説明

映像表示装置

【課題】スクリーンなどの映像表示部から表示画像とともに映像表示以外の光を発することによって、再撮された映像の画質を劣化させ、再撮された画像コンテンツの利用を不可能にする。
【解決手段】本発明の映像表示システム1は、デジタル映像信号に基づいて表示画像を生成するプロジェクタ202(画像形成部)と、プロジェクタ202によって生成された画像が投射されて表示されるスクリーン203(映像表示部)とを備えている。スクリーン203の背後には、スクリーン203に映像が表示されている期間中に、映像表示面から赤外光(映像表示以外の光)を発する赤外線発光ユニット204(発光部)が設けられている。赤外光の光量は時間的に変化し、コンテンツ記録装置130(ビデオカメラ)のオートアイリス制御の時定数以下の時間で変動する期間を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンや画像表示パネルに表示された映画などの画像コンテンツをビデオカメラなどの画像記録装置で再撮影する行為を防ぐための映像表示の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像表示装置やデジタルカメラ等の撮影装置の普及および高画質化が進み、低コストで高画質のコンテンツを視聴することが可能となっている。しかし一方で、スクリーンやディスプレイに表示された画像、動画像などのコンテンツをデジタルビデオカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影したコンテンツを違法に流通させる行為(再撮影行為)が問題視されている。このように不正に撮影された海賊版DVDの流通は、著作権の保護に反するとともに、経済的な損失も非常に大きいため、対策が急がれている。
【0003】
この問題の対策として、ビデオカメラの光学系が強力な赤外光を受けるとビデオカメラの自動焦点調整機構に狂いが生じることを利用し、ビデオカメラに強制的にピンボケ状態を作り出し、盗撮したビデオテープ、ハードディスクなどの映像を劣化させる事を特徴する盗撮防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−20263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献に開示された方法では、自動焦点調整機構をオフして手動焦点機構により焦点調整を行い盗撮することを試みる行為を効果的に抑制することができない。
【0006】
また、上記文献によれば、盗撮防止装置を1〜3秒程度の間隔で点滅することで、ピンボケ効果とともに露出機能をも低下させることが開示されているが、自動焦点機能をオフして盗撮する場合、十分に映像を劣化させることができない。
【0007】
本発明は、スクリーンから表示画像とともに映像表示以外の光を発し、カメラのオートアイリス機構に作用することで、再撮された映像の画質を劣化させ、再撮された画像コンテンツの利用を不可能にする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる映像表示装置は、上記の課題を解決するために、表示画像を生成する画像形成部と、上記画像形成部によって生成された画像が表示される映像表示部とを備えている映像表示装置であって、上記映像表示部に映像が表示されている期間中に、該映像表示部の表面から映像表示以外の光を発する発光部が設けられており、該映像表示以外の光の発光強度が変化することを特徴とする。
【0009】
本発明の映像表示装置は、例えば、プロジェクタなどの画像形成部が例えばデジタル映像信号に基づいて画像を形成し、形成された画像をスクリーンなどの映像表示部に投影させて映像を表示するものである。あるいは、本発明の映像表示装置は、例えば、プラズマディスプレイまたは有機EL等の自発光型表示装置や、液晶表示装置等の非発光型表示装置であっても良い。本発明の映像表示装置には、映像表示部に映像が表示されている期間中に、該映像表示部の表面から映像表示以外の光を発する発光部が設けられている。
【0010】
ここで、映像表示以外の光とは、380nmから780nmまでの波長帯に含まれない光のことであり、具体的には、赤外光または紫外光のことである。このような映像表示以外の光は、人間の眼には認識され難いが、CCD、CMOSイメージセンサなどを備えたコンテンツ記録装置(具体的には、例えば、ビデオカメラ)では可視光と同様に検出される。
【0011】
上記の構成によれば、映像表示部に映像が表示されている期間中に、人間の眼には認識されないがビデオカメラには検出される映像表示以外の光であって、その発光強度が変化する光を映像表示面から照射することができる。これにより、再撮された画像コンテンツはオリジナルの映像とは無関係に明るくなったり暗くなったりする映像となり、非常に見づらい映像となる。なお、発光部から照射される光は赤外光または紫外光なので、人間の目には認識され難く、ほぼオリジナルの映像のみが映像表示部に表示されているように見える。
【0012】
このように、本発明の映像表示装置によれば、映像表示部に表示される映像の表示品質を落とすことなく、再撮された映像の表示品質を劣化させることができる。したがって、再撮された画像コンテンツの利用価値を低下させ、結果として再撮された画像コンテンツの不正な流通を防ぐことができる。
【0013】
本発明の映像表示装置において、発光部の発光状態を制御する発光制御部をさらに備え、上記発光制御部が発光状態を制御する上記発光部は、上記映像表示部に映像が表示されている期間中に発光強度が広義単調増加または単調減少する2以上の発光強度変化期間を有し、上記2以上の発光強度変化期間が連続していることが好ましい。
【0014】
