説明

時間設定装置、電子機器、時計、タイマー、及び歩数計

【課題】外部装置がない場合でも、電池交換後に現在の時刻と表示時刻との差を小さくできる。
【解決手段】CPU106は、電池の交換前に、電池の交換前の時刻を示す日付情報及び時刻情報をEEPROM107に記録させ、電池の交換後には日付情報、時刻情報及び個別設定情報等をEEPROM107から読み出し、電池の交換に費やされる交換時間であって予め定められた交換時間を加えた日付及び時刻を日時測定部102に設定するとともに個別設定情報等をRAM109に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間設定装置、電子機器、時計、タイマー、及び歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
時計には、電池を用いて駆動されるものがある。このような時計では、電池が消耗した際に電池を交換する必要がある。そして、電池を交換する場合には、時計の計時する時刻は止まっているのに対して実際の時刻は進んでしまうので、現在の時刻と時計の表示する時刻(表示時刻という)に差が生じてしまう。
特許文献1には、デジタル式車両運行記録装置において、バッテリ上がりが生じた場合など、車載装置内の時計の時刻が未定状態になったときでも、時計を内蔵した外部装置を車載装置に接続することによって、データを抽出し、外部装置が計時する時刻を再設定することが記載されている(特開平06−333117号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−333117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、外部装置がない場合に、現在の時刻を時計の表示する表示時刻に再設定することができない。つまり、特許文献1記載の技術では、外部装置がない場合に、現在の時刻と表示時刻に差が生じてしまう。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、外部装置がない場合でも、電池交換後に現在の時刻と表示時刻との差を小さくできる時間設定装置、電子機器、時計、タイマー、及び歩数計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一様態は、電池の電力で時間を計時する計時部に対して、時間を設定する時間設定装置であって、電池の交換前の時間に関する情報を、電池の交換に費やされる交換時間であって予め定められた交換時間が経過した後の時間に関する情報に変更する時刻設定部を備えることを特徴とする時間設定装置である。
【0007】
また、本発明の一様態は、前記時刻設定部は、電池の交換前に、前記電池の交換前の時間に関する情報を記録部に、記録させ、記録させた電池の交換前の時間に関する情報を、電池交換後に、前記交換時間が経過した後の時間に関する情報に変更して設定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一様態は、前記時刻設定部は、電池の交換前に、前記電池の交換前の時間に関する情報を前記交換時間が経過した後の時間に関する情報に変更して前記記録部に、記録させ、電池交換後に、記録させた時間に関する情報を設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一様態は、前記計時部は時計装置であり、前記時間に関する情報は、時刻であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一様態は、前記計時部はタイマー装置であり、前記時間に関する情報は、前記タイマー装置が計時する時間であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一様態は、前記計時部が計時する時間が予め定めた時間であるときに、前記時刻設定部は、前記時間に関する情報を前記記録部に、記録させ、記録された時間に関する情報に基づいて、前記交換時間が経過した後の時間の情報に変更することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一様態は、前記時刻設定部は、前記記録部に、電池の電圧が低下したときに、前記時間に関する情報を記録させ、記録された時間に関する情報に基づいて、前記交換時間が経過した後の時間の情報に変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一様態は、前記時刻設定部は、前記記録部に、利用者からの入力を受けたときに、前記時間に関する情報を記録させ、記録された時間に関する情報に基づいて、前記交換時間が経過した後の時間の情報に変更することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一様態は、記時刻設定部は、前記記録部に、前記時計装置の利用者が設定した設定情報を記録させ、前記設定情報を電池の交換後に設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一様態は、上記時間設定装置を備える電子機器である。
