説明

最小限の侵襲での背側からの脊柱変形矯正

装置は脊柱側弯等が引き起こす脊柱変形を矯正するように動作可能である。当該装置は最小限の侵襲で患者の背側から用いることができる。雌ねじと内部ロッドの組み合わせ、並びに外部ピン、ロッド、及び矯正機構を用いてファセットの非固定及び対象の脊柱の並進矯正を得る。内部ロッドは経皮的に挿入され、対象の脊柱に固定されて、変形矯正を維持する。次に、外部構成要素を取り外して、小さい切開部を縫合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権]
本願は、2005年7月15日に出願された米国仮特許出願第60/699,676号(その開示は本明細書に参照により援用される)に対する優先権及びその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
脊柱変形は、脊柱側弯症に関係した側弯変形及び脊柱後弯症に関係した「猫背(round back)」等、様々な形態で見られる。様々なタイプの脊柱側弯症としては、若年性側弯症、思春期側弯症、成人側弯症、特発性側弯症、先天性側弯症、変性側弯症、後天性側弯症、構築性側弯症、及び機能性側弯症が知られているがこれらに限定されない。同様に、様々なタイプの脊柱後弯症としては、体位性後弯症、構築性後弯症、ショイエルマン後弯症、先天性後弯症、亀背変形後弯症、高度後弯症、移動性後弯症、及び固定性後弯症が知られているがこれに限定されない。かかる脊柱変形を処置又は矯正するのにいくつかの方法及び装置が使用及び製造されているが、本発明者より先に添付の特許請求の範囲に記載されている発明を製造又は使用している者はいない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求している特許請求の範囲で始まっており、本発明は、同様の参照符号が同じ要素を特定している添付の図面と共に以下の説明からよりよく理解されるであろうと考えられる。以下に続く図面及び詳細な説明は例示にすぎず、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲に限定することを意図しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下の説明は本発明の範囲を限定するために用いられているものではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施することが意図される最良の形態のうち1つを例示として含む以下の説明から当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本発明は、本発明から逸脱しない限り他の異なる自明の態様を有することができる。したがって、図面及び説明は本質的に例示と見なされるべきであり、限定するものと見なされないべきである。ゆえに、本発明者は、本明細書に明確に開示されていない広範の実施形態を意図することを理解されたい。
【0005】
本例の装置10は複数のスクリューガイドワイヤ12と、複数のカニューレ状(cannulated)スクリュー20と、複数の外部ロッド40、60と、複数のファセットアンロック機構80と、複数の並進的矯正機構100と、一対のロッドガイドワイヤ120と、一対の内部ロッド130又は150と、複数の締結部材170とを備える。
【0006】
図1に示すように、本例のスクリューガイドワイヤ12のそれぞれは、セルフタッピングねじ端14を有する。セルフタッピングねじ端14は、ねじ込み動作により、スクリューガイドワイヤ12が椎骨202等の骨に挿入され得るように構成される。本例のスクリューガイドワイヤ12はそれぞれ、以下に説明するように、対象の(affected:変形を受けている)椎骨202に設置された後、皮膚の高さ位置を超えて突出するのに実質的に十分な長さを有する。
【0007】
図2及び図3に示すように、本例のカニューレ状スクリュー20はそれぞれ、ねじ切り部22と、「U」字状近位部24と、カニューレ状スクリュー20の軸に沿って位置する開口26とから成る。開口26は、その内径がスクリューガイドワイヤ12の外径よりも大きくなるような寸法である。「U」字状近位部24は、第1のアーム28及び第2のアーム30から成り、これらアームが共に「U」字状を画定している。代替的に、第1のアーム28及び第2のアーム30は三角形、矩形、又は他の形状を画定してもよい。いずれの場合も、本カニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24は、以下に説明するように、内部ロッド130を収容するように構成される。
【0008】
図示のように、第1のアーム28は第2のアーム30よりも長い。しかしながら、第1のアーム28及び第2のアーム30は任意の他の構成を有してもよいことが理解されるであろう。第1のアーム28からは導入支柱(leading post)32が突出している。導入支柱32はカニューレ状スクリュー20の軸に対して平行である。導入支柱32はそのねじを緩める等によりカニューレ状スクリュー20から取り外し可能である。カニューレ状スクリュー20及びその構成要素の構造上及び機能上の変形形態は当業者には明らかであろう。カニューレ状スクリュー20の代わりに、他の締結具又はアンカー(例えばステープル等)が挙げられるがこれらに限定されない、任意の他の適した構造を用いてもよいことも理解されるであろう。
【0009】
図4〜図5に示すように、本例の外部ロッド40、60は、スロット付き(slotted)外部ロッド40及びクリップ付き(clipping)外部ロッド60を含む。本例の外部ロッド40、60は全て実質的に剛性であり、最上部の椎骨202Aと対象の最下部の椎骨202Bとの間の距離を超える長さを有する。代替的に、任意の他の適した長さを用いてもよい。理解されるように、本例のロッド40、60は、対象の椎骨202に対して他の部品を安定化させるように構成されるが、広範の代替目的の役割も果たし得る。
【0010】
スロット付き外部ロッド40はその軸に沿って延びる細長いスロット42を有する。細長いスロット42はカニューレ状スクリュー20の導入支柱32を受け入れる寸法であり、それにより、導入支柱32とスロット付き外部ロッド40との相対的な軸方向移動が可能であるが、導入支柱32とスロット付き外部ロッド40との相対的な並進移動は阻止される。細長いスロット42はいくつかの導入支柱32を整合状態で収容することができることが理解されるであろう。
【0011】
スロット付き外部ロッド40の一変形形態(variation)は、それぞれが外部ロッドの側から延びる複数のクリップ付き部材を有するロッド(図示せず)を備える。この実施形態では、クリップ付き部材はカニューレ状スクリュー20の導入支柱32と係合し、外部ロッドに沿って長手方向に自由に摺動可能である。スロット付き外部ロッドの他の代替形態は当業者には明らかであろう。
【0012】
