説明

書換え可能な記録媒体、書換え可能な記録媒体の製造方法、画像記録セット、及び画像記録方法

【課題】画像保持性、画像品質、低コスト、安全性、フレキシブル性を備えた外部駆動型の書換え可能な記録媒体などの提供。
【解決手段】基材と、前記基材に内包された画像記録層とを有し、前記画像記録層が、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有し、前記分散媒が、前記基材と接しており、画像の記録及び消去が、外部の画像記録装置により繰返し可能である書換え可能な記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部駆動の画像記録装置により書込みを行う書換え可能な記録媒体、書換え可能な記録媒体の製造方法、画像記録セット、及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙の印刷物に近い視認性や可搬性を有し、バックライトが不要で消費電力が低く、かつ薄く、軽量な電子ペーパーが実用化され注目を集めている。電子ペーパーは、駆動素子を内在し単体で画像表示が可能な内部駆動型のペーパーライクディスプレイ(以降PLDと記載)と、記録媒体にプリンタ等によって書込みを行う外部駆動型のリライタブルペーパーに分類される。なお、前記リライタブルペーパーは、繰り返し書換えが可能なペーパーやシートなどの記録媒体全般を含むものであり、本発明における書換え可能な記録媒体と同義である。
【0003】
電子ペーパーには様々な方式が提案されているが、その中でも、PLDにおいては、液中で帯電した白色及び/又は着色粒子を電界によって表示媒体の表面側又はその逆方向に泳動させ、光学的反射率を変化させることによって表示を行う電気泳動方式が最も実用的な方式として知られている。例えば、電界によって互いに逆方向に泳動する粒子を含む混合多粒子分散系に、電界を作用させることにより、ある粒子を光学的に隠蔽して分散系の光学的反射特性を変化させる構成を有する表示又は記録装置が開示されている(特許文献1参照)。
また、着色した分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散系を封入した多数のマイクロカプセルを一組の対向電極板間に設けた電気泳動表示装置が開示されている(特許文献2参照)。
更に、第1の粒子と前記第1の粒子とは逆極性を有する第2の粒子とを含むマイクロカプセルに電界を印加することにより、どちらか一方の粒子を表面に泳動させるインクが開示されている(特許文献3参照)。このように、電気泳動方式、とりわけマイクロカプセル型の電気泳動方式は、電子ペーパーとして既に実用化されており、多くの注目を集めている。
【0004】
これらの電気泳動方式の電子ペーパーは、一度表示を行うと電力を必要とせずにその表示した内容を保持できることが一つのメリットとして捉えられているが、実際には画像を表示した後電界を印加することなく放置すると経時で画像濃度が変化したり、外部から静電気や圧力等の影響を受けると画質が劣化したりするなど、画像保持性に課題があった。
これらの課題に対しては、例えば、マイクロカプセルの壁をグラフトコポリマーで構成し、分散媒との溶解度パラメータを制御する方法(特許文献4参照)や、懸濁流体中に高粘度化しない重合体を溶解又は分散する方法が開示されている(特許文献5参照)。
【0005】
これらの技術は、PLDに求められる画像保持性の向上には有効である。しかし、リライタブルペーパーに求められる画像保持性に対しては充分ではなかった。
その理由は、PLDとリライタブルペーパーの構造及び使用目的の違いにある。PLDの場合は、電気泳動粒子が移動する領域である表示層の上下に電極として導電層を有する基板が設けられ、筐体に覆われた構造を有しているため外部からの影響が受けにくく、また必要に応じて電圧を印加することが可能であり、それによって画像を維持することが可能である。
しかし、リライタブルペーパーの場合は、筐体に覆われていないため外部からの影響を受けやすく、また記録媒体には電圧を印加するための素子や電源を有していないため、外部から画像を長期保持させることは不可能である。保護層などで覆うことによって外部からの影響を軽減させることが可能な場合もあるが、画像保持性を高める効果としては充分ではなく、リライタブルペーパーとして求められるフレキシブル性や低コストのメリットが失われることになる。
また、PLDは、使用上、書換え頻度が高くなるため、画像保持性の要求度はそれほど高くないが、リライタブルペーパーは、紙のように長期間記録を残すニーズが高いため、半永久的な画像保持性を実現する必要がある。
【0006】
画像保持性を顕著に高める技術としては、電気泳動粒子が分散された分散媒の粘度を温度によって制御し、加熱によって低粘度化して記録を行い、記録後冷却することによって着色粒子を固定化する方法が数多く開示されている。
例えば、常温で固体であり、加熱あるいは溶剤等で軟化する樹脂、ゴム、ロウ類、又は合成ワックス類を用いる方法(特許文献6参照)、電気泳動粒子、分散媒、染料及び分散剤を含む分散液で、分散媒が常温では液体と固体の2つの相が共存し、電気泳動時固体の相が溶解して均一な液体の相にする方法(特許文献7参照)、非加熱時は固体であり加熱によって液体となる熱溶融性物質、具体的にはワックス類、飽和脂肪酸、高級アルコール類と電気泳動性微粒子をマイクロカプセルに封入する方法(特許文献8参照)、電気泳動動作温度では流動性を有し、泳動動作温度よりも低い温度では光学的に不透明な固体となる混合物、具体的には、長鎖アルコール類、フェノール類、芳香族ケトン類、デカン類、及びドデカン類より選択される物質と、パラフィン、ロウ類、ワックス類、及び飽和炭化水素より選択される物質との混合物を用いる方法(特許文献9参照)、常温では固体状態になり、加熱によって液体状態になる分散媒として、高級パラフィン炭化水素類、ロウ類、ワックス類、又は芳香族炭化水素類を用いる方法(特許文献10参照)、分散媒がライスワックスを主成分とし、界面活性剤を含有する方法(特許文献11参照)などが開示されている。
【0007】
このように常温で固体状態、加熱時に液体状態となる分散媒は、記録後に冷却されることにより電気泳動粒子が固定化されるため画像保持性の向上に非常に有効である。
しかし、これらの技術は、ワックス類やロウ類、飽和脂肪酸などを添加した分散媒であるため、固体状態と液体状態との間の転移における温度応答性が低く、書換え速度が低下したり、加熱しても分散媒粘度が充分に低下せず、コントラストが低下したり、繰り返し書換えを行った場合に画質低下が見られるなど、満足する特性が得られていないという問題がある。
【0008】
PLDにおいて、ゲル化する分散媒を用いる方法が開示されている。例えば、温度により可逆的にゲル化及びゾル化(液化)する分散媒と電気泳動粒子からなり、分散媒を局部的にゾル化することにより局部的に電気泳動粒子を泳動させる熱書込み方式が開示されている(特許文献12参照)。
しかし、この技術では、ゲル化及び液化する分散媒として、具体的には溶媒が貧溶媒となる高分子物質を用いているが、溶媒の温度が高い時には高分子物質を溶解し、温度が低い時には高分子物質が不溶となってゲル化するものであり、高分子物質自身が熱可逆性を有するものではない。
したがって、ゲル化と液化との間の転移における温度応答性は低く、また液化が局部的であるため表示速度や画像品質についても満足されるものではなかった。
【0009】
また分散媒、白色粒子、着色粒子及びゲル化剤からなる電気泳動表示用表示ゲルが開示されている(特許文献13参照)。
しかし、この技術では、分散媒中にゲル化剤が含有されてはいるものの熱可逆性についての記載はなく、ゲル化されることによって分散媒は連続及び/又は非連続の微小領域にほぼ均等に分割されゲル状態になり、粒子はゲル状態にある分散媒中で電界の作用により電気泳動することが記載されている。そのため書換え速度やコントラストの問題は解決されず、課題の解決には至っていない。
【0010】
一方、PLDにおいて、液体システム、熱可逆性ゲル化剤及び着色粒子のセットを包含する電気泳動ディスプレイ用の表示媒体が開示されている(特許文献14参照)。この技術では、熱可逆性ゲル化剤を含ませることによって、ゲル化剤の融点近傍又はそれより高い温度において非ゲル化状態になり、粘性が低下するためディスプレイデバイス内にイメージを形成することができる。
イメージ形成後にディスプレイデバイスを冷却すると、ゲル化状態になるため、電界を印加しない状態でもイメージが安定に維持される。熱可逆性ゲル化剤を用いる方法は、ゲル化剤自体がゲル化を引き起こすため、従来のワックス類やロウ類を添加したり、溶媒に対する高分子物質の溶解性でゲル化を制御するよりは温度応答性が高く、また安定であり、画像保持性を高めるためには非常に優れた方法である。
しかし、熱可逆性ゲル化剤もまた温度で制御している以上、画像を頻繁に書換える用途に対しては書換え速度低下の影響が大きくなる。上記のとおり、熱可逆性ゲル化剤を用いたこの技術は、2つの平行透明導体電極パネルを有するディスプレイデバイス、即ち、PLDを前提としているため、熱可逆性ゲル化剤を用いて半永久的に画像を残すメリットよりも、表示応答性が低下するデメリットの方が大きくなる。また、デバイス内に加熱装置や冷却装置を設ける必要が生じるため、PLDの厚みや重量が増加することになり、このことも大きなデメリットとして挙げられる。
したがって、熱可逆性ゲル化剤を用いた効果が充分に活かされておらず、PLDに適用できていないのが実情であった。
【0011】
従来のディスプレイとしての使い方が主となるPLDは、今多くの開発がなされ進化が著しいが、従来の紙としての使い方が主となるリライタブルペーパーは、PLDに比べて進化がやや遅れている。
しかし、紙にはディスプレイとは異なるニーズがあり、紙と同じ取り扱いが可能なリライタブルペーパーの普及も期待されている。
リライタブルペーパーの課題としては、画像保持性、画像品質、コスト、安全性、フレキシブル性及び堅牢性(薄膜化、軽量化)が挙げられる。
【0012】
リライタブルペーパーに求められる画像保持性では、上記の通りPLDよりもリライタブルペーパーの方がそのニーズは高いと考えられる。PLDは書換えを行うためにデバイス化されており、当然書換え頻度は高くなる。そのため半永久的な画像保持性は、ほとんど必要としない。一方、リライタブルペーパーは書換え可能ではあるが、紙の代替として使われることを想定すると高い画像保持性が求められる。また筐体に覆われたPLDよりも、それらがないリライタブルペーパーの方が外部から静電気や圧力などの影響を受けやすく、画像保持性を高める上での課題が大きい。
したがって画像保持性については、PLDよりもむしろリライタブルペーパーにおいて非常に重要な課題であると言える。
【0013】
リライタブルペーパーに求められる画像品質では、特に白黒のコントラスト比が重要となる。紙の印刷物は、コントラスト比が非常に高く、それ故視認性が高くなるが、電子ペーパーの場合は、特に白色の反射率が不足しており、コントラストは紙の印刷物に追いついていないのが実情である。その理由の一つには、電気泳動粒子と分散媒を包むマイクロカプセルの影響が考えられる。マイクロカプセルは、透明性の高いものが用いられてはいるものの、電気泳動粒子を覆っている以上反射率を低下させる原因になることは否定できない。また、マイクロカプセルを小径化すると記録できないカプセル壁の領域が増えるため、画像品質はむしろ低下することになる。電気泳動粒子及び分散媒のマイクロカプセル化によって、電子インクとしての取り扱いが可能となったが、画像品質から見ればマイクロカプセルはない方が好ましい。
【0014】
リライタブルペーパーに求められるコストは、普及を妨げる最も大きな課題の一つと言える。PLDは、従来のディスプレイとしての使い方が主であるため、ある程度のコスト高は許容されるが、リライタブルペーパーは、従来の紙としての使い方が主であるため、コスト高は致命的な問題である。書換えが可能なので紙よりも1枚あたりの単価が高くなることは想定されるが、紙のように大量に記録したり、それを配布したりできることにディスプレイとは異なるリライタブルペーパーの価値が見いだせるため、単価があまりにも高くなるとリライタブルペーパーの価値は低下する。
電気泳動方式のPLDでは、マイクロカプセル化技術はそれまでの方法に比べて比較的コストメリットはあるものの、紙の代替としてのリライタブルペーパーにおいては、マイクロカプセル化技術に掛かるコストは、実用レベルとは言えない。更に電気泳動粒子を分散させた記録層の他に電極としての導電層や保護層などを積層させる構成では簡易的なディスプレイに近いコストになり、リライタブルペーパーとしての価値は見いだせなくなってしまう。
【0015】
リライタブルペーパーに求められる安全性において重要なポイントは、有機溶剤の漏洩防止である。電気泳動方式及び/又は磁気泳動方式の電子ペーパーには有機溶剤が使われている。PLDのように筐体に覆われていれば破損しても有機溶剤が漏れ出て人に触れる危険性は低いが、リライタブルペーパーの場合は、筐体がないため破損すると有機溶剤が漏れ出て人に触れる危険性が高い。
そのため、電気泳動方式及び/又は磁気泳動方式のリライタブルペーパーを実現するためには、有機溶剤に触れたり、吸引したりすることがないような安全策が必要不可欠である。またマイクロカプセルにはホルムアルデヒドを含む場合もあり、このことも安全性の観点から見ると大きな課題である。
【0016】
リライタブルペーパーに求められるフレキシブル性に関しては、PLDでもフレキシブル化の開発が進められているが、紙の代替としてのニーズがあるリライタブルペーパーにおいては、必要な特性である。リライタブルペーパーにフレキシブル性を持たせるためには、記録媒体自身が薄膜、軽量である必要があるが、それは同時に堅牢性を高める上でも重要である。リライタブルペーパーを紙の代替として普及させるためには、紙と同様に薄膜化あるいは軽量化を進めてフレキシブル性と堅牢性を高め、PLDとは異なる価値を付加させることが非常に重要である。
【0017】
上記のように、プリンター等によって書込みを行う外部駆動型の書換え可能な記録媒体において、画像保持性、画像品質、低コスト、安全性、フレキシブル性を備えた外部駆動型の書換え可能な記録媒体、該書換え可能な記録媒体の製造方法、前記書換え可能な記録媒体を有する画像記録セット、前記書換え可能な記録媒体を用いた画像記録方法の提供が求められているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、画像保持性、画像品質、低コスト、安全性、フレキシブル性を備えた外部駆動型の書換え可能な記録媒体、該書換え可能な記録媒体の製造方法、前記書換え可能な記録媒体を有する画像記録セット、前記書換え可能な記録媒体を用いた画像記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、前記基材に内包された画像記録層とを有し、
前記画像記録層が、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有し、
前記分散媒が、前記基材と接しており、
画像の記録及び消去が、外部の画像記録装置により繰返し可能であることを特徴とする書換え可能な記録媒体である。
<2> 熱可逆性ゲル化剤が、分子中にアミド結合を有する前記<1>に記載の書換え可能な記録媒体である。
<3> 熱可逆性ゲル化剤が、分子中にウレタン結合を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
<4> 熱可逆性ゲル化剤が、分子中にシロキサン結合を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
<5> 熱可逆性ゲル化剤の分子中におけるシロキサン結合の珪素数Aと、分子中におけるアミド結合及びウレタン結合の総数Bとが、下記式(I)を満たす前記<1>から<4>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
0.5≦A/B<3.0 ・・・式(I)
<6> 熱可逆性ゲル化剤が、分子中に炭素数が8以上のアルキル基及び炭素数が8以上のアルキレン基の少なくともいずれかを有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
<7> 分散媒が、脂肪族炭化水素及びシリコーンオイルの少なくともいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
<8> 画像記録層が、更に、スペーサーを含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
<9> 画像記録層の断面形状が、略円及び楕円の少なくともいずれかを複数配列させた集合体形状である前記<1>から<8>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の製造方法であって、
電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有する画像記録層形成材料を、前記分散媒が液状で、第一の基材に付与し画像記録層を形成する画像記録層形成工程と、
前記第一の基材上に形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する第二の基材形成工程とを含むことを特徴とする書換え可能な記録媒体の製造方法である。
<11> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の製造方法であって、
電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有する分散液を、該分散媒とは非相溶の液体と混合することによって、前記分散液からなるゲル状の粒子を作製するゲル状粒子作製工程と、
前記ゲル状の粒子を第一の基材上に付与し画像記録層を形成し、形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する画像記録層及び第二の基材形成工程とを含むことを特徴とする書換え可能な記録媒体の製造方法である。
<12> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体と、
前記書換え可能な記録媒体を加熱する加熱手段、並びに、前記書換え可能な記録媒体に電界を印加する電界印加手段及び磁界を印加する磁界印加手段の少なくともいずれかを有する画像記録装置とを有することを特徴とする画像記録セットである。
<13> 画像記録装置が、更に、書換え可能な記録媒体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して前記書換え可能な記録媒体に記録された画像を消去する画像消去手段を有する前記<12>に記載の画像記録セットである。
<14> 加熱手段及び電界印加手段が、放電体と加熱部材とを備えたイオン照射ヘッドである前記<12>から<13>のいずれかに記載の画像記録セットである。
<15> 電界印加手段が、静電潜像を形成できる像担持体を有し、磁界印加手段が、磁気潜像を形成できる像担持体を有する前記<12>から<13>のいずれかに記載の画像記録セットである。
<16> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の画像記録層全体を加熱する加熱工程と、加熱された前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の少なくとも一部に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して画像を形成する画像形成工程とを含むことを特徴とする画像記録方法である。
<17> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の画像記録層全体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加する印加工程と、前記電界及び前記磁界の少なくともいずれかが印加された前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の少なくとも一部を加熱して画像を形成する画像形成工程とを含むことを特徴とする画像記録方法である。
<18> 更に、書換え可能な記録媒体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して前記書換え可能な記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程を含む前記<16>から<17>のいずれかに記載の画像記録方法である。
<19> 加熱工程及び電界の印加が、放電体及び加熱部材を備えたイオン照射ヘッドにより行われる前記<16>から<18>のいずれかに記載の画像記録方法である。
<20> 電界の印加が、静電潜像を形成できる像担持体を用いて行われ、磁界の印加が、磁気潜像を形成できる像担持体を用いて行われる前記<16>から<18>のいずれかに記載の画像記録方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、画像保持性、画像品質、低コスト、安全性、フレキシブル性を備えた外部駆動型の書換え可能な記録媒体、該書換え可能な記録媒体の製造方法、前記書換え可能な記録媒体を有する画像記録セット、前記書換え可能な記録媒体を用いた画像記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の書換え可能な記録媒体の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の書換え可能な記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の書換え可能な記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の書換え可能な記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の書換え可能な記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の書換え可能な記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の書換え可能な記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図9A】図9Aは、本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法の一例を説明するための概略図である。
【図9B】図9Bは、本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法の一例を説明するための概略図である。
【図9C】図9Cは、本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法の一例を説明するための概略図である。
【図10】図10は、本発明の画像記録セットにおける画像記録装置の加熱手段の一例を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の画像記録セットにおける画像記録装置の加熱手段の他の一例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の画像記録セットにおける画像記録装置の電界印加手段の一例を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明の画像記録セットにおける画像記録装置の電界印加手段の他の一例を示す概略図である。
【図14】図14は、本発明の画像記録セットにおける画像記録装置の一例を示す概略図である。
【図15】図15は、本発明の画像記録セットにおける画像記録装置の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(書換え可能な記録媒体)
本発明の書換え可能な記録媒体は、基材と、前記基材に内包された画像記録層とを有し、好ましくはスペーサーを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記書換え可能な記録媒体は、駆動素子を内在し単体で画像表示が可能な内部駆動型のペーパーライクディスプレイ(PLD)とは異なり、外部の画像記録装置により画像の記録及び消去を繰り返し行うことができる外部駆動型の記録媒体であって、前記リライタブルペーパーと同義である。即ち、前記書換え可能な記録媒体は、前記書換え可能な記録媒体に内在しない外部の画像記録装置により画像の記録及び消去が行われる。そのため、前記書換え可能な記録媒体は、画像の記録の際に用いられる電極(例えば、透明電極)を必ずしも必要としない。
【0023】
前記画像記録層は、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有している。
前記電気泳動粒子は、外部より電界を印加した場合に、その電界によって分散媒中を泳動する粒子である。
前記磁気泳動粒子は、外部より磁界を印加した場合に、その磁界によって分散媒中を泳動する粒子である。
前記分散媒は、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかを分散させる分散媒である。
前記熱可逆性ゲル化剤は、ある温度を超えると前記分散媒をゾル化(液化)させ、ある温度以下では前記分散媒をゲル化(固化)させ、かつこれらのゾル/ゲル転移を温度によって可逆的に生じさせることが可能な材料である。
なお、前記分散媒は、前記基材と接している。
【0024】
前記書換え可能な記録媒体は、前記画像記録層中に、室温などの常温での画像の閲覧時及び保存時には前記分散媒をゲル状にし、かつ常温での画像の閲覧時及び保存時よりも高い温度での画像の記録(書込み)時には前記分散媒を液状にする前記熱可逆性ゲル化剤を含有する。これによって、画像の閲覧時及び保存時には前記分散媒をゲル状にすることができるため、画像の閲覧時及び保存時の、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の前記画像記録層中での移動が抑制され、長期間に及ぶ保存経時の画質変化を抑制でき、また外部から静電気や圧力などの影響を受けた場合でも、高い画像保持性を得ることができる。また、記録(書込み)時には加熱することによって前記分散媒が液状になるため、画像記録装置による記録の際に、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の前記画像記録層中での移動が自由にできるようになり、繰り返し画像の記録が可能となる。
なお、ディスプレイデバイスとして早い書込み速度が求められるPLDにおいては、熱可逆性ゲル化剤を用いた場合の表示速度は、十分なものではなかったが、紙のような用途が求められる書換え可能な記録媒体においては、熱可逆性ゲル化剤を用いた場合の記録(書込み)速度でも十分に適用が可能である。
【0025】
前記熱可逆性ゲル化剤を含有する画像記録層を、従来技術のように、駆動素子を内在し単体で画像表示が可能な内部駆動型のPLDとして用いる場合には、ディスプレイ内に電界を印加する表示駆動装置の他、加熱装置又は冷却装置を収めなければならないため、ディスプレイが大型化、重量化する上、書換えする度に温度を上げ下げする必要があり、表示速度が低下する問題や表示コントラスト比が充分に得られなくなる問題がある。しかし、本発明の書換え可能な記録媒体は、PLDではなく、内在しない外部の画像記録装置により画像の記録を行う記録媒体であるため、記録媒体自身に加熱及び冷却させる装置を持たせる必要がなく、それら装置を記録媒体とは別の画像記録装置内に設けることが可能であり、PLDに起こる表示速度が低下する問題や表示コントラスト比が充分に得られなくなる問題は解消される。
そのため、前記書換え可能な記録媒体は、PLDではデメリットであった熱可逆性ゲル化剤を用いることによる表示速度の低下が問題にならないだけでなく、熱可逆性ゲル化剤を用いることによって、半永久的な画像保持性の実現という大きなメリットを得ることができる。
【0026】
