説明

最大用量制限エレメントを備えた用量設定機構

第一と第二の構成部分(2、4)の間の相対運動を制限するように設計された第一及び第二の最大用量停止機能(1、3)を備えた、薬物送達デバイスの第一の構成部分(2)上に、第一の最大用量停止機能(1)、及び薬物送達デバイスの第二の構成部分(4)上に対応する第二の最大用量停止機能(3)を含んでなる、薬物送達デバイス用の用量設定機構が提供される。選択可能な最大用量を制限するために、第一と第二の最高用量停止機能(1、3)の間の第一の構成部分(2)上に挿入された最大用量制限スリーブ(5、10、10’、10’’、10’’’)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物送達デバイス用の用量設定機構に関する。
【0002】
医療デバイスの製造において、共通のデバイスプラットフォームに基づいて、一連の製品を製造する有意性は、しばしば、存在する。例えば、製造プロセスの簡略化又は製品コストの低減がそのような有意性である。
【0003】
注射可能な医薬品を投与する共通の手段は、変更可能な用量の注射手段を有する薬物送達デバイスである。そのような薬物送達デバイスのプラットフォームが、多くの注射可能な医薬品のために使用されるとき、プラットフォームの設計された最大用量は、送達すべき各薬剤に対して適切でないかもしれない。一例は、以下に述べる長時間作用型インスリン及び短時間作用型インスリンであり得る。
【背景技術】
【0004】
最先端の技術における薬物送達デバイスの最大用量を制限する手段は、公知である。特許文献1は、自己投与の注射ペン装置を開示し、ここで、用量制限スリーブは、二つの明確な構造よりなる用量ノブ停止アセンブリに連結される。一つの実施態様において、用量制限スリーブは、両端が開放端である管状構造である。二つの明確な構造の一つは、一つの開放端内に位置する。この構造は、一セットのねじ溝を含みそして用量制限スリーブの管状構造は一セットのレールを含む。ねじ溝及びレールのセットは、二つの構造の一つ及び用量制限スリーブ管状構造は一緒に回転できるように、二つの構造の一つ及び用量制限スリーブの管状構造と回転しながら連結する。特許文献1に記載の用量制限スリーブは、使用者(即ち、医療専門家、並びに、患者)が、事前決定された、及び事前設定された限界値を設定するために、このスリーブの相対的位置を調整するための特別のツールを適用することにより選択的に係合できる。
【0005】
薬物送達デバイス及びその駆動機構の主要な組立は、本出願人の特許文献2で開示され、その参照は更に詳細になされる。
【0006】
一般的な種類の薬物送達デバイスは、正規の医学的訓練を受けていない人、即ち患者による規則的な注射が発生する場合に適用される。しかし、この環境は、そのような薬物送達デバイスに対して幾つかの対策を必要とする。デバイスは構造上強固であり、患者による部品の操作及びその操作の理解の両方の観点より、容易に使用できる必要がある。例えば、糖尿病患者の場合、多くの使用者は肉体的に虚弱であり、そして、また、視力に障害があるかも知れない。
【0007】
従って、最新の制限手段の一つの著しい欠点は、患者自身が医療専門家の管理なしで、最大用量を変更できる可能性があることである。これは、間違った操作に起因して送達される薬剤の過剰投与に導くかもしれない。
【0008】
別の欠点は、最新技術での制限手段の複雑な技術において識別できる。特許文献1のカラム20、30〜32行から明白になる通り、二つの明確な構造は、変更可能な長さを得るために、即ち、個々のデバイスから投与される最大用量を変更するために、用量制限スリーブ、並びに、多くのねじ溝及びレール(rail)と一緒に使用される。そのような構造は、製造プロセスの簡略化又は製品コストの低減に貢献しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US第5514097号
【特許文献2】EP第1603611号B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、薬物送達デバイス(注射デバイス)の最大用量を改変することを可能とする改良された用量設定機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の欠点は本発明で解決され、それは、使用者が変更可能な用量機能を有する薬物送達デバイスで設定することができる、最大用量をあらかじめ制限するための簡単な手段である。換言すれば、本発明に基づき、薬物送達デバイスの最大用量を、最大用量制限デバイスである単独の構成部品のみを任意に追加することにより改変することを可能にするデバイスが提供される。さらにその上、この一つの単独の構成変更部品、即ち、最大用量制限スリーブを有する用量設定機構は、印刷などのいかなる特別な表面処理も必要とせずに、そして複雑な、又は正確な組立を必要としない、極めて簡単な単独の構成部品である。
【0012】
