説明

時間直交シンボルを使用する複数アンテナ通信システムにおける後方互換性通信のための方法および装置

低次受信器によってシンボルを解釈することができるように、フレーム構造に従って複数アンテナ通信システムにおいてシンボルを送信する方法および装置が開示される。開示されるフレーム構造は、Nの送信アンテナのそれぞれの上において送信される少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよびN−1の追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを備える。レガシ・プリアンブルは、たとえば、少なくとも1つの短トレーニング・シンボル、少なくとも1つの長トレーニング・シンボル、および少なくとも1つのSIGNAl場を含むIEEE802.11a/gプリアンブルとすることが可能である。Nの送信アンテナのそれぞれの上における長トレーニング・シンボルのそれぞれのシーケンスは、長トレーニング・シンボルのそれぞれに互いに関して位相シフトを導入することによって、時間について直交する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれている、米国仮出願第60/483719号、2003年6月30日出願、および米国仮出願第60/528169号、2003年12月9日出願の利益を主張する。本出願は、それぞれ本明細書と同時に出願され、かつ参照によって本明細書に組み込まれている、米国特許出願、名称「Method and Apparatus for Communicating Symbols in a Multiple Input Multiple Output Communication System Using Diagonal Loading of Subcarriers Across a Plurality of Antennas」、米国特許出願、名称「Methods and Apparatus for Backwards Compatible Communication in a Multiple Input Multiple Output Communication System with Lower Order Receivers」、および米国特許出願、名称「Method and Apparatus for Backwards Compatible Communication in a Multiple Antenna Communication System Using FDM−Based Preamble Structures」
【特許文献1】米国特許出願、名称「Method and Apparatus for Backwards Compatible Communication in a Multiple Antenna Communication System Using FDM−Based Preamble Structures」にも関係する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的には、無線通信システムに関し、より具体的には、複数アンテナ通信システムについてチャネル推定を可能にするフレーム構造に関する。
OFDM変調に基づくほとんどの既存無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)システムは、IEEE802.11a規格またはIEEE802.11g規格(これ以後「IEEE802.11a/g」)に準拠する。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれている、IEEE規格802.11a−1999、「Part11」:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY)Specification:High−Speed Physical Layer in the GHz Band]を参照されたい。複数高分解能テレビジョン・チャネルなど、発展する応用分野を支援するために、WLANシステムは、さらに増大しつつあるデータ率を支援することができなければならない。したがって、次世代WLANシステムは、頑強性および容量の増大を提供すべきである。
【0003】
複数の送信アンテナおよび受信アンテナが、頑強性および容量の両方の増大を提供するために提案された。頑強性の増大は、複数アンテナを有するシステムにおいて導入される空間多様性および追加利得を利用する技法により達成することができる。容量の増大は、帯域幅効率のよい複数入力複数出力(MIMO)技法で複数経路フェーディング環境において達成することができる。
【0004】
MIMO−OFDMシステムは、複数の送信アンテナ上において別々のデータ・ストリームを送信し、各受信器が、複数受信アンテナ上においてこれらのデータ・ストリームの組合わせを受信する。しかし、受信器において異なるデータ・ストリームを区別して、適切に受信することは、困難である。様々なMIMO−OFDM復号技法が既知であるが、一般に、正確なチャネル推定の利用可能性に依存する。MIMO−OFDM復号技法の詳細な議論については、たとえば、参照によって本明細書に組み込まれている、P.W.ウォルニアンスキ(Wolniansky)ら、「V−Blast:An Architecture for Realizing Very High Data Rates Over the Rich−Scattering Wireless Channel」、1998 URSI International Symposium on Signals,Systems,and Electronics(1998年9月)を参照されたい。
【0005】
異なるデータ・ストリームを適切に受信するために、MIMO−OFDM受信器は、トレーニングによりチャネル・マトリックスを獲得しなければならない。これは、同期およびチャネル推定技法を実施するために、一般に、特定のトレーニング・シンボルまたはプリアンブルを使用することによって達成される。トレーニング・シンボルは、システムの全オーバーヘッドを増大させる。さらに、MIMO−OFDMシステムは、Nを送信器の数、Nを受信器の数として、全体でNのチャネル要素を推定する必要があり、これにより、長トレーニング長のNが増大することがある。
【特許文献2】米国仮出願第60/483719号、2003年6月30日出願
