説明

映像表示装置および映像表示装置の色補正方法

【課題】映像表示装置および映像表示装置の色補正方法を提供する。
【解決手段】映像表示装置は、映像信号に応じて映像を表示するディスプレイ部、前記ディスプレイ部に入射する外光のスペクトルを測定するセンサ部、前記ディスプレイ部のスペクトル反射率、前記ディスプレイ部の最大原色スペクトルと前記外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応原色スペクトルを予測し、前記順応原色スペクトルに応じて前記映像信号を補正する補正信号を提供する補正信号提供部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置および映像表示装置の色補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置は、映像信号に応じて映像を表示する。視聴者は映像表示装置に表示される映像を見る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
視聴者の視環境を調べると、多くの視環境は外光に露出されている。したがって、視聴者は外光下で映像を見る。しかし、外光の影響により、映像表示装置で表示される映像の輝度および色相と、視聴者が認識する映像の輝度および色相間の差が生じ得る。例えば、視聴者が認識する映像の輝度および色相が相対的に歪んでいるように見えることがある。これによって、映像から特定イメージを識別し難くなるなど映像の視認性が低下する場合が生じる。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、外光下で視聴者が輝度の低下および色相の変化なしで映像を見ることができる映像表示装置を提供しようとすることにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、外光による輝度の低下および色相の変化を補正できる映像表示装置の色補正方法を提供しようとすることにある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態による映像表示装置は、映像信号に応じて映像を表示するディスプレイ部と、前記ディスプレイ部に入射する外光のスペクトルを測定するセンサ部、および前記ディスプレイ部のスペクトル反射率、前記ディスプレイ部の最大原色スペクトルと前記外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応原色スペクトルを予測し、前記順応原色スペクトルに応じて前記映像信号を補正する補正信号を提供する補正信号提供部と、を含む。
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態による映像表示装置の色補正方法は、リアルタイムでディスプレイ部に入射する外光のスペクトルを測定し、前記ディスプレイ部は映像信号に応じて映像を表示し、前記ディスプレイ部のスペクトル反射率、前記ディスプレイ部の最大原色スペクトルと前記外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応原色スペクトル予測し、前記順応スペクトルに応じて前記映像信号を補正する補正信号を提供することを含む。
【0009】
本発明のその他具体的な内容は詳細な説明および図面に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による映像表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による補正信号提供部のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による輝度補正データ演算部のブロック図である。
【図4】本発明の映像表示装置を使用する視環境の概略図である。
【図5】順応原色スペクトルの予測過程を示す概略図である。
【図6】外光照度による順応原色の色度座標と要求輝度比を演算したデータである。
【図7】外光照度による色補正データとガンマセットを演算したデータである。
【図8】本発明の他の実施形態による映像表示装置の色補正方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の利点、特徴、およびそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されることが可能である。本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に対して発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。なお、明細書全体にかけて、同一の参照符号は同一の構成要素を指すものとする。
【0012】
