有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板および有機エレクトロルミネッセンス表示装置
【課題】本発明は、隣の画素に光が出射することによる損失を低減して光取り出し効率を向上させることが可能な有機EL表示装置用対向基板および有機EL表示装置を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機EL表示装置用対向基板であって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板を提供することにより、上記目的を達成する。
【解決手段】本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機EL表示装置用対向基板であって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板を提供することにより、上記目的を達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板、および有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す。)表示装置は、自己発色により視認性が高いこと、液晶表示装置と異なり全固体ディスプレイであるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および視野角が大きいことなどの利点が注目されている。
【0003】
一般に、有機EL表示装置の光取り出し効率は20%〜30%程度である。これは、有機EL表示装置を構成する基板やカラーフィルタなどによる光損失が大きいからである。また、有機EL素子の発光は指向性がないため、隣の画素への光漏れが生じ、これも光損失となる。
【0004】
光取り出し効率の向上を目的として、有機EL表示装置に、太陽電池の集光器として用いられる複合法物面集光器(Compound Parabolic Concentrator;CPC)を適用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。CPCは、光を太陽電池に効率良く導くことを目的としたもので、反射面で反射した光が必ず太陽電池面に向かうことを特徴としており、放物面の一部を用いた複合凹面鏡である。
特許文献1には、凹面鏡部の光反射面の形成方法として、2P(Photo-Polymer)複製法が開示されている。具体的には、ガラス基板上に塗布された樹脂組成物をスタンパによって特定形状に成型し、樹脂組成物の表面に光反射率の高い金属反射層を形成し、金属反射層が積層された樹脂組成物の一部を切削することで、凹面鏡部が形成されることが記載されている。
【0005】
また、外光反射による画質低下を防ぐとともに、高輝度を維持することを目的として、有機EL素子の観察側に配置され、外光を吸収する複数の光吸収部を有する光学フィルタが提案されている(例えば特許文献2参照)。この光学フィルタにおいては、光吸収部の断面形状が観察側を短辺、有機EL素子側を長辺とする台形であり、光吸収部の屈折率が光吸収部を囲む外部の屈折率よりも小さいので、有機EL素子から発光される光が光吸収部で全反射する割合を、外光が光吸収部で全反射する割合よりも大きくすることができる。そのため、光吸収部によって外光を効果的に吸収して画質低下を防ぎ、かつ有機EL素子から発光される光を光吸収部によって全反射することができ、高輝度を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−218296号公報
【特許文献2】特開2007−149527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の手法は、有機EL素子にCPC構造の反射鏡を適用した場合に、配光特性の均一さを維持しつつ、配光角度や分布等の制御を行うことによって、有効視覚範囲内の輝度を大幅に向上させることを目的としている。また、特許文献2に記載の手法は、外光反射による画質低下を防ぐことを目的としている。したがって、いずれの手法も、隣の画素への光漏れが生じるという光損失を低減することを目的としたものではない。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、隣の画素に光が出射することによる損失を低減して光取り出し効率を向上させることが可能な有機EL表示装置用対向基板および有機EL表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機EL表示装置用対向基板であって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板を提供する。
【0010】
本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができ、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0011】
上記発明においては、上記透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されていることが好ましい。この場合、上記画素間隔壁が、異なる色の上記着色層間に形成されていることが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、表面に反射膜を有する画素間隔壁が形成されているので、着色層が形成されている場合には隣の画素への光の出射による混色を防ぐことができる。また、有機EL表示装置には一般にカラーフィルタが用いられることが多いことから、本発明の有機EL表示装置用対向基板もカラーフィルタの機能を有することが好ましいのである。
【0012】
また本発明においては、上記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることが好ましい。傾斜角度が上記範囲より小さいと、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、発光層からの発光を効率良く反射することができない可能性があるからである。一方、傾斜角度が上記範囲よりも大きいと、画素間隔壁の表面に反射膜を形成することが困難となる。
【0013】
さらに本発明においては、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように封止隔壁が形成されていてもよい。この場合、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、上記反射膜および上記バリア膜が同一材料からなるものであってもよい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、封止隔壁が形成されていることにより、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができ、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことができる。また、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部が同一材料からなり、反射膜およびバリア膜が同一材料からなるので、画素間隔壁および封止隔壁を同時に形成することができ、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0014】
また本発明においては、上記画素間隔壁が、上記有機EL表示装置用対向基板および上記有機EL素子基板間のギャップを保持する高さを有することが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、画素間隔壁が上記高さを有することにより、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを均一に保持することができ、表示ムラの発生を抑制することができるからである。
【0015】
さらに本発明においては、上記透明基板上に画素を画定する遮光部が形成されていてもよい。この場合、上記画素間隔壁が上記遮光部の一部または全部を兼ねていてもよい。遮光部の形成を簡素化することができるからである。
【0016】
上記の場合、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜が同一材料からなるものであってもよい。反射膜および遮光膜を同時に形成することができ、遮光部の形成を簡素化できるからである。
【0017】
また本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板と、上記有機EL素子基板に対向するように配置された有機EL表示装置用対向基板とを備える有機EL表示装置であって、上記有機EL表示装置用対向基板が、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって発光層からの発光が反射されるので、隣の画素への光の出射を防ぎ、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0019】
上記発明においては、上記有機EL表示装置用対向基板が、上記透明基板上にパターン状に形成された複数色の着色層を有することが好ましい。この場合、上記画素間隔壁が、異なる色の上記着色層間に形成されていることが好ましい。着色層が形成されている場合には、表面に反射膜を有する画素間隔壁によって隣の画素への光の出射による混色を防ぐことができるからである。
【0020】
また本発明においては、上記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることが好ましい。発光層からの発光を効率良く反射することができるからである。
【0021】
さらに本発明においては、上記有機EL表示装置用対向基板が、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁を有していてもよい。この場合、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、上記反射膜および上記バリア膜が同一材料からなるものであってもよい。封止隔壁により、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができ、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことができる。また、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部が同一材料からなり、反射膜およびバリア膜が同一材料からなるので、画素間隔壁および封止隔壁を同時に形成することができ、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0022】
また本発明においては、上記画素間隔壁が、上記有機EL表示装置用対向基板および上記有機EL素子基板間のギャップを保持する高さを有することが好ましい。有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを均一に保持することができ、表示ムラの発生を抑制することができるからである。
【0023】
さらに本発明においては、上記有機EL表示装置用対向基板が、上記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部を有していてもよい。この場合、上記画素間隔壁が上記遮光部の一部または全部を兼ねていてもよい。遮光部の形成を簡素化することができるからである。
【0024】
上記の場合、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜が同一材料からなるものであってもよい。反射膜および遮光膜を同時に形成することができ、遮光部の形成を簡素化できるからである。
【0025】
また本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、上記反射膜および上記バリア膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板の製造方法を提供する。
【0026】
本発明によれば、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、反射膜およびバリア膜を同一材料を用いて同時に形成するので、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0027】
さらに本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板の製造方法を提供する。
【0028】
本発明によれば、反射膜および遮光膜を同一材料を用いて同時に形成するので、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有機EL表示装置用対向基板は、有機EL表示装置に用いられた場合に、表面に反射膜を有する画素間隔壁が形成されていることにより発光層からの発光が反射されるので、隣の画素への光の出射による損失を低減し、光取り出し効率を向上させることが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の有機EL表示装置用対向基板の一例を示す概略平面図および断面図である。
【図2】本発明の有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図および断面図である。
【図4】本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図および断面図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の有機EL表示装置用対向基板における画素間隔壁の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【図11】本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の他の例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の有機EL表示装置用対向基板、有機EL表示装置、および有機EL表示装置用対向基板の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
A.有機EL表示装置用対向基板
まず、本発明の有機EL表示装置用対向基板について説明する。
本発明の有機EL表示装置用対向基板は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機EL表示装置用対向基板であって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とするものである。
【0033】
本発明の有機EL表示装置用対向基板について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の有機EL表示装置用対向基板の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示するように、有機EL表示装置用対向基板1は、透明基板2と、透明基板2上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁3とを有している。この画素間隔壁3は、画素間隔壁用台座部3aと、画素間隔壁用台座部3aを覆うように形成された反射膜3bとを有している。
【0034】
図2は、図1(a)、(b)に例示する有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合の一例を示す概略断面図である。有機EL表示装置用対向基板1は、上述したとおりである。一方、有機EL素子基板20は、基板21と、基板21上にパターン状に形成された背面電極層22、背面電極層22の開口部に形成された絶縁層23、背面電極層22上に形成され、赤色発光層24G、緑色発光層24Gおよび青色発光層24Bの3色の発光層から構成される発光層24、および発光層24上に形成された透明電極層25を有する有機EL素子26と、有機EL素子26を覆うように形成されたガスバリア層27とを有している。そして、有機EL表示装置30においては、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが対向するように配置され、シール剤32によって貼り合わされている。
【0035】
このような有機EL表示装置においては、有機EL表示装置用対向基板を構成する画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって、発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0036】
また、上記有機EL表示装置においては、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを保持することができる。したがって、例えば有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に硬化性樹脂が充填されている場合には、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に硬化性樹脂組成物を封入して硬化させるまでの間、基板がたわむのを抑制し、ギャップを均一に保持することが可能である。硬化性樹脂組成物が硬化するまでの間にギャップが不均一になると、硬化性樹脂組成物の硬化後はギャップが固定されるため、ギャップが不均一な有機EL表示装置が得られてしまう。これは、有機EL表示装置が大面積になるほど顕著になる。さらに、例えば有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に不活性ガスや不活性液体などの剛性を有さないものが充填されている場合には、有機EL表示装置の製造過程だけでなく使用時においても、ギャップを均一に保持することができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、表示ムラの発生を抑制することが可能である。
【0037】
さらに、画素間隔壁は表面に反射膜が形成されており、この反射膜は通常、金属膜を含むので、シール剤を通り抜けた水蒸気や酸素等の透過を防ぐことができる。したがって、有機EL表示装置においては、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、水分や酸素による有機EL層の劣化を抑制することが可能である。これにより、有機EL層の経時的な劣化を抑えることができる。
【0038】
また、画素間隔壁が形成されていることにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合には、強度を高めることもできる。
【0039】
図3(a)は本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図、図3(c)は図3(a)のC−C線断面図である。図3(a)〜(c)に例示するように、有機EL表示装置用対向基板1は、透明基板2と、透明基板2上にパターン状に形成され、赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bの3色の着色層から構成される着色層4と、透明基板2上に形成され、画素間に配置され、画素間隔壁用台座部3aおよび画素間隔壁用台座部3aを覆うように形成された反射膜3bを有する画素間隔壁3と、透明基板2上に形成され、画素を画定する遮光部5とを有している。赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bはそれぞれ、画素に対応して配置されており、画素間隔壁3は異なる色の着色層間に配置されている。また、遮光部5は、透明基板2上に形成された画素間隔壁3と、透明基板2上に形成された遮光膜5aとを有している。
【0040】
図4は、図3(a)〜(c)に例示する有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合の一例を示す概略断面図である。有機EL表示装置用対向基板1は、上述したとおりである。一方、有機EL素子基板20は、基板21と、基板21上にパターン状に形成された背面電極層22、背面電極層22の開口部に形成された絶縁層23、背面電極層22上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層28、および有機EL層28上に形成された透明電極層25を有する有機EL素子26と、有機EL素子26を覆うように形成されたガスバリア層27とを有している。そして、有機EL表示装置30においては、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが対向するように配置され、シール剤32によって貼り合わされている。
【0041】
このような有機EL表示装置においても、有機EL表示装置用対向基板を構成する画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって、有機EL層中の発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、光取り出し効率を向上させることが可能である。また、透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されている場合には、隣の画素に光が出射して混色が生じるのを防ぐこともできる。
【0042】
図5(a)は本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図であり、図5(b)は図5(a)のD−D線断面図である。図5(a)、(b)に例示するように、有機EL表示装置用対向基板1は、透明基板2と、透明基板2上に形成され、画素を画定する遮光部5と、透明基板2上にパターン状に形成され、遮光部5の開口部に配置され、赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bの3色の着色層から構成される着色層4と、遮光部5上に形成され、画素間に配置され、画素間隔壁用台座部3aおよび画素間隔壁用台座部3aを覆うように形成された反射膜3bを有する画素間隔壁3と、透明基板2上の非表示領域12に表示領域11を囲むように形成された封止隔壁6とを有している。この封止隔壁6は、ガスバリア性を有し、封止隔壁用台座部6aと、封止隔壁用台座部6aを覆うように形成されたバリア膜6bとを有している。また、赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bはそれぞれ、画素に対応して配置されており、画素間隔壁3は異なる色の着色層間に配置されている。
【0043】
図6は、図5(a)、(b)に例示する有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合の一例を示す概略断面図である。有機EL表示装置用対向基板1は、上述したとおりである。一方、有機EL素子基板20は、基板21と、基板21上にパターン状に形成された背面電極層22、背面電極層22の開口部に形成された絶縁層23、背面電極層22上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層28、および有機EL層28上に形成された透明電極層25を有する有機EL素子26と、有機EL素子26を覆うように形成されたガスバリア層27とを有している。そして、有機EL表示装置30においては、有機EL表示装置用対向基板1の封止隔壁6の外周にシール剤32が形成され、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが対向するように配置され、シール剤32によって貼り合わされている。このとき、封止隔壁6が有機EL素子基板20の基板21と接するように、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが貼り合わされる。
