説明

映像記録方法、正真性判定方法、映像記録装置、正真性判定装置、及びプログラム

【課題】映像を拡大縮小または回転しても、映像の正真性を判定可能とする。
【解決手段】映像取得手段10が映像を取得する。撮影日時取得手段11は、撮影日時を取得する。文字パターン描画手段14は、撮影日時文字を映像の中に予め定めた色で描画する。直交変換手段15は、離散フーリエ変換、離散コサイン変換、離散ウェーブレット変換のいずれかを用いて、撮影日時描画済映像を直交変換する。ハッシュ値計算手段17は、レベル1からレベルNまでの係数の並びのハッシュ値をそれぞれ計算する。デジタル署名計算手段18は、N個のハッシュ値のデジタル署名をそれぞれ計算する。署名収納手段19は、上記Nの値と、上記Sの値と、N個のデジタル署名とを映像に紐付いたデータエリアに収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像の改ざんを検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラや、カメラ付き携帯電話機の普及により、誰もが手軽にデジタル写真映像を撮影できるようになった。デジタル写真映像は、編集ツールで容易に加工できるため、その正真性(加工されていないこと)を保証できない。そこで、デジタル写真映像にデジタル署名を付与することにより、正真性を保証する技術が使われている(例えば非特許文献1、2参照)。
【0003】
デジタルカメラを用いて撮影したデジタル映像を交通事故の証拠としたり、建築現場での工程証明としたりしたいというニーズがある。また、デジタルカメラと類似するものとしては、ドライブレコーダーがあり、撮影された映像は、交通事故の参考証拠として用いられる。このように、デジタル映像は、加工が容易であるという性質があるために、従来は、映像が改ざんされていないことを証明するためにデジタル署名を付与していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】仕様書,“SECURE HASH STANDART”,Federal Information Processing Standards Publication 180-2,August 1,2002
【非特許文献2】“The Elliptic Curve Digital Signature Algorithm(ECDSA)", Don Johnson, Alfred Menezes, Scott Vanstone, July 27, 2001, Sprinver-Verlag 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デジタル署名では、デジタル写真映像をビット列の並びとして処理するため、正真のデジタル写真映像を回転させた場合や、拡大縮小した場合には、ビット列の並びが変化するため、単純に回転させたり、あるいは拡大縮小したりしただけの映像であっても、改ざんされていると判定してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、映像を拡大縮小または回転しても、映像の正真性の高低を判定することができる映像記録方法、正真性判定方法、映像記録装置、正真性判定装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、映像を撮影する映像取得ステップと、映像を撮影した撮影日時を取得する撮影日時取得ステップと、撮影日時を表わす撮影日時文字の映像上への描画位置を決定する文字位置決定ステップと、所定のフォントで撮影日時文字パターンを生成する文字パターン生成ステップと、生成された文字パターンを、決定された映像上の描画位置に描画する文字パターン描画ステップと、文字パターンが描画された撮影日時描画済映像を直交変換する直交変換ステップと、直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択ステップと、係数選択ステップにて選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算ステップと、各係数群のハッシュ値のデジタル署名を計算するデジタル署名計算ステップと、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、取得した映像に対応付けて記録する署名記録ステップとを含むことを特徴とする映像記録方法である。
【0008】
また、本発明は、署名記録ステップが、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、取得した映像に紐付けられたデータエリアに収納する署名収納ステップを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、署名記録ステップが、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名を、映像に描画された撮影日時を表わす文字パターンに埋め込む署名埋込ステップと、各デジタル署名を埋め込んだ文字パターンを、映像に上書きする文字パターン再描画ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、映像を取得する映像取得ステップと、映像から予め定めた文字フォントで描かれた撮影日時文字を探索する撮影日時文字探索ステップと、撮影日時文字の向きから映像の本来の向きを決定し、本来の向きに回転させる回転補正ステップと、撮影日時文字のサイズから映像のサイズを正規化するサイズ補正ステップと、映像に対応付けて記録された、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得する署名取得ステップと、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合とを用いて、映像を本来のサイズに調整する第二次サイズ補正ステップと、予め判っている直交変換の種類を用いて、サイズ調整された映像を直交変換する直交変換ステップと、直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択ステップと、係数選択ステップで選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算ステップと、各係数群のハッシュ値の各デジタル署名を復号する署名復号ステップと、復号した各デジタル署名と映像に付随していた取得済みの各デジタル署名とを比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果、デジタル署名が一致した群の多寡によって、正真性のレベルを判定する正真性レベル判定ステップとを含むことを特徴とする正真性判定方法である。
