映像表示装置
【課題】使用場面に応じて適正にランプの運用を行うことができ、これにより、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】第1か第2の何れかのランプを点灯させ、1個のランプ点灯による照明光を変調して投写する映像表示装置において、ユーザにより選択されたランプを点灯ランプとして使用する手動切り替えモードと、第1と第2のランプとが自動で切り替わる自動切り替えモードとを備え、現在のモードが手動切り替えモードであるか、あるいは自動切り替えモードであるかにも係わらず、点灯させているランプの使用積算時間が、予め定められている寿命基準時間を越えた場合でも、点灯させているランプの点灯を継続させると共に、点灯させているランプが寿命である旨の表示を行う。
【解決手段】第1か第2の何れかのランプを点灯させ、1個のランプ点灯による照明光を変調して投写する映像表示装置において、ユーザにより選択されたランプを点灯ランプとして使用する手動切り替えモードと、第1と第2のランプとが自動で切り替わる自動切り替えモードとを備え、現在のモードが手動切り替えモードであるか、あるいは自動切り替えモードであるかにも係わらず、点灯させているランプの使用積算時間が、予め定められている寿命基準時間を越えた場合でも、点灯させているランプの点灯を継続させると共に、点灯させているランプが寿命である旨の表示を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のランプを切り替えて照明光を生成するランプ運用装置および当該ランプ運用装置を搭載する映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、画像をスクリーンに拡大投写する投写型の映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が商品化され広く普及している。かかるプロジェクタでは、一般に、光源としてランプが使用されており、ランプからの光が光変調素子によって変調されてスクリーンに投写される。
【0003】
この場合、投写動作の途中でランプが切れると、画像の表示が中断されてしまう。かかる問題は、複数のランプをプロジェクタに装着することにより解消できる(たとえば、特許文献1参照)。使用中のランプが切れると、投写に用いるランプを他のランプに切り替える。これにより、画像の投写を速やかに再開することができる。
【特許文献1】特開2003−75911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように複数のランプがプロジェクタに装着される場合には、使用場面に応じて各ランプをどのように運用するかが課題となる。
【0005】
たとえば、プロジェクタを用いてプレゼンテーションを行う場合、練習中には古いランプを使用し、本番では高輝度のより新しいランプを使用するといったことがなされ得る。
【0006】
また、ランプは使用に応じて劣化するため、どのランプを用いても投写画像を同程度の画質で表示させるには、複数のランプを平均的に使用する必要がある。反面、このように平均的に使用すると、各ランプの寿命が略同じ時期に切れ、画像の投写に支障が生じる惧れがある。
【0007】
さらに、ランプには寿命があり、寿命が切れたランプを使い続けるとランプが損傷する等の問題が生じる。また、劣化が進み点灯し難くなったランプを使い続けると、発光効率が低下し、また、ランプに損傷が生じる惧れもある。このランプの損傷は、ユーザに対して、ランプの破片などを除去する作業負担を強いるため、利便性の著しい低下を招くので望ましくない。よって、ランプは、寿命や劣化の進み具合を考慮して適正に使用される必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用場面に応じて適正にランプの運用を行うことができ、これにより、ユーザの利便性を向上させることができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、第1か第2の何れかのランプを点灯させ、1個のランプ点灯による照明光を変調して投写する映像表示装置において、ユーザにより選択されたランプを点灯ランプとして使用する手動切り替えモードと、第1と第2のランプとが自動で切り替わる自動切り替えモードとを備え、現在のモードが手動切り替えモードであるか、あるいは自動切り替えモードであるかにも係わらず、点灯させているランプの使用積算時間が、予め定められている寿命基準時間を越えた場合でも、点灯させているランプの点灯を継続させると共に、点灯させているランプが寿命である旨の表示を行うことができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり本発明によれば、ランプの使用を円滑に管理できるランプ運用装置および映像表示装置を提供することができる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。
ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの概観を示す図
【図2】実施の形態に係る光学エンジンの構成を示す図
【図3】実施の形態に係るミラーユニットの構成を示す斜視図
【図4】実施の形態に係るランプユニットの構成を示す分解斜視図
【図5】実施の形態に係るランプユニットの構成を示す一部拡大図
【図6】実施の形態に係るランプユニットの回路基板の構成を示す図
【図7】実施の形態に係るランプユニットの取り付け方法を説明する斜視図
【図8】実施の形態に係るランプユニットの取り付け状態を示す斜視図
【図9】実施の形態に係るランプユニットの取り付け状態を示す一部断面図
【図10】実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す図
【図11】実施の形態に係るランプ運用のためのシステム構成を示す図
【図12】実施の形態に係るランプ管理情報の初期化と使用積算時間の更新処理を示すフローチャート
【図13】実施の形態に係る通信路の切り替え設定処理を示すフローチャート
【図14】実施の形態に係る動作不良判別処理(始動時)を示すフローチャート
【図15】実施の形態に係る動作不良判別処理(点灯時)を示すフローチャート
【図16】実施の形態に係る手動切り替えモードを説明する図
【図17】実施の形態に係る自動切り替えモードを説明する図
【図18】実施の形態に係る自動切り替えモードの動作を説明する図
【図19】実施の形態に係る寿命優先モードにおける処理フローチャート
【図20】実施の形態に係る継続優先モードにおける処理フローチャート
【図21】実施の形態に係る動作不良判別処理の変更例を示すフローチャート
【図22】実施の形態に係る寿命優先モードの変更例を示す処理フローチャート
【図23】実施の形態に係る寿命優先モードの変更例を示す処理フローチャート
【図24】実施の形態に係る継続優先モードの変更例を示す処理フローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタの構成を説明する。なお、本実施の形態に係るプロジェクタは、照明装置の光源として2つのランプユニットを有している。
【0014】
図1は、プロジェクタの構成を示す図(外観斜視図)である。プロジェクタは、キャビネット1を備えている。キャビネット1は、上下に薄く前後に長い略直方体形状を有しており、その側面には、キャビネット1内部に外気を取り込むための吸気口5が形成されている。
【0015】
キャビネット1内には、光学エンジン2、投写レンズ3、および冷却装置4が配されている。光学エンジン2は、映像信号により変調された光(映像光)を生成する。光学エンジン2には、投写レンズ3が装着されており、投写レンズ3の前部が、キャビネット1の前面から露出している。光学エンジン2で生成された映像光は、投写レンズ3によって、プロジェクタ前方に配されたスクリーン面に投写される。冷却装置4は、吸気口5から外気を取り込み、この外気を冷却風として光学エンジン2に供給する。
【0016】
なお、かかるプロジェクタには、ユーザ入力のためのリモートコントローラ(リモコン)が組み合わされている。ユーザは、リモコンを操作することにより、投写指令や、ランプ運用モードの設定等の各種設定を行うことができる。
【0017】
図2は、光学エンジンの構成を示す図である。同図において、10は、2つのランプユニット10a、10bとミラーユニット10cを有する照明装置である。ランプユニット10a、10bは、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等からなるランプを備えている。ランプユニット10a、10bからの光は、リフレクタの作用により略平行光となって出射される。なお、ランプユニット10a、10bの構成は、追って詳述する。
【0018】
ミラーユニット10cには、同図X−Z平面に平行に回動可能なミラーが配されている。ミラーは、ランプユニット10aの起動時にはランプユニット10aからの光をフライアイインテグレータ11へと導き、ランプユニット10bの起動時にはランプユニット10bからの光をフライアイインテグレータ11へと導くよう回動される。ミラーユニット10cの構成は、追って、図3ないし図5を参照して説明する。
【0019】
照明装置10からの光は、フライアイインテグレータ11を介して、PBS(偏光ビームスプリッタ)アレイ12およびコンデンサレンズ13に入射される。フライアイインテグレータ11は、蝿の目状のレンズ群からなる第1および第2のフライアイレンズを備え、液晶パネル18、24、33に入射する際の光量分布が均一となるよう、照明装置10から入射される光に光学作用を付与する。
【0020】
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板がアレイ状に配列されたものであり、フライアイインテグレータ11から入射された光の偏光方向を一方向に揃える。コンデンサレンズ13は、PBSアレイ12から入射された光に集光作用を付与する。コンデンサレンズ13を透過した光は、ダイクロイックミラー14に入射する。
【0021】
ダイクロイックミラー14は、コンデンサレンズ13から入射された光のうち、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを透過し、赤色波長帯の光(以下、「R光」という)と緑色波長帯の光(以下、「G光」という)を反射する。ダイクロイックミラー14を透過したB光は、ミラー15よって反射されコンデンサレンズ16に入射される。
【0022】
コンデンサレンズ16は、B光が略平行光で液晶パネル18に入射するよう、B光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ16を透過したB光は、入射側偏光板17を介して液晶パネル18に入射される。液晶パネル18は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。液晶パネル18によって変調されたB光は、出射側偏光板19を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0023】
ダイクロイックミラー14によって反射された光のうちG光は、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射される。コンデンサレンズ22は、G光が略平行光で液晶パネル24に入射するよう、G光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ22を透過したG光は、入射側偏光板23を介して液晶パネル24に入射される。液晶パネル24は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。液晶パネル24によって変調されたG光は、出射側偏光板25を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0024】
ダイクロイックミラー21を透過したR光は、コンデンサレンズ26に入射される。コンデンサレンズ26は、R光が略平行光で液晶パネル33に入射するよう、R光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ26を透過したR光は、光路長調整用のリレーレンズ27、29、31と2つのミラー28、30からなる光路を進み、入射側偏光板32を介して液晶パネル33に入射される。液晶パネル33は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。液晶パネル33によって変調されたR光は、出射側偏光板34を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0025】
ダイクロイックプリズム20は、液晶パネル18、24、33によって変調されたB光、G光およびR光を色合成し、投写レンズ3へと入射させる。投写レンズ3は、投写光を被投写面上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。ダイクロイックプリズム20によって色合成された光は、投写レンズ3によって、スクリーン上に拡大投写される。
【0026】
次に、図3を参照して、ミラーユニット10cの構成について説明する。
【0027】
図3は、ミラーユニット10cの構成を示す斜視図である。
【0028】
同図において、ベース100は、上板部101、下板部102、背板部103および2つの壁部104を備えている。これら上板部101、下板部102、背板部103および2つの壁部104は、アルミダイキャストにより一体形成されている。また、2つの壁部104の間には、上板部101へと繋がる凹部105が配されている。下板部102と上板部101は互いに平行となっている。下板部102と上板部101の間にミラーホルダ200が回動可能に配される。
【0029】
2つの壁部104と背板部103の内側面には、調節板203よりやや大きめの輪郭の凹部が成され、この凹部に、調節板203が嵌め込まれネジ止めされている。調節板203は、中央部が背板部103にネジ止めされ、2つの壁部104に対応する部分が弾性変位可能に壁部104に押し付けられている。調節板203は、可撓性のある金属性の薄板からなっている。また、2つの壁部104の外側面には調節ネジ204が螺着され、これら調節ネジ204の先端がそれぞれ調節板203に当接している。
【0030】
なお、2つの壁部104は、ミラーユニット10cが図2の光学エンジンに配置されたときに、各内側面が、それぞれ、ランプユニット10a、10bからの光の進行方向に対して略45°の角度で傾くように形成されている。
【0031】
ミラーホルダ200には、ミラー201が装着されている。また、ミラーホルダ200の上下の面には、それぞれ同軸となる位置に、軸202が突設されている。ミラーホルダ200の下面に配された軸202は下板部102に配された軸穴に嵌合し、上面に配された軸202は軸受けを介してトルクリミッタ402に装着されている。
【0032】
上板部101の上面には、ボスを介して基板300が装着されている。基板300には、下面に2つの検出スイッチ301、302が装着されている。これら検出スイッチ301、302は、ミラーホルダ200が回動終端位置にあるときに、ミラーホルダ200上面の突起(図示せず)に押されてONされる。
【0033】
駆動部400は、トルクリミッタ402が配されたギア401と、ギア403と、モータ404と、モータ404の駆動軸に装着されたギア(図示せず)と、カバー405と、下板部102側に配されたコイルバネ406を備えている。トルクリミッタ402は、一定以上のトルクが掛かったときにギア401を空転させる。ギア403はカバー405に回動可能に装着されている。また、カバー405には、トルクリミッタ402の軸402aと係合する軸穴が形成されている。カバー405は、壁部104の外側面に形成されたボスにネジ止めされている。モータ404は、2つの壁部104の間に配された凹部105に装着されている。
【0034】
モータ404からの駆動力は、モータ404の駆動軸に装着されたギアと、ギア403、401を介してトルクリミッタ402に伝達され、さらに、トルクリミッタ402に装着されたミラーホルダ200上面の軸202に伝達される。これにより、ミラーホルダ200とともにミラー201が回動する。
【0035】
下板部102の裏側には、コイルバネ406が装着されている。コイルバネ406は、ミラーホルダ200の下面に形成された鉤部と下板部102の裏面に形成された鉤部の間に両端が係止されるようにしてミラーユニット10cに取り付けられている。コイルバネ406は、図3(a)の状態では、同図手前の壁部104に押し付ける方向にミラーホルダ200を付勢し、図3(b)の状態では、同図奥側の壁部104に押し付ける方向にミラーホルダ200を付勢する。
【0036】
ミラーホルダ200の回動終了位置は、調整ネジ204による調節板203の持ち上げ量によって調整され得る。ミラーユニット10cが図2に示す光学エンジンに組み込まれた際には、各ランプユニット10a、10bからの光がともにフライアイインテグレータ11に適正に向かうよう、調整ネジ204による調節板203の持ち上げ量が調整される。
【0037】
同図(a)の状態にあるときには、ランプユニット10bからの光がミラー201により反射されてフライングアイインテグレータ11へと導かれる。この状態から、使用するランプユニットを切り替える場合には、モータ404を駆動してミラーユニット200を反時計方向に回動させる。この回動は、検出スイッチ302がONされてから一定時間が経過するまで継続される。
【0038】
この間に、ミラーユニット200が調節板203に押し付けられ、ミラー201が同図(b)に示す位置に位置づけられる。なお、かかる押し付けの際、トルクリミッタ402の作用によりギア401が空転する。こうして、ミラーユニット200が同図(b)の状態に位置づけられ、ランプユニット10aからの光がミラー201により反射されてフライングアイインテグレータ11へと導かれるようになる。なお、同図(b)の状態から同図(a)の状態にミラーユニット10cを切り替える場合、モータ404の駆動方向が上記と逆である他は、上記と同様の動作が行われる。
【0039】
次に、図4ないし図8を参照して、ランプユニットの構成およびランプユニットの取り付け方法について説明する。なお、以下では1つのランプユニットを例に挙げて説明を行うが、以下に示すランプユニットの構成および取り付け方法は、図2に示す2つのランプユニット10a、10bの双方に適用されるものである。
【0040】
図4は、ランプユニットとその取り付け部分の構成を示す図である。ランプユニットは、ランプ500と、ランプ500を保持するランプホルダ600と、回路基板700とを備えている。また、本体シャーシ側には、ランプホルダ600を収容するホルダ収容部800と、回路基板900が配されている。なお、上記ミラーユニット200は、図中のミラーユニット装着部830に装着される。
【0041】
ランプホルダ600は、ランプ500が装着されるボックス部610を備え、ボックス部610の前面には、ランプ500からの光を前方に導くための開口611が形成されている。また、ボックス部610の前面上部には、前方へ突出する鍔部620が形成され、この鍔部620に孔621が形成されている。さらに、ボックス部610の前面上部には、下方に突出する2つのピン622が形成されている。また、ボックス部610の後面上部には、後方へ突出するL字状の鍔部630が形成され、この鍔部630に、基板保持部640が延設されている。
【0042】
図5(a)は、基板保持部640の拡大図である。基板保持部640には、上下に貫通する開口641が形成されており、また、上面に、X軸方向およびY軸方向に回路基板700を係止するL字状の係止部642が形成されている。また、基板保持部640には、ネジ710が螺合するネジ穴643が形成されている。さらに基板保持部640の上面には、回路基板700周縁が載置される載置部644が形成されている。
【0043】
図6は、回路基板700の構成を示す図である。同図(a)、(b)は、それぞれ回路基板700の上面図および裏面図である。回路基板700には、2つの孔701が形成され、また、側面のネジ710に対応する位置に切り欠き702が形成されている。さらに、回路基板700には、基板保持部640の係止部642に対応する位置に切り欠き703、704が形成されている。回路基板700の裏面には、ICを含む回路部705と、回路部705に電気的に接続されたコネクタ706が配されている。
【0044】
図5(a)を参照して、回路基板700は、切り欠き703、704を係止部642に嵌め込みながら周縁を載置部644に載せると、X軸方向とZ軸方向に所定のストロークだけ変位可能となる輪郭形状を有している。また、載置部644は、このように回路基板700が変位しても、回路基板700が開口641内に落ち込まないような幅をもっている。
【0045】