本明細書で使用された用語は、実施形態を説明するためであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において単数形は、文言で特別に言及しない限り、複数形をも含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及した構成要素、段階、動作、および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作、および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0013】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による映像表示装置のブロック図である。図1を参照すると、本発明の一実施形態による映像表示装置1はディスプレイ部10、センサ部20、および補正信号提供部30を含む。
【0015】
ディスプレイ部10は映像信号に応じて映像を出力する。例えば、ディスプレイ部10はLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ELD(Electro Luminescent Display)、LED(Light Emitting Diode)、VFD(Vacuum Fluorescent Display)のうちいずれか一つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0016】
センサ部20は、ディスプレイ部10に入射する外光のスペクトルを測定する。本明細書において外光とは、映像表示装置1の内部に存在する光源であるディスプレイソース(display source)以外の光源から発生する光を意味するものと定義することができる。ディスプレイソースは、例えば、LCDのような集光素子ではバックライトであってもよい。自発光素子の場合、ディスプレイソースは発光ユニットであってもよい。外光は、例えば、太陽光、照明を含む映像表示装置外部に位置する光源から発生する光であってもよい。
【0017】
センサ部20で測定された外光のスペクトルに関するデータは補正信号提供部30に提供される。
【0018】
センサ部20は例えばフォトダイオードを含んでもよい。センサ部20はディスプレイ部10の外部に位置する外装型またはディスプレイ部10の内部に位置する内装型で提供されてもよい。
【0019】
センサ部20は外光のスペクトルを測定するため、任意の外光の特性を把握するための正確なデータを得ることができる。例えば、測定されたデータにより、外光の波長と外光のスペクトルの強度間の関係特性を把握することができる。センサ部20で測定されるデータの正確度が高いほど、後述する反射光のスペクトルおよび順応原色スペクトルを正確に予測することができる。
【0020】
補正信号提供部30は、ディスプレイ部のスペクトル反射率、ディスプレイ部の最大原色スペクトル(max level primary color spectrum)と外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応原色スペクトルを予測し、前記順応原色スペクトルに応じて映像信号を補正する補正信号を提供する。
【0021】
視聴者は視環境の影響を受ける。例えば、外光による影響を受け得る。外光がディスプレイから反射して発生する反射光によって、視聴者は色の歪みがある映像を見る。したがって、反射光による色の歪みを補正する必要がある。
【0022】
補正信号提供部30は色の歪みを補正するため、視聴者が認識する色を予測して色の歪みの程度を把握した後、色の歪みの程度に応じて色を補正する補正信号を提供する。まず、スペクトル反射率、最大原色スペクトル、および外光のスペクトルを利用して視聴者の目に入るスペクトルを演算する。視聴者の目に入るスペクトルはすなわち、視聴者が認識する順応原色スペクトルを意味する。次いで、補正信号提供部30は順応原色スペクトルにより色の歪みの程度を把握し、順応原色スペクトルの歪みの程度に応じて映像信号を補正する補正信号を提供する。
【0023】
補正信号は、ディスプレイ部10の原色の色相の調整に関連する色補正データと、ディスプレイ部10の原色の輝度の調整に関連する輝度補正データとを反映して生成される。補正信号によって、ディスプレイ部10の色相と輝度が補正され、これにより外光による色相の変化が減り、輝度の低下が減少して色視認性を向上させることができる。
【0024】
本発明の他のいくつかの実施形態において、映像表示装置1はメモリ部40、駆動部50および補正部60をさらに含んでもよい。
【0025】
メモリ部40には映像表示装置の特性に関するデータが保存されている。映像表示装置の特性に関するデータは、例えば、ディスプレイ部10の最大原色スペクトル、スペクトル反射率、ターゲットホワイトカラーを含むデータであってもよい。ただし、これに制限されるものではなく、映像表示装置の出荷前に多様な特性に関するデータがメモリ部40に保存されてもよい。
【0026】
また、メモリ部40は補正信号提供部30で色補正データ、および輝度補正データを演算する過程のうち演算中のデータが一時的に保存される空間として活用されてもよい。
【0027】