【0016】
また、本発明の一様態は、上記時間設定装置を備える時計である。
【0017】
また、本発明の一様態は、上記時間設定装置を備えるタイマーである。
【0018】
また、本発明の一様態は、上記時間設定装置を備える歩数計である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外部装置がない場合でも、電池交換後に現在の時刻と表示時刻との差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る時計の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態に係る時計における動作の一例を示したフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る時計における別の動作の一例を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る時計における動作の一例を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るタイマー装置の概略ブロック図である。
【図6】本実施形態に係るタイマーにおける動作の一例を示したフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るタイマーにおける別の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る時計1(電子機器)の構成を示す概略ブロック図である。図示する例では、時計1は、日時計測部102、入力部103、発振回路104、分周回路105、CPU(Central Processing Unit、中央演算装置;時刻設定部)106、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM;記録部)107、読み出し専用メモリ(ROM)108、ランダムアクセスメモリ(RAM)109、表示部110、及び電池111を含んで構成される。
【0023】
日時計測部102は、日付及び時刻(時間に関する情報)を計測し、計測した日付を示す日付情報、及び、時刻を示す時刻情報をCPU106に出力する。日時計測部102は、CPU106から日付及び時刻を設定された場合に、現在計測している日付及び時刻を、CPU106から設定された日付及び時刻に更新する。
【0024】
入力部103は、外部からの入力を受ける。例えば、利用者は、時刻、カレンダー、又は、利用者が設定した情報(個別設定情報)を記録したい場合に、時計に設けられたスイッチを用いて入力する。ここで、個別設定情報とは、例えば、時計のアラームを鳴らす時刻、カレンダーの予定表(日付又は時刻の情報と、それに対応する予定情報)、時計の画面表示のコントラスト情報、低電力モードへの移行時間等であるが、その他の情報であってもよい。情報入力部103は、入力に応じた情報をCPU106に出力する。
【0025】
発振回路104は、水晶振動子等の発振子が出力する信号を取得し、取得した信号を分周回路105に出力する。
分周回路105は、発振回路104から入力された信号を予め定めた分周比に応じて分周(周波数の低減)したクロック信号を出力する。予め定められた分周比とは、分周回路105において、CPU106が動作するクロック周波数の範囲のクロック信号を出力するように定めたパラメータである。分周回路105は、発振回路104から入力した発振信号をカウンタ回路で計数し、その計数された値が分周比で設定した値に達したときに、一つのデジタルパルスをCPU106に出力する。
【0026】
CPU106は、日時計測部102から入力された日付情報及び時刻情報が示す日付及び時刻を表わす表示情報を生成し、生成した表示情報を表示部110に出力する。また、分周回路105から入力されたクロック信号に同期して演算処理を行う。ここで、CPU106は、ROM108及びRAM109が記録するプログラム及びデータに基づいて、演算処理を行う。CPU106は、演算処理の結果の情報をRAM109に記録する。CPU106は、演算処理の結果に応じて、表示部110に表示させる表示情報を生成し、生成した表示情報を表示部110に出力する。
具体的には、CPU106は、入力部103から入力された情報に基づいて、RAM109から個別設定情報を読み出して更新し、更新後の個別設定情報をRAM109に書き込む。
【0027】
また、CPU106は、日時計測部102又は入力部103から入力された情報に基づいて、日時計測部102から入力された日付情報及び時刻情報、及び、RAM109が記録する個別設定情報等をEEPROM107に書き込む。
CPU106は、電池が交換された後に、EEPROM107に書き込まれた日付情報、時刻情報及び個別設定情報等を読み出す。CPU106は、EEPROM107から読み出した日付情報、及び時刻情報が示す日時を、日時計測部102に設定する。CPU106は、EEPROM107から読み出した個別設定情報等をRAM109に書き込むことで更新する。
