説明

有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板、及びそれを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置

【課題】外光反射が少なく表示の均一性に優れる有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を提供する。また、上記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供する。
【解決手段】偏光子とλ/4位相差フィルムとが積層された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板であって、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度が45°であり、前記λ/4位相差フィルムの45°偏光入射時の内部ヘイズ値が0.01〜0.1%の範囲内であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板、及びそれを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極間に発光層を設け、これに電圧を印加して発光を生じる有機エレクトロルミネッセンス素子は、平面型照明、光ファイバー用光源、液晶ディスプレイ用バックライト、液晶プロジェクタ用バックライト、ディスプレイ装置等の各種光源として盛んに研究、開発が進められている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光効率、低電圧駆動、軽量、低コストという点で優れており、近年極めて注目を浴びている素子である。
【0004】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、陰極から電子を、陽極から正孔を注入し、両者が発光層で再結合することにより、発光層の発光特性に対応した可視光線の発光を生じさせるものである。陽極には、透明導電性材料の中では最も電気伝導度が高く、比較的仕事関数が大きく、高い正孔注入効率が得られるという点から、専ら酸化インジウムスズ(ITO)が使用される。一方、陰極には、通常金属電極が使用されるが、電子注入効率を考慮し、仕事関数の観点から、Mg、MgAg、MgIn、Al、LiAl等の材料が使用される。
【0005】
これらの金属材料は、光反射率が高く、電極(陰極)としての機能の他に、発光層で発光した光を反射し、出射光量(発光輝度)を高める機能も担っている。すなわち、陰極方向に発光した光は、陰極である金属材料表面で鏡面反射し、透明なインジウムITO電極(陽極)から出射光として取り出されることになる。
【0006】
しかしながら、このような構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子は、陰極が光反射性の強い鏡面となっているため、発光していない状態(黒表示時)では外光の反射により表示品位が低下する問題がある。具体的には、室内照明の映り込み等、明所では黒色が表現できなくなり、ディスプレイ装置用の光源として使用するには、明室コントラストが極端に低いという問題点を有する。
【0007】
この問題を改善するために、鏡面の外光反射防止に円偏光板を使用することが、特許文献1に開示されている。典型的な反射防止用の円偏光板は、偏光子とλ/4位相差フィルムを積層した構成からなり、偏光子の吸収軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角を45°にすることにより外光の反射を抑制する機能を発揮する。
【0008】
外光の反射を抑制する観点からλ/4位相差フィルムは、散乱による偏光の乱れを抑制することが必要であり、例えば特許文献2に記載の低ヘイズのものを使用するのが一般的である。
【0009】
また、偏光子との密着性に優れるセルロースエステル樹脂からなる低ヘイズのλ/4位相差フィルムが特許文献3に記載されている。
【0010】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、前述のように発光層や透明電極等を蒸着等により積層し作製される。均一な素子作製は有機エレクトロルミネッセンス素子の一つの課題であるが、その到達度はいまだ不十分であり、発光層やITO電極(陽極)等の厚さムラや伝導率のムラに起因して発光ムラが発生し表示の均一性が劣化することで表示品位が低下する問題があった。
【0011】
有機エレクトロルミネッセンス表示素子の発光ムラを改善する手法として、高ヘイズのλ/4位相差フィルムを使用し、散乱によりムラを低減することが考えられるが、前記の外光反射抑制の性能を落とすことになり、外光反射の抑制と表示の均一性の二つの課題を両立することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−321381号公報
【特許文献2】特開2009−98648号公報
【特許文献3】特開2010−217846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、外光反射が少なく表示の均一性に優れる有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を提供することである。また、上記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について偏光と内部散乱との関係に着目して検討した結果、有機エレクトロルミネッセンス素子用の円偏光板を構成するλ/4位相差フィルムの、45°偏光入射時の内部ヘイズ値が0.01〜0.1%の範囲内である場合に外光反射の抑制と表示の均一性を両立できることを見出し本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.偏光子とλ/4位相差フィルムとが積層された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板であって、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度が45°であり、前記λ/4位相差フィルムの45°偏光入射時の内部ヘイズ値が0.01〜0.1%の範囲内であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
2.前記λ/4位相差フィルムが、下記式(1)及び式(2)を満足するセルロースエステルと、散乱体とを含有し、かつ前記散乱体の平均粒径(r)と屈折率(n)とが、下記式(3)及び式(4)とを満足することを特徴とする前記1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
【0016】
2.0≦X+Y≦3.0・・・・・式(1)
0.5≦Y・・・・・・・・・・・式(2)
(式(1)及び式(2)中、Xはアセチル基置換度を表し、Yはプロピオニル基置換度とブチリル基置換度との和を表す。)
100nm≦r≦500nm・・・式(3)
1.4<n<1.47・・・・・・式(4)
3.前記散乱体が、表面処理シリカ分散物であることを特徴とする前記2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
4.前記λ/4位相差フィルムが、斜め延伸されて製造されたものであることを特徴とする前記1〜3項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
5.前記1〜4項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記手段により、外光反射が少なく表示の均一性に優れる有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を提供することができる。また、上記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することができる。
【0018】
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。すなわち外光の反射防止に係る偏光子とλ/4位相差フィルムとの円偏光フィルムとしての機能と、発光素子から発せられる光に関わるムラの発生とを、45°偏光入射時のλ/4位相差フィルムの内部ヘイズを適度な値に制御することにより、反射防止機能に係る円偏光特性への影響を少なくして、無偏光の光拡散に係るムラの改善を達成するため、両立できるものであると考えている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】有機エレクトロルミネッセンス素子の表示品位の低下を説明するための模式図である。
【図2】有機エレクトロルミネッセンス表示装置の外光の反射防止及び発光素子からの光の状態を表した模式図である。
【図3】45°偏光に対する内部ヘイズの起因となる集合体の模式図である。
【図4】斜め延伸テンターの模式図である。
【図5】内部ヘイズ測定用試料の模式図である。
【図6】有機エレクトロルミネッセンス表示装置の構成の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板は、偏光子とλ/4位相差フィルムとが積層された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板であって、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度が45°であり、前記λ/4位相差フィルムの45°偏光入射時の内部ヘイズ値が0.01〜0.1%の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0021】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記λ/4位相差フィルムが、前記式(1)及び式(2)を満足するセルロースエステルと散乱体とを含有し、かつ、前記散乱体の平均粒径(r)と屈折率(n)とが、前記式(3)及び式(4)とを満足することが好ましい。
【0022】
また、前記散乱体が、表面処理シリカ分散物であること、さらに、前記λ/4位相差フィルムが、斜め延伸されて製造されたものであることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。
【0023】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を好適に具備する。
【0024】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0025】
