説明

有機化合物および方法

有機化合物の使用方法、およびフレーバー組成物および/または食品にフレーバー前駆体を加え、食品の消費時にフレーバー化合物を放出させる、食品に、もしくは、食品のためにスローリリース香料を提供する方法、ならびに新規フレーバー前駆体化合物。フレーバー前駆体は、モノ−および/またはジグリセリドとラクトンフレーバー化合物とから調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物に加えて、加熱および消費の際にフレーバーをゆっくりと放出することができるフレーバー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品は、種々のフレーバーをこれらに加えることにより、消費者に一層口当たりが良好に、および一層魅力的になる。しかし、食品を、一層長期間にわたり加工するかまたは保存する際には、多くのフレーバー、特に揮発性フレーバーは、少なくとも部分的に失われる。この理由により、フレーバー放出を遅延させ、保存寿命を延長するための、フレーバーの被包(基質に結合することまたは被覆して早すぎる放出を防止すること)における多くの試行がなされている。しかし、これらは、部分的に成功しているに過ぎず、消費者による食物の消費の際にゆっくりと放出されるように、大部分の揮発性フレーバーを食品の内側に保持する方法またはフレーバー製品の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
今回発明者は、以下の式Iによるフレーバー前駆体をフレーバー組成物および食品において用いることにより、揮発性フレーバーの早すぎる放出を遅延させ、これらを消費の際にゆっくりと放出する手段が得られることを見出した。これにより、例えば貯蔵または加工の間の早期の所望されないフレーバーの放出が最小化され、フレーバーを付与された食品の保存寿命は延長され、食品のフレーバーは改善される。
第1の側面では、フレーバー食品(flavored food product)を提供する方法であって、式I
【化1】

式中、R1は、C1〜C9直鎖アルキル基から選択され、
mおよびnは、0および1から選択され、mが0の場合nは1であり、mが1の場合nは0であり、
【0004】
R4は、H、CH(OH)、CH(OCOR2)から選択され、
R5はCH(OCOR3)、CH(OH)CHOCOR2、CH(OCOR3)CHOCOR2、CH(OCOR2)CHOHから選択され、
R4がHから選択される場合、R5はCH(OH)CHOCOR2、CH(OCOR3)CHOCOR2および CH(OCOR2)CHOHから選択され、
R5がCH(OCOR3)の場合、R4はCH(OH)およびCH(OCOR2)から選択され、
【0005】
R2およびR3は、独立して、
C1〜C17直鎖アルキル、C3〜C17分岐鎖アルキル、C6〜C17アルケニル、C8〜C17アルカジエニル、
C6〜C17直鎖モノアルケニル、C6〜C17分岐鎖モノアルケニル、
C6〜C17直鎖アルカジエニル、C6〜C17分岐鎖アルカジエニル、
C7〜C17直鎖アルカトリエニル、C7〜C17分岐鎖アルカトリエニル、
C9〜C17直鎖アルカテトラエニル、C9〜C17分岐鎖アルカテトラエニル、
C11〜C17直鎖アルカペンタエニル、C11〜C17分岐鎖アルカペンタエニル、
から選択される、
で表される少なくとも1種のフレーバー前駆体を、食品の消費時および/または加熱時に、顕著な芳香のフレーバーを放つために十分な濃度で食品に混合することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0006】
別の側面において、本明細書で定義された少なくとも1種のフレーバー前駆体と食品添加物とを含むフレーバー組成物を提供する。
別の側面において、本明細書で定義された少なくとも1種のフレーバー前駆体を含む食品を提供する。
別の側面において、本明細書で定義された式Iで表されるフレーバー前駆体を提供する。
別の側面において、少なくとも1種のラクトンフレーバー化合物と少なくとも1種のモノおよび/またはジグリセリドとを酸触媒反応で反応させることによる、本明細書で定義されたフレーバー前駆体の形成方法を提供する。
【0007】
発明の詳細な説明
一態様において、ラクトン基を含む少なくとも1種のフレーバー化合物と少なくとも1種のモノまたはジグリセリドとを酸触媒反応で反応させることにより形成される、本明細書で定義されたフレーバー前駆体混合物と、食品添加物とを含むフレーバー組成物を提供する。
別の態様において、少なくとも1種のラクトンフレーバー化合物と少なくとも1種のモノまたはジグリセリドとを酸触媒反応で反応させることにより形成される、本明細書で定義されたフレーバー前駆体混合物を含む食品を提供する。
【0008】
別の態様において、本明細書で定義されたフレーバー前駆体であって、
R1がC1〜C9直鎖アルキルおよびC2〜C9直鎖アルケニルからなる群から選択され、R2およびR3が、独立して、
C1〜C17直鎖アルキル、C3〜C17分岐鎖アルキル、C6〜C17アルケニル、C8〜C17アルカジエニル、