また、上記発光部の上記2以上の連続している発光強度変化期間には、カメラのオートアイリス制御の時定数以上の期間と時定数以下の期間を含んでいることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、オートアイリス制御が追従するゆっくりした発光強度変化の後にオートアイリス制御が追従できない急激な発光強度変化を起こすことで、カメラのアイリスが不適当なアイリス開放状態となる。よって、再撮に値する品質の画像が残る時間領域と劣化した品質の画像の時間領域が隣接するので、再撮された映像を非常に見づらい映像にすることができる。
【0016】
なお、上記発光部の上記広義単調増加または単調減少する発光強度変化期間は、おおむね30ミリ秒以上3.0秒以下であれば、効果的にオートアイリス制御に作用することができる。
【0017】
本発明の映像表示装置は、上記映像表示部に表示される映像の明るさを解析する画像解析部をさらに備え、上記発光制御部は、上記画像解析部によって解析された映像の明るさに基づいて、上記発光部の単位面積あたりの最大発光強度が上記映像の単位面積あたりの明るさ以上となるように制御することが好ましく、また、上記発光部の単位面積あたりの最大発光強度が上記映像の単位面積当たりの3倍以上となるように制御することがより好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、表示される映像の明るさに応じて、発光部の最大発光強度を変化させることができるので、よりカメラに効率的に妨害を与えることができる。
【0019】
本発明の映像表示装置において、上記発光制御部は、発光部の発光強度の変化が極小の値から極大の値に至るまでと、上記極大の値から極小の値に至るまでとの少なくとも一部が線形に変化するように制御することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、信号発生部を簡易なデジタル回路で構成することができる。
【0021】
本発明の映像表示装置において、上記発光制御部は、発光部の発光強度の変化が極小の値から極大の値に至るまでと、上記極大の値から極小の値に至るまでとの少なくとも一部が非線形に変化するように制御することが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、オートアイリス制御の追従が常にできなくなるため、不適当なアイリス開放状態が維持されることとなる。
【0023】
本発明の映像表示装置において、上記発光制御部は、発光部の発光強度の変化が生じない期間を含み、その期間の長さがカメラのオートアイリス制御の時定数以上であるように制御することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、一定期間適切なアイリス開放状態が維持されるので、再撮された映像には正常な映像が見える期間がある程度存在することになり、人間には見づらい映像にすることができる。
【0025】
また、再撮された映像には周期的な輝度変化が重畳されることにもなるので、フリッカ的要素を与えることができ、映像の明るさが変化しない静止画に対して特に有効となる。
【0026】
本発明の映像表示装置において、上記発光制御部は、上記発光部の上記広義単調増加または単調減少する発光強度変化期間の合計長さが、カメラのオートアイリス制御の時定数以下であってもよい。
【0027】
また、上記発光部の上記広義単調増加または単調減少する発光強度変化期間の合計長さが、30ミリ秒以上3.0秒以下であることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、オートアイリス制御が追従できない急激な発光強度変化を起こすことで、カメラのアイリスが不適当なアイリス開放状態となる。なお、アイリス機構制御部は一定期間の明るさの平均をとり、この値に対してアイリスを開閉する動作を行う。よって、発光強度の変化がオートアイリス制御の時定数以下ならばオートアイリス制御が追従できなくなるので、再撮された画像の明るさが狂うこととなる。
【0029】
本発明の映像表示装置において、上記映像表示以外の光は、赤外光であってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の映像表示装置は、映像表示部に映像が表示されている期間中に、該映像表示部の表面から映像表示以外の光を発する発光部が設けられており、該映像表示以外の光の発光強度が変化することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、再撮された画像コンテンツの表示品質を落とすことでその利用価値を低下させ、結果として再撮された画像コンテンツの不正な流通を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる映像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる映像表示システムの概略構成を示す模式図である。
【図3】本実施の形態の映像表示システムにおけるスクリーンおよび赤外線発光ユニットと、観察者との位置関係を示す模式図である。
【図4】本実施の形態の映像表示システム1における再撮防止信号出力部120の信号発生部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態のコンテンツ記録装置130におけるアイリス機構の概略構成を示すブロック図である。