【0044】
このような有機EL表示装置においても、有機EL表示装置用対向基板を構成する画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって、有機EL層中の発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、光取り出し効率を向上させることが可能である。
また、上記有機EL表示装置においては、ガスバリア性を有する封止隔壁が形成されていることにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際に、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができる。したがって、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことが可能である。
【0045】
以下、本発明の有機EL表示装置用対向基板における各構成について説明する。
【0046】
1.画素間隔壁
本発明における画素間隔壁は、透明基板上に形成され、画素間に配置されるものであり、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有するものである。
【0047】
画素間隔壁の形成位置としては、画素間であれば特に限定されるものではない。
なお、「画素」とは、画像を構成する最小単位である。例えば赤・緑・青の3個の副画素で1個の画素が構成されている場合、本発明においては1個の副画素を画素という。
「画素間」とは画素と画素との間を意味する。
中でも、画素間隔壁は異なる色の画素間に配置されていることが好ましい。例えば、図2に示すように3色の発光層(赤色発光層24R、緑色発光層24G、青色発光層24B)が形成されている場合には、異なる色の発光層間に画素間隔壁3が配置されていることが好ましい。また例えば、図4および図6に示すように3色の着色層(赤色着色層4R、緑色着色層4G、青色着色層4B)が形成されている場合には、異なる色の着色層間に画素間隔壁3が配置されていることが好ましい。この場合には、隣の画素に光が出射することにより混色を防ぐことができる。
【0048】
また、画素間隔壁は画素間に配置されていればよく、その形成位置としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能であれば特に限定されるものではない。例えば、図1(a)に示すように画素間隔壁3が画素の四辺を囲むように形成されていてもよく、図3(a)および図5(a)に示すように画素間隔壁3が画素の四辺のうち向かい合う二辺に沿って形成されていてもよい。また、画素間隔壁が画素の四辺のうち向かい合う二辺に沿って形成されている場合、図3(a)に例示するように画素間隔壁3が一方向に連続して形成されていてもよく、図5(a)に例示するように画素間隔壁3が一方向に不連続に形成されていてもよい。画素間隔壁が画素の四辺を囲むように形成されている場合には、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、有機EL表示装置の外周から中心に向かって水分や酸素に対するガスバリア性を高めることができる。また、画素間隔壁が画素の四辺のうち向かい合う二辺に沿って形成されている場合には、画素間隔壁の形成が容易である。
【0049】
画素間隔壁の断面形状としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能な形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形、台形等とすることができる。中でも、画素間隔壁の断面形状は、透明基板側を長辺とする台形であることが好ましい。
この場合、画素間隔壁の傾斜角度は、45°〜90°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは60°〜90°の範囲内、さらに好ましくは75°〜90°の範囲内である。画素間隔壁の傾斜角度が上記範囲であることにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を効率的に反射することができるからである。傾斜角度が上記範囲より小さいと、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、発光層からの発光を効率良く反射することができない可能性がある。一方、傾斜角度が上記範囲よりも大きいと、画素間隔壁の表面に反射膜を形成することが困難となる。
なお、画素間隔壁の傾斜角度とは、図7に例示するような透明基板2表面と画素間隔壁3とのなす角度θをいう。傾斜角度は、タカノ株式会社製原子間力顕微鏡(AFM)を用いて3次元形状を計測することで、測定することができる。
【0050】
画素間隔壁の高さとしては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能な高さであれば特に限定されるものではなく、本発明の有機EL表示装置用対向基板の構成や、有機EL素子基板の構成等に応じて適宜選択される。中でも、画素間隔壁の高さは、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と貼り合わせた際に、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持することができる高さであることが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、表示ムラの発生を抑制することができるからである。具体的に、画素間隔壁の高さは、1μm〜8μm程度とすることができる。
【0051】
画素間隔壁の線幅としては、画素間隔壁を画素間に配置することができる程度であれば特に限定されるものではないが、中でも上述したように有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持することができる程度であることが好ましく、画素間の幅や、目的とする有機EL表示装置の大きさなどに応じて適宜選択される。具体的に、画素間隔壁の線幅は、10μm〜100μm程度とすることができる。画素間隔壁の線幅が狭すぎるものは形成が困難であり、画素間隔壁の線幅が上記範囲を超えると開口率が小さくなる場合があるからである。
【0052】
画素間隔壁は、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有する。以下、画素間隔壁を構成する画素間隔壁用台座部および反射膜に分けて説明する。
【0053】
(1)画素間隔壁用台座部
本発明における画素間隔壁用台座部は、透明基板上に形成されるものである。
画素間隔壁用台座部に用いられる材料としては、所望の画素間隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではない。画素間隔壁用台座部に用いられる材料は、ガスバリア性を有していてもよく、ガスバリア性を有さなくてもよい。画素間隔壁用台座部がガスバリア性を有する場合には、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際、画素間隔壁によって、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の透過を効果的に防ぐことができる。
【0054】
画素間隔壁用台座部に用いられるガスバリア性を有する材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの有機材料が挙げられる。また、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの有機材料に無機材料であるシリカなどを含有させた有機無機ハイブリッド材料も好適に用いられる。
一方、画素間隔壁用台座部に用いられるガスバリア性を有しない材料としては、例えば、感光性アクリル樹脂、感光性ポリイミド、ポジレジスト、カルド樹脂、ポリシロキサン、ベンゾシクロブテン等が挙げられる。
【0055】
また、画素間隔壁用台座部は、遮光性を有していてもよい。画素間隔壁用台座部が遮光性を有することにより、画素を画定する遮光部としての機能を有することができるからである。例えば、ブラックレジストを用いて遮光性を有する画素間隔壁用台座部を形成することができる。
【0056】
さらに、画素間隔壁用台座部3aは、図8に例示するように、透明基板2と一体に形成されていてもよい。このような画素間隔壁用台座部は、ガラス基板を加工することにより形成することができる。この場合、透明基板および画素間隔壁用台座部がガラス製となるので、ガスバリア性に優れたものとすることができる。
【0057】
画素間隔壁用台座部の高さとしては、画素間隔壁用台座部上に後述する反射膜を形成した際に、上述した画素間隔壁の高さと同様となる高さであればよい。
また、画素間隔壁用台座部の線幅および断面形状としては、画素間隔壁用台座部上に後述する反射膜を形成した際に、上述した画素間隔壁の線幅および断面形状と同様となるような線幅および断面形状であればよい。
【0058】
画素間隔壁用台座部の形成方法としては、所望の画素間隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィー法、印刷法等が挙げられる。また、上述したように、ガラス基板を加工する方法も用いることができる。
【0059】
(2)反射膜
本発明に用いられる反射膜は、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成されるものである。
【0060】
反射膜の反射率としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を反射して光取り出し効率を向上させることができれば特に限定されるものではないが、具体的には、50%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上である。反射膜の反射率の上限値としては特に限定されるものではないが、通常、100%とされる。
なお、反射率は、顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて校正用アルミ基板を100%とした際の反射スペクトルとして測定することができる。
【0061】
反射膜は、通常、ガスバリア性を有する。これにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際、画素間隔壁によって、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の透過を抑制することができる。
【0062】
また、反射膜は遮光性を有していてもよい。反射膜が遮光性を有することにより、画素間隔壁が画素を画定する遮光部としての機能を有することができるからである。
【0063】
反射膜に用いられる材料としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能であり、上記反射率を満たすものであれば特に限定されるものではない。このような反射膜としては、アルミニウム膜、銀膜、スズ膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜などの金属膜が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、反射膜が遮光性を有する場合には、金属膜と金属化合物膜とを積層することが好ましい。金属化合物膜としては、酸化クロム膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜、酸化インジウム合金膜などの金属酸化物膜や、窒化クロム膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜などの金属窒化物膜が挙げられる。例えば、画素間隔壁用台座部側から順に、酸化クロム膜と窒化クロム膜とクロム膜とを積層することで、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を反射し、外光を反射しにくい反射膜を得ることができる。
【0064】
反射膜の膜厚としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することができる程度であれば特に限定されるものではないが、具体的には、20nm〜10000nmの範囲内、中でも50nm〜8000nmの範囲内、特に100nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。反射膜の膜厚が上記範囲に満たないと十分な反射率が得られない場合があり、反射膜の膜厚が上記範囲を超えると、製膜に時間がかかりすぎコスト面で問題となったり、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際に反射膜に割れを生じたりするからである。
【0065】
反射膜の形成方法としては、例えば化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、レーザーアブレーション法等が挙げられる。このうち、有機EL表示装置用対向基板の生産性を考慮すると、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく、さらには、スパッタリング法を用いることがより好ましい。スパッタリング法を用いることにより、高生産性で、品質安定性に優れた反射膜を形成することができるからである。また、反射膜のパターニング方法としては、例えば、フォトエッチング法、メタルマスクを用いる方法を挙げることができる。
【0066】
2.着色層
本発明においては、透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されていることが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、表面に反射膜を有する画素間隔壁が形成されているので、着色層が形成されている場合に隣の画素への光の出射による混色を防ぐことができるからである。また、白色発光層を有する有機EL表示装置には、通常、カラーフィルタが用いられ、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層等の複数色の発光層を有する有機EL表示装置には、色純度の向上のためにカラーフィルタが用いられるので、本発明の有機EL表示装置用対向基板もカラーフィルタの機能を有することが好ましいのである。
【0067】
着色層は、一般に、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層の3色の着色層から構成される。各色の着色層は画素に対応して配置される。着色層のパターンは、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
【0068】
着色層の材料については、公知のカラーフィルタの着色層に用いられる材料を使用することができる。
着色層の形成方法としては、カラーフィルタにおける一般的な着色層の形成方法と同様とすることができ、例えばフォトリソグラフィー法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。
【0069】
3.封止隔壁
本発明においては、透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように、ガスバリア性を有する封止隔壁が形成されていてもよい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、ガスバリア性を有する封止隔壁が形成されていることにより、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができ、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことができるからである。
【0070】
なお、「表示領域」とは、すべての画素を含む領域をいう。例えば図5(a)、(b)に示す有機EL表示装置用対向基板1においては、画素間隔壁3が形成されている領域は表示領域11となる。また、「非表示領域」とは、表示領域を囲む領域をいう。例えば図5(a)、(b)に示す有機EL表示装置用対向基板1においては、表示領域11を囲む領域が非表示領域12となる。
【0071】
封止隔壁は、本発明の有機EL表示装置用対向基板に有機EL素子基板を対向させて貼り合わせた際に、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間の気密性を保持できる高さを有することが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際、封止隔壁によって、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができるからである。
【0072】
封止隔壁の高さとしては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と対向させて貼り合わせた際に、気密性を保持できる程度であれば特に限定されるものではない。通常、封止隔壁の高さは、有機EL表示装置用対向基板の透明基板と有機EL素子基板の基板との間の距離(以下、基板間距離と称する場合がある。)と同等もしくは大きく形成される。本発明においては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板を貼り合わせる際に圧力を加え隔壁を有機EL素子基板に圧着させることにより気密性を保持するため、基板間距離よりも封止隔壁の高さが低い場合は気密性を保つことができないからである。
【0073】
封止隔壁の高さと基板間距離との差(隔壁の高さ−基板間距離)としては、0μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0μm〜8μmの範囲内、特に0μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
また、封止隔壁の高さとしては、有機EL表示装置用対向基板の種類によって適宜調整されるものであるが、1μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、中でも3μm〜10μmの範囲内、特に5μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。封止隔壁の高さが上記範囲に満たない場合、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板の間の気密性を保つことが困難であり、封止隔壁の高さが上記範囲を超える場合、圧力をかけても基板間距離より大きくなってしまうからである。
【0074】
本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせる際には、通常、図6に例示するように、封止隔壁6が有機EL素子基板20の基板21と接するように、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが貼り合わされる。
【0075】
封止隔壁としては、好ましくは所定の高さを有しかつガスバリア性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、図5(b)に示すように、封止隔壁6が、封止隔壁用台座部6aと、封止隔壁用台座部6aを覆うよう形成されたバリア膜6dとを有するものであってもよく(以下、第1態様とする。)、また図示しないが、封止隔壁がガスバリア性を有する材料のみからなるものであってもよい(以下、第2態様とする。)。以下、それぞれの態様に分けて説明する。
【0076】
(1)第1態様
本態様の封止隔壁は、封止隔壁用台座部と、封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有するものである。本態様の封止隔壁は、封止隔壁用台座部がバリア膜で覆われていることで、より高いガスバリア性を有することができる。
【0077】
封止隔壁は、封止隔壁用台座部とバリア膜とを有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも、封止隔壁用台座部および画素間隔壁用台座部が同一材料からなり、バリア膜および反射膜が同一材料からなることが好ましい。封止隔壁用台座部および画素間隔壁用台座部を同時に形成し、バリア膜および反射膜を同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができるからである。
以下、封止隔壁用台座部およびバリア膜についてそれぞれ説明する。
【0078】
(i)隔壁用台座部
本態様の封止隔壁に用いられる封止隔壁用台座部は、透明基板上に形成されるものである。
【0079】
封止隔壁用台座部に用いられる材料としては、同一材料からなる封止隔壁用台座部および画素間隔壁用台座部を形成することができ、所望の封止隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではない。封止隔壁用台座部に用いられる材料は、ガスバリア性を有していてもよく、ガスバリア性を有さなくてもよい。
なお、封止隔壁用台座部に用いられる材料については、上記画素間隔壁用台座部に用いられる材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0080】
また、封止隔壁用台座部は、遮光性を有していてもよい。封止隔壁用台座部が遮光性を有することにより、表示領域と非表示領域とを画定する周縁遮光部としての機能を有することができるからである。例えば、ブラックレジストを用いて遮光性を有する封止隔壁用台座部を形成することができる。
【0081】
封止隔壁用台座部の高さとしては、封止隔壁用台座部上に後述するバリア膜を形成した際に、上述した封止隔壁の高さと同様となる高さであればよい。
また、封止隔壁用台座部の線幅および断面形状としては、封止隔壁用台座部上に後述するバリア膜を形成した際に、後述する封止隔壁の線幅および断面形状と同様となるような線幅および断面形状であればよい。
【0082】
封止隔壁用台座部の形成方法としては、所望の封止隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィー法、印刷法等が挙げられる。
【0083】
(ii)バリア膜
本態様の封止隔壁に用いられるバリア膜は、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成され、ガスバリア性を有するものである。
【0084】
バリア膜に用いられる材料は、ガスバリア性を有する材料であれば特に限定されるものではない。このようなバリア膜としては、通常、無機酸化膜、無機酸化窒化膜、無機窒化膜、または金属膜のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものを使用することができる。無機酸化膜としては、酸化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜、酸化インジウム合金膜が挙げられる。また、無機酸化窒化膜としては、酸化窒化ケイ素膜が挙げられ、無機窒化膜としては、窒化ケイ素膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜が挙げられる。さらに、金属膜としては、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜が挙げられる。
【0085】
また、バリア膜および反射膜が同一材料からなる場合、バリア膜に用いられる材料は、上記反射膜に用いられる材料と同様である。
【0086】