本発明の書換え可能な記録媒体は、前記画像記録層を有し、前記画像記録層は、前記分散媒を有している。そして、前記分散媒は、前記基材と接している。即ち、マイクロカプセル方式のように前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかをマイクロカプセルで覆っていないため、反射率を高め視認性の高い画像を得ることが可能となる。また白色のみならず黒色の濃度も高められ、高コントラストの画像を得ることが可能となる。即ち、前記書換え可能な記録媒体は、画像品質に優れる。
【0027】
本発明の書換え可能な記録媒体は、前記分散媒と、前記基材とが接触しており、従来のように分散媒をマイクロカプセルに閉じこめる構造が不要である。そのため、構造が単純である上に製造が容易である。これは、前記画像記録層に前記熱可逆性ゲル化剤が含有されていることにより、例えば、室温より高温で前記分散媒が液状で、前記画像記録層を形成する材料(具体的には、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、前記分散媒と、前記熱可逆性ゲル化剤など)を調合し、塗布などにより前記基材上に付与した後、室温に下げてゲル状にすることで、容易に前記画像記録層を形成できるためである。また、前記画像記録層を形成する材料を、前記基材上に付与しゲル状にすれば、前記基材が基板の役割を果たすため、別途基板を設ける必要もない。そのため、ロールトゥロールなどの簡便な方法での製造が可能である。更に、このような構成が可能となったことから、電極は画像記録装置に設けることが可能となり、前記書換え可能な記録媒体には、電極が不要である。
このように、本発明の書換え可能な記録媒体は、従来技術のように電気泳動粒子などをマイクロカプセルで覆ったり、基板に電極として導電層を設けることなどが不要な単純な構造であり、かつ、ロールトゥロールなどの簡便な方法の適用が可能で、更に少ない工程で製造できるため、大幅なコスト低減が可能となる。
【0028】
本発明の書換え可能な記録媒体は、画像の閲覧時及び保存時、即ち使用する常温環境では、前記分散媒がゲル状である。そのため、仮に前記書換え可能な記録媒体が破損しても前記分散媒が飛び出る心配はなく安全である。また、マイクロカプセルが不要であるため、マイクロカプセルに含まれる可能性のあるホルムアルデヒドの問題も解消される。
【0029】
本発明の書換え可能な記録媒体は、画像の閲覧時及び保存時、即ち使用する常温環境では、前記分散媒はゲル状である。そのため、前記画像記録層には、フレキシブル性があるため、フレキシブル性のある記録媒体となりうる。また、前記書換え可能な記録媒体は、電極を有しないため、薄膜、軽量化が可能となり、この点でもフレキシブル性や堅牢性に優れる。
【0030】
<基材>
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成樹脂、天然樹脂等のプラスチック、紙、合成紙、木板、金属板などが挙げられるが、フレキシブル性、透明性の点から、合成樹脂が好ましい。
前記合成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリプロピレン、ポリブタジエン、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレンコポリマー)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、メタクリル酸−スチレン共重合体、ポリブチレン樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂など)、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂;ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリフッ化エチレンプロピレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂、シリコーンゴム等のシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記基材は、前記書換え可能な記録媒体の耐傷性や耐摩耗性などを高める目的で、光、熱、電子線などにより硬化する樹脂であってもよい。そのような樹脂としては、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0032】
これらの中でも、高い透明性とフレキシブル性を有し、実用上耐熱性や製膜性も良好であることから、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
【0033】
前記基材は、前記画像記録層を内包するが、その態様としては、例えば、前記基材として、第一の基材と第二の基材とを用い、前記第一の基材と前記第二の基材とに前記画像記録層を挟む態様などが挙げられる。この場合、前記第一の基材の材質と前記第二の基材の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
前記第一の基材及び前記第二の基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状などが挙げられる。
【0035】
前記基材は、視認する側が少なくとも透明であることが好ましい。一方、視認する側の反対面は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。視認する側の反対面を不透明(例えば、白色、黒色、モノカラー)とすることにより、高コントラスト比が得られ、視認性を高めることができる。この場合は、例えば、視認する側に配置される前記第一の基材に透明な基材を用い、それとは反対側の面に配置される前記第二の基材に半透明な基材、又は不透明な基材を用いることによって、前記書換え可能な記録媒体を作製することができる。また、前記不透明な基材として紙や合成紙を用いることも可能であり、有効である。
【0036】
前記基材を不透明にする方法としては、基材中に酸化チタンやカーボンブラック等のフィラーを含有させる方法が有効である。具体的には、例えば、基材中に酸化チタンを含有させることによって白色の基材を得ることができる。また、基材中にカーボンブラックを含有させることによって黒色の基材を得ることができる。この他にも従来公知の様々な顔料や微粒子を基材中に含有させることも可能である。また、基材を白色にする別の方法としては、基材中に多数の扁平ボイドを形成し、扁平ボイドの界面で生じる多重反射によって基材を白色にする方法も有効である。
【0037】
前記基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜1,000μmが好ましく、20μm〜500μmがより好ましく、30μm〜200μmが特に好ましい。また、前記基材を、前記第一の基材と前記第二の基材を用いて構成する場合は、前記第一の基材及び前記第二の基材の各々の平均厚みとしては、5μm〜500μmが好ましく、10μm〜250μmがより好ましく、15μm〜100μmが特に好ましい。この場合、前記第一の基材の平均厚み及び前記第二の基材の平均厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前記基材の平均厚みが10μm未満であると、シワや折れが発生し、その部分に画像欠陥が発生する場合がある。前記基材の平均厚みが、1,000μmを超えると、フレキシブル性、携帯性(薄膜、軽量)が不十分となる場合や、記録(書込み)時に高い印加電圧、印加磁界が必要となる場合がある。
【0038】
<画像記録層>
前記画像記録層は、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記画像記録層は、前記基材に内包されている。
【0039】
前記画像記録層の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
また、前記画像記録層の断面形状としては、略円及び楕円の少なくともいずれかを複数配列させた集合体形状であることが、スペーサーを必要とせずに、外力に対する必要以上の変形を防止し、また、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の偏りを防止し、画像品質や安定性を保持することができる点で好ましい。この場合、前記画像記録層の断面形状としては、略円や楕円の集合体形状、即ち、画像記録層が略球状や略楕球状を複数配列させた集合体形状であることが好ましいが、これに限られず、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、このような形状の場合、前記基材の前記画像記録層と接する面は、前記画像記録層の形状に沿う形状が好ましい。
なお、断面としては、例えば、画像記録層を厚み方向に切断したときの断面が挙げられる。
【0040】
−電気泳動粒子及び磁気泳動粒子−
前記電気泳動粒子としては、電界を印加することにより、液状の前記分散媒中を電気泳動することができる粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料などが挙げられ、その種類は、前記書換え可能な記録媒体に記録する画像の色によって使い分けられる。
白色の電気泳動粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、二酸化珪素、チタン酸バリウム、硫酸バリウム等の金属酸化物などが挙げられる。
黒色の電気泳動粒子としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、黒色酸化鉄などが挙げられる。
赤色の電気泳動粒子としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、レーキレッドC、ブリリアントカルミン6B、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ、リソールレッド、パーマネントレッド4R、ベンジジンレッドなどが挙げられる。
黄色の電気泳動粒子としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジンなどが挙げられる。
青色の電気泳動粒子としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、コバルトブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、スカイブルー、インダンスレンブルー、セルリアンブルーなどが挙げられる。
緑色の電気泳動粒子としては、例えば、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンレーキ、ナフトールグリーン、エメラルドグリーン、ビリディアン、コバルトグリーン、酸化クロムなどが挙げられる。
紫色の電気泳動粒子としては、例えば、ファーストバイオレット、メチルバイオレットレーキ、インジゴ、ミネラルバイオレット、コバルト紫などが挙げられる。
茶色の電気泳動粒子としては、例えば、トルイジンマルーン、インダンスレンレッドバイオレットRH、バーントアンバー、酸化鉄などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、白色の電気泳動粒子に、例えば、上記の顔料や染料のような各種着色剤を用いて着色させて用いることも可能である。
【0041】
前記磁気泳動粒子としては、磁界を印加することにより、液状の前記分散媒中を磁気泳動することができる粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、該強磁性金属を含む合金等の強磁性材料;フェライト磁石、合金磁石等の永久磁石などが挙げられる。
具体的には、黒色酸化鉄、多孔性酸化鉄、黒色マグネタイト、γ−ヘマタイト、二酸化マンガン含有酸化鉄、二酸化クロム、フェライト;鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム及びこれらの合金などが挙げられる。
前記磁気泳動粒子は、表面に各種着色剤を用いて着色させて用いることも可能である。
【0042】
前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の前記分散媒における分散性を高め、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の凝集を防止し、安定して前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子を泳動させるために、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の表面に表面処理を施すことが好ましい。
前記表面処理には、主としてカップリング剤が用いられる。前記カップリング剤としては、例えば、クロム系カップリング剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤、フッ素系カップリング剤などが挙げられる。
また、前記表面処理として、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の表面にグラフト鎖を形成する方法、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の表面にポリマーをコーティングする方法も有効である。
【0043】
前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜20μmが好ましく、0.03μm〜5μmがより好ましく、0.1μm〜1μmが特に好ましい。前記平均粒径が、20μmを超えると、粒子の応答性が低下したり解像度が低下する場合があり、0.01μm未満であると、粒子同士が凝集したり画像濃度が低下したりする場合がある。
前記平均粒径は、粒子群を代表する平均的な一次粒子の粒子径を意味し、個数平均径として表される。具体的には、直接粒子を取り出すか、又は前記書換え可能な記録媒体を切断しその断面を電子顕微鏡等によって直接観察し、粒子の一次粒子径を求め、それらの平均(例えば、100個の平均)から求めることができる。
【0044】
画像品質や記録速度の点からは、電気泳動粒子を用いることが好ましい。
【0045】
前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子が1種類の場合には、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子とは異なる色の染料などを分散媒に溶解させ分散媒を着色させることによって、画像情報を記録することが可能になる。一方、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子が2種類の場合には、色と極性の異なる粒子を用いることによって、画像情報の記録を行うことが可能であり、この場合、通常、前記分散媒は、透明のものが使用される。
【0046】
前記書換え可能な記録媒体は、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子を併用することで、電界のみの印加、磁界のみの印加、電界と磁界の印加の3種類の印加方法を使い分けることにより、マルチカラー化が可能な点で有利である。
【0047】
前記画像記録層における前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0048】
−分散媒−
前記分散媒としては、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかを分散させることができる分散媒であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤、シリコーンオイル、水などが挙げられる。これらの中でも、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の泳動性、応答性、画像保持性の点から、有機溶剤、シリコーンオイルが好ましい。
【0049】
前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン、テトラデカン、ドデシルベンゼン、シクロヘキサン、ケロシン、アイソパー(ISOPAR(登録商標))、ナフテン、流動パラフィン、石油類等の鎖状又は環状の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ソフベントナフサ、フェニルキシリルエタン、ジイソプロピルナフタレン等の芳香族炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、臭化エチル、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、トリクロロトリフルオロエチレン、テトラクロロジフルオロエチレン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
これらの中でも非極性溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素がより好ましい。
【0050】
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル等のジアルキルシリコーンオイル;環状ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状アルキルフェニルシリコーンオイル、アルキルアラルキルシリコーンオイル等の各種変性シリコーンオイルなどが好適に用いられる。
前記アルキルフェニルシリコーンオイルとしては、例えば、メチルフェニルシリコーンオイル、エチルフェニルシリコーンオイル、プロピルフェニルシリコーンオイル、ブチルフェニルシリコーンオイル、ヘキシルフェニルシリコーンオイル、オクチルフェニルシリコーンオイル、ラウリルフェニルシリコーンオイル、ステアリルフェニルシリコーンオイルなどが挙げられる。
前記環状アルキルフェニルシリコーンオイルとしては、例えば、環状ポリメチルフェニルシロキサン、環状ポリエチルフェニルシロキサン、環状ポリブチルフェニルシロキサン、環状ポリヘキシルフェニルシロキサン、環状ポリメチルクロロフェニルシロキサン、環状ポリメチルブロムフェニルシロキサンなどが挙げられる。
前記ポリアルキルアラルキルシリコーンオイルとしては、例えば、ベンジル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0051】
前記シリコーンオイルは市販品を用いてもよい。前記シリコーンオイルの市販品としては、例えば、信越化学工業社製のKF96シリーズ、KF50シリーズ、KF54、KF56;旭化成ワッカーシリコーン社製のAKシリーズ、ASシリーズ、ARシリーズ、APシリーズ、PDMシリーズ;GE東芝シリコーン社製のTSF451シリーズ、TSF456シリーズ、TSF405、TSF4427、TSF431、TSF433、TSF437、TSF456シリーズ;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSH200シリーズ、SH510、SH550、SH556、SH702、SH704、SH705などが挙げられる。
これらの分散媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記分散媒は、前記電気泳動粒子及び前記磁気泳動粒子と同じ色又は異なる色の染料などを前記分散媒に溶解させて着色されていてもよい。
前記染料としては、油溶性染料が好ましい。前記油溶性染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピリットブラック(SB、SSBB、AB)、ニグロシンベース(SA、SAP、SAPL、EE、EEL、EX、EXBP、EB)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)、オイルオレンジ(201、PS、PR)、ファーストオレンジ、オイルレッド(5B、RR、OG)、オイルスカーレット、オイルピンク312、オイルバイオレット#730、マクロレックスブルーRR、スミプラストグリーンG、オイルブラウン(GR、416)、スーダンブラックX60、オイルグリーン(502、BG)、オイルブルー(613、2N、BOS)、オイルブラック(HBB、860、BS)、バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、バリファーストオレンジ(3209、3210)、バリファーストレッド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)、バリファーストピンク2310N、バリファーストブラウン(2402、3405)、バリファーストブルー(3405、1501、1603、1605、1607、2606、2610)、バリファーストバイオレット(1701、1702)、ヴァリファーストブラック(1802、1807、3804、3810、3820、3830)などが挙げられる。
【0053】
前記画像記録層における前記分散媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0054】
−熱可逆性ゲル化剤−
前記熱可逆性ゲル化剤としては、画像の閲覧時及び保存時には前記分散媒をゲル状にしかつ前記画像の閲覧時及び保存時よりも高い温度での画像の記録時には前記分散媒を液状にすることができる熱可逆性ゲル化剤であれば、特に制限はなく、前記分散剤の種類、量などに応じて適宜選択することができる。更に、前記熱可逆性ゲル化剤としては、温度応答性が高い方が好ましく、ある温度を超えると前記分散媒を一気にゾル化し、ある温度以下になると前記分散媒を一気にゲル化するものがより適している。
【0055】
ここで、画像の閲覧時とは、前記書換え可能な記録媒体に記録された画像情報を人が視認する時を意味し、画像の保存時とは、画像情報を前記書換え可能な記録媒体に保存しておく状態を意味する。前記画像の閲覧時及び保存時とは、言い換えれば、常温の状況を意味し、例えば、10℃以上40℃未満の状態を意味する。
【0056】
本発明において、ゲル状とは、分散媒が、流動性を失った状態であって、これにより分散媒に分散されている電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の動きが抑制され固定化されている状態を意味する。本発明において、記録媒体にフレキシブル性を持たせるために、ゲル状は、弾力性のある状態であることが好ましい。一方、液状とは、分散媒が、流動性を有する状態であって、これにより分散媒に分散されている電気泳動粒子及び磁気泳動粒子が自由に動くことができる状態を意味する。本発明において、液状は、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の動きが抑制されないように充分に低い粘性を有することが好ましい。
【0057】
前記熱可逆性ゲル化剤は、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、静電的相互作用、π−π相互作用等により3次元網目構造を形成する。そして、前記3次元網目構造に前記分散媒が取り込まれることによって、前記分散媒をゲル状にする。一方、前記3次元網目構造は、加熱によって容易に切断されるため、加熱によって前記分散媒は液状に戻ると考えられる。前記3次元網目構造は、例えば、水素結合によって前記熱可逆性ゲル化剤分子が自己会合し、分子間相互作用によって繊維状の会合体が形成され、更にファンデルワールス力、疎水性又は静電的な相互作用によってそれらが成長し、繊維状の会合体同士が絡み合うことにより形成される。それに前記分散媒分子が取り込まれることによって前記分散媒のゲル化が進行する。
【0058】
前記熱可逆性ゲル化剤としては、例えば、オルガノゲル、ハイドロゲルなどが挙げられる。
【0059】
前記オルガノゲルは、前記分散媒である有機溶剤やシリコーンオイルをゲル化させることができる熱可逆性ゲル化剤である。そのため前記分散媒として、有機溶剤やシリコーンオイルを用いる場合には、前記熱可逆性ゲル化剤としては、前記オルガノゲルが適している。
前記オルガノゲルとしては、例えば、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド、スピンラベル化ステロイド、コレステロール誘導体、ジアルキル燐酸アルミニウム、フェノール系環状オリゴマー、2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセン、環状デプシペプチド、部分フッ素化アルカン、シスチン誘導体、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、トリフェニルアミン誘導体、ブチロラクトン誘導体、4級アンモニウム塩、フッ素化アルキル化オリゴマー、尿素誘導体、ビタミンH誘導体、グルコンアミド誘導体、コール酸誘導体、L−アラニン誘導体、L−イソロイシン誘導体、L−バリン誘導体、環状ジペプチド誘導体、オリゴ(α−アミノ酸)、シクロヘキサンジアミン誘導体、1,3,5−シクロヘキサントリカルボンサン誘導体、双頭型アミノ酸誘導体、ハルビツール酸誘導体/トリアミノピリジン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリマー型又はオリゴマー型の熱可逆性ゲル化剤も知られており有用である。
低分子の熱可逆性ゲル化剤は、構造によっては長期間放置により結晶に転移してしまう場合があり、安定性に課題を有するものがある。一方、ポリマー型又はオリゴマー型の熱可逆性ゲル化剤は、分子量分布や屈曲鎖の運動により結晶化しないため有効である。ポリマー型又はオリゴマー型の熱可逆性ゲル化剤としては、例えば、結晶化を妨げるポリマー成分にゲル化を引き起こすゲル化成分を導入することなどによって得ることができる。
【0060】
前記書換え可能な記録媒体においては、前記画像記録層に、前記熱可逆性ゲル化剤を用いることから、前記分散媒のゾルゲル転移の温度応答性が早く(加熱されることによって素早く分散媒を液状にし、常温に戻ることによって瞬時に分散媒をゲル状にする)、それを繰り返しても結晶化してゲルが崩壊することなく、安定に機能されることが重要である。そのため、前記熱可逆性ゲル化剤の中でも特に以下に示すゲル化剤が有効に用いられる。
【0061】
前記熱可逆性ゲル化剤は、まず水素結合によって素早く会合体を形成することが重要であることから、前記熱可逆性ゲル化剤の構造中にはアミド結合(−NHCO−)(好ましくは、複数のアミド結合)を有することが好ましい。前記熱可逆性ゲル化剤が前記分散媒をゲル化する原動力は、アミド結合のN−HとC=Oとの間の水素結合の形成にある。温度応答性の高いゲルの形成は、水素結合の反応性によって左右されることから、前記熱可逆性ゲル化剤は、その分子中にアミド結合を有することが好ましい。
【0062】
また、前記熱可逆性ゲル化剤は、その分子中にウレタン結合(−NHCOO−)を有することがより好ましい。ウレタン結合を持つ前記熱可逆性ゲル化剤は、アミド結合のみを持つ前記熱可逆性ゲル化剤に比べて前記分散媒のゾルゲル転移の温度応答性をさらに高める効果を得ることができる。また、前記分散媒のゾル化転移温度とゲル化転移温度との差が縮小され、ヒステリシスが小さくなる効果を得ることができ、本発明においては非常に有用である。
【0063】
前記熱可逆性ゲル化剤中の前記アミド結合やウレタン結合が一つであっても、熱可逆性ゲル化剤同士は水素結合を形成するが、素早くゲルを形成するためには、熱可逆性ゲル化剤の構造中に複数のアミド結合やウレタン結合を有することが好ましく、多い方がより好ましい。これにより前記分散媒のゲル化能が高まり、前記分散媒のゾルゲル転移の温度応答性が格段に早くなることから、本発明において有効である。
【0064】
また、前記熱可逆性ゲル化剤は、その分子中にシロキサン結合を有することが更に好ましい。前記シロキサン結合とは、珪素(Si)と酸素(O)が交互に結合した構造である。シロキサン結合を有する前記熱可逆性ゲル化剤の構造の一例を以下に示す。
【化1】