特に、薬物送達デバイスの第一の構成部分に第一の最大用量停止機能、及び薬物送達デバイスの第二の構成部分に対応する第二の最大用量停止機能を含み、第一と第二の構成部分間の相対運動を制限するように設計された第一及び第二の最大用量停止機能を備えた、薬物送達デバイス用の用量設定機構が提供される。更に、第一と第二の最大用量停止機能の間の第一の構成部分に挿入され、そして 第一の最大用量停止機能にはめ合う第一端上に嵌合い機能を有し、そして第一の最大用量停止機能を複製する第二端上に複製停止機能を有する最大用量制限デバイスが提供される。
【0013】
好ましくは、最大用量制限デバイスは、管軸方向の対向する両側に開放端を有する本質的に円筒状の断面積を備え、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能にはめ合う管体の一方の開放端上に設けられる嵌合い機能を備え、そして、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能を複製する管体の他方の開放端上に設けられる複製停止機能を備えた管体を含む最大用量制限スリーブである。その中で、嵌合い機能は、薬物送達デバイスに対する回転及び並進の両方向で最大用量限定スリーブの位置を画成し、ここで、最大用量制限スリーブは、薬物送達デバイスの第一構成部分の直径に対する締りばめを備えて設計される。
【0014】
最大用量制限スリーブの内径は、薬物送達デバイスの第一の構成部分の外径に対する締りばめを備えて設計され得る。その上、最大用量制限スリーブの外径は、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能の外径と同じであってもよい。あるいは、最大用量制限スリーブの外径は、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能の外径より小さくでもよく、好ましくは、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能の外径の80〜99%の間であり、特に好ましくは、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能の外径の90〜95%の間である。
【0015】
好ましくは、最大用量制限スリーブの長さ、及び/又は、最大用量制限スリーブの第二の最大用量停止機能に関する前記複製停止機能の角位置は、事前に定義された、所望の限定用量値に基づき設計される。より好ましくは、最大用量停止トルクは、最大用量制限スリーブを通して、直接、薬物送達デバイスの第一の最大用量停止機能に伝達される。
【0016】
上記に加えて、ハウジング;上記で記載の用量設定機構;スピンドルを含み、そして少なくとも用量の設定中、前記用量設定機構と相互作用する駆動機構;並びに薬剤で充填され、及び前記ハウジング、及び/又は、前記駆動機構に取り付け可能なカートリッジを含む薬物送達デバイスは提供される。
【0017】
最高用量停止が、使用者/患者又は医療専門家により変更可能である最新技術と対比して、最大用量は、本発明の最大用量制限スリーブを挿入することにより工場で事前設定され、一方、最大用量のいかなる操作も実施できないように薬物送達デバイスを組み立てる。
【0018】
本発明は、更に、用量設定機構を含んでなる薬物送達デバイスを参照し、用量設定機構は、
前記薬物送達デバイスの第一の構成部分上に第一の最大用量停止機能、
前記第一と第二の構成部分の間の相対回転運動を制限するように設計された第一及び第二の最大用量停止機能を備えた、前記薬物送達デバイスの第二の構成部分上の対応する第二の最大用量停止機能、
前記第一と第二の最大用量停止機能の間の前記第一の構成部分上に挿入され、そして前記第一最大用量停止機能にはめ合う第一端上に嵌合い機能、及び前記第一の最大用量停止機能を複製する第二端上に複製停止機能を有する、最大用量制限デバイスを含んでなる。
【0019】
この薬物送達デバイスにおいて、前記最大用量制限アウリーブは、好ましくは、
管軸方向の対向する両側で開放端を有する本質的に円筒状断面を備えた管体を含んでなり、
前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能にはめ合う管体の一方の開放端上に設けられる前記嵌合い機能を備え、そして
前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能を複製する前記管体の他の開放端に設けられる前記複製停止機能を備え、
前記嵌合い機能は、前記薬物送達デバイスに対する回転方向及び並進の両方向において、前記最大用量制限スリーブの位置を画成し;
前記最大用量制限スリーブは、前記薬物送達デバイスの前記第一の構成部分の直径に対する締りばめを備えて設計される、
最大用量制限スリーブである。
【0020】
この薬物送達デバイスにおいて、前記最大用量制限スリーブの内径は、前記薬物送達デバイスの第一の構成部分の外径に対する締りばめを備えて設計し得る。
【0021】
前記最大用量制限スリーブの外径は、前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能の外径と同一であり得る。
【0022】
前記最大用量制限スリーブの前記第二の最大用量停止機能に対する前記最大用量制限スリーブの長さ、及び/又は、前記複製停止機能の角位置は、事前に定義された、所望の限定用量値に基づき設計し得る。
【0023】