バリア膜の膜厚としては、形成された封止隔壁がガスバリア性を有するのであれば特に限定されるものではないが、20nm〜10000nmの範囲内、中でも50nm〜8000nmの範囲内、特に100nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。バリア膜の膜厚が上記範囲に満たない場合、封止隔壁に十分なガスバリア性を付与できない可能性があり、バリア膜の膜厚が上記範囲を超える場合、製膜に時間がかかりすぎコスト面で問題となったり、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際にバリア膜に割れを生じたりするからである。
【0087】
バリア膜の形成方法としては、例えば化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、レーザーアブレーション法等が挙げられる。このうち、有機EL表示装置用対向基板の生産性を考慮すると、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく、さらには、スパッタリング法を用いることがより好ましい。スパッタリング法を用いることにより、高生産性で、品質安定性に優れたバリア膜を形成することができるからである。また、バリア膜のパターニング方法としては、例えば、フォトエッチング法、メタルマスクを用いる方法を挙げることができる。
【0088】
(iii)封止隔壁
本態様の封止隔壁は、上述した封止隔壁用台座部およびバリア膜を有するものである。
【0089】
封止隔壁の線幅としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と貼り合わせた際に、気密性を有することができる線幅であれば、特に限定されるものではないが、5μm〜500μmの範囲内、中でも10μm〜400μmの範囲内、特に30μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。封止隔壁の線幅が上記範囲に満たない場合、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と圧着させても気密性を保持することが困難になる可能性があり、封止隔壁の線幅が上記範囲を超える場合、表示領域に封止隔壁が形成されてしまうおそれがあるからである。
【0090】
封止隔壁の断面形状としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に気密性を保持できる形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形、台形等とすることができる。
【0091】
封止隔壁の形成位置としては、非表示領域であれば特に限定されるものではない。
【0092】
本態様においては、図9(a)、(b)に例示するように、封止隔壁6が複数(図9(a)、(b)中では2個)形成されていてもよい。封止隔壁が複数形成されていることで、より高いガスバリア性を有することができるからである。なお、図9(b)は図9(a)のE−E線断面図である。
封止隔壁が複数形成されている場合、封止隔壁の数は2個〜10個の範囲内であることが好ましく、中でも2個であることが好ましい。封止隔壁の数が上記範囲を超える場合、表示領域に封止隔壁が形成されてしまうおそれがある。
【0093】
封止隔壁上面には、接着層が設けられていてもよい。有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板を固定することができるからである。また、気密性を向上させることができるからである。
【0094】
(2)第2態様
本態様の封止隔壁は、ガスバリア性を有する材料のみからなるものである。
【0095】
封止隔壁に用いられる材料としては、ガスバリア性を有し、所望の隔壁を形成することができれば特に限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの有機材料が用いられる。また、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの有機材料に、無機材料であるシリカなどを含有させた有機無機ハイブリッド材料も好適に用いられる。
【0096】
なお、封止隔壁の線幅、断面形状、および形成位置については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0097】
本態様においては、封止隔壁が複数形成されていてもよい。封止隔壁が複数形成されていることで、より高いガスバリア性を有することができるからである。なお、封止隔壁の数については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
封止隔壁上面には、接着層が設けられていてもよい。有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板を固定することができるからである。また、気密性を向上させることができるからである。
【0099】
本態様の封止隔壁の形成方法としては、所望の封止隔壁を形成することができれば特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィー法、印刷法等が挙げられる。
【0100】
4.スペーサ
本発明においては、透明基板上にスペーサが形成されていてもよい。スペーサは、画素間に配置されるものであり、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と対向させて貼り合わせた際に、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持するために設けられるものである。上記画素間隔壁が、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持する高さを有さない場合には、スペーサが形成されていることが好ましい。
【0101】
スペーサは、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スペーサ用台座部とスペーサ用台座部を覆うように形成された反射膜とを有していてもよく、単一の部材で構成されていてもよい。スペーサがスペーサ用台座部と反射膜とを有する場合、中でも、スペーサ用台座部および画素間隔壁用台座部が同一材料からなり、スペーサを構成する反射膜および画素間隔壁を構成する反射膜が同一材料からなることが好ましい。スペーサ用台座部および画素間隔壁用台座部を同時に形成し、スペーサおよび画素間隔壁の反射膜を同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができるからである。
【0102】
スペーサに用いられる材料としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができれば特に限定されるものではなく、上記のスペーサの構成に応じて適宜選択される。スペーサがスペーサ用台座部と反射膜とを有する場合、スペーサ用台座部に用いられる材料としては上記画素間隔壁用台座部に用いられる材料と同様とすることができ、スペーサを構成する反射膜に用いられる材料としては上記画素間隔壁を構成する反射膜に用いられる材料と同様することができる。また、スペーサが単一の部材で構成されている場合、スペーサに用いられる材料としては上記画素間隔壁用台座部に用いられる材料と同様とすることができる。
【0103】
スペーサの高さとしては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる程度であれば特に限定されるものではなく、本発明の有機EL表示装置用対向基板の構成や有機EL素子基板の構成等に応じて適宜調整される。通常、スペーサは封止隔壁よりも低く形成される。具体的に、スペーサの高さは、1μm〜8μm程度とすることができる。
【0104】
また、スペーサがスペーサ用台座部と反射膜とを有する場合、スペーサを構成する反射膜の膜厚としては、上記画素間隔壁を構成する反射膜の膜厚と同様とすることができる。
【0105】
スペーサの幅としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる程度であれば特に限定されるものではなく、画素間の幅や目的とする有機EL表示装置の大きさに応じて適宜選択される。具体的に、スペーサの幅は、スペーサの横断面形状が円形である場合、10μmφ〜100μmφ程度とすることができる。
【0106】
スペーサの縦断面形状としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形、台形とすることができる。
【0107】
スペーサの密度としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる程度であれば特に限定されるものではなく、目的とする有機EL表示装置の大きさに応じて適宜選択される。
【0108】
スペーサの形成位置としては、画素間であり、画素間隔壁が形成されていない領域であれば特に限定されるものではない。
【0109】
有機EL表示装置用対向基板に用いられるスペーサは、液晶表示装置に用いられるスペーサのような高い精度を必要としない。よって、本発明においては、上述のように、スペーサの高さ、幅、密度、配置などは任意であり特に限定されないのである。
【0110】
スペーサの形成方法は、所望のスペーサを形成することができれば特に限定されるものではなく、スペーサの構成や材料に応じて適宜選択される。なお、スペーサの形成方法については、上記画素間隔壁の形成方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
5.遮光部
本発明においては、透明基板上に画素を画定する遮光部が形成されていてもよい。
この場合、図3(a)〜(c)に例示するように画素間隔壁3が遮光部5の一部を兼ねていてもよく、図9(a)、(b)に例示するように画素間隔壁3が遮光部5の全部を兼ねていてもよく、図5(a)、(b)に例示するように遮光部5および画素間隔壁3が別々に形成されていてもよい。
【0112】
画素間隔壁が遮光部の一部または全部を兼ねている場合、遮光膜の形成を簡素化することができる。
画素間隔壁が遮光部の一部を兼ねている場合には、中でも、図3(a)〜(c)に例示するように、遮光部5が、透明基板2上に形成された画素間隔壁3と、透明基板2上に形成された遮光膜5aとを有し、反射膜3bおよび遮光膜5aが同一材料からなることが好ましい。反射膜および遮光膜を同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができるからである。この場合、反射膜は遮光性を有するものとなる。
また、画素間隔壁が遮光部の全部を兼ねている場合には、画素間隔壁用台座部および反射膜の少なくともいずれか一方は遮光性を有するものとなる。
【0113】
遮光部および画素間隔壁が別々に形成されている場合、通常、図5(a)、(b)に例示するように遮光部5上に画素間隔壁3が形成される。
【0114】
遮光部に用いられる材料としては、遮光部の構成に応じて適宜選択される。遮光部が画素間隔壁と遮光膜とを有し、遮光膜および反射膜が同一材料からなる場合、画素間隔壁および遮光膜に用いられる材料は、上記画素間隔壁の項に記載した材料と同様とすることができる。一方、遮光部および画素間隔壁が別々に形成されている場合、遮光部に用いられる材料としては、一般的なカラーフィルタの遮光部に用いられるものと同様とすることができる。
【0115】
また、遮光部の形成方法としては、遮光部の構成に応じて適宜選択される。遮光部が画素間隔壁と遮光膜とを有し、遮光膜および反射膜が同一材料からなる場合、画素間隔壁および遮光膜の形成方法は、上記画素間隔壁の項に記載した方法と同様とすることができる。一方、遮光部および画素間隔壁が別々に形成されている場合、遮光部に用いられる材料としては、一般的なカラーフィルタの遮光部の形成方法と同様とすることができる。
【0116】
6.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、上述の画素間隔壁、着色層、封止隔壁、スペーサ、遮光部等を形成可能であり、可視光に対して透明な基板であれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタに一般的に用いられる透明基板と同様とすることができる。
具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。
【0117】
7.用途
本発明の有機EL表示装置用対向基板は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置されるものであり、具体的には、トップエミッション型の有機EL素子を有する有機EL素子基板と貼り合わされることが好ましい。
なお、有機EL表示装置用対向基板と対向させる有機EL素子基板については、後述の「B.有機EL表示装置」の項に詳しく記載するのでここでの説明は省略する。
【0118】
また、本発明の有機EL表示装置用対向基板は、ギャップを均一に保持することができることから、大面積の有機EL表示装置に好適に用いられる。本発明の有機EL表示装置用対向基板が適用される有機EL表示装置の大きさとしては、10インチ〜100インチの範囲内であることが好ましい。
【0119】
B.有機EL表示装置
次に、本発明の有機EL表示装置について説明する。
本発明の有機EL表示装置は、有機EL素子を有する有機EL素子基板と、上記有機EL素子基板に対向するように配置された有機EL表示装置用対向基板とを備える有機EL表示装置であって、上記有機EL表示装置用対向基板が、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とするものである。すなわち、本発明の有機EL表示装置は、上述の有機EL表示装置用対向基板と、有機EL素子を有する有機EL素子基板とを備えるものである。
【0120】
本発明の有機EL表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図2、図4および図6はそれぞれ、本発明の有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。図2、図4および図6に示すように、有機EL表示装置30は、有機EL表示装置用対向基板1と、有機EL素子基板20と、有機EL表示装置用対向基板1の外周に形成され、有機EL素子を封止するシール剤32とを備えている。通常、有機EL表示装置用対向基板1および有機EL素子基板20の間には、充填材(図示なし)が封入される。なお、図2、図4および図6にそれぞれ示す有機EL表示装置用対向基板1および有機EL素子基板20については、上記「A.有機EL表示装置用対向基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0121】
本発明によれば、上述の有機EL表示装置用対向基板を用いるので、画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって発光層からの発光が反射されるため、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0122】
また、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを均一に保持することができる。したがって、例えば充填材が硬化性樹脂である場合には、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に硬化性樹脂組成物を封入して硬化させるまでの間、基板がたわむのを抑制し、ギャップを均一に保持することが可能である。一方、充填材が不活性ガスや不活性液体などの剛性を有さないものである場合には、有機EL表示装置の製造過程だけでなく使用時においても、ギャップを均一に保持することができる。したがって、表示ムラの発生を抑制することが可能である。
【0123】
さらに、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、シール剤を通り抜けた水蒸気や酸素等の透過を防ぐことができ、経時安定性に優れた有機EL表示装置とすることができる。
【0124】
また、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、強度を高めることもできる。
【0125】
なお、有機EL表示装置用対向基板については、上記「A.有機EL表示装置用対向基板」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の有機EL表示装置の他の構成について説明する。
【0126】
1.有機EL素子基板
本発明に用いられる有機EL素子基板は、有機EL素子を有するものである。
有機EL素子基板は、有機EL素子を有するものであればよく、例えば、基板と、基板上にパターン状に形成された背面電極層、背面電極層の開口部に形成された絶縁層、背面電極層上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層、有機EL層上に形成された透明電極層を有する有機EL素子とを備えることができる。
以下、有機EL素子基板の各構成について説明する。
【0127】
(1)基板
有機EL素子基板に用いられる基板としては、後述する有機EL素子等を支持することができるものであればよく、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
本発明においては、有機EL表示装置用対向基板側から光が取り出されるため、基板は透明であっても不透明であってもよい。
【0128】
(2)有機EL素子
有機EL素子は、背面電極層および透明電極層と、背面電極層および透明電極層の間に形成され、少なくとも有機発光層を含む有機EL層とを有するものである。
【0129】
(i)有機EL層
有機EL層は、少なくとも有機発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものであり、通常、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などを有する。
【0130】
(ii)透明電極層および背面電極層
透明電極層は、透明電極層と背面電極層との間に挟まれた有機EL層に電圧をかけ、発光層で発光を起こさせるために設けられるものである。また、発光層で発生した光を、有機EL表示装置用対向基板側に透過させるものである。この透明電極層は、有機EL層と有機EL表示装置用対向基板との間に配置される。
また、背面電極層は、有機EL層と基板との間に配置される。背面電極層は、有機EL層を発光させるための他方の電極をなすものであり、透明電極層と反対の電荷をもつ電極である。
このような透明電極層および背面電極層としては、発光層に所望の発光をさせることができるものであればよく、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0131】
(iii)絶縁層
絶縁層は、透明電極層と背面電極層とが直接接触することを防ぐために形成されるものである。
このような絶縁層としては、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0132】
(3)TFT
有機EL素子基板には、図示しないが、TFTが形成されていてもよい。
TFTとしては、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0133】
2.シール剤
本発明に用いられるシール剤は、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板の周縁部に形成され、有機EL素子を封止するものである。
このようなシール剤の構成材料としては、有機EL素子が大気中の水分等と接触するのを抑制することができるものであればよく、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0134】
3.充填材
本発明に用いられる充填材は、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に封入されるものである。
【0135】
充填材としては、一般的な有機EL表示装置に用いられる充填材と同様とすることができ、剛性を有していてもよく有さなくてもよい。剛性を有する充填材としては、硬化性樹脂を例示することができる。一方、剛性を有さない充填材としては、不活性ガス、不活性液体を例示することができる。
【0136】
硬化性樹脂としては、一般的な充填材であれば特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂のいずれも用いることができる。具体的には、アクリレート系オリゴマー、メタクリレート系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)接着剤を挙げることができる。
【0137】
また、不活性ガスとしては、一般的な充填材であれば特に限定されるものではなく、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスを用いることができる。
さらに、不活性液体としては、一般的な充填材であれば特に限定されるものではなく、例えば、フッ化炭化水素溶液(住友スリーエム社製:商品名フロリナート)を用いることができる。
【0138】
充填材の封入方法としては、一般的な方法を採用することができ、充填材の種類に応じて適宜選択される。例えば充填材が硬化性樹脂である場合、有機EL素子基板および有機EL表示装置用対向基板を対向させて配置した後、樹脂組成物を両基板の間に注入する方法や、有機EL素子基板上または有機EL表示装置用対向基板上に樹脂組成物を塗布した後、硬化させる方法を挙げることができる。
【0139】
また、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間には充填材とともに乾燥剤が配置されていてもよい。これにより、有機EL素子が水分等によって劣化するのをより一層効果的に防ぐことができる。乾燥剤としては、一般的に有機EL表示装置に用いられる乾燥剤と同様とすることができる。
【0140】
4.その他の部材
本発明の有機EL表示装置は、必要に応じて他の構成を有していてもよい。他の構成としては、例えば、発光層からの発光を吸収し、可視光領域蛍光を発する色変換層を挙げることができる。以下、色変換層について説明する。
【0141】
(色変換層)
本発明に用いられる色変換層は、発光層からの光を吸収し、可視光領域蛍光を発する蛍光材料を含有する層であり、発光層からの光を青色、赤色または緑色とするものである。
色変換層の構成は、適用する有機EL表示装置の発光層に応じて適宜選択されるものである。例えば青色発光層の場合、色変換層は、赤色の蛍光を発光する赤色変換層、緑色の蛍光を発光する緑色変換層、および青色発光層からの光をそのまま透過する透過部を有する。
【0142】
色変換層の形成位置としては、発光層上であればよく、透明電極層上や、本発明の有機EL表示装置用対向基板の着色層上とすることができる。
【0143】
色変換層の膜厚としては、発光層からの光を十分に吸収して蛍光を発することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、使用する蛍光色素、蛍光色素の濃度等を考慮して適宜設定される。
【0144】
各色変換層は、画素に対応して規則的に配列される。色変換層のパターンの配列としては、各色変換層が巨視的に見て平均的に配列されていれば特に限定されるものではなく、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
【0145】
色変換層は、通常、発光層からの光を吸収し、蛍光を発光する蛍光色素とマトリクス樹脂とを含有するものである。
蛍光色素は、発光層から発せられる近紫外領域または可視領域の光、特に青色または青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。上記発光層が青色発光層である場合は、蛍光色素としては、例えば赤色領域の蛍光を発する蛍光色素および緑色領域の蛍光を発する蛍光色素が用いられる。
