説明

有機シラン化合物の製造方法

【課題】トリハロシラン化合物およびハロゲン化アルコキシシラン化合物のハロシラン化合物の合成において、従来のケイ素と炭素の直接結合から上記のハロシラン化合物を合成する経路では複数のアルキル鎖の置換が生じたり、ハロシラン化合物の高い反応性のために副反応が起こったり、導入できるアルキル鎖等の構造が制限されたりするなどの可能性があった。こういった問題点を解消し、反応性の高い官能基などを含むより広範囲の構造の上記ハロシラン化合物の調製を可能にする方法を提供する。
【解決手段】所望の側鎖を有するハロシラン化合物を合成するために、Si-C結合反応により直接ハロシラン化合物を合成するのではなく、まずはハロシラン化合物よりも反応性が低く、安定なトリアルコキシシラン化合物に所望の側鎖を組み込み、トリアルコキシシラン化合物から温和な条件でハロゲン置換反応を行ない、目的のトリハロシラン化合物を効率よく得ることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Si-C結合を有するトリハロシラン化合物および少なくとも1つのSi-C結合を有するハロゲン化アルコキシシラン化合物の製造方法に関し、ハロゲンの脱離反応性が高いトリハロシラン化合物およびハロゲン化アルコキシシラン化合物の反応前駆体として、前記化合物より安定なトリアルコキシシラン化合物を合成し、該トリアルコキシシラン化合物を用いて温和な反応条件でハロゲン置換反応を行ない、高機能性膜材料として有用であるハロゲンを含み、少なくとも1つのSi-C結合を含む有機シラン化合物を容易に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能性分子の精密設計は、様々な分野において多様な使用目的や用途に適した材料を実現するために欠かせない技術である。デバイス分野でも、商品の小型化、高機能化に伴って、ナノサイズで分子の集合状態や構造を制御した上での高機能性材料の創製が不可欠である。特に、有用な機能膜の開発には、ボトムアップ構築を実現することが可能な、機能性分子の設計や合成というものがますます重要視されている。
【0003】
なかでも、近年は、半導体材料として一般的な無機材料に対して、多様な機能を有する様々な有機材料を用いた半導体の研究開発が、盛んに行なわれている。現在まで無機材料は、その特性を活かしてあらゆる電気材料に使われてきたが、更なる高機能化を目指す上で、自在にその特性を変化させることは容易ではない。
一方、有機材料は、分子設計次第で分子固有の特性から集合状態まで変化・制御させることが可能であり、所望の機能実現を合理的に行なえる。また、製造上加工がしやすく、また量産によるコスト削減を実現できる可能性も高い。
【0004】
有機材料を用いて均一性や結晶性の高い膜を製膜する上で、有機分子の自己組織化あるいは自己集積化を利用することが、一つの手段として注目されている。シリコン基板などへの自己組織化膜材料として代表的な化合物として、シラン化合物がよく知られている。シラン化合物では、ケイ素のシランカップリングや末端官能基と基板との結合により、自己組織化を担う部分と有機官能基による機能性を担う部分があり、特に有機官能基部分の性質は、膜全体の機能性制御に重要な役割を持ち、目的に応じた多種多様な構造を導入することにより、所望の機能性膜を実現することが期待できる。
【0005】
実際に用いられるシラン化合物の膜材料の一つとして、末端にケイ素と結合したハロゲン原子をもつ有機ハロシラン化合物が挙げられる。
有機ハロシラン化合物の一般的な製造方法としては、ハロシラン、アルコキシシランとグリニャール試薬やリチウム試薬との反応や、不飽和結合を含む化合物へのヒドロシランの付加による反応などが広く用いられている。例えば、有機トリクロロシラン化合物の合成の場合、アルキルリチウムとテトラクロロシランとの反応や、グリニャール試薬とテトラクロロシランとの反応による合成が最も一般的である(非特許文献1、2、3)。
さらに、アルコキシシランとハロゲン化シランの置換基交換を利用したハロゲン化アルコキシシラン化合物の製造方法(特許文献1)が知られている。
【非特許文献1】Chem. Lett., 2247, (1987)
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 70, 484(1948)
【非特許文献3】Tetrahedron Lett., 26, 5511(1985)
【特許文献1】特開平5-310751号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記方法の実施において、テトラクロロシランとの反応は段階的にアルキル化が進むため、トリクロロシラン化合物だけでなくジクロロシラン化合物やモノクロロシラン化合物といった複数のアルキル鎖が結合した反応中間体も、副生成物として生じる。特に、直鎖上のアルキル鎖の場合は、複数置換体の生成の可能性が高い。グリニャール試薬やリチウム試薬を調整することで、ほぼ完全にハロゲン化されたトリハロシランの合成、あるいは部分的にハロゲン化されたアルキルクロロシランの合成の制御は可能ではあるが、多くの場合、有機クロロシランの混合物になるので、精密蒸留などによって分離しなければならない。
