説明

有価ドキュメントを仕分けする方法

本発明の有価ドキュメントを仕分けする方法は、有価ドキュメントのスタック(12)を形成(40−46)する工程であって、スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束(16、20、24)を含み、有価ドキュメントの各束は、隣接する束から当該束を分離するように第一セパレータ及び第二セパレータ(18、19;22、21;26、23)を設ける、工程a)と、仕分装置を介するように連続的にスタックの全てのドキュメントを送り込み、ドキュメントを検査して、検査の結果に応じてドキュメントを一つ以上の出力用ステーションに仕分けて(50)、そして、全ての第一セパレータをセパレータ出力用ステーションに仕分けする(52)、工程b)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価ドキュメント、特に紙幣等を仕分けする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度に自動化された有価ドキュメント用の大量処理システムは、貨幣処理が特に重要である様々な用途において使用されている。先行技術では大量処理装置の様々な構成が利用可能になっており、国の中央銀行、独立系貨幣運送会社、貨幣印刷施設及び個人銀行などの様々な企業によって使用されている。
【0003】
一般的な処理では、紙幣のスタックが仕分装置を介するように送り込まれ、各ドキュメントの或る特徴を検出し、次いで、そのドキュメントは、検出処理の結果に応じて定められる少なくとも一つの出力用ステーションであって拒絶用ステーションである場合がある出力用ステーションに移動させられる。貨幣処理装置は簡単な仕事を実行することができ、例えば、スタックが適切な適合特性を備える一種類の額面金額から成ること確保にするために貨幣のスタックを処理し、同時に事前の計算を確認するようスタックを計数する、という仕事を実行することができる。貨幣を計数する間に貨幣のスタックを個々の額面金額に仕分けするやや複雑な仕事も同様に到達され得ている。先行技術の最先端では、貨幣処理装置はさらに複雑になっており、様々な額面金額から成る貨幣のスタックを処理装置に送り込むことで、各額面金額への分離や、仕様に適合しないあらゆる貨幣の拒絶や、偽札の鑑定や、シリアルナンバによる個々の紙幣の追跡が可能になっている。
【0004】
説明責任を果たすよう、薄紙から成るスタック(stack)を形成して、ドキュメントの束の一連から仕分けされる方法が一般的に行われている。各束はヘッダドキュメント(header document)及びトレイラドキュメント(trailer document)のそれぞれを形成するセパレータの間に挟まれており、一般的にはヘッダドキュメントが束等に含まれる有価ドキュメントの出所を特定するようになっている。次いで、積み重ねられた束は仕分装置を介するように連続的に送り込まれ、拒絶されたドキュメント、例えば額面金額、適合性又は信憑性の試験に通らないドキュメントは拒絶用ステーションに送り込まれ、一方、受け入いれたドキュメントは一つ以上の出力用ステーションに送り込まれる。それに加えて、ヘッダドキュメント及びトレイラドキュメントはさらに拒絶用ステーションに送り込まれて、それにより、如何なる拒絶されたドキュメントが関連付けられたヘッダとトレイラとの間に挟まれた状態で維持されるようになる。処理中に誤りによって引き起こされた可能性のある拒絶物(rejects)の数量を減少させるために、拒絶用ステーションにある全てのドキュメントを、ヘッダドキュメント及びトレイラドキュメントを含めて、仕分装置を介するように再度送り込むことが、一般的に行われている。この二回目のパスそしてそれに後続するあらゆるパスの後において、拒絶用ステーションの中身を、拒絶された有価ドキュメントを見つけるために手動で再調査する必要がある。それらの拒絶された有価ドキュメントは、関連付けられたヘッダドキュメント及びトレイラドキュメントに挟まれており、そのため、拒絶されたドキュメントに関する出所又は他の情報を記録に残せる。しかしながら、多くの場合、拒絶されるドキュメントはほとんど無く、そのため、関連付けられたヘッダドキュメントとトレイラドキュメントが並ぶのがわかる。
【0005】