図4に戻り、ホルダ収容部800は、前面および上面が開放さられたボックス装着部811を備え、このボックス装着部811に、ランプホルダ600側のボックス部610が装着される。ボックス装着部811の前側上部には、ランプホルダ600側の2つの孔621とそれぞれ係合するピン812が形成されている。また、ボックス装着部811の前側底部には、ランプホルダ600側の2つのピン622とそれぞれ係合する孔813(図4には図示せず。図7参照)が形成されている。さらに、ボックス装着部811には、ランプホルダ600の装着時にボックス部610の背面を係止してランプホルダ600を案内する一対のガイド部814が上下方向に延びるように形成されている。また、ボックス装着部811の2つの壁には、ボックス装着部811内に風を通すための通気口815が形成されている。
【0046】
ホルダ収容部800には、ランプホルダ600の装着時にランプホルダ600側の基板保持部640に対向する位置に基板保持部820が形成されている。
【0047】
図5(b)は、基板保持部820の拡大図である。基板保持部820は、凹部821と、凹部821に突設された2つのピン822およびネジ穴823とを有する。また、凹部821を囲む壁のうちネジ穴823近傍の壁に切り欠き824が形成されている。
【0048】
回路基板900には、基板保持部820側の2つのピン822とそれぞれ係合する切り欠き901と孔902が形成されている。また、回路基板900の上面には、ランプホルダ600側に配された回路基板700上のコネクタ706と接合するコネクタ903と、コネクタ903をメイン基板に電気的に接合するためのコネクタ904が装着されている。かかる回路基板900は、ネジ905をネジ穴823に螺着することにより、基板保持部820に装着される。
【0049】
図4に戻り、ランプユニットの取り付け時には、まず、ランプ500がランプホルダ600のボックス部610に装着される。次に、回路基板700がランプホルダ600の基板保持部640に装着される。図5(a)を参照して、回路基板700の装着は、切り欠き703、704をL字状の係止部642に嵌め込みながら、回路基板700を載置部644に載置し、さらに、ネジ710をネジ穴643に螺合させることにより行われる。このとき、ネジ710は、回路基板700の上面との間に僅かに隙間があるようにネジ穴643に螺合される。これにより、回路基板700は、X軸方向およびZ軸方向に所定のストロークだけ変位可能な状態で、基板装着部640に装着される。
【0050】
図4に戻り、一方、本体シャーシ側では、基板保持部820に回路基板900が装着される。図5(b)を参照して、回路基板900の装着は、切り欠き901と孔902をそれぞれ2つのピン822に嵌合させながら、回路基板900を切り欠き824と、ピン822根本の台座部822aに載せる。台座部822a上面と切り欠き824上面は同じ高さとなっている。しかる後、ネジ905をネジ穴823に螺着する。
【0051】
ここで、切り欠き901と孔902は、略遊びなくピン822に係合する。よって、上記のように回路基板を切り欠き824と、ピン822根本の台座部822aに載せると、回路基板900は、基板保持部820に対して、X軸方向およびZ軸方向に位置決めされる。また、ネジ905は、回路基板900上面に圧接されるまでネジ穴823に螺着される。これにより、回路基板900は、Y軸方向にも変位不能となり、Y軸方向に位置決めされる。
【0052】
図7は、2つの回路基板700、900が、それぞれ基板保持部640、820に装着された状態を示す図である。しかる後、ランプホルダ600は、ボックス部610背面を、ガイド部814に当接させながら、ボックス装着部811内に押し込むことにより、ホルダ収容部800に取り付けられる。
【0053】
なお、ボックス装着部811の前方内側面とガイド部814の間の距離は、ボックス部610のX軸方向の長さより僅かに大きくなっている。よって、ランプホルダ600は、ボックス部610背面を、ガイド部814に当接させながら、ボックス装着部811内に押し込むことにより、ホルダ収容部800の所定の位置に収容される。
【0054】
こうしてランプホルダ600をボックス装着部811に押し込むと、ランプホルダ600がホルダ収容部800内の所定の位置に到達する手前で、ホルダ収容部800側の2つのピン812の先端がランプホルダ600側の2つの孔621に挿入され、また、ランプホルダ600側の2つのピン622の先端がホルダ収容部800側の2つの孔813に挿入される。このとき、同時に、基板保持部820に突設された2つのピン822の先端が、回路基板700の2つの孔701に挿入される。
【0055】
ここで、ピン812、622は、何れも、端部が先細りとなっているため、この状態からさらにランプホルダ600がボックス装着部811に押し込まれると、ランプホルダ600は、これらピン812、622先端の傾斜に案内されて所定の位置に位置づけられる。こうして、ランプホルダ600に装着されたランプ500の光軸が、後段の光学系に対して適正化される。
【0056】
また、ピン822の端部にも、先細りとなった傾斜部822b(図5(b)参照)が形成されているため、上記のようにピン822が孔701に挿入された状態からさらにランプホルダ600がボックス装着部811に押し込まれると、回路基板700は、ピン822先端の傾斜部822bに案内されてX軸方向およびZ軸方向に変位する。これにより、回路基板700に配されたコネクタ706が、回路基板900側のコネクタ903に正しく向き合うようになり、その後、さらにランプホルダ600が押し込まれることで、コネクタ706とコネクタ903の接合がなされる。
【0057】
図8(a)は、ランプホルダ600がボックス装着部811に完全に押し込まれたときの状態を示す図である。図8(b)は、そのときの基板収容部640、820近傍の状態を示す斜視図であり、図8(c)は、図8(b)において基板700を取り除いた状態の斜視図である。
【0058】
図示の如く、ランプホルダ600がボックス装着部811に完全に押し込まれた状態において、ランプ500の位置決めがなされ、かつ、回路基板700のコネクタ706と回路基板900のコネクタ903が接合される。
【0059】
図9は、図8(b)のA−A’断面図である。ピン822の長さは、回路基板700上のコネクタ706に、回路基板900上のコネクタ903が接合し始めるよりも前に、ピン822の先端より根本の部分が回路基板700の孔701に嵌合するような長さに設計される。こうすることで、コネクタ706とコネクタ903が接合し始める際には両コネクタ間の位置決めが完了した状態となり、コネクタ706とコネクタ903を円滑に接合することができる。
【0060】
図10に、本実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す。なお、同図には、ランプユニット10a、10bとミラーユニット10cに関連する構成のみが示され、その他の構成は割愛されている。
【0061】
ランプ電源51は、コントローラ54からの制御信号に応じて、リレー回路52にランプ駆動用の電力を供給する。また、ランプ電源51は、ランプ500に印加される電圧を監視して、ランプが点灯しているかを判定し、その判定結果をコントローラ54に供給する。具体的には、印加電圧が所定の閾値未満にあるときにランプが点灯していることを示す判定結果をコントローラ54に供給し、印加電圧が所定の閾値を超えたときにランプが消灯していることを示す判定結果をコントローラ54に供給する。
【0062】
リレー回路52は、ランプユニット10a、10bのうち、コントローラ54から指示された方のランプユニットに、ランプ電源51からの電力を供給する。なお、リレー回路52には、ミラーユニット10cに配された上記検出スイッチ301、302からの信号が入力されている。ミラーユニット10c内のミラー201がランプユニット10aの方に向けられているときには検出スイッチ301がオンされて、検出スイッチ301からON信号がリレー回路52に入力される。他方、ミラー201がランプユニット10bの方に向けられているときには検出スイッチ302がオンされて、検出スイッチ302からのON信号がリレー回路52に入力される。
【0063】
リレー回路52は、ランプユニット10aに電力供給するための制御信号がコントローラ54から入力されても、検出スイッチ301からON信号が入力されていなければ、ランプ電源51からの電力をランプユニット10aに供給せず、同様に、ランプユニット10bに電力供給するための制御信号がコントローラ54から入力されても、検出スイッチ302からON信号が入力されていなければ、ランプ電源51からの電力をランプユニット10bに供給しないよう回路構成されている。
【0064】
ミラードライバ53は、コントローラ54からの制御信号に応じて、ミラーユニット10cを駆動する。ミラーユニット10cの駆動時に、コントローラ54は、ミラーユニット10c内に配された上記検出スイッチ301、302からの信号を監視する。そして、当該駆動方向の検出スイッチからON信号が入力された後、一定期間に亘って、当該駆動方向にミラー201をさらに駆動するための制御信号をミラードライバ53に供給する。これにより、ミラー201が確実に、所期の切り替え位置に位置づけられる。
【0065】
なお、かかる制御が実行されると、モータ404は、ミラーホルダ200の背面が調節板203に当接した後も、引き続き駆動され続ける。しかし、この場合、上記の如くトルクリミッタ402によってモータ404の駆動力が吸収されるため、モータ404の過負荷による損傷やミラーホルダ200の歪によるミラー201の角度ずれ等の問題は起こらない。
【0066】
コントローラ54は、CPU(図示せず)とスイッチ54aを備え、予め格納された制御プログラムに従って各部を制御する。スイッチ54aは、ランプユニット10a、10bにそれぞれ配された回路部705のうち何れか一方をコントローラ54内のデータバスに接続する。コントローラ54は、スイッチ54aを切り替えて、ランプユニット10a、10bに配された回路部705のうち何れか一方と通信路を確立する。そして、当該通信路を介して、回路部705からランプ管理情報を取得し、取得した管理情報を、メモリ55に格納する。コントローラ54には、上記リモコンを介して、ユーザから各種指令が入力される。
【0067】
なお、コントローラ54と、ランプユニット10a、10bに配された回路部705との間の通信に関する構成およびその制御動作については、追って、図11および図12を参照して詳述する。
【0068】
図10の構成において、使用されるランプが一方のランプから他方のランプの切り替えられる場合、コントローラ54は、ランプ電源51に給電を停止させ、その後、他方のランプからの光を反射する位置にミラー201を回動させるための制御信号をミラードライバ53に供給する。これにより、ミラー201が回動される。
【0069】
その後、ミラー201が適正位置まで回動されると、検出スイッチ301、302の何れか一方からON信号がコントローラ54に供給される。コントローラ54は、ON信号を受信してから上記一定期間が経過した後、ランプ電源51に給電開始の制御信号を出力し、同時に、リレー回路52に、他方のランプに電力を供給するための制御信号を出力する。これにより、他方のランプが点灯し、画像の投写が行われる。
【0070】
次に、図11を参照して、コントローラ54のランプ運用に関連する構成について説明する。
【0071】
同図(a)は、コントローラ54と回路部705のシステムブロック図、同図(b)は、記憶部71a、71bに格納されるランプ管理情報の内容を示す図、同図(c)は、ランプ管理情報のうち使用経歴データの構成を示す図である。なお、同図(a)では、スイッチ54aと回路部705との間に介在するコネクタ706、903や、中間的な回路基板900が図示省略されている。
【0072】
同図(a)に示す如く、ランプユニット10a、10bの回路部705は、制御部70a、70bと、記憶部71a、71bを備えている。制御部70a、70bは、記憶部71a、71bに対するデータの書き込み/読出しを制御する。記憶部71a、71bは、ランプ管理情報として同図(b)に示すデータを格納する。
【0073】
ここで、ランプ識別情報は、積算時間データと使用経歴データを含んでいる。積算時間データは、ランプ500の使用積算時間を示すデータである。なお、「使用積算時間」とは、ランプ500が製造後最初に使用された後のトータルの使用時間であって、最初に使用された後、現在までに点灯した時間を全て加算したものである。
【0074】
使用経歴データは、同図(c)に示す如く、准動作不良に関するフラグと完全動作不良に関するフラグを含んでいる。ここで、准動作不良に関するフラグは、当該ランプ500について過去に1回点灯の失敗があると“1”とされ、点灯の失敗が全くなかった場合には“0”とされる。また、完全動作不良に関するフラグは、過去に2回点灯の失敗があったために当該ランプ500が完全に動作不良(使用不可)とされた場合に“1”とされ、そうでないときに“0”とされる。
【0075】
すなわち、准動作不良とは、当該ランプ500について過去に1回点灯の失敗があった状態をいい、完全動作不良とは、過去に2回点灯の失敗があった(准動作不良の状態でさらにもう1回点灯に失敗した)状態をいう。
【0076】
同図(a)に戻り、コントローラ54は、通信制御部61と、記憶部62と、点灯・消灯検出部63と、時間計測部64と、演算部65と、ランプ運用部66と、寿命判定部67と、動作不良判定部68とを有する。
【0077】
通信制御部61は、スイッチ54aを切り替え制御して、ランプユニット10a、10bに配された回路部705のうち何れか一方と通信路を確立する。そして、通信路を確立した回路部705の記憶部71a、71bから上記ランプ管理情報を取得する。
【0078】
記憶部62は、通信制御部61によって取得されたランプ管理情報を格納する。記憶部62に格納されたランプ管理情報は、ランプ使用時に、演算部65と動作不良判定部68による処理によって随時更新される。なお、記憶部62は、上記メモリ55内にランプ管理情報の記憶領域を設定する。記録部62は、ランプ管理情報の他に、後述の手動設定データや自動設定データ等のランプ運用に必要な情報を記憶する。
【0079】
点灯・消灯検出部63は、ランプ電源51から供給されるランプ点灯の判定結果をもとに、点灯対象のランプ500の点灯開始と点灯終了を判定する。具体的には、ランプ500の駆動動作時に、ランプ電源51からランプ500が点灯状態にあることを示す判定結果が供給され始めたタイミングでランプ500の点灯が開始したことを検出し、その後、ランプ電源51からランプ500が消灯状態になったことを示す判定結果が供給されたタイミングでランプ500の点灯終了を検出する。なお、ランプ500の切り替え時や投写動作の終了時等、ランプ500の点灯動作が終了される場合、点灯・消灯検出部63は、
ランプ500への電力供給が停止されたタイミングにおいてランプ500の消灯を検出する。
【0080】
時間計測部64は、点灯・消灯検出部63から点灯開始信号が入力されると時間の計測を開始し、一定時間間隔で、計測結果を演算部65に受け渡す。また、時間計測部64は、点灯・消灯検出部63からの点灯終了信号が入力されると時間の計測を終了し、終了時点の計測結果を演算部65に受け渡す。
【0081】
演算部65は、記憶部62に格納されたランプ管理情報のうち積算時間データと、時間計測部64から入力される経過時間の計測結果をもとに積算時間データを更新し、更新した積算時間データを記憶部62に書き戻す。なお、更新された積算時間データは、随時、対応するランプユニット10a、10bの記憶部71a、71bに書き戻される。
【0082】
ランプ運用部66は、ユーザからの設定操作に応じて、ランプの点灯制御を行う。点灯制御の詳細については、追って、図16以降を参照して説明する。ランプ運用部66は、ランプ点灯制御におけるモード設定のためのモード設定部66aを備えている。ランプ運用モードの設定は、このモード設定部66aによってユーザメニューが投写されることにより行われる。
【0083】
すなわち、モード設定部66aは、予めモード選択用のユーザメニューを保持している。モード設定時には、ランプ運用部66を介してユーザメニューが投写され、ユーザは、リモコン操作によって、所望のランプ運用モードを選択する。選択結果は、モード設定部66aに保持される。ランプ運用部66は、モード設定部66aに保持されたランプ運用モードに応じて、ランプの点灯制御を行う。
【0084】
寿命判定部67は、予め、装着対象のランプの寿命基準時間を保持しており、この寿命基準時間をランプの使用積算時間が超えたときに、当該ランプの寿命が尽きたと判定する。ランプユニット10a、10bの装着時において、寿命判定部67は、各ランプユニット10a、10bに保持されている使用積算時間を参照して各ランプの寿命が残っているかを判定し、判定結果(寿命フラグ)を保持する。また、ランプ点灯時において、寿命判定部67は、演算部65において随時更新される積算時間データを参照し、使用対象のランプの寿命が尽きたかを判定し、判定結果(寿命フラグ)を随時更新する。
【0085】
動作不良判定部68は、記憶部62に格納されたランプ管理情報のうち使用経歴データと、点灯・消灯検出部63から入力される点灯開始および点灯終了の検出結果をもとに、点灯対象ランプの動作状況(通常/准動作不良/完全動作不良)を判別し、判別結果に応じて、記憶部62に格納された使用経歴データを更新する。なお、更新された使用経歴データは、随時、対応するランプユニット10a、10bの記憶部71a、71bに書き戻される。なお、動作不良判定部68における処理については、追って、図14および図15を参照して説明する。
【0086】
以下、図11(a)のシステム構成におけるランプ運用制御について説明する。
【0087】
まず、図12(a)を参照して、ランプ管理情報の初期化について説明する。
【0088】
プロジェクタの電源が投入されると、装着されたそれぞれのランプユニットから順次ランプ管理情報を取得する処理が行われる。
【0089】
ランプユニット10aに対してランプ管理情報の取得が行われる場合(S101:YES)、通信制御部61は、ランプユニット10aの回路部705との間で通信路を確立する(S102)。そして、通信制御部61は、通信路を確立した回路部705と通信を行い(S103)、当該回路部705の記憶部71aからランプ管理情報を読み出し(S104)、読み出したランプ管理情報で記憶部62のランプユニット10aのランプ管理情報格納領域を初期化する(S105)。ランプユニット10bに対してランプ管理情報の取得が行われる場合(S101:YES)、通信制御部61は、ランプユニット10bの回路部705との間で通信路を確立し(S102)、以下、S103〜S105の処理により、記憶部62のランプユニット10aのランプ管理情報格納領域を初期化する。
【0090】
次に、図12(b)を参照して、積算時間データの更新について説明する。なお、かかる積算時間データの更新処理は、ランプユニット10a、10bの何れかが点灯動作に入ると必ず実行される。
【0091】
点灯対象のランプユニット10aまたは10bに対する点灯が開始されると(S111:YES)、時間計測部64による経過時間の計測が開始される。これと同時に、演算部65は、時間計測部64による計測時間と記憶部62に格納された積算時間データをもとに当該ランプユニット10aまたは10bの使用積算時間を更新する。そして、更新した使用積算時間を、随時、記憶部62に上書きするとともに、当該ランプユニット10aまたは10bの記憶部71aまたは71bに書き戻す(S112)。
【0092】
かかる使用積算時間の更新記憶は、当該ランプユニット10aまたは10bの点灯が終了するまで(S113:YES)、継続される。当該ランプユニット10aまたは10bの点灯が終了されると(S113:YES)、時間計測部64と演算部65における経過時間の計測と使用積算時間の演算が終了され(S114)、そのときの使用積算時間がランプユニット10aまたは10bの記憶部71a、71bに書き戻される(S115)。これにより、処理が終了する。
【0093】
図13は、ランプ動作中にランプ切り替えが行われる場合の通信路の切り替え/設定処理を示すフローチャートである。
【0094】
画像投写のためにランプ動作が開始されると(S121:YES)、通信制御部61は、ランプユニット10a、10bのうち点灯対象のランプユニットの回路部705との間で通信路を確立する(S122)。かかる通信路は、使用対象のランプが切り替えられるか(S123:YES)、ランプ動作(投写動作)が終了する(S124:YES)まで維持される。
【0095】
ランプ動作の途中で、たとえば、ユーザによる切り替え操作によって、使用対象のランプが切り替えられると、通信制御部61は、点灯中のランプユニットの回路部705との通信路を遮断し(S125)、切り替え後の、新たに点灯対象とされるランプユニットとの回路部705との間で通信路を確立する(S122)。また、ランプ動作(投写動作)が終了すると(S124:YES)、通信制御部61は、点灯中のランプユニットの回路部705との通信路を遮断する(S126)。
【0096】
次に、図14および図15を参照して、ランプの動作不良を判別するための処理について説明する。
【0097】
<ランプ始動時の動作不良判別>
図14は、ランプ始動時における動作不良の判別処理を示すフローチャートである。
【0098】
