説明

有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】本発明の目的は、発光効率が高く繰り返し使用時での安定性の優れた有機EL素子の提供にある。
【解決手段】陽極と陰極とからなる一対の電極間に、発光層または発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光層が、ホスト材料50.0〜99.999重量%と、ドーパント材料0.001〜50.0重量%とからなり、前記ホスト材料の内少なくとも1種類以上は下記一般式[1]で表される化合物であり、前記ドーパント材料の内少なくとも1種類以上は下記一般式[2]で表される化合物である有機エレクトロルミネッセンス素子。
一般式[1]
【化1】


[式中、R1〜R4は水素原子または置換基を示し、
5〜R24は水素原子または置換基を示す。]
一般式[2]
【化2】


[式中、R25およびR26はアルキレン基を示し、
27〜R38は水素原子または置換基を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面光源や表示に使用される有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。さらに詳しくは、低い駆動電圧で高い色純度と輝度を示す赤色発光を得るための長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とがこれら両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光するという有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、固体発光型の表示素子としての用途が有望視され、近年、活発に研究開発が行われている。
【0003】
この研究は、イーストマン・コダック社のC.W.Tang氏らによりAppl.Phys.Lett.,第51巻,913頁,1987年発行に報告された有機薄膜を積層したEL素子に端を発している。この報告では、金属キレート錯体を発光層、アミン系化合物を正孔注入層に使用することで、6〜10Vの直流電圧での輝度が数1000(cd/m2)、最大発光効率が1.5(lm/W)の緑色発光を得ている。現在、様々な研究機関で開発が進められている有機EL素子は、基本的にこのイーストマン・コダック社の構成を踏襲しているといえる。
【0004】
有機EL素子の中でも、特に赤色発光を示す有機EL素子は、その有用性から様々な材料を用いた素子の研究が進められてきたが、ホスト材料の中に微量のドーパントを共蒸着などの方法によって混入させて発光層を形成し、ドーパントからの発光を得るという方法が有効な方法として検討されている。そのような例として、C.H.Chenら著,Macromol.Symp.,第125号,34〜36頁および49〜58頁,1997年発行に記載されている方法では、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウムをホスト材料に、DCM、DCJ、DCJT、DCJTBといった4H−ピラン誘導体をドーパントに用いて橙色から赤色の発光が得られる有機EL素子を報告している。
【0005】
また、ルブレン化合物を有する有機EL素子については、例えば、特開2005−53806号、特開2005−19413号、特開平11−273861号公報が知られている。
【0006】
また、ジケトピロロピロール化合物を有する有機EL素子については、例えば、特開2006−160982号、特開2003−155286号、特開2001−139940号が知られている。
【0007】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.,第51巻,913頁,1987年
【非特許文献2】Macromol.Symp.,第125号,34〜36頁および49〜58頁,1997年
【特許文献1】特開2005−53806号公報
【特許文献2】特開2005−19413号公報
【特許文献3】特開平11−273861号公報
【特許文献4】特開2006−160982号公報
【特許文献5】特開2003−155286号公報
【特許文献6】特開2001−139940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術に述べた赤色の高輝度発光を得るための有機EL素子は、色純度が悪いことや寿命が短いという欠点があった。ルブレン化合物を有する有機EL素子の場合、発光波長が短いため色純度の点で不十分であった。また、ジケトピロロピロール化合物を有する有機EL素子は駆動電圧が高く発光輝度が低いというという問題があった。そのため、より一層低い駆動電圧で高い色純度と輝度が得られる赤色発光を得ることができる長寿命の有機EL素子が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、以上の諸問題を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、陽極と陰極とからなる一対の電極間に、発光層または発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光層が、ホスト材料50.0〜99.999重量%と、ドーパント材料0.001〜50.0重量%とからなり、前記ホスト材料の内少なくとも1種類は下記一般式[1]で表される化合物であり、前記ドーパント材料の内少なくとも1種類は下記一般式[2]で表される化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0010】
一般式[1]
【化1】