そして、本発明のいくつかの実施形態で、補正信号提供部30から提供される補正信号はメモリ部40を経て補正部60に提供されてもよい。例えば、補正信号はメモリ部40に一時的に保存された後、メモリ部40から補正部60に保存された補正信号を提供してもよい。
【0028】
以下、メモリ部40に保存されるデータについて詳細に説明する。
【0029】
スペクトル反射率は、ディスプレイ部10の表面で外光のスペクトルを反射させる程度に関するデータである。例えば、スペクトル反射率は波長とディスプレイ部の反射率の関係により示し得る。スペクトル反射率は映像表示装置の出荷前に測定されてメモリ部40に保存されてもよい。ディスプレイ部のスペクトル反射率は外光の種類に関係がなく適用され得、外光がディスプレイ部10から反射して発生する反射光のスペクトルの予測に使用される。
【0030】
通常、色を再現する色再現装置は赤(Red)、緑(Green)、青(Blue) 3種類の原色(primary color)を使用する。色再現装置で色を再現できる範囲は、色再現装置が使用する原色によって決定される。ディスプレイ部10の原色および原色のスペクトルは、映像表示装置の出荷前に測定されてメモリ部40に保存されてもよい。また、最大原色スペクトル(max level display primary color spectrum)は、順応原色スペクトルの予測に使用されるデータであって、映像表示装置の出荷前に測定されてメモリ部40に保存されてもよい。
【0031】
ターゲットホワイトカラーはディスプレイ部10の特定ホワイトカラーを意味する。ディスプレイ部10のターゲットホワイトカラーは、映像表示装置の出荷前に決定されてメモリ部40に保存されてもよい。
【0032】
駆動部50はディスプレイしようとする映像に対する情報が含まれた映像信号を補正部60に提供する。
【0033】
補正部60は駆動部50から映像信号を受けて、補正信号提供部30から補正信号を受ける。そして、補正信号を利用して映像信号を補正し、補正された映像信号をディスプレイ部10に提供する。
【0034】
映像表示装置1は次のように駆動する。センサ部20は外光スペクトルに関するデータを補正信号提供部30に提供し、補正信号提供部30は補正信号を補正部60に提供する。駆動部50もまた映像信号を補正部60に提供し、補正部60は補正信号に基づき映像信号を補正し、補正された映像信号をディスプレイ部10に提供する。ディスプレイ部10は補正された映像信号に応じて原色の色相および輝度を補正して映像を出力する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態による補正信号提供部30のブロック図である。図2を参照すると、補正信号提供部30は、順応原色スペクトル予測部31、順応原色予測部32、要求輝度比演算部33、色補正データ演算部34、輝度補正データ演算部35を含んでもよい。
【0036】
順応原色スペクトル予測部31は、ディスプレイ部10のスペクトル反射率、最大原色スペクトル、外光のスペクトルを利用して、視聴者が認識する順応原色スペクトルを予測することができる。
【0037】
順応原色スペクトル予測部31について詳細に説明するため、図4および図5を参照する。図4は、本発明の映像表示装置を使用する視環境の概略図である。図5は、順応原色スペクトルの予測過程を示す概略図である。
【0038】
先に、図4を参照すると、視聴者の視環境は外光に露出されている。外光はディスプレイ部10に入射し、ディスプレイ部10から外光が反射して反射光が発生する。ディスプレイソースによる光と反射光が共に視聴者の目に入るため、視聴者はディスプレイソースで意図した色より相対的に輝度が低下し、色相が変化した色を認識するようになる。
【0039】
視聴者が認識する色を予測できれば、色の歪みの程度を把握することができる。視聴者が認識する色を予測するため、視聴者が認識する順応原色スペクトルを求めることができる。視聴者の目に入る光はディスプレイソースによる光と反射光であるため、図5に図示するように、この二つの光の混合スペクトルを予測することができる。
【0040】
順応原色スペクトルを予測するため、まず、反射光のスペクトルを演算する。反射光のスペクトルは、センサ部20でリアルタイムで測定した外光スペクトルとディスプレイ部の表面反射率を利用して演算することができる。例えば、外光のスペクトルの波長別放射輝度(spectral radiance)にディスプレイ部10の波長別スペクトル反射率を乗じて、外光のスペクトルのうちディスプレイ部10から反射する反射光スペクトルを演算する。結果的に、反射光の波長別放射輝度を求めることができ、これより、反射光のスペクトルを予測することができる。
【0041】
続いて、反射光スペクトルにディスプレイソースによるスペクトルを加算する。ディスプレイソースによるスペクトルとして、例えば、ディスプレイ部10の最大原色スペクトルを利用してもよい。したがって、反射光のスペクトルとディスプレイ部の最大原色スペクトルを加算し、順応原色スペクトルを演算することができる。
【0042】
