説明

映像の収録装置及び再生装置

【課題】 訓練装置の利用者の模擬移動速度が変化した場合、従来は、利用者に違和感を与えないコマ送り等の無い映像を得るためには高度で複雑な補正編集作業を行う必要があった。
【解決手段】 車両1に撮影部3と記録装置4とともに車輪8と回転角度検出器9とからなる移動距離検出手段を設け、予め設定した移動距離間隔を該移動距離検出手段が検出することにより撮影部3が設定間隔ごとに映像を撮影し、画像情報とともに該映像を撮影した時の移動距離に関する移動距離情報を関連付けた映像データを記録装置4に記録する。映像の再生時には、訓練装置における模擬移動距離に対応する上記移動距離情報と関連付けた画像情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像の収録装置及び再生装置に関し、特に映像を利用して訓練効果を高める訓練装置において利用する映像の再生速度が任意に変化しても画質が衰えない映像を得る映像の収録装置及び再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】映像を利用することにより訓練効果を高めるものとして、自動車やオートバイなどの運転を模擬する各種シミュレータや自転車やジョギング、マラソン等の屋外での移動運動競技を屋内にて模擬するトレーニング装置などに映像表示手段を設け、利用者の動作に合わせて映像を変化させることにより訓練効率を高めようとするものがある。運転を模擬する各種シミュレータにおいてはコンピュータグラフィック(以下、CGと略す)を用いることが多いが、移動運動競技を模擬するトレーニング装置においては、CGではなく実際に屋外で撮影した映像(以下、実写映像とする)を用いることによって、室内での運動であってもより現実に近い感覚を得ようとするものがある。
【0003】実開昭63−26362号公報では、例えばサイクリングを模擬するトレーニングマシンに利用者の運動速度を検出する手段を設け、予め景色を撮影した実写映像を再生する手段を設けるとともに、検出した運動速度に応じて実写映像の再生手段の再生速度を遅速調整する手段が提案されている。
【0004】再生用の映像として実写映像を用いる場合、人が実際にビデオカメラなどの収録装置を保持し、あるいは、自動車などの移動手段に収録装置を設けて、移動しながら収録装置を動作することにより収録しているため、連続した風景の実写映像(以下、移動風景映像とする)を利用者の運動速度に比例して再生する場合、再生時の映像の品質、いわゆる画質は収録時の移動速度(以下、収録速度とする)の安定性に大きく依存すると言える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の収録装置は、例えばビデオテープを媒体とするビデオテープレコーダを用いており、ビデオテープレコーダで収録した1コマに該当する映像データを1フレームとすると毎秒30フレームを収録している。人間の目には毎秒30フレームの再生であれば連続した映像として映るが毎秒10フレーム以下になるといわゆるコマ送りの映像として認識すると言われている。再生装置としては収録装置と同様に毎秒30フレームで再生を行うのが一般的である。
【0006】言い換えると、室内の運動であってもより現実に近い感覚を与えるために実写映像を使用しても、収録速度より再生速度がかなり遅い場合にはコマ送りが生じるため、かえって違和感を与える映像となる。
【0007】また、一般道路上を移動して収録する場合、信号などの障害物や危険な状態を回避するために減速や停止あるいは加速をせざるを得ず、収録時の収録速度を厳密に一定とすることはできない。従って、収録速度自体に変動があるため、たとえ再生速度を収録速度と同一にしても、収録時の加速、減速及び停止を考慮して事前に映像データに対する補正編集作業を行う必要が生じる。補正編集作業には時間が掛かり編集に必要な機材は特殊で高価なため、制作コストが高価となり手軽に映像を編集することができない。
【0008】更に、訓練装置としての趣旨から映像の再生速度が一定ではなく変動することもあるが、変動する再生速度を予測して事前の補正編集作業を行うことは困難である。
