説明

曲げ損失の影響を受けないマルチモード光ファイバ

【課題】曲げによって光信号が劣化されない伝送を可能にし、大きな体積の溝に関連する不利点を持たないマルチモード光ファイバを提供すること。
【解決手段】本発明は、複数のマルチモード光ファイバから、個別のモーダル帯域幅が、ファイバが受ける曲げによって決まる1つまたは複数のマルチモード光ファイバを選択する方法を提供する。各ファイバに対して、方法は、下記のステップ:
ファイバが曲げられないときの第1のモーダル帯域幅の値BWを決定するステップ100と、
ファイバが曲げられるときの第2のモーダル帯域幅の値bBWを決定するステップ101と、
前記第2の値bBWが帯域幅の閾値Aを超えるファイバを選択するステップ102と
を含み、前記閾値Aは、第1の値BWより大きく、かつ、前記第1のモーダル帯域幅の値BWおよび所定の曲げ損失の値BLの関数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバによる伝送の分野に関し、より詳細には、曲げ損失の影響を受けないマルチモード光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ(またはファイバ)は、従来、光信号を伝送し、また任意選択で増幅する機能を有する光コアと、光信号をコア内に閉じ込める機能を有する光クラッドとから作られる。このため、コアの屈折率(refractive index)(または屈折率(index))nおよびクラッドの屈折率nは、n>nのようになる。
【0003】
用語「屈折率プロファイル(index profile)」は、屈折率を光ファイバの半径と関係づける関数のグラフを意味する。従来、光ファイバの中心からの距離が、横座標に沿ってプロットされ、光ファイバコアの屈折率と光ファイバクラッドの屈折率との間の差が、縦座標の上にプロットされる。屈折率プロファイルは、一般に、その形状の関数として説明される。したがって、用語「ステップ」、「台形」、「三角形」、または「アルファ」が、それぞれステップ形、台形、三角形、またはグレーデッド(graded)である形状を示すグラフに対する屈折率プロファイルを説明するために使用される。これらの曲線は、光ファイバに対する理論的プロファイルまたは設計プロファイルを表わすものであり、ファイバ製造上の制約が、わずかに異なるプロファイルに導く可能性がある。
【0004】
マルチモードファイバおよびシングルモードファイバ(monomode fiber)の2つの主たる種類の光ファイバが存在する。マルチモードファイバでは、所与の波長に対して、複数の光モードが光ファイバに沿って同時に伝播するのに対して、シングルモードファイバでは、高次モードが強く減衰する。シングルモードまたはマルチモードの光ファイバの標準的な直径は、125マイクロメートル(μm)である。マルチモードファイバのコアは、通常、50μmまたは62.5μmの直径を有するのに対して、シングルモードファイバのコアは、一般に、約6μmから9μmの直径を有す。マルチモードシステムは、光源(source)、コネクタ、および維持管理が安価であるので、シングルモードシステムより安価である。
【0005】
一般に、マルチモードファイバは、ローカルネットワークなど、広帯域幅を要する短距離のアプリケーションに使用される。短距離のアプリケーションは、特に、光ファイバ間の互換性要件に対する帯域幅、開口数、およびコア径に関する基準(criterion)を規定する、ITU−T規格G.651.1のもとでの国際標準化の課題である。長距離(300メートル(m)まで)にわたる広帯域アプリケーション(通常、10ギガビット毎秒(Gb/s)において)に対して、OM3規格が採用されてきた。広帯域アプリケーションの発展と共に、平均コア径は、62.5μmから50μmに移行した。
【0006】
広帯域アプリケーションにおいて利用可能であるために、光ファイバは、できるだけ広い帯域幅を有すべきである。帯域幅は、所与の波長に対して、いくつかの方法で特性を示される。したがって、「全モード励振(overfilled launch)」(OFL)として知られる飽和入射(saturated injection)条件下の帯域幅と、「実効伝送帯域幅(effective modal bandwidth)」(EMB)との間が、区別される。OFL帯域幅を得ることは、光ファイバの半径方向断面全体にわたって一様な励起を示す光源、例えばレーザダイオードまたは発光ダイオード(LED)、が使用されることが前提とされる。しかし、近年開発された、垂直キャビティ面発光レーザ(vertical cavity surface emitting laser)(VCSEL)として知られる、広帯域アプリケーションに使用される光源は、光ファイバの半径方向断面にわたって不均一(non−uniform)(不均質(inhomogenous))な励起を示す。この種類の光源に対して、OFL帯域幅はあまり適切ではなく、実効伝送帯域幅EMBは光源による不均一な励起を可能にするため、EMBを使用することが好ましい。
【0007】
計算された実効伝送帯域幅EMBcは、使用される光源にかかわらず、マルチモードファイバの最小EMBを推定する。EMBcは、分散モード遅延(dispersion mode delay)(DMD)の測定から、知られている方法で得られる。
【0008】
図1は、2002年11月22日版のTIA SCFO−6.6に公開されたFOTP−220規格の基準を使用するDMD測定の原理を示す。本発明に対するDMD測定は、これらの基準を使用して実行されてきた。DMDグラフは、所与の波長λにおいて、各逐次パルス間に半径方向オフセットを有する逐次的光パルス21を光ファイバ20に入射し、かつ、ファイバの所与の長さLにわたる各パルスの遅延を測定することによって得られる。同じ光パルス21が、マルチモード光ファイバのコアの中心22に対して異なる半径方向オフセット24で入射される。50μmの直径を有する光ファイバの特性を示すために、FOTP−220規格は、異なる半径方向オフセット毎に、26個の個別の測定値が採取されることを要求する。それらの測定値に基づいて、知られている方法で、DMDのマップ23(DMDグラフ)および計算された実効伝送帯域幅EMBcの両方を推定することができる。
【0009】
規格TIA−492AAAC−Aは、50μmの直径を有するマルチモードファイバに対して、長距離にわたる広帯域イーサネット(登録商標)伝送ネットワークのアプリケーションに要求される性能を規格化する。OM3規格は、10Gb/s(例えば、10ギガビットイーサネット(GbE))の速度で300mまで、エラーフリー伝送を得るために、850ナノメートルの波長において2000メガヘルツ−キロメートル(波長850nmにおいて2000MHz.km)以上のEMBを保証する。OM4規格は、10Gb/s(10GbE)の速度で550mまで、エラーフリー伝送を得るために、波長850nmにおいて4700MHz.km以上のEMBを保証する。
【0010】
しかし、マルチモードファイバでは、帯域幅は、光ファイバに沿ったモード間の伝播時間差または群時間(group times)に起因する。特に、(ステップ屈折率(step index)マルチモードファイバにおける)所与の伝播媒質に対して、種々のモードが、異なる群時間を有する。
【0011】
このことは、光ファイバに沿って伝播するパルス間に時間オフセットをもたらす。例えば、図1において、個別のパルスの間に時間オフセットを見ることができる。
【0012】
このことは、結果として光パルスの広がりを引き起こし、そのパルスを後続のパルスに重畳し、それにより、光ファイバで伝送されうる速度を低下させるリスクを負う。それゆえ、帯域幅は、光ファイバのマルチモードのコア内を伝播する光モードの群時間に直結する。
【0013】
広帯域幅を保証するために、所与の波長に対して、すべてのモードの群時間ができるだけ接近すること、好ましくは一致すること、すなわち、モード間のばらつき(多モード分散)がゼロであること、または少なくとも最小化されることを保証することが、必要である。
【0014】
マルチモードファイバ内のモード間の分散を小さくするために、「アルファ」コアプロファイルを有するグレーデッド屈折率ファイバを生産する提言がなされてきた。そのような光ファイバは、長年の間、使用されており、その特性が、特に、「Multimode theory of graded−core fibers」、D.Glogeら、Bell System Technical Journal、1973年、1563−1578頁に記載され、「Comprehensive theory of dispersion in graded−index optical fibers」、G.Yabre、Journal of Lightwave Technology、2000年2月、Vol.18、No.2、166−177頁に、要約されている。
【0015】
グレーデッド屈折率プロファイルまたはアルファ屈折率プロファイル、− これら2つの用語は同義である −は、アルファ形の屈折率プロファイルすなわちグレーデッド屈折率を有する屈折率プロファイルである。これらのプロファイルは、ある点における屈折率の値nを、前記点の光ファイバの中心からの距離rの関数として与える関係:
【数1】

