説明

有害生物防除剤

【課題】クロチアニジンを含有し、優れた防除効力を有する有害生物防除剤を提供すること。
【解決手段】式(I)


〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物及びクロチアニジンを含有することを特徴とする有害生物防除剤は有害生物に対して優れた防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クロチアニジンが有害生物に対して防除効力を有することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−157308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クロチアニジンを含有し、優れた防除効力を有する有害生物防除剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、クロチアニジンを含有し、優れた防除効力を有する有害生物防除剤を見出すべく検討の結果、クロチアニジンとともに式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物(以下、本化合物と記す場合もある。)を含有する有害生物防除剤が、優れた防除効力を有することを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明は以下の〔1〕乃至〔6〕の通りである。
〔1〕 式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物及びクロチアニジンを含有することを特徴とする有害生物防除剤。
〔2〕 式(I)におけるR1がプロピル基又は2−プロペニル基である〔1〕記載の有害生物防除剤。
〔3〕 式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物及びクロチアニジンの有効量を、有害生物又は有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
〔4〕 式(I)におけるR1がプロピル基又は2−プロペニル基である〔3〕記載の有害生物の防除方法。
〔5〕 クロチアニジンとともに有害生物又は有害生物の生息場所に施用し、有害生物を防除するための式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物の使用。
〔6〕 式(I)におけるR1がプロピル基又は2−プロペニル基である〔5〕記載の1,3−ベンゾジオキソール化合物の使用。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、クロチアニジンを含有する有害生物防除剤において、本化合物を含有しない場合と比較して、クロチアニジンの使用量を低減した上で優れた防除効力を有する有害生物防除剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においてR1で示される、C3アルキル基としては、例えばプロピル基が挙げられ、C3アルケニル基としては、例えば2−プロペニル基が挙げられる。
本発明においてR2で示される、C1−C3アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられる。
【0008】
本化合物は、例えば以下の方法により製造することができる。
【0009】
(製造法1)
本化合物は、例えば化合物(II)と化合物(III)とを反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を表し、X1はハロゲン原子を表す。〕
該反応は塩基の存在下、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、tert−ブチル メチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、水及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、及び、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。かかる塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応には、さらにアルカリ金属ハロゲン化物を用いることもできる。かかるアルカリ金属ハロゲン化物としては、例えばヨウ化カリウムが挙げられる。アルカリ金属ハロゲン化物を用いる場合のその使用量は、化合物(II)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応に用いられる化合物(III)の使用量は、化合物(II)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜150℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出してから有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本化合物を単離することができる。単離された本化合物は、クロマトグラフィー等によりさらに精製することもできる。
【0010】
(製造法2)
本化合物のうち化合物(I−1)は、化合物(I−2)を還元することにより製造することもできる。