ランプの始動に先立って、ランプ運用部66と動作不良判別部68は、記憶部62に格納された使用対象のランプユニットの使用経歴データを参照する(S211)。ここで、使用経歴データが完全動作不良(完全動作不良フラグ=1)であれば(S212:YES)、ランプ運用部66は、当該ランプの点灯を行わない。この場合、動作不良判別部68による使用経歴データの更新は行われない。
【0099】
使用経歴データが完全動作不良(完全動作不良フラグ=1)でなければ(S212:NO)、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を開始し(S213)、その後、使用対象のランプを始動する度に(S214)、ランプ始動実行回数Nを1カウントアップする。さらに、ランプ運用部66は、かかる始動に対して点灯・消灯検出部63が点灯開始を検出したかを判定する(S215)。
【0100】
1回目の始動によりランプが点灯すると(S215:YES)、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を終了する(S221)。これにより、ランプ始動時の動作不良判別は終了する。この場合、動作不良判別部68は、使用経歴データの更新を行わない。
【0101】
1回目の始動によりランプが点灯しなければ(S215:NO)、ランプ運用部66は、その後、ランプ始動実行回数Nが予め決められた回数Nsになるまでランプ始動を繰り返す(S216)。その間にランプが点灯すると(S215:YES)、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を終了する(S221)。これにより、ランプ始動時の動作不良判別は終了する。この場合、動作不良判別部68は、使用経歴データの更新を行わない。
【0102】
一方、ランプ始動実行回数NがNsとなってもランプが点灯しなければ(S216:NO)、その結果が動作不良判別部68に通知される。これを受けて、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの使用経歴データが准動作不良(完全動作不良フラグ=0、准動作不良フラグ=1)であるかを判定する(S217)。
【0103】
この判定が准動作不良でなければ(S217:NO)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を准動作不良として(S218)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S220)。
【0104】
また、S217における判定が准動作不良である場合(S217:YES)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を完全動作不良として(S219)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S220)。
【0105】
こうして、使用経歴データの更新が終わると、ランプ運用部は、ランプ始動実行回数Nの計測を終了する(S221)。これにより、ランプ始動時の動作不良判別は終了する。
【0106】
<ランプ点灯中の動作不良判別>
図15は、ランプ点灯時における動作不良の判別処理を示すフローチャートである。
【0107】
ランプユニットの点灯動作中にランプが消灯すると(S231:YES)、動作不良判別部68は、当該ランプの使用経歴データを参照し(S232)、当該ランプユニットの使用経歴データが准動作不良(完全動作不良フラグ=0、准動作不良フラグ=1)であるかを判定する(S233)。
【0108】
この判定が准動作不良でなければ(S233:NO)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を准動作不良として(S234)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S236)。これにより、ランプ点灯時の動作不良判別は終了する。
【0109】
また、S233における判定が准動作不良である場合(S233:YES)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を完全動作不良として(S235)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S236)。これにより、ランプ点灯時の動作不良判別は終了する。
【0110】
次に、本実施の形態におけるランプの切り替え制御について説明する。
【0111】
本実施の形態では、ランプの切り替えモードとして、手動切り替えモードと、自動切り替えモードと、寿命優先モードと、継続優先モードとが準備されている。ユーザは、外部操作によって、適宜、手動切り替えモードと自動切り替えモードの何れかを選択設定でき、また、寿命優先モードと継続優先モードの何れかを選択設定できる。
【0112】
寿命優先モードと継続優先モードは、プロジェクタが手動切り替えモードまたは自動切り替えモードに設定されたときに、これと並行して実行される。寿命優先モードと継続優先モードでは、点灯中のランプの寿命に基づいて、使用ランプの切り替えまたはランプ動作の停止が行われる。ここでのランプ運用は、手動切り替えモードと自動切り替えモードにおけるランプ運用に優先される。
【0113】
手動切り替えモードの実行中に自動切り替えモードが設定されても、プロジェクタでは設定モードの変更が行われるのみで、使用ランプは切り替わらない。これに対し、自動切り替えモードの実行中に手動切り替えモードが設定された場合は、設定モードの変更とともに使用ランプの切り替えが起こり得る。この場合、手動切り替えモードの設定時に選択されたランプが、自動切り替えモードの実行中に点灯していたランプと異なればランプの切り替えが起こり、両モードの変更前後で使用対象のランプが同じであれば、ランプの切り替えは起こらない。
【0114】
なお、本実施の形態では、手動切り替えモードの設定時に、ユーザは、使用するランプを選択できるようになっている。これに替えて、手動切り替えモードの操作入力が行われる毎に、その時に点灯中のランプから他のランプに使用ランプが切り替えられるようにしても良い。
【0115】
また、ユーザは、寿命優先モードと継続優先モードの選択設定を、手動切り替えモードまたは自動切り替えモードの実行中の他、手動切り替えモードまたは自動切り替えモードの実行前等、プロジェクタの動作中において適宜行える。
【0116】
上記各モードが設定された状態で、ランプ動作(画像投写)が終了し、あるいは、プロジェクタの電源がOFFされると、プロジェクタは、そのとき設定されていた各モードを保持し、次回ランプ動作(画像投写)が開始される場合には、保持されたモードによってランプ動作を実行する。
【0117】
以下では、便宜上、ランプユニット10a、10bの一方およびそれに装着されたランプをランプ1と称し、他方およびそれに装着されたランプをランプ2と称して説明を行う。
【0118】
<手動切り替えモード>
まず、図16を参照して、手動切り替えモードについて説明する。同図(a)は、手動切り替えモードの処理フローであり、同図(b)は、手動切り替えモードにおいて記憶部62に保持される手動設定データの構成を示す図である。
【0119】
同図(b)の手動設定データは、手動切り替えモードの設定時に、ランプ1、2のうち何れが選択されたかを特定するデータである。ここでは、フラグが“1”のランプが手動切り替えモードの設定の際に選択されている。手動切り替えモードの設定状態でランプ動作が終了すると、その時の手動設定データが保持される。その後、ランプ選択がなされずに再び手動切り替えモードのままランプ動作が開始されると、保持された手動設定データに従って使用ランプが設定される。
【0120】
同図(a)を参照して、手動切り替えモードが設定されている状態において、ランプ動作(画像投写)が開始されると、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された手動設定データを参照し(S311)、点灯対象に設定されているランプを特定する。そして、ランプ運用部66は、こうして特定したランプの使用経歴データを参照し、当該ランプが点灯可能なものであるか(完全動作不良でないか)を判定する(S312)。
【0121】
ここで、当該ランプが点灯可能でなければ(S312:NO)、ランプ運用部66は、当該手動切り替えモードをNGとする(S313)。この場合、その旨が、音声等によって、ユーザに報知される。一方、当該ランプが点灯可能であれば(S312:YES)、ランプ運用部66は、当該ランプを点灯させる(S314)。
【0122】
こうしてランプを点灯させた後、ランプ運用部66は、ユーザからランプ切り替えの操作入力がないか(S315)、および、ランプ動作(画像投写)の終了処理がないか(S316)を監視し、これらがなければ(S315:NO、S316:NO)、当該ランプの点灯動作を継続する。
【0123】
ランプ点灯中に、ユーザからランプ切り替えの操作入力がなされると(S315:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させ(S317)、手動設定データを他方のランプが選択された状態に更新する(S318)。そして、更新した手動設定データをもとにS311以降の処理を行う。これにより、他方のランプが点灯される(S314)。
【0124】
その後、再び、ユーザからランプ切り替えの操作入力がなされると(S315:YES)、ランプ運用部66は、上記と同様にして、点灯ランプを切り替える。また、ランプ点灯中に、ランプ動作(画像投写)の終了処理があると(S316)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯する(S319)。こうしてランプ動作が終了すると、その時の手動設定データが記憶部62に保持される。
【0125】
<自動切り替えモード>
次に、図17を参照して、自動切り替えモードについて説明する。同図(a)は、自動切り替えモードの処理フローであり、同図(b)は、自動切り替えモードにおいて記憶部62に保持される自動設定データの構成を示す図である。
【0126】
同図(b)の自動設定データは、自動切り替えモードにおいて、現在、ランプ1、2のうち何れが点灯ランプに設定されているかを特定するデータである。ここでは、フラグが“1”のランプが、現在、点灯ランプに設定されている。この他、自動設定データには、点灯ランプに設定された時点(フラグが“1”に設定された時点)から現在までの当該ランプの点灯時間が変化量として保持されている。
【0127】
自動切り替えモードの設定状態でランプ動作が終了すると、その時の変化量をもとに自動設定データが更新されて記憶部62に保持される。その後、再び自動切り替えモードのままランプ動作が開始されると、保持された自動設定データに従って使用ランプが設定される。
【0128】
同図(a)を参照して、自動切り替えモードが設定されている状態において、ランプ動作(画像投写)が開始されると、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された自動設定データを参照し(S411)、点灯対象に設定されているランプを特定する。そして、ランプ運用部66は、こうして特定したランプの使用経歴データを参照し、当該ランプが点灯可能なものであるか(完全動作不良でないか)を判定する(S412)。
【0129】
ここで、当該ランプが点灯可能であれば(S412:YES)、ランプ運用部66は、当該ランプを点灯させる(S413)。一方、当該ランプが点灯可能でなければ(S412:NO)、ランプ運用部66は、他方のランプの使用経歴データを参照して、他方のランプが点灯可能なものであるか(完全動作不良でないか)を判定する(S414)。ここで、他方のランプも点灯可能でなければ(S414:NO)、当該自動切り替えモードをNGとする(S415)。この場合、その旨が、音声等によって、ユーザに報知される。
【0130】
一方、他方のランプが点灯可能であれば(S414:YES)、ランプ運用部66は、点灯ランプを他方のランプに切り替えて他方のランプを点灯させる(S416)。このとき、自動設定データのフラグが、他方のランプを点灯ランプとする状態に更新される。また、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0131】
こうしてランプを点灯させた後、ランプ運用部66は、時間計測部64からの計測結果をもとに随時点灯ランプの変化量を更新する(S417)。当該ランプの点灯と変化量の更新は、手動モードへの切り替え処理が行われるか(S418:YES)、ランプ動作(画像投写)が終了するまで(S419:YES)、継続される。
【0132】
しかる後、ランプ動作(画像投写)が終了すると(S419:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させ(S420)、その時の変化量が予め設定された閾値時間Tsを超えているかを判定する(S421)。そして、変化量が閾値時間Tsを超えていれば(S421:YES)、次回の自動切り替えモードの動作時に使用されるランプが現在のランプから切り替わるように自動設定データのフラグを更新し(S422)、同時に、ランプ1、ランプ2の変化量を0にリセットする。一方、変化量が閾値時間Tsを超えていなければ(S421:NO)、ランプ運用部66は、自動設定データの更新を行わずに、処理を終了する。
【0133】
ランプ点灯中に、手動モードへの切り替え処理が行われると(S418:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させ(S424)、自動設定データのランプ1、ランプ2の変化量をリセットする。このとき、自動設定データのフラグは更新されない。よって、次回、自動切り替えモードが実行される際には、今回点灯されたランプが再び点灯される。
【0134】
図18は、自動切り替えモード実行時の自動設定データの変遷を例示するタイミングチャートである。ここでは、ランプ1から使用が開始されている。また、使用開始時のランプ1の変化量は0となっている。
【0135】
t0においてランプ動作が開始されると、ランプ1が点灯され、t1においてランプ動作が終了されるまでの間、ランプ1の変化量が増加する。t1においてランプ動作が終了したときのランプ1の変化量は閾値時間Tsよりも小さい。よって、ここでは、ランプ1、2のフラグは更新されず、その後、再びt2においてランプ動作が開始されるまで、ランプ1の変化量はホールドされる。
【0136】
t2においてランプ動作が開始されると、ランプ1が点灯され、ランプ1の変化量が増加する。ランプ1の変化量はt3においてランプ動作が終了するまで増加する。t1においてランプ動作が終了したときのランプ1の変化量は閾値時間Tsを超えている。よって、ランプ1、2のフラグは、次回のランプ動作時の使用ランプをランプ2とする状態に更新される。同時に、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0137】
t4において再びランプ動作が開始されると、ランプ2が点灯され、t5においてランプ動作が終了されるまでの間、ランプ2の変化量が増加する。t5においてランプ動作が終了したときのランプ2の変化量は閾値時間Tsを超えている。よって、ランプ1、2のフラグは、次回のランプ動作時の使用ランプをランプ1とする状態に更新される。同時に、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。その後、t6において再びランプ動作が開始されると、ランプ1が点灯され、ランプ1の変化量が増加する。
【0138】
次に、図19および図20を参照して、寿命優先モードと継続優先モードについて説明する。上記の如く、ユーザは、寿命優先モードと継続優先モードの何れかを選択設定できる。また、寿命優先モードと継続優先モードは、上記手動切り替えモードと自動切り替えモードの実行に並行して行われ、寿命優先モードと継続優先モードによるランプ運用は、上記手動切り替えモードと自動切り替えモードによるランプ運用よりも優先される。
【0139】
<寿命優先モード>
まず、図19を参照して、寿命優先モードについて説明する。ここでは、寿命優先モードは、ランプ点灯中に実行され、ランプ点灯開始時には行われない。
【0140】
点灯対象のランプが点灯されると、寿命判定部67は、記憶部62に保持された積算時間データを参照し、点灯中のランプの使用積算時間が当該ランプの寿命基準時間を超えているか(残存寿命時間が0になったか)を判定する(S501)。点灯の進行の伴い点灯中のランプの寿命が尽きると(S501:YES)、S504に進んで、他のランプに対する処理が行われる。
【0141】
点灯中のランプの寿命が残っていれば(S501:NO)、次に、ランプ運用部66は、動作不良判別部68における判定において、点灯対象ランプの動作状況が変化したか(良品→准動作不良、または、准動作不良→完全動作不良の変化)を判定する(S502)。点灯中のランプの動作状況が変化すれば(S502:YES)、S505に進んで、他のランプに対する処理が行われる。点灯中のランプの動作状況が変化しなければ(S502:NO)、点灯対象ランプの点灯が維持され、演算部65により点灯中のランプの使用積算時間が随時更新される(S503)。
【0142】
点灯中のランプの寿命が尽き(S501:YES)、あるいは、点灯中のランプの動作状況が変化すると(S502:YES)、寿命判定部67は、記憶部62に保持された積算時間データを参照し、他方のランプの使用積算時間が当該ランプの寿命基準時間を超えているか(残存寿命時間が0になったか)を判定する(S504)。他方のランプの寿命が尽きていれば(S505:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯してランプ動作(画像投写)を停止する(S508)。
【0143】
他方のランプの寿命が尽きていなければ(S505:NO)、次に、ランプ運用部66は、記憶部62に保持されている他方のランプの使用経歴データを参照して(S506)、他方のランプが完全動作不良でないかを判定する(S507)。ここで、他方のランプが完全動作不良であれば(S507:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯してランプ動作(画像投写)を停止する(S508)。
【0144】
他方のランプが完全動作不良でなければ(良品または准動作不良であれば)(S507:NO)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させて、点灯対象ランプを他方のランプに切り替える(S509)。このとき、並行して自動切り替えモードが設定されていれば、他方のランプを点灯ランプとする手動切り替えモードに切り替えられる。このとき、自動切り替えモードの自動設定データのフラグは変更されず、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0145】
こうして他方のランプが点灯すると、S501に戻って、他方のランプに対する処理が行われる。他方のランプの点灯中にも、上記と同様、随時、他方のランプの寿命と動作不良が判定される(S501、S502)。そして、寿命が残存し、且つ、動作不良が発生しない間は、他方のランプが点灯され続ける。これ以外に、ランプ動作(画像投写)の終了指令があれば、これに応じて、他方のランプの点灯が終了される。
【0146】
なお、図19の処理フローでは、S507において准動作不良とされた場合(S507:YES)にも、点灯対象ランプを他方のランプに切り替えるようにしたが(S509)、他方のランプが良品の場合にのみ点灯対象ランプを他方のランプに切り替えるようにしても良い。
【0147】
<継続優先モード>
次に、図20を参照して、継続優先モードについて説明する。継続優先モードは、図19の寿命優先モードにおけるS505、S507において、他のランプの寿命が尽き、あるいは、他のランプが完全動作不良と判定されたときの処理が、寿命優先モードに比べて異なっている。
【0148】
すなわち、他方のランプの寿命が尽きており(S505:YES)、あるいは、他方のランプが完全動作不良であると判定されると(S507:YES)、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された使用経歴データを参照して、点灯中のランプが完全動作不良であるかを判定する(S511)。ここで、点灯対象のランプが完全動作不良でなければ(S511:NO)、ランプ運用部66は、点灯中のランプの点灯を継続し(S513)、S501以降の処理を行う。
【0149】
一方、点灯中のランプが完全動作不良であれば(S511:NO)、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された他方のランプの使用経歴データを参照し、他方のランプが完全動作不良であるかを判別する(S512)。ここで、他方のランプが完全動作不良であれば、ランプ運用部66は、ランプ動作を終了する。
【0150】