【0011】
また、本発明は、署名取得ステップにおいて、正規化された映像に基づいて、取得した映像に紐付けられたデータエリアから、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得するステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、署名取得ステップは、正規化された映像に基づいて、文字パターンを取得する文字パターン取得ステップと、取得した文字パターンから、文字に埋め込まれているデジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、デジタル署名とを取得する文字署名取得ステップと、文字署名取得ステップで取得されたデジタル署名を読み出した後の文字を所定の色で再描画する文字色再描画ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、映像を撮影する映像取得手段と、映像を撮影した撮影日時を取得する撮影日時取得手段と、撮影日時を表わす撮影日時文字の映像上への描画位置を決定する文字位置決定手段と、所定のフォントで撮影日時文字パターンを生成する文字パターン生成手段と、生成された文字パターンを、決定された映像上の描画位置に描画する文字パターン描画手段と、文字パターンが描画された撮影日時描画済映像を直交変換する直交変換手段と、直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択手段と、係数選択手段にて選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算手段と、各係数群のハッシュ値のデジタル署名を計算するデジタル署名計算手段と、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、取得した映像に対応付けて記録する署名記録手段とを備えることを特徴とする映像記録装置である。
【0014】
また、本発明は、署名記録手段が、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、取得した映像に紐付けられたデータエリアに収納する署名収納手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、署名記録手段が、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名を、映像に描画された撮影日時を表わす文字パターンに埋め込む署名埋込手段と、各デジタル署名を埋め込んだ文字パターンを、映像に上書きする文字パターン再描画手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、映像を取得する映像取得手段と、映像から予め定めた文字フォントで描かれた撮影日時文字を探索する撮影日時文字探索手段と、撮影日時文字の向きから映像の本来の向きを決定し、本来の向きに回転させる回転補正手段と、撮影日時文字のサイズから映像のサイズを正規化するサイズ補正手段と、映像に対応付けて記録された、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得する署名取得手段と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合とを用いて、映像を本来のサイズに調整する第二次サイズ補正手段と、予め判っている直交変換の種類を用いて、サイズ調整された映像を直交変換する直交変換手段と、直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択手段と、係数選択手段で選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算手段と、各係数群のハッシュ値の各デジタル署名を復号する署名復号手段と、復号した各デジタル署名と映像に付随していた取得済みの各デジタル署名とを比較する比較手段と、比較手段での比較結果、デジタル署名が一致した群の多寡によって、正真性のレベルを判定する正真性レベル判定手段とを備えることを特徴とする正真性判定装置である。
【0017】
また、本発明は、署名取得手段は、正規化された映像に基づいて、取得した映像に紐付けられたデータエリアから、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、署名取得手段は、正規化された映像に基づいて、文字パターンを取得する文字パターン取得手段と、取得した文字パターンから、文字に埋め込まれているデジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、デジタル署名とを取得する文字署名取得手段と、文字署名取得手段で取得されたデジタル署名を読み出した後の文字を所定の色で再描画する文字色再描画手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、映像を記録する映像記録装置のコンピュータに、映像を撮影する映像取得ステップと、映像を撮影した撮影日時を取得する撮影日時取得ステップと、撮影日時を表わす撮影日時文字の映像上への描画位置を決定する文字位置決定ステップと、所定のフォントで撮影日時文字パターンを生成する文字パターン生成ステップと、生成された文字パターンを、決定された映像上の描画位置に描画する文字パターン描画ステップと、文字パターンが描画された撮影日時描画済映像を直交変換する直交変換ステップと、直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択ステップと、係数選択ステップにて選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算ステップと、各係数群のハッシュ値のデジタル署名を計算するデジタル署名計算ステップと、各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、取得した映像に対応付けて記録する署名記録ステップとを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、映像を拡大縮小または回転しても、映像の正真性の高低を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本第1実施形態の映像記録装置(収納側)の構成、及び動作を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態での撮影日時の文字並びの一例を示す概念図である。
