説明

時間的に万遍なく当たりを出す抽選装置

【課題】主催者が当選数を自由に設定可能な、即時に当落が判明する抽選装置を提供する。
【解決手段】抽選実施期間を入力する手段と、入力された抽選実施期間を記憶する手段と、当たり総数を入力する手段と、入力された当たり総数を記憶する手段と、記憶された抽選実施期間を記憶された当たり総数で割った値に基づいて、単位当たり時間を計算して記憶する手段と、抽選実施期間の開始時と、それから単位当たり時間が経過するごとに、当たりフラグをセットする手段と、くじ引き入力があったとき、当たりフラグがセットされている場合、当たり出力を発生するとともに、当たりフラグをリセットする手段と、くじ引き入力があったとき、当たりフラグがリセットされている場合、外れ出力を発生する手段とを備えた抽選装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、くじの当落をその場で判定する抽選装置に関し、とくに抽選のランダム性を損なうことなく主催者が自由に当選数を設定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータは主に情報処理の効率化や迅速化を実現するための手段として、われわれの日常に深く浸透している。さらにその利用は、実用的な情報処理だけにとどまらず、ゲームやくじなどの娯楽にも積極的に利用されるようになっている。たとえば、特開2004−57212号公報には、飲食店での伝票番号に基づいて抽選の行うくじ引きゲームシステムについて開示されている。また、特開2004−81736号公報には、複数のリールの回転によって抽選を行うスロットマシーンについて開示されている。
【特許文献1】特開2004−57212号公報
【特許文献2】特開2004−81736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
歳末の風物詩としてよく知られている福引きは、その場で当落が判明するために、不特定多数の人が気軽に参加できる娯楽形態である。このようにその場で当落が判明するくじは、当選数やそれに見合ったくじの総数をあらかじめ決めておくことによって実現されている。
【0004】
その一方で、くじの総数が少ないと、せっかく参加しようと訪れた人がくじの不足で参加できないという事態が起こりうる。逆にくじ総数が多すぎると、当たりくじまでが余ってしまい、実際に参加した人の中から当選する人がいない、という興ざめな事態も起こりうる。
【0005】
そうかといって、当選数やくじの総数を不特定の参加者数に即した値とするには、参加者が確定してからの抽選とすることが必要であり、その場で当落を判定することはできなくなってしまう。あるいは、当たりくじを確実に消化すべく先着順に当選とするのでは、ランダム性を本質とする「くじ」とは言えなくなくなってしまう。
【0006】
そこで本発明者らは、当選数をくじの主催者が自由に設定しながらも、その場で当落が判定されるくじを実施できる抽選装置を提供したいと考え本発明を創作した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、くじ引き入力に応答して当たり出力または外れ出力を発生する抽選装置であって、抽選実施期間を入力する手段と、入力された抽選実施期間を記憶する手段と、当たり総数を入力する手段と、入力された当たり総数を記憶する手段と、記憶された抽選実施期間を記憶された当たり総数で割った値に基づいて、単位当たり時間を計算して記憶する手段と、抽選実施期間の開始時と、それから単位当たり時間が経過するごとに、当たりフラグをセットする手段と、くじ引き入力があったとき、当たりフラグがセットされている場合、当たり出力を発生するとともに、当たりフラグをリセットする手段と、くじ引き入力があったとき、当たりフラグがリセットされている場合、外れ出力を発生する手段とを備えた抽選装置とする。
【0008】
この発明において、複数のユーザインタフェースを備え、それぞれのユーザインタフェースは、くじ引き入力操作が可能であるとともに、当たり出力または外れ出力が発生した場合にその旨を出力可能な抽選装置とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の抽選装置によれば、くじ主催者が自由に当選数を設定しながらも、その場で当落が判明するくじを実施できる。また、抽選実施期間の全期間にわたって偏ることなく万遍なく当たりくじが発生する。しかも、参加しようとする人がいるにもかかわらず抽選実施期間の終了前にくじがなくなってしまったり、参加者がいたにもかかわらず抽選実施期間が経過した後に当たりくじが残ってしまったりすることがない。したがって、くじの公平性や娯楽性が増し、くじそのものやくじが付随する各種サービスの利用者の増加を見込める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