によって定義されてよく、ここで、
α(アルファ)≧1;(屈折率ステップに対応してα→∞);
はマルチモードコアの最大屈折率;
はマルチモードコアの半径;
および、
【数2】

ここで、nは、一般にクラッド(通常、シリカで作られる)の屈折率に相当する、マルチモードコアの最小屈折率である。
【0016】
したがって、グレーデッド屈折率のマルチモードファイバは、任意の半径方向に沿って、屈折率の値が、光ファイバの中心からその周辺に向かって連続的に減少するような、線対称のコアプロファイルを有す。そのようなグレーデッド屈折率のコアの中を、マルチモード光信号が伝播すると、種々のモードが、異なる伝播媒質に遭遇し、それにより、種々のマルチモード光信号の伝播速度に異なる影響を与える。したがって、パラメータαの値を調整することによって、すべてのモードに対して実質的に等しい群時間を得ることができ、それにより、低減されたモード間の分散を得ることができる。
【0017】
しかし、実際に生産されるようなマルチモードファイバの屈折率プロファイル(またはプロファイル)は、一定の屈折率の外側クラッドで取り囲まれた、グレーデッド屈折率を有する中心コアを含む。したがって、マルチモードファイバのコアは、外側クラッドとの界面がアルファプロファイルを遮るので、完全なアルファプロファイルには、決して一致しない。外側クラッドは、低次モードに比べて高次モードを加速する。この現象は、クラッド効果(cladding effect)として知られている。したがって、DMD測定では、最大の半径方向オフセットに対して得られた応答は、多重パルスを有し、結果として、同時に発散する応答を生じる。帯域幅は、このクラッド効果によって、必然的に引き下げられる。
【0018】
短距離にわたって、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)の中で使用されるとき、広帯域幅のマルチモードファイバは、偶発的な曲げに受ける可能性がある。そのような曲げは、信号の減衰を誘発し、それにより、信号対ノイズ比を劣化させる。それゆえ、曲げの影響を受けないマルチモードファイバを設計することが有益である。
【0019】
1つの解法は、10 GbE光源を使用し、曲げの影響を受けない伝送を可能にする、光ファイバへの入射条件を適用することである。しかし、その解法は、必ずしもそのような光源を選択できるとは限らないという制約を有する。
【0020】
米国特許出願公開第2008/0166094号および国際公開第2008/085851号の文献が、曲げ損失を低減または除去するために、埋め込み溝が光ファイバのクラッドに付加されたマルチモードファイバを記載している。光ファイバが受ける曲げは、信号の減衰をなんら発生させない。しかし、溝の位置および深さは、帯域幅を劣化させないように、注意深く選択されるべきである。
【0021】
D.Molinらによる、「Low bending sensitivity of regular OM3/OM4 in 10 GbE applications」の文献は、光ファイバを含むシステムに対して、実効伝送帯域幅によって決まるシステムマージンMを定義する。システムマージンMは、光ファイバ内のモード分散、または所与のモーダル帯域幅に対する高次モードの時間シフト(time shift)によって引き起こされる入射信号の光エネルギーの損失の特性を示す。文献は、モーダル帯域幅が、光ファイバを曲げることによって拡大され、それにより、システムマージンMが改善される光ファイバを開示する。しかし、この文献は、曲げの影響を受けない光ファイバを記載していない。
【0022】
欧州特許出願公開第2166386号の文献は、曲げの影響を受けない、埋め込み溝を含むマルチモード光ファイバを記載する。その光ファイバは、すべてのモードが曲げに耐性を有すので、光ファイバが受ける曲げによって変化しない帯域幅を有す。しかし、曲げに対する非感受性は、大きな溝体積を有する光ファイバに際して得られる。大きな溝体積は、光ファイバへの有害な影響を含意する。広い溝を得るために大量のドーパントが必要であり、そのことが、光ファイバの作製を複雑にする。さらに、溝は、帯域幅に干渉し、漏れモードを導き、それにより、伝送される信号の品質を引き下げる。それらの影響は、高度に複雑な光ファイバプロファイルによってのみ、相殺されうる。
【0023】
米国特許出願公開第2009/0010596号の文献は、曲げの影響を受けない伝送を達成するために、高次モードがフィルタで除去されるマルチモードファイバを記載する。しかし、曲げ損失をフィルタで除去することは、伝送される光信号の品質を損なうことにつながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0166094号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/085851号
【特許文献3】欧州特許出願公開第2166386号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0010596号明細書
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】「Multimode theory of graded−core fibers」、D.Globeら、Bell System Technical Journal、1973年、1563−1578頁
【非特許文献2】「Comprehensive theory of dispersion in graded−index optical fibers」、G.Yabre、Journal of Lightwave Technology、2000年2月、Vol.18、No.2、166−177頁
【非特許文献3】「Low bending sensitivity of regular OM3/OM4 in 10 GbE applications」、D.Molinら
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
それゆえ、曲げが光信号を劣化させることのない伝送を可能にし、大きな体積の溝に関連する不利点を持たないマルチモード光ファイバが、必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0027】
このため、本発明は、複数のマルチモード光ファイバから、個別のモーダル帯域幅が、光ファイバが受ける曲げによって決まる1つまたは複数のマルチモード光ファイバを選択する方法であって:
各光ファイバに対して存在する、
光ファイバが曲げられない(言い換えれば曲げに受けない)ときの第1のモーダル帯域幅の値BWを測定するステップと、
光ファイバが曲げられる(言い換えれば曲げに受ける)ときの第2のモーダル帯域幅の値bBWを測定するステップと、
前記第2の値bBWが帯域幅の閾値Aを超える光ファイバを選択するステップと
を含み、前記閾値Aが、第1の値BWより大であり、
前記第1のモーダル帯域幅の値BWと、
所定の曲げ損失の値BLと
の関数である、方法を提供する。
【0028】
一実施形態では、前記第1の値BWを測定するステップが:
光ファイバが曲げられないときの光ファイバに対して分散モード遅延(DMD)測定を実行するステップと、
光ファイバが曲げられないときに対応する係数を使用して、前記DMD測定値を重み付けするステップと
を含み、
前記第2の値bBWを測定するステップが、光ファイバが曲げられるときに対応する係数で前記DMD測定値を重み付けするステップからなる。
【0029】
一実施形態では、前記帯域幅の閾値Aが、下式:
【数3】

