説明

時分割多重通信方式ネットワーク

【課題】送信ノードが送信を失敗したときには、送信、受信に関わるノードだけのタイムスロット割付を変更して再送信させることにより、ネットワークに接続される他のノードの送受信に影響を及ぼさないようにすると共に、データの再送信までの時間を短縮する。
【解決手段】ノード毎にあらかじめ決められた送受信可能な時間枠としてのタイムスロットを複数個集合してなるタイムセグメントを定周期で繰り返すことでデータ送受信を行う時分割多重通信方式ネットワークにおいて、データ送信の失敗を検出したとき、送信失敗タイムスロットにて送信すべきデータを、同一送信ノード内の別のタイムスロットにて再送信すると共に、データの未送信を検出したとき、再送信タイムスロットにて送信されたデータを、送信失敗タイムスロットにて送信されるデータとして受信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割多重通信方式ネットワークに接続されるノードが送信を失敗したときに、再送信させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の時分割多重通信方式ネットワークにおける再送信手段として、ネットワークに接続される1つのノードが送信失敗したとき、ネットワーク全体のタイムスロット割付を変更することでメッセージを再送信させる方法がある。(例えば特許文献1を参照)
特許文献1に示された、ネットワーク全体のタイムスロット割付を変更する方法としては、先ず、一方の装置(以下これをマスタノードと呼ぶ)からデータ送信を停止させる信号を他方の装置(以下これをスレーブノードと呼ぶ)に送信し、それを受けたスレーブノードが、データ送信を停止させたことをマスタノードに返信する。
【0003】
スレーブノードからの停止情報を受信したマスタノードは、自身のデータ送信を停止させ、タイムスロットの割付をあらかじめ用意していたものに切り替えて、そのタイムスロット切り替え指示信号をスレーブノードに送信する。このマスタノードからのタイムスロット切り替え指示信号を受信したスレーブノードは、同じくタイムスロットの割付をあらかじめ用意していたものに切り替えることにより、マスタノードとスレーブノードのタイムスロットの割付を変更することが出来る。
【0004】
この方法を利用すれば、マスタノードが送信失敗を検出した後、タイムスロットの割付を変更することで、送信失敗したデータを再度送信することが出来るが、近年、次世代自動車向けの接続用通信プロコトルとして検討されているFlexRay(登録商標)(例えば非特許文献1を参照)に従う時分割多重通信方式ネットワークでは、ダイナミック・セグメントと呼ばれるタイムスロットが用意されており、このダイナミック・セグメントを利用して以下のように再送信することが可能となる。
【0005】
図1はFlexRayプロトコルにおけるタイムセグメントの構成を示すものである。
図中、1、2はタイムセグメントを示しており、それぞれmサイクル目、m+1サイクル目のタイムセグメントを表わすものである。このタイムセグメント1、2はそれぞれスタティック・セグメント3、ダイナミック・セグメント4、シンボル・ウィンドウ5、ネットワーク・アイドル・タイム6で構成されており、このタイムセグメント単位を繰り返してメッセージの送受信を行う。
【0006】
上記スタティック・セグメント3は、同じ長さのタイムスロットで構成されており、それぞれ各ノード(各制御機器)にあらかじめ送受信タイムスロットとして割付けられている。ダイナミック・セグメント4は、可変長であり、各ノードは、送信メッセージが持つ優先度に応じて、任意のタイミングでメッセージを送信することが出来る。シンボル・ウィンドウ5、ネットワーク・アイドル・タイム6に関しては、メッセージ再送信とは関係しない部分なので、説明は省略する。
【0007】
図1に示すタイムセグメントで構成されるFlexRay通信プロトコルでは、スタティック・セグメント内のタイムスロットで送信を失敗したときに、送信ノードは、送信失敗したデータを、送信失敗したことをトリガにしてダイナミック・セグメント内のタイムスロットで送信することが出来る。受信ノードは、送信ノードの送信失敗を検出すると、ダイナミック・セグメント内のタイムスロットにて送信されたデータを、送信失敗タイムスロットにて送信されるデータとして受信する。
このようにダイナミック・セグメントが任意のタイミングで送信できることを利用してデータの再送信を実現させることができる。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−262535号公報(特許第2503967号)
