説明

映像記録再生装置

【課題】記録系と再生系とが非同期であっても、周期変換回路を設置せずに記録再生動作を実行することが可能な映像記録再生装置を提供する。
【解決手段】映像素材情報を含むSDIデータを入力処理部141で圧縮し、入力バッファ142で一時保持した後、蓄積部に出力する。このとき入力バッファは、入力同期信号とは同期させず、外部同期検出部12で検出されたブラックバースト信号の周期に合わせて圧縮データを転送させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、BB(ブラックバースト)等の外部同期信号を基準にして、映像音声素材の記録/再生処理を行う映像記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク及びフラッシュメモリ等を蓄積部として使用する映像記録再生装置においては、BB(ブラックバースト)等の同期信号を外部から取得し、その外部同期信号を基準にして装置全体を動作させるのが一般的である。この手法は、映像記録再生装置が複数の記録再生チャンネルを有している場合に、より頻繁に用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の映像記録再生装置では、映像データを受信して蓄積部に記録する記録部と、蓄積部から映像データを再生して出力する再生部とを外部同期信号の周期に合わせて駆動させる。この際、映像記録再生装置は、記録部から蓄積部への映像データの転送と、蓄積部から再生部への映像データの転送とを、例えば、外部同期信号のフレーム同期を基準にして同一フレーム内で行う。これにより、映像記録再生装置における記録/再生の両動作が保証されている。
【0004】
ここで、記録部が外部同期信号と非同期の映像データを受信した場合、記録部と再生部とは非同期となり、同期周波数の違いによりデータ転送に破綻が生じるおそれがある。そこで、従来の映像記録再生装置では、記録部に同期変換回路(フレームシンクロナイザ等)を設置し、記録部の同期周波数を再生部の同期周波数に一致させるようにしている。
【0005】
しかしながら、同期変換回路は高価で大型であるのため、装置自体が高コスト化し、装置規模が増大するという問題がある。
【特許文献1】特開2006−301748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、従来の映像記録再生装置では、記録部と再生部とが非同期である場合、記録再生動作を正常に行うには、記録部に周期変換回路を設置しなければならず、高コスト化及び装置規模の増大の要因となっていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、記録部と再生部とが非同期であっても、周期変換回路を設置せずに記録再生動作を実行することが可能な映像記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る映像記録再生装置は、映像データを含む素材データを受信し、当該素材データから第1の同期信号を検出する第1の検出手段と、外部同期信号を受信し、当該信号から第2の同期信号を検出する第2の検出手段と、前記第1及び第2の同期信号を受け取り、両信号が同期している場合は前記第2の同期信号に導出を切り替え、同期していない場合は前記第1の同期信号に導出を切り替える同期信号切替手段と、前記素材データを受信し、当該素材データを前記同期信号切替手段から導出される前記第1又は第2の同期信号の周期に合わせて符号化し圧縮処理する入力処理手段と、前記第1又は第2の同期信号の周期に合わせて圧縮処理された素材データを一時的に保持した後、前記第2の同期信号の周期に合わせて出力する入力バッファと、前記入力バッファから出力された圧縮データを蓄積し、蓄積されている他の素材データを前記第2の同期信号の周期に合わせて読み出すもので、前記蓄積及び読み出しを前記素材データの伝送レートよりも高速レートで行う蓄積処理手段と、前記蓄積処理手段から読み出された素材データを一時的に保持する出力バッファ部と、前記出力バッファ部から出力される素材データを前記第2の同期信号の周期に合わせて伸長処理して出力する出力処理手段とを具備する。
【0009】
上記構成による映像記録再生装置は、第1又は第2の同期信号の周期に合わせて圧縮された素材データを入力バッファで一時的に保持したのち、第2の同期信号の周期に合わせて蓄積部に転送するようにしている。これにより、記録部から蓄積部へのデータの転送と、蓄積部から再生部へのデータの転送とが、常に外部同期信号に同期して行われることになる。つまり、同期周波数の違いによるデータ転送の破綻を起こさずに記録再生動作を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録部と再生部とが非同期であっても、周期変換回路を設置せずに記録再生動作を実行することが可能な映像記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る映像記録再生装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態では、映像記録再生装置は、映像素材情報を含んだSDI(Serial Digital Interface)データを受信する。また、映像記録再生装置は、外部同期信号としては、ブラックバースト信号を受信する。
【0013】
映像記録再生装置は、入力同期検出部11で検出される入力同期信号及び外部同期検出部12で検出されるブラックバースト信号のいずれか一方を、切替部13により選択的に切り替えて記録部14へ導出する。記録部14は、SDIデータと切替部13からの同期信号とを受け取り、SDIデータを同期信号に基づいて圧縮し、映像データに変換する。映像データは、バスを介して蓄積処理部15に供給されて蓄積される。
【0014】