を満足し、ここで:
Aは、前記帯域幅の閾値であり、
BWは、光ファイバが曲げられないときの光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値であり、
BLは、前記所定の曲げ損失の値であり、
Dは、光ファイバが曲げられないときの光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値BWの関数である値であり、
αは、定数である。
【0030】
一実施形態では、値Dは、下式:
【数4】

を満足し、ここで、Fは定数である。
【0031】
一実施形態では、定数Fは2×10に等しい。
【0032】
一実施形態では、定数αは2.4に等しい。
【0033】
一実施形態では、方法は、第1のモーダル帯域幅の値BWを測定するステップの前に、前記複数の光ファイバから、光ファイバが曲げられるときの光ファイバの曲げ損失が所定の閾値を超える光ファイバを予め選択するステップをさらに含む。
【0034】
一実施形態では、光ファイバが受ける曲げは、5mmの半径の二巻きからなる。
【0035】
一実施形態では、波長850ナノメートル(nm)における曲げ損失は、0.5デシベル(dB)より大きく、好ましくは0.8デシベル(dB)より大きい。
【0036】
一実施形態では、方法は、第1のモーダル帯域幅の値BWを測定するステップの後に、光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値BWが、波長850nmにおいて3150MHz.kmより小さい光ファイバを選択するステップをさらに含む。
【0037】
一実施形態では、前記帯域幅の閾値Aは、波長850nmにおいて4000MHz.kmに等しい。
【0038】
一実施形態では、前記帯域幅の閾値Aは、波長850nmにおいて5000MHz.kmに等しい。
【0039】
一実施形態では、前記帯域幅の閾値Aは、波長850nmにおいて6000MHz.kmに等しい。
【0040】
一実施形態では、モーダル帯域幅および曲げ損失は、それぞれ、実効伝送帯域幅および限定入射(restricted injection)条件下の曲げ損失である。
【0041】
一実施形態では、モーダル帯域幅および曲げ損失は、それぞれ、飽和入射条件下の帯域幅および飽和入射条件下の曲げ損失である。
【0042】
また、本発明は:
半径rを有する中心コアと光クラッドと
を含み、光クラッドが:
中心コアに隣接し、半径rを有し、数学的にr−rで表され、0.8μmから5μmの範囲にある、内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間の差を有する内側クラッドと、
内側クラッドに隣接し、かつ半径rと、下式
【数5】

で与えられる−30μmから−2μmの範囲の体積Vとを有し、ここで、Δnは、半径rの関数としての、溝の外側クラッドに対する屈折率差であり、rは光ファイバの中心に対する半径方向距離に相当する、溝と
を含み、モーダル帯域幅が、光ファイバが受ける曲げに応じて決まる
マルチモード光ファイバであって、
光ファイバが曲げられるときのモーダル帯域幅の値bBWが、帯域幅の閾値Aを超え、前記閾値Aが、第1の値BWを超え、かつ以下の:
光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWと、
所定の曲げ損失の値BLと
の関数であることを特徴とする、光ファイバも提供する。
【0043】
一実施形態では、前記閾値Aが、下式:
【数6】

を満足し、ここで、
Aは、前記帯域幅の閾値であり、
BWは、光ファイバが曲げられないときの光ファイバのモーダル帯域幅の値であり、
BLは、所定の曲げ損失の値であり、
Dは、光ファイバが曲げられないときの光ファイバのモーダル帯域幅の値BWの関数である値であり、
αは、定数である。
【0044】
一実施形態では、値Dは、下式:
【数7】

を満足し、ここで、Fは定数である。
【0045】
一実施形態では、定数Fは、2×10に等しい。
【0046】
一実施形態では、定数αは、2.4に等しい。
【0047】
一実施形態では、溝の体積Vは、−20μmから−10μmの範囲にある。
【0048】
一実施形態では、内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間の差(すなわち、内側クラッドの幅)は、0.8μmから2μmの範囲にある。
【0049】
一実施形態では、波長850nmの信号に対して、5ミリメートル(mm)の曲げ半径で二巻きした光ファイバの曲げ損失は、0.5dBより大きく、好ましくは0.8dBより大きい。
【0050】
一実施形態では、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWは、波長850nmにおいて3150MHz.kmより小さい。
【0051】
一実施形態では、5ミリメートル(mm)の曲げ半径で二巻きした光ファイバに対する、波長850nmにおけるモーダル帯域幅の値bBWは、4000MHz.kmより大きく、好ましくは5000MHz.kmより大きく、さらに好ましくは6000MHz.kmより大きい。
【0052】
一実施形態では、モーダル帯域幅および曲げ損失は、それぞれ、実効伝送帯域幅および限定入射条件下の曲げ損失である。
【0053】
一実施形態では、モーダル帯域幅および曲げ損失は、それぞれ、飽和入射条件下の帯域幅および飽和入射条件下の曲げ損失である。
【0054】
また、本発明は、光ファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)システムにおける伝送媒質として、本発明の光ファイバを使用することを提供する。
【0055】
本発明の方法によって得られた光ファイバでは、光ファイバが曲げられるときのモーダル帯域幅の値(有効帯域幅(effective bandwidth)または飽和入射条件下の帯域幅)は、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値および所定の曲げ損失の値の両方の関数である閾値を超える。
【0056】
したがって、光ファイバが曲げられるときの光ファイバのモーダル帯域幅は、光ファイバの曲げ損失を補償するのに十分なだけ高い。言い換えれば、光ファイバが曲げられるならば、対応する曲げ損失は、パワーの減少を示唆する。しかし、曲げ損失は、モーダル帯域幅の拡大によって補償される。したがって、光ファイバによって伝送される信号の品質は、全体として、曲げ損失の影響を受けない。信号対ノイズ比は、全体として一定であるか、またはむしろ改善される。
【0057】
本発明の他の特徴および利点は、例として与えられた本発明の実施形態の以下の説明を、添付の図面の参照しながら読めば、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】すでに説明した、DMD測定の理論を示す図である。
【図2】マルチモード光ファイバを含むシステムの帯域幅の関数としてのシステムマージンを示すグラフである。
【図3】光ファイバが曲げられないときに、同じ光源によって放出され、異なる入射の半径方向オフセットを有する光ファイバを介して伝送される信号のパワー分布を、光ファイバの伝播モードの関数として示すグラフである。
【図4】光ファイバが曲げられないときに、異なる光源の例によって放出され、1つの光ファイバを介して伝送される信号のパワー分布を、伝播モードの関数として示すグラフである。
【図5】光ファイバが曲げられるときに、同じ光源によって放出され、異なる半径方向の入射オフセットを有する光ファイバを介して伝送された信号のパワー分布を、光ファイバの伝播モードの関数として示すグラフである。
【図6】光ファイバが曲げられるときに、図4と同様に同じ光源の例によって放出され、1つの光ファイバを介して伝送される信号のパワー分布を、伝播モードの関数として示すグラフである。
【図7】本発明の方法を使用する、選択された光ファイバに対して得られたDMD測定を示すグラフである。
【図8】本発明の方法を使用する、選択された別の光ファイバに対して得られたDMD測定を示すグラフである。
【図9】本発明の方法を使用する、選択されない光ファイバに対して得られたDMD測定を示すグラフである。
【図10】本発明の特定の一実施形態の方法のステップを示す流れ図である。
【図11】複合屈折率プロファイルを有する光ファイバの横断面の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
マルチモード光ファイバを含む光システムによって伝送された信号の品質は、モーダル帯域幅を関数とする、光システムのシステムマージンMによって定義されてよい。特に、300mにわたって10Gb/sのビットレートを有しマルチモードファイバを含む光リンクの帯域幅を関数とする、光システムのシステムマージンMは、下式:
【数8】