【0009】以上述べたように、利用者がより現実に近い感覚を得るためには収録した移動風景映像をそのまま使用できないという不具合が生じる。本発明の目的は、上記問題点を解決し、高度で複雑な補正編集作業を行う必要がなく、再生速度を変化させてもコマ送り等が生じない映像を提供することができる映像の収録装置及び再生装置を提供することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、映像とともに収録状況を収録し、映像の再生時に収録状況を具象化することができる映像の収録装置及び再生装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の映像の収録装置は、撮影手段と記録手段を搭載して移動する移動手段と、該移動手段に設けられ、該移動手段の移動距離を検出する移動距離検出手段を含む該移動手段の移動情報を検出する移動情報検出手段と、予め設定した移動距離間隔を該移動距離検出手段が検出すると、前記撮影手段が映像を撮影し、撮影した映像による画像情報に該映像を撮影した時の前記移動距離に関する移動距離情報を関連付けるとともに映像データとして前記記録装置に記録するように該撮影手段、記録手段、移動情報検出手段を制御する制御手段とを有する。
【0012】また、本発明の映像の再生装置は、上記映像の収録装置を用いて収録した、互に関連付けられた画像情報と移動距離情報とを含む映像データを記録している映像データ保有手段と、該映像データ保有手段の映像データを再生データに変換して格納する再生データ保有手段と、該再生データ保有手段が有する画像情報を再生する映像投影手段と、該映像投影手段により再生される該再生データの画像情報を映しだす投影部と、上部に利用者を載置し、該利用者の移動を模擬する機能を有する架台と、該架台上での該利用者の模擬移動距離を検出する模擬移動距離検出手段とを備え、前記映像投影手段は、前記模擬移動距離が前記再生データ保有手段が有している移動距離情報と一致した場合、または、前記模擬移動距離が前記再生データ保有手段が有している移動距離情報と一致するまで、該移動距離情報と同一の番地番号を有する画像情報を前記投影部に再生するものである。
【0013】本発明によれば、一定時間ごとではなく、一定移動距離ごとに画像を収録し、収録する画像情報と移動距離情報に同一の番地番号を付与し映像データとして蓄積し、再生データとして利用する。再生データは一定移動距離ごとに更新される。更新データからの画像再生は一定時間ごとでよい。再生速度が広範囲に変化しても高度で複雑な補正編集作業を行う必要がなく、コマ送り等のない映像を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1から図6を用いて本発明の一実施例による映像の収録装置及び再生装置を説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施例における映像の収録装置の概略全体図である。図1に示す映像の収録装置は、移動手段として車両1を用い、車両1には移動情報を検出する移動情報検出部2と車両1の移動方向前方の風景を撮影する撮影部3が設けてあり、移動情報検出部2と撮影部3から得た情報を車両1に積み込んだ制御ユニット4に格納する。
【0016】移動情報として得られるものは、車両1が路面を走行する場合の路面の起伏(勾配)、カーブや交差点などのコーナ部を走行する場合のハンドル5の回転角度、車両1の走行距離及び走行速度が挙げられる。
【0017】車両1に設けた移動情報検出部2は上記各走行情報を検出するものであり、車両1の上部に傾斜センサ6を設け路面の起伏を勾配値として検出する。また、車両1のハンドル5に設けた舵取り量検出器7によりハンドル5の回転角度を検出する。更に、従来からある4車輪とは別に、車両1の後部に車両1の移動に従動して回転する車輪8を設け、車輪8には車輪8の回転角を検出する回転角度検出器9を設け、予め計測した車輪8の外周値と回転角度検出器9が所定の回転角度を検出した際に出力するパルス信号から走行距離及び走行速度を検出する。
【0018】車両1の前方に設けた撮影部3には後で説明するカメラ姿勢制御装置10上にジャイロ11を設けたカメラ12が設けてあり、車両1の移動方向前方の風景を撮影する。