【図6】(a)は、図1に示すコンテンツ表示部110における処理の流れの一例を示すフローチャートである。(b)は、図1に示す再撮防止信号出力部120における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図8】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図9】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図10】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図11】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図12】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図13】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図14】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【図15】本実施の形態の映像表示システムにおける再撮防止信号出力部からの赤外光の発光強度変化の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願発明者らは、人間の視覚には赤外線や紫外線などの可視光以外の光は認知されないのに対して、再撮に用いられるデジタルカメラおよびデジタルビデオカメラなどの撮像素子であるCCDおよびCMOSイメージセンサでは、素子そのものの不安定性から赤外線や紫外線などの波長も検知されることに着目した。そして、映画館などのスクリーンにおいて映像を表示しているときに、画像表示面から人間による知覚が困難な波長の光を再撮防止信号として同時に照射することで、カメラのオートアイリス機構に作用し、不適切なアイリス開放状態とすることで再撮された画像コンテンツはオリジナルの映像とは無関係に明るくなったり暗くなったりする映像として取り込むことが可能になることを見出し、本発明を完成させた。つまり、本発明によれば、ビデオカメラが取り込んだ画像コンテンツを再生した場合には、再撮された画像コンテンツの品質を劣化させることができる。これにより、映像の視聴が困難になり、結果として、再撮された画像コンテンツの不正な流通を防止できる。
【0034】
〔実施の形態1〕
上記のような技術思想に基づいて実現される本発明の一実施形態について、図1〜図15に基づいて説明すると以下の通りである。なお、ここで説明する具体例は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
本実施の形態では、デジタル画像コンテンツを基にして、映画館や劇場などにおいて映画などの映像を上映する映像表示システムについて説明する。本実施の形態の映像表示システムによれば、劇場で上映されている映画などのデジタル画像コンテンツがデジタルビデオカメラなどによって撮影された場合に、撮影されたデジタル画像コンテンツの表示品質を劣化させることで、再撮後の画像コンテンツが不正に流通することを防ぐことができる。
【0036】
図2には、本実施の形態にかかる映像表示システム1の概略構成を示す。映像表示システム1(映像表示装置)は、映像再生機201、プロジェクタ202(画像形成部)、スクリーン203(映像表示部、映像表示シート)、および、赤外線発光ユニット204(発光部、発光制御部)で構成されている。
【0037】
映像再生機201は、外部から取り込んだ画像コンテンツを一旦格納した後、画像形成を可能にするためのデコード処理を行い、処理後のデジタル映像信号をプロジェクタ202へ送信する。映像再生機201の構成については、従来公知のデジタル映像再生装置の構成を適用することができる。なお、本実施の形態のような映像表示システム1では、映像再生機201によって再生される画像コンテンツは、複数の画像フレームで構成されている画像コンテンツ(動画コンテンツ)が一般的であるが、本発明では必ずしもこれに限定はされない。つまり、画像コンテンツは、静止画像のコンテンツであってもよい。
【0038】
プロジェクタ202は、映像再生機201から送信されたデジタル映像信号に基づいて、内蔵された表示素子において表示画像を形成し、さらに形成された画像を、内蔵された投射光学系を用いてスクリーン203に投射させる。プロジェクタ202の構成については、従来公知の前面投射型の画像表示装置の構成を適用することができる。
【0039】
スクリーン203は、プロジェクタ202から投射された画像を表示する。
【0040】
赤外線発光ユニット204は、スクリーン203の背面側に配置されており、スクリーン203に映像が表示されている期間中、赤外光を前面側に発光する。ここで、スクリーン203の背面側とは、画像が表示される面(観察者または観客席と対向している面)とは反対側のことであり、スクリーン203の前面側とは、画像が表示される側(観察者がいる側)のことである。
【0041】
ここで、スクリーン203および赤外線発光ユニット204の具体的な構成について、以下に説明する。
【0042】
スクリーン203は、映画館において映像を表示する従来の一般的なスクリーンと同様の構成である。なお、従来の一般的なスクリーンは、多数の小さな穴(2〜3mm程度の穴)を有する黒い幕の表面に白い塗料が塗布されて、画像表示面203aが形成されている。
【0043】
また、赤外線発光ユニット204は、上記のようにスクリーン203の背面側に配置されている。この赤外線発光ユニットには、赤外LED204aが設けられている。赤外LED204aとしては、例えば、波長780nm付近の波長帯の光を発するもの(これを780nmのLEDとする)、波長850nm付近の波長帯の光を発するもの(これを850nmのLEDとする)などが挙げられる。
【0044】
上記の構成により、図3に示すように、赤外線発光ユニット204から発せられた赤外光は、スクリーン203に設けられた穴を通過して、観察者(観客席)に向かって照射される。
