説明

易分散性沈降ケイ酸

【課題】易分散性沈降ケイ酸を提供する。
【解決手段】この課題は、次の物理化学的パラメーター:
BET表面積 120〜300m/g
CTAB表面積 100〜300m/g
BET/CTASの比 0.8〜1.3
シアーズインデックス(0.1nNaOHの消費量) 6〜25ml
DBPインデックス 150〜300g/100g
wk係数 <3.4
崩壊粒子の粒度 <1.0μm
非崩壊粒子の粒度 1.0〜100μm
を有する沈降ケイ酸によって達成される。
【効果】この沈降ケイ酸は、タイヤ製造のための加硫性混合物中に充填剤として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易分散性沈降ケイ酸、その製造方法およびそのゴム混合物中での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
沈降ケイ酸をゴム混合物中に混入することは公知である(S.Wolff、Kautschuk und Gummikunstst.7巻(1988年)674ページ)。沈降ケイ酸は、ゴム混合物中での使用のためには易分散性でなければならない。不十分な分散性は屡々、沈降ケイ酸がタイヤ混合物中に、殊に高い充填度では使用されないことの理由である。
【0003】
ヨーロッパ特許(EP−A)0520862号から、タイヤのゴム混合物中で充填剤として使用される沈降ケイ酸は公知である。
【0004】
ヨーロッパ特許(EP−A)0157703号から、ヨーロッパ特許(EP−A)0501227号により製造することのできる沈降ケイ酸は公知である。
【0005】
公知の沈降ケイ酸は、不十分な分散を有するという欠点を有する。
【0006】
ヨーロッパ特許(EP−A)0647591号およびヨーロッパ特許(EP−A)0157703号には、上述した沈降ケイ酸に比して改善された分散を有する沈降ケイ酸が記載されている。タイヤ工業の増加する要求により、この沈降ケイ酸の改善された分散はタイヤ混合物中での使用にはもはや十分でない。
【特許文献1】ヨーロッパ特許(EP−A)0520862号
【特許文献2】ヨーロッパ特許(EP−A)0157703号
【特許文献3】ヨーロッパ特許(EP−A)0501227号
【特許文献4】ヨーロッパ特許(EP−A)0647591号
【特許文献5】ヨーロッパ特許(EP−A)0157703号
【非特許文献1】S.Wolff、Kautschuk und Gummikunstst.7巻(1988年)674ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ゴム混合物中で明らかに良好に分散しうる沈降ケイ酸を開発する課題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、次の物理化学的データ:
BET表面積 120〜300m/g
CTAB表面積 100〜300m/g
BET/CTABの比 0.8〜1.3
シアーズインデックス(0.1nNaOH消費量) 6〜25ml
DBPインデックス 150〜300g/100g
wk係数 <3.4
崩壊粒子の粒度 <1.0μm
非崩壊粒子の粒度 1.0〜100μm
を特徴とする沈降ケイ酸である。
【0009】
物理化学的データは次の方法で決定される:
BET表面積 面積計、Stroehlein社、ISO 5794/付属D
CTAB表面積 pH9で、“Rubber Chemistry and Technology”44巻(1971年)1287ページのJay、JanzenおよびKrausによる
シアーズインデックス G.W.Sears、Analyt.Chem
(Searszahl) istry 12(1956年)1982ページ
DBPインデックス ASTM D 2414−88
(DBP−Zahl)
wk係数 Cilas粒度計 1064 L
とくに好ましい実施形においては、本発明による沈降ケイ酸は次の物理化学的データを有することができる:
BET表面積 120〜200m/g
CTAB表面積 100〜200m/g
BET/CTABの比 0.8〜1.3
シアーズインデックス(0.1nNaOHの消費量) 6〜25ml
DBPインデックス 150〜300g/100g
wk係数 <3.4
崩壊粒子の粒度 <1.0μm
非崩壊粒子の粒度 1.0〜30μm。
【0010】
本発明による沈降ケイ酸は、ゴム混合物中への混入後非常に良好な分散を保証する粒度分布を有する。非常に小さいwk係数は、非常に良好な分散に対し特徴的である。
