説明

映像中継装置及びホームゲートウェイ

【課題】再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能な、映像中継装置を得る。
【解決手段】トランスコーダ10は、PDAによって再生可能な映像データの形式である再生可能形式を特定する特定部24と、送信サーバから送信された映像データD1を受信する受信部20と、受信部20が受信した映像データD1を、再生可能形式の映像データD2に変換する変換部21と、変換部21による変換後の映像データD2を、PDAに向けて送信する送信部22と、を備え、特定部24は、PDAから送信サーバへの映像要求信号D4に応答して送信サーバから送られてきた受信映像データD1の映像形式を検出し、受信映像データD1の映像形式を再生可能形式として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像中継装置及びそれを備えるホームゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、インターネット上のコンテンツを携帯電話で閲覧可能とすべく、ハイパーテキスト記述言語をワイヤレス記述言語に変換するためのゲートウェイが開示されている。携帯電話は、自端末のハードウェア及びソフトウェアに関する端末情報や、実効スループット等の通信品質情報を、ゲートウェイに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3852267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホームネットワークシステムにおいて、外部の映像送信装置から送信された映像コンテンツを、テレビ、パソコン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な映像再生装置によって視聴するケースを考える。この場合、再生可能な映像形式(符号化方式、ビットレート、フレームレート、解像度、アスペクト比、ストリームフォーマット等)が各映像再生装置によって異なるため、映像送信装置から送信された映像データを、例えばホームゲートウェイ内の映像変換装置(トランスコーダ)によって、各映像再生装置に適した映像形式に変換する必要がある。
【0005】
そのためには、映像変換装置が、各映像再生装置の再生可能形式を特定する必要があるが、これを実現するための手法の一つとして、上記特許文献1に開示された技術をホームネットワークシステムに適用することにより、自らの再生可能形式を各映像再生装置からホームゲートウェイに送信する手法が考えられる。
【0006】
しかしながら、再生可能形式の送信機能は標準化されておらず、当該機能が実装されていない映像再生装置においては、自らの再生可能形式をホームゲートウェイに送信することができない。従って、上記特許文献1に開示された技術を適用しても、再生可能形式の送信機能が実装された映像再生装置以外の機器は使用できないため、汎用性が低いという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能な、映像中継装置及びそれを備えたホームゲートウェイを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る映像中継装置は、映像送信装置から送信された映像データを受信して、受信した映像データを、映像再生装置によって再生可能な映像データに変換して当該映像再生装置に向けて送信するための、映像中継装置であって、前記映像再生装置によって再生可能な映像データの形式である再生可能形式を特定する特定部と、前記映像送信装置から送信された映像データを受信する受信部と、前記受信部が受信した映像データを、前記再生可能形式の映像データに変換する変換部と、前記受信部が受信した映像データ、又は前記変換部による変換後の映像データを、前記映像再生装置に向けて送信する送信部と、を備え、前記特定部は、前記映像再生装置から前記映像送信装置への映像要求に応答して前記映像送信装置から送られてきた映像データである受信映像データの形式を検出し、当該受信映像データの形式を、当該映像再生装置に関する前記再生可能形式として特定して記憶することを特徴とするものである。
【0009】
第1の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、映像再生装置から映像送信装置への映像要求に応答して映像送信装置から送られてきた映像データである受信映像データの形式を検出し、当該受信映像データの形式を、当該映像再生装置に関する再生可能形式として特定する。映像再生装置は、自らが再生可能な映像データ(例えば過去に視聴実績のある映像コンテンツやそれに関連する映像コンテンツの映像データ)を映像送信装置に要求するのが通常である。そのため、映像再生装置からの映像要求に応答して映像送信装置から送られてきた映像データ(受信映像データ)は、通常は映像再生装置によって再生可能な映像データである。従って、特定部によって受信映像データの形式を検出し、当該受信映像データの形式を再生可能形式として特定することにより、映像再生装置によって再生可能な映像データの形式をほぼ正確に特定することができる。その結果、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る映像中継装置は、第1の態様に係る映像中継装置において特に、前記送信部は、前記受信映像データを前記映像再生装置に向けて送信し、前記特定部は、前記映像再生装置において前記受信映像データを再生可能である場合に、当該受信映像データの形式を前記再生可能形式として特定することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、映像再生装置において受信映像データを再生可能である場合に、当該受信映像データの形式を再生可能形式として特定する。