【0045】
なお、赤外LED204aから照射される光には、赤外領域に近い可視光領域の光が含まれることがある。そのため、赤外線発光ユニット204の光照射面に、可視光カットフィルタを配置してもよい。ここで使用する可視光カットフィルタは、従来公知のものでよい。特に、780nmのLEDは、より可視光領域に近い波長帯の光を発するため、可視光カットフィルタとともに利用することが望ましい。これにより、ビデオカメラなどのコンテンツ記録装置では検知されるが、観客席にいる人の目には視認されない赤外線発光ユニットを実現することができる。
【0046】
続いて、映像表示システム1において、映像を表示するための処理の流れと、再撮された画像の品質を劣化させるための処理の流れについて説明する。図1は、これらの処理を行うための装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0047】
図1に示すように、映像表示システム1内には、スクリーン203に映像を表示するためのコンテンツ表示部110と、再撮された画像の表示品質を劣化させるための再撮防止信号出力部120とが含まれている。なお、図1には、映画館などにおいて再撮行為を行う者が所持するビデオカメラを、コンテンツ記録装置130として示す。
【0048】
コンテンツ表示部110には、コンテンツ格納部111、デコーダ112、および、コンテンツ出力部113が含まれている。
【0049】
コンテンツ格納部111は、外部から取り込んだ映画などの画像コンテンツを一時的に格納するためのものである。この場合、コンテンツ格納部111は、ハードディスクドライブや大容量メモリなどで実現される。但し、本発明では、コンテンツ格納部は上記のようなものに限定はされず、キャッシュや高速メモリなどといった、画像コンテンツの再生および表示中のバッファとして機能するものであってもよい。デコーダ112は、コンテンツ格納部111に格納された画像コンテンツを、プロジェクタ202の表示規格に適合するフォーマットにデコード処理する。コンテンツ出力部113は、デコード処理された画像コンテンツ(デジタル映像信号)から表示画像を形成し、スクリーン203の画像表示面(画像表示領域)203aに表示する。
【0050】
本実施の形態においては、コンテンツ表示部110内の各ブロックのうち、コンテンツ格納部111およびデコーダ112は、映像再生機201内にある。また、コンテンツ出力部113は、プロジェクタ202およびスクリーン203として実現される。
【0051】
上記したコンテンツ表示部110については、公知の映像表示システムと同様の構成を適用することができる。
【0052】
再撮防止信号出力部120には、コンテンツ解析部121(画像解析部)、信号制御部122(発光制御部)、信号出力パターン格納部123(発光制御部)、および、信号発生部124(発光部)が含まれている。
【0053】
コンテンツ解析部121は、コンテンツ表示部110から取り出した画像コンテンツ(デジタル映像信号)の空間的特徴量および時間的特徴量を解析する。すなわち、複数の画像フレームで構成されている画像コンテンツについて、フレームごとに各画素の明るさ(階調値)を解析する。これにより、一連の映像において、どの時点(どのフレーム)でどの領域がどの程度の明るさであるかという空間的特徴量および時間的特徴量に関する画像情報が得られる。よって、複数フレーム分の画像をサンプリングして映像の単位面積当たりかつ単位時間当たりの明るさを求めることもできる。なお、コンテンツ解析部121に送信されるデジタル映像信号は、デコーダ112において処理された映像信号である。
【0054】
信号制御部122では、赤外線発光ユニット204における発光強度を制御する。このとき、発光強度の制御は、信号出力パターン格納部123に格納されている情報を参照しながら行われる。
【0055】
なお、信号出力パターン格納部123には、信号発生部124が出力する赤外光(再撮防止信号)の強度や信号パターンなどが格納されている。また、一定期間の映像における単位面積あたりの明るさと、そのときの赤外線発光ユニット204の最大発光強度(赤外LEDの電流値)とが対応付けて格納されている。これにより、信号制御部122では、信号出力パターン格納部123に格納されている信号発生パターンを参照しながら、信号発生部124における赤外LEDの発光状態を制御することができる。
【0056】
信号発生部124は、信号制御部122からの指示に応じて再撮防止信号である赤外光の出力の強度を変化させる。
【0057】
本実施の形態においては、再撮防止信号出力部120内の各ブロックのうち、コンテンツ解析部121、信号制御部122、および、信号出力パターン格納部123は、映像再生機201内にある。また、信号発生部124は、赤外線発光ユニット204に相当する。
【0058】
上記のように、コンテンツ解析部121、信号制御部122、および、信号出力パターン格納部123が設けられていることにより、赤外線発光ユニット204における赤外線の発光強度や発光パターンを制御することができる。
【0059】
但し、本発明では、画像コンテンツの性質に合わせた発光強度および発光パターンの変更は必ずしも必要ではなく、予め決められた発光強度および発光パターンで赤外線発光ユニット204における発光の制御を行ってもよい。これにより、再撮防止信号出力部120における処理量を軽減させることができる。このように、発光の制御を予め決められたパターンで行う場合には、赤外線発光ユニット204に発光制御部を取り付け、スクリーン203に映像が表示されている期間中、画像コンテンツの内容とは無関係に一定の発光強度および発光パターンで赤外線を出力させればよい。この時、例えば、信号発生部124は、入力されたクロック信号によりカウントアップあるいはカウントダウンするカウンタの出力にD/Aコンバータを接続し、D/Aコンバータの出力に応じて赤外LEDの発光状態を線形に制御する構成とすれば、回路構成を簡易化できる。なお、赤外LEDの発光状態を非線形に制御する構成とする場合の信号発生部300には、図4に示すように、カウンタ301とD/Aコンバータ303の間に、カウンタ値と赤外LEDの発光強度との関係を定義したルックアップテーブルを格納したROM(Read Only Memory)302を接続すればよい。