一方、他方のランプが完全動作不良でなければ(S512:NO)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させて、点灯対象ランプを他方のランプに切り替える(S509)。このとき、並行して他方のランプを点灯ランプとする手動切り替えモードに切り替えられる。このとき、自動切り替えモードの自動設定データのフラグは変更されず、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0151】
こうして他方のランプが点灯すると、S501に戻って、他方のランプに対する処理が行われる。他方のランプの点灯中にも、上記と同様、随時、他方のランプの寿命と動作不良が判定される(S501、S502)。そして、寿命が残存し、且つ、動作不良が発生しない間は、他方のランプが点灯され続ける。
【0152】
以上のとおり、寿命優先モードでは、点灯中のランプの寿命がつきればこれが消灯され、このとき、他のランプの寿命が残っていれば他のランプが点灯され、他のランプの寿命が残っていなければ、他のランプも点灯されない。このように、寿命優先モードでは、寿命が尽きたランプの点灯が回避される。よって、寿命優先モードでは、寿命が尽きたランプが点灯されて損傷するといった問題を防止することができる。
【0153】
これに対し、継続優先モードでは、寿命が尽きても完全動作不良でなければ、ランプの点灯が行われる。よって、継続優先モードでは、画像投写中にランプの寿命が尽きても画像投写をなるべく継続させることができるなどのメリットがある。
【0154】
以上、本実施の形態によれば、手動切り替えモードと自動切り替えモードを適宜選択設定できるため、ユーザは、プロジェクタの使用場面に応じて、各ランプを円滑に運用することができる。
【0155】
たとえば、プロジェクタを用いてプレゼンテーションを行う場合には、手動切り替えモードを用いて、練習中には古いランプを使用し、本番では高輝度のより新しいランプを使用するといった使用形態を実現することができる。
【0156】
また、このように特別な使用形態ではない場合には、自動切り替えモードを選択して、2つのランプを平均的に使用するといった使用形態を実現できる。この自動切り替えモードでは、2つのランプの劣化が略同様に進行するため、何れか一方のランプに使用が偏って劣化が進むといった不具合が抑制される。よって、一方のランプの劣化が顕著に進み、ランプ切り替え時に投写画像の画質が極端に変化するといった不具合が抑制され得る。
【0157】
なお、自動切り替えモードのみしかない場合には、2つのランプが平均的に使用されるため、各ランプが略同じ時期に切れて、画像の投写に支障が生じる場合が起こり得る。これに対し、本実施の形態では、自動切り替えモードの他に手動切り替えモードを選択できるため、時折、手動切り替えモードが選択されることにより、2つのランプの使用が極端に平均化されるといった事態を回避できる。よって、2つのランプが同じ時期に切れて画像の投写に支障が生じるとの問題を解消できる。
【0158】
さらに、本実施の形態では、寿命優先モードと継続優先モードを、適宜、選択設定できるため、一方で、寿命が切れたランプを使い続けることによるランプの損傷を回避することができ、他方で、寿命が切れても使用できるランプ(良品または准動作不良のランプ)を使用することができる。
【0159】
なお、継続優先モードの実行において、寿命が切れたランプが使用される場合、特に、寿命が切れ、且つ、准動作不良のランプが使用され続けるような場合には、投写画像にその旨をアナウンスする文字、図形を重ね表示する等、ユーザにランプの現状を報知するようにするのが望ましい。
【0160】
また、本実施の形態によれば、劣化が進み点灯しなくなった完全動作不良のランプの使用を未然に回避できるため、ランプの無駄な点灯動作を抑制することができる。なお、本実施の形態では、図14に示す動作不良の判別において、ランプの点灯を複数回(Ns回)繰り返すことで、ランプの動作状況が判定されるため、ランプの動作状況をより確実に判定することができる。たとえば、ランプ温度が高い状況では通常ランプは点灯し難いが、図14のフローチャートでは、このような場合に、誤ってランプを不良と判断するのを回避できる。よって、本来、完全動作不良ではないにも拘わらず完全動作不良であるとしてランプの使用が抑制されるといった不都合を回避でき、ランプをより効率的に使用することができる。
【0161】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではない。また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。以下、本実施の形態の変更例について説明する。
【0162】
<動作不良判別処理の変更例>
図14における動作不良判別処理では、ランプが完全動作不良と判別されると、その後、このランプの動作状態が良品または准動作不良に戻ることない。しかし、上記の如く、ランプ消灯直後などランプ温度が高い状況においては、通常、ランプは点灯し難く、このような場合に動作不良判別が行われると、図14のように複数回点灯試行を行って判別を行ったとしても、誤ってランプを不良と判定する惧れがある。
【0163】
本変更例は、かかる不都合を回避するためのものである。図21に、本変更例におけるランプ不良判別処理を示す。なお、図21は、図14の処理フローにS241〜S251が追加されたものであるが、ここでは、便宜上、図14の処理フローのステップの一部を図示省略している。
【0164】
ランプの始動に先立って、ランプ運用部66と動作不良判別部68は、記憶部62に格納された使用対象のランプの使用経歴データを参照する(S211)。ここで、使用経歴データが完全動作不良(完全動作不良フラグ=1)であれば(S212:YES)、次に、ランプ運用部66は、使用対象のランプと他方のランプの両方の使用経歴データを参照し、両方のランプが完全動作不良であるかを判別する(S241)。ここで、他方のランプが完全動作不良でなければ(S241:NO)、動作不良判別部68は、動作不良判別処理を終了する。この場合、他方のランプの使用が可能である。
【0165】
一方、両方のランプとも完全動作不良であれば(S241:YES)、ランプ運用部68は、このうち一方のランプを動作不良判定の対象に設定する。何れのランプを判定対象とするかは、たとえば、予めデフォルトとして設定されていても良く、あるいは、2つのランプのうち、より遅く完全動作不良とされたランプとしても良い。後者の場合、ランプ運用部68は、より遅く完全動作不良とされたランプを特定する情報を保持している。
【0166】
しかる後、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を開始し(S243)、その後、判定対象のランプを始動する(S244)。そして、判定対象のランプの始動に応じてランプ始動実行回数Nを1カウントアップし、さらに、この始動に対して点灯・消灯検出部63が点灯開始を検出したかを判定する(S245)。
【0167】
この始動は、Ns回繰り返される(S246)。Ns回の始動の間に判定対象のランプが点灯すると(S245:YES)、動作不良判別部68は、判定対象のランプを良品として(S248)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S249)。
【0168】
Ns回の始動の間に判定対象のランプが点灯しなければ(S246:YES)、ランプ運用部66は、他に判定を行っていないランプがあるかを判定し(S247)、他にランプがあれば(S247:YES)、他方のランプを判定対象に設定して(S251)、S243以降の処理を行う。これにより、他方のランプについてもNs回ランプ始動が行われ、この間に他方のランプが点灯すると(S245:YES)、動作不良判別部68は、他方のランプを良品として(S248)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S250)。
【0169】
一方、Ns回の始動の間に他方のランプが点灯しなければ、S246:NO)、両方のランプについて判定が行われたため(S247)、動作不良判別部68は、動作不良判別処理を終了する。この場合、両方のランプの使用が不可能となる。
【0170】
本変更例では、誤って完全動作不良とされたランプが、その後の確認動作によって良品に戻される。よって、ランプを適正に有効利用することができ、プロジェクタの機能を適正に発揮させることができる。なお、図21のフローチャートでは、先に判定対象とされたランプが良品となると、他方のランプに対する動作不良判定を行わないようにしたが、引き続き他方のランプに対する動作不良判定を行うようにしても良い。
【0171】
<寿命優先モードの変更例>
図19に示す寿命優先モードでは、点灯対象ランプの寿命が尽きると、ランプの切り替えやランプ動作の停止の処理が行われる。この場合、寿命の尽きたランプを点灯し続けることによるランプの損傷を未然に防止できるが、反面、画像投写が中断されるとの不都合もある。この点に鑑み、本変更例では、寿命が尽きてもランプ動作(画像投写)の終了指令がなされるまでは、点灯中のランプを点灯させ続ける。
【0172】
本変更例において、点灯ランプの切り替えは、点灯中のランプが動作不良になったときに行われる。この場合も、上記図19の場合と同様、並行して自動切り替えモードが設定されていれば、切り替え後のランプを点灯ランプとする手動切り替えモードに切り替えられる。このとき、自動切り替えモードの自動設定データのフラグは変更されず、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0173】
図22および図23に、本変更例に係る寿命優先モードの処理フローを示す。なお、図22は、寿命優先モードのうち使用対象ランプの寿命に関してランプ運用を行うパートの処理フローであり、図23は、使用対象ランプの動作状態(動作不良)に関してランプ運用を行うパートの処理フローである。以下では、手動切り替えモードまたは自動切り替えモードにおいて、使用対象ランプがランプ1に設定されている場合を例に、各処理フローの説明を行う。
【0174】
まず、図22を参照して、ランプ1が始動または点灯されると、ランプ運用部66は、寿命判定部67においてランプ1の寿命が尽きたと判定されたかを監視する(S601)。ランプ1の点灯が進行し、ランプ1の寿命が尽きると(S601:YES)、ランプ運用部66は、次回のランプ動作時に点灯対象とされるランプをランプ2に設定し、ユーザからOFF操作があるまで(S603:YES)、ランプ1の点灯を継続する(S602)。ユーザからOFF操作があると(S603:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1を消灯する。このとき、プロジェクタは、スタンバイ状態となる。
【0175】
しかる後、ユーザからON操作がなされると(S604:YES)、ランプ運用部66は、寿命判定部67においてランプ2の寿命が尽きたと判定されたかを判別し(S605)、ランプ2の寿命が残っていれば、記憶部62に格納されたランプ2の使用経歴データを参照して、ランプ2は良品(准動作不良および完全動作不良ではない)かを判別する(S606)。ここで、ランプ2が良品であれば(S606:YES)、ランプ運用部66は、ランプ2を始動する(S607)。一方、ランプ2が良品でなければ、システムによるOFF動作を実行させる(S608)。なお、S607によりランプ2が始動されると、ランプ2について、S601以降の処理が行われる。
【0176】
次に、図23を参照して、ランプ1の始動時にランプ1が点灯せず、あるいは、ランプ1の点灯中にランプ1の点灯が切れると(S611:YES)、ランプ運用部66は、記憶部62に格納されたランプ2の使用経歴データを参照し、ランプ2が良品であるかを判定する(S612)。ここで、ランプ2が良品であれば、ランプ運用部66は、さらに、寿命判定部67におけるランプ2の寿命判定結果を参照し、ランプ2に寿命が残っているかを判定する(S613)。
【0177】
ランプ2が良品ではなく、あるいは、ランプ2に寿命が残っていなければ、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S623)。一方、ランプ2の寿命が残っていれば(S613:YES)、ランプ運用部66は、ランプ2の点灯始動を行う(S614)。
【0178】
ここで、ランプ2が点灯しなければ(S615:NO)、ランプ2は准動作不良とされ(S612:NO)、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S623)。一方、ランプ2が点灯すれば(S615:YES)、ランプ運用部66は、ランプ2に動作不良(良品→准動作不良)が生じ(S616:YES)、あるいは、ユーザによりOFF操作がなされるまで(S617:YES)、ランプ2の点灯を行う。かかる点灯中に、ランプ2が切れると、ランプ2は准動作不良とされ(S612:NO)、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S623)。
【0179】
S617において、ユーザによるOFF操作がなされると、ランプ運用部66は、ランプ2を消灯させる。このとき、プロジェクタはスタンバイ状態となる。その後、ユーザによりON操作がなされると、ランプ運用部66は、まず、ランプ1に対する点灯始動を行う(619)。これによりランプ1が点灯すると(S620:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1の点灯を継続する(S612)。この場合、S611に戻って、再び、ランプ1について同様の処理が行われる。
【0180】
一方、ランプ1が点灯しなければ(S620:NO)、ランプ運用部66は、ランプ2に対する点灯始動を行う。この場合には、ランプ2について、S601以降の処理が行われる。
【0181】
S623においてシステムによるOFFがなされた後、ユーザによるON操作がなされると(S624:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1に対する点灯始動を行う(S625)。これによりランプ1が点灯すると(S626:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1の点灯を継続する(S627)。この場合、S611に戻って、再び、ランプ1について同様の処理が行われる。一方、ランプ1が点灯しなければ(S626:NO)、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S628)。
【0182】
本変更例の図22の処理フローによれば、ランプ1の点灯始動時および点灯中にランプ1の寿命が尽きても、ランプ1は、ユーザからOFF操作があるまで点灯が継続される(S602、S603)ため、ランプの寿命が尽きたことによる画像投写の中断が防止され
る。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0183】
また、本変更例の図23の処理フローによれば、ランプ1が動作不良となったときに、ランプ2の寿命が残っていなければランプ2を点灯させずにシステムによるOFF動作が実行される(S613、S623)ため、寿命のない状態でランプ2が点灯されることによるランプ2の損傷等を防止することができる。
【0184】
さらに、本変更例の図23の処理フローによれば、ランプ2の使用が不適正であるとしてシステムによるOFF動作がなされたときに(S612、S613、S623)、ユーザからON操作がなされると(S624)、ランプ1の点灯始動が行われる(S625)ため、何らかの原因によりS611においてランプ1に動作不良が生じたと誤って判定されても、これを訂正して、ランプ1の使用を続けることができる。
【0185】
また、本発明によれば、使用ランプがランプ2に切り替えられた状態(S614、S615、S616)でユーザによるOFF操作がなされ(S617)、その後、ユーザによるON操作がなされると(S618)、ランプ1の点灯始動が行われる(S626)ため、何らかの原因によりS611においてランプ1に動作不良が生じたと誤って判定されても、これを訂正して、ランプ1の使用を続けることができる。
【0186】
<継続優先モードの変更例>
図24は、継続優先モードの変更例を示す処理フローチャートである。この処理フローチャートでは、図23の処理フローチャートに比べて、ステップS613が省略されており、その他の処理フローチャートは図23と同様である。
【0187】
この変更例では、S612にてランプ2が良品であれば、ランプ2に寿命が残っているかに拘わらず、ランプ2が点灯始動される。すなわち、ランプ1が動作不良となった場合(S611)に、ランプ2が良品であれば(S612)、寿命が残っているかに拘わらずランプ2の点灯始動を行い(S614)、ランプ2が点灯すればランプ2が使用される(S615)。よって、ランプ1が切れた場合に画像投写を継続させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0188】
以上に示した変更例の他にも、本実施の形態は、種々変更可能である。
【0189】
たとえば、上記実施の形態では、ランプユニットを2つ搭載可能なプロジェクタを例に挙げたが、ランプユニットの搭載数は、1つであってもよく、あるいは、3つ以上であっても良い。また、本発明に係るランプユニットは、プロジェクタ以外の製品にも適用可能である。ランプユニットを3つ以上配する場合、自動切り替えモードでは、各ランプに順番を設定し、この順番に従って、使用するランプユニットを変更するようにすれば良い。また、寿命優先モードでは、使用対象ランプの寿命が尽き、あるいは、動作不良が発生したときに、たとえば、残りのランプのうち寿命が残っており、且つ、より良品に近いランプ(完全動作不良を除く)に切り替えるようにすれば良い。さらに、継続優先モードでは、使用対象ランプの寿命が尽き、あるいは、動作不良が発生したときに、たとえば、このランプが完全動作不良(および准動作不良)でなければ点灯を継続し、そうでなければ、残りのランプのうちより良品に近いランプ(完全動作不良を除く)に切り替えるようにすれば良い。
【0190】
また、上記実施の形態では、ランプユニットを管理するためのランプ管理情報として、図11(b)に示す2種のデータを示したが、さらにこれ以外の情報をランプ管理情報に含めることも可能である。たとえば、ランプの型番等、ランプを識別するための情報や、ランプの照度や色ムラ等、当該ランプの特性に関する情報をランプ管理情報として含めることができる。
【0191】
また、ランプユニットの名称、使用開始日、動作状態等に関する情報を、ユーザにより、適宜、ランプ管理情報に含め得るようにすることもできる。かかる情報は、たとえば、プロジェクタの操作部を介して入力され、あるいは、専用のインタフェースを介してパソコンから書き込むようにすることができる。こうすると、当該ランプユニットの固有情報を適宜ユーザが確認でき、ユーザの利便性を高めることができる。
【0192】
これらの情報は、上記積算時間データ(使用積算時間)や使用経歴データ(動作不良状態)とともに、ユーザメニュー等によりユーザに提示可能とするのが望ましい。こうすると、ユーザが、各モードの選択や、手動切り替えモードにおいて使用するランプの選択を円滑に行うことができる。また、動作不良の判別結果は、随時、ランプ交換を知らせるインジケータ等によりユーザに報知するようにするのが望ましい。こうすると、ユーザは、ランプの故障を的確に知ることができる。
【0193】
なお、本実施の形態において、冷却装置4は、2つのランプユニット10a、10bのうち一方を選択的かつ重点的に冷却できるよう構成されるのが望ましい。この場合、冷却装置4は、ランプ運用部66に連動して、使用されるランプユニットを冷却するよう制御される。
【0194】
上記実施の形態において、ランプユニットをユーザが交換する際には、キャビネット1に形成された図示しないランプカバーが開けられることとなる。この場合、ランプカバーが開けられている状態でのランプの点灯は、安全性の面から回避されなければならず、このため、上記実施の形態では、ランプカバーの開閉を検知するための検知手段が配され、ランプカバーが開いている状態ではランプが点灯しないよう制御される。
【0195】
したがって、上記実施の形態では、ランプカバーが開いている状態におけるランプの不点灯は、動作不良として判定されて記憶部62ないし71a、71bに記憶されないよう制御される。すなわち、動作不良判定部68は、検知手段によりランプカバーが開いていると検知された状態においては、点灯・消灯検出部によりランプの点灯が検出されなくても、当該ランプが動作不良状態にあると判別しない。
【0196】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0197】
10a、10b … ランプユニット
54 … コントローラ
66 … ランプ運用部(運用部)
66a… モード設定部(設定部)
67 … 寿命判定部(運用部)