複製停止機能が第二の構成部分と接触するとき、最大用量停止トルクは、好ましくは、前記最大用量制限スリーブを通して、直接、前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能に伝達される。
【0024】
本発明に記載の薬物送達デバイスは、好ましくは、更に、ハウジング;スピンドルを含み、そして少なくとも、用量の設定中、前記用量設定機構と相互作用する駆動機構;及び薬剤で充填され、そして前記ハウジング、及び/又は前記駆動機構に取り付け可能なカートリッジを含む。
【0025】
本明細書で使用する用語「薬剤」、少なくとも一つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの処置、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための、少なくとも一つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも一つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0026】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0027】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0028】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0029】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0030】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0031】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0032】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0033】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences” 17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0034】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
下記に、本発明は、実施例を用いて、図面を参照して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】薬物送達デバイスの概略図を示す。
【図2】最大用量制限デバイスに適用した図1の薬物送達デバイスの概略図を示す。
【図3】最大用量制限スリーブの概略図を示す。
【図4】最大用量制限スリーブ及び第二の構成部分のかみ合いを概略示す。
【図5】異なった長さを有する最大用量制限スリーブを適用する概略図を示す。
【0037】
これ以降、本発明の特徴は、本出願人のEP第1603611号B1に開示された薬物送達デバイスを参照して説明される。
【0038】
本発明は、この特定の薬物送達デバイスを参照して説明されるが、用量設定機構は、他の変更可能な用量注射デバイスに適用可能であるかもしれず、ここで最大用量は同様の方法で制限される。換言すれば、それは、いかなる薬物送達デバイスにも等しく適用し得て、ここで、最大用量の停止は、互いに向かって動く二つの別の構成部品の機能により、そして、最大用量に到達したときの接触により決定される。これは、回転運動する構成部品に対して、例えば、ダイヤルで変更可能な用量ペンで、又は軸方向に走行する構成部品に対して、例えば、引き−押し固定化用量ペンの両方に適用できるであろう。更にその上、本発明は使い捨ての薬物送達デバイスに関して記載されるが、また、再使用可能薬物送達デバイスに対しても適用可能である。
【0039】
EP第1603611号B1で開示された薬物送達デバイスにおいて、最大用量停止(また、80ユニット停止として知られているが)は、用量ダイヤルスリーブ2(第一構成部分に対応して)の外面に成形された突起1(即ち、最大用量停止機能)と、構成部分4(例えば、ねじ山インサート)の内面に成形された対応する突起3(即ち、最大用量停止機能)の間の接触により達成される。これは図1で示される。対応する突起(即ち、最大用量停止機能)は、また、第一及び第二の構成部分2、4の反対側に存在する。
【0040】
本発明に記載の用量設定機構は、一般的な種類の薬物送達デバイスの組立に、場合により、含まれてもよい追加の構成部品5を含む。図2から判明する通り、この追加の構成部品は、管軸の反対側にある開放端12、13を有する、本質的に、円筒状の断面を備えた管体11を有するスリーブ10として設計される。用量設定機構5は、薬物送達デバイス、例えば、注射ペンの第一の構成部分2と組立てられる。用量設定機構は、第一の構成部分2の第一の最大用量停止機能1にはめ合う嵌合い機能6、及び第一構成部分2の停止機能を複製する複製停止機能8を有する。
【0041】