ただし、上記一般式中、R1〜R7は、置換基を表す。
【0065】
前記シロキサン結合を有する前記熱可逆性ゲル化剤は、結晶化が起こりにくく、ゲルの安定性を高めることができる。またゲルが柔らかくなる傾向が見られ、前記書換え可能な記録媒体のフレキシブル性を高める上で有効である。
【0066】
前記熱可逆性ゲル化剤における前記シロキサン結合が長くなるほど、ゲルがより柔らかくなり、また、前記分散媒のゾルゲル転移温度が低下する傾向が見られる。ただし、前記分散媒のゲルが過度に柔らかくなると、前記電気泳動粒子又は前記磁気泳動粒子を固定化する機能の低下や、安全性が損なわれる場合がある。前記書換え可能な記録媒体に設定される前記分散媒のゾルゲル転移温度やフレキシブル性に対し、シロキサン結合の長さを適切に制御することが好ましい。
【0067】
前記熱可逆性ゲル化剤における前記シロキサン結合の好ましい長さは、以下のように定義される。即ち、前記熱可逆性ゲル化剤の分子中におけるシロキサン結合の珪素数Aと、分子中におけるアミド結合(−NHCO−)及びウレタン結合(−NHCOO−)の総数Bとが、下記式(I)を満たすことがより好ましい。
0.5≦A/B<3.0 ・・・式(I)
A/Bがこの範囲より小さくなる(0.5未満である)と、前記分散媒のゾルゲル転移温度が前記書換え可能な記録媒体に適したゾルゲル転移温度よりも高すぎたり、ゲルが不安定であったり、ゲルが固すぎてフレキシブル性が低下する場合がある。一方、前記A/Bが、この範囲より大きくなる(3.0以上である)と、ゲル化転移温度が前記書換え可能な記録媒体に適したゲル化転移温度よりも低すぎたり、ゲルが柔らかすぎたりして常温でもゲル化せずに画像保持性が低下する場合がある。
【0068】
前記熱可逆性ゲル化剤は、分子中に炭素数が8以上のアルキル基及び炭素数が8以上のアルキレン基の少なくともいずれかを有することがより好ましい。前記熱可逆性ゲル化剤のアミド結合又はウレタン結合の水素結合によって形成された会合体を、繊維状に成長させ、更に三次元網目構造を形成させるためには、会合体同士が相互作用を引き起こしやすい構造が必要である。これらの長鎖アルキル基及び長鎖アルキレン基は、分子間相互作用を促進させ、繊維状の会合体や三次元網目構造の形成に寄与するものと考えられる。
前記アルキル基の炭素数としては8以上20以下が好ましい。前記アルキレン基の炭素数としては8以上12以下が好ましい。
【0069】
本発明の書換え可能な記録媒体においては、前記熱可逆性ゲル化剤としては、熱可逆性を有するゲル化剤であればどのような材料でも適用できるが、高絶縁性の分散媒に適用でき、前記分散媒のゾルゲル転移温度が記録媒体の使用環境に適しており、前記分散媒のゾルゲル転移の温度応答性が早く(加熱されることによって素早く分散媒を液状にし、常温に戻ることによって瞬時に分散媒をゲル状にする)、前記分散媒がゾルゲル転移を繰り返しても前記熱可逆性ゲル化剤が結晶化してゲルが崩壊することなく、安定に機能するゲル化剤を選択することが重要である。
【0070】
本発明の書換え可能な記録媒体に用いられる前記熱可逆性ゲル化剤の中でも、特に好ましい熱可逆性ゲル化剤の一例を以下に示す。これらは一例であって、本発明の前記熱可逆性ゲル化剤がこれらに限定されるものではない。
【化2】

