説明

有害菌類を防除するための組成物および方法

【課題】有害菌類、ことにボトリチス菌を防除する可能性を改善する組成物の提供。
【解決手段】固体または液体担体中に、
(A)下式


で表わされ、かつ R’が、−N(OCH3)−CO2CH3を意味し、 R’’が、フェニルオキシメチレンを意味する場合の、チトクロム錯体IIIの呼吸を抑止する、少なくとも1種類の作用成分Iと、 (B)下式


で表わされるアミド化合物とを含有する有害菌類防除組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害菌類を防除するための組成物ならびにこのような組成物を使用して有害菌類を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種文献から、チトクロムbc1錯体(チトクロム錯体III)を抑止する有効成分が、殺菌剤として使用され得ることは公知である(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【0003】
しかしながら、これらの有効成分を使用する場合、その作用は一時的のものであって、短時間後に新たな菌類の成長が認められることが判明している。
【0004】
特許文献1には、
【0005】
【化1】

で表わされ、このAが2−位においてメチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素または沃素で置換されているフェニル、または、非置換もしくはメチル、塩素、トリフルオロメチルで置換されている特定の芳香族もしくは非芳香族ヘテロ環基を意味し、Rが非置換もしくはハロゲンで置換されている特定の脂肪族または脂環式基、または非置換もしくはC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオまたはハロゲンで置換されているフェニルを意味するアニリド化合物が記載されている。この化合物は、ボトリチス病原菌(Botrytis)を防除するために使用され得る。
【0006】
特許文献2は、同じ式で表わされ、式中のAが、下式
【0007】
【化2】

で表わされ、かつR1が水素またはC1−C4アルキルを、R2がハロゲンまたはC1−C4アルキルを、R3がC1−C4アルキルまたはC1−C4ハロアルキルを、nが1または2を、Rが実質的に前述した意味を有する環式基を意味する場合のアニリド化合物が記載されている。
【0008】
特許文献3には、
【0009】
【化3】

で表わされ、式中の
QがC1−C3アルキル、C2−C3アルケニル、C2−C3アルキニル、−(CH2mCH=または−(CH2m−X−(CH2mを意味し、
nが0または1を意味し、
(上記の各mが相互に無関係に、それぞれ0、1、2または3を、各Xが相互に無関係にそれぞれOまたはSを意味する)
1が特定の脂環式基を、
2が水素、弗素化メチル、メチル、エチル、C2−C6アルケニル、C3−C6クロロアルキル、フェニル、アルキルチオアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキルチオアルキル、ハロアルコキシアルキルまたはヒドロキシアルキルを、
3がハロメチル、ハロメトキシ、メチル、エチル、ハロゲン、シアノ、メチルチオ、ニトロ、アミノカルボニルまたはアミノカルボニルメチルを、
4が水素、ハロゲンまたはメチルを、
5、R6、R7が相互に無関係に、それぞれ水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C3−C4シクロアルキルまたはハロメトキシを意味する化合物が記載されている。この化合物も殺菌効果を示す。
【0010】
【非特許文献1】1993年、ワインハイム在、VCHフェルラーク社刊、U.ブラント、U.ハーゼ、H.シェガー、G.フォン、ヤーゴウの「strobilurinsの特殊性と作用メカニズム」
【非特許文献2】Biochem.Soc.Trans.22(1993)635におけるF.ロール、H.ザウテルの報文、「ナチュラル、プロダクト、レポーツ」1993、565−574
【特許文献1】欧州特願公開545099号公報
【特許文献2】欧州特願公開589301号公報
【特許文献3】PCT特願WO93/11117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらのアニリド化合物は、充分に広範囲で満足すべき有効範囲を持っていない。
【0012】
そこで本発明の目的とするところは、有害菌類、ことにボトリチス菌を防除する可能性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
しかるに、この目的は、チトクロム錯体IIIの吸収を抑止する作用成分と、上述したタイプのアミド化合物とを含有する組成物により達成され得ることが本発明者らにより見出された。
【0014】
すなわち、本発明は
(a)チトクロム錯体IIIによる吸収を抑止する、少なくとも1種類の成分(I)と、
(b)下式(II)
【0015】
【化4】

で表わされ、
Aがアリール基または1から3個のヘテロ原子、O、NまたはSを有する芳香族もしくは非芳香族、5員もしくは6員のヘテロ環基(これらのアリール基、ヘテロ環基は、相互に無関係に、それぞれアルキル、ハロゲン、CHF2、CF3、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルの中から選ばれる1、2または3個の置換基を持っていてもよい)を意味し、
1が水素原子、アルキルまたはアルコキシを意味し、
2がフェニルまたはシクロアルキルを意味するが、これらは相互に無関係に、それぞれ、フェニル、アルケニル、アルキニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシの中から選ばれる1から3個の置換基を持っていてもよく、かつさらに単一もしくは複数のハロゲン原子で置換されていてもよく、上記の脂肪族および脂環式置換基自体が部分的もしくは完全にハロゲン化されていてもよく、かつ/もしくは上記脂環式置換基が1から3個のアルキル基で置換されていてもよく、上記フェニル置換基自体がさらに、相互に無関係にそれぞれ1から5個のハロゲン原子および/または1から3個の、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオの中から選ばれる置換基を持っていてもよく、上記アミドフェニル置換基が、非置換もしくは単一または複数のアルキル基で置換されていてもよく、かつ/または1個のヘテロ原子、OまたはSを持っていてもよい飽和5員環と縮合されていてもよい、少なくとも1種類のアミド化合物(ただし、Aが2−クロロピリジン−3−イル、R1がH、R2
【0016】
【化5】