C6〜C17直鎖モノアルケニル、C6〜C17分岐鎖モノアルケニル、
C6〜C17直鎖アルカジエニル、C6〜C17分岐鎖アルカジエニル、
C7〜C17直鎖アルカトリエニル、C7〜C17分岐鎖アルカトリエニル、
C9〜C17直鎖アルカテトラエニル、C9〜C17分岐鎖アルカテトラエニル、
C11〜C17直鎖アルカペンタエニル、およびC11〜C17分岐鎖アルカペンタエニルから選択されるものを提供する。
【0009】
別の態様において、R1が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびノニルからなる群から選択されるC1〜C9直鎖アルキルである、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
別の態様において、R2およびR3が、独立して、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C13、C15およびC17アルキルからなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0010】
別の態様において、R2およびR3が、独立して、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C13、C15およびC17アルケニル、C17−8エン(オレイン酸残基)アルケニル、C17−8,11アルカジエニル(リノール酸残基)およびC17−8,11,14−トリエニル(リノレン酸残基)からなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
別の態様において、R2およびR3が直鎖残基である、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0011】
別の態様において、R2およびR3がC4〜C17残基から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
別の態様において、R2およびR3が
C1〜C17直鎖アルキル、C3〜C17分岐鎖アルキル、C6〜C17アルケニル、C8〜C17アルカジエニル、
C6〜C17直鎖モノアルケニル、C6〜C17分岐鎖モノアルケニル、
C6〜C17直鎖アルカジエニル、C6〜C17分岐鎖アルカジエニル、
C7〜C17直鎖アルカトリエニル、およびC7〜C17分岐鎖アルカトリエニル、
からなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0012】
別の態様において、nが0であり、mが1である、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
別の態様において、nが1であり、mが0である、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
別の態様において、ラクトンフレーバー残基R1−(CH−COH−(CH−CH−CH−COが、ガンマヘキサラクトン、ガンマヘプタラクトン、ガンマオクタラクトン、ガンマノナラクトン、ガンマデカラクトン、ガンマデセノラクトン、ガンマウンデカラクトン、ガンマドデカラクトン、ガンマトリデカラクトンおよびガンマテトラデカラクトンの残基からなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0013】
別の態様において、ラクトンフレーバー残基R1−(CH−COH−(CH−CHCH−OCが、デルタヘキサラクトン、デルタヘプタラクトン、デルタオクタラクトン、デルタノナラクトン、デルタデカラクトン、デルタデセノラクトン、デルタウンデカラクトン、デルタドデカラクトン、デルタトリデカラクトンおよびデルタテトラデカラクトンの残基からなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0014】
別の態様において、フレーバー前駆体がガンマラクトンを放出し、フレーバー前駆体が、m=1、n=0、R4=H、R5=CH(OH)CHOCOR2であるフレーバー前駆体、m=1、n=0、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOCOR2であるフレーバー前駆体、m=1、n=0、R4=CH(OCOR2)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、m=1、n=0、R4=CH(OH)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、およびm=1、n=0、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOHであるフレーバー前駆体からなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0015】