68 … 動作不良判別部(不良判別部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のランプを切り替えて照明光を生成するランプ運用装置および当該ランプ運用装置を搭載する映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、画像をスクリーンに拡大投写する投写型の映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が商品化され広く普及している。かかるプロジェクタでは、一般に、光源としてランプが使用されており、ランプからの光が光変調素子によって変調されてスクリーンに投写される。
【0003】
この場合、投写動作の途中でランプが切れると、画像の表示が中断されてしまう。かかる問題は、複数のランプをプロジェクタに装着することにより解消できる(たとえば、特許文献1参照)。使用中のランプが切れると、投写に用いるランプを他のランプに切り替える。これにより、画像の投写を速やかに再開することができる。
【特許文献1】特開2003−75911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように複数のランプがプロジェクタに装着される場合には、使用場面に応じて各ランプをどのように運用するかが課題となる。
【0005】
たとえば、プロジェクタを用いてプレゼンテーションを行う場合、練習中には古いランプを使用し、本番では高輝度のより新しいランプを使用するといったことがなされ得る。
【0006】
また、ランプは使用に応じて劣化するため、どのランプを用いても投写画像を同程度の画質で表示させるには、複数のランプを平均的に使用する必要がある。反面、このように平均的に使用すると、各ランプの寿命が略同じ時期に切れ、画像の投写に支障が生じる惧れがある。
【0007】
さらに、ランプには寿命があり、寿命が切れたランプを使い続けるとランプが損傷する等の問題が生じる。また、劣化が進み点灯し難くなったランプを使い続けると、発光効率が低下し、また、ランプに損傷が生じる惧れもある。このランプの損傷は、ユーザに対して、ランプの破片などを除去する作業負担を強いるため、利便性の著しい低下を招くので望ましくない。よって、ランプは、寿命や劣化の進み具合を考慮して適正に使用される必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用場面に応じて適正にランプの運用を行うことができ、これにより、ユーザの利便性を向上させることができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、第1か第2の何れかのランプを点灯させ、1個のランプ点灯による照明光を変調して投写する映像表示装置において、ユーザにより選択されたランプを点灯ランプとして使用する手動切り替えモードと、第1と第2のランプとが自動で切り替わる自動切り替えモードとを備え、現在のモードが手動切り替えモードであるか、あるいは自動切り替えモードであるかにも係わらず、点灯させているランプの使用積算時間が、予め定められている寿命基準時間を越えた場合でも、点灯させているランプの点灯を継続させると共に、点灯させているランプが寿命である旨の表示を行うことができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり本発明によれば、ランプの使用を円滑に管理できるランプ運用装置および映像表示装置を提供することができる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。
ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの概観を示す図
【図2】実施の形態に係る光学エンジンの構成を示す図
【図3】実施の形態に係るミラーユニットの構成を示す斜視図
【図4】実施の形態に係るランプユニットの構成を示す分解斜視図
【図5】実施の形態に係るランプユニットの構成を示す一部拡大図
【図6】実施の形態に係るランプユニットの回路基板の構成を示す図
【図7】実施の形態に係るランプユニットの取り付け方法を説明する斜視図
【図8】実施の形態に係るランプユニットの取り付け状態を示す斜視図
【図9】実施の形態に係るランプユニットの取り付け状態を示す一部断面図
【図10】実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す図
【図11】実施の形態に係るランプ運用のためのシステム構成を示す図
【図12】実施の形態に係るランプ管理情報の初期化と使用積算時間の更新処理を示すフローチャート
【図13】実施の形態に係る通信路の切り替え設定処理を示すフローチャート
【図14】実施の形態に係る動作不良判別処理(始動時)を示すフローチャート
【図15】実施の形態に係る動作不良判別処理(点灯時)を示すフローチャート
【図16】実施の形態に係る手動切り替えモードを説明する図
【図17】実施の形態に係る自動切り替えモードを説明する図
【図18】実施の形態に係る自動切り替えモードの動作を説明する図
【図19】実施の形態に係る寿命優先モードにおける処理フローチャート
【図20】実施の形態に係る継続優先モードにおける処理フローチャート
【図21】実施の形態に係る動作不良判別処理の変更例を示すフローチャート
【図22】実施の形態に係る寿命優先モードの変更例を示す処理フローチャート
【図23】実施の形態に係る寿命優先モードの変更例を示す処理フローチャート
【図24】実施の形態に係る継続優先モードの変更例を示す処理フローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタの構成を説明する。なお、本実施の形態に係るプロジェクタは、照明装置の光源として2つのランプユニットを有している。
【0014】
図1は、プロジェクタの構成を示す図(外観斜視図)である。プロジェクタは、キャビネット1を備えている。キャビネット1は、上下に薄く前後に長い略直方体形状を有しており、その側面には、キャビネット1内部に外気を取り込むための吸気口5が形成されている。
【0015】
キャビネット1内には、光学エンジン2、投写レンズ3、および冷却装置4が配されている。光学エンジン2は、映像信号により変調された光(映像光)を生成する。光学エンジン2には、投写レンズ3が装着されており、投写レンズ3の前部が、キャビネット1の前面から露出している。光学エンジン2で生成された映像光は、投写レンズ3によって、プロジェクタ前方に配されたスクリーン面に投写される。冷却装置4は、吸気口5から外気を取り込み、この外気を冷却風として光学エンジン2に供給する。
【0016】
なお、かかるプロジェクタには、ユーザ入力のためのリモートコントローラ(リモコン)が組み合わされている。ユーザは、リモコンを操作することにより、投写指令や、ランプ運用モードの設定等の各種設定を行うことができる。
【0017】
図2は、光学エンジンの構成を示す図である。同図において、10は、2つのランプユニット10a、10bとミラーユニット10cを有する照明装置である。ランプユニット10a、10bは、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等からなるランプを備えている。ランプユニット10a、10bからの光は、リフレクタの作用により略平行光となって出射される。なお、ランプユニット10a、10bの構成は、追って詳述する。
【0018】
ミラーユニット10cには、同図X−Z平面に平行に回動可能なミラーが配されている。ミラーは、ランプユニット10aの起動時にはランプユニット10aからの光をフライアイインテグレータ11へと導き、ランプユニット10bの起動時にはランプユニット10bからの光をフライアイインテグレータ11へと導くよう回動される。ミラーユニット10cの構成は、追って、図3ないし図5を参照して説明する。
【0019】
照明装置10からの光は、フライアイインテグレータ11を介して、PBS(偏光ビームスプリッタ)アレイ12およびコンデンサレンズ13に入射される。フライアイインテグレータ11は、蝿の目状のレンズ群からなる第1および第2のフライアイレンズを備え、液晶パネル18、24、33に入射する際の光量分布が均一となるよう、照明装置10から入射される光に光学作用を付与する。
【0020】
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板がアレイ状に配列されたものであり、フライアイインテグレータ11から入射された光の偏光方向を一方向に揃える。コンデンサレンズ13は、PBSアレイ12から入射された光に集光作用を付与する。コンデンサレンズ13を透過した光は、ダイクロイックミラー14に入射する。
【0021】
ダイクロイックミラー14は、コンデンサレンズ13から入射された光のうち、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを透過し、赤色波長帯の光(以下、「R光」という)と緑色波長帯の光(以下、「G光」という)を反射する。ダイクロイックミラー14を透過したB光は、ミラー15よって反射されコンデンサレンズ16に入射される。
【0022】
コンデンサレンズ16は、B光が略平行光で液晶パネル18に入射するよう、B光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ16を透過したB光は、入射側偏光板17を介して液晶パネル18に入射される。液晶パネル18は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。液晶パネル18によって変調されたB光は、出射側偏光板19を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0023】
ダイクロイックミラー14によって反射された光のうちG光は、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射される。コンデンサレンズ22は、G光が略平行光で液晶パネル24に入射するよう、G光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ22を透過したG光は、入射側偏光板23を介して液晶パネル24に入射される。液晶パネル24は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。液晶パネル24によって変調されたG光は、出射側偏光板25を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0024】
ダイクロイックミラー21を透過したR光は、コンデンサレンズ26に入射される。コンデンサレンズ26は、R光が略平行光で液晶パネル33に入射するよう、R光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ26を透過したR光は、光路長調整用のリレーレンズ27、29、31と2つのミラー28、30からなる光路を進み、入射側偏光板32を介して液晶パネル33に入射される。液晶パネル33は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。液晶パネル33によって変調されたR光は、出射側偏光板34を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0025】
ダイクロイックプリズム20は、液晶パネル18、24、33によって変調されたB光、G光およびR光を色合成し、投写レンズ3へと入射させる。投写レンズ3は、投写光を被投写面上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。ダイクロイックプリズム20によって色合成された光は、投写レンズ3によって、スクリーン上に拡大投写される。
【0026】
次に、図3を参照して、ミラーユニット10cの構成について説明する。
【0027】
図3は、ミラーユニット10cの構成を示す斜視図である。
【0028】
同図において、ベース100は、上板部101、下板部102、背板部103および2つの壁部104を備えている。これら上板部101、下板部102、背板部103および2つの壁部104は、アルミダイキャストにより一体形成されている。また、2つの壁部104の間には、上板部101へと繋がる凹部105が配されている。下板部102と上板部101は互いに平行となっている。下板部102と上板部101の間にミラーホルダ200が回動可能に配される。
【0029】
2つの壁部104と背板部103の内側面には、調節板203よりやや大きめの輪郭の凹部が成され、この凹部に、調節板203が嵌め込まれネジ止めされている。調節板203は、中央部が背板部103にネジ止めされ、2つの壁部104に対応する部分が弾性変位可能に壁部104に押し付けられている。調節板203は、可撓性のある金属性の薄板からなっている。また、2つの壁部104の外側面には調節ネジ204が螺着され、これら調節ネジ204の先端がそれぞれ調節板203に当接している。
【0030】
なお、2つの壁部104は、ミラーユニット10cが図2の光学エンジンに配置されたときに、各内側面が、それぞれ、ランプユニット10a、10bからの光の進行方向に対して略45°の角度で傾くように形成されている。
【0031】
ミラーホルダ200には、ミラー201が装着されている。また、ミラーホルダ200の上下の面には、それぞれ同軸となる位置に、軸202が突設されている。ミラーホルダ200の下面に配された軸202は下板部102に配された軸穴に嵌合し、上面に配された軸202は軸受けを介してトルクリミッタ402に装着されている。
【0032】
上板部101の上面には、ボスを介して基板300が装着されている。基板300には、下面に2つの検出スイッチ301、302が装着されている。これら検出スイッチ301、302は、ミラーホルダ200が回動終端位置にあるときに、ミラーホルダ200上面の突起(図示せず)に押されてONされる。
【0033】
駆動部400は、トルクリミッタ402が配されたギア401と、ギア403と、モータ404と、モータ404の駆動軸に装着されたギア(図示せず)と、カバー405と、下板部102側に配されたコイルバネ406を備えている。トルクリミッタ402は、一定以上のトルクが掛かったときにギア401を空転させる。ギア403はカバー405に回動可能に装着されている。また、カバー405には、トルクリミッタ402の軸402aと係合する軸穴が形成されている。カバー405は、壁部104の外側面に形成されたボスにネジ止めされている。モータ404は、2つの壁部104の間に配された凹部105に装着されている。
【0034】
モータ404からの駆動力は、モータ404の駆動軸に装着されたギアと、ギア403、401を介してトルクリミッタ402に伝達され、さらに、トルクリミッタ402に装着されたミラーホルダ200上面の軸202に伝達される。これにより、ミラーホルダ200とともにミラー201が回動する。
【0035】
下板部102の裏側には、コイルバネ406が装着されている。コイルバネ406は、ミラーホルダ200の下面に形成された鉤部と下板部102の裏面に形成された鉤部の間に両端が係止されるようにしてミラーユニット10cに取り付けられている。コイルバネ406は、図3(a)の状態では、同図手前の壁部104に押し付ける方向にミラーホルダ200を付勢し、図3(b)の状態では、同図奥側の壁部104に押し付ける方向にミラーホルダ200を付勢する。
【0036】
ミラーホルダ200の回動終了位置は、調整ネジ204による調節板203の持ち上げ量によって調整され得る。ミラーユニット10cが図2に示す光学エンジンに組み込まれた際には、各ランプユニット10a、10bからの光がともにフライアイインテグレータ11に適正に向かうよう、調整ネジ204による調節板203の持ち上げ量が調整される。
【0037】
同図(a)の状態にあるときには、ランプユニット10bからの光がミラー201により反射されてフライングアイインテグレータ11へと導かれる。この状態から、使用するランプユニットを切り替える場合には、モータ404を駆動してミラーユニット200を反時計方向に回動させる。この回動は、検出スイッチ302がONされてから一定時間が経過するまで継続される。
【0038】
この間に、ミラーユニット200が調節板203に押し付けられ、ミラー201が同図(b)に示す位置に位置づけられる。なお、かかる押し付けの際、トルクリミッタ402の作用によりギア401が空転する。こうして、ミラーユニット200が同図(b)の状態に位置づけられ、ランプユニット10aからの光がミラー201により反射されてフライングアイインテグレータ11へと導かれるようになる。なお、同図(b)の状態から同図(a)の状態にミラーユニット10cを切り替える場合、モータ404の駆動方向が上記と逆である他は、上記と同様の動作が行われる。
【0039】
次に、図4ないし図8を参照して、ランプユニットの構成およびランプユニットの取り付け方法について説明する。なお、以下では1つのランプユニットを例に挙げて説明を行うが、以下に示すランプユニットの構成および取り付け方法は、図2に示す2つのランプユニット10a、10bの双方に適用されるものである。
【0040】
図4は、ランプユニットとその取り付け部分の構成を示す図である。ランプユニットは、ランプ500と、ランプ500を保持するランプホルダ600と、回路基板700とを備えている。また、本体シャーシ側には、ランプホルダ600を収容するホルダ収容部800と、回路基板900が配されている。なお、上記ミラーユニット200は、図中のミラーユニット装着部830に装着される。
【0041】
ランプホルダ600は、ランプ500が装着されるボックス部610を備え、ボックス部610の前面には、ランプ500からの光を前方に導くための開口611が形成されている。また、ボックス部610の前面上部には、前方へ突出する鍔部620が形成され、この鍔部620に孔621が形成されている。さらに、ボックス部610の前面上部には、下方に突出する2つのピン622が形成されている。また、ボックス部610の後面上部には、後方へ突出するL字状の鍔部630が形成され、この鍔部630に、基板保持部640が延設されている。
【0042】
図5(a)は、基板保持部640の拡大図である。基板保持部640には、上下に貫通する開口641が形成されており、また、上面に、X軸方向およびY軸方向に回路基板700を係止するL字状の係止部642が形成されている。また、基板保持部640には、ネジ710が螺合するネジ穴643が形成されている。さらに基板保持部640の上面には、回路基板700周縁が載置される載置部644が形成されている。
【0043】
図6は、回路基板700の構成を示す図である。同図(a)、(b)は、それぞれ回路基板700の上面図および裏面図である。回路基板700には、2つの孔701が形成され、また、側面のネジ710に対応する位置に切り欠き702が形成されている。さらに、回路基板700には、基板保持部640の係止部642に対応する位置に切り欠き703、704が形成されている。回路基板700の裏面には、ICを含む回路部705と、回路部705に電気的に接続されたコネクタ706が配されている。
【0044】
図5(a)を参照して、回路基板700は、切り欠き703、704を係止部642に嵌め込みながら周縁を載置部644に載せると、X軸方向とZ軸方向に所定のストロークだけ変位可能となる輪郭形状を有している。また、載置部644は、このように回路基板700が変位しても、回路基板700が開口641内に落ち込まないような幅をもっている。
【0045】
図4に戻り、ホルダ収容部800は、前面および上面が開放さられたボックス装着部811を備え、このボックス装着部811に、ランプホルダ600側のボックス部610が装着される。ボックス装着部811の前側上部には、ランプホルダ600側の2つの孔621とそれぞれ係合するピン812が形成されている。また、ボックス装着部811の前側底部には、ランプホルダ600側の2つのピン622とそれぞれ係合する孔813(図4には図示せず。図7参照)が形成されている。さらに、ボックス装着部811には、ランプホルダ600の装着時にボックス部610の背面を係止してランプホルダ600を案内する一対のガイド部814が上下方向に延びるように形成されている。また、ボックス装着部811の2つの壁には、ボックス装着部811内に風を通すための通気口815が形成されている。
【0046】
ホルダ収容部800には、ランプホルダ600の装着時にランプホルダ600側の基板保持部640に対向する位置に基板保持部820が形成されている。
【0047】
図5(b)は、基板保持部820の拡大図である。基板保持部820は、凹部821と、凹部821に突設された2つのピン822およびネジ穴823とを有する。また、凹部821を囲む壁のうちネジ穴823近傍の壁に切り欠き824が形成されている。
【0048】
回路基板900には、基板保持部820側の2つのピン822とそれぞれ係合する切り欠き901と孔902が形成されている。また、回路基板900の上面には、ランプホルダ600側に配された回路基板700上のコネクタ706と接合するコネクタ903と、コネクタ903をメイン基板に電気的に接合するためのコネクタ904が装着されている。かかる回路基板900は、ネジ905をネジ穴823に螺着することにより、基板保持部820に装着される。
【0049】