【0060】
コンテンツ記録装置130は、スクリーン203に表示された映像を再撮しようとする者(再撮行為者)が用いるコンテンツの録画装置である。コンテンツ記録装置130は、デジタルビデオカメラなどの従来公知の装置で実現できる。
【0061】
図1に示すように、コンテンツ記録装置130は、空間中に表示された画像を取り込むコンテンツ取込部131、取り込んだコンテンツをエンコードするエンコーダ132、エンコード済みコンテンツを格納するコンテンツ格納部133、格納コンテンツを表示に適したフォーマットにデコードするデコーダ134、取り込んだコンテンツを表示に適したフォーマットに変換するコンバータ135、取り込んだコンテンツを表示または出力するコンテンツ出力部136を具備する。コンテンツ取込部131は、CCDまたはCMOSイメージセンサを受光素子として備え、さらにレンズ機構およびアイリス機構を備えている。コンテンツ記録装置に入射する光は、レンズで集光され、アイリスによって光量が制限された後、受光素子に到達する。光量を制限する目的は、最適な光量を受光素子に到達させるためであり、その光量が多すぎると映像は明るくなりすぎ、その光量が不足すると暗くなりすぎる。また、コンバータ135は、コンテンツ取込部131によって取り込んだコンテンツを格納せずに直接表示または出力するためのものである。
【0062】
アイリス機構400は図5に示す通り、オートアイリス機能を有しており、光量測定部401と光量積分部402とアイリス制御部403とを備えている。受光素子で受光した光量に基づく光量測定部401の結果をオートアイリス制御の時定数の間、光量積分部402で積分し、その積分値に基づいてアイリス制御部403がアイリス開度を制御する。その後、そのアイリス開度の状態で上記と同じ動作を行う。以上の動作を繰り返し、アイリス開度を自動で制御する。なお、CCDまたはCMOSイメージセンサ等の受光素子は、可視光域だけでなく、赤外光および紫外光の光量も検出する。
【0063】
なお、ここでは、アイリスの開度が可変である機械的アイリスについて説明したが、電子的アイリスでも構わない。電子式アイリスとしては、例えば受光素子とA/Dコンバータとの間に設ける増幅器(プリアンプ)が挙げられ、増幅器のゲインを調整することにより、受光量の調整効果が得られる。なお、以下の説明においては、アイリス機構400が機械式アイリスであるものとして、アイリスを「開く(開放)」または「閉じる」といった表現を用いる。しかし、電子式アイリスを用いる場合であれば、増幅器のゲインを高くすることにより、機械式アイリスにおいてアイリスを開くことと同様の効果が得られ、増幅器のゲインを低くすることにより、機械式アイリスにおいてアイリスを閉じることと同様の効果が得られる。
【0064】
本実施の形態の映像表示システム1は、上記のような構成を有していることによって、スクリーン203の画像表示面203aから観察者に向かって映像とともに赤外光を照射することができる(図3参照)。人間の目は赤外光を認識しないため、赤外光を含む映像がスクリーンに映し出されても、通常の映像と何ら変わることのない映像が表示されているように認識される。これに対して、再撮に使用されるビデオカメラなどのコンテンツ記録装置130は、赤外光も検知するCCDまたはCMOSイメージセンサを受光素子として有している。そのため、赤外光を含む映像を撮影すると、不適当なアイリス開放状態でスクリーンに表示された映像を取り込むことになる。
【0065】
続いて、図6(a)および図6(b)に示すフローチャートを参照しながら、映像表示システム1における映像処理および再撮防止信号出力処理の流れについて説明する。
【0066】
まず、コンテンツ表示部110における処理の流れを、図6(a)を参照しながら説明する。
【0067】
コンテンツ表示部110では、ステップS311において、コンテンツ格納部111に格納されたエンコード済みの画像コンテンツからエンコード時のパラメータを読み出す。パラメータの読み出しが行われた画像コンテンツは、デコーダ112に送られる。デコーダ112では、読み出されたパラメータにしたがって格納されたコンテンツから一定時間分の部分コンテンツを読み出し、当該コンテンツのデコードを行い、さらに、デコード済みコンテンツからフレーム画像を読み出す(ステップS312)。
【0068】
デコード済みのコンテンツから読み出されたフレーム画像はコンテンツ出力部113(プロジェクタ202)に送信され、ここでプロジェクタにおいて画像形成が可能な表示フォーマットへの変換が行われる(ステップS313)。
【0069】
続いて、ステップS314において、コンテンツ出力部113(プロジェクタ202)は、変換した画像コンテンツをスクリーン203に表示する。その後、ステップS315において、コンテンツ表示部110は、画像コンテンツの所定の領域に表示終了の命令があるか否かを判定する。そして、当該命令がなければ(S315においてNOであれば)、ステップS311に戻り、映像の出力を継続する。一方、表示終了の命令を検知すると(S315においてYESであれば)、映像表示を終了する。
【0070】
以上が、コンテンツ表示部110における処理の流れであるが、この処理に関しては、従来のデジタル映像表示装置における画像処理の方法と同じである。
【0071】