第一構成部分2の直径にはめ合う締りばめと組み合わされた嵌合い機能6は、第一構成部分2に対して回転方向と並進(軸方向に)方向の両方向に構成部品5を位置付けする。構成部品5の他端は、複製停止機能8を運ぶ。構成成分の図示された実施例は図2で示す。
【0042】
この特別の実施態様において、構成備品5は、図3で示す通り、最大用量制限スリーブ10である。最大用量制限スリーブ10の内径は、それを定位置で保持するために第一構成部品にはめ合う締りばめで設計される。しかし、締りばめのはめ込みには、最大用量停止トルクを提供する必要はない。改変された最大用量は、ダイヤル設定され、そして複製停止機能8は、第二の構成部分と接触するとき、停止トルクは、最大用量制限スリーブ10を通して、直接、第一の構成部分2の嵌合い機能6に伝達される。
【0043】
最大用量制限スリーブ10の外径は、第一の構成部分2の第一の最大用量停止機能の直径と同じである。換言すれば、最大用量制限スリーブ10の肉厚は、第一の構成部分2に成形された最大用量の停止突起の高さと同じである。端部表面の非停止機能部分は、それらが第一の構成部分2のねじ山と干渉しないように、第一の構成部分2のねじ山と同じらせんに従う。従って、最大用量制限スリーブ10は、更なる機構部品のいかなる走行にも、特に、第一の構成部分2の第二の構成部分4内の回転も干渉しない。それ故、薬物送達デバイスの普通の操作(改変された最大用量まで)は、最大用量制限スリーブ10の存在により影響を受けない。改変された最大用量がダイヤル設定されたとき、第二の構成部分4の位置、最大用量制限デバイス5及び第一の構成部分4は図4に示される。
【0044】
最大用量制限スリーブ10の長さ、及び第一の構成部分2の第一の最大用量停止機能1に相対する複製停止機能8の角位置を適切に設計することにより、最大用量は、いかなる所望の値にも減少できる。これは図5で示される。この実施例において、三つの最大用量制限スリーブ10’、10’’、10’’’は、それぞれ、第一の構成部分2の一つのねじ山ピッチ分の長さが異なる。従って、最大用量制限スリーブ10の各増分は、第一の構成部分2の一回転によりダイヤル設定できる最大用量を減少させる。EP第1603611号B1で開示される薬物送達デバイスの場合、これは、20ユニットの工程で最大用量を減少させる。
【0045】
本発明に記載の用量設定機構は、薬物送達デバイスの最大用量を、一つの単独構成変更部品の任意の追加のみで改変することを可能にする。更にその上、この構成変更部品、即ち、最大用量制限スリーブ10は、印刷を必要としない、そして複雑な又は正確な組立を必要としない極端に簡単な構成部品である。
【0046】
本明細書で開示された用量設定機構に対する代替の解決策としては、現存する構成部品の改変が考えられる。例えば、これらは、最大用量停止、即ち、第一の構成部分2又は第二の構成部分4を定義する構成部品に対する改変であり得る。EP第1603611号B1で開示された薬物送達デバイスの第一の構成部分2(例えば、用量ダイヤルスリーブ)は、製造し、また、印刷工程を必要とするための特に挑戦的な構成部品である。EP第1603611号B1で開示された薬物送達デバイスにおける第二の構成部分4(例えば、ねじ山インサート)は、また、製造するのに適度に複雑であり(用量設定機構と比較して)、そして用量視界窓を形成するために、高度に磨かれた「レンズ」表面を要求する。
【0047】
その上、第二の構成部分4、及び、特に、第一の構成部分2は、また、デバイスの変動の間のこれらの構成部品における性能及びいかなる変動に対しても重要であり、これらのデバイスの変動の性能に、潜在的に影響を与えるかもしれない。
【0048】
従って、本発明の一つの主要な有意性は、デバイスの変動に対する製品コストを最小に維持することである。用量設定機構の更なる有意性は、基礎機構の性能が影響を受けないことである。
【実施例】
【0049】
用量設定機構は、異なった薬剤又は薬剤濃度が薬物送達デバイスの共通のプラットフォームを基礎とするデバイスで送達されるデバイスの「群」が存在するときはいつも使用できる。
【0050】
〔実施例1〕
長時間作用型インスリン及び短時間作用型インスリン(例えば、「Lantus」及び「Apidra」)
患者に対する安全性の理由のため、送達デバイスにおける長時間作用型インスリンの最大用量と比較して、短時間作用インスリンの最大可能用量を低下させることは好ましいかもしれない。従って、本発明は、単独の薬物送達デバイスを基礎にした異なった最大用量を備えた両型のインスリンを提供することに、例えば、異なった用量設定機構を有するEP第1603611号B1に開示された薬物送達デバイスに有用である。
【0051】
〔実施例2〕
インスリングラルギン(Lantus)/AVE−0010の組合せ送達デバイス
