易損性プラークの処置
易損性プラークを含む処置部位に血管内の経内腔経路を介して処置デバイスを導入するステップ、易損性プラークの内容物の特性を修正する傾向のある特性を有する化合物を含む処置薬剤を投薬するステップを含む。易損性プラークの内容物の特性を修正することのできる特性を有する第1の処置薬剤、および異なる第2の処置薬剤を含むキット。易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤を、カテーテルを通して血管の中に投薬するのに適した形態と濃度で含む組成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経内腔治療のデバイス、構成、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Thin−capped fibroatheroma(「TFCA」)すなわち易損性プラークは、動脈などの血管の内側で発現することがあるアテローム硬化性プラークに関する。通常の易損性プラークは脂質、コレステロール結晶、コレステロールエステルで満たされた芯、マクロファージ、その他の細胞を含む。芯は薄い線維性のキャップ(0.05ミリメートル(mm)から0.10mmの厚さ)を有する。この線維性のキャップは脆弱化して破裂することがある。破裂すると、管腔の血液が易損性プラークの芯からの高度に血栓形成性の物質に晒され、これが結果として血管の全体的な血栓性閉塞につながることもある。
【0003】
易損性プラークの破裂する傾向が、マクロファージに由来する泡沫細胞によって大部分が合成されるマトリクス・メタロプロテナーゼ(「MMP」)の活性に関連するという証拠が増えている。特に、MMPは線維性キャップ構造の完全性の重要な供給源であるタイプIおよびIIIのコラーゲンなどの細胞外マトリクスタンパク質を分解することが見込まれる。したがって、通常ではプラーク内の単球付着の結果である慢性および/または局所性の炎症が易損性プラークの不安定化と(血栓症を経由した)急性の冠不全症候群につながることもある。
【0004】
以下の方式で易損性プラークが形成されると研究者達は考えている。脂肪小滴が血管(例えば動脈)によって吸収され、これが、炎症につながるサイトカイン(タンパク質)の放出を引き起こす。サイトカインは動脈壁を粘着性にし、これが単球(免疫系細胞)を引き寄せる。単球は動脈壁の中に押し入る。いったん内部に入ると、単球はマクロファージ(細胞)へと変わり、脂肪小滴を吸収し始める。脂肪で満たされたマクロフォージは薄い被膜を備えたプラークを形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光コヒーレンス・トモグラフィ(「OCT」)や血管内超音波検査法(「IVUS」)などの映像技術の進歩は易損性プラークを識別する機会を提供する。しかしながら、易損性プラークを処置する(例えば除去する、固定する、新形態にする)ための効果的な方法に関するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
方法が開示される。一実施態様では、この方法は、易損性プラークを含む処置部位に血管内の経内腔経路を介して処置デバイスを導入するステップと、易損性プラークの内容物の特性を修正する傾向のある特性を有する化合物を含む処置薬剤を投薬するステップとを含む。易損性プラークの内容物の代表的な特性は移動度を含む。適切な化合物は線維性キャップの芯の中に移動(例えば拡散)して芯内物質(例えば脂質)を架橋させ、芯内物質を高度に血栓性からほぼ非血栓性へと変える架橋剤として作用することが可能な化合物を含む。
【0007】
別の態様では、キットが開示される。一実施態様では、キットは易損性プラークの内容物の特性を修正することのできる特性を有する第1の処置薬剤、易損性プラークの内容物と第1の処置薬剤の架橋を加速する薬剤などの第2の処置薬剤を含む。別の実施態様では、キットは、血管を行き来するのに適したカテーテルであって外側からアクセス可能な患者の箇所から血管内の処置部位における設置に適した長さ寸法を有するカテーテルを含む。第1の処置薬剤および/または第2の処置薬剤が易損性プラークを含む処置部位にカテーテルを通して導入されて易損性プラークを修正することが可能である。
【0008】
別の態様では、組成が開示される。この組成は易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤を、カテーテルを通して血管の中に投薬するのに適した形態と濃度で含む。易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤の例は架橋用薬剤を含む。
【0009】
さらなる態様では、システムが述べられる。一実施態様では、システムは、易損性プラークの芯を修正する特性を有する架橋用薬剤を含む第1の流動可能な物質を収容したリザーバと、第1のリザーバ内の第1の流動可能な物質と流体連絡した管腔およびカニューレの遠端部分を通過させる開口となっている遠端部分を有するカニューレとを有するシステムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は冠状動脈などの血管の断面図を示している。血管100はこれを通る内腔105を形成する血管壁110を有する。血管100の内腔105の中に易損性プラーク120が形成されている。易損性プラーク120は線維性キャップ140で囲まれた芯130を有する。未変更状態の芯130は脂質、コレステロール結晶、コレステロールエステル、マクロファージ、その他の細胞を含む。未処置状態の芯内物質130は高度に血栓性であり、線維性キャップ140だけで血栓性物質の放出を阻止している。
【0011】
図2は易損性プラーク120の芯内物質の修正の後の血管100を示している。一実施形態では、芯内物質を固定するための組成が易損性プラーク120の中に導入される。典型的には、芯内物質は、架橋用薬剤を易損性プラーク120内へ導入することによって固定される。或る意味では架橋用薬剤は2つ以上の分子または細胞を連結する薬剤である。一実施形態では、本願明細書に述べられる架橋用薬剤はこれらが易損性プラークの芯内物質を架橋させるような形態で導入される。或る意味では架橋用薬剤は易損性プラーク120内部で連結された脂肪細胞のネットワークを形成する。この方式では、易損性プラーク120の芯内物質は実質的に、支配的に、または全体的に不動にされ、したがって血栓形成性が下がる。図2は修正された(固定された)芯内物質230を有する易損性プラーク120を示している。
【0012】
一実施形態では、易損性プラークの芯内物質を架橋させるために適した薬剤はグルタルアルデヒドである。他の適切な化合物はポリエポキシである。適切なポリエポキシの例はエチレングリコールジグリシジルエーテルである。エチレングリコールジグリシジルエーテルは日本国兵庫県龍野市にあるNagase Chemtex CorporationのDENACAL EX−810(商標)として市販入手可能である。別の実施形態では、適切な架橋用薬剤は天然化合物のゲニピンである。別の実施形態では、架橋用薬剤はCNBrで活性化したセファロースである。言及された薬剤または化合物の各々が単独または組合せで使用されることもある。
【0013】
一実施形態では、架橋用薬剤は液体の形で血管の中に導入され、易損性プラークの中に拡散または移動する機会を与えられるかまたはそのようにさせられる。この方式では、易損性プラークの線維性キャップは乱されない。したがって、一実施形態では、(複数の)架橋用薬剤が易損性プラークの線維性キャップを通って拡散または移動できるように(複数の)架橋用薬剤は分子サイズである。
【0014】
図3は架橋事象の表現を示している。図3は易損性プラークの芯内物質中に存在するであろう脂肪細胞310と脂肪細胞320を示している。この実施形態では、脂肪細胞310と脂肪細胞320は共有結合接続などによって架橋剤330に接続される。一実施形態では、架橋剤330はグルタルアルデヒド、ポリエポキシ、ゲニピン、CNBrで活性化したセファロースから選択される。理論によって束縛される意図はないが、芯内物質の脂肪細胞は化学結合に利用可能な表面アミン基を有すると考えられる。したがって、言及された架橋用薬剤のうちの1つは、様々な脂肪細胞のアミン基間に形成される共有結合325を通して脂肪細胞を架橋させる。架橋の事象は易損性プラークの中で起こるので、易損性プラークを含む血管の内腔が架橋の事象によって塞がれることはない。
【0015】
上記で参照した架橋用薬剤の各々は架橋の事象を達成または誘発させることができる。処置薬剤の各々は架橋可能なモノマーまたはポリマーを随伴せずに供給されることが可能であり、したがって架橋用薬剤の全部または大部分の量は易損性プラークの芯の物質を架橋させるために利用可能である。
【0016】
易損性プラークの芯内物質の固定化時間または固着化時間を上げるために、加速剤が導入されてもよい。適切な加速剤としてサリチル酸が挙げられる。サリチル酸は、特にアルカリ性のpHで投与されると、言及された架橋用薬剤の反応時間(例えば易損性プラーク組織を固定するための時間)を高めることが可能である。好ましいpH範囲は10から12のオーダーである。加速剤としてのサリチル酸の典型的な量は固着化薬剤に対して加速剤0.1パーセントから1パーセントのオーダーである。
【0017】
加速剤は、架橋用薬剤の導入の前または後などのように別々に易損性プラークの中に導入されることも、または(混合物などのように)架橋用薬剤と同時に導入されることも可能である。一実施形態では、架橋用薬剤と加速剤の混合物は、導入の前の混合物の見込まれる架橋を最少限にするために血管への導入の前の現場の時間に調製されてもよい。
【0018】
加速剤に加えて、追加の治療用化合物が場合によって、または追加的に易損性プラークの中に導入されてもよい。典型的には、治療用化合物は易損性プラークが成長するのを阻害する化合物を含む。例は酵素阻害剤と細胞毒性薬剤である。
【0019】
一実施形態では、易損性プラークの中への導入のための処置薬剤、加速剤、いずれかの他の治療用化合物の組合せがキットとして提供される。典型的には、キットは処置薬剤(架橋用薬剤)、加速剤、別のいずれかの、場合によって使用される治療用薬剤各々の別々の量を含む。この(これらの)薬剤や加速剤は血管内への直接注入に適した形態と投薬量である。使用説明書が(複数の)処置薬剤または処置薬剤および/または加速剤の組合せの注入に提供されることになるであろう。別の実施形態では、キットは血管に処置薬剤を供給するためのカテーテル・アセンブリを含んでもよい。
【0020】