以下図を用いて本発明を説明する。
【0026】
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子の表示品位の低下を説明するための模式図である。図1(a)は青発光素子21a、緑発光素子22a、赤発光素子23aの3色の発光素子からなる一つの画素が均一に発光した場合を表している。
【0027】
図1(a)のように3色の発光素子が均一発光した場合には、映像を表示した場合通常の観察距離で人間の目には画素24aは均一な白として認識される。図1(b)は、発光にムラのある青発光素子21b、緑光素子22b、赤発光素子23bの3色の発光素子の3色の素子からなる一つの画素24bが発光している場合を表している。ムラのある発光は、一つの画素24bが均一な白と認識されず、例えば青色に近い白の部分や赤色に近い白の部分等が観察され表示品位を落とす。
【0028】
図2は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の外光の反射防止及び発光素子からの光の状態を表した模式図である。
【0029】
図2(a)は外光の反射防止機能を偏光状態変化を用いて模式的に表している。外光34は、偏光子31、λ/4位相差フィルム32からなる円偏光板を通り、発光素子33に入射する際に偏光子31の影響により直線偏光35(ここでは、偏光子の吸収軸が0°と仮定したため90°の電場振動方向を持つ直線偏光)となる。次に、λ/4位相差フィルム32に入射し円偏光36に変換され、発光素子中の反射電極により反射された円偏光37は、再びλ/4位相差フィルム32に入射し直線偏光38(この時の電場の振動方向は0°)に変換される。直線偏光38は、偏光子31に吸収されるため表示装置外に出ることなく反射防止機能が発現する。
【0030】
図2(b)は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光素子33からの光出射を模式的に表わしている。発光素子33から出た光は、無偏光39でありλ/4位相差フィルム32を透過し、偏光子31まで到達した無偏光40は光量の低減を伴って偏光子31を通り、直線偏光41となって素子外部へと出射する。
【0031】
図2(a)に着目すると、外光の反射防止機能のためには特にλ/4位相差フィルムの遅相軸に対して45°の電場振動を持つ直線偏光に対しての内部ヘイズが小さいことが好ましい。また、図2(b)に着目すると、画素の均一な白表示のためにはλ/4位相差フィルムの内部ヘイズが大きいことが好ましい。
【0032】
以上のことを考慮すると、45°偏光入射時のλ/4位相差フィルムの内部ヘイズを適度な値に制御することにより有機エレクトロルミネッセンス素子の外光反射の抑制と表示の均一性を達成することができる。
【0033】
本発明の円偏光板に使用されるλ/4位相差フィルムは、下記式(1)及び式(2)を満足するセルロースエステルと散乱体とを含有し、かつ、前記散乱体の平均粒径(r)と屈折率(n)とが、下記式(3)及び式(4)とを満足することが好ましい。
【0034】
式(1) 2.0≦X+Y≦3.0
式(2) 0.5≦Y
(上記式(1)及び式(2)中、Xはセルロースエステルのアセチル基置換度を表し、Yはプロピオニル基置換度とブチリル基置換度の和を表す)
式(3) 100nm≦r≦500nm
式(4) 1.4<n<1.47
45°偏光入射時のλ/4位相差フィルムの内部ヘイズは、散乱体と散乱体の周辺に存在する空隙(ボイド)及びフィルム素材の屈折率により制御が可能である。
【0035】
図3は45°偏光に対する内部ヘイズの起因となる集合体の模式図である。45°偏光が入射すると、散乱体51とボイド52の界面、散乱体51とセルロースエステル53、ボイド22とセルロースエステル53の界面で電場の乱れが発生し内部ヘイズの上昇を引き起こすと考えられる。各々の界面における屈折率の差が小さい方が、45°偏光入射時の内部ヘイズは抑制され、また界面の面積が小さい方が偏光入射時の内部ヘイズは抑制される。
【0036】
上記式(1)及び式(2)の範囲に置換度を制御したセルロースエステルを用いることにより、λ/4位相差フィルムの屈折率を約1.47〜1.48の範囲に制御することが可能である。X+Yはアセチル基置換度とプロピオニル基置換度とブチリル基置換度の総和を表し、この値が下がるとセルロースエステルの屈折率は上昇する方向であり、Yの値の低下もアセチル基に比較して長鎖の側鎖を持つ割合が低下するために屈折率が上昇する。
【0037】
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、他のアシル基が置換されたセルロースエステルが含まれていても良い。
【0038】
また、上記式(3)の散乱体の平均粒径(r)により散乱体の界面の面積を制御することが可能であり、rが大きくなるほど45°偏光入射時の内部ヘイズを大きくする。
【0039】
上記式(4)中の散乱体の屈折率nの制御により、散乱体とボイド及び散乱体とセルロースエステルの屈折率差を制御することが可能である。各々の界面での屈折率差を小さくすれば45°偏光入射時の内部ヘイズを抑制することができる。
【0040】
また、45°偏光に対する内部ヘイズを引き起こす界面は、偏光の電場の方向と水平な方向の面が垂直な面よりも大きく影響するため、これらを考慮して45°偏光入射の内部ヘイズを調整することができる。
【0041】
<λ/4位相差フィルム>
本発明に記載のλ/4位相差フィルムの素材は特に限定されないが、波長分散特性の観点、偏光子への密着性や透明性の観点からセルロースエステルを用いることが好ましい。中でも、効果の発現の観点から、前述した式(1)及び(2)を満たすセルロースエステルを含有することが好ましい。
【0042】
本発明に記載の「λ/4位相差フィルム」とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有するものをいう。λ/4位相差フィルムは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、層の面内の位相差値Roが約1/4である。本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定したRo(550)が110〜170nmの範囲内でありRo(550)が120〜160nmであることが好ましく、Ro(550)が130〜150nmであることがさらに好ましい。
【0043】
本発明のλ/4位相差フィルムは、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲においておおむね波長の1/4のリターデーションを有する位相差フィルであることが好ましい。
【0044】
「可視光の波長の範囲においておおむね1/4のリターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどリターデーションが大きく、波長450nmで測定した下記式(3)で表されるリターデーション値であるRo(450)と波長550nmで測定したリターデーション値であるRo(550)の比Ro(450)/Ro(550)が、0.72〜0.92であることが青色の再現にとって好ましく、0.77〜0.87であることが特に好ましい。また、波長550nmで測定したリターデーション値であるRo(550)と波長650nmで測定したリターデーション値であるRo(650)の比Ro(550)/Ro(650)が、0.84〜0.97であることが赤色の再現にとって好ましく、0.84〜0.92であることが特に好ましい。
【0045】
式(3):Ro=(nx−ny)×d
式中、nx、nyは、23℃・55%RH、450nm、550nm又は650nmにおける屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう。)、ny(フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率)であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
【0046】
Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することができる。自動複屈折率計KOBRA−WPR(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定によりRoを算出する。
【0047】
λ/4位相差フィルムの遅相軸と後述する偏光子の吸収軸とのなす角度は45°である。この角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45°とは、40〜50°であり、本発明では40〜50°であることが必要である。λ/4位相差フィルムの面内の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることが更に好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
【0048】
<散乱体>
本発明に係る内部ヘイズ値はλ/4位相差フィルムに散乱体として微粒子を含ませることで調整することができる。
【0049】
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。
【0050】
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えばアエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0051】
樹脂の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えばトスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0052】
散乱体は作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するためのマット剤としても機能することができる。
【0053】
散乱体は前記式(3)及び(4)を満足することが、本発明の効果の発現の観点から好ましい。
【0054】
微粒子は、5〜400nmの一次平均粒径の粒子から2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径(r)が100nm≦r≦500nmであることが本発明の効果発現の観点から好ましい。フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のλ/4位相差フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
【0055】
