説明

映像表示装置および映像表示方法

【課題】動画像領域の移動速度が速くなると動画ボケ防止のための消灯の開始位相の変更幅も大きくなって、表示画面の輝度の急激な変化によるパカツキが目立つといった問題があった。動画像領域の移動に対して、動画ボケとパカツキの両方を抑制した高画質な映像表示を提供する。
【解決手段】映像表示装置は、消灯の開始位相をフレームごとに動画像領域の開始位置に対応した位相までパカツキの目立たない大きさで順次近づけるものであり、動画ボケとパカツキの両方を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置における画質向上、特に動画像表示における動画ボケを低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶パネル上のマトリクス状に配置した画素に対して、データ信号線および走査信号線に対する信号を制御して1フレームごとに画像データを1回書き込み、書き込んだ画像を次のデータ書き込みまで1フレーム間保持するホールド型の表示方式による表示装置である。
【0003】
このようなホールド型表示方式では、隣接フレーム間で画像が変動しない静止画像領域の表示では問題はないが、隣接フレーム間で画像が変化する動画像領域の表示では、視覚の残像効果によって異なる画像が重畳し、液晶の応答速度にかかわらず動画ボケが発生するという問題がある。
【0004】
このような動画ボケを抑えるために、動画像領域の画像データの書き込み区間ではバックライト光源を消灯して画面表示を行わせず、前画面の残像効果を消してから動画像領域の画像データの書き込み終了時点で書き替えられた画面を表示するといったCRT表示装置のようなインパルス型の表示方式が提案されている。
【0005】
このような表示方式による映像表示装置の1つとして特許文献1に示された映像表示装置が提案されている。
【0006】
上記従来の映像表示装置は、図9のブロック図で示したように、入力された映像信号を映し出す映像表示手段117と、映像表示手段117の映像を可視化するためのバックライトの光源116と、現フレームの映像信号と1フレーム前の映像信号を画素単位で比較して走査線上における動画像領域の有無を検出して走査線ごとの走査線動き判定信号を出力する動画検出手段112と、光源116の点滅制御を行うPWMパルス信号を出力するPWMパルス発生手段115と、動画検出手段112からの走査線動き判定信号によって動画像領域の開始時点から一定期間の走査線区間は光源116を消灯するようにPWMパルス発生手段115を制御するPWM制御手段114とを備えている。
【0007】
PWMパルス発生手段115の発生するPWMパルス信号が、High区間では光源116を点灯させ、Low区間では光源116を消灯させることによって、映像表示手段117の輝度dutyが制御される。
【0008】
PWM制御手段114は、動画像領域の先頭走査線から一定数の走査線区間で光源116が消灯するようにPWMパルス発生手段115を制御する。
【0009】
上記従来の映像表示装置では、図10の光源116の消灯動作の説明図に示したように、PWM制御手段114によって動画像領域の開始走査線から一定期間PWMパルス発生手段115から出力されるPWMパルス信号をLowにして光源116を消灯することで、映像表示手段117の画面が動画像領域のデータ書き込み期間は非表示となるように消灯が行われている。
【0010】
このように、画像が変化する動画像領域の書き込み区間では映像表示手段117の画面表示が行われず、前画面の残像効果が消えてから新しい画面が表示されるため、画像ボケのない画面表示が可能となる。
【0011】
また、図10に示したように、表示画面上で動画像領域が移動した場合には、移動が発生したフレームにおいて移動した動画像領域の開始位置に対応して消灯開始位相を変更する(以下、消灯開始位相の変更幅を追従遷移幅と称する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/155889 号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来の映像表示装置では、新旧画面の重畳による動画ボケを防ぐために、動画像領域の開始位置の移動に追従して消灯開始位相の変更を行っている。
【0014】
しかしながら、動画像領域の移動速度が速くなると消灯開始位相の変更幅である追従遷移幅も大きくなって光源の点灯/消灯の比率が急激に変化し、表示画面の輝度の急激な変化によるパカツキが発生し易くなるといった問題がある。
【0015】
一方、追従遷移幅が小さくなるよう制限してパカツキの発生を抑制すると、動画像領域の移動に消灯区間が追従できずに動画ボケが発生してしまうことになる。
【0016】
本発明は、動画像領域の移動に対して、パカツキの発生を抑制しながら動画ボケを生じさせない、より好適な消灯開始位相の変更方法およびその方法を利用した映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の映像表示装置は、入力された映像信号を映し出す映像表示手段と、映像表示手段の映像を可視化するための光源と、光源の点滅制御を行うPWMパルス発生手段と、映像信号の走査線ごとの動き量に基いて走査線ごとの走査線動き判定信号を出力する動画検出手段と、前フレームの消灯開始位相と、動画検出手段によって求められる現フレーム動画像領域の動き方向と、映像表示手段の画面走査線総数と、光源に対して設定されている輝度duty値と、所定の調整係数とに基いて現フレームの消灯開始位相を算出する消灯開始位相算出手段と、消灯開始位相算出手段が算出した現フレームの消灯開始位相を指定する消灯開始位相信号を出力し、PWMパルス発生手段を制御するPWM制御手段とを備えることで、パカツキが目立たない範囲で消灯開始位相を順次変更することができ、動画ボケ抑制とパカツキ抑制を両立させた高画質な映像表示を提供することができる。