この組合せの薬剤の一送達概念において、二つの活性な成分が、一処方において、及び一カートリッジにおいて共に提供される。患者は、Lantusの変動可能用量を送達することを必要とし、従って、AVE−0010(グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体作用薬及びインスリン分泌促進薬)の変動可能用量を受け入れるであろう。全ての患者が、Lantusの用量に関係なく、AVE−0010の有効用量を受け入れることを確実にするために、数種の製剤が必要とされ、例えば、各製剤は、Lantusの固定濃度(U100)を有するが、AVE−0010の変動濃度を有することはあり得る。必要なLantusの用量に依存して、患者は、最良であり、そして彼らに正しいAVE−0010用量を与える特定製剤を処方される。これらの処方は、各々、別の送達デバイスで送達されるが、これは、理想的には、同一のデバイスプラットフォームに基づくであろう。不適切な処方を受け入れるかもしれない患者が、AVE−0010の過剰投与を受け取らないことを確実にするために、デバイスが送達でき得る最大用量を低下させることは利点であり得るかもしれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス用の用量設定機構であって、
該薬物送達デバイスの第一の構成部分(2)上の第一の最大用量停止機能(1)、
第一及び第二の構成部分(2、4)間の相対運動を制限するように設計されている第一及び第二の最大用量停止機能(1、3)を備えた、該薬物送達デバイスの第二の構成部分(4)上の対応する第二の最大用量停止機能(3)、
該第一と第二の最大用量停止機能(1、3)の間の該第一の構成部分(2)上に挿入され、そして該第一の最高用量停止機能(1)にはめ合う第一端(7)上の嵌合い機能(6)及び該第一の最高用量停止機能(1)を複製する第二端(9)上の複製停止機能(8)を有する最大用量制限デバイス(5、10、10’、10’’、10’’’)、
を含んでなる、上記用量設定機構。
【請求項2】
前記の最高用量制限デバイス(5)が
管軸方向の対向する両側に開放端(12、13)を有する、本質的に円筒状断面を備え、
前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能(1)にはめ合う管体(11)の一方の開放端(12)上に設けられる前記嵌合い機能(6)、及び
該薬物送達デバイスの該第一の最大用量停止機能(1)を複製する該管体(11)の他方の開放端(13)上に設けられる前記複製停止機能(8)を備えた、
管体(11)を含んでなる;
最高用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)であり、
該嵌合い機能(6)は、該薬物送達デバイスに対する回転及び並進の両方向において、該最大用量制限スリーブ(10)の位置を規定し、
該最大用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)は、該薬物送達デバイスの前記第一の構成部分(2)の直径に対する締りばめを備えて設計される、請求項1に記載の用量設定機構。
【請求項3】
前記最大用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)の内径が、前記薬物送達デバイスの第一の構成部分(2)の外径に対する締りばめを備えて設計される、請求項1又は2に記載の用量設定機構。
【請求項4】
前記最大用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)の外径が、前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能(1)の外径と同一か、又はそれより小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の用量設定機構。
【請求項5】
前記最大用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)の長さ、及び/又は該最大用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)の前記第二の最大用量停止機能(4)に対する前記複製停止機能(8)の角位置が、事前に定義され、所望の限定用量値に従って設計される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の用量設定機構。
【請求項6】
最大用量停止トルクは、前記最大用量制限スリーブ(10、10’、10’’、10’’’)を通して、直接、前記薬物送達デバイスの前記第一の最大用量停止機能(1)に伝達される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の用量設定機構。
【請求項7】
ハウジング;請求項1〜6のいずれか1項に記載の用量設定機構;スピンドルを含み、該用量設定機構と少なくとも用量の設定中相互作用する駆動機構;及び薬剤で充填され、そして該ハウジング及び/又は該駆動機構に取り付け可能なカートリッジを含んでなる、薬物送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−514100(P2013−514100A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543740(P2012−543740)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069863
【国際公開番号】WO2011/073302
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】