さらに、アルコキシシランとハロゲン化シランの置換基交換を利用したハロゲン化アルコキシシラン化合物の製造方法は、アルコキシシランとハロゲン化シランのそれぞれの四置換体を基本とした反応であるため、アルキル鎖を持つハロゲン化アルコキシシラン化合物を効率よく得るには最良の方法とは言えない。
【0007】
また、トリハロシラン化合物は反応性が高く不安定なため、取り扱いに注意を要する。特に、水分の存在により、ハロゲン原子のヒドロキシル基への置換を経て縮合するといった阻害反応も起こりやすい。したがって、トリハロシラン化合物を直接Si-C結合の形成反応で合成するときや、前記のような方法で嵩高い側鎖、反応性が高い側鎖を導入するときの反応は、ある程度制限された条件の範囲内で行なわなければならず、得られるトリハロシラン化合物の構造にも制限が生じる。しかし、大きなπ電子共役系を有するポリチオフェン誘導体やポリアセン誘導体などを含む多様な側鎖をできるだけ自由に導入することは、高い特性を持つ機能性膜材料の創製には不可欠であり、できる限り副反応を起こさずに安定してトリハロシラン化合物を合成できる反応方法の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、下記一般式[1]:
R1-Si(OR2)3 [1]
(式中、R1は炭素数1〜30の分岐していてもよい炭化水素化合物、単環芳香族炭化水素化合物、縮合多環芳香族炭化水素化合物、単環複素環化合物、縮合多環複素環化合物および任意に選択された前記化合物が2〜10個結合した化合物から選択される有機残基、R2は炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基である)で表されるトリアルコキシシラン化合物にルイス酸ハロゲン化剤を反応させることで、トリアルコキシ基を直接ハロゲン置換させて、下記一般式[2]:
R1-SiXn(OR2)3-n [2]
(式中、R1、R2は上記と同じ、Xはハロゲン原子であり、nは1、2または3である)で表される有機シラン化合物を得ることを特徴とする有機シラン化合物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、トリアルコキシシラン化合物から温和な反応条件で、トリハロシラン化合物の合成が可能になる。それにより、従来はトリハロシラン化合物中の高いハロゲンの脱離反応性に基づく反応条件の制限により導入できなかった主鎖構造でも、トリアルコキシシラン化合物を経ることによって、新たなトリハロシラン化合物の合成が可能となる。多様な主鎖構造を有するトリハロシラン化合物の合成の実現により、機能性を重視した膜の設計を行なうことができる。また、副生成物の少ない効率的なトリハロシラン化合物の合成により、収率を高めることによって生産性を上げ、製造コストの減少を達成できる。
【0010】
また、トリハロシラン化合物の合成と同様の反応で、トリアルコキシシラン化合物を部分的にハロゲン化することによるハロゲン化アルコキシシラン化合物の選択的な合成によって、低コストでハロゲン化アルコキシシラン化合物を生産できる。さらに、例えば基板などの基質の表面修飾に利用した場合に、同じ主鎖構造を持っているトリアルコキシシラン化合物に対して、分子間距離や結合の強さ、分子の集合状態などに変化を与えることができ、化学的なアプローチでも膜構造や特性の制御を行なうことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に用いる式[1]中の有機側鎖R1は、炭素数1〜30の分岐していてもよい炭化水素化合物、単環芳香族炭化水素化合物、縮合多環芳香族炭化水素化合物、単環複素環化合物、縮合多環複素環化合物および任意に選択された前記化合物が2〜10個結合した化合物から選択される化合物の有機残基から構成されるユニットである。
炭素数1〜30の分岐していてもよい炭化水素化合物は、炭素―炭素間の多重結合を含んでいても構わない。その中でも、炭素数は3〜30が好ましい。
単環芳香族炭化水素化合物としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、フタル酸等が挙げられる。中でも、ベンゼンが特に好ましい。
縮合多環芳香族炭化水素化合物は縮合環の縮合数は2〜6個であることが、収率やコスト、生産性などを考えると好ましい。具体的な例としては、アズレン、フルオレン、ピレン、アセン系縮合多環化合物(好ましくは、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン等の縮合数2〜6個までのアセン系縮合多環化合物)等の化合物が挙げられる。
単環複素環化合物としてはフラン、ピロール、チオフェン、ピリジン、ピリミジン等が挙げられる。中でも、チオフェンが特に好ましい。
縮合多環複素環化合物は縮合環の縮合数は2〜6個であることが、収率やコスト、生産性などを考えると好ましい。具体的な例としては、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン等の化合物が挙げられる。
上記化合物から任意に選択された化合物が2〜10個結合した化合物中の好ましい例は、それぞれの有機残基において、単環および縮合多環の芳香族炭化水素化合物からなる芳香族炭化水素化合物または単環および縮合多環の複素環化合物からなる複素環化合物が2〜10個結合した化合物であり、その中でも、連結個数は2〜8個が好ましく、さらに2〜6個であることが、収率やコスト、生産性などを考えるとより好ましく、そして任意に選択された化合物がベンゼンやチオフェンに由来の有機残基が合成例や応用例が多い。また、これらの有機残基において、互いの環が結合する位置は、その構造で安定して存在できるならば位置は問わず、例えば分岐状に結合していても構わないが、その有機残基を有するシリコン化合物の機能膜への応用を考えると、直鎖状に結合した有機残基が特に有効である。