【0018】
さらに、本発明の映像表示装置は、動画検出手段によって求められる現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、(前フレームの消灯開始位相+画面走査線総数×輝度duty値×調整係数)で、画面上方向であれば、(前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数)で現フレームの消灯開始位相を消灯開始位相算出手段が算出するようにすることで、画面の大きさおよび設定された輝度dutyに好適な消灯開始位相の制御を行うことができ、動画ボケ抑制とパカツキ抑制を両立させた高画質な映像表示を提供することができる。
【0019】
さらに、本発明の映像表示装置は、動画検出手段によって求められる現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、(前フレームの消灯開始位相+画面走査線総数×輝度duty値×調整係数)で、画面上方向であれば、(前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数)で暫定消灯開始位相を求め、現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、暫定消灯開始位相が現フレーム動画像領域の開始位相より小さい場合には暫定消灯開始位相を現フレームの消灯開始位相とし、暫定消灯開始位相が現フレーム動画像領域の開始位相以上である場合には現フレーム動画像領域の開始位相を現フレームの消灯開始位相とし、一方、現フレーム動画像領域の動き方向が画面上方向であれば、暫定消灯開始位相が現フレーム動画像領域の開始位相より大きい場合には暫定消灯開始位相を現フレームの消灯開始位相とし、暫定消灯開始位相が現フレーム動画像領域の開始位相以下である場合には現フレーム動画像領域の開始位相を現フレームの消灯開始位相を消灯開始位相算出手段が算出するようにすることで、画面の大きさおよび設定された輝度dutyに加え、動画像領域の移動方向も考慮した際の好適な消灯開始位相の制御を行うことができ、動画ボケ抑制とパカツキ抑制を両立させた高画質な映像表示を提供することができる。
【0020】
また、本発明の映像表示装置は、輝度duty値が所定の閾値以下になった場合に、消灯開始位相を現在の値から段階的に0まで減らして消灯開始位相が0になれば垂直帰線期間中のみ光源を点灯させるようにPWM制御手段に指示する輝度連動消灯開始位相指示手段をさらに備えることで、輝度dutyの設定値が閾値以下になった低輝度状態では画像表示期間は光源をオフにすることができ、動画ボケとパカツキの両方を抑制した高画質な映像表示を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の映像表示装置および映像表示方法は、動画像領域を検出した際に、消灯開始位相をフレームごとに動画像領域の開始位置に対応した位相までパカツキの目立たない大きさで順次近づけるものであり、動画ボケとパカツキの両方を抑制した高画質な映像表示を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1の映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2の映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1の映像表示装置における動画像領域の下方移動時前半の消灯動作の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1の映像表示装置における動画像領域の下方移動時後半の消灯動作の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1の映像表示装置における動画像領域の上方移動時前半の消灯動作の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1の映像表示装置における動画像領域の上方移動時後半の消灯動作の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1の映像表示装置における消灯開始位置が動画像領域内に入る場合の消灯動作の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2の映像表示装置における輝度duty値が所定の閾値以下になった場合の消灯動作の説明図である。