を意味する場合を除く)とを、固体もしくは液体状の担体中に有する、有害菌類防除組成物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明による組成物は、相乗的効果を示し、従って、有害菌類、ことにボトリチス菌を防除するのに特に適する。この相乗的効果は、チトクロム錯体IIIに基づく吸収が抑止された場合、菌類が別個の二次的吸収ルートを使用するために菌類を根絶し得ない事実に基因すると考えられる。これは、式IIのアミド化合物が、代替的吸収を抑止することを意味する。従って、上記の2有効成分の組合わせが、チトクロム錯体IIIを経由する吸収および代替的吸収を共に抑止し、従って菌類が完全に死滅するものと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明において、ハロゲンと称するのは弗素、塩素、臭素、沃素、ことに弗素、塩素および臭素である。
【0019】
またアルキルと称するのは、直鎖および分岐アルキル、ことに、C1−C6アルキルであって、ことにメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシルである。
【0020】
ハロアルキルと称するのは、上述したアルキルであって、部分的もしくは完全に単一もしくは複数のハロゲン原子、ことに弗素、塩素で置換されている基である。ことに1から3個のハロゲン原子を有するアルキル、ことにジフルオロメチル、トリフルオロメチルが好ましい。
【0021】
アルキル基およびハロアルキル基について上述したところは、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル中におけるアルキルおよびハロアルキルにも同様に該当する。
【0022】
アルケニルは、直鎖および分岐アルケニルを含み、好ましくは直鎖もしくは分岐のC3−C12アルケニル、ことにC3−C6アルケニルである。例えば2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、ことに2−プロペニル、2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ペンテニルである。
【0023】
アルケニル基は、部分的もしくは完全に、単一もしくは複数のハロゲン原子、ことに弗素、塩素原子で置換されていてもよい。1から3個のハロゲン原子を持っているのが好ましい。
【0024】
アルキニル基は、直鎖および分岐アルキニルを包含し、直鎖、分岐C3−C12、ことにC3−C6アルキニル基が好ましい。アルキニル基の例としては、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−メチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−4−ペンチニル、2−メチル−3−ペンチニル、2−メチル−4−ペンチニル、3−メチル−4−ペンチニル、4−メチル−2−ペンチニル、1,2−ジメチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−3−ブチニル、1,2−ジメチル−3−ブチニル、2,2−ジメチル−3−ブチニル、1−エチル−2−ブチニル、2−エチル−3−ブチニル、1−エチル−1−メチル−2−プロピニルが挙げられる。
【0025】
アルケニル基およびそのハロゲン置換基およびアルキル基について上述したところは、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシに関しても同様に該当する。
【0026】
シクロアルキルとしては、ことにC3−C6シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが好ましく、置換シクロアルキルとしては、置換基として、C1−C4アルキルを持っているのが好ましい。
【0027】
シクロアルケニルとしては、C4−C6シクロアルケニル、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルが好ましく、置換シクロアルケニルとしては、1から3個のC1−C4アルキル基を置換基として持っているのが好ましい。
【0028】
シクロアルコキシ基としては、C5−C6シクロアルコキシ、例えばシクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが好ましく、置換されている場合には、1から3個のC1−C4アルキルを置換基として持っているのが好ましい。
【0029】
シクロアルケニルオキシ基としては、C5−C6シクロアルケニルオキシ、例えばシクロペンテニルオキシ、シクロヘキセニルオキシが好ましく、置換シクロアルケニルオキシとしては、1から3個のC1−C4アルキルを置換基として持っているのが好ましい。
【0030】
アリールとしては、フェニルが好ましい。
【0031】
ヘテロアリールとしては、相互に関係なく、1、2または3個のヘテロ原子、N、OまたはSを持っている5もしくは6員の、芳香族ヘテロ環基が好ましい。ことにピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、トリアゾリルが好ましい。
【0032】
ヘテロ環基としては、ヘテロ原子として、1、2または3個のN、OまたはSを相互に関係なく持っている、5もしくは6員の飽和もしくは不飽和ヘテロ環が好ましい。ことに、ヘテロアリルと称される基のジヒドロ、テトラヒドロまたはヘキサヒドロ誘導体が好ましい。例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニルがことに好ましい。
【0033】
式(II)中のAがフェニルである場合、これは任意の位置に、1、2または3個の上述した置換基を持っていてもよい。この置換基としては、相互に関係なく、ことにアルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、ことに塩素、臭素、沃素のいずれかを持っているのが好ましい。ことに好ましいのは、これらの置換基を2−位に持っているフェニルである。
【0034】
式中のAが5員ヘテロ環である場合、これはフリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、トリアゾリル、チアジアゾリルまたはこれらの対応するジヒドロまたはテトラヒドロ誘導体であるのが好ましい。ことにチアゾリル、ピラゾリルが好ましい。
【0035】
Aが6員のヘテロ環を意味する場合には、これは、ことにピリジル環または、下式
【0036】
【化6】

で表わされ、かつ式中X、Yの一方がO、SまたはNR9(このR9はHまたはアルキルである)であり、他方がCH2、S、SO、SO2またはNR9である場合の環基であるのが好ましい。破線は場合により存在する二重結合を意味する。
【0037】
6員の芳香族ヘテロ環としては、ピリジル環、ことに3−ピリジル環基または下式
【0038】
【化7】

で表わされ、かつXがCH2、S、SOまたはSO2を意味する場合の基であるのが好ましい。
【0039】
上述したヘテロ環基は、非置換であってもよく、また1、2または3個の上述した置換基を持っていてもよい。置換基としては、ことにアルキル、ハロゲン、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルが好ましい。
【0040】
ことに好ましい環基は、下式
【0041】
【化8】