順応原色スペクトルの演算過程に使用される外光のスペクトルに関するデータは、センサ部20で外光のスペクトルをリアルタイムで測定して提供する。そして、ディスプレイ部10のスペクトル反射率、最大原色スペクトルに関するデータはメモリ部40から提供される。したがって、順応原色スペクトル予測部31は、リアルタイムで順応原色スペクトルを予測することができる。すなわち、外光の変化を含み、視聴者の視環境が変わっても、リアルタイムで視環境に応じる順応原色スペクトルの予測が可能である。
【0043】
順応原色予測部32は順応原色スペクトルを利用して順応原色を予測する。順応原色は外光下で視聴者がディスプレイ部の原色として認識する色を意味する。
【0044】
順応原色を予測するため、順応原色スペクトルの三刺激値を演算し、次いで順応原色の色度座標を演算する。
【0045】
本明細書で使用する三刺激値はCIE三刺激値を意味する。CIE三刺激値はR、G、B原色光による三刺激値であり、X、Y、Zで表示する。表面色に対する三刺激値を求めるため、まず、順応原色スペクトルから光源の分光分布S(λ)を求める。そして、光源の分光分布S(λ)と各々のR、G、Bカラーマッチング関数x(λ)、y(λ)、z(λ)を乗じた値を全可視波長に対して加算する(summation)ことにより三刺激値X、Y、Zを求めることができる。R、G、Bカラーマッチング関数x(λ)、y(λ)、z(λ)は、CIE標準観察者(standard observer)を含む標準条件下で計算される値である。
【0046】
三刺激値X、Y、Zの演算式は下の式1のとおりである。式1を利用して順応原色スペクトルの三刺激値X、Y、Zを演算することができる。
【0047】
【数1】

【0048】
続いて、順応原色スペクトルの三刺激値を利用して順応原色の色度座標を演算することができる。色度とは、明るさと関係ない色の情報を意味する。色度座標(x、y)は式2を参照して求めることができる。
【0049】
【数2】

【0050】
前記式2を利用してR、G、Bそれぞれの原色ごとの色度座標を求めることができる。例えば、R、G、Bそれぞれの色度座標は(Rx、Ry)、(Gx、Gy)、(Bx、By)で表現されてもよい。
【0051】
順応原色予測部32について詳細に説明するため、図6を参照する。図6は、外光照度に応じて順応原色の色度座標と要求輝度比を演算したデータである。
【0052】
図6を参照すると、外光照度に応じて順応原色が変わることが分かる。外光照度ごとに順応原色スペクトルが異なるため、順応原色スペクトルから演算される順応原色も外光照度に応じて変わる。結局、視聴者が同一ディスプレイソースによる光を見ても外光に応じて認識される色が異なることが分かる。
【0053】
要求輝度比演算部33は、ターゲットホワイトカラーを実現するための順応原色間の要求輝度比を演算する。ターゲットホワイトカラーは映像表示装置の設計段階で決定された値であり、ディスプレイ部の原色間の輝度比はターゲットホワイトカラーを実現できるように調整されている。しかし、視聴者は外光下で映像を見るため、視聴者が認識する順応ホワイトカラーはターゲットホワイトカラーと異なってもよい。したがって、視聴者が認識する順応ホワイトカラーとターゲットホワイトカラーが同一になるように順応原色間の輝度比を調整することができる。
【0054】
要求輝度比演算部33について詳細に説明するため図6を参照する。図6を参照すると、ターゲットホワイトカラーの色度座標は(x、y)=(0.30、0.31)である。外光照度が0 luxであるときは外光の影響がないため、視聴者はディスプレイ部10の原色そのままを認識する。ディスプレイ部10の原色の輝度比をR:G:B=25%:66%:9%で設定すればターゲットホワイトカラーを実現することができる。
【0055】
しかし、外光照度が500 luxである場合、視聴者が認識する順応原色が(Rx、Ry)、(Gx、Gy)、(Bx、By) = (0.67、0.33)、(0.25、0.70)、(0.15、0.07)に変わる。したがって、500 luxの外光照度下の順応原色を利用してターゲットホワイトカラー(x、y)=(0.30,0.31)を実現するためには、順応原色間の輝度比をR:G:B=24%:65%:11%で調整すれば良い。
【0056】
色補正データ演算部34は、要求輝度比に対応する階調を示す色補正データを演算する。色補正データはディスプレイ部10の原色の色相を調整することと関連する。
【0057】
例えば、逆ガンマ曲線(inverse gamma curve)を利用して要求輝度比に該当する階調を示す色補正データを演算することができる。色補正データは要求輝度比の差異を反映するが、例えば、要求輝度比の増減により、色補正データの値も増加したり減少したりする。ただし、色補正データは階調と関連するデータであるため、色補正データの範囲は0以上255以下である。したがって、要求輝度比が増加してもこれに該当する色補正データは255より大きい値を有することができなく、要求輝度比が減少してもこれに該当する色補正データは負数の値を有することができない。