【0011】
本発明の別の対象は、つぎの 物理化学的パラメーター:
BET表面積 120〜300m/g
CTAB表面積 100〜300m/g
BET/CTABの比 0.8〜1.3
シアーズインデックス(0.1nNaOHの消費量) 6〜25ml
DBPインデックス 150〜300g/100g
wk係数 <3.4
崩壊粒子の粒度 <1.0μm
非崩壊粒子の粒度 1.0〜100μm
を有する沈降ケイ酸の製造方法であり、該方法はケイ酸アルカリを鉱酸と、連続的に撹拌しながら7.0〜11.0のpH価で60〜95℃の温度において反応させ、反応を40g/l〜110g/lの固体濃度になるまで継続し、pH値を3および5の間の値に調節し、沈降ケイ酸を濾別し、洗浄し、引き続き乾燥し、場合により粉砕または造粒することを特徴とする。
【0012】
本発明の1実施形においては、酸および水ガラスの添加を30〜90分間中断し、引き続き継続することができる。
【0013】
本発明の1実施形においては、固体濃度は80g/lより小さくおよび/または温度は80℃以下および/または沈降時間は76分以下であってもよくおよび/または沈降を中断しおよび/または希鉱酸ないしは濃鉱酸を使用することができる。
【0014】
他の好ましい実施形においては、商慣習のソーダ水ガラス(モジュラス3.2〜3.5)を硫酸で7.5および10.5の間のpH値において反応させることができ、その際ソーダ水ガラスの一部は既にpH値を調節するために装入物に加える。水ガラスおよび硫酸の同時添加は120分までの時間にわたり維持され、その際とくに好ましい実施形においては添加を30〜90分間中断することができる。引き続き、pH3〜5の酸性にし、濾過し、洗浄しおよび乾燥することができる。とくに良好な分散性を達成するために、ソーダ水ガラスおよび硫酸の同時添加はとくに40〜90分間に行われる。その際、ケイ酸の表面は全沈降時間にわたり調節することができる。とくに好ましい実施形においては、沈降ケイ酸をフラッシュ乾燥にかけることができ、その際沈降ケイ酸を濾別し、洗浄しおよび再分散させることができる。
【0015】
本発明の1実施形においては、120〜140m/gのBET表面積および3.4以下のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造のために、次の条件:
固体濃度: 68〜85g/l
温度: 74〜82℃
pH値: 8〜9、とくに8.5
1.15〜25分間水ガラスおよび硫酸の添加、
2.30〜90分添加の中断、
3.50〜70分間水ガラスおよび硫酸の添加、
(その際全沈降時間は130〜140分であり得る)
を維持することができる。
【0016】
本発明の別の実施形においては、140〜160m/gのBET表面積および3.4以下のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造のために、次の条件:
固体濃度: 40〜60g/l
温度: 88〜96℃
pH値: 7〜9、とくに7.5〜8
38〜50分間水ガラスおよび硫酸の添加
を維持することができる。
【0017】
本発明の他の実施形においては、160〜180m/gのBET表面積および3.4以下のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造のために、次の条件:
固体濃度: 68〜84g/l
温度: 59〜65℃
pH値: 8〜9、とくに8.5
150〜170分間水ガラスおよび硫酸の添加
を維持することができる。
【0018】
本発明の別の実施形においては、180〜200m/gおよび3.4以下のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造のために、次の条件:
固体濃度: 74〜94g/l
温度: 75〜83℃
pH値: 8〜10
60〜70分間水ガラスおよび硫酸の添加を維持することができる。
【0019】
本発明のもう1つの実施形においては、200〜300m/g、とくに200〜240m/gのBET表面積および3.4以下のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造のために、次の条件:
固体濃度: 70〜110g/l
温度: 60〜76℃
pH値: 8〜10、とくに9
60〜86分間水ガラスおよび硫酸の添加
を維持することができる。
【0020】
本発明による沈降ケイ酸は、式I〜III