散乱体の屈折率(n)は効果発現の観点から1.4<n<1.47であることが好ましい。上記散乱物では、酸化アルミニウムC(日本アエロジル製)1.77、酸化チタンP25 2.5、二酸化珪素系(日本アエロジル製)1.45であり、入手のしやすさ、屈折率の観点等から、二酸化珪素の分散物であることが好ましい。
【0056】
二酸化珪素の微粒子は、例えばアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0057】
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがλ/4位相差フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
【0058】
本発明に係るλ/4位相差フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
【0059】
散乱体は分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていることが好ましい。特に、散乱体が表面処理シリカ分散物であることが好ましい。表面処理は、無機化合物又は有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。中でもシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、シランカップリング剤が最も好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。中でも、シランカップリング処理が特に有効である。
【0060】
散乱体はフィルム中で平均粒径(r)が100〜500nmである必要がある。好ましくは、150〜400nm、更に好ましくは、200〜350nmである。フィルム中での平均粒径(r)は断面写真を撮影し観察することで確認できる。上記平均粒径(r)が、500nmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、100nmより小さい場合は、充分な巻き取り性の改善効果が見られず、特に、セルロースエステルフィルムの膜厚が20〜65μmの場合は顕著である。
【0061】
また、散乱体の平均粒径(r)は、分散時の分散時間、及び分散温度を変化させて調整することができる。
【0062】
粒径の測定法について述べる。まず当該粒子を含む本発明の試料の光学顕微鏡写真(1000倍透過モード)を撮影し、この写真に写った粒子の直径を画像処理装置LUZEX−III(ニレコ社製)で100個測定し、その平均値を算出してこの平均粒径を本発明における平均粒径(r)とした。
【0063】
また、散乱体の屈折率は公知の方法で測定できる。
【0064】
ヘイズはフィルム内部のものと表面のものに分離できるが、内部ヘイズとは、フィルムの内部の散乱因子により発生するヘイズであり、内部とは、フィルム表面から5μm以上の部分をいう。偏光板保護フィルムとしては、液晶パネルのコントラストを高める上で内部ヘイズが低いことが要求される。
【0065】
この内部ヘイズは、フィルム屈折率±0.05の屈折率の溶剤をフィルム界面に滴下して、フィルム表面のヘイズをできるだけ無視できる状態にして、ヘイズメーターにより測定される。例えば濁度計(型式:NDH 2000、日本電色工業(株)製)を用い、JIS K−7136に基づきながら、光源部分に偏光子を設置することで偏光光源とし、偏光の電場振動方向と試料の遅相軸が45°の関係になるように試料を適宜回転設置した状態で測定することができる。
【0066】
用いる偏光子は偏光度が99%以上、好ましくは99.95%以上のものがよい。透過率が40%のものを使用できる。例えばG1220DUN、SEG1425DU、TEG1465DU(以上日東電工(株)製)等を使用できる。
【0067】
(可塑剤)
本発明の光学フィルムにおいては、フィルム中に少なくとも一種の可塑剤を添加してもよい。可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、例えば本発明における好ましい態様の樹脂の場合、単独での溶融温度よりも溶融温度を低下させるため、また同じ加熱温度において樹脂単独よりも可塑剤を含むフィルム構成材料の溶融粘度を低下させるために、可塑剤を添加する。また、セルロースエステルの親水性を改善し、光学フィルムの透湿度改善するためにも添加されるため透湿防止剤としての機能を有する。
【0068】
ここで、フィルム構成材料の溶融温度とは、当該材料が加熱され流動性が発現された状態の温度を意味する。本発明に係る樹脂を溶融流動させるためには、少なくともガラス転移温度よりも高い温度に加熱する必要がある。ガラス転移温度以上においては、熱量の吸収により弾性率あるいは粘度が低下し、流動性が発現される。
【0069】
本発明のλ/4位相差フィルムは、以下に示すポリエステル樹脂、一般式(PEI)で表される化合物、一般式(PEII)で表される化合物、カルボン酸糖エステル化合物を可塑剤として好ましく含有することができる。
【0070】
〈ポリエステル樹脂〉
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
【0071】
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0072】
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、二種以上を併用してもよい。
【0073】
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
【0074】
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
【0075】
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
【0076】
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
【0077】
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
【0078】
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
【0079】
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
【0080】
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有すると共に、透明性が良好となる。固有粘度が2.0以下の場合、成形性が良好となる。
【0081】
〈一般式(PEI)で表される化合物:芳香族基末端ポリエステル系化合物〉
本発明のλ/4位相差フィルムは、下記一般式(PEI)で表される化合物(以下、「芳香族基末端ポリエステル系化合物」ともいう。)とセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする。本発明においては、当該一般式(PEI)で表される化合物を含有させることにより、位相差を自在にコントロールすることができて目的のλ/4位相差へのコントロールが容易、フィルムに硬度を付与しハードコートや防眩性ハードコートを表面加工した際の硬度が向上するという効果が得られる。
【0082】
一般式(PEI):B−(G−A)n−G−B
(Bは、ベンゼンモノカルボン酸残基を表す。Gは、炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基、又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。また、nは、0以上の整数を表す。)
一般式(PEI)中、Bで表されるアリールカルボン酸残基とGで表されるアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基又はアリールグリコール残基、Aで表されるアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系化合物と同様の反応により得られる。
【0083】
使用される芳香族基末端ポリエステル系化合物のアリールカルボン酸成分としては、例えば安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ一種又は二種以上の混合物として使用することができる。
【0084】
用いることのできる芳香族基末端ポリエステル系化合物の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用される。
【0085】
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
【0086】
また、上記芳香族基末端ポリエステル系化合物の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
【0087】
芳香族基末端ポリエステル系化合物の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ一種又は二種以上の混合物として使用される。
【0088】
炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。
【0089】
本発明で使用される芳香族基末端ポリエステル系化合物は、nが1以上100以下であることが好ましく、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。
【0090】
また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシ(水酸基)価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシ(水酸基)価は15mgKOH/g以下のものである。
【0091】
本発明に係る一般式(PEI)で表される芳香族基末端ポリエステル系化合物は、セルロースエステル樹脂に対して、0.5〜30質量%含有させることが好ましい。
【0092】
以下に、本発明に用いることのできる芳香族基末端ポリエステル系化合物の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0093】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

本発明に係るセルロースエステルフィルムは、位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化するために、糖エステル化合物を、セルロースエステルフィルムの0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。