単環の芳香族炭化水素化合物および単環の複素環化合物が直鎖状に2個以上結合したR1の例として、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、クィンケフェニル、ヘキシフェニル、ビチオフェニル、ターチオフェニル、クォーターチオフェニル、クィンケチオフェニル、ヘキシチオフェニルや前記化合物の一部置換した基が挙げられる。
【0012】
また、縮合多環芳香族炭化水素化合物および縮合多環複素環化合物からなる縮合環化合物が連結したその縮合環の結合数は2〜10個、中でも2個か3個であることが好ましい。
R1の有機残基を形成する、上記の1〜30の分岐していてもよい炭化水素化合物、単環芳香族炭化水素化合物、縮合多環芳香族炭化水素化合物、単環複素環化合物、縮合多環複素環化合物から任意に選択された化合物が2〜10個結合した化合物は、任意に選択された同じまたは異なった化合物が結合していても構わない。
上記の化合物によって構成される有機残基の水素原子は、様々な官能基で置換されたものでもよい。官能基としてはF、Cl、Br、Iのハロゲン原子やヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられ、その有機残基に上記官能基を効果的に導入したシリコン化合物を用いることにより、分子および集積体として導電性、光応答性、親疎水性などの機能を制御することが可能であるが、製膜への応用用途を考える場合には自己集積化を阻害しないためにもあまり嵩高くない官能基の置換が好ましい。
【0013】
本発明に用いる式[1]中のR2の炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル等が挙げられ、それらの中でもメチル基またはエチル基が好ましい。
【0014】
式[1]のトリアルコキシシラン化合物の合成には、一般的なシラン化合物の合成手法を用いることが可能である。最も一般的な方法としてはグリニャール試薬やリチウム試薬を調製して、アルコキシシラン化合物と反応させることによって、トリアルコキシシラン化合物を得る方法である。反応温度は、-100〜150℃が好ましく、より好ましくは-20〜100℃である。反応時間も反応物の種類により異なるが5分から48時間程度である。通常は、無水状態の窒素雰囲気下で、無水有機溶媒中で行なう。有機溶媒は反応に対して不活性なもので、例えば、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独で又は混合液として用いることができる。
【0015】
式[1]のトリアルコキシシラン化合物のハロゲン置換反応にはルイス酸ハロゲン化剤が用いられる。本発明のルイス酸ハロゲン化剤はルイス酸中にハロゲン原子を含む化合物であり、その中でも、好ましくは塩素原子を含むもの(BCl3、AlCl3、TiCl4、SnCl4、SOCl2など)または臭素原子を含むもの(例えばBBr3など)、より好ましくは塩素原子を含むもの、さらに好ましくはBCl3、AlCl3またはTiCl4である。
式[2]のXのハロゲン原子は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、その中でも、塩素がより好ましい。
今回の合成経路では、特にルイス酸ハロゲン化剤の種類・量の選択が定量的に反応が進行するか否かに重要であり、目的生成物への反応率や収率に影響を及ぼし得る。汎用性の点でトリクロロシラン化合物を得る塩素置換反応において、AlCl3、TiCl4などの強いルイス酸性のものよりは弱い、BCl3などの適度な強さのルイス酸が望ましい。なぜならば、ルイス酸性があまり強すぎるとカチオンが生成するなどの副反応が起こりやすくなり、反応性、収率が低下し得る場合があるからである。よって、段階的な反応を完全に進行させるためには反応性があまり高すぎないルイス酸を選択した方がよい。仕込み量は3当量以下では1段階目もしくは2段階目までの置換反応でほぼ止まってしまうので、より高収率でトリハロシラン化合物を得るためには反応度に応じて3〜6当量のルイス酸を用いることが好ましい。
【0016】
以上に挙げたような必要となるトリアルコキシシラン化合物およびルイス酸を調製・準備した上で、反応プロセスは無水条件の窒素雰囲気下で行なうのが好ましい。まず、反応容器内に上記のルイス酸溶液をトリアルコキシシラン化合物1当量に対して3当量以上仕込む。そこに式[1]のトリアルコキシシラン化合物を加えたのち、反応を進行させるために撹拌しながら加熱する。反応温度は30〜150℃まで昇温して、1〜10数時間程度反応させることによって目的のトリハロシラン化合物を得ることができる。上記反応完了後、常圧蒸留、減圧蒸留によって反応生成物の単離および精製を行うのが好ましい。反応および蒸留時の温度設定を高くし過ぎると反応物や生成物の分解や縮合を引き起こし、収率低下の一因となる可能性があるため、必要以上に温度が上がらないように注意をしたほうがよい。
【0017】