図4は血管の中に処置薬剤を導入するために適したカテーテル・アセンブリの実施形態の側面図を示している。この実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は血管などの身体の管腔の中への挿入のための遠位部分410と、カテーテル・アセンブリ400が使用中であるときに患者の外側に残るように意図された部分420を有する。カテーテル・アセンブリ400は近位部分420から遠位部分410を通して延びる主カニューレまたは管状部材425を有する。一実施形態では、主カニューレ425はカテーテル・アセンブリ400が経皮的に大腿動脈または橈骨動脈に挿入され、かつ冠状動脈(例えば左冠状動脈、左下行前動脈、右冠状動脈など)へと進められることを可能にするような長さを有する。
【0021】
一実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は3つのカニューレ(3つの管腔シャフト)を収容できる。図5はカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410の拡大図を例示している。図6は図5の線A−A’を通るカテーテル・アセンブリの断面を示している。図5、図6を参照すると、3つのカニューレまたは管状部材が主カニューレ425の管腔の中に示されている。これらのカニューレはガイドワイヤ・カニューレ530、膨張カニューレ540、注入カニューレ550を含む。各々のカニューレがこれを通る管腔を有する。
【0022】
図5はまた、主カニューレ425に接続されたバルーン520も示している。バルーン520は膨張した状態で示されている。バルーン520は膨張カニューレ540によって膨張させられる。膨張カニューレ540は近位部分420から主カニューレ425を通って延び、バルーン520の中で遠端終結する。一実施形態では、バルーン520はつぶれた構造から望ましくかつ制御された膨張構造へと拡張するように膨張カニューレ540によって選択的に膨張可能である。所定の圧力の程度で流体(例えば液体)を膨張カニューレ540の管腔の中に供給することによってバルーン520を選択的に膨張させることができる。同様に、バルーン520はつぶれた構造または収縮した形状に戻るように選択的に収縮可能である。
【0023】
バルーン520は、限定はされないがポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどのポリマーやコポリマーを含めた様々な材料から作られる。使用される特定の材料は膨張用または拡張用流体に適合すべきであり、バルーン520の中で展開される圧力に耐えることが可能でなければならない。1つの適切な材料はPEBAX 63D(商標)、縮合重合したポリエーテルブロック重合ポリアミドなどのエラストマー系ナイロンである。
【0024】
バルーン520の壁は、最適性能を達成するために重大な特性を損なわない限り、どのような厚さを有することも可能である。関連する特性は、限定はされないが高い破裂強度、低い伸展性、良好な可撓性、疲労に対する高い抵抗力、折り畳み能力、所望の関心対象領域に交差し再交差する能力、取り扱いによって引き起こされる欠陥に対する低い感受性である。限定ではないが例を挙げると、バルーン壁の適切な厚さは0.0005インチ(約0.0127mm)から0.002インチ(0.0508mm)であり、特定の仕様は検討事項の中でもとりわけバルーン520が挿入される標的の管腔の生体構造やサイズによって決まる。
【0025】
上記で言及したように、カテーテル・アセンブリ400は主カニューレ425の少なくとも一部分を通して配置されたガイドワイヤ・カニューレ530もやはり含む。ガイドワイヤ・カニューレ530はガイドワイヤ(図示せず)を通してカテーテル・アセンブリ400を供給し、操作できるようにする。一実施形態では、ガイドワイヤ・カニューレ530は、カテーテル・アセンブリ400の近位部分420から遠位部分410へ主カニューレ425の長さ延びる。典型的には、通常の手順において、ガイドワイヤが最初に生理学的管腔(例えば血管)内の関心対象の領域を通って設置され、ガイド・カテーテルを通してカテーテル・アセンブリ400がワイヤ越え(OTH)方式で関心対象領域へ、またはその領域を通ってガイドワイヤ上を進められる。別の実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は迅速交換(RX)型カテーテル・アセンブリであり、カテーテル・アセンブリ400の一部分(遠位部分)のみがガイドワイヤ上で進められる。迅速交換カテーテルでは、通常ではガイドワイヤ・カニューレ/管腔はカテーテルの遠端部から、カテーテルの近端部から遠端方向に間隔を置かれた近位ガイドワイヤ・ポートへと延びる。近位ガイドワイヤ・ポートは通常ではカテーテルの近端部から大幅な距離を置かれている。
【0026】
やはり上記で述べられたように、主カニューレ425は注入カニューレ550を含む。注入カニューレ550は近位部分420からカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410を通って延びる。この実施形態では、注入カニューレ550はバルーン520の遠位部分を越えて延び、注入または投薬ポートとなる。
【0027】
注入ポート555はバルーン520に対して遠位の位置を有する。例示された実施形態では、注入ポート555はカテーテルの最遠端部である。他の実施形態(図示せず)では、注入ポート555は、カテーテル・シャフトの側壁における1つまたは複数の側方ポートである。この方式では、易損性プラークに沿った血流を塞ぐためにバルーン520が血管内で経線方向に隣接し、かつ易損性プラークの下流または上流のどちらかに置かれる。バルーン520は易損性プラークを処置(例えば修正、固定など)する手順の中で血管を塞ぐため、および血流を最少にするために使用される。図4〜6に示された実施形態では、易損性プラークに沿った流れを塞ぐためにバルーン520が易損性プラークの上流に置かれる。次いで、処置薬剤が注入ポート555を通して血管の中に導入される。
【0028】
図4〜6に示された実施形態では、ガイドワイヤ・カニューレ530と膨張カニューレ540の各々がバルーン520を越えて延びている。膨張カニューレ540の管腔を通る処置薬剤の注入の間にガイドワイヤが定位置にあってもなくてもよいことは理解できるであろう。別の実施形態では、別になった注入カニューレを有するのではなくガイドワイヤ・カニューレがガイドワイヤのために使用されるとともに処置薬剤に管腔を提供するために使用されてもよい。典型的には、図4〜6に示されたアセンブリにおいて、カテーテル・アセンブリ400はガイドワイヤを使用して関心対象の領域に設置される。設置の後、ガイドワイヤが取り外され、ガイドワイヤ・カニューレ530の管腔を通して処置薬剤を供給するために処置薬剤供給源(リザーバ)がガイドワイヤ・カニューレ530の近端部に接続される。
【0029】
再び図4に示された実施形態を参照すると、カテーテル・アセンブリ400の近位部分420は膨張カニューレ540の中に液体を導入するためのインデフレータ440を有する。一実施形態では、インデフレータ440は所定の圧力の程度でバルーン520を膨張させるために膨張用流体をカニューレ540の管腔の中に導入する。図4は注入カニューレ550の管腔の中に処置薬剤を導入することができるインデフレータ450もやはり示している。一実施形態では、インデフレータ450は処置薬剤の所定の量が注入カニューレ550の管腔の中、したがって処置部位に導入されることが可能になるように制御された量のインデフレータである。図4はインデフレータ450に接続されることが可能ないくつかのリザーバを例示している。リザーバ460は、例えば、グルタルアルデヒド、ポリエポキシ、天然化合物(例えばゲニピン)、または活性化セファロースなどの処置薬剤を含む。場合によって使用されるリザーバ470はサリチル酸などの加速剤を含む。場合によって使用されるリザーバ480は架橋用薬剤以外の治療用薬剤を含む。複数の薬剤が複数のリザーバから供給される一実施形態では、これらのリザーバは順々にインデフレータ450に接続される。
【0030】
図4に示された実施形態では、インデフレータ440は主カニューレ425に相対して分岐して側方の位置で示されている。別の実施形態では、注入カニューレ550とインデフレータ450に類似して、インデフレータ440と膨張カニューレ540の近位部分は主カニューレ425と同軸に配置される。
【0031】
図4、図5、図6に関して述べられた実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は処置部位の近くの位置(例えば易損性プラークに近くの位置)で血管を塞ぐことを少なくとも1つの目的として有するバルーンを含む。この方式では、注入カニューレ550とポート555はバルーンの遠端部を越えて遠位に延ばされる。別の実施形態では、閉塞用バルーンなどの閉塞用機構を(例えば半径方向に隣接する)処置部位(例えば易損性プラーク)に設置することが望ましい。この実施形態では、処置薬剤はこの閉塞用機構を通して導入されるであろう。
【0032】
図7、図8はカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410の代替の実施形態を示しており、バルーン内部に多孔性部分と注入ポートを有するバルーンを含む。図7は主カニューレ425に接続されたバルーン720を示している。ガイドワイヤ・カニューレ730がバルーン720の遠端部を越えて延びている。注入カニューレ750はバルーン720の内部で注入ポート755で終結している。この実施形態では、処置薬剤は注入カニューレ750の近端部に導入され、注入カニューレ750の管腔を通ってバルーンを膨張させ、それと同様に、バルーン720の多孔性部分を通って易損性プラークへと移動する。処置薬剤がバルーン720を膨張させるために使用されるので、別の膨張カニューレ/管腔は不必要である。代替の実施形態では、カテーテル・アセンブリが注入カニューレと膨張カニューレを有してもよい。
【0033】
一実施形態では、バルーン720は多孔性部分725を含む。この実施形態では、バルーン720は主カニューレ425に接続された近位の裾770、中間の機能長さ775、遠位に延びるガイドワイヤ・カニューレ730に接続された遠位の裾780もやはり有する。一実施形態では、多孔性部分725はバルーン720の膨張可能部分全体よりも小さい部分を形作っている。一実施形態の多孔性部分725は、例えば、バルーン720の円周の周囲で部分的に延びるのみである。図8は図7の線A−A’を通る断面を示しており、バルーン720の円周の周囲で部分的に延びる多孔性部分725を例示している。一実施形態では、多孔性部分725はバルーン720の機能長さ(例えば中間の機能長さ775の長さ)に延び、易損性プラークの長さに応じて8ミリメートル(mm)から28mmの長さの範囲にわたる。別の実施形態では、多孔性部分725はバルーン720の円周の周囲で部分的に延びるのみであり、バルーン720の中間の機能長さ775の長さよりも少ない長さに延びる。