ただし、前記一般式(1)中、R1及びR2は、炭素数が8以上のアルキル基を表す。R1及びR2は同じでも異なっていてもよい。前記アルキル基は、炭素数8〜20が好ましい。
【化3】

ただし、前記一般式(2)中、R1は、炭素数が8以上のアルキル基を表す。前記アルキル基は、炭素数8〜20が好ましい。
【化4】

ただし、前記一般式(3)中、R1は、炭素数が8以上のアルキル基を表す。前記アルキル基は、炭素数8〜20が好ましい。
【化5】

ただし、前記一般式(4)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数が8以上のアルキル基を表す。前記アルキル基は、炭素数8〜20が好ましい。
【化6】

ただし、前記一般式(5)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数が8以上のアルキル基を表す。前記アルキル基は、炭素数8〜20が好ましい。
【化7】

ただし、前記一般式(6)中、R1は、炭素数が8以上20以下のアルキル基を表す。R3〜R9は、水素原子、炭素数が1以上12以下のアルキル基、炭素数が1以上12以下のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表す。R3〜R9は、同じでもよいし、異なっていてもよい。mは、1〜20の整数を表す。
【化8】

ただし、前記一般式(7)中、R1は、炭素数が8以上20以下のアルキル基を表す。R3〜R9は、水素原子、炭素数が1以上12以下のアルキル基、炭素数が1以上12以下のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表す。R3〜R9は、同じでもよいし、異なっていてもよい。mは、1〜20の整数を表す。
【化9】

ただし、前記一般式(8)中、R1は、炭素数が8以上20以下のアルキル基を表す。R3〜R11は、水素原子、炭素数が1以上12以下のアルキル基、炭素数が1以上12以下のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表す。R3〜R11は、同じでもよいし、異なっていてもよい。mは、1〜20の整数を表し、nは、1〜80の整数を表す。
【化10】

ただし、前記一般式(9)中、R1及びR2は、炭素数が8以上20以下のアルキル基を表す。R3〜R8は、水素原子、炭素数が1以上12以下のアルキル基、炭素数が1以上12以下のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表す。R3〜R8は、同じでもよいし、異なっていてもよい。nは、0〜80の整数を表し、pは、1〜20の整数を表す。
【化11】