【図3】本第1実施形態での文字描画位置の一例を示す概念図である。
【図4】本第1実施形態での文字サイズの一例を示す概念図である。
【図5】本第1実施形態での文字描画の一例を示す概念図である。
【図6】本第1実施形態での離散フーリエ変換を説明するための概念図である。
【図7】本第1実施形態の離散フーリエ変換での係数の選び方(その1)を説明するための概念図である。
【図8】本第1実施形態の離散フーリエ変換での係数の選び方(その2)を説明するための概念図である。
【図9】本第1実施形態でのラスタースキャンの向きを説明するための概念図である。
【図10】本第1実施形態での係数の他の並べ方を説明するための概念図である。
【図11】本第1実施形態でのレベル毎の係数群を説明するための概念図である。
【図12】本第1実施形態でのレベル毎のハッシュ、デジタル署名の計算例を示す概念図である。
【図13】本第1実施形態でのヘッダ部へのデジタル署名格納フォーマットを示す概念図である。
【図14】本第1実施形態での別ファイルへのデジタル署名格納フォーマットを示す概念図である。
【図15】本第1実施形態での離散コサイン変換を説明するための概念図である。
【図16】本第1実施形態の離散コサイン変換での係数の選び方を説明するための概念図である。
【図17】本第1実施形態の離散コサイン変換での係数の並び方を説明するための概念図である。
【図18】本第1実施形態での離散ウェーブレット変換を説明するための概念図である。
【図19】本第1実施形態の離散ウェーブレット変換での係数の選び方を説明するための概念図である。
【図20】本第1実施形態の離散ウェーブレット変換での係数の並び方を説明するための概念図である。
【図21】本第2実施形態の映像記録装置の構成、及び動作を示すブロック図である。
【図22】本第2実施形態の署名埋め込み手段に用いる文字フォント内の埋め込みブロックを示す概念図である。
【図23】本第2実施形態でのフォント内ブロックの通番の振り方を示す概念図である。
【図24】本第2実施形態でのデータ埋め込みフォントを上書きした映像を示す模式図である。
【図25】本第3実施形態による映像記録装置(判定側)の構成、及び動作を示すブロック図である。
【図26】本第3実施形態での撮影日時文字探索アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【図27】本第3実施形態での文字パターンを表わす長方形を示す模式図である。
【図28】本第3実施形態での19等分にした文字領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明のポイントを箇条書きでまとめる。それぞれの詳細は後に説明する。
本実施形態における映像の拡大縮小に対する正真性判定では、公開鍵暗号方式を用いたデジタル署名を用いる。但し、デジタル写真映像に対し、直接、デジタル署名を計算するのではなく、映像を直交変換したデータの部分集合に対してデジタル署名を計算する。直交変換は、サイズを正規化すれば拡大縮小に対して不変なので、拡大縮小されていても映像の正真性を判定することが可能となる。
【0023】
デジタル署名の付与方法として、署名データを映像ファイルにデータとして紐付ける手段を採用する。また、その手段に替えて、署名データを映像中の撮影日時表示文字に埋め込む手段も取り得る。
【0024】
本実施形態における映像の回転に対する正真性判定では、映像に必ず撮影日時を可視文字として描画することが前提となる。映像内に撮影日時の文字が見えるため、その撮影日時文字の表示位置を調べれば、映像の回転/非回転を容易に推定することができ、映像を元の位置へ復元することができる。元の位置に復元できるため、回転していても映像の正真性が判定可能となる。
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
A.第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態の映像記録装置の構成を示すブロック図である。なお、図1は、本第1実施形態の映像記録装置の動作を説明するためのフローチャートも兼ねている。また、本第1実施形態では、署名データを映像ファイルにデータとして紐付ける側の映像記録装置について説明する。本発明では、この映像記録装置を、収納側、あるいは埋め込み側と呼ぶ(どちらも同じものを指す)。一方、署名データがデータとして紐付けられた映像ファイルの正真性を判定する側の映像記録装置を判定側と呼ぶ。
【0027】
まず、映像取得手段10が映像を撮影する。本第1実施形態では、映像は、長辺と短辺とがある長方形と仮定して説明するが、四辺が同じ長さの正方形にも適用できる。同時に、撮影日時取得手段11により撮影日時を取得する。撮影日時の取得先は、時計、NTP(Network Time Protocol)サーバー、GPS(Global Positioning System)のいずれかとする。
【0028】
取得先が時計の場合には、撮影日時取得手段11が時計を内蔵しているとする。一方、日時取得先がNTPサーバーの場合には、外部にNTPサーバーが存在し、撮影日時取得手段11は、NTPサーバーと通信ができるネットワークアダプターを内蔵しているとする。さらに、日時取得先がGPSの場合には、撮影日時取得手段11は、GPS受信機能を備えているものとする。
【0029】
撮影日時は、西暦(4桁)、月(2桁)、日(2桁)、時間(2桁)、分(2桁)、秒(2桁)の値からなる。各数字の間には空白を入れ、空白も1文字と数えると、撮影日時は、図2に示すように、全19文字となる。図2に示す例では、西暦「2011」、月「07」、日「09」、時「15」、分「22」、秒「45」であり、各数字の間に空白が挿入されている。
【0030】
次に、文字位置決定手段12にて、図3に示すように、映像IMGの長辺、あるいは短辺の長さに対して、予め定めた割合P1、P2により文字の描画開始位置Pを決める。図示の例では、映像IMGの長辺Lに対して文字の描画開始位置Pを決めている。次に、文字パターン生成手段13にて、図4に示すように、映像IMGの長辺、あるいは短辺の長さに対して、予め定めた割合Cで文字サイズ(=1文字分の幅)を決める。図示の例では、映像IMGの長辺Lに対して文字サイズを決めている。