なお、CPU106による記録、設定の動作の詳細についてはフローチャートを用いて後述する。
【0028】
EEPROM107は、CPU106から書き込まれた日付情報、時刻情報、及び個別設定情報等を記録する。EEPROM107に記録された情報は、電池が外され、電力が供給されない場合にも保持される。
【0029】
ROM108は、プログラム及びデータを記録する。RAM109は、CPU106から書き込まれたデータを記録する。なお、RAM109が記録する情報は、電力が供給されない場合に消失される。
表示部110は、CPU106から入力された表示情報を表示する。
【0030】
次に、本実施形態における時計1の動作の一例について説明する。
図2は、本実施形態に係る時計1における別の動作の一例を示したフローチャートである。図2は、時計1が、電池の交換前に、日付情報、時刻情報、及び個別設定情報等をEEPROM107に記録する動作の一例である。
【0031】
(ステップS201)時計1は、時計が動作するために必要な各種初期化を行う。具体的には、時計1は、発振回路104、及び分周回路105を起動する。分周回路105は、クロック信号を発生し、CPU106を起動する。その後、CPU106は、入力部、日時計測部、表示部などの初期化を行う。その後、ステップS202に進む。
(ステップS202)CPU106は、日時計測部102から入力された時刻情報が示す時刻の秒が、予め定めた値(本実施形態では「0」秒)であるか否かを判定する。時刻の秒が「0」秒であると判定した場合には(Yes)、ステップS203に進む。一方、時刻の秒が「0」秒でないと判定した場合には(No)、ステップS202へ戻る。
なお、ステップS202の判定に用いる予め定めた値は「0」秒でなくてもよく、例えば、時刻の秒が30秒であってもよい。また、CPU106が、ステップS202の判定に用いる予め定めた値は、時刻の秒だけではなく、時間や分も用いてもよい。例えば、CPU106は、時刻の分が偶数かつ時刻が「45」秒であるか否かを判定してもよい。
【0032】
(ステップS203)CPU106は、日時計測部102から入力された日付情報及び時刻情報をEEPROM107に書き込む。すなわち、CPU106は、日時計測部102(計時部)が計時する時刻が予め定めた時刻であるときに、日付情報及び時刻情報を記録する。また、CPU106は、電池の交換前に、電池の交換前の時刻を示す日付情報及び時刻情報を記録する。その後、ステップS202に戻る。
【0033】
図3は、本実施形態に係る時計1の別の動作の一例を示したフローチャートである。図3は、時計1が、電池の交換後に、日付情報、時刻情報、及び個別設定情報等をEEPROM107から読み出して、設定する動作の一例である。
【0034】
(ステップS301)CPU106は、図2のステップS203で記録した日付情報、時刻情報、及び個別設定情報等をEEPROM107から読み出す。その後、ステップS302に進む。
(ステップS302)CPU106は、ステップS301で読み出した日付情報及び時刻情報が示す日付及び時刻に、電池の交換に費やされる交換時間であって予め定められた交換時間(本実施形態では「10」分)を加えた日付及び時刻を日時測定部102に設定する。すなわち、CPU106は、記録した電池の交換前の日付及び時刻を、電池交換後に、交換時間(10分)が経過した後の日付及び時刻に変更して設定する。
また、CPU106は、ステップS301で読み出した個別設定情報等をRAM109に書き込むことで更新する。その後、動作を終了する。
【0035】
このように、本実施形態によれば、CPU106は、電池の交換前の時刻を、電池の交換に費やされる交換時間であって予め定められた交換時間が経過した後の時刻に変更する。これにより、本実施形態では、時計1は、外部装置がない場合でも、電池交換後に現在の時刻と表示時刻との差を小さくできる。よって、利用者は、電池の交換後に日付及び時刻を容易に設定することができ、また、利用者は、個人設定情報等を再設定しなくても電池の交換前の個人設定情報等を利用することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の時計1の構成は、電池電圧検出部101を新たに加えたことを除いて第1の実施形態における時計1の構成(図1)と同様である。従って、電池電圧検出部101以外の説明は省略する。
【0037】
電池電圧検出部101は、電池の正極と負極の両極間の電位差を測定し、電圧が予め定めた閾値電圧より低下しているか否かを判定する。判定の結果、電池電圧が低下していると判定した場合に、電池電圧検出部101はCPU106にハイ(H)を示す信号を出力する。一方、電圧が低下していないと判定した場合に、電池電圧検出部101はCPU106にロー(L)を示す信号を出力する。
【0038】
次に、本実施形態における時計1の動作の一例について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る時計1における動作の一例を示したフローチャートである。図4は、電池交換前に、日付情報、時刻情報、及び個別設定情報等をEEPROM107に記録する動作の一例を示したフローチャートである。