本例では、クリップ付き外部ロッド60のそれぞれは、複数のクリップ部材62を有する。クリップ部材62はそれぞれ、カニューレ状スクリュー20の導入支柱32と係合するように構成される。クリップ部材62はそれぞれ、導入支柱32とクリップ付き外部ロッド60との相対的な軸方向移動及び並進移動を防止するようにさらに構成される。スロット付き外部ロッド40と同様に、クリップ付き外部ロッド60はそれぞれ、いくつかの導入支柱32と整合状態で係合し得る。一実施形態では、クリップ付き外部ロッド60の軸に沿って各クリップ部材62の位置が固定される。別の実施形態では、クリップ付き外部ロッド60の構成により、クリップ部材62の軸方向の調整が可能となり、それにより、クリップ付き外部ロッド60の軸に沿って各クリップ部材62の位置が調整されてから選択的に固定されてもよい。
【0013】
各タイプの外部ロッド40、60の他の変更形態は、当業者には明らかであろう。
【0014】
本例では、図6に示すように、ファセットアンロック機構80はそれぞれ、ハウジング82と、ノブ84と、ピニオン86と、可撓性ラック88とを備える。ピニオンは、可撓性ラックの一部と同様にハウジング内に位置する。ハウジング82はさらに、並進矯正機構100の並進スクリュー部材108を受け入れるように構成されている特徴部90(この構成は以下に示す)を備える。ノブ84及びピニオン86は(例えばベベル又はスクリューギア等により)機械的に連通し、そのため、ノブ84の回転によりピニオン86の回転が行われる。かかる連通を与えるのに適した構成は当業者には明らかであろう。ピニオン86は複数の歯92を有し、これら歯92は可撓性ラック88のリブ94と係合するように構成される。歯92とリブ94とのこの係合により、可撓性ラック88がピニオン86の回転に応じて(すなわちピニオン86の回転方向に)前進する。
【0015】
可撓性ラック88は一対の端96を有し、ピニオン86と係合するように可撓し得るように構成される。しかしながら、可撓性ラック88はさらに、可撓性ラック88の端に作用する軸方向の力に応じて屈曲又は座屈に抗するように構成される。可撓性ラック88の端96はそれぞれ、カニューレ状スクリュー20の導入支柱32と係合するように構成される。可撓性ラック88の各端96がそれぞれの導入支柱32と係合する場合、かかる係合により、可撓性ラック88が導入支柱32に反対の軸方向の力を伝達することが可能となる(例えば、一方の導入支柱32を「押す」と同時に他方の導入支柱32を「引く」)。本例のハウジング82はさらにレール98を有し、レール98は、可撓性ラック88をガイドするように構成される。当然のことながら、種々の代替的な特徴を用いてもよい。
【0016】
別の実施形態(図示せず)では、一対の剛性ラックが単一の可撓性ラック88の代わりに用いられる。この実施形態では、剛性ラックはピニオン86の各側に位置し、それにより、ノブ84の回転時に剛性ラックの一方が「押す」と同時に他方が「引く」ようにする。これらの剛性ラックの他の特徴及び機能は可撓性ラック88の特徴及び機能と同様である。さらに別の実施形態では、ラック88の一部分(例えばハウジング82内の部分)は可撓性であり、ラック88の別の部分(例えばハウジング82外の部分)は剛性である。
【0017】
上記に鑑み、また、以下にさらに詳細に説明するように、ファセットアンロック機構80のノブ84の回転は、1つの導入支柱32の「押し」を行うと同時に別の導入支柱32の「引き」を行うように動作可能であり、「押し」及び「引き」はノブ84が回転する方向により変わる。当然のことながら、ファセットアンロック機構80の広範の他の構成があり、そのような構成により、同じ又は同様の成果を得ることができる。もっぱら例示として、ノブ84、ピニオン86、可撓性ラック88、又は剛性ラックに対し任意の適した代替物を用いることができる。他の代替的な機構及び変形形態は当業者に明らかであろう。
【0018】
図7に示すように、本例の並進矯正機構100はそれぞれ、ノブ102と、ハウジング104と、クリップ部材106と、並進スクリュー部材108とを備える。ノブ102及び並進スクリュー部材108は機械的に連通し、ノブ102の回転により並進スクリュー部材108の軸方向移動が行われるように構成される。換言すれば、並進スクリュー部材108は、ノブ102の回転に応じてハウジング104に対して軸方向に前進及び後退するように構成される。かかる成果を与える適した構成は当業者には明らかであろう。
【0019】
各並進矯正機構100のクリップ部材106は、スロット付き外部ロッド40と係合するように構成される。したがって、並進矯正機構100がスロット付き外部ロッド40とそのように係合すると、クリップ部材106がスロット付き外部ロッド40に対する並進矯正機構100の並進移動を防止する。クリップ部材106はさらに、ピン110を有し、ピン110は並進矯正機構100のハウジング104に対して半径方向外方に突出している。ピン110は、並進矯正機構40がスロット付き外部ロッド40にクリップ留めされると、スロット付き外部ロッド40の細長いスロット42と係合するように構成される。したがって、並進矯正機構100がスロット付き外部ロッド40とそのように係合すると、ピン110はスロット付き外部ロッド40に対する並進矯正機構100の回転を防止する。スロット付き外部ロッド40の代わりに、自由に長手方向に移動するクリップ部材62を有する外部ロッド60を用いる場合、孔、凹部、細長いスロット、又は他の特徴部をかかる外部ロッド60内に採り入れて各並進矯正機構のクリップ部材106のピン110を収容するようにしてもよい。代替的に、ピン110及び/又はクリップ部材62又は106は、ピン110がクリップ部材62と係合するように構成されてもよい。さらに他の適した構成が当業者には明らかであろう。
【0020】
一実施形態では、ハウジング104の軸に沿って各クリップ部材106の位置が固定される。別の実施形態では、並進矯正機構100の構成により、クリップ部材106の軸方向の調整が可能であり、そのため、ハウジング104の軸に沿った各クリップ部材106の位置を調整してから選択的に固定してもよい。
【0021】
図8に示す別の実施形態では、アーム118が並進矯正機構100のハウジング104から延びる。この実施形態では、クリップ部材106はアーム118の端に位置する。図示のように、アーム118は様々な方向に曲がることができるか、或いは別様には任意の適した程度又は向きに任意の寸法で延びることができる。アーム118の曲げの適した数及び向きは当業者には明らかであろう。曲がったアーム118により、部品が密集する可能性若しくはその影響、又は装置10の使用の際の他の構造による妨げを低減し得ることが理解されるであろう。また、曲がったアーム118により装置10の使い易さが増すであろう。代替的に、アーム118は実質的に直線であってもよく又は湾曲していてもよい。さらに別の実施形態では、アーム118は調整可能である。アーム118についてのさらに他の変形形態は当業者には明らかであろう。
【0022】
並進矯正機構100についての種々の代替的な構成(クリップ部材106に対する代替物が挙げられるがそれに限定されない)を用いてもよいことが理解されるであろう。
【0023】