ヘッダドキュメント及びトレイラドキュメントを利用して仕分けする方法の例が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5917930号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この公知である処理の問題は、典型的な大量の紙幣、例えば約6,000,000枚の紙幣の処理について考えると理解されうる。この処理は、典型的な場合において、200枚の紙幣から成る約30,000の束で、60,000枚のヘッダカード及びトレイラカード(束毎に2枚)が一体になって構成されるようになる。1%の割合で拒絶された場合、一回目のパスの後に60,000の紙幣が、60,000枚のヘッダカード及びトレイラカードを伴って拒絶用ステーションに拒絶されるようになる。二回目のパスにおいて、例えば20%の割合で拒絶されれば、12,000枚の紙幣が、60,000枚のヘッダカード及びトレイラカードを伴って、拒絶用ステーションに仕分けられる。その結果、12,000枚の拒絶されたドキュメントを含む72,000枚のドキュメントが、拒絶用ステーションに生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、有価ドキュメントを仕分けする方法は、
有価ドキュメントのスタックを形成する工程であって、前記スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束を含み、有価ドキュメントの各束に、隣接する束から当該束を分離するように第一セパレータ及び第二セパレータを設ける、工程a)と、
スタックの全てのドキュメントを仕分装置を介するように連続的に送り込み、ドキュメントを検査して、その検査の結果に応じて一つ以上の出力用ステーションに仕分けして、全ての第一セパレータをセパレータ出力用ステーションに仕分けして、拒絶物であると定められた全てのドキュメントとそれらの拒絶物に関連付けられた第二セパレータのみとを拒絶用ステーションに送り込む、工程b)とを含む。
【0009】
本発明のこの態様によれば、工程b)において、全ての第一セパレータが、セパレータ出力用ステーションに仕分けされ、効果的に仕分け出される(off−sorted)。本明細書において、出力用ステーションが、”セパレータ出力用ステーション”として設定されたとき、それはセパレータのみを受け取る。これによって、仕分処理に続く第二セパレータを受け取る出力用ステーションから、取り扱う必要のある、典型的には手動によるアイテム(item)の数が実質的に減少する。特に、第一セパレータは、異なるセパレータ出力用ステーションに送り込まれ、それにより拒絶されたドキュメントに混入されないようになる。さらに、拒絶出力用ステーションにある第二セパレータの数は、拒絶されたドキュメントに関連した第二セパレータのみに制限される。
【0010】
ある場合では、工程b)は、全ての第二セパレータと共に、拒絶用ステーションに拒絶物であると定められた全てのドキュメントを送り込む工程を含む。これにより、さらに、上述した先行技術の処理と比較して、その拒絶用ステーション内のセパレータの数の減少を達成するようになり、そのため、手動による仕分作業がより容易になる。例えば、上述の、具体例に関連していえば、本発明の方法は、二回目のパスの間で適用され、束毎に一枚の拒絶される紙幣があり、第一セパレータ(トレイラ)は無いものとすると、12,000枚の拒絶された紙幣と共に、最大でも12,000枚の第二セパレータ(ヘッダ)があるようになる。これにより、従来の処理において72,000枚と評価していたのとは対照的に、最大でも24,000枚のアイテムが生じる結果となる。
【0011】
ある場合では、拒絶物を持たないこれらの束に対応する、拒絶用ステーション内の第二セパレータが無いので、拒絶用ステーションにあるドキュメントを持つ異なる束の軌跡を手動で維持することがさらに困難になる場合がある。しかしながら、以下に説明するように、セパレータ自身が、識別のための或る形態を提供するか、代わりに(又は加えて)、仕分装置自体が、全ての仕分処理の間、セパレータの動作を追跡してもよく、従って、拒絶用ステーションにある各セパレータに関連付けられた束と同一視することができるようになる。
【0012】
典型的には、拒絶されたドキュメントに関連付けられていない、これらの第二セパレータは、前記セパレータ出力用ステーション又は他のセパレータ出力用ステーションに送り込まれる。
【0013】
この場合、セパレータ出力用ステーションは上述のように、セパレータのみ受け取るので、拒絶されたドキュメントに関連付けられていない、全ての第一セパレータ及びこれらの第二セパレータは、同じ又は異なるセパレータ出力用ステーションに仕分け出され、そこに今後の使用のために好都合に集められてよい。
【0014】
ある場合では、第一セパレータと第二セパレータとが同一であり、これにより、特に、ドキュメントのスタックを構築するのが簡便になる。しかしながら、処理のために、仕分装置が、スタックに表示される指示にスタックの各束に関する情報を提供する必要があり、それによって各束の処理が適切に監視され得るようになる。