つまり、特定部は、送信部から映像再生装置に向けて送信した受信映像データを映像再生装置が再生できたことを条件として、当該受信映像データの形式を再生可能形式として特定するため、映像再生装置の再生可能形式を正確に特定することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る映像中継装置は、第2の態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部は、前記受信映像データを再生可能である旨のイネーブル信号が入力された場合に、前記映像再生装置において前記受信映像データを再生可能であると判定することを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、受信映像データを再生可能である旨のイネーブル信号が入力された場合に、映像再生装置において受信映像データを再生可能であると判定する。例えば、再生可能形式を特定するための学習モードを設け、当該学習モードにおいて、受信映像データを送信部から映像再生装置に送信する。そして、映像再生装置が受信映像データを再生できた場合に、それを確認したユーザが映像再生装置又は他の入力装置から映像中継装置にイネーブル信号を入力する。これにより、映像再生装置において受信映像データを再生可能であることを、特定部によって正確に判定することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る映像中継装置は、第2の態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部は、前記映像再生装置が一定時間以上継続して前記受信映像データを受信している場合に、前記映像再生装置において前記受信映像データを再生可能であると判定することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、映像再生装置が一定時間以上継続して受信映像データを受信している場合に、映像再生装置において受信映像データを再生可能であると判定する。映像再生装置が受信映像データを再生できていない場合には、ユーザは映像コンテンツを視聴できないため、受信停止等の何らかの処置を行うのが通常である。換言すれば、映像再生装置が一定時間以上継続して受信映像データを受信していることにより、映像再生装置が受信映像データを再生できていると推定することができる。これにより、映像再生装置において受信映像データを再生可能であるか否かを、特定部によってほぼ正確に判定することが可能となる。また、ユーザによるイネーブル信号の入力作業が不要となるため、ユーザの作業負担を軽減することが可能となる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る映像中継装置は、映像送信装置から送信された映像データを受信して、受信した映像データを、映像再生装置によって再生可能な映像データに変換して当該映像再生装置に向けて送信するための、映像中継装置であって、前記映像再生装置によって再生可能な映像データの形式である再生可能形式を特定する特定部と、前記映像送信装置から送信された映像データを受信する受信部と、前記受信部が受信した映像データを、前記再生可能形式の映像データに変換する変換部と、前記受信部が受信した映像データ、又は前記変換部による変換後の映像データを、前記映像再生装置に向けて送信する送信部と、を備え、前記特定部は、形式が異なる複数の映像データを前記映像再生装置に向けて送信し、当該複数の映像データのうち前記映像再生装置において再生可能である映像データの形式を、当該映像再生装置に関する前記再生可能形式として特定して記憶することを特徴とするものである。
【0017】
第5の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、形式が異なる複数の映像データを送信部から映像再生装置に向けて送信し、当該複数の映像データのうち映像再生装置において再生可能である映像データの形式を、当該映像再生装置に関する再生可能形式として特定する。例えば、テレビ、パソコン、携帯電話、PDA等の様々な映像再生装置において広く使用されている複数の形式の映像データを映像中継装置内に予め準備しておき、これら複数の映像データを送信部から映像再生装置に向けて順に送信する。そして、特定部は、当該複数の映像データのうち映像再生装置において再生可能である映像データの形式を、再生可能形式として特定する。このように、特定部は、送信部から映像再生装置に向けて送信した複数の映像データのうち、映像再生装置において再生可能である映像データの形式を再生可能形式として特定するため、再生可能形式を正確に特定することが可能となる。その結果、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る映像中継装置は、第5の態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部は、前記複数の映像データの各々について、映像データを再生可能である旨のイネーブル信号が入力された場合に、前記映像再生装置において当該映像データを再生可能であると判定することを特徴とするものである。
【0019】
第6の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、複数の映像データの各々について、映像データを再生可能である旨のイネーブル信号が入力された場合に、映像再生装置において当該映像データを再生可能であると判定する。例えば、再生可能形式を特定するための学習モードを設け、当該学習モードにおいて、複数の映像データを送信部から映像再生装置に順に送信する。そして、複数の映像データの各々について、映像再生装置が映像データを再生できた場合に、それを確認したユーザが映像再生装置又は他の入力装置から映像中継装置にイネーブル信号を入力する。これにより、映像再生装置において映像データを再生可能であることを、特定部によって正確に判定することが可能となる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る映像中継装置は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る映像中継装置において特に、前記変換部は、前記受信部が受信した映像データの形式が、前記映像再生装置に関する前記再生可能形式と異なる場合に、当該映像データを当該再生可能形式の映像データに変換することを特徴とするものである。
【0021】