【非特許文献1】www.flexray.com
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記、特許文献1の方法を利用してデータを再送信することは、その都度時分割多重通信方式ネットワークでの通信を止めることになり、全ノードにその影響を及ぼすことになると共に、タイムスロット割付の変更には、メッセージを停止するなどの所定の手順が必要となり、データの再送信までに時間がかかる欠点があった。
また、非特許文献1のFlexRay通信プロトコルにおいては、送信ノードは、送信失敗したデータを、送信失敗したことをトリガにしてダイナミック・セグメント内のタイムスロットで送信するものであるため、ダイナミック・セグメントは各タイムセグメント内のスタティック・セグメントの後に配置されるために、スタティック・セグメント開始直後のデータを再送信させる場合には、スタティック・セグメントが終了するまでの待ち時間が発生するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、送信ノードが送信を失敗したときには、送信、受信に関わるノードだけのタイムスロット割付を変更して再送信させることにより、ネットワークに接続される他のノードの送受信に影響を及ぼさないようにすると共に、データの再送信までの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る時分割多重通信方式ネットワークは、それぞれ少なくとも一つの送信ノードと受信ノードとが伝送路により接続され、前記ノード毎にあらかじめ決められた送受信可能な時間枠としてのタイムスロットを複数個集合してなるタイムセグメントを定周期で繰り返すことでデータ送受信を行う時分割多重通信方式ネットワークにおいて、
前記送信ノードは、送信タイムスロットにおいてデータを送信する送信手段と、
1タイムセグメント内に複数の送信タイムスロットを有し、かつ、前記複数の送信タイムスロットのうち1つのタイムスロットでのデータ送信時に、データの送信を失敗したことを検出する送信失敗検出手段と、
前記送信失敗検出手段によってデータ送信の失敗を検出したとき、前記送信失敗タイムスロットにて送信すべきデータを、同一送信ノード内の別のタイムスロットにて再送信する再送信手段を備え、
上記受信ノードは、前記送信ノードが送信するデータを受信タイムスロットにおいて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信すべきタイムスロットにてデータが送信されていないことを検出する未送信検出手段と、
前記未送信検出手段によってデータの未送信を検出したとき、前記再送信タイムスロットにて送信されたデータを、前記送信失敗タイムスロットにて送信されるデータとして受信する再受信手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる時分割多重通信方式ネットワークによれば、送信ノードが送信を失敗したときには、送信、受信に関わるノードだけのタイムスロットの割付を変更して再送信させることで、ネットワークに接続される他のノードの送受信に影響を及ぼすことなく、送信ノードのメッセージ再送信までの手順を減らし、メッセージ再送信までの時間を短縮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を添付図面に基づいて説明する。図2は、本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークのノード構成を示すものである。
図中、10は時分割多重通信方式ネットワークにおける伝送路であり、これによってノードA11、ノードB12、ノードC13、ノードD14が接続される。
ノードA11は、伝送路10を介してデータを送信するデータ送信手段15と、自身のデータ送信失敗を検出するデータ送信失敗検出手段16と、ノードA11に割付けられた別の送信タイムスロットにおいてデータ送信を行うデータ再送信手段17とを備えている。
【0014】
また、ノードB12は、伝送路10を介してデータを受信するデータ受信手段18と、自身に送信されるべきデータが所定の送信タイムスロットで送信されなかったことを検出するデータ未送信検出手段19と、送信ノードが、再送信タイムスロットに割付けてデータを送信するときに、その再送信されたデータを受信するデータ再受信手段20を備えている。ノードC13及びノードD14もそれぞれ伝送路10を介してノードA11、ノードB12と接続されるが、本実施の形態で説明する時分割多重通信方式ネットワークには直接関係しないため説明を省略する。