【0011】
[式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは置換若しくは未置換のアルケニル基を示し、R5〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアルコキシル基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基、置換若しくは未置換のアミノ基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは置換若しくは未置換のアルケニル基を示す。R1〜R4若しくはR5〜R24は隣接した置換基同士で結合して環を形成してもよい。]
【0012】
一般式[2]
【化2】

【0013】
[式中、R25およびR26は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキレン基を示し、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは一般式[3]で表される置換基を表す。
29〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは一般式[4]で表される置換基を表す。ただし、R29〜R33のうち1つ、および、R34〜R38のうち1つは、それぞれ一般式[4]で表される置換基である。]
【0014】
一般式[3]
【化3】

【0015】
[式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、R39は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基を示す。]
【0016】
一般式[4]
【化4】

【0017】
[式中、R40およびR41は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基を示す。また、R40とR41で環を形成しても良い。]
【発明の効果】
【0018】
本発明の有機EL素子用材料を用いて作成した有機EL素子は、従来に比べて低い駆動電圧で発光し長寿命であるため、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや平面発光体として好適に使用することができ、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、詳細にわたって本発明を説明する。本発明は、一般式[1]で表されるルブレン化合物と、一般式[2]で表されるジケトピロロピロール化合物とを含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料であるが、まず、一般式[1]で表されるルブレン化合物について説明する。
【0020】
一般式[1]で表される化合物は、式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは置換若しくは未置換のアルケニル基を示し、R5〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基、置換若しくは未置換のアルコキシル基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは置換若しくは未置換のアルケニル基を示す。R1〜R4若しくはR5〜R24は隣接した置換基同士で結合して環を形成してもよい。
【0021】
1〜R24において、ハロゲン原子としては弗素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0022】
1〜R24において、置換もしくは未置換のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜20であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基等の未置換直鎖状又は分枝状アルキル基の他、エトキシエチル基、エトキシメチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2−フェニルイソプロピル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、α−フェノキシベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α,α−メチルフェニルベンジル基、α,α−ジトリフルオロメチルベンジル基、トリフェニルメチル基、α−ベンジルオキシベンジル基等の置換アルキル基が挙げられる。
【0023】
1〜R24において、置換もしくは未置換のアリール基としては、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜18であり、具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、ビフェニル基、4−メチルビフェニル基、4−エチルビフェニル基、4−シクロヘキシルビフェニル基、ターフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、ナフチル基、5−メチルナフチル基、アントリル基、ピレニル基等が挙げられる。
【0024】
5〜R24において、置換若しくは未置換のアルコキシル基としては、好ましくは炭素数2〜40、更に好ましくは炭素数2〜10であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソペンチルオキシ基等のアルコキシル基が挙げられる。
【0025】
5〜R24において、置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜40であり、具体的には、フェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アンスリルオキシ基等のアリールオキシ基が挙げられる。
【0026】
1〜R24において、置換もしくは未置換のアルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜40であり、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基等が挙げられる。
【0027】
5〜R24において、置換もしくは未置換のアミノ基としては、好ましくは炭素数1〜40であり、具体的には、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0028】
1〜R24において、置換もしくは未置換の複素環基としては、ヘテロ原子としてO、N、Sを含有する5員または6員環の芳香族複素環基、または、縮合多環芳香複素環基が挙げられる。縮合多環芳香複素環基としては、好ましくは炭素数4〜40、更に好ましくは炭素数4〜20である。また、芳香族複素環基及び縮合多環芳香複素環基としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾチアゾール基、フラニル基、チオフェニル基、ピロール基、ピラニル基、チオピラニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、イミダゾール基、ピリミジニル基、トリアジニル基、インドリニル基、キノリル基、プリニル基、ジオキサニル基、ジオキソラニル基等が挙げられる。
【0029】
1〜R24はが有していてもよい置換基としては、前述の各置換基の説明で具体的に挙げたもの以外にも、R1〜R24における各置換基が挙げられ、また、それらが組み合わされたものでもよい。
【0030】
また、R1〜R4若しくはR5〜R24は、隣接する置換基同士でそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
【0031】
隣接する置換基同士で、それぞれ互いに結合して形成される環としては、例えばインデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、iso−キノリン、キノクサリン、フェナジン、アクリジン、インドール、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、アクリドン、ベンズイミダゾール、クマリン、フラボン等が挙げられる。
【0032】
以上、本発明に用いることができる一般式[1]で表されるルブレン化合物について説明したが、これらルブレン化合物の分子量は、2000以下が好ましく、1500以下が更に好ましく、1000以下が特に好ましい。この理由は、分子量が大きい程、蒸着により素子を作成しようとした場合の蒸着性が悪くなることが考えられるためである。
【0033】
以下、表1に本発明の有機EL素子用材料として用いることができる一般式[1]で表されるルブレン化合物の代表例を示す。しかしながら、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない。
【0034】
表1
【0035】
【表1】