図4に戻り、ランプユニットの取り付け時には、まず、ランプ500がランプホルダ600のボックス部610に装着される。次に、回路基板700がランプホルダ600の基板保持部640に装着される。図5(a)を参照して、回路基板700の装着は、切り欠き703、704をL字状の係止部642に嵌め込みながら、回路基板700を載置部644に載置し、さらに、ネジ710をネジ穴643に螺合させることにより行われる。このとき、ネジ710は、回路基板700の上面との間に僅かに隙間があるようにネジ穴643に螺合される。これにより、回路基板700は、X軸方向およびZ軸方向に所定のストロークだけ変位可能な状態で、基板装着部640に装着される。
【0050】
図4に戻り、一方、本体シャーシ側では、基板保持部820に回路基板900が装着される。図5(b)を参照して、回路基板900の装着は、切り欠き901と孔902をそれぞれ2つのピン822に嵌合させながら、回路基板900を切り欠き824と、ピン822根本の台座部822aに載せる。台座部822a上面と切り欠き824上面は同じ高さとなっている。しかる後、ネジ905をネジ穴823に螺着する。
【0051】
ここで、切り欠き901と孔902は、略遊びなくピン822に係合する。よって、上記のように回路基板を切り欠き824と、ピン822根本の台座部822aに載せると、回路基板900は、基板保持部820に対して、X軸方向およびZ軸方向に位置決めされる。また、ネジ905は、回路基板900上面に圧接されるまでネジ穴823に螺着される。これにより、回路基板900は、Y軸方向にも変位不能となり、Y軸方向に位置決めされる。
【0052】
図7は、2つの回路基板700、900が、それぞれ基板保持部640、820に装着された状態を示す図である。しかる後、ランプホルダ600は、ボックス部610背面を、ガイド部814に当接させながら、ボックス装着部811内に押し込むことにより、ホルダ収容部800に取り付けられる。
【0053】
なお、ボックス装着部811の前方内側面とガイド部814の間の距離は、ボックス部610のX軸方向の長さより僅かに大きくなっている。よって、ランプホルダ600は、ボックス部610背面を、ガイド部814に当接させながら、ボックス装着部811内に押し込むことにより、ホルダ収容部800の所定の位置に収容される。
【0054】
こうしてランプホルダ600をボックス装着部811に押し込むと、ランプホルダ600がホルダ収容部800内の所定の位置に到達する手前で、ホルダ収容部800側の2つのピン812の先端がランプホルダ600側の2つの孔621に挿入され、また、ランプホルダ600側の2つのピン622の先端がホルダ収容部800側の2つの孔813に挿入される。このとき、同時に、基板保持部820に突設された2つのピン822の先端が、回路基板700の2つの孔701に挿入される。
【0055】
ここで、ピン812、622は、何れも、端部が先細りとなっているため、この状態からさらにランプホルダ600がボックス装着部811に押し込まれると、ランプホルダ600は、これらピン812、622先端の傾斜に案内されて所定の位置に位置づけられる。こうして、ランプホルダ600に装着されたランプ500の光軸が、後段の光学系に対して適正化される。
【0056】
また、ピン822の端部にも、先細りとなった傾斜部822b(図5(b)参照)が形成されているため、上記のようにピン822が孔701に挿入された状態からさらにランプホルダ600がボックス装着部811に押し込まれると、回路基板700は、ピン822先端の傾斜部822bに案内されてX軸方向およびZ軸方向に変位する。これにより、回路基板700に配されたコネクタ706が、回路基板900側のコネクタ903に正しく向き合うようになり、その後、さらにランプホルダ600が押し込まれることで、コネクタ706とコネクタ903の接合がなされる。
【0057】
図8(a)は、ランプホルダ600がボックス装着部811に完全に押し込まれたときの状態を示す図である。図8(b)は、そのときの基板収容部640、820近傍の状態を示す斜視図であり、図8(c)は、図8(b)において基板700を取り除いた状態の斜視図である。
【0058】
図示の如く、ランプホルダ600がボックス装着部811に完全に押し込まれた状態において、ランプ500の位置決めがなされ、かつ、回路基板700のコネクタ706と回路基板900のコネクタ903が接合される。
【0059】
図9は、図8(b)のA−A’断面図である。ピン822の長さは、回路基板700上のコネクタ706に、回路基板900上のコネクタ903が接合し始めるよりも前に、ピン822の先端より根本の部分が回路基板700の孔701に嵌合するような長さに設計される。こうすることで、コネクタ706とコネクタ903が接合し始める際には両コネクタ間の位置決めが完了した状態となり、コネクタ706とコネクタ903を円滑に接合することができる。
【0060】
図10に、本実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す。なお、同図には、ランプユニット10a、10bとミラーユニット10cに関連する構成のみが示され、その他の構成は割愛されている。
【0061】
ランプ電源51は、コントローラ54からの制御信号に応じて、リレー回路52にランプ駆動用の電力を供給する。また、ランプ電源51は、ランプ500に印加される電圧を監視して、ランプが点灯しているかを判定し、その判定結果をコントローラ54に供給する。具体的には、印加電圧が所定の閾値未満にあるときにランプが点灯していることを示す判定結果をコントローラ54に供給し、印加電圧が所定の閾値を超えたときにランプが消灯していることを示す判定結果をコントローラ54に供給する。
【0062】
リレー回路52は、ランプユニット10a、10bのうち、コントローラ54から指示された方のランプユニットに、ランプ電源51からの電力を供給する。なお、リレー回路52には、ミラーユニット10cに配された上記検出スイッチ301、302からの信号が入力されている。ミラーユニット10c内のミラー201がランプユニット10aの方に向けられているときには検出スイッチ301がオンされて、検出スイッチ301からON信号がリレー回路52に入力される。他方、ミラー201がランプユニット10bの方に向けられているときには検出スイッチ302がオンされて、検出スイッチ302からのON信号がリレー回路52に入力される。
【0063】
リレー回路52は、ランプユニット10aに電力供給するための制御信号がコントローラ54から入力されても、検出スイッチ301からON信号が入力されていなければ、ランプ電源51からの電力をランプユニット10aに供給せず、同様に、ランプユニット10bに電力供給するための制御信号がコントローラ54から入力されても、検出スイッチ302からON信号が入力されていなければ、ランプ電源51からの電力をランプユニット10bに供給しないよう回路構成されている。
【0064】
ミラードライバ53は、コントローラ54からの制御信号に応じて、ミラーユニット10cを駆動する。ミラーユニット10cの駆動時に、コントローラ54は、ミラーユニット10c内に配された上記検出スイッチ301、302からの信号を監視する。そして、当該駆動方向の検出スイッチからON信号が入力された後、一定期間に亘って、当該駆動方向にミラー201をさらに駆動するための制御信号をミラードライバ53に供給する。これにより、ミラー201が確実に、所期の切り替え位置に位置づけられる。
【0065】
なお、かかる制御が実行されると、モータ404は、ミラーホルダ200の背面が調節板203に当接した後も、引き続き駆動され続ける。しかし、この場合、上記の如くトルクリミッタ402によってモータ404の駆動力が吸収されるため、モータ404の過負荷による損傷やミラーホルダ200の歪によるミラー201の角度ずれ等の問題は起こらない。
【0066】
コントローラ54は、CPU(図示せず)とスイッチ54aを備え、予め格納された制御プログラムに従って各部を制御する。スイッチ54aは、ランプユニット10a、10bにそれぞれ配された回路部705のうち何れか一方をコントローラ54内のデータバスに接続する。コントローラ54は、スイッチ54aを切り替えて、ランプユニット10a、10bに配された回路部705のうち何れか一方と通信路を確立する。そして、当該通信路を介して、回路部705からランプ管理情報を取得し、取得した管理情報を、メモリ55に格納する。コントローラ54には、上記リモコンを介して、ユーザから各種指令が入力される。
【0067】
なお、コントローラ54と、ランプユニット10a、10bに配された回路部705との間の通信に関する構成およびその制御動作については、追って、図11および図12を参照して詳述する。
【0068】
図10の構成において、使用されるランプが一方のランプから他方のランプの切り替えられる場合、コントローラ54は、ランプ電源51に給電を停止させ、その後、他方のランプからの光を反射する位置にミラー201を回動させるための制御信号をミラードライバ53に供給する。これにより、ミラー201が回動される。
【0069】
その後、ミラー201が適正位置まで回動されると、検出スイッチ301、302の何れか一方からON信号がコントローラ54に供給される。コントローラ54は、ON信号を受信してから上記一定期間が経過した後、ランプ電源51に給電開始の制御信号を出力し、同時に、リレー回路52に、他方のランプに電力を供給するための制御信号を出力する。これにより、他方のランプが点灯し、画像の投写が行われる。
【0070】
次に、図11を参照して、コントローラ54のランプ運用に関連する構成について説明する。
【0071】
同図(a)は、コントローラ54と回路部705のシステムブロック図、同図(b)は、記憶部71a、71bに格納されるランプ管理情報の内容を示す図、同図(c)は、ランプ管理情報のうち使用経歴データの構成を示す図である。なお、同図(a)では、スイッチ54aと回路部705との間に介在するコネクタ706、903や、中間的な回路基板900が図示省略されている。
【0072】
同図(a)に示す如く、ランプユニット10a、10bの回路部705は、制御部70a、70bと、記憶部71a、71bを備えている。制御部70a、70bは、記憶部71a、71bに対するデータの書き込み/読出しを制御する。記憶部71a、71bは、ランプ管理情報として同図(b)に示すデータを格納する。
【0073】
ここで、ランプ識別情報は、積算時間データと使用経歴データを含んでいる。積算時間データは、ランプ500の使用積算時間を示すデータである。なお、「使用積算時間」とは、ランプ500が製造後最初に使用された後のトータルの使用時間であって、最初に使用された後、現在までに点灯した時間を全て加算したものである。
【0074】
使用経歴データは、同図(c)に示す如く、准動作不良に関するフラグと完全動作不良に関するフラグを含んでいる。ここで、准動作不良に関するフラグは、当該ランプ500について過去に1回点灯の失敗があると“1”とされ、点灯の失敗が全くなかった場合には“0”とされる。また、完全動作不良に関するフラグは、過去に2回点灯の失敗があったために当該ランプ500が完全に動作不良(使用不可)とされた場合に“1”とされ、そうでないときに“0”とされる。
【0075】
すなわち、准動作不良とは、当該ランプ500について過去に1回点灯の失敗があった状態をいい、完全動作不良とは、過去に2回点灯の失敗があった(准動作不良の状態でさらにもう1回点灯に失敗した)状態をいう。
【0076】
同図(a)に戻り、コントローラ54は、通信制御部61と、記憶部62と、点灯・消灯検出部63と、時間計測部64と、演算部65と、ランプ運用部66と、寿命判定部67と、動作不良判定部68とを有する。
【0077】
通信制御部61は、スイッチ54aを切り替え制御して、ランプユニット10a、10bに配された回路部705のうち何れか一方と通信路を確立する。そして、通信路を確立した回路部705の記憶部71a、71bから上記ランプ管理情報を取得する。
【0078】
記憶部62は、通信制御部61によって取得されたランプ管理情報を格納する。記憶部62に格納されたランプ管理情報は、ランプ使用時に、演算部65と動作不良判定部68による処理によって随時更新される。なお、記憶部62は、上記メモリ55内にランプ管理情報の記憶領域を設定する。記録部62は、ランプ管理情報の他に、後述の手動設定データや自動設定データ等のランプ運用に必要な情報を記憶する。
【0079】
点灯・消灯検出部63は、ランプ電源51から供給されるランプ点灯の判定結果をもとに、点灯対象のランプ500の点灯開始と点灯終了を判定する。具体的には、ランプ500の駆動動作時に、ランプ電源51からランプ500が点灯状態にあることを示す判定結果が供給され始めたタイミングでランプ500の点灯が開始したことを検出し、その後、ランプ電源51からランプ500が消灯状態になったことを示す判定結果が供給されたタイミングでランプ500の点灯終了を検出する。なお、ランプ500の切り替え時や投写動作の終了時等、ランプ500の点灯動作が終了される場合、点灯・消灯検出部63は、
ランプ500への電力供給が停止されたタイミングにおいてランプ500の消灯を検出する。
【0080】
時間計測部64は、点灯・消灯検出部63から点灯開始信号が入力されると時間の計測を開始し、一定時間間隔で、計測結果を演算部65に受け渡す。また、時間計測部64は、点灯・消灯検出部63からの点灯終了信号が入力されると時間の計測を終了し、終了時点の計測結果を演算部65に受け渡す。
【0081】
演算部65は、記憶部62に格納されたランプ管理情報のうち積算時間データと、時間計測部64から入力される経過時間の計測結果をもとに積算時間データを更新し、更新した積算時間データを記憶部62に書き戻す。なお、更新された積算時間データは、随時、対応するランプユニット10a、10bの記憶部71a、71bに書き戻される。
【0082】
ランプ運用部66は、ユーザからの設定操作に応じて、ランプの点灯制御を行う。点灯制御の詳細については、追って、図16以降を参照して説明する。ランプ運用部66は、ランプ点灯制御におけるモード設定のためのモード設定部66aを備えている。ランプ運用モードの設定は、このモード設定部66aによってユーザメニューが投写されることにより行われる。
【0083】
すなわち、モード設定部66aは、予めモード選択用のユーザメニューを保持している。モード設定時には、ランプ運用部66を介してユーザメニューが投写され、ユーザは、リモコン操作によって、所望のランプ運用モードを選択する。選択結果は、モード設定部66aに保持される。ランプ運用部66は、モード設定部66aに保持されたランプ運用モードに応じて、ランプの点灯制御を行う。
【0084】
寿命判定部67は、予め、装着対象のランプの寿命基準時間を保持しており、この寿命基準時間をランプの使用積算時間が超えたときに、当該ランプの寿命が尽きたと判定する。ランプユニット10a、10bの装着時において、寿命判定部67は、各ランプユニット10a、10bに保持されている使用積算時間を参照して各ランプの寿命が残っているかを判定し、判定結果(寿命フラグ)を保持する。また、ランプ点灯時において、寿命判定部67は、演算部65において随時更新される積算時間データを参照し、使用対象のランプの寿命が尽きたかを判定し、判定結果(寿命フラグ)を随時更新する。
【0085】
動作不良判定部68は、記憶部62に格納されたランプ管理情報のうち使用経歴データと、点灯・消灯検出部63から入力される点灯開始および点灯終了の検出結果をもとに、点灯対象ランプの動作状況(通常/准動作不良/完全動作不良)を判別し、判別結果に応じて、記憶部62に格納された使用経歴データを更新する。なお、更新された使用経歴データは、随時、対応するランプユニット10a、10bの記憶部71a、71bに書き戻される。なお、動作不良判定部68における処理については、追って、図14および図15を参照して説明する。
【0086】
以下、図11(a)のシステム構成におけるランプ運用制御について説明する。
【0087】
まず、図12(a)を参照して、ランプ管理情報の初期化について説明する。
【0088】
プロジェクタの電源が投入されると、装着されたそれぞれのランプユニットから順次ランプ管理情報を取得する処理が行われる。
【0089】
ランプユニット10aに対してランプ管理情報の取得が行われる場合(S101:YES)、通信制御部61は、ランプユニット10aの回路部705との間で通信路を確立する(S102)。そして、通信制御部61は、通信路を確立した回路部705と通信を行い(S103)、当該回路部705の記憶部71aからランプ管理情報を読み出し(S104)、読み出したランプ管理情報で記憶部62のランプユニット10aのランプ管理情報格納領域を初期化する(S105)。ランプユニット10bに対してランプ管理情報の取得が行われる場合(S101:YES)、通信制御部61は、ランプユニット10bの回路部705との間で通信路を確立し(S102)、以下、S103〜S105の処理により、記憶部62のランプユニット10aのランプ管理情報格納領域を初期化する。
【0090】
次に、図12(b)を参照して、積算時間データの更新について説明する。なお、かかる積算時間データの更新処理は、ランプユニット10a、10bの何れかが点灯動作に入ると必ず実行される。
【0091】
点灯対象のランプユニット10aまたは10bに対する点灯が開始されると(S111:YES)、時間計測部64による経過時間の計測が開始される。これと同時に、演算部65は、時間計測部64による計測時間と記憶部62に格納された積算時間データをもとに当該ランプユニット10aまたは10bの使用積算時間を更新する。そして、更新した使用積算時間を、随時、記憶部62に上書きするとともに、当該ランプユニット10aまたは10bの記憶部71aまたは71bに書き戻す(S112)。
【0092】
かかる使用積算時間の更新記憶は、当該ランプユニット10aまたは10bの点灯が終了するまで(S113:YES)、継続される。当該ランプユニット10aまたは10bの点灯が終了されると(S113:YES)、時間計測部64と演算部65における経過時間の計測と使用積算時間の演算が終了され(S114)、そのときの使用積算時間がランプユニット10aまたは10bの記憶部71a、71bに書き戻される(S115)。これにより、処理が終了する。
【0093】
図13は、ランプ動作中にランプ切り替えが行われる場合の通信路の切り替え/設定処理を示すフローチャートである。
【0094】
画像投写のためにランプ動作が開始されると(S121:YES)、通信制御部61は、ランプユニット10a、10bのうち点灯対象のランプユニットの回路部705との間で通信路を確立する(S122)。かかる通信路は、使用対象のランプが切り替えられるか(S123:YES)、ランプ動作(投写動作)が終了する(S124:YES)まで維持される。
【0095】
ランプ動作の途中で、たとえば、ユーザによる切り替え操作によって、使用対象のランプが切り替えられると、通信制御部61は、点灯中のランプユニットの回路部705との通信路を遮断し(S125)、切り替え後の、新たに点灯対象とされるランプユニットとの回路部705との間で通信路を確立する(S122)。また、ランプ動作(投写動作)が終了すると(S124:YES)、通信制御部61は、点灯中のランプユニットの回路部705との通信路を遮断する(S126)。
【0096】
次に、図14および図15を参照して、ランプの動作不良を判別するための処理について説明する。
【0097】
<ランプ始動時の動作不良判別>
図14は、ランプ始動時における動作不良の判別処理を示すフローチャートである。
【0098】
ランプの始動に先立って、ランプ運用部66と動作不良判別部68は、記憶部62に格納された使用対象のランプユニットの使用経歴データを参照する(S211)。ここで、使用経歴データが完全動作不良(完全動作不良フラグ=1)であれば(S212:YES)、ランプ運用部66は、当該ランプの点灯を行わない。この場合、動作不良判別部68による使用経歴データの更新は行われない。
【0099】
使用経歴データが完全動作不良(完全動作不良フラグ=1)でなければ(S212:NO)、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を開始し(S213)、その後、使用対象のランプを始動する度に(S214)、ランプ始動実行回数Nを1カウントアップする。さらに、ランプ運用部66は、かかる始動に対して点灯・消灯検出部63が点灯開始を検出したかを判定する(S215)。
【0100】
1回目の始動によりランプが点灯すると(S215:YES)、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を終了する(S221)。これにより、ランプ始動時の動作不良判別は終了する。この場合、動作不良判別部68は、使用経歴データの更新を行わない。
【0101】
1回目の始動によりランプが点灯しなければ(S215:NO)、ランプ運用部66は、その後、ランプ始動実行回数Nが予め決められた回数Nsになるまでランプ始動を繰り返す(S216)。その間にランプが点灯すると(S215:YES)、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を終了する(S221)。これにより、ランプ始動時の動作不良判別は終了する。この場合、動作不良判別部68は、使用経歴データの更新を行わない。