【0015】
図3は、本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークの通信構成を示したものである。図3中、21、22はタイムセグメントであり、それぞれタイムスロット1からタイムスロットnで構成されるタイムスロットの集合体である。21はmサイクル目、22はm+1サイクル目のタイムセグメントを示している。
23から28は、タイムスロット1からnであり、各ノードは、あらかじめ割付けられたタイムスロットにおいて送受信することが出来るようになっている。この割付けはタイムセグメントのサイクル回数に関係無くタイムスロット番号に固定される。このタイムセグメントを繰り返すことで、時分割多重通信方式ネットワークにおける定期的な送受信が確立される。
【0016】
このような図2に示すノード構成、図3に示す通信構成をもつ時分割多重通信方式ネットワークの通常時の動作を図4、図5を参照して説明する。図4は本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークの送受信タイムスロット割付を示す通信構成図を示し、図5は同じく送信失敗時の動作を示す通信構成図を示している。
本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークでは、図4に示すように、ノードAには、あらかじめタイムスロット24(タイムスロット2)とタイムスロット27(タイムスロット5)において、それぞれ「送信1」、「送信2」を割付けておく。また、ノードBにも、あらかじめタイムスロット24(タイムスロット2)とタイムスロット27(タイムスロット5)において、それぞれ「受信1」、「受信2」を割付けている。
【0017】
ここで、29から32は、本ネットワークにおいて上記割り付けられたタイムスロット24、27において送受信されるデータ1からデータ4を示している。
本ネットワークにおける送受信動作として、ノードAはmサイクル目タイムセグメント21のタイムスロット24の「送信1」においてデータ29(データ1)を送信し、ノードBが同タイムスロット24の「受信1」でデータ29(データ1)を受信する。
次にノードAは、mサイクル目タイムセグメント21のタイムスロット27の「送信2」においてデータ30(データ2)を送信し、ノードBが同タイムスロット27の「受信2」でデータ30(データ2)を受信する。
【0018】
さらに次にノードAは、mサイクル目の次サイクルm+1サイクル目タイムセグメント22のタイムスロット24の「送信1」においてデータ31(データ3)を送信し、ノードBが同タイムスロット24の「受信1」でデータ31(データ3)を受信する。次にノードAは、m+1サイクル目タイムセグメント22のタイムスロット27の「送信2」においてデータ32(データ4)を送信し、ノードB12が同タイムスロット27の「受信2」でデータ32(データ4)を受信する。
ここでは、mサイクル目とm+1サイクル目タイムセグメントに関してのみの送受信の説明をしたが、サイクルは繰り返して実施され、それぞれのタイムセグメントのタイムスロット24、タイムスロット27においてノードAとノードB間のデータの送受信が行われる。
【0019】
次に、本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークにおいてノードAが「送信1」において送信を失敗したときの動作を図5に従って説明する。
図5に示すように、ノードAが、何らかの原因によりmサイクル目タイムセグメント21のタイムスロット24(タイムスロット2)の「送信1」においてデータ29(データ1)の送信を失敗したとする。原因としては、ノードAの送信処理が間に合わずに送信できなかったことなどのノードに起因するものや、伝送路上にノイズが発生したなどの伝送路に起因するものが考えられるが、本実施の形態では発明の効果に影響しないため、特に限定はしない。
【0020】
このとき、まず、ノードAは、データ送信失敗検出手段16によりデータ送信が出来なかったことを検出する。送信できなかったことを検出したノードAは、データ再送信手段17により、同タイムセグメント21の「送信2」において、本来送信するデータ30(データ2)に代わり、データ29(データ1)の再送信を行う。