上記に説明したように、ファセットアンロック機構80のハウジング82は、並進矯正機構100の並進スクリュー部材108を受け入れるように構成される特徴部90を有する。したがって、並進スクリュー部材108は、ファセットアンロック機構80に並進力を与えることができる。かかる並進力の伝達の際に並進スクリュー部材108が回転する限り、ハウジング82の特徴部90は、並進スクリュー部材108の回転によりファセットアンロック機構80の対応する回転を生じないか又は促さないように構成されてもよい。例えば、ハウジング82の特徴部90は、並進スクリュー部材の回転を吸収するようにブシュ及び/又はベアリングアセンブリを備えてもよい。代替的に、並進スクリュー部材108の遠位端は、キャップ112、又は並進スクリュー部材108に対して自由に回転することが可能である他の部品を有してもよい。この実施形態では、キャップ112又は他の部品はハウジング82の特徴部90と係合し、そのため、ハウジング82には何の回転も与えられない。一実施形態では、キャップ112は周方向の凹部114を有し、この凹部114は特徴部90内の環状突起116と係合するように構成される。ファセットアンロック機構82のハウジング82に対する並進スクリュー部材108による回転の連動(communication)を防止するためのさらに他の構造及び技法は、当業者には明らかであろう。代替的に、並進スクリュー部材108は並進の際に回転が全く起こらないものとしてもよい。
【0024】
本例の内部ロッド130又は150は初めは可撓性であるように構成されるが、選択的に実質的に剛性とすることができる。以下にさらに詳細に説明するように、内部ロッド130又は150はそれぞれ、対象の椎骨200の最上部の椎骨202Aと最下部の椎骨202Bとの間の距離よりも長いか又はその距離にほぼ等しい長さを有する。代替的に、任意の他の適した長さを用いてもよい。さらに、上記に説明したように、また、以下にさらに詳細に説明するように、本例の内部ロッド130又は150のそれぞれは、カニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24と係合するような寸法である。理解されるように、本例の内部ロッド130又は150は、ファセットアンロック機構80及び並進矯正機構100を用いて得られる、対象の椎骨202の整合を維持するように動作可能であるが、ロッド130又は150は広範の代替目的を果たすことができる。
【0025】
一実施形態では、内部ロッド130は「バーニーネイル(Barney Nail)」と一般的に呼ばれるタイプ等の多セグメントロッド130から成る。多セグメントロッドの部分図を図10に示す。多セグメントロッド130が可撓状態にあるとき、各セグメント134間に間隙132があり、この間隙132により、隣接し合うセグメント134に対する各セグメント134の或る程度の移動が可能となる。しかしながら、セグメント134は、一ユニットを形成するように互いに噛み合っている。付加的に又は代替的に、内部部材がセグメント134内に同軸配置され、この内部部材はセグメント134どうしが離れないように構成される。多セグメントロッド130は、ユーザが多セグメントロッド130を選択的に剛性にすることができる特徴部を有する。例えば、多セグメントロッド130は、スクリュー136を有してもよく、このスクリュー136は、十分に回転すると以前は可撓性であった多セグメントロッド130を剛性にする。内部ロッドとして使用するのに適している多セグメントロッド130の他の実施形態及びその代替に適したものは、当業者には明らかであろう。
【0026】
別の実施形態では、図10に示す一例では、内部ロッド150は、メドトロニック社(Medtronic, Inc.)(ミネソタ州ミネアポリス所在)の所有のもののような、筒状スリーブ152と「液体ガラス」154とから成る。筒状スリーブ152は実質的に可撓性であり、両端が開口している。筒状スリーブは側壁にも開口156を有し、この開口156を通って液体ガラス154を射出することができる。筒状スリーブ152及び液体ガラス154は、液体ガラス154が筒状スリーブ152の内部の形状を帯び、その後、硬化するように構成される。 したがって、筒状スリーブ152は液体ガラス154の金型となる。液体ガラス154が硬化した後、筒状スリーブ152は硬化した液体ガラス154を包囲したままとなる。硬化した液体ガラス154とスリーブ152とが組み合わさることにより、ロッド150が形成される。当然のことながら、任意の他の硬化性液体材料を用いて筒状スリーブ152を充填してもよい。同様に、筒状スリーブ152に対する任意の代替物を用いてもよい。ロッド150のさらに他の変形形態は当業者には明らかであろう。
【0027】
内部ロッド130、150の上記例は例示にすぎず、様々な代替形態の内部ロッドを用いてもよいことが理解されるであろう。同様に、内部ロッド130、150以外の適した代替的な構造を用いてもよい。
【0028】
図11〜図13に示すように、本例の締結部材170は、カニューレ状スクリュー20及び内部ロッド130又は150と係合するように構成される。締結部材170はそれぞれ開口172を有し、この開口172をカニューレ状スクリュー20の導入支柱32が通ることができる。締結部材170は、内部ロッド130又は150がカニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24内に位置しているときに、カニューレ状スクリュー20の導入支柱32を図13に示す構成におけるように内部ロッド130又は150の上の位置に来るように下方に摺動可能に構成される。締結部材170は、内部ロッド130又は150の上に位置すると、カニューレ状スクリュー20及び任意に内部ロッド130又は150に固定されることができ、よって、下記に説明するように、内部ロッド130又は150がカニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24に固定される。当然のことながら、締結部材170の任意の他の適した部品又は変形形態を用いて内部ロッド130又は150を所定位置に固定してもよい。
【0029】
任意の適した材料又は材料の組み合わせを用いて上記部品を構成してもよい。一実施形態では、少なくとも部分的に患者の体内に位置する部品の全てが生体適合性材料から作製される。別の実施形態では、患者の体内に残されることになる部品の全てがMRI適合性である。別の実施形態では、少なくとも部品の大部分はチタンから作製される。他の適した材料は当業者には明らかであろう。
【0030】
本装置の例示的な部品の各種機能及び構造的特徴を上記に説明してきたが、その変形、変更、補足、及び代替物は、本装置についての例示的な使用の以下の説明を特に考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0031】
本例の装置10は、もっぱら例示として上述したもののように、脊柱変形を矯正するのに用いることができる。しかしながら、装置10を用いて他の類の変形を矯正することもできることが理解されるであろう。装置10は、最小限の侵襲で使用及び設置することができる。代替的に、装置10は自由な手順で(in an open procedure)で使用及び設置することができる。本例では、装置10は、患者の背側からの最小限の侵襲で使用及び設置される。装置10をこの例示的な使用の情況において以下に説明するが、装置10は任意の他の適した方法で用いられてもよいことが理解されるであろう。装置10を使用し得る多くの方法のうちいくつかの各種ステップを図16〜図23に示す。
【0032】