続いて、再撮防止信号出力部120における処理の流れを、図6(b)を参照しながら説明する。図6(b)は、コンテンツ表示部110において複数フレーム分の画像コンテンツの表示が行われるときに、再撮防止信号出力部120において行われる信号出力処理の流れを示すフローチャートである。ここでの複数フレーム分とは、少なくともオートアイリス制御の時定数以上の時間に相当する。
【0072】
まず、再撮防止信号出力部120内のコンテンツ解析部121は、(デコーダ112から送信された)デコード済みの画像コンテンツにおけるデータの特徴量(画像情報)を求める(ステップS321)。すなわち、コンテンツ解析部121では、複数の画像フレームで構成されている画像コンテンツについて、フレームごとに各画素の明るさ(階調値)を解析する。
【0073】
コンテンツ解析部121において得られた画像情報は、信号制御部122に送られる。信号制御部122では、信号出力パターン格納部123を参照しながら、送信された画像情報に対して送出すべき再撮防止信号の強度および発光パターン(発光波形)を決定する(ステップS322)。そして、信号制御部122は、決定された信号出力のパターンに基づいて信号発生部124における赤外光の発光状態の制御を行う(ステップS323)。すなわち、信号制御部122では、コンテンツ解析部121で得られた画像情報に基づいて、信号発生部124(赤外線発光ユニット204)における発光強度を制御する。
【0074】
その後、ステップS324において、コンテンツ解析部121が画像コンテンツの所定の領域に表示終了の命令があるか否かを判定する。そして、当該命令がなければ(S324においてNOであれば)、ステップS321に戻り、処理を継続する。一方、表示終了の命令を検知すると(S324においてYESであれば)、処理を終了する。
【0075】
ここで、信号発生部124が発する再撮防止信号の強度と発光パターンの制御方法について説明する。
【0076】
再撮防止信号の強度に関しては、例えば、スクリーン203に映し出されている映像の明るさに基づいて、再撮防止信号(赤外光)の強度を決定するという方法を採用することができる。つまり、スクリーン203に表示される映像の単位面積当たりの明るさよりも、赤外線発光ユニット204の最大発光強度を大きく設定することが好ましい。例えば、スクリーン203に表示される映像の単位面積当たりの明るさに対して、赤外線発光ユニット204の最大発光強度を3倍以上に制御することができる。また、スクリーン203に映し出されている映像の明るさの変化に基づいて、赤外発光ユニット204の最適な発光パターン(発光波形)を選択することができる。
【0077】
より具体的には、信号出力パターン格納部123に、例えば、図7〜図15に示すような発光パターンを格納しておくことで、サンプリングする映像ごとの明るさおよび明るさ変化の周期が異なる様々な映像コンテンツに対応することが可能となる。これらの図の縦軸は赤外線発光強度を、横軸は時間を示している。
図7に示す発光パターンは、赤外線発光強度が極小値から極大値へ線形増加する期間t1と極大値から極小値へ線形減少する期間t2とを含んでいる。そしてそれらの期間が連続することで略三角波形を構成し、その略三角波形を繰り返す。t1はオートアイリス制御の時定数以上、t2はオートアイリス制御の時定数以下であり、t1の方がt2よりも長い。通常、ビデオカメラのオートアイリス制御の時定数は30ミリ秒〜5.0秒程度であり、時定数が1秒ならば1秒間の光量の平均を取りアイリス開度が決定される。よって、t1の期間はオートアイリス制御が追従するゆっくりとした発光強度の変化期間となり、その後のt2の期間はオートアイリス制御が追従できない急激な発光強度変化の期間となる。このような急激な発光強度の変化は不適当なアイリス開放状態を生み出すので、ある程度再撮に値する品質画像が残る時間領域t1と劣化した品質画像の時間領域t2が隣接することになり、非常に見づらい再撮映像にすることができる。なお、赤外線発光強度の極大値(最大値)を、スクリーンに映し出されている映像すなわちサンプリングする複数フレーム分の画像の単位面積当たりの明るさよりも大きくとすることで、より効果的にオートアイリス機構に作用することができる。なお、アイリスの制御は一定期間の光量の積分値(平均値)に基づいて行われる。よって、数秒間隔で点滅するような略矩形波の場合に比べると、略三角波形が連続する本形態の方が積分面積を大きくできるので、より効果的にオートアイリス機構に作用することができる。
【0078】
図8に示す発光パターンは、図7における略三角波形の極大値が変化するパターンであり、その他は図7と同様である。図8に示す発光パターンにおいて、発光強度の極大値を規則的に変化させても良いし、ランダムに変化させても良い。あるいは、スクリーンに表示される映像すなわちサンプリングする複数フレーム分の画像の単位面積当たりの明るさが変動する場合に、コンテンツ解析部121によりその変動を検出し、検出した変動に応じて発光強度の極大値を細かく制御することで、効果的にオートアイリス機構に作用することができる。
【0079】
図9に示す発光パターンは、図7における赤外発光強度の極小値から極大値に向かう線形変化の期間t1とt3が略三角波形毎に異なっていて、t3のほうがt1よりも長い。図9に示す発光パターンにおいて、赤外発光強度の極小値から極大値に向かう線形変化の期間の長さを規則的に変化させても良いし、ランダムに変化させても良い。あるいは、スクリーンに表示される映像すなわちサンプリングする複数フレーム分の画像の単位面積当たりの明るさが変動する場合に、コンテンツ解析部121によりその変動を検出し、検出した変動に応じて上記期間の長さ(発光強度変化の周期)を細かく制御することで、効果的にアイリス機構に作用することができる。
【0080】