【0019】図2は図1に示す実施例における制御ユニット4の詳細を示す図である。図2に示すように、制御ユニット4は撮影コントローラ部13とカメラ姿勢コントローラ部14からなり記録装置15に情報を格納する。
【0020】撮影コントローラ部13は、回転角度検出器9からの例えばパルス出力信号を取り込むインターフェース(以下、I/Fと略す)カウンタ16、傾斜センサ6からの例えばアナログ出力を取り込むためのA/D変換器17、カメラ12で撮影した映像を取り込み例えばデジタル画像として画像情報の圧縮・伸長を行うビデオI/F18、ビデオI/F18により作成されたデジタル画像の情報を記録装置15に出力するための記録装置I/F19、各I/Fを制御し走行距離と走行速度を演算する中央演算装置(以下、CPUと略す)20を有する。CPU20の指令によりDPRAM I/F21は後述するカメラ姿勢コントローラ部14のDPRAM I/F22と情報を送信ないし受信する高速通信を行える。
【0021】カメラ姿勢コントローラ部14は、舵取り量検出器7からの舵取り量を取り込む舵取り検出I/F23、カメラ12に設けたジャイロ11からの出力を取り込むジャイロI/F24、カメラ姿勢制御装置10に指令を送るモータコントローラ25、各I/Fを制御し各種補正を行うCPU26を有する。CPU26の指令によりDPRAM I/F22は上述したDPRAM I/F21と情報を送信ないし受信する高速通信を行える。
【0022】なお、CPU20,26はそれぞれBUSを介して各種I/Fと情報をやり取りしており、互いにDPRAM I/F21及び22を介して各種情報を得ることができるが、使用するBUSの種類によってはDPRAM I/F21及び22を用いず、BUS自体を一つにしBUSを介して互いに情報をやり取りしてもよく、CPUの性能によってはCPU自体をどちらかひとつにしてもよい。また、記録装置15は、ハードデイスクまたは光磁気デイスク等の高速に記録及び読み出しが可能なデイジタル記録装置が特に適している。
【0023】車両1が走行を開始すると、車輪8が回転し回転角度検出器9が所定の回転角度につき1パルスをI/Fカウンタ16に出力する。車輪8の外周は予め計測により求めてあり、I/Fカウンタ16からパルス数をCPU20が受け取るとともに走行距離を算出することができる。また、CPU20はI/Fカウンタ16から受け取る単位時間あたりのパルス数から(本実施例では利用していないが)走行速度を算出することができる。
【0024】予め設定しておいた移動距離に到達した時点で、ビデオI/F18に対してCPU20が撮影及び取り込み画像情報の圧縮処理を指令する。カメラ12から画像情報を取り込み、ビデオI/F18から圧縮処理が終了したことを示す信号をCPU20が受け取ると、圧縮された画像情報とともに傾斜センサ6が検出した走行路面の勾配値も記録装置I/F19を介して記録装置15に記録する。この時、記録した画像情報と勾配値にはそれぞれ同一の番地番号が付与され1フレーム分の映像データとなる。映像データが1フレーム分づつシリアルな番地番号を付して記録されれば、番地番号は移動距離を表すデータでもある。もちろん番地番号と別に移動距離を表す情報を記録してもよい。
【0025】例えば、20cm間隔で10kmを収録する場合には、車両1が20cm移動するごとにカメラ12が撮影を行う。記録装置I/F19を介して映像データを記録装置15に記録するとともに、CPUはA/D変換器17を介して傾斜センサ6の出力を取り込み勾配値を算出して記録装置15に記録する。10kmの距離を撮影した場合には記録装置15に50000フレームの画像情報と勾配データから成る映像データが記録され、画像情報と勾配データにはそれぞれ1番地から50000番地までの同一の番地番号が付与される。
【0026】以上のようにして算出した走行距離、走行速度、勾配値はDPRAM I/F21に常時書き込まれており、カメラ姿勢コントローラ部14のCPU26はDPRAM I/F22を介して常時利用することができる。