〔式中、R2は前記と同じ意味を表し、R1-1はC3アルケニル基を表す。〕
該反応は水素ガス及び還元触媒の存在下、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、酢酸エチル等のエステル、水及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる還元触媒としては、例えばパラジウム炭素、酸化白金等が挙げられる。還元触媒の使用量は、化合物(I−2)1モルに対して、通常0.05〜0.5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜80℃の範囲であり、反応時間は還元に必要な理論量の水素ガスの消費が確認されるまでの時間により適宜選択されるものであるが、通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮する等の後処理操作を行うことにより、化合物(I−1)を単離することができる。単離された化合物(I−1)は、クロマトグラフィー等によりさらに精製することもできる。
【0011】
(製造法3)
本化合物は、化合物(IV)と化合物(V)とを反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を表し、X2はハロゲン原子を表す。〕
該反応は塩基の存在下、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、tert−ブチル メチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、及び、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物が挙げられる。かかる塩基の使用量は、化合物(IV)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応に用いられる化合物(V)の使用量は、化合物(IV)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜150℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出してから有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本化合物を単離することができる。単離された本化合物は、クロマトグラフィー等によりさらに精製することもできる。
【0012】
(参考製造法)
化合物(IV)は、化合物(II)と化合物(VI)とを反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1は前記と同じ意味を表し、X3はハロゲン原子を表す。〕
該反応は塩基の存在下、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、tert−ブチル メチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、及び、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物が挙げられる。かかる塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応に用いられる化合物(VI)の使用量は、化合物(II)1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜150℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出してから有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、化合物(IV)を単離することができる。単離された化合物(IV)は、クロマトグラフィー等によりさらに精製することもできる。
【0013】
本発明の有害生物防除剤は、本化合物及びクロチアニジン(以下、本化合物及びクロチアニジンをあわせて本有効成分と記す。)を含有することを特徴とする。本発明の有害生物防除剤に含有される本化合物とクロチアニジンとの割合は、防除対象とする有害生物、施用場所、施用時期等により適宜選択することができ何ら限定されるものではないが、重量比(本化合物:クロチアニジン)で通常1:100〜100:1程度の割合、好ましくは1:50〜50:1程度の割合である。
【0014】
本発明の有害生物防除剤には、本化合物及びクロチアニジンとともに他の有害生物防除成分を含有することができる。かかる有害生物防除成分としては、例えば以下のものが挙げられる。
アレスリン、テトラメトリン、プラレトリン、フェノトリン、レスメトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、ゼータシペルメトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、シフルトリン、ベータシフルトリン、シハロトリン、ラムダシハロトリン、フラメトリン、イミプロトリン、エトフェンプロクス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シラフルオフェン、ビフェントリン、トランスフルスリン、フルシトリネート、タウフルバリネート、アクリナトリン、テフルトリン、シクロプロトリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−プロプ−1−エニルシクロプロパンカルボキシレート(2,3,5,6−tetrafluoro−4−(methoxymethyl)benzyl (EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−dimethyl−3-prop−1−enylcyclopropanecarboxylate)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−プロプ−1−エニルシクロプロパンカルボキシレート(2,3,5,6−tetrafluoro−4−methylbenzyl (EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−dimethyl−3−prop−1−enylcyclopropanecarboxylate)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペエニル)シクロプロパンカルボキシレート(2,3,5,6−tetrafluoro−4−(methoxymethyl)benzyl (1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−dimethyl−3−(2−methyl−1−propenyl)cyclopropanecarboxylate)、エンペンスリン等のピレスロイド化合物;
ジクロルボス、フェニトロチオン、シアノホス、プロフェノホス、スルプロホス、フェントエート、イソキサチオン、テトラクロロビンホス、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン、アセフェート、テルブホス、フォレート、クロルエトキシホス、ホスチアゼート、エトプロホス、カズサホス、メチダチオン等の有機燐化合物;
プロポキサー、カルバリル、メトキサジアゾン、フェノブカルブ、メソミル、チオジカルブ、アラニカルブ、ベンフラカルブ、オキサミル、アルジカルブ、メチオカルブ等のカーバメート化合物;
ルフェヌロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、フルアズロン、ノバルロン、トリアズロン、ビストリフルロン等のベンゾイルフェニルウレア化合物;
ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ等の幼若ホルモン様物質;
アセタミプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム、ジノテフラン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド系化合物;
アセトプロール、エチプロール等のN-フェニルピラゾール系化合物;
テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、ハロフェノジド等のベンゾイルヒドラジン化合物;並びに、
ジアフェンチウロン、ピメトロジン、フロニカミド、トリアザメート、ブプロフェジン、スピノサド、エマメクチン安息香酸塩、クロルフェナピル、インドキサカルブMP、ピリダリル、シロマジン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、トルフェンピラド、ピリダベン、ピリミジフェン、フルアクリピリム、エトキサゾール、フェナザキン、アセキノシル、ヘキシチアゾクス、クロフェンテジン、酸化フェンブタスズ、ジコホル、プロパルギット、エバーメクチン、ミルベメクチン、アミトラズ、カルタップ、ベンスルタップ、チオシクラム、エンドスルファン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、アミドフルメト及びアザジラクチン等。
【0015】
本発明の有害生物防除剤は、本有効成分そのものであっても良いが、通常は固体担体、液体担体及び/又はガス状担体とを混合し、更に必要に応じて界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加して製剤化されている。即ち、本発明の有害生物防除剤は、本有効成分を含有し、さらに不活性担体とを含有するものである。かかる製剤としては、例えば乳剤、油剤、シャンプー剤、フロアブル剤、粉剤、水和剤、粒剤、ペースト状製剤、マイクロカプセル製剤、泡沫剤、エアゾール製剤、炭酸ガス製剤、錠剤、樹脂製剤、紙製剤、不織布製剤、編織物製剤等の形態があげられ、これらの製剤は、毒餌、殺虫線香、電気殺虫マット、燻煙剤、燻蒸剤、シート等に加工されて、使用されることもある。
本発明の有害生物防除剤の製剤には、本有効成分が合計量で通常0.01〜98重量%含有される。
【0016】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、塩安、尿素等)等の微粉末及び粒状物、常温で固体の昇華性物質(2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、ナフタリン、p−ジクロロベンゼン、樟脳、アダマンタン等)、並びに羊毛、絹、綿、麻、パルプ、合成樹脂(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン;アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレエート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン等の多孔質樹脂)、ガラス、金属、セラミック等の1種または2種以上からなるフェルト、繊維、布、編物、シート、紙、糸、発泡体、多孔質体及びマルチフィラメントが挙げられる。
【0017】
液体担体としては、例えば芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等)、炭酸アルキリデン類(炭酸プロピレン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
【0018】
ガス状担体としては、例えばブタンガス、フロンガス、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、及び炭酸ガスが挙げられる。
【0019】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類及び糖アルコール誘導体が挙げられる。
【0020】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステルが挙げられる。
【0021】
樹脂製剤の基材としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエン共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル酸樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンブタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンが挙げられ、これらの基材は、単独で用いても2種以上の混合物として用いても良く、これらの基材には必要によりフタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤が添加されていてもよい。
【0022】
樹脂製剤は、本有効成分を上記基材中に混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型することにより得ることができる。得られた樹脂製剤は、必要により更に成型、裁断等の工程を経て、板状、フィルム状、テープ状、網状、ひも状等の形状に加工することもできる。これらの樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘引ひも、園芸用支柱として加工される。
【0023】
毒餌の基材としては、例えば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等が挙げられ、更に必要に応じて、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ末等の子供やペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料等が添加される。
【0024】
本化合物はクロチアニジンとともにその有効量を、有害生物に直接、及び/または有害生物の生息場所(植物体、動物体、土壌等)に施用することにより、有害生物を防除するために使用することができる。
【0025】
本発明の有害生物防除剤を農林害虫の防除に用いる場合は、その施用量は本有効成分の合計量として通常1〜100000g/ha、好ましくは10〜1000g/haである。乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル製剤等は本有効成分の合計濃度が通常0.01〜1000ppmとなるように水で希釈して使用し、油剤、粉剤、粒剤等は通常そのまま使用する。
これらの製剤は、そのまま有害生物から保護すべき植物に対して散布する、又は製剤の水希釈液を有害生物から保護すべき植物に対して散布することにより使用される。これらの製剤を土壌に処理することにより土壌に棲息する有害生物を防除することもでき、またこれらの製剤を植物を植え付ける前の苗床に処理したり、植付時に植穴や株元に処理することもできる。さらに、本発明の有害生物防除剤のシート製剤を植物に巻き付けたり、植物の近傍に設置したり、株元の土壌表面に敷くなどの方法でも施用することができる。
【0026】
本発明の有害生物防除剤を防疫用として用いる場合は、その施用量は空間に適用するときは本有効成分の合計量として通常0.001〜100mg/m3であり、平面に適用するときは0.001〜1000mg/m2である。乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常本有効成分の合計濃度が通常0.001〜100000ppm、好ましくは0.01〜1000ppmとなるように水で希釈して施用し、油剤、エアゾール、燻煙剤、毒餌等は通常そのまま施用する。殺虫線香、電気殺虫マット等はその製剤形態に応じて加熱により本有効成分を揮散させて施用する。樹脂製剤、紙製剤、錠剤、不織布製剤、編織物製剤、シート製剤等は例えば施用する空間にそのまま放置する、及び該製剤に送風することにより使用できる。
本発明の有害生物防除剤を防疫用として施用する空間としては、例えばクローゼット、押入れ、和ダンス、食器棚、トイレ、浴場、物置、居間、食堂、倉庫、車内等が挙げられ、さらに野外の開放空間で施用することもできる。
【0027】