図10に示す発光パターンは、図7の波形から略三角波形を間引いた、あるいは、図7に示す発光パターンにおいて、略三角波形の間隔をあけたパターンであり、その他は図7と同様である。この発光パターンでは、一定期間適切なアイリス開放状態が維持されるので、正常な映像が見える期間がある程度存在することで再撮された映像は人間には見づらい映像にすることができる。また、略三角波形のt1+t2の期間はアイリスが閉じる方向に動作し、その後の赤外発光強度がゼロのt4の期間はアイリスが開く方向に動作する。よって、再撮された映像には周期的な輝度変化が重畳されることになるので、フリッカ的要素を与えることができ、映像の明るさが変化しない静止画像に対して特に有効となる。
【0081】
図11に示す発光パターンは、図7の略三角波形の赤外線強度変化が逆になった発光パターンである。すなわち、赤外線発光強度が極小値から極大値へ線形増加する時間t5と極大値から極小値へ線形減少する時間t6とを含み、それらが連続することで略三角波形を構成しており、その略三角波形を繰り返すパターンとなっている。t5はオートアイリス制御の時定数以下の長さ、t6はオートアイリス制御の時定数以上の長さであり、t6の方がt5よりも長くなっている。例えば、図7の波形変化が映像の明るさ変化と同じ傾向になると互いが干渉して再撮画像への妨害効果が減少するような場合に、図11に示す発光パターンを選択すればよい。
【0082】
図12に示す発光パターンは、図7の略三角波形と図11の略三角波形を組み合わせた発光パターンである。すなわち、赤外線発光強度が極小値から極大値へ線形増加する時間t5と極大値から極小値へ線形減少する時間t6とが連続することで構成される略三角波形と、赤外線発光強度が極小値から極大値へ線形増加する時間t1と極大値から極小値へ線形減少する時間t2とが連続することで構成される略三角波形とを含み、それらの略三角波形の組合せが連続している。例えば、図7や図11のように、同じ略三角波形の繰り返しでは映像の明るさ変化と同じ傾向になり互いが干渉して再撮画像への妨害効果が減少するような場合に、図12に示す発光パターンを選択すればよい。
【0083】
図13に示す発光パターンは、赤外線発光強度が極小値から極大値へ非線形増加する時間t7と極大値から極小値へ線形減少する時間t8とが連続することで略三角波形を構成しており、その略三角波形を繰り返すパターンとなっている。t7はオートアイリス制御の時定数以上の長さ、t8はオートアイリス制御の時定数以下の長さであり、t7の方がt8よりも長くなっている。ただし、t7の期間の波形は非線形であり、赤外線発光強度の変化にオートアイリス制御が追従できない急峻な変化を含めることができる。よって、不適切なアイリス開放状態を常に維持することが可能となる。
【0084】
図14に示す発光パターンが図13と異なる点は、赤外発光強度の極大値から極小値に向かう線形変化の期間t9が非線形になっていることであり、その他は同様である。よって、赤外発光強度が常に非線形に変化するので、オートアイリス制御が追従できない状態をより効果的に生み出すことができる。
【0085】
図15に示す発光パターンは、赤外線発光強度が極小値から極大値へ線形増加し極大値から極小値へ線形減少する期間t10がオートアイリス制御の時定数以下となっている。アイリスの制御は一定期間の光量の積分値(平均値)に基づいて行われる。よって、数秒間隔で点滅するような略矩形波の場合に比べると、略三角波形が連続する本形態の方が積分面積を大きくできるので、より効果的にオートアイリス機構に作用することができる。ここで、赤外線発光強度が極小値から極大値へ線形増加する期間と、極大値から極小値へ線形減少する期間は、同じでも良いし、異なっていても良い。
【0086】
本実施の形態では、赤外線発光ユニット204は、スクリーン203の画像表示面の中央の一部の領域に対して赤外光を照射するような構成となっているが、本発明はこの構成に限定されない。つまり、赤外線発光ユニット204は、スクリーン203の画像表示面の全面に対して赤外光を照射するような構成になっていてもよい。
【0087】
また、赤外線発光ユニット204は、複数のユニットに分かれており、スクリーン203の複数の異なる領域に対して部分的に赤外光を照射するものであってもよい。赤外線発光ユニット204が複数のユニットで構成されている場合には、赤外光の発光強度および発光パターンを制御する信号制御部122(発光制御部)は、各ユニットに対して異なる制御を行うものであってもよい。例えば、各発光ユニットによって赤外光が照射される表示領域の平均階調値に基づいて、各発光ユニットの発光強度や発光パターンをそれぞれ決定すればよい。そうすることで、より効果的にオートアイリス機構に作用することができる。
【0088】
なお、本実施の形態の映像表示システム1では、映像表示以外の光を発する発光部として、赤外LEDを光源とする発光ユニットを用いているが、本発明はこの構成に限定されない。赤外光を発する光源として、LED以外の赤外光源を使用してもよい。また、映像表示以外の光としては、波長780nm以上の赤外線に限定はされず、波長380nm以下の紫外線であってもよい。但し、紫外線は人体に対して有害であるため、映画館などの公共の施設で本発明の映像表示装置を使用する場合には、赤外光を発する発光部を用いることが好ましい。
【0089】
上記の実施形態においては、スクリーンへプロジェクタで画像を投射する映像表示装置を例示したが、本発明の実施形態は投射型の表示装置に限定されない。例えば、プラズマディスプレイや有機EL等の自発光型表示装置や、液晶表示装置等にも、本発明を適用することができる。この場合も、可視光以外の光を発する発光部は、ディスプレイの背面であってディスプレイの前面(観察者側)へ出射光が透過する位置、または、ディスプレイの前面であって画像表示の妨げにならない位置、に設ければ良い。