【特許文献3】米国仮出願第60/538567号、2004年1月23日出願
【特許文献4】米国特許出願、名称「Method and Apparatus for Communicating Symbols in a Multiple Input Multiple Output Communication System Using Diagonal Loading of Subcarriers Across a Plurality of Antennas」
【特許文献5】米国特許出願、名称「Methods and Apparatus for Backwards Compatible Communication in a Multiple Input Multiple Output Communication System with Lower Order Receivers」
【特許文献6】米国特許出願、名称「Methods and Apparatus for Backwards Compatible Communication in a Multiple Antenna Communication System Using Time Orthogonal Symbols」
【非特許文献1】IEEE規格802.11a−1999、「Part11」:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specification:High−Speed Physical Layer in the Five GHz Band]
【非特許文献2】P.W.ウォルニアンスキ(Wolniansky)ら、「V−Blast:An Architecture for Realizing Very High Data Rates Over the Rich−Scattering Wireless Channel」、1998 URSI International Symposium on Signals,Systems,and Electronics(1998年9月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、周波数領域または時間領域において直交する信号を使用してMIMO−OFDMシステムにおいてチャネル推定およびトレーニングを実施する方法およびシステムが必要である。さらに、現行IEEE802.11a/g規格(SISO)システムと互換性のあるMIMO−OFDMシステムにおいてチャネル推定およびトレーニングを実施して、MIMO−OFDMベースWLANシステムがSISOシステムと効率的に共存することを可能にする方法およびシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的に、低次受信器(すなわち、送信器よりアンテナの数が少ない受信器)によってシンボルを解釈することができるように、フレーム構造に従って複数アンテナ通信システムにおいてシンボルを送信する方法および装置が開示される。開示されるフレーム構造は、Nの送信アンテナのそれぞれの上において送信される少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよびN−1の追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを備える。レガシ・プリアンブルは、たとえば、少なくとも1つの短トレーニング・シンボル、少なくとも1つの長トレーニング・シンボル、および少なくとも1つのSIGNAL場を含む802.11a/gプリアンブルとすることが可能である。
【0008】
本発明の一態様によれば、Nの送信アンテナのそれぞれの上における長トレーニング・シンボルのそれぞれのシーケンスは、時間直交性である。長トレーニング・シンボルは、互いに関して位相シフトを長トレーニング・シンボルのそれぞれに導入することによって、時間について直交とすることができる。このようにして、本発明による送信器は、低次受信器と後方互換性であることが可能であり、低次受信器は、送信シンボルを解釈して、適切な持続時間中、遅延させることができる。
本発明のより完全な理解、ならびに本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な記述および図面を参照することによって得られるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、後方互換性MIMO−OFDMシステムを対象とする。図1は、源信号SからSNt、送信器TRANSMITからTRANSMITNt、送信アンテナ110−1から110−N、受信アンテナ115−1から115−N、および受信器RXからRXNrを備える例示的なMIMO−OFDMシステム100を示す。MIMO−OFDMシステム100は、複数の送信アンテナ110上において別々のデータ・ストリームを送信し、各受信器RXは、これらのデータ・ストリームの組合わせを受信する。異なるデータ・ストリームSからSNtを抽出および検出するために、MIMO−OFDM受信器RXは、図1に示されるように、トレーニングによりチャネル行列Hを得なければならない。
【0010】
IEEE802.11a/g規格は、短トレーニング・シンボルおよび長トレーニング・シンボルからなるOFDMベース無線ローカル・エリア・ネットワーク・システムについて、周波数領域においてプリアンブルを規定する。短トレーニング・シンボルは、フレーム検出、自動利得制御(AGC)、および粗同期に使用することができる。長トレーニング・シンボルは、微同期およびチャネル推定に使用することができる。IEEE802.11a/g規格による長トレーニング・シンボルは、64のサブキャリアからなり、図2に示されるように規定される。図3は、図2のIEEE802.11a/g長トレーニング・シンボルの周波数領域表示を示す。
【0011】
MIMO−OFDMシステムの理想的なトレーニング・シンボルは、周波数領域または時間領域において直交する。本発明の一態様によれば、IEEE802.11a/g規格の長トレーニング・シンボルは、異なる送信アンテナ上において各送信ブランチについて様々な送信長トレーニング・シンボルを位相シフトさせることによって、時間直交とされる。
【0012】
後方互換性