本発明の有害生物防除剤をウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等の家畜、イヌ、ネコ、ラット、マウス等の小動物の外部寄生虫防除に用いる場合は、獣医学的に公知の方法で動物に使用することができる。具体的な使用方法としては、全身抑制(systemic control)を目的にする場合には、例えば錠剤、飼料混入、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内等)により投与され、非全身的抑制(non-systemic control)を目的とする場合には、例えば油剤若しくは水性液剤を噴霧する、ポアオン(pour-on)処理若しくはスポットオン(spot-on)処理する、シャンプー製剤で動物を洗う又は樹脂製剤を首輪や耳札にして動物に付ける等の方法により用いられる。動物体に投与する場合の本有効成分の合計量は、通常動物の体重1kgに対して、0.01〜1000mgの範囲である。
【0028】
本発明の有害生物防除剤が防除効力を示す有害生物としては、例えば昆虫及びダニ等の有害節足動物が挙げられる。より具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0029】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、オオトゲシラホシカメムシ(Eysarcoris lewisi)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、トコジラミ(Cimex lectularius)等のトコジラミ類、キジラミ類等;
【0030】
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等;
【0031】
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、(Anopheles sinensis)等のアノフェレス属、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ(Delia platura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、オオキモンノミバエ(Megaselia spiracularis)等のノミバエ類、オオチョウバエ(Clogmia albipunctata)チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類、ハモグリバエ類等;
【0032】
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類、メイズウィービル(Sitophilus zeamais)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)等のハムシ類、ハラジロカツオブシムシ(Dermestes maculates)等のカツオブシムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ類、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、ヒョウホンムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等;
【0033】
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等;
アザミウマ目害虫:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)等;
膜翅目害虫:イエヒメアリ(Monomorium pharaosis)、クロヤマアリ(Formica fusca japonica)、ルリアリ(Ochetellus glaber)、アミメアリ(Pristomyrmex pungens)、オオズアリ(Pheidole noda)等のアリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、ニホンカブラバチ(Athalia japonica)等のハバチ類等;
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類等;
隠翅目害虫:ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等。
シラミ目害虫:コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ (Phthirus pubis)、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)、ヒツジジラミ(Dalmalinia ovis)等;
シロアリ目害虫:ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、イースタンサブテラニアンターマイト(Reticulitermes flavipes)、ウエスタンサブテラニアンターマイト(Reticulitermes hesperus)、ダークサザンサブテラニアンターマイト(Reticulitermes virginicus)、アリッドランドサブテラニアンターマイト(Reticulitermes tibialis)、デザートサブテラニアンターマイト(Heterotermes aureus)等のサブテラニアンターマイト類、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)等のドライウッドターマイト類、およびネバダダンプウッドターマイト(Zootermopsis nevadensis)等のダンプウッドターマイト類等;
【0034】
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、オリゴニカス属等のハダニ類、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、リンゴサビダニ(Aculus schlechtendali)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、アメリカンドッグチック(Dermacentor variabilis)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、シュルツマダニ(Ixodes persulcatus) 、ブラックレッグドチック(Ixodes scapularis)、オウシマダニ(Boophilus microplus)、ローンスターチック(Amblyomma americanum)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)等のマダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等のコナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)等のツメダニ類、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、トリサシダニ(Ornithonyssus sylvairum)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)等のワクモ類、アオツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)等のツツガムシ類等;
【0035】
クモ類:カバキコマチグモ(Chiracanthium japonicum)、セアカゴケグモ(Latrodectus hasseltii)等;
唇脚綱類:ゲジ(Thereuonema hilgendorfi)、トビスムカデ(Scolopendra subspinipes)等;
倍脚綱類:ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、アカヤスデ(Nedyopus tambanus)等;
等脚目類:オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等;
腹足綱類:チャコウラナメクジ(Limax marginatus)、キイロコウラナメクジ(Limax flavus)等。
【実施例】
【0036】
次に、本発明を製剤例、試験例等の実施例により具体的に示すが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0037】
まず、本化合物の参考製造例を示す。
【0038】
参考製造例1
5−ヒドロキシ−6−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール

1.39gと無水ジメチルホルムアミド 20mlとを混合し、ここに炭酸カリウム 1.60gを加え、次に氷冷下で2−クロロエチルメチルエーテル 1.14g及びヨウ化カリウム 0.7gを加え、80℃で8時間撹拌した。
反応混合物を氷冷した5%塩酸 30mlに注加し、酢酸エチルで洗いこみながら酢酸エチル 40mlで3回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水 50mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、5−(2−メトキシエトキシ)−6−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール(以下、本化合物(1)と記す。) 1.10gを得た。
本化合物(1)

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):3.30(m,2H)、3.46(s,3H)、3.71(m,2H)、4.02(m,2H)、5.00(m,2H)、5.90(s,2H)、5.90〜5.97(m,1H)、6.61(s,1H)、6.64(s,1H)
【0039】
参考製造例2
本化合物(1) 0.58gと酢酸エチル 100mlとを混合し、酸化白金 40mgを加えて水素雰囲気下で撹拌した。本化合物(1)における2−プロペニル基の還元に必要な理論量の水素ガスの吸収を確認した後、反応混合物を濾過して得られた濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、5−(2−メトキシエトキシ)−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール(以下、本化合物(2)と記す。) 0.56gを得た。
本化合物(2)

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):0.92(t,3H)、1.50〜1.56(m,2H)、2.50(m,2H)、3.45(s,3H)、3.71(m,2H)、4.00(m,2H)、5.90(s,2H)、6.51(s,1H)、6.63(s,1H)
【0040】
参考製造例3
2−クロロエチルメチルエーテルの代わりに2−クロロエチルエチルエーテルを用いた以外は、参考製造例1と同様の操作を行うことにより、5−(2−エトキシエトキシ)−6−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール(以下、本化合物(3)と記す。) 186mgを得た。
本化合物(3)

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):1.20(t,3H)、3.30(m,2H)、3.56(q,2H)、3.75(m,2H)、4.02(m,2H)、5.00(m,2H)、5.88(s,2H)、5.90〜5.97(m,1H)、6.53(s,1H)、6.64(s,1H)
【0041】
参考製造例4
本化合物(1)の代わりに本化合物(3)を用いた以外は、参考製造例2と同様の操作を行うことにより、5−(2−エトキシエトキシ)−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール(以下、本化合物(4)と記す。) 160mgを得た。
本化合物(4)

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):0.92(t,3H)、1.24(t,3H)、1.56(m,2H)、2.51(m,2H)、3.61(m,2H)、3.75(m,2H)、4.03(m,2H)、5.88(s,2H)、6.52(s,1H)、6.63(s,1H)
【0042】
参考製造例5
5−ヒドロキシ−6−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール 5.09gと無水ジメチルホルムアミド 40mlとを混合し、ここに炭酸カリウム 4.73gを加え、次に氷冷下で2−ブロモエタノール 5.36gを加え、50℃で48時間撹拌した。
反応混合物を氷冷した5%塩酸 30mlに注加し、酢酸エチルで洗いこみながら酢酸エチル 40mlで3回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水 50mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール 0.53gを得た。
5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):2.04(t,1H)、3.30(d,2H)、3.92(m,2H)、4.01(m,2H)、5.00(m,2H)、5.90(s,2H)、5.90(m,1H)、6.52(s,1H)、6.65(s,1H)
【0043】
水素化ナトリウム(55%鉱物油ディスパージョン) 0.14gを無水ジメチルホルムアミド 10mlとを混合し、ここに氷冷下で5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール 0.53gを無水ジメチルホルムアミド 5mlに溶解した溶液を加え、次にヨウ化プロピル 0.53gを加え、25℃で12時間撹拌した。
反応混合物を氷冷した5%塩酸 20mlに注加し、酢酸エチルで洗いこみながら酢酸エチル 20mlで3回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水 20mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、5−{2−(プロピルオキシ)エトキシ}−6−(2−プロペニル)−1,3−ベンゾジオキソール(以下、本化合物(5)と記す。) 0.32gを得た。
本化合物(5)