装置10の例示的な使用の予備的ステップは、どの椎骨200が変形を受けているか、及び/又は装置10が係合するのはどの椎骨200かを判定することを含み、これらの椎骨は本明細書では対象の椎骨202と呼ぶ。本例では、装置10を用いて胸椎200における変形を矯正する。しかしながら、装置10は付加的に又は代替的に腰椎又は頚椎に用いられてもよい。さらに、本例では装置10は7つの椎骨200と係合しているが、装置10は任意の数の椎骨と係合してもよいことが理解されるであろう。本例では、対象の椎骨202は、最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bを含む。最上部の椎骨202Aと最下部の椎骨202Bとの間の距離は、本装置10の部品の寸法及び/又は当該部品に対してなされる調整に影響を与え得るがそうである必要はない。
【0033】
一対のスクリューガイドワイヤ12は、それぞれが対象の椎骨202のそれぞれの椎弓根(pedicle)204に位置するように各対象の椎骨202に挿入される。かかる挿入の前に、各スクリューガイドワイヤ12が挿入されるべき対象の椎骨202の各部分の上の皮膚が小さく切開され得る。換言すれば、本例では、一対の小さな切開部が各対象の椎骨202の上に位置し、切開部はそれぞれ、対象の椎骨202の各椎弓根204に対するスクリューガイドワイヤ12の挿入地点(ひいては、カニューレ状スクリュー20の挿入地点)と関連する。
【0034】
X線又はCATスキャン等を使用する等、様々な技法を用いて、スクリューガイドワイヤ12の適切な配置を容易にする且つ/又はその配置を確認することができる。例えば、スクリューガイドワイヤ12の挿入の前に対象の椎骨202の第1のX線を撮って、対象の椎骨202の椎弓根204の位置及び向きを求めることができ、また、スクリューガイドワイヤ12の挿入後に第2のX線を撮って、スクリューガイドワイヤ12の適正な配置を確認することができる。さらに、スクリューガイドワイヤ12を挿入した後、電流をガイドワイヤ12に印加してガイドワイヤ12による神経系の妨げを検出することができる。スクリューガイドワイヤ12の適切な配置を容易にする且つ/又はその配置を確認するさらに他の技法は、当業者には明らかであろう。
【0035】
スクリューガイドワイヤ12が適正に配置されて設置されれば、カニューレ状ドリルビット(cannulated drill bit)を各ガイドワイヤ12の周りに(連続して)配置し、回転させ、ガイドワイヤ12の周りの椎弓根204に開口を形成するか又はその開口を広げることができる。かかるドリリング又はリーミングにより、特にカニューレ状スクリュー20がセルフタッピングではない場合にカニューレ状スクリュー20の次の挿入が容易となり得る。
【0036】
次に、脊柱固定(spinal fusion)を容易にするために、ファセット関節固定が行われ得る。これを達成するために、フライス(burr:バー)を高速で回転させて、対象の椎骨202の各ファセットにぎざぎざを付けることができる。次に、骨強化材料(bone enhancing material)(BEM)がファセットに加えられ得る。BEMは、もっぱら例示としてBMP2又はBMP7等の骨形成タンパク質(BMP)を含み得る。他の適したBEM及びBMP並びにそれに対する代替物は、当業者には明らかであろう。
【0037】
カニューレ状スクリュー20は次いで、各ガイドワイヤ12に沿って経皮的に挿入され、それにより、対象の椎骨202の各椎弓根204に設置される。したがって、本例では、各対象の椎骨202内には一対のカニューレ状スクリュー20が挿入されていることになる。各カニューレ状スクリュー20の第1のアーム28及び第2のアーム30は、垂直方向に向いている(例えば、患者の身体の軸に対して平行である)。図16は、例示的な方式で対象の椎骨202内にガイドワイヤ12に沿って挿入されているカニューレ状スクリュー20を示す。各カニューレ状スクリュー20が本例に従って適正に配置されれば、カニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24の全体が皮膚の高さよりも下に位置することになり、それにより、導入支柱32がのみが患者の脊柱に隣接した皮膚の最上の高さ位置を超えて延びる。スクリューガイドワイヤ12は取り外されてもよい。
【0038】
この地点にて、一対のカニューレ状スクリュー20が各対象の椎骨202に挿入されれば、最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bは実質的に垂直方向に整合するはずである。次いで、スロット付き外部ロッド40が、対象の椎骨200が画定している湾曲の凹状側で最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bと係合した状態で配置される。これは、スロット付き外部ロッド40の細長いスロット42を通って最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bのこの凹状側から延びる導入支柱32を挿入することにより達成される。したがって、脊柱を真っ直ぐにし、ゆえに脊柱の並進変形を矯正するために、スロット付きロッド40は、変形したままである(remaining)対象の椎骨200についての基準となり、対象の椎骨200の対応する部分が至るべき並進位置を示す。
【0039】
スロット付き外部ロッド40に対して上述したのと同様の方法で、クリップ付き外部ロッド60が最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bと係合することができる。かかる係合の概略図は図17に示す。しかしながら、ロッド40、60は例示にすぎず、任意の適した代替的な構造体が最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bと係合してもよいことが理解されるであろう。
【0040】
脊柱の並進矯正(translational-straighten)の際、最上部の椎骨202Aと最下部の椎骨202Bとの間の長手方向距離が増し得ることも理解されるであろう。スロット付き外部ロッド40の細長いスロット42は、当該スロット42と係合している導入支柱32の軸方向移動を可能にすることによって、かかる伸張が可能となり得る。同様に、クリップ付き外部ロッド60に沿ったクリップ部材62の長手方向の移動性により、クリップ部材62と係合している導入支柱32の軸方向の移動が可能となり得る。
【0041】
代替的な一実施形態では、第2のスロット付き外部ロッド40が、最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bの他方の導入支柱32(すなわち、対象の椎骨200が画定している湾曲の凸状側の導入支柱32)と係合するように配置される。当然のことながら、このステップは本明細書に記載の他のステップと共に任意的なものにすぎない。
【0042】
次に、ファセットアンロック機構80が各対象の椎骨200に固定される。この固定は、所定の対象の椎骨202について各ラック端96を椎骨202から延びるそれぞれの導入支柱32に固定することにより達成される。これは、ファセットアンロック機構80が各対象の椎骨202に固定されるまで繰り返される。ファセットアンロック機構80と導入支柱32との例示的な係合を図18及び図19に示す。
【0043】