(ステップS401)CPU106は、電池電圧検出部101の出力がハイ(H)であるか否かを判定することにより、電池電圧が低下しているか否かを判定する。電池電圧が低下していると判定した場合(Yes)には、ステップS402に進む。一方電池電圧が低下していないと判定した場合(No)は、ステップS401へ戻る。
ステップS402からステップS403のステップは、図2におけるステップS202からステップS203と同様の処理である。ただし、ステップS203の後にステップS401に進む点が異なる。
【0039】
本実施形態における時計1の電池交換後における日付情報、時刻情報、及び個別設定情報等をEEPROM107から読み出して、設定する動作は、図3に示したステップS301からステップS302と同様の処理である。
【0040】
このように、本実施形態によれば、CPU106は、電池の電圧が低下したときに、EEPROM107に現在の日付、時刻、及び個別設定情報等を記録する。これにより、CPU106は、電池の電圧が低下したとき、すなわち電池交換の時期が近づいたときにEPROM107への書き込みを行う。CPU106は、電圧が低下していない場合にはEEPROM107への書き込みを行わないため、電池の消耗を抑えることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るタイマー2の概略ブロック図である。本実施形態に係るタイマー2(図5)と第1の実施形態に係る時計1(図1)とを比較すると、タイマー202、CPU206が異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0042】
タイマー部202は、CPU206から、タイマー2が計時する時間(タイマー時間)の入力を受け、タイマー時間を設定される。タイマー部202は、CPU206からスタートトリガ信号の入力を受けると、タイマー時間の計測を開始する。具体的には、CPU206は、タイマー時間に対応するタイマーカウント値(時間に関する情報)をタイマー部202に設定する。タイマー部202は、CPU206からのスタートトリガの入力によってタイマーカウント値を減じていき、値が0になったときにタイマー時間が経過したと判定する。ここで、タイマーカウント値とは、タイマー部202がその内部で使用するパラメータであり、タイマーが計測する実際の時間に、ある特定の係数を乗じたものである。
【0043】
タイマー部202は、タイマー時間が経過したと判定した場合に、CPU206にハイ(H)を示す信号を出力する。一方、タイマー時間が経過していないと判定した場合にタイマー部202は、CPU206にロー(L)を示す信号を出力する。また、タイマー部202は、CPU206からの要求に応じ、現在のタイマーカウント値をCPU206に出力することもできる。
【0044】
次に、タイマー2における動作の一例について説明する。
図6は、本実施形態に係るタイマー2における動作の一例を示したフローチャートである。図6は、電池の交換前に、タイマーカウント数、及び個別設定情報等をEEPROM107に記録する動作の一例である。
【0045】
(ステップS601)利用者は、入力部103を通じて時間の計時を開始する旨の入力を行う。CPU206は、入力部103からタイマーの計測を開始を要求する信号の入力を受け、タイマー部202に計測すべき時間に対応するタイマーカウント値を計算し、出力する。タイマー部202は、CPU206からのタイマーカウント値の入力を受けて、タイマーカウント値を設定する。その後、CPU206は、タイマー部202にスタートトリガ信号を出力し、タイマー部202は、タイマー計測を開始する。その後、ステップS602へ進む。
【0046】
(ステップS602)CPU206は、タイマー部202にタイマーカウント値を出力するよう命令する。タイマー部202はCPU206からタイマーカウント値を出力する命令を入力され、タイマーカウント値をCPU206に出力する。CPU206は、タイマーカウント値から、経過時間、または残り時間等の時間を算出し、表示部110に表示する。CPU206は、タイマー部202からタイマーカウント値を入力され、それが、予め定めROM108又はRAM109に記録された、タイマーカウント値(例えば、100)の倍数であるかどうかを判定する。例えば、CPU206は、タイマーカウント値が、100、200、300といった100の倍数であると判定したときは、ステップS603に進む。CPU206は、タイマーカウント値が、100、200、300といった100の倍数であると判定しなかった場合は、ステップS602へ戻る。
【0047】
(ステップS603)CPU206は、ステップS602でタイマー部202から出力されたタイマーカウント値、及び個別設定情報等をEEPROM107に書き込む。その後、ステップS602に戻る。
【0048】