【0094】
一般式(PEI)で表される芳香族基末端ポリエステル系化合物と糖エステル化合物の含有量は、質量比で99:1〜1:99の範囲で選択することができ、両化合物の全体量は、セルロースエステル樹脂に対して、1〜40質量%であることが好ましい。
【0095】
〈一般式(PEII)で表される化合物:ヒドロキシ基末端ポリエステル〉
本発明においては、従来、光学フィルムに含有されている種々のポリエステル化合物を用いることができる。例えばポリエステル化合物として、下記一般式(PEII)で表される様に化学構造式の末端部分にヒドロキシ基を有するポリエステル(「ヒドロキシ基末端ポリエステル」という。)を用いることもできる。
【0096】
【化5】

(式中、Bは、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐のアルキレン、又はシクロアルキレン基を表す。Aは、炭素数が6〜14の芳香族環を表す。nは、2以上の自然数を表す。)
上式で表される化合物は、芳香環を有するジカルボン酸(「芳香族ジカルボン酸」ともいう。)と、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐のアルキレン又はシクロアルキレンジオールから得られ、両末端がモノカルボン酸で封止されていないことが特徴である。
【0097】
炭素数6〜16の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸、2,2′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、等が挙げられる。その中でも好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸である。
【0098】
炭素数が2〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン若しくはシクロアルキレンジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。その中でも、好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールである。
【0099】
中でも、Aが置換基を有していてもよいナフタレン環若しくはビフェニル環であることが本発明の効果を得る上で好ましい。ここで置換基とは、炭素数1以上6以下のアルキル基、アルケニル機、アルコキシル基である。
【0100】
本発明に係るポリエステル化合物のヒドロキシ(水酸基)価(OH価)としては、100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが望ましく、170〜400mgKOH/gであることがさらに望ましい。ヒドロキシ(水酸基)価がこの範囲より大きくても小さくても、低アセチル基置換度のセルロースアセテートとの相溶性が低下する。
【0101】
この範囲より大きい場合はポリエステル化合物の疎水性が大きくなるため、この範囲より小さい場合はポリエステル化合物同士の分子間相互作用(水素結合等)が強くなるため、フィルム中での析出が進行するためだと考えられる。
【0102】
またヒドロキシ(水酸基)価の測定は、日本工業規格 JIS K1557−1:2007に記載の無水酢酸法等を適用できる。
【0103】
ポリエステル化合物の数平均分子量(Mn)は、下記式から計算することができる。
【0104】
Mn=(分子中のヒドロキシ基(水酸基)の数)×56110/(ヒドロキシ(水酸基)価)
=2×56110/(ヒドロキシ(水酸基)価)
ポリエステル化合物は、常法により上記ジカルボン酸とジオールとのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成できる。
【0105】
以下に、本発明に係るポリエステル化合物を例示する。
【0106】
【化6】

【化7】

一般式(PEII)で表される化合物はセルロースアセテートに対し、1質量%以上5質量%未満添加することが好ましい。
【0107】
(カルボン酸糖エステル化合物)
本発明のλ/4位相差フィルムには、可塑剤として、カルボン酸糖エステル化合物を含有させることも好ましい。当該化合物はセルロースとの相溶性が優れ含有させることで、耐水性が向上するという効果を得ることができる。多量に含有させることができるので、他の添加剤で耐水性が不十分な場合はこの化合物で補完する。
【0108】
なお、本願において、「カルボン酸糖エステル化合物」とは、糖類のヒドロキシ基(水酸基)とカルボン酸のカルボキシ基から導かれるエステル結合を有する化合物をいう。
【0109】
カルボン酸糖エステル化合物を構成するカルボン酸構造単位としては、例えばメチル安息香酸(トルイル酸)等の芳香族カルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族置換脂肪族カルボン酸、ステアリン酸等の脂肪酸が挙げられ、これらカルボン酸は、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていても良い。
【0110】
好ましい芳香族カルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
【0111】
好ましい脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
【0112】
カルボン酸糖エステル化合物を構成する糖類としては、通常、単糖類(monosaccharide)、二糖類(disaccharides)、3〜6個の単糖類が結合したオリゴ糖類が挙げられ、これらの内、炭素数が6〜48の糖類が好ましく、単糖類及び二糖類が更に好ましい。単糖類としては具体的には、例えばグルコース、果糖、アラビノース、マンノース、ソルビトールが挙げられ、二糖類としては、ショ糖、マルトースが挙げられる。原料の供給面から、グルコース、果糖、ショ糖が特に好ましく、ショ糖が最も好ましい。
【0113】
これら糖類は分子内に複数個のヒドロキシ基(水酸基)を有しており、前述のカルボン酸構造単位とエステル結合を形成することができる。
【0114】
特に、糖類としてショ糖を用いる場合、ショ糖分子内には8個のヒドロキシ基(水酸基)が存在するが、平均のエステル結合の数(「平均エステル置換度」ともいう。)としては、1.0以上あればよく、好ましくは3.0〜7.5であり、更に好ましくは3.0〜6.0である。
【0115】
本発明においては、特に、下記一般式(5)で表される、総平均置換度が3.0〜6.0の範囲内である化合物を含有させることが好ましい。
【0116】
【化8】

なお、一般式(5)中、R1〜R8は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を表し、R1〜R8は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0117】
一般式(5)で表される化合物の好ましい具体例としては、表1に示す化合物が挙げられる。なお、下表中に記載のRは、R1〜R8のうちのいずれかを表す。アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基の置換基としては、下表に示すアルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基が有するフェニル基、アルコキシ基等の置換基が好ましい。
【0118】
当該一般式(5)で表される化合物、及び参考化合物を、以下に記載するが、これらに限定されない。
【0119】
【化9】

【化10】

(合成例:一般式(5)で表される化合物)
【化11】

撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%であった。なお、得られた混合物の一部を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。
【0120】
本発明でλ/4位相差フィルムに添加される、一般式(1)で表される化合物の総平均置換度は3.0〜7.5であるが、当該置換度の範囲は3.0〜6.0であることが好ましい。置換度分布は、エステル化反応時間の調節、又は置換度違いの化合物を混合することにより目的の置換度に調整してもよい。
【0121】
(その他添加剤)
本発明に係るλ/4位相差フィルムには、上記可塑剤以外に種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば位相差発現剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、マット剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
【0122】
(位相差発現剤)
本発明では、位相差(「リターデーション」ともいう。)発現剤を含んでいてもよい。位相差(リターデーション)発現剤は、例えば0.5〜10質量%の割合で含有させることができ、さらには、2〜6質量%の割合で含有させることが好ましい。位相差(リターデーション)発現剤を採用することにより、低延伸倍率で高いRe発現性を得られる。位相差(リターデーション)発現剤の種類としては、特に定めるものではないが、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を位相差(リターデーション)発現剤として好ましく用いることができる。棒状化合物からなる位相差(リターデーション)発現剤の添加量は、セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがさらに好ましい。
【0123】
円盤状の位相差(リターデーション)発現剤は、前記セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜8質量部の範囲で使用することがより好ましく、2〜6質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0124】
二種類以上の位相差(リターデーション)発現剤を併用してもよい。
【0125】
位相差(リターデーション)発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
【0126】
〈紫外線吸収剤〉
本発明のλ/4位相差フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0127】
前記紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
【0128】