第7の態様に係る映像中継装置によれば、変換部は、受信部が受信した映像データの形式が、映像再生装置に関する再生可能形式と異なる場合に、当該映像データを当該再生可能形式の映像データに変換する。これにより、映像再生装置において映像データを適切に再生することが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る映像中継装置は、第1〜第7のいずれか一つの態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部はさらに、前記再生可能形式に関する情報を前記映像再生装置から取得することにより、前記再生可能形式を特定することを特徴とするものである。
【0023】
第8の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、再生可能形式に関する情報を映像再生装置から取得することにより、再生可能形式を特定する。従って、再生可能形式の送信機能が実装されている映像再生装置が使用されている場合に、特定部が当該映像再生装置から再生可能形式に関する情報を取得することにより、映像再生装置によって再生可能な映像データの形式をさらに正確に特定することが可能となる。
【0024】
本発明の第9の態様に係る映像中継装置は、第8の態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部は、前記映像再生装置から前記映像送信装置への映像要求を検出した時に、前記再生可能形式に関する情報を前記映像再生装置から取得することを特徴とするものである。
【0025】
第9の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、映像再生装置から映像送信装置への映像要求を検出した時に、再生可能形式に関する情報を映像再生装置から取得する。従って、映像送信装置から映像再生装置に向けて映像データが送信される前に、映像再生装置の再生可能形式を特定部によって特定できるため、その後の変換部による映像データの変換処理を遅滞なく実行することが可能となる。
【0026】
本発明の第10の態様に係る映像中継装置は、第8の態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部は、前記映像再生装置の存在を検出した時に、前記再生可能形式に関する情報を前記映像再生装置から取得することを特徴とするものである。
【0027】
第10の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、映像再生装置の存在を検出した時に、再生可能形式に関する情報を映像再生装置から取得する。従って、映像送信装置から映像再生装置に向けて映像データが送信される前に、映像再生装置の再生可能形式を特定部によって特定できるため、その後の変換部による映像データの変換処理を遅滞なく実行することが可能となる。
【0028】
本発明の第11の態様に係る映像中継装置は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部はさらに、ユーザによる設定入力に基づいて、前記再生可能形式を特定することを特徴とするものである。
【0029】
第11の態様に係る映像中継装置によれば、特定部は、ユーザによる設定入力に基づいて、再生可能形式を特定する。従って、映像再生装置によって再生可能な映像データの形式をさらに正確に特定することが可能となる。
【0030】
本発明の第12の態様に係る映像中継装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係る映像中継装置において特に、前記特定部によって複数の再生可能形式が特定された場合に、前記映像送信装置から受信している映像データに応じて、前記複数の再生可能形式の中から最適な再生可能形式を選択する選択部をさらに備えることを特徴とするものである。
【0031】
第12の態様に係る映像中継装置によれば、選択部は、映像送信装置から受信している映像データに応じて、複数の再生可能形式の中から最適な再生可能形式を選択する。例えば、映像再生装置がHD(High Definition)放送及びSD(Standard Definition)放送の双方に対応したテレビである場合において、映像中継装置がHD放送用の映像データを受信している場合には、HD放送に対応する再生可能形式を選択し、SD放送用の映像データを受信している場合には、SD放送に対応する再生可能形式を選択する。従って、映像再生装置において最適な条件で映像データを再生することが可能となる。
【0032】
本発明の第13の態様に係るホームゲートウェイは、第1又は第5の態様に係る映像中継装置を備えることを特徴とするものである。
【0033】
第13の態様に係るホームゲートウェイによれば、第1又は第5の態様に係る映像中継装置をホームゲートウェイに搭載することにより、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能なホームゲートウェイを得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成を簡略化して示す図である。
【図2】トランスコーダの構成例を示すブロック図である。
【図3】再生可能形式情報の一例を示す図である。
【図4】再生可能形式情報の一例を示す図である。
【図5】トランスコーダの他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体構成を簡略化して示す図である。例えばユーザの住宅2内にはホームネットワークが構築されており、当該ホームネットワークは、ホームゲートウェイ3、パソコン4、PDA(Personal Digital Assistant)5、及びテレビ6を備えて構成されている。パソコン4、PDA5、及びテレビ6は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク7を介して、ホームゲートウェイ3に接続されている。ホームゲートウェイ3は、トランスコーダ10を備えている。
【0038】
ホームゲートウェイ3は、住宅2の外部に設けられたIP(Internet Protocol)ネットワーク等の通信ネットワーク8に接続されている。通信ネットワーク8には、地上デジタル放送、BSデジタル放送、VOD(Video On Demand)等の映像データを送信する送信サーバ9が接続されている。