【0034】
多孔性のバルーン、または多孔性部分を有するバルーンは膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作られることもある。ePTFEの多孔性部分を有するバルーンは5ミクロン(μm)から40μmのオーダーのサイズで作られる。部分的多孔質ePTFEバルーンを形成するための1つの方式は所望の多孔性部分をスコッチテープなどの粘着テープでマスクし、バルーンの残りの部分をスチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー、シリコーン−ポリウレタンコポリマー、ポリウレタンなどのエラストマー系ポリマーで含浸することによる。多孔性部分を有する非ePTFEバルーンを形成するための別の方式は機械的または化学的手段を介してバルーン表面に25から250マイクロメートルの範囲にわたる多数の穴を作り出すことである。
【0035】
上述の実施形態では、バルーン720を膨張させるために注入カニューレ750がバルーン720の内側に処置薬剤を供給する。処置薬剤はバルーン720の多孔性部分725の孔隙を通ってバルーン720から移動する。他の構造もやはり可能であることは理解されるであろう。例えば、カテーテル・アセンブリは別になった膨張カニューレと注入カニューレを有し、膨張カニューレが第1のバルーンの中に延び、注入カニューレが第1のバルーン上に配置された第2のバルーンの中に延びることもある。この方式では、第1のバルーンが血管の少なくとも一部分を塞ぐために使用されてもよく、血管を部分的に塞ぐためや、処置薬剤を供給するために第2のバルーンが役立ってもよい。別の実施形態では、単一の注入カニューレによって2つのバルーンが使用され供給されることもある。注入カニューレは多孔性である(微細孔を有する)第1のバルーンの中に延び、処置薬剤が第1のバルーンの内側から第1のバルーンの上の第2のバルーンの内側へ移動させる。第2のバルーンは処置薬剤が第2のバルーンの内側から移動できるようにやはり多孔性の部分を有する。この構成の1つの利点は、第1の内側バルーンから来ることが見込まれる処置薬剤の考えられる圧力流からの血管に対する防護効果を第2のバルーンが提供することである。
【0036】
図7、図8に関して述べられた実施形態では、バルーンはその機能長さの一部分が易損性プラークの線維性キャップにあるかまたはこれに沿うように置かれる。線維性キャップに接触しないように、またはバルーンが膨張させられるときの線維性への接触圧力を最少限にするように注意が必要である。図9はカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410の代替の実施形態を示しており、バルーンの中に多孔性部分を有し、かつ注入ポートを有するバルーンを含む。図9は主カニューレ425へ接続されたバルーン920を示している。ガイドワイヤ・カニューレ930がバルーン920の遠端部を越えて延びている。注入カニューレ950の遠端部はバルーン920の内部で注入ポート955で終結している。処置薬剤は注入カニューレ950の近端部に導入され、注入カニューレ950を通り、注入ポート955を通ってバルーン920を膨張させることが可能である。
【0037】
図9に例示された実施形態では、バルーン920は主カニューレ425へ接続された近位の裾970とガイドワイヤ・カニューレ930へ接続された遠位の裾980を含む。バルーン920はまた、近位の裾970と遠位の裾980へそれぞれ接続された第1の中間機能長さ部分974と第2の中間機能長さ部分975も含む。膨張した状態では、第1の中間機能長さ部分974は第2の中間機能長さ部分975よりも大きい直径を有し、第2の中間機能長さ部分975よりも概してさらに弾性的である。第2の中間機能長さ部分975よりも大きい弾性を有する第1の中間機能長さ部分974を形成するための1つの方式は、第1の中間機能長さ部分974と第2の中間機能長さ部分975の両方を含む長さを有するバルーン920の概して非弾性の中間機能長さを形成し、次いで、第1の中間機能長さ部分974の中にエラストマーを含浸させることである。
【0038】
一実施形態では、第1の中間機能長さ部分974は標的の血管の直径に膨張させられ、その一方で第2の中間機能長さ部分975は標的の血管の直径よりも小さい、好ましくは易損性プラークを有する血管の直径よりも小さい直径に膨張させられる。一実施形態では、カテーテル・アセンブリ400はバルーン920の第1の中間機能長さ部分974が易損性プラークの上流にあり、易損性プラークに接触することなく標的の血管を塞ぐように膨張させられるように設置される。
【0039】
第1の中間機能長さ部分974は血流を塞ぐための構造的完全性を提供するのに適した長さ寸法を有する。典型的には、数ミリメートルのオーダーの長さで十分である。
【0040】
バルーン920の第2の中間機能長さ部分975は、一実施形態では、易損性プラークの長さとほぼ同等の長さを有する。第2の中間機能長さ部分975に関する典型例の長さは8mmから28mmのオーダーである。第2の中間機能長さ部分975は、図7と図8およびそれに付随する文を参照して上述したようなバルーン720の多孔性部分725と同様の多孔性部分925を含む。多孔性部分925はバルーン920の円周の周囲に部分的に延びるのみであってもよく、第2の中間機能長さ部分975の全長に延びてもよい。注入カニューレ950を通して注入ポート955に供給される処置薬剤は第2の中間機能長さ部分975の多孔性部分925を通って移動することが可能であり、易損性プラークへと供給される。
【0041】
血管の中の易損性プラークの場所を見つけるために様々な映像技術を使用することができる。そのような映像技術はOCTやIVUSなどの管腔内技術を含む。易損性プラークを有する処置部位がいったん識別されると、図4、図5、図6、または図4、図7、図8、または図4、図9に関して述べられたカテーテル・アセンブリなどのカテーテル・アセンブリが血管の中に導入される。
【0042】
図10は中に易損性プラークを有する血管の断面の側面図と血管の中の処置デバイスを示している。典型的には、図4、図5、図6に関して上述したような処置デバイス400が処置部位に対して近位または易損性プラーク1060に対して近位の箇所の血管1000を塞ぐバルーン520を含む。次いで、処置薬剤がバルーン520に対して遠位の箇所で投薬ポート555を通して血管1000の中に注入される。処置薬剤は芯を修正するために易損性プラーク1060の薄い線維性キャップを通って移動または拡散する。
【0043】
図11は中に易損性プラークを有する血管の断面の側面図と血管内に配置された処置デバイスの別の実施形態を示している。この実施形態では、処置デバイス400は例えば、図4、図7、図8と付随する文を参照して上述したアセンブリと同様のカテーテル・アセンブリである。処置デバイス410はバルーン720を含む。バルーン720は血管1100の中で膨張した状態で示されている。この実施形態では、バルーン720は易損性プラーク1160を含む処置部位で機能長さを伴なって位置決めされている。一実施形態では、バルーン720は(例えば4気圧未満または1気圧未満ですらある)低い圧力と制御された程度で膨張させられる。一実施形態では、バルーン720は易損性プラーク1160の内径未満であって好ましくは易損性プラーク1160に接触しない直径に膨張させられる。
【0044】
この実施形態では、バルーン720はバルーン720の機能長さに沿って多孔性部分725を含む。例えば注入カニューレ755の注入ポート755はバルーン720の中に設置される。処置薬剤は注入ポート755を通して導入される。処置薬剤はバルーン720の多孔性部分を通って移動し、易損性プラーク1060の中へと移動または拡散することが可能である。
【0045】
バルーン720の多孔性部分725がバルーン720の全周未満および/または機能長さ未満に延びる場合、多孔性部分を易損性プラーク1160に整列させる(位置決めする)ことが望ましい。そのような整列または位置決めのための1つの技法はカテーテル・アセンブリ400のガイドワイヤ・カニューレを通じたOCTデバイスなどの映像デバイスの設置を含む。易損性プラーク1160はこの映像デバイスで識別されることが可能であり、バルーン720の多孔性部分725が易損性プラーク1160に整列する(位置決めされる)ようにバルーン720が回され、または位置決めされる。
【0046】
図12は中に易損性プラークを有する血管の断面の側面図と血管の中の処置デバイスを示している。典型的には、図4、図9に関して上述したような処置デバイス400が、第1の中間機能長さ部分974と第2の中間機能長さ部分975を含むバルーン920を有する。第2の中間機能長さ部分975は易損性プラークに沿って設置され、第1の中間機能長さ部分は易損性プラーク1260に近位方向で隣接して設置される。バルーン920は注入カニューレ950の注入ポート955を通して供給される処置薬剤で膨張させられる。第1の中間機能長さ弾性部分974は血管1200の内壁に接触するように、または血流を遮断するように膨張し、その一方でバルーン920の第2の中間機能長さ部分975は易損性プラーク1260に接触するかまたは損傷を与えるのに少なくとも有意に十分ではない程度まで有意に膨張しないであろう。注入ポート955を通して導入される処置薬剤はバルーン920の多孔性部分925を通って移動し、易損性プラーク1260の中へと移動または拡散することが可能である。
【0047】
別の実施形態では、例えば図11や図12で述べられた実施形態による易損性プラークの中への処置薬剤の移動または拡散が助成される。典型的な助成技術は、限定はされないが電気輸送技術を含む。例えば、バルーン720の下/上の選択された周波数、振幅、デューティ・サイクル、波形を備えた圧電マイクロチップが動脈壁の検出された易損性プラークの表面の周囲で超音波周波数を発射することで易損性プラークの中への処置薬剤の拡散を容易にすることができる。易損性プラークの中への処置薬剤の拡散を容易にするための別の方式は、多孔性のバルーンの下で銀/塩化銀電極を使用するなどのイオン導入法による。処置薬剤をバルーンの外に出して易損性プラークの中へと駆動するための電位がバルーンの中に作られる。
【0048】
上記の実施形態では、外部で易損性プラークの中に処置薬剤を導入するためのデバイスと技法が述べられている。処置薬剤が様々な他の手段で導入されることが可能であることは理解されるであろう。典型的には、処置薬剤は例えば針カテーテルを使用して易損性プラークの中に注射される。このケースでの懸案事項は注射で易損性プラークを破裂させることに付随すると見込まれる。そのような破裂を最少限にするための技術には、注射時にバルーンまたはステントで易損性プラークを支えるステップを含む。
【0049】