【図9】従来の映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の映像表示装置における消灯動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を図1〜図8を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施の形態1における映像表示装置は、液晶表示パネルを含む映像表示手段17と、CCFL/EEFLなどの管光源やLED光源など映像表示手段17を照射するバックライトとしての光源16と、光源16の点滅制御を行うPWMパルス発生手段15と、PWMパルス発生手段15の制御を行うPWM制御手段14と、映像表示手段17に表示される動画像領域を検出する動画検出手段12と、光源16の消灯開始位相の決定に必要な追従遷移幅を算出する追従遷移幅算出手段13とを備える。
【0026】
映像表示手段17は、入力された映像信号を液晶表示パネルのマトリクス状に配置された画素に対してデータ信号線および走査信号線を用いて1フレームごとに画像データを1回書き込み、その画像データを次のデータ書き込みまで1フレーム間保持するホールド型の表示装置である。
【0027】
光源16は、PWMパルス発生手段15から出力されるPWMパルス信号に基いて点灯/消灯を行い、映像表示手段17の液晶表示パネルに書き込まれた画像データを可視化させるものである。
【0028】
光源輝度設定手段11は、映像表示手段17の画面の輝度dutyを設定する手段であり、この設定値に基いてPWM制御手段14がPWMパルス発生手段15を制御してPWMパルス信号による光源16の点滅制御が行われる。また、この光源輝度設定手段11を介して、映像の特徴量に応じた輝度設定、外光に応じた輝度設定、ユーザーによる任意の輝度設定が行われる。
【0029】
動画検出手段12は、現フレームの映像信号と1フレーム前の映像信号を各走査線ごとに画素単位で比較することで動画像領域を検出すると同時に、走査線ごとに走査線動き判定信号を出力する。
【0030】
追従遷移幅算出手段13は、映像表示手段17の画面サイズや光源輝度設定手段11により設定された輝度dutyおよびパカツキが目立たないように設定された調整係数を用いてパカツキを抑制するように下記の(式1)に基づき、消灯開始位相の前フレームに対する変更幅である追従遷移幅(T)を算出して、PWM制御手段14に出力する。
【0031】
T=画面走査線総数×輝度duty値×調整係数 (式1)
PWM制御手段14は、光源輝度設定手段11からの輝度dutyと動画検出手段12からの走査線動き判定信号と追従遷移幅算出手段13からの追従遷移幅Tに基づき、動画像領域が画面下方に移動する場合および画面上方に移動する場合のそれぞれに対して下記の(式2)および(式3)のそれぞれで消灯開始位相を算出し、輝度dutyに基づくその他の制御信号と共にPWMパルス発生手段15に出力する。
【0032】
消灯開始位相=前フレームの消灯開始位相+T (式2)
消灯開始位相=前フレームの消灯開始位相−T (式3)
PWMパルス発生手段15は、PWM制御手段14からの消灯開始位相およびその他の制御信号を受けて、光源16の点滅制御を行うPWMパルス信号を出力する。
【0033】
上記のように光源16が点滅制御されることで、動画像領域の画像データの書き込み区間が光源16の消灯による消灯区間となって画面表示がされない。これにより、時間的に隣接するフレームの動画像領域の画像重畳による動画ボケが抑えられる。さらに、消灯開始位相を段階的に変更するため、表示画面の輝度変化が制限されてパカツキの発生が抑制される。
【0034】
まず、図3、図4を用いて、動画像領域が画面下方に移動する場合の、消灯開始位相の変化について説明する。
【0035】
図3の最初のフレームは、画面上端に対応する位相(フレームの開始位相)から画面下方向に移動する動画領域Aの開始位置に対応する位相まで光源16がオンされ、動画領域Aの開始位置に対応する位相(現フレームの消灯開始位相)以降は光源16をオフすることで、光源輝度設定手段11で設定された輝度duty幅(DW)が実現されている状態を示している。
【0036】
図3の2番目のフレームでは、動画領域Aの画面下方への移動に伴って消灯開始位相を動画領域Aの開始位置まで下方へ移動する必要があるが、その移動幅はパカツキを抑制するために(式1)で求められる追従遷移幅(T)に制限される。したがって、2番目のフレームの消灯開始位相は、(式2)に基いて最初のフレームの消灯開始位相に追従遷移幅(T)を加えることで求められる。この時、光源16のオン期間(以下では、第1の実輝度期間と称す)は、設定された輝度duty幅(DW)に追従遷移幅(T)だけ加わった期間となっている(すなわち、図3の最初のフレームより実際の輝度dutyが高くなっている)。
【0037】
以下、消灯開始位相が動画領域Aの開始位置に対応した位相になるまでは、フレームごとに第1の実輝度期間が(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ下方に移動し、最終的には図4の最後のフレームに示したように消灯開始位相は動画領域Aの開始位置に対応した位相に一致し、第1の実輝度期間の幅は設定された輝度duty幅(DW)となる。
【0038】
なお、第1の実輝度期間を(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ下方に移動させると動画領域Aにかかってしまう場合(図4の最初のフレームの場合)には、後で詳述するように(式1)で求められる追従遷移幅(T)を補正する(図4の最初のフレームのT‘)。
【0039】
次に、図5、図6を用いて、動画像領域が画面上方に移動する場合の、消灯開始位相の変化について説明する。