===第1の実施例===
本発明の第1の実施例は、本発明に係る抽選装置をカラオケ利用の場面に適用したものである。カラオケ装置の利用に際して、カラオケ装置に付帯するカラオケ活用端末を本発明に係る抽選装置として、電子マネー決済可能な会員カードを用いた利用者のログインをくじ引きと見なし、抽選処理をおこなうものである。なお、抽選の結果、当たりの場合には当該会員カードに当選金に相当する電子マネーを入金することとしている。
【0011】
図1に当該通信カラオケシステムのネットワーク構成図を示した。インターネット70aを利用したVPN(Virtual Private Network)70bにカラオケ事業者の各地のカラオケ店舗100に敷設されたLAN110やカラオケ事業者が管理する各種コンピュータ(事業者コンピュータ)90が接続されて広域イントラネットが構築されている。各地のカラオケ店舗100の各客室120にはカラオケ装置1やそれに付帯する機器が設置され、カラオケ装置1はVPN70bを介して事業者コンピュータ90と通信したり、インターネット70aを介して外部のコンピュータと通信したりする。
【0012】
カラオケ装置1は、周知の通信カラオケシステムの演奏端末である。中央制御部がCPU・RAM・ROMを含むコンピュータ本体であって、各周辺構成部を制御してカラオケ装置1を統括している。ハードディスク装置には多数のカラオケ楽曲について、MIDIデータを主体とした伴奏音楽データと、歌詞画像の生成起源となる歌詞描出データとを含むカラオケデータが蓄積されている。利用者の指示入力を受け付けるユーザインタフェース装置を備え、利用者のリクエスト楽曲のカラオケデータを取り出して、伴奏音楽データをシンセサイザに転送して伴奏音楽を生成させたり、歌詞描出データに基づいて伴奏音楽に同期して歌唱すべき歌唱が色変わりする歌詞をディスプレイに表示させたりする。
【0013】
ホスト装置90aは、事業者コンピュータであり、カラオケ装置1に向けて新譜楽曲についてのカラオケデータ、台本データ、目次情報などを適時に配信したり、カラオケ装置1にて随時収拾される稼働ログなどを集信したりする。
【0014】
カラオケ装置1には、ユーザインタフェース装置として、楽曲検索機能などを備えた多機能リモコン装置(カラオケ活用端末:以下、活用端末)30が付帯している。リモコン制御部はCPU、RAM、ROM、ビデオRAMなどを含み、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチセンサとを積層したタッチパネルを介して利用者が指定した楽曲の演奏予約コマンドを赤外線信号によりカラオケ装置1に送信する。また、この活用端末30は内蔵2次電池により動作し、その2次電池を充電するための充電架台50が用意されている。この架台50はRS232Cなどの所定規格の通信インタフェースを備え、充電架台50を介してカラオケ装置1と通信するように構成されている。
【0015】
またカラオケ事業者は、上述した前払式電子マネー決済機構(以下、決済機構)に加盟する商品販売事業者として、カラオケの利用に関わる料金を電子マネーにより支払えるサービスを提供している。そしてインターネット70aには、その決済機構が管理する決済センターコンピュータ200が接続されている。
【0016】
===くじ引き入力(会員ログイン)===
本実施例において、事前に会員登録を済ませ、ICカードが付与された利用者(会員)は、録音機能など有料で提供されているサービスを利用可能である。つまり、有料サービスの利用代金をこのICカードに記録された電子マネーにより支払うこととしている。
【0017】
各会員が所持するカードのIDを会員の識別子として、このカードIDに氏名や連絡先などの個人情報が対応付けされて所定の事業者コンピュータ(以下、会員情報管理コンピュータ)90bのデータベースに蓄積管理されている。
【0018】
決済センターコンピュータ200は、電子マネーによる決済を管理し、多数のICカードをカードIDによって識別し、各カードIDに対応するカードの残高や取引履歴などを自身のデータベースに逐次更新しながら記憶・管理している。有料サービス利用時には、カラオケ装置1と活用端末30と適宜に通信し、カード残高や取引履歴を更新したり、支払代金を支払先の口座にオンラインで振り込んだりする。
【0019】
利用者(会員)が録音機能などの有料のサービスを利用する場合に、ICカードを用いてログインする。活用端末30のタッチパネルに表示される指示にしたがって、利用者がICカードを活用端末30のアンテナ部にかざすと、リモコン制御部は、カードインタフェースを介してカードIDを取得する、このIDに基づいて会員情報管理コンピュータ90bから会員情報を取り寄せて、ログインが完了する。
【0020】
===抽選機能===