並進矯正機構100は各ファセットアンロック機構80に固定される。この固定は、所定の並進矯正機構100の並進スクリュー部材108を所定のファセットアンロック機構80のハウジング82の相補的な特徴部90と係合させ、次いで、この係合を各ファセットアンロック機構80に並進矯正機構100が固定されるまで繰り返すことにより達成される。当然のことながら、これは、ファセットアンロック機構80を対象の椎骨200に固定する作業の前又はその作業の間に行ってもよい。ファセットアンロック機構80との並進矯正機構100の例示的な係合を図21〜図21に示す。しかしながら、並進矯正機構100がファセットアンロック機構80と係合しない変形形態を用いてもよいことが理解されるであろう。例えば、並進矯正機構100及びファセットアンロック機構80は固定されていてもよく、且つ/又は互いに独立して動作可能であってもよい。
【0044】
本例ではその場合、並進矯正機構100はそれぞれ、スロット付き外部ロッド40に固定される。この固定は、各並進矯正機構100についてのクリップ部材106をスロット付き外部ロッド40にクリップ留めすることにより達成される。当然のことながら、このことは、並進矯正機構100をファセットアンロック機構80に固定する作業の前又はその作業の際に行ってもよい。
【0045】
本例でのこの地点で、ファセットアンロック機構80の全てがそれぞれの並進矯正機構100と係合することになる。並進矯正機構100の全てはスロット付き外部ロッド40に固定され、この外部ロッド40自体は、最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bから延びる導入支柱32と係合することになる。
【0046】
次に、各ファセットアンロック機構80上のノブ84が回転して対象の椎骨200のファセットをアンロックする。上述したように、各ノブ84のこの回転により、それぞれの導入支柱32の同時の押し/引きが行われ、それにより、それぞれの椎骨202の対向する椎弓根204の押し/引きが行われる。かかる押し/引きによりそれぞれの椎骨202が回転してファセットをアンロックして回転変位(rotational deformity)を矯正することが理解されるであろう。図18〜図19は、対象の椎骨202のそのような回転の一連の図を示す。必要又は所望に応じて、このプロセスが対象の椎骨202のそれぞれについて繰り返される。所定の椎骨202から延びる導入支柱32の相対位置は、椎骨202の回転向きを示す視覚的フィードバックを与えるように監視され得る。換言すれば、椎骨202から延びる導入支柱32の端は同じ水平高さ位置にあり、したがって、椎骨202が回転整合され、ゆえに、ファセットがアンロックされていることを示し得る。適正な回転整合又は回転向き、ひいてはファセットのアンロックを求める他の技法は、当業者には明らかであろう。
【0047】
ファセットの全てがファセットアンロック機構80を用いてアンロックされている場合、対象の椎骨200は並進矯正機構100を用いて軸方向に整合される。特に、ノブ102を各並進矯正機構100上で回転させて、ファセットアンロック機構80上で(並進スクリュー部材108を介して)押すか又は引くと(押し引きすると)、ファセットアンロック機構80と各並進矯正機構100が係合する。この並進移動は、ラック端92と導入支柱32との係合によって、対応するファセットアンロック機構80を介して対象の椎骨200のそれぞれに伝わる(communicated)。図20〜図21は、対象の椎骨202のかかる並進の一連の図を示す。
【0048】
上述した並進矯正の際、最上部の椎骨202A又は最下部の椎骨202Bに隣接した対象の第1の椎骨200で始め、次いで、最上部の椎骨202A又は最下部の椎骨202Bの他方に向かって順次に各対象の椎骨200に続けて作用することが望ましいであろう。対象の椎骨200がそれぞれ最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bと整合する際、装置10の部品が一列に群を成す(crowding)ことが生じ得ることが理解されるであろう。例えば、所定の椎骨200の並進の際、スロット付き外部ロッド40に最も近い導入支柱32は、当該椎骨200が適正に整合する前にスロット付き外部ロッド40の側に入り込み、そのため、スロット付き外部ロッド40により、当該椎骨200が完全に整合することを防止する。このことが生じると、スロット付き外部ロッド40を妨げている導入支柱32が一時的に移動し、当該椎骨202が適正に整合するとスロット42に再挿入される。かかる部品の妨げに対処するさらに他の技法は、当業者には明らかであろう。もっぱら例示として、スロット付き外部ロッド40の代わりに自由に長手方向に摺動するクリップ62を有する外部ロッド60を用いることにより、導入支柱32のかかる一時的な移動を必要とせずにかかる妨げに対処することができる。
【0049】
導入支柱32は、特に脊柱の湾曲が非常に顕著な場合に、並進矯正の際に、隣接した皮膚にかなりの応力を加え得ることも理解されるであろう。いくつかの状況では、この応力に対処する必要はないであろう。他の状況では、小さな横方向の切開部を小さくつくって、並進矯正の際の導入支柱32のための経路を設ける場合もある。並進矯正の際の皮膚への導入支柱32の影響に対処する他の技法は、当業者には明らかであろう。
【0050】
並進矯正機構100を用いての並進矯正の完了時に、対象の椎骨202は適正に整合しているはずであり、導入支柱32の全ては一対の平行な列を画定しているはずである。以前、対象の椎骨202が画定する湾曲の凹状側であったものの上にある導入支柱32に関して、それら導入支柱32はスロット付き外部ロッド40と係合することになる。次いで、他の導入支柱32(すなわち、以前、対象の椎骨200が画定する湾曲の凸状側であったものの上にある導入支柱32)が、クリップ付き外部ロッド60と係合する。この点では、スロット付き外部ロッド40の代わりに他のクリップ付き外部ロッド60を用いてもよい。代替的に、導入支柱32の各列はスロット付き外部ロッド40と係合してもよい。ロッド40又は60或いは他の部材を各列の導入支柱32に固定すると、ファセットアンロック機構80及び並進矯正機構100を取り外すことができる。
【0051】
次に、一対の小さな切開部を最上部の椎骨202A及び最下部の椎骨202Bの近くにつくる。この一対の切開部は、脊柱の両側のカニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24の並進位置に対応するものとする。
【0052】
次いで、第1のロッドガイドワイヤ120が、上述した切開部の一方から挿入され、脊柱の対応する側(例えば右側)のカニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24に沿って送り込まれる。次いで、ロッドガイドワイヤ120の挿入端を脊柱の上記側(すなわち脊柱の他方の端)の他の切開部に通す。したがって、ロッドガイドワイヤ120の各端が脊柱の上記側の各端における各切開部から延びる。同じプロセスが脊柱の他方の側(例えば左側)についてもう一方のロッドガイドワイヤ120に用いられる。X線又は他の装置若しくは技法を用いて、各ロッドガイドワイヤ120の適正な位置を確認することができる。ロッドガイドワイヤ120が適正に配置されると、各ガイドワイヤ120の端を所定位置に固定するか又は単に保持することができる。
【0053】