ただし、前記一般式(10)中、R1及びR2は、炭素数が8以上20以下のアルキル基を表す。R3〜R8は、水素原子、炭素数が1以上12以下のアルキル基、炭素数が1以上12以下のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表す。R3〜R8は、同じでもよいし、異なっていてもよい。nは、0〜80の整数を表し、pは1〜20の整数を表す。
【0071】
前記熱可逆性ゲル化剤は、例えば、特開2004−182697号公報、特開2004−262856号公報、特開2005−232108号公報などの記載を参照して合成することができる。
【0072】
前記画像記録層における前記熱可逆性ゲル化剤の含有量は、前記分散媒が画像の閲覧時及び保存時(例えば、常温)にゲル状になり、画像の記録(書込み)時(例えば、画像の閲覧時及び保存時よりも高い温度)に液状になるように決めればよいが、前記分散媒に対して、0.05質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が特に好ましい。前記熱可逆性ゲル化剤の前記含有量が、0.05質量%未満であると、前記分散媒のゲル化が不十分となり画像保持性が低下することがあり、50質量%を超えると、加熱しても前記分散媒の粘性が充分に低下しなかったり、不溶物が残存したりして、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の移動を妨げ、画質劣化を引き起こすことがある。
【0073】
前記画像記録層における前記分散媒のゲル化及びゾル化(液化)転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃がより好ましい。
前記ゲル化及びゾル化転移温度は、前記分散媒の種類、量と、前記熱可逆性ゲル化剤の種類、量を適宜選択することによって、調整することができる。前記ゲル化及びゾル化転移温度が、40℃未満であると、通常の環境では問題ないが、直射日光に曝される屋外や炎天下の車内等で使用した場合に、画像保持性が低下する恐れがある。特に、書換え可能な記録媒体は、PLDとは異なり、屋外を含め様々な環境で用いられるケースが想定されることから、そのような環境でも高い画像保持性が求められる。そのような環境でも安定に使用するためには前記分散媒のゲル化及びゾル化転移温度は、50℃以上であることがより好ましい。一方、前記ゲル化及びゾル化転移温度が120℃を超えると、その温度に到達するまでにかかる時間が増加し、記録速度や画質の低下を引き起こす場合がある。
ここで、前記ゲル化及びゾル化転移温度とは、前記分散媒が、前記熱可逆性ゲル化剤の作用によりゾル状(液状)からゲル状へ又はゲル状からゾル状(液状)へ転移する温度を意味する。
【0074】
−その他の成分−
前記画像記録層における前記その他の成分としては、例えば、分散剤、界面活性剤などが挙げられる。ただし、本発明においては、前記画像記録層に含有される成分がこれらに限定されるものではなく、これ以外の成分についても含有することができる。
【0075】
−−分散剤−−
前記分散剤としては、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の前記分散媒における分散性を高め、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の凝集を防止し、安定して前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子を泳動させることができる分散剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記分散剤としては、前記分散媒に対して溶解性があり、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の表面に吸着して静電的反発又は立体障害により前記粒子同士の凝集を抑制する機能を持つものが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非極性溶媒に可溶な分散剤が好ましく、高分子系の分散剤がより好ましい。これは、特に非極性有機溶媒系での粒子の分散安定性は、高分子化合物の持つ立体効果によるところが大きいからである。
前記高分子系の分散剤としては、塩基性基を有する高分子系の分散剤、酸性基を有する高分子系の分散剤が好適に挙げられるが、前者がより好ましい。それは、電気泳動粒子として、例えば、カーボンブラックの様な顔料を用いる場合、塩基性の高分子系の分散剤は、顔料の表面に吸着して正の電荷制御剤として働き、顔料表面を正帯電化する効果があると考えられるためである。
前記塩基性を有する高分子系の分散剤としては、例えば、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジ−tert−ブチルアミノエチルアクリレート、N−フェニルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジフェニルアミノエチルメタクリレート、アミノスチレン、ジメチルアミノスチレン、N−メチルアミノエチルスチレン、ジメチルアミノエトキシスチレン、ジフェニルアミノエチルスチレン、N−フェニルアミノエチルスチレン、2−N−ピペリジルエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニル−6−メチルピリジン等の塩基性基を有するモノマーの少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステルの少なくとも1種とから得られる重合体などが挙げられる。
前記塩基性を有する高分子系の分散剤としては、市販品を使用することも可能である。前記市販品としては、日本ルーブリゾール社製のSolspers17000(シングルポリエステル・アンカー部分:塩基)、Solspers16000(シングルポリエステル・アンカー部分:塩基)、Solspers41000(シングルポリエステル・アンカー部分:酸)、Solspers3000(シングルポリエステル・アンカー部分:酸)が好ましく使用できる。また、別の例として、Disperbyk−2050、2150、160、161、162、163、164、166、167、182(いずれも、ビックケミー・ジャパン社製)も好ましく使用できる。
【0076】
−−界面活性剤−−
前記界面活性剤は、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の分散安定性を向上させて、充分な泳動速度が得られ、かつ画像保持性を高める目的で添加される。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系以外の界面活性剤、例えば、イオン性界面活性剤を使用すると、イオン性の界面活性剤が前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の表面に吸着して前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の挙動が不安定になる場合がある。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシドなどが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタントリオレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンカプリレートが好ましい。
【0077】
前記画像記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜200μmが好ましく、10μm〜100μmがより好ましく、20μm〜60μmが特に好ましい。前記画像記録層の厚みが、5μm未満であると、コントラスト比が低下する場合があり、200μmを超えると、記録速度や解像度が低下する場合がある。なお、前記画像記録層の厚みとは、前記画像記録層の最も厚い部分のことを指す。例えば図6や図7に記載のように前記画像記録層の断面形状が略円、又は楕円のような場合には、厚み方向に一番長い部分の長さが、前記画像記録層の前記厚みである。
【0078】
<スペーサー>
前記スペーサーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記スペーサーは、前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の片寄りを防ぐ。また、前記画像記録の厚みを一定に保持する。
前記スペーサーは、前記画像記録層内に含有されていることが好ましい。
前記基材として、前記第一の基材と前記第二の基材を用いる場合には、前記スペーサーは、前記第一の基材と前記第二の基材との間に挟まれている。
ゲル状の前記分散媒による弾力性だけでは、曲げや圧力などの外力に対して前記画像記録層の厚みが保持しにくい場合に、前記スペーサーがあることにより、その外力に対する必要以上の変形を防止し、画像品質や安定性を保持することができる。
【0079】
前記スペーサーの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、プラスチック、金属酸化物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。これらの中でもプラスチックが軽量で透明性が高く、加工性に優れる点で好ましい。
前記プラスチックの材質としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
前記金属酸化物の材質としては、例えば、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
【0080】
前記スペーサーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、断面形状で見た場合、図3に示すような長方形、図4に示すような真円又は略円形状などが挙げられる。これらの中でも真円又は略円形状であることが、容易にスペーサーを配置することができ、低コストで前記書換え可能な記録媒体を製造できる点で好ましい。
【0081】
前記スペーサーとしては、例えば、樹脂粒子、金属酸化物粒子、ガラスビーズなどが挙げられる。前記スペーサーが球状の場合、その粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記画像記録層の厚みと同じであることが好ましい。具体的には、5μm〜200μmが好ましく、10μm〜100μmがより好ましく、20μm〜60μmが特に好ましい。この場合、画像記録層の厚みを均一にするためには、これらのスペーサーの粒子径分布がシャープ(狭い)であることが好ましい。これらのスペーサーは、液晶用として使用されているものを有効に利用することができる。
【0082】
前記スペーサーは、内部が空洞であってもよい。内部が空洞なスペーサーとしては、中空微粒子が有効に用いられる。
また、前記スペーサーの内部が空洞の場合には、図5に示すように、その空洞へ前記画像記録層を形成する材料と同じ材料を充填することが好ましい。スペーサーを有すると、通常は、画像が記録されない箇所が増えることにより、画像品質が低下する場合がある。しかし、前記スペーサーの内部に前記画像記録層を形成する材料と同じ材料を充填することにより、画像品質が低下する問題が解消される。これについては、前記画像記録層を形成する材料を封入したマイクロカプセルを、スペーサーとして用いることにより容易に作製することができ有用である。
【0083】
前記書換え可能な記録媒体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15μm〜1,200μmが好ましく、30μm〜600μmがより好ましく、50μm〜260μmが特に好ましい。
【0084】
前記書換え可能な記録媒体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法が好ましい。
【0085】
(書換え可能な記録媒体の製造方法)
<第一の製造方法>
本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法(第一の製造方法)は、画像記録層形成工程と、第二の基材形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0086】
−画像記録層形成工程−
前記画像記録層形成工程としては、画像記録層形成材料を、分散媒が液状で、第一の基材に付与し画像記録層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0087】
−−画像記録層形成材料−−
前記画像記録層形成材料は、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0088】
前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子は、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子と同じである。
前記分散媒は、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記分散媒と同じである。
前記熱可逆性ゲル化剤は、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記熱可逆性ゲル化剤と同じである。
【0089】
−−付与−−
前記付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード塗工、バーコーター塗工、スプレー塗工、ディッピング塗工、ロール塗工、エアーナイフ塗工などが挙げられる。
【0090】
前記第一の基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記基材と同じ材質などが挙げられる。
【0091】
前記画像記録層形成材料の付与は、例えば、前記画像記録層形成材料を、ゾル化(液化)転移温度以上に加熱して分散媒を液状にし、上記方法を用いて、前記第一の基材上に塗布することによって、画像記録層を形成することができる。
前記画像記録層形成工程により前記第一の基材上に形成された前記画像記録層の前記分散媒は、冷却してゲル状にすることも可能であるし、基材をも加熱して液状に維持することも可能である。
【0092】
−第二の基材形成工程−
前記第二の基材形成工程としては、前記第一の基材上に形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0093】
形成される前記第二の基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記基材と同じ材質などが挙げられる。
【0094】
前記第二の基材を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第二の基材を形成する材質を溶解した塗布液を、前記画像記録層上に塗布する方法、前記第二の基材を前記画像記録層に貼付する方法などが挙げられる。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード塗工、バーコーター塗工、スプレー塗工、ディッピング塗工、ロール塗工、エアーナイフ塗工などが挙げられる。
前記貼付方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネーターを用いた貼付方法、1対のローラ間に挟み込み貼付する方法などが挙げられる。
【0095】
−その他の工程−
前記その他の工程としては、前記第一の基材と前記第二の基材とを接合する接合工程などが挙げられる。
前記接合工程としては、前記第一の基材と前記第二の基材とを接合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記接合の箇所は、前記第一の基材と前記第二の基材の周縁部が好ましい。
前記接合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の基材と前記第二の基材を直接接合してもよいし、それらの間に他の部材、例えば、それら基材と同じ材質の部材を挟んで接合してもよい。例えば、前記書換え可能な記録媒体の周縁部に前記第一の基材と前記第二の基材とを両面で接着可能なスペーサーフィルムを設けて接合する方法や、前記第一の基材と前記第二の基材の周縁部を覆うように接合部材を設ける方法が挙げられる。
【0096】
<第二の製造方法>
本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法(第二の製造方法)は、ゲル状粒子作製工程と、画像記録層及び第二の基材形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0097】
−ゲル状粒子作製工程−
前記ゲル状粒子作製工程としては、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有する分散液を、該分散媒とは非相溶の液体と混合することによって、前記分散液からなるゲル状の粒子を作製する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記混合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可逆性ゲル化剤を含有する分散液を該分散媒とは非相溶の液体に移し、必要に応じて更に攪拌する方法などが挙げられる。
【0098】
前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子は、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記電気泳動粒子及び磁気泳動粒子と同じである。
前記分散媒は、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記分散媒と同じである。
前記熱可逆性ゲル化剤は、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記熱可逆性ゲル化剤と同じである。
【0099】
前記分散媒とは非相溶の液体としては、前記分散媒と相溶しない溶媒であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水などが挙げられる。
【0100】
前記ゲル状の粒子の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記分散液中の前記分散媒がゲル状になる温度に調整された前記分散媒とは非相溶の液体を攪拌しつつ、そこへ前記分散液を混合(例えば、滴下又は噴霧)し、攪拌のせん断力などにより前記分散液を粒子形状にしつつ、前記分散媒をゲル状にすることにより前記ゲル状の粒子を作製する方法などが挙げられる。また、前記分散液中の前記分散媒が液化する温度に調整された前記分散媒とは非相溶の液体を攪拌しつつ、そこへ前記分散液を混合(例えば、滴下又は噴霧)し、攪拌のせん断力などにより前記分散液を粒子形状にしつつ、系の温度を前記分散媒がゲル状になる温度へ冷却して前記分散媒をゲル状にすることにより前記ゲル状の粒子を作製する方法も可能である。
【0101】
−画像記録層及び第二の基材形成工程−
前記画像記録層及び第二の基材形成工程としては、前記ゲル状の粒子を第一の基材上に付与し画像記録層を形成し、形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第一の基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記基材と同じ材質などが挙げられる。
【0102】
前記画像記録層形成工程により形成される前記画像記録層の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像記録層の断面形状が、略円及び楕円の少なくともいずれかを複数配列させた集合体形状であることが、形成が容易かつ、スペーサーを必要とせずに、外力に対する必要以上の変形、並びに電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の過度な偏りを防止し、画像品質や安定性を保持することができる点で好ましい。
【0103】
前記付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード塗工、バーコーター塗工、スプレー塗工、ディッピング塗工、ロール塗工、エアーナイフ塗工などが挙げられる。
【0104】
前記画像記録層及び第二の基材形成工程としては、例えば、前記ゲル状の粒子を前記第一の基材上に付与し画像記録層を形成した後に、続いて、形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する工程(第一の工程)、前記ゲル状の粒子を前記第一の基材上に付与し画像記録層を形成するとともに前記第二の基材を形成する工程(第二の工程)などが挙げられる。
【0105】
形成される前記第二の基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記書換え可能な記録媒体における前記基材と同じ材質などが挙げられる。
【0106】
−−第一の工程−−
前記第一の工程としては、例えば、前記ゲル状の粒子を含有する液を前記第一の基材上に塗布し画像記録層を形成した後に、形成された前記画像記録層上に、前記第二の基材を形成する材質を溶解した塗布液を塗布し、第二の基材を形成する工程などが挙げられる。
【0107】
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード塗工、バーコーター塗工、スプレー塗工、ディッピング塗工、ロール塗工、エアーナイフ塗工などが挙げられる。
【0108】
−−第二の工程−−
前記第二の工程としては、例えば、前記ゲル状の粒子と、前記分散媒とは非相溶の液体と、前記第二の基材を形成する材料とを含有し、前記分散媒とは非相溶の液体に前記第二の基材を形成する材料を溶解乃至分散させた液を、前記第一の基材に付与し、前記画像記録層を形成するとともに前記第二の基材を形成する工程などが挙げられる。
この方法においては、前記第二の基材を形成する材料として、前記分散媒とは非相溶の液体に溶解乃至分散する材料を用いる。前記分散媒とは非相溶の液体が水の場合には、前記材料としては、例えば、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、合成樹脂のエマルジョンなどが挙げられる。また、前記材料として、光硬化性樹脂を用いる場合には、光により硬化させて前記第二の基材を形成可能なため、前記第二の基材の形成の際に、必要以上に熱を用いることがなく、前記ゲル状の粒子の形状を保持して前記画像記録層を形成することができる。
【0109】
−その他の工程−
前記その他の工程としては、前記第一の基材と前記第二の基材とを接合する接合工程などが挙げられる。
前記接合工程としては、前記第一の基材と前記第二の基材とを接合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記接合の箇所は、前記第一の基材と前記第二の基材の周縁部が好ましい。
前記接合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の基材と前記第二の基材を直接接合してもよいし、それらの間に他の部材、例えば、それら基材と同じ材質の部材を挟んで接合してもよい。例えば、前記書換え可能な記録媒体の周縁部に前記第一の基材と前記第二の基材とを両面で接着可能なスペーサーフィルムを設けて接合する方法や、前記第一の基材と前記第二の基材の周縁部を覆うように接合部材を設ける方法が挙げられる。
【0110】
本発明の書換え可能な記録媒体の一例、及び本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法の一例を、図を用いて説明する。
図1に示す書換え可能な記録媒体は、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれた(即ち基材に内包された)画像記録層50を有している。画像記録層50は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、及び熱可逆性ゲル化剤を含有した分散媒3を含有している。第一の基材1と第二の基材2は、透明である。
図1に示す書換え可能な記録媒体は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、熱可逆性ゲル化剤、及び分散媒3を含有する画像記録層形成材料を、分散媒3が液状で、第一の基材1上に、所定の平均厚みになるように塗工し、温度を維持したままその上に第二の基材2を貼り付け、第一の基材1及び第二の基材2の端部を接着させることによって製造することができる。
また、図1に示す書換え可能な記録媒体は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、熱可逆性ゲル化剤、及び分散媒3を含有する画像記録層形成材料を、分散媒3が液状で、第一の基材1上に、所定の平均厚みになるように塗工し、室温に冷却して分散媒をゲル状にした後、その上に第二の基材2を形成する材料の溶液を塗工することによって第二の基材2を積層し製造することができる。
【0111】
図2に示す書換え可能な記録媒体は、図1の書換え可能な記録媒体とほとんど同じ構造であるが、視認側の面と反対面となる第一の基材1が不透明となっている。このことにより、高コントラスト比が得られ、視認性を高くすることができる。
【0112】
図3に示す書換え可能な記録媒体は、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれた(即ち基材に内包された)画像記録層50と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれたスペーサー6を有している。画像記録層50は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、及び熱可逆性ゲル化剤を含有した分散媒3を含有している。スペーサー6は断面観察において長方形をしている。
【0113】
図4に示す書換え可能な記録媒体は、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれた(即ち基材に内包された)画像記録層50と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれたスペーサー6を有している。画像記録層50は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、及び熱可逆性ゲル化剤を含有した分散媒3を含有している。スペーサー6は断面観察において真円形状又は略円形状をしている。
図4に示す書換え可能な記録媒体は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、熱可逆性ゲル化剤、及び分散媒3を含有する画像記録層形成材料並びにスペーサー6を含有する塗布液を、分散媒3が液状で、第一の基材1上に、所定の平均厚みになるように塗工し、室温に冷却してゲル状にした後、その上に第二の基材2を形成する材料の溶液を塗工することによって第二の基材2を積層し製造することができる。
【0114】
図5に示す書換え可能な記録媒体は、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれた(即ち基材に内包された)画像記録層50と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれたスペーサー6を有している。画像記録層50は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、及び熱可逆性ゲル化剤を含有した分散媒3を含有している。スペーサー6は略球状をしており、内部に空洞を有し、その内部には、画像記録層6を構成する材料と同じ材料が入っている。
【0115】
図6に示す書換え可能な記録媒体は、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれた(即ち基材に内包された)画像記録層50を有している。画像記録層50は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、及び熱可逆性ゲル化剤を含有した分散媒3を含有している。画像記録層50の断面形状は、略円を複数配列させた集合体形状をしている。即ち、画像記録層50は、略球状のゲル状の粒子が相互に密接された状態で一平面上に配列された集合体によって形成されている。
図6に示す書換え可能な記録媒体を製造する一例を、図9A〜図9Cを用いて説明する。まず、加熱装置23を備えた容器に、電気泳動粒子20、熱可逆性ゲル化剤21、及び分散媒22を入れて混合し、分散媒22が液状でこれらを含有する液を作製する(図9A)。この液を、加熱装置23を備えた水24の入った容器に投入し、攪拌することにより、前記液が粒子状になった流動性のある粒子25を得る(図9B)。この粒子25を水24とともに冷却することにより、粒子25に含有される分散媒が熱可逆性ゲル化剤の作用によりゲル状になり、ゲル状の略球状粒子を得る(図9C)。このゲル状の略球状粒子を第一の基材上に付与することにより、多数の略球状粒子を相互に密接させた状態で一平面上に配列させた集合体形状をした画像記録層50を形成することができる。その後、水に溶解したポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーを画像記録層50上に塗布することにより、第二の基材を形成し、図6に示す書換え可能な記録媒体が得られる。
【0116】
図7に示す書換え可能な記録媒体は、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とに挟まれた画像記録層50を有している。画像記録層50は、白色の電気泳動粒子4、黒色の電気泳動粒子5、及び熱可逆性ゲル化剤を含有した分散媒3を含有している。画像記録層50の断面形状は、略楕円を複数配列させた集合体形状をしている。即ち、画像記録層50は、略楕球状のゲル状粒子が相互に密接された状態で一平面上に配列された集合体によって形成されている。
【0117】
本発明の書換え可能な記録媒体は、製造が容易であることから、生産性に優れたロールトゥロール方式での製造適正がある。その一例を、図8を用いて説明する。
図8は、電気泳動粒子と熱可逆性ゲル化剤と分散媒(液状)を含有する液12を分散媒のゾル化転移温度以上に加熱した状態で、第一の基材10上に塗工装置13を用いて塗工を行い、加熱手段15によってその温度を維持した状態で、液12が塗布された第一の基材10と第二の基材16を、気泡が入らないようにかつ液12を第一の基材10及び第二の基材16で挟み込むようにローラ17及びローラ18の間で貼り合わせることによって、書換え可能な記録媒体を製造することができる。
【0118】
本発明の書換え可能な記録媒体の製造方法は、分散媒に熱可逆性ゲル化剤が含有されていることにより、画像記録層を所望の形状に形成することが可能であり、またそれを様々な方法で非常に容易に製造することが可能である。そのため、従来のように分散液を基板のセル内部に封入する工程やマイクロカプセルに封入する工程が不要となり、非常に低コストで製造することが可能である。また同時に基材と電気泳動粒子及び磁気泳動粒子との間にマイクロカプセル等の障壁がないため、高い反射率が得られコントラスト比が高い高画質画像を得ることが可能となる。
【0119】
(画像記録セット、及び画像記録方法)
本発明の画像記録セットは、書換え可能な記録媒体と、画像記録装置とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記書換え可能な記録媒体は、本発明の書換え可能な記録媒体である。
【0120】
<画像記録装置>
前記画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体の画像記録に用いられる画像記録装置であって、加熱手段と、電界印加手段及び磁界印加手段の少なくともいずれかとを有し、好ましくは画像消去手段を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記加熱手段、前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれか、及び前記画像消去手段は、必ずしもこの順に設置する必要はなく、自由に設置することが可能である。
【0121】
本発明の画像記録方法(第1の画像記録方法)は、加熱工程と、画像形成工程(第1の画像形成工程)とを少なくとも含み、好ましくは画像消去工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記加熱工程、前記第1の画像形成工程、及び前記画像消去工程は、必ずしもこの順に設定する必要はなく、自由に設定することが可能である。
また、本発明の画像記録方法(第2の画像形成方法)は、印加工程と、画像形成工程(第2の画像形成工程)とを少なくとも含み、好ましくは画像消去工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記印加工程、前記第2の画像形成工程、及び前記画像消去工程は、必ずしもこの順に設定する必要はなく、自由に設定することが可能である。
前記画像記録方法は、前記画像記録セットにより好適に実施することができる。
前記画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体とは一体となっていない、いわゆる外部駆動型の画像記録装置である。
【0122】
−加熱手段及び加熱工程−