【0058】
色補正データ演算部34について詳細に説明するため図6および図7を参照する。図7は、外光照度に応じる色補正データとガンマセットを演算したデータである。図7のデータは、図6に示す要求輝度比に該当する色補正データをガンマ2.2である逆ガンマ曲線(inverse gamma curve)を利用して演算したものである。
【0059】
例えば、外光照度が0 luxであるとき、要求輝度比はR:G:B=25%:66%:9%であり、これに対応する色補正データは(R、G、B)=(255,255,255)である。そして、外光照度が500 luxであるときの要求輝度比はR:G:B=24%:65%:11%であり、これに対応する色補正データは(R、G、B)=(250,253,255)である。
【0060】
Rの場合、外光照度が0 luxであるとき、輝度比が25%であったが、外光照度が500 luxであるときは輝度比が24%に減少した。したがって、色補正データやはり255から250に減少した。
【0061】
Gの場合、外光照度が0 luxであるとき、輝度比が66%であったが、外光照度が500 luxであるときは輝度比が65%に減少した。したがって、色補正データやはり255から253に減少した。
【0062】
Bの場合、外光照度が0 luxであるとき、輝度比が9%であったが、外光照度が500 luxであるときは輝度比が11%に増加した。しかし、色補正データは255より大きい値を有することができないため、500 luxであるときの色補正データは0 luxであるときと同じ255を維持する。
【0063】
輝度補正データ演算部35は、色補正データに基づいて視聴者が認識するものと予測される順応ホワイトカラーとターゲットホワイトカラーが同一輝度を有するように、ディスプレイ部10の原色の輝度を調整する輝度補正データを演算する。
【0064】
輝度補正データ演算部35の詳細な説明のため図3を参照する。図3は、本発明の一実施形態による輝度補正データ演算部のブロック図である。
【0065】
図3を参照すると、輝度補正データ演算部35は順応ホワイトカラーを予測して順応ホワイトカラーの輝度比を演算する輝度比演算部37、順応ホワイトカラーの輝度比とターゲットホワイトカラーの輝度比が同一になるように、順応ホワイトカラーの輝度比とターゲットホワイトカラーの輝度比の差を補償できるガンマセットを選定するガンマセット選定部38を含んでもよい。
【0066】
輝度比演算部37はまず、色補正データに基づいてディスプレイ部10の原色の色相を調整したとき、外光下で視聴者が認識する順応ホワイトカラーを予測する。
【0067】
図7を参照すると、色補正データに基づいてディスプレイ部10の原色の色相を調整したとき、外光下で視聴者が認識する順応ホワイトカラーの色度座標を演算してみると、ターゲットホワイトカラーの色度座標と比較したときの色差は±0.007以内である。したがって、本発明の一実施形態による映像表示装置の色補正方法を利用する場合、色度に関する歪みが補正されることが分かる。
【0068】
続いて、順応ホワイトカラーの輝度比を予測する。図7を参照すると、外光照度に応じて順応ホワイトカラーの輝度比に差がある。外光照度に応じて予測された順応ホワイトカラーの輝度比に差が生じる理由は、色補正データを計算するとき、0以上255以下である色補正データの範囲の制限によって、要求輝度比の差を反映できない色補正データがあるからである。例えば、外光照度が500 luxであるときのBの色補正データおよび外光照度が10000 luxであるときのRの色補正データは輝度比の差を反映できない代表的な色補正データである。不正確な色補正データによって、外光下で順応ホワイトカラーの輝度比は0 luxであるときのターゲットホワイトカラーの輝度比より減少する。
【0069】
ガンマセット選定部38は、ターゲットホワイトカラーの輝度比と順応ホワイトカラーの輝度比の差異を補償し、ターゲットホワイトカラーの輝度比と外光下の順応ホワイトカラーの輝度比が同一になるようにガンマセット(gamma set)を選定する。例えば、図7を参照すると、0 luxであるとき、順応ホワイトカラーの輝度比は1.000であり、ガンマセットの値は100%である。500 luxであるとき、順応ホワイトカラーの輝度比は0.978であり、0 luxであるときの順応ホワイトカラーの輝度比に比べ、輝度比が0.022減少した。すなわち、500 luxであるときの順応ホワイトカラーの輝度比は0 luxであるときの順応ホワイトカラーの輝度比に比べて2.2%輝度比が減少した。したがって、このような輝度比の減少を補償できるように、500 luxのガンマセットを0 luxのガンマセットより2%高い102%に決定することができる。
【0070】
ガンマセットはディスプレイ部10の原色の輝度を調整できる電圧レベルに関する値である。すなわち、ガンマセットの値に該当するだけの順応ホワイトカラーの輝度を高めるように電圧レベルを調節することができ、電圧レベルが調節されればディスプレイ部10の原色の輝度が変わる。例えば、補正信号による映像信号の補正過程で、ガンマセットと電圧レベルとの関係を示すルックアップテーブルが利用され得、結果的に映像信号でディスプレイ部10の原色の輝度に関するデータが補正され得る。