前述の詳細な説明では、特定の実施形態を参照している。しかしながら、添付の特許請求の範囲のさらに広い精神と範囲から逸脱することなく様々な修正や変更がこれになされ得ることは明らかである。したがって、本明細書と図面は限定の意味ではなく具体的例示の意味に見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】易損性プラークを含む血管の断面の概略の正面図である。
【図2】易損性プラークの芯が処置薬剤によって修正されている場合の易損性プラークの断面の概略の正面図である。
【図3】易損性プラークの芯にある脂質の典型的な分子レベルの架橋を示す図である。
【図4】3管腔シャフトのカテーテル・アセンブリを示す概略の側面図である。
【図5】図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分の1つの実施形態を示す断面の概略の側面図である。
【図6】図5の線A−A’を通してとった図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分を示す断面図である。
【図7】図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分の別の実施形態を示す断面の概略の側面図である。
【図8】図7の線A−A’を通してとった図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分を示す断面図である。
【図9】図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分の別の実施形態を示す断面の概略の側面図である。
【図10】内部に配置されて易損性プラークに対して近位の箇所で処置薬剤を投薬する、図4〜6に関して述べられたカテーテル・アセンブリの実施形態を有する血管を示す断面の概略の側面図である。
【図11】内部に配置され、閉塞機構を備えて易損性プラークに処置薬剤を投薬する、図4および図7〜8に関して述べられたカテーテル・アセンブリの実施形態を有する血管を示す断面の概略の側面図である。
【図12】内部に配置され、閉塞機構を備えて易損性プラークに処置薬剤を投薬する、図4および図9に関して述べられたカテーテル・アセンブリの実施形態を有する血管を示す断面の概略の側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は経内腔治療のデバイス、構成、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Thin−capped fibroatheroma(「TFCA」)すなわち易損性プラークは、動脈などの血管の内側で発現することがあるアテローム硬化性プラークに関する。通常の易損性プラークは脂質、コレステロール結晶、コレステロールエステルで満たされた芯、マクロファージ、その他の細胞を含む。芯は薄い線維性のキャップ(0.05ミリメートル(mm)から0.10mmの厚さ)を有する。この線維性のキャップは脆弱化して破裂することがある。破裂すると、管腔の血液が易損性プラークの芯からの高度に血栓形成性の物質に晒され、これが結果として血管の全体的な血栓性閉塞につながることもある。
【0003】
易損性プラークの破裂する傾向が、マクロファージに由来する泡沫細胞によって大部分が合成されるマトリクス・メタロプロテナーゼ(「MMP」)の活性に関連するという証拠が増えている。特に、MMPは線維性キャップ構造の完全性の重要な供給源であるタイプIおよびIIIのコラーゲンなどの細胞外マトリクスタンパク質を分解することが見込まれる。したがって、通常ではプラーク内の単球付着の結果である慢性および/または局所性の炎症が易損性プラークの不安定化と(血栓症を経由した)急性の冠不全症候群につながることもある。
【0004】
以下の方式で易損性プラークが形成されると研究者達は考えている。脂肪小滴が血管(例えば動脈)によって吸収され、これが、炎症につながるサイトカイン(タンパク質)の放出を引き起こす。サイトカインは動脈壁を粘着性にし、これが単球(免疫系細胞)を引き寄せる。単球は動脈壁の中に押し入る。いったん内部に入ると、単球はマクロファージ(細胞)へと変わり、脂肪小滴を吸収し始める。脂肪で満たされたマクロフォージは薄い被膜を備えたプラークを形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光コヒーレンス・トモグラフィ(「OCT」)や血管内超音波検査法(「IVUS」)などの映像技術の進歩は易損性プラークを識別する機会を提供する。しかしながら、易損性プラークを処置する(例えば除去する、固定する、新形態にする)ための効果的な方法に関するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
方法が開示される。一実施態様では、この方法は、易損性プラークを含む処置部位に血管内の経内腔経路を介して処置デバイスを導入するステップと、易損性プラークの内容物の特性を修正する傾向のある特性を有する化合物を含む処置薬剤を投薬するステップとを含む。易損性プラークの内容物の代表的な特性は移動度を含む。適切な化合物は線維性キャップの芯の中に移動(例えば拡散)して芯内物質(例えば脂質)を架橋させ、芯内物質を高度に血栓性からほぼ非血栓性へと変える架橋剤として作用することが可能な化合物を含む。
【0007】
別の態様では、キットが開示される。一実施態様では、キットは易損性プラークの内容物の特性を修正することのできる特性を有する第1の処置薬剤、易損性プラークの内容物と第1の処置薬剤の架橋を加速する薬剤などの第2の処置薬剤を含む。別の実施態様では、キットは、血管を行き来するのに適したカテーテルであって外側からアクセス可能な患者の箇所から血管内の処置部位における設置に適した長さ寸法を有するカテーテルを含む。第1の処置薬剤および/または第2の処置薬剤が易損性プラークを含む処置部位にカテーテルを通して導入されて易損性プラークを修正することが可能である。
【0008】
別の態様では、組成が開示される。この組成は易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤を、カテーテルを通して血管の中に投薬するのに適した形態と濃度で含む。易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤の例は架橋用薬剤を含む。
【0009】
さらなる態様では、システムが述べられる。一実施態様では、システムは、易損性プラークの芯を修正する特性を有する架橋用薬剤を含む第1の流動可能な物質を収容したリザーバと、第1のリザーバ内の第1の流動可能な物質と流体連絡した管腔およびカニューレの遠端部分を通過させる開口となっている遠端部分を有するカニューレとを有するシステムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は冠状動脈などの血管の断面図を示している。血管100はこれを通る内腔105を形成する血管壁110を有する。血管100の内腔105の中に易損性プラーク120が形成されている。易損性プラーク120は線維性キャップ140で囲まれた芯130を有する。未変更状態の芯130は脂質、コレステロール結晶、コレステロールエステル、マクロファージ、その他の細胞を含む。未処置状態の芯内物質130は高度に血栓性であり、線維性キャップ140だけで血栓性物質の放出を阻止している。
【0011】
図2は易損性プラーク120の芯内物質の修正の後の血管100を示している。一実施形態では、芯内物質を固定するための組成が易損性プラーク120の中に導入される。典型的には、芯内物質は、架橋用薬剤を易損性プラーク120内へ導入することによって固定される。或る意味では架橋用薬剤は2つ以上の分子または細胞を連結する薬剤である。一実施形態では、本願明細書に述べられる架橋用薬剤はこれらが易損性プラークの芯内物質を架橋させるような形態で導入される。或る意味では架橋用薬剤は易損性プラーク120内部で連結された脂肪細胞のネットワークを形成する。この方式では、易損性プラーク120の芯内物質は実質的に、支配的に、または全体的に不動にされ、したがって血栓形成性が下がる。図2は修正された(固定された)芯内物質230を有する易損性プラーク120を示している。
【0012】
一実施形態では、易損性プラークの芯内物質を架橋させるために適した薬剤はグルタルアルデヒドである。他の適切な化合物はポリエポキシである。適切なポリエポキシの例はエチレングリコールジグリシジルエーテルである。エチレングリコールジグリシジルエーテルは日本国兵庫県龍野市にあるNagase Chemtex CorporationのDENACAL EX−810(商標)として市販入手可能である。別の実施形態では、適切な架橋用薬剤は天然化合物のゲニピンである。別の実施形態では、架橋用薬剤はCNBrで活性化したセファロースである。言及された薬剤または化合物の各々が単独または組合せで使用されることもある。
【0013】
一実施形態では、架橋用薬剤は液体の形で血管の中に導入され、易損性プラークの中に拡散または移動する機会を与えられるかまたはそのようにさせられる。この方式では、易損性プラークの線維性キャップは乱されない。したがって、一実施形態では、(複数の)架橋用薬剤が易損性プラークの線維性キャップを通って拡散または移動できるように(複数の)架橋用薬剤は分子サイズである。
【0014】
図3は架橋事象の表現を示している。図3は易損性プラークの芯内物質中に存在するであろう脂肪細胞310と脂肪細胞320を示している。この実施形態では、脂肪細胞310と脂肪細胞320は共有結合接続などによって架橋剤330に接続される。一実施形態では、架橋剤330はグルタルアルデヒド、ポリエポキシ、ゲニピン、CNBrで活性化したセファロースから選択される。理論によって束縛される意図はないが、芯内物質の脂肪細胞は化学結合に利用可能な表面アミン基を有すると考えられる。したがって、言及された架橋用薬剤のうちの1つは、様々な脂肪細胞のアミン基間に形成される共有結合325を通して脂肪細胞を架橋させる。架橋の事象は易損性プラークの中で起こるので、易損性プラークを含む血管の内腔が架橋の事象によって塞がれることはない。
【0015】
上記で参照した架橋用薬剤の各々は架橋の事象を達成または誘発させることができる。処置薬剤の各々は架橋可能なモノマーまたはポリマーを随伴せずに供給されることが可能であり、したがって架橋用薬剤の全部または大部分の量は易損性プラークの芯の物質を架橋させるために利用可能である。
【0016】
易損性プラークの芯内物質の固定化時間または固着化時間を上げるために、加速剤が導入されてもよい。適切な加速剤としてサリチル酸が挙げられる。サリチル酸は、特にアルカリ性のpHで投与されると、言及された架橋用薬剤の反応時間(例えば易損性プラーク組織を固定するための時間)を高めることが可能である。好ましいpH範囲は10から12のオーダーである。加速剤としてのサリチル酸の典型的な量は固着化薬剤に対して加速剤0.1パーセントから1パーセントのオーダーである。