前記加熱手段は、前記書換え可能な記録媒体を加熱する手段であって、前記書換え可能な記録媒体を、前記書換え可能な記録媒体の画像記録層中の分散媒のゾル化(液化)転移温度以上にすることができる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱手段は、画像記録方法に応じて、前記書換え可能な記録媒体の画像記録層全体を加熱する場合と、画像記録層の一部を加熱する場合とで使い分けられる。前者は、例えば、前記画像記録層全体を加熱することによって前記分散媒をゾル化した後、電界及び/又は磁界を前記画像記録層の少なくとも一部に印加することによって画像を記録(形成)する場合に適用される。後者は、例えば、前記画像記録層全体に電界及び/又は磁界を印加した後(あるいは印加しながら)、前記画像記録層の少なくとも一部を加熱して前記分散媒をゾル化することにより画像を記録(形成)する場合に適用される。
前記画像記録層全体を加熱する場合には、例えば、電子写真方式の複写機やプリンタに用いられる定着装置が好ましく用いられる。具体的には、例えば、加熱ローラなどが挙げられる。
前記加熱工程は、前記書換え可能な記録媒体を加熱する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層全体を加熱する工程などが挙げられる。前記加熱工程は、例えば、前記加熱手段により行うことができる。
【0123】
図10に加熱ローラを用いた加熱手段の一例を示す。図10に示す加熱手段は、熱源31を内蔵した加熱ローラ32と加圧ローラ33と高速応答型サーミスタ34と加熱防止用のサーモスタット35とを有している。熱源31としては、ハロゲンヒーター、セラミックヒーターなどが挙げられる。加熱ローラ32としては、鉄、SUSなどの高剛性の芯金上にSiゴムなどが被覆された構成が好ましい。加圧ローラ33としては、芯金上に被転写体のスムーズな通紙、巻き付き防止を行わせる為に、100μm程度の厚みのSiゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂などの被膜がコーティングされていることが好ましい。また、加圧ローラ33の端部には加圧アームがあり、スプリング懸架により加熱ローラ32との間に荷重がかけられる構成が好ましい。加圧ローラ33は、ヒーターを内包したヒートローラとし記録面側と裏面側の両方から加熱を行う方法も可能であり、書換え可能な記録媒体30の記録速度を高める上で有効である。
【0124】
また、図11に示すようにベルト状のフィルムの回転体39を書換え可能な記録媒体30に接触配置させ、フィルムの内側に書換え可能な記録媒体30に対向して固定の熱源31を配置した手段が挙げられる。これは、ウォームアップ時間が短く、消費電力が少ないなどのメリットがある。この加熱手段においては、ローラ37、ローラ38によりベルト状のフィルムの回転体39を回転させている。また、加圧ローラ33により書換え可能な記録媒体30を加圧している。また、温度センサー36により熱源31の温度を調節している。
【0125】
また、前記加熱手段としては、例えば、IH(電磁誘導加熱)方式の装置が挙げられる。前記IH方式は、励磁コイルに高周波電源(インバーター)を接続して高周波電流を供給すると、IHコイルの周囲に高周波磁界が発生し、この磁場により磁性金属部材に渦電流が流れてジュール熱が発生し加熱が行われる方式である。
一方、前記画像記録層の一部を加熱し、電界及び/又は磁界を印加した前記書換え可能な記録媒体に画像記録を行う場合は、サーマルヘッドを用いることが可能である。前記サーマルヘッドとは、発熱抵抗体を一列に配置し、記録する画像データに対応して選択的に電位を与えて発熱抵抗体を発熱させることで記録媒体に記録を行うデバイスである。
前記サーマルヘッドとしては、前記分散媒をゾル化転移温度以上に加熱できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0126】
−電界印加手段及び磁界印加手段、並びに電界の印加及び磁界の印加−
前記画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体に電界を印加する電界印加手段及び(前記書換え可能な記録媒体に)磁界を印加する磁界印加手段の少なくともいずれかを有する。
【0127】
−−電界印加手段−−
前記電界印加手段としては、前記書換え可能な記録媒体に電界を印加する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電界印加手段は、画像記録方法に応じて、前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層全体に電界を印加する場合と、前記画像記録層の一部に電界を印加する場合とで使い分けられる。前者は、例えば、前記画像記録層全体に電界を印加した後(あるいは印加しながら)、前記加熱手段によって画像を記録(形成)する場合に適用される。後者は、例えば、前記加熱手段によって前記画像記録層全体を加熱した後、前記画像記録層の一部に電界を印加することによって画像を記録(形成)する場合に適用される。
【0128】
前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層全体に電界を印加する前記電界印加手段としては、各種帯電器や放電器が用いられ、例えば、コロナ帯電器、ローラ帯電器、固体放電器などが挙げられる。
前記コロナ帯電器は、ワイヤーに高電圧を印加し、その周辺の空気をイオン化させ、それを書換え可能な記録媒体表面に移動させることによって帯電させる部材であり、非接触であること、高速追随性が高いこと、帯電均一性が高いことなどの利点がある。前記コロナ帯電器は、耐食性が施されたシールドケースに、直径40μm〜100μmのタングステンワイヤーやステンレスワイヤー等の放電ワイヤーを1〜3列帳架したもので、放電ムラを少なくするために金メッキ処理した放電ワイヤーを使用される場合が多い。前記コロナ帯電器にはグリッドがないコロトロン方式と金属細線やパンチングメタルをグリッド(Control Grid or Suppressor Grid)として使用したスコロトロン方式がある。放電ワイヤーにプラス電圧を印加した場合とマイナス電圧を印加した場合とでは、放電状態が異なり、プラス電圧を印加した場合にはワイヤーに沿って均一な放電をするのに対し、マイナスでは点状の放電となる。したがって、プラスを印加する場合は、グリッドが無くても帯電がほぼ均一になるのに対し、マイナスの場合にはグリッドがないと、線状に濃淡の帯電ムラが生じるため、均一な帯電を行うためにはグリッドを設けたスコロトロンが好ましい。
前記ローラ帯電器は、書換え可能な記録媒体に接触又は近接配置させ、書換え可能な記録媒体の移動に対し連れ周りしながら書換え可能な記録媒体全面に電荷を付与することができる。前記ローラ帯電器は、一般的に芯金上に弾性層、最表層の2層からなり、特に弾性層には中抵抗のゴム、例えば、ヒドリンゴム、ウレタンゴムなどが用いられる。これらのゴムにはカーボン、グラファイト、活性炭素繊維、イオン導電材などの抵抗制御材が分散され、体積抵抗率は10Ω・cm〜10Ω・cmに制御される。前記ローラ帯電器は、オゾンやNOxの生成が少ないことや印加電圧が低く設定でき、消費電力の低減に有効である。
【0129】
前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の一部に電界を印加する電界印加手段としては、静電潜像を形成でき、本発明の前記書換え可能な記録媒体に電界を印加して画像を形成できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記静電潜像を形成する方式としては、例えば、電子写真方式、イオン照射方式などが挙げられる。これらは、本発明において特に有効に用いることができる。なお、電界を印加するために、前記書換え可能な記録媒体を介して前記電界印加手段と対向する位置に対向電極が配置される。
【0130】
−−−電子写真方式の電界印加手段−−−
前記電子写真方式の電界印加手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、像担持体に帯電を施し、その後画像パターンに対応した露光を行うことによって像担持体の表面に静電潜像を形成する手段などが挙げられる。
本発明の前記書換え可能な記録媒体は、静電潜像が形成された像担持体の表面に接触させることによって画像の記録を行うことができる。
【0131】
前記電子写真方式の電界印加手段は、像担持体を少なくとも有し、好ましくは帯電器と、露光手段とを有し、更に必要に応じて、除電手段などのその他の部材を有する。また、書換え可能な記録媒体に電界を印加するために、前記電界印加手段である像担持体とは書換え可能な記録媒体を介して対向する位置に対向電極が配置される。
【0132】
−−−−像担持体−−−−
前記像担持体は、静電潜像が形成できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル等の素管やベルト等による導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが混在した一層の感光層からなる単層型であってもよいし、電荷発生層及び電荷輸送層が積層されてなる積層型であってもよい。更に、その最表面に保護層を設けた高耐久型などであってもよい。
前記像担持体は、プラス帯電でもマイナス帯電でも使用可能ではあるが、電子輸送物質に比べてホール輸送物質の方が豊富に存在するため、静電特性上マイナス帯電方式(この場合、黒色の電気泳動粒子はプラス帯電)で用いる方がより好ましい。ただし、単層型の場合には、電子とホールの輸送が可能なため、プラス帯電方式でも使用できる場合がある。
【0133】
−−−−帯電器−−−−
前記帯電器としては、前記像担持体を帯電させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コロナ帯電器、ローラ帯電器、固体放電器、ブラシ帯電器などが挙げられる。これらの中でもコロナ帯電器、ローラ帯電器が好ましい。
【0134】
−−−−露光手段−−−−
前記露光手段としては、前記像担持体の表面に静電潜像を形成できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体レーザー(LD)、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが挙げられる。これらの中でも半導体レーザー(LD)、発光ダイオード(LED)が好ましい。
【0135】
−−−−除電手段−−−−
前記除電手段としては、前記像担持体の表面に形成された静電潜像を全消去することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体レーザー(LD)、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプなどが挙げられる。これらの中でも発光ダイオード(LED)が好ましい。
【0136】
−−−−その他の手段−−−−
前記その他の手段としては、例えば、クリーニング手段、潤滑性物質塗布手段などが挙げられる。
【0137】
前記クリーニング手段は、前記像担持体の表面に付着した異物や放電生成物等を除去する目的で用いられる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード、ブラシなどが挙げられる。前記クリーニング手段は、前記像担持体に接するように設けることが好ましい。
【0138】
前記潤滑性物質塗布手段は、前記像担持体の表面の離型性を高めたり、前記クリーニング手段との併用により放電生成物を除去する目的で用いられる。
前記潤滑性物質塗布手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブラシなどが挙げられる。前記潤滑性物質塗布手段は、前記像担持体と固形化した潤滑性物質に接するように配置することが好ましい。前記潤滑性物質塗布手段がブラシの場合には、前記ブラシが回転することにより前記像担持体の表面に前記潤滑性物質が付与される。
前記潤滑性物質としては、例えば、ワックス類、フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらの中でも、脂肪酸金属塩が好ましく、ステアリン酸亜鉛がより好ましい。
【0139】
−−−−対向電極−−−−
前記対向電極は、前記書換え可能な記録媒体を挟むように、前記像担持体と対向する位置に配置される。
前記対向電極の材質としては、電気を通じるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属及びそれらの合金、カーボンなどが挙げられる。
また、前記対向電極は、書換え可能な記録媒体との密着性を高める必要があることから、例えば、弾性を有する導電性ロール部材などが有効に利用できる。
【0140】
前記画像記録装置における像担持体を用いた電界印加手段の一例を図12に示す。書換え可能な記録媒体30の記録面側には、書換え可能な記録媒体30に接触するようにして像担持体40が設けられており、書換え可能な記録媒体30の裏面側には書換え可能な記録媒体30を挟むように像担持体40と対向する位置に対向電極44が設けられている。像担持体40の周囲には少なくとも像担持体40を帯電させるための帯電器41と、像担持体40の表面に静電潜像を形成するための露光手段42と、像担持体40の表面の静電潜像を消去するための除電手段43が設けられている。
【0141】
−−−イオン照射方式の電界印加手段−−−
前記イオン照射方式の電界印加手段は、例えば、一般に放電体から成るイオン流生成部と、生成したイオン流を制御する電極と、イオン流を放出する開口部によって構成される。該イオン流生成部で発生したイオンの流量は、電界によって制御される。
前記イオン照射方式は、大気中などイオン生成が可能な雰囲気下で放電電極からの放電により発生するイオンの照射によって直接静電潜像を形成できるため、書換え可能な記録媒体に直接画像の記録を行うことができる。
また、前記イオン照射方式としては、例えば、放電電極に印加しただけでは放電が発生せず加熱することにより放電が発生する電圧(放電制御電圧)を印加した状態で、放電電極への選択的な加熱を行って放電を発生させる加熱放電方式が知られている(特許第3725092号公報)。この方式は、放電電極と、放電電極の各々に対応して配設された発熱素子とを有しており、放電電極に印加しただけでは放電は発生せず、加熱することによって放電が発生する。そのためイオンの発生の有無を発熱素子によって制御することが可能であり、低電圧駆動や低コスト化、装置の小型化が可能となる。
前記イオン照射方式の具体的な電界印加手段としては、例えば、上記の機構を備えたイオン照射ヘッドなどが挙げられる。前記イオン照射ヘッドは、放電体と、必要に応じて加熱部材やその他の部材を有する。また、前記書換え可能な記録媒体を介して前記イオン照射ヘッドと対向する位置には、対向電極が配置されてなる。
【0142】
本発明の前記書換え可能な記録媒体は、加熱することによって前記画像記録層の前記分散媒が液状になり画像記録が可能になるため、画像記録時に加熱するこの方式は非常に適している。前記画像記録装置においては、前記加熱手段と前記電界印加手段の両方をこのイオン照射装置(イオン照射ヘッド)一つで賄うことも可能であり、低コスト化や低消費電力、装置の小型化などに有効であるが、記録速度や画像品質が低下する場合があるため、用途に応じて使い分ける必要がある。
【0143】
イオン照射方式による電界印加手段の一例を図13に示す。図13においては、イオン照射ヘッドと対向する位置に、書換え可能な記録媒体30の裏面に接触するように対向電極44が設けられ、書換え可能な記録媒体30の記録面にはイオン照射ヘッド45が接触して、又は近接して設けられている。イオン照射ヘッド45内には図示しない放電体と、必要に応じて加熱部材を有しており、加熱放電方式の場合は、加熱することにより放電が起こる領域で電圧を印加し、イオン照射の有無を加熱部材を用いた温度制御によって行う。
イオン照射ヘッドの開口部を通過したイオンは、イオン照射ヘッドと対向電極との間に形成される電界にしたがって、書換え可能な記録媒体に付着し、画像が記録される。
【0144】
−−磁界印加手段−−
前記磁界印加手段としては、前記書換え可能な記録媒体に磁界を印加する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気潜像を形成でき、本発明の前記書換え可能な記録媒体に磁界を印加できるものなどが挙げられる。
前記磁界印加手段としては、前記電界印加手段と同様、画像記録方法に応じて、前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層全体に磁界を印加する場合と、前記画像記録層の一部に磁界を印加する場合とで使い分けられる。前者は、例えば、前記画像記録層全体に磁界を印加しながら、前記加熱手段によって画像を記録(形成)する場合に適用される。後者は、例えば、前記加熱手段によって前記画像記録層全体を加熱した後、前記画像記録層の一部に磁界を印加することによって画像を記録(形成)する場合に適用される。
前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層全体に磁界を印加する前記磁界印加手段としては、磁石、特にアルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などの永久磁石や電磁石が好ましく、電磁石が特に好ましい。前記電磁石とは、透磁率の大きい強磁性体の鉄心にコイルを巻いたもので、コイルに電流を通じるとその磁場によって鉄心が磁化されて磁石となり、電流を切れば磁化しない状態にもどる磁石である。
一方、前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の一部に磁界を印加する前記磁界印加手段としては、磁気潜像を形成でき、本発明の前記書換え可能な記録媒体に磁界を印加して画像を形成できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネットグラフィー方式の磁気プリンタ等に用いられる磁気ヘッドなどが挙げられる。
【0145】
−−−磁気ヘッド−−−
前記磁気ヘッドは、各チャンネルのコイルに電流を流すことにより、磁極先端部から漏洩磁束が生じ磁気潜像の形成が可能となる。この磁気ヘッドが書換え可能な記録媒体を走査することによって、書換え可能な記録媒体の磁気泳動粒子を泳動させ画像が記録される。ただし、磁気ヘッドには、マルチチャンネル型とフルライン型とがあり、マルチチャンネルのヘッドを並べたフルライン型は、ヘッドを走査する必要がなく、高速記録が可能になる。前記ヘッドの材質としては、高透磁率コアに用いられる軟磁性材料が好ましい。前記軟磁性材料としては、例えば、Fe−Si−B−C非晶質合金、FeP、パーマロイ(NiFe合金)、FeCoP、CoP、FeB、FeBSi、珪素鋼等の低保磁力、高飽和磁束密度、高透磁率材料などが挙げられる。
また、磁気プリンタは、磁気ヘッドを用いて磁気潜像担持体(像担持体)に磁気潜像を形成することが可能であり、本発明においても磁気潜像を形成した磁気潜像担持体に本発明の前記書換え可能な記録媒体を接触させて記録を行うことも可能である。
【0146】
前記画像記録装置は、前記電界印加手段と前記磁界印加手段とを併用することも可能である。
前記電界印加手段と前記磁界印加手段とを併用し、本発明の前記書換え可能な記録媒体に、前記電気泳動粒子と前記磁気泳動粒子の両方を用いそれらの粒子を異なる色にすることにより、マルチカラー化することができる。
【0147】
−第1の画像形成工程及び第2の画像形成工程−
前記第1の画像形成工程は、加熱された前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の少なくとも一部に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して画像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれかにより行うことができる。
前記第2の画像形成工程は、前記電界及び前記磁界の少なくともいずれかが印加された前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の少なくとも一部を加熱して画像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記加熱手段により行うことができる。
【0148】
−画像消去手段及び画像消去工程−
前記画像消去手段としては、前記書換え可能な記録媒体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して前記書換え可能な記録媒体に記録された画像を消去する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記画像消去工程としては、前記書換え可能な記録媒体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して前記書換え可能な記録媒体に記録された画像を消去する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記画像消去手段により行うことができる。
【0149】
−−電界を印加して画像を消去する手段−
前記電界を印加して画像を消去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、対向電極と、帯電器又は放電器とを有する画像消去手段などが挙げられる。
前記対向電極としては、前記電子写真方式の電界印加手段の説明において記載した前記対向電極などが挙げられる。
前記帯電器又は放電器としては、例えば、コロナ帯電器、ローラ帯電器、固体放電器など、前記電子写真方式の電界印加手段の説明において記載した前記電界印加手段などが挙げられる。
【0150】
−−磁界を印加して画像を消去する手段−
前記磁界を印加して画像を消去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層全体に磁界を印加することができる磁界印加手段が、画像消去手段としても有効に使用することができる点で好ましい。そのような手段としては、例えば、永久磁石、電磁石などが挙げられる。
前記書換え可能な記録媒体の記録面及び/又はその裏面に永久磁石を接触させた状態で前記書換え可能な記録媒体又は前記永久磁石を走査させることによって、記録画像を全消去することが可能である。
前記電磁石は、電流のON/OFFによって磁力制御が可能なため、例えば、電磁石を一列に並べたヘッドを設け、電流をONにした状態で書換え可能な記録媒体全面に対して前記ヘッドを走査させることによって記録画像を全消去することが可能である。
【0151】
−その他の手段及びその他の工程−
前記その他の手段としては、例えば、冷却手段が挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、冷却工程が挙げられる。
【0152】
−−冷却手段及び冷却工程−−
前記冷却手段としては、前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層を、前記分散媒のゲル化転移温度以下に冷却できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却ファン、冷却ローラ、冷却ベルトなどが挙げられる。前記冷却ローラ、冷却ベルトは、例えば、その内部に水を循環させた水冷方式を採用することができる。
前記冷却工程としては、前記書換え可能な記録媒体を冷却できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記冷却手段により行うこと、自然冷却することなどが挙げられる。
前記冷却手段及び前記冷却工程により、画像記録後に分散媒を早期にゲル化させ、画像欠陥を防止できることから、高画質化することができる。
【0153】
なお、本発明の画像記録セットの画像記録装置は、少なくとも前記加熱手段と、前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれかとを有し、好ましくは前記画像消去手段を有するが、前記加熱手段、前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれか、及び前記画像消去手段のうち2つ以上の手段を組み合せて1つの手段とすることも可能であり、そのようにすることは、低コスト、低消費電力、装置の小型化等に有効である。
具体的には、前記加熱手段と前記電界印加手段とを組み合せ、加熱しながら電界の印加を行うようにすることも可能である。例えば、イオン照射ヘッドに加熱部材を設けたり、静電潜像を形成できる像担持体にドラムヒーターを設置したりすることができる。
【0154】
また、前記画像消去手段と前記電界印加手段とを組み合せ、画像を全面消去した後に続けて画像記録を行うようにすることも可能である。
例えば、前記電界印加手段を用いて前記書換え可能な記録媒体の画像の全面消去を行った後に、同じ前記電界印加手段で画像を形成することができる。
【0155】
また、同様に加熱手段と前記画像消去手段と前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれかとを組み合せることも可能である。
例えば、加熱部材としてのドラムヒーターを設置した像担持体を用い、最初に全面ベタパターンを出力することによって前記書換え可能な記録媒体の画像の消去を行い、続けて画像パターンを出力することができる。
【0156】
本発明の画像記録セットの画像記録装置は、上記のように前記加熱手段、前記画像消去手段、並びに前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれかを組み合せたものも使用することが可能であり、全て本発明の範疇に含まれる。
【0157】
また、前記加熱手段、前記画像消去手段、前記電界印加手段及び前記磁界印加手段の少なくともいずれかは、それぞれ一つに限定されず複数設置されていてもよい。特に、前記加熱手段は複数設置することによって画像品質が向上することがある。例えば、前記書換え可能な記録媒体が最初の前記加熱手段を通過してから画像が記録されるまでの間、複数の前記加熱手段によって温度を維持することにより、どのような温度環境でも安定した画像を形成することが可能となる。特に、前記電界印加手段に像担持体を用いる場合には、前記加熱手段によって予め加熱されていたとしても前記電界印加手段としての像担持体が冷えていると像担持体に接触した時に分散媒のゲル化が始まる場合があるため、像担持体には加熱部材としてのドラムヒーターを設置し、画像記録が終了するまで高温を維持した方が有効な場合がある。
【0158】
本発明の書換え可能な記録媒体を用いた電気泳動方式の画像記録方法の一例を、図14及び図15を用いて説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
図14に記載の画像記録装置は、書換え可能な記録媒体30に対し、熱源31を有する加熱ローラ32を記録面と裏面の両方に配備した加熱手段と、書換え可能な記録媒体30の記録面全面にコロナ帯電器を用いて記録を全消去する画像消去手段46と、書換え可能な記録媒体30に電界を印加するイオン照射ヘッド45と、記録を全消去する時及び画像を形成するために電界を印加する時に書換え可能な記録媒体30の背面に接触するように設けられる対向電極44とから構成されている。前記加熱手段は、更に高速応答型サーミスタ34とサーモスタット35を有している。
図15に記載の画像記録装置は、書換え可能な記録媒体30に対し、熱源31に接触して掛け渡されるベルト状のフィルムの回転体39を介して加熱する加熱手段と、書換え可能な記録媒体30の記録面全面にコロナ帯電器を用いて記録を全消去する画像消去手段46と、帯電器41と露光手段42と除電手段43により繰り返し静電潜像が形成可能な像担持体40からなる電界印加手段と、記録を全消去する時及び画像を形成するために電界を印加する時に書換え可能な記録媒体30の背面に接触するように設けられる対向電極44とから構成されている。前記加熱手段は、ローラ37、ローラ38によりベルト状のフィルムの回転体39を回転させている。また、加圧ローラ33により書換え可能な記録媒体30を加圧している。また、温度センサー36により熱源31の温度を調節している。
図14及び図15に示されるように、書換え可能な記録媒体30は、加熱手段で加熱されることによって書換え可能な記録媒体の分散媒がそれに含まれる熱可逆性ゲル化剤の作用により液状になり、分散媒に分散されている電気泳動粒子が移動できるようになる。次に書換え可能な記録媒体30の記録を全面消去する画像消去手段46によって書換え可能な記録媒体30の記録面全面に均一の電圧が印加されることにより、記録層の記録面側には同極性、同一色の電気泳動粒子が満たされることにより記録面は全消去される。例えば、分散媒中にマイナスに帯電した白色の電気泳動粒子とプラスに帯電した黒色の電気泳動粒子が含有されている場合、画像消去手段46によってプラス帯電を施すことによりマイナスに帯電した白色の画像泳動粒子が記録面側を満たし、書換え可能な記録媒体30は全面白地となる。続いて、書換え可能な記録媒体30に画像パターンに対応した静電潜像を付与することにより、書換え可能な記録媒体30に画像パターンが記録される。例えば、画像領域がマイナスの静電潜像を書換え可能な記録媒体30に付与すると、画像領域はプラスに帯電した黒色の電気泳動粒子が記録面側に移動し、非画像領域は粒子の移動が起こらないので、書換え可能な記録媒体30には黒色の画像パターンが記録される。その後、書換え可能な記録媒体30が室温に冷却されると、書換え可能な記録媒体30中の分散媒が熱可逆性ゲル化剤の作用によりゲル状になることにより、分散媒に含まれる電気泳動粒子は移動できなくなり、長期に渡り外部から刺激を与えても安定に画像が保持される。
【実施例】
【0159】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、部は、質量部を表す。
【0160】
<ゾルゲル転移温度>
まず、ゾルゲル転移温度の測定方法を以下に示す。
熱可逆性ゲル化剤を分散媒中に添加し、加熱して溶融撹拌後に冷却することによって得られた5質量%ゲルについて、示差走査熱量分析(DSC、測定装置:DSC Q200、TA Instruments社製)を行うことによってゾルゲル転移温度を測定した。測定条件は、10℃から2℃/分間で90℃まで昇温し、同じく2℃/分間で降温させるサイクルで行った。DSC測定によって得られた昇温時の吸熱ピーク温度をゾル化転移温度とし、降温時の発熱ピーク温度をゲル化転移温度とした。
【0161】
(実施例1)
<白色電気泳動粒子の作製>
撹拌機及び温度制御装置を備えた反応容器に、エタノール93部及び水7部を混合した溶媒を入れ、氷酢酸でpH4.5に調整した。3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート16部を加えて溶解させた後、酸化チタン100部を加えて10分間攪拌した。次いでエタノール180部を加えて攪拌し、遠心分離で回収した固体分を一昼夜放置した後、70℃で4時間真空乾燥して表面処理酸化チタンを得た。
次に、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器内にトルエン130部とラウリルメタクリレート100部とを入れ溶解した。これに上記の表面処理酸化チタン75部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したトルエン50部を加え窒素雰囲気下70℃で6時間加熱攪拌した。反応終了後、固体分を、遠心分離を繰り返すことによりトルエンで洗浄し、最後に70℃で4時間真空乾燥して目的とする白色電気泳動粒子(平均粒子径400nm)を得た。
【0162】
<黒色電気泳動粒子の作製>
黒色電気泳動粒子は、特開2005−265938号公報に示す複合粒子製造方法に基づいて作製した。はじめに、メタクリロキシプロピル変性シリコーン(株式会社チッソ社製、サイラプレーンFM−0711)14部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(東京化成株式会社製)6部、及び重合開始剤であるアゾビスジメチルバレロニトリル0.1部をシリコーンオイル(信越化学株式会社製、KF−96L 1cs)180部に溶解した溶液を容器に収容し、窒素雰囲気下60℃で6時間加熱した。反応終了後、シリコーンオイルを蒸発させて除去し、分散剤Aを得た。
次に、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器内に分散剤A 1部、カーボンブラック1.5部、及びシリコーンオイル(KF96、信越シリコーン社製)200部を合わせて氷冷しながらホモジナイザーで1時間超音波照射し、カーボンブラックを分散した。これにメタクリル酸メチル6部、メタクリロキシプロピル変性シリコーン(株式会社チッソ社製、サイラプレーンFM−0725)3部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド0.1部、及び重合開始剤であるアゾビスジメチルバレロニトリル0.05部を加え、窒素雰囲気下60℃で6時間反応させた。反応終了後固体成分のみを回収、乾燥することにより目的とする黒色電気泳動粒子(平均粒子径300nm)を得た。
【0163】
<画像記録層形成材料の作製>
上記で得られた白色電気泳動粒子40部、イソパラフィン系炭化水素溶媒(エクソン化学社製:IsoparG)39部、分散剤B(Solspersel7000、ゼネカ社製)0.5部、及び界面活性剤(レオドールSP−030V、花王社製)0.5部を混合し、60分間超音波分散を行った。一方、上記で得られた黒色電気泳動粒子2部、及びイソパラフィン系炭化水素溶媒(エクソン化学社製:IsoparG)18部を混合し、60分間超音波分散を行った。これらを混合して更に120分間超音波分散を行い、分散液を得た。得られた分散液を60℃に加熱した後、下記構造式(10−1)で示される熱可逆性ゲル化剤3部を加え撹拌し、温度を保持したまま60分間超音波分散を行い、画像記録層形成材料を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるイソパラフィン系炭化水素溶媒のゾル化転移温度は、51℃であり、ゲル化転移温度は、41℃であった。
また、A(珪素数)/B(分子中におけるアミド結合(−NHCO−)及びウレタン結合(−NHCOO−)の総数)は、1.0であった。
下記構造式(10−1)で表される熱可逆性ゲル化剤は、特開2005−232108号公報に記載のシリコーン誘導体の合成方法を参考にして合成した。
【化12】