【0146】
C.有機EL表示装置用対向基板の製造方法
次に、本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法について説明する。本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法は、2つの態様を有する。
【0147】
本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一の態様は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、上記反射膜および上記バリア膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とするものである。
【0148】
図10(a)〜(d)は、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、反射膜およびバリア膜を同一材料を用いて同時に形成する場合の本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図10(a)に示すように、着色層4(4R,4G,4B)が形成された透明基板2上に、透明なネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂層41を形成する。次いで、図10(b)に示すように、透明基板51上に遮光膜52および半透明膜53が形成されており、遮光領域と半透過領域と透過領域とを有する階調マスクを用いて、感光性樹脂層41に紫外光55を照射し、その後、現像する。このようにして、図10(c)に示すように、同一材料からなる画素間隔壁用台座部3aおよび封止隔壁用台座部6aを同時に形成することができる。次に、図10(d)に示すように、画素間隔壁用台座部3aおよび封止隔壁用台座部6aの上からマスクを介して金属材料を蒸着して、同一材料からなる反射膜3bおよびバリア膜6bを同時に形成することができる。
【0149】
また、本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の他の態様は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とするものである。
【0150】
図11(a)〜(c)は、反射膜および遮光膜を同一材料を用いて同時に形成する場合の本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図11(a)に示す着色層4(4R,4G,4B)が形成された透明基板2上に、図示しないが、透明なネガ型感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂層を形成し、マスクを介して感光性樹脂層に紫外光を照射し、現像して、図11(b)に示すように画素間隔壁用台座部3aを形成する。次に、図11(c)に示すように、画素間隔壁用台座部3aの上からマスクを介して金属材料を蒸着して、同一材料からなる反射膜3bおよび遮光膜5aを同時に形成することができる。
【0151】
いずれの本態様においても、有機EL表示装置用対向基板を、少ない工程数で、かつ低コストで製造することが可能である。
【0152】
なお、各構成部材およびそれらの形成方法については、上記「A.有機EL表示装置用対向基板」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0153】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0154】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.基板準備
透明基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この透明基板を定法にしたがって洗浄した後、ネガ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN-83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像して焼成して、ブラックマトリックスを形成した。
【0155】
2.着色層の形成
次に、下記組成の赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0156】
<赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0157】
<青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0158】
<緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0159】
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
ここで、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたものである。
【0160】
次いで、上記透明基板上に遮光部を覆うように赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色着色層用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色着色層を形成した。
青色着色層および緑色着色層も同様に形成した。
【0161】
3.画素間隔壁用台座部の形成
次に、上記の着色層を形成したガラス基板上に、下記の透明樹脂組成物をスピンコート法により塗布した。
【0162】
<透明樹脂組成物の組成>
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 32重量部
・エピコート180S70(ジャパンエポキシレジン(株)製) 18重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 42重量部
・開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907) 8重量部
・3−メトキシブチルアセテート(メトアセと記す) 300重量部
【0163】
次に、1×10−2Torr程度の真空度で減圧乾燥し、90℃でプリベークした後、透明樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離に所定のフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用い、所定の位置に露光した。次いで、0.05%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、塗布膜の未硬化部分のみを除去して画素間隔壁用台座部を形成した。
【0164】
4.反射膜の形成
次に、上記の画素間隔壁用台座部を形成したガラス基板上に反射膜を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。反射膜は酸化クロム膜500Å、窒化クロム膜400Å、クロム膜1100Åの積層とし合計膜厚を2000Åとした。
【0165】
<成膜条件>
(酸化クロム膜)
・ガス流量比 Ar:N2:CO2=3:1:15
・パワー:15kW
・ガス圧:3mTorr
(窒化クロム膜)
・ガス流量比 Ar:N2:CO2=1:6:1
・パワー:12kW
・ガス圧:3mTorr
(クロム膜)
・ガス流量比 Ar:N2:CO2=12:4:1
・パワー:9kW
・ガス圧:3mTorr
【0166】
次に、この反射膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、反射膜のエッチング、レジスト剥離を行った。
上記のようにして、反射膜付き画素間隔壁を有するカラーフィルタを作製した。
【0167】
5.有機EL素子基板の作製
(TFT基板の作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を用い定法にしたがってTFT基板を作製した。
【0168】
(透明電極層の形成)
TFT基板上に、DCスパッタリング法により膜厚0.4μmのクロム膜を形成し、さらに連続してスパッタリング法により膜厚150nmのITO膜を形成した。次に、このITO膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO膜のエッチングを行って、透明電極層を形成した。その後、クロム膜をパターニングするために、ITO膜およびクロム膜の上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。
【0169】
(絶縁層の形成)
ポリイミド系樹脂(東レ社製、DL1602)を用いて絶縁層形成用塗工液を調製した。この絶縁層形成用塗工液をスピンコート法により背面電極層上に塗布した後、プリベーク(100℃、5分間)を行って、厚み1μmの樹脂膜を形成した。次に、マスク露光、現像、ポストベーク(200℃、30分間)を行って、絶縁層を形成した。
【0170】
(有機EL素子用隔壁の形成)
有機EL素子用隔壁形成用塗工液(日本ゼオン社製、フォトレジスト、ZPN2646)をスピンコート法により絶縁層上に塗布し、プリベーク(100℃、3分間)を行った。その後、所定のフォトマスクを用いて露光し、逆テーパー形成を安定させるためのベーク(100℃、3分間)を行い、現像液(日本ゼオン社製、ZTMA−100)にて現像を行い、ポストベーク(200℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に有機EL素子用隔壁を形成した。この有機EL素子用隔壁は、高さ4μm、下部(絶縁層側)の幅15μm、上部の幅20μmで逆テーパーの形状を有するものであった。
【0171】
(有機EL層の形成)
次いで、上記有機EL素子用隔壁をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、白色発光層、電子注入層からなる有機EL層を形成した。
まず、4,4´,4´´−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを、表示領域に相当する開口部を備えたマスクを介して200nmまで蒸着して成膜し、その後、4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁がマスクとなり、隔壁間のみに正孔注入層の形成材料を通過させて、透明電極層上に正孔注入層を形成した。
同様にして、4,4´−ビス(2,2´−ジフェニルビニル)ビフェニルを40nm厚まで蒸着して成膜した。このとき、同時にルブレン(アルドリッチ(株)製)を少量含有させた。これにより白色発光層を形成した。
その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層を形成した。
【0172】
(対向電極層の形成)
次に、表示領域よりも広い所定の開口部を備えたマスクを介して、真空蒸着法によりマグネシウムと銀とを同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3nm/秒〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。これにより、隔壁がマスクとなって、マグネシウム/銀化合物からなる厚み200nmの対向電極層を有機EL層上に形成した。
【0173】
6.有機EL表示装置の作製
次に、窒素が充填されたグローブボックスにて、接着剤(熱硬化性樹脂組成物:スリーボンド社製20X−325C)を有機EL素子基板全面に定量ディスペンサーにて塗布した。次に、カラーフィルタを有機EL素子基板の接着面に所定の位置に貼り合せ、ホットプレート上にて90℃1時間加熱して接着剤を硬化させ、有機EL表示装置を得た。
【0174】
[実施例2]
下記に示すように反射膜を形成したこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
画素間隔壁用台座部を形成したガラス基板上に銀合金膜を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。銀合金の膜厚は2000Åとした。
<成膜条件>
・ガス流量比 Arのみ
・パワー:30kW
・ガス圧:3mTorr
次に、この銀合金膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、銀合金膜のエッチング、レジスト剥離を行った。
【0175】
[実施例3]
下記に示すように封止隔壁を形成したこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
実施例1において、画素間隔壁用台座部を形成する際に同時に封止隔壁用台座部を形成した。そして、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部を形成したガラス基板上に銀合金膜を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。銀合金の膜厚は2000Åとした。
<成膜条件>
・ガス流量比 Arのみ
・パワー:30kW
・ガス圧:3mTorr
次に、この銀合金膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、銀合金膜のエッチング、レジスト剥離を行って、画素間隔壁用台座部上に反射膜を、封止隔壁用台座部上にバリア膜を同時に形成した。
【0176】
[比較例1]
画素間隔壁用台座部および反射膜を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0177】
[比較例2]
画素間隔壁用台座部上に反射膜を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0178】
[実施例4]
画素間隔壁用台座部を形成する際、プロキシミティ露光するフォトマスクと透明樹脂組成物の塗布膜とのギャップを100μmから300μmに変更したこと以外は、実施例2と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0179】
[評価]
実施例1〜4および比較例1,2のカラーフィルタにおける画素間隔壁の反射率を顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定した。また、画素間隔壁の傾斜角度をタカノ社製原子間力顕微鏡にて測定した。また、画素間隔壁の寸法をキーエンス社製レーザー顕微鏡にて測定した。結果を表1に記す。
【0180】
また、実施例1〜4および比較例1,2の有機EL表示装置を発光させ、200時間経過後の有機EL層の画素収縮およびダークスポット発生を目視評価した。蛍光灯透過光下観察において、画素収縮およびダークスポットがそれぞれ発生したものを×、発生しなかったものを○とした。また、蛍光灯透過光下観察においてダークスポットが発生しなかったものの中で、更に顕微鏡観察においてもダークスポットが発生しなかったものを◎とした。結果を表1に記す。
また、有機EL表示装置を白表示させ、表示ムラの有無を目視評価した。表示ムラが発生したものを×、発生しなかったものを○とした。結果を表1に記す。
また、光学SIMソフト(サイバネット社製Light Tool)を使用し、有機EL表示装置の光取り出し効率をシミュレーションにて算出した。尚、光源はランバート光とした。結果を表1に記す。
【0181】
【表1】
【0182】
表1より、実施例1〜4においては画素収縮、ダークスポット、表示ムラが発生せず、光取り出し効率も上昇することが分かった。さらに、画素間隔壁の傾斜角度が所定の範囲内である実施例1〜3においては光取り出し効率が大幅に上昇することが分かった。
【符号の説明】
【0183】
1 … 有機EL表示装置用対向基板
2 … 透明基板
3 … 画素間隔壁
3a … 画素間隔壁用台座部
3b … 反射膜
4 … 着色層
5 … 遮光部
5a … 遮光膜
6 … 封止隔壁
6a … 封止隔壁用台座部
6b … バリア膜
20 … 有機EL素子基板
30 … 有機EL表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板、および有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す。)表示装置は、自己発色により視認性が高いこと、液晶表示装置と異なり全固体ディスプレイであるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および視野角が大きいことなどの利点が注目されている。
【0003】
一般に、有機EL表示装置の光取り出し効率は20%〜30%程度である。これは、有機EL表示装置を構成する基板やカラーフィルタなどによる光損失が大きいからである。また、有機EL素子の発光は指向性がないため、隣の画素への光漏れが生じ、これも光損失となる。
【0004】
光取り出し効率の向上を目的として、有機EL表示装置に、太陽電池の集光器として用いられる複合法物面集光器(Compound Parabolic Concentrator;CPC)を適用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。CPCは、光を太陽電池に効率良く導くことを目的としたもので、反射面で反射した光が必ず太陽電池面に向かうことを特徴としており、放物面の一部を用いた複合凹面鏡である。
特許文献1には、凹面鏡部の光反射面の形成方法として、2P(Photo-Polymer)複製法が開示されている。具体的には、ガラス基板上に塗布された樹脂組成物をスタンパによって特定形状に成型し、樹脂組成物の表面に光反射率の高い金属反射層を形成し、金属反射層が積層された樹脂組成物の一部を切削することで、凹面鏡部が形成されることが記載されている。
【0005】
また、外光反射による画質低下を防ぐとともに、高輝度を維持することを目的として、有機EL素子の観察側に配置され、外光を吸収する複数の光吸収部を有する光学フィルタが提案されている(例えば特許文献2参照)。この光学フィルタにおいては、光吸収部の断面形状が観察側を短辺、有機EL素子側を長辺とする台形であり、光吸収部の屈折率が光吸収部を囲む外部の屈折率よりも小さいので、有機EL素子から発光される光が光吸収部で全反射する割合を、外光が光吸収部で全反射する割合よりも大きくすることができる。そのため、光吸収部によって外光を効果的に吸収して画質低下を防ぎ、かつ有機EL素子から発光される光を光吸収部によって全反射することができ、高輝度を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−218296号公報
【特許文献2】特開2007−149527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の手法は、有機EL素子にCPC構造の反射鏡を適用した場合に、配光特性の均一さを維持しつつ、配光角度や分布等の制御を行うことによって、有効視覚範囲内の輝度を大幅に向上させることを目的としている。また、特許文献2に記載の手法は、外光反射による画質低下を防ぐことを目的としている。したがって、いずれの手法も、隣の画素への光漏れが生じるという光損失を低減することを目的としたものではない。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、隣の画素に光が出射することによる損失を低減して光取り出し効率を向上させることが可能な有機EL表示装置用対向基板および有機EL表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機EL表示装置用対向基板であって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板を提供する。
【0010】
本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができ、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0011】
上記発明においては、上記透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されていることが好ましい。この場合、上記画素間隔壁が、異なる色の上記着色層間に形成されていることが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、表面に反射膜を有する画素間隔壁が形成されているので、着色層が形成されている場合には隣の画素への光の出射による混色を防ぐことができる。また、有機EL表示装置には一般にカラーフィルタが用いられることが多いことから、本発明の有機EL表示装置用対向基板もカラーフィルタの機能を有することが好ましいのである。
【0012】
また本発明においては、上記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることが好ましい。傾斜角度が上記範囲より小さいと、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、発光層からの発光を効率良く反射することができない可能性があるからである。一方、傾斜角度が上記範囲よりも大きいと、画素間隔壁の表面に反射膜を形成することが困難となる。
【0013】
さらに本発明においては、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように封止隔壁が形成されていてもよい。この場合、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、上記反射膜および上記バリア膜が同一材料からなるものであってもよい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、封止隔壁が形成されていることにより、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができ、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことができる。また、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部が同一材料からなり、反射膜およびバリア膜が同一材料からなるので、画素間隔壁および封止隔壁を同時に形成することができ、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0014】
また本発明においては、上記画素間隔壁が、上記有機EL表示装置用対向基板および上記有機EL素子基板間のギャップを保持する高さを有することが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、画素間隔壁が上記高さを有することにより、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを均一に保持することができ、表示ムラの発生を抑制することができるからである。
【0015】
さらに本発明においては、上記透明基板上に画素を画定する遮光部が形成されていてもよい。この場合、上記画素間隔壁が上記遮光部の一部または全部を兼ねていてもよい。遮光部の形成を簡素化することができるからである。
【0016】
上記の場合、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜が同一材料からなるものであってもよい。反射膜および遮光膜を同時に形成することができ、遮光部の形成を簡素化できるからである。
【0017】