一方、仕込むルイス酸の当量数や種類を調整することによって、上記一般式[1]の3つのアルコキシ基を部分的に置換反応させたハロゲン化アルコキシシラン化合物を得ることができる。具体的には、トリハロシラン化合物の反応のときに用いたルイス酸よりも強いルイス酸であるTiCl4、AlCl3などを用いて、反応温度を前記反応条件よりも低めの0〜50℃とすることで、一段階もしくは二段階までの置換反応で止めることができ、ハロゲン化アルコキシシラン化合物を得ることができる。また、ルイス酸の当量数を3当量以下にしてもハロゲン化アルコキシシラン化合物を得ることができるが、一部はトリハロシラン化合物も同時に生成したり、未反応のトリアルコキシシラン化合物の割合が増えたりして、全体の収率が低下することがある。
【0018】
以上のようにして得られた有機シラン化合物は、下記一般式[2]:
R1-SiXn(OR2)3-n [2]
(式中、R1、Xおよびnは、上記と同じである)
で表されるもので、上記一般式[1]のアルコキシ基がハロゲン原子によって置換されたものである。得られた有機シラン化合物は、高い反応活性を有するので、取り扱いは窒素など不活性ガス中で行い、湿気の影響を除去することが好ましい。
【実施例】
【0019】
下記のスペクトルデータは、次の条件で測定された。
1HNMRは日本電子社製JNM−AL300を用い、磁場300MHz、溶媒CDCl3で測定し、値はδで表わした。
13CNMRは日本電子社製JNM−AL300を用い、磁場75MHz、溶媒CDCl3デ測定し、値はδで表わした。
赤外吸収スペクトルは日本分光社製FT/IR−4100を用い、溶液法により測定した。
【0020】
実施例1: フェニルトリエトキシシランのクロロ置換反応によるフェニルトリクロロシランの合成
500mLの4つ口フラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けて、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに1NのBCl3ジクロロメタン溶液66mLを仕込んだ。前記溶液を0〜10℃に冷却させた後、常温でフェニルトリエトキシシラン4.81g(20mmol)を30分かけて滴下させた。滴下終了後、溶液温度を30〜35℃に昇温して15時間撹拌し続けることで反応を進行させた。反応終了後に、ガスクロマトグラフィー(GC)(島津製作所社製、キャリアガスHe、FIDで検出)によって分析したところ、90%以上の反応率であることを確認した。得られた反応溶液を常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、沸点82〜83℃/25mmHgの留分として、目的の生成物フェニルトリクロロシラン(12.3mmol)を収率61.6%で得た。蒸留精製物は無色透明の液体であり、1HNMRによって試薬標品と同様のスペクトルを示し99%以上の純度であることを確認した。
7.8〜7.9ppm(m, 2H)、7.3〜7.6ppm(m, 3H)
尚、ブロモベンゼンからマグネシウムグリニャール試薬を調製し、テトラクロロシランとの反応からフェニルトリクロロシランを合成し、単離精製を行なった場合の収率は54%であり、本方法によって収率を向上することができた。
【0021】
実施例2: 2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリエトキシシランのクロロ置換反応による2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリクロロシランの合成
まず、500mLの4つ口フラスコに2,2':5',2''-ターチオフェン50mmolを加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けてフラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに四塩化炭素(300mL)を加えて撹拌・溶解させた。溶解後、NBS(50mmol)、AIBN(2mmol)を加えて、約2.5時間撹拌した後に減圧濾過により5-ブロモ-2,2':5',2''-ターチオフェン(40mmol)を得た。続いて、別の500mLの4つ口フラスコに金属マグネシウム50mmolを加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けたのち、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところにTHF300mLを加えた。前記フラスコ容器に合成で得られた5-ブロモ-2,2':5',2''-ターチオフェン30mmolを50〜60℃で2時間かけてゆっくりと滴下させた。滴下終了後、65℃で約2時間撹拌して反応させることで、2,2':5',2''-ターチオフェンのグリニャール試薬を調製した。この溶液にクロロトリエトキシシラン30mmolを加えて60℃で2時間撹拌することにより反応を進行させた。得られた溶液は減圧濾過により不溶固形物を除去した後、常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリエトキシシラン(18mmol)を60%の収率で得た。得られた化合物について、赤外吸収スペクトルを測定したところ、1080cm-1にSi-C結合由来の吸収が観測された。また、1HNMRによって測定を行なったところ、下記のピークが得られ、以上より2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリエトキシシランであることを確認した。