一方で、ノードBにおいては、データ未送信検出手段19によりノードAが同タイムセグメント21の「送信1」においてデータ29(データ1)を送信していないことを検出する。
【0021】
このとき、ノードBでは、データ再受信手段20により、同タイムセグメント21内の別送信タイムスロットとしてノードAに割付けられている「送信2」において送信されるデータをデータ30(データ2)ではなく、データ29(データ1)として受信する。このようにすることで、ノードC、ノードDに影響を与えることなく、ノードAが割付けられたタイムスロットで送信できなかったデータ29(データ1)を同タイムセグメント内の送信タイムスロットでノードBに再送することができる。
【0022】
また、図4のネットワーク構成においては、ノードAの送信タイムスロットを2つ、ノードBの受信タイムスロットを2つの構成としたが、これらを3つ以上の構成とすることもできる。図6は3つの送受信タイムスロット割付を示す通信構成図、図7は同じくその送信失敗時の動作を示す通信構成図を示している。
図6から明らかなように図4と異なる点は、タイムスロット40(タイムスロット7)にノードAの送信タイムスロット「送信3」、ノードBの受信タイムスロット「受信3」を新たに割付けたネットワーク構成としている。
【0023】
このとき、図7中ノードAは、mサイクル目タイムセグメント21の「送信1」において何らかの原因によりデータ29(データ1)の送信を失敗したとする。
原因としては、ノードAの送信処理が間に合わずに送信できなかったことなどノードに起因するものや、伝送路に起因するものが考えられるが、本実施の形態では発明の効果に影響しないため、特に限定はしない。
【0024】
このとき、ノードAは、データ送信失敗検出手段16によりデータの送信が出来なかったことを検出し、データ再送信手段17により、同タイムセグメント21の「送信2」において、本来送信するデータ30(データ2)に代わり、データ29(データ1)の再送信を行う。また、併せてデータ再送信手段17により、同タイムセグメント21の「送信3」において、本来送信するデー41(データ5)に代わり、「送信3」においてデータ29(データ1)の再送信のために送信できなくなったデータ30(データ2)の再送信を行う。
【0025】
一方、ノードBにおいては、データ未送信検出手段19によりノードAが同タイムセグメント21の「送信1」においてデータ29(データ1)を送信していないことを検出する。
このとき、ノードBでは、データ再受信手段20により、同タイムセグメント21内の別送信タイムスロットとしてノードAに割付けられている「送信2」において送信されるデータをデータ30(データ2)ではなく、「送信1」において本来送信されるデータ29(データ1)として再受信する。
【0026】
さらにデータ再受信手段20により、同タイムセグメント内の別送信タイムスロットとしてノードAに割付けられている「送信3」において送信されるデータをデータ41(データ5)ではなく、「送信2」において本来送信されるデータ30(データ2)として受信する。
このようにすることで、ノードC13、ノードD14に影響を与えることなく、ノードAが割付けられたタイムスロットで送信できなかったデータ29(データ1)を同タイムセグメント内でノードBに再送信することができる。
【0027】
また、ノードAが割付けられたタイムスロットで送信できなかったデータ30(データ2)を同タイムセグメント内でノードBに再送信することもできる。
一方また、ノードA、ノードBの送受信に割付けられたタイムスロット数を増やし、ノードAが送信失敗時に順次送信に割付けられたタイムスロットを後に繰り下げてデータを送信し、ノードBにおいても順次繰り下げてデータを受信することで、同タイムセグメント内のノードA、ノードBの通信スケジュールの遅れを最小限にとどめることが可能となる。
【0028】
なお、本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークにおいて送信失敗時には、失敗が発生した同タイムセグメントの最後に割付けられた送信タイムスロットで送信するデータは、前の送信タイムスロットに割付けられたデータを送信するために送信できなくなるが、もともと同タイムセグメントの最終送信タイムスロットに重要度の低いデータを割付ける、もしくは、予備としてデータを送信しないタイムスロットとしておく、などとすることで、同タイムセグメントの最終データが送信できなることへの影響を抑えることができる。
【0029】
実施の形態2.