また本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板と、上記有機EL素子基板に対向するように配置された有機EL表示装置用対向基板とを備える有機EL表示装置であって、上記有機EL表示装置用対向基板が、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって発光層からの発光が反射されるので、隣の画素への光の出射を防ぎ、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0019】
上記発明においては、上記有機EL表示装置用対向基板が、上記透明基板上にパターン状に形成された複数色の着色層を有することが好ましい。この場合、上記画素間隔壁が、異なる色の上記着色層間に形成されていることが好ましい。着色層が形成されている場合には、表面に反射膜を有する画素間隔壁によって隣の画素への光の出射による混色を防ぐことができるからである。
【0020】
また本発明においては、上記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることが好ましい。発光層からの発光を効率良く反射することができるからである。
【0021】
さらに本発明においては、上記有機EL表示装置用対向基板が、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁を有していてもよい。この場合、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、上記反射膜および上記バリア膜が同一材料からなるものであってもよい。封止隔壁により、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができ、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことができる。また、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部が同一材料からなり、反射膜およびバリア膜が同一材料からなるので、画素間隔壁および封止隔壁を同時に形成することができ、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0022】
また本発明においては、上記画素間隔壁が、上記有機EL表示装置用対向基板および上記有機EL素子基板間のギャップを保持する高さを有することが好ましい。有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを均一に保持することができ、表示ムラの発生を抑制することができるからである。
【0023】
さらに本発明においては、上記有機EL表示装置用対向基板が、上記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部を有していてもよい。この場合、上記画素間隔壁が上記遮光部の一部または全部を兼ねていてもよい。遮光部の形成を簡素化することができるからである。
【0024】
上記の場合、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜が同一材料からなるものであってもよい。反射膜および遮光膜を同時に形成することができ、遮光部の形成を簡素化できるからである。
【0025】
また本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、上記反射膜および上記バリア膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板の製造方法を提供する。
【0026】
本発明によれば、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、反射膜およびバリア膜を同一材料を用いて同時に形成するので、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【0027】
さらに本発明は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機EL表示装置用対向基板の製造方法を提供する。
【0028】
本発明によれば、反射膜および遮光膜を同一材料を用いて同時に形成するので、製造工程を簡素化し、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有機EL表示装置用対向基板は、有機EL表示装置に用いられた場合に、表面に反射膜を有する画素間隔壁が形成されていることにより発光層からの発光が反射されるので、隣の画素への光の出射による損失を低減し、光取り出し効率を向上させることが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の有機EL表示装置用対向基板の一例を示す概略平面図および断面図である。
【図2】本発明の有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図および断面図である。
【図4】本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図および断面図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の有機EL表示装置用対向基板における画素間隔壁の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【図11】本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の他の例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の有機EL表示装置用対向基板、有機EL表示装置、および有機EL表示装置用対向基板の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
A.有機EL表示装置用対向基板
まず、本発明の有機EL表示装置用対向基板について説明する。
本発明の有機EL表示装置用対向基板は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置される有機EL表示装置用対向基板であって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とするものである。
【0033】
本発明の有機EL表示装置用対向基板について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の有機EL表示装置用対向基板の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示するように、有機EL表示装置用対向基板1は、透明基板2と、透明基板2上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁3とを有している。この画素間隔壁3は、画素間隔壁用台座部3aと、画素間隔壁用台座部3aを覆うように形成された反射膜3bとを有している。
【0034】
図2は、図1(a)、(b)に例示する有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合の一例を示す概略断面図である。有機EL表示装置用対向基板1は、上述したとおりである。一方、有機EL素子基板20は、基板21と、基板21上にパターン状に形成された背面電極層22、背面電極層22の開口部に形成された絶縁層23、背面電極層22上に形成され、赤色発光層24G、緑色発光層24Gおよび青色発光層24Bの3色の発光層から構成される発光層24、および発光層24上に形成された透明電極層25を有する有機EL素子26と、有機EL素子26を覆うように形成されたガスバリア層27とを有している。そして、有機EL表示装置30においては、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが対向するように配置され、シール剤32によって貼り合わされている。
【0035】
このような有機EL表示装置においては、有機EL表示装置用対向基板を構成する画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって、発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0036】
また、上記有機EL表示装置においては、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを保持することができる。したがって、例えば有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に硬化性樹脂が充填されている場合には、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に硬化性樹脂組成物を封入して硬化させるまでの間、基板がたわむのを抑制し、ギャップを均一に保持することが可能である。硬化性樹脂組成物が硬化するまでの間にギャップが不均一になると、硬化性樹脂組成物の硬化後はギャップが固定されるため、ギャップが不均一な有機EL表示装置が得られてしまう。これは、有機EL表示装置が大面積になるほど顕著になる。さらに、例えば有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に不活性ガスや不活性液体などの剛性を有さないものが充填されている場合には、有機EL表示装置の製造過程だけでなく使用時においても、ギャップを均一に保持することができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、表示ムラの発生を抑制することが可能である。
【0037】
さらに、画素間隔壁は表面に反射膜が形成されており、この反射膜は通常、金属膜を含むので、シール剤を通り抜けた水蒸気や酸素等の透過を防ぐことができる。したがって、有機EL表示装置においては、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、水分や酸素による有機EL層の劣化を抑制することが可能である。これにより、有機EL層の経時的な劣化を抑えることができる。
【0038】
また、画素間隔壁が形成されていることにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合には、強度を高めることもできる。
【0039】
図3(a)は本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図、図3(c)は図3(a)のC−C線断面図である。図3(a)〜(c)に例示するように、有機EL表示装置用対向基板1は、透明基板2と、透明基板2上にパターン状に形成され、赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bの3色の着色層から構成される着色層4と、透明基板2上に形成され、画素間に配置され、画素間隔壁用台座部3aおよび画素間隔壁用台座部3aを覆うように形成された反射膜3bを有する画素間隔壁3と、透明基板2上に形成され、画素を画定する遮光部5とを有している。赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bはそれぞれ、画素に対応して配置されており、画素間隔壁3は異なる色の着色層間に配置されている。また、遮光部5は、透明基板2上に形成された画素間隔壁3と、透明基板2上に形成された遮光膜5aとを有している。
【0040】
図4は、図3(a)〜(c)に例示する有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合の一例を示す概略断面図である。有機EL表示装置用対向基板1は、上述したとおりである。一方、有機EL素子基板20は、基板21と、基板21上にパターン状に形成された背面電極層22、背面電極層22の開口部に形成された絶縁層23、背面電極層22上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層28、および有機EL層28上に形成された透明電極層25を有する有機EL素子26と、有機EL素子26を覆うように形成されたガスバリア層27とを有している。そして、有機EL表示装置30においては、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが対向するように配置され、シール剤32によって貼り合わされている。
【0041】
このような有機EL表示装置においても、有機EL表示装置用対向基板を構成する画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって、有機EL層中の発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、光取り出し効率を向上させることが可能である。また、透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されている場合には、隣の画素に光が出射して混色が生じるのを防ぐこともできる。
【0042】
図5(a)は本発明の有機EL表示装置用対向基板の他の例を示す概略平面図であり、図5(b)は図5(a)のD−D線断面図である。図5(a)、(b)に例示するように、有機EL表示装置用対向基板1は、透明基板2と、透明基板2上に形成され、画素を画定する遮光部5と、透明基板2上にパターン状に形成され、遮光部5の開口部に配置され、赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bの3色の着色層から構成される着色層4と、遮光部5上に形成され、画素間に配置され、画素間隔壁用台座部3aおよび画素間隔壁用台座部3aを覆うように形成された反射膜3bを有する画素間隔壁3と、透明基板2上の非表示領域12に表示領域11を囲むように形成された封止隔壁6とを有している。この封止隔壁6は、ガスバリア性を有し、封止隔壁用台座部6aと、封止隔壁用台座部6aを覆うように形成されたバリア膜6bとを有している。また、赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bはそれぞれ、画素に対応して配置されており、画素間隔壁3は異なる色の着色層間に配置されている。
【0043】
図6は、図5(a)、(b)に例示する有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合の一例を示す概略断面図である。有機EL表示装置用対向基板1は、上述したとおりである。一方、有機EL素子基板20は、基板21と、基板21上にパターン状に形成された背面電極層22、背面電極層22の開口部に形成された絶縁層23、背面電極層22上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層28、および有機EL層28上に形成された透明電極層25を有する有機EL素子26と、有機EL素子26を覆うように形成されたガスバリア層27とを有している。そして、有機EL表示装置30においては、有機EL表示装置用対向基板1の封止隔壁6の外周にシール剤32が形成され、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが対向するように配置され、シール剤32によって貼り合わされている。このとき、封止隔壁6が有機EL素子基板20の基板21と接するように、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが貼り合わされる。
【0044】
このような有機EL表示装置においても、有機EL表示装置用対向基板を構成する画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって、有機EL層中の発光層からの発光が反射されるので、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、本発明の有機EL表示装置用対向基板を用いることにより、光取り出し効率を向上させることが可能である。
また、上記有機EL表示装置においては、ガスバリア性を有する封止隔壁が形成されていることにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際に、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができる。したがって、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことが可能である。
【0045】
以下、本発明の有機EL表示装置用対向基板における各構成について説明する。
【0046】
1.画素間隔壁
本発明における画素間隔壁は、透明基板上に形成され、画素間に配置されるものであり、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有するものである。
【0047】
画素間隔壁の形成位置としては、画素間であれば特に限定されるものではない。
なお、「画素」とは、画像を構成する最小単位である。例えば赤・緑・青の3個の副画素で1個の画素が構成されている場合、本発明においては1個の副画素を画素という。
「画素間」とは画素と画素との間を意味する。
中でも、画素間隔壁は異なる色の画素間に配置されていることが好ましい。例えば、図2に示すように3色の発光層(赤色発光層24R、緑色発光層24G、青色発光層24B)が形成されている場合には、異なる色の発光層間に画素間隔壁3が配置されていることが好ましい。また例えば、図4および図6に示すように3色の着色層(赤色着色層4R、緑色着色層4G、青色着色層4B)が形成されている場合には、異なる色の着色層間に画素間隔壁3が配置されていることが好ましい。この場合には、隣の画素に光が出射することにより混色を防ぐことができる。
【0048】
また、画素間隔壁は画素間に配置されていればよく、その形成位置としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能であれば特に限定されるものではない。例えば、図1(a)に示すように画素間隔壁3が画素の四辺を囲むように形成されていてもよく、図3(a)および図5(a)に示すように画素間隔壁3が画素の四辺のうち向かい合う二辺に沿って形成されていてもよい。また、画素間隔壁が画素の四辺のうち向かい合う二辺に沿って形成されている場合、図3(a)に例示するように画素間隔壁3が一方向に連続して形成されていてもよく、図5(a)に例示するように画素間隔壁3が一方向に不連続に形成されていてもよい。画素間隔壁が画素の四辺を囲むように形成されている場合には、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、有機EL表示装置の外周から中心に向かって水分や酸素に対するガスバリア性を高めることができる。また、画素間隔壁が画素の四辺のうち向かい合う二辺に沿って形成されている場合には、画素間隔壁の形成が容易である。
【0049】
画素間隔壁の断面形状としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能な形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形、台形等とすることができる。中でも、画素間隔壁の断面形状は、透明基板側を長辺とする台形であることが好ましい。
この場合、画素間隔壁の傾斜角度は、45°〜90°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは60°〜90°の範囲内、さらに好ましくは75°〜90°の範囲内である。画素間隔壁の傾斜角度が上記範囲であることにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を効率的に反射することができるからである。傾斜角度が上記範囲より小さいと、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、発光層からの発光を効率良く反射することができない可能性がある。一方、傾斜角度が上記範囲よりも大きいと、画素間隔壁の表面に反射膜を形成することが困難となる。
なお、画素間隔壁の傾斜角度とは、図7に例示するような透明基板2表面と画素間隔壁3とのなす角度θをいう。傾斜角度は、タカノ株式会社製原子間力顕微鏡(AFM)を用いて3次元形状を計測することで、測定することができる。
【0050】
画素間隔壁の高さとしては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能な高さであれば特に限定されるものではなく、本発明の有機EL表示装置用対向基板の構成や、有機EL素子基板の構成等に応じて適宜選択される。中でも、画素間隔壁の高さは、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と貼り合わせた際に、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持することができる高さであることが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、表示ムラの発生を抑制することができるからである。具体的に、画素間隔壁の高さは、1μm〜8μm程度とすることができる。
【0051】
画素間隔壁の線幅としては、画素間隔壁を画素間に配置することができる程度であれば特に限定されるものではないが、中でも上述したように有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持することができる程度であることが好ましく、画素間の幅や、目的とする有機EL表示装置の大きさなどに応じて適宜選択される。具体的に、画素間隔壁の線幅は、10μm〜100μm程度とすることができる。画素間隔壁の線幅が狭すぎるものは形成が困難であり、画素間隔壁の線幅が上記範囲を超えると開口率が小さくなる場合があるからである。
【0052】
画素間隔壁は、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有する。以下、画素間隔壁を構成する画素間隔壁用台座部および反射膜に分けて説明する。
【0053】
(1)画素間隔壁用台座部
本発明における画素間隔壁用台座部は、透明基板上に形成されるものである。
画素間隔壁用台座部に用いられる材料としては、所望の画素間隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではない。画素間隔壁用台座部に用いられる材料は、ガスバリア性を有していてもよく、ガスバリア性を有さなくてもよい。画素間隔壁用台座部がガスバリア性を有する場合には、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際、画素間隔壁によって、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の透過を効果的に防ぐことができる。
【0054】
画素間隔壁用台座部に用いられるガスバリア性を有する材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの有機材料が挙げられる。また、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの有機材料に無機材料であるシリカなどを含有させた有機無機ハイブリッド材料も好適に用いられる。
一方、画素間隔壁用台座部に用いられるガスバリア性を有しない材料としては、例えば、感光性アクリル樹脂、感光性ポリイミド、ポジレジスト、カルド樹脂、ポリシロキサン、ベンゾシクロブテン等が挙げられる。
【0055】
また、画素間隔壁用台座部は、遮光性を有していてもよい。画素間隔壁用台座部が遮光性を有することにより、画素を画定する遮光部としての機能を有することができるからである。例えば、ブラックレジストを用いて遮光性を有する画素間隔壁用台座部を形成することができる。
【0056】
さらに、画素間隔壁用台座部3aは、図8に例示するように、透明基板2と一体に形成されていてもよい。このような画素間隔壁用台座部は、ガラス基板を加工することにより形成することができる。この場合、透明基板および画素間隔壁用台座部がガラス製となるので、ガスバリア性に優れたものとすることができる。