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
【0129】
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
【0130】
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
【0131】
本発明におけるセルロースエステル溶液は紫外線吸収剤を二種以上含有することが好ましい。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号公報記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0132】
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
【0133】
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0134】
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、λ/4位相差フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、λ/4位相差フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
【0135】
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は、例えば、λ/4位相差フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりλ/4位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記λ/4位相差フィルム中に含有させるのが好ましい。
【0136】
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
【0137】
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
【0138】
これらの化合物の添加量は、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0139】
<長尺延伸フィルムの製造方法>
本発明のλ/4位相差フィルムは、斜め延伸されて製造された長尺延伸フィルムであることが好ましい。長尺フィルム原反を斜め延伸することによって、フィルムの延長方向に対して任意の角度に面内遅相軸を付与することができる。
【0140】
ここで長尺とは、フィルムの幅に対し、少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有するもの(フィルムロール)としうる。長尺のフィルムの製造方法では、フィルムを連続的に製造することにより、所望の任意の長さにフィルムを製造しうる。なお、長尺延伸フィルムの製造方法は、長尺フィルム原反を製膜した後に一度巻芯に巻き取り、巻回体にしてから斜め延伸工程に供給するようにしてもよいし、製膜後のフィルム原反を巻き取ることなく、製膜工程から連続して斜め延伸工程に供給してもよい。製膜工程と斜め延伸工程を連続して行うことは、延伸後の膜厚や光学値の結果をフィードバックして製膜条件を変更し、所望の長尺延伸フィルムを得ることができるので好ましい。
【0141】
長尺延伸フィルムの製造方法では、フィルムの幅手方向に対して0°を超え90°未満の角度に遅相軸を有する長尺延伸フィルムを製造することができる。ここで、フィルムの幅手方向に対する角度とは、フィルム面内における角度である。遅相軸は、通常延伸方向又は延伸方向に直角な方向に発現するので、フィルムの延長方向に対して0°を超え90°未満の角度で延伸を行うことにより、かかる遅相軸を有する長尺延伸フィルムを製造しうる。
【0142】
長尺延伸フィルムの延長方向と遅相軸とがなす角度、すなわち配向角は、0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができるが、より好ましくは40°〜50°であり、具体例としては45°とすることができる。
【0143】
<長尺フィルム原反の製造方法>
長尺延伸フィルムを作製するために用いられる長尺フィルム原反は、公知の方法、例えば溶液キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などによって得ることができる。これらのうち溶液キャスト成形法はフィルムの平面性、透明度に優れ、押出成形法は斜め延伸後の厚さ方向のリターデーションRtを小さくすることが容易となり、残留揮発性成分量が少なくフィルムの寸法安定性にも優れるので好ましい。この長尺フィルム原反は、単層若しくは2層以上の積層フィルムであってもよい。積層フィルムは共押出成形法、共流延成形法、フィルムラミネイション法、塗布法などの公知の方法で得ることができる。これらのうち共押出成形法、共流延成形法が好ましい。
【0144】
本発明では、延伸に供給される長尺フィルム原反の流れ方向の厚さムラσmは、後述する斜め延伸テンター入口でのフィルムの引取張力を一定に保ち、配向角やリターデーションといった光学特性を安定させる観点から、0.30μm未満、好ましくは0.25μm未満、さらに好ましくは0.20μm未満である必要がある。長尺フィルム原反の流れ方向の厚さムラσmが0.30μm以上となると長尺延伸フィルムのリターデーションや配向角といった光学特性のバラツキが顕著に悪化する。
【0145】
長尺フィルム原反の流れ方向の厚さムラσmを上記範囲とするためには、押出成形法の場合は、特開2004−233604号公報に記載されているような、冷却ドラムに密着させる時の溶融状態の熱可塑性樹脂を安定な状態に保つ方法により達成可能である。具体的には、1)溶融押出法で長尺フィルム原反を製造する際に、ダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;2)溶融押出法で長尺フィルム原反を製造する際に、ダイス開口部から最初に密着する冷却ドラムまでを囲い部材で覆い、囲い部材からダイス開口部又は最初に密着する冷却ドラムまでの距離を100mm以下とする方法;3)溶融押出法で長尺フィルム原反を製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂より10mm以内の雰囲気の温度を特定の温度に加温する方法;4)関係を満たすようにダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;5)溶融押出法で長尺フィルム原反を製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂に、最初に密着する冷却ドラムの引取速度との速度差が0.2m/s以下の風を吹き付ける方法;が挙げられる。
【0146】
また、長尺フィルム原反として、幅方向の厚さ勾配を有するフィルムが供給されてもよい。延伸が完了した位置におけるフィルム厚さを最も均一なものとしうるような長尺フィルム原反の厚さの勾配は、実験的に厚さ勾配を様々に変化させたフィルムを延伸することにより、経験的に求めることができる。長尺フィルム原反の厚さの勾配は、例えば厚さの厚い側の端部の厚さが、厚さの薄い側の端部よりも0.5〜3%程度厚くなるように調整することができる。
【0147】
長尺フィルム原反の幅は、特に限定されないが、500〜4000mm、好ましくは1000〜2000mmとすることができる。また、長尺フィルム原反の総膜厚は、特に限定されないが、20〜400μm、好ましくは20〜200μmの範囲内であることが好ましい。
【0148】
また、上記長尺フィルム原反の幅調整方法として、溶液キャスト成形法、押出成形法にて得られたフィルムを幅手方向に横延伸、若しくは搬送方向に縦延伸をしてもよい。
【0149】
斜め延伸時の延伸温度での好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01Mpa以上5000Mpa以下、更に好ましくは0.1Mpa以上500Mpa以下である。弾性率が低すぎると、延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると、延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルムの両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、後工程のテンターに対する負荷が大きくなる。
【0150】
<斜め延伸テンターによる延伸>
本実施形態に係る製造方法における延伸に供される長尺の長尺フィルム原反に斜め方向の配向を付与するために、斜め延伸テンターを用いる。本実施形態で用いられる斜め延伸テンターは、レールパターンやフィルム把持具の搬送速度を多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚さやリターデーションを制御できるフィルム延伸装置であることが好ましい。
【0151】
図4(a)、(b)は本実施形態に係る長尺延伸フィルムの製造方法に用いられる斜め延伸可能なテンターの模式図である。但し、これは一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0152】
テンター入り口側のガイドロール12−1によって方向を制御された長尺フィルム原反4は、外側のフィルム保持開始点8−1、内側のフィルム保持開始点8−2の位置で把持具(クリップつかみ部ともいう)によって把持される。
【0153】
左右一対のフィルム把持具は互いに等速度で、斜め延伸テンター6にて外側のフィルム把持手段の軌跡7−1、内側のフィルム把持手段の軌跡7−2で示される斜め方向に搬送、延伸され、外側のフィルム把持終了点9−1、内側のフィルム把持終了点9−2によって把持を解放され、テンター出口側のガイドロール12−2によって搬送を制御されて斜め延伸フィルム5が形成される。図中、長尺フィルム原反は、フィルムの送り方向14−1に対して、フィルムの延伸方向14−2の角度(繰出し角度θi)で斜め延伸される。
【0154】
図4(a)、(b)において、把持具の走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜100m/分である。
【0155】
また、左右一対のフィルム把持具が互いに等速度とは実質的に、左右一対の把持具の走行速度の差として走行速度の1%以下であることを意味する。
【0156】
一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モーターの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明の実施形態で述べる速度差には該当しない。