で表わされ、R3、R4、R6、R7、R8、R9が、相互に無関係に、それぞれ水素、アルキル、ことにメチル、ハロゲン、ことに塩素、CHF2またはCF3を意味する場合の塩基である。
【0042】
式(II)中のR1は水素であるのが好ましい。
【0043】
また式(II)中のR2はフェニルを意味するのが好ましく、しかも少なくとも1個の置換基を、しかもその2−位に有するのが好ましい。置換基としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロゲンまたはフェニルのいずれかであるのが好ましい。
【0044】
2のこれらの置換基自体が、さらに置換されていてもよい。脂肪族または脂環式置換基は、部分的もしくは完全にハロゲン化、ことに弗素または塩素原子で置換されていてもよい。上記置換基は、1、2または3個の弗素または塩素原子を持っているのが好ましい。R2の置換基がフェニルである場合、これも1から3個のハロゲン原子、ことに塩素原子および/またはアルキルもしくはアルコキシで置換されているのが好ましい。フェニル基は、ことにそのp−位において置換されているのが好ましく、従って、R2のことに好ましい置換基は、p−ハロゲン置換フェニル基である。R2はまた飽和5員環に縮合されていてもよく、この5員環基はまた1から3個のアルキルを置換基として持っていてもよい。この場合、R2は例えばインダニル、チアインダニル、またはオキサインダニルである。好ましいのは、窒素原子を介して、ことに4−位に結合されているインダニル、2−オキサダニルである。
【0045】
有効成分(I)としては、下式(IA)または(IB)
【0046】
【化9】

で表わされ、かつ式中の・・・・・・が二重結合または単一結合を意味し、
R'が
【0047】
【化10】

【0048】
R''が直接的に、またはオキシ、メルカプト、アミノまたはアルキルアミノ基を介して結合されている有機基を意味するか、あるいは基Xおよびこれらが結合されている環QまたはTと共に、炭素環員のほかに1、2または3個の酸素、硫黄ないし窒素原子を持っていてもよい、非置換もしくは置換、部分的もしくは完全に不飽和の二環式基を形成し、
x
【0049】
【化11】

を意味し、
yが酸素、硫黄、=CH−または=N−を意味し、
nが0、1、2または3を意味し(これが2以上の場合、複数のXは同じまたは異なる意味を持っていてもよい)、
Xがシアノ、ニトロ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアルキルチオを意味するか、あるいはnが2以上の場合、フェニル環の隣接する2個の炭素原子に結合されたC3−C5アルキレン、C3−C5アルケニレン、オキシ−C2−C4アルキレン、オキシ−C1−C3アルキレンオキシ、オキシ−C2−C4−アルケニレン、オキシ−C2−C4アルケニレンオキシまたはブタジエンジイル(これらの連鎖自体が、さらに相互に関係なく、それぞれ、1から3個のハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアルキルチオで置換されていてもよい)を意味し、
Yが=C−または−N−を意味し、
Qがフェニル、ピロリル、チエニル、フリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、2−ピリドニル、ピリミジニルまたはトリアジニルを意味し、
Tがフェニル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニルまたはトリアジニルを意味する場合の化合物が好ましい。
【0050】
置換基R''は、ことに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、アリールアルキニルまたはヘテロアリールアルキニル(単一もしくは複数のO、S、SO、SO2、NR(R=Hまたはアルキル)、CO、COO、OCO、CONH、NHCOまたはNHCONHで中断されていてもよい)、または以下において説明される式CH2ON=CRαCRβまたはCH2ON=CRγCRδで表わされる基を意味する。これらの基は、非置換基であっても、あるいは単一もしくは複数の(好ましくは1、2または3個の)置換基、すなわちアルキル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ハロアルキル(ことにCF3、CHF2)、ヘテロアリールまたはアリールを、相互に無関係に、持っていてもよい。この置換基ヘテロアリール、アリール自体が、さらに1、2または3個の置換基、ハロゲン、ハロアルキル(ことにCF3、CHF2)、フェニル、CN、フェノキシ、アルキル、アルコキシまたはハロアルコキシを、相互に無関係に持っていてもよい。
【0051】
このような化合物およびその製造方法は、下表I.1からI.8に示される文献から公知であり、これらの表に記載されている化合物は類似方法により製造され得る。
【0052】
本発明組成物の好ましい実施態様は、式中のR''がアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシメチレン、ヘテロアリールオキシメチレン、アリールエテニレンまたはヘテロアリールエテニレン(これらは非置換でも、あるいは1、2または3個の、アルキル、ハロゲン、CF3、CHF2、CN、アルコキシまたはフェニルで置換されていてもよく、またこれら置換基自体が、さらに1、2または3個のハロゲン、CF3、CHF2、フェニル、CN、フェノキシ、アルキル、アルコキシまたはハロアルコキシで置換されていてもよい)を意味し、あるいは
R''がCH2ON=CRαRβまたはCH2ON=CRγCRδ=NORεを意味し、
Rαがアルキルであり、
Rβがフェニル、ピリジルまたはピリミジル(1、2または3個の置換基、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルコキシ、CF3またはCHF2を持っていてもよい)であり、
Rγがアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキルまたは水素であり、
Rδが水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、N−アルケニル−N−アルキルアミノ、アルキニル、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、N−アルキニル−N−アルキルアミノ(上記炭化水素基部分が部分的または完全にハロゲン化され、かつ/もしくは1、2または3個のシアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシで置換されていてもよく、上記環式置換基自体が、さらに部分的もしくは完全にハロゲン化され、かつ/もしくは1、2または3個のシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルまたはアルケニルオキシで置換されていてもよい)であり、あるいは
シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、N−シクロアルキル−N−アルキルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロシクリルアミノ、N−ヘテロシクリル−N−アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、N−アリール−N−アルキルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールアミノ、N−ヘテロアリール−N−アルキルアミノ(上記環式基自体がさらに部分的もしくは完全にハロゲン化され、かつ/もしくは1、2または3個の、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルケニルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシで置換されていてもよく、これら芳香族置換基自体が、さらに部分的もしくは完全にハロゲン化され、かつ/もしくは1、2または3個のシアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロで置換されていてもよい)であり、
Rεがアルキル、アルケニル、アルキニル(これらは部分的もしくは完全にハロゲン化され、かつ/もしくは1、2または3個のシアノ、アルコキシまたはシクロアルキルで置換されていてもよい)である場合の化合物(IA)または(IB)を含有する。
【0053】
ことに好ましい化合物は、式中のR''が以下の意味を有する場合の化合物(IA)および(IB)である。すなわち、
(a)フェニルオキシメチレン、ピリジニルオキシメチレン、ピリミジニルオキシメチレンまたはピラゾリルオキシメチレン(ただし、これら芳香族基は、1、2または3個のアルキル、ハロゲン、CF3、CHF2、−C(CH3)=NOCH3またはフェニルで置換されていてもよく、このフェニル自体が1、2または3個のハロゲン原子および/またはアルキル基で置換されていてもよい)を意味する場合、
(b)フェノキシまたはピリミジニルオキシ(1、2または3個のハロゲン原子および/またはフェノキシで置換されていてもよく、このフェノキシ自体がハロゲンまたはシアノで置換されていてもよい)を意味する場合、
(c)フェニルエテニレンまたはピラゾリルエテニレン(フェニルないしピラゾリル基部分が、1、2または3個のハロゲン、CF3、CHF2またはフェニルで置換されていてもよい)を意味する場合、
(d)CH2ON=CRαRβ(Rαはアルキル、Rβは1、2または3個のアルキル、ハロゲン、CF3またはCHF2で置換されていてもよいフェニル、または1もしくは2個のアルコキシで置換されていてもよいピリミジニルである)
を意味する場合、および
(e)CH2ON=CRγCRδ=NORε(Rγはアルコキシまたはハロゲン、Rδはアルキル、シアノ、ハロゲン、アルコキシ、アルケニルまたはフェニルであり、このフェニルは1、2または3個のハロゲンで置換されていてもよく、Rεはアルキルである)を意味する場合である。
【0054】
さらに他の、ことに好ましい化合物は、式中のQがフェニル、nが0である場合の化合物IAである。
【0055】
特に適当な有効成分(I)を下表に掲記する。
【0056】
表I.1A
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0057】
【表1】