【0031】
これら割合P1とP2とCは、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。基準となる辺に短辺を用いるか、長辺を用いるかは予め定めておき、この情報は、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。また、文字パターンを生成する際に用いる文字フォントは、文字フォント毎の縦画素数、及び横画素数を全ての文字で等しいもの(等幅フォント)とする。フォント1文字分の縦画素数と横画素数との情報、及びフォントの形状を基準フォント情報と呼び、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。基準フォント情報に則ったフォントを基準フォントと呼ぶ。
【0032】
次に、文字パターン描画手段14にて、撮影日時を示す文字を映像の中に予め定めた色c(決まっていれば何色でも良い)で描画する。色cの情報は、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。描画する文字のサイズは、上記文字パターン生成手段13で決めた値であり、このサイズになるように基準フォントを拡大、または縮小する。文字フォントの拡大率、あるいは縮小率をSと呼ぶ。例えば、S=2.0の場合には、基準フォントは、図5に示すように、2.0倍に拡大されて描画される。描画する文字の位置Pは、上記文字位置決定手段12で決めた値である。
【0033】
次に、直交変換手段15にて、撮影日時描画済映像を直交変換する。直交変換には、離散フーリエ変換、離散コサイン変換、離散ウェーブレット変換等があるが、本第1実施形態では、まず、離散フーリエ変換を用いる場合について説明する。どの種類の直交変換を使うかは、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。
【0034】
直交変換手段15で離散フーリエ変換された直交変換後データは、図6に示すように、変換前の撮影手段描画済映像と同じサイズ(画素数)の複素数2次元配列となる。2次元複素数配列は、配列の実数部と虚数部とを2枚の画像と見なすと、画像中心が最も低い周波数成分となるように配列の要素である係数が並ぶ。係数は、小数点以下を四捨五入して整数とする。
【0035】
係数選択手段16では、直交変換後データの低周波数成分から予め定めたN個の係数群を選択する。Nは、1以上の整数である。係数群の1個分の選び方は、図7、及び図8に示すように、画像の中心に設定した、頂点が最上部に位置するよう回転した正方形の範囲に含まれる実数、及び虚数の係数を選択する。図7には、実数部での選択、図8には、虚数部での選択が示されている。
【0036】
選択された係数は、図9に示すように、実数係数をラスタースキャンで左上から並べられる。すなわち、上から下へ、同じ行は左から右へ並べる。実数の最後部に続いて、虚数係数を左上からラスタースキャンで並べる。あるいは、図10に示すように、同じ画素に対応する実数係数と虚数係数との組を、ラスタースキャンで左上から並べるようにしてもよく、いずれかの方法を用いる。
【0037】
上述したようにして選択したN個の係数群は、正方形の中心位置が同じで大きさの異なる範囲に含まれる係数の集合となる。係数群には、レベル1からレベルNまでの名札を付与する。レベル1は、最も大きい係数群であり、図11に示すように、大きいものから小さいものへの順にレベル1からレベルNまでの名札を付与する。係数の並び方、及びレベルの付与方法は、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。
【0038】
次に、ハッシュ値計算手段17にて、レベル1からレベルNまでの係数の並びのハッシュ値をそれぞれ計算する。ハッシュ値の計算の際は、係数の並びを2進数表記に変換してから行う。このとき、負の係数は、B桁の2の補数表現にて負の2進数とする。Bは、係数を表すのに十分大きな値で、埋め込み側と判定側とでその値を共有しているものとする。計算結果は、レベル1のハッシュ値からレベルNのハッシュ値までのN個のハッシュ値となる。ハッシュ値の計算には、複数の手法が存在するが、どのような手法を使っても良い。本第1実施形態では、例えば、SHA−256(Secure Hash Algorithm―256、日特許文献1)を用いることとする。どのハッシュ計算方法を用いるかは、埋め込み側と判定側とで共有するものとする。
【0039】
次に、デジタル署名計算手段18にて、図12に示すように、N個のハッシュ値のデジタル署名をそれぞれ計算する。デジタル署名の計算には、複数の手法が存在するが、計算量的に安全とされているならばどの手法を使っても良い。本第1実施形態では、例えば、ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm,非特許文献2)署名を用いることとする。どの種類のデジタル署名を用いるかは、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。
【0040】
デジタル署名に用いる秘密鍵と公開鍵との使い分けは、署名に秘密鍵を用い、検証に公開鍵を用いるものとする。したがって、埋め込み側は、秘密鍵を、判定側は、秘密鍵に対応する公開鍵を所持しているものとする。
【0041】
次に、署名収納手段19では、上記Nの値と、上記Sの値と、N個のデジタル署名とを映像に紐付いたデータエリアに収納する。データエリアは、図13に示すように、映像フォーマットのヘッダ部内のコメント領域に構成することが望ましいが、ヘッダ部の存在しないフォーマットや、ヘッダ部に十分な容量がない場合には、データファイルとして構成し、映像ファイルとデータファイルとを常に対として管理(移動、複写、消去等をすること)する。
【0042】
図14は、データファイル中のNとSとデジタル署名のフォーマット(並び方)とを示す概念図である。図14では、Nを16ビット、Sを64ビット、デジタル署名を各448ビットとしているが、これに限定するものではない。署名収納手段19の種類とフォーマットは、埋め込み側と判定側とで共有しているものとする。
【0043】
続いて、図1と同じ構成を用いて、直交変換として離散コサイン変換を用いる場合について説明する。映像取得手段10、撮影日時取得手段11、文字位置決定手段12、文字パターン生成手段13、及び文字パターン描画手段14の働きは、離散フーリエ変換を用いた場合と同じであるので説明を省略する。