【0157】
本発明の実施形態に係る長尺延伸フィルムの製造方法は、上記斜め延伸可能なテンターを用いて行う。このテンターは、長尺フィルム原反を、オーブンによる加熱環境下で、その進行方向(フィルム幅方向の中点の移動方向)に対して斜め方向に拡幅する装置である。このテンターは、オーブンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。フィルムロールから繰り出され、テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、オーブン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
【0158】
なお、図4(a)、(b)で代表されるように、テンターのレール形状は、製造すべき長尺延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、左右で非対称若しくは左右対称な形状となっており、手動で又は自動で微調整できるようになっている。本発明においては、長尺の熱可塑性樹脂フィルムを延伸し、配向角θが延伸後の巻取り方向に対して、好ましくは10°〜80°の範囲内で任意の角度に設定できるようになっている。
【0159】
また、左右の把持具の走行速度差については、テンターの延伸方式により適宜選択される。
【0160】
また、本発明の実施形態に係る製造方法で用いられる斜め延伸テンターでは、各レール部及びレール連結部の位置を自由に設定できることが好ましい。したがって、斜め延伸テンターは、任意の入り口幅及び出口幅を設定すると、これに応じた延伸倍率にすることができる(下記、図4の○部は連結部の一例である。)。
【0161】
本発明の実施形態に係る製造方法で用いられる斜め延伸テンターにおいて、特に図4(a)、(b)のようにテンター内部において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
【0162】
図4(a)で示される斜め延伸テンターにおいては、長尺フィルム原反のテンター入口での進行方向14−1は、延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向14−2と異なっている。繰出し角度θiは、テンター入口での進行方向14−1と延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向14−2とのなす角度である。
【0163】
図4(b)で示される斜め延伸テンターにおいては、長尺フィルム原反のテンター入口での進行方向14−1は、テンター内で繰出し角度θiにてテンター入口での進行方向とは異なる方向に転換され搬送される。その後さらに搬送方向が転換され、最終的には延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向一致するような軌跡をとる。本発明においては、上述のように好ましくは10°〜80°の配向角θを持つフィルムを製造するため、繰出し角度θiは、10°<θi<60°、好ましくは15°<θi<50°で設定される。繰出し角度θiを前記範囲とすることにより、得られるフィルムの幅方向の光学特性のバラツキが良好となる(小さくなる)。
【0164】
図4(a)(b)で示されるような本発明の実施形態において、テンターの左右の把持具は、前後の把持具と一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。
【0165】
斜め延伸テンター内を走行するフィルムは、フィルムが走行するレールパターンに応じて、テンター内に予熱ゾーン、横延伸ゾーン、斜め延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーン等に区分けされたオーブンを通過する。ただし、必ずしも上記ゾーンの全てを上記順序でフィルムを搬送させる必要はなく、例えば下記組み合わせ例のように、上記ゾーンの一部のみを使用したり、上記ゾーンのうち任意のゾーンを数回使用したりしてもよい。
【0166】
予熱ゾーン/斜め延伸ゾーン/保持ゾーン/冷却ゾーン
予熱ゾーン/横延伸ゾーン/斜め延伸ゾーン/保持ゾーン/冷却ゾーン
予熱ゾーン/斜め延伸ゾーン/横延伸ゾーン/保持ゾーン/冷却ゾーン
予熱ゾーン/横延伸ゾーン1/斜め延伸ゾーン/横延伸ゾーン2/保持ゾーン/冷却ゾーン
予熱ゾーン/横延伸ゾーン1/斜め延伸ゾーン1/横延伸ゾーン2/斜め延伸ゾーン2/保持ゾーン/冷却ゾーン
予熱ゾーンとは、オーブン入口部において、フィルムの両端を把持した把持具の間隔が一定の間隔を保ったまま走行する区間をさす。
【0167】
横延伸ゾーンとは、フィルムの両端を把持した把持具の間隔が開きだし、所定の間隔になるまでの区間をさす。このとき、両端の把持具が走行するレールの開き角度は、両レールともに同じ角度で開いてもよいし、各々異なる角度で開いてもよい。
【0168】
斜め延伸ゾーンとは、フィルムの両端を把持した把持具が、把持具間隔を一定に保ったままあるいは広がりながら、屈曲するレール上を走行しはじめてから両把持具がともに再度直線レール上を走行しはじめるまでの区間をさす。
【0169】
保持ゾーンとは、横延伸ゾーンあるいは斜め延伸ゾーンより後の把持具の間隔が再び一定となる期間において、両端の把持具が互いに平行を保ったまま走行する区間をさす。
【0170】
冷却ゾーンとは、保持ゾーンより後の区間において、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg℃以下に設定される区間をさす。
【0171】
このとき、冷却によるフィルムの縮みを考慮して、あらかじめ対向する把持具間隔を狭めるようなレールパターンとしてもよい。
【0172】
各ゾーンの温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃、冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg℃に設定することが好ましい。
【0173】
なお、幅方向の厚さムラの制御のために延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差を付けてもよい。延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差をつけるには、温風を恒温室内に送り込むノズルの開度を幅方向で差を付けるように調整する方法や、ヒーターを幅方向に並べて加熱制御するなどの公知の手法を用いることができる。
【0174】
<偏光板>
本発明においては、長尺状λ/4位相差フィルム(延伸フィルム)を、長尺状の偏光子の少なくとも一方の面に積層して形成される長尺状偏光板とすることが好ましい。
【0175】
本発明に係る偏光板は、偏光子としてヨウ素、又は二色性染料をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、本発明のλ/4位相差フィルム/偏光子の構成で貼合して製造することができる。
【0176】
偏光子の膜厚は、5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
【0177】
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理したλ/4位相差フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
【0178】
偏光板は、更に当該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
【0179】
<有機エレクトロルミネッセンス表示装置>
図6に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置の構成の一例の断面図を示すがこれに限定されるものではない。
【0180】
ガラスやポリイミド等を用いた基板101上に順に金属電極102、発光層103、透明電極(ITO等)104、封止層105を有する有機エレクトロルミネッセンス素子上に、偏光子107をλ/4位相差フィルム106と保護フィルム108によって挟持した円偏光板を設けて、有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置を構成する。該保護フィルム108には硬化層が積層されていることが好ましい。硬化層は、有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。更に、硬化層上には、反射防止層を有していてもよい。上記有機エレクトロルミネッセンス素子自体の厚さは1μm程度である。
【0181】
一般に、有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置は、透明基板上に金属電極と発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を形成している。ここで、発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0182】
有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0183】
有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置においては、発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0184】
このような構成の有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置において、発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0185】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板は、このような外光反射が特に問題となる有機エレクトロルミネッセンス用表示装置に適している。
【実施例】
【0186】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0187】
<実施例1>
<λ/4位相差フィルム1及び8の作製>
<原反作製>
セルロースエステル樹脂としてアシル基置換度の異なる二種を用いて以下の<ドープ液組成A>及び<ドープ液組成B>の二種のドープ液を作製した。
【0188】
<ドープ液組成A>
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度1.55、プロピオニル基置換度0.9、総置換度2.45;重量平均分子量19万)
100質量部
糖エステル化合物A 10.0質量部
ポリエステルB 2.5質量部