MIMO−OFDMシステムは、既存システムと共存するように、現行のIEEE802.11a/g規格に対して後方互換性であることが必要であることが好ましいが、その理由は、同じ共有無線媒体において動作するからである。本明細書において開示されるMIMO−OFDMシステムにおけるIEEE802.11a/g長トレーニング・シンボルの使用は、後方互換性であり、かつIEEE802.11a/gシステムおよび他の次数(すなわち、異なる数の受信器/送信器を備える)のMIMO−OFDMシステムと共存することができるMIMO−OFDMシステムを提供する。本明細書において使用される際に、後方互換性は、MIMO−OFDMシステムが、(i)現行規格を支援する、(ii)MIMO−OFDM送信の持続時間中、(選択的に)遅延させる(または待機する)ことができることが必要であることを意味する。MIMOフォーマットにおいて送信されたデータを受信することができないNの受信アンテナ、または他の数の受信アンテナを有するあらゆるシステムが、送信持続時間中、遅延させることができるが、その理由は、送信の開始を検出し、長トレーニング・シンボルに続くSIGNAL場に含まれているこの送信の長さ(持続時間)を取り出すことができるからである。
【0013】
長トレーニング・シンボルを使用するMIMO−OFDMシステム100が、2つの方式でIEEE802.11a/gシステムと後方互換式に通信することができる。第1に、IEEE802.11a/g規格に従ってデータを送信するために、1つのアンテナに縮小することが可能である。第2に、IEEE802.11a/g受信器は、通常のOFDMフレームとして、すべての活動送信器からのMIMO送信を解釈することができる。すなわち、IEEE802.11a/g受信器は、IEEE802.11a/g受信器が、MIMO送信の持続時間中、遅延させることを可能にする方式で、データのMIMO送信を解釈することができる。適切な遅延機構のより詳細な議論については、たとえば、参照によって本明細書に組み込まれている、米国特許出願、名称「Methods and Apparatus for Backwards Compatible Communication in a Multiple Input Multiple Output Communication System with Lower Order Receivers」を参照されたい。
【0014】
異なる送信アンテナ上において反復されるIEEE802.11a/gプリアンブル構造の少なくとも1つの長トレーニング場を使用するMIMOシステムは、後方互換性を達成するために、1アンテナ構成に縮小することができる。いくつかの変形形態が、長トレーニング・シンボルを直交させるために可能である。一変形形態では、長トレーニング・シンボルは、上記で記述された方式で、様々な送信アンテナにわたって対角的にロードすることができる。他の変形形態では、802.11a長トレーニング・シーケンスは、各アンテナ上において時間について反復される。たとえば、2つのアンテナの実施態様では、信号場が続く長トレーニング・シーケンスが、第1アンテナ上において送信され、これに続いて、長トレーニング・シーケンスが第2アンテナ上で送信される。他の変形形態は、周波数領域における直交性に基づくFDMベースMIMO−OFDMプリアンブル構造を使用する。
【0015】
本発明の一態様によれば、時間直交プリアンブル構造が使用され、それにより、802.11a/gプリアンブルは、各アンテナ上において同時に送信され、1つまたは複数の追加のトレーニング・シンボルが続く。時間直交性は、追加のトレーニング・シンボルのそれぞれを区別するために、位相シフトを使用することによって維持される。たとえば、図5に関して以下で議論される2つのアンテナの実施態様では、1つの追加のトレーニング・シンボルが各アンテナ上において送信され、それぞれが反対の極性を有する。
【0016】
図4は、従来のIEEE802.11a/gプリアンブル構造400を示し、図5は、本発明の特徴を組み込むMIMO−OFDMプリアンブル構造500を示す。図4に示されるように、LT1およびLT2は、それぞれ、長トレーニング・シンボルであり、SIGNALは、SIGNAL場である。802.11a/gプリアンブルには、データが続く。MIMOデバイスでは、各送信アンテナに利用可能な長トレーニング・シンボルを有することが必要である。したがって、802.11a/gと後方互換性であり、一方、各送信アンテナのチャネル情報を提供するMIMOプリアンブルおよびSIGNAL場が必要である。すなわち、1つの送信器ブランチ上において送信されるトレーニング・シンボルのシーケンスは、他のブランチ上において送信されるシーケンスに直交することが必要である。
【0017】
図5は、本発明によるレガシ・デバイスと互換性である時間直交長トレーニング・シンボルを有するMIMOプリアンブル500を示す。図5に示される例示的なMIMOプリアンブル500は、2×M MIMO実施態様についてであり、2つの送信アンテナおよびM(本明細書ではNとも呼ばれる)の受信アンテナ(本発明の範囲外にある)を有する。MIMOプリアンブル500は、レガシ・プリアンブル510を両方の送信アンテナにおいて同時に送信することによって、レガシ・プリアンブル510を完全な状態で維持する。802.11a/gプリアンブル510の後、本発明によって提供される1つまたは複数の追加のトレーニング・シンボル520が送信される。
【0018】
図5に示される実施態様では、新しいトレーニング・シンボル520は、IEEE802.11a長トレーニング・シンボル(すなわち、1.6マイクロ秒ガード空間および2かける3.2マイクロ秒IEEE長トレーニング・データ)と同一であるが、1つの送信アンテナ上における追加の長トレーニング・シンボルの極性は異なる。第2送信アンテナは、反対の極性を有する、すなわち−1が乗算された第2長トレーニング・シンボルを送信する。したがって、追加の長トレーニング・シンボル520について、長トレーニング場の対掌(anti−podal)同時送信が、TX1およびTX2について使用される。
【0019】
デジタル処理技法が、Mの受信器のそれぞれにおいて各送信アンテナのチャネル転送機能を得るために使用される。さらに、MIMOプリアンブル500は、周波数の同期およびシンボルの時間調整を可能にする。
【0020】
送信されたトレーニング・シーケンスは、TXnをn番目の送信アンテナを、iを離散時間インジケータ(i番目の送信された長トレーニング・シンボル)として、
【数1】