【0039】
例えばユーザがPDA5によって映像コンテンツを視聴する場合には、送信サーバ9(映像送信装置)から送信された映像データは、通信ネットワーク8を介してホームゲートウェイ3によって受信される。ホームゲートウェイ3は、受信した映像データを、トランスコーダ10(映像中継装置)によって、PDA5で再生可能な映像データの形式(以下「再生可能形式」と称す)の映像データにリアルタイム処理で変換する。その後、ホームゲートウェイ3は、PDA5に対応する再生可能形式に変換された映像データを、通信ネットワーク7を介してPDA5(映像再生装置)に向けて送信する。これにより、ユーザはPDA5によって映像コンテンツを視聴することができる。
【0040】
なお、ユーザがテレビ6(映像再生装置)によって映像コンテンツを視聴する場合には、上記と同様にトランスコーダ10は、送信サーバ9から受信した映像データを、テレビ6に対応する再生可能形式の映像データに変換する。また、映像再生装置はPDA5やテレビ6に限らず、パソコン4又は携帯電話等の任意の機器であってよい。映像再生装置によって映像データの再生可能形式が異なるため、トランスコーダ10は、送信サーバ9から受信した映像データを、各映像再生装置に対応する再生可能形式の映像データに変換する。
【0041】
図2は、トランスコーダ10の構成例を示すブロック図である。図2の接続関係で示すように、トランスコーダ10は、受信部20、変換部21、送信部22、計時部23、特定部24、選択部25、記憶部26、送信部27、及び受信部28を備えて構成されている。
【0042】
以下、トランスコーダ10の動作について説明する。なお、以下の説明では、ユーザが新規に購入したPDA5によって映像コンテンツを視聴する場合を例にとる。トランスコーダ10は、新規に購入したPDA5に対応する再生可能形式を、以下の処理によって特定する。なお、トランスコーダ10が再生可能形式を特定する処理を実行する動作モードを、以下の説明において「学習モード」と称す。
【0043】
まず、ユーザは、ホームゲートウェイ3の図示しないスイッチを操作すること等により、ホームゲートウェイ3の動作モードを学習モードに設定する。ホームゲートウェイ3が学習モードに設定されることにより、トランスコーダ10による受信映像データの解析機能が動作可能となる。学習モードにおいては、トランスコーダ10による映像データのトランスコード機能は働かず、トランスコーダ10は主に受信映像データの解析処理及び再生可能形式情報の設定処理に専念する。学習モードの設定が完了した後、ユーザがPDA5を操作すること等により、映像コンテンツの送信を要求する映像要求信号D4が、PDA5から送信サーバ9に向けて送信される。映像要求信号D4は、通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から送信部27に入力され、送信部27から通信ネットワーク7を介して送信サーバ9に向けて送信される。また、映像要求信号D4は、受信部28から特定部24に入力される。
【0044】
送信サーバ9は、映像要求信号D4に応じた映像データを、PDA5に向けて送信する。当該映像データは、通信ネットワーク8を介して受信部20によって受信される。受信部20は、映像要求信号D4に応答して送信サーバ9から送られてきた映像データ(以下「受信映像データ」と称す)D1を、特定部24に入力する。
【0045】
特定部24は、受信映像データD1を解析することにより、受信映像データD1の符号化方式、ビットレート、フレームレート、解像度、アスペクト比、及びストリームフォーマット等の各種の情報を取得する。そして、取得したこれらの情報に基づいて、PDA5に対応する再生可能形式情報S1を設定する。再生可能形式情報S1は、PDA5のIPアドレスやMAC(Media Access Control)アドレス等の識別情報とともに、データD8として特定部24から記憶部26に入力される。記憶部26は、PDA5の識別情報に関連付けて、再生可能形式情報S1を記憶する。
【0046】
記憶部26が記憶している再生可能形式情報S1の一例を図3の(A)に示す。再生可能形式情報S1においては、符号化方式がI1(例えばMPEG2)、ビットレートがJ1(例えば12Mbps)、フレームレートがK1(例えば30fps)、解像度がL1(例えば840×480)、アスペクト比がM1(例えば16:9)、ストリームフォーマットがN1(例えばTS)に設定されている。
【0047】
ここで、特定部24は、受信映像データD1をPDA5で実際に再生可能であるか否かを確認した後に、再生可能形式情報S1を設定してもよい。受信映像データD1は、変換部21をスルーして送信部22に入力され、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信される。また、特定部24は、受信映像データD1を適切に再生できているか否かをユーザに問い合わせるための確認メッセージD10を、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信する。確認メッセージD10はPDA5の画面に表示され、ユーザは、PDA5において受信映像データD1を適切に再生できている場合には、その旨を示すイネーブル信号D5をPDA5に入力する。ここで、PDA5が確認メッセージD10に対する応答機能を有していない場合には、ユーザは、ホームゲートウェイ3の図示しないスイッチを操作することにより、あるいはパソコン4を操作することにより、イネーブル信号D5を入力してもよい。イネーブル信号D5は、PDA5から通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。あるいはイネーブル信号D5は、ホームゲートウェイ3のスイッチから特定部24に入力される。あるいはイネーブル信号D5は、パソコン4から通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。特定部24は、イネーブル信号D5が入力された場合には、PDA5において受信映像データD1を再生可能であると判定して、再生可能形式情報S1を設定する。あるいは、特定部24は、送信部22からPDA5に向けて受信映像データD1を送信した時点からの経過時間を計時部23によって計測し、PDA5が一定時間(例えば数分)以上継続して受信映像データD1を受信している場合には、PDA5において受信映像データD1を再生可能であると自動的に判定して再生可能形式情報S1を自動設定してもよい。