【0058】
表I.1B
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0059】
【表2】

【0060】
表I.1C
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールエテニレンあって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0061】
【表3】

【0062】
表I.1D
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHOCH3、nが零、R''がCH2ON=CRαRβであって、Rα、Rβが以下の意味を有する場合の化合物。
【0063】
【表4】

【0064】
表I.1E
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHOCH3、nが零、R''がCH2ON=CRγCRδ=NORεであって、Rγ、Rδ、Rεが以下の意味を有する場合の化合物。
【0065】
【表5】

【0066】
表I.2A
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0067】
【表6】

【0068】
表I.2B
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0069】
【表7】

【0070】
表I.2C
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=NOCH3、nが零、R''がCH2ON=CRαRβであって、Rα、Rβが以下の意味を有する場合の化合物。
【0071】
【表8】

【0072】
表I.2D
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=NOCH3、nが零、R''がCH2ON=CRγCRδ=NORεであって、Rγ、Rδ、Rεが以下の意味を有する場合の化合物。
【0073】
【表9】

【0074】
表I.3A
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CONHCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0075】
【表10】

【0076】
表I.3B
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CONHCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0077】
【表11】

【0078】
表I.3C
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CONHCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールエテニレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0079】
【表12】

【0080】
表I.3D
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CONHCH3)=NOCH3、nが零、R''がCH2ON=CRαRβであって、Rα、Rβが以下の意味を有する場合の化合物。
【0081】
【表13】

【0082】
表I.3E
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CONHCH3)=NOCH3、nが零、R''がCH2ON=CRγCRδ=NORεであって、Rγ、Rδ、Rεが以下の意味を有する場合の化合物。
【0083】
【表14】

【0084】
表I.4A
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CONHCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0085】
【表15】

【0086】
表I.4B
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0087】
【表16】

【0088】
表I.4C
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHCH3、nが零、R''がCH2ON=CRγCRδ=NORεであって、Rγ、Rδ、Rεが以下の意味を有する場合の化合物。
【0089】
【表17】

【0090】
表I.5A
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0091】
【表18】

【0092】
表I.5B
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHCH2CH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0093】
【表19】

【0094】
表I.5C
式IA中のQがフェニル、R'が−C(CO2CH3)=CHCH2CH3、nが零、R''がCH2ON=CRγCRδ=NORεであって、Rγ、Rδ、Rεが以下の意味を有する場合の化合物。
【0095】
【表20】

【0096】
表I.6A
式IA中のQがフェニル、R'が−CO(COCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0097】
【表21】

【0098】
【表22】

【0099】
表I.6B
式IA中のQがフェニル、R'が−CO(COCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0100】
【表23】

【0101】
表I.7A
式IA中のQがフェニル、R'が−CO(COCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0102】
【表24】

【0103】
表I.7B
式IA中のQがフェニル、R'が−CO(COCH3)=NOCH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0104】
【表25】

【0105】
表I.8A
式IA中のQがフェニル、R'が−N(OCH3)−CO2CH3、nが零、R''が非置換もしくは置換(ヘテロ)アリールオキシメチレンであって、非置換もしくは置換(ヘテロ)アリール基が以下の意味を有する場合の化合物。
【0106】
【表26】

【0107】
表I.8B
式IA中のQがフェニル、R'が−N(OCH3)−CO2CH3、nが零、R''がCH2ON=CRαRβであって、Rα、Rβが以下の意味を有する場合の化合物。
【0108】
【表27】