7.0〜7.5ppm(m, 7H)、3.8〜4.0ppm(m, 6H)、1.2〜1.3ppm(m, 9H)
【0022】
次に、500mLの4つ口フラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けて、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに1NのBCl3ジクロロメタン溶液66mLを仕込んだ。前記溶液を0〜10℃に冷却させた後、常温で2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリエトキシシラン10mmolを30分かけて滴下させた。滴下終了後、溶液温度を50〜55℃に昇温して20時間撹拌し続けることで反応を進行させた。反応終了後に、ガスクロマトグラフィー(GC)(島津製作所社製、キャリアガスHe、FIDで検出)によって分析したところ、90%以上の反応率であることを確認した。得られた反応溶液を常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、目的の生成物2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリクロロシラン(6.6mmol)を収率約66%で得た。得られた化合物は反応性が高く、定量的な確認は直接的には難しいが、単離精製前による確認とエタノールと反応させると速やかに塩化水素と思われる気体の発生が確認できたことから、ハロゲン置換反応が進行し標記の化合物が得られたことが確認できた。
尚、5-ブロモ-2,2':5',2''-ターチオフェンからマグネシウムグリニャール試薬を調製し、テトラクロロシランとの反応から2,2':5',2''-ターチオフェンー5-イル-トリクロロシランを合成した場合の収率は52%であり、本方法によって収率を向上することができた。
【0023】
実施例3: 2-ペンタセントリエトキシシランのクロロ置換反応による2-ペンタセントリクロロシランの合成
まず、500mLの4つ口フラスコにペンタセン50mmolを加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けてフラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに四塩化炭素200mLを加えて撹拌・溶解させた。溶解後、NBS(50mmol)、AIBN(1mmol)を加えて、約2時間撹拌した後、不溶固形物を減圧濾過により除去した後にシリカゲルカラムクロマトグラフ(n-ヘキサンで溶出)により2-ブロモペンタセン(15mmol)を得た。続いて、別の500mLの4つ口フラスコに金属マグネシウム50mmolを加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けたのち、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところにTHF200mLを加えた。前記フラスコ容器に合成で得られたブロモペンタセン10mmolを含むTHF(100mL)溶液を20℃で1時間かけてゆっくりと滴下させた。滴下終了後、30℃で約2時間撹拌して反応させることでブロモペンタセンのグリニャール試薬を調製した。この溶液にクロロトリエトキシシラン10mmolを加えて60℃で2時間撹拌することにより反応を進行させた。得られた溶液は減圧濾過により不溶固形物を除去した後、常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、2-ペンタセントリエトキシシラン(3.5mmol)を35%の収率で得た。得られた化合物について、赤外吸収スペクトルを測定したところ、1050cm-1にSi-C結合由来の吸収が観測された。また、1HNMRによって測定を行なったところ、下記のピークが得られ、以上より2-ペンタセントリエトキシシランであることを確認した。
7.3〜7.8ppm(m, 13H)、3.5〜3.8ppm(m, 6H)、1.3〜1.4ppm(m, 9H)
【0024】
次に、500mLの4つ口フラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けて、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに1NのBCl3ジクロロメタン溶液66mLを仕込んだ。前記溶液を0〜10℃に冷却させた後、常温で2-ペンタセントリエトキシシラン3mmolを含む溶液を30分かけて滴下させた。滴下終了後、溶液温度を40〜45℃に昇温して15時間撹拌し続けることで反応を進行させた。反応終了後に、ガスクロマトグラフィー(GC)(上記と同じ条件)によって分析したところ、90%以上の反応率であることを確認した。得られた反応溶液を常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、目的の生成物2-ペンタセントリクロロシラン(1.6mmol)を収率約55%で得た。得られた化合物は反応性が高く、定量的な確認は直接的には難しいが、単離精製前のGCによる確認とエタノールと反応させると速やかに塩化水素と思われる気体の発生が確認できたことから、ハロゲン置換反応が進行し標記の化合物が得られたことが確認できた。