【0090】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、ここで開示された技術的手段および各実施形態の構成を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、画面に表示された映像をビデオカメラ等で撮影した場合に、撮影された画像の表示品質を劣化させることができる。したがって、本発明の映像表示装置を映画館などで利用すれば、映像コンテンツの盗撮およびその不正流通を防止することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 映像表示システム(映像表示装置)
110 コンテンツ表示部(映像再生機、プロジェクタ、スクリーン)
120 再撮防止信号出力部(映像再生機、赤外線発光ユニット)
121 コンテンツ解析部(画像解析部)
122 信号制御部(発光制御部)
123 信号出力パターン格納部(発光制御部)
124 信号発生部(赤外線発光ユニット、発光部)
130 コンテンツ記録装置(ビデオカメラ)
201 映像再生機
202 プロジェクタ(画像形成部)
203 スクリーン(映像表示部、映像表示スクリーン)
203a 画像表示面
204 赤外線発光ユニット(発光部)
204a 赤外光LED
300 信号発生部
301 カウンタ
302 ROM(Read Only Memory)
303 D/Aコンバータ
400 アイリス機構
401 光量測定部
402 光量積分部
403 アイリス制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を生成する画像形成部と、
上記画像形成部によって生成された画像が表示される映像表示部を備えている映像表示装置であって、
上記映像表示部に映像が表示されている期間中に、該映像表示部の表面から映像表示以外の光を発する発光部が設けられており、該映像表示以外の光の発光強度が変化することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
上記映像表示装置において、発光部の発光状態を制御する発光制御部をさらに備え、上記発光制御部が発光状態を制御する上記発光部は、上記映像表示部に映像が表示されている期間中に発光強度が広義単調増加または単調減少する2以上の発光強度変化期間を有し、上記2以上の発光強度変化期間が連続していることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
上記発光部の上記2以上の連続している発光強度変化期間には、カメラのオートアイリス制御の時定数以上の期間と時定数以下の期間を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
上記発光部の上記広義単調増加または単調減少する発光強度変化期間が、30ミリ秒以上3.0秒以下であることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項5】
上記映像表示装置において、上記映像表示部に表示される映像の明るさを解析する画像解析部をさらに備え、上記発光制御部は、上記画像解析部によって解析された映像の明るさに基づいて、上記発光部の単位面積あたりの最大発光強度が上記映像の単位面積あたりの明るさよりも大きくなるように制御することを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項6】
上記発光部の単位面積あたりの最大発光強度が上記映像の単位面積あたりの明るさの3倍以上となるように制御することを特徴とする請求項5に記載の映像表示装置。
【請求項7】
上記映像表示装置において、上記発光制御部は、発光部の発光強度の変化が極小の値から極大の値に至るまでと、上記極大の値から極小の値に至るまでとの少なくとも一部が線形に変化するように制御することを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項8】
上記映像表示装置において、上記発光制御部は、発光部の発光強度の変化が極小の値から極大の値に至るまでと、上記極大の値から極小の値に至るまでとの少なくとも一部が非線形に変化するように制御することを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項9】
上記映像表示装置において、上記発光制御部は、発光部の発光強度の変化が生じない期間を含み、その期間の長さがカメラのオートアイリス制御の時定数以上であるように制御することを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項10】
上記発光部の上記広義単調増加または単調減少する発光強度変化期間の合計長さが、カメラのオートアイリス制御の時定数以下であることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項11】
上記発光部の上記広義単調増加または単調減少する発光強度変化期間の合計長さが、30ミリ秒以上3.0秒以下であることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項12】
上記映像表示以外の光は、赤外光であることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−180171(P2011−180171A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41337(P2010−41337)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】