以下、この発明の第2の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークのノード構成は、実施の形態1における図2と同じであるため説明は省略する。
次に、図8は、本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークの通信構成を示したものであり、図9は本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークの送受信タイムスロット割付を示す通信構成図を示し、図10は同じく送信失敗時の動作を示す通信構成図を示している。なお、図8乃至図10は図3乃至図5に対応するものであり、共通部分には同一符号で示している。従って、同一符号を付した部分についてはここでは改めて説明を行わない。
【0030】
図中40は、m+1サイクル目タイムセグメント22に続く、m+2サイクル目タイムセグメントであり、同様にタイムスロット23(タイムスロット1)からタイムスロット28(タイムスロットn)で構成されている。
本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークでは、図9に示すように、ノードAには、あらかじめタイムスロット24(タイムスロット2)とタイムスロット27(タイムスロット5)において、それぞれ「送信1」、「送信2」を割付けておく。ノードBにも、あらかじめタイムスロット24(タイムスロット2)とタイムスロット27(タイムスロット5)において、それぞれ「受信1」、「受信2」を割付けておく。ここで、図9中、50から54は、本ネットワークにおいて送受信されるデータ10から14である。
【0031】
このようなノード構成、通信構成をもつ時分割多重通信方式ネットワークの通常時の動作は、実施の形態1と同様であるため説明は省略する。
次に、本実施の形態における時分割多重通信方式ネットワークにおいてノードAが「送信1」において送信を失敗したときの動作を説明する。
図10中、ノードAは、何らかの原因によりmサイクル目タイムセグメント21のタイムスロット24(タイムスロット2)の「送信1」においてデータ50(データ10)の送信を失敗したとする。原因としては、前述したように、ノードAの送信処理が間に合わずに送信できなかったことなどのノードに起因するものや、伝送路上にノイズが発生したなどの伝送路に起因するものが考えられるが、本実施の形態では発明の効果に影響しないため、特に限定はしない。
【0032】
このとき、まず、ノードAは、データ送信失敗検出手段16によりデータ送信が出来なかったことを検出する。送信できなかったことを検出したノードAは、データ再送信手段17により、同タイムセグメントの「送信2」において、本来送信するデータ51(データ11)に代わり、データ50(データ10)の再送信を行う。また、併せてデータ再送信手段17により、次のm+1サイクル目タイムセグメント22の「送信1」において、本来送信すべきデータ52(データ12)に代わり、前のmサイクル目タイムセグメント21の「送信2」において、データ50(データ10)の再送信のために送信できなくなったデータ51(データ11)の再送信を行う。
【0033】
同様に、m+1サイクル目タイムセグメント22の「送信1」において、送信すべきデータ52(データ12)は、同タイムセグメント22の「送信2」において送信し、「送信2」において、送信すべきデータ53(データ13)は、次のm+2サイクル目タイムセグメント40の「送信1」において送信するといったように、順次送信タイムスロットを次の送信タイムスロットに繰り下げながらデータの送信を実施する。
つまり、送信失敗を検出したmサイクル目タイムセグメント21の「送信1」以降の送信タイムスロットで送信すべきデータをタイムセグメントに関係なく、順次送信タイムスロットを繰り下げながらデータの送信を実施する。
【0034】
一方で、ノードBにおいては、データ未送信検出手段19によりノードAが同タイムセグメントの「送信1」においてデータ50(データ10)を送信していないことを検出する。このとき、ノードBでは、データ再受信手段20により、同タイムセグメント内の別送信タイムスロットとしてノードAに割付けられている「送信2」において送信されるデータをデータ51(データ11)ではなく、「送信1」において本来送信されるデータ50(データ10)として受信する。
【0035】
さらにデータ再受信手段20により、次のタイムセグメント内の別送信タイムスロットとしてノードAに割付けられている「送信1」において送信されるデータをデータ52(データ12)ではなく、「送信2」において本来送信されるデータ51(データ11)として受信する。
同様に、m+1サイクル目タイムセグメント22の「受信1」において、受信すべきデータ52(データ12)は、同タイムセグメント22の「受信2」において受信し、「受信2」において、受信すべきデータ53(データ13)は、次のm+2サイクル目タイムセグメント40の「受信1」において受信するように、順次受信タイムスロットを次の受信タイムスロットに繰り下げながらデータの受信を実施する。
【0036】
つまり、ノードAの未送信を検出したmサイクル目タイムセグメント21の「受信1」以降の受信タイムスロットで受信すべきデータをタイムセグメントに関係なく、順次受信タイムスロットを繰り下げながらデータの受信を実施する。
このようにすることで、ノードC、ノーDに影響を与えることなく、ノードAに割付けられたタイムスロットで送信できなかったデータ50(データ10)とそれ以降のデータの送受信を実施することができる。
また、このようにすることで、ノードA、ノードBの通信スケジュールの遅れを最小限にとどめながら、データの再送信が可能となる。
【0037】
なお、ノードAの送信失敗以降ノードAで順次繰り下げた送信タイムスロットと、ノードBで順次繰り下げた受信タイムスロットをノードA、ノードB間であらかじめ決めておいた経過時間、送受信回数などのタイミングにより、送信失敗以前のタイムスロット割付けでのデータ送受信に戻してもよい。
また、ノードAの送信失敗以降ノードAで順次繰り下げた送信タイムスロットと、ノードBで順次繰り下げた受信タイムスロットをあらかじめ決めておいたデータの送受信をトリガに、送信失敗以前のタイムスロット割付けに戻してもよい。
このようにすることで、一定のタイミングでノードA、ノードBの通信スケジュールの遅れを元に戻すことが可能となる。
【0038】
実施の形態3.