【0040】
図5の最初のフレームは、画面上方に移動する動画領域Aの開始位置に対応する位相より光源輝度設定手段11で設定された輝度duty幅(DW)分小さい位相から動画領域Aの開始位置に対応する位相まで光源16をオンし、それ以外のところで光源16をオフした状態を示している。
【0041】
図5の2番目のフレームでは、動画領域Aの画面上方への移動に伴って消灯開始位相を動画領域Aの開始位置まで上方へ移動する必要があるが、その移動幅はパカツキを抑制するために(式1)で求められる追従遷移幅(T)に制限される。したがって、2番目のフレームの消灯開始位相は、(式3)に基いて最初のフレームの消灯開始位相から追従遷移幅(T)を減じることで求められる。この時、動画領域が画面下方に移動する場合と異なり、光源16のオン期間(以下では、第2の実輝度期間と称す)は、設定された輝度duty幅(DW)から追従遷移幅(T)だけ減じた期間となっている(すなわち、図5の最初のフレームより実際の輝度dutyが低くなっている)。
【0042】
以下、消灯開始位相が動画領域Aの開始位置に対応した位相になるまでは、フレームごとに第2の実輝度期間が(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ上方に移動し、最終的には図6の最後のフレームに示したように消灯開始位相は動画領域Aの開始位置に対応した位相に一致する。
【0043】
なお、第2の実輝度期間を(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ上方に移動させると動画領域Aから外れる場合には、後で詳述するように(式1)で求められる追従遷移幅(T)を補正し、消灯開始位相が動画領域Aの開始位置に対応した位相に一致させて、図6の状態にする。
【0044】
ここで、図3、図4で説明した動画領域Aが画面下方向に移動する際の消灯開始位相の更新において、消灯開始位相が動画領域Aに対応した位相区間内に入る場合について、図7を用いて説明する。
【0045】
PWM制御手段14は、動画検出手段12で検出された動画像領域の移動方向を示す動き判定信号と追従遷移幅算出手段13で算出された追従遷移幅(T)に基いて消灯開始位相を算出する。
【0046】
動画領域Aが画面下方向に移動する場合は、
暫定消灯開始位相=前フレームの消灯開始位相+T (式4)
で暫定消灯開始位相を算出する。
【0047】
その後、暫定消灯開始位相を現フレームの動画領域Aの開始位置に対応する位相と比較し、暫定消灯開始位相が現フレームの動画領域Aの開始位置に対応する位相よりも小さければ暫定消灯開始位相をそのまま現フレームの消灯開始位相とし、大きければ、動画領域Aの描画中は光源16を消灯して画像重畳による動画ボケを抑制するために、現フレームの動画領域Aの開始位置に対応する位相を現フレームの消灯開始位相とする。暫定消灯開始位相が動画領域Aの開始位置に対応する位相より大きい場合、現フレームの消灯開始位相と前フレームの消灯開始位相の差分を補正された追従遷移幅(T‘)とする。
【0048】
同様に、図5、図6で説明した動画領域Aが画面上方向に移動する際の消灯開始位相の更新において、消灯開始位相が動画領域Aの開始位相に対応した位相より小さくなる場合は、
暫定消灯開始位相=前フレームの消灯開始位相−T (式5)
で暫定消灯開始位相を算出する。
【0049】
その後、暫定消灯開始位相を現フレームの動画領域Aの開始位置に対応する位相と比較し、暫定消灯開始位相が現フレームの動画領域Aの開始位置に対応する位相よりも大きければ、設定された輝度dutyに対する消灯開始位相の変更に伴う輝度変化によるパカツキを目立たない範囲とするために、暫定消灯開始位相をそのまま現フレームの消灯開始位相とし、小さければ現フレームの動画領域Aの開始位置に対応する位相を現フレームの消灯開始位相とする。暫定消灯開始位相が動画領域Aの開始位置に対応する位相より小さい場合、前フレームの消灯開始位相と現フレームの消灯開始位相の差分を補正された追従遷移幅とする。
【0050】
以上の通り、本発明の実施の形態1によれば、動画像領域の移動方向を考慮して算出した消灯開始位相に基いて光源16が点滅制御されることで、動画像領域での動画ボケとパカツキの両方を抑制した高画質の映像表示を実現することができる。
【0051】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における映像表示装置の構成を示すブロック図であり、液晶表示パネルを含む映像表示手段17と、CCFL/EEFLなどの管光源やLED光源などのバックライトとして用いられる光源16と、動画検出手段12と、追従遷移幅算手段出13と、光源16の点滅制御を行うPWMパルス発生手段15と、PWMパルス発生手段15を制御するPWM制御手段14と、輝度連動消灯開始位相制御手段18とを備えている。
【0052】
なお、輝度連動消灯開始位相制御手段18以外の各手段は実施の形態1で説明したものと同様なので以下では説明を省略する。
【0053】
図8は、輝度dutyが所定の閾値以下になった場合の消灯動作を説明する図である。
【0054】
図8の最初のフレームは、光源輝度設定手段11で輝度duty(DW)が閾値以下の低輝度に設定された場合に、画面上端に対応する位相(フレームの開始位相)から画面下方向に移動する動画領域Aの開始位置に対応する位相まで光源16がオンされ、動画領域Aの開始位置に対応する位相(現フレームの消灯開始位相)以降は光源16をオフすることで閾値以下の低輝度が実現されている状態を示している。