【0036】
【表1】

【0037】
【表1】

【0038】
【表1】

【0039】
【表1】

【0040】
【表1】

【0041】
【表1】

【0042】
次に、一般式[2]で表されるジケトピロロピロール化合物について説明する。一般式[2]で表される化合物において、R25およびR26は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキレン基を示し、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは一般式[3]で表される置換基を表す。
29〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは一般式[4]で表される置換基を表す。ただし、R29〜R33のうち1つ、および、R34〜R38のうち1つは、それぞれ一般式[4]で表される置換基である。
【0043】
一般式[3]で表される置換基において、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、R39は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基を示す。
一般式[4]で表される置換基において、R40およびR41は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基を示す。また、R40とR41で環を形成しても良い。
【0044】
25及びR26において、置換若しくは未置換のアルキレン基としては、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜10であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
【0045】
ここで、R27〜R41における、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基あるいは置換若しくは未置換の複素環基とは、一般式[1]で説明したハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基あるいは置換若しくは未置換の複素環基と同義である。
【0046】
40とR41によって形成される環としては、例えばインドール、カルバゾール等が挙げられる。
【0047】
27〜R41は更に置換基を有していてもよく、更に有する置換基としては、シアノ基、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアルコキシル基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換若しくは未置換のアリールチオ基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基が挙げられ、このうち、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアルコキシル基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基、および置換若しくは未置換の複素環基は、一般式[1]で説明したハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアルコキシル基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基および置換若しくは未置換の複素環基と同義である。
【0048】
置換もしくは未置換のアルキルチオ基としては、好ましくは炭素数2〜40、更に好ましくは炭素数2〜10であり、具体的としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基等が挙げられる。
【0049】
置換もしくは未置換のアリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜50で更に好ましくは炭素数6〜20であり、具体的には、フェニルチオ基、p−ニトロフェニルチオ基、p−tert−ブチルフェニルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基、3−トリフルオロメチルフェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられる。
【0050】
以上、本発明に用いる一般式[2]で表されるジケトピロロピロール化合物について説明したが、これらジケトピロロピロール化合物の分子量としては、2000以下が好ましく、1500以下がさらに好ましく、1000以下が特に好ましい。この理由として、分子量が大きいと、蒸着によって素子を作成する場合の蒸着性が悪くなる懸念が考えられるためである。
【0051】
以下、表2に本発明の有機EL素子用材料として用いることができる一般式[2]で表されるジケトピロロピロール化合物の代表例を示すが、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない。
【0052】
表2
【0053】
【表2】