次いで、内部ロッド130又は150をロッドガイドワイヤ120の一方に沿って切開部の1つから経皮的に挿入する。次いで、内部ロッド130又は150を脊柱の上記側のカニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24に位置付ける。別の内部ロッド130又は150をもう一方のガイドワイヤ120に沿って経皮的に挿入して、脊柱の他方の側のカニューレ状スクリュー20の「U」字状近位部24に位置付ける。
【0054】
内部ロッド130が多セグメントロッド130から成る場合、多セグメントロッド130はガイドワイヤ120に沿って挿入され、その際、可撓性形態にある。図22は、ガイドワイヤ120に沿って例示的な方式で挿入される多セグメントロッド130を示す。間隙132、及び多セグメントロッド130の個々のセグメント134は、図22には示していない。
【0055】
内部ロッド150が筒状スリーブ152及び液体ガラス154から成る場合、筒状スリーブ152が先にロッドガイドワイヤ120に沿って挿入される。次いで、液体ガラス154が筒状スリーブ152の横断方向開口156に射出されて、筒状スリーブ152に充填される。液体ガラス154は硬化させられる。ロッドガイド120は液体ガラス154の硬化前に取り外されてもよく、又はその所定位置に残されたままであってもよい。図23は、ガイドワイヤ120に沿って例示的な方式で挿入される内部ロッド150を示す。筒状スリーブ152及び液体ガラス154の一部は図23には示していない。
【0056】
内部ロッド130又は150のタイプに関係なく、内部ロッド130又は150が本例において適正位置に配置されると、締結部材170が各導入支柱32に沿って挿入されて、内部ロッド130又は150をそれぞれのカニューレ状スクリュー20に固定する。内部ロッド130又は150及びカニューレ状スクリュー20と係合した締結部材170の例示的な図を図13に示す。各締結部材170の挿入の間、クリップ付き外部ロッド60の1つが締結部材170を妨げるため、締結支柱170は、内部ロッド130又は150の方へ導入支柱32を横断する際にクリアランスが与えられることが必要であろう。かかるクリアランスは、かかる横断の際に、他のクリップ付き外部ロッド60を所定位置に維持しつつ、妨げているクリップ付き外部ロッド60を一時的に移動させることによって与えることができる。代替的に、各クリップ付き外部ロッド60は、クリップ付き外部ロッド60を完全に取り外す必要なく、締結部材170によってクリップ付き外部ロッド60のクリアランスを与えるように動作可能である特徴部を有してもよい。例えば、クリップ付き外部ロッドの妨げているクリップ部材62は導入支柱32から離れるように回転することができる。かかる妨げに対処し得るさらに他の方法は当業者には明らかであろう。
【0057】
所定の締結部材170は、内部ロッド130又は150の上に位置するとカニューレ状スクリュー20に固定され、それにより、内部ロッドをカニューレ状スクリュー20に固定することができる。例えば、締結部材170が開口を含み、カニューレ状スクリュー20の「U」字状部を画定する第2のアームはねじ切り開口を含み、それにより、スクリュー174がこれらの開口と係合して、締結部材170をカニューレ状スクリュー20に固定してもよい。さらに、締結部材170、及び/又は内部ロッド130又は150は、締結部材170と内部ロッド130又は150との係合を可能にする特徴部を有してもよく、それにより、締結部材170に対する内部ロッド130又は150の移動が妨げられる。例えば、それらの部品は、タブ及びスロットのような相補的な表面特徴部を有していてもよい。代替的に、一対の開口部を、締結部材170を内部ロッド130又は150に固定するようにスクリューを受け入れるように構成してもよい。代替的に、締結部材170と内部ロッド130又は150との相対移動は摩擦によって妨げられてもよい。内部ロッド130又は150をカニューレ状スクリュー20に対して所定位置に固定するさらに他の構造及び技法は、当業者には明らかであろう。
【0058】
第1の内部ロッド130又は150が脊柱の一方の側に沿って所定位置に固定された後、第2の内部ロッド130又は150が脊柱の他方の側に沿って同様の方式で所定位置に固定される。
【0059】
本例でのこの地点では、対象の椎骨202は回転整合且つ並進整合しており、固定された内部ロッド130又は150によってかかる整合状態に固定されている。したがって、クリップ付き外部ロッド60と、導入支柱32と、ロッドガイドワイヤ120(又はロッドガイドワイヤ120の外側部分)を含め、装置10の残りの外側部品(すなわち部品の外側部分)を取り外すことができる。
【0060】
外側部品(又はそのいくつかの部分)を取り外した後、切開部を縫合することができる。本例では、切開部は各対象の椎骨202の2つの小さな切開部(1つは各ガイドワイヤ12の挿入用、1つは対応するカニューレ状スクリュー20の挿入用である)と、各ロッドガイドワイヤ120用の2つの小さな切開部、及び並進矯正の際に導入支柱32の並進移動に対処するのに必要とされる任意の切開部を含む。したがって、本装置10は患者の背側から最小限の侵襲で脊柱変形を矯正するのに用いることができることが理解されるであろう。
【0061】
本装置10のいくつかの実施形態及び当該装置10を使用する方法を上記に説明してきたが、様々な変更、補足、及び/又は代替物が用いられ得ることが理解されるであろう。例えば、内部ロッド130及び150の双方2つの代わりに、1つの内部ロッド130又は150を用いてもよい。
【0062】
別の実施形態では、スロット付き外部ロッド40の代わりにフレームアセンブリ180が用いられ、その一例を図14に示す。フレームアセンブリ180はほぼ矩形状であり、2つの長い平行部材182、184及び2つの短い平行部材186、188から成り、2つの短い平行部材186、188は2つの長い平行部材182、184に対してほぼ垂直である。一方の長い平行部材182は、スロット付き外部ロッド40のスロット42と同様の細長いスロット190を有する。他方の長い平行部材184は、複数のスイベルフック部材192を有し、長い平行部材184に沿ったこれらの長手方向位置が調整可能であると共に固定可能である。スロット付きの長い平行部材182は、スロット付き外部ロッド40と同様にして並進矯正機構100を受け入れるように構成される。フック部材192を有する長い平行部材184は、導入支柱32と係合するように構成される。スイベルフック部材192はクランプとして作用し、そのため、導入支柱32をフレームアセンブリ180の対応する長い平行部材184に又はそれに隣接して選択的に固定するように構成される。導入支柱32がフレームアセンブリ180の上記部材184にそのように固定されると、固定された導入支柱32とフレームアセンブリ180との相対移動は、長手方向にのみ可能である。当然のことながら、そのような移動もまた制限され得る。
【0063】