別の態様において、フレーバー前駆体がデルタラクトンを放出し、フレーバー前駆体が、m=0、n=1、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOCOR2であるフレーバー前駆体、m=0、n=1、R4=CH(OCOR2)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、m=0、n=1、R4=CH(OH)、R5=CH2(OCOR3)であるフレーバー前駆体、およびm=0、n=1、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOHであるフレーバー前駆体からなる群から選択される、上記で定義されたフレーバー前駆体を提供する。
【0016】
別の態様において、天然源由来の十分量の脂肪または油と十分量のグリセリンとを、反応容器中、適切な温度で、十分な時間、十分量の触媒で触媒して撹拌することにより調製される適切な天然源由来のモノおよび/またはジクリセリドから選択されるグリセリドの混合物と、少なくとも1種のラクトンフレーバー化合物とを反応させる、フレーバー前駆体の形成方法を提供する。
別の態様において、天然源が、バター脂、鶏脂、牛脂および魚油を含む動物源から選択される、本明細書で定義された方法を提供する。
別の態様において、天然源はカカオバター、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油およびココナッツ脂を含む植物源から選択される、本明細書で定義された方法を提供する。
【0017】
式Iのフレーバー前駆体は、ヒドロキシジグリセリドエステルまたはヒドロキシトリグリセリドエステル前駆体を形成する、モノまたはジグリセリドとガンマまたはデルタラクトンとのヒドロキシエステルである。これらは揮発性フレーバー(芳香)を徐々に放出することにより、例えば食品の処理や保存の最中において、揮発性フレーバー化合物の望まない過剰放出から、化学的に結合したフレーバーを保護する。フレーバーは消費時に口に自然に存在する水および酵素の存在下で徐々に放出される。
【0018】
本発明に用いるラクトンフレーバー前駆体(ラクトンを放出することができる1−および2−(4または5−ヒドロキシ)−グリセリドエステル)は以下のようにして形成することができる。ラクトンフレーバー化合物は、モノ−またはジクリセリド(1−アシルグリセリド、2−アシルグリセリド、1,2−ジアシルグリセリドおよび1,3−ジアシルグリセリド)と、以下の反応スキームに示す酸触媒反応で反応する。
【0019】
【化2】

図1 ラクトンフレーバーとモノおよび/またはジクリセリドの可逆反応における、式Iで表されるラクトンフレーバー前駆体の形成およびラクトンフレーバー化合物の放出
【0020】
フレーバー前駆体の形成(および放出)は、図1(形成方向:反応スキームの左から右の方向)に示すとおり、Hの存在下でおこる。
フレーバー前駆体は芳香を有しない。これらのフレーバー前駆体は、次いで、図1(反応スキームの右から左の方向)に示すように、水性酸性条件に、例えば水の存在下での加熱時(例えば加熱調理またはベーキングにより)および特に消費時(口にはフレーバー放出の速度を増大させる酵素が含まれるため)にさらされると、逆反応により徐々にラクトンフレーバーを放出する。
【0021】
モノおよび/またはジグリセリドと反応して前駆体を形成し、その後、本発明の方法において、形成された前駆体により放出されるフレーバーは、ガンマおよびデルタラクトンからなる。
例えば、限定されずに、R1=プロピルおよびm=1およびn=0である式Iで表される前駆体はガンマオクタラクトンを放出し、R1=ブチルおよびm=0およびn=1である式Iで表される前駆体はデルタノナラクトンを放出する。
前駆体化合物の群のいくつかの例を下記に示す。
【0022】
下記のフレーバー前駆体はガンマラクトングリセリドエステル化合物であり、ガンマラクトンを放出する。
【表1】

【0023】
下記のデルタラクトングリセリドエステルフレーバー前駆体化合物はデルタラクトンを放出する:
【表2】

【0024】
本発明のフレーバー前駆体を調製するために用いるモノおよびジグリセリドは、既知の化学的方法、例えばJP2001181271に記載された方法で合成できる。あるいは、当該技術分野でよく知られているとおりに、植物源および動物源を含む天然源から酵素的もしくは化学的加水分解により調製できる。いくつかのモノおよびジグリセリドは、混合物としてまたは純粋な形(抽出もしくは合成)で市販されている。例えば、限定されずに、モノおよびジグリセリドの植物源は、パーム油、脂肪種子、ヒマワリ種子、ナッツ、カカオ豆、ココナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、およびさらに多くの種類を含む。例えば、限定されずに、モノおよびジグリセリドの動物源は、ミルク、バター、肉、鶏肉、牛肉、豚肉、ラム肉、魚、およびさらに多くの種類を含む。
【0025】
例えば、天然源(例えばバター脂)由来のモノおよび/またはジグリセリドの混合物は、十分量の天然由来の脂肪と十分量のグリセリンとを、反応容器中、適した温度で、十分な時間、十分量の触媒(例えば酸、酵素、リパーゼ)で触媒して撹拌することにより調製することができる。このような方法はよく知られており当業者には明らかである。