尚、2-ブロモペンタセンからマグネシウムグリニャール試薬を調製し、テトラクロロシランとの反応から2-ペンタセントリクロロシランを合成した場合の収率は40%であり、本方法によって収率を向上することができた。
【0025】
実施例4: クロロ置換反応による式[4] にて表される有機シラン化合物の合成
【化1】

還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けた500mLの4つ口フラスコ容器内を窒素雰囲気下、-78℃にしたところに1,4−ジエチニルベンゼン50mmolを含んだTHF100mL溶液を仕込んだ。フラスコ容器n-ブチルリチウム50mmolを含んだヘキサン溶液(100mL)を加えたあと、0℃まで温めて臭化銅(I)50mmolを加え、20〜25℃で1時間よくかき混ぜることで、1,4−ジエチニルベンゼンの銅アセチリドを調製した。反応液を減圧下で濃縮したあと、ヨードベンゼン60mmolを含むピリジン溶液100mLを加えて、撹拌しながら90〜100℃に加熱して5時間撹拌し続けることで反応を進行させた。得られた反応液に塩酸溶液を加えてから減圧濾過により不溶固形物を除去した後、エーテルによる抽出を行なった。エーテルの留去により、下記の式[5]にて表される化合物(40mmol)を収率80%で得た。
【化2】

【0026】
式[5]の化合物40mmolを500mLの4つ口フラスコに加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けてフラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに四塩化炭素200mLを加えて撹拌・溶解させた。溶解後、NBS(40mmol)、AIBN(2mmol)を加えて、約2時間撹拌した後、不溶固形物を減圧濾過により除去した後にカラムクロマトグラフにより式[5]の化合物のフェニルパラ位のブロモ一置換体(34mmol)を得た。続いて、別の500mLの4つ口フラスコに金属マグネシウム40mmolを加えて還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けたのち、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところにTHF200mLを加えた。フラスコ容器に合成で得られた前記ブロモ一置換体を含むTHF(100mL)溶液を20℃で1時間かけてゆっくりと滴下させた。滴下終了後、30℃で約2時間撹拌して反応させることで式[5]の化合物のグリニャール試薬を調製した。この溶液にクロロトリエトキシシラン40mmolを加えて80℃で6時間撹拌することにより反応を進行させた。得られた溶液は減圧濾過により不溶固形物を除去した後、ろ液と洗液をエーテルによって抽出を行なった。エーテルの留去により、式[6]にて表されるトリエトキシシラン化合物(25mmol)を収率75%で得た。
【化3】

得られた化合物について、1HNMRおよび13CNMRによって測定を行なったところ下記のピークが得られた。
1HNMR : 7.1〜7.5ppm(m, 13H)、3.8〜3.9ppm(m, 6H)、1.2〜1.3ppm(m, 9H)
13CNMR : 120〜135ppm(ベンゼン環由来)、90〜92ppm(アルカン由来)、50〜52ppm(メチレン基由来)、18〜20ppm(メチル基由来)
また、赤外吸収スペクトルを測定したところ、1080cm-1にSi-C結合由来の吸収が観測された。以上より式[6]の化合物であることを確認した。
【0027】
次に、500mLの4つ口フラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けて、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに1NのBCl3 20mmolを含むジクロロメタン溶液60mLを仕込んだ。前記溶液を0〜10℃に冷却させた後、常温で上記式[6]の化合物20mmolを含む溶液を30分かけて滴下させた。滴下終了後、溶液温度を40〜45℃に昇温して5時間撹拌し続けることで反応を進行させた。反応終了後、得られた反応溶液を常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、目的の化合物式[4]を(11mmol)収率約55%で得た。得られた化合物は反応性が高く、定量的な確認は直接的には難しいが、エタノールと反応させると速やかに塩化水素と思われる気体の発生が確認できたことから、ハロゲン置換反応が進行し標記の化合物が得られたことが確認できた。
尚、式[5]にて表される化合物のマグネシウムグリニャール試薬を調製し、テトラクロロシランとの反応から式[4]にて表される有機シラン化合物を合成した場合の収率は45%であり、本方法によって収率を向上することができた。
【0028】
実施例5: フェニルトリエトキシシランからのクロロ置換反応によるフェニルジクロロエトキシシランの合成
