺されているので、電動モータ91のわずかな力によって、下降を始める。よって可動体Aはメインレール71に沿って下降し、一方、滑車76に巻き掛けたワイヤ73を介して可動体Aと接続されている重り74は、重りレール75に沿って上昇する。その後スクリーン50は、電動モータ91の一定回転によって定速で下降し、図5に示すようにスクリーン上枠52が支持部材33と略面一となると、図3に示すスイッチバー96が下限スイッチ94をたたき、その信号が制御部90に送られ、制御部90は電動モータ91を停止させ、スクリーン50も停止する。こうしてスクリーン50を下降させることができる。
【0023】
この格納状態(図5)でカウンタ30に液体をこぼした場合、支持部材33とカウンタ30の間に3mmの段差があるため、液体が昇降機構70側に進入しづらい構成となっている。
【0024】
また図5に示すようにスクリーン50の格納状態において熱湯を入れた鍋が支持部材33の上に置かれていた場合には、使用者が鍋に気づかず操作部99の上昇スイッチを押した場合でも、鍋と熱湯の重量が電動モータ91の出力より大きければ、電動モータ91はトルク負けして回転することができず、スクリーン50は上昇することがない。よって鍋を不用意にひっくり返して熱湯がこぼれるという危険を低減することができる。
【0025】
本発明によれば、上昇したスクリーン50によってコンロ12使用時の油の飛散を防ぐことができ、またシンク13からの水跳ねを防止することができる。また、コンロ12やシンク13が片付いていない時、コンロ12やシンク13をリビング側から隠すことができる。また、コンロ12からの臭い、煙、熱などの拡散をスクリーン50が防ぐため、換気扇の補修力アップも期待できる。さらに、スクリーン50をカウンタ30下に格納した際には、カウンタ30上にはスクリーン上枠52の上端面と、支持部材33の突出部として3mmが存在するのみであり、システムキッチン10の作業における邪魔にはならない。更に、対面キッチンにおいては、スクリーン50を格納可能とすることで、本来のメリットであるオープンな空間を犠牲にすることなくシステムキッチン10の美観を保つことができる。
また重り74の重量は、動作初期から終了まで一定の力を可動体に負荷することができ、さらに経年変化することも無いため、電動モータ91の出力を極力抑え、電動モータ91を小さくできる。
またスクリーン50上に鍋などが戴置され誤って上昇操作した場合、戴置物の重量が電動モータ91の出力以上であればスクリーン50は上昇することがないため、鍋がひっくり返って熱湯がこぼれるといった危険を低減することができる。
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の第二の実施形態について説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係る洗面化粧台110の前方斜視図である。
【0027】
本実施形態の洗面化粧台110は、キャビネット11と、キャビネット11の上に配置されるカウンタ30と、カウンタ30と一体成型されたボウル113とを備えている。カウンタ30には、ボウル113の両脇にスクリーン50が立設している。またカウンタ30には、スクリーン50が昇降するための開口部32が設けられ、且つキャビネット11は、スクリーン50の格納スペースを有し、且つスクリーン50の昇降手段を搭載した図示しない昇降機構が配置されている。また、またカウンタ30の前面には、スクリーン50の昇降動作を操作する操作部99が備えられている。なおスクリーン50および操作部99は昇降機構の一部である。
本実施形態においても第一の実施形態と同様にスクリーン50が収納される昇降機構をキャビネット11の外部に設けてもよい。この場合、カウンター30をキャビネットの左右に延出するように形成し、昇降機構はキャビネット11の側部に設けられることになる。
【0028】
昇降機構の構成については、第一の実施形態と同様であるためここでは省略する。
【0029】
次に、洗面化粧台110の使用シーンとスクリーン50の昇降動作の説明を通じて、本発明の作用と効果について説明する。
洗面化粧台110で洗顔や洗髪を行う際、使用者は格納状態のスクリーン50を上昇させるために、カウンタ30の前面に配置した操作部99の上昇スイッチを押す。その信号が制御部に伝わり、さらには電動モータに信号が送られ、電動モータが回転し可動体を上昇させ、同時に重りを下降させる。スクリーン50は開口部32よりカウンタ30の上方に突出する。その後スクリーン50は、電動モータの一定回転によって定速で上昇し、上昇上限付近に来ると上限スイッチをたたき、その信号が制御部に伝わり、さらには電動モータを停止させ、スクリーン50も停止する。こうして必要に応じてスクリーン50を上昇させ、洗顔、洗髪を行う。
【0030】
洗顔または洗髪中は、ボウル113の外側に水が飛び散ることが多いが、この飛散する水は、上昇したスクリーン50にあたるため、洗面化粧台110より外側の壁または床が水で濡れるのを防ぐ。
【0031】
洗顔または洗髪が終了しスクリーン50を格納する場合は、使用者はカウンタ30の前面に配置した操作部99の下降スイッチを押す。その信号が制御部に伝わり、さらに電動モータに信号が送られ、電動モータは上昇時とは逆の方向に回転し可動体を下降させ、同時に重りを上昇させる。その後スクリーン50は、電動モータの一定回転によって定速で下降し、スクリーン50の上枠がカウンター30の開口部32と略面一となると、下限スイッチをたたき、その信号が制御部に伝わり、さらには電動モータを停止させ、スクリーンも停止する。こうしてスクリーン50を下降させることができる。