また、映像記録再生装置は、蓄積処理部15に蓄積された映像データを外部同期検出部12で検出されるブラックバースト信号に基づいて読み出し、バスを介して再生部16に出力する。再生部16は、圧縮データとブラックバースト信号とを受け取り、ブラックバースト信号に基づいて圧縮データを伸長処理して再生する。
【0015】
上記入力同期検出部11は、受信したSDIデータから入力同期信号を検出する。入力同期検出部11は、検出した入力同期信号を切替部13に出力する。
【0016】
上記外部同期検出部12は、外部からブラックバースト信号を検出し、このブラックバースト信号を切替部13、記録部14、蓄積処理部15及び再生部16に出力する。
【0017】
上記切替部13は、映像記録再生装置のユーザにより操作される。入力同期信号とブラックバースト信号とが同期している場合、外部同期であるブラックバースト信号の出力に切り替えられる。入力同期信号とブラックバースト信号とが同期していない場合、入力同期信号の出力に切り替えられる。
【0018】
上記記録部14は、入力処理部141と入力バッファ142とを備える。入力処理部141は、SDIデータ及び入力同期信号を受け取り、このSDIデータを入力同期信号に基づいて所定の圧縮規格(MPEG(Moving Picture Experts Group)等)により圧縮処理する。入力バッファ142は、入力処理部141からの映像データを一次的に保持し、ブラックバースト信号によるフレーム同期を基準にして蓄積処理部15へ出力する。
【0019】
上記蓄積処理部15は、入力バッファ142から出力された映像データを蓄積し、蓄積されている他の映像データをブラックバースト信号の周期に合わせて読み出す。このとき、蓄積処理部15は、蓄積及び読み出しを映像データの伝送レートよりも高速なレートで行う。蓄積処理部15は、映像データの入力バッファ142から蓄積処理部15への転送と、蓄積処理部15から出力バッファ161への転送とをブラックバースト信号によるフレーム同期を基準として1フレーム内で行い、映像データの記録再生の両動作をこの1フレーム内で実行する。なお、映像データの転送は、必ずしも1フレーム単位で行われる必要はなく、複数フレーム単位で行われる場合であっても同様に実施可能である。
【0020】
上記再生部16は、出力バッファ161と出力処理部162とを備える。出力バッファ161は、蓄積処理部15から読み出された映像データを一時的に保持し、出力処理部162に供給する。出力処理部162は、映像データをブラックバースト信号に基づいて伸長処理してSDIデータに変換し、外部へ出力する。
【0021】
次に、上記構成における映像記録再生装置の記録再生動作を説明する。
図2は、入力同期信号とブラックバースト信号とが同期している場合のSDIデータの記録再生動作を示す模式図である。I1〜I5の入力データが既定のフレーム周期で順次記録部14に入力される。入力データI1は、入力処理部141で圧縮され、入力バッファ142を介して蓄積処理部15へ転送される。また、蓄積処理部15からは、出力データO1,O2に続いて、出力データO3が読み出され、入力データI1と同じフレームで出力バッファ161へ転送される。出力データO3は、出力データO1,O2に続いて出力処理部162で伸長され出力される。この処理が繰り返されて、O1〜O5の出力データが再生部16から出力される。
【0022】
図3は、入力同期信号のフレーム周期がブラックバースト信号のフレーム周期よりも小さい場合のSDIデータの記録再生動作を示す模式図である。I1〜I5の入力データが入力同期信号に同期したフレーム周期で記録部14に入力される。入力データI1は、入力処理部141で圧縮され、入力バッファ142に保持される。入力バッファ142は、入力同期信号とは無関係にブラックバースト信号の周期に従って、ブラックバースト信号の周期期間に蓄積された入力データを出力する。このため、入力バッファ142からは、入力データI1に加えて次のフレームの入力データI2の一部が蓄積処理部15へ転送される。また、蓄積処理部15からは出力データO1,O2に続いて出力データO3が入力データI1及び入力データI2の一部と同じフレームで読み出され、出力バッファ161へ転送される。出力バッファ161へ転送された出力データO3は、出力データO1,O2に続いて出力処理部162で伸長され出力される。この処理が繰り返されて、O1〜O5の出力データが再生部16から出力される。
【0023】
図4は、入力同期信号のフレーム周期がブラックバースト信号のフレーム周期よりも大きい場合のSDIデータの記録再生動作を示す模式図である。I1〜I5の入力データが入力同期信号に同期したフレーム周期で記録部14に入力される。入力データI1は、入力処理部141で圧縮され、入力バッファ142に保持される。入力バッファ142は、入力同期信号とは無関係にブラックバースト信号の周期に従って、ブラックバースト信号の周期期間に蓄積された入力データを出力する。このため、入力バッファ142からは、入力データI1の一部が蓄積処理部15へ転送されることとなる。また、蓄積処理部15からは出力データO1,O2に続いて出力データO3が入力データI1の一部と同じフレームで読み出され、出力バッファ161へ転送される。出力バッファ161へ転送された出力データO3は、出力データO1,O2に続いて出力処理部162で伸長され出力される。この処理が繰り返されて、O1〜O5の出力データが再生部16から出力される。
【0024】
以上のように、上記第1の実施形態では、ブラックバースト信号の周期期間で入力バッファ142に蓄積された映像データを、入力同期信号とは無関係にブラックバースト信号の周期に合わせて蓄積処理部15へ転送させるようにしている。これにより、バスはほぼ一定のデータを転送しながら、同期周波数の違いによるデータ転送の破綻を起こさずに記録再生動作を同時に実行することが可能となる。
【0025】