図7は、本実施形態に係るタイマー2における別の動作の一例を示したフローチャートである。図7は、電池の交換後に、タイマーカウント数、及び個別設定情報等をEEPROM107に記録する動作の一例である。
【0049】
(ステップS701)CPU206は、EEPROM107からステップS603で記録されたタイマーカウント値、及び個別設定情報等を読み込む。その後、ステップS702に進む。
(ステップS702)CPU206は、ステップS701で読み込まれたタイマーカウント値に、電池の交換に費やされる時間に対応するタイマーカウント値を減じた値をタイマー部202に設定する。また、ステップS701で読み込まれた個別設定情報等をRAM109に記録する。その後、動作を終了する。
【0050】
このように、本実施形態によれば、タイマー2において、CPU206は、一定時間おきにタイマー202から取得したタイマーカウント値、又は個別設定情報等をEEPROM107に書き込む。電池交換後にCPU206は、EEPROM107に書き込まれたタイマーカウント値に、電池の交換に費やされる時間に対応するタイマーカウント値を減じた値をタイマー部202に設定する。それに加えて、個別設定情報等をRAM109に記録する。これにより、利用者は電池交換後もタイマー計測を継続することができると共に、利用者の個別設定情報も設定される。
【0051】
<変形例1>
なお、上記第1、2の実施形態において、CPU106は、図2のステップS203で、日時計測部102から入力された日付情報及び時刻情報が示す日付及び時刻に代えて、この日付及び時刻に交換時間を加えた日付及び時刻を示す日付情報及び時刻情報をEEPROM107に書き込んでもよい。この場合、CPU106は、図3のステップS301で、ステップS301で読み出した日付情報及び時刻情報が示す日付及び時刻を、そのまま、日時測定部102に設定する。すなわち、CPU106は、電池の交換前に、電池の交換前の時刻を交換時間が経過した後の時刻に変更して記録し、電池交換後に、記録した時刻を設定する。
【0052】
<変形例2>
なお、上記第3の実施形態において、現在のタイマーカウント値に代えて、電池の交換に費やされる時間(例えば10分)に対応するタイマーカウント値を、ステップS602で取得した現在のタイマーカウント値から減じたタイマーカウント値を記録してもよい。なお、電池の交換に費やされる時間に対応するタイマーカウント値は、予めROM108に書き込まれ、又は予め利用者から入力部103を用いて入力され、RAM109に書き込まれたものを用いることができる。なお、ステップS603において、現在のタイマーカウント値に代えて、電池の交換に費やされる時間をステップS602で取得した現在のタイマーカウント値から減じたタイマーカウント値を記録した場合は、ステップS701で読み込まれたタイマーカウント値をタイマー部202に出力し、設定する。その後、動作を終了する。
【0053】
<変形例3>
また、上記第3の実施形態において、タイマー2がタイマーカウント値を減ずるカウントダウン型のタイマーである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、タイマー2は、タイマーカウント値を加えるカウントアップ型のタイマーであってもよい。その場合は、CPU206は、ステップS601で計測する時間に対応する終了タイマーカウント値をタイマー部202に設定する。CPU206は、スタートトリガ信号をタイマー部202に出力する。タイマー部202は、CPU206からスタートトリガ信号を入力されることにより計時を開始する。タイマー部202は、タイマーカウント値をカウントアップし、ステップS601で設定された終了タイマーカウント値になったときにタイマー時間が経過したと判断する。タイマー時間が経過したと判定した場合に、タイマー部202は、CPU206にハイ(H)を示す信号を出力する。一方、タイマー時間が経過していないと判定した場合に、タイマー部202は、CPU206にロー(L)を示す信号を出力する。また、タイマー部202は、CPU206からの入力に応じ、現在のタイマーカウント値をCPU206に出力してもよい。
【0054】
なお、上記の各実施形態において、交換時間はROM108に記録されている。この交換時間は、機種ごとに異なってもよい。例えば、電池交換のために裏蓋を外す必要があり、その裏蓋が多くのねじで固定されていて交換に時間がかかる機種では「15」分としてもよい。また、例えば、裏蓋の固定にねじが用いられていないような電池交換が容易な機種では、「5」分としてもよい。すなわち、CPU106は、機種に応じて異なる交換時間を用いてもよい。
【0055】
なお、上記の各実施形態において、日付情報、時刻情報、タイマーの時間計測に関する情報、及び個別設定情報等をEEPROMに書き込む動作を行う場合は、例えば利用者が入力部103から日付情報、時刻情報、タイマーカウント値、及び個別設定情報等の記憶の要求を入力した場合に随時書き込みを行ってもよい。これにより、利用者が電池交換をするときに、最新の日付、時刻、個別設定情報等の情報を記録することができる。
また、歩数計においては、歩数に関する情報を個別設定情報等に含めることも出来る。
【0056】
なお、上記各実施形態において、電池の交換に費やされる時間(例えば10分)は、予めROM108に書き込まれたものでもよく、又は予め利用者から入力部103を用いてCPU106に入力されてRAM109に書き込まれたものでもよい。
【0057】
なお、上述した各実施形態における時間設定装置が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0058】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0059】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・時計(電子機器)、2・・・タイマー(電子機器)、101・・・電池電圧計測部、102・・・日時計測部(計時部)、202・・・タイマー部(計時部)、103・・・入力部、104・・・発振回路、105・・・分周回路、106、206・・・CPU(時刻設定部)、107・・・EEPROM(記録部)、108・・・ROM、109・・・RAM、110・・・表示部、111・・・電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の電力で時間を計時する計時部に対して、時間を設定する時間設定装置であって、
電池の交換前の時間に関する情報を、電池の交換に費やされる交換時間であって予め定められた交換時間が経過した後の時間に関する情報に変更する時刻設定部を備えることを特徴とする時間設定装置。
【請求項2】
前記時刻設定部は、電池の交換前に、前記電池の交換前の時間に関する情報を記録部に、記録させ、記録させた電池の交換前の時間に関する情報を、電池交換後に、前記交換時間が経過した後の時間に関する情報に変更して設定することを特徴とする請求項1に記載の時間設定装置。
【請求項3】
前記時刻設定部は、電池の交換前に、前記電池の交換前の時間に関する情報を前記交換時間が経過した後の時間に関する情報に変更して前記記録部に、記録させ、電池交換後に、記録させた時間に関する情報を設定することを特徴とする請求項1に記載の時間設定装置。
【請求項4】
前記計時部は時計装置であり、
前記時間に関する情報は、時刻であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の時間設定装置。
【請求項5】
前記計時部はタイマー装置であり、
前記時間に関する情報は、前記タイマー装置が計時する時間であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の時間設定装置。
【請求項6】
前記計時部が計時する時間が予め定めた時間であるときに、前記時刻設定部は、前記時間に関する情報を前記記録部に、記録させ、記録させた時間に関する情報に基づいて、前記交換時間が経過した後の時間の情報に変更することを特徴とするとする請求項1から5のいずれか1項に記載の時間設定装置。
【請求項7】
前記時刻設定部は、前記記録部に、電池の電圧が低下したときに、前記時間に関する情報を記録させ、記録された時間に関する情報に基づいて、前記交換時間が経過した後の時間の情報に変更することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の時間設定装置。
【請求項8】
前記時刻設定部は、前記記録部に、利用者からの入力を受けたときに、前記時間に関する情報を記録させ、記録された時間に関する情報に基づいて、前記交換時間が経過した後の時間の情報に変更することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の時間設定装置。
【請求項9】
前記時刻設定部は、前記記録部に、前記時計装置の利用者が設定した設定情報を記録させ、前記設定情報を電池の交換後に設定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の時間設定装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の時間設定装置を備える電子機器。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の時間設定装置を備える時計。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の時間設定装置を備えるタイマー。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の時間設定装置を備える歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−83308(P2012−83308A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231650(P2010−231650)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】