【0015】
従って、少なくとも第二セパレータは、第一セパレータに対して識別可能であるほうが好ましい。これにより仕分装置がセパレータ処理を取り扱うことがより容易になる。第一セパレータと第二セパレータとの間の識別は、それらの形状及びそれらに設けられた証印のうちの一つ以上から成る特長により達成されてよい。例えば、第一セパレータ及び/又は第二セパレータに横から突き出すつまみが設けられてよく、両タイプのセパレータにつまみが設けられているならば、それらは異なる場所に配置されてもよい。加えて又は代わりに、第一セパレータ及び第二セパレータは異なる厚さであってよく、実際のところ、一般に全てのセパレータは有価ドキュメントの厚さとは異なる厚さを有しており、さらに、そのことは、仕分装置がセパレータとドキュメントとを識別することを補助している。
【0016】
代わりに又は加えて、各第二セパレータは識別子を保持してよい。その最も単純な形態では、識別子は全ての第二セパレータに対して共通の、すなわち一意ではないものであり、識別子は第二セパレータとしてアイテムを簡便に識別する。仕分装置は、同仕分装置が束の指示や対応する束の識別情報を予め読み込んでいる場合に、各束を識別することができる。
【0017】
さらに好ましい実施例によれば、各第二セパレータは、他のそれぞれの第二セパレータと識別可能であり、さらに、このことは、第二セパレータの形状、厚さ及び第二セパレータ上に保持された証印のうちの一つ以上から成る特長によって達成されてよい。従って、各第二セパレータに、第二セパレータのそれぞれに対して一意である識別子を定義するデータが備えられてよい。この場合において、束に関する他の情報は電子的手段により蓄積されてよく、又は、その識別子を参照して仕分装置にアクセス可能であってもよい。別の構成では、第二セパレータがデータを保持している。いずれにせよ、データは一つ以上の識別情報、例えば、関連付けられた束の有価ドキュメントの出所、ドキュメントの束の額面金額、部分な計数結果、束を準備したユーザ、束を準備した装置、及び束が準備された時刻を提供してよい。ある場合においては、いくつかのデータが電子的手段により蓄積されて、他のデータが第二セパレータに設けられてもよい。
【0018】
好ましくは、そのデータは機械で読み取り可能であり、光学的及び/又は磁気的に読み取り可能な証印(indicia)であってよい。
【0019】
上記の検討において、第一セパレータがないにもかかわらず、束についてのさらなる情報を提供するために、第二セパレータが異なった方法で使用されていることは、評価すべきことである。第二セパレータはセパレータ出力用ステーションに仕分け出されることがないので、この方が望ましい。しかしながら、上述したように、仕分装置が束の処理を追跡することができるので、さらに、この付加的な情報を第一セパレータに設けることが可能である。
【0020】
これまで説明した実施例において、各束は、第一セパレータ及び第二セパレータに関連付けられている。このことは有利であり、なぜならば、それにより隣接した束の各組について、互いに隣接する二つのセパレータ(一方の束からの第一セパレータと他方の束からの第二セパレータ)があることが原因で、ドキュメントの仕分ミスが発生するということが減少するものと考えられるからである。
【0021】
しかしながら、仕分装置の増強された精度により、二つのセパレータの使用が常に必要であるというわけではない。そのため、本発明の第二の態様によれば、有価ドキュメントを仕分けする方法は、
有価ドキュメントのスタックを形成する工程であって、スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束を備えており、有価ドキュメントの各束に、隣接する束から当該束を分離するようにセパレータを設ける、工程a)と、
スタックの全てのドキュメントを仕分装置を介するように連続的に送り込み、ドキュメントを検査して、検査の結果に応じて、ドキュメントを一つ以上の出力用ステーションに仕分けして、出力用ステーションの一つは、仕分装置によって拒絶物として特定されたドキュメントと、拒絶されたドキュメントに関連付けられたセパレータとが送り込まれる拒絶用ステーションを備えており、拒絶されたドキュメントを持たない束に関連付けられた全てのセパレータを、セパレータ出力用ステーションに仕分けする、工程b)と
とを備える。
【0022】