によって定義されてよく、ここで、BPは、マルチモードファイバのモーダル帯域幅である。
【0060】
システムマージンMに対する上式は、IEEE P802.3ae 10 Gb/s Ethernet Task Forceによって開発された10 Gb/s Link Budget Spreadsheetから得られる。
【0061】
図2は、モーダル帯域幅を関数とする、300mにわたって10GbEのビットレートを有するリンクのシステムマージンMにおける漸進的変化(evolution)を示す。システムマージンMは、デシベル(dB)で表現される。モーダル帯域幅は、MHz.kmで表現される。システムマージンMが高いほど、伝送される信号の品質はよくなる。言い換えれば、マージンが高いほど、帯域幅に関連する信号の減衰は小さくなる。
【0062】
システムマージンは、モーダル帯域幅と共に、横ばい状態(plateau)にいたるまで上昇する:0MHz.kmから約6000MHz.kmまでの範囲の帯域幅の値に対して、システムマージンは、約3dBの値まで上昇し、その後、約6000MHz.kmを超える帯域幅に対して、システムマージンは、3.1dBの値でほぼ安定することが、図2に見られる。それゆえ、帯域幅を拡大することが、光ファイバ内を伝送される信号を改善することができる。
【0063】
さらに、マルチモード光ファイバのモーダル帯域幅は、光ファイバの曲げの関数である可能性がある。帯域幅は、高次モードの時間シフトによって制限される可能性がある。光ファイバが曲げられるならば、時間シフトは変化しない。しかし、高次モードが減衰し、この状態において、帯域幅の拡大につながる。このことは、図3から図6によって明らかにされる。図3から図6に示される曲線は、850nmの波長において得られた。
【0064】
図3は、以下にDMDパワー分布と呼ばれる、DMD測定中に生み出された、異なる半径方向入射オフセットに対する種々のモード群におけるパワー分布を表す。パワーは、任意単位(a.u.)で表現される。図3の曲線は、真っ直ぐな、曲げられない光ファイバで得られた。各曲線は、異なる半径方向入射オフセットに対して、同じ光源によって放出された信号に対して得られた。マルチモードファイバでは、伝送された信号の伝播モードが、モード群にまとめられる。各モード群は、主モード数または次数によって示される。図3は、光ファイバに固有の伝播モードの主モード数を、横座標軸上に示す。15μmから25μmの半径方向オフセットに対して、高次モードが、伝送される信号の大部分を構成することが分かる。これらの高次モードは、異なる伝播速度を有する可能性があり、仮に異なる伝播速度を有するならば、15μmから25μmの半径方向オフセットに対して得られたDMD測定値は、それゆえ、拡散信号(spread signal)を表わす。言い換えれば、光ファイバの高次モードの時間シフトは、無視することができず、光ファイバのモーダル帯域幅を減少させる。
【0065】
特定の光源に対応するモードパワー分布が、DMDパワー分布から得られる。図4は、異なる光源の例(光源1、光源5、および光源10)に対するモードパワー分布を示す。
【0066】
これらのモードパワー分布は、図3の曲線の、重み付けされた合計から得られる。光源1が、伝送された信号を低次モードに集め、一方で、光源5に対して、信号の主要部が、高次モードにあることが分かる。光源は、パワーモード分布に関する限り同等ではない。光源5は、高次モードの時間シフトの影響をより受けやすく、そのことが、この光源5に対応するモーダル帯域幅を制限する可能性がある。
【0067】
図5は、マルチモード光ファイバが曲げられるときの、言い換えればマルチモード光ファイバが曲げに受ける状態における、マルチモード光ファイバを介して伝送される信号のDMDパワー分布を示す。図5に示される例では、光ファイバは、5mmの曲げ半径で二巻きされている。信号は、異なる半径方向オフセットを有する同じ光源によって放出される。高次モードが強く減衰されることが分かる。このことは、入射の半径方向オフセットがより大きい信号が実質的に存在しないことを反映している。例えば、20μmから25μmの半径方向オフセットに対して、伝送される信号は、非常に弱い。それゆえ、曲げられた光ファイバでは、高次モードは、フィルタで取り除かれうる。したがって、モーダル帯域幅は、高次モードの時間シフトによる影響を受けない。
【0068】
図6は、図4と同じ光源の例に対して、マルチモードファイバが5mmの曲げ半径で二巻きされるときのモードパワー分布を示す。どの光源が使用されても、伝送される信号は、低次モードに集められることが分かる。光ファイバを曲げることで、15より高い次数のモードが、フィルタで取り除かれる。高次モードがフィルタで取り除かれることで、光ファイバの時間応答における高次モードの比率は、大幅に縮小される。光ファイバの帯域幅を制限するものが、これらの高次モードのみであるならば、すなわち、その他のモードがすべて、ほぼ等しい群遅延時間を有するならば、モーダル帯域幅は、どの光源が使用されても拡大される。
【0069】
したがって、帯域幅は、光ファイバが受ける曲げに応じて拡大されうる。したがって、システムマージンMは、光ファイバが受ける曲げに応じて改善されうる。
【0070】
したがって、光ファイバが曲げられるならば、モーダル帯域幅は、少なくとも部分的には、曲げ損失を補償するのに十分なだけ拡大されうる。
【0071】
言い換えれば、光ファイバが鋭く曲げられるならば、そのモーダル帯域幅が変化し、このことが、光ファイバを含むシステムのシステムマージンMの増加をもたらす。このシステムマージンMの増加は、横ばい状態によって制限される。システムマージンMの最大の増加が、補償されうる曲げ損失のバジェット(budget)に相当する。このバジェットが、実際に誘発される曲げ損失と比較される。
【0072】
実際に誘発された曲げ損失がこのバジェットより大きいならば、曲げ損失は、部分的にのみ補償される。信号対ノイズ比が、低下する。
【0073】
実際に誘発された曲げ損失がバジェットに等しいならば、曲げ損失は補償される。信号対ノイズ比は劣化せず、ほぼ一定のままである。
【0074】
実際に誘発された曲げ損失がバジェットより小さいならば、曲げ損失は過大に補償される。システムの性能が、さらに改善される。信号対ノイズ比が、改善される。
【0075】
本発明の方法は、一定のまたは改善された信号対ノイズ比を可能にする光ファイバを選択することを可能にする。図10は、複数のマルチモード光ファイバから1つまたは複数のマルチモード光ファイバを選択するための、本発明の特定の一実施形態の方法の主なステップを示す。
【0076】
本発明の方法は、光ファイバが曲げられないときに、各光ファイバに対して第1のモーダル帯域幅の値BWを測定するステップ100を含む。光ファイバは、真っ直ぐに保たれるならば、曲げられない。例えば、光ファイバは、50グラム(g)より小さい張力が光ファイバに印加されながら、100mmより大きな曲げ半径を有するときに、真っ直ぐである。
【0077】
次いで、方法は、光ファイバが曲げられるときに、各光ファイバに対して第2のモーダル帯域幅の値bBWを測定するステップ101を含む。曲げは、例えば、5mmの半径の二巻きからなる。別の例では、曲げは、7.5mmの半径の二巻きからなる。他の例では、曲げは、例えば、5mmの半径の5回巻きからなる。他の例では、曲げは、例えば、7.5mmの半径の5回巻きからなる。
【0078】
次いで、方法は、第2の値bBWが帯域幅の閾値Aを超える光ファイバを選択するステップ102を含む。閾値Aは、第1のモーダル帯域幅の値BWを超える。閾値Aは、所定の曲げ損失の値BLによって決まる。値BLはゼロより大であり、光ファイバが曲げられるときの、許容される最大曲げ損失に相当する。許容される最大曲げ損失BLは、例えば、光ファイバが使用される光システムの仕様によって与えられる。言い換えれば、光ファイバが使用される光システムにおいて、光ファイバは、値BL以下の曲げ損失を有する。また、閾値Aは、光ファイバが曲げられないとき、すなわち光ファイバが真っ直ぐに保たれるときの、光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値BWによって決まる。
【0079】
本発明の方法は、光ファイバが曲げられるとき、対応する曲げ損失が、モーダル帯域幅の拡大によって補償されるか、またはむしろ過大に補償される、光ファイバを決定することを可能にする。曲げ損失の補償は、光ファイバが曲げられるときの光ファイバのモーダル帯域幅bBWが、帯域幅の閾値Aを超えるならば、可能である。
【0080】
したがって、本発明の方法は、複数のマルチモード光ファイバから、光ファイバが曲げられると、モーダル帯域幅が、曲げ損失を補償するのに十分なだけ拡大されるマルチモード光ファイバを選択することを可能にする。
【0081】
本発明の方法によって得られた光ファイバでは、光ファイバを介して伝送された信号の品質、すなわち信号の信号対ノイズ比は、全体として、曲げの影響を受けない。
【0082】
本発明の特定の一実施形態の方法では、閾値Aは、下式:
【数9】