【0027】CPU26は、舵取り検出I/F23を介して得た車両1がコーナ部等を曲がる時の舵取り量と、ジャイロI/F24を介して得たジャイロ11からの出力とを得る。更に、以下で説明するカメラ姿勢制御装置10に対してドライバコントローラ25を介して指令を行う。
【0028】図3を用いてカメラ姿勢制御装置10の詳細を説明する。カメラ姿勢制御装置10は、車両1が移動しながら撮影を行ってもカメラ12の撮影視野中心が再生時に必要な視線となるようカメラ12の姿勢を保つものである。
【0029】図3に示すように、車両1の前方上部にベースブラケット30を設けベースブラケット30上に設けた回転直動変換ギア31を介して支持テーブル32が設けてある。回転直動変換ギア31は回転位置検出器付きモータ33に接続している。ドライバコントローラ25がドライバ34を制御して回転位置検出機能を有するモータ33を駆動することにより、回転直動変換ギア31を介して支持テーブル32は高さ方向に移動する。
【0030】支持テーブル32の上部には連結棒34及びウォームギア35が固定して設けてある。ウォームギア35に設けたボールネジ36には可動ナット37が設けてあり、可動ナット37の上部にはガタの少ない回転可能なヒンジ38aが設けてある。連結棒34の上部にはガタの少ない回転可能なヒンジ38bが設けてあり、ヒンジ38a,32bにより回転テーブル39が保持されている。
【0031】ウォームギア35には回転位置検出機能を有するモータ40が設けてあり、ドライバコントローラ25はドライバ41を介してモータ40を駆動制御する。モータ40を駆動することによりウォームギア35がボールネジ36を回転させ、可動ナット37が上下方向に移動する。このため、回転テーブル39を保持するヒンジ38bと連結棒34との接続点を支点として回転テーブル39のあおり角を変化させることができる。
【0032】回転テーブル39は下部支持体と上部支持体とを回転可能に連結する回転部を有しており回転テーブル39の下部支持体には回転位置検出機能を有するモータ42が設けてある。ドライバコントローラ25がドライバ43を介してモータ42を駆動制御する。モータ42を駆動することにより回転テーブル39の上部支持体が回転部の軸を中心として支持面内で回転することができる。ドライバコントローラ25が回転テーブル39の位置を制御することによってカメラ12の姿勢を制御する。
【0033】回転テーブル39の上部支持体にはカメラ固定治具44を介してジャイロ11を設けたカメラ12が固定されている。カメラ12に設けたジャイロ11は、X−Y−Z−Θ軸方向の絶対位置を基準としカメラ12の傾きをX−Y−Z−Θ軸方向に分解して角度値として検出し、検出結果をジャイロI/F24を介してCPU26に出力する。ジャイロ11により検出された角度値によりCPUは実際にカメラ12の姿勢を検出しつつ、制御を行うことができる。ジャイロ11の代わりに水平方向と垂直方向の傾斜センサを組み合わせてカメラ12の姿勢を検出してもよい。
【0034】以上述べたように、カメラ姿勢制御装置10とジャイロ11により常時カメラ12の姿勢を検出及び制御することができるため、カメラ12の撮影視線を任意の位置とすることができる。
【0035】カメラ12の撮影視線の位置は次の要因によって決定する。1つは車両1に設けたカメラ12の地上からの高さ(視線高さ)であり、もう1つは回転テーブル39(すなわちカメラ12)のX−Y−Z軸方向の傾き(視線角度)である。
【0036】例えば身長170cmの人間の目の高さで撮影を行うものとすると、地上から170cmの高さにカメラ12の視線高さを設定する指令をCPU26が行い、カメラ姿勢制御装置10によってカメラ12の視線高さを調整する。
【0037】仮に平坦部を走行中の人間が10m前方の地面を視野の中心にしているとする。平坦部上の走行者の姿勢を仮に地面に対して垂直とする。上り坂を走行する際、地面に対して垂直な姿勢を保つと重心が後方に傾いてしまう。そこで、自然に走行者は地面に対する垂直方向より前方に傾く姿勢を取る。この時、走行者の視野中心は10mよりも手前の地面となる。下り坂の走行時には上り坂とは逆の状況となり、10mよりも先の地面を視野中心として風景を見ている。