と表される。長トレーニング・シンボルは、図3の802.11a/g長トレーニング・シーケンスと同一であると想定する。したがって、各アンテナにおいて送信されるトレーニング・シーケンスは、以下のようになる。
【数2】

受信器mの受信長トレーニング・シンボルのi番めのセットを
【数3】

と呼ぶ。送信アンテナTXnおよび受信アンテナRXmに関係付けられる長トレーニング・シンボルは、
【数4】

と呼ばれ、以下のように、1および2に等しいnについて、それぞれ追加および減算することによって得られる。
【数5】

シンボル
【数6】

から、チャネル係数は、802.11a/g規格に基づいてシステムに適用される技法を使用して推定することができる。
Nの送信アンテナへの拡張
【0021】
図5のMIMOプリアンブル500と後方互換性である2つのアンテナは、Nの送信アンテナ(本明細書ではNとも呼ばれる)およびMの受信アンテナ(本明細書ではNとも呼ばれる)を有するシステムに拡張することができる。図6は、本発明によるレガシ・デバイスと互換性である時間直交長トレーニング・シンボルを有するNの送信ブランチについてMIMOプリアンブル600を示す。図6に示されるように、MIMOプリアンブル600は、全体でNの長トレーニング・シンボルを各送信ブランチ上において含むように、図5のMIMOプリアンブル500を拡張する。MIMOプリアンブル600は、各送信アンテナ上においてレガシ・プリアンブル610を同時に送信することによって、レガシ・プリアンブル610を完全な状態で維持する。802.11a/gプリアンブル610の後、本発明によって提供されるN−1の追加のトレーニング・シンボル620が、各送信アンテナ上において送信される。
【0022】
本発明の一態様によれば、各送信ブランチ上で送信されるNの長トレーニング・シンボルは、以下において議論されるように、Nの長トレーニング・シンボルを時間について直交とするために、位相シフトによって区別される。したがって、所与の送信ブランチ上の長トレーニング・シンボルのシーケンスは、他の送信ブランチ上の長トレーニング・シンボルのシーケンスと直交する。
【0023】
2×Mシステムについて上記で使用されたのと同じ表記を使用すると、送信されたプリアンブルは、以下によって与えられる。
【数7】