【0054】
【表2】

【0055】
【表2】

【0056】
【表2】

【0057】
【表2】

【0058】
【表2】

【0059】
【表2】

【0060】
【表2】

【0061】
【表2】

【0062】
【表2】

【0063】
【表2】

【0064】
【表2】

【0065】
【表2】

【0066】
ところで、有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型有機EL素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指す。一方、多層型有機EL素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。したがって、多層型有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層した素子構成が考えられる。
【0067】
ここで、正孔注入層には、発光層に対して優れた正孔注入効果を示し、かつ陽極界面との密着性と薄膜形成性に優れた正孔注入層を形成できる正孔注入材料が用いられる。また、このような材料を多層積層させ、正孔注入効果の高い材料と正孔輸送効果の高い材料とを多層積層させた場合、それぞれに用いる材料を正孔注入材料、正孔輸送材料と呼ぶことがある。そのような正孔注入材料あるいは正孔輸送材料の例としては、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾールチオン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、テトラヒドロイミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、アシルヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、芳香族三級アミン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリシラン誘導体等があげられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陽極からの正孔を注入ができて、正孔を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
【0068】
上記材料の中でも特に好適に使用することのできる正孔注入材料あるいは正孔輸送材料としては、芳香族三級アミン誘導体およびフタロシアニン誘導体があげられる。芳香族三級アミン誘導体としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン、およびこれら芳香族三級アミン骨格を有するオリゴマーまたはポリマーがあげられ、これらは正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも好適に使用することができる。また、フタロシアニン(Pc)誘導体としては、例えば、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体があげられ、これらは特に正孔注入材料に好適に使用することができる。
【0069】
一方、電子注入層には、発光層に対して優れた電子注入効果を示し、かつ陰極界面との密着性と薄膜形成性に優れた電子注入層を形成できる電子注入材料が用いられる。そのような電子注入材料の例としては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、シロール誘導体、カルシウムアセチルアセトナート、酢酸ナトリウムなどがあげられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料(高分子学会予稿集,第50巻,4号,660頁,2001年発行に記載)や第50回応用物理学関連連合講演会講演予稿集、No.3、1402頁、2003年発行記載のBCP、TPP、T5MPyTZ等も電子注入材料の例としてあげられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陰極からの電子を注入できて、電子を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
【0070】
上記電子注入材料の中でも特に効果的な電子注入材料としては、金属錯体化合物または含窒素五員環誘導体があげられる。本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい金属錯体化合物としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)クロロアルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、4−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、5−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物の他、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物があげられる。
【0071】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体があげられ、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5 −フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert− ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等があげられる。
【0072】
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物があげられる。
【0073】
また、本発明の有機EL素子の発光層は、一般式[1]で表されるルブレン化合物と、一般式[2]で表されるジケトピロロピロール化合物を含有することを特徴としているが、他のホスト材料やドーパントを含有していても構わない。この場合、ドーパントの濃度はホスト材料に対して0.001〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、0.01〜10重量%の範囲で含有されることがより好ましく、0.1〜5重量%の範囲で含有されることがさらに好ましい。
【0074】
本有機EL素子における発光層中には、本発明の有機EL素子用材料の他に、必要に応じて、他の発光材料やドーピング材料のみならず、先に述べた正孔注入材料や電子注入材料を二種類以上組み合わせて使用することもできる。また、正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良い。
【0075】
さらに、本発明の有機EL素子の陽極に使用される材料は、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等の金属およびそれらの合金、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマー等があげられる。特に本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、できるだけ抵抗値の低いものが好ましく、ITOガラス、NESAガラスが好適に使用される。
【0076】
また、本発明の有機EL素子の陰極に使用される材料は、電子を効率よく有機EL素子に注入できる材料であれば特に限定されないが、一般に、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの合金があげられる。ここで、合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例としてあげられるが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属を含む合金が好ましい。また、フッ化リチウムのような無機塩を上記低仕事関数金属の替わりに使用することも可能である。また、これら陰極の作成方法としては、抵抗加熱、電子線ピーム照射、スパッタリング、イオンプレーティング、コーティングなどの業界公知の方法で作成することができる。以上述べた陽極および陰極は、必要に応じて二層以上の層構成により形成されていても良い。
【0077】
本発明の有機EL素子からの発光を効率よく取り出すためには、発光を取り出す面の基板の材質が充分透明であることが望ましく、具体的には素子からの発光の発光波長領域における透過率が50%以上、好ましくは90%以上であることが望ましい。これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラスの他、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン等の透明性ポリマーが推奨される。
【0078】
また、本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ピーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
【0079】
また、有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
【0080】
以上述べたように、本有機EL素子は、低い駆動電圧で高い色純度と輝度を示す赤色発光を得ることが可能である。故に、本有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。本実施例では、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。また、電極面積2mm×2mmの有機EL素子の特性を測定した。尚、実施にあたって下記に示す公知の材料を用いた。また、本実施例でいう発光ピーク波長とは、発光中心波長に値する主ピークの波長を意味し、発光ピーク幅とは、これらピーク全体において発光中心波長の半分の高さのところでの波長の幅を意味する。
【0082】
実施例1
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を、窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を3×10-6Torrに減圧した。まず、ITO透明電極上に、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニルを、蒸着速度0.2nm/sec で75nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。次いで、表1の化合物1と表2の化合物57を99:1(重量比)の組成比で共蒸着して膜厚20nmの発光層を得た。次に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq3)を、蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、電子輸送層とした。さらにその上に、マグネシウムと銀を、蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。尚、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に、直流電圧を印下したところ、この素子からは、発光ピーク波長が646nm、ピーク幅が33nm、最高輝度が12500cd/m2の赤色発光が得られた。この素子は駆動電圧5Vでの輝度が500cd/m2であった。さらに発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命は1300時間であった。
【0083】
実施例2〜実施例11
実施例1の化合物1の代わりに表3に示す化合物を用いる以外は、全て実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。これらの素子における、駆動電圧5Vでの輝度および発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命を併せて表3に示す。これらの素子はいずれも、駆動電圧5Vでの輝度が300cd/m2以上であり、発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命は1000時間以上であった。
【0084】
表3
【表3】