を満足し、ここで、
Aは、前記帯域幅の閾値であり、
BWは、光ファイバが曲げられないときの、光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値であり、
BLは、前記所定の曲げ損失の値であり、
Dは、光ファイバが曲げられないときの、光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値BWの関数である値であり、
αは、定数である。
【0083】
特定の一実施形態では、値Dは、下式:
【数10】

を満足し、ここで、Fは定数である。
【0084】
特に、閾値Aは、IEEE P802.3ae 10 Gb/s Ethernet Task Forceによって開発された10 Gb/s Link Budget Spreadsheetと、システムマージンの定義とから得られてよい。閾値Aを得るこの特定の方法は、非限定的な例として提供されることに留意されたい。
【0085】
光ファイバに対して許容される最大曲げ損失BLを考慮に入れて、光ファイバが曲げられるときの、光ファイバを含むシステムのシステムマージンが、光ファイバが曲げられないときの、光ファイバを含むシステムのマージンより大きいならば、光ファイバを含むシステムは、曲げの影響を受けないものとみなされる。
【0086】
したがって、本発明のこの実施形態では、本発明の光ファイバは、下記の条件:
【数11】

を満足する。
【0087】
したがって、複数の光ファイバから選択された光ファイバは、F=2×10およびα=2.4であるときに、第2のモーダル帯域幅の値bBWが閾値Aを超えるならば、曲げの影響を受けない伝送を可能にする。
【0088】
言い換えれば、本発明のこの実施形態では、複数の光ファイバから1つまたは複数の光ファイバを選択するステップ102は、第2のモーダル帯域幅の値bBWが下記の条件:
【数12】

を満足するかどうかを決定するステップに存在する。
【0089】
本発明の一実施形態では、モーダル帯域幅は、実効伝送帯域幅(EMB)である。曲げ損失は、限定入射条件下の曲げ損失である。限定入射条件下でのモーダル帯域幅および曲げ損失を得ることは、光源が、光ファイバの半径方向断面にわたって不均一な励起をもたらす光システムにおいて、光ファイバが使用されるときに、とりわけ好適である。そのような光源の一例は、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)である。入射条件は、例えば、G.651.1規格で定義される入射条件である。
【0090】
本発明の別の実施形態では、モーダル帯域幅は、飽和入射条件下のOFL帯域幅である。曲げ損失は、飽和入射条件下の曲げ損失である。飽和入射条件下でモーダル帯域幅および曲げ損失を得ることは、光源が、光ファイバの半径方向断面全体にわたって均一な励起をもたらす光システムにおいて、光ファイバが使用されるときに、とりわけ好適である。そのような光源の一例は、レーザダイオードまたはLED(発光ダイオード)である。
【0091】
本発明の特定の一実施形態では、第1のモーダル帯域幅の値BWを決定するステップ100は、光ファイバが曲げられないときの光ファイバに対する分散モード遅延(DMD)測定を実行するステップを含む。第1のモーダル帯域幅の値BWを得るために、DMD測定値が、光ファイバが曲げられないときに対応する係数Cで重み付けされる。
【0092】
本発明の特定の一実施形態では、第2の値bBWを決定するステップ101は、DMD測定値を、光ファイバが曲げられるときに対応する係数Cbで重み付けするステップに存在する。したがって、第2のモーダル帯域幅の値bBWは、光ファイバを曲げることなく測定される。このことが、選択する方法を簡素化する。
【0093】
本発明のこの実施形態は、10G−BASE−S光源と結合されるマルチモード光ファイバを例として考慮することによって、より深く理解されうる。10G−BASE−S光源は、一般に、限定入射を特徴とし、すなわち、光ファイバのすべての伝播モードが、均一に励起されるものではない。実効伝送帯域幅EMBは、一般に、光ファイバが結合される10G−BASE−S光源によって決まる。計算された実効伝送帯域幅EMBcは、本明細書では、使用される光源に関係なく、光ファイバの最小実効伝送帯域幅として定義される。
【0094】
したがって、本発明のこの実施形態では、モーダル帯域幅は、計算された実効伝送帯域幅である。次いで、複数の光ファイバから1つまたは複数の光ファイバを選択するステップ102は、計算された実効伝送帯域幅の第1の値EMBcおよび第2の値bEMBcが、下記の条件:
【数13】

を満足する光ファイバを選択する。
【0095】
計算された実効伝送帯域幅の第1の値EMBcは、DMD測定値から得られる。所定の光源のそれぞれは、その一組の係数Cを有し、各係数Cは、入射の半径方向オフセットに対応する。これらの係数Cは、標準化されている。10個の所定の光源に対する光ファイバの応答が、各光源に対応する係数CでDMD測定値を重み付けし、同じ光源から重み付けされたDMD測定値を加えることによって、決定される。
【0096】
表1は、10個の所定の光源(光源1から光源10で示される)のそれぞれに対し、かつ0から24μmまで1μmおきの入射の半径方向オフセットのそれぞれに対する、係数Cの値の例を与える。
【表1】

【0097】
各光源に対応する第1の実効伝送帯域幅の値EMBcは、当業界の技術で知られている方法で、重み付けされたDMD測定値から計算される。第1の計算された実効伝送帯域幅の値EMBcは、本明細書では、1.13で乗算された光源の実効伝送帯域幅のすべてのうちの最小値として定義される。
【0098】
計算された実効伝送帯域幅の第2の値bEMBcは、DMD測定値を、光ファイバが曲げられるときの光ファイバに対応する係数Cbで重み付けすることによって決定されうる。したがって、本発明によれば、曲げられた光ファイバの計算された実効伝送帯域幅bEMBcは、光ファイバが曲げられるときの光ファイバに対するDMD測定を実行することなく、得ることができる。このことは、光ファイバの選択を容易にする。
【0099】
表2は、10個の所定の光源(光源1から光源10)のそれぞれに対し、かつ0から24μmまで1μmおきの入射の半径方向オフセットのそれぞれに対する、係数Cbの値の例を与える。
【表2】