【0055】
輝度dutyが閾値以下の低輝度に設定されると、パカツキを抑制するためには光源16を垂直帰線期間中のみ点灯して映像表示期間中は消灯することが必要となるが、いきなり光源16を垂直帰線期間中のみ点灯するようにするとパカツキが目立ってしまう。
【0056】
そこで、輝度連動消灯開始位相制御手段18は、輝度dutyが所定の閾値以下になったことを検出すると、図8の2番目のフレームに示されたように、映像表示の開始位置(垂直帰線期間の終了位置)に対応した位相に近づくように、消灯開始位相をフレームごとに(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ上方に移動させ、最終的には図8の最後のフレームに示したように、光源16を垂直帰線期間中でのみ点灯させることとなる。なお、消灯開始位相が(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ上方に移動された位相が垂直帰線期間の終了位置より小さい場合(垂直帰線期間より上方に消灯開始位相が(式1)で求められる追従遷移幅(T)だけ上方に移動された位相が存在する場合)は、追従遷移幅(T)を補正し垂直帰線期間の終了位置を消灯開始位相とする。
【0057】
以上の通り、本発明の実施の形態2によれば、輝度dutyが所定の閾値以下になった場合でも、動画像領域での動画ボケとパカツキの両方を抑制した高画質の映像表示を実現することができる。
【0058】
なお、上記実施例1および2においては、光源16をオフする期間を一定に保ち、光源16をオンする期間を追従遷移幅(T)分変化させ、追従遷移幅(T)ずつ消灯開始位相を変化させるケースについて説明したが、逆に、光源16をオンする期間を一定に保ち、光源16をオフする期間を追従遷移幅(T)分変化させ、追従遷移幅(T)ずつ点灯開始位相を変化させることとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の表示方式のバックライトを有する液晶テレビや光源を有するプロジェクタなどへの適用によって、動画ボケおよびパカツキの両方を抑制した高画質な映像表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
11 光源輝度設定手段
12 動画検出手段
13 追従遷移幅算出手段
14 PWM制御手段
15 PWMパルス発生手段
16 光源
17 映像表示手段
18 輝度連動消灯開始位相制御手段
112 動画検出手段
114 PWM制御手段
115 PWMパルス発生手段
116 光源
117 映像表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号を映し出す映像表示手段と、
前記映像表示手段の映像を可視化するための光源と、
前記光源の点滅制御を行うPWMパルス発生手段と、
映像信号の走査線ごとの動き量に基いて前記走査線ごとの走査線動き判定信号を出力する動画検出手段と、
前フレームの消灯開始位相と、前記動画検出手段によって求められる現フレーム動画像領域の動き方向と、前記映像表示手段の画面走査線総数と、前記光源に対して設定されている輝度duty値と、所定の調整係数とに基いて現フレームの消灯開始位相を算出する消灯開始位相算出手段と、
前記消灯開始位相算出手段が算出した現フレームの消灯開始位相を指定する消灯開始位相信号を出力し、前記PWMパルス発生手段を制御するPWM制御手段と
を備える映像表示装置。
【請求項2】
前記消灯開始位相算出手段が、
前記動画検出手段によって求められる現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、
前フレームの消灯開始位相+画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で、画面上方向であれば、
前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で前記現フレームの消灯開始位相を算出する請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記消灯開始位相算出手段が、
前記動画検出手段によって求められる現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、
前フレームの消灯開始位相+画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で、画面上方向であれば、
前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で暫定消灯開始位相を求め、
前記現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、
前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相より小さい場合には前記暫定消灯開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とし、前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相以上である場合には前記現フレーム動画像領域の開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とし、一方、