本実施例において、活用端末30が抽選装置として機能する。この抽選装置は、くじ主催者(カラオケ店のオーナーやカラオケ店員など)が所定のユーザインタフェースにより、抽選実施期間と当選数(当たり総数)との設定入力を可能に構成されている。たとえば、活用端末30を管理者モードにて起動すると、それらの情報を入力するためのメニューをタッチパネルに表示して、入力を受け付け、適宜な記憶部に記憶する。あるいは、カラオケ装置1において管理者モードにて同様に入力を受け付け、適宜なデータ通信の機会に活用端末30に送信して記憶させる。
【0021】
そして活用端末30のリモコン制御部では、入力された当選数と抽選実施期間とに基づいて、抽選実施期間を当選数で割った単位当たり時間を計算して、この値を適宜に記憶する。単位当たり時間は、当たりくじ1本に相当する時間であり、この単位当たり時間に当たりくじ1本が発生することになる。本発明は、この単位当たり時間につき、最初にくじ引き入力があった場合に当たりとするものである。図2に抽選処理の処理イメージを例示している。
【0022】
活用端末30のリモコン制御部は、くじ引き入力に対する出力内容を指示するための当たりフラグを管理している。まず、抽選実施期間の開始時に当たりフラグをセットする。以後、単位当たり時間が経過するごとに、当たりフラグをセットする処理を、抽選実施期間が終了するまで繰り返す。
【0023】
会員のログインが完了すると、活用端末30は抽選処理を実行する。すなわち、ログインの完了をもってくじ引き入力があったとみなし、管理している当たりフラグを確認する。その結果、当たりフラグがセットされていた場合には、当該くじ引き入力の結果を当たりとして当たり出力を発生する。さらに、当たりフラグをリセットする。
【0024】
これに対し、会員ログイン処理が完了してくじ引き入力があったとみなされたときに、当たりフラグがセットされていなければ、当該くじ引き入力の結果を外れとして外れ出力を発生する。これにより、一旦当たり出力が発生すれば、単位当たり時間が経過して次の当たりフラグがセットされるまでは、当たり出力は発生しないことになる。
【0025】
仮に、当該単位当たり時間にくじ引き入力がなく当たりフラグをリセットする機会がなかった場合には、次の単位当たり時間での当選数を1つ増やしてもよい。たとえば次の単位当たり時間にセットすべき当たりフラグは、第2の当たりフラグとしてセットするように構成する。くじ引き入力に対しては、2つの当たりフラグを順次参照し、それぞれ当たり出力を発生してリセットすればよい。さらに当選数を繰り越す場合にも、同様に、当選数分の当たりフラグをセットするように構成する。
【0026】
あるいは、くじ引き入力がなく当たりフラグがリセットされなかった場合には、単位当たり時間の満了時に一旦リセットして当選数を1つ減らしてもよいし、単位当たり時間の分だけ抽選実施期間を延長することも可能である。
【0027】
また、(抽選実施期間と当選数の調整により)単位当たり時間を適宜に調整すれば、単位当たり時間ごとの当たり出力の法則を利用者が予測できずランダム性を保持できる。
【0028】
なお、ここで述べた当たりフラグ管理などの抽選機能をカラオケ装置1に持たせて、充電架台50を介して接続状態にあるカラオケ装置1と活用端末30とを抽選装置とすることも可能である。この場合には、活用端末30はくじ引き入力(会員ログイン)があればカラオケ装置1に通知し、抽選結果の出力(当たり出力または外れ出力)がカラオケ装置1から通知されると、その結果や当選金等を利用者に提示する。
【0029】
===当選時の処理===
活用端末30が当たり出力を発生すると、充電架台50およびカラオケ装置1を介してその旨および所定の当選金額の情報を会員情報管理コンピュータ90bに送信する。会員情報管理コンピュータ90bは、当選金額を未利用金額としてカードIDに対応付けして記録しておく。
【0030】
この未利用金額は、ログイン済みの会員が有料サービスを利用する際に利用料金に充当可能である。活用端末30が、会員情報管理コンピュータ90bからカードIDに対応する未利用金額を取得し、有料サービスの規定利用料金の一部あるいは全部に充当し、差し引き後の額を電子マネーによる支払額として含む課金情報を生成する。
【0031】
なお、上記実施例において、抽選装置は、決済センターコンピュータ200や会員情報管理コンピュータ90bの全てと、あるいはそのうちの1台と、一体のハードウェア装置として実現した装置であってもよい。
【0032】
===多数のユーザインタフェース端末===
VPN70bに接続されたカラオケ事業者コンピュータに上記抽選機能を持たせて抽選装置としても良い。そして、複数のカラオケ店舗100の客室120にあるカラオケ装置1や活用端末30をユーザインタフェースとして、1台の抽選装置で複数のユーザインタフェースに対する抽選処理を実施できる。つまり、VPN70bに接続された複数のカラオケ店舗の活用端末30等でログインした多数の会員を対象に抽選処理を実施する。これにより、単一のカラオケ装置1や活用端末30の利用者だけでなく、カラオケ店舗全体やカラオケチェーンの全店舗といった広域における抽選が可能となり、娯楽性がより向上する。