微粒子添加液1 3.5質量部
<ドープ液組成B>
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度1.1、プロピオニル基1.5、総置換度2.6;重量平均分子量19万) 100質量部
糖エステル化合物A 10.0質量部
ポリエステルB 2.5質量部
TINUVIN928(BASFジャパン社製) 1.5質量部
微粒子添加液1 3.5質量部
散乱体を含む微粒子添加液1は以下に示す方法で作製した。
【0189】
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
【0190】
〈微粒子添加液1の調整〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
【0191】
メチレンクロライド 50質量部
微粒子分散液1 50質量部
糖エステル化合物Aは以下の方法で作製したものを用いた。
【0192】
(糖エステル化合物Aの調製)
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸240g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、糖エステル化合物Aを得た。平均置換度は7.3、オクタノール・水分配係数(logP値)は12.43であった。
【0193】
【化12】

ポリエステルBは以下の方法で作製したものを用いた。
【0194】
(ポリエステルBの調製)
窒素雰囲気下、テレフタル酸ジメチル4.85g、1,2−プロピレングリコール4.4g、p−トルイル酸6.8g、テトライソプロピルチタネート10mgを混合し、140℃で2時間攪拌を行った後、更に210℃で16時間攪拌を行った。次に、170℃まで降温し、未反応物の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、比較ポリエステルBを得た。
【0195】
酸価 :0.1
数平均分子量:490
分散度 :1.4
分子量300〜1800の成分含有率:90%
ヒドロキシ(水酸基)価:0.1
水酸基含有量:0.04%
ポリエステルBはジカルボン酸に対してモノカルボン酸が2倍モル使用されているので末端がトルイル酸エステルになっている。
【0196】
以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解して二種のドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2000mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
【0197】
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力110N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
【0198】
剥離したセルロースエステルフィルムを、160℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に1%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は15%であった。
【0199】
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。
【0200】
以上のようにして、それぞれドープ組成A及びBのドープ液から、乾燥膜厚110μmのロール状の長尺フィルム原反A及びBを得た。
【0201】
<斜め延伸>
(長尺延伸フィルム)の作製
次いで、長尺フィルム原反A及びBをフィルム巻出工程より巻出し、図4で示されるような斜め延伸テンターの模式図を用いて斜め延伸する斜め延伸工程について説明する。
【0202】
このとき、前工程で巻き取ったフィルム巻回体において、その後尾より巻出す形とした。
【0203】
ロール状の長尺フィルム原反A及びBを、図4(a)の装置のスライド可能な繰出装置にセットし、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸テンターに供給した。なお、このときの斜め延伸テンターのゾーン組み合わせとしては、予熱ゾーン、横延伸ゾーン、斜め延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーンを有する組み合わせとした。そのとき、斜め延伸テンターの入口部に最も近いテンター入り口側のガイドロール12−1の主軸と斜め延伸テンターのフィルムの把持開始点(クリップつかみ部)8−1、8−2との距離を80cmとした。クリップは搬送方向の長さが2インチのものを、上記ガイドロールは直径10cmのものを使用した。斜め延伸テンター内にて、予熱ゾーンの温度を190℃、横延伸ゾーンの温度を180℃、斜め延伸ゾーンの温度を175℃、保持ゾーンの温度を175℃、冷却ゾーンの温度を110℃とした。またテンター出口における引取張力200N/mとした。
【0204】
このときの延伸倍率Rは、1.9倍となるように延伸を行った。このときの延伸倍率Rの内訳として横延伸ゾーンにて1.3倍、さらに斜め延伸ゾーンにおいて1.5倍となるように延伸を行った。
【0205】
なお、この際、配向角θは45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側のガイドロール12−2で測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミングして、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、スライド可能な巻取装置で巻き取り、2000mm幅のロール状の長尺延伸フィルムを得た。
【0206】
なお、加熱及び延伸する際におけるフィルム移動速度は5m/分とした。
【0207】
また、フィルムの幅方向に渡って温度制御をするための加熱装置を使用して延伸を行った。加熱装置は延伸後のフィルム幅方向のフィルムの厚さが、延伸前の幅方向フィルム厚さ分布と同程度になるように温度制御を行った。
【0208】
このようにして、ドープ液組成Aに由来するλ/4位相差フィルム1と、ドープ液組成Bに由来するλ/4位相差フィルム8の二種のλ/4位相差フィルムとを得た。
【0209】
得られた長尺状のλ/4位相差フィルム(延伸フィルム)は、フィルム長手方向に対し均一なものであった。λ/4位相差フィルムの遅相軸は、フィルムの長手方向に対して45°の角度であった。
【0210】
<λ/4位相差フィルム2〜7、9〜14の作製>
次にドープ液組成Aとドープ液組成Bに含まれる微粒子添加液1の代わりに、表1に示されるヘイズ値になるようディゾルバーでの攪拌混合時間を変化させた微粒子添加液を用いたことのみ変えて、円偏光板1、8と同様にしてドープ液組成Aに由来するλ/4位相差フィルム2〜7とドープ液組成Bに由来するλ/4位相差フィルム9〜14を作製した。
【0211】
<円偏光板の作製>
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、沃素1kg、ホウ酸4kgを含む水溶液100kgに浸漬し50℃で6倍に延伸して長尺の偏光膜を作った。この偏光膜を偏光子として、この両面に、以下のアルカリケン化処理を行った配向角の異なる長尺状の上記λ/4位相差フィルム1〜14を、それぞれ偏光子を挟持するように完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として偏光子とそれぞれ貼り合わせ偏光板保護フィルム(コニカミノルタオプト社製KC4UY)、偏光子、λ/4位相差フィルムの構成からなる円偏光板1〜14を作製した。
【0212】
このとき、偏光子の吸収軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸のなす角度は45°であった。
【0213】
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2N−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
上記条件でフィルム試料をケン化、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
【0214】
<有機エレクトロルミネッセンス表示装置の作製>
ガラス基板上にスパッタリング法によって厚さ80nmのクロムからなる反射電極、反射電極上に陽極としてITOをスパッタリング法で厚さ40nmに成膜し、陽極上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で厚さ80nm、正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を100nmの膜厚で形成した。赤色発光層としては、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層としては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層としては、ホストとしてBAlqと発光性化合物ペリレン(Perylene)とを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
【0215】
【化13】

さらに、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで成膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで成膜した。ここで、第2の陰極として用いたアルミニウムはその上に形成される透明電極をスパッタリング法により成膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜を80nmの厚さで成膜した。ここで透明導電膜としてはITOを用いた。さらに、透明導電膜上にCVD法によって窒化珪素を200nm成膜することで、絶縁膜とした。
【0216】
上記で得られた有機エレクトロルミネッセンス素子の絶縁膜に接着剤を用いて円偏光板1〜14を固定化し、それぞれ対応する有機エレクトロルミネッセンス表示装置1〜14を作製した。
【0217】
〈評価〉
(1)配向角θ、面内の位相差値Ro
位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−WPR)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、遅相軸の配向角θ、及び550nmにおける面内の位相差値Roを求めた。なお、遅相軸の角度は長尺フィルムの長手方向を0°基準とし、時計回り方向が+、反時計まわり方向を−として角度を記載した。