【0026】
天然源に由来するモノおよびジグリセリドの典型的な混合物には、飽和脂肪酸に結合したモノおよびジグリセリドが含まれ、これには、ラウリルモノグリセリド(R1=C11であるC12−形態のFI)、ミリスチルモノグリセリド(R1=C13であるC14−形態のFI)、パルミチルモノグリセリド(R1=C15であるC16−形態のFI)およびステアロイルモノグリセリド(R1=C17であるC18−形態のFI)が含まれる。不飽和脂肪酸を含むモノグリセリドには、オレイルモノグリセリド、リノリルモノグリセリドおよびアルファ−リノレニルモノグリセリドが含まれる。
ココアバターに由来するモノグリセリドの典型的な混合物には、パルミチルモノグリセリド(C16)、オレイルモノグリセリド(C18−1、1つの二重結合を有する)およびステアロイルモノグリセリド(C18)が含まれる。
野菜源からの一般的に用いられている油であるミグリオール(miglyol)に由来するモノグリセリドの典型的な混合物には、C8、C10およびC12モノグリセリドが含まれる。
バターに由来するモノグリセリドの典型的な混合物には、主にC4、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18飽和モノグリセリドが含まれる。
【0027】
モノおよびジグリセリドはまた、アセテート、プロピオネートまたはブチレート(アセチン、ジアセチン、モノプロピオニン、ジプロピオニン、モノブチリン、ジブチリン:グリセリンジブチレート)などの短鎖脂肪酸から形成することができる。
【0028】
食品に用いられる場合、モノおよびジグリセリドおよびそれらの残基の一部(R2、R3)は、時間とともに部分的に分解し、遊離脂肪酸(モノグリセリドに由来する前駆体残基についてはR2−COOH、ジグリセリドに由来する前駆体残基についてはR2−COOHおよびR3−COOH)を放出し、製品に不快臭を発生させる可能性がある。特定の食品に対し特定の前駆体を選択する場合、式Iで表されるフレーバー前駆体のR2およびR3は、潜在的なR2/R3分解時に望ましくない異臭を持たない酸化合物、例えばカプリル酸が放出されるように選択する。
このような酸化合物は望ましいフレーバー臭に寄与するが、例えばラウリン酸は選択した食品においてかえって石鹸様の望ましくない異臭をもたらす。特定のフレーバー臭が異臭と考えられるかどうかはフレーバーが加えられる食品に依存し、当業者には明らかな望ましいフレーバー臭、および、適切なR2およびR3の具体的な選択は、十分に当業者の経験の範囲内である。
【0029】
市販のモノおよびジグリセリドは主に1−アシルグリセリドもしくは1,3−ジアシルグリセリドと不定量の2−アシルグリセリドおよび他のグリセリドとの混合物である。
1−アシルグリセリドは、本明細書に記載のラクトンフレーバー化合物と反応した場合、R4がHであり、R5がCH(OH)CHOCOR2である式Iで表されるフレーバー前駆体およびR4がCH(OH)であり、R5がCHOCOR2である、式Iで表されるフレーバー前駆体を形成する。
2−アシルグリセリドは、本明細書に記載のラクトンフレーバー化合物と反応した場合、R4がHであり、R5がCH(OCOR2)CHOHである、式Iで表されるフレーバー前駆体を形成する。
1,3−ジグリセリドは、本明細書に記載のラクトンフレーバー化合物と反応した場合、R4がCH(COR2)であり、R5がCH(OCOR3)である、式Iで表されるフレーバー前駆体を形成する。
【0030】
フレーバーは、ヒト嗅覚系により検出することができる化合物である。官能特性を付与するために、フレーバーは、以下の分子特性を有しなければならない:ある程度の水溶性、十分に高い蒸気圧、低い極性および脂肪に溶解するある程度の能力(親油性)。フレーバー化合物は、294までの分子量を有する(一層大きい化合物は、ヒト嗅覚系を誘発すると知られていない)。
【0031】
本明細書に記載の方法に有用なラクトンフレーバーは、本明細書に記載のモノおよびジグリセリドと反応できるガンマまたはデルタラクトン化合物である。これらのフレーバーは、ガンマヘキサラクトン、ガンマヘプタラクトン、ガンマオクタラクトン、ガンマノナラクトン、ガンマデカラクトン、ガンマデセノラクトン、ガンマウンデカラクトン、ガンマドデカラクトン、ガンマトリデカラクトン、ガンマテトラデカラクトン、デルタヘキサラクトン、デルタヘプタラクトン、デルタオクタラクトン、デルタノナラクトン、デルタデカラクトン、デルタデセノラクトン、デルタウンデカラクトン、デルタドデカラクトン、デルタトリデカラクトンおよびデルタテトラデカラクトンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
有用なラクトンフレーバーには、天然の、および人工のフレーバー、ならびにラクトンフレーバーを含むフレーバー化合物の混合物を含む天然源からの抽出物、並びにラクトンフレーバー化合物自体が含まれる。多数の好適なフレーバーを、例えばBACISデータベース(Boelens Aroma Chemical Information Service)において見出すことができ、これには、Flavor chemicals on the FDA (Food & Drug Administration, USA) & FEMA GRASリスト(FEMA - Flavor and Extracts Manufacturers Association, GRAS -Generally Recognised As Safe)および欧州共同体(EC)登録リストを列挙するFlavor-Base 2004データベース(Leffingwell & Associates, Canton, Georgia, USA)が含まれる。
【0033】
ラクトンフレーバー前駆体を、食品に直接加えることができるか、またはさらなる食品添加物を含む、食品に加えるべきフレーバー組成物として提供することができる。
本明細書中で用いる用語「食品」には、すべての食品、例えば限定されずに、穀物製品、米製品、タピオカ製品、サゴ製品、パン類製造販売業者の製品、ビスケット製品、ペストリー製品、パン製品、菓子製品、デザート製品、ガム、チューインガム、チョコレート、アイス、蜂蜜製品、糖蜜製品、酵母製品、ベーキングパウダー、食塩および香辛料製品、良好なフレーバーを呈する製品、マスタード製品、食用酢製品、ソース(調味料)、タバコ製品、シガー、シガレット、加工食品、調理した果物および野菜製品、肉および肉製品、ゼリー、ジャム、果実ソース、卵製品、牛乳および乳製品、チーズ製品、バターおよびバター代用製品、牛乳代用製品、大豆製品、食用油脂製品、医薬、飲料、アルコール飲料、ビール、清涼飲料、ミネラルウォーターおよび空気を含有させた水ならびに他のノンアルコール飲料、果実飲料、果汁、コーヒー、人工コーヒー、茶、再構成を必要とする形態を含むココア、食用エキス、植物エキス、肉エキス、調味料、甘味料、栄養補給食品、ゼラチン、薬用および非薬用ガム、錠剤、トローチ剤、ドロップ、エマルジョン、エリキシル剤、シロップおよび飲料を製造するための他の調製品が含まれる。
【0034】
本発明によるフレーバー組成物は、ラクトンフレーバー前駆体、食品添加物、および任意に、追加のフレーバーを含む組成物である。食品添加物はよく知られており、限定されずに、例えば溶媒、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、保存料、抗酸化剤、乳化剤、安定剤、調味料、甘味料、アンチケーキング剤などから選択することができる。
【0035】
フレーバーまたは香料化合物のためのこのような担体または希釈剤の例は、例えば、"Perfume and Flavor Materials of Natural Origin, S. Arctander編、Elizabeth, N.J., 1960中;"Perfume and Flavor Chemicals", S. Arctander編、Vol. I & II, Allured Publishing Corporation, Carol Stream, USA, 1994中;"Flavourings", E. Ziegler and H. Ziegler(編)、Wiley-VCH Weinheim, 1998および"CTFA Cosmetic Ingredient Handbook", J.M. Nikitakis(編)、第1版、The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association, Inc., Washington, 1988中に見出すことができる。
フレーバー組成物を、すべての好適な形態で、例えば液体として、ペーストとして、または担体/粒子上に結合したか、もしくはコーティングされた被包された形態で、または粉末として加えてもよい。
以下に、本発明を例証する役割を果たす一連の非限定的例を続ける。
【実施例】
【0036】
特段の記載がない限り、すべての%はwt/wtである。
例1
グリセリン−モノデカノエートからの前駆体化合物の調製および熱加水分解または口内酵素/酸触媒反応によるフレーバー化合物の放出
前駆体は下記のとおり調製する:グリセリン−モノデカノエート(CAS 2277-23-8もしくは1−モノカプリンとして知られIndofineから市販されている)1gと、ラクトンフレーバー化合物500mg(特に明記しない限り)とをヘキサン20mlに、触媒として微量の濃塩酸とともに丸底フラスコ中で溶解し、還流下で約3時間煮沸する。混合物に飽和塩溶液0.5mlを加え混合物を振盪する。有機相(ヘキサン)を分離し、少量の硫酸マグネシウムで乾燥させる。ヘキサンを真空下で蒸留除去する。得られたフレーバー物質をさらにクロマトグラフィーで精製する。テストした全てのラクトン前駆体は、100%に近い濃度でもほぼ無臭である。
【0037】
前駆体を水中0.1%で煮沸した場合、反応させたラクトンの芳香が放出される(例2〜4参照)。
5%砂糖水中の前駆体(10ppm)は室温で味見され、対応するラクトンの、弱く、淡泊な、徐々に展開する芳香が検知された(例2〜4参照)。
【0038】
例2
5,11−ジヒドロキシ−8,14−ジオキソ−9,13−ジオキサ−ヘンエイコサン(1−オクタノイル−3−(4−ヒドロキシ)−オクタノイル−グリセリド)フレーバー前駆体
【化3】

【0039】
前駆体はn=0、m=1、R1=プロピル、R2=C15、R4=H、R5がCH(OH)CHOCOR2、R2=ヘプチルである式Iで表される化合物であり、ガンマオクタラクトンを放出することができる。
前駆体は、グリセリン−モノデカノエートとガンマオクタラクトンを用いて例1に記載されたとおりに調製する。精製した前駆体はろう状の無臭ペーストである。
【0040】
前駆体を水中で煮沸した場合、クリーミーココナッツ様の芳香(ガンマオクタラクトンの芳香)が放出される。
室温における5%砂糖水中の前駆体(10ppm)の味見では、柔らかな口当たりを有する、まろやかでクリーミーなココナッツの芳香の、淡泊な徐々に展開する風味が検知された。
【0041】
例3
6,13−ジヒドロキシ−10,16−ジオキソ−11,15−ジオキサ−ペンタコサン(1−デカノイル−3−(5−ヒドロキシ)−デカノイル−グリセリド)フレーバー前駆体
【化4】

前駆体はn=1、m=0、R1=ペンチル、R2=ノニル、R4=H、R5=CH(OH)CHOCOR2である式Iで表される化合物であり、デルタデカラクトンを放出することができる。
前駆体はグリセリン−モノデカノエートとデルタデカラクトンを用いて例1に記載されたとおり調製する。精製した前駆体はろう状の無臭ペーストである。
【0042】
前駆体を水中で煮沸するとバター様の、クリーミーな芳香(デルタデカラクトンの芳香)が放出される。
室温における5%砂糖水中の前駆体(10ppm)の味見では、柔らかな口当たりを有する、クリーミーなバター様の芳香の、淡泊な徐々に展開する風味が検知された。
【0043】
例4
13,20−ジヒドロキシ−10,16−ジオキソ−11,15−ジオキサ−ドトリアコント−1−エン(1−デク−9−エノイル−3−(5−ヒドロキシ)−ドデカノイル−グリセリド)フレーバー前駆体
【化5】

前駆体化合物は、n=1、m=0、R1=ヘプチル、R2=8−ノネニル、R4=H、R5=CH(OH)(CHOCOR2)である式Iで表される化合物であり、デルタドデカラクトンを放出することができる。
前駆体は1−グリセリンデク−9−エノエートおよびデルタドデカラクトンを用いて、以下の変更を条件に、例1に記載されたとおりに調製する。グリセリン−モノデカノエート1gを下記のとおりに合成された1−グリセリンデク−9−エノエート1gに置き換え、デルタドデカラクトン500mgと例1に記載のとおりに反応させる。精製した前駆体はろう状の無臭ペーストである。
【0044】
前駆体を水中で煮沸した場合、マイルドな、バター様の、クリーミーな芳香(デルタドデカラクトンの芳香)が放出される。
室温における5%砂糖水中の前駆体(10ppm)の味見において、柔らかな口当たりを有する、マイルドな、バター様の、クリーミーな芳香の、淡泊な徐々に展開する風味が検知された。
【0045】
1−グリセリンデク−9−エノエートの合成:
10gの9−デセン酸(CAS 14436-32-9、Bedoukian)、10gのグリシドール(CAS 556-52-5、Aldrich)および100mgのアンバーリスト(Amberlyst)A−26(OH)(Aldrich)を、還流下で200mlのヘキサンと共に、還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた丸底フラスコ中で24時間煮沸する。溶液を濾過し、揮発性物質を真空下で蒸留して除去する。生成した1−グリセリンデク−9−エノエートはさらにクロマトグラフィーにより精製する。
【0046】
例5
バターフレーバー前駆体
バター−モノグリセリドの調製:
バター脂60gとグリセリン20gとを、50℃で24時間丸底フラスコで、リポザイムRM IM(ノボザイム)600mgにより触媒させて撹拌することにより、バター脂由来のモノグリセリド混合物を調製する。
トップノートについては、デルタノナラクトン、デルタデカラクトン、デルタウンデカラクトンおよびデルタドデカラクトンをそれぞれ2.0g混合する。
トップ芳香については、トップノート1gとミグリオール(植物油)99gとを混合する。トップ芳香は、強いラクトンバター芳香を有する。
【0047】
前駆体の調製:
トップノート1gとバター−モノグリセリド20gとを混合し、還流冷却器を備えた丸底フラスコで10時間加熱し、前駆体を形成する。得られた冷却された前駆体混合物は、弱いラクトンバター(lactony-butter)芳香を有する。
【0048】
ビスケットにおける前駆体とトップ芳香との比較:
ビスケットショートニング含有生地を、以下のようにして調製する:
【表3】

【0049】
成分2〜6を、混合ボール中で予め配合し、低速で混合し、次に中速で約3分間さらに混合する。低速にて、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムおよび0.2%(wt/wt)のトップ芳香または0.1%(wt/wt)の前駆体の予め溶解した溶液を加え、次に残りの水を加え、1分間混合する。混合を、中速で約3分間継続して、均一な混合物を形成する。小麦粉を低速で加えて、生地を得る。生地を、4mmの厚さのシートに形成し、スタンプカッターを用いてビスケットの形状に切断する。ビスケットを、200℃の温度にて約8〜10分間ワイヤートレー上で焼く。
0.2%のトップ芳香または0.1%の前駆体を、生地と均一に混合する。ビスケットを成形し、200℃のオーブン温度にて20分間焼く。
【0050】
ベーキングプロセスの間、ベーキングオーブンからの強力なバター芳香が、トップ芳香ビスケットについて観察されるが、これは前駆体ビスケットについては極めて弱い。官能評価により、トップ芳香ビスケットにおいて比較的強力な芳香が示される。
室温で2ヶ月貯蔵した後、官能評価を行う。トップ芳香試料は、淡泊であり、その最初のバター芳香を失っており、乾燥した質感および口当たりを有する。
前駆体ビスケットは、良好な、バランスのとれたマイルドなバター芳香および滑らかな持続性のバター様の口当たりを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバー食品を提供する方法であって、式I
【化1】

式中、
R1はC1〜C9直鎖アルキル基からなる群から選択され、
mおよびnは0および1から選択され、mが0の場合nは1であり、mが1の場合nは0であり、
R4はH、CH(OH)、CH(OCOR2)から選択され、
R5はCH(OCOR3)、CH(OH)CHOCOR2、CH(OCOR3)CHOCOR2、CH(OCOR2)CHOHから選択され、
R4がHから選択される場合、R5はCH(OH)CHOCOR2、CH(OCOR3)CHOCOR2およびCH(OCOR2)CHOHから選択され、
R5がCH(OCOR3)の場合、R4はCH(OH)およびCH(OCOR2)から選択され、R2およびR3は、独立して
C1〜C17直鎖アルキル、C3〜C17分岐鎖アルキル、C6〜C17アルケニル、C8〜C17アルカジエニル、
C6〜C17直鎖モノアルケニル、C6〜C17分岐鎖モノアルケニル、
C6〜C17直鎖アルカジエニル、C6〜C17分岐鎖アルカジエニル、
C7〜C17直鎖アルカトリエニル、C7〜C17分岐鎖アルカトリエニル、
C9〜C17直鎖アルカテトラエニル、C9〜C17分岐鎖アルカテトラエニル、
C11〜C17直鎖アルカペンタエニル、C11〜C17分岐鎖アルカペンタエニル、
から選択される、
で表される少なくとも1種のフレーバー前駆体を食品の消費時および/または加熱時に顕著な芳香を放つために十分な濃度で食品に混合することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
請求項1に定義された少なくとも1種のフレーバー前駆体と食品添加物とを含むフレーバー組成物。
【請求項3】
ラクトン基を含む少なくとも1種のフレーバー化合物と少なくとも1種のモノまたはジグリセリドとを酸触媒反応で反応させることによって形成された、請求項1に定義されたフレーバー前駆体と、食品添加物との混合物を含むフレーバー組成物。
【請求項4】
請求項1に定義されたフレーバー前駆体を少なくとも1種含む食品。
【請求項5】
少なくとも1種のラクトンフレーバー化合物と、少なくとも1種のモノまたはジグリセリドとを、酸触媒反応で反応させることによって形成された請求項1に定義されたフレーバー前駆体の混合物を含む食品。
【請求項6】
請求項1に定義された式Iで表されるフレーバー前駆体。
【請求項7】
R1が、C1〜C9直鎖アルキルおよびC2〜C9直鎖アルケニルからなる群から選択され、R2およびR3が、独立して、
C1〜C17直鎖アルキル、C3〜C17分岐鎖アルキル、C6〜C17アルケニル、C8〜C17アルカジエニル、
C6〜C17直鎖モノアルケニル、C6〜C17分岐鎖モノアルケニル、
C6〜C17直鎖アルカジエニル、C6〜C17分岐鎖アルカジエニル、
C7〜C17直鎖アルカトリエニル、C7〜C17分岐鎖アルカトリエニル、
C9〜C17直鎖アルカテトラエニル、C9〜C17分岐鎖アルカテトラエニル、
C11〜C17直鎖アルカペンタエニル、およびC11〜C17分岐鎖アルカペンタエニル、
から選択される、請求項6に記載のフレーバー前駆体。
【請求項8】
R1が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびノニルからなる群から選択されるC1〜C9直鎖アルキルである、請求項7に記載のフレーバー前駆体。
【請求項9】
R2およびR3が、独立して、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C13、C15およびC17アルキルからなる群から選択される、請求項7または8に記載のフレーバー前駆体。
【請求項10】
R2およびR3が、独立して、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C13、C15およびC17アルケニル、C17−8エン(オレイン酸残基)アルケニル、C17−8,11アルカジエニル(リノール酸残基)、およびC17−8,11,14トリエニル(リノレン酸残基)から選択される、請求項7または8に記載のフレーバー前駆体。
【請求項11】
R2およびR3が直鎖残基である、請求項7〜10のいずれかに記載のフレーバー前駆体。