【0057】
画素間隔壁用台座部の高さとしては、画素間隔壁用台座部上に後述する反射膜を形成した際に、上述した画素間隔壁の高さと同様となる高さであればよい。
また、画素間隔壁用台座部の線幅および断面形状としては、画素間隔壁用台座部上に後述する反射膜を形成した際に、上述した画素間隔壁の線幅および断面形状と同様となるような線幅および断面形状であればよい。
【0058】
画素間隔壁用台座部の形成方法としては、所望の画素間隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィー法、印刷法等が挙げられる。また、上述したように、ガラス基板を加工する方法も用いることができる。
【0059】
(2)反射膜
本発明に用いられる反射膜は、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成されるものである。
【0060】
反射膜の反射率としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を反射して光取り出し効率を向上させることができれば特に限定されるものではないが、具体的には、50%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上である。反射膜の反射率の上限値としては特に限定されるものではないが、通常、100%とされる。
なお、反射率は、顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて校正用アルミ基板を100%とした際の反射スペクトルとして測定することができる。
【0061】
反射膜は、通常、ガスバリア性を有する。これにより、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際、画素間隔壁によって、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の透過を抑制することができる。
【0062】
また、反射膜は遮光性を有していてもよい。反射膜が遮光性を有することにより、画素間隔壁が画素を画定する遮光部としての機能を有することができるからである。
【0063】
反射膜に用いられる材料としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することが可能であり、上記反射率を満たすものであれば特に限定されるものではない。このような反射膜としては、アルミニウム膜、銀膜、スズ膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜などの金属膜が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、反射膜が遮光性を有する場合には、金属膜と金属化合物膜とを積層することが好ましい。金属化合物膜としては、酸化クロム膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜、酸化インジウム合金膜などの金属酸化物膜や、窒化クロム膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜などの金属窒化物膜が挙げられる。例えば、画素間隔壁用台座部側から順に、酸化クロム膜と窒化クロム膜とクロム膜とを積層することで、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を反射し、外光を反射しにくい反射膜を得ることができる。
【0064】
反射膜の膜厚としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に発光層からの発光を反射することができる程度であれば特に限定されるものではないが、具体的には、20nm〜10000nmの範囲内、中でも50nm〜8000nmの範囲内、特に100nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。反射膜の膜厚が上記範囲に満たないと十分な反射率が得られない場合があり、反射膜の膜厚が上記範囲を超えると、製膜に時間がかかりすぎコスト面で問題となったり、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際に反射膜に割れを生じたりするからである。
【0065】
反射膜の形成方法としては、例えば化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、レーザーアブレーション法等が挙げられる。このうち、有機EL表示装置用対向基板の生産性を考慮すると、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく、さらには、スパッタリング法を用いることがより好ましい。スパッタリング法を用いることにより、高生産性で、品質安定性に優れた反射膜を形成することができるからである。また、反射膜のパターニング方法としては、例えば、フォトエッチング法、メタルマスクを用いる方法を挙げることができる。
【0066】
2.着色層
本発明においては、透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されていることが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、表面に反射膜を有する画素間隔壁が形成されているので、着色層が形成されている場合に隣の画素への光の出射による混色を防ぐことができるからである。また、白色発光層を有する有機EL表示装置には、通常、カラーフィルタが用いられ、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層等の複数色の発光層を有する有機EL表示装置には、色純度の向上のためにカラーフィルタが用いられるので、本発明の有機EL表示装置用対向基板もカラーフィルタの機能を有することが好ましいのである。
【0067】
着色層は、一般に、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層の3色の着色層から構成される。各色の着色層は画素に対応して配置される。着色層のパターンは、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
【0068】
着色層の材料については、公知のカラーフィルタの着色層に用いられる材料を使用することができる。
着色層の形成方法としては、カラーフィルタにおける一般的な着色層の形成方法と同様とすることができ、例えばフォトリソグラフィー法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。
【0069】
3.封止隔壁
本発明においては、透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように、ガスバリア性を有する封止隔壁が形成されていてもよい。本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合、ガスバリア性を有する封止隔壁が形成されていることにより、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができ、有機EL層の経時的な劣化を防ぐことができるからである。
【0070】
なお、「表示領域」とは、すべての画素を含む領域をいう。例えば図5(a)、(b)に示す有機EL表示装置用対向基板1においては、画素間隔壁3が形成されている領域は表示領域11となる。また、「非表示領域」とは、表示領域を囲む領域をいう。例えば図5(a)、(b)に示す有機EL表示装置用対向基板1においては、表示領域11を囲む領域が非表示領域12となる。
【0071】
封止隔壁は、本発明の有機EL表示装置用対向基板に有機EL素子基板を対向させて貼り合わせた際に、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間の気密性を保持できる高さを有することが好ましい。本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際、封止隔壁によって、シール剤を通り抜けた水分、酸素等の浸入を防ぐことができるからである。
【0072】
封止隔壁の高さとしては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と対向させて貼り合わせた際に、気密性を保持できる程度であれば特に限定されるものではない。通常、封止隔壁の高さは、有機EL表示装置用対向基板の透明基板と有機EL素子基板の基板との間の距離(以下、基板間距離と称する場合がある。)と同等もしくは大きく形成される。本発明においては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板を貼り合わせる際に圧力を加え隔壁を有機EL素子基板に圧着させることにより気密性を保持するため、基板間距離よりも封止隔壁の高さが低い場合は気密性を保つことができないからである。
【0073】
封止隔壁の高さと基板間距離との差(隔壁の高さ−基板間距離)としては、0μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0μm〜8μmの範囲内、特に0μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
また、封止隔壁の高さとしては、有機EL表示装置用対向基板の種類によって適宜調整されるものであるが、1μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、中でも3μm〜10μmの範囲内、特に5μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。封止隔壁の高さが上記範囲に満たない場合、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板の間の気密性を保つことが困難であり、封止隔壁の高さが上記範囲を超える場合、圧力をかけても基板間距離より大きくなってしまうからである。
【0074】
本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせる際には、通常、図6に例示するように、封止隔壁6が有機EL素子基板20の基板21と接するように、有機EL表示装置用対向基板1と有機EL素子基板20とが貼り合わされる。
【0075】
封止隔壁としては、好ましくは所定の高さを有しかつガスバリア性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、図5(b)に示すように、封止隔壁6が、封止隔壁用台座部6aと、封止隔壁用台座部6aを覆うよう形成されたバリア膜6dとを有するものであってもよく(以下、第1態様とする。)、また図示しないが、封止隔壁がガスバリア性を有する材料のみからなるものであってもよい(以下、第2態様とする。)。以下、それぞれの態様に分けて説明する。
【0076】
(1)第1態様
本態様の封止隔壁は、封止隔壁用台座部と、封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有するものである。本態様の封止隔壁は、封止隔壁用台座部がバリア膜で覆われていることで、より高いガスバリア性を有することができる。
【0077】
封止隔壁は、封止隔壁用台座部とバリア膜とを有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも、封止隔壁用台座部および画素間隔壁用台座部が同一材料からなり、バリア膜および反射膜が同一材料からなることが好ましい。封止隔壁用台座部および画素間隔壁用台座部を同時に形成し、バリア膜および反射膜を同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができるからである。
以下、封止隔壁用台座部およびバリア膜についてそれぞれ説明する。
【0078】
(i)隔壁用台座部
本態様の封止隔壁に用いられる封止隔壁用台座部は、透明基板上に形成されるものである。
【0079】
封止隔壁用台座部に用いられる材料としては、同一材料からなる封止隔壁用台座部および画素間隔壁用台座部を形成することができ、所望の封止隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではない。封止隔壁用台座部に用いられる材料は、ガスバリア性を有していてもよく、ガスバリア性を有さなくてもよい。
なお、封止隔壁用台座部に用いられる材料については、上記画素間隔壁用台座部に用いられる材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0080】
また、封止隔壁用台座部は、遮光性を有していてもよい。封止隔壁用台座部が遮光性を有することにより、表示領域と非表示領域とを画定する周縁遮光部としての機能を有することができるからである。例えば、ブラックレジストを用いて遮光性を有する封止隔壁用台座部を形成することができる。
【0081】
封止隔壁用台座部の高さとしては、封止隔壁用台座部上に後述するバリア膜を形成した際に、上述した封止隔壁の高さと同様となる高さであればよい。
また、封止隔壁用台座部の線幅および断面形状としては、封止隔壁用台座部上に後述するバリア膜を形成した際に、後述する封止隔壁の線幅および断面形状と同様となるような線幅および断面形状であればよい。
【0082】
封止隔壁用台座部の形成方法としては、所望の封止隔壁用台座部を形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィー法、印刷法等が挙げられる。
【0083】
(ii)バリア膜
本態様の封止隔壁に用いられるバリア膜は、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成され、ガスバリア性を有するものである。
【0084】
バリア膜に用いられる材料は、ガスバリア性を有する材料であれば特に限定されるものではない。このようなバリア膜としては、通常、無機酸化膜、無機酸化窒化膜、無機窒化膜、または金属膜のいずれか1種または2種以上を組み合わせたものを使用することができる。無機酸化膜としては、酸化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化チタン膜、酸化スズ膜、酸化インジウム合金膜が挙げられる。また、無機酸化窒化膜としては、酸化窒化ケイ素膜が挙げられ、無機窒化膜としては、窒化ケイ素膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜が挙げられる。さらに、金属膜としては、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜、チタン膜が挙げられる。
【0085】
また、バリア膜および反射膜が同一材料からなる場合、バリア膜に用いられる材料は、上記反射膜に用いられる材料と同様である。
【0086】
バリア膜の膜厚としては、形成された封止隔壁がガスバリア性を有するのであれば特に限定されるものではないが、20nm〜10000nmの範囲内、中でも50nm〜8000nmの範囲内、特に100nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。バリア膜の膜厚が上記範囲に満たない場合、封止隔壁に十分なガスバリア性を付与できない可能性があり、バリア膜の膜厚が上記範囲を超える場合、製膜に時間がかかりすぎコスト面で問題となったり、本発明の有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板とを貼り合わせた際にバリア膜に割れを生じたりするからである。
【0087】
バリア膜の形成方法としては、例えば化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、レーザーアブレーション法等が挙げられる。このうち、有機EL表示装置用対向基板の生産性を考慮すると、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく、さらには、スパッタリング法を用いることがより好ましい。スパッタリング法を用いることにより、高生産性で、品質安定性に優れたバリア膜を形成することができるからである。また、バリア膜のパターニング方法としては、例えば、フォトエッチング法、メタルマスクを用いる方法を挙げることができる。
【0088】
(iii)封止隔壁
本態様の封止隔壁は、上述した封止隔壁用台座部およびバリア膜を有するものである。
【0089】
封止隔壁の線幅としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と貼り合わせた際に、気密性を有することができる線幅であれば、特に限定されるものではないが、5μm〜500μmの範囲内、中でも10μm〜400μmの範囲内、特に30μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。封止隔壁の線幅が上記範囲に満たない場合、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と圧着させても気密性を保持することが困難になる可能性があり、封止隔壁の線幅が上記範囲を超える場合、表示領域に封止隔壁が形成されてしまうおそれがあるからである。
【0090】
封止隔壁の断面形状としては、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL表示装置に用いた場合に気密性を保持できる形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形、台形等とすることができる。
【0091】
封止隔壁の形成位置としては、非表示領域であれば特に限定されるものではない。
【0092】
本態様においては、図9(a)、(b)に例示するように、封止隔壁6が複数(図9(a)、(b)中では2個)形成されていてもよい。封止隔壁が複数形成されていることで、より高いガスバリア性を有することができるからである。なお、図9(b)は図9(a)のE−E線断面図である。
封止隔壁が複数形成されている場合、封止隔壁の数は2個〜10個の範囲内であることが好ましく、中でも2個であることが好ましい。封止隔壁の数が上記範囲を超える場合、表示領域に封止隔壁が形成されてしまうおそれがある。
【0093】
封止隔壁上面には、接着層が設けられていてもよい。有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板を固定することができるからである。また、気密性を向上させることができるからである。
【0094】
(2)第2態様
本態様の封止隔壁は、ガスバリア性を有する材料のみからなるものである。
【0095】
封止隔壁に用いられる材料としては、ガスバリア性を有し、所望の隔壁を形成することができれば特に限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの有機材料が用いられる。また、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの有機材料に、無機材料であるシリカなどを含有させた有機無機ハイブリッド材料も好適に用いられる。
【0096】
なお、封止隔壁の線幅、断面形状、および形成位置については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0097】
本態様においては、封止隔壁が複数形成されていてもよい。封止隔壁が複数形成されていることで、より高いガスバリア性を有することができるからである。なお、封止隔壁の数については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
封止隔壁上面には、接着層が設けられていてもよい。有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板を固定することができるからである。また、気密性を向上させることができるからである。
【0099】
本態様の封止隔壁の形成方法としては、所望の封止隔壁を形成することができれば特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィー法、印刷法等が挙げられる。
【0100】
4.スペーサ
本発明においては、透明基板上にスペーサが形成されていてもよい。スペーサは、画素間に配置されるものであり、本発明の有機EL表示装置用対向基板を有機EL素子基板と対向させて貼り合わせた際に、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持するために設けられるものである。上記画素間隔壁が、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持する高さを有さない場合には、スペーサが形成されていることが好ましい。
【0101】
スペーサは、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板間のギャップを保持することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スペーサ用台座部とスペーサ用台座部を覆うように形成された反射膜とを有していてもよく、単一の部材で構成されていてもよい。スペーサがスペーサ用台座部と反射膜とを有する場合、中でも、スペーサ用台座部および画素間隔壁用台座部が同一材料からなり、スペーサを構成する反射膜および画素間隔壁を構成する反射膜が同一材料からなることが好ましい。スペーサ用台座部および画素間隔壁用台座部を同時に形成し、スペーサおよび画素間隔壁の反射膜を同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができるからである。
【0102】
スペーサに用いられる材料としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができれば特に限定されるものではなく、上記のスペーサの構成に応じて適宜選択される。スペーサがスペーサ用台座部と反射膜とを有する場合、スペーサ用台座部に用いられる材料としては上記画素間隔壁用台座部に用いられる材料と同様とすることができ、スペーサを構成する反射膜に用いられる材料としては上記画素間隔壁を構成する反射膜に用いられる材料と同様することができる。また、スペーサが単一の部材で構成されている場合、スペーサに用いられる材料としては上記画素間隔壁用台座部に用いられる材料と同様とすることができる。
【0103】
スペーサの高さとしては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる程度であれば特に限定されるものではなく、本発明の有機EL表示装置用対向基板の構成や有機EL素子基板の構成等に応じて適宜調整される。通常、スペーサは封止隔壁よりも低く形成される。具体的に、スペーサの高さは、1μm〜8μm程度とすることができる。
【0104】
また、スペーサがスペーサ用台座部と反射膜とを有する場合、スペーサを構成する反射膜の膜厚としては、上記画素間隔壁を構成する反射膜の膜厚と同様とすることができる。
【0105】
スペーサの幅としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる程度であれば特に限定されるものではなく、画素間の幅や目的とする有機EL表示装置の大きさに応じて適宜選択される。具体的に、スペーサの幅は、スペーサの横断面形状が円形である場合、10μmφ〜100μmφ程度とすることができる。
【0106】
スペーサの縦断面形状としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、矩形、台形とすることができる。
【0107】