(2)45°偏光を用いた内部ヘイズ
〈内部ヘイズ測定装置〉
ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色工業(株)製)
光源は、5V9Wハロゲン球、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)を用いている。
【0218】
本発明においては、この装置にてフィルム屈折率±0.05の屈折率の溶剤をフィルム界面とした場合のフィルムのヘイズ値を測定する。測定はJIS K−7136に基づきながら、光源部分に偏光子を設置することで偏光光源とし、偏光の電場振動方向と試料の遅相軸が45°の関係になるように試料を適宜回転設置した状態で測定した。偏光子としてG1220DUN、(日東電工(株)製)の表面保護フィルム及び剥離ライナー及び粘着層を除去して用いた。
【0219】
内部ヘイズ測定は以下のように行う。図5(a)〜(d)を持って説明する。図5は内部ヘイズ測定用試料の模式図である。
【0220】
まず、フィルム以外の測定器具のブランクヘイズ1を測定する。
1.きれいにしたスライドガラス61の上にグリセリン62を一滴(0.05ml)たらす。このとき液滴に気泡が入らないように注意する。ガラスは見た目がきれいでも汚れていることがあるので必ず洗剤で洗浄したものを使用する(図5(a)参照)。
2.その上にカバーガラスを乗せる。カバーガラスは押さえなくてもグリセリンは広がる。
3.ヘイズメーターにセットしブランクヘイズ1を測定する。
【0221】
次いで以下の手順で、試料を含めたヘイズ2を測定する。
4.スライドガラス61上にグリセリン62を0.05m滴下する(図5(a)参照)。
5.その上に測定する試料フィルム63を気泡が入らないように乗せる(図5(b)参照)。
6.試料フィルム63上にグリセリン62を0.05ml滴下する(図5(c)参照)。
7.その上にカバーガラスを載せる(図5(d)参照)。
8.上記のように作製した積層体(上から、カバーガラス/グリセリン/試料フィルム/グリセリン/スライドガラス)をヘイズメーターにセットしヘイズ2を測定する。
9.(ヘイズ2)−(ヘイズ1)=(本発明のλ/4位相差フィルムの45°偏光入射時の内部ヘイズ)を算出する。
【0222】
なお、λ/4位相差フィルムは23℃55%RHにて5時間以上調湿された後に試料作製され、また上記ヘイズの測定は全て23℃55%RHにて行われた。
【0223】
また、上記測定にて使用したガラス、グリセリンを以下のとおりである。
ガラス:MICRO SLIDE GLASS S9213 MATSUNAMI
グリセリン: 関東化学製 鹿特級(純度>99.0%)屈折率1.47
(3)有機エレクトロルミネッセンス表示の均一性
有機エレクトロルミネッセンス表示装置を、一画素を白色200cdで発光させた状態で100画素に関して目視評価を行った。
○:評価者10人のうち白色の色均一性が視認できる割合が10%未満である。
△:評価者10人のうち白色の色均一性が視認できる割合が10%以上30%未満である。
×:評価者10人のうち白色の色均一性が視認できる割合が30%以上である。
(4)外光反射率
有機エレクトロルミネッセンス表示装置を、23℃55%RHの部屋に24時間保存後、電圧を印加せず発光していない状態にして、照度約100lxの環境下に置き、表示パネル上の4隅と中央部の5点について、反射色の黒味レベルを以下のように視感評価を行った。
【0224】
◎:5点とも黒味が引き締まっており問題ない
○:1点において反射光が漏れているものの、十分な黒味がある。
【0225】
×:2点以上において反射光が漏れており、黒味が不十分な点がある
λ/4位相差フィルム1〜14、円偏光板1〜14及びこれらを用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置1〜14の評価結果を表1にまとめて記載する。
【0226】
なお、以下の表中有機エレクトロルミネッセンス表示装置を有機EL表示装置と略記した、またドープ液組成Aから微粒子分散液を除いた液組成をドープ種A、同様にドープ液組成Bから微粒子分散液を除いた液組成をドープ種Bとして示した。
【0227】
更に有機エレクトロルミネッセンス表示装置の表示の均一性、は表示の均一性、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の外光反射率を外光反射率と略記した。
【0228】
【表1】

表1から明らかなように、本発明の試料は外光反射率が低く、表示の均一性に優れた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であった。
【0229】
<実施例2>
<原反フィルムの作製>
実施例1と同様の手法でドープ液組成Aを用いて、微粒子分散物1のみを以下のように代えて、流延製膜によりセルロースエステルからなる長尺原反フィルムを得た。
【0230】
微粒子分散物1の散乱体として、同一質量部のシリカ粒子(R812、R972V(日本アエロジル社製)、酸化アルミニウムC(日本アエロジル社製)、酸化チタンP25(日本アエロジル社製)、フッ化マグネシウム(森田化学工業株式会社製)の中から選択し、散乱体の粒径は、微粒子分散液の分散時間を変化させる事により制御を行った。以上のようにして散乱体種と散乱体の平均粒径の異なる15種の原反フィルムを作製した。
【0231】
<ドープ液組成C>
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度1.1、プロピオニル基0.8、総置換度1.9;重量平均分子量19万) 100質量部
糖エステル化合物A 10.0質量部
ポリエステルB 2.5質量部
TINUVIN928(BASFジャパン社製) 1.5質量部
微粒子添加液1 3.5質量部
<ドープ液組成D>
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度1.7、プロピオニル基0.4、総置換度2.1;重量平均分子量19万) 100質量部
糖エステル化合物A 10.0質量部
ポリエステルB 2.5質量部
TINUVIN928(BASFジャパン社製) 1.5質量部
微粒子添加液1 3.5質量部
実施例1と同様の手法で、斜め延伸し、λ/4位相差フィルム15〜29、円偏光板15〜29の作製、有機エレクトロルミネッセンス表示装置15〜29の作製を行い45°偏光入射時の内部ヘイズ、表示均一性、外光反射率を実施例1と同様に評価した。
【0232】
なお微粒子分散物の粒径は、λ/4フィルムを透過型電子顕微鏡による観察により測定した。該粒子を含む本発明の試料の光学顕微鏡写真(1000倍透過モード)を撮影し、この写真に写った粒子の直径を画像処理装置LUZEX−III(ニレコ社製)で100個測定し、その平均値を算出して粒径とした。
【0233】
結果を表2にまとめて記載する。
【0234】
【表2】

表2から明らかなように、本発明の試料は外光反射が少なく表示の均一性に優れた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であることがわかる。
【符号の説明】
【0235】
21a、21b 青発光素子
22a、22b 緑発光素子
23a、23b 赤発光素子
24a、24b 画素
31 偏光子
32 λ/4位相差フィルム
33 発光素子
34 外光
35 直線偏光
36 円偏光
37 円偏光
38 直線偏光
39 無偏光
40 無偏光
41 直線偏光
51 散乱体
52 ボイド
53 セルロースエステル
4 長尺フィルム原反
5 長尺延伸フィルム
6 斜め延伸テンター
7−1 外側のフィルム把持手段の軌跡
7−2 内側のフィルム把持手段の軌跡
8−1 外側のフィルム把持開始点
8−2 内側のフィルム把持開始点
9−1 外側のフィルム把持終了点
9−2 内側のフィルム把持終了点
10−1 外側斜め延伸開始点
10−2 内側斜め延伸開始点
11−1 外側斜め延伸終了点
11−2 内側斜め延伸終了点
11−3 外側横延伸ゾーン終点
12−1 テンター入口側のガイドロール
12−2 テンター出口側のガイドロール
13 フィルムの延伸方向
14−1 斜め延伸前のフィルムの搬送方向
14−2 斜め延伸後のフィルムの搬送方向
15 左右把持具同士の搬送速度が異なる部分
W0 斜め延伸前のフィルム幅手長さ
W 斜め延伸後のフィルム幅手長さ
61 スライドガラス
62 グリセリン
63 試料フィルム
101 基板
102 金属電極
103 発光層
104 透明電極
105 封止層
106 λ/4位相差フィルム
107 偏光子
108 保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子とλ/4位相差フィルムとが積層された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板であって、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度が45°であり、前記λ/4位相差フィルムの45°偏光入射時の内部ヘイズ値が0.01〜0.1%の範囲内であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
【請求項2】
前記λ/4位相差フィルムが、下記式(1)及び式(2)を満足するセルロースエステルと、散乱体とを含有し、かつ前記散乱体の平均粒径(r)と屈折率(n)とが、下記式(3)及び式(4)とを満足することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
2.0≦X+Y≦3.0・・・・・式(1)
0.5≦Y・・・・・・・・・・・式(2)
(式(1)及び式(2)中、Xはアセチル基置換度を表し、Yはプロピオニル基置換度とブチリル基置換度との和を表す。)
100nm≦r≦500nm・・・式(3)
1.4<n<1.47・・・・・・式(4)
【請求項3】
前記散乱体が、表面処理シリカ分散物であることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
【請求項4】
前記λ/4位相差フィルムが、斜め延伸されて製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用円偏光板を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−89329(P2013−89329A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226358(P2011−226358)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】