【0044】
次に、直交変換手段15にて、撮影日時描画済映像を離散コサイン変換する。本第1実施形態では、離散コサイン変換を施す前に、撮影日時描画済映像をM×M(M=8、16、32等、8の倍数)画素のブロックに分け、各ブロック対して、それぞれ離散コサイン変換を行う。ブロック分けをするため、撮影日時描画済映像の縦横の画素数は、どちらもMで割り切れねばならない制約を持つ。直交変換手段15にて離散コサイン変換する場合には、ブロック毎に変換するので、直交変換後データは、変換前と同じブロック順序で並んでいる。各ブロックは、M×M(M=8、16、32等、8の倍数)の実数2次元配列となる。該2次元配列は、図15に示すように、左上の要素が最も低い周波数成分を表す。
【0045】
係数選択手段16では、直交変換後データの低周波数成分から次に述べる方法で係数群をN個選択する。Nは、1以上、M×2未満の整数である。係数群の選び方を、図16に示す。選び方は、各ブロックの左上に設定した直角三角形の範囲に含まれる係数を選ぶと考えれば良い。N個の係数群は、直角三角形の直角部分位置が同じで大きさの異なる範囲に含まれる係数の集合となる。N個の係数群には、レベル1からレベルNまでの名札を付与する。レベル1は、最も大きな直角三角形の範囲の係数であり、大きいものから小さいものへの順にレベル1からレベルNまでの名札を付与する。
【0046】
係数の並びは、図17に示すように、ブロック内係数を左上からラスタースキャン順に取り、それらのブロック毎の係数集合を、直交変換後データの左上からラスタースキャン順に取り、連接したものとなる。ハッシュ値計算手段17、デジタル署名計算手段18、及び署名収納手段19の働きは、離散フーリエ変換を用いた場合と同じであるので説明を省略する。
【0047】
続いて、図1と同じ構成を用いて、直交変換として離散ウェーブレット変換を用いる場合について説明する。映像取得手段10、撮影日時取得手段11、文字位置決定手段12、文字パターン生成手段13、及び文字パターン描画手段14の働きは、離散フーリエ変換を用いた場合と同じであるので説明を省略する。
【0048】
次に、直交変換手段15にて、撮影日時描画済映像をウェーブレット変換する。直交変換手段15にて離散ウェーブレット変換された直交変換後データは、変換前の撮影手段描画済映像と同じ画素数、すなわち要素数の実数2次元配列となる。離散ウェーブレット変換には、レベルの概念が存在し、レベルは、変換の段数の意味である。レベル1は、変換を1段行ったことに相当し、図18の最下段長方形のようになる。図18に示すように、レベル1の4つの長方形は、それぞれLL、HL、LH、HHと呼ぶ。Lは、低周波、Hは、高周波の意味である。レベル2は、変換を2段行ったことに相当し、レベル1のLL分のみを変換し、図18の中段長方形のLL、HL、LH2、HHになる。以下同様に変換をN段行うと、得られるデータは、レベルNとなる。
【0049】
係数選択手段16では、レベルNのウェーブレット変換を行ったときの左上隅長方形LLの係数をレベルNの係数として選択する。係数のレベルの命名規則は、前述した離散フーリエ変換と前述した離散コサイン変換を用いた場合と同じであり、レベル1に含まれる係数の数が最も大きい。
【0050】
図19は、係数の選び方を示す概念図である。係数の並びは、図20に示すように、左上隅長方形内係数を左上からラスタースキャン順に取る。ハッシュ値計算手段17、デジタル署名計算手段18、及び署名収納手段19の働きは、離散フーリエ変換を用いた場合と同じであるので説明を省略する。
【0051】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図21は、本第2実施形態の映像記録装置の構成、及び動作を示すブロック図である。図21は、図1と同様、本第2実施形態の映像記録装置の動作を説明するためのフローチャートも兼ねている。本第2実施形態では、上記3種類の構成の署名収納手段19を、署名埋込手段20に置き換えている。なお、映像取得手段10、撮影日時取得手段11、文字位置決定手段12、文字パターン生成手段13、文字パターン描画手段14、直交変換手段15、係数選択手段16、ハッシュ値計算手段17、及びデジタル署名計算手段18の働きは、前述した3種類の構成と同じであるので説明を省略する。
【0052】
本第2実施形態による構成では、署名収納手段19に代えて署名埋込手段20を用いる。署名埋込手段20では、NとSとデジタル署名とを文字パターン描画手段14により描いた文字パターンへ埋め込む。以下、署名埋込手段20について説明する。
【0053】
まず、文字パターン描画手段14により描かれる可能性のある全ての文字フォント内に、予め埋込領域を設定しておく。但し、空白文字は除く。埋込領域は、最低1画素からなる埋込ブロックの集合であり、図22に示すように、いずれの文字フォントに対しても同じ個数の埋込ブロックを持つようにデザインする。各文字フォントの埋込ブロックは、図23に示すように、左上からラスタースキャンにより通番を振る。
【0054】
図23の例では、1文字当り160個の埋込ブロックを持つ。空白を除いた撮影日時を表す文字数が全部で14文字であるから、全部で160×14=2240個の埋込ブロックを持つことになる。この埋込ブロック内の画素の色は、予め定めた異なる色a、bであるとし、ビット1を表すときは色aで、ビット0を表すときは色bで描画する。この処理により、文字パターンへ埋込ブロック個数分のビット列を埋め込むことができる。本第2実施形態では、2240ビットを表すことができ、NとSとデジタル署名のビット列とを格納することができる。
【0055】
NとSとビット列の格納フォーマットは、図14と同じであり、最左端の文字の左上から格納して行く。使われずに余った埋め込みブロックは、色cで描画する。デジタル署名を埋め込んだ文字は、本構成のために新たに追加した文字パターン再描画手段21にて、既に描画済の日時を表す文字パターンを上書きする。上書きした結果を図24に示す。図24中の文字は、黒色で描かれているが、実際には、色a、b、cにより塗り分けられたものとなる。
【0056】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態は、署名データがデータとして紐付けられた映像ファイルの正真性を判定する側の映像記録装置を、すなわち判定側に関するものである。