この場合は、単一のセパレータが各束に関連付けられおり、従って処理する必要があるセパレータの数が半分になる。さらに、拒絶されたドキュメントを持たない束に関連付けられた全てのセパレータは、セパレータ出力用ステーションに仕分け出され、そのため、拒絶ステーションに入るセパレータの数を減少させつつ、上記の説明と同じ利益を達成している。
【0023】
本発明の両方の態様によれば、工程a)及び工程b)は、好ましくは、仕分装置を介するドキュメントスタックの二回以上のパスの一連において、最後のパスを備えている。それぞれの場合において、一回のパスによる拒絶用ステーションの内容が、次のパスにおけるスタックを形成するのに使用される。
【0024】
この場合、出力用ステーションの指示は、異なる仕分処理のタイプに適応するために、例えば、限られた数の出力用ステーションのみが利用可能であり、一つ以上のものが異なるパスにおいて異なった目的のために使用されなければならないとき、パス間において変更されてよい。
【0025】
典型的には、仕分処理は、信憑性、適合性、額面金額に基づいているが、他の仕分条件を使用することも可能である。実施例は、発行人(国又は発行銀行)、発行物(連続物)及び信憑性、細分すると例えば本物かそうでないか、認められるか疑わしいか(蓋然的か)、偽物か、手動の確認が必要か、を含んでいる。
【0026】
有価ドキュメントは典型的には紙幣から構成されているが、他の実施例では、小切手、チケット(例えばカジノで発行されたもの)、代用される通貨媒体、商品引換券、さらに、有価ドキュメントの異なるタイプの組合せを含んでいる。
【0027】
仕分装置は、あらゆる従来の形態を取ることができる。同一のセパレータ出力用ステーションを、第一セパレータ及び第二セパレータの両方を仕分け出すことに使用することができるか、又は、分離されたセパレータ出力用ステーションを設けることができる。さらに、ドキュメントを受け取るために使用される出力用ステーションの一つを、セパレータ出力用ステーションとしても使用してよい。例えば、ドキュメントの条件に従って仕分けされた場合、次いで、充分な条件を有する全てのドキュメントが、仕分け出されたセパレータと一緒に、同一の出力用ステーションに送り出されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】貨幣及びセパレータのスタックが積み込まれる貨幣仕分装置を示す斜視図である。
【図2】セパレータによって分けられた貨幣のスタックを示す斜視図である。
【図3A】”第二セパレータ”の前面又は束処理用ドキュメントを示す平面図である。
【図3B】”第二セパレータ”の背面又は束処理用ドキュメントを示す斜視図である。
【図4】貨幣を処理する方法を示すフローチャートである。
【図5】図2と同様の図であるが、単一のセパレータによって分離された貨幣のスタックを示す図である。
【図6】図5に示すドキュメントのスタックを処理する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による方法のいくつかの実施例について、添付した図を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態を実行する貨幣仕分装置10であって、貨幣処理の循環を開始する前に貨幣の束のスタック12が積み込まれる貨幣仕分装置10を示す。このスタック12は、一枚の単一の紙幣毎、一度に貨幣仕分装置に送り出される。次いで、単一の紙幣は移送装置(図示しない)で移動し、仕分容器又は出力用ステーション14又は破壊装置例えば裁断機(図示しない)のうちの一つに置かれる前に、いくつかの異なる検出器(図示しない)を通過する。典型的には、仕分処理の最後において、単一の仕分容器は紙幣の単一の額面金額に集めるために使用される。仕分容器14Rの一つは、拒絶用ステーション又は容器として使用される。そして、制御システム(図示しない)が仕分装置10の動作を制御する。
【0031】
図2は、一連の、個々の束によって形成された、紙幣から成る典型的なスタックの一部を示している。図2において、束24は束20の後に続いており、束20は束16の後に続いている。”第一の”セパレータドキュメント19、21、23は、各束16、20、24のそれぞれの下流側に設けられている。一方、各束には関連付けられた”第二”セパレータ又は束処理用ドキュメント26、22、18が設けられており、それらは、矢印27によって示される処理方向に対して束の上流側に個々に位置づけられている。従って、各第一セパレータドキュメント19、21、23は、トレイラ(trailer)として作用し、各第二セパレータドキュメント26、22、18は、ヘッダ(header)として作用する。
【0032】