受信器mの受信長トレーニング・シンボルのi番めのセットは、
【数8】

と表される。送信アンテナTXnおよび受信アンテナRXmに関係付けられるLTは、
【数9】

と表され、以下によって得られる。
【数10】

以前に記述された2×Mの場合は、プリアンブル600の特別な場合であり、再び、
【数11】

を使用して、802.11a/gシステムの場合と同様の方式で、チャネル係数を推定することができることに留意されたい。
【0024】
802.11a/gに基づくMIMO−OFDM装置では、MIMO送信の先行表示を得ることが有用である。SIGNAL場の予約ビット(ビット4)は、このために使用することができる。レガシ・デバイスは、このビットを無視すべきであり、TGn装置は、MIMOが送信されるとき、このビットを設定し、レガシ・モードにおいてこのビットをリセットすることができる。IEEE802.11aは、レガシ・デバイスがこのビットを設定することが可能であるように、予約ビットの値を規定しないことに留意されたい。MIMO受信器は、それを認識すべきであり、かつ、レガシ・モードに戻ることができるべきである。IEEE802.11gは、送信器がビットを値「0」にリセットすることを必要とするが、受信器がこのビットを無視することも必要とする。
【0025】
サービス領域(BSSまたはIBSS)内において、MIMOモードにおける送信アンテナの数を劇的に変更することができ、このアンテナ数が、1またはN(ビーコンあたり)へのアクセス点によって決定されない場合、PHYが、アンテナ数の先行表示を有することが有用である。これに対する解決法は、SIGNAL場の後の場が、後続の送信アンテナの数および長トレーニング場の数を示すことである。これは、レガシ6Mbpsモードにおいて送信されることができることが可能である。さらに、場は、様々な符号化方式、チャネル結合選択肢、および長トレーニング・フォーマットなどの情報を含むことができる。
【0026】
図7は、本発明によるレガシ装置と互換性がある時間直交長トレーニング・シンボルを有する2つの例示的な送信ブランチについてMIMOプリアンブル700を示す。図7に示されるように、MIMOプリアンブル700は、送信アンテナ数を規定する追加の場715(NTx)を含むように、図5のMIMOプリアンブル500を拡張する。MIMOプリアンブル700は、レガシ・プリアンブル710を両方の送信アンテナ上において同時に送信することによって、レガシ・プリアンブル710を完全な状態で維持する。802.11a/gプリアンブル610の後、追加の場715(NTx)および本発明によって提供される1つの追加のトレーニング・シンボル720が、両方の送信アンテナ上において送信される。
【0027】
本発明の技法に関連するオーバーヘッドは、ペイロードに比較して相対的な長いトレーニングからなる。固定最大パケット・サイズでは、DATA部分は、MIMOに関してより短くなり、一方、トレーニングは、対応してより長くなることに留意されたい。したがって、比は、2次式で悪くなる。これを防止する解決法は、より短い長トレーニング場を使用することである。長トレーニング場は、通常、ガード間隔および2つの長トレーニング・シンボル、全体で8マイクロ秒を有する。性能は、MIMOトレーニングでは同じ2重長トレーニング・シンボルの場合によりよくなるが、単一の長トレーニング・シンボルを有すれば十分であろう。さらに、随意選択で、より小さいガード間隔を適用することができ、たとえば、通常のOFDMシンボルのガード間隔は、1.6マイクロ秒である代わりに、0.8マイクロ秒である。両特徴は、上記で記述されたように、随意選択として、追加の場715において示されることが可能である。
【0028】
図8は、本発明の特徴を組み込む例示的なMIMO−OFDM受信器800のブロック図である。図8に示されるように、MIMO−OFDM受信器800は、複数の受信アンテナ815−1から815−Nおよび受信器RX1からRXNrを含む。時間および周波数の同期が、ステージ820において実施され、同期受信信号は、周期的接頭辞を除去するステージ825およびチャネル推定ステージ835に加えられる。周期的接頭辞がステージ825において除去された後、第1フーリエ変換(FFT)が、ステージ830において実施される。検出および復号ブロック845が、チャネル推定835を使用して、MIMO検出(Ncのサブキャリアについて)、位相シフト、および振幅ドループ訂正、デマッピング、デインタリービング、デパンチュリング(depunturing)、および復号を実施する。
【0029】
MIMO−OFDM受信器800は、以下のように、トレーニング・シンボルおよびSIGNAL場の検出で、チャネル推定835を実施することができる。
1.SNRにおいて得るために、SIGNAL場の前に受信された2つの長トレーニング・シンボルLTを追加する。
2.結果的な長トレーニング・シンボルを周波数領域に変形する。
3.長トレーニング・シンボルを復調し、すべての送信アンテナから考慮される受信アンテナまでのチャネル要素合計の推定を得る。
4.SIGNAL場を周波数領域に変換する。
5.チャネル推定の合計の推定を使用して、SIGNAL場(および利用可能であればNTX場)を検出して、復号する。