【0021】
【化1】

[式中
B: −SCN、−SH、−Cl、−NH(q=1の場合)または−Sx(q=2の場合)、
RおよびR: 1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基(その際
すべての基RおよびRはその都度同じかまたは異なる意味を有することができる)、
R: C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ基、
n: 0;1または2、
Alk: 1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝炭化水素基、
m: 0または1、
Ar: 6〜12個、好ましくは6個のC原子を有するアリーレン基、
p: 0または1、ただしpおよびnは同時に0を表わさないものとする、
x: 2〜8の数、
アルキル: 1〜20個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する一価の直鎖または分枝不飽和炭化水素基、
アルケニル: 2〜20個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する一価の直鎖または分枝不飽和炭化水素基
を表わす]のオルガノシランで変性することができる。
【0022】
オルガノシランでの変性は、ケイ酸100部に対し0.5〜50部、殊に沈降ケイ酸100部に対し2〜15部の混合物で実施することができ、その際沈降ケイ酸およびシランの間の反応は混合物製造の間(現場で)または外部で(予備変性して)実施することができる。
【0023】
本発明の好ましい1実施形においては、シランとしてビス(トリエトキシシリル−プロピル)−テトラスルファンを使用することができる。
【0024】
本発明による沈降ケイ酸は、加硫性ゴム混合物中で補強剤として、ゴム100部に対して5〜200部の量で、粉末、マイクロビーズまたは顆粒として、シラン変性を有してならびにシラン変性なしで混入することができる。
【0025】
ゴム混合物に対する上記シラン1種または数種の添加は、本発明によるケイ酸と一緒に行なうことができ、その際充填剤およびシランの間の反応は混合工程の間高めた温度で経過(現場変性)するかまたは既に予備変性した形(たとえばDE−PS4004781号により)で、つまり双方の反応成分を実際の混合物製造の外部で反応させる。
【0026】
もう1つの混合物は、沈降ケイ酸を、沈降ケイ酸100部に対し0.5〜50部、殊に沈降ケイ酸100部に対し2〜15部の混合物中のオルガノシランで変性することを包含し、その際沈降ケイ酸およびオルガノシランの間の反応は混合物製造の間(現場で)または外部で吹き付け、引き続き混合物の熱処理によるかまたはシランおよびケイ酸懸濁液を混合し、引き続き乾燥および熱処理により実施される。
【0027】
充填剤として専ら本発明によるケイ酸を、式I〜IIIによるオルガノシランを有しておよびなしで、含有する混合物のほかに、ゴム混合物は付加的に1種または数種の多かれ少なかれ補強性充填剤で充填されていてもよい。此処で、カーボンブラック(たとえばファーネスブラック、ガスブラック、フレームブラックおよびアセチレンブラック)および本発明によるケイ酸(シランを有しておよびなしで)の間および天然充填剤(たとえばクレー、ケイ質白亜、他の商習慣のケイ酸)および本発明によるケイ酸の間のブレンドも第一に慣用である。
【0028】
配合比はここでも、オルガノシランの配量の場合のように、完成ゴム混合物において達成すべき性質プロフィルに従う。本発明によるケイ酸および上述した他の充填剤の間で5〜95%の比を維持することができる。本発明によるケイ酸、オルガノシランおよび他の充填剤のほかに、エラストマーがゴム混合物の他の重要な成分を形成する。本発明によるケイ酸は、促進剤/硫黄でならびに過酸化物により架橋しうるすべてのゴム種において使用することができる。ここで、天然および合成の、油展したかまたはしないエラストマーは、単一ポリマーとしてまたはたとえば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン−スチロールゴム、殊に溶液重合により製造されたSBR、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン、プロピレンおよび非共役ジエンからなるターポリマーのような他のゴムとの配合物(ブレンド)として挙げられる。さらに、記述したゴムとのゴム混合物には、次の付加的ゴムが挙げられる:カルボキシルゴム、エポキシゴム、トランス−ポリペンテナマー(Polypentenamer)、ハロゲン化ブチルゴム、2−クロルブタジエンからのゴム、エチレン−酢酸ビニルのコポリマー、エチレン−プロピレンのコポリマー、場合により天然ゴムの化学的誘導体ならびに変性天然ゴム。