図3A及び図3Bは、束処理用ドキュメント18の一例を図示している。図3Aは、束処理用ドキュメント18の第一面28を示しており、一方、図3Bは、束処理用ドキュメント18の第二面30を示す。図3A及び図3Bによって示される実施形態において、第一面28は第一磁気帯32及び第二磁気帯34が重ねられている。第二面30には、バーコードが刷り込まれている。本実施形態は、主に二本の磁気帯32、34の検出によって、束処理用ドキュメント18の正確な識別が可能になっている。通常、磁気帯32、34は各束処理用ドキュメント又は第二セパレータにおいて同じように配置されており、各第一セパレータは、磁気帯の異なる配置を有するか又は磁気帯を有しておらず、そのため第二セパレータとは識別できるようになっている。通常、第一セパレータは全て同一のものである。貨幣から成る個々の束の計数データは、束処理用ドキュメント18のバーコード36に符号化された特定のバーコード番号により、識別されうる。そのため、各第二セパレータは一意のバーコードを有するようになり、そのバーコードを仕分装置10の処理装置の一覧表にアドレス指定するために使用することができ、処理装置によって事前に蓄積された計数データにアクセスすることが可能になる。磁気帯の代替案として、RFIDチップ、OCRコード等が含まれる。計数データの例として、関連付けられた束の有価ドキュメントの出所、束のドキュメントの額面金額、部分的な計数、束を準備した使用者、準備された装置、及び束が準備された時間から成る一つ以上の識別情報が挙げられる。
【0033】
上述された形態におけるドキュメントのスタックを処理する方法の一例を、図4を参照して以下に説明する。しかしながら、各束処理用ドキュメントから読み込まれる情報の処理については詳細な説明を行わず、既存の方法として、例えば、米国特許第5917930号明細書、米国特許第7131593(B2)号明細書、及び米国特許第7146245(B2)号明細書に記載された方法を使用でき、それらを参照することによって記載に代える。
【0034】
まず最初に、図2に示すよう、工程40において複数の束から成るスタックが形成される。各束処理用ドキュメント又は第二セパレータ18、22、26に、紙幣から成る関連付けられた束に関する計数データが提供されて、さらに典型的には、その情報がセパレータ18、22、25の一意のIDに対応するアドレスに、仕分装置10の処理装置によって蓄積されるようになる。
【0035】
次いで、一回目のパス42において、仕分装置10を介するようにスタックが送り込まれる。仕分処理の間、仕分装置10内において検出器が各紙幣及びセパレータドキュメントを検査する。例えば、その検出器は各紙幣の額面金額を決定するために設けられてよく、別の検出器は、信憑性を決定するために設けられよい。紙幣の信憑性が認められて、その額面金額が決定された場合、その額面金額を伴って本物の紙幣を積み重ねるために、特定の出力用容器に導かれるようになる(工程44)。他の全てのドキュメントであって、本物でない又は読み取れない紙幣若しくはセパレータのうちのいずれかであるドキュメントは、拒絶用容器に送り込まれる(工程46)。
【0036】
次いで、拒絶用容器の積み重ねられたセパレータ及び紙幣は、操作者によって移され、二回目のパス48において、仕分装置を介するように再度処理される。二回目のパスにおいて、拒絶用容器の中身は、典型的には一回目のパスの速度よりも遅い速度で再度送り込まれ、仕分装置は信憑性があり読み取り可能な紙幣を対応する出力用容器に再度送り込む(工程50)。しかしながら、二回目のパスの間、仕分装置10は、第一セパレータ及び第二セパレータの通過を検出するとき、異なるように動作する。まず第一に、全ての第一セパレータは、検出されたとき、セパレータを受け取るだけの複数の容器14のうちの一つによって形成された、仕分出力又はセパレータ出力用容器(工程52)に送り込まれる。
【0037】
第二に、検出されて少しも拒絶された紙幣を持たない束に関連付けられた第二セパレータのうちの何れかは、さらに第一セパレータとして同じセパレータ仕分出力用容器に送り込まれる。あるいは、それらを第二セパレータ出力用容器に送り込んでもよい(工程54)。
【0038】
最終的に、残った全ての拒絶された紙幣及び第二セパレータが、拒絶用容器に送り込まれる(工程56)。次いで、拒絶用容器の中身は上述したように手動で処理される。
【0039】
上述した実施例において、第二セパレータドキュメント18、22、26は、それらが仕分装置を介するように連続的に送り込まれるために、第二セパレータドキュメントに関連付けられた、紙幣の束に先行している。しかしながら、第一セパレータドキュメント19、21、23が最初に送り込まれて、関連付けられた第二セパレータドキュメントが送り込まれるまで、仕分装置が紙幣に関する情報を一時的な記憶装置に蓄積することが可能であり、次いで、そのことは情報と適切な束とを相互に関係付けるのに使用され得る。