図25は、本第3実施形態による映像記録装置の構成、及び動作を示すブロック図である。図25は、図1、図21と同様、本第3実施形態の映像記録装置の動作を説明するためのフローチャートも兼ねている。
【0057】
まず、映像取得手段30にて映像を取得する。次に、撮影日時文字探索手段31により撮影日時を示す文字パターンを映像中から検出する。検出の際には、映像の短辺、あるいは長辺の長さに対して、予め定めた割合(上記P1、P2)の位置に撮影日時を示す文字パターンが配置されていることが分かっているため、この性質を利用して文字フォントをテンプレートとしたパターンマッチングにより文字を検出する。
【0058】
図26は、撮影日時文字探索手段31による探索アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。まず、映像の短辺あるいは長辺の長さに対して予め定めた割合P1、P2から文字の開始位置Pを求める(ステップS1)。文字のサイズ(1文字分の幅)を映像の短辺、あるいは長辺の長さに対して予め定めた割合Cから求める(ステップS2、S3)。1文字分の高さは、文字フォントの縦横画素数が分かっているので、文字の1文字分の幅から、比例計算をして求めることができる。Pの位置から1文字分の長方形領域を取り出し(ステップS4)、その領域の縦横画素が基準文字フォントの縦横画素数と同じになるよう拡大または縮小する(=正規化と呼ぶ:ステップS5)。
【0059】
全ての文字フォントをテンプレートとして正規化された文字領域とパターンマッチングを行い、上記領域に文字が描かれているかどうかを判定する(ステップS6)。パターンマッチングが成功しない場合には(ステップS6のNO)、全ての文字テンプレートを試したか否かを判定する(ステップS7)。そして、全ての文字テンプレートを試していない場合には(ステップS7のNO)、テンプレートを交換し(ステップS8)、ステップS6に戻り、再度、パターンマッチングを行う。
【0060】
一方、全ての文字テンプレートを試しても、パターンマッチングが成功しなければ(ステップS7のYES)、全ての向きを試したか否かを判定する(ステップS9)。そして、全ての向きを試していない場合には(ステップS9のNO)、映像を90度時計周り方向へ回転させ(ステップS10)、ステップS6に戻って同じことを行う。
【0061】
そして、上記過程において、パターンマッチングが成功した場合、すなわち文字が検出された場合には(ステップS6のYES)、その時点での画像の向きが本来の正しい向きであると判定し、当該処理を終了する(ステップS11)。一方、全てのテンプレートを試し、90度ずつの回転を3回行っても文字が検出されない場合には(ステップS7のYES、ステップS9のYES)、その画像には、撮影日時文字が予め定めた方法で描画されていないことが分かるので、画像は正真でないと判定し、当該処理を終了する(ステップS12)。
【0062】
図25に説明を戻すと、次に、回転補正手段32では、撮影日時文字探索手段31にて判定された正しい向きに映像を回転させ、撮影時の映像の向きを再現する。サイズ補正手段33では、描画されている文字のサイズが基準文字フォントのサイズと同じになるように、映像の大きさを縦横比を変えないように拡大縮小して補正する(正規化)。ここで、デジタル署名が映像のヘッダ部に入っているか、外部ファイルとして付随しているか、あるいは文字パターンに埋め込まれているかは、先に述べたように事前に分かっている。
【0063】
したがって、署名がヘッダ部に入っている場合には(判定ブロック34のNO)、署名取得手段38は、ヘッダを読み取り、図13のフォーマットにて保存されているNの値を読み取り、続いて、Sの値とN個のデジタル署名とを取得する。また、署名が外部ファイルとして付随している場合には(判定ブロック34のNO)、署名取得手段38は、外部ファイルを読み取り、図14のフォーマットにて保存されているNの値を読み取り、続いて、Sの値とN個のデジタル署名とを読み取る。
【0064】
一方、署名が文字パターンに埋め込まれている場合には(判定ブロック34のYES)文字パターン取得手段35にて、回転補正手段32と、サイズ補正手段33とにより回転補正とサイズ補正された画像内に、図27に示すように、文字パターン全体を表す長方形Bを決定する。これには、映像の長辺長、または短辺長を基準とする文字位置の比率P1とP2、及び文字サイズの比率Cが分かっているので、容易に得ることができる。
【0065】
次に、文字署名取得手段36では、図28に示すように、文字パターンを表す長方形Bを長辺方向に19等分し、文字を表す領域を19個取得する。19個の領域の1つ1つは、基準文字フォントと同じサイズとなっている。その後、テンプレートマッチングにより各文字が何であるかを求め,文字毎に定められた埋め込みブロック(図22参照)の位置を取得する。各埋め込みブロックの色がaであるかbであるかを調べ、aであればビット1を、bであればビット0を得る。各文字の埋め込みブロックを左上からラスタースキャン(図23参照)し、空白を除く各文字に付き160ビットの並びを得る。
【0066】
160ビットの並びを左側の文字の分から右方向へ連接すると、空白でない文字は14文字あるので、160ビット×14=2240ビットの並びを得る。この並びから図14のフォーマットにて保存されているNの値と、Sの値と、N個のデジタル署名とを読み取る。文字色再描画手段37では、色cで全ての文字フォントを再描画(上書き)する。この再描画により、a色とb色の埋め込みブロックは全てc色に変わる。
【0067】
第二次サイズ補正手段39では、署名を読み取った後の映像に対してSを乗じ、映像のサイズを元の大きさに補正する。直交変換手段40では、予め決めておいた種類の直交変換を用いて、第二次サイズ補正を行った映像を直交変換する。係数群取得手段41では、直交変換の種類により定まる方法(図11、図16、図19)でレベル1からレベルNまでの係数群を得る。
【0068】
次に、ハッシュ値計算手段42にて、レベル1からレベルNまでの係数の並びのハッシュ値をそれぞれ計算する。計算結果は、レベル1のハッシュ値からレベルNのハッシュ値までのN個のハッシュ値となる。ハッシュ値の計算には、デジタル署名生成時と同じ方法、つまり本説明では、SHA−256を使うこととする。
【0069】
次に、署名復号手段43では、埋め込み側の秘密鍵に対応する公開鍵を用いて、N個のハッシュ値を復号してN個のデジタル署名を得る。比較手段44では、N個のデジタル署名と、映像に付与されていたN個のデジタル署名とを同じレベル同士でそれぞれ比較する。正真性レベル判定手段45では、比較手段44の結果を吟味して、映像に付与されていたデジタル署名と、計算したデジタル署名とが、レベルXを含め、それ以上の全てのレベルで一致していた場合、正真性のレベルをXとして出力する。