【0029】
可塑剤、安定剤、活性化剤、顔料、老化防止剤および加工助剤のような通常の他の成分も通常の配量で同様に公知である。
【0030】
本発明によるケイ酸(シランを有しておよびなしで)は、たとえばタイヤ、コンベヤベルト、シール、Vベルト、ホース、靴底等のようなゴムのすべての用途に使用される。さらに、本発明による沈降ケイ酸は電池のセパレーター中、シリコーンゴム中でおよびケイ酸支持体として使用することができる。
【実施例】
【0031】
ポリマー混合物における良好な価値プロフィルを達成するためには、マトリックス(ポリマー)中での沈降ケイ酸の分散が決定的に重要である。wk係数は沈降ケイ酸の分散性の尺度であることが判明した。wk係数は次のように決定される:
測定は、レーザー回折の原理に基づく。その際、CILASの粒度計1064Lを用いて測定される。測定のために、沈降ケイ酸1.3gを水25mlに移し、100Wの超音波(90%パルス)で4.5分処理した。その後、溶液を測定セルに移し、さらに1分超音波で処理する。超音波処理の間、試料に対し異なる角度で存在する二つのレーザーダイオードを用いる検出を行なう。レーザー回折の原理により、レーザービームは回折される。生じる回折図形はコンピューターの助けをかりて評価される。この方法は、広い測定領域(約40nm〜500nm)にわたり粒度分布を決定することが可能である。
【0032】
この場合重要な点は、超音波によるエネルギー導入はタイヤ工業の混練機中の機械的力によるエネルギー導入のシミュレーションを表わすことである。
【0033】
図1〜4は、本発明による沈降ケイ酸および比較ケイ酸の粒度分布の結果および測定を示す。
【0034】
曲線は、1.0〜100μmの範囲内に粒度分布の最初の最大を示し、<1.0μmの範囲内にもう1つの最大を示す。1.0〜100μmの範囲内のピークは、超音波処理後の不破砕ケイ酸粒子の分量を示す。これらの粗大粒子は、ゴム混合物中に不十分に分散される。明らかにより小さい粒度(<1.0μm)を有する第二のピークは、超音波処理の間に破砕されたケイ酸粒子の分量を示す。これらの非常に小さい粒子は、ゴム混合物中に優れて分散される。
【0035】
wk係数は、その最大が1.0〜100μmの範囲内にある非崩壊粒子のピーク高さ(B)対その最大が<1.0mmの範囲内にある崩壊粒子のピーク高さ(A)の比である。
【0036】
図6による図表はこれらの関係を説明する。
【0037】
【数1】

【0038】
図6において記号は次の意味を有する:
A′=0から<1.0μmまでの範囲
B′=1.0μm〜100μmの範囲
従って、wk係数は沈降ケイ酸の“崩壊性”(=分散性)の尺度である。沈降ケイ酸は、wk係数が小さいほどおよびゴム中に混入した際に崩壊する粒子が多いほど、益々容易に分散しうる。
【0039】
本発明によるケイ酸は、wk係数<3.4を有する。本発明による沈降ケイ酸の非崩壊粒子の粒度分布における最大は、1.0〜100μmの範囲内にある。本発明による沈降ケイ酸の崩壊粒子の粒度分布における最大は、<1.0μmの範囲内にある。
【0040】
公知の沈降ケイ酸は、明らかにより高いwk係数およびCILAS粒度計で測定した粒度分布において別の最大を有し、従って不十分な分散性である。
【0041】
例においては、次の物質が使用される:
ファースト・ラテックス・クレープ −天然ゴム
(First Latex Crepe)
CBS −ベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェ
ンアミド
TMTM −テトラメチルチウラムモノスルフィド
SI 69 −ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テト
ラスルファン(Degussa AG)
DEG −ジエチレングリコール
VSL 1955 S 25 −スチロール含量25%およびビニル含量55%
を有する溶液重合に基づくスチロール−ブタジ
エンゴム(Bayer AG)
DPG −ジフェニルグアニジン
ブルカノックス 4020 −N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェ
(Vulkanox) ニル−p−フェニレンジアミン(Bayer AG)
プロテクター G 35 −オゾン防護ロウ(Protector)
ZBED −亜鉛ジベンジルジチオカルバメート
ブナ(Buna) CB 24 −Bunawerke Huelsの
ブタジエンゴム
ナフトレン ZD −芳香族鉱油可塑剤
(Naftolen)
比較製品:
ウルトラシル VN 2 −約125m/gのN表面積を有する
(Ultrasil) Degussaのケイ酸
ウルトラシル VN 3 −約175m/gのN表面積を有する
(Ultrasil) Degussaのケイ酸
ウルトラシル 3370 −約175m/gのN表面積を有する
(Ultrasil) Degussaのケイ酸
ウルトラシル 3380 −約175m/gのN表面積を有する
(Ultrasil) Degussaのケイ酸
ヒシル(Hisil) 233 −約150m/gのN表面積を有する
PPGのケイ酸
KS 300 −約125m/gのN表面積を有する
Akzoのケイ酸
KS 404 −約175m/gのN表面積を有する
Akzoのケイ酸
KS 408 −約175m/gのN表面積を有する
Akzoのケイ酸
ゼオシル 1165 MP −約150m/gのN表面積を有する
(Zeosil) Rhone−Poulencのケイ酸
例1
120〜140m/gのN表面積範囲内の沈降ケイ酸の製造
バット中で、撹拌しながら水17.6lをソーダ水ガラス(モジュラス3.42、密度1.346)とpH8.5になるまで混合し、78℃に加熱する。78℃の温度および8.5のpH値を維持しながら、20分内に水ガラス1.18lおよび50%の硫酸0.28lを不断に撹拌しながら添加する。引き続き、60分間水ガラスおよび酸の添加を停止する。その後、水ガラス溶液および硫酸をさらに、138分後に75g/lの固体含量が達成されるまで加える。
【0042】
その後、硫酸を3および5の間のpH値に達するまで添加する。固体をフィルタープレスで分離し、洗浄し、引き続き短時間乾燥または長時間乾燥にかけ、場合により粉砕する。
【0043】
得られた沈降ケイ酸は、127m/gのN表面積、120m/gのCTAB表面積、252ml/100gのDBPインデックスおよび10.5のシアーズインデックスを有する。
【0044】
例2
140〜160m/gのN表面積範囲内の沈降ケイ酸の製造
バット中で、撹拌しながら水45.5mを95℃に加熱する。95℃の温度を維持して、7.5のpH値で48分内に、ソーダ水ガラス(モジュラス1.342、密度1.348)および96%の硫酸を不断に撹拌しながら添加し、48分後に56g/lの固体含量が達成された。その後、硫酸を3および5の間のpH値に達するまで添加する。固体をフィルタープレスで分離し、洗浄し、引き続き短時間乾燥または長時間乾燥にかけ、場合により粉砕する。
【0045】
得られた沈降ケイ酸は、141m/gのN表面積、121m/gのCTAB表面積、288ml/100gのDBPインデックスおよび7.5のシアーズインデックスを有する。
【0046】
例3
160〜180m/gのN表面積範囲内の沈降ケイ酸の製造
バット中で、撹拌しながら水20.6lをソーダ水ガラス(モジュラス3.42、密度1.350)と、pHが8.5になるまで混合し、62℃に加熱する。62℃の温度および8.5のpH値を維持して158分内に水ガラス5.6lぉよび50%の硫酸1.3lを不断に撹拌しながら添加し、158分後に76g/lの固体含量が達成された。その後、硫酸を3および5の間のpH値に達するまで添加する。固体をフィルタープレスで分離し、洗浄し、引き続き短時間乾燥または長時間乾燥にかけ、場合により粉砕する。
【0047】
得られた沈降ケイ酸は、171m/gのN表面積、139m/gのCTAB表面積、275ml/100gのDBPインデックスおよび17.6のシアーズインデックスを有する。
【0048】
例4
180〜200m2/gのN表面積範囲内の沈降ケイ酸の製造
バット中で、撹拌しながら水46mをソーダ水ガラス(モジュラス1.342、密度1.348)と、pH9に達するまで混合し、80℃に加熱する。80℃の温度を維持して、9.0のpH値で67分内に、ソーダ水ガラスおよび96%の硫酸を不断に撹拌しながら添加し、67分後に89g/lの固体含量が達成された。その後、硫酸を3および5の間のpH値に達するまで添加する。固体をフィルタープレスで分離し、洗浄し、引き続き短時間乾燥または長時間乾燥にかけ、場合により粉砕する。