したがって、第1の実施形態の構成によれば、記録部と再生部とが非同期であっても、周期変換回路を設置せずに記録再生動作を実行することが可能な映像記録再生装置を提供することができる。
【0026】
なお、本発明の主旨は、異種同期での記録再生動作の実行であり、ビデオサーバで行われるような追っかけ再生を可能とするわけではない。
【0027】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係わる映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。なお、図5において、図1と同一部分には同一符号を付して示し、ここでは重複する説明を省略する。
【0028】
入力同期検出部11は、検出した入力同期信号を切替部13及び判定部17に出力する。外部同期検出部12は、検出したブラックバースト信号を切替部13、記録部14、蓄積処理部15、再生部16及び判定部17に出力する。
【0029】
判定部17は、入力同期信号及びブラックバースト信号を受け取り、両信号が同期しているか否かを判定する。判定部17は、判定結果を制御部18へ出力する。
【0030】
制御部18は、判定部17からの判定結果を受け、入力同期信号とブラックバースト信号とが同期していない場合は、入力同期信号を導出するように切替部13に指示を出す。また、制御部18は、入力同期信号とブラックバースト信号とが同期している場合は、ブラックバースト信号を導出するように切替部13に指示を出す。
【0031】
以上のように、上記第2の実施形態では、制御部18により切替部13を切り替え制御するようにしている。これにより、入力同期信号とブラックバースト信号とが非同期となった場合、入力同期信号の出力に自動的に切り替えることが可能となる。
【0032】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、SDIデータが映像素材情報を含む例について説明したが、SDIデータに含まれる情報は映像素材情報に限定されるわけではなく、音声素材情報を含む場合であっても同様に実施可能である。
【0033】
また、上記各実施形態では、外部同期信号としてブラックバースト信号を使用する例について説明したが、外部同期信号はこのブラックバースト信号に限定されるわけではない。
【0034】
また、上記各実施形態では、入出力チャンネルが各1チャンネルの場合について説明したが、1チャンネルに限定されるわけではなく、入出力チャンネルが複数チャンネルの場合であっても同様に実施可能である。
【0035】
さらに、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】入力同期信号とブラックバースト信号とが同期している場合のSDIデータの記録再生動作を示す模式図である。
【図3】入力同期信号の周期がブラックバースト信号の周期よりも短い場合のSDIデータの記録再生動作を示す模式図である。
【図4】入力同期信号の周期がブラックバースト信号の周期よりも長い場合のSDIデータの記録再生動作を示す模式図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
11…入力同期検出部
12…外部同期検出部
13…切替部
14…記録部
141…入力処理部
142…入力バッファ
15…蓄積処理部
16…再生部
161…出力バッファ
162…出力処理部
17…判定部
18…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを含む素材データを受信し、当該素材データから第1の同期信号を検出する第1の検出手段と、
外部同期信号を受信し、当該信号から第2の同期信号を検出する第2の検出手段と、
前記第1及び第2の同期信号を受け取り、両信号が同期している場合は前記第2の同期信号に導出を切り替え、同期していない場合は前記第1の同期信号に導出を切り替える同期信号切替手段と、
前記素材データを受信し、当該素材データを前記同期信号切替手段から導出される前記第1又は第2の同期信号の周期に合わせて符号化し圧縮処理する入力処理手段と、
前記第1又は第2の同期信号の周期に合わせて圧縮処理された素材データを一時的に保持した後、前記第2の同期信号の周期に合わせて出力する入力バッファと、
前記入力バッファから出力された圧縮データを蓄積し、蓄積されている他の素材データを前記第2の同期信号の周期に合わせて読み出すもので、前記蓄積及び読み出しを前記素材データの伝送レートよりも高速レートで行う蓄積処理手段と、
前記蓄積処理手段から読み出された素材データを一時的に保持する出力バッファ部と、
前記出力バッファ部から出力される素材データを前記第2の同期信号の周期に合わせて伸長処理して出力する出力処理手段と
を具備することを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項2】
前記同期信号切替手段は、
前記第1及び第2の同期信号を受け取り、いずれか一方の信号へ導出を切り替える切替部と
前記第1及び第2の同期信号が同期しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を受け取り、前記第1及び第2の同期信号が同期していない場合は前記第1の同期信号へ導出を切り替えるよう前記切替部を切替制御し、同期している場合は前記第2の同期信号へ導出を切り替えるよう前記切替部を切替制御する制御部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の映像記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−68232(P2010−68232A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232389(P2008−232389)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】