【0102】
一方、ランプ始動実行回数NがNsとなってもランプが点灯しなければ(S216:NO)、その結果が動作不良判別部68に通知される。これを受けて、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの使用経歴データが准動作不良(完全動作不良フラグ=0、准動作不良フラグ=1)であるかを判定する(S217)。
【0103】
この判定が准動作不良でなければ(S217:NO)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を准動作不良として(S218)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S220)。
【0104】
また、S217における判定が准動作不良である場合(S217:YES)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を完全動作不良として(S219)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S220)。
【0105】
こうして、使用経歴データの更新が終わると、ランプ運用部は、ランプ始動実行回数Nの計測を終了する(S221)。これにより、ランプ始動時の動作不良判別は終了する。
【0106】
<ランプ点灯中の動作不良判別>
図15は、ランプ点灯時における動作不良の判別処理を示すフローチャートである。
【0107】
ランプユニットの点灯動作中にランプが消灯すると(S231:YES)、動作不良判別部68は、当該ランプの使用経歴データを参照し(S232)、当該ランプユニットの使用経歴データが准動作不良(完全動作不良フラグ=0、准動作不良フラグ=1)であるかを判定する(S233)。
【0108】
この判定が准動作不良でなければ(S233:NO)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を准動作不良として(S234)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S236)。これにより、ランプ点灯時の動作不良判別は終了する。
【0109】
また、S233における判定が准動作不良である場合(S233:YES)、動作不良判別部68は、当該ランプユニットの状況を完全動作不良として(S235)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S236)。これにより、ランプ点灯時の動作不良判別は終了する。
【0110】
次に、本実施の形態におけるランプの切り替え制御について説明する。
【0111】
本実施の形態では、ランプの切り替えモードとして、手動切り替えモードと、自動切り替えモードと、寿命優先モードと、継続優先モードとが準備されている。ユーザは、外部操作によって、適宜、手動切り替えモードと自動切り替えモードの何れかを選択設定でき、また、寿命優先モードと継続優先モードの何れかを選択設定できる。
【0112】
寿命優先モードと継続優先モードは、プロジェクタが手動切り替えモードまたは自動切り替えモードに設定されたときに、これと並行して実行される。寿命優先モードと継続優先モードでは、点灯中のランプの寿命に基づいて、使用ランプの切り替えまたはランプ動作の停止が行われる。ここでのランプ運用は、手動切り替えモードと自動切り替えモードにおけるランプ運用に優先される。
【0113】
手動切り替えモードの実行中に自動切り替えモードが設定されても、プロジェクタでは設定モードの変更が行われるのみで、使用ランプは切り替わらない。これに対し、自動切り替えモードの実行中に手動切り替えモードが設定された場合は、設定モードの変更とともに使用ランプの切り替えが起こり得る。この場合、手動切り替えモードの設定時に選択されたランプが、自動切り替えモードの実行中に点灯していたランプと異なればランプの切り替えが起こり、両モードの変更前後で使用対象のランプが同じであれば、ランプの切り替えは起こらない。
【0114】
なお、本実施の形態では、手動切り替えモードの設定時に、ユーザは、使用するランプを選択できるようになっている。これに替えて、手動切り替えモードの操作入力が行われる毎に、その時に点灯中のランプから他のランプに使用ランプが切り替えられるようにしても良い。
【0115】
また、ユーザは、寿命優先モードと継続優先モードの選択設定を、手動切り替えモードまたは自動切り替えモードの実行中の他、手動切り替えモードまたは自動切り替えモードの実行前等、プロジェクタの動作中において適宜行える。
【0116】
上記各モードが設定された状態で、ランプ動作(画像投写)が終了し、あるいは、プロジェクタの電源がOFFされると、プロジェクタは、そのとき設定されていた各モードを保持し、次回ランプ動作(画像投写)が開始される場合には、保持されたモードによってランプ動作を実行する。
【0117】
以下では、便宜上、ランプユニット10a、10bの一方およびそれに装着されたランプをランプ1と称し、他方およびそれに装着されたランプをランプ2と称して説明を行う。
【0118】
<手動切り替えモード>
まず、図16を参照して、手動切り替えモードについて説明する。同図(a)は、手動切り替えモードの処理フローであり、同図(b)は、手動切り替えモードにおいて記憶部62に保持される手動設定データの構成を示す図である。
【0119】
同図(b)の手動設定データは、手動切り替えモードの設定時に、ランプ1、2のうち何れが選択されたかを特定するデータである。ここでは、フラグが“1”のランプが手動切り替えモードの設定の際に選択されている。手動切り替えモードの設定状態でランプ動作が終了すると、その時の手動設定データが保持される。その後、ランプ選択がなされずに再び手動切り替えモードのままランプ動作が開始されると、保持された手動設定データに従って使用ランプが設定される。
【0120】
同図(a)を参照して、手動切り替えモードが設定されている状態において、ランプ動作(画像投写)が開始されると、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された手動設定データを参照し(S311)、点灯対象に設定されているランプを特定する。そして、ランプ運用部66は、こうして特定したランプの使用経歴データを参照し、当該ランプが点灯可能なものであるか(完全動作不良でないか)を判定する(S312)。
【0121】
ここで、当該ランプが点灯可能でなければ(S312:NO)、ランプ運用部66は、当該手動切り替えモードをNGとする(S313)。この場合、その旨が、音声等によって、ユーザに報知される。一方、当該ランプが点灯可能であれば(S312:YES)、ランプ運用部66は、当該ランプを点灯させる(S314)。
【0122】
こうしてランプを点灯させた後、ランプ運用部66は、ユーザからランプ切り替えの操作入力がないか(S315)、および、ランプ動作(画像投写)の終了処理がないか(S316)を監視し、これらがなければ(S315:NO、S316:NO)、当該ランプの点灯動作を継続する。
【0123】
ランプ点灯中に、ユーザからランプ切り替えの操作入力がなされると(S315:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させ(S317)、手動設定データを他方のランプが選択された状態に更新する(S318)。そして、更新した手動設定データをもとにS311以降の処理を行う。これにより、他方のランプが点灯される(S314)。
【0124】
その後、再び、ユーザからランプ切り替えの操作入力がなされると(S315:YES)、ランプ運用部66は、上記と同様にして、点灯ランプを切り替える。また、ランプ点灯中に、ランプ動作(画像投写)の終了処理があると(S316)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯する(S319)。こうしてランプ動作が終了すると、その時の手動設定データが記憶部62に保持される。
【0125】
<自動切り替えモード>
次に、図17を参照して、自動切り替えモードについて説明する。同図(a)は、自動切り替えモードの処理フローであり、同図(b)は、自動切り替えモードにおいて記憶部62に保持される自動設定データの構成を示す図である。
【0126】
同図(b)の自動設定データは、自動切り替えモードにおいて、現在、ランプ1、2のうち何れが点灯ランプに設定されているかを特定するデータである。ここでは、フラグが“1”のランプが、現在、点灯ランプに設定されている。この他、自動設定データには、点灯ランプに設定された時点(フラグが“1”に設定された時点)から現在までの当該ランプの点灯時間が変化量として保持されている。
【0127】
自動切り替えモードの設定状態でランプ動作が終了すると、その時の変化量をもとに自動設定データが更新されて記憶部62に保持される。その後、再び自動切り替えモードのままランプ動作が開始されると、保持された自動設定データに従って使用ランプが設定される。
【0128】
同図(a)を参照して、自動切り替えモードが設定されている状態において、ランプ動作(画像投写)が開始されると、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された自動設定データを参照し(S411)、点灯対象に設定されているランプを特定する。そして、ランプ運用部66は、こうして特定したランプの使用経歴データを参照し、当該ランプが点灯可能なものであるか(完全動作不良でないか)を判定する(S412)。
【0129】
ここで、当該ランプが点灯可能であれば(S412:YES)、ランプ運用部66は、当該ランプを点灯させる(S413)。一方、当該ランプが点灯可能でなければ(S412:NO)、ランプ運用部66は、他方のランプの使用経歴データを参照して、他方のランプが点灯可能なものであるか(完全動作不良でないか)を判定する(S414)。ここで、他方のランプも点灯可能でなければ(S414:NO)、当該自動切り替えモードをNGとする(S415)。この場合、その旨が、音声等によって、ユーザに報知される。
【0130】
一方、他方のランプが点灯可能であれば(S414:YES)、ランプ運用部66は、点灯ランプを他方のランプに切り替えて他方のランプを点灯させる(S416)。このとき、自動設定データのフラグが、他方のランプを点灯ランプとする状態に更新される。また、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0131】
こうしてランプを点灯させた後、ランプ運用部66は、時間計測部64からの計測結果をもとに随時点灯ランプの変化量を更新する(S417)。当該ランプの点灯と変化量の更新は、手動モードへの切り替え処理が行われるか(S418:YES)、ランプ動作(画像投写)が終了するまで(S419:YES)、継続される。
【0132】
しかる後、ランプ動作(画像投写)が終了すると(S419:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させ(S420)、その時の変化量が予め設定された閾値時間Tsを超えているかを判定する(S421)。そして、変化量が閾値時間Tsを超えていれば(S421:YES)、次回の自動切り替えモードの動作時に使用されるランプが現在のランプから切り替わるように自動設定データのフラグを更新し(S422)、同時に、ランプ1、ランプ2の変化量を0にリセットする。一方、変化量が閾値時間Tsを超えていなければ(S421:NO)、ランプ運用部66は、自動設定データの更新を行わずに、処理を終了する。
【0133】
ランプ点灯中に、手動モードへの切り替え処理が行われると(S418:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させ(S424)、自動設定データのランプ1、ランプ2の変化量をリセットする。このとき、自動設定データのフラグは更新されない。よって、次回、自動切り替えモードが実行される際には、今回点灯されたランプが再び点灯される。
【0134】
図18は、自動切り替えモード実行時の自動設定データの変遷を例示するタイミングチャートである。ここでは、ランプ1から使用が開始されている。また、使用開始時のランプ1の変化量は0となっている。
【0135】
t0においてランプ動作が開始されると、ランプ1が点灯され、t1においてランプ動作が終了されるまでの間、ランプ1の変化量が増加する。t1においてランプ動作が終了したときのランプ1の変化量は閾値時間Tsよりも小さい。よって、ここでは、ランプ1、2のフラグは更新されず、その後、再びt2においてランプ動作が開始されるまで、ランプ1の変化量はホールドされる。
【0136】
t2においてランプ動作が開始されると、ランプ1が点灯され、ランプ1の変化量が増加する。ランプ1の変化量はt3においてランプ動作が終了するまで増加する。t1においてランプ動作が終了したときのランプ1の変化量は閾値時間Tsを超えている。よって、ランプ1、2のフラグは、次回のランプ動作時の使用ランプをランプ2とする状態に更新される。同時に、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0137】
t4において再びランプ動作が開始されると、ランプ2が点灯され、t5においてランプ動作が終了されるまでの間、ランプ2の変化量が増加する。t5においてランプ動作が終了したときのランプ2の変化量は閾値時間Tsを超えている。よって、ランプ1、2のフラグは、次回のランプ動作時の使用ランプをランプ1とする状態に更新される。同時に、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。その後、t6において再びランプ動作が開始されると、ランプ1が点灯され、ランプ1の変化量が増加する。
【0138】
次に、図19および図20を参照して、寿命優先モードと継続優先モードについて説明する。上記の如く、ユーザは、寿命優先モードと継続優先モードの何れかを選択設定できる。また、寿命優先モードと継続優先モードは、上記手動切り替えモードと自動切り替えモードの実行に並行して行われ、寿命優先モードと継続優先モードによるランプ運用は、上記手動切り替えモードと自動切り替えモードによるランプ運用よりも優先される。
【0139】
<寿命優先モード>
まず、図19を参照して、寿命優先モードについて説明する。ここでは、寿命優先モードは、ランプ点灯中に実行され、ランプ点灯開始時には行われない。
【0140】
点灯対象のランプが点灯されると、寿命判定部67は、記憶部62に保持された積算時間データを参照し、点灯中のランプの使用積算時間が当該ランプの寿命基準時間を超えているか(残存寿命時間が0になったか)を判定する(S501)。点灯の進行の伴い点灯中のランプの寿命が尽きると(S501:YES)、S504に進んで、他のランプに対する処理が行われる。
【0141】
点灯中のランプの寿命が残っていれば(S501:NO)、次に、ランプ運用部66は、動作不良判別部68における判定において、点灯対象ランプの動作状況が変化したか(良品→准動作不良、または、准動作不良→完全動作不良の変化)を判定する(S502)。点灯中のランプの動作状況が変化すれば(S502:YES)、S505に進んで、他のランプに対する処理が行われる。点灯中のランプの動作状況が変化しなければ(S502:NO)、点灯対象ランプの点灯が維持され、演算部65により点灯中のランプの使用積算時間が随時更新される(S503)。
【0142】
点灯中のランプの寿命が尽き(S501:YES)、あるいは、点灯中のランプの動作状況が変化すると(S502:YES)、寿命判定部67は、記憶部62に保持された積算時間データを参照し、他方のランプの使用積算時間が当該ランプの寿命基準時間を超えているか(残存寿命時間が0になったか)を判定する(S504)。他方のランプの寿命が尽きていれば(S505:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯してランプ動作(画像投写)を停止する(S508)。
【0143】
他方のランプの寿命が尽きていなければ(S505:NO)、次に、ランプ運用部66は、記憶部62に保持されている他方のランプの使用経歴データを参照して(S506)、他方のランプが完全動作不良でないかを判定する(S507)。ここで、他方のランプが完全動作不良であれば(S507:YES)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯してランプ動作(画像投写)を停止する(S508)。
【0144】
他方のランプが完全動作不良でなければ(良品または准動作不良であれば)(S507:NO)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させて、点灯対象ランプを他方のランプに切り替える(S509)。このとき、並行して自動切り替えモードが設定されていれば、他方のランプを点灯ランプとする手動切り替えモードに切り替えられる。このとき、自動切り替えモードの自動設定データのフラグは変更されず、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0145】
こうして他方のランプが点灯すると、S501に戻って、他方のランプに対する処理が行われる。他方のランプの点灯中にも、上記と同様、随時、他方のランプの寿命と動作不良が判定される(S501、S502)。そして、寿命が残存し、且つ、動作不良が発生しない間は、他方のランプが点灯され続ける。これ以外に、ランプ動作(画像投写)の終了指令があれば、これに応じて、他方のランプの点灯が終了される。
【0146】
なお、図19の処理フローでは、S507において准動作不良とされた場合(S507:YES)にも、点灯対象ランプを他方のランプに切り替えるようにしたが(S509)、他方のランプが良品の場合にのみ点灯対象ランプを他方のランプに切り替えるようにしても良い。
【0147】
<継続優先モード>
次に、図20を参照して、継続優先モードについて説明する。継続優先モードは、図19の寿命優先モードにおけるS505、S507において、他のランプの寿命が尽き、あるいは、他のランプが完全動作不良と判定されたときの処理が、寿命優先モードに比べて異なっている。
【0148】
すなわち、他方のランプの寿命が尽きており(S505:YES)、あるいは、他方のランプが完全動作不良であると判定されると(S507:YES)、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された使用経歴データを参照して、点灯中のランプが完全動作不良であるかを判定する(S511)。ここで、点灯対象のランプが完全動作不良でなければ(S511:NO)、ランプ運用部66は、点灯中のランプの点灯を継続し(S513)、S501以降の処理を行う。
【0149】
一方、点灯中のランプが完全動作不良であれば(S511:NO)、ランプ運用部66は、記憶部62に格納された他方のランプの使用経歴データを参照し、他方のランプが完全動作不良であるかを判別する(S512)。ここで、他方のランプが完全動作不良であれば、ランプ運用部66は、ランプ動作を終了する。
【0150】
一方、他方のランプが完全動作不良でなければ(S512:NO)、ランプ運用部66は、点灯中のランプを消灯させて、点灯対象ランプを他方のランプに切り替える(S509)。このとき、並行して他方のランプを点灯ランプとする手動切り替えモードに切り替えられる。このとき、自動切り替えモードの自動設定データのフラグは変更されず、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0151】
こうして他方のランプが点灯すると、S501に戻って、他方のランプに対する処理が行われる。他方のランプの点灯中にも、上記と同様、随時、他方のランプの寿命と動作不良が判定される(S501、S502)。そして、寿命が残存し、且つ、動作不良が発生しない間は、他方のランプが点灯され続ける。
【0152】
以上のとおり、寿命優先モードでは、点灯中のランプの寿命がつきればこれが消灯され、このとき、他のランプの寿命が残っていれば他のランプが点灯され、他のランプの寿命が残っていなければ、他のランプも点灯されない。このように、寿命優先モードでは、寿命が尽きたランプの点灯が回避される。よって、寿命優先モードでは、寿命が尽きたランプが点灯されて損傷するといった問題を防止することができる。
【0153】
これに対し、継続優先モードでは、寿命が尽きても完全動作不良でなければ、ランプの点灯が行われる。よって、継続優先モードでは、画像投写中にランプの寿命が尽きても画像投写をなるべく継続させることができるなどのメリットがある。
【0154】
以上、本実施の形態によれば、手動切り替えモードと自動切り替えモードを適宜選択設定できるため、ユーザは、プロジェクタの使用場面に応じて、各ランプを円滑に運用することができる。
【0155】
たとえば、プロジェクタを用いてプレゼンテーションを行う場合には、手動切り替えモードを用いて、練習中には古いランプを使用し、本番では高輝度のより新しいランプを使用するといった使用形態を実現することができる。
【0156】