【0049】
得られた沈降ケイ酸は、185m/gのN表面積、163m/gのCTAB表面積、269ml/100gのDBPインデックスおよび17.0のシアーズインデックスを有する。
【0050】
例5
200〜300m/gのN表面積範囲内の沈降ケイ酸の製造
バット中で、撹拌しながら水46mをソーダ水ガラス(モジュラス1.342、密度1.348)と、pH9に達するまで混合し、69℃に加熱する。69℃の温度を維持して、9.0のpH値で76分内に、ソーダ水ガラスおよび96%の硫酸を不断に撹拌しながら添加し、76分後に96.5g/lのの固体含量が達成された。その後、さらに硫酸を3および5の間のpH値に達するまで添加する。固体をフィルタープレスで分離し、洗浄し、引き続き短時間乾燥または長時間乾燥を行ない、場合により粉砕する。
【0051】
得られた沈降ケイ酸は、218m/gのN表面積、186m/gのCTAB表面積、299ml/100gのDBPインデックスおよび21.6のシアーズインデックスを有する。
【0052】
例6
120m/gのCTAB表面積を有する本発明によるケイ酸でのCilas粒度計1064 Lを用いるwk係数の決定および同じ表面積範囲内の標準ケイ酸との比較。付加的に、図表1による値B、A、B′およびA′が記載されている。
【0053】
【表1】

【0054】
例7
130〜150m/gの範囲内のCTAB表面積を有する本発明によるケイ酸でのCilas粘度計1064 Lを用いるwk係数の決定および同じ表面積範囲内の標準ケイ酸との比較。付加的に、図表1による値B、A、B′およびA′が記載されている。
【0055】
【表2】

【0056】
例8
150〜180m/gの範囲内のCTAB表面積を有する本発明によるケイ酸でのCilas粒度計1064 Lを用いるwk係数の決定および同じ表面積範囲内の標準ケイ酸との比較。付加的に、図表1による値B、A、B′およびB′が記載されている。
【0057】
【表3】

【0058】
表に記載した沈降ケイ酸3370は、ヨーロッパ特許(EP−A)0647591号、例3による沈降ケイ酸に一致する。該ケイ酸は、本発明による沈降ケイ酸に比べて実質的に不十分なwk係数を有する。さらに、フィリップス値(Phillips−Wert)−例10から推定することができるような−は、明らかにより不十分である。これは、本発明による沈降ケイ酸は明瞭に良好な分散性を有し、従ってタイヤ混合物中でより低い磨耗を有することを意味する。
【0059】
例9
標準ケイ酸と比較して例xおよびxによる 本発明による沈降ケイ酸の測定結果(添付図1〜4参照)。
【0060】
例10
L−SBR/BRトレッド混合物における標準ケイ酸と比較して例4からの本発明によるケイ酸:
【0061】
【表4】

【0062】
例4による本発明によるケイ酸は、ウルトラシル(Ultrasil)VN3ならびにウルトラシル(Ultrasil)3370と比べて、より低い粘度、より高い伸び率、低い転がり抵抗においてより高い湿潤滑り防止性およびとくに重要なのは、より高い分散係数を有する。ウルトラシル3370は、ヨーロッパ特許(EP−A)0647591号、例3に記載されている。より高い分散係数はより僅かな磨耗を意味し、より僅かな磨耗はタイヤのより高い寿命を意味する。
【0063】
例11
タイヤの下部構造用NR/SBR混合物中での、標準ケイ酸と比較して例1からの本発明によるケイ酸:
【0064】
【表5】

【0065】
例1からの本発明によるケイ酸は、表面積が類似のウルトラシルVN2と比べて、より低い粘度、より高いモジュラス値、より高い伸び率、より低い熱蓄積およびより高い分散係数を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】レーザー回折法を用いるウルトラシル 3380の測定結果を示す線図
【図2】レーザー回折法を用いる本発明の例3によるケイ酸の測定結果を示す線図
【図3】レーザー回折法を用いるウルトラシル VN 3の測定結果を示す線図
【図4】レーザー回折法を用いるゼオシル 1165 MPの測定結果を示す線図
【図5】レーザー回折法を用いるパーカシル(Perkasil)KS 408の測定結果を示す線図
【図6】wk係数に対する図表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の物理化学的パラメーター:
BET表面積 120〜300m/g
CTAB表面積 100〜300m/g