フレームアセンブリ180を用いる方法は、スロット付き外部ロッド40を用いる方法とほぼ同様である。しかしながら、並進矯正機構100を導入支柱32からさらに離れるように離間させることによって、妨げの可能性が低減するであろう。さらに、並進矯正の際、導入支柱32がフレームアセンブリ180に近づくと、対応するフック部材192が単にスイベルして(suiveled:旋回して)導入支柱32をフレームアセンブリ180の対応する側184と係合させることができる。次いで、フック部材192は導入支柱32をフレームアセンブリ180に捕捉すると共に固定するように後方にスイベルすることができる。フック部材192は、導入支柱32を捕捉且つ固定すると、導入支柱32がフック部材から外れないように選択的に防止する機構を有し得る。例えば、かかる機構はラッチ、クラスプ、開口に挿入可能なピン、凹凸の組み合わせ、又は任意の他の部品又は特徴部を含み得る。
【0064】
さらに、フレームアセンブリ180は、クリップ付き外部ロッド60の代替物として働くことができる。かかる一実施形態では、締結部材170が導入支柱32に沿って挿入されて内部ロッド130又は150をカニューレ状スクリュー20に固定している場合、対応するフック部材192はクリアランスを与えるように再びスイベルすることができる。
【0065】
フレームアセンブリ180はさらに、1つ又は複数の取り外し可能な及び/又は調整可能な支持部材196を含み得る。当然のことながら、支持部材196は調整可能又は取り外し可能である必要はない。支持部材196が調整可能である限り、支持部材196は長さ及び/又は向きに対して調整可能であり得る。支持部材196は患者の背中又は他のどこかの任意の適した位置に係止することができる。支持部材196は、ファセットアンロック及び/又は並進矯正の際に導入支柱32にさらなる安定性を与え、且つ/又は導入支柱32にかかる応力を低減することができる。フレームアセンブリ180は様々な他の特徴及び機能を有し得ることが理解されるであろう。また、フレームアセンブリ180は矩形である必要はなく、任意の他の適した構成を有してもよいことが理解されるであろう。
【0066】
さらに別の実施形態では、細長い部材210は複数の縦方向スロット212及び複数の横断方向スロット214を有する。細長い部材210の部分図は図15に示される。横断方向スロット214のそれぞれは、各縦方向スロット212と連通する。一実施形態では、各横方向スロット214及び縦方向スロット212は導入支柱32を受け入れる寸法である。例えば、各横断方向スロット214は導入支柱32が各縦方向スロット212を通ることができるように構成され得る。各横断方向スロット214は、広範の長手方向位置から各縦方向スロット212にアクセスできるのに十分な広さである空隙を与え得る(そのため、例えば、細長い部材210を脊椎の長さが異なる様々な患者のために使用することができる)。
【0067】
細長い部材210はさらに、複数のロック部材216を有する。ロック部材216のそれぞれは、細長い部材210に沿って長手方向に移動し得る。各ロック部材216は各横断方向スロット214に近接して位置し、各横断方向スロット214を覆う(「覆い位置」)及び覆わない(覆わない位置)ように選択的に移動可能であろう。細長い部材210はさらに、覆う位置又は覆わない位置の一方又は両方にそれぞれにロック部材216を固定するように動作可能な特徴を有し得る。細長い部材210は、装置10を補足するように用いられ、及び/又はスロット付き外部ロッド40、クリップ付き外部ロッド60、長い平行部材182、及び/又は長い平行部材184のための代替物として用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0068】
細長い部材210の別の実施形態(図示せず)では、横断方向スロット214及び縦方向スロット212が組み合わさって、細長い部材210の側に矩形凹状部を形成する。すなわち、矩形凹状部は、先の実施形態において縦方向スロット212のものとほぼ同じ長さを有する長手方向壁によって画定され、長手方向壁の各端から垂直に延びる一対の半径壁によってさらに画定される。この実施形態では、各ロック部材216は、各矩形凹状部の長手方向寸法よりも長い長さを有するように構成される。この実施形態は、広範の長手方向位置からのロック部材216による矩形凹状部内の導入支柱32の捕捉を可能にし、それにより、種々の脊柱の長さに対する細長い部材210の使用を容易にし得ることが理解されるであろう。本変形形態の各ロック部材216は、細長い部材210の十分な円周を含むことができ、また、ロック部材216が所定位置に摺動する際に導入支柱32のためのクリアランスを与えるスロット(図示せず)を有し得る。細長い部材210のさらに他の変形形態(その使用を含む)は、当業者には明らかであろう。
【0069】
本発明の各種実施形態及び概念を示し説明してきたが、本明細書に記載の方法及びシステムのさらなる適用を、本発明の範囲から逸脱することなく当業者による適当な変更により達成することができる。かかる考えられ得る代替形態、変更形態、及び変形形態のいくつかを記載してきたが、上記の教示と照らし合わせて、他の代替形態、変更形態、及び変形形態も当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、かかる代替形態、変更形態、及び変形形態を全て、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にあるものとして含むことを意図し、明細書及び図面に示し説明した構造及び動作の詳細に限定されないものと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ねじが切られたスクリューガイドワイヤを示す図である。
【図2】カニューレ状スクリューを示す図である。
【図3】図2のカニューレ状スクリューの斜視端面図である。
【図4】スロット付き外部ロッドを示す図である。
【図5】クリップ付き外部ロッドを示す図である。
【図6】ファセットアンロック機構の横断面図である。
【図7】並進矯正機構を示す図である。
【図8】代替的な並進矯正機構を示す図である。
【図9】多セグメントロッドを示す図である。
【図10】内部ロッドを示す図である。
【図11】締結部材の側面図である。
【図12】図11の締結部材の上面図である。
【図13】図2のカニューレ状スクリューと係合する図11の締結部材を示す図である。
【図14】フレームアセンブリを示す図である。
【図15】細長い部材の部分図である。
【図16】脊柱に挿入される図2のカニューレ状スクリューを示す図である。
【図17】脊柱の椎骨に挿入される複数のカニューレ状スクリューを示す図である。
【図18】椎骨内に挿入されたカニューレ状スクリューインサートと係合する図6のファセットアンロック機構を示す図である。
【図19】椎骨が回転した後で図18のファセットアンロック機構、カニューレ状スクリュー、及び椎骨を示す図である。
【図20】脊柱の椎骨に挿入されているカニューレ状スクリューと係合している、ファセットアンロック機構と係合する複数の並進矯正機構を示す図である。
【図21】椎骨が整合した後で、脊柱の椎骨に挿入されているカニューレ状スクリューと係合している、ファセットアンロック機構と係合する複数の並進矯正機構を示す図である。
【図22】脊柱の椎骨に挿入されているカニューレ状スクリューと係合している、図9の多セグメントロッドを示す図である。
【図23】脊柱の椎骨に挿入されているカニューレ状スクリューと係合している、筒状スリーブ及び液体ガラスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱変形を矯正するシステムであって、