スペーサの密度としては、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板のギャップを保持することができる程度であれば特に限定されるものではなく、目的とする有機EL表示装置の大きさに応じて適宜選択される。
【0108】
スペーサの形成位置としては、画素間であり、画素間隔壁が形成されていない領域であれば特に限定されるものではない。
【0109】
有機EL表示装置用対向基板に用いられるスペーサは、液晶表示装置に用いられるスペーサのような高い精度を必要としない。よって、本発明においては、上述のように、スペーサの高さ、幅、密度、配置などは任意であり特に限定されないのである。
【0110】
スペーサの形成方法は、所望のスペーサを形成することができれば特に限定されるものではなく、スペーサの構成や材料に応じて適宜選択される。なお、スペーサの形成方法については、上記画素間隔壁の形成方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
5.遮光部
本発明においては、透明基板上に画素を画定する遮光部が形成されていてもよい。
この場合、図3(a)〜(c)に例示するように画素間隔壁3が遮光部5の一部を兼ねていてもよく、図9(a)、(b)に例示するように画素間隔壁3が遮光部5の全部を兼ねていてもよく、図5(a)、(b)に例示するように遮光部5および画素間隔壁3が別々に形成されていてもよい。
【0112】
画素間隔壁が遮光部の一部または全部を兼ねている場合、遮光膜の形成を簡素化することができる。
画素間隔壁が遮光部の一部を兼ねている場合には、中でも、図3(a)〜(c)に例示するように、遮光部5が、透明基板2上に形成された画素間隔壁3と、透明基板2上に形成された遮光膜5aとを有し、反射膜3bおよび遮光膜5aが同一材料からなることが好ましい。反射膜および遮光膜を同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができるからである。この場合、反射膜は遮光性を有するものとなる。
また、画素間隔壁が遮光部の全部を兼ねている場合には、画素間隔壁用台座部および反射膜の少なくともいずれか一方は遮光性を有するものとなる。
【0113】
遮光部および画素間隔壁が別々に形成されている場合、通常、図5(a)、(b)に例示するように遮光部5上に画素間隔壁3が形成される。
【0114】
遮光部に用いられる材料としては、遮光部の構成に応じて適宜選択される。遮光部が画素間隔壁と遮光膜とを有し、遮光膜および反射膜が同一材料からなる場合、画素間隔壁および遮光膜に用いられる材料は、上記画素間隔壁の項に記載した材料と同様とすることができる。一方、遮光部および画素間隔壁が別々に形成されている場合、遮光部に用いられる材料としては、一般的なカラーフィルタの遮光部に用いられるものと同様とすることができる。
【0115】
また、遮光部の形成方法としては、遮光部の構成に応じて適宜選択される。遮光部が画素間隔壁と遮光膜とを有し、遮光膜および反射膜が同一材料からなる場合、画素間隔壁および遮光膜の形成方法は、上記画素間隔壁の項に記載した方法と同様とすることができる。一方、遮光部および画素間隔壁が別々に形成されている場合、遮光部に用いられる材料としては、一般的なカラーフィルタの遮光部の形成方法と同様とすることができる。
【0116】
6.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、上述の画素間隔壁、着色層、封止隔壁、スペーサ、遮光部等を形成可能であり、可視光に対して透明な基板であれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタに一般的に用いられる透明基板と同様とすることができる。
具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。
【0117】
7.用途
本発明の有機EL表示装置用対向基板は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置されるものであり、具体的には、トップエミッション型の有機EL素子を有する有機EL素子基板と貼り合わされることが好ましい。
なお、有機EL表示装置用対向基板と対向させる有機EL素子基板については、後述の「B.有機EL表示装置」の項に詳しく記載するのでここでの説明は省略する。
【0118】
また、本発明の有機EL表示装置用対向基板は、ギャップを均一に保持することができることから、大面積の有機EL表示装置に好適に用いられる。本発明の有機EL表示装置用対向基板が適用される有機EL表示装置の大きさとしては、10インチ〜100インチの範囲内であることが好ましい。
【0119】
B.有機EL表示装置
次に、本発明の有機EL表示装置について説明する。
本発明の有機EL表示装置は、有機EL素子を有する有機EL素子基板と、上記有機EL素子基板に対向するように配置された有機EL表示装置用対向基板とを備える有機EL表示装置であって、上記有機EL表示装置用対向基板が、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とするものである。すなわち、本発明の有機EL表示装置は、上述の有機EL表示装置用対向基板と、有機EL素子を有する有機EL素子基板とを備えるものである。
【0120】
本発明の有機EL表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図2、図4および図6はそれぞれ、本発明の有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。図2、図4および図6に示すように、有機EL表示装置30は、有機EL表示装置用対向基板1と、有機EL素子基板20と、有機EL表示装置用対向基板1の外周に形成され、有機EL素子を封止するシール剤32とを備えている。通常、有機EL表示装置用対向基板1および有機EL素子基板20の間には、充填材(図示なし)が封入される。なお、図2、図4および図6にそれぞれ示す有機EL表示装置用対向基板1および有機EL素子基板20については、上記「A.有機EL表示装置用対向基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0121】
本発明によれば、上述の有機EL表示装置用対向基板を用いるので、画素間隔壁の表面に形成されている反射膜によって発光層からの発光が反射されるため、隣の画素に光が出射するのを防ぐことができる。したがって、光取り出し効率を向上させることが可能である。
【0122】
また、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間のギャップを均一に保持することができる。したがって、例えば充填材が硬化性樹脂である場合には、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に硬化性樹脂組成物を封入して硬化させるまでの間、基板がたわむのを抑制し、ギャップを均一に保持することが可能である。一方、充填材が不活性ガスや不活性液体などの剛性を有さないものである場合には、有機EL表示装置の製造過程だけでなく使用時においても、ギャップを均一に保持することができる。したがって、表示ムラの発生を抑制することが可能である。
【0123】
さらに、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、シール剤を通り抜けた水蒸気や酸素等の透過を防ぐことができ、経時安定性に優れた有機EL表示装置とすることができる。
【0124】
また、有機EL表示装置用対向基板に画素間隔壁が形成されていることにより、強度を高めることもできる。
【0125】
なお、有機EL表示装置用対向基板については、上記「A.有機EL表示装置用対向基板」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の有機EL表示装置の他の構成について説明する。
【0126】
1.有機EL素子基板
本発明に用いられる有機EL素子基板は、有機EL素子を有するものである。
有機EL素子基板は、有機EL素子を有するものであればよく、例えば、基板と、基板上にパターン状に形成された背面電極層、背面電極層の開口部に形成された絶縁層、背面電極層上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層、有機EL層上に形成された透明電極層を有する有機EL素子とを備えることができる。
以下、有機EL素子基板の各構成について説明する。
【0127】
(1)基板
有機EL素子基板に用いられる基板としては、後述する有機EL素子等を支持することができるものであればよく、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
本発明においては、有機EL表示装置用対向基板側から光が取り出されるため、基板は透明であっても不透明であってもよい。
【0128】
(2)有機EL素子
有機EL素子は、背面電極層および透明電極層と、背面電極層および透明電極層の間に形成され、少なくとも有機発光層を含む有機EL層とを有するものである。
【0129】
(i)有機EL層
有機EL層は、少なくとも有機発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものであり、通常、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などを有する。
【0130】
(ii)透明電極層および背面電極層
透明電極層は、透明電極層と背面電極層との間に挟まれた有機EL層に電圧をかけ、発光層で発光を起こさせるために設けられるものである。また、発光層で発生した光を、有機EL表示装置用対向基板側に透過させるものである。この透明電極層は、有機EL層と有機EL表示装置用対向基板との間に配置される。
また、背面電極層は、有機EL層と基板との間に配置される。背面電極層は、有機EL層を発光させるための他方の電極をなすものであり、透明電極層と反対の電荷をもつ電極である。
このような透明電極層および背面電極層としては、発光層に所望の発光をさせることができるものであればよく、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0131】
(iii)絶縁層
絶縁層は、透明電極層と背面電極層とが直接接触することを防ぐために形成されるものである。
このような絶縁層としては、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0132】
(3)TFT
有機EL素子基板には、図示しないが、TFTが形成されていてもよい。
TFTとしては、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0133】
2.シール剤
本発明に用いられるシール剤は、有機EL表示装置用対向基板および有機EL素子基板の周縁部に形成され、有機EL素子を封止するものである。
このようなシール剤の構成材料としては、有機EL素子が大気中の水分等と接触するのを抑制することができるものであればよく、有機EL表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0134】
3.充填材
本発明に用いられる充填材は、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間に封入されるものである。
【0135】
充填材としては、一般的な有機EL表示装置に用いられる充填材と同様とすることができ、剛性を有していてもよく有さなくてもよい。剛性を有する充填材としては、硬化性樹脂を例示することができる。一方、剛性を有さない充填材としては、不活性ガス、不活性液体を例示することができる。
【0136】
硬化性樹脂としては、一般的な充填材であれば特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂のいずれも用いることができる。具体的には、アクリレート系オリゴマー、メタクリレート系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)接着剤を挙げることができる。
【0137】
また、不活性ガスとしては、一般的な充填材であれば特に限定されるものではなく、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスを用いることができる。
さらに、不活性液体としては、一般的な充填材であれば特に限定されるものではなく、例えば、フッ化炭化水素溶液(住友スリーエム社製:商品名フロリナート)を用いることができる。
【0138】
充填材の封入方法としては、一般的な方法を採用することができ、充填材の種類に応じて適宜選択される。例えば充填材が硬化性樹脂である場合、有機EL素子基板および有機EL表示装置用対向基板を対向させて配置した後、樹脂組成物を両基板の間に注入する方法や、有機EL素子基板上または有機EL表示装置用対向基板上に樹脂組成物を塗布した後、硬化させる方法を挙げることができる。
【0139】
また、有機EL表示装置用対向基板と有機EL素子基板との間には充填材とともに乾燥剤が配置されていてもよい。これにより、有機EL素子が水分等によって劣化するのをより一層効果的に防ぐことができる。乾燥剤としては、一般的に有機EL表示装置に用いられる乾燥剤と同様とすることができる。
【0140】
4.その他の部材
本発明の有機EL表示装置は、必要に応じて他の構成を有していてもよい。他の構成としては、例えば、発光層からの発光を吸収し、可視光領域蛍光を発する色変換層を挙げることができる。以下、色変換層について説明する。
【0141】
(色変換層)
本発明に用いられる色変換層は、発光層からの光を吸収し、可視光領域蛍光を発する蛍光材料を含有する層であり、発光層からの光を青色、赤色または緑色とするものである。
色変換層の構成は、適用する有機EL表示装置の発光層に応じて適宜選択されるものである。例えば青色発光層の場合、色変換層は、赤色の蛍光を発光する赤色変換層、緑色の蛍光を発光する緑色変換層、および青色発光層からの光をそのまま透過する透過部を有する。
【0142】
色変換層の形成位置としては、発光層上であればよく、透明電極層上や、本発明の有機EL表示装置用対向基板の着色層上とすることができる。
【0143】
色変換層の膜厚としては、発光層からの光を十分に吸収して蛍光を発することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、使用する蛍光色素、蛍光色素の濃度等を考慮して適宜設定される。
【0144】
各色変換層は、画素に対応して規則的に配列される。色変換層のパターンの配列としては、各色変換層が巨視的に見て平均的に配列されていれば特に限定されるものではなく、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
【0145】
色変換層は、通常、発光層からの光を吸収し、蛍光を発光する蛍光色素とマトリクス樹脂とを含有するものである。
蛍光色素は、発光層から発せられる近紫外領域または可視領域の光、特に青色または青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。上記発光層が青色発光層である場合は、蛍光色素としては、例えば赤色領域の蛍光を発する蛍光色素および緑色領域の蛍光を発する蛍光色素が用いられる。
【0146】
C.有機EL表示装置用対向基板の製造方法
次に、本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法について説明する。本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法は、2つの態様を有する。
【0147】
本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一の態様は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、上記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、上記画素間隔壁用台座部および上記封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、上記反射膜および上記バリア膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とするものである。
【0148】
図10(a)〜(d)は、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、反射膜およびバリア膜を同一材料を用いて同時に形成する場合の本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図10(a)に示すように、着色層4(4R,4G,4B)が形成された透明基板2上に、透明なネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂層41を形成する。次いで、図10(b)に示すように、透明基板51上に遮光膜52および半透明膜53が形成されており、遮光領域と半透過領域と透過領域とを有する階調マスクを用いて、感光性樹脂層41に紫外光55を照射し、その後、現像する。このようにして、図10(c)に示すように、同一材料からなる画素間隔壁用台座部3aおよび封止隔壁用台座部6aを同時に形成することができる。次に、図10(d)に示すように、画素間隔壁用台座部3aおよび封止隔壁用台座部6aの上からマスクを介して金属材料を蒸着して、同一材料からなる反射膜3bおよびバリア膜6bを同時に形成することができる。
【0149】
また、本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の他の態様は、有機EL素子を有する有機EL素子基板に対向するように配置され、透明基板と、上記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、上記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部とを有する有機EL表示装置用対向基板の製造方法であって、上記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、上記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、上記遮光部が、上記透明基板上に形成された上記画素間隔壁と、上記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、上記反射膜および上記遮光膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とするものである。
【0150】
図11(a)〜(c)は、反射膜および遮光膜を同一材料を用いて同時に形成する場合の本発明の有機EL表示装置用対向基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図11(a)に示す着色層4(4R,4G,4B)が形成された透明基板2上に、図示しないが、透明なネガ型感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂層を形成し、マスクを介して感光性樹脂層に紫外光を照射し、現像して、図11(b)に示すように画素間隔壁用台座部3aを形成する。次に、図11(c)に示すように、画素間隔壁用台座部3aの上からマスクを介して金属材料を蒸着して、同一材料からなる反射膜3bおよび遮光膜5aを同時に形成することができる。
【0151】
いずれの本態様においても、有機EL表示装置用対向基板を、少ない工程数で、かつ低コストで製造することが可能である。
【0152】
なお、各構成部材およびそれらの形成方法については、上記「A.有機EL表示装置用対向基板」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0153】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0154】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.基板準備
透明基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この透明基板を定法にしたがって洗浄した後、ネガ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN-83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像して焼成して、ブラックマトリックスを形成した。
【0155】
2.着色層の形成
次に、下記組成の赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0156】
<赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0157】
<青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0158】
<緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0159】
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
ここで、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたものである。
【0160】
次いで、上記透明基板上に遮光部を覆うように赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色着色層用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色着色層を形成した。
青色着色層および緑色着色層も同様に形成した。
【0161】
3.画素間隔壁用台座部の形成
次に、上記の着色層を形成したガラス基板上に、下記の透明樹脂組成物をスピンコート法により塗布した。
【0162】
<透明樹脂組成物の組成>
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 32重量部
・エピコート180S70(ジャパンエポキシレジン(株)製) 18重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 42重量部
・開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907) 8重量部
・3−メトキシブチルアセテート(メトアセと記す) 300重量部
【0163】
次に、1×10−2Torr程度の真空度で減圧乾燥し、90℃でプリベークした後、透明樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離に所定のフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用い、所定の位置に露光した。次いで、0.05%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、塗布膜の未硬化部分のみを除去して画素間隔壁用台座部を形成した。
【0164】
4.反射膜の形成
次に、上記の画素間隔壁用台座部を形成したガラス基板上に反射膜を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。反射膜は酸化クロム膜500Å、窒化クロム膜400Å、クロム膜1100Åの積層とし合計膜厚を2000Åとした。
【0165】
<成膜条件>
(酸化クロム膜)
・ガス流量比 Ar:N2:CO2=3:1:15
・パワー:15kW
・ガス圧:3mTorr
(窒化クロム膜)
・ガス流量比 Ar:N2:CO2=1:6:1
・パワー:12kW
・ガス圧:3mTorr
(クロム膜)
・ガス流量比 Ar:N2:CO2=12:4:1