【0071】
纏めると、補正信号は、ディスプレイ部10の原色の色相調整に関する色補正データと、ディスプレイ部10の原色の輝度調整に関する輝度補正データを反映して生成される。補正信号はディスプレイ部10の原色の色相と輝度を調整できるように映像信号を補正する。結果的に、順応ホワイトカラーの色相と輝度がターゲットホワイトカラーの色相と輝度と同一になり、色の恒常性が維持され、色視認性が向上する。
【0072】
図8は、本発明の一実施形態による映像表示装置の色補正方法を示すフローチャートである。
【0073】
映像表示装置の色補正方法はまず、リアルタイムでディスプレイ部10に入射する外光のスペクトルを測定(S10)する。ディスプレイ部10は映像信号に応じて映像を表示する機能をする。
【0074】
続いて、ディスプレイ部10のスペクトル反射率、ディスプレイ部10の最大原色スペクトルと外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応スペクトルを予測(S20)する。具体的に、順応スペクトルを予測することは、スペクトル反射率と外光のスペクトルを利用して外光スペクトルがディスプレイ部10から反射して発生する反射光のスペクトルを演算し、反射光のスペクトルと最大原色スペクトルを加算し、順応原色スペクトルを演算する。
【0075】
ディスプレイ部10のスペクトル反射率と最大原色スペクトルに関するデータは外光のスペクトルを測定(S10)する前に測定されて提供される。例えば、スペクトル反射率と最大原色スペクトルは、映像表示装置の出荷前に測定されてメモリ部40に保存されてもよい。
【0076】
後述するディスプレイ部10のターゲットホワイトカラーに対するデータも、外光のスペクトルを測定(S10)する前に決定されて提供されてもよい。例えば、ターゲットホワイトカラーは、映像表示装置の出荷前に決定されてメモリ部40に保存されてもよい。
【0077】
続いて、順応スペクトルに応じて映像信号を補正する補正信号を提供してもよい。補正信号を提供することは、順応原色スペクトルを利用して順応原色を予測(S30)し、ターゲットホワイトカラーを実現するための順応原色間の要求輝度比を演算(S40)し、要求輝度比に対応される階調を示す色補正データを演算(S50)し、色補正データに基づいて視聴者が認識する順応ホワイトカラーとターゲットホワイトカラーが同一輝度を有することができるようにディスプレイ部10の原色の輝度を調整する輝度補正データ(S60)を演算することを含んでもよい。
【0078】
順応原色を予測(S30)することは、具体的に順応原色スペクトルの三刺激値を演算して順応原色の色度座標を演算することにより行われる。また、輝度補正データを演算すること(S60)は、具体的に順応ホワイトカラーを予測し、順応ホワイトカラーの輝度比を演算し、順応ホワイトカラーの輝度比とターゲットホワイトカラーの輝度比が同一になるように、順応ホワイトカラーの輝度比とターゲットホワイトカラーの輝度比の差を補償できるガンマセットを選定することを含んでもよい。結局、補正信号は映像信号を補正できる信号であり、補正された映像信号によってディスプレイ部10の原色の色相と輝度が調整され得る。
【0079】
以上添付された図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しない範囲で他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。したがって、上記実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0080】
1 映像表示装置
10 ディスプレイ部
20 センサ部
30 補正信号提供部
31 順応原色スペクトル予測部
32 順応原色予測部
33 要求輝度比演算部
34 色補正データ演算部
35 輝度補正データ演算部
37 輝度比演算部
38 ガンマセット選定部
39 輝度補正データ演算部
40 メモリ部
50 駆動部
60 補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に応じて映像を表示するディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部に入射する外光のスペクトルを測定するセンサ部と、
前記ディスプレイ部のスペクトル反射率、前記ディスプレイ部の最大原色スペクトルと前記外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応原色スペクトルを予測し、前記順応原色スペクトルに応じて前記映像信号を補正する補正信号を提供する補正信号提供部と
を含む映像表示装置。
【請求項2】
前記順応スペクトルを予測することは、
前記スペクトル反射率と前記外光のスペクトルを利用して前記外光スペクトルが前記ディスプレイ部から反射して発生する反射光のスペクトルを演算し、