BET/CTABの比 0.8〜1.3
シアーズインデックス(0.1nNaOHの消費量) 6〜25ml
DBPインデックス 150〜300g/100g
wk係数 <3.4
崩壊粒子の粒度 <1.0μm
非崩壊粒子の粒度 1.0〜100μm
を有する沈降ケイ酸の製造にあたり、ケイ酸アルカリを鉱酸と60〜95℃の温度で7.0〜11.0のpH値で連続的に撹拌しながら反応させ、反応を40g〜110g/lの固体濃度になるまで継続し、pH値を3および5の間の値に調節し、沈降ケイ酸を濾別し、洗浄し、引き続き乾燥し、場合により粉砕または造粒する方法において、120〜140m/gのBET表面積および3.4未満のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造の際に、次の条件:
固体濃度: 68〜85g/l
温度: 74〜82℃
pH値: 8〜9
1.15〜25分間の水ガラスおよび硫酸の添加、
2.30〜90分間の添加の中断、
3.50〜70分間の水ガラスおよび硫酸の添加、
(但し、全沈降時間は130〜140分とする)
に設定するか、又は140〜160m/gのBET表面積および3.4未満のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造の際に、次の条件:
固体濃度: 40〜60g/l
温度: 88〜95℃
pH値: 7〜9
38〜50分間の水ガラスおよび硫酸の添加
に設定するか、又は160〜180m/gのBET表面積および3.4未満のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造の際に、次の条件:
固体濃度: 68〜84g/l
温度: 59〜65℃
pH値: 8〜9
150〜170分間の水ガラスおよび硫酸の添加
に設定するか、又は180〜200m/gのBET表面積および3.4未満のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造の際に、次の条件:
固体濃度: 74〜94g/l
温度: 75〜83℃
pH値: 8〜10
60〜70分間の水ガラスおよび硫酸の添加
に設定するか、又は200〜300m/gのBET表面積および3.4未満のwk係数を有する沈降ケイ酸の製造の際に、次の条件:
固体濃度: 70〜110g/l
温度: 60〜76℃
pH値: 8〜10
60〜86分間の水ガラスおよび硫酸の添加
に設定することを特徴とする沈降ケイ酸の製造方法。
【請求項2】
濾過のために、チャンバフィルタープレスまたは薄膜フィルタープレスまたはベルトフィルターまたは回転式濾過器または自動薄膜フィルタープレスまたは2つの濾過器の組合せを使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
乾燥のために、フロー乾燥器、ラック乾燥器、フラッシュドライヤーまたはスピンフラッシュドライヤーを使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
液状化濾過ケークを噴霧器または二成分ノズルまたは一成分ノズルおよび/または統合された流動層を有する噴霧乾燥器中で乾燥することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
造粒のために、ローラー圧縮機を使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
沈降ケイ酸を、沈降ケイ酸100部に対し0.5〜50部の混合物中のオルガノシランで変性し、その際沈降ケイ酸およびオルガノシランの間の反応を混合物製造の間に、現場で、またはその外で、吹き付け、引き続き混合物の熱処理によるかまたはシランおよびケイ酸懸濁液の混合、引き続き乾燥および熱処理によって実施することを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−117531(P2006−117531A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25015(P2006−25015)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【分割の表示】特願平10−260276の分割
【原出願日】平成10年9月14日(1998.9.14)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】