【0040】
これまで説明した実施例において、ドキュメントの各束16、20、24は、第一セパレータドキュメント及び第二セパレータドキュメントに関連付けられている。このことは、常にそのような二つのドキュメントが連続する束の間に順序通りにあるので、仕分装置がセパレータドキュメントを見落とす危険性を最小限にしている。しかしながら、二つのセパレータが束に設けられることは不可欠ではなく、他の実施例においては、単一のセパレータが束毎に設けられてよい。このことは図5に示されており、前にあった”第一”セパレータドキュメント19、21、23が除かれていることが判る。
【0041】
単一の”第二”セパレータに関連付けられた紙幣の束を処理する方法について、図6を参照して以下に説明する。この場合において、図6に示すように、まず束のスタックが形成されて(工程40)、次いで、一回目のパス42において、スタックのドキュメントが仕分けされ、それによって、受け入れ可能ドキュメントが対応する出力用容器に送り込まれ(工程44)に、一方、拒絶されたドキュメント及び全てのセパレータは拒絶用容器に送り込まれる(工程46)。従って、一回目のパスの工程は図4に示す工程と同様である。
【0042】
次いで、拒絶用容器の中身は、二回目のパス48において、仕分装置を介するように再度送り込まれる。この二回目のパスにおいて、受け入れ可能ドキュメントは、対応する出力用容器、例えばその額面金額による容器に送り込まれ(工程50)、一方、拒絶された紙幣を持たない束に関連付けられたセパレータは、セパレータ出力用容器又はセパレータ仕分出力用容器に送り込まれ(工程70)、拒絶されたドキュメント及び関連付けられたセパレータは拒絶用容器に送り込まれる(工程72)。
【0043】
この処理の変形例では、図5に示す束が、同一の”第一”セパレータによって分離されてよく、仕分装置はスタックの束の指示書の事前知識から簡便に束の追跡を維持している。
【0044】
上述された種々の方法は二回のパスを含んでいる。このことは、紙幣を自動的に受け入れる機会を最大にする。さらに、それぞれの場合において、一回目のパスに対応する工程のパスは、二回目のパスに対応する最後のパスの前に実行されてよい。さらに、ある場合においては、”一回目のパス”が削除されてよく、そして、紙幣は上述した適切な”二回目のパス”の工程に続く単一のパスにおいて仕分けられてよい。
【0045】
上述した実施例では、紙幣は、二回のパスにおいて、一回目のパスと二回目のパスとで異なった仕分装置の動作により処理されている。従って、仕分装置が”二回目のパス”に従った操作であることを知っていることを確保する必要があり、それを達成する様々な方法が存在している。もっとも簡便な方法は、操作者が直接的に制御システムに指示、例えば制御ボタン等を押し下げることであり、それによって二回目のパスが開始される。
【0046】
他の方法において、セパレータ例えばヘッダセパレータが使用されて、それらは個々に識別可能な場合、仕分装置が、二回目のパスで送り込まれた第一ヘッダセパレータを(一回目のパスにおいて)すでに処理していると自動的に検出して、直ちに二回目のパスの処理に切り換えてよい。同様に、トレイラセパレータ又は他のセパレータが一意に識別される場合、同様の処理が適用されてもよい。
【0047】
別の実施例においては、二回目のパスの準備が整っている紙幣のスタック及びセパレータが、特別な”二回目のパス”ドキュメント又はカードにより先導されてよい。そのようなドキュメント又はカードが仕分装置に検出されるか、又は、一回目のパスにおいて紙幣の最初のスタックの終端に設けられてよく、それにより、仕分装置は自動的に一回目のパスに続く二回目のパスのために仕分装置自体を準備するようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価ドキュメントを仕分けする方法において、
有価ドキュメントのスタックを形成する工程であって、前記スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束を含み、有価ドキュメントの各束に、隣接する束から当該束を分離するように第一セパレータ及び第二セパレータを設ける、工程a)と、
前記スタックの全てのドキュメントを仕分装置を介するように連続的に送り込み、前記ドキュメントを検査して、前記検査の結果に応じて前記ドキュメントを一つ以上の出力用ステーションに仕分けして、全ての第一セパレータをセパレータ出力用ステーションに仕分けして、拒絶物であると定められた全てのドキュメントとそれらの拒絶物に関連付けられた第二セパレータのみとを拒絶用ステーションに送り込む、工程b)と、