【0070】
例えば、レベル3が一致しており、レベル2以下は不一致の場合には、レベル3となる。レベル3と5が一致して、レベル1と2と4が不一致の場合には、レベル5となる。この正真性レベルは、映像の正真性の確からしさを表しており、レベルが小さいほど、映像が正真である可能性は高くなる。レベルが得られない、つまりいずれの比較も不一致の場合には、映像は正真ではないと判定できる。映像を拡大縮小したり、90度回転させたりした場合には、正真性が低下する傾向があるが、レベルの多寡に応じて正真可能性を判定できる。
【0071】
上述した第1、第2、及び第3実施形態によれば、映像を直交変換したデータの周波数の高低に応じてレベルを設定し、レベル毎にデジタル署名を付加することにより、映像の正真性の高低を判定することができる。特に、正真の映像を拡大縮小したり、回転したりしても、低い周波数のレベルでは、デジタル署名が変化しないため、正真性を判定することが可能となる。これは映像に単純にデジタル署名を付与することでは得られない効果である。
【0072】
また、レベルの多寡により正真性の度合いを表すことが可能になる。すなわち、アプリケーションの重要度によって正真性判定の基準を適切に変えて判定することが可能となる。
【0073】
なお、上述した第1〜第3実施形態において、各手段における各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各手段の機能を実現するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0074】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0075】
10、30 映像取得手段
11 撮影日時取得手段
12 文字位置決定手段
13 文字パターン生成手段
14 文字パターン描画手段
15、40 直交変換手段
16 係数選択手段
17、42 ハッシュ値計算手段
18 デジタル署名計算手段
19 署名収納手段
20 署名埋込手段
21 文字パターン再描画手段
31 撮影日時文字探索手段
32 回転補正手段
33 サイズ補正手段
34 判定ブロック
35 文字パターン取得手段
36 文字署名取得手段
37 文字色再描画手段
38 署名取得手段
39 第二次サイズ補正手段
41 係数群選択手段
43 署名復号手段
44 比較手段
45 正真性レベル判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を撮影する映像取得ステップと、
前記映像を撮影した撮影日時を取得する撮影日時取得ステップと、
前記撮影日時を表わす撮影日時文字の前記映像上への描画位置を決定する文字位置決定ステップと、
所定のフォントで撮影日時文字パターンを生成する文字パターン生成ステップと、
前記生成された文字パターンを、前記決定された映像上の描画位置に描画する文字パターン描画ステップと、
前記文字パターンが描画された撮影日時描画済映像を直交変換する直交変換ステップと、
直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択ステップと、
前記係数選択ステップにて選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算ステップと、
前記各係数群のハッシュ値のデジタル署名を計算するデジタル署名計算ステップと、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、前記取得した映像に対応付けて記録する署名記録ステップと
を含むことを特徴とする映像記録方法。
【請求項2】
前記署名記録ステップは、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、前記取得した映像に紐付けられたデータエリアに収納する署名収納ステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の映像記録方法。
【請求項3】
前記署名記録ステップは、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名を、前記映像に描画された撮影日時を表わす文字パターンに埋め込む署名埋込ステップと、
前記各デジタル署名を埋め込んだ文字パターンを、前記映像に上書きする文字パターン再描画ステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の映像記録方法。
【請求項4】
映像を取得する映像取得ステップと、
前記映像から予め定めた文字フォントで描かれた撮影日時文字を探索する撮影日時文字探索ステップと、
前記撮影日時文字の向きから前記映像の本来の向きを決定し、本来の向きに回転させる回転補正ステップと、
前記撮影日時文字のサイズから前記映像のサイズを正規化するサイズ補正ステップと、
前記映像に対応付けて記録された、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得する署名取得ステップと、
描画した文字と所定のフォントのサイズ割合とを用いて、前記映像を本来のサイズに調整する第二次サイズ補正ステップと、
予め判っている直交変換の種類を用いて、前記サイズ調整された映像を直交変換する直交変換ステップと、
前記直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択ステップと、
前記係数選択ステップで選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算ステップと、
前記各係数群のハッシュ値の各デジタル署名を復号する署名復号ステップと、
前記復号した各デジタル署名と前記映像に付随していた取得済みの各デジタル署名とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果、デジタル署名が一致した群の多寡によって、正真性のレベルを判定する正真性レベル判定ステップと
を含むことを特徴とする正真性判定方法。
【請求項5】
前記署名取得ステップにおいて、
前記正規化された映像に基づいて、前記取得した映像に紐付けられたデータエリアから、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得する