【0100】
係数Cbは、光ファイバが曲げられないときの光ファイバに対して実行されたDMD測定から得ることができる。光ファイバが曲げられると、高次モードがフィルタで除去される。DMD測定における曲げ損失の影響が、モデル化されてよい。特に、光ファイバが曲げられないときの光ファイバから得られたDMD測定値に基づいて、光ファイバが曲げられるとすれば、入射の半径方向オフセットのそれぞれに対して得られるであろうDMDパワー分布をモデル化することが、可能である。マルチモード光ファイバが曲げられるときの各光源に対するパワー分布から、曲げられた光ファイバに対応する係数Cbを得るために、係数Cを修正することが、可能である。曲げは、例えば、5mmの曲げ半径の二巻きを構成する。
【0101】
本発明の一実施形態では、係数Cbは、光ファイバの屈折率プロファイルによって決まる。このことは、とりわけ、光ファイバの曲げ耐性を改善するために、光ファイバの光クラッドが溝を含むときに、当てはまる。
【0102】
本発明の一実施形態では、方法は、− モーダル帯域幅の第1の値BWを決定するステップ100の前に −、光ファイバが曲げられるときの光ファイバの曲げ損失が所与の閾値を超える光ファイバを予備選択するステップ90を、さらに含む。このステップ90は、曲げ損失が、高次モードをフィルタで除去し、モーダル帯域幅における大幅な変化を可能にするのに十分なだけ高い光ファイバを、予備選択することを可能にする。
【0103】
例えば、ステップ90は、5mmの曲げ半径の二巻き、および850nmの信号波長に対して、0.5dB超、好ましくは0.8dB超の曲げ損失を有する光ファイバを予備選択する。
【0104】
例えば、ステップ90は、7.5mmの曲げ半径の二巻き、および850nmの信号波長に対して、0.2dB超、さらには0.3dB超、さらには0.5dB超の曲げ損失を有する光ファイバを予備選択する。
【0105】
例えば、ステップ90は、7.5mmの曲げ半径の二巻き、および850nmの信号波長に対して、1dB超の曲げ損失を有する光ファイバを予備選択する。
【0106】
本発明の特定の一実施形態の方法は、− 第1のモーダル帯域幅の値BWを決定するステップ100の後に −、光ファイバの第1のモーダル帯域幅の値BW(すなわち、光ファイバが真っ直ぐなときの値)が、波長850nmにおいて3150MHz.km未満である光ファイバを選択するステップ92を、さらに含む。このステップ92は、OM3およびOM4規格に適合するシステムにおける使用に好適な光ファイバを選択することを可能にする。
【0107】
OM3およびOM4規格(これらの規格の仕様は、50μmのコア径および0.200±0.015に等しい開口数(NA)を含む)のもとで使用可能なマルチモード光ファイバは、通常、840−860nmの範囲で光システム内で動作する、(10GbE規格に適合する)10G−BASE−S光源に結合される。
【0108】
次いで、曲げ損失は、5mmの曲げ半径の5回巻きに対して、約1.5dBに達することができる。7.5mmの曲げ半径の5回巻きに対して、曲げ損失は、0.8dBに達することができる。5mmの曲げ半径の二巻きに対して、曲げ損失は、約1.2dBに達することができる。7.5mmの曲げ半径の二巻きに対して、曲げ損失は、0.6dBに達することができる。7.5mmの曲げ半径に対する損失は、通常、5mmの曲げ半径に対する損失の半分である。
【0109】
10G−BASE−S光源に結合される、OM3およびOM4規格のもとで使用可能なマルチモードファイバは、最悪の場合で、1.5dBに等しい最大曲げ損失BLを有する。
【0110】
曲げ損失を補償するためにモーダル帯域幅を拡大するためには、光ファイバが曲げられないならば、モーダル帯域幅が、十分に低いシステムマージンを有することが必要であることが、図2から明らかである。言い換えれば、システムマージンは、3.1−BLより小さくあるべきである。したがって、1.5dBに等しい最大曲げ損失の値BLに対して、モーダル帯域幅は3150MHz.kmより小さい。したがって、モーダル帯域幅BWが3150MHz.kmより小さい光ファイバを選択するステップ92は、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅BWが、OM3またはOM4規格に適合するシステム内で、曲げ損失を補償するのに十分なだけ小さい光ファイバを選択することを可能にする。このステップ92で選択された光ファイバは、光ファイバが曲げられるときの第2の帯域幅の値bBWが、閾値Aより小さいならば、曲げ損失の補償を可能にする。
【0111】
曲げ損失は、入射条件によって決まる。10G−BASE−S光源は、多くの入射条件を誘発する。したがって、上記の最大値より十分に低い損失を誘発する光源が存在する。損失は、例えば1300nm付近での別のスペクトル窓における使用に対して、より高い可能性がある。閾値Aは、光ファイバが曲げられるときの光ファイバの最大曲げ損失によって決まる。
【0112】
例えば、5mmの曲げ半径で二巻きした光ファイバに対して、第2のモーダル帯域幅の値bBWは、波長850nmにおいて4000MHz.kmより大きい。別の例では、5mmの曲げ半径で二巻きした光ファイバに対して、第2のモーダル帯域幅の値bBWは、波長850nmにおいて5000MHz.kmより大きい。他の一例では、5mmの曲げ半径で二巻きした光ファイバに対して、第2のモーダル帯域幅の値bBWは、波長850nmにおいて6000MHz.kmより大きい。
【0113】
本発明の方法は、光ファイバ1、2、3に対して得られたDMD測定値を与える図7から図9を参照すれば、より深く理解することができる。以下において、光ファイバ1、2、3が受ける曲げは、850nmの波長において、5mmの曲げ半径の二巻きを含む。
【0114】
図7は、本発明の方法で選択された、光ファイバ1と呼ばれる、光ファイバの第1の例に対して得られたDMD測定値を与える。光ファイバ1が曲げられないならば、光ファイバ1は、2600MHz.kmに等しい計算された実効伝送帯域幅(EMBc)を有する。光ファイバ1が曲げられるならば、光ファイバ1は、4440MHz.kmに等しい計算された実効伝送帯域幅(bEMBc)を有する。15mmから25μmの範囲の半径方向オフセットに対して、光ファイバは、高次モード間で遅延を受ける。しかし、光ファイバが曲げられるならば、高次モードは、フィルタで除去される。したがって、光ファイバ1は、光ファイバが曲げられるときに拡大するモーダル帯域幅によって、0.9dBまでの曲げ損失を補償することができる。
【0115】
図8は、本発明の方法で選択された、光ファイバ2と呼ばれる、光ファイバの別の例から得られたDMD測定値を示す。光ファイバ2が曲げられないならば、光ファイバ2は、2360MHz.kmに等しい計算された実効伝送帯域幅(EMBc)を有する。光ファイバ2が曲げられるならば、光ファイバ2は、3455MHz.kmに等しい計算された実効伝送帯域幅(bEMBc)を有する。15μmから25μmの範囲の半径方向オフセットに対して、光ファイバは、高次モード間で遅延を受ける。しかし、光ファイバが曲げられるならば、高次モードは、フィルタで除去される。したがって、光ファイバ2は、光ファイバが曲げられるときに拡大するモーダル帯域幅によって、0.9dBまでの曲げ損失を補償することができる。
【0116】
比較のために、図9は、本発明の方法で選択されない光ファイバ3から得られたDMD測定値を示す。この光ファイバ3が曲げられないならば、光ファイバ3は、2340MHz.kmに等しい計算された実効伝送帯域幅(EMBc)を有する。光ファイバ3が曲げられるならば、光ファイバ3は、2440MHz.kmに等しい計算された実効伝送帯域幅(bEMBc)を有する。15μmから25μmの範囲の半径方向オフセットに対して、光ファイバは、光ファイバ1および2より高い高次モード間でより短い遅延を受ける。また、高次モードは、光ファイバが曲げられるならば、フィルタで除去される。しかし、帯域幅の拡大は、曲げ損失を補償するのに十分ではない。光ファイバ3は、波長850nmにおいて、0.2dBの曲げ損失を補償することができない。
【0117】
したがって、光ファイバ3とは違って、光ファイバ1および2は、それらが曲げられるときに、劣化しない光信号の伝送を可能にする。
【0118】
また、本発明は、中心コアおよび光クラッドを含むマルチモード光ファイバを提供する。
【0119】
図11は、複合屈折率プロファイルを有するマルチモードファイバ200の一例を示す。光ファイバは、中心コア202と、外側クラッド208の屈折率と同様に、一定の屈折率プロファイルを全体的に有する内側クラッド204と、内側クラッド204に対する屈折率差Δnを有する溝206とを含む。この屈折率差Δnは半径rの関数であってよく、ここでrは、光ファイバの中心に対する半径方向の位置に相当する。
【0120】
中心コアの屈折率プロファイルは、例えば、多モード分散(intermodal dispersion)の低減など、特別な誘導特性(guidance property)を生み出すことを可能にする。内側クラッド204、溝206および外側クラッド208では、屈折率プロファイルは、一般に、それらの幅にわたってほぼ一定であるが、複合プロファイルが、光ファイバに新しい機能を付加するために導入されてよい。
【0121】
中心コア202は、半径rを有し、光信号を伝送する。中心コア202は、マルチモード光ファイバの標準的特性、例えば、外側光クラッドに対するアルファ形のプロファイルを有する。
【0122】
光クラッドは、中心コア202に隣接した内側光クラッド204を含む。内側光クラッドは半径rを有し、0.8μmから5μmの範囲にわたる、内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間の差を有する。この差は、内側クラッドの厚さすなわち幅であると解釈されてよい。また、光クラッドは、内側クラッドに隣接する溝206を含む。溝は、半径rと同時に、−30μmから−2μmの範囲にわたる体積Vを有する。体積Vは、下式:
【数14】