【0033】
このように本発明に係る抽選装置を、装置本体と、装置本体とVPNなどの通信手段により結合される多数のユーザインタフェース端末とで構成する形態は、カラオケ以外の他の利用形態にも適用可能である。ユーザインタフェース端末は、抽選装置本体に対してくじ引き入力コマンドを送信するとともに、それに従い抽選装置本体が当たり出力または外れ出力を発生した場合に、その内容を付帯するディスプレイなどの表示装置に表示したりプリンタで印字出力したりする。抽選装置本体は、くじ主催者による抽選実施期間と当たり総数の入力を受け付けるとともに、単位当たり時間を計算し、それらを記憶し一元管理している。また、抽選実施期間中には当たりフラグの一元管理を行っている。そして、配下のユーザインタフェース端末からくじ引き入力を受け付けると、当たりフラグを参照して当たり出力または外れ出力を発生し、くじ引き入力元のユーザインタフェース端末に送信したり、当たり出力を発生した場合に当たりフラグをリセットしたりする。
【0034】
たとえば、全国チェーンのスーパーや飲食店において、会員にポイントサービスを実施している場合に適用可能である。本部に設置され各店舗とネットワーク接続されたコンピュータを抽選装置本体とし、各店舗のICカードリーダーをユーザインタフェース端末として、ポイント会員カードをICカードリーダーで読み取ったことをもってくじ引き入力があったものと見なす。当たり出力の場合には、所定ポイントを加算したり、割引券やサービス券を出力したりするように構成できる。この場合には、上述の実施例と同様に、会員情報管理コンピュータを備え、抽選装置本体やユーザインタフェース端末と通信可能に構成する。抽選実施期間や当たり総数は、売り上げ額に応じて、あるいは全店あげてのキャンペーン方針などに従って、本部が一括設定可能である。
【0035】
このような店舗においても、くじ引き入力と見なせるものは、会員ログインだけに限らない。たとえば、各店舗のレジをユーザインタフェース端末として、利用金額が所定額を超えた場合に、くじ引き入力があったと見なすことも可能である。日替わりで所定の商品を購入したことを契機にくじ引き入力と見なすようにしてもよい。くじ対象の商品を日替わりにしたりレジを通すまで秘密にしておいたりすると、いっそう娯楽性が高まる。そして、抽選装置本体(本部コンピュータ)からの当たり出力の発生を契機として、賞品を出したり、利用期限や利用可能店舗を設定した割引券やサービス券を発行したりできる。各種サービス券をユーザインタフェース端末や付帯するプリンタにて印字出力するようにしてもよい。
【0036】
その他、通信カラオケ店舗で歌唱採点の結果が所定点数を超えた場合や、全国ランキング順位が所定順位を上回った場合などに、くじ引き入力があったと見なすようにすることもできる。
【0037】
また、ユーザインタフェース端末や会員情報管理コンピュータに利用履歴を記録することにより、同一利用者が一日に実行できるくじ引き回数や当たり回数を制限したりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例における販売情報管理システムを包含する通信カラオケシステムのネットワーク構成図である。
【図2】抽選処理のイメージを例示した図である。
【符号の説明】
【0039】
1 カラオケ装置
30 カラオケ活用端末(抽選装置)
50 充電架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
くじ引き入力に応答して当たり出力または外れ出力を発生する抽選装置であって、
抽選実施期間を入力する手段と、
入力された抽選実施期間を記憶する手段と、
当たり総数を入力する手段と、
入力された当たり総数を記憶する手段と、
記憶された抽選実施期間を記憶された当たり総数で割った値に基づいて、単位当たり時間を計算して記憶する手段と、
抽選実施期間の開始時と、それから単位当たり時間が経過するごとに、当たりフラグをセットする手段と、
くじ引き入力があったとき、当たりフラグがセットされている場合、当たり出力を発生するとともに、当たりフラグをリセットする手段と、
くじ引き入力があったとき、当たりフラグがリセットされている場合、外れ出力を発生する手段と、
を備えた抽選装置。
【請求項2】
複数のユーザインタフェースを備え、
それぞれのユーザインタフェースは、くじ引き入力操作が可能であるとともに、当たり出力または外れ出力が発生した場合にその旨を出力可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の抽選装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate