説明

有機シラン四級化合物および過酸化水素を含有するクリーニングおよび多機能コーティング組成物

水性配合物中に過酸化水素および有機シラン四級化合物を含有するクリーニングおよび多機能コーティング組成物を使って撥水および防汚染性および残留抗菌活性を改良する。金属、ガラス、プラスチック、ゴム、磁器、セラミック、大理石、花崗岩、セメント、タイル、砂、シリカ、エナメル用品、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル、メラミン/フェノール樹脂、ポリカーボネート、珪質、ペンキ表面、木製などを含めた様々な表面を処理できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング組成物に関するものであり、クリーンな表面に多機能コーティングを提供し、該表面に撥水性および防汚性、並びに、抗菌性も付与する。有機シラン四級窒素化合物を、水性溶剤中で過酸化水素と配合し、クリーニングおよび多機能コーティング組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
雨および湖や海岸のしぶきは、化学的に活性化するのに十分な溶解気体、炭酸、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、アンモニアおよび微粒子を含有している。同様に、大半の地下水および都市水道水は、飲む、料理に使う、洗う、入浴するには一般に安全であるが、やはり化学活性を持つのに十分な塩分、硬水ミネラル、細菌、有機および無機汚染物質、水処理用薬品を含有している。
【0003】
いずれの水源も、ガラス、磁製、セラミック、大理石、花崗岩、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリルメラミン/フェノール樹脂およびポリカーボネートなどの大半の珪質および非珪質表面で蒸発させると、該水源は、普通の汚れと結合し、不溶性のミネラル沈着物、石灰垢、さびおよび石鹸垢の形成、付着および沈積を促進する。化学的に活性な水に対するこの継続的な曝露は、汚れの増加に、また、不溶性沈積を除去するためのざらざらしたクリーナーやクレンザーで掻取り、こすることから起こる高コストの表面破損サイクルに直接寄与する。
【0004】
従って、雨、地下水および都市の水道水が完全に脱イオンおよび脱ミネラル化されるまで、水および水を含有する液こぼれおよびはねに曝露されたどのキッチンおよび浴室表面(シンク、カウンター、レンジ、オーブン、調理用具および洗浄用具、バスタブおよびシャワー囲い)も、水に不溶な汚れの付着および沈積を受け続ける。
【0005】
水に不溶な汚れを除去するため、主婦やクリーニングのプロは、強酸および強アルカリを含めた一層強力なクリーニング補助手段、浸透性溶媒、並びに、広範囲な研磨クリーナーに頼るようになった。前記の強力なクリーニング補助剤の使用の必然的結果は、表面破壊サイクルである。クリーニング作用が強力なほど、汚れは、ますます顕微鏡的微孔を開き、表面の吸水性を高める。該微孔が広がり、損傷を受けやすくなるほど、新たな汚れがさらに深く浸透し、付着および沈積が拡大し、汚れの除去にさらに強力なクリーニング作用が必要になり、表面仕上げの破壊がますます拡大する。このサイクルは、初めは顕微鏡で分かる程度であるが、結局、表面のざらつきが肉眼で認められるようになり、退色および光沢の喪失を呈し、一層汚れを形成し易くなる。
【0006】
シリコーン組成物の使用によって、表面の防汚および撥水性を改善できることは、定説になっている。表面に撥水性を付与するシリコーン組成物に関する広汎な研究開発がなされた。例えば、米国特許2,612,458号(Stedman)は、撥水性達成のためにウィンドシールドへの置換型ポリシリカンの応用を開示している。米国特許2,923,653号(Matlinら)は、撥水性を改良するためにポリシリカン中にアルコキシ基を利用する改良型組成物を開示している。米国特許2,962,390号(Fainら)は、固体摩擦剤およびガラス表面上を摩擦すると撥水性を提供するアルキルアルコキシシランを含有するペーストについて記述している。米国特許3,244,541号(Fainら)は、ガラス上の防雨フィルムを生成し、溶媒耐性でもあるアルキルアルコキシシランモノマーの酸性溶液を開示している。
【0007】
米国特許3,579,540号(Ohlhausen)は、各種表面に耐久性のある有効な撥水フィルムを生じる、アルキルポリシロキサンおよび酸、またはアルキルポリシロキサン、酸および溶媒の撥水フィルム形成組成物を開示している。米国特許6,432,181号(LudwigおよびOhlhausen)に開示されているように、多孔質および非多孔質表面の処理用無溶媒組成物にさらなる改良が加えられた。’181特許は、溶媒を排除し、シリコーンをさらに有効かつ経済的に利用する防汚および撥水組成物に対して存在する要求を満足させた。防汚および撥水組成物のさらなる改良は、2001年8月28日出願の米国特許出願09/941,896号(LudwigおよびOhlhausen)、現在米国特許 に開示されているように、ユーザーの皮膚を刺激しない生理的に受容可能な組成物を提供することによって行われた。
【0008】
多様なタイプの硬質および軟質表面は、各種薬品でコートすることによって抗菌性が付与されている。多様な表面に塗布するに当って微生物の汚染を除去および/または軽減する場合にも、有機シラン四級窒素化合物が用いられており、有効である。例えば、細菌、ウイルスおよび真菌の汚染は、該有機シラン四級化合物を表面に塗布すると、除去または軽減できる。この目的で使用されている市販の四級アンモニウム有機シランは、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウムおよび塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウムを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
各種表面のクリーニングまたはコーティングに対して何十年にも亘る研究開発によって改良が加えられてきたにもかかわらず、依然として、さらなる改良が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(本発明の概要)
本発明は、表面をクリーニングし、該表面に結合性多機能コーティングを提供するための組成物に関する。クリーニングおよびコーティング組成物は、陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物(以後、単に「有機シランクォト」と称する場合もある)および前記表面上に結合可能な過酸化水素を含む。該成分は、表面をクリーニングし、並びに、前記表面に多機能コーティング剤を結合させ、それによって該表面を(a)撥水性および防汚性および(b)抗菌性を付与するために、水性溶媒中の有効量で使用する。
【0011】
本発明のコーティング組成物は、界面活性剤の性質を有し、これが、汚れた表面をクリーニングし、同時に撥水性および防汚性、並びに、抗菌性の付与を可能にすることが判明している。従って、料理、食事、洗浄他から起こる毎日の家事の汚れで汚れた毎日使用する表面をクリーニングし、抗菌性を示しながら、幾分永続的に水と汚れを忌避する結合コーティングを提供することが同時に可能である。
【0012】
過酸化水素と配合した有機シランクォトが、表面への結合時に相乗効果を提供することも発見された。有機シランクォトおよび過酸化水素成分の配合物を含有する本発明の組成物は、各種表面上での本組成物の結合および耐久性を予想外に改良する。言い換えれば、本組成物中の配合成分で達成される結果は、表面に個別に使用した場合に予想される各成分の活性の代数和を上回る。これらの相乗活性は、本発明のユニークな組成物および方法に貢献する。
【0013】
一般に、有機シランクォトは、約3重量%までの量で本組成物中に使用し、過酸化水素は、前記組成物の約8重量%までの量で使用する。さらに好ましくは、該有機シランクォトは、約1重量%までの量で本組成物中に使用し、過酸化水素は、本組成物の約3〜約6重量%までの量で使用する。
【0014】
本コーティング組成物は、さらに、例えばグリコール、プロピレングリコール・モノメチルエーテル、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなど、アルコール、ポリオール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物のような溶媒を含有できる。さらに、好ましくは、水性溶剤は酸性で、pHは、約2〜約5の強度である。本組成物は、好ましくは脱イオン水でも配合する。
【0015】
本発明は、クリーンな表面および多機能コーティングを提供する組成物による家庭、事務所、自動車などに見られるような毎日使用する表面の処理法にも関する。例えば、本発明の組成物を塗布すると、料理、食事、洗浄などから起こる液こぼれ、はねおよび染みでよごれた毎日使用する表面をクリーニングし、多機能コーティングを提供できる。例えば、本発明の液体組成物は、固体表面上に有効量を取って拭くか噴霧することによって塗布することができ、拭き取りによって汚れを除去する。前記塗布の際、該表面は、クリーンになり、多機能コーティング剤が表面に結合され、それによって、クリーンな防汚および撥水性および抗菌性の表面になる。
【0016】
以下の詳細な説明を参照することによって、本発明、その各種実施態様および動作パラメーターをさらに深く理解できるであろう。
【0017】
(発明の詳細な説明)
上記の要旨により、本発明の目的は、毎日使用する表面のクリーニング、消毒および撥水性および防汚性付与を本質的に一段階で同時に行う組成物および方法を提供することである。本発明は、(1)VOC(揮発性有機化合物)低公害性および生分解性であり、(2)高性能、浸透クリーナーであり、(3)広範囲消毒薬であり、(4)石鹸、溶媒、洗剤およびマイルド研磨剤による除去に耐性の結合性、耐久性撥水および防汚剤であり、(5)非常に広範囲な毎日の家庭用品および自動車表面に有効であり、(6)性能および被覆面積の点で貯蔵安定性があり、経済的であり、(7)普通の噴霧−拭き技術で使用または塗布できる組成物を提供する。
【0018】
本発明の最良の形態によれば、本多機能コーティング組成物は、次式で規定する、前記表面上に結合可能な陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物を含み:


式中、
=水素および/またはC〜Cアルキル;R=炭素原子C〜Cの二価炭化水素ラジカル、R=水素またはC〜Cアルキル、R=水素またはC〜C10アルキル、R=C10〜C22飽和または不飽和炭化水素ラジカルおよびX=ハライド(好ましくはクロライドまたはブロマイド)、カルボン酸塩(酢酸塩、グリコール酸塩)、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩またはリン酸塩である。
【0019】
酸性脱イオン水性溶剤中で、有機シランクォトは、約1〜3%まで、好ましくは約0.4〜0.7%までの量で含有し、過酸化水素は、前記組成物の約8%まで、好ましくは約3〜6%までの量である。酸性溶剤のpHは、約2〜約5、好ましくは約3である。本組成物は、さらに、上述のように、アルコール、ポリオール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物、さらに好ましくはメタノール、エタノールまたはイソプロパノール、の群から選択する溶媒を含有できる。
【0020】
陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物は、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソーヤアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウムおよび塩化3−(トリヒドロキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムから成る群から選択する。他の適切な有機シランクォトは、該クォトが、表面をクリーンにし、多機能コーティング剤を結合する働きがあれば、使用することができる。
【0021】
本発明の好ましい組成物が界面活性能を有する有機四級アンモニウム化合物を含有し、この界面活性能が表面のクリーニングを促進し、結合反応基も表面に提供し、望みのクリーニングおよび多機能コーティング能を得ることが判明した。従って、有機シランにとって、界面活性能、撥水能および抗菌活性を促進するC10〜C22飽和または不飽和炭化水素基などの炭化水素基を有するのが好ましい。
【0022】
適切な四級有機シランを、以下の実施例を参照して、さらに詳細に説明する。上述のように、本発明の目的を達成するための四級シランと過酸化水素の相対量は、一般に、それぞれ約3重量%および8重量%までである。塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムのような最も好ましい有機シランクォトのさらに具体的な量は、約0.4〜約0.7重量%であり、過酸化水素が約3重量%である。
【0023】
四級アンモニウム化合物は、該表面上に吸収された水との相互作用によって、陰イオン表面に結合することが周知である。これは、以下の方程式によって説明できる。
表面−HO+M(aq)+X(aq)→表面−OH+X(aq)+H(aq)
式中、Mは、水素イオン以外の有機陽イオンで、水素イオンは、吸着された表面水から変位し、水和物となり、H(aq)として水相に入る。そのため、有機陽イオン(M)は、陰イオン表面に「水素結合」される。
【0024】
理論によって結合させることを要求するのではないが、過酸化水素の存在下で陽イオン有機シラン四級化合物を該表面に結合させるメカニズムを仮定すると、本発明をさらに深く理解するのに役立つと考えられる。過酸化水素は、その抗菌活性とその酸化力が周知で、多様な有毒汚染物質の破壊に使用されている。水性溶液中で、過酸化水素は、以下の方程式に従って、水よりも強力な酸となる:
HOOH → H+HOO
【0025】
しかし、有機シランクォトと過酸化水素を配合し、本明細書に述べるクリーニングおよびコーティング効果、特に相乗活性を得ることは、本発明以前は知られていなかった。
【0026】
本発明の以下の実施例で証明された相乗活性を理解するために、水に酷似する過酸化水素は、以下の方程式による証明される場合と同様の方法で陰イオン表面に吸着されると考えられる:
表面−HOOH+M(aq)+X(aq)→表面−OOH+X+H(aq)
式中、MはH以外の有機陽イオンであり、Hは、吸着表面過酸化水素から変位し、水和物になり、H(aq)として水相に入る。そのため、有機陽イオン(M)は、水が陰イオン表面上にあると、水酸イオン(OH)と結合するよりもはるかに強く陰イオン表面で水素結合によってヒドロパーオキサイドイオン(−OOH)と結合する。
【0027】
前記有機陽イオンが、加水分解によってシラノール(−Si−O−H)になることのできるシラン官能基(−Si−OR)を含有する場合、基質表面上の基質シラノールとの、あるいは、別の有機陽イオンシラノールへの追加の化学結合が起こり、これが該基質表面上での有機四級化合物の重合および架橋を招くと思われる。この化学結合が、基質表面から容易には除去されない耐久性コーティングを生じる。
【0028】
陰イオン表面での過酸化水素のさらなるクリーニング能、および、シラン四級陽イオン(M+)の陰イオン表面への過酸化水素の結合強化能の追加と、それによる該表面への該シランの化学結合強化およびその後の架橋の促進によって、本発明の組成物の塗布後の表面の結合または耐久性が向上する。過酸化水素との陽イオン有機シラン四級化合物の配合は、相乗効果を提供することが判明している。言い換えれば、以下の実施例で証明されるように、この成分配合で生じる結合および耐久性は、予想外に、個々の成分の活性の和を上回るものである。
【0029】
本発明の好ましい実施態様の以下の詳細な開示によって、本発明をさらに容易に理解できる。本明細書で使用する用語は、特定の実施態様を説明するためのものであり、制約を意図するものでないことを理解しなければならない。
【0030】
用語「耐摩耗性」は、本明細書で使用する場合、マイルドな研磨物質で洗浄する、引っ掻くまたは擦ることによる破損または除去に耐える表面、表面コーティングまたは仕上げ、あるいは、表面を引っ掻くまたは傷つけるなどのように、該表面または仕上げに目に見える破損を引き起こさない方法を指す。
【0031】
用語「抗菌性」は、カビ、ウイルス、真菌または細菌などの微生物の増殖の排除、減少および/または抑制を説明するために、本明細書で使用する。
【0032】
用語「塗布」、「塗布している」または「塗布される」は、本明細書で使用する場合、一般に、また、(a)液体の場合、噴霧と拭き、もしくは、攪拌と拭き、もしくは、拭きと磨き上げによる、(b)クリームの場合、拭きと磨き上げによる、(c)ゲルの場合、拭きと磨き上げによる表面処理を意味する。本発明の組成物の塗布は、通常、噴霧と拭き、拭きと磨き上げ、または、攪拌と磨き上げによるが、これらの処理形態は、例示であり、制約するものではない。
【0033】
用語「結合」、「結合された」または「結合可能な」は、撥水および防汚性仕上げ、コーティング、または特性を、その他の点で水および汚れが付き易い表面に結合する能力の場合のように、該組成物を強力に付着させる能力を意味する。本明細書で使用する場合、未処理状態の同一表面で他では汚さない、傷を付けない、破損しないような石鹸、溶媒、洗剤、または研磨タイプクレンザーによる除去に汚れが耐性である場合に、該組成物が、「結合される」または「結合可能」と考えられる。
【0034】
「多機能」は、本明細書で使用する場合、同時または連続的に表面をクリーニングおよびコーティングし、それによって、該コーティングが表面に撥水性、防汚性および/または抗菌性を付与する機能を発揮するように、1回の塗布から2種類以上の明確な結果を達成する方法を意味する。
【0035】
用語「耐久性の」または「耐久性」は、持続性で、淡(水道)水、石鹸液、洗剤溶液、家庭用溶媒、マイルド研磨(非破損)クレンザーまたは普通のクリーナー/油性洗浄剤を使った洗浄および/または拭きでは容易に除去されないことを意味する。
【0036】
用語「毎日の家事による汚れ」は、ミルク、コーヒー、お茶、ジュース、ソース、グレービー(肉汁ソース)、料理のふきこぼれ、石鹸かす、水腐れ、ミネラル沈着など、料理、食べる、飲む、洗う、入浴、シャワーを浴びることによる表面の液こぼれ、はねおよび傷を意味する。
【0037】
用語「毎日の自動車の汚れ」は、雨、みぞれ、雪、昆虫、泥および道路のほこりによる自動車外部表面、並びに、指紋、食べこぼし、可塑剤の溶出、喫煙、ヘアスプレーおよび脱臭スプレーの使用および空気の循環による自動車内部表面のそれぞれの液こぼれ、はねおよび傷を意味する。
【0038】
用語「表面」は、毎日使用する表面で例示するような、また、本発明の組成物および方法を説明する以下の実施例で使用するものなど、硬質または軟質の、幾分多孔質または非多孔質な、珪質または非珪質のあらゆる範囲の表面を意味する。前記の表面の例は、金属、ガラス、プラスチック、ゴム、磁器、セラミック、大理石、花崗岩、セメント、タイル、砂、シリカ、エナメル用品、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリルメラミン/フェノール樹脂、ポリカーボネート、珪質、ペンキ表面、木製などを含むが、それらに制約されない。
【0039】
用語「毎日使用する表面」は、本明細書で使用する場合、家庭、事務所、工場、公共の建物および施設、自動車、飛行機および船などのあらゆる範囲の表面を意味する。
【0040】
用語「除去に耐性の」は、他の点で同一の組成および構造の未処理表面に刻み目を入れること、破損することのないような普通の石鹸、溶媒、洗剤、マイルド研磨クレンザーまたはクリーナー/油性洗浄剤による洗浄またはクリーニングでは容易に除去されないコーティングまたは表面仕上げを意味する。
【0041】
用語「防汚性」は、本明細書で使用する場合、水分の蒸発前後に、例えば日常の家事および自動車の汚れ、の付着および沈積の軽減を発揮する表面を意味する。
【0042】
用語「撥水性の」および「撥水性」は、本明細書で使用する場合、表面の疎水性または特性、並びに、該表面上での蒸留水の水滴または小滴の接触角によって測定する水をはじく能力を表す。(雨水、都市水道水または地下水で測定する接触角は、蒸留水または脱イオン水を使った接触角よりも変動し易く、再現性がないのが典型的であり、10°未満までの測定値であることが多い。)一般に、離散表面の疎水性を、水滴に対する接触角から以下のとおりに採点する:
極めて良好 丸さが良好で明るい光沢のある圧縮水滴、測定値95°以上
良好 それほど丸くない水滴であるが、わずかな広がりを呈する明るい光沢、
測定値85°〜95°
やや良好 水滴の肉眼で見える扁平化、測定値70°〜85°
不良 比較的扁平な水滴、水の広がりの増加を呈する、測定値50°〜70°
【0043】
実験1〜22―比較表面結合試験
これらの試験は、被験組成物を表面に塗布し、次に、掻き傷を付けずに表面から撥水コーティング剤を除去できる研磨クリーナーで該表面を擦った後の結合の実際の目安として、処理表面の撥水性の程度と耐久性を利用する。撥水度は、該表面上の擦った部分に塗布した場合の水滴の接触角と外観によって決定した。(1)本発明の有機シランクォトおよび過酸化水素の組成物の塗布から得られるコーティングを(2)有機シランクォト単独および(3)過酸化水素単独のコーティングと比較した。他の有機陽イオン種のコーティングの比較も、過酸化水素添加または無添加で試験した。
【0044】
A.表面の調製
Unelko Corporation、Scottsdale、Arizonaから販売されている、無傷型マイルド研磨硬質表面クレンザーであるソフトクレンザーMIRACLE SCRUBで吸湿セルローススポンジを使って、表面を擦ることによって、新規の12インチ(30.5cm)x12インチ(30.5cm)ガラス鏡をクリーニングし、親水性にした。クリーニング後、鏡表面を熱水でゆすぎ、MIRACLE SCRUB残渣を除去し、その後、脱イオン水でゆすいだ後、ペーパータオルで乾燥させた。次に、クリーニングした鏡を少なくとも24時間風乾した。水が広がり、表面を濡らした時点で、該表面がクリーンであるか、汚れがないかを判定した。
【0045】
B.被験組成物の調製
比較結合試験用の被験溶液を、すべて、以下の配合に従って、過酸化水素添加および無添加で調製した。
A. 過酸化水素無添加 B. 過酸化水素添加
6重量%イソプロピルアルコール 6重量%イソプロピルアルコール
0.4重量%有機陽イオン 0.4重量%有機陽イオン
十分量脱イオン水 0.3重量%過酸化水素
十分量脱イオン水
全組成物とも、1.0N塩化水素酸でpHを3に調整した。
【0046】
C.比較結合試験手順
1種類を除いて、過酸化水素添加した場合と無添加での同一有機陽イオン種で配合した組成物2種類を同一の12インチ(30.5cm)x12インチ(30.5cm)の鏡に塗布した。該鏡の半分を紙でカバーし、他方の半分に過酸化水素無添加の組成物を噴霧した後、ペーパータオルで延ばし、乾燥するまで該表面を拭いた。次に、カバーを逆にし、該鏡のカバーしていない半分を過酸化水素含有組成物によって同じ方法で処理した。
【0047】
その後、該鏡を水道水、次に脱イオン水でゆすぎ、該表面から過剰の前記組成物を除去した。次に、ゆすぎ終わった鏡をペーパータオルで乾燥させた。
【0048】
この処理した鏡の表面の各半分の一部に、少量であるが等量のMIRACLE SCRUBを塗布した。吸湿セルローススポンジを使って、円を描きながら、該スポンジに適度の圧力を加え、被験対象の各半分をこすった。各領域で円を10回描いた。次に、残ったMIRACLE SCRUBを水道水、続いて脱イオン水でゆすいだ。その後、前記鏡表面をペーパータオルで乾燥させた。続いて、乾燥した、こすった部分を比較し、撥水性について比較、評価し、前記の2種類の表面コーティング剤の相対耐久性(結合度)を決定した。
【0049】
前記鏡を水平に保ち、等サイズの脱イオン水水滴数個を、前記鏡の表面各部のこすった領域に静置し、撥水性について評価した。該水滴の接触角、並びに、広がりを検討し、用語の定義で述べた撥水性の基準:極めて良好―良好―やや良好―不良に従って採点した。
【0050】
D. 試験結果
表1は、上記配合剤AおよびBに従って配合した6種類の有機シラン四級化合物についての比較結合試験結果を示す。全試験において、過酸化水素を含有する配合にコーティングの結合性または耐久性の改良が認められた。実験1、2、3および6は、テトラアルキル四級化合物である。実験4および5は、ジアルキル四級化合物である。実験1、2、3、4および5は、トリアルコキシシランである。実験6は、トリヒドロキシシランである。
【0051】

【0052】
表2は、3種類のトリヒドロキシシラン(実験11、12および13)と共に、2種類のトリアルキル四級化合物(実験7および8)および1種類のテトラアルキル四級化合物(実験9)についての比較結合試験結果を示す。実験12および13は、エタノール溶液中1%活性レベルとして用いた。過酸化水素添加または無添加の全実験を、比較結合試験時、「不良」と判定した。これは、シランおよび四級化合物誘導コーティング剤全部が、マイルド研磨クリーナーで容易に除去されることを示している。これは、また、「コーティング剤」と基質の間に化学結合が起こっていなかったことも示している。おそらく、化学結合よりもはるかに弱い水素結合だけが基質への「コーティング」を保持していたのであろう。
【0053】
MIRACLE SCRUBで処理表面をこする前に、以下のとおりに全処理表面を水滴試験で採点した:
実験7: 極めて良好―過酸化水素添加、無添加共に
実験8: 過酸化水素無添加で良好、過酸化水素添加でやや良好
実験9: 良好―過酸化水素添加、無添加共に
実験10: やや良好―過酸化水素添加、無添加共に
実験11: 不良〜やや良好―過酸化水素添加、無添加共に
実験12: 良好―過酸化水素添加、無添加共に
実験13: 良好―過酸化水素添加、無添加共に
【0054】

【0055】
本発明をさらに詳細に評価するために、別の台所および浴室表面を実験1の好ましい有機シラン四級化合物のうちの1種類で処理した。即ち、表3の全実験14〜22で塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルメチルオクタデシルアンモニウムを使用し、前述のとおりの過酸化水素無添加および添加の被験配合および3%過酸化水素単独を用いた。台所および浴室表面の比較結合試験結果である表3は、台所および浴室領域に見られる8種類の別の毎日使用する表面についての評価報告である。前述の「A.ガラス被験表面の調製」に従って実験14、15、16および22の硬質ガラス様表面をクリーニングし、有機シラン四級化合物(過酸化水素添加および無添加)で処理した。同じ方法によって、実験17〜21の高多孔性表面をMIRACLE SCRUBでクリーニングしたが、3件の前記組成物の表面処理は、塗布後から次の塗布までの間に、また、最終塗布後に水道水、続いて脱イオン水でゆすいだ。その後、全表面について比較結合試験を実施した。結果を表3に要約する。
【0056】

【0057】
これらの結果は、やはり、他の台所および浴室表面についても本発明を実証している。全実験において、本発明の過酸化水素添加有機シランクォト組成物の性能は、過酸化水素無添加組成物処理または過酸化水素単独処理に比較して、コーティングの結合または耐久性の改良を実証した。表3に関して、全表面で塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムと過酸化水素の間に相乗効果が認められた。全実験14〜22において、H単独は、結合または耐久性「不良」をきたした。実験14〜16、18〜19および21では、有機シランクォト単独も、結合または耐久性「不良」または「やや良好」をきたした。しかし、有機シランクォトと過酸化水素の配合物は、相乗効果によって、「良好」〜「極めて良好」な結果を生じた。実験17、20および22の場合でさえ、Hは有益な結果に寄与するとは予想されなかった本発明の配合物について「極めて良好」な結果が達成された。
【0058】
MIRACLE SCRUBで処理表面をこする前に、両表面とも良好〜極めて良好と採点した実験19を除く全実験が、水滴試験で極めて良好な採点を示したことも該試験中に認められた。また、過酸化水素単独処理表面は、すべて、MIRACLE SCRUB処理表面をこする前に、不良結果を示した。
【0059】
実験23〜35−毎日使用する表面のクリーニング
試験法:牛乳、コーヒー、お茶、グレープジュース、石鹸かす、歯磨きペースト残渣および硬水ミネラル(表面に塗布可能な場合)を周囲温度±78°Fで少なくとも12時間の蒸発によって乾燥させておいた、予め未処理の表面の毎日の液こぼしおよびはねをクリーニングする被験組成物(実験1、表1、過酸化水素添加)の能力を決定した。被験組成物を固化した表面に噴霧し、泡が小さくなるまで汚れを浸透させ、表面をかき回し、ソフトペーパータオルを使って拭き、乾燥させた。
結果:拭いた後、前記表面を肉眼で、または3倍倍率で検査し、さらに、染み、変色、該表面から除去された汚れに典型的な残渣について該ペーパータオルを調べた。結果を表4に示す。
【0060】

【0061】
実験36〜48−毎日使用する表面への撥水性および防汚性の付与
試験法:被験組成物(実験1、表1、過酸化水素添加)について、予め未処理の表面の毎日の液のこぼれおよびはねを除去し、同時に機能的な撥水および防汚仕上げを付与し、その後の毎日の液のこぼれおよびはねへの曝露による付着および沈積を軽減する能力を決定した。牛乳、コーヒー、お茶、グレープジュース、石鹸かす、歯磨きペースト残渣および硬水ミネラル(表面に塗布可能な場合)を周囲温度±78°Fで少なくとも12時間の蒸発によって乾燥させておいた予め未処理の表面に、被験組成物を噴霧した。泡が鎮静化するまで汚れに被験組成物を浸透させ、汚れた領域をかき回し、ソフトペーパータオルで拭いて乾燥させた。その後、追加量の牛乳、コーヒー、お茶、グレープジュース、石鹸かす、希釈歯磨きペーストおよび富ミネラル水を該表面にこぼし、跳ねかけ、周囲温度±78°Fで少なくとも12時間かけて蒸発させた。被験組成物に付与した実際の防汚性を算定するため、新規処理および再汚染領域の約半分をソフトペーパータオルで拭き取り乾燥し、液のこぼれおよびはねを除去した。被験組成物に付与された実際の撥水および防汚性を算定するには、新規処理および再汚染領域のもう一方の半分に水道水を噴霧し、拭き取り乾燥させた。
【0062】
結果:乾燥−拭き取り後、対象表面を残留する汚れについて、肉眼および3倍倍率で検査した。水道水を噴霧し、乾燥するまで拭き取った後、対象表面を残留する汚れについて、肉眼および3倍倍率で検査した。全ペーパータオルが様々な度合いの染み、変色および表面から除去した汚れに典型的な残渣を示した。結果を表5に示す。
【0063】

【0064】
実験49〜61−撥水および防汚性組成物の性能および耐久性
試験法:処理済み表面の毎日の液こぼれおよびはねをクリーニングするために使用する場合、被験組成物(実験1、表1、過酸化水素添加)に付与された撥水および防汚仕上げの性能および耐久性を決定するため、対象表面を牛乳、コーヒー、お茶、グレープジュース、石鹸かす、歯磨きペースト残渣および硬水ミネラル(被験表面に塗布可能な場合)で汚し、これらの要素を周囲温度±78°Fで少なくとも12時間、蒸発によって乾燥させた。次に、汚れた領域に水道水を噴霧し、ソフトペーパータオルで拭いた。この水道水による再汚染およびクリーニングのサイクルを15回繰り返した。毎日使用する各種設置表面の撥水性を測定する場合、蒸留水で水滴または小滴試験を実施するのは、非現実的である。現実の状態を再現するために、試験を実施する地域に典型的な都市水道水を満たした普通のスプレーボトルを使って噴霧試験を実施した。
【0065】
結果:汚染部分は、最小の拭き取り労作で容易にクリーニングされた。ペーパータオルを検査すると、除去済みの前記要素に典型的な残渣と変色を示した。クリーニング後の被験表面の肉眼検査は、汚れの残渣を認めなかった。クリーニング後、処理表面に水道水を噴霧し、表6に示すとおりに、該表面の疎水性を、高い(75°以上)、中程度(50°〜75°)または低い(25°〜50°)と採点した。
【0066】

【0067】
実験62−濃縮クリーニングおよび多機能コーティング組成物の調製および試験
脱イオン水55gを、混合用マグネティックスターラーを用いて、250mlビーカーに測りこんだ。イソプロパノール18gを添加し、混合した。この溶液を1N 塩化水素酸でpH=3に調整した。アルコール中塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム溶液(Dow Corning 9−6346)の72%溶液4.2gを攪拌しながら添加し、続いて、35%過酸化水素22.9gを添加した。最終組成物は、3.0%塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムおよび8.0%過酸化水素を含有し、pH3を有した。
【0068】
該組成物をガラス表面に塗布し、規定のプロトコルに従って、結合試験を実施した。MIRACLE SCRUBによる結果は、「極めて良好」であった。MIRACLE SCRUBでこする前にも、該表面は、「極めて良好な」水滴の撥水結果を示した。
【0069】
実験63−タイル表面への陽イオン有機シラン四級アンモニウム組成物/過酸化水素組成物の抗菌効果
これらの試験は、Escherichia coli(大腸菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)およびBacillus subtilis(枯草菌)から成る微生物混合物で汚染された毎日使用する表面への本発明の組成物の抗菌効果を決定する。被験組成物は、過酸化水素添加の塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムから成る実験1(表1)であった。該試験実施に以下の材料および方法を用いた。
【0070】
材料
1. 微生物
a. Escherichia coli(ATCC 11229)
b. Staphylococcus aureus(ATCC 25923)
c. Bacillus subtilis(ATCC 6363)
2. 培地
a. 血液寒天平板(BAP);5%脱線維羊血液加トリプシン大豆寒天
培地
b. Butterfield緩衝液(BFB)
3. McFarland濁度基準(VWR)
4. 滅菌備品
a. 滅菌綿棒
b. マイクロピペットおよび滅菌チップ
5. 装置
a. インキュベーター
b. Spiral Biotech Autoplate 4000
6. ペーパータオル
7. タイル表面
8. 実験1被験組成物(過酸化水素添加陽イオン有機シラン
四級アンモニウム組成物
【0071】
方法
1. 血液寒天平板(BAP)に被験菌の新鮮培養液を接種し、35℃で24時間インキュベートし、密集増殖を得た。各細菌のコロニーを個別10ml試験管のButterfield緩衝液に移して、各細菌の浮遊液を調製した。該浮遊液を、細胞約1x 10個に相当する0.5 McFarland単位の濁度に調整した。
2. 浮遊液0.1mlづつをBFB 10ml中に小分けし、該浮遊液の1:100希釈を実施し、細菌浮遊液を生成した。
3. 背景細菌汚染が存在しないことを保証するため、全被験表面をイソプロピルアルコールでクリーニングし、風乾した。
4. 100cmの区域を2回繰り返しで測定し、各細菌を被験表面上に指定し、マスキングテープを使って標識した。
5.被験領域から、BFBで予め湿らせた滅菌綿棒でサンプルを採取し、細菌増殖が陰性であることを確認した。
6. マイクロピペットと滅菌チップを使って、細菌浮遊液0.1mlを、被験表面の対応する部分に別々に塗布し、火炎滅菌ガラス棒を使って均一に広げ、100cm全体を覆った。
7. 次に、実験1の組成物を該表面に噴霧してクリーニングし、非常にクリアで、光沢を放つまでペーパータオルまたは柔らかい布で拭いて各表面を処理した。
8. BFBで予め湿らせた滅菌綿棒で被験領域からサンプル採取した。
9. 細菌浮遊液および被験サンプル綿棒を渦動攪拌し、確実に均質にし、Spiral Biotech Autoplate 4000によってBAP上で培養した。
10. 培養したサンプルを35℃で48時間インキュベートした。平板を調べ、細菌数をカウントした。
【0072】
結果
タイル表面の分析データを下記の表7に示す。

【0073】
陰性対照データは、全表面が実験前には無菌であったことを実証している。結果は、本組成物が、Bacillus subtilis、Staphylococcus aureusおよびEscherichia coliに対する有効な殺菌剤であることを指摘している。
【0074】
上記の説明、手順、方法および組成物は、記述の実施態様の範囲を逸脱せずに修正または変更可能であり、前記修正または変更が本発明の範囲から逸脱するものではないことを、普通の技術の熟練者は気付く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理用クリーニングおよび多機能コーティング組成物であって:
前記表面上に結合可能な陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物と;
水性溶剤中の過酸化水素;
を含み、前記成分が前記表面のクリーニングおよび前記表面上での多機能コーティング剤の結合に有効な量で存在し、それによって、前記表面に(a)撥水性および防汚性および(b)抗菌性を付与するクリーニングおよび多機能コーティング組成物。
【請求項2】
前記四級化合物がC10〜C22飽和または不飽和炭化水素基を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記四級化合物が約3重量%までの量で存在し、過酸化水素が約8重量%までの量で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記四級化合物が約1重量%までの量で存在し、過酸化水素が約3〜約6重量%までの量で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、アルコール、ポリオール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物の群から選択する溶媒を含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記のポリオールまたはアルコールがグリコール、プロピレングリコール・モノメチルエーテル、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールであることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記の水性溶剤が酸性であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
pHが約2〜約5の強度であることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記水性溶剤が脱イオン水であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、
前記四級化合物を次式によって規定し、


式中、R=水素および/またはC〜Cアルキル;R=炭素原子C〜Cの二価炭化水素ラジカル、R=水素またはC〜Cアルキル、R=水素またはC〜C10アルキル、R=C10〜C22飽和または不飽和炭化水素ラジカルおよびX=ハライド、カルボン酸塩、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩またはリン酸塩である組成物。
【請求項11】
表面処理用クリーニングおよび多機能コーティング組成物であって、
前記組成物が前記表面上に結合可能な約3重量%までの量の次式で規定する陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物で、


式中、R=水素および/またはC〜Cアルキル;R=炭素原子C〜Cの二価炭化水素ラジカル、R=水素またはC〜Cアルキル、R=水素またはC〜C10アルキル、R=C10〜C22飽和または不飽和炭化水素ラジカルおよびX=ハライド、カルボン酸塩、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩またはリン酸塩である陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物と、
酸性脱イオン水性溶剤中約8重量%までの量の過酸化水素を含み、
前記成分が前記表面のクリーニングおよび前記表面上での多機能コーティングの結合に有効な量で存在し、それによって、前記表面に(a)撥水性および防汚性および(b)抗菌性を付与するクリーニングおよび多機能コーティング組成物。
【請求項12】
前記酸性溶剤のpHが約2〜約5であることを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