前記現フレーム動画像領域の動き方向が画面上方向であれば、
前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相より大きい場合には前記暫定消灯開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とし、前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相以下である場合には前記現フレーム動画像領域の開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とする
請求項1記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記輝度duty値が所定の閾値以下になった場合に、
前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で前記現フレームの消灯開始位相を算出し、前記現フレームの消灯開始位相が0以下になれば垂直帰線期間中のみ前記光源を点灯させるように前記PWM制御手段に指示する輝度連動消灯開始位相指示手段を
さらに備える請求項1〜3いずれか1項記載の映像表示装置。
【請求項5】
入力された映像信号を映像表示手段に映し出す映像表示ステップと、
前記映像表示手段の映像を可視化するための光源の点滅制御を行うPWMパルスを発生するPWMパルス発生ステップと、
映像信号の走査線ごとの動き量に基いて前記走査線ごとの走査線動き判定信号を出力する動画検出ステップと、
前フレームの消灯開始位相と、前記動画検出ステップで求められる現フレーム動画像領域の動き方向と、前記映像表示手段の画面走査線総数と、前記光源に対して設定されている輝度duty値と、所定の調整係数とに基いて現フレームの消灯開始位相を算出する消灯開始位相算出ステップと、
前記消灯開始位相算出ステップで算出した現フレームの消灯開始位相を指定する消灯開始位相信号を出力し、前記PWMパルスの発生を制御するPWM制御ステップと
を備える映像表示方法。
【請求項6】
前記消灯開始位相算出ステップが、
前記動画検出ステップによって求められる現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、
前フレームの消灯開始位相+画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で、画面上方向であれば、
前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で前記現フレームの消灯開始位相を算出する請求項5記載の映像表示方法。
【請求項7】
前記消灯開始位相算出ステップが、
前記動画検出ステップによって求められる現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、
前フレームの消灯開始位相+画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で、画面上方向であれば、
前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で暫定消灯開始位相を求め、
前記現フレーム動画像領域の動き方向が画面下方向であれば、
前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相より小さい場合には前記暫定消灯開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とし、前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相以上である場合には前記現フレーム動画像領域の開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とし、一方、
前記現フレーム動画像領域の動き方向が画面上方向であれば、
前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相より大きい場合には前記暫定消灯開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とし、前記暫定消灯開始位相が前記現フレーム動画像領域の開始位相以下である場合には前記現フレーム動画像領域の開始位相を前記現フレームの消灯開始位相とする
請求項5記載の映像表示方法。
【請求項8】
前記輝度duty値が所定の閾値以下になった場合に、
前記PWM制御ステップは、
前フレームの消灯開始位相−画面走査線総数×輝度duty値×調整係数
で前記現フレームの消灯開始位相を算出し、前記現フレームの消灯開始位相が0以下になれば垂直帰線期間中のみ前記光源を点灯させるように前記PWMパルスの発生を制御する請求項5〜7いずれか1項記載の映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−61362(P2013−61362A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11609(P2010−11609)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】