500mLの4つ口フラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けて、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところにTiCl4 80mmolを含むトリフルオロメチルベンゼン溶液80mLを仕込んだ。前記溶液を0〜10℃に冷却させた後、常温でフェニルトリエトキシシラン20mmolを30分かけて滴下させた。滴下終了後、溶液温度を20〜25℃に昇温して15時間撹拌し続けることで反応を進行させた。反応終了後に、ガスクロマトグラフィー(上記と同じ条件)によって分析したところ、95%以上の反応率であることを確認した。得られた反応溶液を常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、目的の生成物を(15mmol)収率75%で得た。得られた化合物について、赤外吸収スペクトルを測定したところ、1080cm-1にSi-C結合由来の吸収が観測された。また、1HNMRによって測定を行なったところ、下記のピークが得られ、以上よりフェニルジクロロエトキシシランであることを確認した。
7.8〜7.9ppm(m, 3H)、7.3〜7.6ppm(m, 2H)、3.8〜4.0ppm(m, 4H)、1.2〜1.3ppm(m, 6H)
尚、ブロモベンゼンからマグネシウムグリニャール試薬を調製し、種々のクロロエトキシシランとの反応によりフェニルジクロロエトキシシランを合成する場合には、目的の化合物の他にフェニルクロロジエトキシシランなどの副生成物などもできやすいため、最終的な収率が40%程度となるので、本方法によって従来よりも効率よく目的化合物を得ることができた。
【0029】
実施例6: 2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフフェン-5-イルトリエトキシシランからのクロロ置換反応による2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルクロロジエトキシシランの合成
まず、500mLの4つ口フラスコに2,2'-ビチオフェン50mmolを加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けてフラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところに四塩化炭素200mLを加えて撹拌・溶解させた。溶解後、NBS(50mmol)、AIBN(2mmol)を加えて、約2.5時間撹拌した後、不溶固形物を減圧濾過により除去した後にカラムクロマトグラフ(充填剤:シリカゲル、溶出溶媒:n-ヘキサン)により5-ブロモ-2,2'-ビチオフェン(35mmol)を得た。また、5-ブロモ-2,2'-ビチオフェンと同じ合成方法により、2,2':5',2''-ターチオフェンから5-ブロモ-2,2':5',2''-ターチオフェン(25mmol)を得た。
続いて、別の500mLの4つ口フラスコに金属マグネシウム20mmolを加えて、還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けたのち、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところにTHF200mLを加えた。前記フラスコ容器に合成で得られた5-ブロモ-2,2':5',2''-ターチオフェン20mmolを含むTHF(100mL)溶液を50〜60℃で1時間かけてゆっくりと滴下させた。滴下終了後、65℃で約2時間撹拌して反応させることで5-ブロモ-2,2':5',2''-ターチオフェンのグリニャール試薬を調製した。更に、この溶液に5-ブロモ-2,2'-ビチオフェン20mmolを加えて50℃で4時間撹拌することにより反応を進行させることによって、2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン(13mmol)を合成した。続いて、前記クィンケチオフェン10mmolを四塩化炭素200mLに加えて撹拌・溶解させた後、AIBN(1mmol)存在下でNBS(10mmol)と反応させることで、5-ブロモ-2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン(約8mmol)を合成した。続いて、前記5-ブロモ-2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェンと金属マグネシウム(10mmol)とを還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けた別の500mLの4つ口フラスコにて窒素雰囲気下THF溶媒200mL中で反応させてグリニャール試薬を調製した。この溶液にクロロトリエトキシシラン10mmolをゆっくりと加えたのち60℃で3時間撹拌することにより反応を進行させた。
【0030】
得られた反応溶液を減圧濾過により不溶固形物を除去した後、ろ液と洗液をエーテルによって抽出を行なった。エーテルの留去により、2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルトリエトキシシラン(4.5mmol)を収率45%(クィンケチオフェンから)で得た。得られた化合物について、赤外吸収スペクトルを測定したところ、1050cm-1にSi-C結合由来の吸収が観測された。また、1HNMRによって測定を行なったところ、下記のピークが得られ、以上より2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルトリエトキシシランであることを確認した。