図11、図12はこの発明の第3の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークのノード構成図であり、図11は送信ノードA内に復帰指示手段60を設け、タイムスロット割付けを元に戻す指示を受信ノードに通知するようにしたものであり、図12は受信ノードB内に復帰指示手段70を設け、同じくタイムスロット割付けを元に戻す指示を送信ノードに通知するようにしたものである。このように、ノードA、ノードB内に復帰指示手段50、60を持たせることにより、あらかじめ送受信ノード双方でタイミングや所定のデータをトリガにするなどを決めておくことなく、送信ノードであるノードA、あるいは受信ノードであるノードBの任意のタイミングで、送信失敗以前のタイムスロット割付けに戻すことが出来る。
【0039】
このようにすることで、送信を失敗した送信ノードのタイミングで通信スケジュールを元に戻すことが可能となり、また、受信ノードのタイミングで通信スケジュールを元に戻すことが可能となる。
なお、実施の形態1、2においては、本発明の効果を示すために、ノードAが送信のみ、ノードBが受信のみを担当する場合に限定して紹介しているが、実際のネットワークにおいては、どのノードが送受信しても本発明の効果には影響は無い。
また、上記実施の形態においては、2ノード間の送受信のみを説明したが、これが、3ノード、4ノードと増えても、送受信ノード間で送受信タイムスロットを複数共有するのであれば、同様の効果が得られることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】FlexRay通信プロトコルの通信構成図を示す。
【図2】本発明を適用した第1の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークのノード構成図である。
【図3】本発明を適用した第1の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの通信構成図である。
【図4】本発明を適用した第1の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの送受信タイムスロット割付を示す通信構成図である。
【図5】本発明を適用した第1の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの送信失敗時の動作を示す通信構成図である。
【図6】本発明を適用した第1の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの送受信タイムスロット割付を示す通信構成図である。
【図7】本発明を適用した第1の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの送信失敗時の動作を示す通信構成図である。
【図8】本発明を適用した第2の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの通信構成図である。
【図9】本発明を適用した第2の実施の形態を示す時分割多重通信方式ネットワークの送受信タイムスロット割付を示す通信構成図である。
【図10】本発明を適用した第2の実施の形態.を示す時分割多重通信方式ネットワークの送信失敗時の動作を示す通信構成図である。
【図11】本発明を適用した第3の実施の形態を示すノードAに復帰指示手段を持つ時分割多重通信方式ネットワークのノード構成図である。
【図12】本発明を適用した第3の実施の形態を示すノードBに復帰指示手段を持つ時分割多重通信方式ネットワークのノード構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1、21 mサイクル目タイムセグメント、
2、22 m+1サイクル目タイムセグメント、
3 スタティック・セグメント、
4 ダイナミック・セグメント、
10 伝送路、
11 ノードA、
12 ノードB、
13 ノードC、
14 ノードD、
15 データ送信手段、
16 データ送信失敗検出手段、
17 データ再送信手段、
18 データ受信手段、
19 データ未送信検出手段、
20 データ再受信手段、
23〜32 タイムスロット1〜n、
29〜32 データ1〜4、
50〜54 データ10〜14、
60、70 復帰指示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ少なくとも一つの送信ノードと受信ノードとが伝送路により接続され、前記ノード毎にあらかじめ決められた送受信可能な時間枠としてのタイムスロットを複数個集合してなるタイムセグメントを定周期で繰り返すことでデータ送受信を行う時分割多重通信方式ネットワークにおいて、