を含む方法。
【請求項2】
さらに、工程a)より前において、前記有価ドキュメントの最初のスタックを形成する工程であって、前記スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束を含み、有価ドキュメントの各束に、隣接する束から当該束を分離するように第一セパレータ及び第二セパレータを設ける工程と、一回目のパスにおいて前記スタックの全ての前記ドキュメントを前記仕分装置を介するように連続的に送り込み、前記ドキュメントを検査して、前記検査の結果に応じて一つ以上の出力用ステーションに前記ドキュメントを仕分けする工程と、拒絶物であると定められた全てのドキュメントを全てのセパレータと一緒に拒絶用ステーションに仕分けする工程と、
工程a)において使用するため、前記拒絶用ステーションの内容を利用して、有価ドキュメントの前記スタックを形成する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一回目のパスと二回目のパスとの間において、工程b)によって定められた前記出力用ステーションの指定が変更される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
拒絶されたドキュメントに関連付けられていない第二セパレータが、前記セパレータ出力用ステーション又は別のセパレータ出力用ステーションに送り込まれる、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一セパレータと前記第二セパレータとが同一である、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二セパレータは、前記第一セパレータに対して識別可能になっている、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第二セパレータは、前記第一セパレータに対して、それらの形状及びそれらに設けられた証印のうちの一つ以上から成る特長により、識別可能になっている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各第二セパレータは、互いに他の第二セパレータに対して識別可能になっている、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第二セパレータは、互いに他の第二セパレータに対して、それらの形状及びそれらに保持されている証印のうちの一つ以上から成る特長により、識別可能になっている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各第二セパレータは、関連付けられた前記束に関する証印を保持している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記証印は、前記束の出所、前記束のドキュメントの額面金額、前記束のドキュメントの数、及びドキュメントの価値のうちの一つ以上に関する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記セパレータの証印は機械的に読み取り可能であり、好ましくは、光学的及び/又は磁気的に読み取り可能な証印である、請求項7から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記仕分装置は、拒絶物であると特定されたドキュメントに関連付けられているセパレータであって、少なくともそのようなセパレータの移動を追跡するように構成されている、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
有価ドキュメントを仕分けする方法において、
有価ドキュメントのスタックを形成する工程であって、前記スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束を含み、有価ドキュメントの各束に、隣接する束から当該束を分離するようにセパレータを設ける、工程a)と、
前記スタックの全てのドキュメントを仕分装置を介するように連続的に送り込み、前記ドキュメントを検査して、前記検査の結果に応じて前記ドキュメントを一つ以上の出力用ステーションに仕分けして、前記出力用ステーションの一つは、前記仕分装置によって拒絶物として特定されたドキュメントと前記拒絶されたドキュメントに関連付けられたセパレータとが送り込まれる拒絶用ステーションを備えており、拒絶されたドキュメントを持たない束に関連付けられた全てのセパレータをセパレータ出力用ステーションに仕分けする、工程b)と