【0038】しかし、カメラ12の視線角度が初期設定時のまま、つまり、車両1に対して平坦部走行時と同じ視線角度を保っていると、上り始めの視野中心位置は人間と同じだが、坂の途中では10m前方、坂の頂上付近では10mより先の地面となり、撮影した風景と人間の目で見た風景とは異なる。同様に下り坂の途中では10m前方、下り坂の終点付近では10mより手前の地面となり、やはり人間の目で見た風景と異なるため映像再生時に違和感が生じる。
【0039】従って、人間が視野中心を移動させるのと同じように、車両1が走行する地面の勾配に合わせてカメラ12の撮影視線の位置を変更する必要が生じる。曲がり角等において、走行者の視野は例えば10m先の走行予定地点を向くのに対し、車両の向きは走行軌跡のほぼ接線方向である。従って、この場合も撮影視線の位置を変更する必要が生じる。
【0040】次に、ジャイロ11により検出されるカメラ12のX−Y−Z軸方向の変化量に基づいて撮影視線の方向を変更する手段について説明する。なお、説明の便宜上、X−Y−Z軸方向の変化量をZ軸方向(上下方向)次いでX−Y平面方向(水平方向)に分け、以下具体的に説明する。
【0041】例えば、平坦部走行時のカメラ12が10m先の地面中央部を視野中心としている場合、カメラ12の上下方向の姿勢はジャイロ11により角度値A(deg)で表すことができる。
【0042】車両1が平坦部を走行中に傾斜センサ6が検出した勾配値を勾配データαとすると、勾配データαに変化が生じる、すなわち、上り坂あるいは下り坂を走行している時の変化分を変化量Δaとして表す。CPU26は変化量Δaに係数Jを掛けて補正量JΔaを算出し、カメラ姿勢制御装置10によりカメラ12の上下方向の角度を角度値A+JΔa(deg)として調整することができる。なお、係数Jは走者の走行速度や走行姿勢によって変化するものであり、発明者らは0.3〜0.7を用いた。
【0043】一方、カメラ12の水平方向の姿勢はジャイロ11により角度値B(deg)で表すことができる。車両1の直進時に舵取り量検出器9が検出するハンドル5の舵取り角度を角度値βとすると、角度値βに変化が生じる、すなわち、曲がり角を車両1が曲がっている時の変化分を変化量Δbとして表す。CPU26は変化量Δbに係数Kを掛けて補正量KΔbを算出し、カメラ姿勢制御装置10によりカメラ12の水平方向の角度を角度値B+KΔb(deg)として調整することができる。なお、係数Kはハンドル5の遊び量によって変化するものであり使用する車種によって異なる。発明者らは10前後を用いた。
【0044】以上述べたような手段によって収録した映像の再生方法を以下図4及び図5に基づき説明する。図4R>4は、図1乃至図3に示す実施例により収録した映像を再生するモニタを有する運動訓練装置の概略図である。
【0045】利用者50はトレッドミル51のベルト52上に乗りパネル53を操作してから走行を開始する。パネル53には例えば訓練時の訓練速度を予め設定する設定ボタンやベルト52を回転(移動)するモータ(図示せず)の駆動や停止、割り込みを行うスタートボタン、ストップボタン、割り込みボタンなどが設けてある。
【0046】トレッドミル51は、ベルト52の回転速度及び前後方向の傾斜角度(以下、傾斜角度とする)をミル速度可変機構及びミル傾斜角度可変機構により変更可能としている。トレッドミル51はベルト52の回転軸(図示せず)に回転角度を検出する回転角度検出手段(図示せず)を設け、回転角度検出手段が所定の回転角度を検出した際に出力するパルス信号からベルト52の延べ回転長さと回転速度あるいはあらかじめ利用者50が設定した訓練速度を検出し、利用者50の模擬走行距離及び模擬走行速度としてコントローラ54に格納する。
【0047】また、コントローラ54はベルト52の回転速度及び傾斜角度を制御し、走行速度及び傾斜角度の計測データも格納している。ここでは、1パルスにつき10cmベルト52が回転(移動)するとして説明する。
【0048】コントローラ54は図1乃至図3に示す実施例において映像データを記録した記録装置15から映像データをモニタ55に風景56として投影する。記録装置15は表1に一例を示すように、映像データとしてフレーム単位で画像情報とともに路面の勾配値及び移動距離を記録している。移動距離情報は、前述のように、例えば番地番号で表されていてもよい。説明の都合上、以下番地番号と別に移動距離情報が記録されているとする。