【0109】
本発明によるさらに他の好ましい組成分は、式(II)で表わされ、式中のAがフェニル、ピリジル、ジヒドロピラニル、ジヒドロオキサチイニル、ジヒドロオキサチイニルオキシド、ジヒドロオキサチイニルジオキシド、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル(これらは、1、2または3個のアルキル、ハロゲン、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルを置換基として持っていてもよい)を意味する場合の化合物を含有する。
【0110】
本発明のさらに他の好ましい実施態様において、式(II)中のAは、非置換の、または2−位において、ハロゲン、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニルまたはメチルスルホニルにより置換されているピリジン−3−イルを、
非置換の、または2−位において、メチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素または沃素により置換されているフェニルを、
2−メチル−5,6−ジヒドロピラン−3−イルを、
2−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4−オキサチイン−3−イルまたはその4−オキシドもしくは4,4−ジオキシドを、
非置換の、または2−位および/または4−位においてメチルにより置換されている2−メチル−フラン−3−イルを、
非置換の、または2−位および/または4−位において、メチル、塩素、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルにより置換されているチアゾル−5−イルを、
非置換の、または2−位および/または5−位において、メチル、塩素、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルにより置換されているチアゾル−4−イルを、
非置換の、または3−位および/または5−位において、メチル、塩素、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルにより置換されている1−メチルピラゾル−4−イルを、または
非置換の、または2−位および/または4−位においてメチルまたは塩素により置換されているオキサゾル−5−イルを意味する。
【0111】
本発明によるさらに他の好ましい実施態様において、本発明組成物は、アミド化合物として、式(II)で表わされ、式中のR2が、非置換の、または1、2または3個の上述置換基により置換されているフェニルを意味する場合の化合物を含有する。
【0112】
さらに他の好ましい実施態様において、本発明組成物は、アミド化合物として、式(II)で表わされ、かつ式中のR2が、2−位において、C3−C6アルキル、C5−C6シクロアルケニル、C5−C6シクロアルキルオキシ、C5−C6シクロアルケニルオキシ(これらの置換基自体が、さらに1、2または3個のC1−C4アルキル基で置換されていてもよい)のいずれかを置換基として持っていてもよいフェニルを、
1から5個のハロゲン原子および/または1から3個の、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオまたはC1−C4アルキルチオを、相互に無関係に持っていてもよいフェニルを、また
非置換の、または1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されているインダニルまたはオキサインダニルを意味する場合の化合物を含有する。
【0113】
さらに他の好ましい実施態様において、本発明組成物は、アミド化合物として、下式(IIa)
【0114】
【化12】

で表わされる化合物を含有する。
【0115】
ただし、式中の
Aは
【0116】
【化13】

を意味し、
Xはメチレン、硫黄、スルフィニルまたはスルホニルを、
3はメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素または沃素を、
4はトリフルオロメチルまたは塩素を、
5は水素またはメチルを、
6はメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルまたは塩素を、
7は水素、メチルまたは塩素を、
8はメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルを、
9は水素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルまたは塩素を、
10はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオまたはハロゲンを意味する。
【0117】
特別に好ましい実施態様において本発明組成物は、アミド化合物として、下式(IIb)
【0118】
【化14】