また、このように特別な使用形態ではない場合には、自動切り替えモードを選択して、2つのランプを平均的に使用するといった使用形態を実現できる。この自動切り替えモードでは、2つのランプの劣化が略同様に進行するため、何れか一方のランプに使用が偏って劣化が進むといった不具合が抑制される。よって、一方のランプの劣化が顕著に進み、ランプ切り替え時に投写画像の画質が極端に変化するといった不具合が抑制され得る。
【0157】
なお、自動切り替えモードのみしかない場合には、2つのランプが平均的に使用されるため、各ランプが略同じ時期に切れて、画像の投写に支障が生じる場合が起こり得る。これに対し、本実施の形態では、自動切り替えモードの他に手動切り替えモードを選択できるため、時折、手動切り替えモードが選択されることにより、2つのランプの使用が極端に平均化されるといった事態を回避できる。よって、2つのランプが同じ時期に切れて画像の投写に支障が生じるとの問題を解消できる。
【0158】
さらに、本実施の形態では、寿命優先モードと継続優先モードを、適宜、選択設定できるため、一方で、寿命が切れたランプを使い続けることによるランプの損傷を回避することができ、他方で、寿命が切れても使用できるランプ(良品または准動作不良のランプ)を使用することができる。
【0159】
なお、継続優先モードの実行において、寿命が切れたランプが使用される場合、特に、寿命が切れ、且つ、准動作不良のランプが使用され続けるような場合には、投写画像にその旨をアナウンスする文字、図形を重ね表示する等、ユーザにランプの現状を報知するようにするのが望ましい。
【0160】
また、本実施の形態によれば、劣化が進み点灯しなくなった完全動作不良のランプの使用を未然に回避できるため、ランプの無駄な点灯動作を抑制することができる。なお、本実施の形態では、図14に示す動作不良の判別において、ランプの点灯を複数回(Ns回)繰り返すことで、ランプの動作状況が判定されるため、ランプの動作状況をより確実に判定することができる。たとえば、ランプ温度が高い状況では通常ランプは点灯し難いが、図14のフローチャートでは、このような場合に、誤ってランプを不良と判断するのを回避できる。よって、本来、完全動作不良ではないにも拘わらず完全動作不良であるとしてランプの使用が抑制されるといった不都合を回避でき、ランプをより効率的に使用することができる。
【0161】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではない。また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。以下、本実施の形態の変更例について説明する。
【0162】
<動作不良判別処理の変更例>
図14における動作不良判別処理では、ランプが完全動作不良と判別されると、その後、このランプの動作状態が良品または准動作不良に戻ることない。しかし、上記の如く、ランプ消灯直後などランプ温度が高い状況においては、通常、ランプは点灯し難く、このような場合に動作不良判別が行われると、図14のように複数回点灯試行を行って判別を行ったとしても、誤ってランプを不良と判定する惧れがある。
【0163】
本変更例は、かかる不都合を回避するためのものである。図21に、本変更例におけるランプ不良判別処理を示す。なお、図21は、図14の処理フローにS241〜S251が追加されたものであるが、ここでは、便宜上、図14の処理フローのステップの一部を図示省略している。
【0164】
ランプの始動に先立って、ランプ運用部66と動作不良判別部68は、記憶部62に格納された使用対象のランプの使用経歴データを参照する(S211)。ここで、使用経歴データが完全動作不良(完全動作不良フラグ=1)であれば(S212:YES)、次に、ランプ運用部66は、使用対象のランプと他方のランプの両方の使用経歴データを参照し、両方のランプが完全動作不良であるかを判別する(S241)。ここで、他方のランプが完全動作不良でなければ(S241:NO)、動作不良判別部68は、動作不良判別処理を終了する。この場合、他方のランプの使用が可能である。
【0165】
一方、両方のランプとも完全動作不良であれば(S241:YES)、ランプ運用部68は、このうち一方のランプを動作不良判定の対象に設定する。何れのランプを判定対象とするかは、たとえば、予めデフォルトとして設定されていても良く、あるいは、2つのランプのうち、より遅く完全動作不良とされたランプとしても良い。後者の場合、ランプ運用部68は、より遅く完全動作不良とされたランプを特定する情報を保持している。
【0166】
しかる後、ランプ運用部66は、ランプ始動実行回数Nの計測を開始し(S243)、その後、判定対象のランプを始動する(S244)。そして、判定対象のランプの始動に応じてランプ始動実行回数Nを1カウントアップし、さらに、この始動に対して点灯・消灯検出部63が点灯開始を検出したかを判定する(S245)。
【0167】
この始動は、Ns回繰り返される(S246)。Ns回の始動の間に判定対象のランプが点灯すると(S245:YES)、動作不良判別部68は、判定対象のランプを良品として(S248)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S249)。
【0168】
Ns回の始動の間に判定対象のランプが点灯しなければ(S246:YES)、ランプ運用部66は、他に判定を行っていないランプがあるかを判定し(S247)、他にランプがあれば(S247:YES)、他方のランプを判定対象に設定して(S251)、S243以降の処理を行う。これにより、他方のランプについてもNs回ランプ始動が行われ、この間に他方のランプが点灯すると(S245:YES)、動作不良判別部68は、他方のランプを良品として(S248)、記録部62に格納された使用経歴データを更新し、さらに、更新された使用経歴データを、通信制御部61を介して、対応するランプユニットの記憶部71aまたは71bに上書きする(S250)。
【0169】
一方、Ns回の始動の間に他方のランプが点灯しなければ、S246:NO)、両方のランプについて判定が行われたため(S247)、動作不良判別部68は、動作不良判別処理を終了する。この場合、両方のランプの使用が不可能となる。
【0170】
本変更例では、誤って完全動作不良とされたランプが、その後の確認動作によって良品に戻される。よって、ランプを適正に有効利用することができ、プロジェクタの機能を適正に発揮させることができる。なお、図21のフローチャートでは、先に判定対象とされたランプが良品となると、他方のランプに対する動作不良判定を行わないようにしたが、引き続き他方のランプに対する動作不良判定を行うようにしても良い。
【0171】
<寿命優先モードの変更例>
図19に示す寿命優先モードでは、点灯対象ランプの寿命が尽きると、ランプの切り替えやランプ動作の停止の処理が行われる。この場合、寿命の尽きたランプを点灯し続けることによるランプの損傷を未然に防止できるが、反面、画像投写が中断されるとの不都合もある。この点に鑑み、本変更例では、寿命が尽きてもランプ動作(画像投写)の終了指令がなされるまでは、点灯中のランプを点灯させ続ける。
【0172】
本変更例において、点灯ランプの切り替えは、点灯中のランプが動作不良になったときに行われる。この場合も、上記図19の場合と同様、並行して自動切り替えモードが設定されていれば、切り替え後のランプを点灯ランプとする手動切り替えモードに切り替えられる。このとき、自動切り替えモードの自動設定データのフラグは変更されず、ランプ1、2の変化量が0にリセットされる。
【0173】
図22および図23に、本変更例に係る寿命優先モードの処理フローを示す。なお、図22は、寿命優先モードのうち使用対象ランプの寿命に関してランプ運用を行うパートの処理フローであり、図23は、使用対象ランプの動作状態(動作不良)に関してランプ運用を行うパートの処理フローである。以下では、手動切り替えモードまたは自動切り替えモードにおいて、使用対象ランプがランプ1に設定されている場合を例に、各処理フローの説明を行う。
【0174】
まず、図22を参照して、ランプ1が始動または点灯されると、ランプ運用部66は、寿命判定部67においてランプ1の寿命が尽きたと判定されたかを監視する(S601)。ランプ1の点灯が進行し、ランプ1の寿命が尽きると(S601:YES)、ランプ運用部66は、次回のランプ動作時に点灯対象とされるランプをランプ2に設定し、ユーザからOFF操作があるまで(S603:YES)、ランプ1の点灯を継続する(S602)。ユーザからOFF操作があると(S603:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1を消灯する。このとき、プロジェクタは、スタンバイ状態となる。
【0175】
しかる後、ユーザからON操作がなされると(S604:YES)、ランプ運用部66は、寿命判定部67においてランプ2の寿命が尽きたと判定されたかを判別し(S605)、ランプ2の寿命が残っていれば、記憶部62に格納されたランプ2の使用経歴データを参照して、ランプ2は良品(准動作不良および完全動作不良ではない)かを判別する(S606)。ここで、ランプ2が良品であれば(S606:YES)、ランプ運用部66は、ランプ2を始動する(S607)。一方、ランプ2が良品でなければ、システムによるOFF動作を実行させる(S608)。なお、S607によりランプ2が始動されると、ランプ2について、S601以降の処理が行われる。
【0176】
次に、図23を参照して、ランプ1の始動時にランプ1が点灯せず、あるいは、ランプ1の点灯中にランプ1の点灯が切れると(S611:YES)、ランプ運用部66は、記憶部62に格納されたランプ2の使用経歴データを参照し、ランプ2が良品であるかを判定する(S612)。ここで、ランプ2が良品であれば、ランプ運用部66は、さらに、寿命判定部67におけるランプ2の寿命判定結果を参照し、ランプ2に寿命が残っているかを判定する(S613)。
【0177】
ランプ2が良品ではなく、あるいは、ランプ2に寿命が残っていなければ、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S623)。一方、ランプ2の寿命が残っていれば(S613:YES)、ランプ運用部66は、ランプ2の点灯始動を行う(S614)。
【0178】
ここで、ランプ2が点灯しなければ(S615:NO)、ランプ2は准動作不良とされ(S612:NO)、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S623)。一方、ランプ2が点灯すれば(S615:YES)、ランプ運用部66は、ランプ2に動作不良(良品→准動作不良)が生じ(S616:YES)、あるいは、ユーザによりOFF操作がなされるまで(S617:YES)、ランプ2の点灯を行う。かかる点灯中に、ランプ2が切れると、ランプ2は准動作不良とされ(S612:NO)、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S623)。
【0179】
S617において、ユーザによるOFF操作がなされると、ランプ運用部66は、ランプ2を消灯させる。このとき、プロジェクタはスタンバイ状態となる。その後、ユーザによりON操作がなされると、ランプ運用部66は、まず、ランプ1に対する点灯始動を行う(619)。これによりランプ1が点灯すると(S620:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1の点灯を継続する(S612)。この場合、S611に戻って、再び、ランプ1について同様の処理が行われる。
【0180】
一方、ランプ1が点灯しなければ(S620:NO)、ランプ運用部66は、ランプ2に対する点灯始動を行う。この場合には、ランプ2について、S601以降の処理が行われる。
【0181】
S623においてシステムによるOFFがなされた後、ユーザによるON操作がなされると(S624:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1に対する点灯始動を行う(S625)。これによりランプ1が点灯すると(S626:YES)、ランプ運用部66は、ランプ1の点灯を継続する(S627)。この場合、S611に戻って、再び、ランプ1について同様の処理が行われる。一方、ランプ1が点灯しなければ(S626:NO)、ランプ運用部はシステムによるOFF動作を実行させる(S628)。
【0182】
本変更例の図22の処理フローによれば、ランプ1の点灯始動時および点灯中にランプ1の寿命が尽きても、ランプ1は、ユーザからOFF操作があるまで点灯が継続される(S602、S603)ため、ランプの寿命が尽きたことによる画像投写の中断が防止され
る。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0183】
また、本変更例の図23の処理フローによれば、ランプ1が動作不良となったときに、ランプ2の寿命が残っていなければランプ2を点灯させずにシステムによるOFF動作が実行される(S613、S623)ため、寿命のない状態でランプ2が点灯されることによるランプ2の損傷等を防止することができる。
【0184】
さらに、本変更例の図23の処理フローによれば、ランプ2の使用が不適正であるとしてシステムによるOFF動作がなされたときに(S612、S613、S623)、ユーザからON操作がなされると(S624)、ランプ1の点灯始動が行われる(S625)ため、何らかの原因によりS611においてランプ1に動作不良が生じたと誤って判定されても、これを訂正して、ランプ1の使用を続けることができる。
【0185】
また、本発明によれば、使用ランプがランプ2に切り替えられた状態(S614、S615、S616)でユーザによるOFF操作がなされ(S617)、その後、ユーザによるON操作がなされると(S618)、ランプ1の点灯始動が行われる(S626)ため、何らかの原因によりS611においてランプ1に動作不良が生じたと誤って判定されても、これを訂正して、ランプ1の使用を続けることができる。
【0186】
<継続優先モードの変更例>
図24は、継続優先モードの変更例を示す処理フローチャートである。この処理フローチャートでは、図23の処理フローチャートに比べて、ステップS613が省略されており、その他の処理フローチャートは図23と同様である。
【0187】
この変更例では、S612にてランプ2が良品であれば、ランプ2に寿命が残っているかに拘わらず、ランプ2が点灯始動される。すなわち、ランプ1が動作不良となった場合(S611)に、ランプ2が良品であれば(S612)、寿命が残っているかに拘わらずランプ2の点灯始動を行い(S614)、ランプ2が点灯すればランプ2が使用される(S615)。よって、ランプ1が切れた場合に画像投写を継続させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0188】
以上に示した変更例の他にも、本実施の形態は、種々変更可能である。
【0189】
たとえば、上記実施の形態では、ランプユニットを2つ搭載可能なプロジェクタを例に挙げたが、ランプユニットの搭載数は、1つであってもよく、あるいは、3つ以上であっても良い。また、本発明に係るランプユニットは、プロジェクタ以外の製品にも適用可能である。ランプユニットを3つ以上配する場合、自動切り替えモードでは、各ランプに順番を設定し、この順番に従って、使用するランプユニットを変更するようにすれば良い。また、寿命優先モードでは、使用対象ランプの寿命が尽き、あるいは、動作不良が発生したときに、たとえば、残りのランプのうち寿命が残っており、且つ、より良品に近いランプ(完全動作不良を除く)に切り替えるようにすれば良い。さらに、継続優先モードでは、使用対象ランプの寿命が尽き、あるいは、動作不良が発生したときに、たとえば、このランプが完全動作不良(および准動作不良)でなければ点灯を継続し、そうでなければ、残りのランプのうちより良品に近いランプ(完全動作不良を除く)に切り替えるようにすれば良い。
【0190】
また、上記実施の形態では、ランプユニットを管理するためのランプ管理情報として、図11(b)に示す2種のデータを示したが、さらにこれ以外の情報をランプ管理情報に含めることも可能である。たとえば、ランプの型番等、ランプを識別するための情報や、ランプの照度や色ムラ等、当該ランプの特性に関する情報をランプ管理情報として含めることができる。
【0191】
また、ランプユニットの名称、使用開始日、動作状態等に関する情報を、ユーザにより、適宜、ランプ管理情報に含め得るようにすることもできる。かかる情報は、たとえば、プロジェクタの操作部を介して入力され、あるいは、専用のインタフェースを介してパソコンから書き込むようにすることができる。こうすると、当該ランプユニットの固有情報を適宜ユーザが確認でき、ユーザの利便性を高めることができる。
【0192】
これらの情報は、上記積算時間データ(使用積算時間)や使用経歴データ(動作不良状態)とともに、ユーザメニュー等によりユーザに提示可能とするのが望ましい。こうすると、ユーザが、各モードの選択や、手動切り替えモードにおいて使用するランプの選択を円滑に行うことができる。また、動作不良の判別結果は、随時、ランプ交換を知らせるインジケータ等によりユーザに報知するようにするのが望ましい。こうすると、ユーザは、ランプの故障を的確に知ることができる。
【0193】
なお、本実施の形態において、冷却装置4は、2つのランプユニット10a、10bのうち一方を選択的かつ重点的に冷却できるよう構成されるのが望ましい。この場合、冷却装置4は、ランプ運用部66に連動して、使用されるランプユニットを冷却するよう制御される。
【0194】
上記実施の形態において、ランプユニットをユーザが交換する際には、キャビネット1に形成された図示しないランプカバーが開けられることとなる。この場合、ランプカバーが開けられている状態でのランプの点灯は、安全性の面から回避されなければならず、このため、上記実施の形態では、ランプカバーの開閉を検知するための検知手段が配され、ランプカバーが開いている状態ではランプが点灯しないよう制御される。
【0195】
したがって、上記実施の形態では、ランプカバーが開いている状態におけるランプの不点灯は、動作不良として判定されて記憶部62ないし71a、71bに記憶されないよう制御される。すなわち、動作不良判定部68は、検知手段によりランプカバーが開いていると検知された状態においては、点灯・消灯検出部によりランプの点灯が検出されなくても、当該ランプが動作不良状態にあると判別しない。
【0196】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0197】
10a、10b … ランプユニット
54 … コントローラ
66 … ランプ運用部(運用部)
66a… モード設定部(設定部)
67 … 寿命判定部(運用部)
68 … 動作不良判別部(不良判別部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1か第2の何れかのランプを点灯させ、1個のランプ点灯による照明光を変調して投写する映像表示装置において、
ユーザにより選択されたランプを点灯ランプとして使用する手動切り替えモードと、第1と第2のランプとが自動で切り替わる自動切り替えモードとを備え、
現在のモードが手動切り替えモードであるか、あるいは自動切り替えモードであるかにも係わらず、点灯させているランプの使用積算時間が、予め定められている寿命基準時間を越えた場合でも、点灯させているランプの点灯を継続させると共に、点灯させているランプが寿命である旨の表示を行うことができるように構成されていることを特徴とする映像表示装置。
【請求項1】
第1か第2の何れかのランプを点灯させ、1個のランプ点灯による照明光を変調して投写する映像表示装置において、
ユーザにより選択されたランプを点灯ランプとして使用する手動切り替えモードと、第1と第2のランプとが自動で切り替わる自動切り替えモードとを備え、
現在のモードが手動切り替えモードであるか、あるいは自動切り替えモードであるかにも係わらず、点灯させているランプの使用積算時間が、予め定められている寿命基準時間を越えた場合でも、点灯させているランプの点灯を継続させると共に、点灯させているランプが寿命である旨の表示を行うことができるように構成されていることを特徴とする映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−102987(P2011−102987A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273342(P2010−273342)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【分割の表示】特願2008−284674(P2008−284674)の分割
【原出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【分割の表示】特願2008−284674(P2008−284674)の分割
【原出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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