(a)それぞれが患者の脊柱に経皮的に挿入されるように構成される、複数のアンカー部材と、
(b)患者の体外にあると共に前記アンカー部材が患者の脊柱に挿入されると、該アンカー部材の少なくとも1つに係合するように構成される、安定化部材と、
(c)並進矯正機構であって、前記安定化部材に対して、また、少なくとも1つの各アンカー部材に対して固定可能であり、該並進矯正機構は前記安定化部材に対して並進的に椎骨を移動させるように動作可能である、並進矯正機構と、
(d)前記安定化部材に対して、また、少なくとも1つの各アンカー部材に対して固定可能であり、前記並進矯正機構は患者の脊柱に対して椎骨を回転させるように動作可能である、ファセットアンロック機構と
を備える、脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項2】
内部ロッドをさらに備え、該内部ロッドは、前記複数のアンカー部材の一部を係合するように構成され、患者に経皮的に挿入可能であり、椎骨と少なくとも1つの並進矯正機構及び少なくとも1つのファセットアンロック機構との得られた整合を維持するように構成される、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項3】
前記内部ロッドは選択的に可撓性モード又は剛性モードに入るように動作可能である、請求項2に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項4】
前記内部ロッドは共に連結される複数のセグメントを有し、該ロッドは軸を画定し、該セグメントは該軸に沿って直列に位置付けされる、請求項2に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項5】
前記内部ロッドは硬化液をさらに含む、請求項2に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項6】
前記内部ロッドはスリーブをさらに有し、前記硬化液は該スリーブ内に設けられる、請求項5に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項7】
複数の固定部材をさらに備え、該固定部材はそれぞれ、前記複数のアンカー部材の対応するアンカー部材に対して前記内部ロッドを経皮的に固定するように構成される、請求項2に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項8】
前記アンカー部材のそれぞれは、患者の脊柱に挿入されると患者から外部に延びるように構成される支柱を有する、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項9】
前記ファセットアンロック機構は、対応する一対のアンカー部材から延びる一対の支柱を係合するように構成される、請求項8に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項10】
前記アンカー部材のそれぞれはスクリューを有する、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項11】
前記安定化部材はロッドを有する、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項12】
前記ロッドはスロットを有する、請求項11に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項13】
前記ロッドは、複数の締結機構を有し、該締結機構のそれぞれは、対応するアンカー部材に対して前記ロッドを選択的に固定するように動作可能である、請求項11に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項14】
前記安定化部材はフレームアセンブリを有する、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項15】
前記並進矯正装置は、前記ファセットアンロック機構と係合可能である、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項16】
前記並進矯正機構は、シャフトとハウジングとを備え、該シャフト及び該ハウジングは軸を画定し、該シャフトは該軸に沿って長手方向に移動可能である、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項17】
前記ファセットアンロック機構はラックアンドピニオンを有する、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項18】
前記安定化部材は患者に対して外部から取り外し可能である、請求項1に記載の脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項19】
脊柱変形を矯正するシステムであって、
(a)それぞれが患者の脊柱に経皮的に挿入されるように構成される、複数のアンカー部材と、
(b)患者の体外にあると共に前記アンカー部材が患者の脊柱に挿入されると、該アンカー部材の少なくとも1つを係合するように構成される、外部安定化部材と、
(c)前記外部安定化部材に対して固定可能であり、少なくとも1つの対応するアンカー部材を介して前記外部安定化部材に対して椎骨を並進的に移動させるように動作可能である、並進補整機構と、
(d)前記外部安定化部材に対して固定可能であり、前記並進補整機構は、少なくとも1つの対応するアンカー部材を患者の脊柱に対して椎骨を回転するように動作可能である、ファセットアンロック機構と、
(e)前記複数のアンカー部材の少なくとも一部と係合可能であり、前記複数のアンカー部材の少なくとも一部に経皮的に導入されるように構成される、内部安定化部材と
を備える、脊柱変形を矯正するシステム。
【請求項20】
脊柱変形を矯正するシステムであって、
(a)患者の脊柱に経皮的に挿入可能である、複数のアンカーと、
(b)前記複数のアンカーの少なくとも一部を介して患者の椎骨を回転させる手段であって、患者の体外で操作可能である、患者の椎骨を回転させる手段と、
(c)前記複数のアンカーの少なくとも一部を介して患者の椎骨を並進的に移動させる手段であって、患者の体外で操作可能である、患者の椎骨を並進的に移動させる手段と、
(d)前記椎骨を回転させる手段及び前記椎骨を並進的に移動させる手段を用いて得られた椎骨の整合を維持する手段であって、患者に経皮的に挿入可能である、椎骨の整合を維持する手段と
を備える、脊柱変形を矯正するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2009−501571(P2009−501571A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521682(P2008−521682)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027554
【国際公開番号】WO2007/011815
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500469235)チルドレンズ ホスピタル メディカル センター (40)
【Fターム(参考)】