【0049】
【表1】


【0050】ここで、映像データをフレームFと呼び、フレームF内の画像情報を画像P、路面の勾配値を勾配S、移動距離を距離Dとして総称し、個々を特定する場合にはそれぞれの番地番号を添え字にて表す。例えば、フレームF1には画像P1、勾配S1及び距離D1が格納してあり、記録装置15はフレームF1からFnまで映像データを記録している。なお、説明の便宜上、勾配Sはどの番地番号においても一定であり図1に示す車両1の移動距離が10cmごとに画像Pを撮影したものとする。
【0051】コントローラ54のCPU58はベルト52が10cm移動するごとに新たなフレームFの番地番号を指定して記録装置15から該当するフレームFの画像P、勾配S及び距離Dを読み出し、データ変換部59に格納する。データ変換部59に格納した画像Pをアクセラレータ61がビデオRAM60に転送し、さらにたとえば毎秒30回ビデオRAM60の画像Pをモニタ55に表示し、風景56として投影する。ベルト52の移動速度によっては、同じ画像が2度表示されたり、表示されずに次のフレームに移ってしまう画像が生じるが、通常モニタ55の画面に違和感は生じない。コントローラ54は算出した模擬走行速度をモニタ55の速度表示部57に表示してもよい。
【0052】図5は図4に示す運動訓練装置における訓練開始から終了までの概略を示す流れ図である。訓練を開始する場合(START)は利用者50がトレッドミル51本体の電源(図示せず)を入れる(ステップS1)。ステップS2においてパネル53のスタートボタン(図示せず)を押すとステップS3に進み、モニタ55への表示とミル傾斜角度の変更を行う。この状態がトレッドミルの運動状態であり、利用者がトレッドミル上を走行し、モニタ55の風景が変化し、必要に応じてミル傾斜角度が変化する。ステップS3の実行中に利用者50がパネル53のストップボタン(図示せず)を押すと、ステップS4に進みモニタ55の表示を中止すると略同時にミル傾斜角度の変更を中止する。ステップS4からステップS5に進みトレッドミル51本体の電源を切って訓練を終了する(END)。
【0053】次に、図5に示すステップS3の詳細を図6R>6を用いて説明する。流れをわかりやすくするために、勾配値の変化が無くミル傾斜角度の変更は行わないものとして説明を省略し、モニタ55への表示部分のみを説明する。また、以上の説明では、映像収録時の基準移動距離と画像再生時の模擬移動距離が共に10cmである場合を例としたが、以下の説明では両者が異なってもよいものとする。
【0054】利用者50がパネル53を使用して例えば任意の訓練速度を設定し、ステップS2からステップS3に進むと、まず、ステップS301でnに1を代入し初期映像の投影を行う。すなわち、次のステップS302ではフレームF1をCPU58が読み出しデータ変換部59に画像P1,勾配S1及び距離D1を転送する。ステップS303aではアクセラレータ61がビデオRAM60に画像P1を転送し、次にステップS303bでビデオRAM60の画像P1を図4に示すモニタ55に表示して風景56として投影する。
【0055】ベルト52がモータ(図示せず)により回転し、ベルト52の回転軸(図示せず)が所定の角度回転すると、回転角度検出手段(図示せず)がパルス信号を出力する。ここでは1回のパルス信号の出力で10cmベルト52が移動したことを示している。
【0056】ステップS304ではパネル53の割り込みボタンを押したか否かを判別し、割り込みボタンを押していなければステップS305に進み、パネル53の中止ボタンを押したか否かを判別する。中止ボタンを押していなければステップS307に進み、CPU58がステップS303bから1/30秒以内であって、かつ、パルス信号を受け取ったかを判別し、1/30秒以内にパルス信号を受け取ったのであればステップS308に進む。ステップS308では利用者50が移動したとみなす模擬移動距離を算出し、ステップS309において模擬移動距離と距離D(n+1)とを比較する。模擬移動距離が距離D(n+1)以上の場合は、ステップS310でnにn+1を代入、すなわち、フレームの番地番号を1つ増やしステップS302に戻る。ビデオRAMには距離D(n+1)に対応する画像Pn+1が転送される。
