説明

普通型コンバイン

【課題】唐箕軸とこの軸受構造などの軽量化または低コスト化が容易で、脱穀駆動ベルトのメンテナンス等の取扱い作業性を向上できるようにしたコンバインを提供する。
【解決手段】刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、エンジン7を搭載する走行機体を備え、刈取装置3から脱穀装置9にフィーダハウスを介して穀稈を供給する普通型コンバインにおいて、刈取装置3と扱胴21を駆動するカウンタ軸72を備え、エンジン7に脱穀駆動ベルト85を介して脱穀装置9の唐箕軸76を連結する構造であって、エンジン7に近い側の唐箕軸76端部のうち、唐箕入力プーリ83が配置された機内側の唐箕軸76上に扱胴駆動プーリ86を設け、扱胴駆動プーリ86に、常張り状の扱胴駆動ベルト87を介して、エンジン7に近い側のカウンタ軸72端部に配置されたカウンタ入力プーリ88を連結したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、圃場の未刈り穀稈を刈取る刈取装置と、刈取り穀稈の穀粒を脱粒する脱穀装置を搭載した普通型コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行部及び運転座席を有する走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、刈取装置から脱穀装置に刈取り穀稈を供給するフィーダハウスと、各部を駆動するエンジンと、脱穀装置の脱粒物を選別する穀粒選別機構と、脱穀装置の穀粒を収集するグレンタンクを備え、圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取って脱穀する技術がある(特許文献1)。また、刈取装置から脱穀装置にフィーダハウス及びビータを介して穀稈を供給する技術も公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263865号公報
【特許文献2】特開2000−14230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1または特許文献2に示された従来技術では、刈取装置及び脱穀装置の左右両側方に駆動ベルトまたはチェンを設けるから、刈取装置及び脱穀装置の左右両側に駆動機構の取付けスペースを確保する必要があり、エンジンまたは脱穀装置などの配置構造が互いに制約され、駆動ベルト等を簡単に交換できない等の構造上の問題がある。即ち、従来技術では、機体の左右方向又は前後方向のバランスや、駆動構造のメンテナンス作業性などを向上できない等の問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した普通型コンバインを提供しょうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の普通型コンバインは、刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、エンジンを搭載する走行機体を備え、前記刈取装置から前記脱穀装置にフィーダハウスを介して穀稈を供給する普通型コンバインにおいて、前記刈取装置と扱胴を駆動するカウンタ軸を備え、前記エンジンに脱穀駆動ベルトを介して前記脱穀装置の唐箕軸を連結する構造であって、前記エンジンに近い側の唐箕軸端部のうち、唐箕入力プーリが配置された機内側の唐箕軸上に扱胴駆動プーリを設け、前記扱胴駆動プーリに、常張り状の扱胴駆動ベルトを介して、前記エンジンに近い側のカウンタ軸端部に配置されたカウンタ入力プーリを連結したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の普通型コンバインにおいて、前記脱穀装置とフィーダハウスの間にフロントロータを配設すると共に、前記カウンタ軸の中間部にベベルギヤ機構を介して扱胴軸を連結する構造であって、前記エンジンから離れた側のカウンタ軸端部のカウンタ出力プーリに、刈取クラッチ及び刈取駆動ベルトを介して、前記フロントロータを連結したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の普通型コンバインにおいて、前記フロントロータのフロントロータ軸に、刈取駆動チェンを介して、フィーダハウスコンベヤ軸の一端側を連結し、フィーダハウスコンベヤ軸の他端側にプラットホームオーガ軸を連結したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、エンジンを搭載する走行機体を備え、前記刈取装置から前記脱穀装置にフィーダハウスを介して穀稈を供給する普通型コンバインにおいて、前記刈取装置と扱胴を駆動するカウンタ軸を備え、前記エンジンに脱穀駆動ベルトを介して前記脱穀装置の唐箕軸を連結する構造であって、前記エンジンに近い側の唐箕軸端部のうち、唐箕入力プーリが配置された機内側の唐箕軸上に扱胴駆動プーリを設け、前記扱胴駆動プーリに、常張り状の扱胴駆動ベルトを介して、前記エンジンに近い側のカウンタ軸端部に配置されたカウンタ入力プーリを連結したものであるから、前記エンジンに近い側の唐箕軸端部に高トルクの回転力を作用させるから、従来構造のように、前記唐箕軸とこの軸受構造などを高剛性に形成する必要がない。常張り状の扱胴駆動ベルトの外側に前記脱穀駆動ベルトが配置されるから、前記脱穀駆動ベルトのメンテナンスが従来構造よりも容易にできる。即ち、前記唐箕軸とこの軸受構造などの軽量化または低コスト化が容易で、前記脱穀駆動ベルトのメンテナンス等の取扱い作業性を向上できる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記脱穀装置とフィーダハウスの間にフロントロータを配設すると共に、前記カウンタ軸の中間部にベベルギヤ機構を介して扱胴軸を連結する構造であって、前記エンジンから離れた側のカウンタ軸端部のカウンタ出力プーリに、刈取クラッチ及び刈取駆動ベルトを介して、前記フロントロータを連結したものであるから、前記刈取駆動ベルトを介して、前記フィーダハウス内のコンベヤと連動させて前記フロントロータを駆動でき、前記フィーダハウス内のコンベヤと前記扱胴間の穀稈の停滞を前記フロントロータにて簡単に防止できるものでありながら、その穀稈を前記フロントロータにて脱粒しつつ前記扱胴側に供給でき、穀稈の脱粒性能を向上できる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記フロントロータのフロントロータ軸に、刈取駆動チェンを介して、フィーダハウスコンベヤ軸の一端側を連結し、フィーダハウスコンベヤ軸の他端側にプラットホームオーガ軸を連結したものであるから、前記フロントロータ軸にフィーダハウスコンベヤ軸をベルト伝動する構造に比べ、前記フロントロータと前記フィーダハウス内のコンベヤと掻込みオーガの相対回転速度を一定に維持でき、加えて、それらの駆動伝動構造を低コストに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態を示すコンバインの左側面図である。
【図2】同コンバインの右側面図である。
【図3】同コンバインの平面図である。
【図4】同コンバインを斜め前方から見た左側斜視図である。
【図5】同コンバインを斜め後方から見た右側斜視図である。
【図6】同コンバインの駆動系統図である。
【図7】エンジンを斜め後方から見た右側斜視図である。
【図8】エンジンを斜め前方から見た右側斜視図である。
【図9】エンジン及び脱穀装置を斜め前方から見た左側斜視図である。
【図10】カウンタ軸取付け部の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を、普通型コンバインに適用した図面(図1乃至図3)に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2は同右側面図、図3は同平面図、図4はコンバインを斜め前方から見た左側斜視図、図5はコンバインを斜め後方から見た右側斜視図である。まず、図1乃至図5を参照しながら、コンバインの概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0014】
図1乃至図5に示す如く、実施形態における普通型コンバインは、走行部としての鉄製の左右一対のゴムクローラ製履帯2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、稲(又は麦又は大豆又はトーモロコシ)等の未刈り穀稈を刈取りながら取込む刈取装置3が単動式の昇降用油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。
【0015】
走行機体1の左側には、刈取装置3から供給された刈取穀稈を脱穀処理するための脱穀装置9を搭載する。脱穀装置9の下部には、揺動選別及び風選別を行うための穀粒選別機構10を配置する。走行機体1の前部右側には、オペレータが搭乗する運転台5を搭載する。動力源としてのエンジン7を運転台5に配置する。運転台5の後方(走行機体1の右側)には、脱穀装置9から取出した穀粒を一時的に溜めるグレンタンク6と、グレンタンク6内の穀粒を籾袋8aに充填する籾受け台8を配置する。籾受け台8に補助作業者が搭乗して、グレンタンク6内の穀粒を籾袋8aに搬出するように構成している。
【0016】
刈取装置3は、脱穀装置9前部の扱口9aに連通したフィーダハウス11と、フィーダハウス11の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー12とを備えている。穀物ヘッダー12内に掻込みオーガ13を回転可能に軸支する。掻込みオーガ13の前部上方にタインバー付き掻込みリール14を配置する。穀物ヘッダー12の前部にバリカン状刈刃15を配置する。穀物ヘッダー12前部の左右両側に左右の分草体16を突設する。また、フィーダハウス11には、供給コンベヤ17を内設している。供給コンベヤ17の送り終端側(扱口9a)に刈取り穀稈投入用ビータ18(フロントロータ)を設けている。なお、フィーダハウス11の下面部と走行機体1の前端部とが昇降用油圧シリンダ4を介して連結され、刈取装置3が昇降用油圧シリンダ4にて昇降動する。
【0017】
上記の構成により、左右の分草体16間の未刈り穀稈の穂先側が掻込みリール14にて掻込まれ、未刈り穀稈の稈側が刈刃15にて刈取られ、掻込みオーガ13の回転駆動によって穀物ヘッダー12の左右幅の中央部付近に集められる。穀物ヘッダー12の刈取り穀稈の全量は、供給コンベヤ17によって搬送され、ビータ18によって脱穀装置9の扱口9aに投入されるように構成している。なお、穀物ヘッダー12を水平制御支点軸回りに回動させる水平制御用油圧シリンダ(図示省略)を備え、穀物ヘッダー12の左右方向の傾斜を前記水平制御用油圧シリンダにて調節して、穀物ヘッダー12、及び刈刃15、及び掻込みリール14を圃場面に対して水平に支持することも可能である。
【0018】
また、図1乃至図3に示す如く、脱穀装置9の扱室内に扱胴21を回転可能に設ける。走行機体1の前後方向に延長させた扱胴軸20に扱胴21を軸支する。扱胴21の下方側には、穀粒を漏下させる受網24を張設する。なお、扱胴21前部の外周面には、螺旋状のスクリュー羽根状の取込み羽根25が半径方向外向きに突設されている。
【0019】
上記の構成により、扱口9aから投入された刈取り穀稈は、扱胴21の回転によって走行機体1の後方に向けて搬送されながら、扱胴21と受網24との間で混練されて脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網24から漏下する。受網24から漏下しない藁屑等は、扱胴21の搬送作用によって、脱穀装置9後部の排塵口23から圃場に排出される。
【0020】
なお、扱胴21の上方側には、扱室内の脱穀物の搬送速度を調節する複数の送塵弁(図示省略)を回動可能に枢着する。前記送塵弁の角度調整によって、扱室内の脱穀物の搬送速度(滞留時間)を、刈取穀稈の品種や性状に応じて調節できる。一方、脱穀装置9の下方に配置された穀粒選別機構10として、グレンパン及びチャフシーブ及びグレンシーブ及びストローラック等を有する比重選別用の揺動選別盤26を備える。
【0021】
また、穀粒選別機構10として、選別風を供給する唐箕ファン29等を備える。扱胴21にて脱穀されて受網24から漏下した脱穀物は、揺動選別盤26の比重選別作用と唐箕ファン29の風選別とにより、穀粒(精粒等)の一番物、枝梗付き穀粒等の二番物、及び藁屑等に選別されるように構成する。
【0022】
揺動選別盤26の下側方には、穀粒選別機構10として、一番コンベヤ機構30及び二番コンベヤ機構31を備える。揺動選別盤26及び唐箕ファン29の選別によって、揺動選別盤26から落下した穀粒等の一番物は、一番コンベヤ機構30及び揚穀コンベヤ32によってグレンタンク6に収集される。枝梗付き穀粒等の二番物は、二番コンベヤ機構31及び二番還元コンベヤ33等を介して揺動選別盤26の選別始端側に戻され、揺動選別盤26によって再選別される。藁屑等は、走行機体1後部の排塵口23から圃場に排出されるように構成する。
【0023】
さらに、図1乃至図3に示す如く、運転台5には、操縦コラム41と、オペレータが座乗する運転座席42とを配置している。操縦コラム41には、走行機体1の進路を変更する操縦レバー43と、走行機体1の移動速度を切換える主変速レバー44及び副変速レバー45と、刈取装置3を駆動または停止操作する刈取クラッチレバー46と、脱穀装置9を駆動または停止操作する脱穀クラッチレバー47が配置されている。なお、運転台5の上方側に支柱を介して日除け用の屋根体を取付けてもよい。
【0024】
図1に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム50を配置している。トラックフレーム50には、履帯2にエンジン7の動力を伝える駆動スプロケット51と、履帯2のテンションを維持するテンションローラ52と、履帯2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ53と、履帯2の非接地側を保持する中間ローラ54とを設けている。前記駆動スプロケット51によって履帯2の前側を支持させ、テンションローラ23によって履帯2の後側を支持させ、トラックローラ53によって履帯2の接地側を支持させ、中間ローラ54によって履帯2の非接地側を支持させるように構成する。
【0025】
次に、図6乃至図10を参照してコンバインの駆動構造を説明する。図6に示す如く、図示しない走行油圧ポンプ及び油圧モータを有する走行変速用の油圧無段変速機64をミッションケース63に設ける。走行機体1前部の右側上面にエンジン7を搭載し、エンジン7左側の走行機体1前部にミッションケース63を配置している。また、エンジン7から左側方に突出させた出力軸65と、ミッションケース63から左側方に突出させた入力軸66を、エンジン出力ベルト67を介して連結する。なお、昇降用油圧シリンダ4等を駆動するチャージポンプ68と、冷却ファン69をエンジン7に配置し、チャージポンプ68及び冷却ファン69をエンジン7にて駆動するように構成している。
【0026】
図6〜図10に示す如く、扱胴軸20の前端側を軸支した扱胴駆動ケース71を備える。脱穀装置9の前面壁体に扱胴駆動ケース71を設ける。また、前記刈取装置3と扱胴21を駆動するためのカウンタ軸72を扱胴駆動ケース71に軸支している。唐箕ファン29を軸支した唐箕軸76の右側端部に唐箕入力プーリ83を設ける。エンジン7の出力軸65に、テンションローラを兼用した脱穀クラッチ84と脱穀駆動ベルト85を介して、唐箕軸76右側端部の唐箕入力プーリ83を連結する。即ち、エンジン7の出力軸65に脱穀駆動ベルト85を介して唐箕軸76を連結している。そして、エンジン7に近い側の唐箕軸76右側端部のうち、唐箕入力プーリ83が配置された機内側の唐箕軸76端部に扱胴駆動プーリ86を設ける。即ち、唐箕入力プーリ83よりも唐箕ファン29に近い唐箕軸76に扱胴駆動プーリ86を配置する。
【0027】
また、エンジン7に近い側のカウンタ軸72右側端部にカウンタ入力プーリ88を配置する。扱胴駆動プーリ86に、常張り状の扱胴駆動ベルト87を介して、カウンタ軸72右側端部のカウンタ入力プーリ88を連結する。左右方向に延設したカウンタ軸72の中間部に、ベベルギヤ機構75を介して扱胴軸20の前端側を連結する。唐箕軸76からカウンタ軸72にエンジン7の動力を伝達させる。
【0028】
なお、オペレータの脱穀クラッチレバー47操作によって、脱穀クラッチ84が入り切り制御される。脱穀クラッチ84の入り操作によって、カウンタ軸72を介して扱胴21が駆動されて、ビータ18から投入された穀稈が扱胴21によって連続的に脱穀されるように構成している。
【0029】
さらに、一番コンベヤ機構30の一番コンベヤ軸77の左側端部と、二番コンベヤ機構31の二番コンベヤ軸78の左側端部とに、コンベヤ駆動ベルト111を介して唐箕軸76を連結している。揺動選別盤26後部を軸支したクランク状の揺動駆動軸79の左側端部に揺動選別ベルト112を介して二番コンベヤ軸78の左側端部を連結している。なお、一番コンベヤ軸77を介して揚穀コンベヤ32が駆動されて、一番コンベヤ機構30の一番選別穀粒がグレンタンク6に収集される。また、二番コンベヤ軸78を介して二番還元コンベヤ33が駆動されて、二番コンベヤ機構31の藁屑が混在した二番選別穀粒が揺動選別盤26の上面側に戻される。
【0030】
一方、ビータ18を軸支するビータ軸82を備える。刈取り駆動ベルト114及び刈取クラッチ115を介して、カウンタ軸72の左側端部にビータ軸82の左側端部を連結する。供給コンベヤ17の送り終端側を軸支する刈取入力軸89を備える。ビータ軸82に刈取駆動チェン116を介して刈取入力軸89の左側端部を連結している。穀物ヘッダー12にヘッダー駆動軸91を設ける。ヘッダー駆動軸91に、ヘッダー駆動チェン90を介して刈取入力軸89の右側端部を連結する。掻込みオーガ13を軸支する掻込み軸93を備える。掻込み軸93に、掻込み駆動チェン92を介してヘッダー駆動軸91を連結する。
【0031】
また、掻込みリール14を軸支するリール軸94を備える。リール軸94に、中間軸95及びリール駆動チェン96,97を介してヘッダー駆動軸91を連結する。ヘッダー駆動軸91の右側端部には、刈刃駆動クランク機構98を介して刈刃15が連結されている。刈取クラッチ242の入り切り操作によって、供給コンベヤ17と、掻込みオーガ13と、掻込みリール14と、刈刃15が駆動制御されて、圃場の未刈り穀稈の穂先側を連続的に刈取るように構成している。
【0032】
次いで、図7に示す如く、脱穀クラッチ84を配置するテンション支持体221を備える。エンジン7後方の走行機体1上に設けるバッテリ222と、前記唐箕入力プーリ83の間で、走行機体1上にテンション支持体221を立設する。テンション支持体221の上端部に支軸223を介してテンションアーム224の基端部を回動可能に軸支する。テンションアーム224の先端部にテンションプーリ形の脱穀クラッチ84を回転自在に設ける。
【0033】
上記の構成により、図5に示す如く、エンジンルームカバー225内にエンジン7を内設し、エンジンルームカバー225と籾受け台8の間にバッテリカバー226を設けることにより、唐箕入力プーリ83と、テンション支持体221と、バッテリ222とが、バッテリカバー226にて覆われる。唐箕ファン29に向けてエンジン7冷却風(暖気)を導入する送風ダクトとしてバッテリカバー226を兼用できるものでありながら、バッテリカバー226を取外すことにより、バッテリ222の点検と同時に、脱穀駆動ベルト85の損傷の有無なども点検できる。
【0034】
次いで、図8〜図10に示す如く、脱穀装置9の前方で、走行機体1上に左右の刈取り支柱231を立設する。左右の刈取り支柱231に左右の刈取り軸受体232を介して刈取入力軸89の両端部を軸支する。刈取入力軸89に刈取装置3を昇降可能に支持している。また、左右の刈取り支柱231の間に、ビータ軸82を介してビータ18を軸支している。
【0035】
一方、前記扱胴駆動ケース71は、ベベルギヤ機構75を内蔵するベベルギヤケース233と、ベベルギヤケース233の左側に延設する左円筒体234と、ベベルギヤケース233の右側に延設する右円筒体235を有する。ベベルギヤケース233と、左円筒体234と、右円筒体235は、左右方向に一体的に連結されている。ベベルギヤケース233と、左円筒体234と、右円筒体235の内部に前記カウンタ軸72を貫通させている。
【0036】
前記ベベルギヤ機構75は、小径ベベルギヤ241と、大径ベベルギヤ242を有し、カウンタ軸72に小径ベベルギヤ241を係合軸支し、ベベルギヤケース233に軸支した扱胴軸20前端部に大径ベベルギヤ242を係合軸支し、小径ベベルギヤ241に大径ベベルギヤ242を歯合させ、カウンタ軸72から扱胴21にこの駆動力を伝達する。また、右円筒体235から突出したカウンタ軸72の右側端部にカウンタ入力プーリ88が軸支される。左円筒体234から突出したカウンタ軸72の左側端部にカウンタ出力プーリ236が軸支され、カウンタ出力プーリ236に刈取り駆動ベルト114が巻き掛けられている。
【0037】
また、脱穀装置9の前壁板237にベベルギヤケース233を締結固定する。左右の刈取り支柱231の上端部を前壁板237に連結する左右の上面フレーム体238を設ける。左の上面フレーム体238の上面側に、左円筒体234左側端部の支脚部234aを締結固定する。右の上面フレーム体238の上面側に、右円筒体235右側端部の支脚部235aを締結固定する。即ち、左右の刈取り支柱231を利用して、扱胴駆動ケース71を高剛性構造に懸架できる。扱胴駆動ケース71によって左右の刈取り支柱231の上端側を連結することにより、左右の刈取り支柱231の立設剛性を向上できる。ビータ18の支持剛性を向上できる。
【0038】
図1、図6〜図10に示す如く、刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、エンジン7を搭載する走行機体1を備え、刈取装置3から脱穀装置9にフィーダハウス11を介して穀稈を供給する普通型コンバインにおいて、刈取装置3と扱胴21を駆動するカウンタ軸72を備え、エンジン7に脱穀駆動ベルト85を介して脱穀装置9の唐箕軸76を連結する構造であって、エンジン7に近い側の唐箕軸76端部のうち、唐箕入力プーリ83が配置された機内側の唐箕軸76上に扱胴駆動プーリ86を設け、扱胴駆動プーリ86に、常張り状の扱胴駆動ベルト87を介して、エンジン7に近い側のカウンタ軸72端部に配置されたカウンタ入力プーリ88を連結している。したがって、エンジン7に近い側の唐箕軸76端部に高トルクの回転力を作用させるから、従来構造のように、唐箕軸76とこの軸受構造などを高剛性に形成する必要がない。常張り状の扱胴駆動ベルト87の外側に脱穀駆動ベルト85が配置されるから、脱穀駆動ベルト85のメンテナンスが従来構造よりも容易にできる。即ち、唐箕軸76とこの軸受構造などの軽量化または低コスト化が容易で、脱穀駆動ベルト85のメンテナンス等の取扱い作業性を向上できる。
【0039】
図6〜図10に示す如く、脱穀装置9とフィーダハウス11の間にフロントロータとしてのビータ18を配設すると共に、カウンタ軸72の中間部にベベルギヤ機構75を介して扱胴軸20を連結する構造であって、エンジン7から離れた側のカウンタ軸72端部のカウンタ出力プーリ236に、刈取クラッチ115及び刈取駆動ベルト114を介して、ビータ18を連結している。したがって、刈取駆動ベルト114を介して、フィーダハウス11内の供給コンベヤ17と連動させてビータ18を駆動でき、供給コンベヤ17と扱胴21間の穀稈の停滞をビータ18にて簡単に防止できるものでありながら、その穀稈をビータ18にて脱粒しつつ扱胴21側に供給でき、穀稈の脱粒性能を向上できる。
【0040】
図6〜図10に示す如く、ビータ18のフロントロータ軸としてのビータ軸82に、刈取駆動チェン116を介して、フィーダハウスコンベヤ軸としての刈取入力軸89の一端側を連結し、刈取入力軸89の他端側にプラットホームオーガ軸としてのヘッダー駆動軸91を連結している。したがって、ビータ軸82に刈取入力軸89をベルト伝動する構造に比べ、刈取駆動チェン116の動力伝達により、ビータ18と供給コンベヤ17と掻込みオーガ13の相対回転速度を一定に維持でき、加えて、それらの駆動伝動構造を低コストに構成できる。
【符号の説明】
【0041】
1 走行機体
3 刈取装置
7 エンジン
9 脱穀装置
11 フィーダハウス
13 掻込みオーガ
18 ビータ(フロントロータ)
20 扱胴軸
21 扱胴
72 カウンタ軸
76 唐箕軸
82 ビータ軸(フロントロータ軸)
83 唐箕入力プーリ
85 脱穀駆動ベルト
86 扱胴駆動プーリ
87 扱胴駆動ベルト
88 カウンタ入力プーリ
89 刈取入力軸(フィーダハウスコンベヤ軸)
91 ヘッダー駆動軸(プラットホームオーガ軸)
114 刈取り駆動ベルト
115 刈取クラッチ
236 カウンタ出力プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、エンジンを搭載する走行機体を備え、前記刈取装置から前記脱穀装置にフィーダハウスを介して穀稈を供給する普通型コンバインにおいて、
前記刈取装置と扱胴を駆動するカウンタ軸を備え、前記エンジンに脱穀駆動ベルトを介して前記脱穀装置の唐箕軸を連結する構造であって、
前記エンジンに近い側の唐箕軸端部のうち、唐箕入力プーリが配置された機内側の唐箕軸上に扱胴駆動プーリを設け、前記扱胴駆動プーリに、常張り状の扱胴駆動ベルトを介して、前記エンジンに近い側のカウンタ軸端部に配置されたカウンタ入力プーリを連結したことを特徴とする普通型コンバイン。
【請求項2】
前記脱穀装置とフィーダハウスの間にフロントロータを配設すると共に、前記カウンタ軸の中間部にベベルギヤ機構を介して扱胴軸を連結する構造であって、前記エンジンから離れた側のカウンタ軸端部のカウンタ出力プーリに、刈取クラッチ及び刈取駆動ベルトを介して、前記フロントロータを連結したことを特徴とする請求項1に記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
前記フロントロータのフロントロータ軸に、刈取駆動チェンを介して、フィーダハウスコンベヤ軸の一端側を連結し、フィーダハウスコンベヤ軸の他端側にプラットホームオーガ軸を連結したことを特徴とする請求項2に記載の普通型コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−5784(P2013−5784A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142105(P2011−142105)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】