6.これが、パケットが受信器(十分な数の受信アンテナ)について検出可能であることを示す場合、以前に説明されたようにチャネル推定が続行され、そうでない場合、パケットの長さ中、遅延させる。
【0030】
本明細書において示され、かつ記述された実施形態および変形形態は、本発明の原理の単なる例示であり、また、当業者なら、本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、様々な修正を実施することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】Nの送信器、Nの受信器からなる従来の複数アンテナ通信システムを示す図である。
【図2】逆高速フーリエ変換(IFFT)の入力において見た、64のサブキャリアからなるIEEE802.11a/g規格による従来の長トレーニング・シンボルを示す図である。
【図3】従来のIEEE802.11a/g規格の長トレーニング・シンボルの周波数領域表示を示す図である。
【図4】従来のIEEE802.11a/gプリアンブル構造を示す図である。
【図5】本発明による、2つの送信ブランチについて時間直交長トレーニング・シンボルを有するMIMOプリアンブルを示す図である。
【図6】本発明による、時間直交長トレーニング・シンボルを有するNの送信ブランチについてMIMOプリアンブルを示す図である。
【図7】2つの送信ブランチを有する実施態様について、時間直交長トレーニング・シンボルを有する代替MIMOプリアンブルを示す図である。
【図8】本発明による、例示的なMIMO−OFDM受信器のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nの送信アンテナを有する複数アンテナ通信システムにおいてデータを送信する方法であって、
少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよび少なくとも1つの追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを前記Nの送信アンテナのそれぞれの上において送信する工程を含み、前記送信アンテナ上の前記長トレーニング・シンボルの各々のシーケンスが直交する方法。
【請求項2】
前記レガシ・プリアンブルが、少なくとも1つの短トレーニング・シンボルをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レガシ・プリアンブルが、少なくとも1つのSIGNAL場をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レガシ・プリアンブルが、802.11a/gプリアンブルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記長トレーニング・シンボルのそれぞれが、時間直交性である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記長トレーニング・シンボルのそれぞれが、前記長トレーニング・シンボルのそれぞれに互いに関して位相シフトを導入することによって時間直交性となる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記位相シフトが、複素回転を使用して前記長トレーニング・シンボルのそれぞれに導入される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Nが2であり、前記送信工程が、少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよび1つの追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを前記2つの送信アンテナのそれぞれの上において送信する工程をさらに含み、前記送信アンテナの1つが、反対極性を有する前記長トレーニング・シンボルの1つを送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
低次受信器が、前記送信データを解釈することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記数Nの送信アンテナを示す場を送信する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
使用される符号化スキームを識別する場を送信する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
チャネル結合選択肢を識別する場を送信する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
長トレーニング・シンボル・フォーマットを識別する場を送信する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レガシ・プリアンブルが、より短いガード間隔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記レガシ・プリアンブルが、唯一の長トレーニング・シンボルを含む長トレーニング場を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