【0085】
実施例12〜35
実施例1の化合物57の代わりに表4に示す化合物を用いる以外は、全て実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。これらの素子における、駆動電圧5Vでの輝度および発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命を併せて表3に示す。これらの素子はいずれも、駆動電圧5Vでの輝度が300cd/m2以上であり、発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命は1000時間以上であった。
【0086】
表4
【表4】

【0087】
比較例1〜比較例5
実施例1の化合物1の代わりにAlq3もしくは下記の表5に示す公知の化合物である化合物A〜化合物Dを成膜して用いる以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。なお、表5中でTolはp−tolyl基を表す。これらの素子における、駆動電圧5Vでの輝度および発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命を表6に示す。これらの素子はいずれも、駆動電圧5Vでの輝度が100cd/m2未満であり、発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命は500時間未満であった。
【0088】
表5
【表5】

【0089】
表6
【表6】

【0090】
比較例6
実施例1の化合物57の代わりに下記に示すDCJTBを用いる以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子における駆動電圧5Vでの輝度は2.3cd/m2であり、発光輝度500cd/m2で定電流駆動したときの半減寿命は210時間であった。
【0091】
【化5】

【0092】
以上述べた実施例から明らかなように、本発明の有機EL素子は低電圧駆動時での発光輝度の向上と長寿命化を達成することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極とからなる一対の電極間に、発光層または発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光層が、ホスト材料50.0〜99.999重量%と、ドーパント材料0.001〜50.0重量%とからなり、前記ホスト材料の内少なくとも1種類は下記一般式[1]で表される化合物であり、前記ドーパント材料の内少なくとも1種類は下記一般式[2]で表される化合物である有機エレクトロルミネッセンス素子。
一般式[1]
【化1】

[式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは置換若しくは未置換のアルケニル基を示し、R5〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアルコキシル基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基、置換若しくは未置換のアミノ基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは置換若しくは未置換のアルケニル基を示す。R1〜R4若しくはR5〜R24は隣接した置換基同士で結合して環を形成してもよい。]
一般式[2]
【化2】

[式中、R25およびR26は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアルキレン基を示し、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは一般式[3]で表される置換基を表す。
29〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換の複素環基、あるいは一般式[4]で表される置換基を表す。ただし、R29〜R33のうち1つ、および、R34〜R38のうち1つは、それぞれ一般式[4]で表される置換基である。]
一般式[3]
【化3】

[式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、R39は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基を示す。]
一般式[4]
【化4】

[式中、R40およびR41は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、あるいは置換若しくは未置換の複素環基を示す。また、R40とR41で環を形成しても良い。]

【公開番号】特開2008−71863(P2008−71863A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247837(P2006−247837)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】