7.0〜7.3ppm(m, 11H)、3.5〜3.8ppm(m, 6H)、1.3〜1.4ppm(m, 9H)
300mLの4つ口フラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を取り付けて、フラスコ容器内を窒素雰囲気下にしたところにTiCl420mmolを含むトリフルオロメチルベンゼン溶液10mLを仕込んだ。前記溶液を0〜10℃に冷却させた後、常温で2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルトリエトキシシラン4mmolを30分かけて滴下させた。滴下終了後、溶液温度を20〜25℃に昇温して15時間撹拌し続けることで反応を進行させた。反応終了後に、ガスクロマトグラフィー(前記と同じ条件)によって分析したところ、90%以上の反応率であることを確認した。得られた反応溶液を常圧蒸留および減圧蒸留によって精製単離を行ない、標記の化合物である2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルクロロジエトキシシラン(2.6mmol)を収率65%で得た。
尚、ブロモクィンケチオフェンからマグネシウムグリニャール試薬を調製し、ジクロロジエトキシシランとの反応により2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルクロロジエトキシシランを合成する場合には、目的の化合物の他に2,2':5',2'':5'',2''':5''',2''''-クィンケチオフェン-5-イルジクロロエトキシシランなどの副生成物もできやすいため、最終的な収率が40%程度となるので、本方法によって従来よりも効率よく目的化合物を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]:
R1-Si(OR2)3 [1]
(式中、R1は炭素数1〜30の分岐していてもよい炭化水素化合物、単環芳香族炭化水素化合物、縮合多環芳香族炭化水素化合物、単環複素環化合物、縮合多環複素環化合物および任意に選択された前記化合物が2〜10個結合した化合物から選択される化合物の有機残基、R2は炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基である)で表されるトリアルコキシシラン化合物にルイス酸ハロゲン化剤を反応させることで、トリアルコキシ基を直接ハロゲン置換させて、下記一般式[2]:
R1-SiXn(OR2)3-n [2]
(式中、R1、R2は上記と同義で、Xはハロゲン原子であり、nは1、2または3である)で表される有機シラン化合物を得ることを特徴とする有機シラン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記[1]式で表されるトリアルコキシシラン化合物中の-OR2で表されるアルコキシ基1個もしくは2個をルイス酸ハロゲン化剤により選択的にハロゲン置換させて、下記一般式[2]:
R1-SiXn(OR2)3-n [2]
(式中、R1、R2、Xは上記と同義で、nは1か2である) で表されるハロゲン化アルコキシシラン化合物を得ることを特徴とする請求項1に記載の有機シラン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記R1が、任意に選択された前記化合物が2〜10個結合した化合物の有機残基であり、該前記化合物が芳香族炭化水素化合物または複素環化合物である請求項1または請求項2に記載の有機シラン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記R1がベンゼン由来の基である請求項1または請求項2に記載の有機シラン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記R1がチオフェン由来の基である請求項1または請求項2に記載の有機シラン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記R1が縮合多環芳香族炭化水素化合物の有機残基であり、該縮合多環芳香族炭化水素化合物がアセン系縮合多環化合物である請求項1または請求項2に記載の有機シラン化合物の製造方法。
【請求項7】
前記Xが塩素原子で、かつnが3であり、ルイス酸ハロゲン化剤がBCl3である請求項1に記載の有機シラン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記Xが塩素原子で、かつnが1または2であり、ルイス酸ハロゲン化剤がTiCl4である請求項1に記載の有機シラン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2007−197347(P2007−197347A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16620(P2006−16620)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】