【0017】
加速剤は、架橋用薬剤の導入の前または後などのように別々に易損性プラークの中に導入されることも、または(混合物などのように)架橋用薬剤と同時に導入されることも可能である。一実施形態では、架橋用薬剤と加速剤の混合物は、導入の前の混合物の見込まれる架橋を最少限にするために血管への導入の前の現場の時間に調製されてもよい。
【0018】
加速剤に加えて、追加の治療用化合物が場合によって、または追加的に易損性プラークの中に導入されてもよい。典型的には、治療用化合物は易損性プラークが成長するのを阻害する化合物を含む。例は酵素阻害剤と細胞毒性薬剤である。
【0019】
一実施形態では、易損性プラークの中への導入のための処置薬剤、加速剤、いずれかの他の治療用化合物の組合せがキットとして提供される。典型的には、キットは処置薬剤(架橋用薬剤)、加速剤、別のいずれかの、場合によって使用される治療用薬剤各々の別々の量を含む。この(これらの)薬剤や加速剤は血管内への直接注入に適した形態と投薬量である。使用説明書が(複数の)処置薬剤または処置薬剤および/または加速剤の組合せの注入に提供されることになるであろう。別の実施形態では、キットは血管に処置薬剤を供給するためのカテーテル・アセンブリを含んでもよい。
【0020】
図4は血管の中に処置薬剤を導入するために適したカテーテル・アセンブリの実施形態の側面図を示している。この実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は血管などの身体の管腔の中への挿入のための遠位部分410と、カテーテル・アセンブリ400が使用中であるときに患者の外側に残るように意図された部分420を有する。カテーテル・アセンブリ400は近位部分420から遠位部分410を通して延びる主カニューレまたは管状部材425を有する。一実施形態では、主カニューレ425はカテーテル・アセンブリ400が経皮的に大腿動脈または橈骨動脈に挿入され、かつ冠状動脈(例えば左冠状動脈、左下行前動脈、右冠状動脈など)へと進められることを可能にするような長さを有する。
【0021】
一実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は3つのカニューレ(3つの管腔シャフト)を収容できる。図5はカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410の拡大図を例示している。図6は図5の線A−A’を通るカテーテル・アセンブリの断面を示している。図5、図6を参照すると、3つのカニューレまたは管状部材が主カニューレ425の管腔の中に示されている。これらのカニューレはガイドワイヤ・カニューレ530、膨張カニューレ540、注入カニューレ550を含む。各々のカニューレがこれを通る管腔を有する。
【0022】
図5はまた、主カニューレ425に接続されたバルーン520も示している。バルーン520は膨張した状態で示されている。バルーン520は膨張カニューレ540によって膨張させられる。膨張カニューレ540は近位部分420から主カニューレ425を通って延び、バルーン520の中で遠端終結する。一実施形態では、バルーン520はつぶれた構造から望ましくかつ制御された膨張構造へと拡張するように膨張カニューレ540によって選択的に膨張可能である。所定の圧力の程度で流体(例えば液体)を膨張カニューレ540の管腔の中に供給することによってバルーン520を選択的に膨張させることができる。同様に、バルーン520はつぶれた構造または収縮した形状に戻るように選択的に収縮可能である。
【0023】
バルーン520は、限定はされないがポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどのポリマーやコポリマーを含めた様々な材料から作られる。使用される特定の材料は膨張用または拡張用流体に適合すべきであり、バルーン520の中で展開される圧力に耐えることが可能でなければならない。1つの適切な材料はPEBAX 63D(商標)、縮合重合したポリエーテルブロック重合ポリアミドなどのエラストマー系ナイロンである。
【0024】
バルーン520の壁は、最適性能を達成するために重大な特性を損なわない限り、どのような厚さを有することも可能である。関連する特性は、限定はされないが高い破裂強度、低い伸展性、良好な可撓性、疲労に対する高い抵抗力、折り畳み能力、所望の関心対象領域に交差し再交差する能力、取り扱いによって引き起こされる欠陥に対する低い感受性である。限定ではないが例を挙げると、バルーン壁の適切な厚さは0.0005インチ(約0.0127mm)から0.002インチ(0.0508mm)であり、特定の仕様は検討事項の中でもとりわけバルーン520が挿入される標的の管腔の生体構造やサイズによって決まる。
【0025】
上記で言及したように、カテーテル・アセンブリ400は主カニューレ425の少なくとも一部分を通して配置されたガイドワイヤ・カニューレ530もやはり含む。ガイドワイヤ・カニューレ530はガイドワイヤ(図示せず)を通してカテーテル・アセンブリ400を供給し、操作できるようにする。一実施形態では、ガイドワイヤ・カニューレ530は、カテーテル・アセンブリ400の近位部分420から遠位部分410へ主カニューレ425の長さ延びる。典型的には、通常の手順において、ガイドワイヤが最初に生理学的管腔(例えば血管)内の関心対象の領域を通って設置され、ガイド・カテーテルを通してカテーテル・アセンブリ400がワイヤ越え(OTH)方式で関心対象領域へ、またはその領域を通ってガイドワイヤ上を進められる。別の実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は迅速交換(RX)型カテーテル・アセンブリであり、カテーテル・アセンブリ400の一部分(遠位部分)のみがガイドワイヤ上で進められる。迅速交換カテーテルでは、通常ではガイドワイヤ・カニューレ/管腔はカテーテルの遠端部から、カテーテルの近端部から遠端方向に間隔を置かれた近位ガイドワイヤ・ポートへと延びる。近位ガイドワイヤ・ポートは通常ではカテーテルの近端部から大幅な距離を置かれている。
【0026】
やはり上記で述べられたように、主カニューレ425は注入カニューレ550を含む。注入カニューレ550は近位部分420からカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410を通って延びる。この実施形態では、注入カニューレ550はバルーン520の遠位部分を越えて延び、注入または投薬ポートとなる。
【0027】
注入ポート555はバルーン520に対して遠位の位置を有する。例示された実施形態では、注入ポート555はカテーテルの最遠端部である。他の実施形態(図示せず)では、注入ポート555は、カテーテル・シャフトの側壁における1つまたは複数の側方ポートである。この方式では、易損性プラークに沿った血流を塞ぐためにバルーン520が血管内で経線方向に隣接し、かつ易損性プラークの下流または上流のどちらかに置かれる。バルーン520は易損性プラークを処置(例えば修正、固定など)する手順の中で血管を塞ぐため、および血流を最少にするために使用される。図4〜6に示された実施形態では、易損性プラークに沿った流れを塞ぐためにバルーン520が易損性プラークの上流に置かれる。次いで、処置薬剤が注入ポート555を通して血管の中に導入される。
【0028】
図4〜6に示された実施形態では、ガイドワイヤ・カニューレ530と膨張カニューレ540の各々がバルーン520を越えて延びている。膨張カニューレ540の管腔を通る処置薬剤の注入の間にガイドワイヤが定位置にあってもなくてもよいことは理解できるであろう。別の実施形態では、別になった注入カニューレを有するのではなくガイドワイヤ・カニューレがガイドワイヤのために使用されるとともに処置薬剤に管腔を提供するために使用されてもよい。典型的には、図4〜6に示されたアセンブリにおいて、カテーテル・アセンブリ400はガイドワイヤを使用して関心対象の領域に設置される。設置の後、ガイドワイヤが取り外され、ガイドワイヤ・カニューレ530の管腔を通して処置薬剤を供給するために処置薬剤供給源(リザーバ)がガイドワイヤ・カニューレ530の近端部に接続される。
【0029】
再び図4に示された実施形態を参照すると、カテーテル・アセンブリ400の近位部分420は膨張カニューレ540の中に液体を導入するためのインデフレータ440を有する。一実施形態では、インデフレータ440は所定の圧力の程度でバルーン520を膨張させるために膨張用流体をカニューレ540の管腔の中に導入する。図4は注入カニューレ550の管腔の中に処置薬剤を導入することができるインデフレータ450もやはり示している。一実施形態では、インデフレータ450は処置薬剤の所定の量が注入カニューレ550の管腔の中、したがって処置部位に導入されることが可能になるように制御された量のインデフレータである。図4はインデフレータ450に接続されることが可能ないくつかのリザーバを例示している。リザーバ460は、例えば、グルタルアルデヒド、ポリエポキシ、天然化合物(例えばゲニピン)、または活性化セファロースなどの処置薬剤を含む。場合によって使用されるリザーバ470はサリチル酸などの加速剤を含む。場合によって使用されるリザーバ480は架橋用薬剤以外の治療用薬剤を含む。複数の薬剤が複数のリザーバから供給される一実施形態では、これらのリザーバは順々にインデフレータ450に接続される。
【0030】
図4に示された実施形態では、インデフレータ440は主カニューレ425に相対して分岐して側方の位置で示されている。別の実施形態では、注入カニューレ550とインデフレータ450に類似して、インデフレータ440と膨張カニューレ540の近位部分は主カニューレ425と同軸に配置される。
【0031】
図4、図5、図6に関して述べられた実施形態では、カテーテル・アセンブリ400は処置部位の近くの位置(例えば易損性プラークに近くの位置)で血管を塞ぐことを少なくとも1つの目的として有するバルーンを含む。この方式では、注入カニューレ550とポート555はバルーンの遠端部を越えて遠位に延ばされる。別の実施形態では、閉塞用バルーンなどの閉塞用機構を(例えば半径方向に隣接する)処置部位(例えば易損性プラーク)に設置することが望ましい。この実施形態では、処置薬剤はこの閉塞用機構を通して導入されるであろう。
【0032】