を、含む方法。
【請求項15】
さらに、工程a)より前において、前記有価ドキュメントの最初のスタックを形成する工程であって、前記スタックは有価ドキュメントから成る二つ以上の束を含み、有価ドキュメントの各束に、隣接する束から当該束を分離するようにセパレータを設ける工程と、一回目のパスにおいて前記スタックの全ての前記ドキュメントを前記仕分装置を介するように連続的に送り込む工程と、前記ドキュメントを検査して、前記検査の結果に応じて、一つ以上の出力用ステーションに前記ドキュメントを仕分けする工程と、拒絶物であると定められた全てのドキュメントを全てのセパレータと一緒に拒絶用ステーションに仕分けする工程と、
工程a)において使用するため、前記拒絶用ステーションの内容を利用して、有価ドキュメントの前記スタックを形成する工程と、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
一回目のパスと二回目のパスとの間において、工程b)によって定められた前記出力用ステーションの指定が変更される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複数の前記セパレータは同一である、請求項14から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
各セパレータは、互いに他のセパレータに対して識別可能になっている、請求項14から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記セパレータは、前記セパレータの形状及び前記セパレータに保持されている証印のうちの一つ以上から成る特長により、識別可能になっている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各セパレータは、関連付けられた前記束に関する証印を保持している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記証印は、前記束の出所、前記束のドキュメントの額面金額、前記束のドキュメントの数、及びドキュメントの価値のうちの一つ以上に関する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記セパレータの証印は、機械的に読み取り可能であり、好ましくは、光学的及び/又は磁気的に読み取り可能な証印である、請求項19から21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記仕分装置は、拒絶物であると特定されたドキュメントに関連付けられているセパレータであって、少なくともそのようなセパレータの移動を追跡するように構成されている、請求項14から22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記仕分装置は、信憑性、適合性及び額面金額のうちの一つ以上に従って、有価ドキュメントを仕分けする、請求項1から23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記有価ドキュメントは紙幣を含む、請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記有価ドキュメントは小切手を含む、請求項1から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記有価ドキュメントは紙幣及び小切手を含む、請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
有価ドキュメントを仕分けするための装置であって、
ドキュメント移送部と、
前記ドキュメントの一つ以上の特徴を判定する手段と、
少なくとも二つの出力用ステーションと、
請求項1から27の何れか一項に記載に従った方法を実施するように構成される制御システムと、
を備える仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−534364(P2010−534364A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516574(P2010−516574)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002449
【国際公開番号】WO2009/013465
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】