で表わされ、R4がハロゲン、R11がハロゲン置換フェニルを意味する場合の化合物を含有する。
【0119】
その他の適当なアミド化合物は、欧州特願公開545099号、同589301号公報に記載されているが、本発明組成物は、これらのアミド化合物をも含有する。
【0120】
式Iのアミド化合物の製造は、例えばヨーロパ特許出願公開第545099号、同第589301号各公報に記載されているが、これらと類似の方法によっても行われる。
【0121】
相乗効果を得るため、各有効成分を20:1−1:20、特に10:1−1:10の重量比で用いる。
【0122】
更に本発明は、菌類、その生息圏、または菌類による被害から保護されるべき資材、植物、種子、土壌、領域または空間を、上述の組成物で処理する有害菌類の防除方法に関する。この方法において、有効成分を一緒または別々に同時に、或いは連続して施与することができる。
【0123】
本発明の組成物は、例えば直接的に噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液、高濃度の水性、油性またはその他の懸濁液または分散液、エマルジョン、油性分散液、ペースト、ダスト剤、散布剤または顆粒の形で噴霧、ミスト法、ダスト法、散布法または注入法によって適用することができる。適用形式は、完全に使用目的に基づいて決定される。いずれの場合にも、本発明の有効物質の可能な限りの微細分が保証されるべきである。
【0124】
通常、植物に有効成分を噴霧または振りかけ、或いは植物の種子に有効成分を振りかける。
【0125】
製剤は公知方法で、例えば有効物質を溶剤および/または賦形剤で、場合により乳化剤および分散助剤を使用して増量することにより得られるが、この際希釈剤として水を使用する場合には、補助溶媒として別の有機溶媒を使用することができる。助剤としては、主に溶剤、例えば芳香族化合物(例えばキシレン)、塩素化芳香族化合物(例えばクロロベンゼン)、パラフィン(例えば石油留分)、アルコール(例えばメタノール、ブタノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、アミン(例えばエタノールアミン、ジメチルホルムアミド)および水、賦形剤、例えば天然岩石粉(例えばカオリン、粘土、タルク、白亜)、合成岩石粉(例えば高分散性珪酸、珪酸塩)、乳化剤、例えば非イオン性および陰イオン性乳化剤(例えばポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホナートおよびアリールスルホナート)および分散剤、例えばリグニン−亜硫酸廃液およびメチルセルロースが該当する。
【0126】
界面活性剤としては次のものが挙げられる。リグノスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸の各アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、並びに脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルスルホナート、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルファート、ラウリルエーテルスルファート、脂肪アルコールスルファート、並びに硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−、オクタデカノールの塩、脂肪アルコールグリコールエーテル、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレン或はナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリオキシエチレン−オクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタート、ソルビトールエステル、リグニン−亜硫酸廃液およびメチルセルロース。
【0127】
粉末、散布剤およびダスト剤は有効物質と固状担体物質とを混合または一緒に磨砕することにより製造することができる。
【0128】
粒状体、例えば被覆−、含浸−および均質粒状体は、有効物質を固状担体物質に結合することにより製造することができる。固状担体物質は、例えば鉱物土、例えばシリカゲル、シリカ、シリカゲル、珪酸塩、滑石、カオリン、石灰石、石灰、白亜、膠塊粒土、石灰質黄色粘土、粘土、白雲石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、磨砕合成樹脂、肥料、例えば硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素および植物性生成物、例えば穀物粉、樹皮、木材およびクルミ穀粉、セルロース粉末および他の固状担体物質である。
【0129】
各有効成分を1:1の重量比で含有する組成物の例を、以下に示す。
【0130】
I.90重量部の有効成分と、N−メチル−α−ピロリドン10重量部とを含む溶液を得る。この溶液を微小液滴の形状で使用すると好ましい。
【0131】
II.20重量部の有効成分を、キシレン80重量部、エチレンオキシド8−10モルをオレイン酸−N−モノエタノールアミド1モルに付加した付加生成物10重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩5重量部およびエチレンオキシド40モルをヒマシ油1モルに付加した付加生成物5重量部よりなる混合物中に添加する。この混合物を水中に細分布することにより分散液が得られる。
【0132】
III.20重量部の有効成分、シクロヘキサノン40重量部、イソブタノール30重量部、エチレンオキシド40モルをヒマシ油1モルに付加した付加生成物20重量部を含む水性分散液を得る。
【0133】
IV.20重量部の有効成分、シクロヘキサノール25重量部、沸点210−280℃の鉱油留分65重量部およびエチレンオキシド40モルをヒマシ油1モルに付加した付加生成物10重量部の水性分散液を得る。
【0134】
V.80重量部の有効成分、ジイソブチルナフタレン−1−スルホン酸のナトリウム塩3重量部、亜硫酸−廃液よりのリグニンスルホン酸のナトリウム塩10重量部および粉末状珪酸ゲル7重量部を混和し、かつハンマーミル中において磨砕する。この混合物を水に細分布することにより噴霧混合液が得られる。
【0135】
VI.3重量部の有効成分を細粒状カオリン97重量部と密に混和する。これにより有効物質3重量%を含有するダスト剤が得られる。
【0136】
VII.30重量部の有効成分を、粉末状珪酸ゲル92重量部およびこの珪酸ゲルの表面上に吹きつけられたパラフィン油8重量部よりなる混合物と密に混和する。かくして良好な接着性を有する有効物質の製剤が得られる。
【0137】
VIII.40重量部の有効成分を、フェノールスルホン酸/尿素/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩10重量部、珪酸ゲル2重量部および水48重量部と混和する。安定な水性分散液が得られる。この分散液は更に水で希釈することができる。
【0138】
IX.20重量部の有効成分を、ドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩2重量部、脂肪アルコールポリグリコールエーテル8重量部、フェノールスルホン酸/尿素/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩20重量部およびパラフィン系鉱油88重量部と密に混和する。安定な油状分散液が得られる。
【0139】
新規化合物は、広範囲な植物病理学的菌類、特にボトリチスに対する作用において優れており、秀でている。これらの数種類は組織的に活性であり(例えば、効率を低下させずに、処理された植物に吸収され、必要に応じて植物内部で移動可能である)、茎葉または土壌殺菌剤として使用可能である。
【0140】
これらは種々の農作物、例えばコムギ、ライ麦、大麦、オート麦、稲、トウモロコシ、芝、綿花、大豆、コーヒー、サトウキビ、ブドウ、果実および観賞用植物および野菜、例えばキュウリ、豆類、ウリ、並びにこれら植物の種子における多種細菌を防除するにあたり特に重要である。
【0141】
本発明の化合物は、細菌、または細菌による被害から保護されるべき種子、植物、資材または土壌を有効物質の殺菌有効量で処理する方法で施与される。
【0142】
新規化合物は、細菌により資材、植物または種子に被害がもたらされる以前または以後に施与される。
【0143】
新規の化合物は次のような植物病の防除に特に適している。
【0144】
穀物類のエリシペ・グラミニス(Erysiphe graminis;うどん粉病)、
ウリ科のエリシペ・キコラケアラム(Erysiphe cichoracearum)およびスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、
リンゴのポドスフェラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、
ブドウのウンキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)、
穀物類のプッキニア(Puccinia)種、
綿花およびシバのリゾクトニア種(Rhizoctonia)、
穀物類およびサトウキビのウスチラゴ(Ustilago)種、
リンゴのベンツリア・イネクアリス(Venturia inaeqalis;腐敗病)、
穀物類のヘルミントスポリウム種(Helminthosporium)、
コムギのセプトリア・ノドルム(Septorianodorum)、
イチゴおよびブドウのボトリチス・キネレア(Botrytis cinerea;灰色カビ)、
ナンキンマメのセルコスポラ・アラキジコラ(Cercospora arachdicola)、
コムギおよびオオムギのシュードケルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、
イネのピリクラリア・オリザエ(Pyriculariaorizae)、
種々の植物のフサリウム(Fusarium)およびベルチキルリウム(Verticillium)種、
果実および野菜のアルテルナリア(Alternaria)種、
果実のモニリニア(Monilinia)種
アブラナ科植物および野菜のスクレロチニア(Sclerotinia)種。
【0145】
ボトリチスに対する施与が好ましい。
【0146】
新規化合物を、例えばパエシロミセス・バリオッティ(Paecilomycesvariotii)の資材保護(木材の保護)に用いることも可能である。
【0147】
本発明の殺菌剤組成物は、通常0.1−95重量%、好ましくは0.5−90重量%の有効物質を有する。
【0148】
所望の効果に応じて、ヘクタールあたりの有効物質の施与量を、0.02−3kgとする。
【0149】
種子を処理する場合、種子1kgにあたりに0.001−50g、特に0.01−10gの量の有効物質が一般的に必要とされる。
【0150】
本発明の組成物は殺菌剤としての使用形態において、他の有効物質、例えば除草剤、殺虫剤、生長抑制剤、殺菌剤または肥料と共に用いることも可能である。各種殺菌剤を混合することにより、得られる殺菌効果が向上する場合も多い。
【0151】
以下に本発明の化合物とともに使用可能な化合物を列挙するが、これは組み合わせの可能性を示すためのものであって、制限を加えるためのものではない。
【0152】
硫黄
ジチオカルバマート及びその誘導体、例えば
鉄(III)ジメチルジチオカルバマート、
亜鉛ジメチルジチオカルバマート、
亜鉛エチレンビスジチオカルバマート、
マンガンエチレンビスジオカルバマート、
マンガン−亜鉛−エチレンジアミン−ビス−ジチオカルバマート、
テトラメチルチウラムジスルフィド、
亜鉛−(N,N−エチレン−ビス−ジチオカルバマート)のアンモニア錯化合物、
亜鉛(N,N′−プロピレン−ビス−ジチオカルバマート)のアンモニア錯化合物、
亜鉛(N,N′−プロピレン−ビス−ジチオカルバマート)、
N,N'−ポリプロピレン−ビス(チオカルバモイル)ジスルフィド、
ニトロ誘導体、例えば
ジニトロ−(1−メチルヘプチル)フェニルクロトナート、
2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニル−3,3−ジメチルアクリラート、
2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニル−イソプロピルカルボナート、
ジイソプロピル5−ニトロイソフタラート、
複素環式物質、例えば
2−ヘプタデシル−2−イミダゾリン−アセタート、
2,4−ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−s−トリアジン、
O,O−ジエチル−フタルイミドホスホノチオエート、
5−アミノ−1−〔ビス−(ジメチルアミノ)−ホスフィニル〕−3−フェニル−1,2,4−トリアゾール、
2,3−ジシアノ−1,4−ジチオアントラキノン、
2−チオ−1,3−ジチオロ−(4,5−b)−キノキサリン、
1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾール−カルバミン酸メチル
2−メトキシカルボニルアミノベンゾイミダゾール、
2−(フリル−(2))ベンゾイミダゾール、
2−(チアゾリル−(4))ベンゾイミダゾール、
N−(1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ)テトラヒドロフタルイミド、
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、
N−トリクロロメチルチオフタルイミド、
N−ジクロロフルオロメチルチオ−N′,N′−ジメチル−N−フェニル硫酸ジアミド、
5−エトキシ−3−トリクロロメチル−1,2,3−チアジアゾール、
2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾール、
1,4−ジクロロ−2,5−ジメトキシベンゼン、
4−(2−クロロフェニルヒドラゾノ)−3−メチル−5−イソキサゾロン、
ピリジン2−チオ−1−オキシド、
【0153】
8−ヒドロキシキノリン又はその銅塩、
2,3−ジヒドロ−5−カルボキシアニリド−6−メチル−1,4−オキサチイン、
2,3−ジヒドロ−5−カルボキシアニリド−6−メチル−1,4−オキサチイン−4,4−ジオキシド、
2−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−ピラン−3−カルボキシアニリド、
2−メチルフラン−3−カルボキシアニリド、
2,5−ジメチルフラン−3−カルボキシアニリド、
2,4,5−トリメチルフラン−3−カルボンキシアニリド、
N−シクロヘキシル−2,5−ジメチルフラン−3−カルボキシアミド、
N−シクロヘキシル−N−メトキシ−2,5−ジメチルフラン−3−カルボキシアミド、
2−メチルベンズアニリド、
2−ヨードベンズアニリド、
N−ホルミル−N−モルホリン−2,2,2−トリクロロエチルアセタート、
ピペラジン−1,4−ジイルビス−(1−(2,2,2−トリクロロエチル)ホルムアミド、
1−(3,4−ジクロロアニリノ)−1−ホルミルアミノ−2,2,2−トリクロロエタン、
2,6−ジメチル−N−トリデシルモルホリン又はその塩、
2,6−ジメチル−N−シクロドデシルモルホリン又はその塩、
N−〔3−(p−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル〕−シス−2,6−ジメチルモルホリン、
N−〔3−(p−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル〕ピペリジン、
1−〔2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−イル−エチル〕−1H−1,2,4−トリアゾール、
1−〔2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルエチル〕−1H−1,2,4−トリアゾール、
N−(n−プロピル)−N−(2,4,6−トリクロロフェノキシエチル)−N′−イミダゾリル尿素、
1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2−ブタノン、
1−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2−ブタノール、
α−(2−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−5−ピリミジンメタノール、
5−ブチル−2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン、
ビス(p−クロロフェニル)−3−ピリジンメタノール、
1,2−ビス−(3−エトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン、
1,2−ビス−(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン、および種々の殺菌剤、例えば
ドデシルグアニジンアセタート、
3−[3−(3,5−ジメチル−2−オキシシクロヘキシル)−2−ヒドロキシエチル]グルタルイミド、
ヘキサクロロベンゼン、
N−メチル−N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(2−フロイル)−アラニナート、
DL−N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(2′−メトキシアセチル)アラニンメチルエステル、
N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−クロロアセチル−D,L−2−アミノブチロラクトン、
DL−N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(フェニルアセチル)アラニンメチルエステル、
5−メチル−5−ビニル−3−(3,5−ジクロロフェニル)−2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリジン、
3−[3,5−ジクロロフェニル−(5−メチル−5−メトキシメチル]−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン、
3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−イソプロピルカルバモイルヒダントイン、
N−(3,5−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシイミド、
2−シアノ−[N−(エチルアミノカルボニル)−2−メトキシイミノ]アセトアミド、
1−〔2−(2,4−ジクロロフェニル)ペンチル〕−1H−1,2,4−トリアゾール、
2,4−ジフルオロ−α−(1H−1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−ベンズヒドリルアルコール、
N−(3−クロロ−2,6−ジニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5−トリフルオロメチル−3−クロロ−2−アミノピリジン、
1−((ビス−(4−フルオロフェニル)メチルシリル)メチル)−1H−1,2,4−トリアゾール。
【実施例】
【0154】
本発明の組成物の相乗作用を、以下の使用実施例により説明する。ここで用いる有効成分Iを以下の式I.1−I.5に示す。
【0155】
【化15】