で与えられ、ここで、Δnは、半径rの関数としての、溝の外側クラッドに対する屈折率差であり、rは、光ファイバの中心に対する半径方向の位置に相当する。
【0123】
溝と内側クラッドとの特性が、光ファイバの曲げ耐性を改善することを可能にする。溝は、溝の体積が、光ファイバを介して伝送される信号に有害な影響を与えないような幅および深さを有する。したがって、溝は、光ファイバの帯域幅を乱すことはない。溝は、漏れモードのあらゆる大幅な誘発を防止するのに十分なだけ小さい。
【0124】
例えば、溝の体積Vは、−20μmから−10μmの範囲にあり、内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間の差は、0.8μmから2μmの範囲にある。
【0125】
例えば、溝は、数学的にr−rで表現され、2μmから8μmの範囲、さらには3μmから6μmの範囲にある、溝の半径rと内側クラッドの半径rとの間の差で定義される幅を有する。外側クラッドに対する最大屈折率差に対応する溝の深さは、例えば、−0.5×10−3未満、さらには−1×10−3未満である。例えば、溝は、−8×10−3超、さらには−5×10−3超の深さを有する。
【0126】
溝は、任意の知られている種類、例えば単一溝であってよい。別の例では、溝は、複合溝であり、すなわち、溝は、内側クラッドによって互いに離隔された複数の個別の溝を含む。
【0127】
また、光ファイバは、光ファイバが受ける曲げによって決まるモーダル帯域幅を有する。光ファイバが曲げられるときのモーダル帯域幅の値bBWは、帯域幅の閾値Aを超える。閾値Aは、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWより高い。閾値Aは、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWの関数である。また、閾値Aは、所定の曲げ損失の値BLによって決まる。値BLは、ゼロより大きく、光ファイバが曲げられるときに許容される最大曲げ損失に相当する。したがって、本発明の光ファイバは、曲げによって劣化されない光信号を伝送するための光システムにおいて使用可能である。
【0128】
第1に、溝は、光ファイバの曲げ損失を低減することを可能にする。例えば、溝は、曲げ損失を、5mmの曲げ半径の二巻きに対して、約1.2dBに制限することを可能にする。しかし、溝は、光ファイバの屈折率プロファイルへの有害な影響を避けるのに十分なだけ小さい。曲げ損失は、高次モードをフィルタで除去することを可能にするのに十分な高さを維持する。例えば、曲げ損失は、850nmの信号波長に対して5mmの曲げ半径の二巻きにおいて、0.5dB超、好ましくは0.8dB超である。
【0129】
対照的に、帯域幅の閾値Aは、本発明の方法を参照して説明したとおりである。したがって、本発明の光ファイバが曲げられるときに、対応する曲げ損失は、モーダル帯域幅の拡大によって補償されるか、またはむしろ過度に補償される。曲げ損失の補償は、光ファイバが曲げられるときの光ファイバのモーダル帯域幅の値bBWが、帯域幅の閾値Aを超えるならば可能である。
【0130】
したがって、本発明の光ファイバは、曲げ損失を低減するが、それらを完全には除去しないことを可能にする溝を含む。また、光ファイバは、信号の品質を維持することを可能にする、光ファイバが曲げられたときの帯域幅bBWを有する。したがって、光ファイバは、信号の品質すなわちその信号対ノイズ比が、大きな体積の溝の有害な影響を有することなく、全体として曲げの影響を受けない、光信号の伝送を可能にする。
【0131】
特定の一実施形態では、閾値Aは、下式:
【数15】

を満足し、ここで、Dは、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWによって決まる値であり、αは定数である。特定の一実施形態では、値Dは、下式:
【数16】