【0048】
また、PDA5が再生可能形式の送信機能を実装した機器である可能性もある。そこで、特定部24は、新たな映像再生装置であるPDA5から映像要求信号D4が入力されたことにより、再生可能形式に関する情報を要求するための要求信号D11を、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信する。PDA5が再生可能形式の送信機能を実装した機器である場合には、PDA5は、自身の再生可能形式を示す再生可能形式情報D6を、ホームゲートウェイ3に向けて送信する。再生可能形式情報D6は、通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。特定部24は、再生可能形式情報D6に基づいて、PDA5に対応する再生可能形式情報S2を設定する。再生可能形式情報S2は、PDA5の識別情報とともにデータD8として特定部24から記憶部26に入力され、記憶部26は、PDA5の識別情報に関連付けて再生可能形式情報S2を記憶する。再生可能形式情報S2の一例を図3の(B)に示す。再生可能形式情報S2においては、符号化方式がI2、ビットレートがJ2、フレームレートがK2、解像度がL2、アスペクト比がM2、ストリームフォーマットがN2に設定されている。各項目の内容は、再生可能形式情報S1と一致している場合もあり、一致していない場合もある。なお、特定部24は、新たな映像再生装置からの映像要求信号D4が入力された時に限らず、新たな映像再生装置の存在を検出した時に要求信号D11を送信してもよい。例えば、ホームゲートウェイがDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)機能を有している場合に、新たな映像再生装置からIPアドレスの割り当て要求を受信した時や、新たな映像再生装置からARP(Address Resolution Protocol)要求を受信した時に、要求信号D11を送信する。なお、学習モードにおいては要求信号D11の送信を省略し、学習モードではない通常モードにおいて新たな映像再生装置からの映像要求信号D4が入力された時や、通常モードにおいて新たな映像再生装置の存在を検出した時に、要求信号D11を送信する構成としてもよい。
【0049】
さらに、特定部24は、PDA5の再生可能形式の設定入力をユーザに要求してもよい。特定部24は、新たな映像再生装置であるPDA5から映像要求信号D4が入力されたことにより、再生可能形式の設定入力をユーザに要求するための要求メッセージD12を、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信する。要求メッセージD12はPDA5の画面に表示され、ユーザは、PDA5の再生可能形式に関する情報を示すユーザ設定情報D7を、PDA5に入力する。ここで、PDA5が確認メッセージD12に対する応答機能を有していない場合には、ユーザは、ホームゲートウェイ3の図示しないスイッチを操作することにより、あるいはパソコン4を操作することにより、ユーザ設定情報D7を入力してもよい。ユーザ設定情報D7は、PDA5から通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。あるいはユーザ設定情報D7は、ホームゲートウェイ3のスイッチから特定部24に入力される。あるいはユーザ設定情報D7は、パソコン4から通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。特定部24は、ユーザ設定情報D7に基づいて、PDA5に対応する再生可能形式情報S3を設定する。再生可能形式情報S3は、PDA5の識別情報とともにデータD8として特定部24から記憶部26に入力され、記憶部26は、PDA5の識別情報に関連付けて再生可能形式情報S3を記憶する。再生可能形式情報S3の一例を図3の(C)に示す。再生可能形式情報S3においては、符号化方式がI3、ビットレートがJ3、フレームレートがK3、解像度がL3、アスペクト比がM3、ストリームフォーマットがN3に設定されている。各項目の内容は、再生可能形式情報S1,S2と一致している場合もあり、一致していない場合もある。なお、特定部24は、新たな映像再生装置からの映像要求信号D4が入力された時に限らず、上記と同様に新たな映像再生装置の存在を検出した時に要求メッセージD12を送信してもよい。なお、学習モードにおいては要求メッセージD12の送信を省略し、通常モードにおいて新たな映像再生装置からの映像要求信号D4が入力された時や、通常モードにおいて新たな映像再生装置の存在を検出した時に、要求メッセージD12を送信する構成としてもよい。
【0050】
記憶部26への再生可能形式情報S1の記憶が完了すると、ホームゲートウェイ3の動作モードが学習モードから通常モードに自動的に切り替わる。通常モードにおいては、記憶部26に記憶されている再生可能形式情報S1が、データD3として変換部21に入力される。PDA5からの映像要求信号D4に応答してホームゲートウェイ3が送信サーバ9から映像データD1を受信すると、変換部21は、映像データD1の映像形式と、データD3で表されるPDA5に関する再生可能形式とを比較する。そして、両者が一致しない場合には、データD3に基づいて、再生可能形式でない映像データD1を再生可能形式である映像データD2に変換して出力する。映像データD2は、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信される。なお、受信した映像データD1の映像形式と、データD3で表されるPDA5に関する再生可能形式とが一致する場合には、変換部21は映像データD1を変換することなく出力し、送信部22は映像データD1をPDA5に向けて送信する。
【0051】