図7、図8はカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410の代替の実施形態を示しており、バルーン内部に多孔性部分と注入ポートを有するバルーンを含む。図7は主カニューレ425に接続されたバルーン720を示している。ガイドワイヤ・カニューレ730がバルーン720の遠端部を越えて延びている。注入カニューレ750はバルーン720の内部で注入ポート755で終結している。この実施形態では、処置薬剤は注入カニューレ750の近端部に導入され、注入カニューレ750の管腔を通ってバルーンを膨張させ、それと同様に、バルーン720の多孔性部分を通って易損性プラークへと移動する。処置薬剤がバルーン720を膨張させるために使用されるので、別の膨張カニューレ/管腔は不必要である。代替の実施形態では、カテーテル・アセンブリが注入カニューレと膨張カニューレを有してもよい。
【0033】
一実施形態では、バルーン720は多孔性部分725を含む。この実施形態では、バルーン720は主カニューレ425に接続された近位の裾770、中間の機能長さ775、遠位に延びるガイドワイヤ・カニューレ730に接続された遠位の裾780もやはり有する。一実施形態では、多孔性部分725はバルーン720の膨張可能部分全体よりも小さい部分を形作っている。一実施形態の多孔性部分725は、例えば、バルーン720の円周の周囲で部分的に延びるのみである。図8は図7の線A−A’を通る断面を示しており、バルーン720の円周の周囲で部分的に延びる多孔性部分725を例示している。一実施形態では、多孔性部分725はバルーン720の機能長さ(例えば中間の機能長さ775の長さ)に延び、易損性プラークの長さに応じて8ミリメートル(mm)から28mmの長さの範囲にわたる。別の実施形態では、多孔性部分725はバルーン720の円周の周囲で部分的に延びるのみであり、バルーン720の中間の機能長さ775の長さよりも少ない長さに延びる。
【0034】
多孔性のバルーン、または多孔性部分を有するバルーンは膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作られることもある。ePTFEの多孔性部分を有するバルーンは5ミクロン(μm)から40μmのオーダーのサイズで作られる。部分的多孔質ePTFEバルーンを形成するための1つの方式は所望の多孔性部分をスコッチテープなどの粘着テープでマスクし、バルーンの残りの部分をスチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー、シリコーン−ポリウレタンコポリマー、ポリウレタンなどのエラストマー系ポリマーで含浸することによる。多孔性部分を有する非ePTFEバルーンを形成するための別の方式は機械的または化学的手段を介してバルーン表面に25から250マイクロメートルの範囲にわたる多数の穴を作り出すことである。
【0035】
上述の実施形態では、バルーン720を膨張させるために注入カニューレ750がバルーン720の内側に処置薬剤を供給する。処置薬剤はバルーン720の多孔性部分725の孔隙を通ってバルーン720から移動する。他の構造もやはり可能であることは理解されるであろう。例えば、カテーテル・アセンブリは別になった膨張カニューレと注入カニューレを有し、膨張カニューレが第1のバルーンの中に延び、注入カニューレが第1のバルーン上に配置された第2のバルーンの中に延びることもある。この方式では、第1のバルーンが血管の少なくとも一部分を塞ぐために使用されてもよく、血管を部分的に塞ぐためや、処置薬剤を供給するために第2のバルーンが役立ってもよい。別の実施形態では、単一の注入カニューレによって2つのバルーンが使用され供給されることもある。注入カニューレは多孔性である(微細孔を有する)第1のバルーンの中に延び、処置薬剤が第1のバルーンの内側から第1のバルーンの上の第2のバルーンの内側へ移動させる。第2のバルーンは処置薬剤が第2のバルーンの内側から移動できるようにやはり多孔性の部分を有する。この構成の1つの利点は、第1の内側バルーンから来ることが見込まれる処置薬剤の考えられる圧力流からの血管に対する防護効果を第2のバルーンが提供することである。
【0036】
図7、図8に関して述べられた実施形態では、バルーンはその機能長さの一部分が易損性プラークの線維性キャップにあるかまたはこれに沿うように置かれる。線維性キャップに接触しないように、またはバルーンが膨張させられるときの線維性への接触圧力を最少限にするように注意が必要である。図9はカテーテル・アセンブリ400の遠位部分410の代替の実施形態を示しており、バルーンの中に多孔性部分を有し、かつ注入ポートを有するバルーンを含む。図9は主カニューレ425へ接続されたバルーン920を示している。ガイドワイヤ・カニューレ930がバルーン920の遠端部を越えて延びている。注入カニューレ950の遠端部はバルーン920の内部で注入ポート955で終結している。処置薬剤は注入カニューレ950の近端部に導入され、注入カニューレ950を通り、注入ポート955を通ってバルーン920を膨張させることが可能である。
【0037】
図9に例示された実施形態では、バルーン920は主カニューレ425へ接続された近位の裾970とガイドワイヤ・カニューレ930へ接続された遠位の裾980を含む。バルーン920はまた、近位の裾970と遠位の裾980へそれぞれ接続された第1の中間機能長さ部分974と第2の中間機能長さ部分975も含む。膨張した状態では、第1の中間機能長さ部分974は第2の中間機能長さ部分975よりも大きい直径を有し、第2の中間機能長さ部分975よりも概してさらに弾性的である。第2の中間機能長さ部分975よりも大きい弾性を有する第1の中間機能長さ部分974を形成するための1つの方式は、第1の中間機能長さ部分974と第2の中間機能長さ部分975の両方を含む長さを有するバルーン920の概して非弾性の中間機能長さを形成し、次いで、第1の中間機能長さ部分974の中にエラストマーを含浸させることである。
【0038】
一実施形態では、第1の中間機能長さ部分974は標的の血管の直径に膨張させられ、その一方で第2の中間機能長さ部分975は標的の血管の直径よりも小さい、好ましくは易損性プラークを有する血管の直径よりも小さい直径に膨張させられる。一実施形態では、カテーテル・アセンブリ400はバルーン920の第1の中間機能長さ部分974が易損性プラークの上流にあり、易損性プラークに接触することなく標的の血管を塞ぐように膨張させられるように設置される。
【0039】
第1の中間機能長さ部分974は血流を塞ぐための構造的完全性を提供するのに適した長さ寸法を有する。典型的には、数ミリメートルのオーダーの長さで十分である。
【0040】
バルーン920の第2の中間機能長さ部分975は、一実施形態では、易損性プラークの長さとほぼ同等の長さを有する。第2の中間機能長さ部分975に関する典型例の長さは8mmから28mmのオーダーである。第2の中間機能長さ部分975は、図7と図8およびそれに付随する文を参照して上述したようなバルーン720の多孔性部分725と同様の多孔性部分925を含む。多孔性部分925はバルーン920の円周の周囲に部分的に延びるのみであってもよく、第2の中間機能長さ部分975の全長に延びてもよい。注入カニューレ950を通して注入ポート955に供給される処置薬剤は第2の中間機能長さ部分975の多孔性部分925を通って移動することが可能であり、易損性プラークへと供給される。
【0041】
血管の中の易損性プラークの場所を見つけるために様々な映像技術を使用することができる。そのような映像技術はOCTやIVUSなどの管腔内技術を含む。易損性プラークを有する処置部位がいったん識別されると、図4、図5、図6、または図4、図7、図8、または図4、図9に関して述べられたカテーテル・アセンブリなどのカテーテル・アセンブリが血管の中に導入される。
【0042】
図10は中に易損性プラークを有する血管の断面の側面図と血管の中の処置デバイスを示している。典型的には、図4、図5、図6に関して上述したような処置デバイス400が処置部位に対して近位または易損性プラーク1060に対して近位の箇所の血管1000を塞ぐバルーン520を含む。次いで、処置薬剤がバルーン520に対して遠位の箇所で投薬ポート555を通して血管1000の中に注入される。処置薬剤は芯を修正するために易損性プラーク1060の薄い線維性キャップを通って移動または拡散する。
【0043】
図11は中に易損性プラークを有する血管の断面の側面図と血管内に配置された処置デバイスの別の実施形態を示している。この実施形態では、処置デバイス400は例えば、図4、図7、図8と付随する文を参照して上述したアセンブリと同様のカテーテル・アセンブリである。処置デバイス410はバルーン720を含む。バルーン720は血管1100の中で膨張した状態で示されている。この実施形態では、バルーン720は易損性プラーク1160を含む処置部位で機能長さを伴なって位置決めされている。一実施形態では、バルーン720は(例えば4気圧未満または1気圧未満ですらある)低い圧力と制御された程度で膨張させられる。一実施形態では、バルーン720は易損性プラーク1160の内径未満であって好ましくは易損性プラーク1160に接触しない直径に膨張させられる。
【0044】
この実施形態では、バルーン720はバルーン720の機能長さに沿って多孔性部分725を含む。例えば注入カニューレ755の注入ポート755はバルーン720の中に設置される。処置薬剤は注入ポート755を通して導入される。処置薬剤はバルーン720の多孔性部分を通って移動し、易損性プラーク1060の中へと移動または拡散することが可能である。
【0045】
バルーン720の多孔性部分725がバルーン720の全周未満および/または機能長さ未満に延びる場合、多孔性部分を易損性プラーク1160に整列させる(位置決めする)ことが望ましい。そのような整列または位置決めのための1つの技法はカテーテル・アセンブリ400のガイドワイヤ・カニューレを通じたOCTデバイスなどの映像デバイスの設置を含む。易損性プラーク1160はこの映像デバイスで識別されることが可能であり、バルーン720の多孔性部分725が易損性プラーク1160に整列する(位置決めされる)ようにバルーン720が回され、または位置決めされる。
【0046】
図12は中に易損性プラークを有する血管の断面の側面図と血管の中の処置デバイスを示している。典型的には、図4、図9に関して上述したような処置デバイス400が、第1の中間機能長さ部分974と第2の中間機能長さ部分975を含むバルーン920を有する。第2の中間機能長さ部分975は易損性プラークに沿って設置され、第1の中間機能長さ部分は易損性プラーク1260に近位方向で隣接して設置される。バルーン920は注入カニューレ950の注入ポート955を通して供給される処置薬剤で膨張させられる。第1の中間機能長さ弾性部分974は血管1200の内壁に接触するように、または血流を遮断するように膨張し、その一方でバルーン920の第2の中間機能長さ部分975は易損性プラーク1260に接触するかまたは損傷を与えるのに少なくとも有意に十分ではない程度まで有意に膨張しないであろう。注入ポート955を通して導入される処置薬剤はバルーン920の多孔性部分925を通って移動し、易損性プラーク1260の中へと移動または拡散することが可能である。