前記反射光のスペクトルと前記最大原色スペクトルを加算し、前記順応原色スペクトルを演算することを含む請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記スペクトル反射率、前記最大原色スペクトルおよびターゲットホワイトカラーに対するデータが保存されたメモリ部をさらに含む請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記補正信号提供部は、
前記順応原色スペクトルを利用して順応原色を予測する順応原色予測部と、
ターゲットホワイトカラーを実現するための順応原色間の要求輝度比を演算する要求輝度比演算部と、
前記要求輝度比に対応する階調を示す色補正データを演算する色補正データ演算部と、
前記色補正データに基づいて視聴者が認識するものと予測される順応ホワイトカラーと、前記ターゲットホワイトカラーが同一な輝度を有するように前記ディスプレイ部の原色の輝度を調整する輝度補正データを演算する輝度補正データ演算部と
を含み、
前記補正信号は、前記色補正データ、および前記輝度補正データを反映して提供される請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記輝度補正データ演算部は、
前記順応ホワイトカラーを予測し、前記順応ホワイトカラーの輝度比を演算する輝度比演算部と、
前記順応ホワイトカラーの輝度比と前記ターゲットホワイトカラーの輝度比が同一になるように、前記順応ホワイトカラーの輝度比と前記ターゲットホワイトカラーの輝度比の差を補償できるガンマセットを選定するガンマセット選定部と
を含み、
前記輝度補正データは前記ガンマセットを反映して演算される請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記順応原色を予測することは、前記順応原色スペクトルの三刺激値を演算して前記順応原色の色度座標を演算することを含む請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項7】
リアルタイムでディスプレイ部に入射する外光のスペクトルを測定するステップと、
前記ディスプレイ部に映像信号に応じて映像を表示するステップと、
前記ディスプレイ部のスペクトル反射率、前記ディスプレイ部の最大原色スペクトルと前記外光のスペクトルを利用して視聴者が認識する順応スペクトルを予測するステップと、
前記順応スペクトルに応じて前記映像信号を補正する補正信号を提供するステップと
を含む映像表示装置の色補正方法。
【請求項8】
前記順応スペクトルを予測するステップは、
前記スペクトル反射率と前記外光のスペクトルを利用して、前記外光スペクトルが前記ディスプレイ部から反射して発生する反射光のスペクトルを演算するステップと、
前記反射光のスペクトルと前記最大原色スペクトルを加算し、前記順応原色スペクトルを演算するステップと
を含む請求項7に記載の映像表示装置の色補正方法。
【請求項9】
前記スペクトル反射率、前記最大原色スペクトルに関するデータは、前記外光のスペクトルを測定する前に測定して提供される請求項7に記載の映像表示装置の色補正方法。
【請求項10】
前記補正信号を提供するステップは、
前記順応原色スペクトルを利用して順応原色を予測するステップと、
ターゲットホワイトカラーを実現するための順応原色間の要求輝度比を演算するステップと、
前記要求輝度比に対応する階調を示す色補正データを演算するステップと、
前記色補正データに基づいて視聴者が認識するものと予測される順応ホワイトカラーと、前記ターゲットホワイトカラーが同一な輝度を有するように前記ディスプレイ部の原色の輝度を調整する輝度補正データを演算するステップと
を含み、
前記補正信号は、前記色補正データ、および前記輝度補正データを反映して提供される請求項7に記載の映像表示装置の色補正方法。
【請求項11】
前記輝度補正データを演算するするステップは、
前記順応ホワイトカラーを予測して前記順応ホワイトカラーの輝度比を演算するステップと、
前記順応ホワイトカラーの輝度比と前記ターゲットホワイトカラーの輝度比が同一になるように、前記順応ホワイトカラーの輝度比と前記ターゲットホワイトカラーの輝度比の差異を補償できるガンマセットを選定するステップと
を含み、
前記輝度補正データは、前記ガンマセットを反映して演算される請求項10に記載の映像表示装置の色補正方法。
【請求項12】
前記順応原色を予測するステップは、前記順応原色スペクトルの三刺激値を演算して前記順応原色の色度座標を演算するステップを含む請求項10に記載の映像表示装置の色補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230348(P2012−230348A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260106(P2011−260106)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】