【0164】
<書換え可能な記録媒体の作製>
60℃に加熱したホットプレート上に厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを載せて簡易的に固定した後、前記PETフィルムの端部に厚み50μmの両面に接着面を有するスペーサー(PETフィルム)を額縁状に貼り付け、スペーサー内に分散液が浸透しないように隔離壁を設け、60℃で充分に加熱した。なお、スペーサーの一部に隙間を設け分散液や空気の出口を確保した。次にスペーサーで囲まれた前記PETフィルム上に、粒径が50μmのスペーサー粒子(ミクロパール、積水化学工業社製)を適量入れ、60℃に保温しておいた前記画像記録層形成材料を均等に流し込み、そのまま室温まで冷却した。前記画像記録層形成材料がゲル状であることを確認し、その上から厚み25μmのPETフィルムを端部から載せていき、空気が入らないようにローラで押さえながらスペーサーと接着させ、最後に記録媒体の端部全域に紫外線硬化型封止剤を用いて封止し、本発明の書換え可能な記録媒体を作製した。
【0165】
<画像記録装置による評価>
画像記録装置には、電子写真方式のデジタル複写機を改造して用いた。複写機には像担持体と、その周囲に少なくとも帯電手段、露光手段、及び転写手段が設けられている。像担持体、転写手段、給紙トレイ及び搬送ルートには加熱装置をセットし、60℃で保持できるようにした。また、転写手段には、転写ローラの代わりにアースに接続した導電性のローラを対向電極として用い、転写電流はゼロに設定した。なお、現像手段、クリーニング手段及び定着手段は除去した。
【0166】
−画像品質−
上記のようにして作製した書換え可能な記録媒体を60℃に保温した状態で、分散媒を液状にし、前記書換え可能な記録媒体全面にプラス帯電処理を行って画像消去処理をし、全面白地の状態にした。その後、前記書換え可能な記録媒体を前記画像記録装置の給紙トレイにセットし加熱し、分散媒を液状にした状態で、画像パターンを出力したところ、前記書換え可能な記録媒体には白地に黒色の画像パターンが明瞭に記録されていることが確認された。
【0167】
−画像保持性−
画像パターンが記録された前記書換え可能な記録媒体を2ヶ月間、室温下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体を目視により観察したところ、画質や画像濃度に変化は認められず、優れた画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0168】
−書換え性−
前記画像保持性評価において2ヶ月間放置した前記書換え可能な記録媒体を再び60℃に保温した状態で、書換え可能な記録媒体全面にプラス帯電処理を行うと、全面白地の状態に戻ることを確認した。更に、この書換え可能な記録媒体について、記録(書換え)と消去を繰り返すことが可能であることを確認した。
【0169】
(比較例1)
実施例1において、画像記録層形成材料を、熱可逆性ゲル化剤を含有しない画像記録層形成材料に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
【0170】
−画像品質−
上記のようにして作製した書換え可能な記録媒体を60℃に保温した状態で、前記書換え可能な記録媒体全面にプラス帯電処理を行って画像消去処理をし、全面白地の状態にした。その後、前記書換え可能な記録媒体を実施例1で用いた画像記録装置の給紙トレイにセットし加熱した後、各種画像パターンを出力したところ、前記書換え可能な記録媒体には白地に黒色の画像パターンが明瞭に記録されていることが確認された。
【0171】
−画像保持性−
画像パターンが記録された前記書換え可能な記録媒体を2ヶ月間、室温下に放置した。放置後の前記書換え可能な記録媒体を目視により観察したところ、白地部及び黒地部は灰色に変化しており、画像保持性が不十分であった。
また、画像パターンを記録した直後の書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけると、画像が乱れ、外的因子(静電気)に対して画像保持性が不十分であることが確認できた。
【0172】
(実施例2)
<画像記録装置による評価>
実施例1で作製した書換え可能な記録媒体を、実施例1とは別の画像記録装置を用いて評価を行った。この画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体が直線的に搬送できるように設計し、前記書換え可能な記録媒体を加熱する加熱手段、コロトロンによる電界印加手段、及びファンによる冷却手段を順に設けた。前記加熱手段は、前記書換え可能な記録媒体の表面温度が60℃になるように設定した。前記電界印加手段には、前記書換え可能な記録媒体を介して対向する位置に対向電極を設けた。
【0173】
−画像品質−
実施例1で作製した書換え可能な記録媒体を前記加熱手段によって60℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に前記電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.18であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって60℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.44であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。さらにその効果は、冷却手段を動作させなくても得られていることが確認された。
なお、ポータブル分光測色計(X−Rite939)の測定は、5カ所で行い、その平均値から画像濃度を求めた。
【0174】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。
ここで、「劣化が認められず」とは、ポータブル分光測色計(X−Rite939)により測定した画像濃度が、繰り返し試験前と比べて±0.05以内であることを指す。
【0175】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.22、黒ベタ画像の濃度は1.43であり、優れた画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0176】
(実施例3)
実施例1において、熱可逆性ゲル化剤を、下記構造式(7−1)で表される化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるイソパラフィン系炭化水素溶媒のゾル化転移温度は、45℃であり、ゲル化転移温度は、30℃であった。
また、A(珪素数)/B(分子中におけるアミド結合(−NHCO−)及びウレタン結合(−NHCOO−)の総数)は、1.5であった。
下記構造式(7−1)で表される熱可逆性ゲル化剤は、特開2005−232108号公報に記載のシリコーン誘導体の合成方法を参考にして合成した。
【化13】