【0047】
別の実施形態では、例えば図11や図12で述べられた実施形態による易損性プラークの中への処置薬剤の移動または拡散が助成される。典型的な助成技術は、限定はされないが電気輸送技術を含む。例えば、バルーン720の下/上の選択された周波数、振幅、デューティ・サイクル、波形を備えた圧電マイクロチップが動脈壁の検出された易損性プラークの表面の周囲で超音波周波数を発射することで易損性プラークの中への処置薬剤の拡散を容易にすることができる。易損性プラークの中への処置薬剤の拡散を容易にするための別の方式は、多孔性のバルーンの下で銀/塩化銀電極を使用するなどのイオン導入法による。処置薬剤をバルーンの外に出して易損性プラークの中へと駆動するための電位がバルーンの中に作られる。
【0048】
上記の実施形態では、外部で易損性プラークの中に処置薬剤を導入するためのデバイスと技法が述べられている。処置薬剤が様々な他の手段で導入されることが可能であることは理解されるであろう。典型的には、処置薬剤は例えば針カテーテルを使用して易損性プラークの中に注射される。このケースでの懸案事項は注射で易損性プラークを破裂させることに付随すると見込まれる。そのような破裂を最少限にするための技術には、注射時にバルーンまたはステントで易損性プラークを支えるステップを含む。
【0049】
前述の詳細な説明では、特定の実施形態を参照している。しかしながら、添付の特許請求の範囲のさらに広い精神と範囲から逸脱することなく様々な修正や変更がこれになされ得ることは明らかである。したがって、本明細書と図面は限定の意味ではなく具体的例示の意味に見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】易損性プラークを含む血管の断面の概略の正面図である。
【図2】易損性プラークの芯が処置薬剤によって修正されている場合の易損性プラークの断面の概略の正面図である。
【図3】易損性プラークの芯にある脂質の典型的な分子レベルの架橋を示す図である。
【図4】3管腔シャフトのカテーテル・アセンブリを示す概略の側面図である。
【図5】図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分の1つの実施形態を示す断面の概略の側面図である。
【図6】図5の線A−A’を通してとった図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分を示す断面図である。
【図7】図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分の別の実施形態を示す断面の概略の側面図である。
【図8】図7の線A−A’を通してとった図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分を示す断面図である。
【図9】図4のカテーテル・アセンブリの遠位部分の別の実施形態を示す断面の概略の側面図である。
【図10】内部に配置されて易損性プラークに対して近位の箇所で処置薬剤を投薬する、図4〜6に関して述べられたカテーテル・アセンブリの実施形態を有する血管を示す断面の概略の側面図である。
【図11】内部に配置され、閉塞機構を備えて易損性プラークに処置薬剤を投薬する、図4および図7〜8に関して述べられたカテーテル・アセンブリの実施形態を有する血管を示す断面の概略の側面図である。
【図12】内部に配置され、閉塞機構を備えて易損性プラークに処置薬剤を投薬する、図4および図9に関して述べられたカテーテル・アセンブリの実施形態を有する血管を示す断面の概略の側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内で経内腔経路を介して易損性プラークを含む処置部位に処置デバイスを導入するステップと、
前記易損性プラークの内容物の特性を修正する特性を有する化合物を含む処置薬剤を投薬するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記易損性プラークの前記内容物の前記特性が移動度を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が前記易損性プラークの前記内容物のうちの少なくとも2つの成分を架橋させることのできる特性を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物がグルタルアルデヒドを含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物がグルタルアルデヒドを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物がゲニピンを含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記処置薬剤が第1の処置薬剤を含み、前記方法が異なる第2の処置薬剤を投薬するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の処置薬剤が前記易損性プラークの前記内容物の成分の架橋を加速する特性を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
投薬するステップの前に、前記処置部位に対して近位の部位で前記血管を塞ぐステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
投薬するステップの前に、前記処置部位の部分で前記血管を塞ぐステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記血管を塞ぐステップが、一部分が前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有するバルーンを膨張させるステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
多孔性である前記バルーンの前記部分が前記バルーンの全体部分よりも小さく、前記方法がさらに、
多孔性である前記バルーンの前記部分を前記易損性プラークを含む前記血管の一部分と整列させるステップと、
前記バルーンを通して前記処置薬剤を投薬するステップとを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
易損性プラークの内容物の特性を修正することのできる特性を有する第1の処置薬剤と、
異なる第2の処置薬剤を含むキット。
【請求項16】
前記易損性プラークの前記内容物の前記特性が移動度を含む請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記第1の処置薬剤がグルタルアルデヒドを含む請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記第1の処置薬剤がポリエポキシを含む請求項16に記載のキット。
【請求項19】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記第1の処置薬剤がゲニピンを含む請求項16に記載のキット。
【請求項21】
前記第1の処置薬剤がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項16に記載のキット。
【請求項22】
前記第2の処置薬剤が前記易損性プラークの前記内容物の成分の架橋を加速する特性を有する請求項16に記載のキット。
【請求項23】
血管を行き来するために適しており、体外でアクセス可能な患者の箇所から前記血管の中の処置部位に設置するために適した長さ寸法を有するカテーテルをさらに含む請求項15に記載のキット。
【請求項24】
前記カテーテルが投薬用ポートと、前記投薬用ポートに対して近位の箇所で血管の一部分を塞ぐことのできる機構を有する請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記カテーテルが処置部位で前記血管の一部分を塞ぐことのできる機構と、前記機構に投薬用ポートを有する請求項23に記載のキット。
【請求項26】
前記機構が、前記処置薬剤に対して多孔質である特性を有する部分を含むバルーンを含む請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有する前記バルーンの前記部分が全体部分よりも小さい請求項26に記載のキット。
【請求項28】
易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤を、カテーテルを通して血管の中に投薬するのに適した形態と濃度で含む組成。
【請求項29】
前記化合物が前記易損性プラークの前記内容物の成分を架橋させることのできる特性を有する請求項28に記載の組成。
【請求項30】
前記化合物がグルタルアルデヒドを含む請求項28に記載の組成。
【請求項31】
前記化合物がポリエポキシを含む請求項28に記載の組成。
【請求項32】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項28に記載の組成。
【請求項33】
前記化合物がゲニピンを含む請求項28に記載の組成。
【請求項34】
前記化合物がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項28に記載の組成。
【請求項35】
前記処置薬剤が第1の処置薬剤であり、前記組成がさらに、異なる第2の処理薬剤を含む請求項28に記載の組成。
【請求項36】
前記第2の処置薬剤が前記易損性プラークの前記内容物の成分の架橋を加速する特性を有する請求項35に記載の組成。
【請求項37】
易損性プラークの芯を修正する特性を有する架橋用薬剤を含む第1の流動可能な物質を収容するリザーバと、
前記第1のリザーバ内の前記第1の流動可能な物質と流体連絡した管腔および遠端部分から外に出させる開口となっている遠端部分を有するカニューレとを含むシステム。
【請求項38】
前記カニューレが血管を行き来するために適した寸法を有し、体外でアクセス可能な患者の箇所から前記血管の中の処置部位に設置するために適した長さ寸法を有する請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記易損性プラークの前記内容物の前記特性が移動度を含む請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記物質がグルタルアルデヒドを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記物質がポリエポキシを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記物質がゲニピンを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記物質がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記遠端部分内に形成される開口に対して近位の箇所で前記カニューレに連結された血管の一部分を塞ぐことのできる機構をさらに含む請求項37に記載のシステム。