【0057】ステップS307においてステップS303bから1/30秒以上経過した後でパルス信号を受け取った場合や、ステップS303bから1/30秒以内にパルス信号を受け取っても、ステップS309において算出した模擬移動距離が距離D(n+1)より小さい場合は、ステップS303bに戻りビデオRAM60が格納している前回表示した画像Pnを再度表示する。なお、モニタ55の表示性能はコマ送りを生じさせないために10コマ/秒以上であればよいため、ステップS307において基準とする時間は、使用するモニタの表示性能を考慮して任意に設定すればよい。本実施例では30コマ/秒の表示性能のモニタを用いた場合を取り上げたため基準とする時間を1/30秒として説明するものである。
【0058】ステップS305において押したか否かを判別する中止ボタンは、運動訓練を利用者50が終了する場合に用いる。従って、本実施例ではステップS305において利用者50が中止ボタンを押した場合のみステップS4に進むものとした。
【0059】ステップS304において押したか否かを判別する割り込みボタンの利用は、運動訓練中に利用者50が模擬移動速度を変更したくなった場合など、一時中断を行う際に用いる。
【0060】例えば、利用者50が500m模擬移動した時点で割り込みボタンを押した場合には、ベルト52を回転(移動)するモータ(図示せず)が停止するが、ビデオRAM60に格納してある画像P5000をモニタ55に表示し続ける。利用者が最初に設定した模擬移動速度を変更するなどしてパネル53のスタートボタンを押すと、ベルト52を回転(移動)するモータ(図示せず)の停止を解除し、ステップS306からステップS303bに戻る。
【0061】なお、ビデオRAM60には画像情報を1フレーム分しか格納しないものとして説明したが、例えば1フレーム目の画像情報をモニタ55に表示している途中に2フレーム目の画像情報をビデオRAM60に転送する場合、アクセラレータ61がビデオRAM60に格納した1フレーム目の画像情報で表示が終了していない領域には2フレーム目の画像情報を上書きしないよう、転送を制御することにより異なるフレームの画像情報をビデオRAM60が格納することができる。また、ビデオRAM60を複数設け、一方のビデオRAMに格納してある画像を表示している時には他方のビデオRAMにデータ変換部59のデータを転送するよう切り替える制御をアクセラレータ61が行うこともできる。
【0062】以上、勾配Sには値が無いものとしミル傾斜角度の可変ループ内の説明は省略したが、勾配Sに値がある場合はビデオRAM60に転送した画像Pnと同一の番地番号を有する勾配Snに基づき、CPU58がミル傾斜角度可変機構(図示せず)に対してトレッドミル51の傾斜角度を勾配Snと一致させる指令を出す。例えば、トレッドミル51の前方に油圧ジャッキあるいはラック&ピニオンを設けトレッドミル51の前方を上昇させることにより、トレッドミル51の傾斜角度と勾配Snが一致する。
【0063】以上の実施例において述べたようにトレッドミル51の利用者50は、コマ送り等が生じることなく模擬移動距離に応じた映像を見ることができるため、室内の運動であってもより現実に近い感覚を得ることができる。
【0064】以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、収録する画像情報と移動距離情報に同一の番地番号を付与し映像データとして蓄積し、再生データとして利用するため、再生速度を広範囲に変化させても高度で複雑な補正編集作業を行う必要がなく、コマ送り等のない映像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による移動風景収録装置の全体を示す概略図である。
【図2】図1に示す移動風景収録装置の制御ユニットの構成を示す図である。
【図3】図1に示す移動風景収録装置の撮影部の構成を示す図である。
【図4】図1に示す移動風景収録装置を用いて収録した映像を再生する装置の一例を示す運動訓練装置の該略図である。