【請求項12】
R2およびR3がC4〜C17残基から選択される、請求項7または8に記載のフレーバー前駆体。
【請求項13】
R2およびR3が、
C1〜C17直鎖アルキル、C3〜C17分岐鎖アルキル、C6〜C17アルケニル、C8〜C17アルカジエニル、
C6〜C17直鎖モノアルケニル、C6〜C17分岐鎖モノアルケニル、
C6〜C17直鎖アルカジエニル、C6〜C17分岐鎖アルカジエニル、
C7〜C17直鎖アルカトリエニル、およびC7〜C17分岐鎖アルカトリエニル、
からなる群から選択される、請求項7または8に記載のフレーバー前駆体。
【請求項14】
nが0であり、mが1である、請求項6〜13のいずれかに記載の式Iで表されるフレーバー前駆体。
【請求項15】
nが1であり、mが0である、請求項6〜13のいずれかに記載の式Iで表されるフレーバー前駆体。
【請求項16】
ラクトンフレーバー残基R1−(CH−COH−(CH−CH−CH−COが、ガンマヘキサラクトン、ガンマヘプタラクトン、ガンマオクタラクトン、ガンマノナラクトン、ガンマデカラクトン、ガンマデセノラクトン、ガンマウンデカラクトン、ガンマドデカラクトン、ガンマトリデカラクトンおよびガンマテトラデカラクトンの残基からなる群から選択される、請求項14に記載のフレーバー前駆体。
【請求項17】
ラクトンフレーバー残基R1−(CH−COH−(CH−CH−CH−OCが、デルタヘキサラクトン、デルタヘプタラクトン、デルタオクタラクトン、デルタノナラクトン、デルタデカラクトン、デルタデセノラクトン、デルタウンデカラクトン、デルタドデカラクトン、デルタトリデカラクトンおよびデルタテトラデカラクトンの残基からなる群から選択される、請求項15に記載のフレーバー前駆体。
【請求項18】
フレーバー前駆体がガンマラクトンを放出し、フレーバー前駆体が、m=1、n=0、R4=H、R5=CH(OH)CHOCOR2であるフレーバー前駆体、m=1、n=0、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOCOR2であるフレーバー前駆体、m=1、n=0、R4=CH(OCOR2)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、m=1、n=0、R4=CH(OH)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、およびm=1、n=0、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOHであるフレーバー前駆体からなる群から選択される、請求項6〜13のいずれかに記載のフレーバー前駆体。
【請求項19】
フレーバー前駆体がデルタラクトンを放出し、フレーバー前駆体が、m=0、n=1、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOCOR2であるフレーバー前駆体、m=0、n=1、R4=CH(OCOR2)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、m=0、n=1、R4=CH(OH)、R5=CH(OCOR3)であるフレーバー前駆体、およびm=0、n=1、R4=H、R5=CH(OCOR3)CHOHであるフレーバー前駆体からなる群から選択される、請求項6〜13のいずれかに記載のフレーバー前駆体。
【請求項20】
少なくとも1種のラクトンフレーバー化合物と、少なくとも1種のモノおよび/またはジグリセリドとを酸触媒反応で反応させることによる、請求項6〜19のいずれかに記載のフレーバー前駆体の形成方法。
【請求項21】
天然源由来の十分量の脂肪または油と十分量のグリセリンとを、反応容器内で、適した温度で、十分な時間、十分量の触媒で触媒して撹拌することにより得られる適切な天然源に由来するモノおよび/またはジクリセリドから選択されるグリセリドの混合物と、少なくとも1種のラクトンフレーバー化合物とを反応させることによる、請求項6〜19のいずれかに記載のフレーバー前駆体を形成する方法。
【請求項22】
天然源が、バター脂、鶏脂、牛脂および魚油を含む動物源から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
天然源が、カカオバター、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油およびココナッツ脂を含む植物源から選択される、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2009−544770(P2009−544770A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521088(P2009−521088)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000367
【国際公開番号】WO2008/011744
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】