・パワー:9kW
・ガス圧:3mTorr
【0166】
次に、この反射膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、反射膜のエッチング、レジスト剥離を行った。
上記のようにして、反射膜付き画素間隔壁を有するカラーフィルタを作製した。
【0167】
5.有機EL素子基板の作製
(TFT基板の作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を用い定法にしたがってTFT基板を作製した。
【0168】
(透明電極層の形成)
TFT基板上に、DCスパッタリング法により膜厚0.4μmのクロム膜を形成し、さらに連続してスパッタリング法により膜厚150nmのITO膜を形成した。次に、このITO膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO膜のエッチングを行って、透明電極層を形成した。その後、クロム膜をパターニングするために、ITO膜およびクロム膜の上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。
【0169】
(絶縁層の形成)
ポリイミド系樹脂(東レ社製、DL1602)を用いて絶縁層形成用塗工液を調製した。この絶縁層形成用塗工液をスピンコート法により背面電極層上に塗布した後、プリベーク(100℃、5分間)を行って、厚み1μmの樹脂膜を形成した。次に、マスク露光、現像、ポストベーク(200℃、30分間)を行って、絶縁層を形成した。
【0170】
(有機EL素子用隔壁の形成)
有機EL素子用隔壁形成用塗工液(日本ゼオン社製、フォトレジスト、ZPN2646)をスピンコート法により絶縁層上に塗布し、プリベーク(100℃、3分間)を行った。その後、所定のフォトマスクを用いて露光し、逆テーパー形成を安定させるためのベーク(100℃、3分間)を行い、現像液(日本ゼオン社製、ZTMA−100)にて現像を行い、ポストベーク(200℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に有機EL素子用隔壁を形成した。この有機EL素子用隔壁は、高さ4μm、下部(絶縁層側)の幅15μm、上部の幅20μmで逆テーパーの形状を有するものであった。
【0171】
(有機EL層の形成)
次いで、上記有機EL素子用隔壁をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、白色発光層、電子注入層からなる有機EL層を形成した。
まず、4,4´,4´´−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを、表示領域に相当する開口部を備えたマスクを介して200nmまで蒸着して成膜し、その後、4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁がマスクとなり、隔壁間のみに正孔注入層の形成材料を通過させて、透明電極層上に正孔注入層を形成した。
同様にして、4,4´−ビス(2,2´−ジフェニルビニル)ビフェニルを40nm厚まで蒸着して成膜した。このとき、同時にルブレン(アルドリッチ(株)製)を少量含有させた。これにより白色発光層を形成した。
その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層を形成した。
【0172】
(対向電極層の形成)
次に、表示領域よりも広い所定の開口部を備えたマスクを介して、真空蒸着法によりマグネシウムと銀とを同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3nm/秒〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。これにより、隔壁がマスクとなって、マグネシウム/銀化合物からなる厚み200nmの対向電極層を有機EL層上に形成した。
【0173】
6.有機EL表示装置の作製
次に、窒素が充填されたグローブボックスにて、接着剤(熱硬化性樹脂組成物:スリーボンド社製20X−325C)を有機EL素子基板全面に定量ディスペンサーにて塗布した。次に、カラーフィルタを有機EL素子基板の接着面に所定の位置に貼り合せ、ホットプレート上にて90℃1時間加熱して接着剤を硬化させ、有機EL表示装置を得た。
【0174】
[実施例2]
下記に示すように反射膜を形成したこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
画素間隔壁用台座部を形成したガラス基板上に銀合金膜を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。銀合金の膜厚は2000Åとした。
<成膜条件>
・ガス流量比 Arのみ
・パワー:30kW
・ガス圧:3mTorr
次に、この銀合金膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、銀合金膜のエッチング、レジスト剥離を行った。
【0175】
[実施例3]
下記に示すように封止隔壁を形成したこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
実施例1において、画素間隔壁用台座部を形成する際に同時に封止隔壁用台座部を形成した。そして、画素間隔壁用台座部および封止隔壁用台座部を形成したガラス基板上に銀合金膜を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。銀合金の膜厚は2000Åとした。
<成膜条件>
・ガス流量比 Arのみ
・パワー:30kW
・ガス圧:3mTorr
次に、この銀合金膜上の全面に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、銀合金膜のエッチング、レジスト剥離を行って、画素間隔壁用台座部上に反射膜を、封止隔壁用台座部上にバリア膜を同時に形成した。
【0176】
[比較例1]
画素間隔壁用台座部および反射膜を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0177】
[比較例2]
画素間隔壁用台座部上に反射膜を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0178】
[実施例4]
画素間隔壁用台座部を形成する際、プロキシミティ露光するフォトマスクと透明樹脂組成物の塗布膜とのギャップを100μmから300μmに変更したこと以外は、実施例2と同様に有機EL表示装置を作製した。
【0179】
[評価]
実施例1〜4および比較例1,2のカラーフィルタにおける画素間隔壁の反射率を顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定した。また、画素間隔壁の傾斜角度をタカノ社製原子間力顕微鏡にて測定した。また、画素間隔壁の寸法をキーエンス社製レーザー顕微鏡にて測定した。結果を表1に記す。
【0180】
また、実施例1〜4および比較例1,2の有機EL表示装置を発光させ、200時間経過後の有機EL層の画素収縮およびダークスポット発生を目視評価した。蛍光灯透過光下観察において、画素収縮およびダークスポットがそれぞれ発生したものを×、発生しなかったものを○とした。また、蛍光灯透過光下観察においてダークスポットが発生しなかったものの中で、更に顕微鏡観察においてもダークスポットが発生しなかったものを◎とした。結果を表1に記す。
また、有機EL表示装置を白表示させ、表示ムラの有無を目視評価した。表示ムラが発生したものを×、発生しなかったものを○とした。結果を表1に記す。
また、光学SIMソフト(サイバネット社製Light Tool)を使用し、有機EL表示装置の光取り出し効率をシミュレーションにて算出した。尚、光源はランバート光とした。結果を表1に記す。
【0181】
【表1】
【0182】
表1より、実施例1〜4においては画素収縮、ダークスポット、表示ムラが発生せず、光取り出し効率も上昇することが分かった。さらに、画素間隔壁の傾斜角度が所定の範囲内である実施例1〜3においては光取り出し効率が大幅に上昇することが分かった。
【符号の説明】
【0183】
1 … 有機EL表示装置用対向基板
2 … 透明基板
3 … 画素間隔壁
3a … 画素間隔壁用台座部
3b … 反射膜
4 … 着色層
5 … 遮光部
5a … 遮光膜
6 … 封止隔壁
6a … 封止隔壁用台座部
6b … バリア膜
20 … 有機EL素子基板
30 … 有機EL表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置される有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板であって、
透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項2】
前記透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項3】
前記画素間隔壁が、異なる色の前記着色層間に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項4】
前記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項5】
前記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように封止隔壁が形成され、前記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、前記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、前記画素間隔壁用台座部および前記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、前記反射膜および前記バリア膜が同一材料からなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項6】
前記画素間隔壁が、前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板および前記有機エレクトロルミネッセンス素子基板間のギャップを保持する高さを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項7】
前記透明基板上に画素を画定する遮光部が形成され、前記画素間隔壁が前記遮光部の一部または全部を兼ねていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項8】
前記遮光部が、前記透明基板上に形成された前記画素間隔壁と、前記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、前記反射膜および前記遮光膜が同一材料からなることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項9】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板とを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項10】
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、前記透明基板上にパターン状に形成された複数色の着色層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項11】
前記画素間隔壁が、異なる色の前記着色層間に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項12】
前記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることを特徴とする請求項9から請求項11までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項13】
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、前記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁を有し、前記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、前記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、前記画素間隔壁用台座部および前記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、前記反射膜および前記バリア膜が同一材料からなることを特徴とする請求項9から請求項12までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項14】
前記画素間隔壁が、前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板および前記有機エレクトロルミネッセンス素子基板間のギャップを保持する高さを有することを特徴とする請求項9から請求項13までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、前記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部を有し、前記画素間隔壁が前記遮光部の一部または全部を兼ねていることを特徴とする請求項9から請求項14までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項16】
前記遮光部が、前記透明基板上に形成された前記画素間隔壁と、前記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、前記反射膜および前記遮光膜が同一材料からなることを特徴とする請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項17】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置され、透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、前記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法であって、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、前記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、前記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、前記画素間隔壁用台座部および前記封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、前記反射膜および前記バリア膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法。
【請求項18】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置され、透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、前記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法であって、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、前記遮光部が、前記透明基板上に形成された前記画素間隔壁と、前記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、前記反射膜および前記遮光膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法。
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置される有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板であって、
透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項2】
前記透明基板上に複数色の着色層がパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項3】
前記画素間隔壁が、異なる色の前記着色層間に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項4】
前記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項5】
前記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように封止隔壁が形成され、前記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、前記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、前記画素間隔壁用台座部および前記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、前記反射膜および前記バリア膜が同一材料からなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項6】
前記画素間隔壁が、前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板および前記有機エレクトロルミネッセンス素子基板間のギャップを保持する高さを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項7】
前記透明基板上に画素を画定する遮光部が形成され、前記画素間隔壁が前記遮光部の一部または全部を兼ねていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項8】
前記遮光部が、前記透明基板上に形成された前記画素間隔壁と、前記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、前記反射膜および前記遮光膜が同一材料からなることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板。
【請求項9】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板とを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁とを有し、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項10】
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、前記透明基板上にパターン状に形成された複数色の着色層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項11】
前記画素間隔壁が、異なる色の前記着色層間に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項12】
前記画素間隔壁の傾斜角度が45°〜90°の範囲内であることを特徴とする請求項9から請求項11までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項13】
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、前記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁を有し、前記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、前記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、前記画素間隔壁用台座部および前記封止隔壁用台座部が同一材料からなり、前記反射膜および前記バリア膜が同一材料からなることを特徴とする請求項9から請求項12までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項14】
前記画素間隔壁が、前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板および前記有機エレクトロルミネッセンス素子基板間のギャップを保持する高さを有することを特徴とする請求項9から請求項13までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板が、前記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部を有し、前記画素間隔壁が前記遮光部の一部または全部を兼ねていることを特徴とする請求項9から請求項14までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項16】
前記遮光部が、前記透明基板上に形成された前記画素間隔壁と、前記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、前記反射膜および前記遮光膜が同一材料からなることを特徴とする請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項17】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置され、透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、前記透明基板上の非表示領域に表示領域を囲むように形成された封止隔壁とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法であって、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、前記封止隔壁が、封止隔壁用台座部と、前記封止隔壁用台座部を覆うように形成されたバリア膜とを有し、前記画素間隔壁用台座部および前記封止隔壁用台座部を同一材料を用いて同時に形成し、前記反射膜および前記バリア膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法。
【請求項18】
有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子基板に対向するように配置され、透明基板と、前記透明基板上に形成され、画素間に配置された画素間隔壁と、前記透明基板上に形成され、画素を画定する遮光部とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法であって、
前記画素間隔壁が、画素間隔壁用台座部と、前記画素間隔壁用台座部を覆うように形成された反射膜とを有し、前記遮光部が、前記透明基板上に形成された前記画素間隔壁と、前記透明基板上に形成された遮光膜とを有し、前記反射膜および前記遮光膜を同一材料を用いて同時に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用対向基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−124103(P2012−124103A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275726(P2010−275726)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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