を満足し、ここで、Fは定数である。
【0132】
一実施形態では、閾値Aは、IEEE P802.3ae 10 Gb/s Working Groupによって開発された10 Gb/s Link Budget Spreadsheetから得られる。この実施形態では、本発明の光ファイバは、それが曲げられるときに、F=2×10およびα=2.4に対して、閾値Aを超えるモーダル帯域幅bBWを有する。
【0133】
本発明の光ファイバの一実施形態では、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWは、波長850nmにおいて3150MHz.km未満である。したがって、光ファイバは、それがOM3規格またはOM4規格に適合するシステム内で使用されるのに十分に低い、光ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅を有する。
【0134】
閾値Aの値は、光ファイバが曲げられるときの最大曲げ損失の関数である。
【0135】
例えば、5mmの曲げ半径で二巻きした光ファイバに対して、モーダル帯域幅の値は、波長850nmにおいて4000MHz.kmより大きい。別の例では、5mmの曲げ半径で二巻きした光ファイバに対して、モーダル帯域幅の値は、波長850nmにおいて5000MHz.kmより大きい。他の一例では、5mmの曲げ半径で二巻きした光ファイバに対して、モーダル帯域幅の値は、波長850nmにおいて6000MHz.kmより大きい。
【0136】
また、本発明は、本発明の光ファイバ、または本発明の方法によって得られた光ファイバを、光システム、例えばファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)システムにおける伝送媒質として使用することに関する。
【0137】
特に、本発明は、本発明の光ファイバ、または本発明の方法によって得られた光ファイバを、光システムにおける曲げの影響を受けない伝送媒質として使用することを含む。有利には、本発明の光ファイバ、または本発明の方法によって得られた光ファイバは、短距離ネットワークに好適な、曲げ損失の影響を受けないシステム内で使用される。
【0138】
さらに、本発明は、少なくとも、本発明の光ファイバの一部、または本発明の方法によって得られた光ファイバの一部を含む光システムに関する。特定の実施形態では、光システムは、光源−受信器間の距離が少なくとも100m、さらには少なくとも300m、さらには少なくとも550mにわたって、10Gb/s以上のビットレートを有する。
【0139】
当然ながら、本発明は、例として上で説明された実施形態に限定されるものではない。特に、閾値Aは、IEEE P802.3ae 10 Gb/s Working Groupによって開発された10 Gb/s Link Budget Spreadsheetから得られるデータとは異なるデータから得られてよい。
【0140】
本発明の光ファイバは、システムの他の光ファイバとの良好な互換性を有する、数多くの伝送システムに組み込まれてよい。
【符号の説明】
【0141】
20 光ファイバ
21 光パルス
22 光ファイバのコアの中心
23 DMDのマップ
24 半径方向オフセット
200 マルチモードファイバ
202 中心コア
204 内側クラッド
206 溝
208 外側クラッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマルチモード光ファイバから、個別のモーダル帯域幅が、ファイバが受ける曲げによって決まる1つまたは複数のマルチモード光ファイバを選択する方法であって、各ファイバに対して存在する、
ファイバが曲げられないときの第1のモーダル帯域幅の値BWを決定するステップ(100)と、
ファイバが曲げられるときの第2のモーダル帯域幅の値bBWを決定するステップ(101)と、
前記第2の値bBWが帯域幅の閾値Aを超えるファイバを選択するステップ(102)と
を含み、前記閾値Aが、第1の値BWより大きく、前記第1のモーダル帯域幅の値BWおよび所定の曲げ損失の値BLの関数である、方法。
【請求項2】
i)前記第1の値BWを決定するステップ(100)が、ファイバが曲げられないときのファイバに対して分散モード遅延(DMD)測定を実行するステップと、ファイバが曲げられないときに対応する係数を使用して前記DMD測定値を重み付けするステップとを含み、ii)前記第2の値bBWを決定するステップ(101)が、ファイバが曲げられるときに対応する係数で前記DMD測定値を重み付けするステップからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯域幅の閾値Aが、下式
【数1】

を満足し、ここで、
Aは、前記帯域幅の閾値であり、
BWは、ファイバが曲げられないときのファイバの第1のモーダル帯域幅の値であり、
BLは、前記所定の曲げ損失の値であり、
Dは、ファイバが曲げられないときのファイバの第1のモーダル帯域幅の値BWの関数である値であり、
αは、定数であり、好ましくは2.4に等しい、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
値Dが、下式
【数2】

を満足し、ここで、Fは定数であり、好ましくは2×10に等しい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1のモーダル帯域幅の値BWを決定するステップ(100)の前に、前記複数のファイバから、ファイバが曲げられるときのファイバの曲げ損失が所定の閾値を超えるファイバを予備選択するステップ(90)をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ファイバが受ける曲げが、5mmの半径の二巻きである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
波長850nmにおいて、曲げ損失が、0.5dBより大きく、好ましくは0.8dBより大きい、請求項5および6に記載の方法。
【請求項8】
第1のモーダル帯域幅の値BWを決定するステップ(100)の後に、ファイバの第1のモーダル帯域幅の値BWが、波長850nmにおいて3150MHz.kmより小さいファイバを選択するステップ(92)をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記帯域幅の閾値Aが、波長850nmにおいて、4000MHz.kmに等しく、好ましくは5000MHz.kmに等しく、より好ましくは6000MHz.kmに等しい、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
モーダル帯域幅および曲げ損失が、それぞれ、i)実効伝送帯域幅および限定入射条件下の曲げ損失か、または、ii)飽和入射条件下の帯域幅および飽和入射条件下の曲げ損失、のいずれかである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
半径rを有する中心コアおよび光クラッドを有する中心コアを含み、光クラッドが、
中心コアに隣接し、半径rを有し、かつ内側クラッドの半径rと中心コアの半径rとの間に0.8μmから5μmの範囲、好ましくは0.8μmから2μmの範囲の差を有する内側クラッドと、
内側クラッドに隣接し、かつ半径rと、−30μmから−2μmの範囲、好ましくは−20μmから−10μmの範囲の、下式
【数3】

で与えられる体積Vとを有し、ここで、Δnが、半径rの関数としての、溝の外側クラッドに対する屈折率差であり、rがファイバの中心に対する点の半径方向距離に相当する、溝と
を含み、モーダル帯域幅が、ファイバが受ける曲げによって決まる、マルチモード光ファイバであって、
ファイバが曲げられるときのモーダル帯域幅の値bBWが帯域幅の閾値Aを超え、前記閾値Aが、ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値BWおよび所定の曲げ損失の値BLの関数であることを特徴とする、光ファイバ。
【請求項12】
前記閾値Aが、下式
【数4】

を満足し、ここで、
Aが、前記帯域幅の閾値であり、
BWが、ファイバが曲げられないときのファイバのモーダル帯域幅の値であり、
BLが、所定の曲げ損失の値であり、
Dが、ファイバが曲げられないときのファイバのモーダル帯域幅の値BWの関数である値であり、
αが、定数であり、好ましくは2.4に等しい、
請求項11に記載の光ファイバ。
【請求項13】
値Dが、下式
【数5】

を満足し、ここで、Fは定数であり、好ましくは2×10に等しい、請求項12に記載の光ファイバ。
【請求項14】
波長850nmの信号に対して、5mmの曲げ半径で二巻きしたファイバの曲げ損失が、0.5dBより大きく、好ましくは0.8dBより大きい、請求項11から13のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項15】
ファイバが曲げられないときのモーダル帯域幅の値(BW)が、波長850nmにおいて3150MHz.kmより小さく、かつ/または、5mmの曲げ半径で二巻きしたファイバに対する波長850nmにおけるモーダル帯域幅の値(bBW)が、4000MHz.kmより大きく、好ましくは5000MHz.kmより大きく、より好ましくは6000MHz.kmより大きい、請求項11から14のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項16】
モーダル帯域幅および曲げ損失が、それぞれ、i)実効伝送帯域幅および限定入射条件下の曲げ損失か、または、ii)飽和入射条件下の帯域幅および飽和入射条件下の曲げ損失、のいずれかである、請求項11から15のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項17】
光ファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)システムにおける伝送媒質としての、請求項11から16のいずれか一項に記載のファイバの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−98722(P2012−98722A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−226494(P2011−226494)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(507112468)ドラカ・コムテツク・ベー・ベー (39)
【Fターム(参考)】