ここで、PDA5に関して複数の再生可能形式情報S1〜S3が記憶部26に記憶されている場合には、選択部25は、受信部20が送信サーバ9から受信している映像データD1に応じて、複数の再生可能形式情報S1〜S3の中から最適なものを選択する。例えば、PDA5がHD(High Definition)放送及びSD(Standard Definition)放送の双方に対応した機器である場合において、受信部20がHD放送用の映像データD1を受信している場合には、HD放送に対応する再生可能形式情報を選択し、SD放送用の映像データを受信している場合には、SD放送に対応する再生可能形式情報を選択する。選択部25は、映像データD1に応じて選択した再生可能形式情報を、データD3として変換部21に入力する。
【0052】
変換部21は、データD3に基づいて、映像データD1を映像データD2に変換して出力する。映像データD2は、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信される。
【0053】
また、通常モードにおいて新たな映像再生装置からの映像要求信号D4が入力された時や、通常モードにおいて新たな映像再生装置の存在を検出した時には、上記と同様に特定部24は、再生可能形式に関する情報を要求するための要求信号D11を、送信部22から通信ネットワーク7を介して当該映像再生装置に向けて送信する。当該映像再生装置が再生可能形式の送信機能を実装した機器である場合には、当該映像再生装置は、自身の再生可能形式を示す再生可能形式情報D6を、ホームゲートウェイ3に向けて送信する。再生可能形式情報D6は、通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。特定部24は、再生可能形式情報D6に基づいて、当該映像再生装置に対応する再生可能形式情報S2を設定する。再生可能形式情報S2は、当該映像再生装置の識別情報とともにデータD8として特定部24から記憶部26に入力され、記憶部26は、当該映像再生装置の識別情報に関連付けて再生可能形式情報S2を記憶する。
【0054】
なお、以上の説明ではPDA5に関する再生可能形式情報S1〜S3を設定する処理について説明したが、同様の処理によってテレビ6に関する再生可能形式情報を設定することも可能である。テレビ6に関して設定された再生可能形式情報T1〜T3の一例を図4に示す。図4の(A)に示す再生可能形式情報T1は、再生可能形式情報S1と同様に、映像要求信号D4に応答して送信サーバ9から送られてきた受信映像データD1に基づいて設定されたものである。図4の(B)に示す再生可能形式情報T2は、再生可能形式情報S2と同様に、要求信号D11に対する再生可能形式情報D6に基づいて設定されたものである。図4の(C)に示す再生可能形式情報T3は、再生可能形式情報S3と同様に、要求メッセージD12に対するユーザ設定情報D7に基づいて設定されたものである。
【0055】
また、通常モードにおいて、ホームゲートウェイ3は、送信サーバ9から映像を受信している時に、トランスコーダ10による変換処理を実行する。例えば、映像再生装置から受信した映像要求信号D4内に映像ファイルの拡張子(「ts」、「trp」、「mp4」、又は「avi」等)が含まれている場合に、映像受信時であると判定する。また、映像再生装置からRTSP(Real Time Streaming Protocol)のPLAYコマンドを受信した場合に、映像受信時であると判定する。また、送信サーバ9から受信したRTP(Real-time Transport Protocol)の映像データD1を解析し、映像データD1のペイロードタイプが「ITU−T H.261」、「MPEG−1/2ビデオ」、又は「MPEG−2トランスポートストリーム」等である場合に、映像受信時であると判定する。
【0056】
図5は、トランスコーダ10の他の構成例を示すブロック図である。記憶部26には、テレビ、パソコン、携帯電話、PDA等の様々な映像再生装置において広く使用されている複数の映像形式のサンプル映像が予め記憶されている。学習モードにおいて、特定部24は、複数のサンプル映像に関する複数の映像データD13を記憶部26から読み出して、送信部22に入力する。複数の映像データD13は、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて順に送信される。また、特定部24は、各映像データD13を適切に再生できているか否かをユーザに問い合わせるための確認メッセージD10を、送信部22から通信ネットワーク7を介してPDA5に向けて送信する。確認メッセージD10はPDA5の画面に表示され、ユーザは、PDA5において各映像データD13を適切に再生できている場合には、映像データD13毎にイネーブル信号D5をPDA5に入力する。ここで、PDA5が確認メッセージD10に対する応答機能を有していない場合には、ユーザは、ホームゲートウェイ3の図示しないスイッチを操作することにより、あるいはパソコン4を操作することにより、イネーブル信号D5を入力してもよい。イネーブル信号D5は、PDA5から通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。あるいはイネーブル信号D5は、ホームゲートウェイ3のスイッチから特定部24に入力される。あるいはイネーブル信号D5は、パソコン4から通信ネットワーク7を介して受信部28によって受信され、受信部28から特定部24に入力される。特定部24は、イネーブル信号D5が入力された映像データD13はPDA5において再生可能であると判定して、当該映像データD13に対応する再生可能形式情報を設定する。
【0057】
このように本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、PDA5から送信サーバ9への映像要求信号D4に応答して送信サーバ9から送られてきた受信映像データD1の映像形式を検出し、受信映像データD1の映像形式を再生可能形式として特定する。PDA5は、自らが再生可能な映像データ(例えば過去に視聴実績のある映像コンテンツやそれに関連する映像コンテンツの映像データ)を送信サーバ9に要求するのが通常である。そのため、PDA5からの映像要求信号D4に応答して送信サーバ9から送られてきた受信映像データD1は、通常はPDA5によって再生可能な映像データである。従って、特定部24によって受信映像データD1の映像形式を検出し、受信映像データD1の映像形式を再生可能形式として特定することにより、PDA5によって再生可能な映像データの映像形式をほぼ正確に特定することができる。