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):0.95(t,3H)、1.60(m,2H)、3.30(d,2H)、3.50(m,2H)、3.75(m,2H)、4.05(m,2H)、5.00(m,2H)、5.89(s,2H)、5.90(m,1H)、6.63(s,1H)、6.64(s,1H)
【0044】
参考製造例6
本化合物(1)の代わりに本化合物(5)を用いる以外は参考製造例2と同様の操作を行うことにより、5−{(2−プロピルオキシ)エトキシ}−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール(以下、本化合物(6)と記す。) 192mgを得た。
本化合物(6)

1H−NMR(CDCl3、TMS内部標準)δ値(ppm):0.94(m,6H)、1.6(m,4H)、2.51(m,2H)、3.50(t,2H)、3.75(m,2H)、4.02(m,2H)、5.88(s,2H)、6.52(s,1H)、6.63(s,1H)
【0045】
以下、本化合物を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
式(I)で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物。

なお、式中のR1及びR2は(表1)に示す組合せの各々を表す。
【0046】
【表1】

【0047】
次に製剤例を示す。部は重量部を表す。また、本化合物は前記の化合物番号で表す。
【0048】
製剤例1
本化合物(1)〜(9)の各々10部とクロチアニジン2部とを、キシレン36部及びN,N−ジメチルホルムアミド36部に溶解し、これにポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル10部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部を加え、よく撹拌混合して乳剤を得る。
【0049】
製剤例2
本化合物(1)〜(9)の各々40部とクロチアニジン8部とに、ソルポール5060(東邦化学登録商標名)5部を加え、よく混合して、カープレックス#80(塩野義製薬登録商標名、合成含水酸化ケイ素微粉末)28部及び300メッシュ珪藻土19部を加え、ジュースミキサーで混合して、水和剤を得る。
【0050】
製剤例3
本化合物(1)〜(9)の各々10部及びクロチアニジン2部を、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部及び水53部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0051】
製剤例4
本化合物(1)〜(9)の各々0.5部とクロチアニジン0.1部とをジクロロメタン10部に溶解し、これをアイソパーM(イソパラフィン:エクソン化学登録商標名)89.4部に混合して油剤を得る。
【0052】
製剤例5
本化合物(1)〜(9)の各々0.5部、クロチアニジン0.1部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)49.4部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、アクチュエータを装着することにより油性エアゾールを得る。
【0053】
製剤例6
本化合物(1)〜(9)の各々3部、クロチアニジン0.6部、BHT0.01部、キシレン5部、脱臭灯油3.39部及び乳化剤{アトモス300(アトモスケミカル社登録商標名)}1部の混合物と、蒸留水47部とをエアゾール容器に充填し、バルブ部分を取り付け、該バルブを通じて噴射剤(LPG)40部を加圧充填して、水性エアゾールを得る。
【0054】
製剤例7
本化合物(1)〜(9)の各々3gとクロチアニジン0.5gとをアセトン50mlに溶解する。動物用粉末飼料(商品名 CE−2、日本クレア製)1gに1ml滴下した後、風乾してゴキブリ用ベイト剤を得る。
【0055】
製剤例8
本化合物(1)〜(9)の各々3gとクロチアニジン0.5gとをアセトン50mlに溶解する。ハエ成虫飼育飼料(スキムミルクとグラニュー糖の1:1混合物)1gに1ml滴下混合したあと風乾してハエ用ベイト剤を得る。
【0056】
製剤例9
本化合物(1)〜(9)の各々3gとクロチアニジン0.5gとをアセトン50mlに溶解する。アリ用飼育飼料(スキムミルク、グラニュー糖、粉末黒砂糖の2:1:1混合物)1gに1ml滴下混合したあと風乾してアリ用ベイト剤を得る。
【0057】
製剤例10
本化合物(1)〜(9)の各々3gとクロチアニジン0.5gとをアセトン20mlに溶解し、蚊取り線香用担体(タブ粉:粕粉:木粉を4:3:3の重量比で混合)96.2g及び緑色色素0.3gと均一に攪拌混合した後、水120mlを加え、充分練り合わせたものを成型乾燥して蚊取り線香を得る。
【0058】
製剤例11
本化合物(1)〜(9)の各々1部、クロチアニジン0.2部、フェノトリン0.2部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)48.6部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、全量噴射型エアゾール用アクチュエータを装着することによりエアゾール剤を得る。
【0059】
製剤例12
本化合物(1)〜(9)の各々1部、クロチアニジン0.2部、ペルメトリン0.2部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)48.6部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、全量噴射型エアゾール用アクチュエータを装着することによりエアゾール剤を得る。
【0060】
製剤例13
本化合物(1)〜(9)の各々1部、クロチアニジン0.2部、シフェノトリン0.2部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)48.6部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、全量噴射型エアゾール用アクチュエータを装着することによりエアゾール剤を得る。
【0061】
製剤例14
本化合物(1)〜(9)の各々1部、クロチアニジン0.2部、レスメトリン0.2部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)48.6部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、全量噴射型エアゾール用アクチュエータを装着することによりエアゾール剤を得る。
【0062】
製剤例15
本化合物(1)〜(9)の各々1部、クロチアニジン0.2部、シペルメトリン0.2部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)48.6部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、全量噴射型エアゾール用アクチュエータを装着することによりエアゾール剤を得る。
【0063】
製剤例16
本化合物(1)〜(9)の各々1部、クロチアニジン0.2部、イミプロトリン0.2部及びネオチオゾール(中央化成株式会社)48.6部をエアゾール缶に入れ、エアゾールバルブを装着した後、25部のジメチルエーテル及び25部のLPGを充填し、振とうを加え、全量噴射型エアゾール用アクチュエータを装着することによりエアゾール剤を得る。
【0064】
次に、本発明の有害生物防除剤が有害生物の防除に有用であることを試験例により示す。なお、本化合物は前記の化合物番号で表す。
【0065】
試験例
本化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)を各々クロチアニジンと混合し、(表2)に示す所定濃度(w/v)で含有するアセトン溶液を調製した。該アセトン溶液0.5μlをイエバエ雌成虫(Musca domestica)の胸部背面側に滴下処理した後、直径約9cm、高さ約4.5cmのプラスチックカップへ移し、5%砂糖水を与えて25℃で放置した。24時間後にイエバエの生死を観察し、その死虫率から防除価を求めた。イエバエは1カップあたり10頭とし、3反復試験を行った。
また、本化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及びクロチアニジンを(表2)に示す所定濃度(w/v)で含有するアセトン溶液を各々調製し、前記と同様の試験を行った。
それらの結果を(表2)に示す。
【0066】
【表2】


*防除価の数値はそれぞれ下記の死虫率を表す。
防除価:1・・・死虫率:0%以上25%未満
防除価:2・・・死虫率:25%以上50%未満
防除価:3・・・死虫率:50%以上75%未満
防除価:4・・・死虫率:75%以上100%未満
防除価:5・・・死虫率:100%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物及びクロチアニジンを含有することを特徴とする有害生物防除剤。
【請求項2】
式(I)におけるR1がプロピル基又は2−プロペニル基である請求項1記載の有害生物防除剤。
【請求項3】
式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物及びクロチアニジンの有効量を、有害生物又は有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
【請求項4】
式(I)におけるR1がプロピル基又は2−プロペニル基である請求項3記載の有害生物の防除方法。
【請求項5】
クロチアニジンとともに有害生物又は有害生物の生息場所に施用し、有害生物を防除するための式(I)

〔式中、R1はC3アルキル基又はC3アルケニル基を表し、R2はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示される1,3−ベンゾジオキソール化合物の使用。
【請求項6】
式(I)におけるR1がプロピル基又は2−プロペニル基である請求項5記載の1,3−ベンゾジオキソール化合物の使用。

【公開番号】特開2008−201710(P2008−201710A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39070(P2007−39070)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】