前記送信ノードは、送信タイムスロットにおいてデータを送信する送信手段と、
1タイムセグメント内に複数の送信タイムスロットを有し、かつ、前記複数の送信タイムスロットのうち1つのタイムスロットでのデータ送信時に、データの送信を失敗したことを検出する送信失敗検出手段と、
前記送信失敗検出手段によってデータ送信の失敗を検出したとき、前記送信失敗タイムスロットにて送信すべきデータを、同一送信ノード内の別のタイムスロットにて再送信する再送信手段を備え、
上記受信ノードは、前記送信ノードが送信するデータを受信タイムスロットにおいて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信すべきタイムスロットにてデータが送信されていないことを検出する未送信検出手段と、
前記未送信検出手段によってデータの未送信を検出したとき、前記再送信タイムスロットにて送信されたデータを、前記送信失敗タイムスロットにて送信されるデータとして受信する再受信手段を備えたことを特徴とする時分割多重通信方式ネットワーク。
【請求項2】
前記送信ノードは、
前記再送信手段が再送信タイムスロットにてデータを再送信したことによって送信されなかった当該タイムスロットにて送信されるべきデータを、1タイムセグメント内の複数の送信タイムスロットについて順次繰り下げて送信する繰り下げ送信手段を備え、
前記受信ノードは、
前記繰り下げ送信手段によって送信されたデータを、前記1タイムセグメント内の複数の送信タイムスロットについて順次繰り上げたタイムスロットにて送信されたデータとして受信する繰り上げ受信手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の時分割多重通信方式ネットワーク。
【請求項3】
前記送信ノードは、
前記再送信手段が再送信タイムスロットにてデータを再送信したことによって送信されなかった当該タイムスロットにて送信されるべきデータを、1タイムセグメント内の複数の送信タイムスロットについて順次繰り下げて送信する繰り下げ送信手段を備え、
前記受信ノードは、
前記繰り下げ送信手段によって送信されたデータを、前記1タイムセグメント内の複数の送信タイムスロットについて順次繰り上げたタイムスロットにて送信されたデータとして受信する繰り上げ受信手段を備え、
前記繰り下げ送信手段は、
前記1タイムセグメント内の複数の送信タイムスロットにて繰り下げるべき送信タイムスロットがないときは、繰り下げ送信できなかったデータを、次のタイムセグメントの送信タイムスロットに繰り下げて送信し、
前記繰り上げ受信手段は、
前記1タイムセグメント内の複数の送信タイムスロットにて受信すべきデータを受信しなかったときは、前記次のタイムセグメント内の送信タイムスロットにて送信されたデータを前のタイムセグメント内の送信タイムスロットにて送信されたデータとして受信する
ことを特徴とする請求項1記載の時分割多重通信方式ネットワーク。
【請求項4】
前記送信ノード及び受信ノードは、
所定期間経過後、再送信手段による送信及び再受信手段による受信から本来の送信タイムスロットにおける送信及び受信に戻すことを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の時分割多重通信方式ネットワーク。
【請求項5】
前記送信ノードは、
再送信手段による送信から本来の送信タイムスロットにおける送信に戻し、かつ、受信ノードに対して通常復帰を指示する復帰指示手段を備え、
受信ノードは、
前記復帰指示手段の指示に従って本来の送信タイムスロットにおける受信に戻す
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の時分割多重通信方式ネットワーク。
【請求項6】
前記受信ノードは、
再受信手段による受信から本来の送信タイムスロットにおける受信に戻し、かつ、送信ノードに対して通常復帰を指示する復帰指示手段を備え、
前記送信ノードは、
前記復帰指示手段の指示に従って本来の送信タイムスロットにおける送信に戻すことを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の時分割多重通信方式ネットワーク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−284172(P2009−284172A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133453(P2008−133453)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】