複数アンテナ通信システムにおける送信器であって、
少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよび少なくとも1つの追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルをNの送信アンテナのそれぞれの上において送信するためのNの送信アンテナを備え、前記長トレーニング・シンボルのそれぞれが直交する、送信器。
【請求項17】
前記レガシ・プリアンブルが、少なくとも1つの短トレーニング・シンボルを備える、請求項16に記載の送信器。
【請求項18】
前記レガシ・プリアンブルが、少なくとも1つのSIGNAL場をさらに備える、請求項16に記載の送信器。
【請求項19】
前記レガシ・プリアンブルが、802.11a/gプリアンブルである、請求項16に記載の送信器。
【請求項20】
前記長トレーニング・シンボルのそれぞれが、時間直交性である、請求項16に記載の送信器。
【請求項21】
前記長トレーニング・シンボルのそれぞれが、前記長トレーニング・シンボルのそれぞれに互いに関して位相シフトを導入することによって時間直交性となる、請求項16に記載の送信器。
【請求項22】
前記長トレーニング・シンボルが送信されるとき、前記時間直交性長トレーニング・シンボルのそれぞれが、メモリに記憶され、前記位相シフトが導入される、請求項21に記載の送信器。
【請求項23】
Nが2であり、前記送信工程が、少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよび1つの追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを前記2つの送信アンテナのそれぞれの上において送信する工程をさらに含み、前記送信アンテナの1つが、前記長トレーニング・シンボルの1つを反対極性で送信する、請求項16に記載の送信器。
【請求項24】
低次受信器が、前記送信されたデータを解釈することができる、請求項16に記載の送信器。
【請求項25】
前記Nの数の送信アンテナを示す場を送信する工程をさらに含む、請求項16に記載の送信器。
【請求項26】
複数アンテナ通信システムにおいて、Nの送信アンテナを有する送信器によって送信されるデータを少なくとも1つの受信アンテナ上において受信するための方法であって、
前記データの少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよび送信の持続時間の表示、ならびに少なくとも1つの追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを前記Nの送信アンテナのそれぞれの上において受信し、前記Nの送信アンテナのそれぞれの上における前記長トレーニング・シンボルのそれぞれのシーケンスが直交し、持続時間の前記表示を低次受信器によって解釈することができるように、前記レガシ・プリアンブルが送信される工程と、
前記表示持続時間中遅延させる工程とを含む、方法。
【請求項27】
前記方法が、SISO受信器によって実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記表示が、802.11a/g規格に準拠するSIGNAL場において送信される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
Nの送信アンテナを有する少なくとも1つの送信器を有する複数のアンテナ通信システムにおける受信器であって、
少なくとも1つの長トレーニング・シンボルおよび前記データの送信の持続時間の表示、ならびに少なくとも1つの追加の長トレーニング・シンボルを有するレガシ・プリアンブルを前記Nの送信アンテナのそれぞれの上において受信するための少なくとも1つの受信アンテナであって、前記Nの送信アンテナのそれぞれの上における前記長トレーニング・シンボルのそれぞれのシーケンスが直交し、持続時間の前記表示を低次受信器によって解釈することができるように、前記レガシ・プリアンブルが送信される少なくとも1つの受信アンテナと、
前記表示持続時間中、遅延させる手段とを備える、受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−525097(P2007−525097A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517800(P2006−517800)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/021028
【国際公開番号】WO2005/006700
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(500587067)アギア システムズ インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】