【0032】
本発明によれば、スクリーン50によって水が壁や床に飛散するのを防ぎ、かつスクリーン50をカウンタ30下に格納することで、カウンタ30上にはスクリーン50上端面が略カウンタ30と面一で見えるだけであり、洗面化粧台110を通常使用する際に邪魔にはならない。更に、カウンター30が広い洗面化粧台110においては、スクリーン50を格納可能とすることで、本来のメリットであるオープンな空間を犠牲にすることなく洗面化粧台しいては洗面空間の美観を保つことができる。
また重りの重量は、動作初期から終了まで一定の力を可動体に負荷することができ、さらに経年変化することも無いため、電動モータの出力を極力抑え、電動モータを小さくできる。
【0033】
上記、二つの実施形態では、可動体の上昇と下降の両方を電動モータによって駆動したが、特にこれに限定するものではなく、上昇または下降のどちらか一方だけ電動で昇降させてもよい。例えば上昇のみ電動モータで駆動させる場合は、重りの重量を可動体より軽くし、下降時は可動体と重りの重量差で下降する構成としてもよいし、手動にて下降させることとしてもよい。
【0034】
また、上記、二つの実施形態では、重りは重量調整できる構造とするとさらによい。例えば追加用の重りをビスなどで固定できる構造が良い。こうすることでスクリーンに使う強化ガラスの重量誤差を吸収させることができ、この誤差を考慮して電動モータの出力を大きくする必要がなくなり、より小さな電動モータとすることができる。
【0035】
また、上記、二つの実施形態では、上昇スイッチを押している間だけ可動体が上昇する制御方法としてもよい。こうすることで、電動モータのトルクが勝ってしまうような非常に軽い戴置物が可動体の上に載っていた場合でも、使用者が戴置物に気付き上昇スイッチを離せば可動体の上昇は停止するので、戴置物の転倒を防ぐことができる。
【0036】
また、上記、二つの実施形態では、電動モータの取付け位置は、重り側に取り付けてもよい。こうすることで可動体の重量を減らし、さらに電動モータの重量が重りに加わり、重りを軽くすることができる。
【0037】
また、上記、二つの実施形態では、電動モータの出力を滑車もしくは別に設けたワイヤと接するローラーの回転軸に伝達させ、ワイヤとの摩擦によって可動体を昇降する構造としてもよい。こうすることでラックを省くことができる。さらに滑車またはローラーとワイヤの摩擦力によって可動体を昇降させる力が決まるため、電動モータの出力とは関係なく、誤って戴置物をひっくり返す対策をすることができる。
【0038】
また、上記、二つの実施形態では、固定された固定滑車のみを使用した構造とし、可動体と重りの重量と移動量がほぼ同じであるが、この固定滑車とは別に動滑車を利用してもよい。例えば、図3の連結材72のワイヤ用フック79を動滑車とし、動滑車をとおしたワイヤはベースケース80上方に固定する。動滑車を利用することで、例えば、重りの重量を軽くする、または可動体のストロークを増やすことなどが可能となる。
【0039】
また、上記、二つの実施形態では、重りと可動体を吊り下げるものとしてワイヤを使用したが、特にこれに限定するものではなく、ベルトやチェーンなど滑車に通して使用できるものであればよい。
【0040】
また、上記、二つの実施形態では、可動体をスクリーンとしたが、昇降時に可動体側の重量が比較的一定のものであればこの昇降機構を流用できる。例えば洗面化粧台の鏡、カウンタから昇降する包丁差しや歯ブラシ入れなど収納機能を有する棚が考えられる。
【0041】
また、その他の点についても本発明の域を脱さない範囲において、自由に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 システムキッチン
11 キャビネット
12 コンロ
13 シンク
14 背面化粧板
30 カウンタ
31 カウンタ延出部
32 開口部
33 支持部材
34 カウンタ補強材
35 コーキング
50 スクリーン
51 強化ガラス
52 スクリーン上枠
53 スクリーン横枠
70 昇降機構
71 メインレール
72 連結材
73 ワイヤ
74 重り
75 重りレール
76 滑車
79 ワイヤ用フック
80 ベースケース
82 立ち上がり部
90 制御部
91 電動モータ
92 ラック
93 上限スイッチ
94 下限スイッチ
96 スイッチバー
99 操作部
110 洗面化粧台
113 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット上に配置されるカウンタに設けられた開口部から進退可能に略垂直方向に昇降する可動体と、前記可動体を昇降させる動力源である電動モータを備え、前記可動体が、一方に重りを吊り下げたワイヤと固定滑車を通して吊り下げられたことを特徴とする昇降機構。
【請求項2】
前記重りは重量を調整するために取付けまたは取外しできる調整用重りを具備したことを特徴とする請求項1に記載の昇降機構。
【請求項3】
前記ワイヤを複数本備えたことを特徴とする請求項1または2の何れか一項に記載の昇降機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の昇降機構を備えたことを特長とする水周り家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−213967(P2010−213967A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65851(P2009−65851)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】