その結果、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、PDA5において受信映像データD1を再生可能である場合に、受信映像データD1の映像形式を再生可能形式として特定する。つまり、特定部24は、送信部22からPDA5に向けて送信した受信映像データD1をPDA5が再生できたことを条件として、受信映像データD1の映像形式を再生可能形式として特定するため、PDA5の再生可能形式を正確に特定することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、受信映像データD1を再生可能である旨のイネーブル信号D5が入力された場合に、PDA5において受信映像データD1を再生可能であると判定する。例えば、再生可能形式を特定するための学習モードを設け、当該学習モードにおいて、受信映像データD1を送信部22からPDA5に送信する。そして、PDA5が受信映像データD1を再生できた場合に、それを確認したユーザがPDA5又はパソコン4等の他の入力装置からトランスコーダ10にイネーブル信号D5を入力する。これにより、PDA5において受信映像データD1を再生可能であることを、特定部24によって正確に判定することが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、PDA5が一定時間以上継続して受信映像データD1を受信している場合に、PDA5において受信映像データD1を再生可能であると判定する。PDA5が受信映像データD1を再生できていない場合には、ユーザは映像コンテンツを視聴できないため、受信停止等の何らかの処置を行うのが通常である。換言すれば、PDA5が一定時間以上継続して受信映像データD1を受信していることにより、PDA5が受信映像データD1を再生できていると推定することができる。これにより、PDA5において受信映像データD1を再生可能であるか否かを、特定部24によってほぼ正確に判定することが可能となる。また、ユーザによるイネーブル信号D5の入力作業が不要となるため、ユーザの作業負担を軽減することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、通常モードにおいて変換部21は、受信部20が受信した映像データD1の形式がPDA5に関する再生可能形式と異なる場合に、当該映像データD1を当該再生可能形式の映像データD2に変換する。これにより、PDA5において映像データD2を適切に再生することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、再生可能形式情報D6をPDA5から取得することにより、再生可能形式を特定する。従って、再生可能形式の送信機能が実装されているPDA5が使用されている場合に、特定部24がPDA5から再生可能形式情報D6を取得することにより、PDA5によって再生可能な映像データの形式をさらに正確に特定することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、トランスコーダ10から送信サーバ9への映像要求信号D4を検出した時に、再生可能形式情報D6をPDA5から取得する。従って、送信サーバ9からPDA5に向けて映像データD1が送信される前に、PDA5の再生可能形式を特定部24によって特定できるため、その後の変換部21による映像データD1の変換処理を遅滞なく実行することが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、新たなPDA5の存在を検出した時に、再生可能形式情報D6をPDA5から取得する。従って、送信サーバ9からPDA5に向けて映像データD1が送信される前に、PDA5の再生可能形式を特定部24によって特定できるため、その後の変換部21による映像データD1の変換処理を遅滞なく実行することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、特定部24は、ユーザ設定情報D7に基づいて、再生可能形式を特定する。従って、PDA5によって再生可能な映像データの形式をさらに正確に特定することが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態に係るトランスコーダ10によれば、選択部25は、送信サーバ9から受信している映像データD1に応じて、複数の再生可能形式の中から最適な再生可能形式を選択する。例えば、テレビ6がHD放送及びSD放送の双方に対応した機器である場合において、トランスコーダ10がHD放送用の映像データD1を受信している場合には、HD放送に対応する再生可能形式を選択し、SD放送用の映像データD1を受信している場合には、SD放送に対応する再生可能形式を選択する。従って、映像再生装置において最適な条件で映像データを再生することが可能となる。
【0067】
また、図5に示したトランスコーダ10によれば、特定部24は、映像形式が異なる複数の映像データD13を送信部22からPDA5に向けて送信し、複数の映像データD13のうちPDA5において再生可能である映像データD13の映像形式を、再生可能形式として特定する。例えば、テレビ、パソコン、携帯電話、PDA等の様々な映像再生装置において広く使用されている複数の映像形式の映像データD13をトランスコーダ10内に予め準備しておき、これら複数の映像データD13を送信部22からPDA5に向けて順に送信する。そして、特定部24は、当該複数の映像データD13のうちPDA5において再生可能である映像データD13の形式を、再生可能形式として特定する。このように、特定部24は、送信部22からPDA5に向けて送信した複数の映像データD13のうち、PDA5において再生可能である映像データD13の映像形式を再生可能形式として特定するため、再生可能形式を正確に特定することが可能となる。その結果、再生可能形式の送信機能が実装されていない映像再生装置を使用した場合であっても、映像再生装置の再生可能形式を特定することが可能となる。
【0068】