【図5】図4に示す実施例におけるCPUの動作を示す流れ図である。
【図6】図5のステップS3の詳細を示す流れ図である。
【符号の説明】
1:車両 2:走行情報検出部 3:撮影部
4:制御ユニット 5:ハンドル 6:傾斜センサ
7:舵取り量検出器 8:車輪 9:回転角度検出器
10:カメラ姿勢制御装置 11:ジャイロ 12:カメラ
13:撮影コントローラ部 14:カメラ姿勢コントローラ部
15:記録装置 16:I/Fカウンタ 17:A/D変換器
18:ビデオI/F 19:記録装置I/F 20:CPU
21,22:DPRAM I/F 23:舵取り検出I/F
24:ジャイロI/F 25:モータコントローラ
26:CPU
30:ベースブラケット 31:回転直動変換ギア 32:支持テーブル
33:モータ 34:連結棒 35:ウォームギア
36:ボールネジ 37:可動ナット
38a,38b:ヒンジ 39:回転テーブル
40:モータ 41:ドライバ 42:モータ
43:ドライバ 44:カメラ固定治具
50:利用者 51:トレッドミル 52:ベルト
53:パネル 54:コントローラ 55:モニタ
56:風景 57:速度表示部 58:CPU
59:データ変換部 60:ビデオRAM 61:アクセラレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】撮影手段と記録手段を搭載して移動する移動手段と、該移動手段に設けられ、該移動手段の移動距離を検出する移動距離検出手段を含む該移動手段の移動情報を検出する移動情報検出手段と、予め設定した移動距離間隔を該移動距離検出手段が検出すると、前記撮影手段が映像を撮影し、撮影した映像による画像情報に該映像を撮影した時の前記移動距離に関する移動距離情報を関連付けるとともに映像データとして前記記録装置に記録するように該撮影手段、記録手段、移動情報検出手段を制御する制御手段とを有する映像の収録装置。
【請求項2】請求項1に記載した映像の収録装置において、上記移動情報検出手段が、さらに、該移動手段に設けられ、該移動手段の移動面の勾配を検出する勾配検出手段を有し、上記制御手段が、さらに、上記撮影手段が撮影した映像による画像情報とともに該勾配検出手段が検出した勾配値を映像データの一部として上記記録装置に記録するように制御する映像の収録装置。
【請求項3】請求項1または請求項2に記載した映像の収録装置において、さらに、該撮影手段の姿勢を検出する撮影姿勢検出手段と、上記撮影姿勢検出手段が検出した上記撮影手段の姿勢に基づき上記撮影手段の撮影視線位置を調整する撮影姿勢調整手段とを有する映像の収録装置。
【請求項4】請求項1に記載した映像の収録装置において、上記制御手段が、収録した画像情報と移動距離情報に同一の番地番号を付与して映像データとし上記記録手段に記録する映像の収録装置。
【請求項5】請求項2に記載した映像の収録装置において、上記制御手段が収録した画像情報と移動距離情報と勾配値に同一の番地番号を付与して映像データとし上記記録手段に記録する映像の収録装置。
【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載した映像の収録装置を用いて収録した、互に関連付けられた画像情報と移動距離情報とを含む映像データを記録している映像データ保有手段と、該映像データ保有手段の映像データを再生データに変換して格納する再生データ保有手段と、該再生データ保有手段が有する画像情報を再生する映像投影手段と、該映像投影手段により再生される該再生データの画像情報を映しだす投影部と、上部に利用者を載置し、該利用者の移動を模擬する機能を有する架台と、該架台上での該利用者の模擬移動距離を検出する模擬移動距離検出手段とを備え、前記映像投影手段は、前記模擬移動距離が前記再生データ保有手段が有している移動距離情報と一致した場合、または、前記模擬移動距離が前記再生データ保有手段が有している移動距離情報と一致するまで、該移動距離情報と同一の番地番号を有する画像情報を前記投影部に再生する映像の再生装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate