説明

曖昧化装置、曖昧化方法、曖昧化プログラム、及び、推薦システム

【課題】
ユーザが情報を曖昧にして、システムおよび他のユーザに提供することが出来ない。
【解決手段】
曖昧化装置は、特定識別子に関連付けられた第1の端末から、特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得する復元手段と、復元手段が取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する送信手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曖昧化装置、曖昧化方法、曖昧化プログラム、及び、推薦システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテンツの推薦順位を決定するために、推薦対象ユーザの友人が所有する装置からコンテンツの視聴状況や評価に関する情報を推薦対象ユーザの装置に収集するシステムが記載されている。
【0003】
特許文献2には、機器で再生されたコンテンツの作品情報から、コンテンツに関するキーワードを、機器のユーザの嗜好情報として抽出して記憶する情報提供サーバが記載されている。
【0004】
特許文献3には、十分な匿名性を確保できない場合には、個人情報の粒度を変更して情報を提供するデータ開示方法が記載されている。この方法は、例えば、時刻(3:00PM)をAM/PMの区別情報に変更して表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−309660号公報
【特許文献2】特開2009−111871号公報
【特許文献3】特開2007−219636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献の技術を用いても、ユーザが情報を曖昧にして、システムおよび他のユーザに提供することが出来ない。特許文献1のユーザは、視聴した番組名などがシステムに知られてしまう。特許文献2の機器のユーザは、嗜好情報を情報提供サーバに知られてしまう。特許文献3の複数の粒度を持ちうる情報にしか適用できず、適用範囲は限定される。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態の曖昧化装置は、特定識別子に関連付けられた第1の端末から、前記特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、前記重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得する復元手段と、前記復元手段が取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する送信手段を備える。
【0009】
本発明の一実施形態の曖昧化プログラムは、特定識別子に関連付けられた第1の端末から、前記特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、前記重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得する復元処理と、前記復元処理で取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する送信処理をコンピュータに実行させる。
【0010】
本発明の一実施形態の曖昧化方法は、特定識別子に関連付けられた第1の端末から、前記特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、前記重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得し、取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ユーザが情報を曖昧にして、システムおよび他のユーザに提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、曖昧化装置10を用いた推薦システム30の構成を示す。
【図2】図2は、推薦システム30のフローチャートである。
【図3】図3は、管理部11に記憶された管理情報の一例を示す。
【図4】図4は、利用実績記憶部21に保存されている利用実績情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、曖昧化部22が曖昧化装置10に送信する、利用実績情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、図5が示す利用実績情報が、復元部14で変更された後の利用実績情報を示す。
【図7】図7は、複数の第1の端末20から収集され、収集情報記憶部12に蓄積された利用実績情報を示す。
【図8】図8は、決定処理の第1のフローチャート例を示す。
【図9】図9は、決定処理の第2のフローチャート例を示す。
【図10】図10は、曖昧化情報の更新処理のフローチャートである。
【図11】図11は、第3の実施形態に係る曖昧化装置10の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための第一の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、曖昧化装置10を用いたシステム例である推薦システム30の構成を示す。推薦システム30は、曖昧化装置10、1以上の第1の端末20、1以上の第2の端末24を包含する。曖昧化装置10と第1の端末20、第2の端末24はネットワーク25で接続され、相互に通信可能である。
【0014】
第1の端末20は情報を提供する端末であり、第2の端末24は情報を提供される端末である。通常は一台の端末が、ある時点では第1の端末20として機能し、別の時点では第2の端末24として機能する。
【0015】
曖昧化装置10は、管理部11、収集情報記憶部12、配布部13、復元部14と送信部15を含む。
【0016】
ここで、管理部11は半導体メモリ等である。収集情報記憶部12、配布部13、復元部14と送信部15は、論理回路等のハードウェアで構成される。収集情報記憶部12、配布部13、復元部14と送信部15の全てまたは一部は、コンピュータである曖昧化装置10のプロセッサが、図示されないメモリ上のプログラムを実行することで実現されても良い。
【0017】
配布部13は、複数のコンテンツについて同じ値となる重複識別子を算出するために必要となる情報(以降、曖昧化情報)を決定し、第1の端末20に配布する。ここで、決定は、生成、予め用意されたものの中から選択すること等を意味する。曖昧化情報は、例えば、ハッシュ関数等の手続き、ハッシュ関数に入力されるパラメータ、または、コンテンツの一意識別子と重複識別子間の対応表等を含む、または、特定する情報である。曖昧化情報の具体的な内容や決定方法は後述する。
【0018】
また、コンテンツは、第1の端末20、第2の端末24のユーザにとって有用な情報であり、第1の端末20または第2の端末24によりによりアクセス(受信および表示、実行、蓄積等)され得る。コンテンツは、例えば、アプリケーションプログラム、動画、音楽である。
【0019】
各コンテンツはその一意識別子に関連付けられて、例えば、曖昧化装置10とネットワーク25を介して接続されているコンテンツサーバ(図示されない)に格納されている。コンテンツサーバ等は、コンテンツ以外の情報、例えば、コンテンツのタイトル、作者、サマリ、をコンテンツの一意識別子に関連付けて格納していても良い。
【0020】
配布部13は、重複識別子が同一となるコンテンツまたはその一意な識別子の集合(以降、シノニム集合)の要素数(重複度)が、予め与えられた一定の範囲内になるように、シノニム集合、重複識別子と曖昧化情報を決定する。更に、配布部13は、コンテンツが変更、追加または削除されたりした後に、各シノニム集合の重複度が前述の所定範囲に収まるようにシノニム集合、重複識別子および曖昧化情報を変更する。
【0021】
シノニム集合の重複度の所定範囲を示すパラメータは、例えば、最小値と最大値で与えられる。両値は、通常2以上の整数である。但し、配布部13が、全てのシノニム集合の重複度を1としないように構成されている場合、最小値が1であっても良い。
【0022】
管理部11は、コンテンツに関連する管理情報を記憶し、例えば、コンテンツの一意識別子や配布部13よって算出された重複識別子を記憶する。
【0023】
図3は、管理部11に記憶された管理情報の一例を示す。この図は、例えば、A0001という一意識別子を持つコンテンツは「野鳥図鑑」という名前を持ち、「11111」という重複識別子が割り当てられていることを示す。更に、この図は、コンテンツ「野鳥図鑑」と「ギター入門」(または、一意識別子A0001とA0005)が、同一のシノニム集合に属することを示す。
【0024】
復元部14は、第1の端末20のいずれかから重複識別子を受信すると、受信した重複識別子を持つ複数のコンテンツの一意識別子、即ち当該重複識別子を有するシノニム集合に属する一意識別子、を管理部11に記憶されている管理情報から取得する。
【0025】
送信部15は、復元部14から、受信された重複識別子から得られた複数の一意識別子を受け取るたびに、例えば、当該重複識別子の送信元である第1の端末20の識別子(端末ID)を付加して、収集情報記憶部12に蓄積する。
【0026】
送信部15は、所定時点、例えば、第2の端末24から提示要求を受けた時点で、収集情報記憶部12に蓄積された情報から一意識別子を推薦対象として選び出し、当該一意識別子に関する情報を第2の端末24に送信する。
【0027】
当該一意識別子に関する情報は、例えば、当該一意識別子自身、当該一意識別子に関連付けられてコンテンツサーバ等に記憶されている、コンテンツ、コンテンツの名称、サマリ等の情報である。
【0028】
送信部15は、例えば、推薦システム30内の半数以上の第1の端末20から受信した一意識別子を推薦対象として選択する。送信部15は、取得回数の最も多い一意識別子を推薦対象として選択しても良い。何れの方法を採用しても、送信部15は、シノニム集合単位に一意識別子を選択する。
【0029】
第1の端末20は、曖昧化部22と利用実績記憶部21を備える。
【0030】
利用実績記憶部21は、コンテンツの利用実績情報を記憶する。ここで、利用実績情報は、当該第1の端末20に関連付けられた一意識別子(以降、特定識別子)、例えば、当該第1の端末20がアクセスしたコンテンツの一意識別子を包含する。図4は、利用実績記憶部21に記憶された利用実績情報の一例を示す。この例は、u001という端末IDを持つ第1の端末20が、A001, A004, A007という一意識別子を持つ三つのコンテンツにアクセスしたことを示す。この場合、A001, A004, A007が、u100の第1の端末20の特定識別子である。
【0031】
曖昧化部22は、利用実績記憶部21に記憶されている利用実績情報内の一意識別子を、曖昧化情報に基づいて求めた重複識別子に置き換えて、曖昧化装置10に送信する。第1の端末20は、この処理に先立って、曖昧化装置10から曖昧化情報を受信し記憶しておく。
【0032】
第2の端末24は提示部23を備える。提示部23は、曖昧化装置10から受信した情報を、提示部23が備える表示部(図示されない)に表示する。提示部23は、提示部23が備えるキーパット(図示されない)から入力されたユーザの推薦要求を曖昧化装置10に送信しても良い。
【0033】
次に、図2のフローチャートを参照して、推薦システム30の動作を説明する。本システムに於いて、曖昧化装置10は第1の端末20からコンテンツの利用実績情報を収集し、第2の端末24に対して、人気の高いコンテンツ等の推薦を行う推薦サーバとして機能する。
【0034】
曖昧化装置10の配布部13は、決定した曖昧化情報を1以上の第1の端末20に送信する(S11)。第1の端末20の曖昧化部22は、曖昧化装置10から曖昧化情報を受信するとそれを図示されない記憶装置等に記憶する。
【0035】
曖昧化部22は、定期的等の所定タイミングで、曖昧化情報を用いて、利用実績記憶部21に保存されている利用実績情報内の一意識別子(特定識別子)から重複識別子を得て、一意識別子を重複識別子に置き換えて(S12)、曖昧化装置10に送信する(S13)。例えば、曖昧化部22は、図4が示す利用実績情報を参照し、一意識別子A0001、A0004、A007をそれぞれ重複識別子11111、22222、33333に置き換えて、図5のような利用実績情報を曖昧化装置10に送信する。
【0036】
曖昧化装置10の復元部14は、受信した利用実績情報に含まれる重複識別子のそれぞれについて、管理部11から該当する重複識別子を持つ複数のコンテンツを選び出し、それぞれのコンテンツの一意識別子を含むように利用実績情報を変更して、収集情報記憶部12に蓄積する(S14)。収集情報記憶部12に蓄積される利用実績情報には、特定識別子が含まれる。例えば、復元部14は、図5が示す利用実績情報を受信した場合、管理部11のデータ(図3)を参照し、重複識別子が11111であるコンテンツの一意識別子A0001とA0005を利用実績情報として取得する。
【0037】
図6は、図5が示す利用実績情報が、復元部14で変更された後の利用実績情報を示す。なお、利用実績情報内の端末IDは、曖昧化部22が、自端末の端末IDを利用実績情報に含めて、曖昧化装置10に送信してもよし、復元部14が、第1の端末20の通信アドレスを取得して利用実績情報に含めても良い。
【0038】
また、図7は、複数の第1の端末20から収集され、収集情報記憶部12に蓄積された利用実績情報を示す。
【0039】
曖昧化装置10の送信部15は、第2の端末24からの提示要求を受けると(S15でY)、収集情報記憶部12に蓄積された利用実績情報から、所定基準に基づいて推薦するコンテンツの一意識別子を選び出す(S16)。送信部15は、当該一意識別子に関する情報を第2の端末24に送信する(S17)。
【0040】
例えば、図7が示す利用実績情報が収集情報記憶部12に収集されている場合、送信部15は、最多(三つ)の第1の端末20から送られた利用実績情報に含まれるA0001とA0005の一意識別子に関する情報を第2の端末24に送信する。
【0041】
第2の端末24の提示部23は、受信した情報を表示して、ユーザに提示する(S18)。
【0042】
次に、配布部13における、曖昧化情報の決定処理について説明する。図8は、決定処理の第1のフローチャート例を示す。
【0043】
配布部13は、管理部11等から各コンテンツとその一意識別子を取得する(S21)。配布部13は、各コンテンツに対して所定のハッシュ関数を適用してハッシュ値を計算し(S22)、大きい(または、小さい)順にソートする(S23)。例えばコンテンツがアプリケーションプログラムである場合、配布部13は、プログラムのバイナリコードにハッシュ関数を適用する。
【0044】
所定ハッシュ関数は、管理者等により、予め曖昧化装置10にプログラム等として与えられている。所定ハッシュ関数は、衝突の起こりにくいものであることが望ましい。ハッシュ関数は、所定ハッシュアルゴリズムとハッシュ値桁数等のパラメータの組み合わせであっても良い。
【0045】
配布部13は、ハッシュ値の大きい順に、一意識別子の数が所定範囲内となるように一意識別子をグループ化する(S24)。この一意識別子のグループがシノニム集合となる。
【0046】
配布部13は、シノニム集合ごとに最大(または、最小)のハッシュ値を選択し、当該シノニム集合の重複識別子とする(S25)。配布部13は、所定ハッシュ関数と全重複識別子を、曖昧化情報として第1の端末20に配布する(S26)。なお、配布部13は、各コンテンツの一意識別子と全重複識別子から、図3が示す管理情報を管理部11内に作成する。
【0047】
また、この場合、第1の端末20の曖昧化部22は、図2のS1において、特定識別子に当該ハッシュ関数を適用してハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値以下(または、以上)で、最も当該ハッシュ値に近い重複識別子を選択して、特定識別子を置き換える。
【0048】
なお、第1の端末20が、予め所定ハッシュ関数を記憶している場合、配布部13は、曖昧化情報にハッシュ関数を含めなくても良い。
【0049】
図9は、決定処理の第2のフローチャート例を示す。この場合、曖昧化装置10は、予め複数のハッシュ関数を、管理者等により与えられて図示されない記憶装置等に記憶している。各ハッシュ関数は、或る程度衝突を発生するものである。ハッシュ関数は、所定ハッシュアルゴリズムと例えば、ハッシュ値桁数等のパラメータの組み合わせであっても良い。曖昧化装置10は、ハッシュ値桁数等のパラメータを変更して、衝突の多寡を制御しても良い。
【0050】
配布部13は、管理部11等から各コンテンツとその一意識別子を取得する(S31)。配布部13は、記憶している各ハッシュ関数を用いて、S32乃至S33の処理を繰り返し実行する。
【0051】
配布部13は、各コンテンツに対してハッシュ関数を適用してハッシュ値を計算する(S32)。配布部13は、同一ハッシュ値となる一意識別子の集合をシノニム集合、当該同一ハッシュ値を当該シノニム集合の重複識別子とする(S33)。全シノニム集合の重複度が所定範囲内であれば(S34でY)、配布部13は、繰り返しを中断して、当該ハッシュ関数を曖昧化情報として第1の端末20に配布する(S36)。なお、配布部13は、各コンテンツの一意識別子とハッシュ値から、図3が示す情報を管理部11内に作成する。
【0052】
何れかのシノニム集合の重複度が所定範囲外であれば(S34でN)、配布部13は、次のハッシュ関数を使用してS32乃至S34の処理を繰り返す。与えられた全てのハッシュ関数を適用しても、全シノニム集合の重複度が所定範囲内にならなければ(S34でN)、配布部13は異常終了する。この場合、曖昧化装置10の管理者は、ハッシュ関数の変更等を行わなければならない。
【0053】
曖昧化情報としてハッシュ関数を受信した第1の端末20の曖昧化部22は、図2のS1において、特定識別子に当該ハッシュ関数を適用してハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値で特定識別子を置き換える。
【0054】
また、配布部13は、管理者等に、複数の一意識別子(シノニム集合)と重複識別子の対応表を入力させ、当該対応表を、曖昧化情報として第1の端末20に配布してもよい。この場合でも、配布部13は、各シノニム集合の重複度が所定範囲内であるかどうかを検証することが好ましい。なお、配布部13は、当該対応表から、図3が示す情報を管理部11内に作成する。
【0055】
次に、曖昧化情報の更新処理について説明する。更新は、コンテンツの変更や増減によりシノニム集合の重複度が所定範囲に収まらなくなったことを検出し、重複度を所定範囲内に保つ為に行う。
【0056】
図10は、曖昧化情報の更新処理のフローチャートである。配布部13は、管理部11、コンテンツサーバ等に格納されているコンテンツが変更、追加または削除されたことを検出する(S41)。検出は、例えば、コンテンツサーバ等からの通知を契機に行う。
【0057】
配布部13は、該当コンテンツの重複識別子について重複度を確認する(S42)。重複度が所定範囲に収まっていない場合(S43でN)、配布部13は、曖昧化情報を再作成する(S44)。曖昧化情報を再作成は、例えば、図8または図9の処理を再実行して行う。
【0058】
本実施形態の曖昧化装置10は、推薦システム30等に於いて、ユーザがアクセスしたコンテンツの情報を曖昧にして、曖昧化装置10および他のユーザに提供することを可能とする。即ち、曖昧化装置10は、個人情報等の保護が可能である。その理由は、第1の端末20が特定識別子を重複識別子に置き換えて曖昧化装置10に出力するからである。
【0059】
本実施形態の曖昧化装置10は、曖昧の度合いを適正に制御可能である。即ち、曖昧化装置10は、個人情報等の保護と開示の正確性とのバランスを調整出来る。その理由は、配布部13が、各シノニム集合の重複度が所定範囲内であるように曖昧化情報を作成するからである。
<第2の実施形態>
曖昧化装置10は、推薦システム30の推薦サーバ以外にも利用できる。曖昧化装置10は、例えば、中継装置としても使用できる。中継装置は、例えば、第1の端末20から特定識別子から取得された重複識別子を受信して、当該重複識別子を持つシノニム集合に属する全ての一意識別子を第2の端末24に送信する。即ち、曖昧化装置10は、第1の端末20の特定識別子を曖昧化して第2の端末24に中継する。
【0060】
本実施の形態において、特定識別子は、例えば、第1の端末20のユーザの様々な個人情報であり、第1の端末20に記憶されていたり、第1の端末20に入力されたりする。特定識別子は、例えば、電話番号、氏名、住所である。
【0061】
また、第2の端末24に送信される情報は、一意識別子であっても良いし、一意識別子に関連付けられて管理部11等に格納されている情報であっても良い。
【0062】
この様な用途において、曖昧化装置10は、例えば、以下のように動作する。
【0063】
図2のS14において、復元部14は、受信した重複識別子のそれぞれについて、管理部11等から該当する重複識別子を持つ複数の一意識別子を選択して送信部15に出力し、S17において、送信部15がそれらに関する情報を第2の端末24に送信する。本実施形態に於いて、図2のS15、S16は存在しない。
【0064】
本実施形態の曖昧化装置10は、推薦システム30以外の用途に適用可能である。その理由は、曖昧化装置10が、識別子の置き換えを実施するからである。
<第3の実施形態>
図11は、第3の実施形態に係る曖昧化装置10の構成図である。
【0065】
本実施形態の曖昧化装置10は、復元部14と送信部15を備える。復元部14は、特定識別子に関連付けられた第1の端末20から、特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得する。送信部15は、復元部14が取得した一意識別子に関する情報を第2の端末24に送信する。
【0066】
本実施形態の曖昧化装置10は、推薦システム30等に於いて、ユーザがアクセスしたコンテンツの情報を曖昧にして、曖昧化装置10および他のユーザに提供することを可能とする。その理由は、第1の端末20が特定識別子を重複識別子に置き換えて曖昧化装置10に出力するからである。
【0067】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 曖昧化装置
11 管理部
12 収集情報記憶部
13 配布部
14 復元部
15 送信部
20 第1の端末
21 利用実績記憶部
22 曖昧化部
23 提示部
24 第2の端末
25 ネットワーク
30 推薦システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定識別子に関連付けられた第1の端末から、前記特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、前記重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得する復元手段と、
前記復元手段が取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する送信手段を備える曖昧化装置。
【請求項2】
入力された複数の一意識別子(入力識別子群)に含まれる一意識別子を、入力された範囲内の数の一意識別子を含む、複数のシノニム集合に分け、前記入力識別子群の一意識別子のおのおのを前記一意識別子が属するシノニム集合の重複識別子に対応付ける曖昧化情報を決定して前記第1の端末に送信する配布手段を備え、
前記第1の端末は、前記曖昧化情報を用いて前記特定識別子から前記重複識別子を取得する、請求項1の曖昧化装置。
【請求項3】
前記配布手段は、前記入力識別子群に含まれる一意識別子を有するコンテンツに所定ハッシュ関数を適用してハッシュ関数値を算出し、当該ハッシュ関数値の大きい又は小さい方から前記範囲内の数ごとに一意識別子をグループ分けし、各グループを各シノニム集合、シノニム集合ごとの最大又は最小のハッシュ関数値を当該シノニム集合の重複識別子とし、全重複識別子を前記曖昧化情報とする請求項2の曖昧化装置。
【請求項4】
前記配布手段は、前記入力識別子群に含まれる一意識別子を有するコンテンツのハッシュ関数値をシノニム集合の重複識別子として算出し、同一シノニム集合に含まれる一意識別子の数が前記範囲内になるようなハッシュ関数を前記曖昧化情報として決定する請求項2の曖昧化装置。
【請求項5】
アクセスしたコンテンツの特定識別子を記憶する利用実績記憶手段と、
前記利用実績記憶手段に記憶されている前記特定識別子に基づいて、前記特定識別子が属するシノニム集合の重複識別子を取得して送信する曖昧化手段を備える、複数の第1の端末と、
前記送信手段が、前記複数の第1の端末のいずれかから重複識別子を受信するたびに前記復元手段が取得した一意識別子の情報を収集情報記憶手段に蓄積し、所定時点で、前記収集情報記憶手段から一意識別子を選択して、選択した一意識別子を持つコンテンツの情報を前記第2の端末に送信する、請求項1から4の何れかに記載の曖昧化装置を、包含する推薦システム。
【請求項6】
特定識別子に関連付けられた第1の端末から、前記特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、前記重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得する復元処理と、
前記復元処理で取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する送信処理をコンピュータに実行させる曖昧化プログラム。
【請求項7】
入力された複数の一意識別子(入力識別子群)に含まれる一意識別子を、入力された範囲内の数の一意識別子を含む、複数のシノニム集合に分け、前記入力識別子群の一意識別子のおのおのを前記一意識別子が属するシノニム集合の重複識別子に対応付ける曖昧化情報を決定して、前記曖昧化情報を用いて前記特定識別子から前記重複識別子を取得する前記第1の端末に送信する配布処理を、前記コンピュータに実行させる請求項6の曖昧化プログラム。
【請求項8】
前記入力識別子群に含まれる一意識別子を有するコンテンツに所定ハッシュ関数を適用してハッシュ関数値を算出し、当該ハッシュ関数値の大きい又は小さい方から前記範囲内の数ごとに一意識別子をグループ分けし、各グループを各シノニム集合、シノニム集合ごとの最大又は最小のハッシュ関数値を当該シノニム集合の重複識別子とし、全重複識別子を前記曖昧化情報とする前記配布処理を前記コンピュータに実行させる請求項7の曖昧化プログラム。
【請求項9】
特定識別子に関連付けられた第1の端末から、前記特定識別子が属する、複数の一意識別子を含む集合(シノニム集合)の識別子(重複識別子)を受信して、前記重複識別子を有するシノニム集合に属する各一意識別子を取得し、
取得した一意識別子に関する情報を第2の端末に送信する曖昧化方法。
【請求項10】
入力された複数の一意識別子(入力識別子群)に含まれる一意識別子を、入力された範囲内の数の一意識別子を含む、複数のシノニム集合に分け、前記入力識別子群の一意識別子のおのおのを前記一意識別子が属するシノニム集合の重複識別子に対応付ける曖昧化情報を決定して、前記曖昧化情報を用いて前記特定識別子から前記重複識別子を取得する前記第1の端末に送信する、請求項9の曖昧化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−89037(P2012−89037A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236952(P2010−236952)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】