【請求項46】
処置部位で血管の一部分を塞ぐことのできる機構であって、前記機構と前記遠端部分内に形成される前記開口が同一の広がりを有するように或る箇所で前記カニューレに連結された機構をさらに含む請求項37に記載のシステム。
【請求項47】
前記機構が、前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有する一部分を含むバルーンを含む請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有する前記バルーンの前記部分が前記バルーンの機能長さの部分を含む請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
開口が前記遠端部分の端部に形成される請求項37に記載のシステム。
【請求項1】
血管内で経内腔経路を介して易損性プラークを含む処置部位に処置デバイスを導入するステップと、
前記易損性プラークの内容物の特性を修正する特性を有する化合物を含む処置薬剤を投薬するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記易損性プラークの前記内容物の前記特性が移動度を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が前記易損性プラークの前記内容物のうちの少なくとも2つの成分を架橋させることのできる特性を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物がグルタルアルデヒドを含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物がグルタルアルデヒドを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物がゲニピンを含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記処置薬剤が第1の処置薬剤を含み、前記方法が異なる第2の処置薬剤を投薬するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の処置薬剤が前記易損性プラークの前記内容物の成分の架橋を加速する特性を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
投薬するステップの前に、前記処置部位に対して近位の部位で前記血管を塞ぐステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
投薬するステップの前に、前記処置部位の部分で前記血管を塞ぐステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記血管を塞ぐステップが、一部分が前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有するバルーンを膨張させるステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
多孔性である前記バルーンの前記部分が前記バルーンの全体部分よりも小さく、前記方法がさらに、
多孔性である前記バルーンの前記部分を前記易損性プラークを含む前記血管の一部分と整列させるステップと、
前記バルーンを通して前記処置薬剤を投薬するステップとを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
易損性プラークの内容物の特性を修正することのできる特性を有する第1の処置薬剤と、
異なる第2の処置薬剤を含むキット。
【請求項16】
前記易損性プラークの前記内容物の前記特性が移動度を含む請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記第1の処置薬剤がグルタルアルデヒドを含む請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記第1の処置薬剤がポリエポキシを含む請求項16に記載のキット。
【請求項19】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記第1の処置薬剤がゲニピンを含む請求項16に記載のキット。
【請求項21】
前記第1の処置薬剤がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項16に記載のキット。
【請求項22】
前記第2の処置薬剤が前記易損性プラークの前記内容物の成分の架橋を加速する特性を有する請求項16に記載のキット。
【請求項23】
血管を行き来するために適しており、体外でアクセス可能な患者の箇所から前記血管の中の処置部位に設置するために適した長さ寸法を有するカテーテルをさらに含む請求項15に記載のキット。
【請求項24】
前記カテーテルが投薬用ポートと、前記投薬用ポートに対して近位の箇所で血管の一部分を塞ぐことのできる機構を有する請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記カテーテルが処置部位で前記血管の一部分を塞ぐことのできる機構と、前記機構に投薬用ポートを有する請求項23に記載のキット。
【請求項26】
前記機構が、前記処置薬剤に対して多孔質である特性を有する部分を含むバルーンを含む請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有する前記バルーンの前記部分が全体部分よりも小さい請求項26に記載のキット。
【請求項28】
易損性プラークの内容物の移動度を修正することのできる処置薬剤を、カテーテルを通して血管の中に投薬するのに適した形態と濃度で含む組成。
【請求項29】
前記化合物が前記易損性プラークの前記内容物の成分を架橋させることのできる特性を有する請求項28に記載の組成。
【請求項30】
前記化合物がグルタルアルデヒドを含む請求項28に記載の組成。
【請求項31】
前記化合物がポリエポキシを含む請求項28に記載の組成。
【請求項32】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項28に記載の組成。
【請求項33】
前記化合物がゲニピンを含む請求項28に記載の組成。
【請求項34】
前記化合物がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項28に記載の組成。
【請求項35】
前記処置薬剤が第1の処置薬剤であり、前記組成がさらに、異なる第2の処理薬剤を含む請求項28に記載の組成。
【請求項36】
前記第2の処置薬剤が前記易損性プラークの前記内容物の成分の架橋を加速する特性を有する請求項35に記載の組成。
【請求項37】
易損性プラークの芯を修正する特性を有する架橋用薬剤を含む第1の流動可能な物質を収容するリザーバと、
前記第1のリザーバ内の前記第1の流動可能な物質と流体連絡した管腔および遠端部分から外に出させる開口となっている遠端部分を有するカニューレとを含むシステム。
【請求項38】
前記カニューレが血管を行き来するために適した寸法を有し、体外でアクセス可能な患者の箇所から前記血管の中の処置部位に設置するために適した長さ寸法を有する請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記易損性プラークの前記内容物の前記特性が移動度を含む請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記物質がグルタルアルデヒドを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記物質がポリエポキシを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記ポリエポキシがエチレングリコールジグリシジルエーテルを含む請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記物質がゲニピンを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記物質がCNBrで活性化したセファロースを含む請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記遠端部分内に形成される開口に対して近位の箇所で前記カニューレに連結された血管の一部分を塞ぐことのできる機構をさらに含む請求項37に記載のシステム。
【請求項46】
処置部位で血管の一部分を塞ぐことのできる機構であって、前記機構と前記遠端部分内に形成される前記開口が同一の広がりを有するように或る箇所で前記カニューレに連結された機構をさらに含む請求項37に記載のシステム。
【請求項47】
前記機構が、前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有する一部分を含むバルーンを含む請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記処置薬剤に対して多孔性である特性を有する前記バルーンの前記部分が前記バルーンの機能長さの部分を含む請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
開口が前記遠端部分の端部に形成される請求項37に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−520348(P2008−520348A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543076(P2007−543076)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/039026
【国際公開番号】WO2006/055216
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/039026
【国際公開番号】WO2006/055216
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
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