【0156】
【化16】

【0157】
また、アミド化合物として以下の式II.1およびII.2の化合物を用いる。
【0158】
【化17】

【0159】
使用実施例1
ピーマンの果実のボトリチス・キネレア(Botrvtis cinerea)に対する作用
ピーマンのディスクに、乾燥重量で80%の有効成分と、20%の乳化剤とを含有する有効成分の水性組成物を組成物を液が滴るまで噴霧した。組成物が乾燥した2時間後、上記ディスクに濃度2%のバイオモルツ溶液1ミリリットルに1.7×106胞子を含むボトリチス・キネレアの胞子懸濁液を噴霧し、次いで高湿度、18℃のチャンバー中で4日間培養した。発病した果実のディスク上のボトリチスの繁殖を目視にて評価した(発病水準100%)。
【0160】
発病した果実部分の割合を目視にて測定したデータを、未処理対照の百分率としての効率に換算した。効率0は未処理対照と同様の発病水準を、効率100は発病水準0%を意味するものとする。有効成分の組み合わせにより予期される効率をコルビーの式(Colby S.R.「除草剤組み合わせによる相乗的および対立的応答の計算(“Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide Combinations”)、Weeds、15、20−22頁、1967)により算出し、観察された効率と比較した。結果を以下の表1に示す。
【0161】
【表28】

【0162】
実験結果により、あらゆる混合比の場合の観察された効率が、Colbyの式を用いて事前に計算された効率を上回ることがわかる。つまり相乗作用が得られているといえる。
【0163】
使用実施例2
ボトリチス・キネレアに対する作用
4−5枚の葉が正常に生育した後のピーマンの苗(Neusiedler Ideal Elite種)に乾燥重量80%の有効成分と20%の乳化剤とを含む水性懸濁液を液が滴るまで噴霧した。組成物が乾燥した後、ボトリチス・キネレア菌の分生胞子懸濁液を植物に噴霧し、これを22−24℃、高湿度にて保持した。5日後、未処理対照植物の病状は、葉部壊死が大部分の葉部に発生する程度に(病状水準96%)進行していた。
【0164】
発病した葉部を百分率で示した目視による測定データを、未処理対照の百分率としての作用水準に変換した。効率0は未処理対照と同様の病状水準を意味し、効率100は0%の病状水準を意味するものとする。有効成分の組み合わせによる予想効率をコルビーの式(Colby、S.R.「Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide Combinations」、Weeds、15、20−22頁、1967)により算出し、実測効率と比較した。結果を下記表2に示す。
【0165】
【表29】

【0166】
実験結果により、あらゆる混合比の場合の観察された効率が、Colbyの式を用いて事前に計算された効率を上回ることがわかる。つまり相乗作用が得られているといえる。
【0167】
アミド化合物として以下の化合物のうちのいずれかを用いた場合も同様の結果が得られた。
【0168】
【化18】

(式中Aは以下の表3に記載の
【0169】
【化19】

またはヨーロッパ特許出願公開第545099号および同第589301号各公報に記載の他の化合物および/または上記表I.1〜I.8に記載の各化合物を意味する。)
【0170】
【表30】

【0171】
【表31】

【0172】
【表32】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体または液体担体中に、
(A)下式
【化1】

で表わされ、かつ
R’が、−N(OCH3)−CO2CH3を意味し、
R’’が、フェニルオキシメチレン(ただし、芳香族基は、1、2または3個のアルキル、ハロゲン、CF3、CHF2、−C(CH3)=NOCH3またはフェニルで置換されていてもよく、このフェニル自体が1、2または3個のハロゲン原子および/またはアルキル基で置換されていてもよい)を意味する場合の、チトクロム錯体IIIの呼吸を抑止する、少なくとも1種類の作用成分Iと、
(B)下式IIb
【化2】

で表わされ、
4がハロゲンを、
11がハロゲンで置換されたフェニルを意味する場合の、少なくとも1種類のアミド化合物とを含有する有害菌類防除組成物。
【請求項2】
作用成分Iとして、下式
【化3】

の化合物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アミド化合物として下式
【化4】

で表わされる化合物を含有する、請求項(1)の組成物。
【請求項4】
一方部分が固体もしくは液体担体中における有効組成分(I)であり、他方部分が固体もしくは液体担体中における有効組成分(II)のアミド化合物である二部分から成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
有害菌類、その周囲またはその感染に対して防護されるべき諸材料、植物、種子、土壌、帯域または空気を、両有効組成を同時に、合併してもしくは別個にあるいは相次いで施こすことにより、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物で処理することから成る、有害菌類の防除方法。

【公開番号】特開2008−69168(P2008−69168A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266434(P2007−266434)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【分割の表示】特願平9−512401の分割
【原出願日】平成8年9月23日(1996.9.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】