を含むことを特徴とする請求項4に記載の正真性判定方法。
【請求項6】
前記署名取得ステップは、
前記正規化された映像に基づいて、文字パターンを取得する文字パターン取得ステップと、
前記取得した文字パターンから、文字に埋め込まれているデジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、デジタル署名とを取得する文字署名取得ステップと、
前記文字署名取得ステップで取得されたデジタル署名を読み出した後の文字を所定の色で再描画する文字色再描画ステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の正真性判定方法。
【請求項7】
映像を撮影する映像取得手段と、
前記映像を撮影した撮影日時を取得する撮影日時取得手段と、
前記撮影日時を表わす撮影日時文字の前記映像上への描画位置を決定する文字位置決定手段と、
所定のフォントで撮影日時文字パターンを生成する文字パターン生成手段と、
前記生成された文字パターンを、前記決定された映像上の描画位置に描画する文字パターン描画手段と、
前記文字パターンが描画された撮影日時描画済映像を直交変換する直交変換手段と、
直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択手段と、
前記係数選択手段にて選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算手段と、
前記各係数群のハッシュ値のデジタル署名を計算するデジタル署名計算手段と、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、前記取得した映像に対応付けて記録する署名記録手段と
を備えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項8】
前記署名記録手段は、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、前記取得した映像に紐付けられたデータエリアに収納する署名収納手段
を備えることを特徴とする請求項7に記載の映像記録装置。
【請求項9】
前記署名記録手段は、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名を、前記映像に描画された撮影日時を表わす文字パターンに埋め込む署名埋込手段と、
前記各デジタル署名を埋め込んだ文字パターンを、前記映像に上書きする文字パターン再描画手段と
を備えることを特徴とする請求項7に記載の映像記録装置。
【請求項10】
映像を取得する映像取得手段と、
前記映像から予め定めた文字フォントで描かれた撮影日時文字を探索する撮影日時文字探索手段と、
前記撮影日時文字の向きから前記映像の本来の向きを決定し、本来の向きに回転させる回転補正手段と、
前記撮影日時文字のサイズから前記映像のサイズを正規化するサイズ補正手段と、
前記映像に対応付けて記録された、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得する署名取得手段と、
描画した文字と所定のフォントのサイズ割合とを用いて、前記映像を本来のサイズに調整する第二次サイズ補正手段と、
予め判っている直交変換の種類を用いて、前記サイズ調整された映像を直交変換する直交変換手段と、
前記直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択手段と、
前記係数選択手段で選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算手段と、
前記各係数群のハッシュ値の各デジタル署名を復号する署名復号手段と、
前記復号した各デジタル署名と前記映像に付随していた取得済みの各デジタル署名とを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果、デジタル署名が一致した群の多寡によって、正真性のレベルを判定する正真性レベル判定手段と
を備えることを特徴とする正真性判定装置。
【請求項11】
前記署名取得手段は、
前記正規化された映像に基づいて、前記取得した映像に紐付けられたデータエリアから、デジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを取得する
ことを特徴とする請求項10に記載の正真性判定装置。
【請求項12】
前記署名取得手段は、
前記正規化された映像に基づいて、文字パターンを取得する文字パターン取得手段と、
前記取得した文字パターンから、文字に埋め込まれているデジタル署名の個数と、描画した文字と、所定のフォントのサイズ割合と、デジタル署名とを取得する文字署名取得手段と、
前記文字署名取得手段で取得されたデジタル署名を読み出した後の文字を所定の色で再描画する文字色再描画手段と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載の正真性判定装置。
【請求項13】
映像を記録する映像記録装置のコンピュータに、
映像を撮影する映像取得ステップと、
前記映像を撮影した撮影日時を取得する撮影日時取得ステップと、
前記撮影日時を表わす撮影日時文字の前記映像上への描画位置を決定する文字位置決定ステップと、
所定のフォントで撮影日時文字パターンを生成する文字パターン生成ステップと、
前記生成された文字パターンを、前記決定された映像上の描画位置に描画する文字パターン描画ステップと、
前記文字パターンが描画された撮影日時描画済映像を直交変換する直交変換ステップと、
直交変換後の係数を所定の群に分けて選択する係数選択ステップと、
前記係数選択ステップにて選択された各係数群のハッシュ値を計算するハッシュ値計算ステップと、
前記各係数群のハッシュ値のデジタル署名を計算するデジタル署名計算ステップと、
各デジタル署名の個数と、描画した文字と所定のフォントのサイズ割合と、各デジタル署名とを、前記取得した映像に対応付けて記録する署名記録ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−38540(P2013−38540A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171805(P2011−171805)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】