さらに、アルコール、ポリオール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物から選択する溶媒を含有することを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
さらに、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択するアルコールを含有することを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記有機シラン四級アンモニウム化合物を塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソーヤアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウムおよび塩化3−(トリヒドロキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムから成る群から選択することを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
有機シラン四級アンモニウム化合物が、約0.4重量%〜約0.7重量%の量の塩化3−(トリメトキシシリル)ジメチルオクタデシルアンモニウムであり、過酸化水素が約3重量%の量であることを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
表面をクリーニングし、前記表面に多機能コーティングを提供する方法であって、
前記表面上に結合可能な陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物と水性溶剤中の過酸化水素を含む組成物を前記表面に塗布し、前記表面上に結合させるクリーンで、防汚および撥水および抗菌性コーティングを形成することを含む方法。
【請求項18】
前記組成物を液体として固体表面に塗布し、前記表面から汚れを除去し、前記表面に結合するクリーンな、撥水および防汚および抗菌性コーティングを形成することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記の汚れを前記表面から拭き取り、それによって、前記表面に結合する前記のクリーンな、撥水性および防汚性および抗菌性コーティングを形成することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が
前記表面に結合可能な、約3重量%までの量の次式で規定される陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物で、


式中、R=水素および/またはC〜Cアルキル;R=炭素原子C〜Cの二価炭化水素ラジカル、R=水素またはC〜Cアルキル、R=水素またはC〜C10アルキル、R=C10〜C22飽和または不飽和炭化水素ラジカルおよびX=ハライド、カルボン酸塩、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩またはリン酸塩である陽イオン有機シラン四級アンモニウム化合物と、
酸性脱イオン水性溶剤中約8重量%までの量の過酸化水素を含み、
それによって、前記表面のクリーニングおよび前記表面上での多機能コーティングの結合に有効な量の前記成分が、前記表面に(a)撥水および防汚性および(b)抗菌性を付与することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記酸性溶剤が約2〜約5のpHを有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択するアルコールを含有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記有機シラン四級アンモニウム化合物を塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソーヤアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウムおよび塩化3−(トリヒドロキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムから成る群から選択することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
有機シラン四級アンモニウム化合物が約0.4重量%〜約0.7重量%の量の塩化3−(トリメトキシシリル)ジメチルオクタデシルアンモニウムであり、過酸化水素が約3重量%の量であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記表面を、金属、ガラス、プラスチック、ゴム、磁器、セラミック、大理石、花崗岩、セメント、タイル、砂、シリカ、エナメル用品、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル、メラミン/フェノール樹脂、ポリカーボネート、珪質、ペンキ表面および木製から成る群から選択することを特徴とする請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2006−526686(P2006−526686A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509115(P2006−509115)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/030778
【国際公開番号】WO2005/042657
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(502319372)リソース ディベラップメント エル.エル.シー. (5)
【Fターム(参考)】