また、図5に示したトランスコーダ10によれば、特定部24は、複数の映像データD13の各々について、映像データD13を再生可能である旨のイネーブル信号D5が入力された場合に、PDA5において当該映像データD13を再生可能であると判定する。例えば、再生可能形式を特定するための学習モードを設け、当該学習モードにおいて、複数の映像データD13を送信部22からPDA5に順に送信する。そして、複数の映像データD13の各々について、PDA5が映像データD13を再生できた場合に、それを確認したユーザがPDA5又はパソコン4等の他の入力装置からトランスコーダ10にイネーブル信号D5を入力する。これにより、PDA5において映像データD13を再生可能であることを、特定部24によって正確に判定することが可能となる。
【0069】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 通信システム
3 ホームゲートウェイ
4 パソコン
5 PDA
6 テレビ
9 送信サーバ
10 トランスコーダ
20 受信部
21 変換部
22 送信部
24 特定部
25 選択部
26 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像送信装置から送信された映像データを受信して、受信した映像データを、映像再生装置によって再生可能な映像データに変換して当該映像再生装置に向けて送信するための、映像中継装置であって、
前記映像再生装置によって再生可能な映像データの形式である再生可能形式を特定する特定部と、
前記映像送信装置から送信された映像データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した映像データを、前記再生可能形式の映像データに変換する変換部と、
前記受信部が受信した映像データ、又は前記変換部による変換後の映像データを、前記映像再生装置に向けて送信する送信部と、
を備え、
前記特定部は、前記映像再生装置から前記映像送信装置への映像要求に応答して前記映像送信装置から送られてきた映像データである受信映像データの形式を検出し、当該受信映像データの形式を、当該映像再生装置に関する前記再生可能形式として特定して記憶する、映像中継装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記受信映像データを前記映像再生装置に向けて送信し、
前記特定部は、前記映像再生装置において前記受信映像データを再生可能である場合に、当該受信映像データの形式を前記再生可能形式として特定する、請求項1に記載の映像中継装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記受信映像データを再生可能である旨のイネーブル信号が入力された場合に、前記映像再生装置において前記受信映像データを再生可能であると判定する、請求項2に記載の映像中継装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記映像再生装置が一定時間以上継続して前記受信映像データを受信している場合に、前記映像再生装置において前記受信映像データを再生可能であると判定する、請求項2に記載の映像中継装置。
【請求項5】
映像送信装置から送信された映像データを受信して、受信した映像データを、映像再生装置によって再生可能な映像データに変換して当該映像再生装置に向けて送信するための、映像中継装置であって、
前記映像再生装置によって再生可能な映像データの形式である再生可能形式を特定する特定部と、
前記映像送信装置から送信された映像データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した映像データを、前記再生可能形式の映像データに変換する変換部と、
前記受信部が受信した映像データ、又は前記変換部による変換後の映像データを、前記映像再生装置に向けて送信する送信部と、
を備え、
前記特定部は、形式が異なる複数の映像データを前記映像再生装置に向けて送信し、当該複数の映像データのうち前記映像再生装置において再生可能である映像データの形式を、当該映像再生装置に関する前記再生可能形式として特定して記憶する、映像中継装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記複数の映像データの各々について、映像データを再生可能である旨のイネーブル信号が入力された場合に、前記映像再生装置において当該映像データを再生可能であると判定する、請求項5に記載の映像中継装置。
【請求項7】
前記変換部は、前記受信部が受信した映像データの形式が、前記映像再生装置に関する前記再生可能形式と異なる場合に、当該映像データを当該再生可能形式の映像データに変換する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の映像中継装置。
【請求項8】
前記特定部はさらに、前記再生可能形式に関する情報を前記映像再生装置から取得することにより、前記再生可能形式を特定する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の映像中継装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記映像再生装置から前記映像送信装置への映像要求を検出した時に、前記再生可能形式に関する情報を前記映像再生装置から取得する、請求項8に記載の映像中継装置。
【請求項10】
前記特定部は、前記映像再生装置の存在を検出した時に、前記再生可能形式に関する情報を前記映像再生装置から取得する、請求項8に記載の映像中継装置。
【請求項11】
前記特定部はさらに、ユーザによる設定入力に基づいて、前記再生可能形式を特定する、請求項1〜10のいずれか一つに記載の映像中継装置。
【請求項12】
前記特定部によって複数の再生可能形式が特定された場合に、前記映像送信装置から受信している映像データに応じて、前記複数の再生可能形式の中から最適な再生可能形式を選択する選択部
をさらに備える、請求項1〜11のいずれか一つに記載の映像中継装置。
【請求項13】
請求項1又は請求項5に記載の映像中継装置を備える、ホームゲートウェイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134801(P2012−134801A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285679(P2010−285679)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】