【0177】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって55℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.20であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって55℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.43であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。さらにその効果は、冷却手段を動作させなくても得られていることが確認された。
【0178】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。
【0179】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.24、黒ベタ画像の濃度は1.41であり、優れた画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0180】
(実施例4)
実施例1において、熱可逆性ゲル化剤を、下記構造式(9−1)で表される化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるイソパラフィン系炭化水素溶媒のゾル化転移温度は59℃であり、ゲル化転移温度は24℃であった。
また、A(珪素数)/B(分子中におけるアミド結合(−NHCO−)及びウレタン結合(−NHCOO−)の総数)は、1.0であった。
下記構造式(9−1)で表される熱可逆性ゲル化剤は、特開2004−182697号公報に記載のシリコーン誘導体の合成方法を参考にして合成した。
【化14】

【0181】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって65℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.19であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって65℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.46であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。ただし、冷却手段を動作させずに、記録後直ちに外的因子を接触させると、わずかに反転する箇所が認められた。
【0182】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。
【0183】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.25、黒ベタ画像の濃度は1.42であり、優れた画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0184】
(実施例5)
実施例1において、熱可逆性ゲル化剤を、下記構造式(9−2)で表される化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるイソパラフィン系炭化水素溶媒のゾル化転移温度は、51℃であり、ゲル化転移温度は、18℃であった。
また、A(珪素数)/B(分子中におけるアミド結合(−NHCO−)及びウレタン結合(−NHCOO−)の総数)は、3.5であった。
下記構造式(9−2)で表される熱可逆性ゲル化剤は、特開2004−182697号公報に記載のシリコーン誘導体の合成方法を参考にして合成した。
【化15】

【0185】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって60℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.23であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって60℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.42であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。ただし、冷却手段を動作させずに、記録後直ちに外的因子を接触させると、反転する箇所が認められた。
【0186】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。
【0187】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.28、黒ベタ画像の濃度は1.36であり、優れた画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0188】
(実施例6)
実施例1において、熱可逆性ゲル化剤を、下記構造式(9−3)で表される化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるイソパラフィン系炭化水素溶媒のゾル化転移温度は、49℃であり、ゲル化転移温度は、14℃であった。
また、A(珪素数)/B(分子中におけるアミド結合(−NHCO−)及びウレタン結合(−NHCOO−)の総数)は、20.5であった。
下記構造式(9−3)で表される熱可逆性ゲル化剤は、特開2004−182697号公報に記載のシリコーン誘導体の合成方法を参考にして合成した。
【化16】

【0189】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって55℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.22であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって55℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.40であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。ただし、冷却手段を動作させずに、記録後直ちに外的因子を接触させると、反転する箇所が多数認められた。
【0190】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。
【0191】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.36、黒ベタ画像の濃度は1.33であり、良好な画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0192】
(実施例7)
実施例1において、熱可逆性ゲル化剤を、下記構造式(1−1)で表される化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるイソパラフィン系炭化水素溶媒のゾル化転移温度は、97℃であり、ゲル化転移温度は、62℃であった。
【化17】

【0193】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって105℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.32であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって105℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.40であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。さらにその効果は、冷却手段を動作させなくても得られていることが確認された。
【0194】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。ただし、ゾル化転移温度が高いためか、加熱工程に時間を要し、記録速度はやや低下した。
【0195】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.35、黒ベタ画像の濃度は1.38であり、良好な画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0196】
(比較例2)
実施例2において、画像記録層形成材料を下記の画像記録層形成材料に代え、更に画像記録装置における加熱手段を書換え可能な記録媒体の表面温度が60℃になるように設定した以外は、実施例2と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
【0197】
<画像記録層形成材料の作製>
ワックス(商品名:ニッサンエレクトールWE−40、日油社製)100部、黒染料(商品名:OILBLACK HBB、オリエント化学社製)1部、酸化チタン(商品名:JR−603、テイカ社製)5部、及び界面活性剤(四級アンモニウム塩エチル硫酸塩、商品名:SAT−60、日本純薬社製)0.5部をポリエチレン瓶に入れ、ジルコニア製ビーズ(直径1mm)を入れた。これを120℃に設定した高温槽に30分間放置し、その後素早く攪拌機に移し、15分間攪拌した。この操作を2回繰り返し行い、さらに120℃で30分放置し、取り出した後メッシュにてろ過することにより採取し、画像記録層形成材料を作製した。
【0198】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって70℃に加熱し、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)した。この書換え可能な記録媒体を、ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.59であった。その後、前記書換え可能な記録媒体に対して実施例2と同様にしてマイナス帯電処理を行って、前記書換え可能な記録媒体に黒ベタ画像を記録した。ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、0.80であり、コントラストが非常に低く、殆ど反転していないことが確認された。その後前記書換え可能な記録媒体を70℃に加熱したホットプレート上で20分間加熱した後、上記と同様にして評価を行うと、白ベタ画像の濃度は0.40、黒ベタ画像の濃度は0.95にまで改善された。
また前記書換え可能な記録媒体に外的因子を接触させても画像に殆ど変化が認められなかった。
【0199】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を繰り返し行ったところ、明瞭に反転することは確認できず、温度応答性が低いことが明らかにされた。
【0200】
−画像保持性−
上記のホットプレートで加熱して反転させた前記書換え可能な記録媒体をそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像の濃度は0.46、黒ベタ画像の濃度は0.93であったが、画像保持性に対する効果は認められた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0201】
(実施例8)
実施例1において、分散媒をシリコーンオイル(KF96、1cs、信越化学工業社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
なお、前記熱可逆性ゲル化剤によるシリコーンオイルのゾル化転移温度は、79℃であり、ゲル化転移温度は、69℃であった。
【0202】
−画像品質−
作製した書換え可能な記録媒体を実施例2と同様の加熱手段によって85℃に加熱して、分散媒を液状にし、更に前記書換え可能な記録媒体全面に実施例2と同様の電界印加手段によってプラス帯電処理を行って白ベタ画像を記録(画像消去)し、そのまま室温まで冷却したところ、分散媒はゲル状になった。ポータブル分光測色計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて濃度測定を行ったところ、0.22であった。その後、前記書換え可能な記録媒体を再び前記加熱手段によって85℃に加熱し、分散媒を液状にした状態で、前記電界印加手段によってマイナス帯電処理を行って黒ベタ画像を記録し、そのまま室温まで冷却した。その結果、前記書換え可能な記録媒体には黒色のベタ画像が明瞭に記録されており、ポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、1.40であり、高いコントラストが得られていることが確認できた。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。さらにその効果は、冷却手段を動作させなくても得られていることが確認された。
【0203】
−書換え性−
前記書換え可能な記録媒体について、上記と同様に画像消去処理と画像記録処理を50回繰り返し行ったところ、画像消去時及び画像記録時ともに劣化が認められず、繰り返し書換えが可能であることが確認された。
【0204】
−画像保持性−
前記電界印加手段を用いたプラス帯電処理により白ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体と、マイナス帯電処理により黒ベタ画像が記録された前記書換え可能な記録媒体とをそれぞれ2ヶ月間、23℃55%RHの環境下に放置した。この間、分散媒はゲル状を保持した。放置後の前記書換え可能な記録媒体についてポータブル分光測色計(X−Rite939)を用いて濃度測定を行ったところ、白ベタ画像は0.25、黒ベタ画像は1.41であり、優れた画像保持性を示した。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。
【0205】
(実施例9)
実施例1で作製した書換え可能な記録媒体を、実施例1とは別の画像記録装置を用いて評価を行った。この画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体が直線的に搬送できるように設計し、帯電ローラーによる電界印加手段、サーマルヘッドによる加熱手段、及びファンによる冷却手段を設けた。また、前記電界印加手段及び前記加熱手段を、それぞれ前記書換え可能な記録媒体の表面側と背面側とに、対向するように設置し、電界印加工程と加熱工程とを同時に行えるようにした。
最初に前記書換え可能な記録媒体全面に電界を印加し、次いでサーマルヘッドによってパターン画像に対応した箇所に加熱を行うことによって、前記書換え可能な記録媒体にパターン画像が記録できることが確認された。また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。更に再度加熱することによって何度でも繰り返し書換え可能であることも確認された。
【0206】
(実施例10)
実施例1において、黒色電気泳動粒子を、黒色の磁性粒子に代えた以外は、実施例1と同様にして、書換え可能な記録媒体を作製した。
この書換え可能な記録媒体を、実施例1とは別の画像記録装置を用いて評価した。前記画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体が直線的に搬送できるように設計し、サーマルヘッドによる加熱手段、磁気ヘッド(永久磁石)による磁界印加手段、及びファンによる冷却手段を設けた。また、前記磁界印加手段及び前記加熱手段を、それぞれ書換え可能な記録媒体の表面側と背面側とに、対向するように設置し、磁界印加工程と加熱工程とを同時に行えるようにした。
最初に前記書換え可能な記録媒体全面に磁界を印加し、次いでサーマルヘッドによってパターン画像に対応した箇所に加熱を行うことによって、前記書換え可能な記録媒体にパターン画像を記録できることが確認された。また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。更に再度加熱することによって何度でも繰り返し書換え可能であることも確認された。
【0207】
(実施例11)
実施例1で作製した書換え可能な記録媒体を、実施例1とは別の画像記録装置を用いて評価を行った。前記画像記録装置は、前記書換え可能な記録媒体が直線的に搬送できるように設計し、加熱手段及びイオン照射ヘッドによる電界印加手段を設けた。前記書換え可能な記録媒体と前記イオン照射ヘッドとの距離は、1mmに設定した。
最初に前記加熱手段によって前記書換え可能な記録媒体全面を60℃に加熱し、次いでイオン照射ヘッドによってパターン画像に対応した箇所にイオン流を照射することによって、前記書換え可能な記録媒体にパターン画像を記録できることが確認された。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。更に再度加熱することによって何度でも繰り返し書換え可能であることも確認された。
【0208】
(実施例12)
実施例1で作製した書換え可能な記録媒体を、金属基板上にセットし、その金属基板をホットプレート上に固定し、70℃に加熱した。更に前記金属基板と金属のスタイラスとを電源で接続し、−150Vの電圧を印加しながら、スタイラスの先端を前記書換え可能な記録媒体の表面に接触させた。その結果、前記書換え可能な記録媒体に自由に文字を描くことが可能であることが確認された。
また、前記書換え可能な記録媒体に静電気を帯びたものを近づけても画質や画像濃度に変化は認められず、外的因子(静電気)に対しても画像保持性に優れることが確認できた。更に再度加熱することによって何度でも繰り返し書換え可能であることも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の書換え可能な記録媒体は、画像保持性、画像品質、コスト、安全性、フレキシブル性を備えているため、紙の代替の書換え可能な記録媒体として好適に用いることができる。
【0210】
1 第一の基材
2 第二の基材
3 分散媒
4 白色の電気泳動粒子
5 黒色の電気泳動粒子
6 スペーサー
10 第一の基材
12 液
13 塗工装置
15 加熱手段
16 第二の基材
17 ローラ
18 ローラ
20 電気泳動粒子
21 熱可逆性ゲル化剤
22 分散媒
23 加熱装置
24 水
25 粒子
30 書換え可能な記録媒体
31 熱源
32 加熱ローラ
33 加圧ローラ
34 高速応答型サーミスタ
35 サーモスタット
36 温度センサー
39 ベルト状のフィルムの回転体
40 像担持体
41 帯電器
42 露光手段
43 除電手段
44 対向電極
45 イオン照射ヘッド
46 画像消去手段
50 画像記録層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0211】
【特許文献1】特公昭50−15115号公報
【特許文献2】特許第2551783号公報
【特許文献3】特許第4410135号公報
【特許文献4】特開2007−286124号公報
【特許文献5】特開2010−002933号公報
【特許文献6】特公昭50−15115号公報
【特許文献7】特許第4168556号公報
【特許文献8】特開2001−301325号公報
【特許文献9】特許第4114374号公報
【特許文献10】特開2003−91022号公報
【特許文献11】特開2007−140367号公報
【特許文献12】特開平02−196227号公報
【特許文献13】特開2003−149691号公報
【特許文献14】特開2007−11342号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に内包された画像記録層とを有し、
前記画像記録層が、電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有し、
前記分散媒が、前記基材と接しており、
画像の記録及び消去が、外部の画像記録装置により繰返し可能であることを特徴とする書換え可能な記録媒体。
【請求項2】
熱可逆性ゲル化剤が、分子中にアミド結合を有する請求項1に記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項3】
熱可逆性ゲル化剤が、分子中にウレタン結合を有する請求項1から2のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項4】
熱可逆性ゲル化剤が、分子中にシロキサン結合を有する請求項1から3のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項5】
熱可逆性ゲル化剤の分子中におけるシロキサン結合の珪素数Aと、分子中におけるアミド結合及びウレタン結合の総数Bとが、下記式(I)を満たす請求項1から4のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
0.5≦A/B<3.0 ・・・式(I)
【請求項6】
熱可逆性ゲル化剤が、分子中に炭素数が8以上のアルキル基及び炭素数が8以上のアルキレン基の少なくともいずれかを有する請求項1から5のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項7】
分散媒が、脂肪族炭化水素及びシリコーンオイルの少なくともいずれかである請求項1から6のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項8】
画像記録層が、更に、スペーサーを含有する請求項1から7のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項9】
画像記録層の断面形状が、略円及び楕円の少なくともいずれかを複数配列させた集合体形状である請求項1から8のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の製造方法であって、
電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有する画像記録層形成材料を、前記分散媒が液状で、第一の基材に付与し画像記録層を形成する画像記録層形成工程と、
前記第一の基材上に形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する第二の基材形成工程とを含むことを特徴とする書換え可能な記録媒体の製造方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の製造方法であって、
電気泳動粒子及び磁気泳動粒子の少なくともいずれかと、分散媒と、熱可逆性ゲル化剤とを含有する分散液を、該分散媒とは非相溶の液体と混合することによって、前記分散液からなるゲル状の粒子を作製するゲル状粒子作製工程と、
前記ゲル状の粒子を第一の基材上に付与し画像記録層を形成し、形成された前記画像記録層上に、第二の基材を形成する画像記録層及び第二の基材形成工程とを含むことを特徴とする書換え可能な記録媒体の製造方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体と、
前記書換え可能な記録媒体を加熱する加熱手段、並びに、前記書換え可能な記録媒体に電界を印加する電界印加手段及び磁界を印加する磁界印加手段の少なくともいずれかを有する画像記録装置とを有することを特徴とする画像記録セット。
【請求項13】
画像記録装置が、更に、書換え可能な記録媒体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して前記書換え可能な記録媒体に記録された画像を消去する画像消去手段を有する請求項12に記載の画像記録セット。
【請求項14】
加熱手段及び電界印加手段が、放電体と加熱部材とを備えたイオン照射ヘッドである請求項12から13のいずれかに記載の画像記録セット。
【請求項15】
電界印加手段が、静電潜像を形成できる像担持体を有し、磁界印加手段が、磁気潜像を形成できる像担持体を有する請求項12から13のいずれかに記載の画像記録セット。
【請求項16】
請求項1から9のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の画像記録層全体を加熱する加熱工程と、加熱された前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の少なくとも一部に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して画像を形成する画像形成工程とを含むことを特徴とする画像記録方法。
【請求項17】
請求項1から9のいずれかに記載の書換え可能な記録媒体の画像記録層全体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加する印加工程と、前記電界及び前記磁界の少なくともいずれかが印加された前記書換え可能な記録媒体の前記画像記録層の少なくとも一部を加熱して画像を形成する画像形成工程とを含むことを特徴とする画像記録方法。
【請求項18】
更に、書換え可能な記録媒体に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して前記書換え可能な記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程を含む請求項16から17のいずれかに記載の画像記録方法。
【請求項19】
加熱工程及び電界の印加が、放電体及び加熱部材を備えたイオン照射ヘッドにより行われる請求項16から18のいずれかに記載の画像記録方法。
【請求項20】
電界の印加が、静電潜像を形成できる像担持体を用いて行われ、磁界の印加が、磁気潜像を形成できる像担持体を用いて行われる請求項16から18のいずれかに記載の画像記録方法。


【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公開番号】特開2012−215835(P2012−215835A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24084(P2012−24084)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】